全てが噛み合わない   作:OFA様《疲労》

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暑いですねぇ。



奇跡到来

 

変な男の子にナンパをされてから数十分、宛もなく情報を求め歩き続けたが耳に入る情報は【IS】という物ばかりである。

ニュースや、新聞に書いてあるISに関する主な事柄を纏めると、軍事用の兵器という風にしか捉えられないが、一部の情報誌では宇宙で自由に活動できるように開発された物であるとも言われており要は、戦争が大好きな国々が兵器としての利用価値に重きを置いた結果であろう。

開発者には同情するが、正直軍事用に使われる事は安易に想像出来ただろうとは思うが……。

 

さて、ISの情報ばかりに詳しくなっても仕様がない。

今欲しい情報は、年号と世界情勢やら其処等の事柄だ。

手っ取り早く情報を集めるには、インターネットが一番便利だろうし、まずはネットカフェかそれに近い店を探すことにしよう。

そもそも、インターネットよりも優れた物があれば話は別だが、そこまでは進歩していないと信じたいものだ。

 

 

 

* * * * * *

 

 

 

暫く歩き、人が大勢いるビル街へと辿り着いたがネットカフェらしきものは見当たらない。

とは言え諦める訳にも行かず只管にウロウロと同じ道を往復していると、やはり周囲の目線が段々と痛くなってくる。真昼間から人々が行きかう歩道をアッチへふらふらコッチヘふらふらとしているのだから、最悪通報されていても可笑しくはなかった。

 

もう何度目かの往復を終え、ゆっくりとビル街を見ていると、遠くにカラフルな看板が誘うかのように此方を向いていることに気が付いた。

あれはまさかッ!

 

「ついに…ついにたどり着けたか」

 

嬉しさの余り独り言を漏らし周りに再び見られてしまったが、問題はないだろう。

なんせこのネットカフェに入ってしまえば人目など無いようなものだからなハッハッハ!

 

 

 

 

 

 

 

 

…あ、お金ないんだった

 

 

 

 

何という事だ、金が無いではないか。

漸くネットカフェを見つけ、後は店に入りゆっくり情報を集める予定だったのに…これが詰みと言う状況か……。

さっきの少年に着いていけば良かったか……?いやそれは余りにも危険すぎる、これでいいんだ。

 

とは言え、本当にどうしようもない状況だ……

世の中、やはり金が無ければどうしようもないからなぁ

うーむ…警察に借りて、っていうのは無理だな。戸籍がない事が判明したらそれこそ本当にどうしようもなくなってしまう。

 

「すいません、少しいいですか?」

 

突然の声に、はい?と後ろを振り向くと

 

「あのー、ご職業とか何されてますかね?」

 

なんてこった職質じゃねえか

今の俺には戸籍があるのか不明だし、万が一この世界?時代?の警察に捕まってみろお終いだ。

抵抗して逃げるにしても、あのISとかいう機械(マシーン)が出張ってきた場合に対処の使用がないしなぁ……。

 

「電気関係の仕事をしていますが…」

 

「電気……整備士等では無く、公共の場での工事士でしょうか?」

 

電気関係の仕事は前世で、だが。

一応整備も出来るが……ISの整備をやってみせろなんて言われる…か?

とは言え、両方出来る事だし嘘偽りなく答えておこう。

 

「両方ですが、整備の方はどうも苦手でして」

 

「そうですか……ちょっと署までご同行貰えますか?」

 

ですよねー……

二人の警察官の内、一人が俺の右側へ周ると逃がさないぞと言わんばかりに肩へと手を置いてきた。

もう一人の警察官は女性で、繁々と俺の顔を見ると驚いた様に眉根を跳ね上げ、顔を急接近させたかと思えば顔を赤らめ顔を逸らす。

一体何がしたいんだこの警官は……?

 

「どうかしましたか?」

 

「貴方この人、いいえ……このお方に見覚えがないかしら?」

 

「も、申し訳ございません!しかし、見覚え……ですか?」

 

どうやら女性警察官の方が階級が上らしく、男性警察官は丁寧な敬語を使いつつ俺の顔を凝視してきた。

此処で俺は一つ、疑問に思う事があるのだが幾らなんでも男性の腰が低すぎないだろうか?男尊女卑ならぬ、女尊男卑って事か……なんて、まぁそんな前時代的な考えは持っちゃいないだろうさすがに。

 

「……ッ!?まさか、そんな」

 

「ええ、そのまさかの可能性も十分に考えられるわ。なんせ数年前まで実現不可能で机上の空論状態のマルチフォームスーツ(インフィニット・ストラトス)すらも開発されたのだから……。」

 

 

二人してこそこそと話しているので、俺はやることがない。

とは言え二人に何も言わずにこの場を離れると確実に不味い……ふむ、大人しく待機するしかないようだ。

こんなアスファルトが焼けるような暑さの中で何もせず棒立ちするというのは中々堪える……自分の顔が不機嫌なものにドンドンと変化していくのは仕方のない事だと思う。

 

「つまり……コードギアス(別次元)の世界から、主人公であるルルーシュ…さんだけが何らかの因果でこの世界にやってきた、という事ですか?」

 

「他に考えられるかしら?……ソックリさんというには些か完成度が高すぎるわ。それにコードギアスの大ファンらしい博士(・・)なら、或いは(ルルーシュ)を呼び寄せようと考えていても可笑しく無い話よ。」

 

「しかし……いくら博士と言えど創作物を現実に再現するなんて事は、余りにも話が飛躍しすぎていませんかね。」

 

 

いつまでコソコソ話しているんだか……。

このままだと熱中症になりそうな所まできている。

一体何の話をしているんだ?……俺の話しかないよなぁ、しかしこのままだと任意同行頼まれて時間を取られそうだな。

そして時間が掛かれば掛かる程、俺がボロを洩らしてしまう可能性は増していき何れは、戸籍がない事もバレて人生終了ってわけだ。

いつの間にかこの街に居たなんて信じてもらえるはずもない。

 

「先輩、例え彼がコードギアスのルルーシュであったとしても一度同行してもらい、事情を聞くべきです。こんなに暑い中いつまでも此処で話していても仕方がありませんし。」

 

「そ、そんな事は言われなくても分かっているわ!さぁ、話は終わり彼を連れて行き話を聞きましょう。」

 

 

おや、話が終わったようだ。

これから俺は何処へ連れていかれ何を話すのか……まぁこんな暑い中にいつまでも居るよりは、涼しい部屋で話をする方がましかな?

 

「話は終わりましたか?」

 

「え、えぇお待たせしてしまい申し訳ありませんでした。」

 

「先輩、何ドモッてるんですか……。」

 

「だって、声まで同じなのよっ?」

 

声まで同じって……誰と比較しているんだ?

女性警官の元カレか?この世界にコードギアスがあるわけないし、多分そういう事なんだろう。

コードギアスと言えば、何か主人公のルルーシュに異能の力が無かったか?

使い方も分からないし、今もそれがあるかも分からないから意味は無いのだが。

 

「また話が始まるのであれば、私は此処で失礼させていただきますが?」

 

「ッ!これは失礼、ではお乗りください。」

 

俺が少しキツめに言うと、男性警官がパトカーの扉を開け右手で乗車を促してくる。

大人しく従い車に乗り込もうとした時、不意に女性の声が耳に入り込んできた。

 

「そこの警察!!ちょっと待ったっ!!!」

 

女性警察官の落ち着いた声とは違う、少女特有の甲高く元気な声色を発しつつ小さな影が、パトカーの前に躍り出たのだ。

声から想像した少女像そのままの、全身から元気を迸らせた美少女が其処に立っており、眉を吊り上げ女性警察官を睨み付けている。

首を振るたびに、少女に似合ったツインテールがフリフリと同調するように揺れていて何とも微笑ましい気分になった。

しかし、女性警官も男性警官も職務を邪魔されて幾ら少女と言えども黙っている訳にはいかないのか、少し険しい顔をして少女へと近づいて行く。

男性警察官は俺の隣にいて、事が終わるのをジッと待っているようだ。

 

「お嬢さん、これは業務妨害って言ってね?悪い事なのよ、退いてくれるかな?」

 

「そんな事知ってるわよ。」

 

女性警官が優しく諭すと、少女は小生意気に鼻を鳴らしながら言葉を返した。

女性警官の顔が険しくなっていくが、少女は気が強いのか一歩前に出ると女性警官の後ろ--つまり俺と男性警官がいる方向を見てキョロキョロと何かを探し始めた。

俺と男性警官は、車の中に既に乗り込んでいるので少女からは丁度死角になる位置にいる。

 

「あれ……?」

 

探し物が見つからなかったのか少女は徐に女性警官を手で退けると、此方へズンズンと歩きを進めてきた。

パトカーの前で止まり、窓から中を覗きこみ男性警察官を目にすると興味が無いかのように目を離した。

次いで車体の周りをぐるりと回り、今度は俺がいる方向の窓を覗きこむと顔を喜色の笑みで染め、ドアを豪快に開き俺の顔を繁々と見つめてくる。

 

「一夏の言った通りね!遠目から見た時に、まさかと思って警官を止めて良かったわ……。」

 

「き、君は?」

 

一体誰なんだこの少女は?

イチカの言った通り…?さっきのホ○っぽい少年か?

ま、まさかこの少女は一夏君(○モ)に言われて俺を攫いに来た刺客か!?

女性が男性のいう事を聞くような時勢でもないようだが……一夏君はイケメンだったし恋に恋するようなお年頃のこの少女なら、騙されていても仕方がない。

つまりこの少女を警戒しなければならない訳か……。

 

「あ、そうだった!私の名前は凰 鈴音(ファン リンイン)。…で、出来れば(リン)って呼んでくれると嬉しい、です」

 

何で初対面の少女をいきなり愛称で呼ぶことができようか。

どんだけフレンドリーなんだ……。

とは言え一夏君の刺客っぽいので余り仲良くしようとは思わないし、いきなりすぎてどうしようもない。

さて、これからどうしようか?警官を放置して、暑さの影響だろうか顔を真っ赤に染めニコニコしながら此方を見ている少女を見て俺は考え始めた---

 

 

 

 

 

 

 

 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * 

鈴音side

 

 

 

 

 

 

一夏が珍しく電話をしてきたかと思えば、開口一番有りえない事を口にした。

 

『リンかッ!?さっきスーパーに買い物に行ったら、帰りにあのお方を見たんだよッ!!!』

 

こんな暑い日に、大声の一夏の声を聞くとウンザリしてくるわね……。

というか、あの方…?

一夏がそんな風に言う人なんていたかしら?

 

「あのお方って、あんたがそんな風に呼ぶ人なんていたっけ?それに私と何の関係があるっていうの?」

 

『あのお方はあのお方だッ!!何でわかんねぇんだよ!?』

 

あー……段々イライラしてきた。

一夏はこういう脈絡のない話し方を時々してくるから困る。

顔はいいし、やるときにはやる男で性格も良いんだけど……空気読めない時も多いし、女心も分かっていない。だから初対面では好印象でも、仲良くなっていくと恋愛対象から外れるのよね。

それに私の初恋はルルーシュ様だし……なんて、私は何を言っているんだか。

 

『おい鈴!聞いてるかッ?』

 

「はいはい、で?あのお方って誰なの?名前で言ってくれないと分かるものも分からないわよ。」

 

私にしては珍しく冷静に返せたと思う。

一夏の口から衝撃的な言葉が聞こえるまでは、の話だったけど。

 

『ルルーシュ様だよッ!!コードギアス反逆のルルーシュの、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア様がいたんだ!!』

 

「……はぁ?あんた、暑さで頭やられたんじゃないの?」

 

幾らなんでもそんなウソには引っかからない。

ルルーシュ様はあくまでも創作物……言ってて悲しくなるけれど、それでも私はルルーシュ様に惚れてしまった。

あの生き様を生で見て惚れない女はいない、と断言したい所だがコードギアスの女性陣達は惚れていない者も多かったなぁ。

 

『鈴!!俺はルルーシュ様と会話までした、その上で本物だと判断したんだ!でも、その後俺が生ルルーシュ様の声に蕩けている間に、ルルーシュ様は何処かに行っちまったんだ。頼む一緒に探してくれ!!』

 

なんですって?

私も認めるコードギアスマスターの一夏が本物だと認めた……?

それなら、例えニセモノであったとしても会ってみる価値はある、かな?

 

「一夏がそこまで熱弁をするって事は、一応嘘はついていないみたいね……。いいわ、私も一緒に探してあげる」

 

『ありがとうッ!!恩にきるぜ!見つけたら電話してくれ、何としても一緒に家で会話するんだ!!』

 

 

さて……まずは何処から探しましょうかね---

 

 

 

 

 

 

* * * * * *

 

 

 

 

 

一夏からの電話から数分後、私は普段着よりも少しだけオシャレをして町へと繰り出した。

何時もより服装に気合をいれたのには特に理由はない、本当に。

 

それにしても今日は暑いわねぇ……これでルルーシュ様に会えなかったら一夏にジュースでも奢らせようかしら?

半分期待、半分面白半分といった気持ちでルルーシュ様を探していると、やけに人が集まっている場所があることに気が付いた。

 

「まさかね……。」

 

ここら辺でイベントが行われるなんて聞いていないし、かといって事故かと考えると野次馬達の会話から聞こえるのは、悲惨な状況を言ったものでは無くむしろ女性達は浮足立っているように見える。

 

野次馬を掻き分け前へ前へと進んでいくと、後ろ姿の男性が目に入ってきた。

 

「あ…。」

 

ドクンと心臓が鳴った気がした、否高鳴った。

後ろ姿でも分かるあの圧倒的カリスマ、線の細い体つきにサラサラな黒髪。

間違いない、あれはルルーシュ様だ

と思わず断言してしまうぐらいに、その男性は酷似しているのだ。

 

私が暫し呆然としてる間に、ルルーシュ様?はスタスタと歩みを速めて行ってしまう。

その背中を追いかけようと走る準備を始め、いざ走るぞという時に

 

ルルーシュ様は警官に話かけられた。

 

なんて失礼な警官なの!?

と心の中で怒鳴ってしまうが、今は警官を止める事が先決ね。

業務妨害だなんだ言われても、こっちは中国の代表候補生なんだから易々と捕まらないわよ!

 

女性警官へと制止の声をかけ、女性警官と少し問答した後にルルーシュ様を確認しようと探してみるがいない。

あれれ?

何処に……ってあのパトカーの中ね、いざ!!

 

「何ですか貴方は!!」

 

片方のドアを開けると、見えたのは男性警察官……アンタに用は無いわよ。

と、という事はもう片方のドアを開けるとルルーシュ様が?

急いで髪を手櫛で整え、念の為に汗の匂いがしないかを確認してから……よしっ!!

勢いよくドアを開けると--

 

 

 

「き、君は?」

 

 

……。

 

 

や、やばい顔が熱くなっていく。

なんというオーラ…まさしくルルーシュ様、声も顔も仕草も全てがまさしく神が創りし美。

これが生ルルーシュ様なのね……危うく鼻血とかその他諸々の液体が出るところだった。

と、取り敢えず名前をそしてあわよくば愛称で呼んでもらいたい、なんて……。

 

「私の名前は凰 鈴音(ファン リンイン)。…で、出来れば(リン)って呼んでくれると嬉しい、です」」

 

結構どもっちゃったけど、大丈夫よね?

 

 

ルルーシュ様の困ったような警戒しているような顔を見て、私は情報を一夏に教えるのは止めようと考え始めた---




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