束side
「……う、うう?」
痛い……そっか、ルル君の顔を見てから倒れて……?
ハッ!!今どういう状況なの!?
「モニターを……起動!」
慌ててモニターを起動し、先ほどの画面を出そうとすると違う光景がモニターに表示された。さっきは、ルル君の乗っている
それに、ルル君が操作している蜃気楼は何故かマスコミの物であろうヘリコプターと、隣り合い何かを話しているではないか。
「ルル君は、一体何をしているのかな……?」
そう、疑問を感じて思考の渦に呑みこまれそうになった瞬間
『私は――男だ』
「えっ!?」
ルル君の爆弾発言で脳が一気に思考の渦を弾き飛ばし、モニターへと再び目を向けさせられる。
私が驚いたのはルル君が『男』であるという点では無い。というよりもルル君が男だという事は、
まぁ、コードギアスを知らない奴らからしてみれば正体不明の人物が
『そ、それは一体どういう――』
それにしてもルル君の考えていることが理解できないなぁ……。
こんなに大勢の前でそんな爆弾発言したらあっという間に広まって、もう外を出歩けなくなっちゃうよ?
今は蜃気楼の中だからルル君本人は見えないけど、これだけの民衆がいて尚且つ対ISの鎮圧部隊まで出てきちゃってるんじゃ……この場から離脱する事すら難しいはずだよねぇ。
何にせよ、束さんも協力できることがあったら助けてあげたいし…今もう一度連絡を取ってみようかな?
『今、私の隣にいるマスコミの方は、何方のテレビ局或いは新聞社なのか仰って頂いても?』
『あ、はい!!えっと、日本速報テレビの者です!』
ルル君に連絡を取ろうとしたら、また話が進んでいる。
こうやってドンドン話を進めていき、相手に考えさせる余裕を与えないのがルル君の手法だけど、今は少し緩めて欲しいのが本音かな?
少し待ってから連絡を取った方が良さそうだね。
それよりも、さっきから憤怒の表情をしているIS部隊の方に目を向けておくべきだと思うんだけど、ルル君は余り気にしていないかのようにマスコミとだけ会話をしている。
『我々を置いて話を進めるなッ!!そこのマスコミッ!危険だから此方へ来い!!』
『あちらへ行っても構いませんよ。ただ、貴方達は大きなネタを逃す事となりますが』
痺れを切らしたIS部隊の隊長らしき人物がマスコミに向かって吠えると、ルル君は本当にどうでも良さそうにマスコミのヘリから少し距離を置いた。まるで、逃がしてやるとばかりに。
憤怒のIS部隊と物凄い特ダネかも知れないルル君に挟まれて、右往左往するマスコミの様子はとても滑稽だけど、ルル君の所に行ってくれないと多分――ルル君は打つ手がなくなる。いや、ルル君の事だから何か策があるのかも知れないけど、少なくとも束さんには無理だね。
『さあ、どうしますか?』
ルル君の催促に折れたのか、ゆっくりと蜃気楼へとヘリコプターは近づいていった。
IS三人組は呪詛の様なモノを吐きながら、何処かへと連絡を取っている。
『それでは行きましょう』
『え、えっと行くって何処へ?』
ルル君はマスコミのヘリコプターを誘導するようにして、動き始めると慌ててヘリコプターも後を追っていく。
一体何処へ……?
『私が男である事を証明するために、今から人のいない場所へ向かいます。其処でこの蜃気楼から降りて顔を見せましょう。』
ルル君は優しい、安心させるようにして移動する理由を述べると南へ向かってヘリコプターの通常速度程で動きを速める。
うーんでも、マスコミに態々何で顔を見せるのかな?
……あ、そっか!!
「ギアスを使うんだね、ルル君」
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
対IS鎮圧部隊side
「隊長、如何いたしますか?」
「包囲網を作る、残りの部隊に連絡と……あぁ、後人手が足りないから警察の奴らにも連絡しておいてくれ」
先ほどから煮え湯を飲まされ続けている、謎の人物……ISの様なモノを行使しているが本人曰く『KMF』等と言うISとは別の機体だとか?
その上に自分は男だ、とふざけた事を抜かす始末……。
必ず捕まえて、私がキツイ拷問を――
「隊長、各部隊包囲を作る準備完了しました!!何処に配置いたしますか?」
「近辺の地図を渡してくれ。」
「此方に」
マスコミの奴らも馬鹿しかいないのか?普通に考えれば人質にでもされて金銭を要求されるのがオチだ。いや、既に人質になっていると言ってもいい。
それにしても、ふむ……顔を我々に見せたくない奴が向かうとしたら、恐らくこの倉庫が密集しているP-102だな。
そしてP-102に向かうために必ず通らなければならないのが四カ所……か、只でさえ部隊の人数が少ないというのに四カ所も包囲しなければならないとは。
「警察の応援はどうだ、了承を貰えたか?」
「……残念ながら、今は余裕がないとの返答でした。」
ちッ!!使えない奴らだ……という事は、我々の分隊で包囲出来るのは三カ所が限界……か。
仕方がないな。
余り時間も無い、早急に包囲を固めないと逃げられてしまうどころか、マスコミの身も危ないかも知れない……出来れば四カ所とも部隊を置いておきたかったが、やむを得ないな。
「奴は恐らく、このP-102へ向かう筈だ。そこで、必ず通過しなければならないポイントが四カ所存在する。……しかし残念ながら我々の部隊では全てをカバーすることは不可能だ。よって、君達には――」
「少し待って頂いても宜しくて?」
私がISのオープンチャンネルで飛行しながら隊員達に指示を出し、作戦について説明していると不意に隊員以外の通信が私のISに入ってきた。
聞いたことがある様な、上品且つ耳に残る声と独特な話し方……まさかッ!?
「イギリス代表候補生……なぜ貴方が此処に?」
「いえ、大した事ではありませんわ。あなた方の作戦に加わる様に上から言われまして……。
セシリア・オルコット……上から言われただと?
成程、仮に奴が本当に男だった場合に横槍を入れようって心算か……イギリスの狸共が考えそうなものだ。
残念ながら私の権限では、拒否することが出来ない。
このイギリス代表候補生には、一番奴が通過する可能性の低い所で待機して貰うとしよう。
「そうでしたか……。それでは、
「えぇ、構いません。……貴方はルルーシュ様を侮りすぎですわ」
「何か仰いましたか?」
「いえ何も」
ふんッ!イギリスの犬が……まぁ、私が一番奴が通る可能性の低いR-189を指示した時の、顔は傑作だったなぁ。
驚いた様な顔をしていたが、アレは気づいている顔だ。
『こんなポイントを通る馬鹿はいない』とな。
R-189ポイントが何故一番、通過する可能性が低いのかというと、一番の理由は我々対IS鎮圧部隊の本拠地があるからだ。この基地がある事はニュースでも放送されるし、日本に住んでいれば誰でもこの基地の場所を知っている。
そして、奴は日本語を流暢に話していた事から見るに、日本人だ。
ならば基地がある事も当然知っているはず……万が一通ったとしても、基地を見たら進路を変えざるをえない。
よって、イギリス代表候補生に捕まることも無いのだ。
我々鎮圧部隊は、確実に通る場所でゆっくりと待てばいい……進路を変更してくれれば尚、面白いのだがな。
ふふ、悔しがれ悔しがれ。
最高に愉快な結末になるぞ、此れは――。
『隊長!!対象はR-189ポイントを通過したとの情報が!!』
……え?
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
ルルーシュside
特に何か策がある訳でもなくマスコミのヘリコプターを連れて、全く人の気が無い所へ移動しなければならないが辺りの地理に詳しいわけでも無い……。
正直、どうしようもないというのが本音だ。
何て割と危険な状況を分かっていながらも、今の俺にはどうする事も出来ないし、もう無駄な抵抗を止めて捕まってやろうか……おっと、思考がやさぐれ始めた。
『ルル君!!』
っ!?
吃驚した……。絶望的な状況に項垂れていたら突然、数刻前にも通信を掛けてきたウサ耳の女性が満面の笑みでモニターに映っている。
本当に何が楽しいのかニコニコと笑っている様子は、こんな状況でも朗らかな気持ちにさせてくれた。
しかし、一体何の用件があって何度も通信を掛けてくるのだろうか?
この状況下に於いて、俺に用件がある等皆目見当がつかない……。
『ルル君は、今から人気のない所に向かうんだよね?そこで
アレ…?
何を言っているんだ、このウサ耳美女……というか凄い馴れ馴れしいけど俺と接点があるのか?
って、ある訳ない。俺は一度死んだ人間で、何故か姿形が変わってこの世界にいるのだから。というか、キャラクターの見た目だ。
そうか……しかしそう考えると、俺は生きていて良いのだろうかと考えてしまう。
何せ、人類…いや生物不変の理である<死>を迎えて尚、俺はこうやって再び生を受けてしまった。そしてこんなにも世間を騒がせたのだ。やはり、俺はもう一度死ぬべきなのだろう。イエスが背負った罪をこれ以上重くする必要は無い。
ネガティブな思考だと人は笑うかも知れない……しかし、少しでも環境が変わると人間は弱くなるものだと実感しているし、誰でもこういう思考に行きつくと思う。
まぁ、今はそんな事を考えていても仕方がない。
今からでも大人しく降伏を――
『今、ルル君が考えている事当ててあげようか?』
「……いえ、今は遠慮しておきましょう。それよりも私に何か用があったのでは?」
何となく、本当に何となくだけどこの女性と話をしてみたいと思った。
単純に俺の境遇を話したら、この奇天烈な女性ならば信じてくれるのではないか?と一瞬頭に過ったからだ。
そうだな……この女性と直接会って話をしてみたい。
『――そっか。じゃあ、ルル君はこれからどうやって行動するか何か考えているのかな?』
「それを貴方に教えるとでも?」
このウサ耳さんは、まさか馬鹿なのだろうか?
普通に考えて現在、マスコミを連れて人気のない所に移動しようとしているのに、それを全く関係の無い――いや、むしろ先ほどの三人のIS部隊の仲間かも知れないようなやつに教えるわけがない。
何だか馬鹿にされているような気がして自然と口調が鋭くなってしまうが、それは致し方ない事なのだと自己完結。
『う~ん……流石に信用してくれないよねぇ。でもでも!束さんはいつでもルル君の味方だって事は覚えていて欲しいかな?』
「当たり前ですよ。突然通信を掛けてきて信用しろと言う方が無理な話です」
『でもさ、ルル君』
――今、君の顔見えちゃってるからね?
ッ!!そうか、これはカメラでばっちり此方の様子が向こうに映っているのか……。
何て馬鹿なのだ俺。
このウサ耳の女性も馬鹿っぽいが、俺はそれ以上のマヌケという事か。
俺の顔を世間にこのまま公表されたら、今までの行動に意味がなくなってしまう……この女性の言う通りにするしかないようだな。
『あはははっ!!ルル君も結構抜けてる所あるよねぇ。そういう所も好き!!……でもさぁ、ルル君。君なら秘密がバレちゃっても如何にか出来る、アレがあるよ?』
だからアレって何だよッ!!
秘密がバレても如何にか出来るアレって、そんな凄いものがあるんなら最初から使ってるし、こんな事にもなってない。
というかウサ耳女性の瞳が爛々と輝いているから、アレって何ですかと聞けないし……適当に誤魔化すしかないようだ。
「アレ、というのが何を指しているのか分かりませんが、今は貴方に対して何もしない事は確かです。」
『ッ!じゃあ束さんを信用してくれるんだね?それなら、ルル君にはこのポイントに向かって欲しいんだ。此処なら、確実にあのIS達は部隊を展開していない筈だからね』
そういうと、ウサ耳の女性が映っているモニターにマップが表示され、一カ所だけ赤く点滅している部分がある。
用は此処に行けという事なのだろう。
今の俺に拒否権は存在しないし、信用してくれるんだね?とか言っておきながら、その実脅迫である事は如何なものか。
仕方がない、このポイントに向かうとしよう……。
『あ、そうだルル君!このポイントに行くときは、こういう風に迂回していってね?そうじゃないと多分、あいつらがいるから』
「成程」
『あと一つ聞きたい事があるの!ISって多分ニュースとかで見てるから分かると思うんだけど、どういう物だと思う?』
IS……高性能なパワースーツの様なモノだと考えていたけど、違うのか?
確か元々は宇宙空間での使用が云々ってネットには載っていたが……答えとしては、宇宙空間でも活動可能にしたパワードスーツって感じか?
『うん、多分ルル君の考えているモノで大体合っていると思うよ。でもね、只のパワースーツとは一味も二味も違うんだよねっ!!』
「ふむ……」
『何と、実はこのISには稀に人格が宿るのです!!って事で、聞きたいんだけどルル君の乗っているKMFには、人格が宿る事ってあるのかな?』
マシンに人格が宿る……?何ともロマンのある話だ。
映画などではよくある展開だし、それが人類に仇を為して地球を征服しようとする所まで見えた。
しかし、KMFに人格が宿るかと言われても俺はこのKMFの事を微塵も知らない。
いや、武装とかは粗方分かっているが、実績を開放して新しい武装を手に入れる事もまだ出来ていないのだ。
正直、返答に物凄く困る……。
「人格が機械に宿る……そんな事は夢物語だと思っていましたよ。恐らく、このKMFに人格が宿る事は無いと思いますが?」
『うんうん、普通はあり得ないよねぇ。あともう一つだけ聞きたいんだけど、何か特殊な武装とかあったりするかな?』
「特殊、ではないですが使用を許可されていない武器が三種類あります。」
手の内を晒した所で何も問題は無い。
最早、今更バレてはいけない秘密など無いのだから……。
しかし、特殊な武装ねぇ?
まぁ、この解放出来ていないモノを一つ言えば良いか。
『ルル君の機体で、特殊っていうとハドロン砲かな?』
「いえ、ランスロットです」
『え゛ッ!?ら、ららランスロットぉ!!?』
何をそんなに驚いているのか分からないが、そろそろ目標のポイントだし切らせて貰おう。そう思い画面を見てみるが、驚愕に口を大きく開けたまま固まっているウサ耳の女性。どうしろと?
「もうすぐ目標のポイントなので、切りますよ?」
『……もしKMFに人格が宿ったら、それはもしかして…?あの人の人格が宿っちゃったらISじゃ勝ち目が無いんじゃないかな?勝つ気もないんだけどさ』
何やらぶつぶつ言っているので切らせてもらおう。
「色々と情報ありがとうございます。――人が悪いお方だ」
最後に脅迫染みた【信用】に対する皮肉を残して於いたが、あの様子じゃ意に介してもいないだろう。
仕方がない……ポイントはすぐ其処だし、ウサ耳さんを信じるしかないようだ。
そんな事を考え、警戒しつつもマスコミを先導しながら滑空していると不意にレーダーに反応が現れる。
未確認機、の表示を見てやはりウサ耳さんは向こうの人間だったかと己の警戒心の無さを呪い、せめて大人しく捕まろうとスピードを完全に無くし浮遊しているだけの状態にする。
すると、レーダーに反応する一機の機体が此方へと向かってきた。
先ほど見たIS三人組もそうだったが、ISというのは基本的に搭乗者は丸見えにするルールでもあるのだろうか?
恐らくフルスキン方もあるのだろうが……。一体どの様にして身を守っているのだろう。相手のISから通信が入り、顔が映らないように内部カメラをオフにして通信に応じると、画面いっぱいに端正な顔が広がった。
『初めましてルルーシュ・ヴィ・ブリタニア様。天命により、
……はい?
展開遅くてすみません。
次回から変わります。