全てが噛み合わない   作:OFA様《疲労》

8 / 10
この話は即興で考えた小話です。
ストーリーには殆ど関係ありません(多分)


番外編 小話壱

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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織斑一夏の興奮

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

織斑一夏side

 

 

 

 

 

 

 

「一夏、私は少し出てくる。留守番を頼むぞ……あぁ、いや友達と約束があれば其方を優先しろ?」

 

「分かってるよ、千冬姉」

 

小学校の夏休みが終わり、夏の茹だるような暑さも同時に終わる時期――十月。

俺はいつもの様に、暇を持て余しつつも意味も無くテレビ画面に齧り付く日々……俺は一体何の為に生まれてきたんだろう。

 

 

まぁ、そんな事一切考えてはいないけど、余りにも暇すぎて本当に辛い。

千冬姉が言うみたいに友達と遊べれば一番良いのだけど、学校の男子達は何故か俺と遊んでくれないんだよな……。女子は結構遊びに誘ってくれるんだけどなぁ、その誘いが無かったら愈々俺は一人ぼっちだったから、誘われると物凄く嬉しい。

でも、最近は千冬姉がアルバイトで疲れて帰ってくるから遊ぶよりも先に、千冬姉の手伝いを少しでもしたい……千冬姉は沢山遊んで来いって言ってくれるけど、遊んでいるよりも家事をやっている方が楽しいと思う事の方が実は多いんだ。

 

「さて、何をしようかな……」

 

う~ん、家事は大体終わったしテレビでも見るか……。

と、テレビを手持無沙汰に眺めていると気が付けば、日中の何処となく優しい光は暮れ、夕日が家内を眩しく照らすぐらいまで時間が経っている。

……今日は本当に何もしていないし、する事も無かったなぁ。

仕方がない、とテレビを消そうとリモコンに手を伸ばすと不意に、画面一杯に鮮やかな色が広がった。

如何やら、夕方の時間帯によく放送しているジャンル――アニメの様だ。

 

「アニメ、か。最近、何も見てないなぁ」

 

昔、といっても一年前は良く戦隊物の特撮や、魔法使いが悪をやっつける様なアニメを見ていたけど、最近は見る気が全く起きない。

周りはまだまだ見ているらしいけど……見ていない事が可笑しい事なのかと先生や千冬姉に聞いてみた事がある。

その時は、『何も可笑しい事はない。只、一夏(織斑君)は少し精神的に大人び過ぎている』と言われてしまった。

自分では分からないけど、悪い事では無さそうだしこのままで良いとは思う……大丈夫だよな?

 

「久しぶりに見てみるか……アニメ」

 

一年ぶりにアニメを見てみようという気になって、俺はチャンネルをそのままにお菓子を準備、特に期待もせずにテレビ画面をボーっと眺めた。

如何やらアニメのタイトルは『コードギアス』

聞いた事も無い、と思っていたらやはり今日から放送開始らしく一話だと表示されている。

そして流れ出す軽快なオープニング曲はとても聞きやすく、何度か聞いたら口ずさんでしまいそうだ。

 

そして物語の大まかな説明が始まり、俺は無意識で前のめりになっていた。

俺では完全に理解するには難しい設定のようだが、それでも興味が薄れる程難しいという訳でもない、何ともバランスの取れた内容らしい。

ようは、戦争の話という訳だな。

これまでこの時間帯は、悪を正義が倒すという良くも悪くも子供向けするアニメばかりだったのに、突然こんな子供向けでは無いアニメを放送するとは如何したのだろう?

 

「よし、ちゃんと見よう」

 

 

 

 

一度見てしまえばもう戻れない

毎日が興奮と驚き、それから感じた事の無い胸の高揚感、全てが新鮮だった。

 

 

 

 

――思えばこの時、俺の人生は本当・・に始まったのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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織斑家の少年が、感じた事のない感情を一身に楽しんでいる頃。

ネット上でも、やはりと言うべきか様々な掲示板で『コードギアス実況掲示板』が乱立し、世界中でコードギアスは大反響を呼んだという。

暗澹(あんたん)とした世間に舞い降りた、最高の娯楽――それがコードギアスだったのだ。

 

勿論、コードギアスを知らない者の方が多いとはいえ、例外なくのめり込んでいく者達がいる。

 

リアルタイムで観賞出来る子供達だ。

特に女子は精神的に成熟するのが早く、少し話がややこしいコードギアスにも問題なく順応していき、一話一話を大いに楽しんだ。

 

逆に男子は、まだまだ外で遊びたいお年頃なのだ、アニメ何て単純なモノしか興味は湧こう筈がない。

一部を除き、一話の序盤で視聴を止める子も多かったという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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第二期の恐怖

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい、蘭?」

 

 

 

「……」

 

 

 

五反田弾は苦労人である。

 

 

今も妹には軽く無視スルーされて、下の階からは厨房で中華鍋を豪快に振っているであろう祖父から『弾ッ!!さっさと手伝いに来いッ!!』と怒号が飛んでくる。

しかし、弾は産まれてこの方苦労人という訳では無い、むしろ比較的苦労せずに毎日を過ごせていた。

 

弾の心労が増し、ある時間を覗いて苦労が絶えなくなったのは、弾が小学五年生の頃であった――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当時、弾はテレビを見るよりも外で友達と駆けずり周っている方が楽しくて、泥を被っては爆笑、転んでも爆笑という典型的な男子小学生を地で進んでいた。

しかし、妹の蘭は性格的には弾と同じく快活で、何方かと言えば外で先陣を切って走っていそうなものだが、実は違う。否、とあるアニメを見るまでは毎日外で走り周っていたのだ。

 

ある日、弾が外で何時もの様に駆けずり周って、門限の夕方五時に泥塗れになって帰宅すると、何やらリビングで蘭が熱心にテレビ画面を見つめているではないか。

あの、テレビを余り見ない蘭がテレビ画面に齧り付くようにして凝視している……その事実に少なからず弾は衝撃を覚えたものだ。

 

「蘭、何見てるんだ?」

 

「……」

 

興味本位で蘭に問いかけてみると、何時もは元気に返事を返してくれる筈の蘭が今日は何も答えない。

まさかこの距離で聞こえてない何て事はないだろうと、弾は頭を傾げたが返事が無いという事はやはり聞こえていないのだろうと結論付け、今度は少し大きめの声で聞いてみようと息を先ほどよりも大きく吸った。

 

「蘭!何見てるんだ?」

 

「うるさいよっ!!聞こえないじゃん、馬鹿お兄っ!!」

 

えー……、と行き成り怒鳴られた事と、テレビ如きでここまで声を荒げる蘭も珍しいという事で、驚愕からやるせなさに心情が変化した所で弾はこれ以上、訪ねるのを止め部屋へと戻る。

後ろでは、蘭が再びテレビ画面を凝視していた――。

 

 

 

 

弾は部屋に入り、お気に入りの漫画を一冊手に取るとパラパラと流すようにしてページを捲っていく。

それを数回繰り返してから、今度は漫画を乱雑に元の所へ投げやると、蘭の先ほどの態度についての疑問が首を擡げてきて思考の渦へと陥っていった。

蘭が熱心に見ていたあのアニメは相当に面白いのだろうか?アニメを見ている時に話しかけられたからといって、蘭が怒る事なんて今まで一度として無かったのだ。やはりあのアニメは本当に面白いのだろう。

 

そこで弾は、あのアニメについて知っている事は無いか友人たちに聞いて回る事にした。

男友達は挙って『あー、知ってるけどあんまり面白くねえぞー』と、笑いながらもストレートに面白くないと断言してみせるが、一方の女友達は違う反応を見せた。

一人目の女友達は、急に目をカッと見開いたかと思えば鼻息荒く、本当に面白いアニメである事を伝えてきて少し弾も後ずさる勢いである。

二人目は、逆に先ほどまで笑顔だったのに、そのアニメについて尋ねると一切の表情を消したのだ。気のせいかその瞳は、弾を敵として見ているようにも感じられ再び弾は後ずさる事となる。

三人目にも念のため聞いておこうと、普段から優しめの女子をチョイスして尋ねると今度はそのアニメを知らないと言うではないか。これには弾も少し喜んだ。女子は皆が皆、そのアニメを知っていることが当たり前だというような反応をするので、弾は自分がよっぽど遅れた人間なのかと心配になっていたのである。

ここぞとばかりに、先ほどからの聞き込みによって入手したそのアニメについての情報を語ると、目の前の女子の表情がドンドン険しくなっているような気がするのだが、弾は止まらない。否、止まれない。

 

『弾君、ニワカ知識でギアスを語らないでくれないかな?』

 

マシンガンもかく言う速度で入手した情報を語っていると、ついに険しいを通り越して嫌悪の目で見られ、おまけに棘が鋭く尖る声色でこれ以上語るなと言われてしまった。

そして、フンと鼻を小さく鳴らすと女子は弾の前から去って行く。

それを呆然とした顔で弾は見送った。

 

 

 

 

それから、時は経ち弾は中学三年生の後期……受験に忙しい時期に立たされている。

思えば小学生の後期は嫌な思い出しかないな、と苦笑しつつも受験に向けて部屋で勉強を全国の学生に漏れず弾も行っていた。

そう、小学五年生の後期同級生の女子に冷たい目を向けられてから、弾は一時期女性恐怖症にまで陥っていたのだが小学六年生に進級するとすっかり恐怖症も収まっていた。

理由としては、何故だか突然女子たちの反応がアニメの事を尋ねる前に戻ったからである。

 

「懐かしいなぁ……」

 

つい口から漏れ出した言葉にハッとして、廊下の方を覗くと誰もいなかったことにホッとする。

蘭がもしも偶々廊下を通過しようとしていたら、『何ブツブツ呟いてんのお兄…』と物凄い目で見られて恐怖症がフラッシュバックしていた事であろう。

それにしても、当時あれだけ自分を苦しめたアニメは一体何だったのだろうか?何て考えつつペンをノートに走らせていると、不意に普段なら家族と話したりして、リビングから聞こえてくる筈の蘭の笑い声が今日はない事に気が付いた。まだ夕方だし、蘭は確実にリビングで誰かしらと話している筈の時間なのだ。

 

「……少し見てみるか」

 

弾の胸元に得体の知れないナニカが這いあがってくるのを感じ、それを振り払うように体を一度伸ばすとリビングへと足を運ぶ為に椅子から立ち上がる。

チラリと時計を見てみると、時刻は奇しくも小学生(あの時)と同じ

 

 

 

夕方の五時を少し過ぎた辺りを示しているのであった――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい、蘭?」

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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蘭の嫉妬

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ナナリー、今日の調子はどうだい?』

 

『お兄様!今日も快調です』

 

 

むむむ、と蘭は思わず唸りマグカップを持つ手に自然と力が入っていくのを感じた。

蘭が今視聴しているのはコードギアス一期なのだが、コードギアス自体はとっくに第二期も終わり、続編亡国のアキトが現在はシアターで上映されている。

では何故、蘭は第一期を再び視聴しているのか、それは一期でしか見る事の出来ない主人公ルルーシュとその妹ナナリーの、シーンをもう一度見たくなったからだ。

とはいえ、蘭が見たいのは仲睦まじい兄妹愛ではなく主人公ルルーシュが『兄として自然体で振るまっている』所のみを見たいからなのだが、やはりどうしてもナナリーは映ってしまう。

 

「はぁぁ、いいなぁ。ルルーシュ様みたいなお兄ちゃん欲しかったよ……」

 

蘭には兄がいる。

イケメンだし、コミュ力も高く友達も多い、勉強は少しアレだがそれでも見ていられない程ではない。

それを考えれば蘭の兄、弾は極めて優秀な兄と言えるのだが如何せんルルーシュを見てから、見直すとやはり欠けるモノが多々あるのもまた事実だ。

蘭は結構甘えたいという本性が胸の奥に大きくあるのだが、弾に甘えようとも思わないので、こうして偶にルルーシュの兄っぷりを見ては、本物の兄成分を酷く渇望していた。

 

『ほら、ナナリーこっちを向いてごらん?』

 

『あ……ありがとうございます、お兄様』

 

蘭が理想の兄について熟考していると、今度はナナリーが夕餉(ゆうげ)のサラダを小さい口で頬張っているシーンが映されている。

そして、そのサラダにかかっているドレッシングがナナリーの口元に付いてしまったが、ナナリーは気づかずに食事を進めてしまい、それを見たルルーシュが優しげに微笑みながら拭ってやる……正しく兄の鏡な行動に蘭のブラコン指数は鰻上りだ。

画面では口元にドレッシングを付けたまま食事をしていたことが恥ずかしいのか、将又ルルーシュの優しげな態度にやられてしまったのか定かではないが、ナナリーが頬を染めて恥ずかしげに俯いている。

 

蘭に足りないモノが、ナナリーにはあった。

ナナリーが花も恥じらう乙女だとするならば、蘭は犬も疲れる快活乙女だ。

無論、蘭はナナリーに負けず劣らず顔は整っているし、街を歩けばナンパされる事も少なくないのだが大体の男は、蘭の頑なに揺るがない態度を見て直ぐに諦める事となる。

 

「よし、ロスカラやろっと!」

 

そうして蘭は理想の兄を夢見つつ、携帯ゲーム機の電源を入れると、イヤホンを素早く装着しプレイを始める。

数分後には、ニヘラと締まりの無い顔をしてゲームをすすめていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この一年後、蘭は史上の幸福を味わう事となる――。

 

 

 

 

 

 

 




マブラブの世界にEDFが現れたら、っていうのを想像していたら書きたくて仕方がなくなり、
それを考えすぎて、この番外編後半グだりました
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