全てが噛み合わない   作:OFA様《疲労》

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前回の番外編は無かったことにしてください(迫真)
反省


天災の傑作と最強の矛

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「出来たぁっ!!!」

 

 

天災にして天才、篠ノ之束は自らが研究や実験を行う一室で歓喜の声を上げた。

束は基本的に失敗を恐れない、否失敗をしないので恐れようがないのだが、それでも異常なぐらいに失敗を恐れなかった。

しかし今回の作品(ワーク)は非常に難解であり、一つのパーツを作る事にも失敗に失敗を重ねて漸く出来上がると言うレベルのモノであった。

まずは、コードギアスのアニメから得た情報で(ブレイン)となるAIを作成し、人格を人為的(・・・)に宿らせる事に成功する。

続いて、大まかな部分を創り上げていく上で、非常に邪魔になったのが既存のIS(インフィニット・ストラトス)に適用される常識(テンプレート)であった。

今回の束が創る作品に既存の常識は一切必要ない、まったく新しい作品を創り上げるのだ。

なので、まずは無駄な常識を排除(パージ)して新しい敷を用意する。

 

こうして、改良に改良を重ね束の目の前には最高傑作をとも言えるモノが鎮座していた。見た目は既存のISに見えるが、その実性能は桁違いとも言えるぐらいに大幅にグレードアップしている。

まず、搭載されたAIが破格の性能を持っており、その圧倒的な能力の前に恐らく既存のISでは手も足も出ないであろう。

勿論、ボディも格別だ。

装備している得物はどれも、今までの兵器とは一線を画している。

 

彼女はこの強化型ISモドキを一体どうするのか?

答えは簡単で、ある人の元へ送るのである。

 

「ルル君は、まだ大丈夫だよね?」

 

束はチラリと、IS三機に襲撃されている蜃気楼を見やると奥歯をギリリと鳴らし、憎悪の表情でIS三機を睨みつけた。

 

「ルル君の蜃気楼は守りには特化しているけど、一人の操縦じゃ満足に攻撃は出来ない筈……だから、君がちゃんとルル君の剣になってあげるんだよっ!!」

 

『勿論、ルルーシュは僕が護る』

 

束の言葉を受けて、目の前のISモドキが産声を上げるかのようにして立ち上がる。

その右腕には真っ赤な剣。

白を基調とした機体だが、腕や頭部に金のラインが入っているのが聖騎士を彷彿とさせる。

 

「よし!それじゃあ、行くよ」

 

『準備完了』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ランスロット・ロード、射出!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ランスロット・ロードが起動する数刻前、ルルーシュはマスコミと共に倉庫が密集している地帯へ辿り着いていた。

しかし、無事という訳でもなくIS三機は後を追ってきている。

 

「ルルーシュ様、この不肖セシリア・オルコット見事あのIS三機を撃ち落として見せましょう。さぁ、ご命令を!」

 

「セシリア、あのIS三機は確かに邪魔だが君の手を借りるのは如何にも忍びない。気にせずに回避に専念してくれ」

 

「なんと勿体ないお言葉ッ!!!あぁ、今なら一国を潰せますわ」

 

現在、ルルーシュは苦労していた。

理由はあのIS三機ではない、敵は味方に居るのだ。

先ほどから隣を並走しながらも頻りに物騒な事を呟き、少し褒めれば舞い上がって更に物騒な事を口にし出す……最早四面楚歌の状態である。

この短時間でルルーシュはセシリアの扱い方を理解している気でいたが、思ったよりも彼女の闇は深いようだ。

 

しかし、こうしてセシリアと良く分からないやり取りを行っている間も、IS三機からの攻撃は止んではいない。いやむしろ、攻撃しているのに無視されている状況で更に怒り砲撃は一層激しさを増しているようだ。

しかしその砲撃を、セシリアはヒョイヒョイと軽業師のように優雅に回避し、ルルーシュは蜃気楼を巧みに扱い、周りに絶対守護領域(全方位エネルギーシールド)を展開しているので決して攻撃が通る事は無い。

嘗ては皇帝直属の最強騎士集団の一人ナイトオブシックス、アーニャ・アールストレイム卿の攻撃を完全に防いだ。

つまりどのくらい蜃気楼の絶対守護領域は硬いのか、コードギアスでも屈指の攻撃力、否一点突破の点で見るなら最強と言っても過言ではない攻撃を受けても無事であったことから言わずもがなである。

 

『くそッ!!何故当たらない!!?』

 

ルルーシュ達の後ろから舌打ちと共に悪態をつく声が聞こえてくる。

しかし、ルルーシュたちは攻撃を受けてやる程優しくも無ければ、義理も無いのだ。

その内、痺れを切らしたIS三機が今度は接近戦を仕掛けてきたのだが、それでもルルーシュたちに焦りは微塵も感じられない。

それどころかセシリアはルルーシュの前に仁王立ちすると、IS三機の攻撃を一挙に引き受け、苛烈な攻めに合いながらも逆に隙を見ては射撃し見事に命中させている。

 

これはセシリア自身の技能もあるが、偏にルルーシュを守るという気持ちが強いのであろう。いくら代表候補生といえども戦闘のエキスパートであるIS部隊を相手にして、守るべきものが無ければこうは戦えないであろう。

一方のルルーシュは傍観を決め込んだのか、ジッと止まっている。

 

「まず何故貴方が其方側に回ったのかは知りませんがッ、撃ち落とされてもっ!文句はいえませんよッ!!」

 

「このセシリア・オルコット!ルルーシュ様に仇名すモノは全力で排除するのみ、ですわッ!!」

 

「くッ!!意味が分からないですが、流石にやりますねッ!!」

 

 

 

そうして、両者の戦いが烈火の勢いになってきた時、それは現れた。

 

 

 

『双方、刃を収めてください!!僕も出来れば攻撃をしたくない!』

 

 

「ランスロット……?」

 

「何だ貴様?……邪魔をするなら貴様も斬るッ!!」

 

 

突然、セシリアとIS三機の間に降り立ったのは聖騎士の風貌をした見知らぬIS。

既存のISと比べると随分とスマートになり、近年のISにしては珍しいフルスキンである。セシリアはそのISを見て驚きと疑問を一挙に混ぜたような声を洩らし、小さくランスロットと呟いた。

一方怒りや戦闘の熱で興奮しているIS三機の隊長は、剣を再び構えるとISに向かって斬りかかっていった。勿論、部下の二機も慌てて剣を構えて後を追っていく。

 

『あーあ、こんな圧倒的な性能差も分からないようじゃ日本も終わりかもねぇ?』

 

IS三機がいざ斬りかからんと動いた時、不意にルルーシュの機体には通信が入っていた――束である。

この緊迫した状況下に似合わない間延びした声にはルルーシュも呆気に取られたようだ。しかし、次の束の言葉はルルーシュを更に驚かせることとなる。

 

『やぁやぁ!ルル君、今日は君に素敵なプレゼントがあるよ!まぁ、もう目の前で今から其処の馬鹿三機落とすから見ててよね!!あ、因みに名前はランスロット・ロードだから是非覚えてあげてね?』

 

あの聖騎士のようなISはランスロット・ロードと言うらしく、束は嬉しそうにルルーシュにそれを報告した。

一方のルルーシュは最早何が起きているのか理解出来ていないのだが、そんな事は知らぬ存ぜぬとばかりに状況は進んでいく。

IS三機が愈々を持って斬りかかったのだ。

 

『抵抗しなければ落とす事も無かった……ッ!!』

 

ロードの動きは圧倒的であった。

まず正面から突っ込んできたIS三機のISを視認すると、自らも剣を腰元から引き抜いて横に一閃。すると流石にそれにはIS三機も当たらず、一機が後ろへ大きく跳躍すると跳躍したISの影から残りの二機が既に構えていたライフルを速射する。

飛来する四弾の内の二つを素早く構えなおした剣で切り裂くと、足元からスラッシュハーケンを射出し跳躍しているISへと突き刺すと、反動で上へと飛び上がり二弾を回避した。これにはISの三機も驚いたのか、二機が動きを止めてしまい着地したロードが振り向きざまに二機とも切り裂いた。

残ったのは隊長の一機のみ。

 

「ISを一撃で大破だとッ!?」

 

『今なら降伏すれば間に合います、大人しくしてください!』

 

攻撃している時は裏腹に、ロードは非常に穏健であった。

このロードに搭載されているAIがそうさせているのだ。

二機が睨みあっている所を見た束は、うんうんと頷きロードの性能に満足気な顔である。そして、再びルルーシュへ束からの解説が始まった。

 

『実はねルル君、あのランスロット・ロードにはAIを搭載してあるんだよ!参考にした人物は、ルル君の親友――これ以上言うのは無粋かな?』

 

「ッ!!」

 

束の声にルルーシュはハッと息を呑んだ。次いで憂いを帯びた表情でロードをじっくりと眺めはじめる。

その様子を見た束は、憂うルルーシュを見て切ない気持ちになりながらも、やっぱりスザク君とは再開したかったのだろうかと悲しい推測を建てた。

 

「反逆罪だな、これは」

 

不意にIS三機の隊長は冗談めかしたように言葉を口にした。

反逆罪など何年前の時代だという話だが、何かが琴線に触れたのかロードは器用にも機械の体をピクりと動かせるとまるで人間の様に深呼吸の真似事をして外部スピーカーから声を発した。

 

『反逆、か。そんなモノは誰も幸せにならない……暴力に頼らず、口に出せば皆で話合う事は出来るんだッ!それを……僕の親友はッ!』

 

辺りに不穏な空気が漂い始める。

天災、篠ノ之束が創ったISは既に自我というものが芽生えだしていた。

先ほどまでは、インプットされた枢木スザクの行動パターンを元に言葉を発していたのだが、今は自らの《我》でもって言葉を選んだのだ。

 

しかし、これに戸惑いを見せたのは創り上げた張本人、束である。

自我が芽生えるように設定はしていない、していないが自力で自我が目覚める事は別段束にとって悪い事では無い。寧ろそれは喜ばしい事だ。

だが、今のロードはどうだ?溢れ出る言葉はルルーシュに対する負の感情ばかりで、これはまるでルルーシュに対する憎悪があった頃のスザクのよう――。

 

『そう、話合う事は出来た筈なんだ……最初からルルーシュは間違っていた。だから、だからッ!ユフィは死んだんだッ!!!』

 

そういうと、ロードは大きく絶叫し狙いをルルーシュへと切り替えたのか、剣を素早く構えると、とんでもない速度でルルーシュの操作する蜃気楼へ向けて突進を開始する。

この事態は完全に予想出来ていなかった束は酷く混乱しつつも、ルルーシュを守るために手元にある中では最高のISをスクランブル発進させる為の操作を始めた。

 

――でも、ロードの前じゃ足止めにすらならない!

 

それを分かっていながらも束は手を緩めずに操作を続行する。

その間にもロードはルルーシュへ向け突進をしており、恐らく束のISが着いた頃には蜃気楼の防御も堪え切れなくなって最悪の状態になっているだろう。

よって少しでも急がなければならないのだ。

 

「貴方はやはりスザクさん……いえ、ルルーシュ様に仇名すのであれば関係はありませんわッ!!騎士としての吟じを忘れた者に、私は負ける訳にはいきません事よ!」

 

そう言って、イギリスの代表候補生はロードと戦闘を開始する。

実力はロードの方が少し上といった所だが、如何せん機体の差が激しすぎるのだ。恐らくセシリアも長くは持たないであろう。

いや、寧ろ接近戦を苦手とするセシリアが超接近型のロードを相手に良く持っていると言っていい。最早音速以上で振られるロードの剣を最低限の動きで避けては、隙を見て撃つ最早それしか出来ないのである。

ルルーシュが加勢出来ればいいのだが、今度はロードが途中で撃つのを止めたIS三機の隊長が蜃気楼に襲い掛かった。

漸く蜃気楼に齧り付けた隊長は、狂ったように笑いながら蜃気楼への攻撃を止めない。

今は絶対守護領域がある為、耐えていられるが限界がある。

 

「はははッ!!!貴様を護ってくれる奴はもういないぞッ?」

 

腐ってもIS部隊の隊長を務める程の腕前だ、蜃気楼は一切の攻撃を出来ずにどんどんと追い込まれていく。

絶対守護領域は未だ健在だが、ロードが此方にきたら其れも直ぐに破られてしまうだろう。

 

「くぅッ!?!ルルーシュ様、申し訳……ございません、わ」

 

このタイミングでセシリアはロードの一閃をモロに喰らってしまい、シールドエナジーはゼロになり、行動不能だ。セシリア本人も余りに激しい攻撃に気絶し、地面に横たわっている。

そして、ロードはゆっくりと蜃気楼の方へと体を向けると剣を上段に構えて、ブーストを最大にして一直線に蜃気楼を切り裂いた。

 

『ルル君ッ!?』

 

蜃気楼の内部スピーカーから束の悲痛な呼び声が聞こえてきたかと思えば、パリンッとガラスが割れるような音がして、蜃気楼の絶対守護領域は一文字に切り裂かれた。

こうして、蜃気楼は自身のアドバンテージを完全に失ったのである。

 

『ルルーシュ、君がもう少し考えを改めていれば、或いは君を斬らなくて済んだのかもしれない……』

 

ロードは悲しげにそう呟くと、ゆっくりと剣を蜃気楼のコクピットがある部分へ向け、剣を振り上げた――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すると不意に、蜃気楼の内部で機械音が鳴り響く

 

 

 

『実績が解除されました。――ランスロット・アルビオンが使用可能になります』

 

 

 

 

 




はい、オリIS&急展開でしたすいません。
今回は勘違い成分ゼロですね……本格的に勘違いが始まるのが二話後だと思います。
次から勘違い自体はありますがね。
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