工廠建築予定地の草むしりを、一週間ほど掛けてやっと終わらせた。 何度、提督を辞めて実家に帰ろうかと悩んだ事か……でも、きっと実家の母が許してくれないだろうし、義姉から折檻されるのが怖いから諦めた。
それで毎日毎日、筋肉痛と戦いながら私は雑草達との死闘を続け、一週間の長い長い戦いがついに終わりがきた。
「ラスト!!」
ズボッ!! っと最後のひと草を天高く掲げる様に抜き上げたと同時に、草の根っこについた大量の土が私の頭上からバラバラと降り注いで、汗だくだったのもあり、肌に泥が付着した。
「ペッペッ!?うぁ……口に土が入った……」
その後、近くにあった蛇口で水を被って服や肌についた土を流してから一旦、服を着替えるべく執務室兼提督の部屋へと向かった。
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部屋に着くと、簡易的に作られた郵便受けから何やら飛び出していた。
なにこれ? っと、引き抜くと簡易小箱便だった。 送り主は……私に妖精さんを派遣してくれると言ってくれた先輩提督からだった。
「なんだろ?あー、この前言ってたスイカの種かな」
実は数日前、まだこの鎮守府に向かうために荷物の整理をしていた頃の事、先輩提督からとても良いスイカの種が手に入ったからあげるねっと言われていたのだった。
ハハッ、わざわざ簡易小箱便なんかで送らずに、手紙か何かに添えて送ってくれればいいのに先輩ったら。 なーんて、思いながら封を開けた瞬間、私は絶句した。
確かにスイカの種は入っていた、それと一緒に妖精さんが二人入ってた。
固まる私、そして簡易小箱便から這い出てきた妖精。 妖精さんはどことなくやつれた様に見えた。
しばらく沈黙の間があったのち、私はハッと我に返り。 すぐさま、妖精さん達を段ボールで作った簡易型机の上に下ろしてから、個人用の小さな冷蔵庫から水を取り出して、ペットボトルのキャップをコップの代用にして、妖精さん達に手渡した。
妖精さん達はよほど喉が渇いていたのか、水を見るや飛びつく様に飲み干し、水と一緒に出してみたクッキーも一心不乱に食べはじめた。
しばらくして、妖精さん達は満足した! っと言うようなゼスチャーをした後、ありがとう! ありがとう! 的なゼスチャーをした。
なぜかわからないが、妖精さんは基本的に会話はできない。 しかし、提督の素質がある者は、どことなく妖精さんの言いたい事や感情が理解でき、更に個人差はあるが稀に妖精さんの声を聞ける提督もいるらしい。
ちなみに、私は小さくだけど妖精さんの声が聞こえる稀な部類の提督である。 ドヤッ。
そこで、妖精さんになぜ簡易便の小箱なんかに入っていたの? っと聞いてみたら、少し怒ったような声音で話し出した。
曰く、私の鎮守府に派遣される事に決まった後に、先輩提督から自分は鎮守府から離れられないし、妖精さんを運んでくれる定期便も行き先の鎮守府にはまだ無いから、悪いんだけどスイカの種と一緒に簡易便で行ってちょうだいな、と言われてこの箱に詰められたと。
え?ちょっと、何してるんですか先輩!? よ、妖精さんですよ?私達、海軍にとって……いや、人類にとっての救世主をなんて扱いしてるの!?
あまりの常識外れな先輩提督のやらかしっぷりに頭を抱えていると、妖精さん達が大丈夫? っと心配そうに声を掛けてきた。
「あ、大丈夫だよ。あの、先輩が乱暴な事してごめんね……後から、本部にチクッておくから」
謝る私に妖精さん達は、気にしないで! 貴女は悪くないよ、それに貴女には怒ってないから、と言ってくれた。 あと、本当は先輩提督から派遣されてきただけだから、しばらくしたら帰る予定だったけども、
後日わかった事なのだが、実はこの妖精さん二人は先輩提督の鎮守府で、とても腕が良い妖精工房の親方と一番弟子だったらしく、先輩提督から返して欲しいと泣き付かれることとなった。 しかし、妖精さん達はそれを頑なに拒否し、本部から妖精さんの意思を尊重するとの事で本部公認の正式な契約を交わす事となった。
本日の戦果
・ベテランの妖精さんが二人仲間になった。
・とても良いスイカの種を手に入れた。
・工廠建築予定地の草むしりが完了。
・先輩提督から後日、恨み言を綴った呪いの手紙がきた。
総評
・初めて良い出来事ばっかりだったので、大勝利。
テッテテンーン!!
ベテランの妖精さん二人が仲間になった。
木乃香のレベルが1上がった。