魔法科高校の劣等優等生   作:瑠禍

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第6話

無事に風紀委員に入ることができ雪華と摩利は、風紀委員本部に移動をした。

 

「まぁ少し散らかってはいるが気にせず掛けてくれ」

 

雪華は、疑問に思った。少し、この状態は少しとは言わない。机の上どころか床の上まで資料が進出している。足場の踏み場さえないと言ってもいい。雪華は、耐えられず摩利に問いかける。

 

「委員長ひとつよろしいでしょうか」

 

「なんだ?同じ風紀委員だ。一つと言わずいくつでもいいんだぞ?」

 

「この部屋掃除していいですか?」

 

「別に入ったばかりだからって気を遣う必要は別にないぞ?ここの奴らはそんなの気にしない奴らばかりだからな」

 

「いえ・・・掃除したいんです。させてください。」

 

「そ、そうか」

 

雪華は、15分時間をもらい風紀委員本部を徹底的に掃除をした。

 

掃除をし終え一息ついていると2人の男子生徒が風紀委員本部にはいってきた。

 

「ハヨースッ」

 

「オハヨーございまス!」

 

威勢のいい掛け声が部屋に響く。

 

「おっ、姐さん、いらしたんですかい」

 

体格のいい短髪の男が、「姐さん」と呼んだ、その相手は

 

(委員長のことなんでしょうね……)

 

「委員長、本日の巡回終了しました。逮捕者、ありません」

 

もう一人は、比較的普通の外見と、比較的普通の言葉遣いだが、なんと言うか元気って言葉がよく会う人物である。

 

「ところで姐さん………」

 

スパァンの気持ちのいい音が、委員会本部に響いた。

 

「ってぇ!」

 

「姐さんって言うな。何度言ったら分かるんだ。鋼太郎、お前の頭は飾りなのか?」

 

「そんなにポンポン叩かねえでくださいよ、ところで、あ……いえ、委員長そこいるのは、新入りですかい?」

 

「そうだ、1年E組 司波雪華だ」

 

「委員長が連れてきた人員に不満があるわけではないんですが、使えるんですか?」

 

それはエンブレムの制服ではない生徒だからという意味で、聞いているのである

 

「詳しくは言えないが、使えるどころか 過去、現在の風紀委員を含めても最強の風紀委員だ。ここだけの話だがここに来る前に服部を倒してきたばかりだ」

 

「入学以来負け知らずの服部が、新入生に敗れたと、流石委員長の言う歴代最強だけありますね!」

 

「大きな声を出すな、沢木。ここだけの話だと言っただろう」

 

二人は、雪華をまじまじとみた。

 

「そいつは心強え。容姿も最高だ」

「逸材ですね、委員長。」

 

「始めまして、1年E組 司波雪華です。よろしくお願いします。」

 

「3-Cの辰巳鋼太郎だ。よろしくな、司波。腕の立つヤツは大歓迎だ」

「2-Dの沢木碧だ。君を歓迎するよ、司波さん」

 

挨拶を返し、沢木の手を握り返す。

が、握りしめているのかなかなか手が離れない。

 

「自分のことは、沢木と苗字で呼んでくれ」

 

みしみしと手が軋みを上げそうな握力だ、しかし風紀委員には今まで女性が委員長以外いなかったのだろうか、痛いと雪華は思った。

 

「くれぐれも、名前で呼ばないでくれ給えよ」

 

「先輩、痛いです」

 

そう言いながら右手をひねり握られた手を振りほどく。

沢木本人より、鋼太郎の方が驚いた顔をしていた。

 

「ほう、女子とは思えねえちからだ。沢木の握力は百キロ近いってのによ」

 

「その体力魔法師にものとは、思えませんね…………」

 

雪華は、自分のことを棚に上げこれから頑張ろうと思うのであった。

 

 

-------

 

九校戦の勝敗は、部活に対しての評価や部費の変化に大きく左右するため、原石の新入部員の獲得競争は、各部の勢力図に直接影響をもたらす重要課題である。

 

つまりなにが言いたいかというと、この部活動勧誘期間は、CADを使った過激な勧誘が、学校内で勃発すると言うことである。風紀委員が最も忙しくなる一週間でもある。

 

「・・・という訳で、この時期は各部間のトラブルが多発するんだよ」

 

場所は生徒会室。

深雪の作った弁当を味わいながら、雪華は摩利の説明に耳を傾けていた。

 

「勧誘が激しすぎて授業に支障を来たすことも。それで、新入生勧誘活動には一定の期間、具体的には今日から一週間という制限を設けてあるの」

 

「この期間は各部が一斉に勧誘のテントを出すからな。ちょっとしたどころじゃないお祭り騒ぎだ。密かに出回っている入試成績リストの上位者競技実績のある新入生は各部で取り合いになる。 無論、表向きはルールがあるし、違反したクラブには部員連帯責任の罰則もあるが、陰では殴り合いや魔法の撃ち合いになることも、残念ながら珍しくない」

 

「CADの携行は禁止されているのでは?」

 

「新入生向けのデモンストレーション用に許可が出るんだよ。 一応審査はあるんだが、事実上フリーパスでね。 その所為で余計にこの時期は、学内が無法地帯化してしまう。」

 

「学校側としても、九校戦の成績を上げてもらいたいから。新入生の入部率を高める為か、多少のルール破りは黙認状態なの」

 

「そういう事情でね、風紀委員会は今日から一週間、フル回転だ。いや、欠員の補充が間に合って良かった。即戦力として期待しているぞ」

 

「全力で1高の治安をまもりますね」

 

午後の授業が終わり、一仕事しようと風紀委員本部へ向かおうとしていると、キーの高い声が呼び止めた。

 

「エリカが一人?珍しい気がするわね」

 

「珍しいかな?自分で思うに、あんまり、待ち合わせとかして動くタイプじゃないんだけどね。

 ・・・雪華、クラブ決めてないんだったら、一緒に回らない?」

 

「えーとそうしたいのは、山々なのだけれど私風紀委員の仕事があるの。けど風紀委員の見回りについてくる形で一箇所に長く入れなくてもいいなら大丈夫よ」

 

「じゃあ、それでいいから一緒に回ろう。」

 

「じゃあ私は、風紀委員本部にいってくるからまた後でね」

 

そういい雪華はその場を離れた。

風紀委員本部に雪華が入ると一人の男子生徒が声を出した。

 

「なんでお前がここにいる!」

 

「突然失礼すぎませんか?」

 

「なにぃ」

 

「うるさいぞ、新入り」

 

摩利に一喝され、森崎は慌てて口をつぐみ、姿勢を正した。

 

「この集まりは風紀委員会の業務会議だ。 ならばこの場に、風紀委員以外の者はいないのが道理。 その程度のことは弁えたまえ。それに戦力としては、森崎と司波では天と地ほど違う。一緒にいたくないならでていってもいいんだぞ」

 

「お言葉ですが委員長、天と地ほど違うと俺のことを高評価してくださっているのに、何故司波を出さないのですか?」

 

「自惚れも過ぎると滑稽だぞ新入り。森崎が地の方だ」

 

鋼太郎と沢木は、服部戦を知っているためなにも思わなかったが、今日初めてあった他の風紀委員は、委員長にそこまで評価される新入りは、何者なんだと言った様子だ。

 

「まぁいい座れ」

 

摩利は森崎を座らせ、新入り二人の自己紹介を織り交ぜつつ、説明をした。

 

「では早速行動に移ってくれ。レコーダーを忘れるなよ。 司波、森崎両名については私から説明する。他の者は、解散」

 

全員が一斉に立ち上がり、踵を揃えて、握りこんだ右手で左胸を叩いた。

 

「まずこれを渡しておこう」

 

摩利は雪華と森崎に薄型のビデオレコーダーを手渡した。

 

「胸ポケットに入れておけ。ちょうど、レンズ部分が外に出る大きさになっている。 スイッチは右側面のボタンだ」

 

そう言われて胸ポケットにしまった。

 

「今後、巡回のときは常にそのレコーダーを携帯すること。違反行為を見つけたら、すぐにスイッチを入れろ。ただし、撮影を意識する必要はない。風紀委員の証言は原則としてそのまま証拠に採用される。念のため、くらいに考えてもらえば良い。あと、風紀委員はCADの学内携行を許可されている。 使用についても、一々誰かの指示を仰ぐ必要は無い。 だが、不正使用が判明した場合は、委員会除名の上、 一般生徒より厳重な罰が課せられる。 一昨年はそれで退学になったヤツもいるからな。甘く考えないことだ」

 

「わかりました。」

 

その後、勧誘集団の過激な勧誘からエリカを救い剣道部の演武が行われている、闘技場に移動した。しかし残念ながらなにもないとはいかず、問題が起きてしまった。

 

「剣術部の順番まで、まだ一時間以上あるわよ、桐原君。どうしてそれまで待てないの?」

 

「心外だな、壬生。 あんな未熟者相手じゃ、新入生に剣道部随一の実力が披露出来ないだろうから、 協力してやろうって言ってんだぜ?」

 

そう言うと二人は竹刀をむけあった。

 

「面白いことになってきたね!さっきの茶番より、ずっと面白そうな対戦だわ、こりゃ」

 

「あの二人を知っているの?」

 

「直接の面識はないけどね」

 

雪華の問い掛けにすぐ返してきたあたりさっきのは、独り言だったというわけではなかったらしい。

 

「女子の方は試合を見たことあるのを今、思い出した。  壬生紗耶香。一昨年の中等部剣道大会女子部の全国二位よ。 当時は美少女剣士とか剣道小町とか随分騒がれてた」

 

「そうなの」

 

「男の方は桐原武明。 こっちは一昨年の関東剣術大会中等部のチャンピオンよ。 正真正銘、一位」

 

「お互いの競技の実力者ってわけね」

 

壬生は2科の生徒ではあるが、1高に通えてる時点でエリートという証明でもあると、雪華は思った。

 

「おっと、そろそろ始まるみたいよ」

 

「心配するなよ、壬生。剣道部のデモだ、魔法は使わないでおいてやるよ」

 

「剣技だけであたしに敵うと思っているの? 魔法に頼り切りの剣術部の桐原君が、ただ剣技のみに磨きをかける剣道部の、このあたしに」

 

「大きく出たな、壬生。 だったら見せてやるよ。 身体能力の限界を超えた次元で競い合う、剣術の剣技をな!」

 

それが、開始の合図となりいきなりむき出しの頭部目掛けて、桐原は竹刀を振り下ろし、壬生はそれをツバ競り合いで受け止めた。

 

「女子の剣道ってレベルが高かったのね。

 あれが二位なら、一位はどれだけ優秀なんでしょうか」

 

 二人の剣捌きに、特に壬生の技に感嘆の言葉を漏らしていると

 

「……違う。あたしの見た壬生紗耶香とは、まるで、別人。 たった二年でこんなに腕を上げるなんて……」

 

「おおぉぉぉぉ!」

 

今度は、雄叫びを上ながら桐原が突進した。 両者、真っ向からの打ち下ろしである

 

「相討ち!?」

「いいえ、互角じゃないわ」

 

桐原の竹刀は壬生の左上腕を捉え、

壬生の竹刀は桐原の右肩に食い込んでいる。

 

「くっ……」

 

「途中で狙いを変えようとした分、打ち負けたみたいね」

 

「そうか、だから剣勢が鈍ったのね。 完全に相討ちのタイミングだったのに……結局、非情になれなかったか」

 

「……真剣なら致命傷よ。あたしの方は骨に届いていない。 素直に負けを認めなさい」

 

そう宣言する壬生

 

「は、ははは……」

 

突如、桐原が虚ろな笑い声を漏らした。

 

「真剣なら?俺の身体は、斬れてないぜ、壬生、お前、真剣勝負が望みか?だったら!望み通り"真剣"で相手をしてやるよ!」

 

桐原が、右手で、左手首の上を押さえCADを使用した。ガラスを引っ掻いたような不快な騒音に皆耳を塞いだ。

 

一足跳びで間合いを詰め、左手一本で竹刀を振り下ろす桐原。

だが壬生は、その一撃を受け止めようとせず大きく後方へ跳び退った。

かすめただけだ。それなのに、壬生の胴の防具はすっぱりと切れている。 追撃をかける桐原。

 

しかし、その眼前に、雪華が割り込んだ。 手にはいつの間に持ったのか竹刀を持っている。しかも桐原と同じ高周波ブレードをまとった竹刀だ

 

「先輩は、真剣勝負と言いつつ 真剣を持たぬ相手を真剣で切りつけるのですね。」

 

そういいつつ、剣で桐原切りつける。数分間の剣さばきをし雪華は、桐原の竹刀を吹き飛ばす。そして高周波ブレードまとった竹刀で面を打った。スパーンと気持ちのいい音が、部屋に鳴り響く。それと同時に悲鳴も部屋に響いた。

 

「雪華、本気で桐原先輩殺っちゃったんだと思ったら当たる直前に高周波ブレード解いたみたいね・・・」

 

------

 

「これが剣術部騒動の顛末です。」

 

雪華の前には三人の男女。 向かって右に生徒会長、七草真由美。 中央に、雪華の上司である風紀委員長渡辺摩利。 そして部活連会頭、十文字克人。

身長は一八五センチ前後。見上げるような大男という訳ではない。 だが分厚い胸板と広い肩幅、制服越しでも分かるくっきりと隆起した筋肉。

そういう肉体的な特徴だけでなく、人間を構成する諸要素を凝縮するだけ凝縮したような、存在感の密度が桁外れに濃厚な人物だった。

 

(巌のような人ね……)

 

「それで、取り押さえた桐原はどうした?」

 

「桐原先輩は面をつけない状態で、頭に強い竹刀一撃を受けましたのでまだ気絶状態です。」

 

「いやいや、なに他人事みたいに言っているんだ。やったのは雪華だろう。」

 

いつから私のこと雪華って呼ぶようになったのかなと思いつつも答えた。

 

「とっさでしたので手加減を忘れてました。」

 

「桐原くん相手に手加減って雪華さんやっぱりすごいわね」

 

「あと訴追は、摘発した私に委ねられているいうことでしたが、一回の失敗で徴発委員会へというのは、私は好きではないので今回はこれですましたいと思います。」

 

「ふむ・・・いいだろう。訴追は摘発した者の判断に委ねられているのだからな」

 

雪華の言葉に頷き、摩利は十文字へ目を向けた。

 

「聞いての通りだ、十文字。風紀委員会としては、今回の事件を徴発委員会に持ち込むつもりはない」

 

「寛大な決定に感謝する。高周波ブレードなどという殺傷性の高い魔法をあんな場で使ったのだ。怪我人が出ずとも、 本来ならば停学処分も止むを得ないところ。今回のことを教訓とするよう、よく言い聞かせておく」

 

「お願いします。では私は失礼しますね」

 

雪華は、優雅に一礼をし生徒会室をでて行くであった。

 

 

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