帰投した龍鳳は帰ってくるや否や艦載機の整備を終わらせ間宮の方に向かうようだ。
「あ、提督、今日は間宮さんに頼んであるので私が夕飯作りますね!
みなさんも!今日はカレーですよー!じゃあ、準備してきますね!」
休めばいいのに・・・まあ龍鳳らしいか、とおもいながら見送った。
「ふふっ、提督さん、今までなんのお話を?」
「なになに!なんの話ですかぁ?」
小破した扶桑を入渠させて、筑摩と青葉が私の部屋に戻ってきた。
「じゃあ話の続きするか。
で、私はその時大鯨はみんなと出撃したかったんじゃないかなと思ったんよ。
だからどうにかして戦わせてあげたくて。
そうしたら、戦果をあげた時に上官からもらえる改装設計図っていうのがあるんやけど、それで大鯨を軽空母に改造してあげられることを知ったんよ。
だから、私が赴任したころからいた扶桑、筑摩、青葉たちに頑張ってもらったっていうわけ。」
「いえいえ、私たちも提督にはお世話になってますから」
「きょーしゅくです!」
筑摩と青葉がニコッとした表情で言葉をはさむ。
「それでめでたく大鯨は龍鳳という名の軽空母に生まれ変わりましたとさ。
だいたい9月の初めだったかな。
着物のような制服になってすごくきれいだったなぁ。
まあ艦載機も積めるようになって自信もついたみたいでよかったよ。
で、私が間宮から龍鳳を引っ張り出して言ったんだよ。
私の戦いを支えてくれないか、ってね。
そのあとに秘書艦になってくれた記念に撮ったのがあの写真。」
「そんなことも・・・ありましたね。」
扶桑が入渠を終えて私の部屋に戻ってきた。
「扶桑もお疲れ様。お前もよくここまでよく頑張ってくれた。
こんなに成長してくれて私もうれしいよ。」
「主砲の火力には・・・自信がありますから。」
表情には見せないが、少し自慢げである。
それがわかるぐらいには古い仲になったんだなとしみじみ。
みんなで談笑していると、龍鳳の声が聞こえてきた。
「みなさーん!お夕飯の準備ができましたよー!」
その呼びかけを聞いて私はみんなに声をかける。
「みんなで行くか。ほかのみんなも待ってるだろうし。」
「よぉーし!熊野いっくよー!お腹すいてたんだー!」
「鈴谷、あなたは出撃してないですわよ。」
「まあまあ、慌てなくても夕飯は逃げませんから。」
筑摩の話を聞く前に鈴谷は駆け足で部屋を出て行った。
「まあうちの鎮守府らしいな」
「そうですね・・・。」
「扶桑、話し方は相変わらずだな」
そんなこんな話をしながら残ったみんなも私の部屋を後にした。
間宮に着くと、せかせかと龍鳳がみんなの前にカレーを並べている。
私が入ってきたのを見つけてか、龍鳳がこちらに駆け寄ってきた。
「提督!提督の席はここに用意してますよ!」
そういって私を座らせた机には、ハヤシライスが2つ置いてあった。
みんなの夕飯を準備し終わると、龍鳳は私の横の席にチョコンと座った。
「私がカレー好きじゃなかったの覚えていたんだな」
「当然です!秘書艦ですからね!だから私もハヤシライスです。お揃いです!」
そういって微笑みながら、ハヤシライスをほおばる龍鳳と私。
「おっかわりー!」
「ちょっ、川内うるさい!でも私も食べる!」
川内と瑞鶴がいつものごとく騒がしくなってきた。
「もう八時かぁ。」
気付けば日も落ちていた。
「みなさーん、まだまだありますからねー!はい!」
「龍鳳、今それを言うのは。。。」
私が思った通り、その言葉をきっかけに小さな戦いが勃発する。
「そのcurryはわたしのものデース!」
金剛が机の上にドンッと飛び乗りキッチンを指さした。
その横をすさまじいスピードで走り去った影が。
島風である。
「金剛おっそーい!」
「あぁぁ!島風、待つデース!」
そんな言葉を聞かず金剛を尻目に駆け抜ける。
が、少し目を離した前には霧島の腕が・・・。
(その後のことは想像にまかせよう・・・。)
違う机では、「素敵なパーティの始まりっぽーい!」
夕立が飛び上がりながら手の魚雷を放り投げる。
「ダメだって、夕立」
「夕立ちゃん!あわわわ」
横にいた時雨と羽黒が慌てて空中の魚雷を地面スレスレでキャッチする。
その様子を見て近くの扶桑がホッとしたような表情を見せる。
「では扶桑姉さま、私がお姉さまの分も用意してきますね」
扶桑の横にいた山城が自分のお皿と扶桑の空になったお皿をもってキッチンに向かおうとしている。
すると、扶桑の後ろから隼鷹が2本の一升瓶を持ちながら山城のいた席に座った。
見るからに出来上がっている。
「扶桑さぁ、いいのあるからさぁ、これ飲もうぜ?なぁ?」
扶桑の肩を隼鷹がガシッとつかみながら一升瓶を机の上にそっと置く。
「え?いや、・・・私あんまり飲めませんよ?」
扶桑はわかりにくいが少し困り顔になる。
「なっ!隼鷹!扶桑姉さまになにをしているの!」
それに気付いた山城が隼鷹のところに飛んできた。
「姉さまが困ってるじゃない!晩酌なら私が・・・つきあうから!」
「本当か!ヒャッハー!今夜も楽しい酒のめそうだぁ!」
うちの鎮守府ではなぜか仲のいい隼鷹と山城。
今日も山城は酒に呑まれるのだろう。
「みなさーん!カレーならまだいっぱいありますからー!」
気付けば龍鳳が席を立ちオロオロしながら慌ててみんなを鎮めようとしている。
ただ、そんなことでは収拾がつかない騒ぎになっていた。
金剛が瑞鶴や川内、夕立と騒ぎ、島風は床で倒れながら目を回し、隼鷹のはもちろんのこと、
山城の前の一升瓶も空になっていた。
「じゅんひょー、ふぁいきんねぇー、ふそうねえさまがかまってくれないのー。」
「そうかぁ?べったりにみえるけどなぁー!」
山城も完全に出来上がって愚痴吐きモードになっている。
そんなどんちゃん騒ぎが目の前に繰り広げられている。
こんな状況は我が鎮守府では日常茶飯事である。
「今日もいつも通りだな」
私はボソッとつぶやきながら両手を上にあげ伸びをした。
「はしゃぐのはいいけどほどほどにしろよ」
そう言った瞬間、じゃれていた勢いで金剛が隣の机に倒れこんだ。
そこにいたのは山盛りのカレーを食べていた武蔵と赤城である。
見れば、そのカレーは見るも無残にひっくりかえっていた。
「おーまーえーたーち。静かに飯も食べれんのかぁぁ!」
武蔵の怒号が間宮に響き渡る。
「まあまあ、武蔵さん。そんなに騒がしくしなくても。」
横にいた赤城が武蔵の肩をたたき、止めてくれていた。
「ふぅ、問題なさそうだな」
私は安心の一息を漏らした。
が、その安堵はすぐに砕け散った。
「こうやって黙らせばいいんですよ。みなさん、ご飯の恨みはこわいですよ?」
赤城は不敵な笑みを浮かべて弓を構えていた。
「それはダメですぅぅぅ!!」
龍鳳が赤城を体を張って止めた。
「・・・これアカンやつや。」
そのあとどうなったか私は詳しく知らない。
間宮を去った後、遠くからみんなの笑い声が聞こえたのを
確認して私は業務に戻った。