なので甘々はありません。
本来は12話のオマケにする予定でしたが、量的にオマケにするのは出来なかったのでこうなりました。
私の名は織斑千冬。IS学園の教師を勤めている。
今、私はファミレスである人物達を待っている。
その人物達は私の弟「織斑一夏」の命を狙っているからな、姉として成敗しなければ。
そう言えば、一夏は山田君と映画館デートをしているが
『一夏君、あーん』
『あーん』
『ここの料理、凄く美味しいって評判だったから一夏君と一緒に来れて良かった』
『そうなんだ。でも・・・』
『でも?』
『真耶の作った料理の方が美味しいよ』
『もうっ!』
・・・そんな事をするわけがないか。考えすぎだ。クラス対抗戦の時、ブラックコーヒーを飲みながら蔑んだ目で二人の食事を見たからな。常識のない言動を起こすわけがないか。
まあ、それはいいとして・・・
「姉さん、何故腕に縄を付ける?私は犬でも猫でもないぞ」
「お前を中野ブロードウェイに行かせないためだ」
「今日も大会があるというのに・・・」
「それくらい我慢をしろ」
「そんなことをしてる内に悪魔が人々を苦しませてるのに・・・」
クラス対抗戦の後、身柄を確保して事情を聴こうとしたら泣いて抱き着いたのは驚いた。相当辛いことがあったのかと思ったら、
『
誰がこんな妹にさせた・・・
どういう経緯で拳法を会得したのか気になるが、身体的特徴に関しての憎悪が人一倍強すぎる。後、その結論はおかしい。
このままでは山田君に合わせる訳にはいかないな。
「マドカ。そこまで憎悪する理由は何だ?私もその悪魔の一人に入るのだぞ」
「憎悪する理由・・・決まってる。あの悪魔が一体どれほどの人を苦しめたと思う?」
「知らん。少なくともIS学園でそんなことは起こっていない。それに邪念が強すぎては、本来の力など発揮できんぞ」
「では、どうすれば本来の力を発揮できるんだ?」
なんとかこちらのペースに持ち込んだ。
「私の知り合いと一緒に学園生活をしてみたらどうだ」
「知り合いと?」
「ああ。近々、お前をIS学園に入学させようか検討してる」
マドカの背後にある組織を知るためだが、本当はこれ以上家族を巻き込んで欲しくない思いで私が学園長に頼んだんだがな。
「素性などは私が何とかする。お前は一夏と一緒にIS学園の生徒としていて欲しいんだ」
「兄さんと・・・一緒に・・・」
一夏には憎悪を抱いて無いようだ。それに、あの嬉しそうな表情を見る限り根は優しいんだな。
「お前の過去を知った所で私はお前を見捨てるつもりはない。お前は私の妹であることには変わりないんだからな」
「だが・・・」
「お前はどうしたいんだ?」
「家族と一緒にはいたい。だが、私は姉さんの・・・」
「今の立場がどうであろうと、家族と共にいたいと思っているならお前は私の敵では無い。家族だ」
「家族・・・」
「ああ、一夏もきっと喜ぶからな」
私はいつの間にか笑顔でマドカと話していた。
昔の私からは想像もできない程変わったな。
これも山田君のお陰か。
あいつはISの実力以上に、人としての心の強さは私以上だな。
「姉さん。私をIS学園に入学させてくれ」
「そこでお前はどうしたい?」
「兄さんと姉さんと一緒にいたい。そして、三人で悪魔の中の悪魔を倒す」
「悪魔の中の悪魔?」
マドカの顔つきが突然険しくなった。
「篠ノ之束だ。あいつのくだらんお遊戯のせいで、私達家族は地獄を見た。心に仮面を付け、力を求め、孤独に心を蝕まれた!ISさえなければ、あいつさえいなければ・・・私達は皆・・・皆・・・!」
マドカは右手に持っていたISの
私は束の口車に乗り心に仮面を付け、一夏は己の無力さを呪い力を求め、マドカは孤独に心を蝕まれてた。
確かにマドカの言ってることは間違っていない。
一夏が物心が付く前に両親は姿を消した。マドカと家族のアルバムと共に。その時の私は一体何が起こったのか分からなかった。それでも分かったことは、私自身で一夏を養わなければならなかった事だ。
そんな時に私は束の口車で白騎士に乗り、事件を起こした。
だが、気付くべきであった。
事件を起こした後、私は束からマドカが生きていると知って喜んだのだが。
なぜあいつがマドカの存在を知ってるのかと聞くべきだった。
昔の私はそれに後悔し、一人で声を出さず泣いていた。
「マドカ・・・」
だけど私は知った。過去に縛られてはいけない。過去を振り返りながらでも、明日に向かって生きていくべきだ。それがどんなに辛いものだとしても、私は生きることをやめない。
「・・・殺してやる」
マドカは突然飢えた獣の雰囲気を放ちながら呟いていた。
「篠ノ之束・・・あいつさえいなければ・・・あいつさえ・・・」
「なるほどそういうことか」
「・・・何がだ?」
「お前が身体的特徴に関しての憎悪は束が原因と言う訳か」
「・・・ああ」
つまり行き場のない怒りを他人にぶつけてる内に、それを使命として勘違いしてるわけか。
「お前の気持ちは分かる。束によって家族を引き裂かれた気持ちは私も一夏も同じだ。だがマドカ、これ以上行き場のない怒りを他人にぶつけるのはやめろ。それは使命でもなんでもない。自分の弱さからの逃げだ」
「どうしろと言うんだ。姉さんも兄さんも私も、束の手のひらの上で遊ばれている。これ以上・・・」
「その答えのヒントなら、これから現れる」
「これから?」
「どうやら来たようだ」
ある人物達が約束通りやって来た。
「お、織斑先生が・・・」
「二人も!」
「一体何がどうなってるの?」
「今からその答えを話す。だから三人とも座れ」
「生き別れの妹?」
「ああ。篠ノ之と会う前だからな、お前が知らなくて当然だろ」
「ですが、妹さんとの再会は実に喜ばしいことです」
「オルコット。その点に関しては感謝する」
「でも、妹だからって千冬さんに似すぎじゃないの?」
「鈴音、文句でもあるのか?」
「いえ・・・ありません」
さて、前座はここまでにしておくか。
「お前達を呼んだのは他でもない。お前達三人に聞きたいことがある」
「「「・・・」」」
「なぜ、うちの弟に付きまとう?」
「つ、付きまとってなどいません!」
「そ、そうですわ!わたくしは一夏さんが強く、凛々しくあるためにご教授してるだけです!」
「私は一夏がまた問題を起こすんじゃないかって心配だから傍にいるだけ!」
三人そろって本心を隠すか
「篠ノ之」
「は、はい」
「お前は一夏のどこに惚れた?」
「そ、それは・・・」
「三人共、本当の事を言わなければ明日の日の出は拝めないと思え」
「「「・・・」」」
力づくだが、これで本心を語ってくれるだろう。
「や・・・優しくて・・・強くて、どんなことがあっても挫けないからです!」
「篠ノ之、それが一夏に惚れた理由か?」
「そ、そうです!」
「そうか・・・次はオルコット」
「は、はい!」
「そう堅くなるな。で、お前が惚れた理由は何だ?」
「一夏さんは他の男性とは違い、凛々しく、逞しく、強いからです」
「それが理由か。鈴音は・・・一応聞いておくか」
「一応って!?」
「事情は弟から聞いてるからある程度は分かっている。それとも一夏には言っていないことがるのか?」
「あ、あります」
「何だ?」
「あいつ、優しくて・・・」
「私を助けてくれた時、嬉しかったとでも?」
「なんで・・・分かるんですか?」
「弟が言っていたからな。聞く必要はないな」
三人の本音を聞けた所で、私の本音をぶつけるとするか。まあ、一言で済んでしまうが・・・
「では、私からお前達三人に言いたいことがある。よく聞け」
三人は私をじっと見つめながら何を言うのか待っていた。
「お前達三人に一夏が振り向くことは無い。以上だ」
「「「え・・・」」」
どうやら、予想外の言葉だったらしいな。
「ま、待ってください!い、言ってる意味が分かりません!」
「そ、そうですわ!それにわたくしと箒さんは・・・」
「あれはお前達が勝手に宣言したことだ。私は了承した覚えはない」
「・・・宣言?」
鈴音は二人が寝取ると宣言したことを知らないが、まあいい。
「それに一夏の気持ちも考えずに行動していれば振り向くと考えていたのか?」
「「「・・・」」」
「姉として言うなら、これ以上身内に迷惑をかけるな」
私も本音を言った。後は三人がおとなしくしてくれればいいが。
「あ、あの千冬さん」
「ん?」
鈴音がまだ私に言いたげな顔をしているな。
「その、一夏はどうして山田先生と付き合ってるんですか?」
確かに三人にはちゃんと話してなかったな。
「一夏が中学二年の時に山田先生と出会ったのは知っているな、鈴音?」
「はい」
「山田先生に出会う前の一夏がどういう状態だったのか、二人に説明できるか?」
「わ、分かりました」
鈴音から語られた一夏の中学時代。力を求め、すべてに壁を作り、孤独に蝕まれていた時の話を聞いた二人の顔は驚きを隠せていなかった。この私だって初めて聞いた時は、開いた口が塞がらなかったからな。
「これで私が知ってること、全部話しました」
「そして、山田先生と出会って・・・」
「お二人は恋に落ちた・・・」
「そういうことだ」
二人はショックで立ち直ってないが、ここでもう一回釘を刺しとくか。
「言っておくが、私は一夏と山田先生との付き合いを認めている。それに、一夏は山田先生と付き合ってる事を隠すつもりはない」
「「「!?」」」
「お前達が言いたいことも分かる。だが、それが原因で山田先生が教職を辞めることは無い」
「ど、どうしてですか!?」
篠ノ之が声を荒げた。そこまで山田君に恨みでもあるのか?
「篠ノ之、一夏はどういう立ち位置にいるのか分かっているな?」
「え・・・」
「あいつは、世界で初めてISを動かした男だ。迂闊に手出ししようとすれば、手痛いしっぺ返しが来るのは分かっているな?」
「で、ですが・・・」
「それに、二人が付き合い始めたのは中学二年だから、問題は無い。それに、本来はIS学園に入学する身の上ではなかったからな」
さて、これ以上三人の意見を否定してはいけない。私は仮にも教師だ。生徒を導かなければ・・・
「今回話したことは他言無用とする。だが、お前達が今後どうするかは聞かないとする。自分たちがどうするべきか、じっくり考えるんだな」
そう言い、私はマドカを連れてファミレスを出て行った。ちゃんと五人分の代金を支払って。
「姉さん」
「何だマドカ?」
「私は過去を振り切ることができるの?」
「それはお前自身でしかやれないことだ」
「だが、私は兄さんみたいに・・・」
「言っておくが、お前のルームメイトは山田先生だ」
「え?」
「今は一夏と山田先生が同室だが、転校生がお前含めて三人来るからな。部屋の割り当て上そうなった」
実際は、一夏とクラスメイトの交流を深めるための処置なんだがな。
「いつ決まった?」
「ファミレスに着く前だ」
「では、あの会話は・・・」
「お前の本音が聞きたかった。それだけのことだ」
「じゃあ、答えのヒントも・・・」
「あれは嘘ではない。何か見つかったのか?」
「見つかっていない。ただ・・・」
マドカは私の顔を見るなり笑顔でこう言った。
「もう一回、家族と一緒にいられるのが私は嬉しい」
「そうか」
私も笑顔でマドカに答えた。
「帰るか、マドカ」
「・・・うん」
恥ずかしながらもマドカと一緒に手を繋いで学園に戻った。
その時のマドカの表情は、希望にあふれるばかりの笑顔だった。
ただ一つ不満があるとするならば・・・
「人目を気にせず喫茶店で『あーん』をしたと、帰り際に会った弾から聞いたが・・・」
「「ごめんなさい」」
次回は、金銀の転校生が登場する予定です。
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