今回は「中二の一夏 クリスマスの告白」です。
スランプ気味の作者が頑張って執筆したので、あまり甘くはありません。
それでも甘く感じる読者はコーヒーを飲むことを推奨します。
12月25日 とある駅前
「そろそろ来る頃だけど、場所を間違えたのかな」
私、山田真耶はある人が来るのを待っています。
その人は私より年下ですが、優しくて、頼りになる人です。
最初は私の方を見向きもせず、除け者扱いしてました。
けど、彼は心のどこかで泣いていました。
それに気付いた私は何とかして彼を苦しみから解放しました。ちょっと頭を怪我をしましたけど。
そんな彼ですが、クリスマスに言いたいことがあるのでこの場所で待ってて欲しいと頼まれたけど・・・
「まだかなぁ」
まだ来ていません。どうしたんだろう?まさか・・・喧嘩に巻き込まれた!?
「どうしよう!どこにいるのか分からないし、携帯だって持ってないし・・・」
「すみません!遅れてしまいまして!」
ああっ!織斑君!
「大丈夫、織斑君!怪我とかしてない!?喧嘩に巻き込まれてないよね!?」
「いえ、ただの遅刻ですので心配しないでください」
「そうなの?良かったぁ」
「山田さんは心配しすぎです」
「織斑君が今まで私を心配させすぎたのです!」
「すいません・・・」
いつも他人行儀の織斑君ですが、今日は何だか様子がおかしいです。どこかそわそわして・・・もしかして!実は喧嘩をしてたのを隠してるの!?
「織斑君。もしかして・・・」
「山田さん。実は予約してるレストランがあるので行きましょう」
「えっ!?ちょっと織斑君!」
私は言及できずに、織斑君にレストランに連れて行かされました。
織斑君が予約したレストランは高級感溢れるとまではいきませんが、なかなかオシャレで静かなレストランでした。
だけど・・・
「・・・」
「・・・」
気まずい雰囲気が、何故か私と織斑君を包んでいました。
「あのぉ」
「ど、どうしたんですか?山田・・・さん」
「その・・・話したいことって・・・」
「あ、ああ。それはある場所で言うので大丈夫です」
「ある場所?」
「い、今は言えないですが・・・安心してください」
「じ、じゃあ、その場所に付くまで聞かないから、あ、安心して」
「は、はい」
その後、私達は無言のまま夕食を堪能したけど、緊張しすぎて味は分かりませんでした。
「食べ終わったので・・・移動しましょう、山田さん」
「は、はい!」
織斑君・・・一体何を話したいんだろう?
・・・・・・
俺、織斑一夏は凄くピンチです!
弾と練った「クリスマスデート」の計画で実行してるが、レストランで会話が弾まず大失敗。次の所に行くまでに会話をして、ムードを高めないと・・・
「・・・」
「・・・」
・・・できませんでした。
どうしてだ!?4月からずっと一緒に住んでいたのに、いざ実行しようとすると体と口が動かないんだ?
「織斑君」
「な、何ですか?」
「ある場所で話したいことがるって言ってたけど、その場所って?」
「もうすぐ着くので、大丈夫です」
そうだ。その場所に着いたら俺は・・・
山田さんに告白するんだ!
そんなことを考えてたら、ある場所に着いた。
「ここって・・・」
そこは俺と山田さんが初めて出会った公園であった。
千冬姉に無理矢理連れて行かされて、山田さんと会ったんだな。
「俺、ここで山田さんに言いたいことがあって・・・」
俺は山田さんに溜めに溜めた思いを言った。
「山田さんには色々とお世話になりました。家事や勉強、人を信じる事や許す事・・・山田さんから様々なものをもらいました。俺がこうやっていられるのも山田さんのお陰です」
「そ、そんな織斑君ったら・・・」
山田さんが顔を赤くしながら照れてる・・・チャンスかもしれない。
「でも気付いたんです。俺は山田さんに言うべきことがあると」
「言うべきこと?」
「俺、最初は山田さんとは千冬姉の知り合いで良いって考えていました。だけど、時間が経つにつれてそういう思いじゃ無くなってきて、その・・・なんと言うか・・・」
ああ!何で肝心な時に言葉が詰まるんだよ!
「織斑君、大丈夫?」
「だ、大丈夫です」
山田さんに心配されてるじゃないか!最悪のムードじゃん!ここは正念場だ!当たって砕けろ織斑一夏!
「山田さん!」
「は、はい!」
「俺、このまま山田さんと仲の良い知り合いという関係を続けたくありません!」
「えっ!」
「俺、気づいたんです。本当は山田さんと一緒にいたい。もっと色んなことを二人で共有したい!思い出を作りたいって!」
「織斑君・・・」
山田さんは俺が何を言いたいのか分かってる。しかも、それを受け入れる準備ができている。なら言うか・・・
「山田さん、俺は・・・俺は山田さんが!」
「そこまでだ」
突然、ドスの効いた声が俺の告白を遮った。声がした方を向くと、黒いスーツを纏った2m近い背丈の男と、ゴルフクラブを持った男達がいた。
「誰なんですか?」
「坊主に名乗る名前なんてねぇよ。俺たちはこの街を荒らしまわってるガキを潰しに来ただけだ」
「そのガキって・・・」
「そうだ。お前だ織斑一夏」
どうして俺の名前を!?いや、そんなことよりこの場から逃げ出さないと・・・
「悪いが、この場所は囲まれてる。諦めて俺たちに掃除されるんだな、そこの女と一緒に」
「織斑君・・・」
「安心して下さい。何があっても俺は山田さんを守ります」
とは言ったものの相手は10人近くいる。ここは、撹乱して逃げ出さないと。
「威勢だけはそれなりにあるようだな。お前達、このガキを・・・」
「ちょっと待ったー!」
男の指示を遮る程の大声をだしたのは・・・
「どこの誰だが知らねぇが、二人の邪魔をするってんのなら、この五反田弾がゆるさねえぞ!」
自転車を爆走してやって来た弾だった。
「弾!どうしてここに?」
「二人の後を追って、こんな事態から逃げるわけないだろ!それに一世一代のイベントを台無しにされてたまるか!」
「弾・・・」
「とにかく、ここから逃げろ!時間稼ぎは俺がやる!」
そう言い、弾は繁華街までのルートが書かれてある紙を俺に渡した。
「ありがとう、弾。後・・・」
俺は山田さんの手を握り、
「ストーカーの事について、後で聞かせろよ」
「いいぜ!だから、ちゃんと当たって砕けろよ!」
俺は弾に釘を刺して、山田さんと一緒に繁華街に向かって走り出した。
だけど、弾がノリノリなのはどうしてだ?
・・・・・・
私、山田真耶は驚いてた。織斑君が私を守ろうとした。いつもだったら私の事はお構いなしと突撃して戦いに行ってたけど・・・
「安心して下さい。何があっても俺は山田さんを守ります」
その言葉に胸の高まりが収まらない。だけど・・・
いいのかな・・・私みたいな人で・・・
私は織斑君のお姉さんみたいにISの実力があるわけでもないし、意志が強いと言う訳でもない。日本代表候補まで上り詰めたけど、そこから成長することなく代表候補生止まり。周りからは「スタイル以外は優れていない」といわれる始末。そんな私を織斑君が・・・
そんなことを考えていたら、私と織斑君は繁華街にたどり着いていました。
綺麗なイルミネーションが飾られ、道の中央には巨大なクリスマスツリーがそびえ立っていました。
だけどそこに人の気配はなく、まるで私と織斑君以外の人間がいなくなった世界に放り込まれた感覚でした。
「ここまで・・・来れば・・・大丈夫です」
「織斑君・・・」
「どうしたんですか山田さん?」
「本当に・・・私でいいんですか?」
「え?」
私は知りたい。織斑君の本当の気持ちを。
「私より、ISの実力とかスタイルとかいい人なんていっぱいいます。どうして私を好きになったんですか?」
「!!」
あれ?織斑君が顔を赤くしてるけど・・・
「いやぁ・・・そのぉ・・・どうして・・・好きだってことが分かったんですか?」
「今日に限って、落ち着きが無かったからです」
「やっぱり・・・」
「そんなことはどうでもいいんです。織斑君、教えて。どうして私なの?」
「優しさかな」
「優しさ?」
「俺、すべてが怖かったんだ。千冬姉も、友達も、周りの人も、世界も。全てが俺を見捨てるんじゃないかって思った。だから、俺が強くなって全てを守れば、見捨てられることも無いって考えた。だけど、山田さんはそんな俺に優しくしてくれた。初めはそんな事をされる権利なんて無いと思って突き放してたけど、それでも山田さんは優しくしてくれた。その時に俺は気付いたんです。俺に必要なのは力じゃなくて優しさなんだって。憎むより許す方がすごく難しいのに、それを行える山田さんに俺は好きになってしまったんです。だから・・・」
私は織斑君の言葉を聞いて気付いた。私も怖かったんだ。誰かに拒絶されるのが。
そして、そんな私に心を開いてくれた織斑君が・・・
「俺の恋人になってくれませんか?」
好きなんだ・・・
「織斑君」
「何ですか?」
「私の名前で・・・告白して」
「俺の事も名前で呼んでくれたら、告白します」
「・・・一夏君」
「真耶・・・」
もうお互い顔を赤くしながら見つめ合っていた。そして・・・
「俺はお前が好きだ」
「私も・・・一夏君が好き。大好き!」
「真耶、俺の恋人になってくれるの?」
「うん。だから他人行儀な口調はしないで、一夏君」
「分かったよ真耶・・・愛してる!」
「私も一夏君を愛してる!」
「「「「「おめでとう!」」」」」
「「え?」」
突然、クラッカーの音とカメラのシャッター音が一斉に鳴り響いた。おまけにフラッシュの点滅が激しくて誰が誰だか分かんないが、少なくとも弾がいることは分かった。
「この幸せ者め!爆発しろ!」
「織斑君、幸せに爆発してね!」
「これで爆破対象が出てきたわけか・・・」
「織斑君、大晦日に爆発してね!」
「爆発四散!」
「みんな・・・」
中学のクラスメイト達が一斉に祝福してくれたけど、口を揃えて「爆発しろ」って言う。素直に祝福してくれ・・・
「というより弾、お前大丈夫だったのか!?」
「大丈夫も何も、あれは全部芝居だったからな!」
「全部って・・・」
「男達の襲来から繁華街まで、全部クラスと先生が計画を練ったからな!」
「ええっ!?先生何してるんだよ・・・」
クラス一丸となって告白の手伝いをするって・・・ドイツにいる千冬姉が聞いたら大爆笑するな。
「ところで先生は?」
「家族と一緒にクリスマス旅行。三学期になったら報告してくれって言ってたな」
うちの担任は教師としての自覚があるのか?
「まあ、無事に告白も成功したことだし全員解散!」
弾の一声によりクラスメイト達は各々散って行き、一般の人達が繁華街に入ってきた。
「弾!これって・・・」
「いやぁ、この続きは二人だけで味わってほしいからさ。じゃあな!」
「お、おい!」
俺が聞きたいのはこの繁華街を貸切にしたのは誰なのか聞きたかったのに。
「一夏君」
「ん?」
すっかり山・・・真耶の事を忘れてた。
「実はお願いがあるの・・・」
「何?」
そう言って真耶は俺の手を握り、
「一緒に帰ろう」
顔を赤くしながらも笑顔で頼んできた。
俺は一人じゃないんだ。明日からいや、これからは最愛の人と一緒に人生を共に歩んでいくんだ。
「ああ。帰ろう、家へ・・・」
俺は真耶の手を握り返し,二人で家に帰って行った。
それがクリスマスの告白だった。
次回は本編に戻します。
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