IS 一夏の彼女は副担任   作:陸のトリントン

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皆さん、お待たせしました。

夏休み編最終回です。


第37話

夜の神社に並ぶ露店。賑やかに響く人声。今日はとある神社で夏祭りが行われている。

 

俺は、真耶と二人で夏祭りを楽しもうとしたが・・・

 

「まさか箒がここでバイトしてるなんてなぁ・・・」

 

箒がここでバイトをしてたのは予想できなかった。けど、祭りだし俺を付け狙う真似なんかしないだろう。したら他の人達に迷惑がかかるだろうし。おまえけに箒は俺が来てる事に気付いていない・・・・・・はず。とりあえず会わない事に祈ろう。

 

それに今頃、ここのどこかに弾と虚さんとマドカがいるからいざと言う時には助けを呼ぼう。

 

「それにしても、約束の時間になっても真耶が来ない・・・迷子か?」

 

真耶って意外とおっちょこちょいな所があるからな。

 

何度も行ってる所で迷子になったり、眼鏡が頭の上にあるのに探したり、砂糖と塩を間違えそうになったりとちょっとおっちょこちょいな所があるけど、それに挫けず頑張る所が真耶の魅力。

 

・・・とは言っても不安だ。

 

「まさか・・・変な男に絡まれた!?」

 

そんなことはあり得ないと信じたいが、プールの一件もあるからあり得なくもない。俺は携帯を取り出し、真耶に・・・

 

 

 

「一夏くーん!」

 

 

 

浴衣姿の真耶が小走りでやって来た。どうやら俺の思い違いだった。

 

「ごめんね。浴衣を着るのに手間取って」

 

「俺はてっきり他の男に絡まれたんじゃないかって・・・」

 

「そこはマドカちゃんが何とかしてくれたから大丈夫です」

 

絡まれたのか。後でマドカにお礼を言わないと。

 

「ところで一夏君。私の浴衣姿、似合ってる?」

 

そう言って、真耶はその場で一回転した。

 

緑色の浴衣を纏った真耶。今まで露出の多い服装ばかり見てたから、控えめな服装は目新しいものを感じる。

 

「真耶の浴衣姿なんて初めて見たな」

 

「そういえば、去年の夏祭りは行けなかったもんね」

 

去年の俺は真耶と一緒に行こうと誘ったが同僚に無理矢理飲みに行かされたため、その日は家で勉強をしていたのを覚えている。

 

「だったら、お祭りをいっぱい楽しまなくちゃね」

 

「じゃあ今日は真耶に全部任せるよ。行きたい所も食べたい物も真耶が決めて良いから」

 

「え?いいの?」

 

「いつも俺が真耶をエスコートしてたけど、今日は真耶にエスコートされたい気分なんだ。ダメかな?」

 

「ううん!一夏君の為に私がエスコートするから。さあ!行こう!」

 

真耶は俺の手を掴み、意気揚々と歩いて行った。

 

 

 

「最初は・・・あれでもやりましょう!」

 

真耶が指をさした先は射的場であった。

 

「大丈夫かな?俺、銃なんてISでもあまり使わなかったし」

 

「一夏君なら大丈夫。絶対できるから」

 

俺を励ましながら、真耶は銃を構え射的を始めた。

 

「俺もやってみるか」

 

俺は真耶に続き、射的を始めた。

 

(撃つ的はどれにしようか?)

 

俺が的を選んでいる中・・・

 

「次は・・・これっ!」

 

真耶は次々と的を射抜いていた。

 

「後は・・・これでっ!」

 

黙々と的を射抜いてる姿はまさに狙撃手だ。さすが元日本代表候補生だ。俺も負けられないな。

 

 

 

「簪。肩の力を抜いて」

 

「こ、こう?」

 

「そうだ。そして、腕を伸ばし・・・」

 

「ら、ラウラ・・・顔が・・・近い」

 

「そうしないとお前の顔がよく見れない。今は射的に集中してくれないか?」

 

「わ、分かった」

 

 

 

射的場での愛情表現は隣りの二人(ラウラと簪)に負けるけど・・・

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

「真耶。かなりの量を取ったね」

 

「ちょっと張り切っちゃった」

 

両手に溢れんばかりの景品。血の涙を流しながら店を畳んでる店主を見て、俺は無言の合掌をした。

 

「どうするこの景品?」

 

「私が持ち帰るから大丈夫よ」

 

そう言い、真耶は何処からか取り出した袋の中に景品を入れ始めた。

 

「改めて見ると、真耶の射撃の腕は凄いな」

 

「そこまで凄くないよ。一夏君がいたから、上手くいっただけだから」

 

「それって、自分の凄さを見せたかったの?」

 

「うん。ごめんね、変にカッコイイ所を見せ付けようとしちゃって」

 

「いや。真耶が真剣にやってる姿を見て見惚れたし、俺の先生だから先生としての示しをつけたい気持ちは分かるよ」

 

「一夏君だけの先生じゃないの?」

 

え?

 

「私、一夏君の恋人で一夏君だけの先生だと思ってたのに・・・」

 

俺だけの先生として今まで頑張ってきたことに気付かなかったなんて、ダメじゃないか俺!

 

「気付けなくてごめん。俺、心の何処かで真耶は一組の副担任だと思ってたから」

 

「一組の副担任だけど、私は一夏君だけの先生でいたいの」

 

俺に抱きついてくる真耶の姿を見て、自分の浅はかさを知った。真耶はこんなにも俺だけのために頑張ってるのに、俺は一組の副担任だと軽く考えていた。もっと真耶の事を知って、もっと真耶を愛さないといけないな。

 

「真耶。これからも俺だけの先生でいるのか?」

 

「イヤ?」

 

「イヤじゃないさ。これからも俺だけの先生でいて欲しいよ」

 

「じゃあ、一夏君だけの先生でいてあげる」

 

俺の手を握り笑顔になる真耶は、そのまま綿あめ屋へ引っ張って行った。

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

「綿あめ、美味しかったね」

 

「まさか、大きい綿あめをくれるとは思いもしなかったよ」

 

真耶が綿あめを買いに行った時、店主が顔をにやけながら真耶に綿あめを渡したが、絶対身体目当てで見てたに違いない。

 

「一夏君、どうしたの?」

 

「いや、何でもない」

 

いかん。真耶がいるのに深刻な顔をしたら、折角の祭りデートが台無しになるじゃないか。

 

「大丈夫だよ一夏君。私の身体を見て触っていいのは一夏君だけだから」

 

「え!?いや、何で分かったの?」

 

「一夏君って、考えてる事が顔にでる人だから。それに、恋人だからより分かるんじゃないかな」

 

確かに。恋人同士だから考えてる事が分かる時がある。真耶がどうして欲しいのか、何も言わずに分かる時があるからな。

 

「だから、そんな深刻な顔をしなくても大丈夫だから」

 

「分かった。何だか、真耶の言葉を聞いて安心したよ」

 

「良かった。そろそろ花火の時間だけど、何処かで見よう?」

 

そう言えば、ここの祭りの目玉は花火の打ち上げだったな。でも、誰にも知られてない絶景ポイントを知ってるから、そこで見れば問題はない。

 

「真耶。実は打ち上げ花火が見れる絶景を知ってるんだけど」

 

「そうなの?じゃあ、そこに行こう」

 

「ああ。その前に買いたい物があるけどいいかな?」

 

「いいけど、買いたい物って?」

 

「恋愛の御守りと仕事の御守り」

 

「どうして二つの御守り?というより、一夏君はまだ就職もしてないのに?」

 

「真耶には先生として、より一層頑張って欲しい。もし、真耶が倒れそうになったら俺が愛で支えようという考えで仕事と恋愛の御守りの二つを買うことにしたんだ」

 

「もう!私、一夏君に支えられる程疲れるようなことはしないよ」

 

「でも、先生として頑張って欲しいんだ。俺は色々と真耶に頼りっぱなしだからさ。これぐらいの事しかできないけど」

 

「ううん。一夏君がいなかったら、私は教師として頑張って来れなかったし、臨海学校の時は一夏君が助けに来てくれて嬉しかった。そんな一夏君が私に頼ったって良いんだよ。恋人なんだから、いっぱい頼って、いっぱい甘えてもいいんだよ。私、そうされるの好きなの」

 

そう言い、真耶は俺の身体にぎゅっと抱きついてきた。

 

「分かったよ。これからは真耶にいっぱい甘えるから」

 

「じゃあ、二人で恋愛の御守りを買おう」

 

「ああ」

 

俺は真耶と一緒に恋愛の御守り買いに行ったが・・・

 

 

 

「一夏・・・まさか私のために!」

 

「箒、違うから」

 

 

 

まさか、箒が売店で働いていたとは・・・

 

「一夏・・・お前・・・私に・・・」

 

「箒。これは俺と・・・」

 

「言わなくても分かる!これは私の・・・」

 

「いや、真耶のだから!」

 

不幸にも売店に来てる客が俺と真耶しかいないし、働いてるのは箒だけだ。

 

「御守りは二つですね。一夏、私は待ってるから」

 

「待ってないから」

 

箒はちゃんと恋愛の御守りを二つ渡してくれてけど、強く握らなくていい。

 

「一夏!二学期は一緒に・・・」

 

「あ、ああ。二学期に会おうな」

 

俺はさっさと話を切り上げ箒と別れ、真耶と一緒に絶景ポイントへ向かった。

 

 

 

「一夏・・・二学期には絶対振り向かせてやる」

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

「ここが絶景ポイントなの?」

 

「ああ」

 

箒の邪気(?)を何とか振り払い、花火の絶景ポイントにたどり着いた俺と真耶は花火が打ち上がるまで座っていた。会話とかするべきだろうけど、今はそういう気分じゃない。ただ、二人だけの時間を堪能したい。

 

「一夏君は篠ノ之さんと二学期から付き合うの?」

 

箒のせいで真耶が心配してるじゃないか。

 

「付き合わないさ。これからもずっと」

 

俺は真耶を後ろから抱いて、不安を紛らわすようにした。俺は真耶以外の女性と付き合う気はこれっぽちもない。真耶が他の男に襲われたら体を張って助けに行くさ。

 

「一夏君の手・・・温かい」

 

「真耶の手も温かいよ」

 

すると、夜空に閃光が走った。

 

「花火が始まった・・・」

 

「綺麗・・・」

 

夜空に輝く色とりどりの花火に俺と真耶は見惚れていた。

 

「このまま時間が止まればいいのに」

 

「私は、二人でこれからの時間を歩んで行きたい」

 

「え?」

 

「だって、こらからもっと愛し合えるんだもん」

 

「そうか・・・そうだな」

 

俺と真耶は花火が終わるまで、抱き続けた。二学期も真耶と一緒に学園生活を満喫できると信じて。

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

とある雑木林

 

「私は簪ちゃんとのお付き合いは認めてないからね!」

 

「お前の許可が無ければ、簪との付き合いができない法律など存在しない!」

 

「法律とかじゃなくて、常識が欠けてる人と付き合わせたくないのよ!」

 

「そのような狭い考えを持っている限り、お前は進歩などしないのだ!」

 

「少なくともそんな進歩などしたくないわよ!」

 

更識楯無とラウラの口論が繰り広げられている中・・・

 

「ああっ!・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

浴衣が乱れ、顔を赤くし、息が荒げている簪が横たわっていた。

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

とある露店前

 

「弾・・・覚悟は出来ているだろうな?」

 

「あのぉ・・・千冬さん!何、剣を振り回してるんですかぁ!?」

 

五反田弾が成敗されかけていた。




次回から二学期編が始まります。

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