IS 一夏の彼女は副担任   作:陸のトリントン

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今回は番外編

「インフィニットストラトス ブリュンヒルデの大逆襲」

を、お送りします。

※注意※

シリアスはありません。

なので、肩の力を抜いて読んでください。


第40話

八月 某所 AM2:00

 

「はぁ・・・はぁ・・・何なんだよあいつ!ISを装着したスコールを生身で倒すなんて人間か!?」

 

廃工場に響く声。茶髪でロングヘアー、黒のノースリーブの女性はオータムと呼ばれ、亡国企業(ファントムタスク)の実働部隊のメンバーであるが・・・

 

「お陰で、生き残ったのは私と数人の部下だけかよ。チクショっ!」

 

亡国企業は壊滅同然であった。

 

1ヶ月前から一人の人間によって、世界各地の亡国企業は壊滅させられていた。IS学園に潜入していたメンバーもその時から音信不通になっていた。しかも、生身でISを圧倒する強さにブリュンヒルデでも太刀打ちできるのかと組織内でも議論されていたが・・・

 

「幹部会は全滅。実働部隊は私の部隊だけ。糞野郎が・・・」

 

最早、その会話すら懐かしい思い出となっている。

 

「オータム様。敵がこちらに接近しています」

 

「あいつを倒すのに手段を選ぶな!とにかく殺せぇ!」

 

頭脳労働が苦手なオータムの最後の命令が下され、数少ない部下は物陰に隠れて奇襲の準備に取り掛かった。

 

 

 

「天空真剣・・・爆裂空転!」

 

 

 

が、それは無駄に終わってしまう。

 

「早すぎるだろ来るのが!あいつ、1Km先にいたんじゃなかったのか!?」

 

オータムが一人で怒鳴っている間に、廃工場の中を駆け巡る。

 

 

 

暗闇に光る一閃

 

錐もみ回転しながら地面へ突き刺さる部下

 

空から放たれるマキビシランチャー

 

放たれる雷

 

瞬間移動

 

 

 

「本当に人間なのかよ!?」

 

オータムがツッコむのも無理はない。

 

「天空宙心拳・・・旋風蹴りぃ!」 

 

「てか、天空宙心拳って何だ!?」

 

オータムは意外と常識人である。

 

「誰だ!私のことをいちいち説明する奴は!」

 

後、第四の壁を認識できる。

 

「そこまでだな。亡国企業!」

 

気付けば、オータムの前方3m程に天空真剣を使っていた人物がいた。顔は暗くて見えなかったが、体つきから見てスーツ姿の女性であることをオータムは認識した。

 

「くそっ・・・気付いたら私一人かよ。てめぇ、正体を現せ!」

 

空が答えるかの如く月光が謎の人物の顔を映し出した。

 

「これで満足か?」

 

「ぶ、ブリュンヒルデ!?」

 

亡国企業を壊滅させた人物はブリュンヒルデの異名を持つ織斑千冬であった。

 

「いつまでもその名で呼ぶか」

 

「うるせぇ!てめぇに倒されるなら、ぶっ殺して生きてやる!」

 

「そうはさせん!」

 

千冬は剣狼を構え、オータムに斬りかかろうと間合いを詰めたが・・・

 

「なら、このガキがどうなってもいいんだな?」

 

「うっ!」

 

オータムは近くにいた子供を捕まえ、子供のこめかみに銃を突きつけた。

 

「運が良かったなぁ坊や。ブリュンヒルデを間近で見る事が出来て」

 

「貴様・・・!」

 

「一応言っておくが、ここはこのガキの家だ」

 

「何故、それを知っている!」

 

「作戦を立てるには事前調査が必要だろうがこの馬鹿が!どうする!?このガキを殺して私を倒すか?それともこのガキと私を見逃すのか?どっちを選ぶんだ?」

 

ブリュンヒルデ、SHINOBI、クロノス族の意思を受け継ぐ者

 

それらの異名を持ってしても、子供一人を見殺しにする残虐な行為は行えない。

 

「分かった、武器を捨てる。だが、その前にその子供をこちらに渡せ」

 

「てめぇが先に武器を捨てろ。さもなくばこのガキを殺すぞ」

 

人質を取られてる以上、立場として下に置かれている千冬。彼女は非道な手段を取っているオータムの指示に従い、剣狼をオータムの足元に捨てた。

 

「ほぅ。約束通り、ガキを離してやるよ」

 

オータムは拳銃をしまい、ガキを千冬に向かって突き飛ばしたが・・・

 

 

 

「だけどISで殺さないなんて言ってねぇよなぁ!?」

 

 

 

瞬時に第二世代IS「アラクネ」を展開した。剣狼は工場の奥に蹴り飛ばされ、子供の頭めがけて8本の装甲脚が襲い掛かる。

 

 

 

そして、アラクネの装甲脚は・・・

 

「ぐっ・・・!」

 

「おいおい。ガキなんて庇う必要なんてねぇだろ」

 

子供を庇っている千冬の背中を強く叩きつけている。

 

「しょうがねぇな。お前から先に殺してやるよ!」

 

アラクネは剣狼を持たない千冬の背中に装甲脚を何度も強く叩きつける。叩きつける度に、アラクネのハイパーセンサーは千冬の体の損傷具合を表示させ、オータムを高揚状態にさせた。

 

「おいおい!さっきまでの勢いはどうした!?これじゃあ、ブリュンヒルデの名が泣くぞぉ?」

 

千冬は反撃が出来ない。彼女の腕にはオータムの人質にされていた子供がいるからだ。その子を守るため、彼女は反撃をせずその場にじっとしているだけであった。

 

「もう・・・いいよ。僕のことなんか放っておいて・・・」

 

「それは・・・できない相談だな」

 

アラクネの猛攻を受けている中、子供の悲痛な声に千冬は苦し紛れに答えた。

 

「例え、絶望の淵に追われても、勝負は一瞬で状況を変える。だから希望を捨てるな・・・」

 

「お姉ちゃん・・・」

 

「ぐふっ!」

 

千冬の口から微量ながら血が噴き出た。

 

「おやぁ?世界最強のIS操縦者がここまでかぁ」

 

アラクネのハイパーセンサーで千冬の吐血を確認したオータムは狂気満ちた笑顔をしながら、片膝を着いた千冬に最後の一撃を与えようと構え始めた。

 

「じゃあな!ブリュンヒルデさんよ!」

 

8本装甲脚は千冬の後頭部に的を絞り殴りかかった。

 

「お姉ちゃん!」

 

少年の必死の叫び

 

「死ねぇぇぇ!」

 

オータムの歓喜に満ちた叫び

 

その二つの叫びは・・・

 

 

 

 

 

 

「剣狼よ・・・我に力を!」

 

 

 

 

 

 

剣狼の奇跡によって掻き消される。剣狼が突然オータムに襲い掛かったのだ。

 

「な、何だ!?」

 

「この剣狼の光は!」

 

千冬は確信した。この光はかつて師匠が言っていた・・・

 

「正義の光!」

 

「てか、何で剣が浮かんでるんだよ!?」

 

オータムのツッコミに気にする素振りも無く、剣狼は輝きを増して光そのものとなった。

 

(師匠・・・やってみます!)

 

千冬は子供を離し、光の中に飛び込んだ。そして・・・

 

 

 

『パァァァイルフォーメイション!』

 

 

 

どこからともなく聞こえる男の声に反応し光は形となった。

 

「おい・・・嘘だろ!?」

 

ハイになっていたオータムが慌てる程、その形には見覚えがある。そう、それはまさしく・・・

 

 

 

「暮桜ぁぁぁ!」

 

 

 

IS学園地下特別区画にて石像と化し凍結状態であるはずの暮桜である。

 

「どうして暮桜がいるんだよぉ!?」

 

千冬の意志を受け、剣狼が空中で光になる時。時を越え、次元を越え、パイルフォーメーションは完成する。暮桜は地上すべてのエネルギーとシンクロし、自然現象さえも変えるパワーを出す事が可能となるのだ!

 

「だから誰だよ!私の質問に答えてるやつは!?」

 

「今だっ!とあああっ!」

 

オータムが第四の壁に気を取られている間に千冬は天高く飛び、蹴りの構えを取った。

 

「しま・・・」

 

「バァァストキック!」

 

オータムが気付いた時にはアラクネの腹部に暮桜の蹴りが炸裂し、廃工場の壁に目がけて吹き飛ばされていた。

 

「とおああーーっ!」

 

だが千冬は廃工場の壁に叩きつけられる前にアラクネの懐に飛び込み、拳の連打を炸裂。

 

「ゴッドハァンドッ!スマァッシュ!」

 

右手でアラクネのISコアを粉砕。アラクネは火花をまき散らしながらハイパーセンサーで危険を促していたが・・・

 

「成敗!」

 

千冬の叫び声と共に、オータムもろともアラクネは爆発した。

 

「納得いくかよぉぉぉ!」

 

オータム最後のツッコミは無情にも爆音でかき消された。

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

「お姉ちゃんは誰?」

 

戦いが終わり、オータムは全身黒焦げアフロ状態で失神してる中、少年は千冬に問いかけた。

 

「私は通りすがりの女だ。無理に覚えなくていい」

 

そう笑顔で答えた千冬は少年の前から疾風の如く姿を消した。

 

「希望を・・・捨てるな・・・」

 

例え世界が絶望に包まれていても希望を捨てなければ正義の光が生まれると学んだ少年は、その日の事を忘れられなかった。

 

 

 

 

 

 

「誰・・・だったんだ。私の質問に・・・答えた奴は?」

 

その後、オータムは警察に捕まり亡国企業は壊滅した。




次回は、本編に戻ります。

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