IS 一夏の彼女は副担任   作:陸のトリントン

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皆さんお待たせしました。

日曜日の出来事と学園祭に関するお話です。


第43話

日曜日、俺は千冬姉とマドカと一緒に弾の家にいた。

 

「弾。何か言い残すことは無いか?」

 

「あの・・・千冬さん。どうして、俺の首に剣が添えられてるんですか?」

 

「マドカの他に女と付き合ってるからだ」

 

弾の家族と一緒に話し合いをしてるはずなんですが、何故か千冬姉の独壇場となっている。

 

「でも・・・その女性とマドカの二人と付き合って・・・」

 

「だからだ。貴様にはその代償を払わせることにした。安心しろ。家族から許可は貰っている」

 

「俺にもう一回死ねと言ってるんですか!?」

 

「その通りだ」

 

弾はもう一回お星さまになるんですね。

 

「一夏!親友の俺がどうなってもいいのか!?」

 

「弾・・・」

 

「一夏、俺の事を・・・」

 

「また生きて帰って来るんだぞ」

 

「一夏ぁぁぁ!」

 

そして、弾はもう一度お星さまになりました。

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

「一夏君。それはちょっと・・・」

 

「俺も分かってる。だけど、弾をもう一度お星さまにしなきゃいけない気がしたんだ」

 

翌日の朝。俺は食堂のカウンターで久々に真耶と朝食を摂っていた。とは言っても、いつもより早く起きたので早めに朝食を食べようと食堂に向かったら、真耶とばったり会っただけなんだけど。

 

「弾君。大丈夫かな?」

 

「大丈夫だよ。そうじゃなかったら、千冬姉に成敗されてるから」

 

少なくとも、容赦なく大技を弾に掛けるからな。

 

「でも、こうして一夏君と二人きりで朝食を食べられるのは嬉しいな」

 

「確かに、最近はクラスメイトやマドカと一緒に食べてるからな。一緒にいる時間も減ったし、休日で二人になっても千冬姉がいるからな・・・そうだ!」

 

「ど、どうしたの!?」

 

真耶は驚いて、飲んでいたコーヒーをこぼしそうになった姿は可愛いな・・・じゃなくて。

 

「真耶は昼食はどうしてるの?」

 

「え?いつも食堂だけど」

 

「だったら、俺が毎日真耶の昼食弁当を作って届けるよ。そうしたら・・・」

 

「残念だけど、それはお預けよ」

 

俺と真耶の間に割り込んで来た謎の人物。

 

「織斑君に大事な頼みがあるの」

 

水色の髪に扇子。真耶より劣るボディーライン。

 

「楯無さん!」

 

「あら。覚えて・・・」

 

「生きてたんですか!」

 

俺の驚きに楯無さんが動揺してるけど、千冬姉の鉄槌で無事な生徒なんて見た事ない。少なくとも三途の川を2、3回見に行くからな。

 

「ま、まあ生きてるけど。それより、織斑君に大事な話があるの」

 

「何ですか?」

 

「突然で悪いけど、生徒会に入ってくれない?」

 

俺が・・・生徒会!?

 

「ダメかな?お姉さん、色々と困ってるのは知ってるでしょ。だから、生徒会で働く人が一人でも増えてくれたら私としては嬉しいの」

 

「いいんですか?勝手にそんな事をして」

 

「織斑君は嫌なの?」

 

「いや、そういう訳じゃ・・・」

 

「私の頼み事より山田先生との朝食が大事だもんね、仕方ないね」

 

楯無さんの事情を知ってるから、ますます断り辛い。

 

「いや、俺は・・・」

 

「ん?何?」

 

「俺でよければ、いいですけど」

 

「本当!?」

 

「え、ええ」

 

「じゃあ、この紙に・・・」

 

楯無さんが何処からともかく取り出した紙にサインしようとした時、俺の目の前を何かが横切り、紙が無残にも切り裂かれた。

 

「この展開は・・・」

 

楯無さんが怒った顔で横切ってきた方角を見ると・・・

 

「楯無!この学園を貴様の思うようにさせはせん!」

 

ラウラと簪が楯無さんを睨んでいた。

 

「あのね。私は織斑君が生徒会に入ってくれるって言ったから、紙を差し出しただけよ」

 

「それが、私と嫁を葬らんとする為の手段だというのは既に知っているぞ」

 

「え!?楯無さん、どういう事ですか?」

 

「ラウラちゃんの妄言だから、別に気にしなくていいわよ」

 

「なら、嫁とのデートをストーキングしたのは何だ?嫉妬か?」

 

「嫉妬じゃなくて心配だからよ!簪ちゃんが貴方のせいでオカシクなったのよ!」

 

「いつまでその戯言を吐き続ければ気が済む!簪は貴様の人形ではない!責務を忘れ、自らの野望の為に家族を利用する貴様は姉ではない!」

 

「そんな野蛮な事はしないわよ!」

 

「ストーキングをする者を野蛮と言わずになんと言う!」

 

「簪ちゃんをラブホテルに連れ込もうとする方が野蛮よ!」

 

一昨日ラウラが言っていた休憩出来るホテルの事か・・・流石にダメでしょ。

 

「愛を育む場所に行く事を野蛮だと言うのか!」

 

「あのぉ、皆さん。他の生徒さん達が食事できないんですけど・・・」

 

「え?」

 

「何?」

 

真耶の声で我に返った二人は周りを見渡した。

 

 

 

「あの会長と言葉で互角に渡り合えるなんて・・・ラウラ様はやはり生徒会長にすべき!」

 

「あぁ、ラウラ様の勇姿を拝められただけでお腹いっぱい!」

 

「楯無先輩はいつまで生徒会長を続けるつもりだろう?」

 

 

 

うん。ここの生徒達はいろんな意味で駄目だ。

 

「貴様ら!何をしている!朝食を食べたくなければ早く教室に行かないか!」

 

まあ、千冬姉が来ることは分かってた。寮長だからね。

 

「ボーデヴィッヒ、楯無。何なんだその痴話喧嘩は?」

 

「申し訳ございません教官」

 

「気を取り乱してしまってすみません」

 

流石に千冬姉の前ではおとなしくなるか。

 

「一夏君。そのお弁当の事なんだけど、明日からいいかな?」

 

「ああ。俺は構わ・・・」

 

「織斑!山田先生にちゃんとした弁当を作るんだぞ!」

 

「言われなくてもやるから」

 

千冬姉に何か承諾をもらったよ。

 

「楯無。少しは下級生の見本となるように振舞え」

 

「分かりました。以後、気をつけます」

 

「後、ラウラと簪の付き合いを認めろ」

 

「分か・・・りません!それは分かりません!どう考えても、二人の付き合いは到底認められるものではありません!」

 

「まあ、ボーデヴィッヒの常識の無さは私も困っている。そこは簪がちゃんと教えれば良い」

 

「いえいえ!二人が付き合ってる事自体・・・」

 

「いい加減、妹離れをしたらどうだ?度が過ぎて見てる方が辛い部分があるぞ」

 

「離れようにも離れませんよ!あんな淫らな付き合いをされてたら、姉として心配しますよ!それに、度が過ぎてるのはラウラちゃんの方です!」

 

「そこは私が止めに入る。お前は静かに見守っていた方が良い。いや、静かに見守れ」

 

「命令形ですか!?」

 

「もうすぐ全校集会が始まる。さっさと持ち場に戻れ」

 

そう言い、千冬姉は食堂の見回りをするためにその場から風の如く消えた。結局、俺が生徒会に入る話は白紙になってしまった。

 

「織斑先生・・・普通に持ち場に戻る事は出来ないんですか?」

 

楯無さん。ツッコむのは野暮です。

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

「俺は商品でもないのに・・・」

 

「全くだ。駄目無の奴は兄さんを広告塔と勘違いしてるのではないか?」

 

全校集会が終わり、俺は教室でため息を吐いていた。いや、それぐらいしかできない。

 

楯無さんが近々行われる学園祭で優勝した部活は俺を強制入部するというトンデモルールを導入した。お陰で全部活は俺のために大会を投げ出す模様。プライドは無いんですか?ちなみに優勝したのがクラスの場合は一日レンタルされると言う徹底ぶり。勿論、俺からの許可は下りていない。

 

「マドカ、その考えは違う。楯無は焦っているんだ」

 

「ラウラ、どういう事だ?」

 

「楯無の支持がここ1ヶ月で右肩下がりになっている。周りに迷惑を掛けないように支持率を上げようとしていたが、このままいけば生徒会長の役職を下されるのも時間の問題となった。そこで、どの部活動にも所属していない一夏を餌に自らの人気取りを行おうとしてるわけだ」

 

「なるほど。学園祭が行われる時期でもあり、優勝景品という扱いにすれば生徒達のモチベーションが上がるから、問題無く企画が通る」

 

「その企画を立案した楯無は救世主として崇め奉られ、生徒会長の座は守られる。生徒会長の立場だからこそ、あのような企画を立案、実行できた」

 

「ふざけるな!そのために私の家族を道具のように扱うなんて・・・更識楯無絶対に許さねぇ!」

 

何か二人の話がどこかオカシイ。何か政治もどきの話を聞かされてる気分だ。

 

「マドカ。気持ちは分かるが落ち着け」

 

「兄さんは悔しくないのか?」

 

「悔しいも何も、楯無さんには楯無さんなりの事情が・・・」

 

「一夏。それが楯無の狙いだ」

 

「ラウラ。言ってる意味が全然分からない」

 

「お前の優しさに目を付けたんだ。お前は楯無の事情を少しばかり知っている。彼女はその事情を武器にお前を生徒会に入れようとしてるのだ。お前が入れば生徒会は少なからず注目を浴び、生徒会長の座は安泰だ。当分の間は生徒会長の支持で頭を悩ます事は無いと考えているだろう」

 

いや、楯無さんが頭を悩ましてるのは別の件だと思う。

 

「一夏。お前はまだ生徒会に入っていない。恐らく楯無は、この学園祭で生徒会が優勝するように仕組んでいるだろう。成績優秀。運動神経抜群。さらにはありとあらゆる格闘技をマスターしている。教官やマドカに太刀打ちできないが、一夏には容赦なく使うだろう」

 

「ラウラ。お前はどうする?私は拳法を捨てた人間だ。あの時のような戦いはできないぞ」

 

「分かっている。今日の放課後に行われる特別HRで発表する」

 

もう、嫌な予感しかしない。

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

「一夏君、大丈夫?」

 

「真耶。何か今日は膝枕をして欲しい気分だよ」

 

昼休み。俺は学園の屋上で真耶と二人で昼食なのだが、食欲が湧かない。俺が学園祭の優勝景品になったとなると、どう気分が上がらない。

 

「あんまり落ち込まないで。こういう時こそ、一組の皆が力を合わせて優勝すればいいんだから。はい、膝枕」

 

真耶の膝に頭を乗せ、気分を落ち着かせようとした。周りに生徒達はいるけど気にする気力が無い。

 

「はい。恋人の時間はここまで」

 

真耶の膝枕は3秒で終わった。

 

「楯無さん!」

 

「織斑君に山田先生、ここはIS学園です。そういう甘い時間は学園外で行ってください」

 

「「は、はい・・・」」

 

「よろしい。じゃあ織斑君、私にあーんしてくれない?」

 

「え!?どうしてですか!?」

 

「あんな甘い雰囲気だした罰。ほら、あーん」

 

そう言い、女の子座りで目を瞑り口を開けた楯無さんに俺は弁当箱に入ってた唐揚げを入れた。

 

「うーん。この唐揚げおいしい!」

 

「そ、そうですか」

 

真耶がいる前で他の人にあーんするのは罪悪感を覚える。

 

「でもね、織斑君。山田先生ばかりに気を取られてたら、彼氏としてはまだまだね」

 

「どういう意味ですか?」

 

「それはね・・・」

 

「兄さん!奴の言葉に惑わされるな!」

 

この声は・・・

 

「あら、マドカちゃんじゃない。どうしたの・・・って、ラウラちゃんに簪ちゃん」

 

怒りの形相した三人が現れたけど、マドカだけ桁違いだ。

 

「どうやら、人の恋路に介入すると言う暴挙に出たか。更に堕ちるようになったな、楯無!」

 

「あのね。これは織斑君と山田先生が・・・」

 

「兄さんと山田先生の恋路を邪魔してまで、シナリオ通りに動かそうなんて!更識楯無!絶対に許さねぇ!」

 

マドカ、とりあえず落ち着け。お前のキャラがぶれにぶれまくってるぞ。

 

「二人は話を聞く気はないの。簪ちゃんは・・・」

 

「私は・・・お姉ちゃんと仲直りしようと思って来た」

 

だけど簪は、『浮気をしている夫と出会った奥さん』みたいに完全に許す気ゼロの雰囲気ですけど。

 

「でも・・・許さない」

 

「えっ!?いや、これは・・・」

 

「自分から何も言わないで、人の恋路を邪魔するなんて人間のすることじゃない!」

 

「うぐっ!」

 

「私よりスタイル優れてるからって、私に見せびらかすなんて人間のすることじゃない!!」

 

「ごふっ!」

 

「恋人が出来ないからって、私とラウラを破局しようとするなんて人間のすることじゃない!!!」

 

「か、簪ちゃ・・・」

 

「お姉ちゃんは!・・・人間じゃなかった?」

 

「何でそうなるの!?」

 

楯無さんのツッコミのキレが良くなってきてる。

 

「ともかくだ。これ以上、人の恋路を邪魔するのであれば我々は全力で貴様と戦う」

 

「ラウラ。我々ってどういう事だ?俺はさっぱり分からないが」

 

「実は、非公式だがIS学園の生徒達の恋愛を応援する組織を運営している」

 

「何なのよ、その組織は!」

 

「その組織は6月に結成されたばかりだが、全校生徒の40%がこの組織に所属している」

 

「私、耳にしてないけど!?」

 

俺も初耳だが。

 

「当たり前だ。非公式の組織だからな。だが、それも終わる」

 

半年も経たずに解散するのって早くないか?

 

「非公式の組織から公式の組織になるからな!」

 

ラウラは胸を張って言ってるけど、とんでもないことを言ってるから。

 

「そんな組織は、生徒会を含め教職員達は認めません!」

 

「生憎だが、既に教職員と生徒会から許諾を受けているぞ駄目無」

 

マドカはポケットから組織運用の許可証を取り出し、楯無さんに見せつけた。

 

「駄目無じゃなくて楯無!と言うより、私の判子が押されてる!誰が・・・」

 

「虚に頼んで、判子を押してもらった」

 

「虚ちゃぁぁぁん!」

 

「だから駄目無なんだ貴様は」

 

三人による言葉のジェットストリームアタックに楯無さんはKO寸前である。

 

「私と嫁、一夏と山田先生、その他生徒の恋愛にあらゆる手段で介入するなら、我々は全力を持って戦う。一つ言っておくが、私と嫁を応援していた組織は我々の組織と合併して無くなった。仕事が減って楽が出来るようになったな」

 

「全然、楽じゃない!寧ろ、辛くなる一方よ!」

 

「駄目無限定で辛くなるだけだ」

 

「駄目無じゃなくて、た・て・な・し!」

 

「お姉ちゃん・・・」

 

「簪ちゃん!」

 

「最低」

 

「ぐはっ!」

 

五時間目開始5分前のチャイムが鳴り、楯無さんの失神で昼休みは終わった。




次回は放課後の特別HRを執筆する予定です。

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