IS 一夏の彼女は副担任   作:陸のトリントン

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あけましておめでとうございます。

新年一発目の投稿「山田先生対セシリア」です。


第45話

セシリアと真耶の決闘当日。俺は真耶と一緒に第一アリーナのピットでセシリアが来るのを待っていた。

 

「セシリア来ないな」

 

「え、ええ」

 

真耶はISスーツに着替えてセシリアがフィールドに来るのを待っている。だけど、セシリアがフィールドに現れる気配が全くない。

 

「もしかして、私があまりにも不甲斐ないから・・・」

 

「いや、セシリアから持ち出して放棄することは無いだろ。それに、これは喧嘩じゃなくて模擬試合だから気にすることは無いよ」

 

真耶はセシリアと戦う事に物凄い抵抗感を持っている。確かに教師が教え子と決闘するのはあまり快くない。セシリアだってそれぐらい分かってるはずだ。どうしてだ?いや、そんなことより真耶を落ち着かせないと。

 

「真耶、物凄く不安なのか?」

 

「そうですよ。私が生徒と決闘するんですよ。一夏君は何も感じないんですか?」

 

「セシリアは何か考えがあって真耶に決闘を申し付けたけど、そこまで深く考えなくても大丈夫だよ」

 

「で、でも・・・」

 

俺は思わず真耶を強く抱きしめた。

 

「一夏君!?」

 

「真耶。これで落ち着いた?」

 

「え?それは、その、まだ・・・」

 

「じゃあ、落ち着くまで強く抱きしめるから」

 

俺は更に真耶を強く抱きしめた。強く抱きしめる度に真耶の肌と触れ合う部分か増え、豊満な胸が俺の体に強く押し付けられるが、俺は真耶が落ち着くまで強く抱きしめた。

 

「一夏君」

 

「落ち着いた?」

 

「ううん。でも、もの凄く落ち着く方法はあるの」

 

「それは?」

 

「えいっ!」

 

真耶が俺を強く抱きしめた・・・って、俺がさっきやったのと変わらないのだが。

 

「一夏君に抱きしめられるのは嬉しいけど、一夏君を抱きしめる方がもっと嬉しいの。だから、抱きしめて良い?」

 

「それって、俺ばっかり真耶を抱きしめてたから自分から抱きしめたいって・・・」

 

「もう、そういうのは言わないで。恥ずかしいから」

 

「分かった。真耶が落ち着くまで抱きしめられるよ。だけど、俺も真耶を抱きしめていいかな?」

 

「いいよ。お互い抱きしめた方が落ち着くと思うから」

 

真耶の緊張をほぐすために互いに抱きしめたけど、緊張はほぐれるのかな?

 

「一夏君を抱いて、一夏君に抱きしめられるだけで嬉しい」

 

「俺もだよ。真耶を抱きしめて、真耶に抱きしめられるのは幸せだよ」

 

どうやら緊張はほぐれてるみたいだ。真耶は今回の決闘で随分焦っていたし、ここは彼氏として真耶を元気づけないと。

 

「お前達。ここは学園だと言うのを忘れたとは言わせないぞ」

 

「お、織斑先生・・・」

 

千冬姉が来たお陰で別の意味で元気づいたよ。

 

「そうだな。山田先生の緊張ほぐすために私の抱擁と言う名のベアハッグをしよう」

 

それだと三途の川に行くことになります。

 

「いや、これは恋人同士が・・・」

 

「おまえはIS学園の教師だ。私の弟の彼女である以前に教師だ。これ以上オルコットを待たせる気か」

 

モニターを見ると、既にフィールド上空にはセシリアのブルーティアーズが待機していた。

 

「それでも抱き合っているなら、二人まとめて三途の川に行かせるか?」

 

「「大丈夫です!」」

 

「ならさっさと離れないか。山田先生はラファールでさっさとフィールドに行け。織斑はさっさとマドカ達がいる観客席に行け」

 

千冬姉、鬼の形相で言わないでくれ。真耶が怖がってるじゃないか。

 

「そうでもしないと、お前達が離れないからだ」

 

「だから何で俺の考えが分かるんだ!?」

 

「姉としての必須技能だからな」

 

「絶対必須じゃない!」

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

千冬姉のベアハッグから鬼神如く逃げ出した俺はマドカ達のいる観客席に向かっている。千冬姉のベアハッグは確実に背骨以外も粉微塵にするよ。千冬姉の顔が物凄く笑顔だったから、確実に三途の川に行かせる気満々だ。

 

「はあ、千冬姉の手で三途の川に行かされる所だった」

 

試合は始まったばかりだ。マドカはどこかな・・・

 

「マドカはどっちが勝つと思う?」

 

「私は山田先生が勝つのに一票!」

 

「ここはセッシーの逆転勝利に一票」

 

清香、癒子、のほほんの三人とどちらか勝つのか話している。真耶の勝利一択しかないんじゃないか?

 

「残念だが、今回どちらが勝つのか予想できない」

 

「どうして?」

 

「この試合を見れば分かる。兄さんも立っていないで席に座ってくれ」

 

マドカは左手の指差しで自分の左隣が空いてると合図を送ってるが、何か罠でも仕掛けられてるんじゃないか不安だ。いや、さすがに考えすぎだ。妹が席を空けてるのに断るのは兄として最低の行為だ。ここは甘んじて誘いに乗ろう。

 

「悪いな、席を空けてまで待たせて」

 

「いや、姉さんが捕獲し易い位置に座らせろと連絡があって」

 

・・・え?

 

「いやぁ、随分と見え透いた罠に引っ掛かってくれて感謝の言葉が出ないな。弟よ」

 

千冬姉・・・いつの間にか俺の背後にいる!?

 

「山田先生との甘い一時を私も味わいたいな」

 

甘くない。千冬姉と一緒にいる一時は絶対に甘くない!

 

「ちょっと別の所で見ようかな・・・」

 

「わ、私も・・・」

 

「おりむーと家族の団欒を邪魔しちゃいけないよね~」

 

三人共!空気を読んでその場から去らないで!

 

「さて、織斑。お姉さんと楽しいお遊戯を始めようか」

 

「ちふ・・・織斑先生!今は試合を観戦しよう!そうしよう!」

 

「ちっ。いいだろう」

 

弟に舌打ちって・・・絶対何かしでかそうと考えてるよ。忍術か拳法の類で俺を三途の川に行かせるつもりだ。

 

「それにしてもセシリアの戦い方、前から全然変わってないような・・・」

 

「兄さんの目は節穴なのか?」

 

「だとしたら、私が直々に鍛え直さないとな」

 

姉妹で勝手に話を進めないで。俺が人間を辞める事前提じゃないですか。

 

「兄さん、セシリアの戦い方は随分と思い切ったものだ」

 

「そうなのか?俺には全然変わってないような気がするが」

 

4基のビットが真耶の周りを駆け巡りながら撃ってるけど、全然当たってない。俺みたいに近距離特化の機体じゃないからビットは斬れないけど、真耶なら・・・

 

「山田先生なら撃ち落とせると思っているのか?」

 

「だから俺の考えをどうして読むんだよ・・・」

 

「姉として弟が人の道を外さないか心配だから」

 

既に人の道を外してる姉が背後にいますが。

 

「よく見ろオルコットのビットの動きを」

 

ビットの動き?

 

「お前との戦いでは一番反応しにくい場所からの攻撃に対して、今回はそれを基に4基のビットに役割を持たせて攻撃している」

 

「4基に役割?」

 

「けん制、攻撃、フェイント、かく乱、4基のビットにそれぞれ役割を持たせて動かしている。状況に応じて4基の役割を変えて相手に悟られない様にしているあたり、相当訓練を積んでいただろうな」

 

「つまり、攻撃の役割を持ってたビットがけん制の役割に変わったり、けん制がフェイントに変わったりと、変幻自在の攻撃が出来る訳か」

 

「そうだ。しかも、ビットの動きが直線的な動きではなく曲線的な動きを交え、ビットに感情を持たせることができるようになったな」

 

「えっと・・・どういう意味?」

 

「機械のような動きから人間のような動きがビットに現れてると言いたいんだ」

 

改めてセシリアのビットの動きを見ると千冬姉の言った通りだ。真耶に反撃されまいと、4基のビットで動きを封じながら攻撃を繰り出してる。攻撃の隙を敢えて見せて誘ったり、真耶の動きを予測して攻撃を行ったり、真耶の真正面を高速で横切って気をそらしたり、以前のセシリアの戦い方とは全く違う。セシリアは制御に集中して動けない訳ではなく真耶の動きを見て迅速にビットの行動を変える、言わば司令官の役割をしている。

 

「織斑、オルコットは山田先生に勝つため、血が滲むような特訓を夏休みの間にしてたに違いない。それでも、山田先生が勝つと断言できるのか?」

 

「千冬姉は・・・」

 

「織斑先生だ。口で言っても分からんなら、今すぐ葉隠柔術を味合わせるか?」

 

「いや、結構です。じゃなくて!この試合で真耶が負けるとでも言いたいのか!?」

 

「恐らくそれはあり得る。オルコットが短期間の間でビットの動きに磨きをかけ、それに苦戦してる時点で負ける可能性はある。山田先生の圧勝などと言う安易な考えは捨てた方が良い」

 

「真耶・・・」

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

「くっ!」

 

ビットの動きが以前とは比べものにならない程、変わっている。私に攻撃を与える隙を与えずにビットの攻撃をしてくる。

 

「どうしたのですか?あの時の様に攻めてこないのですか?」

 

「オルコットさんが私に決闘を申し込んで来た理由を聞いてないからです」

 

「理由?いいですわ。お話いたしましょう」

 

オルコットさんは攻撃を止めてビットを収納した。そして、全回線をオープンチャンネルにして決闘を申し込んだ訳を話した。

 

「わたくしが山田先生に決闘を申し込んだのは他ではありません。一夏さんのことです」

 

「どういう事ですか?」

 

「山田先生が一夏さんとお付き合いしてるのは周知の事実でございます。ですが、それでも恋に諦めきれない乙女は多々おります。わたくしも最初はそうでした」

 

「最初は?」

 

「はい。なので最初は一夏さんに積極的にアプローチして、一夏さんと恋仲になろうと思っていましたが、お二人のお付き合いを見てる内にそれが恋心なのか疑わしくなってきました。ですので、わたくしはここで宣言をします」

 

「せ、宣言?」

 

息を整えて、オルコットさんは気を落ち着かせ・・・

 

「この決闘で一夏さんの想いにケジメをつけます!山田先生。これはISの操作技術で勝敗を決しません!一夏さんへの愛の力が勝敗を決します!」

 

「ええっ!?あ、愛!?」

 

「そうですわ。一夏さんへの愛が本物なら、わたくしを倒すなど容易のはずです!」

 

オルコットさんはスターライトの銃口を私に向けた。

 

「わたくしの愛と山田先生の愛。どちらが一夏さんへの想いが強いのか、確かめさせてもらいますわ!」

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

「織斑、オルコットは本気で山田先生に勝つ気でいる」

 

千冬姉、それは分かってる・・・

 

「だとすると、山田先生の行動パターンは熟知しているから、純粋に愛の力が勝敗を決するのか」

 

マドカ、それも分かってる・・・

 

「どうした織斑?随分不機嫌だが」

 

「二人の言ってる事は分かる。だけど・・・」

 

「どうした兄さん?」

 

「どうして俺に関節技を決めてるんだ!?」

 

「私はお前の肩に腕を添えてるだけだが?」

 

「その腕が俺の首を絞め始めてるです!」

 

「私は兄さんの腕を抱いてるだけだが?」

 

「腕を捻じりながら抱く人なんて見たこと無い!」

 

お陰で息苦しさと痛みが同時にやって来る!

 

「別にいいではないか。家族の団欒を少し味わってるだけだ」

 

「兄さんも山田先生ではなく、家族との触れ合いを大切にすべきだ」

 

「ニヤニヤしながら力を入れないでくれ!苦しいから!」

 

このままだと意識が遠のくと思った瞬間、フィールド上空で爆発が起こった。

 

「真耶がやったのか!?」

 

真耶がセシリアに渾身の一撃を与えたのか!?だけど、爆発の煙から現れたのは・・・

 

「え・・・うそ?」

 

物理シールドを一基失った真耶のラファールが、アリーナのグラウンドに向かって落ちて行く姿だった。




次回、「山田先生対セシリア」が完結する予定です。

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