甘々が少ない!
お許しください!
その代わり、すっごくカッコいい登場をするキャラが出ます!
二日目の朝。
俺は真耶と一緒の布団から起き上がり、真耶の寝顔を見つめてた。
眼鏡を外し、安らかな顔で寝息を立ててる顔を見て、俺はカメラを取り出した。
「そういえば、真耶の寝顔を撮ってなかったな」
そう言い、俺はファインダー越しに映る真耶の寝顔を見ながらシャッターボタンを押した。
パシャッ
「んん・・・」
シャッター音が目覚まし代わりになったのか、真耶は目を擦りながら体を起こした。
「おはよう、真耶」
「ん・・・おはよう・・・一夏君」
まだ少し寝ぼけている。けど、その時の真耶の顔はまるで子猫のように愛くるしい表情をしてるから、見惚れちゃうんだよなあ。
「真耶、メガネだよ」
「ありがとう・・・一夏君」
その後、顔を洗って眠気を覚ました真耶と、朝の恒例行事を行っていた。
真耶の胸に顔を埋め、真耶が俺を抱きしめる・・・・・・変態じゃないからな。
「ふふっ。こうしてると、一夏君から元気をもらってるみたい」
「俺は、真耶から元気をもらってるけどな」
実は真耶が結構気に入ったらしく、俺が顔を埋めてると何だか母親になった気分になるって言うんだ。俺が物心付く前から両親がいなかったから分からないけど、母親ってこんな感じなのかな・・・
「一夏君。もし学園でもしたくなったら、私は喜んで引き受けるから」
決して、いやらしい意味ではない。この行為に対して言ってるんだ。この行為もいやらしくないからね!
「うん」
「一夏君って男前なのに、結構甘えん坊さんなんだね」
「それは真耶が・・・可愛いから・・・」
俺は顔を赤くしてしまった。甘えん坊さんって・・・恥ずかしいから真耶。
「そんな一夏君には、ご褒美ね」
「それって・・・」
俺が言い切る前に、真耶は浴衣の脱いで上半身を曝け出し、そのまま俺の顔を胸に埋めさせた。
「いつも服の上とか下着の上の時でしかやってなかったでしょ。素肌でやってみたかったけど、どう?」
本当は本番行為に行きたくなかったから、服の上とか下着の上でしてたけど・・・
「気持ちいいです」
「よかった」
気持ちいいとかそういうレベルの物じゃない。これが天国に思えてきた。ずっとこうしたい。学園にいても授業をボイコットしてでもこうしたい。千冬姉の出席簿で頭が陥没してもずっとこうしたい。・・・大丈夫か、俺。
「真耶・・・」
「なに?」
「学園でも、素肌でやってくれる?」
「いいよ。一夏君の安心した顔を見るの好きだから、学園でもしてあげる」
男の
「どうやら・・・最後の最後で大きいものを投下したな山田は・・・」
「そうですわね・・・では参りましょう・・・」
「ああ・・・決戦の地へ・・・」
二人はいろんな意味で原形を留めていなかった。
俺と真耶は温泉街から離れた市街地にいる。
家電量販店からパソコン専門店、今流行りのレストランから知る人ぞ知る喫茶店など、有名所からマニアにしか知らないお店が立ち並ぶ、何だか凄い街である。IS学園より凄くないかこの街。
「うわぁ。いろんなお店がありますね」
「ああ。いろんなお店があってどこから行けばいいんだか」
俺と真耶はいろんなお店に目を奪われ、どこに行けばいいのか迷っていた。
「どこにしようかな。真耶、あそこなん・・・か・・・」
その迷いが、致命傷だった。
「こんなところで会うとは、奇遇だな一夏」
「こんなところでお目にかかるとは、おはようございます山田先生」
箒とセシリアがいた。なんでいるんだ。後、冷や汗と胸の高まりが止まらない。
「二人とも、そんなに仲良かったのか?」
「いや、これも何かの縁だと思い、話してたら・・・」
「馬が合って、そのままお友達になりましたの」
なんだろう・・・すごく嫌な予感がする。
「ここで立ち話をするのもなんだし、あそこの喫茶店で話そうじゃないか」
勝手に話を進めないでくれ箒。
「い、いや、俺には・・・」
「安心しろ、山田先生にも話があるから一緒に食べよう。みんなで食べた方が、美味しくなるって言うだろ?」
箒、目に光が入ってないぞ。そういえば、真耶は・・・
「山田先生、どうかなさいましたか?どこか具合でも悪いのですか?」
「い、いえ!そんな事ではありません」
「そうですか。では、一夏さんと
セシリアに怯えてる。というより、セシリアの目にも光が入っていないぞ。
「行くぞ、一夏。楽しい話ができなくなるだろ?」
「それでは参りましょう、山田先生。楽しいワルツが終わってしまいますわ」
二人の気迫に押されたまま、俺と真耶は二人が指定した喫茶店の席に座っている。
ハッキリ言おう、これは退路を断たされている状態だ。俺と真耶を窓側に押し付け、箒とセシリアは通路側に座り、簡単に逃げられない。野暮用で席を外しても、片方が監視するに決まってる。しかもボタンで呼び出さない限り、店員は来ない。おまけに周りから見づらい位置だ。
というより、
「一夏どうした?遠慮する必要はないだろ。私とお前は幼馴染なんだから」
その幼馴染に殺されかけたんだぞ!
「山田先生、遠慮なさらずにご注文を」
セシリア、代表候補生がそんな怖い顔しちゃダメだろ。
「お、織斑君は何が・・・食べたい・・・のですか?」
「俺はナポリタンで」
「じゃ、じゃあ私もそれで!」
真耶、安心しろ。二人が俺と真耶の関係を知ってるはずがない。
「二人とも何か頼んだらどうだ?」
「そうだな、アイスコーヒーとワッフルでいい」
「わたくしは、紅茶とスコーンで」
「何で軽食にするんだ?二人とも、遠慮せずに・・・」
「ここに来る前に食べてしまったからな」
「ボリュームがあるものでしたわ」
何か、事前に打ち合わせをした様な感じだな。
その後、俺と真耶はナポリタンを食べていたが・・・
「箒。食べたかったら、あげるから」
「いや、お前はそのまま食べていろ」
「あ、ああ。」
視線がキツイ。
(一夏の食べっぷり・・・最高だな。やはり、山田を倒さねば)
(箒さん。そろそろ・・・)
(そうだな・・・)
「一夏」
「どうした、箒?」
「どうして山田先生と一緒にここにいるんだ?」
やっぱりその質問か・・・
「本当は千冬姉と山田先生が行くはずだったんだけど、千冬姉に急用が入って代わりに俺が行く事になったんだ」
まあ、無難な理由だよな。
「そうか・・・」
「そうですの・・・」
あれ・・・二人が笑ってるんだけど。
「実はな一夏。ある人物から、こんな画像を送られて来たんだ」
箒はバックからノートパソコンを取り出し、俺と真耶にある画像を見せた。それは・・・
俺と真耶が手を繋いで、温泉街を歩いてる画像だった。
「これは、山田先生とはぐれないように手を繋いでただけだよ」
見苦しい言い訳だが、二人は納得してくれたようだ。後、凄く汗が止まらない。
「では、これは一体何ですの?」
セシリアが見せた画像で俺の汗は止まらなくなった。
今朝の行事が映っていた。しかも動画付きときたものだ。
「まだあるぞ。これは何だ?」
間髪入れずに箒が見せたのは、昨夜の露天風呂での様子だった。これも動画付き。
俺のシールドエネルギーが容赦なく削られていく。
俺は何とか平静を保っているが、真耶は顔面蒼白で汗を流したまま固まっている。
「一夏さん。まさか、山田先生とお付き合いしてらっしゃるのですか?」
付き合ってるさ!って堂々と言いたいけど、声が出ない。悪魔に心臓を握り潰されてる感覚に襲われて、口が思うように動かない。
「いや、これは・・・その・・・」
「一夏。お前が山田先生と付き合ってることがバレたらどうなる?少なくとも、山田先生は学園を去ることになるんだぞ!」
何で付き合ってることを前提に話を進めてるんだ!?確かに付き合ってるけどさ。
「そこで、私にいい考えがある」
それ失敗フラグですよ、箒司令官。
「これからは、私とセシリアの三人で学園生活を送ることにする。異論は認めん!」
「異議あり!」
「異論は認めないと言ったはずだぞ!」
お前、篠ノ之箒なんだよな!?
「一夏さん。倫理に反することが、正義だと仰りたいのですか?」
「そうだ!山田先生こそが正義だと言いたいのか!」
ギャグで言ってるんだよな、箒!?
「とにかく、これ以上騒ぎが広がる前に私達と暮らせ!」
結局はそれかよ!
「あんな悪魔の体で誘惑する女より安心できるだろ!」
「あ、悪魔!?」
真耶をそんな目で見てたのかよ、箒!真耶が落ち込んでるぞ!・・・確かに体つきは凄いけど
「一夏さん、何故そこまで拒むのですか?お二人がお付き合いしてるのではないかと、学園中で噂が広がっていますのよ。それが本当の事でしたら、真耶さんがどうなるのか分かっているはずです」
セシリアの淡々と語られた事実に、俺は黙ってしまった。
俺と真耶は恋人同士であると同時に生徒と教師。それは社会倫理としてはあってはいけない関係だ。だけど、俺は真耶を一人の女性として愛してるんだ。セシリアの言ってることに間違いはない。箒の提案も邪念が含まれているが、妥当の提案だ。でも俺は嫌なんだ。
力を求めるあまり真耶を傷つけてしまった時も、俺を見捨てず向き合ってくれたし、自暴自棄になってた時だって慰めてくれた。俺が風邪で倒れた時も最後まで介抱してくれたし、大怪我を負った時も看病してくれた真耶を俺は守りたいんだ。傍にいたいんだ。
でも願えば願うほど、真耶を苦しめることになる。俺達が付き合ってる事が学園中に知られたら、俺はともかく真耶は箒の言うとおり、学園を去ることになる。一緒にいればいる程、そうなる可能性は必然的に高くなる。
改めて考えると、二人は間違ったことを言っていない。俺と真耶に見せたものは、他の生徒から見れば社会的にアウトのモノなんだ。二人は正しいことを・・・言ってたんだ。だけど俺は・・・それを認めたくないから・・・周りを拒絶してたんだ。真耶の温もりが・・・嬉しかったのも・・・唯の・・・逃げだったんだ。真耶と・・・久しぶりの・・・デートが・・・楽しかったのは・・・逃げ・・・だったんだ。
俺は・・・・・・間違って・・・・・・いたんだ・・・・・・教師である・・・・・・
・・・・・・真耶に恋することも、会うこと自体も。
二人の意見を・・・・・・・・・受け入れるしかない。
「箒、セシリア・・・俺・・・」
「一夏、分かってくれたのか」
「一夏さん」
(一夏君・・・)
「俺は・・・」
俺は泣いていた。己の不甲斐なさに、己の未熟さに・・・
受け入れよう・・・
それが・・・正しい事ならば・・・・・・・・・
「待て!」
「「「「ん?」」」」
二人の意見に従おうとした時、誰かが俺の言葉を遮った。声がした方を向くと、何かのシルエットがぼんやりと映っていた。あと、高い所にはいなかった。
「優勢と劣勢には翼があり、常に戦う者の間を飛び交っている・・・」
この静かな怒りを含んだ声は・・・
「例え、絶望の淵に追われても、勝負は一瞬で状況を変える・・・」
心の仮面を外し、自分の贖罪のために戦い・・・
「人、それを回天という!」
最近、究極生物になりつつある人だ!
「だ、誰だ!名を、な、名乗らないか!」
「そ、そうですわ!あ、あ、あなたは誰れなのです!?」
箒とセシリアが動揺してる時点で分かる。あれは・・・
「貴様らに名乗る名前はない!」
「で、誰が究極生物になりつつある人だって?一夏?」
「すいません、千冬姉・・・」
その後、俺と真耶は千冬姉と一緒に旅館に戻り、千冬姉の鉄拳を喰らった。あと、
千冬姉・・・一体何の拳法を習得したの?
「というより、千冬姉。どうしてここが分かったんだ?」
「SHINOBIの勘と剣狼の導きだ」
千冬姉・・・あなたは人間なんですか?
「ともかく、二人が無事で何よりだ」
「「・・・」」
「分かってる。あの二人は後で三途の川に送らせる」
殺人前提ですか・・・
「後、あの画像と映像は誰かが送ったものではない。あの二人が盗撮したものだ」
「「え?」」
あの会話全部ウソだったのかよ!?
「ISを犯罪に使うなど、この私を本気にさせたいらしいな・・・あの二人は」
篠ノ之束が相手でも勝てる見込みが大有りだ
「というわけで、私は退室する。あとは二人で・・・」
「千冬姉・・・待ってくれないか」
あの二人がISを使って犯罪を犯したのは事実だ。でも、そんな風にさせたのは・・
「なんだ?」
「その、寮の部屋で相談が・・・」
「一夏、言いたいことは分かる。だが、姉として言わせてもらう」
何で、言いたいこと分かるんだ!?
「なに?」
とりあえず聞こう・・・
「あの二人の言ってる事がすべて正しいと言うなら、それは山田君と私の存在を否定することになる」
「え・・・」
「私はお前に心を救われた。そして一夏の心を救ったのは山田君だ。あの二人の言ってることは、その事実さえ否定することになる」
「でも、俺と真耶は生徒と教師で・・・」
「お前は、山田君が教師だから付き合ってたというのか?」
「違う!俺は一人の女性として愛しているから・・・」
「お前は私の心を踏みにじってまで、真耶を守って幸せにしたいか?」
「そんな訳ないだろ!千冬姉だって、俺を支えてくれた家族なんだ・・・から」
「ようやく気付いたか」
「え?な、何がですか!?」
だから、千冬姉ニヤニヤしないでくれ。後、真耶が分かってないから説明を頼む。
「山田君、私達は互いに支え、支えられている関係にあるんだ」
「・・・へ?」
・・・その説明じゃ分からないよ。俺も分かってないし。
「さっき言ったように私は一夏に心を救われた。一夏が誰かを救うようになったのは、山田君が一夏の心を救ったからだ。そして二人が出会うようになったきっかけを作ったのは、私だ。分かったか」
その直後、真耶は何故二人の提案がダメだったのか分かった。
「つまり、篠ノ之さんとオルコットさんの提案には・・・」
「互いに支えあう考えなんて入っていない。むしろ、一夏を奪い取るための血なまぐさいことが起こるだろう」
千冬姉の言いたいことが分かった。
つまり、真耶とのお付き合いが結婚前提にしたお付き合いでも全面協力する。
というより、結婚を前提としたお付き合いをさっさとしろって言いたいことでしょ?
「正解だ、一夏!」
だから、何で考えが分かるの?
「とにかく、私はお前達の幸せを邪魔する者を倒すことにしている。それが私にできる贖罪だ」
「千冬姉・・・」
「一夏、あの二人が言った事がたとえ事実でも、お前は真耶を守れ。今のお前なら力の使い方を理解できてるはずだ」
俺は、自分に関わってくれた全ての人を守ろうと考えていた。自分の力で・・・たった一人ですべてを守ろうと考えていた。でもそれは間違っていた。本当は、誰も信じていない自分を見るのが怖くて、逃げるための口実だってことを。
だけど、今は違う。
「千冬姉、俺・・・守ってみるよ。真耶を・・・真耶の幸せを」
俺は一人じゃないんだ。俺を支えてくれた人達がいるから、今の俺がいるんだ。
「どうやら、吹っ切れたようだな。では改めて退室・・・」
「千冬姉!」
「なんだ?」
「・・・ありがとう」
「姉として、当然のことをやったまでだ」
そう言って、千冬姉は部屋を後にした。
そういえば、爽やかな笑顔をした千冬姉・・・見るの初めてかも
「一夏君」
「真耶、どうしたの?」
「私、一夏君の悩みが無くなって嬉しい・・・」
真耶は俺の体に抱き着いてきた。
「私も怖かった。自分のやってる事が本当はいけないことだって」
「真耶・・・」
「でも・・・私、決めたの。一夏君を愛してるなら、結婚して死ぬまで一夏君と一緒にいるって」
・・・ええ!?
「そ、それって・・・」
「一夏君。私を・・・私を!」
これは真耶の・・・・・・
「プロポーズは学園を卒業してからだ!!あと、明日は私とバカ二人と一緒に帰る!午前の新幹線に乗るから、夜の営みは我慢しろ!」
「「・・・はい」」
千冬姉・・・最後に釘を刺さないで・・・
次回は、チャイナちゃんが登場する予定です。
おまけ
※これは本編開始前の織斑千冬のお話です。これを読まなくても次の話を読むのに支障はありませんが、彼女のキャラがより一層理解できる話になってる・・・はずです。
私は一人の女の口車に乗り、世界を変えてしまった。
彼女の作ったスーツの力を世界に見せしめるために・・・
そして、私自身を変えてしまった。
織斑千冬の仮面
最愛の弟を守るため、私は強くなろうとした。
皆が仕事や恋に励んでいる中、私はISを身にまとい戦った。
「これは、弟を守るために必要な力だ。弟は誰にも渡さない。」
そう思い、強くなっていった。
ブリュンヒルデの称号を貰っても、私は強くなろうとしていた。
その時だったか・・・私は一人の女性と会った。
その女性は日本代表候補生で、なぜか私に対して強い憧れを持っていた。
おまけに私より胸がデカいときてる。
だが、馬が合ったのか私はその女性と仲良くなった。
最初は、私がISの訓練に付き合っていたが、徐々に彼女が私のIS訓練に付き合っていた。
彼女は、私の猛撃に倒されながらもひたすら立ち上がって、訓練に付き合ってくれた。
だけど、本当は付き合いたくなかった。
なぜなら、私の仮面にヒビをいれてくるからだ。
まっすぐひたむきに、頑張る姿は私にとって苦痛でしかなかった。
あそこまでの情熱や思いを乗せたことなど無いからだ。
訓練を終えるたび、彼女は私に訓練の評価を求めてくる。
やめろ・・・その純粋な笑顔を私に向けるな!
やめろ・・・やめてくれ!
私は・・・強くならなければならないんだ!
だが・・・現実は私を見放した。
第二回モンド・グロッソ決勝戦当日であった。
弟が誘拐されたのだ。
ドイツ軍の協力もあり、命に別状はなかったが、私は己の弱さを呪った。
何が世界一だ・・・何が最強だ・・・
弟一人守れずに、何が国家代表だ!
その後、ドイツで一年間教官を務めなければならない時、私は弟を彼女に預けた。
本当は弟に会わせる顔が見つからなかったからだ。
そして、私は弟から逃げるようにドイツへ向かった。
だが、毎晩弟が夢に出てくるのであった。
私は嫌だった。弟を救えなかったのに、弟を置いてドイツへ逃げてきたのに、なぜ、弟が夢に出てくるんだ。
弟はあの女性と仲良く暮らせばいい。
私の存在を忘れろ!
そのため現実逃避なのか、私は部隊の落ちこぼれを集中的に指導した。
その落ちこぼれは見る見るうちに強くなり、部隊長にまで帰り咲いたのであった。
その部隊長は私を見るたびに笑顔でやって来たが、私の心は暗かった。
弟の事が頭から離れない・・・
その後、私はいろんなことを試した。
剣道を極めたり・・・
ある拳法を習得したり・・・
SHINOBIの道を歩んだり・・・
酒を使って逃げることも試みた。
それでも、私の心から弟が消えることは無かった。
そして、一年が過ぎて私は日本へ帰る事となった。
本当は帰りたくなかった。だけど、そう思う心とは逆に体が家へ一歩ずつ向かって行った。
やめろ・・・私を弟に会わせるな!
しかし気付いたら、私は家のドアを開けていた。
そこには、弟と弟を預けていた女性がいた。
私は、いつものように仮面を付け二人と接していた。
だが・・・
「どうして、一人で全部背負うんだ?」
弟に見抜かれていた。私が仮面を付け、今まで接してたことを・・・
情けない話だ。この私が弟に自分の弱さを隠していたことを見抜かれたなんて。
その後、いつの間にか私は弟と女性にすべてを話していた。
白騎士事件の真相・・・
織斑マドカの存在・・・
そして、自分の本心・・・
これ以上失うものなど何もない。私は、己の命を捨てる事だって・・・
「これからも、一緒に家族としていよう!マドカも迎えて!」
何を言ってるんだ?
私が一体何をしたのか分かって言ってるのか!?
あいつの口車に乗って、テロをやったんだぞ!
テロリストなんだぞ!?
「俺にとって千冬姉は自慢の姉で、たった一人の家族なんだ。だから、見放したりしないよ」
私の仮面は・・・壊れた。
「い・・・一夏ぁ!」
私は一夏に抱き着き、大声で泣いた。
情けない程、大声で・・・
今なら素直な気持ちで言える。
私はISなんか乗りたくなかった。一夏と一緒に普通に暮らしたかった。
それができなくなって、それがつらくて私は逃げてたんだ・・・
だけど、一夏はそんな私を温かく迎えてくれた。
嬉しい・・・それだけでも私は嬉しい・・・姉として幸せ者だ。
それから、私はIS学園の教師として生きているが、それは逃げの手段として使ってはいない。
自らの犯した過ちを背負い、一夏の幸せのために、私は教師という道を選んだ。
例え、それが自己満足であろうと私は逃げない。
何故なら、ブリュンヒルデの織斑千冬でも白騎士の織斑千冬でもない。
私は・・・
織斑一夏の姉、「織斑千冬」として生きているからだ。