『クロノ・ハラオウン』
僕は『時の庭園』から脱出してみんなに東条如斗のことを話した。
エミリーと一緒に彼の行動を追跡してた時、偶然に見てしまったんだ。
「彼東条如斗は・・・虚数空間に落ちた」
それを聞いたユーノ、フェイト、アルフは驚愕の顔をしていた。
「え? ゆ、如斗君は・・・どうなったの?」
虚数空間に落ちた者の末路を知らない、なのはは僕に聞いてきた。
「虚数空間は魔法などあらゆる力を無力化してしまう空間だ・・・落ちたら重力の続く限り落ちて行く・・・つまり」
「アイツ東条如斗は二度と帰ってこない」
結論を言ったのは風見悠だった。
「う・・・嘘」
なのははその場に崩れ落ちた。 きっと、如斗が帰ってこないことがまだ信じられないのだろう・・・
「なのは・・・」
今回の主犯『プレシア・テスタロッサ』の犠牲者フェイト・テスタロッサは、泣きじゃくるなのはの傍に寄った。
「もう、そんなこと、どうでもいいだろ早く帰ろうぜ・・・」
・・・この空気のなかで1人だけ冷たく言い放ったのは、風見悠だ。
「アンタ! こんな状況でよくそんなことが言えるわね!!」
それを聞いて叫んだのは、フェイトの使い魔であるアルフだった。
「死んじまったなら仕方がないだろ? それだけの話だ」
彼は・・・精鋭部隊として多少の時間を共にした者とは、思えない言い方だった。
「君はどうしてそんなことを言える!!」
風見悠の言葉に激怒したユーノは風見悠の胸ぐらを掴んだ。
「如斗だって、一緒に戦った仲間だろ? なのに何故!?」
激怒しているユーノに風見悠は冷たく・・・
「お前・・・五月蝿いよ」
と言いながら、風見悠は右手からレイピアの様な物を作り出し、そのままユーノの左太股を突き刺した。
「グッ!?」
いきなり、足に痛みが走り、ユーノは耐えきれず二歩三歩下がりその場で倒れた。
「風見悠! 君は一体何をしてるんだ!」
僕は風見悠とユーノの間に入った。
だが、風見悠は淡々と・・・
「・・・うるさいからさした」
と呟いた。
・・・うるさいから? 刺した?
何故そんな理由で殺傷行為をするのか?
彼に一体・・・
「ユーノ君大丈夫!?」
泣き崩れてた、なのはは風見悠から距離とったユーノに近づいた。
「・・・なのは、僕は大丈夫だから」
刺された足を押さえ、苦しんでいるユーノに再び、なのはは涙した。
「風見君どうしてこんなことするの!?」
涙を流し風見悠に抗議するが・・・
「どいつもこいつもうるさいなぁ」
彼は聞く耳を持たなかった。
・・・今の風見悠はどこかおかしすぎる。どこか・・・
「おまえらころしたらしずかになる?」
レイピアを捨て、新たに剣を作り出し虚ろな目でゆっくりと近づいて来る。
ダメだ、なのは達は先程の戦闘で魔力を大分消耗している。
ならここは、僕が・・・
懐からデバイスを何時でも出せるように手を伸ばし
「ーーー随分と冷徹犬に成り下がったな」
ふっとアースラのテレポーターから知らない声がした。
僕は振り向くとそこには黒ずくめの姿をした男がいた。
黒いオーバーコートを着て、背中まで伸びている黒い髪の毛、全く見覚えがない男だった。
そして、一番印象的なのは男の左目だ。
その目はとても綺麗な碧い瞳・・・をしていたことだった。
「自分で封印したジュエルシードに操られてやがるな」
男は歩きユーノの側に近づく。
「待ちなさい! 貴方は何者なの?」
母さん、リンディ艦長が男をの行動を妨害しようとするが・・・
男はリンディ艦長を普通にスルーし、ユーノ・スクライアの前に立った。
「ほら、傷口を見せてごらん」
押さえている手を無理矢理どかして、男は手をユーノ・スクライアの傷口に手を添えた。
「貴方は一体・・・」
ユーノ・スクライアの質問に男は微笑みながら答えた。
「嫌だなぁ~師匠は俺の顔も忘れた? もしかしてボケた?」
半分嫌味を吐き男はいつの間にか、ユーノ・スクライアの傷口だった場所から手をどけて、続いてはなのはの頭を撫でていた。
「ただいまなのは」
その一言でこの場にいる全員は男の正体がわかった。 それは・・・
「もしかして如斗君?」
「正解♪」
なのはの答えを男はいたずらな笑みを浮かべた。
「如斗、君は一体どうしたんだ?」
隣でユーノは皆が一番聞きたいことを尋ねた。
「あ? これ?」
如斗は自分の左目を指した。
それもそうだが君の体のことをだな・・・
「正直よくわからん、目が覚めたらこうなってた」
如斗の適当な発言に、全員あっけらかんな顔をしていた。
「さて・・・次はお前だな」
みんなの反応を気にせず如斗は、両手に剣を持っている、いぬ耳尻尾を生やした虚ろな目をした男の子、風見悠を見ながら呟いた。
「おまえころす」
風見悠の虚ろな目は何処までも、ほの暗い目をしている。
「本来ならプギャーを言って馬鹿にしたいが、いいぜ本気できな」
東条如斗は挑発しながら風見悠と対等に立った。
「ころす」
ジュエルシードに意識を操られた状態でも馬鹿にされてることが分かってるらしく両手の剣を上段に構え襲い掛かった。
しかし、風見悠よりも早く、東条如斗は右手の指・・・中指を曲げて・・・『ピンッ!』と風見悠の額を弾いた。
つまり、東条如斗は武装をしている風見悠に『デコピン』で勝ったのだ。
デコピンをされた風見悠は、アースラの壁にまで飛ばされ頭を強く打ち、目を回して気絶していた。
何と言う呆気ない戦いだった。
・・・・・・・・・・・・・・・
続きも僕が話そう。 この事件『PT事件』はこれで解決した。
今回の事件の要は全てロストギア『ジュエルシード』にあった。
ジュエルシード、僕達が知ってる範囲では、周囲の生物が抱いた願望(自覚のある無しにかかわらず)を叶える特性を持っていると、考えていたがもう1つ付け足す必要がある。
『ジュエルシードを長時間持っていると、本人の精神的に侵食され破壊衝動に駆られる』とのことだ。
それによって、被害者も以下の人物に当たる。
『プレシア・テスタロッサ』
『風見悠』
『東条如斗』
まず、初めの被害者『プレシア・テスタロッサ』は娘『アリシア・テスタロッサ』死を悲しみ、娘を生き返らせるために、『忘れられし都』もしくは『アルハザード』に死者さえも蘇らせる秘術があると言う眉唾な話を信じ『時の庭園』と『ジュエルシード』を使い向かう筈だったが、時空管理局と偶々、鉢合わせた3人の魔法使いによって阻止し、無事事件は解決した。
そして虚数空間に娘『アリシア・テスタロッサ』と共に落ちたが東条如斗が救出をしていたので無事が確認していた。
しかし彼女が起こした今回の事件での罪状はまだ裁定中とのこと。
次に『風見悠』は『ジュエルシード』を紛失した、世界の住人である。
デバイスを自分自身で作り出すことができる能力を持ち、その力はSランクオーバーと予測。
今後のことを考えると彼を管理局に入ることを密やかに願う。
我々がこの世界に来た時には既に『ジュエルシード』の回収を行っていた理由は不明。
『ジュエルシード』を回収してのはいいが、最終的に心の隙をつかれ、暴走をするが東条如斗により正気に戻すのに成功。
風見悠は念のためにしばらく、メディカルチェックを受けてもらうことになる。
最後の人物は『東条如斗』は『風見悠』と同じ世界の人間である。
彼にはデバイスがあり銃剣の様な物を扱う。
魔力は『風見悠』と同じくSランクオーバーだと予測される。
そして、今回の事件の一番の被害者でもある。
彼の体には回収される筈だった『ジュエルシード』合計21個分が東条如斗に寄生されている。
寄生した『ジュエルシード』は今のところ人体に異常は無いが彼の左目に自己主張するかの様に目が碧に変色している。
彼、自信は『モーマンタイ』と答えているが、これから管理局に連れてジュエルシードを切り離すために一時的だが彼には世界から離れ『ミッドチルダ』に連れていくことに決定した。
そして、何よりも気になることがある。
東条如斗が扱う『魔法』は常識的には有り得ないことをやってのけたのだ。
プレシア・テスタロッサの娘『アリシア・テスタロッサ』を彼は生き返らせることに成功し、プレシア・テスタロッサの病と寿命を直し、最後にはプレシア・テスタロッサは20代近くまで『肌』が若返っていた。
これには、アースラの艦長リンディ・ハラオウンが深く追求しているが詳細は不明。
以上、時空管理局執務官 クロノ・ハラオウン