『風見悠』
「クソ! 間に合わなかったか・・・」
海鳴市の12月は、都市部の方でクリスマスの飾りつけで町は賑わってた、手を繋ぎ寄り添うカップル、親子でケーキを買う姿や、こどものプレゼント選びで迷ってる父親・・・
だが、俺・・・風見悠はそんなのとは、関係が無い場所つまり、『路地裏』に立って居た。
路地裏には1人の魔導師が倒れていた、呻き声を上げているので死んではいないと素人の俺でも認識が出来た。
「クロノ、風見だ1人やれているのを見つけた、直ぐに来てくれ!!」
これでもう、何人目の犠牲者か分からないが、コイツも恐らく・・・リンカーコアの魔力を蒐集されてる筈。
記憶が合ってるなら、これは、『ヴォルケンリッター』守護騎士の仕業・・・なら、次に被害が出る可能性が高いのは・・・高い魔力を持ってる『俺』
俺は悪態を付きながら、自分の持てる力の範囲で、夜の海鳴市を駆け回った。
ようするに自分を『囮』にしながらだ。
・・・・・・・・・・・・・・・
「つまり、今回の事件は『闇の書』が関与してると?」
「その可能性は高いと思うのだが・・・」
翌日、俺は学校を休み、クロノと会っていた。
「ふむ、確かにこれは『闇の書』事件と考えた方が妥当だろうな・・・」
前回の闇の書事件と似た様に、魔力を蒐集されていることに一早く気づき、調べていたクロノのおかけで、素早い対策を練ることができた。こう言う時、賢い奴は頼りになる。
「闇の書の事件もそうだが、参ったな・・・東条の捜索もあるのにな」
そう、東条如斗の捜索も、もう半年程経っていたが、今だに見つかってなかった。
「如斗も見つからないし、これ以上の捜索に人員を回すことも出来ない・・・一帯どうすれば」
クロノが悩んでる時、俺は声を出した。
「なら、俺が捜索を続けるよ、索敵は得意な方だ、任せてくれ!」
「しかし・・・」
クロノがごねるが、そんなのお構い無しに続ける。
「アイツには『借り』を返す機会なんだ、頼む」
力強く言うとクロノはため息をつき、渋々了承してくれた。
『借り』それは半年前、敵対して、共闘し、そして助けてもらった『恩』が合った。
ジュエルシードの魅力に虜になった俺を、アイツは助けてくれたけど、俺はアイツに礼を言えなかったのが心残りで・・・今日まで何も出来なかった。
だから、礼はちゃんとしてやる。 東条が『嫌だ』って言われてもだ!
そんな、決心をしながら俺は再び、東条を捜すために町に向かった。
『東条如斗』
「ふぁ・・・ハックション!!」
「うわ、きたねぇ!?」
ズズ・・・誰か噂でもしてるのか?
「おい! くしゃみするなら手を使えよ!」
話をしてる途中でヴィータの目の前でくしゃみをヴィータの目の前でやらかしてしまい、ヴィータは激怒していた。
「あぁ、悪い悪い」
ティッシュで口元を拭き取り、適当に謝った。
「ったくよ・・・で? 用って何だよ?」
ヴィータが悪態を付きながら本題を聞いてきた。
「あぁ、最近シグナム達もだがお前ら何やってるの?」
そう、はやてが石田先生の所で診察して以来、シグナム達は夜な夜な外に出てなかなか帰ってこなかった。
最初は週に2.3回だったが、12月に入ってから毎日の様に家を空けているのだ。
「べ、別に何もねぇよ」
ヴィータがプイッと顔を背ける・・・クソ可愛ぇぇ
「いや、帰ってこないなら事前に連絡をだな・・・飯だって皆が帰ってくるの、ずっと待ってるんだぜ?」
少し前は、はやてと二人きりだったが、今はこの大所帯でのご飯も気に入っていたから、何て言うか・・・少し寂しさがあった。
「・・・ゴメン」
ヴィータも気持ちを察してくれたのか、 頭を下げて謝る。
「なぁ、それは俺では手伝えないのか?」
シグナム達がやっていることは全く分からないが、少しでも役に立てれば・・・
「お前では・・・無理だ」
「・・・そうか」
俺とヴィータとの間に沈黙が訪れる。
「・・・」
「・・・」
気まずい・・・すごく気まずい。
「まぁ・・・あれだ、はやてには、困らせないようにな」
「うん・・・」
ヴィータは『用事・・・あるから』と逃げるように俺から去っていった。
「・・・本当に手伝えることは無いのか?」
俺はズボンのポケットに入れていた『シルバーアクセサリー』を取りだし見つめて呟いた。
・・・・・・・・・・・・・・・
「今日もシグナム達は帰りが遅いって言ってたで?」
キッチンで夕飯のメインの鍋をかき混ぜながら、はやては報告をしてきた。
「そっか、一帯何をやっているのかね?」
ソファーに座り雑誌のページを適当に捲りながら答える。
「さぁ? でもシグナム達も、何か理由が合って動いてるのかもなぁ」
どうやら料理が完成したらしく、はやては俺が座っているソファーまで、近づいてきた。
「如斗は何か聞いてる?」
答えは当然。
「いや、聞いてないよ、シグナム達は俺よりも、はやてを信頼してるから一番聞いてそうだと思ってたんだけどなぁ」
「ウチ・・・信用されてないん?」
「いやいや、そんなこと無いでしょ?」
ツッコミを入れると゛ふふふ゛と笑い。
「ふふ、そうやね、闇の書の主が騎士達を信用しないで、誰が信用をするかやね」
そうだなと呟き決心をする。
「さて、そろそろ俺は行くよ」
俺は唐突に立った。
「? 何処に行くんや?」
はやては不思議そうに聞いてくる。
「ちょっと散歩かな?」
そう言いながら、はやてに指を出す。
「こんな時間にか? 一帯何処に・・・」
「ラリホー」
指先から相手を眠らせる魔法をはやてに掛け、はやてを眠らせた。
「ゴメン、後で土下座でもなんでもするから」
眠ってるはやてに毛布を掛け、俺はシルバーアクセサリーを取り出す。
「『ガンブレード』セットアップ」
かけ声と共に着ている服は、黒衣のバリアジャケットに変わり、手には相棒のガンブレードが握られていた。
「行ってきます」
すやすやと眠っている、はやての頭を撫でると俺は冬の夜空へと飛び出した。