「如斗~、ほらジュース飲む?」
「如斗まだ書類終わってないの? しょうがないな~」
「如斗、ここは挟み撃ちで捕まえるよ」
「ナイスアシスト! 流石、如斗だね」
ティーダとバディを組んでからアイツは毎日毎日、人のことを如斗、如斗、如斗、と名前で呼んで話し掛けてくる。
お掛けで、ここ最近ため息しか出てこない。
しまいには・・・
「ほらほら、見てよ如斗! うちの『妹』可愛いでしょ? このツインテールがね? 何かある度に、揺れ動いてかわいい笑顔が見れるんだよ。 もうね、疲れがぶっ飛ぶぐらい可愛いんだ! あっ! でも、お嫁さんにはそこら辺の男では僕は認めないかな? やっぱり僕が認めた『男』じゃないとね? あれ? 如斗寝ちゃったの? しょうがないな~残りの書類は僕がやっておくよ~」
何時もこんな感じだが、きっと俺はこんなありふれた空気がとても、気に入ってたのかもしれない・・・。
だから、俺は彼女を見るたびに『あの事件』には、ティーダを巻き込んではいけなかったと、今でも思っている。
・・・・・・・・・・・・・・・
『東条如斗』
「シャマル答えてくれ、俺の体は一体どうなっているんだ?」
シグナムとの、ちょい模擬戦を終わらし、犠牲になったティアナを医務室のベットに寝かせた、俺は六課の医療担当医のシャマルに話をかける。
「はやても、何か事件があれば俺を、連れていくが、前衛には出さない・・・つまり、はやても知ってるのだろ?」
シャマルは、ついにバレたかと、そんな疲れ顔をしながら珈琲を入れて、そのコップを俺に渡してきた。
「分かりました、今の貴方の体の状態を教えます」
重い腰をようやく上げた様に、シャマルは少しずつ動き、俺に1枚のカルテを差し出してきた。
それは俺について書いてあったのだ。
『東条如斗』
ニブルヘイムでの事件により、彼の体は植物人間に近い状態であった。
あらゆる所に、刀傷、心臓近くに刺傷。そして、暴走したレリックの魔力放出により、重度の『魔晄中毒』を起こしていた。
『魔晄中毒』・・・異常な魔力を浴びることで発症するもので精神的に害をなすものである。 そして、未だに、その治療方法も無く、病院で、永久入院する者も少なくは無い奇病。
「それは、ニブルヘイムの事件当初の、『管理局本局』のカルテです」
シャマルは重々しく語り始めた。
「そして、今の貴方は『ジェノバ細胞』によって『生かされてる』と言った方がいいのでしょう・・・」
「・・・ジェノバ細胞」
「えぇ、あの日、如斗君・・・貴方を検査をした時に発見したのです。貴方の『リンカーコア』にジェノバ細胞が移植されていたことに」
衝撃的な内容に、俺は珈琲が入っていた、コップを落としてしまった。
「『ジェノバ細胞』は貴方の体を『ソルジャー』と同様の体へと作り替えていました。 多分『魔法』が使えないのは、発動する筈の『魔力』を、体の中のジェノバ細胞が、勝手に取り込んでしまうのが答えだと思います。」
シャマルは続けて言う。
「如斗君・・・貴方も見に覚えがあった筈です。ソルジャー特有の『超回復力』を・・・」
「もういい、言うな」
俺は掠れた声を上げて、シャマルを黙らせた。
「よく、わかった。 簡単に言うと、俺の魔力を吸った、ジェノバ細胞がこの体を治しているんだな?」
「そうです、そして、貴方の身長も・・・」
「分かってる、ミ⚫を飲み続けたが、ここまでの成長は無かった・・・そこは理解してるよ。」
「セ⚫ビックだって、こんなにはなりませんよ」
転生する時に課せられた『呪い』それが呪いだと把握してないが、シャマルは俺の体のことを、偶然知ってしまった。なので、彼女は一応、俺の担当医に志願して、今まで視ては貰ってはいた。
この体には『呪い』に、リンカーコアに『同化』している『1つで爆発的な魔力を生み出す』ロストロギア『ジュエルシード』が21個分などと、危険が混ざりに混ざった体をしている。
「だからこれからは、『何が起こるか』分かりませんが・・・貴方は戦いには、出ては行けません」
「すまないが、それは出来ない・・・」
俺はティアナの方へ顔を向けた。
今は安静にしているが・・・彼女の疲労は、余程のモノだろう、体のあちこちに傷が出来ていた。
相当の厳しい訓練を続けたのだろう。
「せめて、『コイツら』がまともに使えるまでは、俺は前線を離れられない・・・」
「それは・・・ティーダ執務官の『仇』の為ですか?」
口には出さないが、それもそうだった。 あの時、セフィロスの暴走を防ぐ為にティーダも大ケガを負った。 そして、ニブルヘイムも失った。
そう、これは『仇』だ。 あの時、死んでいったニブルヘイムの人達の・・・そして、ティーダ達の仇を取るために、俺は生かされてるのだと思う。
「俺は、セフィロスが、まだ生きてるって思うんだ・・・いや、絶対に生きている」
「その自信は何処から来るのです?」
「決まってる・・・『ソルジャー』の勘だ」
そう、そして俺の中にある、ジェノバ細胞がそう教えてくれる・・・。
セフィロスは生きているのだと。
・・・・・・・・・・・・・・・
ミッドチルダの薄暗いあるバーの中に『ソレ』は、いた。
「僕達は『何故』?
その首の辺りまで伸びた、『銀の髪』を揺らしながらソイツは言葉を綴った。
「それは、僕達に恐怖をしたからだ!」
ソイツの演説に耳を傾けるのは、かつてその『存在』を拒絶されたソルジャー達だった。
必要とされ、なった筈のソルジャー達は、今や『犯罪者』や『化物』扱いをされ蔑まされていた。
「僕達をこんな体にしたのは誰だ! こんな体にして拒絶したのは誰だ!! そう、
心の底から絶望をしていた者達からすれば、その一言一言が救いであり、希望に変わっていった。
落ちぶれたソルジャー達から信頼の視線を受けた、銀髪の男は、「そろそろ、頃合いかな?」と呟くと、何処からか、出した棒状の注射器を取り出した。
「さぁ、僕に続くんだ」
銀髪は、首筋に注射器を射し、注射を始めた。
そして、銀髪の話を聞いていた、元ソルジャー達も同じように注射を始める。
「~~~ッハ」
楽しそうに微笑む、銀髪は小さく、誰にも気付かれない様に、呟いた。
「さぁ、僕達で『リユニオン』を始めよう。」
『悪の種』は憎悪を浴びて育ち、芽を出した。
そして、この種から『花』が咲いた時・・・。
この世界は邪悪で染まるだろう。