ルナが人間の姿になってから一ヶ月が経った。
その間にアロマさんの助力もあり俺とポチは上位にランクが上がったんだが、その頃にはアロマさんはG級とか言うクエストに楽しそうに出かけていたな。
ルナも人間社会の生活に馴染んできたため、俺の苦労も多少は減ってきたのだが……まだ重要なことが残っていた。
「どうするかな……この肉の山」
そう、行商ばあちゃんに頼んでいた生肉の山。幸い、低温で保存できる洞窟が農場にあったため腐らせることは無かったんだけど……約900個もの生肉をどう処理したものかと困り果てていたんだ。
なに?差し止めなかったのかって?……忘れてたんだよ、毎回。
「おとーさん、これ全部食べようか?」
ルナが横からそんなことを言ってくる。うん、お前なら食べられないこともないんだろうけど……一応女の子なんだから、そんなに食べるんじゃない。
「ルナ一人に無理はさせられないだろ。そうだな……皆を呼んでぱーっとパーティーでもしようか」
「ぱーてぃ?」
俺の言ったことを鸚鵡返しに返してくるルナを見ていると、子育ても悪くないと思えてくる。いや、別に誰か好きな女性が居るって訳じゃないんだけどな。
「たくさんの人と騒ぎながら食べるんだよ。ご飯は人と食べる方が美味しいだろう?」
不思議そうに首を傾げるルナの頭を撫でてやると、気持ちよさそうに目を細めてる……親バカって言われようと、その表情は可愛いと思う。
「うん、皆とご飯食べたい」
ルナからの了承も得たため、俺たちは酒場に向かったんだ。人を誘うなら他に良い場所も思いつかなかったからな。
「……と言うわけで、二人とも。今日の夜は外で肉焼きパーティーをしよう」
目の前に居るのはアロマさんとポチ。ポチは以前言っていたようにゲネポスーツ姿だし、アロマさんは相変わらずパピメルシリーズ……確かXシリーズだって言ってたな。
「楽しそうじゃない。たまにはそんな休みがあっても、良いかもしれないわね」
アロマさんは楽しそうに頷いている。よしよし、後はポチだが……。
「パーティーってあれだろ?ルナちゃんが裸にエプロンで接待してくれるって言う……へべれけぇ!!」
俺の拳とルナのサマーソルトが同時にきまり、盛大な音を立てて吹っ飛んでいった。ったく、ルナをお前の煩悩のネタにするんじゃない。
「この阿呆は欠席でも良いんじゃない?マスターや、受付の子たちも誘えばお肉も無くなるんじゃないかしら」
うつ伏せに倒れ、何かピクピク痙攣してるポチを指差してアロマさんの提案。そうしたいのは山々だけど、曲がりなりにも友人であることには代わりないんだし、誘わないわけにもいかないだろ……不本意だが。
「首輪つけて参加させときましょう。女の子にちょっかい出しそうになったら、鬼神斬破刀の雷でもくらわせてやってください」
肩を竦め答えると、さっきから一言も喋らないルナを不思議に思い視線を移す。結果、見なきゃ良かったと思ったよ。
「ルナ……いったいそれは何かな?」
ルナの目の前にそびえ立つ、ばかみたいに大きなパフェとか言う食べ物。一人で20分以内に一人で食べ切れたらタダらしい。
「ぱふぇ……おねーさんが食べてみないかって」
指差した先にはギルドマネージャー。楽しそうに手を振ってるけど、食べきるよ、こいつは。
「晩御飯が食べられなくなるから、お代わりは無しだからな?」
軽く溜め息をついて言うと、嬉しそうにパフェと格闘を始めたし。それでもって、こっちの二人は何か言いたそうに見つめてくる。やめろその目、気色悪い。
「いやー、ソウヤ君もすっかり『おとーさん』が板についちゃったわね」
「板についたどころか、すっかり『おとーさん』でしょ。多少過保護な」
アロマさんとポチが好き勝手言ってる……俺はそんなに老けたのだろうか?
「板についてません、過保護でもない」
互いの顔を見ながら否定するも、どうも聞き入れてくれなさそうだ。にやにやした顔が直らないし。
「照れなくてもいいのよ、おとーさん」
「そうそう、ソウヤはおとーさんなんだから」
こんな時だけ息がぴったりなんだな……まったく、こんな一癖ある連中しか交友関係がないって言うのも考え物か。
今夜は今までより疲れる夜になりそうだな……。
―続く
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お読み頂きありがとう御座います、蒼の涼風です。
ちょっとした日常の一こまを書いてみました(笑
あの騒動から一ヶ月、四人は元気です。
ソウヤとポチは上位の新人として、アロマさんの手ほどきを受けながらひーひー言ってます+
次回はバーベキューパーティーに……なるのかなあ?(待て;