とあるハンターの受難な日々   作:蒼の涼風

12 / 32
上位クエストに挑戦

 

結局、肉焼きパーティーは夜遅くまで続いた。最終的に100人近く集まったハンターやら酒場の職位やらが集まって、全員で肉焼き歌の大合唱で締められたな。

 

「さて……そろそろ上位クエストってやつに行ってみようかな」

 

そう……上位にランクが上がったものの、まだ上位クエストに参加した事は無かったんだ。何故かって? それは察してくれれば助かる。

 

「おとーさん、お仕事行くの……?」

 

防具を取り出して着ていると、ルナが目を覚ましたらしい。寝惚けた表情でこっちを見てくるから、振り返って笑顔で返してやる。

 

「ああ。これからもう少し稼ぎがよくなったら、美味しいもの食べさせてやるからな」

 

おや?何か不満そうだ……俺何か言ったか?そんな風に考え込むと、ルナから信じられない言葉を聴いた。

 

「……私もついて行く」

 

「……え?」

 

そんな反応しか出来なくても仕方ないだろう?ハンターでもなんでもないルナが、狩場に行きたいなんて言い出したんだから。

 

「駄目だ。狩場は遊びじゃないんだから、危ないぞ」

 

「危ないからこそついて行くの。おとーさんが危ない目に遭ってるのに、待ってられないよ」

 

う~ん……いつからこんな強情になったんだろう。今日はポチもいないし、アロマさんも居ないからあまり連れて行きたくは無いんだけど。

 

「どうしても、ついて来たいのか……?」

 

もう一度確認してみる。返ってくる答えはわかってはいるんだけど、どうしても聞いてします。

 

「どうしてもだよ。私はおとーさんの言っていること、確かめたいの」

 

だけど俺も上位は初体験だし、護ってやるようなことは出来ないかもしれない。そう伝えようとすると、家の入り口から声が聞こえてきたんだ。

 

「良いじゃろう、ルナもそろそろ自分で世界が見たくなる頃じゃ。ソウヤ、連れて行ってやってはどうじゃ?」

 

そう声を掛けてきたのはギルドマスターだ。確かに、自分で自分の道を探す必要はあるけど、狩場に来るならきちんとハンターとしての訓練を受けるべきだろう。

 

「しかしマスター。やはりルナには危険でしょう……まだレベルの低いものしか受けられないとは言え、上位クエストですよ?」

 

「お主なら護ってやれるじゃろう。それに、ルナは護られるだけの存在ではないと思うがのう……親として、子どもの意思は尊重してやれ」

 

軽く言ってくれる。その為に大怪我でも負わせたら大変だろうが……。

 

「もし嫌だと言い張るなら……そうじゃな、追加報酬とギルドナイツ、どちらかを選ばせてやろう」

 

ギルドナイツ……多分ギルドの総本部にある場所へ連絡するんだろう。飛竜を保護しているハンターが居ると……後は何でも罪状をつけて逮捕できるし。

 

「わかりました、連れて行きますよ……ただし、飛竜狩りには行かないからな」

 

がっくりと肩を落とし、俺が折れると嬉しそうにルナの目が輝く。本当にわかっているのだろうか……お前がこれから向かう場所は、命のやり取りをする場所なんだぞ。

 

「良いかルナ、狩りが始まったら多分お前に気を配れないと思う。だから、自分の身は自分で護ること。それは約束できるな?」

 

ルナがゆっくり頷いたのを確認すると、俺はマフモフシリーズを取り出してルナに着せる。防御面に関しては心許ないことこの上ないが、寒くは無い。

 

俺が受けることにしたのは『強敵、ドスギアノス現る!』で、契約金350z、報奨金4100zだったかな。

 

そうそう、マスターが特別手当として10000zつけてくれるそうだ。特に金に困っているって言うわけじゃないんだが……いや、困っているけど、ルナの情熱にも負けた。

 

「じゃあ、気をつけてね~。ルナちゃんに傷をつけちゃだめよ?」

 

そんなギルドマネージャーの声を背中に狩場に向かう。やはり一般人のルナが狩場に向かうのは危険と判断したのか、特別に二人用の馬車を出してくれるそうだ。本来なら、上位以降は危険を避けるために一人用の馬車らしいんだけどな。

 

「おとーさん、此処で狩るの?」

 

こんがり肉を頬張りながら問いかけてくるルナに頷くと、鬼斬破の刃の具合を確かめながら頷く。流石に雪山は冷えて、ホットドリンクが無ければすぐに体が動かなくなりそうだ。

 

「そうだよ、この辺は雪山が多いからドスギアノスがよく出るんだ。昨日言ったように増えすぎたモンスターは、近くの村や街を襲うからね……狩ってバランスを整える。ルナは……危なくない場所で見ててな?」

 

「うん。わかったよ」

 

食べ終わった骨を受け取り、アイテムポーチに押し込む。本来なら余計なモンスターを呼び寄せてしまうため埋めるんだけど、俺は持ち歩くようにしているんだ。

 

「よし……行くか」

 

今居るのは雪山のエリア6の高台。ここなら、このエリアで戦わない限り安全だろう。俺は一度ルナの頭を撫で、レイアヘルムを被ると標的を探して駆けだした。

 

続く

 




まさかのルナ参戦。
え、予想通り?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。