結局、肉焼きパーティーは夜遅くまで続いた。最終的に100人近く集まったハンターやら酒場の職位やらが集まって、全員で肉焼き歌の大合唱で締められたな。
「さて……そろそろ上位クエストってやつに行ってみようかな」
そう……上位にランクが上がったものの、まだ上位クエストに参加した事は無かったんだ。何故かって? それは察してくれれば助かる。
「おとーさん、お仕事行くの……?」
防具を取り出して着ていると、ルナが目を覚ましたらしい。寝惚けた表情でこっちを見てくるから、振り返って笑顔で返してやる。
「ああ。これからもう少し稼ぎがよくなったら、美味しいもの食べさせてやるからな」
おや?何か不満そうだ……俺何か言ったか?そんな風に考え込むと、ルナから信じられない言葉を聴いた。
「……私もついて行く」
「……え?」
そんな反応しか出来なくても仕方ないだろう?ハンターでもなんでもないルナが、狩場に行きたいなんて言い出したんだから。
「駄目だ。狩場は遊びじゃないんだから、危ないぞ」
「危ないからこそついて行くの。おとーさんが危ない目に遭ってるのに、待ってられないよ」
う~ん……いつからこんな強情になったんだろう。今日はポチもいないし、アロマさんも居ないからあまり連れて行きたくは無いんだけど。
「どうしても、ついて来たいのか……?」
もう一度確認してみる。返ってくる答えはわかってはいるんだけど、どうしても聞いてします。
「どうしてもだよ。私はおとーさんの言っていること、確かめたいの」
だけど俺も上位は初体験だし、護ってやるようなことは出来ないかもしれない。そう伝えようとすると、家の入り口から声が聞こえてきたんだ。
「良いじゃろう、ルナもそろそろ自分で世界が見たくなる頃じゃ。ソウヤ、連れて行ってやってはどうじゃ?」
そう声を掛けてきたのはギルドマスターだ。確かに、自分で自分の道を探す必要はあるけど、狩場に来るならきちんとハンターとしての訓練を受けるべきだろう。
「しかしマスター。やはりルナには危険でしょう……まだレベルの低いものしか受けられないとは言え、上位クエストですよ?」
「お主なら護ってやれるじゃろう。それに、ルナは護られるだけの存在ではないと思うがのう……親として、子どもの意思は尊重してやれ」
軽く言ってくれる。その為に大怪我でも負わせたら大変だろうが……。
「もし嫌だと言い張るなら……そうじゃな、追加報酬とギルドナイツ、どちらかを選ばせてやろう」
ギルドナイツ……多分ギルドの総本部にある場所へ連絡するんだろう。飛竜を保護しているハンターが居ると……後は何でも罪状をつけて逮捕できるし。
「わかりました、連れて行きますよ……ただし、飛竜狩りには行かないからな」
がっくりと肩を落とし、俺が折れると嬉しそうにルナの目が輝く。本当にわかっているのだろうか……お前がこれから向かう場所は、命のやり取りをする場所なんだぞ。
「良いかルナ、狩りが始まったら多分お前に気を配れないと思う。だから、自分の身は自分で護ること。それは約束できるな?」
ルナがゆっくり頷いたのを確認すると、俺はマフモフシリーズを取り出してルナに着せる。防御面に関しては心許ないことこの上ないが、寒くは無い。
俺が受けることにしたのは『強敵、ドスギアノス現る!』で、契約金350z、報奨金4100zだったかな。
そうそう、マスターが特別手当として10000zつけてくれるそうだ。特に金に困っているって言うわけじゃないんだが……いや、困っているけど、ルナの情熱にも負けた。
「じゃあ、気をつけてね~。ルナちゃんに傷をつけちゃだめよ?」
そんなギルドマネージャーの声を背中に狩場に向かう。やはり一般人のルナが狩場に向かうのは危険と判断したのか、特別に二人用の馬車を出してくれるそうだ。本来なら、上位以降は危険を避けるために一人用の馬車らしいんだけどな。
「おとーさん、此処で狩るの?」
こんがり肉を頬張りながら問いかけてくるルナに頷くと、鬼斬破の刃の具合を確かめながら頷く。流石に雪山は冷えて、ホットドリンクが無ければすぐに体が動かなくなりそうだ。
「そうだよ、この辺は雪山が多いからドスギアノスがよく出るんだ。昨日言ったように増えすぎたモンスターは、近くの村や街を襲うからね……狩ってバランスを整える。ルナは……危なくない場所で見ててな?」
「うん。わかったよ」
食べ終わった骨を受け取り、アイテムポーチに押し込む。本来なら余計なモンスターを呼び寄せてしまうため埋めるんだけど、俺は持ち歩くようにしているんだ。
「よし……行くか」
今居るのは雪山のエリア6の高台。ここなら、このエリアで戦わない限り安全だろう。俺は一度ルナの頭を撫で、レイアヘルムを被ると標的を探して駆けだした。
続く
まさかのルナ参戦。
え、予想通り?