さて、やってきたのは雪山。あらゆる生命を拒絶するようなこの寒さの中でもモンスターは生息している。ポポを始めガウシカ、ギアノアス、ブランゴ、ブルファンゴなんかが居るな。
「……寒いぃ」
この前も来ただろうに、何故か二回目にしてそんな感想をくれた。マフモフ着てるのに贅沢言うんじゃない。
「前もこんな感じだったろう? ほら、あのポポから生肉取ってみな」
因みに俺の武器は片手剣【コロナ】だ。攻撃力はそんなに高くは無いが、火竜の逆鱗と10個もの火炎袋を使用して圧倒的な火属性を発揮させる武器だ。
左腕を負傷してる俺には太刀は振れないだろうと考えてのこのチョイスだ。
「う~ん……ごめんね、お肉頂戴ね」
ルナはボーンシューターを展開させ、LV1通常弾が装填されているのをスコープを覗く。それから徐に引き金が引かれて何発もの弾丸がポポの身体に食い込んでいく。
「あ、逃げる……」
流石に身の危険を感じ、逃げ出したポポに悔しそうに呟いて次の標的を探したルナの目には、それは『獲物』にしか見えなかったんだろう。子どものポポに向かって銃口を向け、引き金を引いてしまった。
「バカッ」
俺は咄嗟にボーンシューターの銃口を下にずらすが、一発は子どもポポに当たってしまった。流石に一発では致命傷にならなかったんだろう、すぐさま逃げ出すその命を見送って怪訝そうにこっちを見てくる。
その目は『なに?』と問いかけていた。
「依頼以外で子どもに銃口を向けるんじゃない。言ったろう、狩りは自然のバランスを保つためだって」
確かに生肉を取れなかったのは悔しいだろうが、子どものモンスターは成長してまた子を育む。そのように増えたモンスターを狩って糧にするんだ、それが自然との付き合かただろう。
「うん……わかった」
暫く俺が説得して、何とか納得してくれた。無闇に命を奪うだけならハンターは要らない、その事を理解して欲しいんだけどな。
「わかってくれれば良いよ、次のエリアに行こう」
ルナが装填しなおしたのを確認すると、エリア1と呼ばれる場所にある段差を登りエリア4……雪山の登山道へ向かう。ここからは流石に寒すぎるので、俺はホットドリンクを飲み込む。
飲み込んだ瞬間、体の中から熱が込みあがってくるような感覚を受けて温かくなる。辛いものを食べた時と似たような感覚かもしれないな、これは。
「ねえソウヤ、ここにはモンスターが居ないみたい」
「そうだな……雪山のなかで唯一安全なエリアと言っても良いな。入り口は狭いし、天井も崩れていないから飛竜は勿論ギアノスなんかも入って来れないんだ」
俺の説明をふむふむと聞いていたルナが、不意に足元から一蹴り飛ばしたつの石を拾った。
いや、石と言うより氷のようなものだといった方が良いだろうか。
「わあ、綺麗……これ何?」
それは氷結晶と呼ばれる鉱石で、氷属性の武器を作るために重宝されるほか、クーラードリンクの調合素材としても用いられるものだ。
「それは氷結晶って言うんだ、持って帰って良いよ」
俺の返答を聞いていそいそとアイテムポーチへその結晶を片付けるルナを余所目に、蜂の巣がある場所を見つけて俺はそこに向かう。
「ほら、ルナ。ここに雪山草があるよ」
「あ、本当だ。……これはハチミツ?」
雪山草の側に落ちていたハチミツを拾い上げ、それもポーチにしまう相手を確認して立ち上がる。
どうも冷えると傷が痛むみたいだ……ちょっと無理したかな。こんなのでリタイアなんてかっこ悪いことはできないだろう。
「ソウヤ。大丈夫、顔色悪いけど」
ルナの問いかけで初めて俺が辛そうな顔をしていたって気づいた。うわぁ……かっこわり。
「大丈夫だよ、今はそんなに強いモンスターも居ないはずだから。そうだな……ドスファンゴでも出てきたらルナも手伝ってくれるだろ?」
冗談めかして答えておく。心配されたからと言って、はい辛いですなんて言えないし……何処までができて何処までができないかはわかっているつもりだ。
「わかった。でも、無理したらサマーソルトで飛ばすからね?」
「わかったわかった。無理しないようにするから、な?」
そんなやり取りを繰り返し、何故か何も居ないエリア5を抜けて雪山に出たときだった。
俺たちの前に、そいつは待っていたかのように立ちはだかっていたんだ。
そいつの名は……【大猪】ドスファンゴ。
――つづく
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こんばんは、蒼の涼風です。
ぐだってます、ぐだりぎみです。
ドスファンゴ戦、がんばろう。