「イャンクック……?」
ルナが間の抜けた声を上げて鸚鵡返しに単語を呟いている。ん? これじゃ良くわからないって? じゃあ、少し時間を巻き戻してみようか。
あれは俺がルナと武具屋に居た時なんだが、どうもヘビィボウガンじゃ機動性に欠けるということでライトボウガン【チェーンブリッツ】の購入に来ていたんだ。
そこに、アロマさんとポチが俺たちを探しているという話を聞いて酒場に来たら……イャンクックを狩りに行こうという話しになったんだ。はい、回想終わり。
「そう。ハンターとして活動するなら、イャンクックはいずれぶつかる相手よ。私たちもフォローするからちゃっちゃと実力つけちゃいましょう?」
いや、ちゃっちゃとて。確かに俺やアロマさんが居れば楽に勝てるだろうけど、それじゃあルナ自身の力は上がらないでしょう。
「あ……私とソウヤ、ポチは基本見ているだけよ。危なくなったら助けるけど、出来るだけ一人でがんばってみない?」
「アロマさん、ルナはまだ装備もろくに整っていないんです。いきなりイャンクックは無茶でしょう?」
まだマフモフしか持ってないし……せめてバトルシリーズくらい揃えさせてくれても良いと思うんだけどな。けど、俺の考えを見抜くように鼻を鳴らしたアロマさんは、武具屋のアイルーを呼び寄せてガンナー用のバトルシリーズ一式を買い揃えちまったんだ。
「どう? これでも文句ある?」
「……無いです」
そもそも反論しても聞かないでしょうが。ポチはポチで、自分の大剣をどう派生させるかと言うことしか興味無さそうだし。
「じゃあ、さっそく密林へ行きましょう」
はい、やってきました密林へ。
途中描写が無いのは堪えてくれ。他愛ないやり取りだから割愛させてもらった……と言うか、いつも通りのやり取りだな。
ポチがぼけて吹っ飛ばされるって言う程度の。
「じゃあルナ、私たちは最初は手伝わないから自分で対象が何処に居るのかを探してみて」
そんな風に言うアロマさんの装備はパピメルXシリーズに大剣『クリムゾンゴート』。切れ味よりも、盾としての役割に特化した一振りだ。
多分、いざとなったらルナの盾として飛び出してくれるつもりなんだろう。
ポチはゲネポスーツシリーズに大剣『レイトウ本マグロ』だ。ふざけた見た目とは裏腹に、高い切れ味と属性攻撃力を誇る。……食われなければの話だが。
俺はと言うと、いつものレイアシリーズに太刀『鬼斬破』だ。バラエティーが少ないって言うな……武器は高価だから、そういくつも作れないんだよ。
そして今回の主役、ルナの装備はバトルシリーズにライトボウガン『チェーンブリッツ』だ。
ボーンシューターに比べれば装填できる一般弾の種類は減ったが、ルナの脚力を十分に活かせる軽さと全ての支援弾を使えるところが魅力だろう。
「……まずは腹ごしらえが必要です。携帯食料は置いておいて、お肉を焼きましょう」
まあ、良い判断だろう。携帯食料は一口で食べられるから、狩りの最中に食べる方が良い。
それに、肉を食べた方が腹持ちが良いような気もするからな……全部アロマさんから言われたことの受け売りで教えたんだけど。俺は時々守ってないのは秘密だぞ。
「じゃあルナちゃん、俺が全員の肉を焼こうか? 肉焼きなら多少得意だぞ」
「ううん、私が焼いてみる。自分で焼かないと上手にならないし」
そう言ってルナが肉焼きセットを展開させると、ごそごそとポーチを探った後絶望的な眼でこっちを見てきた。
「ソウヤ……生肉忘れた」
『……はい?』
綺麗にハモッたな、三人。ルナは傍からみてもわかるほど落ち込んでいるし……仕方ないな。
「ほら、生肉。今度からは忘れないようにな? 下位の内は良いけど、上位に上がれば支給品が遅れるのは当たり前らしいから」
「G級でもよ~」
横合いから細くするアロマさん。うん、G級なんてまだまだ先だから大丈夫だろう……そもそも、上位でもひーひー言っているのにG級とか考えたくない。
「ありがとう……うん、今度から気をつけるね」
「ああ、同じミスは繰り返さないようにすれば言いだけだよ。じゃあ、焼いてくれるか?」
ポチが声を掛けると頷いて肉焼きセットに火をおこす。俺はそれを確認すると、二人には気づかれないように耳を押さえた。
「お~にく~おにく、お~にく~おにく、おっいしっく上手にやっけるかな~……上手に焼けましたー!!」
さて、その声の大きさは飛び去った小鳥たちの量から判断してくれると助かる。
……モンスターたちに気づかれたらどうするんだ、まったく。
――つづく
さて、ハンターの登竜門イャンクック。
今も昔もクックとゲリョスは大好きです。
モンハン4では、村クエラストまでゲリョス装備だったなぁ…あ、頭はキャップ派です。