とあるハンターの受難な日々   作:蒼の涼風

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鬼斬破封印

 

 

 

「莫迦かお前は」

 

 武具屋にいってぽっきり折れた鬼斬破を見せた第一声がそれだ。いや、確かに頭はよくないが。

 

「また無茶な使い方したんだろう……硬い部分を無理矢理斬ったり」

 

「そんな事はしてないさ……ちょっとイャンガルルガの胸を貫いただけだ」

 

 取りあえず反論してみる。けど、返ってくる言葉は何となくわかるんだよな…・・・付き合いが長いから。

 

「十分無茶だろうが。俺の丹精込めた鬼斬破が折れるってことはよ」

 

 確かに、ここの武具屋の鍛冶師の腕は良い。現にこの街のハンターが持っている武器は一般に出回っているものより性能は高い。

 

 切れ味だったり、耐久度だったり。そんな武器がへし折れたんだから、やっぱり無茶な使い方だったのかね。

 

「何とか直らないか? それが無いと結構狩りに制限がかかるんだけど」

 

「直らないことも無いが……二ヶ月はかかるぞ」

 

「何故」

 

 ただ一言だけ呟いちまった。二・三日で出来るものだと思っていたんだけど、そんなにかかるとは思っていなかった。

 

「一度折れた剣はただくっつけてもまた折れるからな。二度と折れないように芯を入れなきゃならんのだが、それに骨が折れるからだ」

 

 へえ……知らなかった。武器を修理に出す事なんて無かったからな。

 

「じゃあ、それまでの繋ぎに別の太刀の注文もいいか?」

 

「おう、素材があれば何でも作ってやるぜ」

 

 屋の店員に別れを告げ、家に向かう。確かいろいろ素材があったはずだし……生活に困っても素材は売らなかったから、そこそこの物は作れるはずだ。

 

 

 

「あ、おかえりー」

 

 家に着くとルナが出迎えてくれた。バトルキャップを外しているため金色の髪はストレートに下ろされているし、そこにアロマさんが用意した貴族が着る様なドレスを纏うと……陳腐な表現だが人形みたいな感じだった。

 

「ただいま、ルナ。……なんだこの臭い」

 

 家の中にはなにやらルナが調理をしたような臭い……もとい、色々なものが混ざって何が何だかわからなくなったような臭いがした。こやし玉でも破裂させたか?

 

「あ、えっと……昼食作ってみたんだけど失敗しちゃった」

 

 てへへなんて笑いながら見せられた鍋には炭……そう、炭としか呼べないようなものがこびり付いていた。

 

 ひ、昼飯……?炭を食えというんだろうかこの人は。

 

「失敗したなら仕方ないな……昼は外食で済まそうか」

 

 取りあえず現実逃避したい気分だったんだよ。焦げ付いた鍋の始末に素材把握、どちらにしても直ぐに終わるようなものじゃないし……昼飯ぐらい贅沢したっていいだろう。

 

 、その考えは間違っていた事に後で気づくんだ……いつもな。

 

 

 

「あいよ、アプトノスのステーキ11人前にシモフリトマトとオニマツタケのソテー、しめにクヨクヨーグルト特大ね」

 

 元気良く注文を繰り返してくれたのはこの店【こだわりの食品を使っているかもしれない大衆食堂】のオーナーだ。

 

 因みに俺が頼んだのはアプトノスのステーキ1人前のみで、残りは全部ルナが食べる分だ……言うまでもないか。

 

 忘れていた、ルナがとんでもなく食べるってことを。お金足りるだろうか……。

 

 ここは金の無いハンターでも腹いっぱい食えるように料金はリーズナブルだが、流石にこれだけの量になると不安だぞ。

 

「マジだって、でけークックを見たんだべ」

 

「マジか? それヤバくねー?」

 

 何だこの、聞いているだけでイライラしてくるような話方の連中は。急に店にはいってきたかと思うと、店員の案内も無視して勝手に席に座るし。

 

「でもクックよりレイアだろ、レイア。俺なんかこの前、わざと脚ばっか狙って悶えさせてやったヨ」

 

「おめー、それやべーって。羽根ももいでやったんだろ?」

 

 何か聞いていて不快だな、この連中。モンスターをそんな風に見る奴が居るとは聞いていたけど……命に対する敬意ってもんを持ってないんだろう。

 

 俺もアロマさんに出逢わなければ、ああなっていたかも知れないのは否定しないが……あれ、ルナが居ない?

 

「……取り消してください」

 

『あぁ!?』

 

「今の言葉……命に対する冒涜です。取り消してくださいっ!」

 

 ……あーあ、思ったより行動が早かったな。大好きな食べ物よりもそっちを優先する分、ハンターとしてはいいことだけど。

 

 振り返ってさっき入店してきた二人組みを見ると、明らかにチンピラって感じの男だった。

 

 目つきは悪いし、こんな店に私服でハンターカリンガつけて入店してくるし。めんどくせー。

 

「なんじゃこのアマ、オレらに『取り消してください』だとよ」

 

「良いか、ねーちゃん。モンスターなんてのは人間様に狩られるために存在してんだよ、覚えときな」

 

 下品な笑いを浮かべて腹を抱えるチンピラ二人。多分イャンクックやリオレイアをいたぶる様な実力は持っていないだろう……殺気の隠し方がまるで素人だ。

 

「モンスターとヒトは共存するものです。狩られるだけの存在なんて居ません!」

 

 負けじとルナが食い下がる。がんばれー。

 

「おいねえちゃん、ワシは今日は機嫌よかったんじゃけが……お前が機嫌悪うしたけえのお……オトシマエつけてもらおうか」

 

「この女、囲って遊ぼうぜ。良く見りゃ良い女だしな」

 

 ……限界。俺にも我慢の限界はある。

 

 気づいらた時は既に後の祭り……俺は立ち上がり、二人組みの片方を思い切り殴りつけてしまっていた。

 

――つづく

 

 




鬼斬破の封印。
新しい武器を出したいが為だったり
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