とあるハンターの受難な日々   作:蒼の涼風

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目指すは砂漠

 

 

 

「二つ名?」

 

 オンスロートを手に入れた数日後、俺達――ま、いつものメンバーだな――が酒場で飯を食っている時にギルドマネージャーから声を掛けられた。

なんでも……俺やルナに周りのハンターたちが二つ名をつけて呼んでいるらしい。普通、二つ名ってベテランハンターにつくものじゃないのか?

 

「そうよ~、あなたたちは目立つから。知りたくな~い?」

 

 そんな楽しそうに言わないでくださいよ。どうせ苦労人だとか何だとか言われているんでしょう。アロマさんはG級ハンターだからついていても不思議じゃないけど……なあ?

 

「俺は聞きたいっすよ」

 

 隣で声を上げたポチは既に自分の頼んだ料理を食べ終えて、物足りなかったのか追加でデザートを頼んでいたところだ。

いや、お前の立ち位置からして目に見えてるから止めとけ。

 

「は~い。ポチ君はね~……【悲劇製造機】よ。いつもアロマちゃんやルナちゃんに痛い目に合わされているのが由来ね~」

 

「ひ、悲劇製造機!?」

 

 にこやかに告げるものの、明らかにポチは固まっている。

 そりゃそうだろう……【悲劇製造機】なんて、どこにも人間性が無いような気がするのは俺だけか?

 

「じゃあ、私のはどうなってるの? 今まで興味持たなかったけど、教えて」

 

 継いで声を上げたのはアロマさん。こっちも食べ終わっており、サービスのコーヒーを優雅に飲んでいる。ん~……見た目が綺麗だと何をさせても様になるって本当なんだな。

 

「アロマちゃんは【妖艶の姫君】ね~。見た目が美人さんだから、ぴったりじゃない?」

 

 妖艶って言葉の使い方合っているのか気になるところではあるが、間違っちゃいないだろう。

 アロマさんの艶のある黒髪やら、ミスギルドにノミネートされる容姿から言っても問題はないし。

 

「いい響きじゃない……ふふ、その名で呼んだ人を弟子にしちゃおうかしら」

 

 それは勘弁してやってください。あなたの修行プログラムについていける人間はそうそう居ないと思いますから。

 ……別に俺はこなしたって自慢じゃないぞ? 死ぬ思いどころか、本気で死にかけたんだから。

 

「じゃあ、私は? 私にもあるの?」

 

 残ったルナが問いかけると勿論と言った感じでマネージャーは頷く。うん、相変わらず良い食べっぷりだ……既に皿の山が出来上がっている。

 

「ルナちゃんは【戦場舞う華】ね。アロマちゃんが美人だとすれば、ルナちゃんは可愛いもの。華って表現が合うと思うわ。ルナちゃんを妹にしたいって人も多いみたいだしね~」

 

「華って言う割りには結構な量食べるけどな」

 

 横から茶々を入れてみるものの、余り聞いてないみたいだな。自分の二つ名がわかると嬉しそうに笑みを浮かべてまた自分が頼んだ料理を食べ始めたし。

 ……なんでこんなに食べて太らんかね。

 

 そもそも、ルナを妹にしたいって……あんないかついハンター達が言ったのかと思うと、背筋が寒くなるものがあるぞ。

 

「最後にソウヤ君の発表よ~」

 

 おー……なんてさして興味無さそうに拍手が沸く。悪かったな、最後が野郎の二つ名の発表で。ルナとかを最後にしとけば盛り上がったんだろうがな。

 

 結果から言おう、俺の二つ名は【纏いし爪】だそうだ……なんでも『クロウ(かぎ爪の事だな)』と『苦労』をかけたとか。……大きなお世話だ。

 

 

 

 

「ダイミョウザザミ?」

 

 俺たちがお互いの二つ名で盛り上がり、ポチがへこんだり俺が拗ねたりした意外はいたって普通の昼食だったが……アロマさんに受付嬢が声を掛けてきた。

 なんでも砂漠に妙にでかいダイミョウザザミが居るみたいで、商隊が通行できずに立ち往生しているため狩りに行ってきてくれないかと言うものだった。

 

「本当は下位ハンターで十分なクエストなんだけど、その商隊って言うのがうちのお得意様なのよ。うちとしては、形だけでもトップクラスのハンターを派遣しておきたいわけなの」

 

 要は、向こうに気を悪くされないようにしたいんだな。ランクによっては俺とポチは付いて行けるけど……上位以上のクエストとしての依頼ならルナは留守番になる。

 そうなると、必然俺もパスしなきゃいけなくなるな……飯の事とかを考えると。

 

「この四人で参加できるなら良いわよ。下位でも十分なレベルの相手なんでしょう?」

 

「ええ……じゃあ以来レベルは星四つ。参加条件無しで、依頼内容はダイミョウザザミ一体の狩猟及び商隊の保護……場所は砂漠よ。皆受けてくれるかしら?」

 

 ギルドマネージャーの問いかけに俺たち四人は一様に頷く。特に断る理由もないし、ルナも参加出来るなら良いだろう。

 

「ダイミョウザザミか……腕が鳴るぜ」

 

「……ソウヤ、ダイミョウザザミってどんなの?」

 

 妙に気合が入っているポチと、今更俺に説明を求めるルナ。

 非常に不安な組み合わせではあるのだが……アロマさんも居るし何とかなるだろう。

 

「集合は一時間後、それまでに武具とアイテムの準備をしておくこと。良いわね?」

 

 ルナに説明をしようと思ったら、アロマさんがその場をしめて立ち上がる。まあ、説明なら家でも出来るしな……取りあえずアイテムやら装備を取りに行くか。

 

 

――つづく

 

 

 




四人の二つ名が決定いたしました!
ソウヤ:纏いし爪
ルナ:戦場舞う華
アロマ:妖艶の姫君
ポチ:悲劇製造機

それでは!
いざダイミョウザザミ編
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