「ふむ……それならお主が面倒を見る他無いじゃろうな」
くそじじ……もとい、ギルドマスターは俺の説明を聞くと事も無げにそう答えやがっ……いや、のたまわれた。
「いや……面倒を見ろって、俺の家には飛竜を養えるようなスペースなんか無いんですけど?」
そりゃそうだろう……下位のハンターに庭付き一戸建てなんか手に入れられるわけもないし。
「心配はいらん、ワシの持っとる土地をお主に貸してやるわい。家賃はいらんが、一切の面倒は見ぬから、そのつもりでな」
おいおいおい……何故俺の意思を無視して話が進む。
「もしお主が面倒を見れぬと言うなら……そうさな、剥製にでもしてギルドに飾るかの」
ひょっひょっひょっなんてインチキ臭い笑い方をするクソジ……ギルドマスターとこれ以上は話しても埒があかなそうだ。ギルドマネージャーの方へ視線を移しても、お手上げとでも言いたそうに肩を竦める始末。
「きゅうぅ~ん……」
このチビ雌火竜はこいつで、捨てられた子犬のように見上げてくるし。こら、そんな目で見るな、そして喉奥で炎をちろちろさせるな、わかったから。
「わかりましたよ、俺が面倒を見ます。その土地の場所を教えてもらえますか」
半ば投げやりで答える。俺としては面倒ごとは御免被りたいんだが、拾ってきた手前そうも言っていられないし。……ちょっと可愛いし。
「街の外れに農場がある……そこをお主に貸してやろう。十分な広さがあるから、放し飼いにしても大丈夫じゃろう」
いや、放し飼いて。大丈夫か……子どもとは言え、飛竜だぞ?
「わかった。取り合えず一杯飲みたいから、少しの間だけ頼むよ」
足元にじゃれ付く子レイアを抱き上げ、ギルドマネージャーに押し付けると空いているテーブルを探す。どうも遅かったみたいで何処も相席しか無理そうだ。
「……仕方ない、あの人のとこに行くか」
俺は一つのテーブルで飲んでいる女性を見つけ、ぼやいてから歩みを進める。正直関わりあいになりたくないんだがな。
「相席していいですか?アロマさん」
俺が声を掛けたのはアロマさんと言うハンターだ。装備はパピメルSに鬼神斬破刀……上位のハンターで、下位の俺が声をかけるのもおこがましい……普通ならな。
「なに?ソウヤじゃない。良いわよ、今日は私が奢ったげるから……リオレイアを狩って資金もたんまりあるのよ」
ちょい待ち。今、なんか聞き流せない単語を聞いたな……。
「リオレイア?それって下位の森丘ですか?」
いかにも興味あるという風に装って探りを入れてみる。……帰ってきたのは期待を裏切られたというか、ほっとする内容ではあったが。
「森丘?私が行ったのは密林よ。大体、リオレイアが単体で森丘に来たなんて依頼、卵の運搬がなくなってからそう見かけないけど?」
ですよねー、何てとぼけてみる。アロマさんは狩りの対象に容赦はしないけど、あんな殺し方が出来る人じゃない。あんな無惨な……。
「ソウヤ?おーい?」
ひらひらと目の前でゆれる掌にふと我に返る。少し考えすぎたみたいだ……アロマさんは怪訝そうな目で見てくる。
「あ、済みません。少し考え事していたもので……俺もビール貰いますね」
止めよう、考えたってわからないんだ。それなら、これからあの子レイアをどういう風に育てていくかに頭を使おう。
「まったく……一時とは言え、狩りの基本を教えた身としては悲しいね。一から修行をやり直す?」
パピメルSテスタを脱ぎ黒い髪が揺れる……髪型はナナストレートだったか?その時は首を振るのに必死だった。
「い、いい、良いです。師匠のお陰で十分力はついて、下位ならティガレックスも倒せましたから」
残念ねなんて楽しそうに言わないで下さい。こ、こんな事なら帰って一杯やれば良かったかな……今夜は長くなりそうだ。
ヒロインと言うか、メインキャラ追加回です。
リオレイアと、先輩ハンターのアロマさん。
それではまた、次回。