ゲリョスの発光と間違うほどの眩い光がおさまった時、俺の腕の中に居たはずのリオレイアは居なかった。代わりに信じられない光景を見たよ。
「これは……人?」
そう、俺の腕の中で眠っているのは少女と言っても良いくらいの年齢の『人間』だった。見たところ15歳ぐらいで、流れるような金髪に華奢な体つき。ただ一点、人間と言っていいのか解らないのは尻尾が生えていたくらいだ……リオレイアの。
「これは一体……」
アロマさんにもよく解らないらしい。難しそうな顔で何かを呟くだけだし、ギルドマネージャーは信じられないようなものを見て固まってしまってたね。
「お、とーさん?」
その女の子が何か言ったような……って、お父さん?誰が…?
「おとーさん、おとーさん!」
その少女は俺に抱きついて、しきりに『お父さん』と繰り返していた。ふむ、流れ的に彼女のお父さんは俺ってことになるのか。
「いやいや、待て。俺はまだ20なのに、お前みたいな子どもが居るのは不自然だろう?」
何となくはわかっていたんだ、この少女の正体が。でも、信じたくない物だってあるだろう?
「私……私、るなだよ」
衝撃の告白ってこういう事を言うのかな?いやいや、確か昔親に鶴の恩返しって話を聞いたこともあるし、しかし……。
「ソウヤ、現実逃避もその辺にしときな」
そんな声がアロマさんから発せられた。うん、逃避できてるのかどうかわからないんだけどな。
「いやいやいや! だってルナが人間になっていきなり人の言葉を話すなんて、何処の御伽噺の世界ですかって言うくらい信じられないことでしょうが!?」
もっともな反論だろう?いくら俺が苦労体質だからって、流石にこれは無いだろう……一度、神様って奴の顔を拝んでみたいくらいだ。
「でも、目の前に居る子がルナには変わりないでしょう?どうするの、おとーさん」
おとーさんって言わないで下さい。と言うかルナ、服を着ろ服を……はしたない。
「おとーさん……?」
いや、そんな不安そうな目で見ないでくれないかな。仕方ない、受け入れるしかないだろう。
「アロマさん、こいつに合う服を見繕ってきてもらえますか? ルナ、お前は少し風呂に入ろうか」
うん、いくら認めたくないといっても現実は現実。毒テングダケのせいで熱を出してたんだ、体を洗ってやらなきゃいけなし、服も無いと外を歩けないだろう。俺は大きく溜め息を吐いて、また頭痛の種が増えた気がしたね。
「ふぅむ……珍しいこともあるもんじゃな」
二時間後、ギルドマスターに相談しに行った時の第一声がこれだ。ひょっひょっひょって笑うなこら。
ルナは今、アロマさんが持ってきた服を着ているんだけど……何だか貴族の子どもが着そうなドレスなんか持ってきてるし。うーん……どこで手に入れたんだろう。
「ま、角竜の道は角竜ってね」
なんて曖昧な返答しかくれなかったし。
「ルナはこれからもソウヤと居たいようじゃし、引き続きあの小屋を貸そう。さて……そっちのランポスーツのお主」
マスターの視線がポチに移る。何か緊張しているらしく、ポチは直立不動だ。
「はい、この街のギルドに登録したくて来ました。よろしくお願いします!」
挨拶は気持ち良い、挨拶は。でもそのランポスーツはどうなんだろう……せめてランポスシリーズにすればいいのに。
「お主の心意気は認めるが、ランポスーツと言うのはどうものう……」
マスターの言葉に皆頷く。やはりおかしいと思うんだろう……ブレイズブレイド改との組み合わせは。
「せめてイーオスーツぐらい無いのか?」
しかし、継がれた言葉に酒場に居た全員がこけた。こら、着眼点はそこか。
「は……ギアノスーツならすぐに用意できるのですが……」
阿呆? この二人は同レベル!? うう……頭痛くなってきた。
結局、二人の妥協案でゲネポスーツを作ることに落ち着いたらしい。もう勝手にやっておいてくれ。
俺はと言うと……。
「おとーさん、これ美味しいよ」
目をきらきらさせて酒場の料理を片っ端頼んでいるルナ。うん、人間になっても食欲は変わらないんだな。
「……どれ、俺も食べてみるか」
仕方ない、これも俺の運命なんだろう。少なくとも、こいつを見てれば飽きずには済みそうだ。こんなのも良いと思える自分が居るしな。
今はただ、この騒ぎに身を任せよう……。
―つづく
――
お読み頂きありがとう御座います。
なんだろう……このまま終わらせても良いくらいの締めかた。
お、終わりませんよー!?
まだ始まったばかりですからねー!?
次回から新章……と言えるかどうかはわかりませんが、ソウヤ、ルナ、アロマ、ポチの織り成すドタバタコメディ時々シリアスをお楽しみ下さい。