巨神伝説タイタン   作:風雲再起

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アウターヘブン。「ゴーメンガースト、次の魔獣は?」『フランスはパリ・・魔獣はザンゲリアだ。』オオッ!
ザワザワ・・「あのザンゲリア?」「お姉、今回はぜーったいパスだからね!」「同感。くさいのカンベン。」
「おぞましき魔獣・・俺の美学には合わぬ。」「わたしもだよ。今回もパスだね。」「私が行きましょう。」
『綺羅?!』「しかし綺羅はあのような汚い魔獣は・・」「あら、意外と好きなのよあの臭いは・・かつての
三大戦役を思い起こさせるしね。」はっ!「いかにも。あれこそ戦場の臭いだ。」「さすが闘将ボスタング。
なつかしいですわね、あの頃が・・」「そうさの・・あの頃に比べると綺羅も丸くなったのう。」『えっ?』
「それなりに年期と経験を積みましたし。」「たしかに綺羅さまは成長いたしましたね。」『シカンナ?』
「昔は敵対する者は神であろうが魔獣であろうが滅しまくり、魔王サタン様さえ三舎を避けたものです。」
「サタン様がか!」「あら、そういうシカンナだって人のことは言えませんわよ。一撃で20万の敵軍を
消滅させたのはどなたでしたかしら?」「うむ、あれだからシカンナは恐ろしい・・」「・・なんて三人だ。」
「ともあれ、今回は私が出ますわ。」「同行しよう。」「アル、たまには一人でやらせてね。」「・・いいだろう。」
「では出動しますわ。」くるっ、す~っ・・「綺羅自ら出陣とは・・」「今回は被害がでかくなりそうじゃの。」

ヒマラヤ上空・忍空艇「飛燕丸」。ヒュンヒュンヒュン・・「じゃ、名前はユーディットで決まりね。」『ああ。』
「あなたの名前はユーディット。いいわね?」「はい、ギネビアさま。」「さて次は格好だけど、基本はこの
美人秘書でいいよね?」「質問でござる。なぜメガネと巨乳でござるか?」「オホン!・・後者はともかく、
メガネは意味ないのでは?」「あっま~い!ユウちゃん、ちょっとメガネとってみれ。」「・・?」「・・あれ?
なんで答えないの?」「・・ギネビア、ユウちゃんってだれ?」「あ。・・ユーディット、あなたの別名よ。」
「そうでしたか。わかりませんでした。」「いきなり略称で呼ばれてはな。」「メガネを消します。」シュッ・・
「どう?」『・・なるほど。』「メガネがないと地味でござるな。」「たしかに。あったほうがアクセントになる。」
「そゆことで。ユウちゃん、メガネ戻して。」「はい。」ズズッ。「うん、これで秘書らしくなったわ。この他に
必要に応じて服装は変えられるわよ。ちょっといくつかやってみれ~。」「はい。」ズズッ、ぱっ。『おお!』
「メイド服!スッチャデスに看護婦さんにコギャルもだ!」ぱぱぱっ。「ほんでとどめはこれ!」ぱっ。
「せえらあ服か!・・できればじゃーじも。」すこーん!(アテナの金将)「ブルマじゃないのがオヤジだな!
しかしまたシュミな格好ばかりだな。」「ユウちゃん、あれ。」「はい。」ぱっ。「なあっ?!私まで真似るか!」
「影武者にもなれるわよ。斬られたくらいじゃやられないし。」「やめろ。私に影武者など不要だ。」
「使えるのに~・・ん?」じーっ。「な、なんだギネビア?」「ふ~ん・・アテナ、ちょっとちょっと。」ぐいっ。
「な、なんだ?」ぱたぱた・・『なっ?!・・こんなもの着れるか!』『いーからちょっと着てみれ!』どたばた!
「何の騒ぎでござる?」「よくわかりません。」ひょい。「おっまたせ~。ほれ!」ぽん。「あっ!」「なんとおっ!
すくぅる水着~!」ぶしゅううううーっ!(ハナヂ)「だからイヤだといったのだ・・(真っ赤)」「うんうん、やっぱ
ボンキュッボンのアテナによく似合うわ。今回それでどう?」「こんなものでハズかしくて戦えるか~!飛車角!」
シュバッ!「おっとととっ!」「そこへなおれギネビア!今日こそは引導をわたしてくれる!」どたばた!
「ほらほらいつもより動きやすいし、目くらましにもなるでしょ?」「それ以前の問題だ!」「あ、やっぱそうね。
あははははっ!・・?!」ぴたっ。「おっとと!・・どうしたギネビア?」「・・使い魔からの最新情報。連中の
行き先はパリよ。」「なに?」むくっ。かぽっ。「操縦櫓、進路をパリへ。」『ははっ、お頭。』ぱたん。「ユーディット、
パリへ先行して連中の動向を調査して。」「かしこまりました。」すっ。くるっ、ガラガラ。「はっ!」ターン!・・
グニュ、シュバッ!ボオッ!キィィィーン!・・「なんと・・ジェット機にもなるとは。」「ロデムというより
フレンダーか?」「ユーディットは魔獣、生命体の基準で考えちゃいけないわね。・・ぷぷっ!」「なんだ?・・
うぷぷっ!」『ぷははははっ!』「笑いすぎでござる。(ティッシュ鼻に詰めてる)」「だ、だってさ、忍び装束で
それって、すっごいマヌケに見えるも~ん!ぷははははっ!」「あははははーっ!こんなに笑えたのは初めてだ!」
「ふん!」プッ。『飛んだ?・・どわははははっ!(もはや泣いてる)』「ウケたので喜んでいいのだろうか・・?」

操縦室の下忍。「・・なんか上は楽しそうだな?」「お三方で越後屋と悪代官ごっこでもしてるんじゃないか。」
「となると悪代官がアテナ様、越後屋がギネビア様か?」「そうそう。で、お頭が正義の忍者だな。」
「うむ、悪代官と越後屋退治は時代劇の基本だ。」「幼稚園バス乗っ取りもだろ。」『ジャンルちがう。』

第十九夜「巴里の香り」 - 死霊魔獣ザンゲリア登場 -

パリ。『♪ああすばらしい 巴里かOきだん~!』「おっ、今回は最新作やな。」「凱旋門の下に何もないわね?」
「たしかガOダムが隠してあるはずですけど?」「作品がちがいますぞ。」「・・ここがシャンゼリゼ通りね。」
ワイワイ・・「さすが名だたる観光都市、すごい人だな。」「エリスの予知によると、この街のどこかに魔獣が
潜んでいるはずだぜ。」「フランス諜報機関も協力して探してくれてるんだけど、まだ発見されてないわ。」
「魔獣が目覚めるまで見つからないのがはがゆいな・・」「ごめんなさい・・」「エリスちゃんは悪くないの。
むしろ覚醒前にわたしたちが来てることで、被害は最小限に抑えられてる。そこにすごく貢献してるわ。」
「そうだ・・神のくせに魔獣の一匹も見つけられない俺たちのほうが悪いくらいだ。」「いえ、そんな・・」
「まあ、ここはあせらずじっくりかまえてようぜ。そこのカフェでお茶にしよう。」「あ、そら賛成や。」

ガヤガヤ・・「NO6、今回は秘密部隊は来てないのか?」「なにいってるかな~。「チーム・夢幻」はすでに
行動開始してるぜ。」『チーム・夢幻?』「第四の名称よ。」「ああ、彩のところか。」「四人ともパリ中に散って
魔獣の気配を探してる・・だよな?」「まだ見つかってませんけどね。」『・・えっ?!』ばっ!「やあ。」
「びっくりした~・・街はんか。」「あいかわらず気配のつかめぬ方ですな。」『街は獣でも感知できないですよ。』
「え?・・ええっ?!」ズズズズ・・「こんちゃー、リヴィくん♪」「幽さんでしたか・・いきなり足の間から
現れるのでビックリしました。」「美少年は影もきれいだから入ってて気持ちいいの。」「・・ぽっ。(もーそー)」
「彩くんと蘭ちゃんは?」「来てませんか?ここで合流する予定なのに。」「・・なんか悪い予感せえへんか?」

そのころ、ヴェルサイユ宮殿。「蘭、ここか?」「はい。一般には知られてませんが、この宮殿はミステリー
スポットとして有名です。」「怪しいウワサがあるところに目をつけるとは、さすがですね。」「パリには
そういった幽霊スポットはいくらでもありますが、ここは横綱級です。」「無理もない。フランス革命で
ここの住人は惨殺されたしな・・当ては?」「データベースから宮殿の設計図を検索したところ、このエリアに
地下室があることが判明しました。」「知られざる地下室か・・たしかにくさいな。」カツカツ・・『・・ん?』
カツッ。「こんにちは。」『・・こんにちは。』「栄華も一夜の夢の如し・・これぞ滅びし者の美ですわね。」
「そうですね・・あなたの美しさにくらべればこの宮殿など廃屋同然。やはり今の生きた美が美しいです。」
「まあ、お上手ですわ。そちらは妹さん?」「まあ彼女でないことは確かですね。」ぽむぽむ。「彩さん~。」
「うふふふっ、仲良きことはすばらしいですわ。彩さんて言いますの。」「はい。あなたのお名前は?」
「ちょっと振り向いてみただけの異邦人ですわ。」「なるほど、エレガントな名前です。」「それでは・・」
「あ、いまひとつ・・どこかでお会いしませんでしたか?」ぴたっ。・・「・・同感ですわ。おぼえてます?」
「いえ、残念ながら。」「・・どうも最近は既視感が多くて困るわ。世界ってこんなにせまかったかしら。」
「せまいですよ世界は・・思ったよりも。」「・・なら、また会えるでしょう。では。」「またお会いしましょう。」
カツカツ・・(・・蘭、スキャン結果は?)(忍び言葉?・・きわめて異質な生体エネルギー、いえ、巨大な
精神エネルギーが人の形をとっているというのが正確ですね。)(やはり・・精霊女王、綺羅ですか。)(尾けますか?)
(いえ、ヘタな手出しはヤブヘビです。ここはみんなに連絡するべきでしょう。)(同感です。)♪ピッ。

「ん?」「どうした幽?」「連絡です。」さっ、ピッ♪「 ケータイ?」「忍者もハイテク化が進んだものね。」
「・・了解。隊長によるとヴェルサイユ宮殿で綺羅を目撃したそうです。」『なにっ!』「今回は綺羅か!」
「だあ~っ!綺羅さまだけは敵にしたくなかったのに~!」「そうですね・・敵にまわせば恐ろしい、
かといって味方でも危うい方ですから。」「どんな人ですか・・いえ、神さまでしたね。」「ヴォーダンもさぞ
胃が痛いことやろな。真面目なヤツほど綺羅はんとは合わんし。」「そういう意味でアバウトな御主人様とは
相性がよろしいですが。」「たしかに家族づきあいしてたしな・・綺羅とはやりにくいぞ。」「いざとなれば
私たちが相手します。」「おバカ。」『えっ?』「はっきり言うけど、綺羅さまはわたしたちでも勝てるかどうか
わからないの。」「天界最強といわれたタイタンと四神獣でもか?」「天界では、や。精霊界まで勘定に入っとらん。
ましてや魔界はな・・」「魔界には未知の強大な魔戦鬼がぞろぞろいるそうですし。」「レオはんに聞いた範囲でも
十二神程度の魔力を持っとる魔戦鬼はざらやそうや。」「つくづく魔界と戦争せずによかったと思いますぞ。」
「とにかくヴェルサイユへ行こうぜ。綺羅とやらがいたということは、魔獣もそこにいる可能性が高い。」
「ここから20kmほどあるからリムジンを使いましょ。」「うん・・はっ?!」ピン!「どうしたエリス?」
「・・あそこ!」ばっ!『えっ?』「あれは・・凱旋門の上に人影が?」「まさかあれは・・綺羅はん?!」
「まさか!さっきヴェルサイユで目撃されたばかりですよ!」「綺羅さまは常識が通じない方です。おそらく
空間の貴公子・アルカディア殿下に教わった空間転移術かと。」「しかしあんなところでいったいなにを?」
ゴゴゴゴ・・ドオンッ!『なにいっ!』ドバアアアアーン!「やばっ!綺羅さまの精霊核兵器よ!」
「直撃されたら俺たちも無傷ではすまんぞ!」ドドドドドッ!『うわああああーっ!』ドガガガガガーッ!

ドドドド・・「あのすさまじい音は?!」「市街地のほうですね。待ってください、スパイ衛星で見てみます。」
キラッ。「米軍事衛星シグマ220接続・・姿勢制御・・これは?!凱旋門広場周辺が潰滅しています!」
「なにっ?!そこにはタイタンたちがいたはず!」「でも凱旋門だけは無傷です・・あっ!綺羅がいます!」
「しまった!もうそんなところに!」シャッ!「急行しますよ蘭!」「はい!」バサアッ!シャシャシャ!
タタタタ・・タン!すとっ。キュイン!ブロロロロッ!「このフェラーリなら五分でとどきます。急いで!」
ブロロロ!「とおっ!」ターン!バサササッ、すとっ。「全速力でいきます!」キャルルルッ!ブロロロローッ!

ゴォォォ・・「半径1km、完全破壊・・都市破壊はいつやっても気持ちいいわ。・・ん?この巨大な霊気は?」
ふわっ・・すとっ。「たしかこのへんで・・」・・ゴバアッ!「あら。」『はあっ、はあっ・・』「無事なのね。
よかった♪」「な、なにがよかったんですか綺羅さま!」「周りを見てみろ!何人死んだと思ってるんだ!」
「ざっと2000人くらいかしら。」「・・あなたという方は!」「ところでどうやって生き残れたの?」
「・・私の魔法シールドで。」ざっ。「あら、ただの人間に防御されるなんて、少々なまったのかしら・・」
ドンッ!「なんとおっ!」『街?!』ドバアアアーン!くるくるっ、ザザーッ!「・・ぐふっ!」ポタポタ・・
「・・「気づかれた」のは初めてです。」「街が・・気づかれた?!」「おぼえておきなさい。私くらいになると
無意識のうちに結界を張ってしまうの。たとえ「気づかなくて」もね。」「・・これはてごわいですね。」
『ならば影はどうかしら?』「あら?・・私の影が?」『綺羅とやら、これであなたの影は私のものよ。さあ
私の意のままに・・』「影に入るのは不敬ですわ。」ぐん!『なっ?!・・思うように・・操れない?!』
「ジャマだからはがすわね。」すっ、ぐっ。ベリリリーッ!『きゃあああーっ!』「バカな?!幽の影を
ひきはがせるなんて!」ぷらぷら・・「無理にはがしたから、あまりの激痛に失神したのね・・お返しするわ。」
くるくる、ぽい。「おっと!」ぱしっ。「エリス、治療を!」「わかった・・」「人間にしてはよく使うけど、
やはり私には役不足ね。」「・・なら俺たちなら見合うということだ。」ザッ。「あらこわい。さすがにタイタンと
四神獣が相手じゃ、ちょっとびびっちゃうわ。」「綺羅さまに手を上げるのはイヤだったけど。」「ここまで破壊の
かぎりを尽くされては、反抗もやむなし!」「二・三人道連れにされるかもしらんが!」「必ず倒しましょうぞ。」
「やめときましょ。ここは素直に退却するわ。」ふわっ。『なにっ?』「また明日にお会いしましょう・・」
スゥゥゥ・・「・・さすが綺羅、引き際が早い。」「でも・・なぜ明日なんでしょう?」「何かたくらんどんな。」

ブロロロロッ!キキイイイーッ!「フェラーリ?」シャッ!すたっ。「みなさん無事ですか!」「幽が綺羅に。」
「なにっ!」タタタ・・「幽の容態は?」「・・だいじょうぶ。ダメージは治癒してる。あとは静養・・あ。」
ググッ・・「幽!」「彩・・ごめんなさい・・」「話さなくていい。相手が悪すぎたのです。」「まさか・・私の
影術が・・ああもあっさりと・・」「無理もありません。」「・・蘭?」「相手は精霊女王・綺羅。影の世界と
精霊界はアストラル階層的に近いのです。ゆえに綺羅に影術は無意味です。」「くっ・・そうと知ってれば・・」
「いつまでもここにいてもしょうがねえ、場所を変えよう。あとは救助隊にまかせろ。」「・・そうだな。」
「よっ。」ひょい。「彩?!・・」「幽は僕が運びます。」「・・うん。」ぽっ。「予約しておいたホテルはあっちよ。」
「でも・・これだけの大破壊なのに、凱旋門だけはヒビひとつ付けてないのね。」「ああ・・綺羅らしい。」
つん・・「・・なに?」「エリス、どうしたの?」「いえ・・鼻を刺すような匂いが。」「匂い?・・たしかに。」
「甘酸っぱいな・・何かの花かいな?」「・・これは以前どこかで覚えのある匂いでございますな。」

エッフェル塔。「あれが綺羅の力か。」「すさまじいものでござるな。」「あれでも手加減したほうよ。マジギレなら
都市まるごと消滅させてるわ・・」「・・ギネビア、何を考えてる?」「いえ、なんで綺羅があんな無意味な
破壊をしたのかがわからなくて。」「単なる破壊魔ではないのか?」「綺羅はたしかに好戦的だけど、賢明よ。
意味もなくあんな破壊と殺戮はしない・・中途半端なのも気に入らない。」「何かの理由がある、か・・」
「ユウちゃん。」ドロッ、シュン。「はい、ギネビア様。」「連中の滞在先はわかった?」「コンコルド広場のホテル、
「ノワール」最上階スィートです。真下の部屋を予約しておきました。これが皆様のお部屋のキーです。」
チャリッ。「ありがと、気がきくわね。」「では私は先行してお茶を点てておきます。」ぺこっ。ドロドロ・・
つん・・「えっ?」「ギネビア、なんでござる?」「いえね・・匂わない?こう甘酸っぱい花のようなの・・」
「む・・たしかに。」「ここは花の都、花の香りがしてもおかしくはないだろう。」「そうだけど・・??」

ホテル「ノワール」。「幽の容態は?」「落ち着きました。今は寝室で眠ってますが、今回は休養させます。」
「私も結界があるかぎり、手がないですな・・」「戦力半減は痛いな・・相手が綺羅というのが厄介だ。」
「精霊女王・綺羅・・「愛染」の元の所有者。」「なぜ隊長がそれを持っているかの謎が解けるかもしれませんね。」
「・・ひょっとしたら、知らないほうがよかったってことになるかもしれないわ。それでも?」「知らずに後悔する
より気が楽です。」「そうかもしれないな。よし、明日の邂逅では彩に綺羅はまかせる。」「まかされました。」
「あ、そこのとこなんですけど・・なぜ綺羅さまはわざわざ日を変えたんでしょう?」「参謀役のリヴィに
わからんもん、ウチらでわかるか。」「凱旋門広場の大破壊、魔獣の蘇生・・ここの関連がわからないんです。」
『そうよ、そこんとこよ。』シュッ。『うわっ!』「わんばんこ~。」「なんだ、ギネビアか。」「話はみーんな
聞かせてもらったわ。」『聞いてんじゃねえ!』「こまかいことは気にしない。で、本題だけどリヴィくん♪」
「は、はい?」すりすり・・「あたしもその意見には賛成。綺羅は意味の無い破壊と殺戮はしない・・となると、
そこには必ず隠された意味があるはずよ。」ずいっ。「それはわかりますが・・(香水の匂いが・・)」どきどき。
「ん~?頭に血がまわらず、ここに来ちゃったかな?」すりすり。(太股で)「あ、ちょ、ちょっと・・」
すぱああーん!「こら、なにユーワクしてんのよあんたわ。」「あいたた・・リヴィくんいぢめると可愛いもん♪」
「うんうん、そらよーわかるで。ウチもたまにムラムラッときて、夜這いかけたもんや。」「で、どうだった?」
「抱っこだけやのにピンピンなるのがかわゆーてな~。」「うんうん。Bで止めるのが美少年いぢめの基本よね。」
「それに・・服のままのほうが、かえってそそるし。」『えっ?』・・はっ!「い、いえ、なんでも・・」ぽっ。
「ね、ねえ、最近エリスちゃんって性格変わってきてない?(^^;;」「単に染まっただけと思われますが。」
「それはともかく、ギネビア、なにかわかるのか?」「・・気づかなかった?あの匂い。」『匂い・・?』「あ・・」
「そういえばあのとき・・」「やっぱりね・・おかしいと思わない?それまで全然気がつかなかったなんて。」
「気づいたのは・・あれ?・・なぜあのときに気づいたんでしょう?」「どうも変なのよ・・あの香りがどうも
頭の隅っこにこびりついてるのよね。」「その香りに・・なにか鍵がありそうですね。」きっ。「あ、その顔
とってもステキ♪ねえねえ、今夜どう?」ガラピシャーン!「しびびびび!」「このタイミングで雷撃だと?」
「はて、デウス様のご機嫌を損ねた覚えはございませんが。」ぷすぷす・・「けほっ・・なんなのよいったい。」
「とにかく、全ては明日になってからだ。今夜はよく寝て、明日に備えよう。」こく。「それが賢明かもね。」
「ギネビア、あなたはどこにいるの?」「すぐ近く、と言っておくわ。それじゃ。」シュッ。・・「変な人ですね。」

深夜・凱旋門広場。ガガガガガ!「もう一体ありました!」「仮置き場へ運べ!・・やっと500人か。」
「推定行方不明者、三千人・・先は長そうですね。」「生存者に一縷の望みをかけないと、やっとれんぞ。」
「まだ倒壊した建物の中にいるはずですしね・・?」つん・・「・・さっきから匂うこれはなんだ?」
ガガガガガ!「・・いました!生存者です!」「なにっ?!いたか!」ダダッ!「た、たすけて・・」
「もう大丈夫だぞ!ゆっくりひっぱり出せ!」『せーの。』ズズッ・・ガクン!「なんだ?!」「?・・ぎゃあっ!」
「どうした?!」「足が・・足が!」グン!『なにっ!』「なんだ?!・・ものすごい力で引っぱられてる!」
「ぎゃああああーっ!」ガクンガクン!ガハアッ!「いったい何が?!」グン!ズズズッ!『あっ!』
『うぎゃああああーっ!・・』・・トロトロ。「・・血?!武装兵!」ジャキッ!「・・この下に猛獣でも
潜んでいるというのか・・」すっ。ぎょっ!「待て!・・女性の手だ。」ぱたぱた・・「いま助けるぞ!」
ぐっ。「よし、つかんだ。」・・グン!「なにっ?!うわっ!」ズボッ!『隊長?!』『ぐわああああーっ!・・』
ペチャッ、コロコロ・・「・・眼球?!」さっ!ひょい。シーン・・『な、なにが下に・・?』ガクガク・・
『こっちにもいたぞ!・・なにっ?!うわっ!』はっ!「あっちも?!いかん!」『ぐぎゃあああーっ!・・』
「全員、この場から退避せよ!」ドカドカッ!・・ゴバアッ!わしっ!「・・なっ!瓦礫の下から手が!」
グン!ボコッ!「うわあっ!たすけてくれえええーっ!」ブシャアアアーッ!『ひいいっ!・・下半身が!』
「立ち止まるな!逃げるんだ!」ダダダダッ!・・ぴくっ。『?・・なあっ!』むくむくっ。バサバサッ。
オオオオオ・・「ば・・バカな?!収容遺体が!」・・グワアッ!『うぎゃあああああーっ!・・』・・

エッフェル塔。「ふふふ・・始まったわ。花の都パリはこれよりゾンゲリアの支配する死者の都となる。
死者は生者を喰い殺し、殺されたものはさらにおぞましい人食い死者となる・・さて、タイタンたちが
どうするか、この特等席からお手並み拝見といきましょう、うふふふふっ。・・おっと、もうひとつ小細工を
しておかなきゃね。来たれ風の精霊。」ヒュゥゥゥ・・「あそこの建物を取り巻き、静けさを与えてね。」

早朝。「・・ん?」ヒクヒク・・「・・この香りは?!」がばっ!「ん・・リヴィ、どうしたの・・?!」
「エリス、起きるんだ。・・これはただごとじゃない。」「うん・・」ドンドン!『起きてる?!』「はい!」
ガチャ。「俺たちも目がさめた。・・昨日のあの香りがいちだんと強くなっている。」「なんやこの匂いは。」
「とても看過できませぬな。」「こりゃまいった、ここまでくればこれが何か、さすがにわかったがな。」
「そうね・・古い墓地、あるいは霊安室の臭いね。」はっ!「そうか!・・これは死臭か!」「となると、
まさか魔獣が?」「そんな!・・何も感知できてないのに!」「それが不思議です。今までの魔獣ならば、
蘇生したときに必ずエリスが感知していました。それが今回にかぎって感知できないというのは・・?」
「考えられる可能性はひとつ。誰かが妨害しているということです。」『・・綺羅か!』「しまった!じゃあ
魔獣はすでに!」「復活して活動を開始しとるとみるのが自然やな。」「・・隊長、まさかあのとき!」
「ええ、綺羅が何らかの小細工をしてたのでしょう。敵はヴェルサイユ宮殿にあり。」「さっそく出発だぜ。」
「待って・・私も行く。」ヨロッ。「幽?あなたは静養していなくては。」「私だけじっとしてられない・・
見届けだけでもいいから。」「足手まといです。」ふっ。「じゃあ・・これならいいでしょ?」ズズズズ・・
「おや?・・影が?」『街の影に便乗させてもらうわ・・ベッドよりここのほうが回復も早いし。』
「しょうがないな・・ではおとなしくしててください。」『それは状況しだいね。ヤバそうなとき以外は。』

ホテル・ロビー。ドカドカッ!『・・・・』「おや?早朝なのに人が多いな。」「ちょっと待って・・変よ。」
シーン・・「これだけ人がいるのに、この静けさは・・?」「フロント、チェックアウトだ。」「・・・・」
「?・・おい、どうした。」ユラ・・ガアッ!「なっ?!」バッ!・・すたっ。「なんだこいつは?!」
オオオオ!『これは?!』「この人たちはいったい?!」ユラユラ・・「待って・・生命の星霊ガイアよ、
願わくば命の輝きを示したまえ・・はっ?!この人たちは死人です!」『死人?!』グワアアアッ!
「神闘技・トライデント!」ドオンッ!ボコオオオーン!ズダダダッ!・・ムクムクッ。「さすがに死人には
効き目がうすいか。」「とにかくここを脱出しないことには。」「ボクが道を開きます。ストリーム!」
ブシャアアアーッ!オオオオ!ザザザザーッ!「うまいで!激流でゾンビどもが押し流された!」
「いまだ!」ダダダダッ!オオオ!「ジャマです!ファサーデ!」バサアッ!スパパパッ!ボトボトッ。

そのころ。「すー・・」「すぴよすぴよ・・」ベッドルームは女性陣に与え、砂風はソファで寝ていたが・・
ぴくっ、ばっ!「この香りは・・いかん。」コンコン。『起きたわ。』『気づいたのはいっしょだな。』
「さすがでござる。」カチャ、ピッポッパ。トゥルルル・・『・・砂。』「山。・・気づいておるか?」『はっ。』
「物見は。」『ただいま出しました・・あ、戻ってきました。』「代われ。」『・・お頭、容易ならざる事態です。
街に死者があふれております。』「規模は?」『見えるだけでも数千かと。』「・・なぜ気配もとれなんだのか。」
『妖かしの術か、このホテル内ではどうやら外界の音が遮断されているようです。』「・・してやられたな。
どうも静かすぎると思った。ただちに飛燕丸を屋上にまわせ。」『ははっ。』チン。バタン。「砂風、状況は?」
「かくかくしかじか。」「しまった・・こんな手でくるとはね。」「さすがは綺羅というべきか。」「急ぎましょ。」

タタタタ・・『これは!』オオオオ!「なんてこった・・コンコルド広場をゾンビが埋めつくしてやがる!」
「なんて数なの・・これじゃヴェルサイユ宮殿にも行けないわ。」「いったいなぜゾンビが?・・まさか!」
「あっ、思い出したわ!死者をあやつる魔獣、その名はザンゲリア!」「ザンゲリアですと?!あのおぞましき
死霊魔獣ですな。」「俺も聞いたことがある・・古代魔獣戦争で最も忌み嫌われたやつと。」「・・わかりました!
綺羅の行動の意味が!」「リヴィ?」「呼び水です!この地獄の発端は凱旋門広場からです!」『・・あっ!』
「そうか!魔獣があやつりやすい死体を準備したのね。」「陸路は不可能。となると。」「空やな。リヴィ!」
「いきましょうフェイ!」ターン!・・ボオッ!バサアッ!テケレリリリ!ググググッ!ドドーン!アエエエーッ!
『ウチの足につかまりや!』『甲羅に乗ってください!』タタタタ・・「いいぞ。」『いくで!』バサアッ!
『蒸気ジェット!』ボオオオーン!ゴオオオオーッ!「脱出成功!」「急いでヴェルサイユ宮殿に向かえ!」

ゴオオオオ・・「うわ・・街はゾンビだらけよ。」「ここまで被害が拡大してて気づかなかったとは・・」
「綺羅さまの仕業ですな。おそらくホテルの周りに風の結界かなにかを張っていたのでしょう。」
『そのとおりよ。』はっ!「綺羅の声?」「遠隔念話ね。」『おかげでぐっすり眠れたでしょ?感謝してね。』
「綺羅!どこにいる!」『こっちよ。大きな塔が見えるでしょ。』「・・エッフェル塔?!」『ついでだけど、
避難民も展望台にいるわ。魔獣と救助、さてどちらが大事?』「・・卑怯な!」「救助に向かえば綺羅さまが
待ってる・・かといって魔獣を止めなければ被害はどんどん拡大するわ。」「みなさんはヴェルサイユ宮殿に
急いでください。綺羅は僕たちがおさえます。」「彩?・・しかし!」「それが一番賢明だな。タイタン、
あんたらは宮殿へ急げ。リヴィは塔で俺たちを下ろせ。」『それは危険すぎます!』「危険かどうかは
やってみなくちゃわからねえさ。」「・・フェイ、ヴェルサイユへ急げ!」『・・わかったで!』バサアッ!

エッフェル塔。「地上はゾンビだらけか。リヴィ、上部展望台に下ろしてくれ。」『はい。ホバリング!』
ゴオオオオーッ!「いきます!」シャシャッ!「エリス、いいか?」「うん・・」「よっと。」ターン・・スタッ。
『エリスまで?』「今回ばかりはエリスの力が必要なの。」「・・だいじょうぶ。みんなが守ってくれるから。」
『・・魔獣を倒したらすぐに戻ってきます!』ゴオオオーッ!・・「俺たちは避難民を守る。彩たちは綺羅を。」
「わかりました。綺羅は第一展望台ですね。」シャッ!・・「さて、ちょっとがんばるか。」「ひさびさに親子
三人水入らずね。」「たまにはいいよね・・父さん、母さん。」にやっ。「そのうちギネビアたちも来るだろう。」

第一展望台。ゴォォォ・・「なんだ、お誘い断られちゃったのね。」『代理ではいけませんか?』シャシャッ!
スタスタッ。「あら、あなたは昨日の。」「国連秘密部隊・第四部隊「チーム・夢幻」隊長、月影の彩。」
「同じく電脳の蘭。」「同じく・・ご存知ですな。」「そうだったの・・また会えて嬉しいわ。大歓迎しましょう。」
「いきます!」ターン!バサササッ!「ファサーデ・カッター!」シュバッ!ピキイイイーン!「ムダですよ。」
すたっ。バサアッ!「クラスター・ウェポン!」シュドドドッ!ドカドカーン!「あら、視界がきかないわ。」
(赤外線サーチ。)ピィィィ・・(・・あそこ!)バサアッ!くるくるっ。「加速電子砲!」シュバアッ!
ズガガーン!「やった?・・なっ?!」ゴォォォ・・バヂバヂバヂ!「いい攻撃だけど、弾が遅すぎるわね。」
「そんな・・プラズマ弾を手で受け止めてる!」「お返しするわ。」ヒュン!「ファサーデ!」バサアッ!
バリバリバリッ!「きゃあああっ!」ドドーン!「蘭!」ヒュゥゥゥ・・「忍者が墜落死じゃシャレにも・・ん?」
バサアッ。「へえ、あのマントで滑空もできるのね。さて次はどなた?」「では私が。」すっ。「ああ、昨日の地味な
お兄さん。」「今日はちょっとちがいますよ。」シャッ!「真っ正面から来るのは普通といわないのかしら?」
シュッ・・「消えた?・・はっ?!」ボオッ!「横?くっ!」シュバッ!パシーン!「いい反射神経です。」
「あっぶな~、ギリギリ・・お返しよ。」カッ!「おっと・・」フッ・・「えっ?!下に消えた・・」はっ!
ボオッ!「左?!」シャッ!ビュバアッ!くるくるっ、スタッ。「ふう・・武器を使わず蹴りとは厄介ね。」
「武器攻撃はみんな結界にはじかれるが、肉体による攻撃ならば結界は通してしまうと聞きましたので。」
「そのとおりよ。ゆえに私を倒すには肉弾戦か特殊な武器しか手がないわ・・そして前者は!」ヒュッ!
「なっ?!」スガアアアアーン!「うわあああーっ!」「私もいささか拳術には自信があるからむずかしいわよ。」
『それはどうですかね。』はっ?!「まさか?!・・じゃ、吹き飛んだのはいったい?」ヒラヒラ・・「黒い紙?
そうか、影ね!」『そのとおりよ。私は憑依した相手に影術を使わせることもできるの。』『そちらにちょっかい
出すのは危なそうなので、戦闘補助限定ということですな。』「・・人間にしてはなかなかやるわね。でもね!」
さっ。「霊光!」ピカアアアーッ!『この閃光は?!』「全ての影を消して、なおかつ残っている影がそう。
つまりそこよ!烈光斬!」『しまった!』シュバッ!「おっと!」ピキィィーン!・・ドカーン!「あら。」
『・・隊長!』「すごいパワーの霊波光ですね。直撃すれば影とて真っ二つでした。」「剣で反射させるとはね。
前座のみなさんよりは楽しませてもらえそう。」「それはもちろん。この「愛染」で。」チャッ。「え?・・ちょっと、
今なんて?」「この剣こそ僕の分身である「愛染」です。」「・・そんなバカな!たばかるのも限度があるわよ!」
カアッ!「これは?!」ゴオオオオ!「その剣がまことの「愛染」か、試してあげましょう!精霊核!」
ドオオオーン!『うわっ!』『昨日の爆発と同じよ!』「てりゃあああーっ!」シュバッ!ズバアアアアーン!
ドオオオオオーッ!・・『破壊光を・・切った?!』『二つになった光が急角度で分散しました!』「いきます!」
シャッ!・・ドスッ!『当たった!』「?!・・なぜあえて受けたのです?」「この感触・・まちがいないわ。
答えなさい、どこでこれを手に入れたの?」「生まれたときから憑依していました。」「生まれたときから?・・」
はっ!「まさか・・あなたは!」「僕も知りたいのです。なぜこの剣が僕と共にあるのか。」「・・その答えは
ひとつしかないわ。でも・・」「でも?」ぐっ、ズボッ!「今日のところは退却するわ・・また会いましょう。」
すっ・・「まだ答えを聞いてません。」ぴた。ちらっ・・「今は・・まだよ。いずれ話しましょう・・あなたが
受け入れられるようになったときに。」「おっしゃる意味がよくわかりませんが。」「わかるわ、そのうち・・」
ふっ。シュッ・・「去ったか・・もういいですよ、幽、街。」ズズズズ・・「ふう~、影の中は初めてでした。」
「暗くてヒンヤリしてて居心地いいでしょ?」ズズズ・・「足元がおぼつかないので、不安でしたよ。」
「蘭は?」ヒュゥゥゥ・・バサッ。「やっと戻ってこれました。」「ねえ、もしかして彩って・・」きっ。
「幽、それは綺羅自身の口から明かしてもらうべきことです。」「・・はい。」「・・たしかにまだ僕には
真実を受け入れる準備ができていないようです。でも、いずれ・・」「・・それがとっても不安なんだけど。」

上部展望台。ワアワア!「ざっと100人か。」「確認したわ。第一展望台はもうゾンビに占領されてる。」
「エレベーターは止めてるけど・・あまり時間はないみたいだよ。」「なに?」ひょい。オォォォ・・
「登ってきやがるか・・」「階段とエレベーターシャフトね。」「助かるアテある?」「タイタンたちが魔獣を
始末してくれれば死者たちも安らかな眠りにつけるだろうが、それまで待つ余裕はなさそうだな。」
「シャフトのは蹴り落とせばいいけど、階段はちょっとやっかいね。」「私がなんとかする。父さんたちは
シャフトを。」「わかった、まかせるぜ。」「ヤバくなったら声をかけてね。すぐに応援に行くわ。」

非常階段。オオオオ!「・・ここまでだよ。」カンカン・・すっ。「清き星霊ポラリスよ、汚されし魂に
慈悲もて清めの輝きを。エロイムエッサイム我は求め訴えたり。」キィィィ・・「聖浄光。」サァァァ・・
オオオオ・・ボロボロボロ・・『ありが・・とう・・』「・・地より生まれしものは土に還らん。」すっ・・

エレベーター。「・・きたぜ。」ドンドン!メリメリ・・「まずエレベーターを落とす?」「一発めとしては
悪くないな。」「それじゃ・・」キラッ。・・ビチビチビチッ!ゴオオオオオーッ!・・ドグシャアアアーン!
「これで半分以上は巻き込まれてつぶれたはずよ。」「あとは壁にへばりついてる奴らだけだな。パイプの汚れは
洗浄液で取るにかぎる・・魔鬼雨。」キラッ。・・ザアアアア!「シャフトの中だけ?」「ちょっと加減がいるが。」
オオオオ!ドロドロドロ・・「おーおー、きれいに溶けてくわ。今度またウチの排水管やってもらおっと。」

忍空挺「飛燕丸」。「さて、どっちに行くの?」「魔獣にはタイタンたちが向かった。今回は救助隊だな。」
「同感でござる。エッフェル塔へ前進!」ゴオオオオーッ!「忍群へ。レスキュー作戦に備えよ。」『ははっ!』

「あら、あれは?」「おっ、三牙将の飛空挺だ。おーい!こっちこっち!」ヒュンヒュンヒュン!「むん!」
ターン!・・パリイイイーン!スタッ。「仮面の忍者・大砂塵、見参。」「助かったぜ。被災者をたのむ。」
「そのために来たのでござる。」ヒュッ!「お待たせ♪独立救助隊のお出ましよ。」「はじめまして。」
「ん?初顔ね。」「名前はユーディット。ほら、こないだの魔獣よ。」「ああ・・思い出した。」「ユウちゃん、
飛燕丸に橋をかけて。」「かしこまりました。」グニュ、ギューン!ぺたっ。「へえ~、便利なもんだな。」
「忍群、被災者をかついで飛燕丸へ移せ。」『ははっ!』タタタタッ。「ニンジャだと一般民はこわがらないか?」
「そのために赤十字の腕章をつけてるでござる。」「あの巨大手裏剣みたいな飛空挺は見るからにアヤしいわよ。」
「ぬかりなし。あれを見よ。」『・・櫓にペンキで赤十字?』「あれなら多少はマシであろう。」『どこが。』
「エリス、そっちはどうだ?」『・・きりがない。どんどん登ってくるよ。』「私が行こう。」ババッ!・・すたっ。
「おっ、アテナか。たのむ。」ぴくっ。「・・その名をどこで聞いた?」「国連情報部員をなめないでね。」
「お三方の素性くらいわかってるさ。」「・・今の私は金色夜叉だ。」シャッ!・・「カタいのは昔からだな。」

オオオオ!「ふぅ、ふぅ・・」ぽん。「・・えっ?」「ご苦労さま、あとはまかせなさい。」「・・アテナさん。」
「?!・・その名はやめて。」「でも金色夜叉じゃ呼びにくいし・・」ひくっ。「・・好きに呼びなさい。」
ゾロゾロゾロ。「飛車角!」シャン!「袈裟角!」シュババッ!・・ピキッ、ガラガラガラ!オオオオ!・・
「・・階段をコマギレに?」「抜本的対策というやつだ。これで登ってはこれない。さあ、行こう。」「はい。」

「二人で最後だぞ。」「エリス、背中につかまって。」「はい・・」「いくぞ。」シャッ!タンタンタン・・すたっ。
「全員脱出完了。」「下のほうでがんばってた第四はいいの?」「あの連中ならほっといても自力で脱出するさ。」
「ユウちゃん、もういいわ!」ぱっ、シュルシュル・・すたっ。「任務完了しました。命令を待ちます。」
「変幻自在、便利なもんだねぇ。」「デフォが黒豹や犬じゃなく、美人秘書なのも気に入ったわ。」ぴくっ。
「ん~?・・ねえ、どこかで会ったかしら?」「さて、な。」「ひとちがいじゃないの?」「・・思いすごし。」
「そうかな~、たしか・・あ?!」ぎょっ!「あ、気づいたかも。」「なにをいまさら。にぶいくらいだ。」
「だってそのカッコウじゃ、気づけというほうが無理よ~。」「あのカッコウのままだったらコスプレだろーが。」
「あう~・・それで全てのつじつまが合うわ。あったまいた~。」「まあまあ・・お姉ちゃん。」ぽんぽん。
「ギネビア?・・ここにいたのか。」「なにを話しこんでおるのだ?」「あ、いやその~。」「被災者を降ろす
場所を検討してたのよ。」「政府の救助本部がシャルル・ド・ゴール空港に置かれてる。そこがいいだろう。」
「あ、その前にちょっと寄り道して。」「寄り道でござるか?」「エリスは今日はお座敷多いの。」「そうなの・・」

ヴェルサイユ宮殿。ゴオオオーッ!バサバサアッ!ドドーン!『着いたで。』「よっと。」すたすたっ。シュゥゥ・・
「で、魔獣はどこやて?」「彩によると、秘密の地下室のようね・・うっ!」ツーン!「・・この死臭は!」
「いままでで一番ひどいですな。」「ここで間違いないようだ・・ん?」・・ゴオオオオーッ!「リヴィも来たわ。」
シャルルルッ!・・すたっ。「お待たせし・・うっ!ひどい臭いですね。」「なるべく鼻を使わないようにしろ。」
カツカツ・・「うわ・・内装がみんな腐ってますね。」「死臭には物を腐らせる力もあるみたいですな。」
「アラクネ、死臭の元凶はわかるか?」「ダウジング・・あっちのほうね。」「・・突き当たりの壁ですね?」
コンコン。「なんとか破れそうだ。」「お手伝いしましょう。」「ではイエティ、いっしょに。」『・・はあっ!』
ドオンッ!ボガアアアーン!パラパラ・・「・・あれは?隠し階段です!」「ドンピシャやったな。」

カンカン・・「ここは・・地下墓地?」「カタコンベというやつね・・時代は古代ローマくらいからかしら。」
「死をあやつる魔獣にふさわしいところやな。」「奥へ行ってみよう。」・・はっ!「待ってください!」
『リヴィ?』「ザンゲリアは死者をあやつる・・そしてここは地下墓地。条件がそろいすぎてます。」
『・・そうか!』ボコボコッ!オオオオ!「ゾンビの群れでございます。」「げ、みんな腐乱してるじゃない。」
「こんなんに喰い殺されるのだけはイヤやな。火炎放射!」ゴオオオオーッ!オオオオ!「腐っとるせいで
燃えにくいやん。」「では凍らせましょう。レンの凍てつく風でございます。かあああーっ!」ビュオオオ!
カチカチ・・「あとは殴ればよろしいかと。」「そうだな。それっ!」パキイイーン!ガラガラガラ!

ゴォォォ・・「広いところに出たな。」「地底にこんな空洞が・・中央になにかあります。」カツカツ・・
「これは・・柩?」「やとしたら巨人のカンオケや。」「蓋の封印が砕かれております。綺羅さまの仕業かと。」
「この中に魔獣ザンゲリアが・・ん?」ゴトッ、ゴトゴト・・「中から・・開けようとしてます!」
「みんな気をつけろ!」さっ。ゴゴゴゴ・・ドバアアアアーン!ムウウウウ~ッ!「こいつが・・ザンゲリア!」
「まるで腐った肉の集積体じゃない・・」ゴボッ。ブシャアッ!『おっと!』さっ。バシャアッ!ドロドロ・・
「石の床が腐り落ちた?!」「すさまじい腐敗液です。直撃されたら僕たちでも!」「このせまい地下は不利よ!」
【天井を開けてあげるね。】「?!・・この声は?」「お館さま、どないした?」「・・聞こえなかったのか?」
「なにが?」「・・いや、なんでもない。・・ん?」ピキ・・ピキピキ・・ガラガラガラッ!ドシャアアアーッ!
「なんと?!天井が崩れてザンゲリアを押しつぶしましたぞ!」「いったいなぜ?」「・・とにかく、出よう!」
「そうね。ストリング!」シュバッ!・・ぺたっ。「みんなつかまって。リワインド!」キュルルルルーッ!

スタスタッ。「ふぃ~、やっとマシな空気のとこに出たわ。」「ザンゲリアは?」・・ゴバアアアーッ!ムウウ~ッ!
「やはりあの程度では滅びないようですな。」「どうします?マスターが巨神になってもあのカタマリじゃ・・」
「えーとえーと、ザンゲリアの弱点は・・バベルの図書館で読んだんだけどな~!」【汚れしものは清き水にて
洗われ、土に還るの。】「また?・・清き水だと?」ぴくっ!「それよ!・・なんで一郎さんが知ってるの?」
「いや、なんとなく・・」「リヴィ、聖水吐ける?」「無理いわないでください。ボクが吐けるのは海水だけです。」
「そうよね~。どうにか水を聖別化されられれば・・」「・・できるよ。」はっ!ばっ!『・・エリス?!』
「いつの間に?」「あれに送ってもらったの・・」ヒュンヒュンヒュン!「三牙将の忍空挺や!」「亭主は被災者を
降ろしに同行したわ。」カツッ。「ベルさん?それじゃ!」「ええ、綺羅はどうにかおひきとり願えたようね。」
「ようもまあ穏便に・・」「街ごと消滅しなかったのが奇跡ですな。」「それより、エリス聖水作れるのね?」
「うん・・」「リヴィ、今回はお前とエリスにまかせる。」「がんばりや!」「わかりました。かならず!」

タタタッ。ムウウウ!「これがザンゲリア・・」「エリス、ボクに肩車して。」すっ。「よいしょ。」ひょい。
「いくよ!はああああーっ!」ググググッ!「わわわわっ。」ドドーン!キュアアアアーッ!「いきます・・」
キィィィ・・「清浄なる星霊ポラリスよ、生命の水に祝福を与え汚れしものを清めたまえ。エロイムエッサイム
我は求め訴えたり!」キイイイイ!「リヴィ、いま!」『ギガ・ストリーム!』ガッ!「アクア・ブレス!」
ブシャアアアアーッ!ドパアアアーン!ムウウウウ!『おおっ!』「ザンゲリアの腐肉が・・洗い流される!」
「まるで土くれのようにボロボロ崩れてくで!」「そう、まさに土に還っていくの。それが自然の摂理よ。」
ドオオオオーッ!ムウウウ・・ドロドロ・・「・・もういいよ。」シーン・・『地下空洞も埋まってしまったね。』

ちょっと離れたところ。「終わったようですね。」「打ち上げディナーに出れないのが残念だわ。」「幽から食い意地
とったら何にも残りませんな。」「あれだけ食べてて、どうやったらこのプロポーション維持できるんです?」
「食ったぶん使えばいいのよ。影の中はけっこうカロリー使うんだぞ。」「たしかに精神的にかなり疲れますな。」
「でしょ。レースクィーンとしてのカンペキなプロポーションのウラにはそういう苦労があるってことを
わかってほしいわ。ね、幼児体型の蘭ちゃん♪」「だれが幼児体型ですか!幽がウシチチなだけです!」
「だれがウシチチじゃー!せんたく板が!」「いずれにせよ、かがり君には負けてますがね。」『ぐっ!・・』
「ま、負けてるったってたかが1cmじゃない!」「こらこら、サバ読んじゃダメですよ。精確には1.5cmです。」
「四捨五入でいいでしょ!」「それは切り捨てってゆーんです!」「あははははっ!ではいきますよ、モナコへ。」
カキッ、ブロロロロッ!『うわっと!』どしゃあっ!「こら~!いきなり急発進するな!」モゴモゴ・・
「え?・・(股間が街の顔にかぶさってる)やん!」ぱっ。「いや~、とんだ事故でした。」にへら。どげしいっ!

その夜、シェルブール。「みんな、ご苦労さんだった。」「・・最終的な被害は?」「・・80万人だ。」『80万・・』
「完敗だな・・」「食い止められなかった・・あのときもっと早く宮殿に行ってれば!」ダン!「いえ、もし
その日じゅうにザンゲリアを倒したとしても、綺羅さまが・・」「そうなっとったらフランスどころかヨーロッパ
まるごと潰滅しとったろうな・・推定3000万人。」「大事なのは現実に死んだ80万人よ!」ぐーっ!・・ダン!
「なにが楽園復活よ!無数の犠牲の上に成り立つ楽園なんて、わたしは絶対認めない!たとえ綺羅さま・・いえ、
綺羅だって許さない!こうなったらトコトン戦ってやる!」「アラクネ・・」「これはもう人間と神のじゃない、
わたしたちの戦争よ。そう、魔獣だけじゃなく十二神も滅する覚悟でやらないといけないことよ、一郎さん!」
「神殺しかや・・それもおもろいな。」「いつまでも直接戦闘を避けるわけにもいかないでしょうな。」
「そうですね・・いずれは十二神との直接対決もあるでしょう。」「問題は・・アーレスがいつ立つかだ。」
「ところで三牙将は?」「空港で別れたきりだ。どこへ行ったかまでは知らん。」「また現れるでしょうな。」

同じホテルの別のレストラン。「今回は裏方で済んだな。」「さすがに綺羅が相手じゃ、わたしたちでもかなり
ヤバいもんね。」「ああ、けど・・第四はよくがんばったな。」「二人くらいやられるかと思ったが、彩どのの
剣を見て退散したようだ。」「「愛染」か・・アテナ知ってる?」「耳にはさんだことはある。かつて綺羅が
戦場へ赴く精霊戦士に与えたらしい。・・恋人だったとも。」「なるほど・・で、ついに戻らなかったと。」
「たった一人で数万の敵を巻き添えにして玉砕したと聞く・・亡骸も剣も見つからなかったそうだ。」
「となると彩はその戦士のリーンカーネーションかもね。」「あっち風に言えば霊天星・・精霊だった者だ。」

アウターヘブン。「さすが綺羅、よくぞ80万も削減した。」「目標は200万でしたけど、ちょっと予想外の
ジャマが入ったので不本意な成績ですわ。」「・・綺羅、顔色が良くないようだな。」「そう?・・ちょっと
疲れたのかも。もう休ませてもらいますわ。」「うむ。ご苦労であった。」「では・・」くるっ、すーっ・・

アウターヘブン内は空間工法により見かけ以上の広大さを有し、十二神はそれぞれ巨大な神殿を持つ。
綺羅の神殿。「ふう・・」どさっ。(・・まさかナルシスが転生してたとはね。しかも敵対する勢力に・・
どうする?敵として屠る・・できない。次はいつどこで転生するかわからないし。かといって私のもとに
戻ってくるとはとても思えない・・)ピッ。「精霊軍情報部を。」『はい、こちら情報部でございます。』
「ある人間のデータが欲しいわ。わかるだけ全て。」『了解いたしました。対象の姓名は?』「月影の彩。」
『少々お待ちください・・確認。レベル1までのデータしかありません。レベル2以上は調査になりますが。』
「ただちに調査して。緊急・最重要。レベル4まで調査して。」『前世までですね。かしこまりました。』




第十九夜~第二十二夜

夜、ホテルのバー。「ギネビア、よく来てくれた。」「寝てるとこいきなり魔空通話で呼び出したのは誰よ。」

「こんばんは。」「なんで秘書までつれてきてるの?」「だってベッドいっしょだもん。つきあわせるのがスジよ。」

「まあいい、まずは何か飲めや。」「カンパリソーダ。」「マルガリータを所望いたします。」「あら、にわか造りに

してはよくできてるじゃない。」「けっこうコッて造ったからね。」「ギネビア様のおかげです。」「いいデキだぜ。」

カラン・・「しかしねえ・・まさかオヤジが秘密部隊の「総司令」とはね。あまつさえ母さんもリリスまでも

いるんだもの。」「こうしたほうが動きやすいのよ、エデンではね。」「ヒラの情報部員と連絡員が実は総司令と

副司令なんてベタすぎて誰も気づかないでしょうね。ま、発想は悪くないけど。ところでリリスは?」くい。

「未成年にバーはダメよ。」「いまごろ上でリヴィに優しくされてるだろうぜ。」「あっきれた・・本気でリリスを

あのカメ坊やにくっつけるつもりなの?」「ギネビアだって知ってるでしょ?リヴァイアサンの神格の高さは。」

「いずれはボスタングの後継者として七つの海を統べる大海神になるだろう。嫁ぎ先としては申し分ないぜ。」

「このまま無事に済めば、でしょ。んなわけないじゃない・・」「そうなってもだ、リヴィ以上にリリスを

想ってくれる男は他にいねえのも事実だ。」「娘を絶対に見捨てない・・親としては望むべき相手の最低条件よ。」

「・・たしかに。そういう意味ならリヴィは大賛成よ。」「この先どんな事態になろうとも、リヴィはリリスを

命にかけて守りぬくだろう・・そういうヤツさ。」「でしょうね。・・いいオトコみつけたわね、妹は。」

「そういうあんたはどうなの?いいオトコみつかった?」「残念ながら。わたしゃ高望みが過ぎるのかもね。」

「まああせるこたあない、200歳ならまだネンネだしな。」「そうね。私も落ちついたの600歳になってからだし。」

「もう少しエデンをまわってみたいわ・・いろいろ勉強できるし。」「いいだろう。将来のためにもな。」

 

♪水平線の彼方から 巨大な魔獣が現れる

♪船を砕き島を沈め 白い山が海を割る

♪誰が止めるか 大魔鯨バルガンを

♪王神も剣神も 勇気があれば恐れはしない

♪「太平洋の風」が 神討つ嵐と吹き荒れる

 

********************************

 

太平洋・東経135度、北緯10度海域。豪華客船「デメテル」。ボオオオーッ・・「今夜の海は静かですね、船長。」

「ああ、航海にはこれ以上ない穏やかさだ。これがずっと続いてくれればいいな。」「まあ大抵の時化でもこの

デメテルはびくともしませんがね。なにせ最新鋭テクノロジーの粋をこらしたハイテク船ですから。」

「副長、海をあまくみるなよ。大自然の猛威の前には人間の技術などおこがましい。しょせんこの船もでっかい

鉄のカタマリに過ぎんのだからな。」「・・船長、こちらへ。」「レーダー手、どうした?」「これを見てください。」

『・・これは?』「航路監視ソナーが捕らえた反応です。なにか巨大なものが前方にいます。」「距離と深度は?」

「距離60マイル、深度300フィート。」「こんなところに暗礁が?」「海図には載っていません。」「針路変更。

暗礁を回避する。おもかじ20。」「おもかじ20。」「速度を24ノットに落とせ。」「よーそろ。」ジリリリリン♪

ザザザザ・・「・・船長!暗礁が動きます!」『なにっ?!』「こちらの針路に・・まさか?!前進してきます!」

「バカな?!暗礁が」・・はっ。「潜水艦か!」「コリジョンコース!」「ソナーを打て!気づかせるんだ!」

ピーン・・コーン。「・・ダメです!針路変わらず!」「とりかじいっぱい!かわせ!」「・・なんだこりゃ?!」

「どうした、レーダー手!」「ソナーによると・・全長500m!」『なにっ?!』「そんな超巨大潜水艦はどこの

国も保有してないぞ!」ウォォォ・・ン・・『・・?!』「いまの音、いや声はなんだ?!」「あの声は・・」

「衝突まであと20秒!」「衝突警報!総員退避準備!」♪ジリリリリ!「あと5,4・・急速浮上?!左舷です!」

ドパアアアアーン!『なんだ?!』ウオオオオオーン!「あれは・・氷山?!」ゴオオオーッ!ドグシャアッ!

『うわあっ!』ズダダダダーッ!ズズズズズ・・ヨロヨロ。「ちがう・・あれは・・白い・・巨鯨・・」ゴバアッ!

 

第20夜「太平洋の風」- 白鯨魔獣バルガン登場 -

 

アウターヘブン。「あれが魔獣バルガンか・・」「左様。さすが「大魔鯨」の異名をとる海の魔獣じゃ。」

「ボスタング殿、お知り合いですの?」「かつてエデンの海を支配しておった海棲魔獣のうち、太平洋の王じゃ。

魔獣戦争でワシがようやく封じ込めたのだが、こんな形で解き放つことになろうとはな・・皮肉な話じゃ。」

「今回は太平洋上にある船はもちろん諸島までも海の藻屑とする作戦。ボスタング殿、よろしく願う。」

「言われるまでもない。海を汚す人類どもを、きれいさっぱり洗い流してくれるわ。うわははははは!」

 

ハワイ、ワイキキビーチ。ザザーン・・「う~ん、さすがハワイね。のんびりするわ~。」「激戦の連続でさすがに

疲れてたからな。」「暑うてええとこやな~・・他のみんなは?」「リヴィとエリスは海でサーフィン、イエティは

暑いの苦手なんで冷房の効いたホテルの部屋にこもってるわ。」「ほか。しかし・・アラクネあんたのビキニは

ダイタンなカットやな。はみ出そやないか。」「がんばって強調しなくちゃね。」「89もあって不足なんか。」

ずいっ。(一郎の胸の上)「91の人に言われたくないわよ。」ずいっ。(同じく)「・・(あ、やば・・)」むくうっ。

『・・え?』「ははは、さすがに抑えられんかったぞ。」「ええ日陰になるな。」つんつん。『なるかっ!』

 

ザザーン!「いくよエリス。」「いいよ・・」ザザザザ・・「それっ!」タン。ザザザザーッ!シャアアアーッ!

「よいしょ!」シュパッ!くるくるっ、ザザザーッ!「・・ここ。」すっ、シャアアアアーッ!「うまい!

波のチューブをきれいに抜けた!」シャアアアア・・「エリス、運動神経いいんだね。」「こうみえても体育は

成績よかったの・・」「はじめてのサーフィンであれだけ滑れるなんてすごいよ。」「リヴィがうまく教えて

くれたから・・」「エリスの呑みこみが早いからだよ。さ、もう一回いこう。」「うん・・」ザバザバ・・

 

「よお、やってるか?」「ナンバー6?」「お休みのとこ恐縮だけど、最新情報が入ったわ。」「なんかあったの?」

「豪華客船が遭難した。生存者はなしだ。」「暗礁にでも乗り上げたんちゃう?」「ところがギッチョン、その海域は

交易航路として調べ尽くされてて、暗礁なんか無いことが確認されてるの。天候も晴天、海温は最低でも18℃。」

「変ね・・その条件なら生存者はかなりいるはずよ。」「避難する間もなく撃沈されなかったらの話だがな。」

『撃沈?』「・・魔獣の仕業か!」「その公算が高いわ。しかも海棲魔獣だとしたら。」「海棲魔獣・・リヴィ~!」

「は~い!」ザザザザ・・『・・え?』ズザザザザッ!『うわっ!』「ブレーキ!」ズバシャアアアーッ!・・

「よっと。呼びました?」『ぷぺぺぺぺっ!』「砂浜にサーフィンで乗りつけるな~!」「あーあ、砂まみれや。」

「かくかくしかじか。」「太平洋の海棲魔獣はいくらかいますが、それだけじゃどれだか判別つきませんね。」

「最後の電文には「白クジラ」とあったけど。」「ああ・・それならバルガンの可能性が高いです。」『バルガン?』

「えーとですね・・」「大魔鯨バルガン。全長500m、水中速度は最高100ノットを誇る。」「・・えっ?」

くるっ。『結希?!』「お、やっと着いたか。他のみんなは?」「・・あそこ。」『えっ?』バシャバシャ!

『いや~、海はええな~。』『ハワイは暑うてかなわんわ。』「あ~、いい湯ですわ。一杯ほしいとこですわね。」

「・・シーラ、温泉じゃない。」ぷかぷか。(浮き袋)【トモダチの船幽霊呼んできて水上スキーしようかな?】

「水泳はカラダを鍛えるのに最適です!ダイヤモンドヘッドまで遠泳してきまーす!」ザババババーッ!

「・・というわけ。」ぺろぺろ。(ジェラート)『・・m(_ _;;m』「し、しっかり楽しんでるのね。」「ええ根性や。」

「あれ?・・リヴィ、エリスは?」「・・ああっ!沖に残してきちゃいました!」『このアホ!』「急いで・・?」

ザザザザザーッ!『なっ?!』「大波や!」ドッパアアアーン!・・シャァァァーッ。「・・魅霊さん、ありがと。

大きな波を起こしてくれて。」「風を使えばこのくらいカンタンよ。ところでみんなは?」きょろきょろ。

「・・砂あそびしてるみたい。」「どうみても犬神家の一族ゴッコなんだけど・・前衛芸術かな?」ザザーン・・

 

数時間後、エル・ドラド。「う~、まだ耳ん中に砂が・・」じゃりじゃり。「あとで耳掘ってあげるわよ。」

「んでヒザ枕から前戯はお約束やな。」「えっ?・・フェイさん、そういうテクあるんですか?」「そやで~。

まずおもむろにオトコが頭を下にしてな・・」すぱぱーん!「状況説明をお聞きくださいませ。」『は~い。』

「つい先ほど、クリスマス島との連絡が途絶えた。・・衛星からの最新映像だ。」ぱっ。『・・これは!』

「沿岸施設が潰滅した。原因は鉄砲水だ。」「津波じゃない?」「バルガンの武器、高水圧の汐噴です!」バン!

「あいつの汐噴は数千mも届き、落下地点のものは毎秒数トンの激流で完膚なきまでに破壊されるんです。」

「そのとおりよ。事実、沿岸からかなり入ったところまでやられてる。」「陸にいようと安全ではないわけだな。」

「ここからが本題だ。襲撃時間と被害範囲から推定して、バルガンの現在位置を衛星で探査したところ・・」

ぱっ。「いた!」「東経160度・北緯7度。北へ向かっている。」「・・ということは!」『ハワイ諸島!』ガタッ!

「すでに第七艦隊が迎撃に向かってるわ。通じるかどうかは別として。」「どうやら戦術核を使ってでも阻止する

方針らしい。」「そんなもの使ったら国際問題になるんじゃないですの?」「主要国への連絡済み。ゆえに表だって

報道されることはないわ。」「・・報道されないからといって、使っていいわけじゃない。」【詭弁だよね~。】

「そうはならないと思います。」『リヴィ?』「我が師ボスタングならそのくらいは読んでます。海を汚されるのを

何より嫌う師ですから、必ず未然に阻止手段を打ってくるはずです。」「そうだな。四界一の軍師だしな・・」

 

ゴォォォ・・『こちらバリー1、まもなく戦術トマホーク発射位置につきます。』『ラジャー、バリー1。発射したら

ただちに旋回・退避せ・・』ザザザザッ!『HQ、聞こえません。もう一度。』スゥ・・『・・なにっ?!』

ドドドドド!『重爆撃機?・・バカな、レーダーには何も!』『バリー1、あれはボンバーでもありません!』

ゴゴゴゴゴ!『これは・・バトルシップ?!』『空飛ぶ戦艦?!』キキキーン!ビシビシッ、ズガガーン!

『バリー3、撃たれた!』『敵対行動をとった以上、敵機とみなす!全機攻撃せよ!』キキキーン!シュバババッ!

ドカドカーン!『ビンゴ!・・なにっ?!』ゴォォォ・・『効果なし!スパローではキズひとつ付きません!』

『対地マベリックならどうだ!』シュゴオオオーッ!・・ドカアアアーン!『・・ジーザス!なんて装甲だ!』

キイイイーン!ビシビシッ、ズガガガーン!『バリー1が!』『あれは・・レーザーバルカンじゃねえのか!』

 

『ふふふふ、我が艦「ベオウルフ」が人間の兵器ごときにやられるか。』「ゴーメンガースト、あの大きなのを

持つやつを片付けよ。あれが核兵器じゃ。」『もちろん。対空光槍、発射。』キイイイーン!ドガガガーン!

『撃墜だ。』「よし。」「さすがボスタング殿、よく読んでいたものだ。」「ヴォーダン、キサマがなぜ同乗する。」

「ふふ・・ひさびさに戦場の匂いを嗅ぎたくなったからな。」「さようか。・・(将たるものがノコノコと。)」

 

第七艦隊・空母ルーズベルト。「第一次攻撃隊、全滅!」「敵はどこだ!」「敵影は確認されません。」「ただちに

第二次攻撃・・」「前衛潜水艦「オクラホマ」から緊急連絡!未確認巨大潜行物体を捕捉!例の巨鯨です!」

「魚雷攻撃だ!」「発射しました・・命中!・・効果なし!」「敵影急速接近!・・100ノット?!」バリバリッ!

「・・オクラホマ、撃沈!」「前衛線を突破されました!」「かまわん!戦術核サブロックを撃て!」

「間に合いません!輪形陣突破されました・・本艦の真下です!」グラッ、グワアアアアッ!『うわあっ!』

ウオオオオーン!ザパアアアアーン!ドグシャアッ!ズズズズ・・ザザザザザーッ!ウオオオオーン!・・

 

「ルーズベルトが・・撃沈?!」ピッ♪「もしもし、俺だ。ただちに残存艦艇を退避させろ!このままじゃ・・」

ぐっ。「おそかったようだ・・」『艦艇が次々と沈められていくで・・』『最強の第七艦隊がああも簡単に・・』

「やはり、わたくしたちが倒すしかないようですわね。」「リヴィ、海戦となればお前が頼りだ。」「はい!」

「キャプテン、バルガン迎撃ポイントまで?」『あと10分だ。』「・・いまのうちに撃滅作戦を決めておこう。」

「・・待って!」『結希?』「・・キャプテン、高度12000、針路84!」『わかった。』「何か感知したの?」

「いる・・大きい。」ピピピピッ。「この方向に・・いた!」ぱっ。『あれは?!』「ゴーメンガーストの戦艦

ベオウルフか!」「こいつが戦闘機隊をつぶした張本人やな。」『・・シールド!』キン!・・シュババババッ!

『うわっ!』グラグラッ!『だいじょうぶや。ウチらのシールドで減衰してるさかい、ダメージあらへん。』

『ちょっとシールドごと光圧で押されただけや。』「光槍弾ね。見えてからだと確実に手遅れだったわ。」

「よくわかったな。」『イエティはんの教育の賜物や。』「敵を見たら攻撃してくると思えということです。」

「あんたたちは魔獣を追ってくれ。俺たちで戦艦をどうにかする。」「言っとくけど、通常兵器じゃキズひとつ

付けられないわよ。」「だいじょうぶよ。スペクトラム自体が強力な武装になるもの。」「・・スペクトラム?」

「第六部隊の正式名称です。」「なるほど・・全部で七人、いえ五人と二匹ですね。」「それぞれ異なった超能力と

いう意味も含んどるな。」「とはいえわたくしとアラクネ殿は海戦はダメですな。」「結希とシーラ、魔獣撃滅の

ほうに行ってくれんか。」「はい。」「おまかせあれ♪」「俺とリヴィとフェイで行く。アラクネとイエティとエリスで

エル・ドラドを守ってくれ。」「りょーかい。」「それならば。」「・・わかった。」『ほな戦闘ブリッジやな。』

『レナ、いこか。』「ああ。」【キャプテン、あたしの愛機は?】『いつでも飛べる。』「戦艦相手なら不足なし!」

 

ベオウルフ。「なんだあの飛行体は?」『タイタンたちのものだ。光槍を射ち込んだが障壁に阻まれた。』

「ほう、先ほどのカトンボどもよりは楽しめそうじゃの・・むっ?」パパパッ・・「何か飛び出したぞ・・

あれはタイタンたちじゃ!」『なにっ!』「バルガンを倒しに行くつもりか。」『そうはさせん!ベオウルフで』

グラッ、ドドーン!「なにっ?!」「ゴーメンガースト、どうした?!」『・・右舷小破!』「バカな!人間の

兵器ごときでベオウルフの装甲は・・」ドドーン!『また直撃!防御率5%低下!』「やりおるな人間も。」

「ベオウルフはここであやつを倒せ。俺とボスタング殿でタイタンたちを阻止する。」「それがよかろう。」

 

「次のミサイルいくわよ。」シュゴオオーッ!「・・念動強化。」キン・・ズボオッ!ドガガガガーン!

「さすがレナ、ミサイルをサイコ・コーティングして神鉄を貫くようにするとはね。」「対空砲もいきますぞ。」

ドンドンドン!『空気摩擦消去や!』『ほいな!』キン!・・ビスビスッ、ガガガーン!「砲弾も空気摩擦を

消したおかげで、ほとんど初速のエネルギーを保ったまま着弾してますな。」「・・エリスはどこいったの?」

上甲板・対空ドーム。「・・イカズチの星霊トールよ、裁きの神鳴をもって邪な敵を打て。エロイムエッサイム

我は求め訴えたり!」ピシャアアアーン!バリバリバリッ!『これは?!・・まさかデウスのイカズチ!』

 

艦載機射出口。【よしと。準備完了!】「ナナちゃん、飛行服ルックはいいけど、そのハチマキはなに?えーと、

「頼無むとんぁふ」?」【ちゃうちゃう、こっちから「ふぁんとむ無頼」って読むんだよ。】「あ、なるほど。

で、どういう意味?」【さあ?第三の愛美おねえちゃんが「これがピッタリ」だって字を教えてくれただけ。】

「愛美のことだから、また古いマンガからの引用かな。」『ナナくん、魅霊くん。ハッチを開くぞ。』ズズズズ・・

【ナナ、フライング・ソバット改「フー・ファイター」、いきまーす!】シュバッ!・・ヒィィィーン!

「魅霊、いきます!」ターン!・・ゴオオオオーッ!「風よ翼となれ!ジェット・スクランダー!」ヒュオッ!

『艦載機?こしゃくな。ならばこちらも量産兵「ケルビム」射出!』シュパパパッ!・・バサバサバサッ!

【なにあれ?天使?】『空戦用天使「ケルビム」よ。まあグレムリンみたいなもの。戦闘擬似生体だから

遠慮せずにやっちゃって。』「そういうことなら!風よ吼えろ!」ヒュルルルッ!「ドラゴンカッタアアアーッ!」

シュバアッ!・・ズバシャアアアーッ!「三体!」【おっ、さっすが魅霊おねえちゃん。あたしも!】ぐいっ。

クルクルッ!【幽霊だからどんなムチャな機動でもだいじょうぶ!荷電粒子砲ぐるぐるあたっく!】カキッ。

シュバアアアアアーッ!ズガガガガガーン!【まとめて六体!・・おっと、スピン中止。】ぐいっ、すぱっ。

「私は戦艦をやるから、ナナちゃんはザコ払いをお願い!」【おまかせ。ブレイク!】ヒイイイーン!

「はら~、すごい操縦するのねナナちゃんは。」「・・ナナは生前、パイロットを夢見ていた。そして死後も

勉強を欠かさす、いまやエル・ドラド飛行隊のエースになっている。」『出撃ミッションがあると出むくんや。』

『フライング・ソバット隊は私が管制しているが、隊長機は必ずナナくんが乗っているんだ。』「なるほど。

たしかギザの戦いが初見でございましたな。」「ああ・・あのときもう会ってたのね。知らなかったわ。」

 

そのころタイタンたち。ゴオオオーッ!『マスター、見えました!』ザザザザーッ!「あれがバルガンか。」

『ごっつうでかいクジラやな。』「・・よけて!」『?!』キュゴオオオッ!『おっと!』「このエネルギーは?!」

パカッパカッパカッ!「ヴォーダン!」『師匠まで?!』「ちょうどいいタイタン、ここで引導をわたしてやる!

グングニル!」キィィィ・・ズドオオオーン!『あぶなっ!』キュゴオオオッ!ドドオオーン!『うわ・・』

「さすがグングニル、核兵器級のパワーがある!」「ここは私におまかせくださいません?」『シーラ?』

「あの手の力押しはいい遊び相手ですわ。天女の舞!」ターン!ふわっ。『飛んだ?!』「・・慣性制御。」

「むっ?」ふわっ。「お初にお目にかかりますわ。私はシーラ・ラルトネーと申します。」ぺこっ。

「ジャマだ。スレイプニール、踏みつぶせ!」ヒヒヒーン!パカッパカッパカッ!「空中を駆ける六本脚の

お馬さんですか。ヒヅメの音がラブリーですわ♪」ゴオッ!すっ、ぴた。「こちらへ。」クン。グン!「なにいっ!」

「えーと・・あ、ちょうどいいところにパルミラ島がありますわね。あちらへ。」クン。ブワッ!「ぬおっ!」

ビュオオオオーッ!「仲良く地上戦といきましょうね。」ヒュオオオオーッ!「・・なんだこの人間は?!」

 

「ヴォーダンめ、何をやっとるか!」『・・マスター、師匠はボクが食い止めます。』「リヴィ?」『海戦で師匠に

対抗できるのはボクだけです。フェイ、結希さん、マスターでバルガンを倒してください。』『・・わかったで!

お屋形さま、結希はん、こっちへ!』バサアッ!「わかった。結希、いくぞ。」「はい!」ターン・・はしっ。

『あとをたのみます!回転ジェットターン!』すぽすぽっ、シャルルルルッ!「死ぬなよ、リヴィ!」

「ぬっ?・・ほう、リヴィか。」『師匠、おひさしぶりです。』「うむ。リヴィよ、堕天して苦労しておるの。」

『マスターのおそばなら苦労と思ったことはありません。』「なるほど・・愛弟子とはいえ、こうして敵味方で

会うたからには容赦せぬぞ。」『それも師匠が教えてくださったことです。師だからこそ、全力で倒すべし!』

「よかろう!はあああーっ!」グモモモモッ!バサアッ!「・・あれは?!」「あれこそ大海神ボスタングの

真の姿、巨大エイだ。」『四界の海を司る大海神や・・リヴィ、いやリヴァイアサン!必ず勝ちいな!』

 

ベオウルフ。『敵機接近・・なにっ?!生身の人間だと!』ビュオオオオーッ!「まわれトリスタンリング!」

ヒュルルルルッ!「パルサアアアアーッ、カノンッ!」ズドオオオオーン!ズガアアアアーン!『ぬおっ!

右舷中破!人間ごときに負けるか!光槍弾幕!』キキキーン!「そんなものが当たるか!」ヒュヒュッ!

「空気レンズ!」キュキュン!『なんだ?・・小旋風がいくつも?』「陽光よ、敵を撃て!ソーラ・レイ!」

キン!シュババババッ!ズガガガガーン!グラグラッ!『なんとおっ!太陽光線を収束して無数のレーザーに!』

「トリプルリング!」ヒュルルルルッ!バヂバヂバヂッ!「・・一千万ボルト帯電完了!放て!」カアッ!

「フォトン・トーピード!」シュバッ!『高エネルギー体?!』ズドンッ!・・カッ!ズドドドドーン!

『うわっ!・・艦首ブロックが!ケルビム、何をしておる!はやくあいつを落とせ!』バサバサアッ!

【そうはさせないよ!】ヒィィィーン!【対空気化弾!】シュゴオオオーッ!・・ポンポン!モクモク・・

【点火!】カッ!ドドドオオオーン!『なにっ?!ケルビム隊が全滅!』「これでジャマはいなくなったわ。

とどめ!ジャイアント・リィィーングッ!」ヒュルルルルッ!『・・直径数kmの粒子加速器?!』

「3兆ボルト帯電!シャァァーイニングッ!バスタアアアーッ!」カアッ!ドオオオオオーン!『うわあっ!』

ボシュッ!『こんな・・バカなあああああーっ!』シュゴオオオオオーッ!キラキラ・・「敵戦艦、原子分解完了!」

【・・まって魅霊おねえちゃん!まだ霊気がある!】「えっ?!」ゴォォォ・・シュバッ!『おのれ人間ごときが

わが神艦を!我みずから斬り刻んでくれる!』「悪あがきね・・」すっ、ヒュルルルル・・『死ね!』ビュオッ!

ピキイイイーン!・・すっ。『・・なんだ?』くるっ。「あなたはもう滅んでます。」『なにをバカな・・なっ?』

ピキ・・ピシピシピシッ!『刃に・・ヒビが!』「デン・ジ・エンド。物体の固有振動数に働きかける共鳴破壊!」

『そん・・な・・バカ・・なあっ!』ポロポロ・・ガラガラガラ・・「十二神がうち一神、滅殺完了!」びっ!

 

エル・ドラド。『は~・・』「ゴーメンガースト・・滅んだの?」「ああも粉砕されて、なおかつ海へ落ちては

もはや再生も無理でしょう。」「あの辺は深い海溝になってる。超深海で泥に埋もれ、いずれは地殻の下降で

マントルに呑みこまれるだろう。・・あと1000万年もすればな。」「・・暗く冷たい海底の牢獄だね。」

 

パルミラ島。「どうどう!」ヒヒーン!・・ガガガッ!「落ち着けスレイプニール!」「ちょっとお馬さんには

かわいそうでしたかしら?」ヒュゥゥゥ・・ふわっ。「人間、名を聞こう。」「あら、さきほど自己紹介はちゃんと

したはずですが。それとも聞く耳をお持ちでないのかしら?」ぴしっ。(青スジ)「よかろう。我を地に立たせる

相手はめったにないと思え!はいやっ!」ヒヒーン!ドドッドドッドドッ!「ならばそのめったにない相手を

見せてさしあげますわ。」「グングニル!」ビュオッ!すっ、ぴたっ。「・・指一本でグングニルを止めた?!」

「こちらへ。」くいっ、グン!「のおっ!・・指先で俺ごと槍を立てるとは!」「あら、さほど難しいことでは

ありませんのよ。」ゆらゆら。「は、放せ!」「いいですわよ。目を回さないでくださいね♪」「・・なに?」

「よっと。」くいっ。ヒュルルルルッ!「なああああーっ!」「独楽の舞ですわ。もっとも今は皿回しですね。」

つん。「おおっ!」「あららら、ちょっと高く上げすぎましたわ・・よいしょ。」ぴしっ。「キャッチ成功。あやうく

取り落とすとこでしたわ。」ヒュルルルルッ!「す、スレイプニール!こやつを討て!」ヒヒーン!ドカッドカッ!

「ケガしたくなかったらそこでおとなしくしてろ!」ビリビリビリッ!ザザザーッ!・・ぴたっ。「なにっ?!」

「はい、おりこうさんですわ。よしよし。」なでなで。ブルルル。「・・スレイプニールを一喝で従わせるとは!」

「しばらく高いたかいのぐーるぐるで遊んでてくださいね・・魔獣を倒すまでですわ。」・・ギラッ!ぞくうっ!

 

『回転アタック!』シャルルルッ!『なんの、ヒレはたきじゃ!』バシイイイーン!『猛毒尾じゃ!』ビュッ!

『甲羅防御!』カイーン!『突撃モード!』ニュニュッ、ゴオッ!わしっ!『なにっ!』「空中戦よりも海戦が

ボクたちの本領のはずです!』ゴオオオオーッ!『しまった、イズナ落としか!』・・ドパアアアアーン!

ゴボゴボ・・『リヴィ、作戦を誤ったの。水中ならばワシが有利だ!水圧攻撃!』ゴオオオオーッ!ギシイッ!

『どうじゃ、深度1万m相当の超水圧は!』『・・・・』ギシギシイッ!『もはや動けぬか・・とどめじゃ!』

ゴオオオーッ!『・・エルボークロー!』ジャキッ!『なにっ!』ズバシャアアッ!『ぐおおおおーっ!』

『ボクの身体は10万mでも耐えられます!』『ちいっ!・・ここは逃げるが勝ちか!』シャアアアーッ!

『スキあり!ストリーム・スラッシュ!』キュアアアアーッ!シュバアアアーッ!ズババババッ!

『うがっ、左ヒレが!超水圧カッターかあっ!』ドパーン!バサアッ!『ええい!退くしかあるまい。』

ゴォォォ・・ザバアアーッ。『師匠・・ご恩返しをさせていただきました。』キュアアアアーッ!・・

 

『お屋形さま、みつけたで!』「よし!変神して・・」「待ってください。魔獣が潜水すればそのまま深海へ

引き込まれます。そうなると圧倒的に不利です。」『バルガンが潜水できんようにできればええんやけどな。』

「それは私にまかせてください。」「結希が?」「サイコ・バーストを応用して・・」キィィィ・・「・・!」

カッ!ドオンッ!『なんや?!』ザザザザザーッ!「これは!」『海が・・割れる!』「はあああああーっ!」

ドドドドド!「すごい・・海がしりぞく!」『アホな・・海底まで広大な無水領域ができよったで!』

「サイコ・ディバイダー。サイコ・バーストのエネルギーを転用しての超巨大サイコフィールドです。」

ウオオオオーッ!バシャバシャ!『バルガンはいきなり浅瀬になって狼狽しとるで。叩くなら今や!』

「持続時間は?」「ほぼ1分です。」「それだけあれば充分!フェイ、いくぞ!」『はいな!』ババッ!

「・・変神!」パキイイーン!シィィィ・・シュバアアアーッ!『とおっ!』・・ドパアアアアーン!

『この浅さじゃ潜れもせんで!プラズマ火球や!』テケレリリリ!ボオオオオーン!ウオオオオーッ!

シュバアアアーッ!バシャアッ!『汐噴ブレスかや。かかったで!』ボオンッ!ドガアアアアーン!

ウオオオーッ!「水蒸気爆発?!バルガンが大ダメージを受けたわ!」『高熱源に水が接触すると爆発的に

気化するんや。その衝撃は核爆発に相当しまっせ。』『うまいぞフェイ。あとはまかせろ!』シュバアアアーッ!

『また汐噴ブレスや!』『イージス!』シャリン!バシャアアアアーッ!ザザザザーッ!『なんて水圧だ!』

『ギガストリーム!』ブシャアアアーッ!『・・リヴィ!』『間に合いました。汐噴ブレスは押さえます。

いまのうちにとどめを!』『おう!ヒドラ・スピア!』シュルルルッ、ビシイッ!『クジラを倒すなら銛だ!

でええええーいっ!』ズドオッ!『光あれ!』シィィィ・・『プロメテウス・スティンガー!』カアッ!・・

ボゴオオオーン!『やったで!』・・ドサドサドサッ!『内側から破壊されれば、さしものバルガンも爆散

するしかないですね。』「みなさん、そろそろフィールド限界です。退避してください。」『了解!』タン!

「制御解放・・自然縮小。」シュゥゥゥ・・ザザーン・・『何事もなかったように穏やかな海やな・・』

 

「どうやら終わったようですわね。」ひょい。「おおっと!」ザシャアッ!「・・バルガンがやられたか。」

「今回はご用事も終わりましたので、お引取りくださいね。」「・・いいだろう。土産はキサマの首だ!」

ビュン!すっ、スカッ!「なにいっ?!」ぴた。「悪あがき・・強制送還ですわ!」ビュン!ブオオオオッ!

『うおおおおーっ!・・』「水平線の彼方までぶっ飛びです。さ、ご主人を拾って帰りなさい。」ヒヒーン!

 

その夜、ホノルルのレストラン。『かんぱーい!』カチンカチン!「魔獣と神三柱までも撃破できたとはな。」

「魔獣とボスタングはともかく、ヴォーダンを追い払い、ゴーメンガーストを滅したのは驚いたぞ。」

「スペクトラムって、ひょっとしてわたしたちより強いんじゃないの?」「いえいえ、わたくしたちは固有能力を

活かせる舞台でないと役立たずですわ。」「・・局地戦には強いが、オールラウンドじゃない。そこが弱点だ。」

「皆さんのようにいかなる環境や条件でも本来の力を発揮できるわけではありません。」『まあそれなりに応用は

こらしとるけど、』『やっぱ限界っちゅーもんはあるな。』【実体を持ってないあたしだっていろいろ苦労あるよ。】

「とはいえ結希はんは前より成長したな。サイコバーストに見事な応用をかけよったで。」「それは当然ですわ。

結希さんは自分の力の幅を広げるため、日々精進してましたから。」「いえ・・シーラさんにはかないません。」

「シーラさんは私たちでも尻込みするような激しい鍛錬で、高度な慣性制御を身につけてるんです。」

【普段はこういうキワキワな言動だけど、ウラではすっごい努力家なんだよ。】「うまく敵をいびりたおせる

方法を研究するのが好きなだけですわ。」「・・という性格だ。ようするに照れ屋だ。」「あらまあレナくんたら。

パイナップルジュースをどうぞ。」すっ。「・・どうも。」「あ、あららら、足が~。」どぱあっ!「うわっ!」

「あらあら大変。レナくんがジュースまみれになってしまいましたわ。」「・・シーラさん。(一_一)」

「おわびに舐めとってさしあげますわ。」れろれろ。「うっ・・」『うわ~・・』「すっごいエロちっく・・」

「やめ・・」「あら、耳の中まで。」れろれろ・・「・・(キモチいい)」「首すじも・・ね?」・・こく。

【こら~!レナをゆーわくするな~!】「事後処置だけですわ♪」【そのえろえろな言い方もやめ~!憑依!】

「あら?身体が勝手に。」「ふうはあ・・」【あー、ぶなかった。シーラさん小悪魔ちっくだもんな~。】

「アラクネ、評価は?」「なかなかのテクニシャンね。舌と唇の使い方が絶妙で、性感帯を確実にとらえてるわ。

フーゾクやらせたら超売れっ子になるわよ。」「・・」かきかき。「・・ん?エリス、なにメモってるの?」どきっ!

 

アウターヘヴン!「あははははっ!」「・・笑いすぎだ、綺羅。」「これが笑わずにいられる?王神ヴォーダンと

あろうものが人間の小娘ひとりに文字通り手玉にとられるなんて。ひさびさに笑わせてもらったわよ。」

「まったくだ。あまつさえゴーメンガーストごと神艦ベオウルフを消滅させられるとはな。まあアイツは

所詮は付喪神だったから恥ともいえんか。」「アルカディア!」「いや、今回はワシらの惨敗なのは事実じゃ。

どうやらタイタンたちしか見ていなかった我らは、とんでもないミスをしておったようじゃ。国連秘密部隊、

決して侮れんぞ。将を得んと欲すれば先ず馬を射よ。攻撃のポイントを変更するべきじゃろう。」

「ならば次は自分が行こう。」ゴルルル!「レオパルドンか。」『それに、俺もそろそろ出させてもらおう。』

ガシャン!「機神ミカヅチ!」「となると、妻のあたしもだね。」すっ。「工神フェルメールまで?」

「ようするに秘密部隊は封じてしまえばいいわけだね。」「始末は自分がやろう。ミカヅチはタイタンたちと

心おきなくやってくれ。」『もとより。そのためにエデンに来たのだからな・・やっと念願がかなう。』

 

忍空挺「飛燕丸」。「・・だってさ。」「今回は首を突っ込むスキがなかったが、砂風がヴォーダンに盗聴器を

付けたのがせめてもの収穫だな。」「パルミラ島での陸戦になったとき、もしやと思って周辺に砂となって

伏せておって正解でござった。」「これで敵の作戦は筒抜けよ。先手を打つのもラクになるわ・・ん?」

ドロッ、シュン。「ただいま戻りました。」「ユーディット、連中のほうはどうだった?」「ウエイトレスに

なりすまして情報は得ました。次の移動先も特定できました。」「ご苦労。餅をやろう。」「いただきます。」

「アテナ、あんたほんっとにおモチ好きね~。」「試しに食わせたところ、すっかり気に入ったようでござる。」

ジジジジ・・「火鉢でゆっくりと焼くのが心休まる・・これが禅の境地というものか。」『ちょっとちがう。』

 

♪怒れる神々の逆襲がはじまる

♪魔獣も恐れる巨大な機神

♪夢幻宮を弄する女神

♪いにしえの獣を呼ぶ大公爵

♪絶対の危機を救うのはだれ

♪三つの光はどこから来たの

♪魔王の影が邪神を覆う・・

 

***********************************

 

香港。♪ウウウウーッ!『市民の皆さん、ランタオ島より出現した怪獣はここ九龍地区へ向かって迫りつつ

あります!ただちに大帽山方面へ避難してください!』ワアアアーッ!ドドドドッ!「急いでくださーい!」

シャシャシャッ!「入れ違いだったとはね!」「まさか着いた空港のあった島から出現するたあ予想外や。」

「道路は避難民で大パニックです。ビルからビルに飛び移ったほうが速いです。はっ!」ターン!・・ザシャッ!

「ここは「恋人たちのプロムナード」ですな。」「あれが・・双胴魔獣「饕餮(とうてつ)」。」オオオオ~ッ!・・

「手足は二本づつなのに頭と胴が二つ・・不気味な魔獣ね。」「たしか火炎と凍気をそれぞれ吐くはずよ。」

「陸に上げずに始末しよう。変・・」『待てい!』「なにっ?!」・・ゴオオオオーッ!ドパアアアアーン!

『あれは?!』ザァァァ・・ガキン!「巨大ロボットだと?」「あれは機神ミカヅチ!」「あれも十二神なの?」

『タイタン、こいつは俺がやる。こちらへ来てから退屈だったので、いい準備運動になる。』「・・準備運動だと?」

オオオオ~ッ!ザザザザッ!「突進してきますぞ!」『・・!』ギン!ザザザーッ!・・オオオオ・・

「饕餮が・・止まった?」「ミカヅチ様を警戒しているんです。」「いや・・ミカヅチの気迫に打たれたんだ。」

『そちらから来ぬなら、こちらから行くぞ。』ザーン!びくうっ!ザザッ!「おびえとるで。」「無理もないですな。

ミカヅチ様の戦闘力はすさまじいものです。」「本能で強敵・・いえ、かないっこない相手だとわかるんです。」

『飛拳。』ガキン!ドオンッ!「ロケットパンチだぁ?けっこう基本じゃねえか。」「・・ううん、ちがうよ。」

グワアアアッ!「なに?!パンチが!」ドカアアアーン!オオオオーッ!ドパアアアーン!「なんだありゃ・・

飛んでくうちにパンチが数十倍にでかくなりやがった!」「ただの巨大ロボットじゃないって言ったでしょ。」

「ミカヅチは全身のほとんどが神合金で作られとって、伸縮自在なんや。」「?・・ほとんどって?」「正確には

サイボーグなんです。すなわち、生身のところがまだ10%くらい残ってるんです。」「そうか?どこもかしこも

金属にしか見えんが。」「あれのどこに生身があるの?」『ここ。(とOOOを差す)』「・・ああ、なるほど。」

「ご夫人であらせられます工神フェルメール様が、さすがにそこだけは残されたのでございます。」

「うんうん、わかるわ~。どんなまがいものでもナマの良さには勝てないからね。」「じぶん経験者かや。」

「強さを追求した結果とはいえ、いささか忸怩たるものがありますね。」「ああ・・武装で勝てれば世話はないが、

ミカヅチは自らの身を削って闘い、それを武器に変えてきた・・その点では責めるべきではないだろうが。」

「幾多の激戦を闘いぬいてきたミカヅチ様だからこそでございます。」「・・饕餮はまだくたばっとらんで!」

ザザザーッ!オオオオ~ッ!『ようやくその気になったか・・来い。』カッ!ゴオオオオーッ!シャアアアーッ!

「火炎のブレスよ!」ボオオオオーン!「ミカヅチとやらが真っ赤に焼けてるぜ。」「あそこに冷凍ブレスを

くらったら、収縮破壊されるわ。」メラメラメラ!『ぬるいな。アスラ神軍のアグニに比べれば問題にもならん。』

カッ!ビュオオオーッ!ピキピキ・・カチン。「・・あっさり凍っちゃったけど。」オオオオ~ッ!ザザザザーッ!

「饕餮はとどめをさす気か。」「アホが・・」「しょせんは魔獣ということですね。」「あの程度でミカヅチ様が

やられるはずがございません。」ピキッ・・ピキピキピキッ!パリイイイーン!『それを待ってたぞ。むん!』

ブン!ドボオッ!・・ブシャアアアッ!キュイイイイーン!「右腕が!」「ドリルに変型して魔獣のどてっぱらを

ぶち抜いたぜ!」『・・終わりだ!』ブシャブシャブシャアッ!『ああっ!』「今度は腕から無数のスパイクが!」

「魔獣をバラバラに引き裂いたわ!」バチャバチャバチャ!『たわいもない・・』・・シャシャッ!すっ・・

「さすがはミカヅチ・・あっさりと魔獣を。」くるっ。『タイタン、俺はこれより香港島を占拠する。』「なにっ!」

『そこより九龍地区にめがけて一時間ごとに砲撃をおこなう・・阻止したくば、こい。』くるっ、ザザザザ・・

 

第21夜「魔王の影」 - 機神ミカヅチ・工神フェルメール・猛獣大公爵レオパルドン登場 -

 

ビクトリア。ズーン!ワアワア!「巨大ロボットだ!」「怪獣をやっつけてくれたぞ!」『・・ジャマだ。』グワッ!

ドーン!ぷちぷちっ!『ぎゃああっ!』「なんだ?!・・人間を踏みつぶしたぞ!」「味方じゃないのか?!」

『ジャマな建物が多いな。』ブン!ドガアアアーン!ガラガラガラッ!『うわああああーっ!』ドガシャアアーン!

「・・逃げろ!」キャアアアーッ!『逃げるなら追わぬ、とどまればつぶす。・・それだけだ。興味もない。』

 

尖沙阻。「おーおー、まるで大魔神ね。」「ミカヅチめ・・」「マスター、これはワナです。」「子供にでもわかるで・・

まちがいなくフェルメールもおる。彼女の智謀はよう知っとるはずや。みすみすはまりに行くようなものやで。」

「わかっている・・だが、ワナと知りつつとびこまないといけないようだ。」「そうだな。・・選択の余地はねえ。」

「しょうがないか・・つきあうわ。」「みんなで行けばなんとかなります。」「そういうこっちゃな。」「ワナならば

噛み破ればよいことですな。」「ちょっと待ちな。ガイアライブがこっちへ急行してる。せめて合流してから

戦力をまとめて行こうぜ。」「そうも悠長なことは言ってられないわよ・・もうすぐ最初の一時間よ・・いま。」

チカッ。・・ヒュルルルルッ、ドカアアアアーン!『うわっ!』ガラガラガラ!・・「・・一区画が消滅?!」

「爆霊弾頭ですね・・放射能抜きの戦術核ほどの威力があります。」「こんなの五・六発もくらったら香港市街は

消滅しちゃうわよ・・」ぴく。「・・きたよ。」・・シャシャッ!『ガイアライブ、参上。』「遅くなりました。」

「今までの状況はかくかくしかじかだ。」「あっちにいる大魔神と今の砲撃がそうなのです。」「ふむ、おもいっきし

ワナ張って待ってやすね。」「とはいえ、相手のワナがどのようなものかは、かかってみなければわかりませんね。」

「・・ポイントは湾を渡るとき。どう渡るかで変わってくるね。」「おそらくフェルメールのことだから、考えうる

あらゆるアクセスルートにワナを張ってるでしょうね。」「となると、それ以外のルートを行けばいいでやんす。」

「ガリア、なんかいいアイデアがあるのか?」「こんなんはどうでやしょう?」ひそひそ・・『なるほど・・』

 

カツカツ・・「海底トンネルの作業用通路か。たしかに盲点だな。」「本道には当然ながら手がまわってるはず。

しかしここは関係者以外は知らない道でやんす。」「ガリア、あんた見かけによらず切れるのね。感心したわ。」

「・・ん?扉があります。」「んなもんあっても不思議やないで・・あれ?」「妙に立派なトビラでございますな。」

くんくん・・「・・あぶない。」『凛ちゃん?』「入っちゃいけない。」【でも入らないと先へ進めないよ。】はっ!

「その声は・・フェルメール!」「きっちりバレてたでやんす~。」「まあ欺けるとは思ってなかったけどね。」

【他のルートにも同じ扉があるから、進むか引き返すか二つにひとつだよ。】「・・行こう。どのみちワナとは

最初からわかってたしな。」「そうね、まずは予定どおりというべきね。」【ゆっくり楽しんでいってね、うふふっ。】

 

海底トンネル・九龍口。「あれが機神ミカヅチね・・」「まさに機械の巨神でござるな。」「さてどうする?

フェルメールの罠はどのルートにも張り巡らせてあると考えていいだろう。」「そうねえ・・だったらかえって

コソコソしないで真正面から行ったほうがいいんじゃない。いざとなればユーディットもいるし。」ぽむぽむ。

「お役に立ちたく思います。」「拙者もギネビアと同じ考えでござる。正攻法ならばこそ浮かぶ瀬もあれ。」

「・・わかった。ではトンネルで行こう。」「さって、どんな楽しい趣向をこらしてくれるのかな~♪」ザッ。

 

ギィィィ・・『これは?!』「扉の向こうは・・玄関?」「でっかいロビーです。まるでお城です。」「凛、まずは

ワナを感知できますか?」くんくん・・ふるふる。「凛おねえちゃんのハナが効かないのはあぶないね・・」

「まずは落とし穴に気をつけるざんす。」「アラクネ。」「まかせて。ストリング!」ビュルルルッ!・・へろへろ~。

「あれ?」「どうした?」「おかしい・・もう一回!」ビュルルルッ!・・へろへろ~。「・・とどかない?!」

「せいぜい4,5mやで?」「・・わかりました。おそらく空中の空間が圧縮されてて、実際には途方もない遠くに

あるんです。」【そのとおり。ズルはだめだよ。ちゃんと歩かないと。】「・・さすがに抜け目あらへんな。」

「しょうがない。ここは素直に歩いていこう。ナンバー6たちはここで入り口を確保しておいてくれ。」

「わかったぜ。」「エリスもここにいて。今回はさすがにあぶないから。」「うん・・」「ほな、いくで・・」

 

カツカツ・・「さて、トンネルの中に塀と扉だ。」「ここからでござるな。」「覚悟完了した?入るわよ。」

ギィィィ・・「あら、ジャングルよ。」「青空まで見える・・まさしく壺中天でござるな。」「気をつけろ。

フェルメールの庭園だ、とんでもないものがいるはず。」「・・大正解みたいよ。」ズーン・・ズーン・・

「地響き?・・いや、これは足音。」「・・こっちだ!」バサアアアッ!パオオオオ~ッ!『マンモス?!』

ぐわっ!ゴオッ!「やばっ。」「ギネビア!」ドスウウウーン!・・ぼごおおおーん!パオオオ~ッ!

「マンモスの足が粉砕された?!」「次からは相手をみて踏むことね♪ デビルカッター!」シュバッ!

スパパパパッ!・・ドサドサドサッ!「おおっ!真空刃の蹴りで!」「マンモスを輪切りにした?!」

「これこれ。やっぱマンモーは輪切りがいちばんよね♪」「はじめ人間でござるな。」「?・・よくわからん。」

「先日に勉強しました。」「・・ユーディット、なぜ小指を鼻に突っ込んでいる?」「勉強の成果です。」

「そのへんの果実で酒でもどうだ?ユーディットが噛んでくれれば」すぱああーん!「ふざけろオヤジ!」

 

タイタン組。カツカツ・・「何も起きませんね・・」「いきなりトラップゆーんはフェルメールもきらったかいな?」

「・・!」ぴくっ!「上!」はっ!ゴオオオオーッ!「シャンデリアが!」「おまかせを。よっと。」ひょい。

ガシャアアアン!・・ドガシャアアアーン!「さすがフォーレス、手のひと振りではじきとばしたか。」

「まあシャンデリア落としというのは基本ですね。」「神さまにしては芸がないです。」【あたしもそう思うよ。】

『なにっ?』カラ・・ゴロゴロゴロ!「落ちたシャンデリアが?!」「転がってくる!」ジャキン!「スパイクが!」

ゴゴゴゴゴッ!「まかせてくださいませ。」「朋ちゃん?」ちゃき。「・・マイクロ波シェルです!」シュバアアーッ!

ズガガガガーン!『うわっ!』ゴォォォ・・カラカラカラン!「な・・なんて破壊力!」【へえ・・やるね。】

「フェルメール、あくまでジャマをする気か?」【ううん、遊んでほしいだけだよ。それが証拠に・・】ぱっ。

「映像が?」【ダーリンは定時攻撃を控えておとなしく待ってるから。・・あれ?】「あれは・・空軍?!」

 

ゴォォォ・・「こちらガンマ・リーダー。謎の巨大ロボットは現在は沈黙してます。」『ただちに攻撃を開始せよ。』

「ラジャー。全機、マベリック対地ミサイル発射位置につけ。」『ガンマ・リーダー、了解。』キィィィーン!・・

『ほう、あれが戦闘機というものか。なかなか速いな・・遊んでみよう。』すっ、メキメキメキ・・ビシイッ!

「なんだ?ロボットの右腕が変形した!」『瞬光弾。』キュドドドドッ!「うわっ!」ドカドカドカーン!

「バカな?!あんな速い対空砲が・・ぐわっ!」ズガガガーン!「メイデイ!敵ロボットの対空攻撃が・・」

『なんだ・・あっという間に全滅か。つまらん。』すっ、ズズズズ・・シュゥ・・『・・早く来い、タイタン。』

 

「あ~あ・・」【人間の兵器じゃダーリンには不足よね。】「となると、やはり俺が行くしかないということか。」

【そういうことだね♪】ふわっ。「なにっ?」ゴオッ!「うわっ!」カコン。シュボッ!「一郎さん?!」

【だいじょうぶだよ。タイタンには一足先にダーリンのところへ行ってもらったから。】「上への落とし穴とは・・」

「で、わたしたちはどうする気?」【一対一の戦いのジャマをしてもらったら困るから、ここで遊んでてね♪】

「このトラップ空間でですか。」「つきあっとれんわ。引き返して空路にしよ・・なっ?!」『・・えっ?!』

「入り口が・・いつの間にか消えてる?!」「ナンバー6たちがいたはずですが。」【ああ、いまごろボケッと

待ってるだろうね。】「空間をずらしましたな。」【ちゃんと出口はあるから、がんばってみつけてね、フフッ・・】

「あっ、こら待ちなさいよブリッコ年増!」「フェルメールさんて年増なんですの?」「わたしたちより年齢は

高いはずですが。」「外見年齢ひとケタなんや。」「ミカヅチとかいうダンナのシュミでやんすかね。」「いいえ、

むしろフェルメール様の精神年齢の問題かと。」「なるほど、精神が外見に反映するということですね。」

「リヴィはまだお子様やからこの外見なんや。」「どこがですか!」『ここ。(フェイ&アラクネ)』「・・・・」

「朋おねえちゃん、何の話?」「陽はまだ知らなくていいことです。」「?」「漫才はともかく、道を探さなきゃね・・

ドアは二つか。」「赤いドアと青いドア・・凛、わかります?」くんくん。・・ふるふる。「リヴィ、どないする?」

「二手に分かれましょう。フェルメールの性格なら、どちらも出口に通じ、なおかつ危険度も同じはずです。」

「それは賛成ね。かたまっていくとかえって危険だわ。」こくこく。「どういう構成にしますです?」

 

第一チーム:リヴィ・フェイ・凛・フォーレス・ガリア

第二チーム:アラクネ・イエティ・朋・陽

 

「ん~・・まあいいんじゃない?」「糸使いは分散、ペアのほうが力を発揮できるメンバーも考慮に入れました。」

「うちはせっかくだから赤い扉を選ぶわ。」「なにが「せっかくだから」なんや?」「こういうときのお約束です。」

「ああ~、あれだね・・」「よくわかりませんが、では第一は青い扉からいきましょう。」こく。「幸運を・・」

 

香港島。・・スポン!「おっと!」くるくるっ、スタッ。「ふう・・フェルメールめ。・・むっ!」ズーン!

『待っておったぞ、タイタン。』「ミカヅチ・・」『さあ舞台は整った。俺と闘え!』「よかろう!・・変神!」

ピキィィーン!グワアアアッ!・・ドドオオーン!『タイタン、参上!』『ふふふ・・これこそ醍醐味!』

 

そのころ三牙将。バルルル・・「なによここは。どこまでいってもジャングルじゃない。」「ユーディットが

ヘリコプターに化けてくれたので、妙な怪物には出くわさずにすむがのう・・」「突破口は見い出せないか。」

スゥッ・・「?・・日陰?」「・・なっ!」ゴオオッ!「なんと!」クワアアアアーッ!「巨鳥?!」ゴオッ!

「回避します。」ブイイイイーン!ひょい、ゴオオッ!『おっと!』バサバサッ!・・ゴオオオーッ!

「あれはまさか・・ロック鳥!」「ちょっと待って!ロック鳥は魔界にしか生息しないはずよ!」「いや、かつて

アラビアン・ナイトに記述がござる。おそらくは帰化種かと。」「ありえる。魔界の生物はたびたびエデンに出没し、

ときにはそのまま土着すると聞く。古代にロック鳥が帰化したかもしれん。」「でもなんでまたここに?・・」

クワアアアーッ!「また来るぞ!」「まかせろ。」すっ、シュピン!「ユーディット、滑空形態に。」「了解。」

シュシュッ、バサッ!ヒュォォォ・・「なんで紙飛行機なのよ。」「こないだ忍空挺で観てたビデオの影響か?」

「よし、これなら上方にスキはできない。」バサササッ!「・・はっ!」ターン!・・カキッ。「角天馬!」

シュパアアアアーン!・・すたっ、キリキリッ、カシン!「・・どうなったの?」ズルッ、バサァァァ・・

クワアアア~ッ!・・「落ちちゃった・・」「両翼を切り落とされてはな・・」「つまらんものを斬った。」

「空も安全ではないということか・・むっ?」『お~い・・』「あれ?あの三人は・・」「降りてみよう。」

 

第一チーム。「・・ここは?」「コロシアムかいな。」「なんかいきなりイヤンな雰囲気でやんすね。」「・・!」

ザザッ!ゴルルル!「あれは?!」「ほう、剣歯虎、サーベルタイガーですね。」「なぜ絶滅動物が?・・あっ!」

「あやつもおるんか!」『そのとおり。』ザッ。ゴルルル!「・・獅子の頭の人間?」「ライオン丸でやんす!」

「我こそ猛獣大公爵レオパルドン!」「やっぱレオはんやったか・・」「フェイ、俺と共に戻ろう。冤罪の件は

俺がなんとかする。」「ご好意は嬉しけどな、うちはまだエデンでやることがあるんや。」「そうか・・ならば

実力行使といこう。」さっ。ゴルルル!ドドドドッ!「・・愛牙!」ガブッ、シャキーン!シャッ!「なにっ?!」

シュピィィーン!・・ドサドサッ。「峰打ちです。」ザザッ。「ほう・・人間にしてはやる。少女、名を聞こう。」

「ウルフコマンダーの凛!」ビリッ!「?!・・(この魂のこもった声、どこかで聞いたことが?)・・いでよ!」

パチン!ザザザッ!「大きいダチョウの群れ?」「いえ、これはモアです。」「知らないと思うが、モアは肉食。

人間を集団で襲い、食っていたゆえ絶滅させられたのだ。」「ほうほう。これはひとつリコウになったでやんす。」

「感心しとるヒマはないで。」「数百匹はいますね・・ヴェラソレプターに囲まれた気分です。」ギュゥゥゥ・・

「そのとおり。かかれ!」キュアアアーッ!「フェイ、それでは。」にやっ。「ひさびさに焼きトリを楽しもか。

プラズマ火炎!」ゴオオオオーッ!メラメラメラ!「水圧カッター!」シュバババッ!ズババババーッ!

「凛、こっちは気にしなくていいですよ。」ちょい、ボゴアッ!「そっちのライオンの大将はまかせるでやんす。」

シュバッ!ペタペタッ、ギュイイイッ!「これで身動きとれないでやんす。無益な殺生は好まないでやんす。」

 

第二チーム。ザザーン・・「ありゃ~・・」「海でございますな。」「向こう岸が見えますです。」「あれ?こっちに

船があるよ。」「あそこまで船で渡っていけということね・・しまった、リヴィこっちにさせるんだったな~。」

「なんとか最善を尽くしましょう。」「そうね・・船には特に仕掛けはないようね。」「とにかく海へ出ましょう。」

シャァァァ・・「みんな、しっかり周りを見張って。何が起きるかわからないから。」「針金か鎖はありませんです?」

「・・あ、ここに針金があるよ。」「何に使われるので?」ちゃぽん。「こう使うです・・!」ピーン・・コーン・・

「へえ、ソナーね。」「・・まずいです。何か巨大なものが接近中です。」『えっ?!』「どっちから?!」

「・・三時の方向、距離300m、深度50mです。」「あちらですな。」すすすっ、ひょい。「あっという間にマストの

上に登った?」「さすがサルね。」「・・いましたぞ!」ザザザザーッ!「じょ~ず~!」「でっかいサメだ!」

「全長20mはありますです!」「んなバカでかいサメがなんでいるのよ!」「ひょっとして、メガロドン?」

「古代のサメのご先祖さまです。」「・・しまった!レオのアホも来てるのね!」「大公爵様の得意技である

「ロスト・ワールド」でございますな。」「?・・なぜ首長竜とか魚竜とかの恐竜を呼ばないんですか?」

「レオの美学だそうよ。恐竜はありがちでヤなんだって。」「とはいえメガロドンでもじゅうぶん脅威ですぞ。」

「ここは三十六計がいいです。」「賛成。逃げるが勝ち!とりかーじ!」カラカラカラ!ザザザザーッ!

「・・あっちのほうが速いよ!」「だったら何とかして。」「やりますです。」ちゃき。「ファイアーフラッシュです!」

ピイイイーッ!ジュバッ!「あら、効きめがないです。」「熱線は海で効きませぬな。」「照準も船の上じゃきちんと

定まらないね。」「牽制でいーから!・・そうだ!陽くん、水も支配できる?」「できると思います。」ちゃぽっ。

「・・シードラゴン!」ドンッ!ザザザザーッ!「おっし!うまいぐあいに加速になったわ。このまま対岸まで

逃げ切れば・・え”。」『えっ?』くるっ。「・・行く手に何十匹もいるじゃない。」「これは万事休すですかな。」

 

第一チーム。「ほう・・四神獣はともかく、人間どももなかなかやる。」「・・」グルル・・「俺の相手は君か。

獣王剣!」シュイッ!ぴたっ。「かかってきなさい。」「いざ!」ビリッ!(やはり・・聞いたことがある、この声!)

シャッ!「ぬっ!」キィン!「速いが、あまい!」ブン!ドゴッ!「ぐっ!」・・すたっ。「スピードだけは

誉めよう。だが技術が無い。猪突猛進では俺には勝てぬぞ。」「・・!」シャッ!「動きが直線的だ。」ビュッ!

「!」パーン!・・ゴッ!「迎撃をバネに上から?!」カキーン!ギギギギ・・「・・うりゃあっ!」ビュッ!

バキイイイーン!「くうっ!」ザザザーッ!・・「ふう・・今のはいい攻撃だった。」「・・」グルルル・・

 

「くっ・・数が多すぎます。」「とてもおっつかんな、こら・・」「さすがに数で押されるときついですね・・」

「あっしの糸もそろそろタマ切れでやんす・・」ジリ・・クワアアアッ!ドドドドドッ!『くる!』ズボッ!

「えっ?!」ズズズズ・・クワアアアッ!「モアが・・沈む?」「いきなり足元が蟻地獄に?・・ほな!」

『ギリギリ間に合ったようでござるな。』ズズズズ・・ザッ。「砂風さん!」「仮面の忍者、大砂塵!」びしっ!

「どうやって?」「「さる人物」に道を教わったのでござる。」「・・誰でやんす?」「拙者だけではござらぬぞ。」

 

「なにっ?援軍だと!バカな、フェルメールの迷宮に入ってこれる者は!」『いるぞ、ここに。』はっ!シュピン!

カキーン!「・・何者だ!」「剣客、金色夜叉とでもおぼえておいてもらおう。はっ!」シュバッ!「むおっ!」

くるくるっ、ザザーッ!・・「ぬう・・見事な剣さばき。」ピュルルルルッ、ぴたっ。「故あって助太刀いたす。」

「こしゃくな!いけいサーベルタイガー!」ゴルルル!「ふん・・」ぴくっ、シュピィンッ!・・どさどさっ!

「むうっ!・・なんという速い剣だ。剣歯虎さえ相手にならぬとは。」「この程度、凛の速さに比べれば天と地。」

きりきりっ、ちゃっ。「凛、あなたとの闘いはとても楽しく、有意義だったぞ。」にこっ。・・うんっ!

すっ。「・・?」「餅をやろう。・・戦いへの力餅だ。」・・うんっ。ぱくっ、もぐもぐ・・「・・おいしい。」

 

第二チーム。「ストリングカッター!」ピュイイッ!ズバババーッ!「レンの凍てつく風!」ゴオオオーッ!カチン。

「引力光線です!」ピイイイーッ!ドババババーン!「シードラゴン!」ドオンッ!ブシャブシャアッ!

『はあっ、はあっ・・』「どんどんわいてきますです・・」「対岸まであと少しなのに・・」「いけませんな・・」

ザザザザーッ!「しまった、防御陣を!」『まかせて。』「えっ?」ゴバアアアーッ!ガブウッ!「あれは?!」

「なんですかあれは!わけのわからない怪物がサメを食いちぎったです!」「あの背中の・・女の人?」

「見たことないの?あれがスキュラよ。」・・はっ!『ギネビア!』「はーい、こんにちわ♪」ひゅぅぅぅ・・

「・・なんで紙飛行機に?」「あ、忘れてた。よっと。」ストッ。「ユウちゃん、もういいわ。」グニュ、すたっ。

「お役に立てて嬉しいです。」「ああ・・ロデムねーちゃんか。」「スキュラってギリシャ神話のあれですか?」

「うわ~・・ホントに女の人がくっついてるんだ。」「あれで船人を誘い、怪物の胴体が食うのよ。もちろん

サメとかも大好物だけどね。」ザザザーッ!ドシャドシャアッ!「あっという間にメガロドンの群れが・・」

「ところでギネビア、どうしてここが?」「ちょっと道を教わったのよ・・知り合いに。」「知り合い・・?」

「そんなことより、サメはスキュラにまかせてさっさと岸へつけて。そこを上がれば出口よ。」「急ぎましょ。」

 

第一チーム。「これほどやるとは・・」「大公爵、残るは貴殿だけだ。」「では最後まで戦わせてもらおう。」ちゃっ。

「貴殿ならそうくると思った・・では!」すっ。「?・・凛?」「彼はボクの相手です。手出し無用にねがいます。」

「・・わかった。みとどけさせてもらう。」すっ・・「凛とやら・・その心意気やよし。存分に相手をいたそう。」

「いきます!」シャッ!「猪突猛進ではダメだと・・」タン!カクッ!「なにっ?フェイント!」ビュッ!

「ぬおっ!」キイン!クイッ、ズバアッ!「ぐおっ!・・右目が!」ザッ。シュイン・・「これまでです。」

「勝負あったな。」「ぐうう・・」ドクドク・・「まだだ!ワイルド・ハウリング!」ゴゴオオオッ!ドオンッ!

「くっ!」「これは・・破壊音波!」「分子まで砕けるがいい!」ビリビリビリッ!「・・負けない!」

ウオオオオオーッ!ドオンッ!「なにいっ!」「凛も?!」ドドドドド!「これは・・ヴォルフバスター?!」

「なっ!・・伝説の狼将フェンリルの!」「ウオオオオオーッ!」ググググッ、ドオオオオーン!「うおっ!」

ブオオオオッ!ドガシャアアアーン!「ぐほおっ!」「大公爵が吹き飛ばされた!」ユラ・・ドドーン!

「・・そうか・・君こそフェンリルの・・神天星か。」グググッ・・ズン!「・・なんという根性。あのダメージで

まだ立ち上がるとは。」「さすがは魔界の勇者です。」ぎょっ!「凛・・なぜそれを?!」「さあ・・とどめを。

私も戦士、敗れた以上は潔く滅そう。」「大時代なヤツだ。」「できません。」「ならば自ら!」グッ!『あっ!』

 

『このおバカ。』ぬっ、わしっ!「なっ?!」「なにっ?!大公爵の胸から手が!」「なんと?なぜ貴女様が!」

ズズズズ・・「ちょっと様子を見にきたらこれだもの。あんた浪花節に酔って、使命を忘れちゃダメダメ。」

「ははーっ!面目次第もございません!」ザッ。「たく・・間に合ってよかったわ。ね、そうでしょ♪」くるっ。

「・・大公爵がかしづく女性とは?」「面識はなかったわよね・・アテナ。」ズズズズ・・「・・」グルルル・・

「なんという巨大な気・・何者。」「自己紹介しましょう。私は魔界王妃・ヴェール。以後よろしくね♪」

「なっ!・・魔王サタンの妻!」「はい正解。さて・・凛ちゃんだっけ。」こく。「このおバカを帰していい?」

こく。「さ、とっととアウターヘブンへ戻りなさい。(そしてヴォーダンに伝えるの・・凛ちゃんは危険だ、と。)」

「ははっ。失礼いたします。」「待ってください。」「む?」「凛ちゃん?」「・・またお手合わせしてください。」

ふっ。「そう願いたいな・・さらばだ。」シュッ・・「へえ・・レオのあんな笑い顔、はじめて見たわ。」

「ヴェールどの、なぜここに?」「物見遊山・・て言えば信じる?」「・・いいや。」「じゃあ想像にまかせるわ。」

タタタタ・・「みなさん大丈夫ですか?・・ああっ!」「な、なんでヴェール様がここにおるんや!」「誰です?」

「きれいで気品のあるお方でやんすね。」「ほう・・これは美麗な。」「やっほ♪リヴィもフェイもひっさしぶり~。」

「昨年の公会議以来ですね。」「アゴラでレオはんに紹介されたときはビックリしたけどな・・魔界のクイーンや。」

「ほう・・これは高貴なお方が。」「やっぱ土下座するのが礼儀でやんすか?」「よいよい、お忍びじゃ~。」

「でもなぜこんなところに?」「亭主に引かれて香港参りね。」ぎょっ!「まさか!」「魔王サタンまで・・!」

 

ダンジョン管理空間。「あれ?なんでレオくんが負けたとこで映像が切れたんだろ。故障するはずないのに。」

『それはね・・』どきっ!「えっ?!」「ジャマしてるからだよ。」スゥ・・「だ・・だれ?」「はじめまして。

魔界王女リリスと申します。」すっ。「なっ!・・ウワサの魔界第二皇女の!」「そのウワサ、ヘンなあだ名が

ついてて迷惑してるの・・「吸血姫」って。」「吸う・・の?」「怒るよ。血なんか吸わない、好きなのは・・」

すぅ・・「ひっ!」「・・神気よ。」ちゅっ。「!・・」とろん・・「・・ふう。」ちゅるっ・・「神格の高い神の気は

やっぱりおいしい・・」かく・・「ちょっとだけ寝ればもとどおり・・おやすみなさい、フェルメールさん。」

そっ・・「でもね・・」くるっ、スゥゥゥ・・「やっぱりいちばんおいしいのは、「彼」の純粋無垢な気ね・・』

 

香港島。ガキイイーン!ドカアアアーン!『くっ!』『ぬうっ!』ズダダダーン!ゴォォォ・・『さすがにやるな。』

『これぞ俺の求めていたパンチだ・・満足だ、実に満足だぞ。』『付き合わされる身にもなれ、格闘バカが。』

『誉め言葉と受け取ろう。いくぞ!飛拳!』ドオオンッ!ブワアアアアッ!『さあこい!』ザッ。ゴオオオオッ!

『どすこーい!』ガシーン!ザザザザーッ!・・『止めたか・・さすがだ!』『返すぞ!うりゃあっ!』ブオッ!

『ふん!』ビュッ!バキイイイーン!クルクルクル・・カシーン!『アッパーで跳ね上げ、復帰させたか・・』

『瞬光弾!』ジャキジャキッ!キュドドドッ!『イージス!』シャリン!キキキキーン!『こっちの番だ!

イージス・ブウウウーメランッ!』シュパッ!ヒュルルルッ!『この程度。それいっ!』キーン!・・ぬっ!

『なにっ?!スキをついて間合いを!』『中段がら空き!ガントレット!』ドンッ!カイイイーン!『・・なっ!』

『神合金のボディーは破れぬ。むん!』ゴッ!ドゴオンッ!『ぐっ!・・』『ゼロ距離で瞬光弾を撃ってやろう。』

ジャキジャキッ!『さらばだ・・タイタン。』『・・それはどうかな?』ギン!ゴオッ!『そこだああああーっ!』

ドゴオッ!『なっ?!・・しまった!』『装甲を開いてくれて感謝する・・光あれ!』カッ!『瞬光弾だ!』

『うりゃあああっ!』グイッ!キュドドドッ!『なんと!俺を持ち上げてかわすとは!』『重いぞ・・うりゃあっ!』

ゴオッ!『なっ!・・』ドガシャアアアーン!『ぐうっ!』『エデンでおぼえたブレーンバスター!そして!』

キィィイイ!「プロメテウウウースッ!」カアッ!・・ドガガガガーン!『ぬおおおおおーっ!』ゴォォォ・・

『はあっ、はあっ!・・てごわいヤツだった。』・・ガキン!『・・なにっ!』ズーン・・ズーン!『タイタン・・』

ぬっ!『ミカヅチ・・そのダメージで。』『まだ決着はついておらぬ・・ぞんぶんにやろうぞ。』『・・よかろう!』

 

【双方そこまで!】ドオンッ!『うわっ!』『なにっ!・・なんという大音声!』『なんだ?・・なっ!』『あれは!』

ゴゴゴゴゴ!『空中に巨大な影が!』『マントを羽織った・・?』【この勝負、俺があずかる。双方、拳を収めよ。】

『あんたは誰だ?』【ミカヅチ、ひさしいな。】・・はっ!『なっ!・・まさか!』『ミカヅチ、だれだ?』

ガクガク・・『魔王・・サタン!』『なにっ!』【そのとおり。魔王サタンの名において、あえて水を入れよう。

ミカヅチ、そのダメージを直して再戦せよ。それこそ闘士としてタイタンに対する最高の礼儀ぞ。】『ははっ!』

『誰も恐れぬミカヅチがこれほど・・』『サタン様は・・俺の師匠の一人だ。』『なにっ!』【かつてミカヅチは

強さを求め、魔界まで降りてきて俺に挑んだ。だがまだ若かったな。】『こてんぱんにされた・・そして俺は

サタン様に弟子入りした。魔導拳を学ぶために。』『それでか・・』【タイタン、貴殿の活躍は俺も楽しみに

見させてもらっておる。これからも苦難の道は続くだろう・・それでも進むか?】『答えるまでもない。俺はもう

天界に未練はない。このエデンのために戦い、土に還ることこそ願い。』【人を救うこととエデンを救うことは

まったく逆、そこに気づいておるか。】『・・たとえ99%の人が悪でも、1%の人たちのために戦う。それだけだ。』

【・・よい答えだ。ならば進むがよい、信じた道を。俺は見させてもらおう・・貴殿の道を。】ゴォォォォ・・

『・・消えた。』『・・俺はいったん退く。タイタン、次に会うときこそ。』『ああ・・決着をつけよう。』

『その時まで他の連中や魔獣などに負けるな・・キサマを倒すのはこの俺だ。』『待ってるぞ、いつでも。』

ヒュィィィ・・ゴオオオオーッ!『あ・・おーい!迷宮を解いていけ!』『その必要はなさそうだ。あそこを。』

『ん?』「・・あ、いたいた!一郎さーん!」『アラクネ!』「・・外です!」「あ、お館さまや!」『みんな!』

ゴォォォ・・「ミカヅチが退く・・なんで?」「とことんやる方ですが。」『・・いろいろあってな。後で話そう。』

シュゥゥゥ・・すたっ。「みんなよくフェルメールの迷宮を出れたな。」「道案内がいたから・・あれ?」

きょろきょろ。「ギネビアがいない・・いつの間に?」「あれ?・・アテナさんも砂風さんもです。」「三牙将が?」

「それだけならいつものことやが・・ちと意外なキャラもおった。すぐに消えてしもたが・・」「そちらもか・・」

「もかとは、こちらにも。」「ああ・・とんでもない仲裁が入って、水入りになった。」「いったい何の話よ?」

「それは夕食でもしながら話そう。」ザッ。『・・ナンバー6!』「やっと静かになったわね。」「・・ビクトリア

ストリートはのきなみ潰滅だけどね。」「ベルもエリスも無事だったのね。」「ああ、なんとかな。」にっ。

もぐもぐ。「凛ちゃん、そのおモチはどうしたんですの?」「なぜかアテナさんがいっぱい呉れたそうです。

気に入られたんですね。」こく。すっ。「ボクに?」「これから夕食でやんすよ。」「凛ちゃんには前菜です。」

 

その夜、アバディーン水上レストラン。「ところでナンバー6たちはどこ行ってたんだ?」「いきなりみんなが

見えなくなったんで、いったん九龍にひきあげたのさ。」「なんや、心配してソンしたで。」「無事でなによりです。」

「で、なんかすっごい大物が出たって?」「そうです。なんとヴェール様が。」「ええっ?!なんでわたしの方に

顔出さないのよ!」「アラクネさんお知り合いですの?」「公会議のたんびにアゴラに飲みに行った仲よ。」

「そうか・・俺のほうも魔王サタンが来た。」『なあっ!』ガタッ!「実際に目撃されたことがほとんどない

伝説の魔王・・その方が!」「そうだ、俺も見るのは初めてだった。・・デウス様をも凌駕するほどの気だった。」

「ヴェールといい、サタン様といい・・いったいなぜ?」「とてつもないことが起こりそうですね・・」

「イエティ、さっきから黙って食ってるが、意見は?」「特にございません。サタン様にはかつて直にお会いした

ことがございますし。」「精霊界と魔界は国交がさかんやったな。」「ときに凛ちゃんは十二神の一柱を退けたとか。」

「・・・・」もぐもぐ。「何があったかきちんと見とったんはアテナだけや。うちらはモアで忙しかったしな。」

「そういえばギネビアも誰かの導きであそこへ現れたって言ってたわね・・いったい誰が?」「聞こうにも

三牙将さんはさっさと消えてしまいましたです。」「あの皆さんも、何か秘密がありそうでやんす。」「あの・・」

「なに?陽くん。」「あそこで異質な気を「三つ」感じました・・あのお三方ではなく。」『三つ・・?』

「サタン様とヴェールはんで二つやな・・」「あと一つって・・誰なんでしょう?」「・・エビチリ、おいしい。」

「う~ん・・」「フェイ、何を考えこんでる?」「あのな、ヴェールはんの雰囲気てゆーか、口調てゆーか、

なんかえらいなじみ深く感じたんや。」「「そりゃ天界ではしょっちゅう」「ちゃうちゃう、エデン来てからこっち

それをよう感じたんや・・なんやろ?」「あ・・そういえば。」「リヴィどの、なにか?」「直感なんですけど・・

ギネビアさんって、どこかヴェール様に似てません?」はっ!「それや!ギネビアや!」「ほう、するとあの

魔女っ子ねーちゃんはその魔界王妃さまとやらの娘だと?」「となるとサタンの娘、ってことにもなるわね~。」

『・・う~ん。』「わからん。どうも人物関係に謎が多すぎる。」「・・考えすぎってこともあるね。」ふっ。

 

女人街・超高級飯店。どん!『おお~!』「さ、どうぞ。これがウワサの満漢全席よ!」「これがそうか・・」

「話には聞いておったが、見るのははじめてでござる。」「ん?ユウちゃん、あなたも座って食べたら?」

「私はみなさんの給仕をいたします。」「かたいこといわない!ほれほれ。」ぐいぐい、すとっ。「さ、どうぞ。」

「・・いただきます。」ぱく。「それは熊の手。どう?」「・・おいしいです。」ぽっ。「でしょ♪」

(アテナどの、ギネビアどのはなかなかの人物でござるな。)(まあ無理もない。もともとギネビアは・・)

「なになになんだって?」ぎょっ!『うわっ!』「いつの間に・・」「目の前でひそひそ話はやめなさいね。」

「しかし、これだけの料理、だいぶかかるだろうに。」「お金ってのは「どれだけ持ってるか」じゃないの。

大事なのは「どう使うか」なの。親友にご馳走をする、これはとても正しい使い方よ。」「なるほど・・」

「ところでギネビア、なぜあの三人は連中の居場所を精確に知っていたのだ?」「それはたしかに疑問でござる。

あの空間迷宮の内部構造を全て把握していたとは不可解。」「ん~・・二人には話してもいいかな。」『ん?』

「実はね・・」・・『・・なにっ!』「というわけ。」「そうだったのか・・」「ギネビア殿とあの三人は・・」

「そう・・シナリオはすべて出来てるの。あたしたちも所詮はお釈迦様の手の上の孫悟空にしか過ぎないかもね。」

「だが、知らずに踊るよりは」「知ってて踊ってやってる方が気が楽でござるな。」「・・さすがね、二人とも。」

 

アウターヘブン。ザワザワ・・「まさかサタン様が現れるとは・・」「ヴォーダン、もしここでサタンが介入して

くるとなれば「楽園再生」計画に重大な支障をきたすぞ。」「ああ、それはないでしょうね。」『綺羅?』

「私はサタンとつきあい長いからよく知ってるわ・・あの方は事態を傍観し、頃合いをみておいしいとこだけ

さらっていくタイプよ。いわゆる「漁夫の利」というやつね。」「つまり俺たちとタイタンたちがつぶし合い、

弱体化したところを襲うつもりか。」「ふっ、いかにもヴォーダンらしい単純な発想ね。・・そんな誰でも読める

作戦なんかサタンは考えない。・・ヴェールやリリスまで動員してるのよ。かなり複雑で厄介な作戦ね。いえ、

それはすでに始まってるかもしれないわ・・私たちが気づいていないだけで。」「そうだな・・たとえば意外に

苦戦している秘密部隊とか。」『!』「まさか・・秘密部隊は私たちを迎撃するために最初から用意されてた?」

「あり得る仮説だね。レオ君さえ返り討ちにされたのは、もはや運とはいえないよ。」「奴らは強い。皆もそれを

身をもって理解したはずだ。」『・・・・』「なにか・・全て誰かに操られているような気がしますね・・」

「今のシカンナの言葉、真実かもしれぬな・・途方も無い巨大な思惑に皆が動かされているのかもしれぬ。」

「ならば、この先に何があるのか確かめてやろうではないか。」ぬっ。「サタン・・いったい何を考えておる。」

 

「ヴォーダン・・」「なにか?公爵。」「・・秘密部隊にフェンリルの神天星がいた。」ぎょっ!「なんだと!」

「この右目を奪ったのはそいつだ・・といえば信じるか?」「・・そんな!」ガクガク・・「忠告する。次に

第七部隊とやるとき、おぬしは絶対に出るな。どうなっても知らんぞ。」にやっ・・くるっ、カツカツ・・

「・・あの夢は正夢だったか。フェンリル・・」カツカツ・・そっ。(うふふ・・面白くなってきたわ。)

 

♪どこまでもつづく草原 蒼ざめた馬が走る

♪行く手にあるもの全てを踏み砕き

♪かつてメラクを封じし蒼き狼の末裔よ

♪いにしえの誇りをよみがえらせよ

♪「蹂躙の路」を終わらせるために・・

 

 

 




アウターヘブン。「次は誰が行くか?」「私が行こう。」カツッ。オオッ!「アーレスが!・・」「ついに!・・」
「タイタンたちを倒すには圧倒的な物量。すなわち私の「ファランクス」しかない。」『ファランクス!』
「これでタイタンたちも終わったな・・」「アーレスの重機動軍団が相手じゃね。」「そうですね。いかに彼らが
強くても、無限に生み出される軍団の前では。」「・・加えてファランクス旗艦「バルゴ」もあるか。」
くすっ。「?・・綺羅、なぜここで笑う。」「いえ、なんでもないわ・・ふふっ。」(そう・・「あの方」は
この事態さえも読んでるはず・・とっても面白くなるわ。)「よし。アーレス、頼むぞ。」「今回の魔獣復活の地は
モンゴルはカラコルムじゃ。タイタンたちもそこへ向かっておる。」「では軍神アーレス、出撃する!」ばっ!

忍空挺「飛燕丸」。「・・というわけ。」「筒抜けとはこのことでござるな。」「今回はさすがにきびしいな。
アーレスの重機動軍団「ファランクス」といえば天界最強の軍団だ。」「最強はあの連中じゃないの?」
「部隊という意味でだ。ファランクスは無尽蔵の大師団、もはや比較にもならん。」「数の上ならば、な。」
「砂風?」「いくさの勝敗は物量差ではござらぬ。要はどう戦略目標を達するかでござる。」「それは理屈です。」
「ふふふ・・まあご照覧あれ。いくさは奇をもって勝つ。我ら忍びはそのためにある。」「餅が焼けたぞ。」
「そろそろ磯辺も飽きたな~。カラシ明太子入れてみよっか。」「それは名案です。」「人の話を聞け~!」

第22夜「蹂躙の路」 - 巨馬魔獣メラク登場 -

モンゴル大平原。ヒュゥゥゥ・・「うわ~、360度が地平線ですね・・」「精霊界「ギラン高原」みたいやな・・」
「ここで雅焔と待ち合わせの予定なんだが・・」ピピッ♪「ん?・・もしもし俺だ。・・雅焔?なにっ?!」
「どしたんや?」「・・わかった。エル・ドラドを急行させよう。」ピッ♪「雅焔はグァム島で足止めだ。なんでも
爆破予告があったんで運行が停止したらしい。またいたずらだろうけどな。」「それはとんだ災難でございますな。」
ピピピッ♪「・・俺だ。キャプテン、モニターしてたとおり・・もうグァム島へ針路を変更した?おっけい。」
「雅焔センセ、今回は間に合わないかもね。」「その代わりといっちゃなんだが、教え子を代理でよこすそうだ。」
「ああ、盟臨館の。」・・ぴくっ。「あっち・・」『えっ?』「誰かが来るよ・・」「・・あ、ホントです。」
「あれは・・馬か?」・・パカッパカッパカッパカッ!ガカカカッ!ヒヒヒーン!「どうどう!」すたっ。
「雅焔先生のお知り合いか。」「そうだぜ。あんたは?」「先生の教え子が一人、八咫蝶と申します。」
『うわ~・・』「すごい美人・・しかも精悍だ。」「馬賊風の衣装もカッコええな~。」「事情は先生から聞いた。
このモンゴルは私の地元、どこでもご案内しよう。」「たのむぜ。みんなジープに乗ったのった。」

ブロロロ・・パカッパカッパカッ!「八咫蝶さん、あんたは馬賊か?」「お蝶でいい。いかにも私の家系は
チンギス・ハーンに連なるもので、代々の馬賊だ。・・もっとも、今は私立自警団みたいなものだが。」
「国軍じゃないの?」「軍もあるがこの地では馬のほうが有用なので、国からの補助で運営している。」
「たしかにこの大平原でガス欠や故障したらかなり苦労しそうだしな。」「お蝶さんは隊長さんですか?」
「そんなところだ。」「女性で騎馬軍団の隊長か~。ムーランみたいね。」「カラコルムが見えてきたぞ。」

カラコルム。「モンゴル大帝国の首都って聞いてたけど、なんにもないのね・・」「昔のことだ・・今は
エルデニ・ゾー寺院しかない。」「エリス、わかる?」「・・あの変な石は?」「古代からここにあったものだ。
全部で三つある。」「・・封印の石。」『えっ?』「蒼き馬メラクを封じるための・・」はっ!「メラク!・・」
「お蝶さん、知ってるのか?」「・・伝説にある死を呼ぶ馬だ。大ハーンがこの街を代償に封じたという・・」
「ここがそうかや・・」「・・でもだいじょうぶ。この封印の石があるかぎりメラクは甦らない・・」
「おそらく十二神はこの封印を狙ってきます。」「そうね。ならばこれを守りきればなんとかなりそうね。」
「ではここにゲルを張って監視するようにしよう。他の二つには私の部下を張らせる。」「たのむ。」

お昼どき。「どうぞ。」コトン。「お蝶さん、これは?」「せっかくだから地元の料理をと思って。」「これは・・餃子?」
「ホシュルという。」ぱく。もぐもぐ・・「・・こらうまいで!」「お肉がぎっしり入ってるんですね。」
「このスープも具がいっぱい。」「馬乳酒はどうか?」トクトク。「あ、それちょうだい。」「アラクネ、控えめにな。」
くい。「・・うっ、すっぱ~!発酵しすぎたヨーグルトみたい・・」「ふふっ・・まさしくそのとおりだ。」
「しかしこんなところによくこれだけ作れる店が・・まさか?!」「・・そうだ、私が作った。」『お~。』
「お蝶はん、ええ嫁さんになるで。」「・・あ、ひょっとして雅焔センセに?」どきっ!「い、いえそんな!」
「雅焔ならうまくすれば夕方までには着くはずだ。晩メシの機会があるさ。」「そうそう!」「・・そうだな。」

「イエティ、食後にひとつやるか。」「よろしいですな。表へ。」すっ。「・・お二人はなにを?」「鍛錬よ。」
「おっ、見物しようや。」「余興にいいかもね。」ドヤドヤ。「お蝶さんも来なさいよ。」「あ、でも・・」「洗いもんは
ウチとリヴィでしとくさかい。」「作ってもらったんですから、後片付けくらいはさせてください。」「では。」

「はいっ!」ババババッ!「なんの。」パシッ!ダン!「よいさ!」ブン!「受け身!」バーン!くるっ、タッ。
「うわ~・・」「どこか柔道に似てるな。」「というより雅焔センセの古代角力ね。」「すごい・・よし!」『えっ?』
ザッ。「おや。」「なんだ?」「一手お手合わせねがいます。」「お蝶さんが?」「流派はどちらで?」「蒙古相撲だ。」
『おお・・』「そういや地元か。」「・・ご主人さま、ここはわたくしめが!」「いや俺が相手をしよう!」
すぱああーん!『あいた~!・・アラクネ?』「このスケベ男どもが!ジャンケンで決めなさい。」『は~い・・
ジャンケンポン!』「勝ちでございます。(嬉しそう)」「くそっ!(すっげーくやしそう)」「まったく・・」
「ではいくぞ。」「いらっしゃいませ・・むっ?!」ザッ。ゴゴゴゴ・・「ほう・・これは気をしめませぬと。」
「・・イエティが本気に?」「・・これは意外にやりそうだな。」「はっ!」がしっ!グン!「おおっと!」
くるっ、ザザーッ!「・・見事な投げでございます。転身受け身が遅れたらあぶのうございました。」
「はいっ!」がしっ!「こちらの番でございます!」パン!「くっ!」ブオッ!「まだまだ!」くいっ、ダン!
「うまい!身体をひねって足から着地した!」グッ!「おおりゃあっ!」ゴオッ!「スープレックス?!」
「ブリッジでございます!」ダン!「なっ?!あの体勢で!」「・・やるな。」「いったん離れますか。」「うむ。」
ぱっ、グン!・・「ブリッジから起き上がる・・どっちもすごいわ。」「お蝶さま、よい腕前でございます。」
「そちらこそ。勝てなかったのは二人目だ。」「本来の蒙古相撲ではないな。」「雅焔先生の手ほどきでさまざまな
格闘技の投げ技をアレンジした。」「もはやプロレスの域ね。じゃあ勝てなかった一人目は?」「・・雅焔先生だ。」
ぽっ・・「・・ははぁ。なるほどね~。」「雅焔の朴念仁め、こういうときにかぎって遅れやがるんだから。」

ちょっと離れた別の封印石・・ザッ。「むっ?」「観光客?・・ちがう!」「下がれ。お前たちに用はない。」
「合図だ!」パシュッ!ピイイイイーッ!「ちいっ!」ダッ!ドンドンッ!『ぐっ!・・』どさどさっ。
「ただの当て身だ・・急ぐか。はあっ!」ドオンッ!パキイイイイーン!「よし。あと二つか・・」

ピイイイーッ!『あれは!』「部下の警報だ!」「もう来たか!」ダダッ!「待って!」『・・エリス?』
「ここを空けちゃダメ・・封印はひとつでも残ってれば有効なの。」「そうか・・俺とお蝶さんで行ってくる。」
「ならば馬に乗れ!」ガカッ!さっ、ぐいっ!「よっと。」「はいよ!」ヒヒヒーン!パカッパカッパカッ!・・
「手遅れにならなきゃいいけど・・」『そのとおりだ。』はっ!ザッ・・「元気そうだな、みんな。」『アーレス!』
「タイタンとは入れ違いになったが、かえって好都合・・その封印、砕かせていただく。」「させない!」ザザッ!
「アーレス・・なぜあなたがヴォーダンなんかに肩入れするの?!」「新たな秩序のためだ。」「解せません。
アーレス様はむやみに戦乱を起こす方ではなかったはずです!」「忘れたのか?私は軍神だ。いくさあってこそ
私の存在理由はある。」「・・そらホンネか?」「わたくしもかつて軍を率いたものですが、弱き者を踏みつけに
するようないくさに大義はございません。それを一般に「外道」といいます。」「手厳しいな。だがそうであっても
戦わねばならぬときもある。」「・・平行線だね。」「こりゃ問答無用かな?」「一発ぶん殴ってからにすれば。」
「そういうことになるみたいね・・」「やめておけ。タイタン抜きの四神獣だけで私に勝てはせん。」
「そんなこと!」シュパッ!「やってみなくては!」シャアアアーッ!「わからんて!」ゴオオオーッ!
「およばずながら抵抗いたしましょう。」ビュオオオオーッ!「一斉攻撃か・・思留土!」ゴバアアアッ!
「あれは!」「地中から巨大な楯が!」バシイイイーン!『ちいっ!』「火怨!」ボコッ!ドンドンドンッ!
ドカドカドカーン!『うわああああっ!』ダダダーン!「一撃で四神獣が!」「大地から自在に兵器・火器を
生み出すとは・・さすが軍神だぜ。」ゴォォォ・・「く・・やっぱ強い・・」「マスターがいないとはいえ・・」
「こんクソが・・」「いささか・・年ですかな・・」「今ので封印も砕けた。残る封印はひとつ。」ばさっ!
「みんな!」がしっ!「・・どうして?」「エリス、まだだ・・」「そこの人間、連中を看てやってくれ。」
「とどめはささないの?」「第一の目的は完遂した。目的を達すればそれでいい・・イエティのいうとおりだ。」
ヒュッ・・「よし。エリス、ヒーリングだ。」ぽん。「うん・・癒しの星霊ポラリスよ、傷つきし者に恵みを・・」

パカッパカッパカッ!「・・あれは!」ドカカカッ!すたっ。「みんな大丈夫か!」「・・ハーン、申し訳・・」
「しゃべるな。・・命に別状はないようだ。」「よかった・・」「どんなヤツだった?」「美青年の鎧騎士・・」
「!・・アーレスか!」・・ドドドーン!「なにっ?!」ばっ!「あれは!」「・・しまった!みんなが!」
「私はもうひとつの封印石へ行って防御をかためる!」「たのむ。俺は走って戻る!」ダダッ!パカッパカッ!

「・・みんな!」「一郎さん・・」「マスター・・申し訳ありません。」「なさけないわホンマ!」「いやはや。」
「ナンバー6、状況は。」「かくかくしかじかだぜ。」「そうか・・無理もない、アーレス相手ならば。」
「でも・・まだ脈はあるわ。」「どういうことだアラクネ?」「アーレスはわたしたちにとどめをささなかったの。」
「僕たちを皆殺しにするのが戦略上では絶対に有利です。それをあえてしなかったということは・・」
「少しは忸怩たるものがあるんやろうな・・もともと優しいお方やし。」「無理をしてらっしゃいますな。」
「お蝶さんの部下も当て身だけで済ませていた・・アーレスもつらい立場にあるのかもしれないな。」
「・・あっ!アーレスは最後の石へ行ったわ!」「・・しまった!あっちにはお蝶さんたちが!」ダッ!

第三の封印石。「・・来たか。」ザシャアッ!ゴゴゴゴ・・「無用な血は流したくたい。下がれ。」「そうはいかん。
メラクは復活させぬ!」チャッ。「拳銃か。私に効くとでも?」「ただの拳銃ではない。パピヨン!」ドキューン!
「よけるまでもない。」ビシッ!バゴオッ!「・・なにっ?バカな、肩当てが!」「今のが警告。次は外さん。」
すっ、ぐりっ、ボコッ!じーっ・・「ほう、呪紋を刻んだ弾丸とは。」「霊銃パピヨン。霊力を込めた弾頭は
この世ならざるものをも撃ちぬける。」「面白い。だが一発目で致命傷としなかったのは大失策だ!」ばさあっ!
ボコボコッ!「地中から?!」「未蔡龍!」ゴオオオーッ!「ミサイル?しまった!」シャッ!ピキィィーン!
「なにっ?!」ぱかっ。ゴオォォォーッ・・ドドーン・・「軍神とあろうものが兵器のつりあいもとれぬか。」
キリキリッ、ちゃっ。「・・女サムライ?」「何者だ。」「剣客、金色夜叉。義によって助太刀いたす!」ギン!
『おーい!』ダダダダッ!「ち・・タイタンたちも追いついたか。しょうがない。乱斜!」ボコッ!ポポポン!
「なにっ?迫撃砲!」「さらばだ!」バサアッ!フッ・・「撃ち逃げ?!」ヒュルルル・・「あぶない!」がしっ!
ダダッ!ドドドドーン!「うわっ!」「くっ!」ゴロゴロゴロッ、すたっ。「封印石がやられたか・・」
「お蝶さん、だいじょうぶか!・・アテナ?」「助けてもらった。」「そうか・・ありがとう。」「成り行きだ。」
「砂風さんとギネビアは?」「ちょっと寄り道している。じきに助っ人を連れてくるだろう。」「助っ人?」

「それより、メラクが!」「・・めざめる。蒼き死の馬が!」・・ゴゴゴゴゴ!ゴバアアアーッ!『おおっ!』
ピュオオオーン!「これが・・メラク!」「なんちゅう巨馬や!」「いえ、馬に似てますが全然ちがいますぞ!」
「こりゃあ・・馬というより青白い麒麟だぜ。」「魔の麒麟というとこね。」「俺の乗馬にも大きすぎるな・・」
ドドン!ドドン!『うわっ!』「駆けるだけで・・大地が揺れる!」「エルデニ・ゾー寺院が!」ピュオオーン!
ドガアアアーン!ガラガラガラ!「メラクの突撃で!」ドドン!ドドン!「メラクが大平原へ向かいます!」
ピッ♪「こちらハーン、第二隊は寺院の被災者救助を!残りはメラクを追撃・・なにっ?」ゴゴゴゴゴ・・
「この地鳴りは?」「なにかが・・来ます!」「さっきの馬やない・・機械音や。」「・・あちらの丘だ!」
ゴバアアアアーッ!ギュラギュラギュラ!『巨大戦車?!』「あれは・・アーレスの地上戦艦「バルゴ」!」
ザッザッザッ!「大歩兵部隊まで!」「ファランクスまで繰り出したの?!」【メラクは追わせはせん!タイタン、
ここで引導を渡してくれる!】「マスター、この戦力差では!」「絶体絶命やな・・」「おのれアーレス!」

「・・我が母なる大平原を荒らすものは、たとえ神とて容赦せぬ!」さっ、バシュッ!ピイイイイーッ!
「狼煙?」「お蝶さん?」ワアアアアアーッ!ザザザザッ!『おおっ!』「何もなかった平原に大騎馬軍団が!」
「こんなこともあろうかと馬ごと伏せさせておいた。こやつらは我らが抑える。みなさんはメラクを!」
ガカカッ!「誇り高き大モンゴルの戦士たちよ!大ハーンの故郷たるこの大平原を守るため立ち上がれ!」
『我らが大ハーンに栄光あれ!ハーンの旗の下、我らが命なにするものぞ!』バサササッ!「突撃!」ヒヒーン!
ワアアアアアーッ!ドドドドド!「無反動砲隊!」『おおっ!』タッ、ジャキジャキッ!「鞍の上に立った?」
「ていっ!」シュドドドドドッ!ドカドカドカーン!「私につづけーっ!」ドドッ、ドドッ!「パピヨン!」
ジャキッ!ドンドンッ!ボゴオオオーン!『すごい!』「一発でファランクスを数十体もぶち抜いた!」
シャシャシャッ!「飛車角!」シュピイイイーン!・・バラバラバラッ!「ふん、合成兵など切り応えがない。」
「剣客どの?」「せっかくだ、つきあうぞ。」「・・かたじけない。誰か剣客どのに馬を!」『ははーっ!』

ドドドドド!キーン!カキーン!「ファランクスにスキができた!みんな、メラクに向かうぞ!」『おおっ!』
「リヴィ、フェイ!」「はいマスター!はああああーっ!」ザザザザーッ!・・ズーン!キュアアアアーッ!
「いくで!」ダーン!ボオッ!・・ゴオオオオーッ!テケレリリリ!『みなさん乗ってください!』「いそげ!」
『いきます、蒸気ジェット!』シュゴオオオーッ!『あとはたのんだでお蝶はん!』バサアッ!ゴオオオーッ!
オオッ!「あれがあの方たちの・・我らには神々の加護がある!全軍ひるむなーっ!」『おおーっ!』

「くっ、タイタンたちに抜かれたか!ザコが多くて転身もままならぬ・・主砲発射用意!」キリキリ・・
「かまわんからファランクスごと吹き飛ばせ。撃ち方用意!」フッ・・「・・影?・・なにっ?!」くっ。
バサササッ!「これは?!・・滑空部隊!」『ふはははは!いかな要塞であろうとも空挺には弱いでござる!』

忍空挺「飛燕丸」上部甲板。ワイワイ!「第二空忍隊、射出鉤よし!」「放て!」ぐいっ、シュババババッ!
ブオオオオーッ!「翼伸張!」パーン!ゴォォォ・・「目標までおよそ半里。低空飛行でいけ!」『おおっ!』

オオッ!「無数の黒いハングライダーが!」「やっと来たか、砂風。」バサササッ!『抱え筒、爆撃せよ!』
ドンドン!ドカドカーン!「くっ!・・対空砲はどうした!」『敵が小さいのと低空すぎて当たりません!』
「翼排除!」パパン!スタスタッ。「一の組は砲塔を制圧せよ!二の組は内部へなだれこめ!敵将には迂闊に
手を出すな、周りからくずせ!」『おおっ!』ズバアッ!ドカーン!「ぬかった!・・空からの奇襲とは!」

「指揮系統が混乱している今のうちに歩兵をたたけ!」『させん!スピア!』ビュッ!「なんのおっ!」
シュバッ!「ちっ!」すたっ。『次は外さん!』グワッ!「パピヨン!」ドキュドキュン!『うがっ!』
「ふう・・」「お蝶、うしろだ!」「はっ?!」『もらった!』ゴオッ!「しまった!」「間に合わぬ!」
シュピイイイーン!・・「・・えっ?」『・・ぐはっ!』ズル・・ドサアッ!「あぶなかったね、お蝶。」チン。
「お前は・・ミサ・マルドゥーク!」「私もいますよ。トリュープ・フリューゲル!」ダーン!ギュルルルッ!
ドカドカドカーン!・・ザシャアッ!「おお!ヒルダ・ハスラー!」「十六夜おぼろ月夜!」シュパパパッ!
ズババババッ!・・カシカシカシーン!「おひさ、お蝶。」「アリシア・シルバームーンまで!でもなぜ?」
「あたしが連れてきたのよ。」ふわっ。「ギネビア、ご苦労だった。」「いえいえ、思ったより簡単だったわ。」
「まさか敵対してた方が助っ人を要請に来るとは思いませんでしたが。」「モンゴルと聞いてピンときたの。」
「最初に私のほうに来てくれれば話が早かったんだけどね。最後になっちゃったよ。」「みんな・・よく来てくれた。」
ワアワア・・「なるほど、聞いたとおりの大戦闘ですね。」「切っていいのは鎧のほうね?」「人と馬のニオイの
しないのを斬ればいいんだね。またみんなで撃墜数競おうか。」「またって?」「ふふ・・ちょっと前に原理主義の
テログループでやったな。」「それってまさか・・」「あのときの一番はお蝶の87人だったね。今回は記録更新が
期待できるよ。」「百人の大台にのせましょう。」「紅月もひさびさにパワー全開で斬りまくるわよ~。」ぺろっ。
「よーい・・」『どん!』シャシャッ!バキバキイッ!スパパパパッ!シュピィィーン!ドキュドキューン!
『うわ~・・』「ギネビア・・あんなに連れてきたのは間違いではなかったか?」「・・ちょっと後悔してる。」

「誤算だった・・まさかこれほどの戦力があるとは。」「ふふふ・・正をもって合し、奇をもって勝つ。」はっ!
「軍神ならば東洋の兵法も勉強するべきでござるな。物量主義の西洋兵法より面白いでござるぞ。」バーン!
「忍びの頭領か。名を聞こう。」「仮面の忍者、大砂塵。」すっ。「臨戦体勢か。よかろう!麻震元!」バサアッ!
ボコボコッ!ドガガガガッ!ボスボスッ!「・・貫通した?」「ふはははは!鉄砲玉など拙者には効かぬぞ。」
「ならば那覇亜霧!」ゴオオオオーッ!「火炎放射器でござるか。ぬるいぬるい。はっ!」シャッ!「くっ!」
すっ、ザザザザーッ!ギシイッ!「砂刀「真砂」!」ビュッ!「軍杖「ソレムニス」!」カキイイーン!
「ほう、杖術でござるか。」ギギギ・・「人間にしてはなかなかやるな・・はっ!」クルッ、ブン!「おっと!」
タン!ビュオッ!「よくかわす・・」「今の技の切れ、ホンモノでござるな・・これぞ本懐。」ヒュオオオ・・

ゴォォォ・・「だいたいかたづいたね。」「さすがに多かったです。」「・・みんな、まだだよ。」「・・あれは?!」
ゴゴゴゴ・・ザッザッザッ!「要塞の中から増援?!」「さっきの倍はいるね。」「これじゃきりがないです!」
「さって、そろそろあたしの出番かな?」ざっ。『ギネビアさん?』「あとはまかせてね♪・・召喚!」キン!
ドバアアアアーッ!『ななななっ?!』ドーン!アエエエ~ン!「ゴルゴです!」「いえ、ヨンガリでしょ?」
「いや、プルガサリだ。」「見えないけど、ひょっとしてザルコー?」「ちがうな。薙羅だ。」「みんな意地でも
ゴジラって言わないつもりね・・とにかくスタンディングドラゴン、火炎ブレスよ!」アエエエ~ン!
シュゴオオオオーッ!『あちちちち!』ボオオオーッ!「よし。ついでに要塞の横っぱらに大穴開けてね。」
ドーン!ドーン!アエエエ~ッ!ドカアアアーン!ガラガラガラ!「はいごくろーさま、ユウちゃん。」
【お役に立てて嬉しいです。】『えっ?!・・しゃべった!』「ははあ・・ギネビア、今回はズルしたな。」
「大正解~♪ユーディット変形の応用よ。もう戻っていいわ。」【はい。】ドロッ、シュゥゥゥゥ・・シュン。
「あっという間に女性の方に?」「ギネビア様、やはりゴジラは第一型のほうがよろしいかと。」「う~ん、
第六型はやっぱちょっとブサイクね・・次はミレニアム型に挑戦してみましょうか。」「やめとけって。」

「・・さすがに軍神、てごわいでござる。」「貴殿もなかなか・・これは本気でいくか。」すっ。ゴォォォ・・
「指揮杖に気が?」「はあっ!」ブン!ゴオッ!「なにっ?!」ダッ!ドガガガガーッ!「・・装甲甲板を
えぐる衝撃波か!」「これぞ神技「サプリッツェ」。」「断頭台でござるか・・いかにも。」「これで決める!」
ビュビュッ!シュババババッ!『待てーい!』「なにっ?」「なんと?!」・・ゴオオオオーッ!ドドオオーン!
「兵護!」シャッ!パキイイイイーン!「受けきった?・・何者だ!」ゴォォォ・・ぬっ!「盟臨館筆頭、
土御門雅焔!」・・タタタタッ!「あっ!先生です!」「雅焔センセ!」「まにあったね。」「先生・・」
「みんな下がってろ。こいつとはサシで勝負したい。」『はい。』「砂風、こっちだ。」「・・うむ。」すっ。
ゴゴゴゴ・・「ほう、人間にこれだけの闘気を持つ者がいるとは・・タイタンにも匹敵する。」「軍神アーレス、
ひとつだけ言いたい。」「なにか。」「自己犠牲は美しくもなんともない。ただの自慰だ。」ぴくっ。「・・」
「目標を達成するのに自分を殺してどうする。自分らしい手段を使うべきだ。」「・・これが私らしい手だ。」
「ちがうな、非常にあぶない手段だ・・ひとつ間違えれば全ては無に帰す。」「・・もはや問答は無用だ。」
「それもよかろう・・」シュッ。キラッ・・「サプリッツェ!」シュバババッ!「むん!」パキイイイーン!
ゴオッ!「疾い!」ドドドドド!「だがこの距離では受けられまい!」シュバババッ!「その必要なし!」
ズバババッ!「なにっ!・・よけもしない!」「すさのを!」ドゴオオオーン!「なにいいいいーっ!」
ゴッ!ドグワシャアアアーン!・・『す・・すごい!』「渾身のショルダータックルで吹き飛ばしました!」
「しかも装甲壁ごとぶち抜くほどのパワー!」「気がじゅうぶんに入った一撃だね。」「さすが先生だ・・」
「く・・はっ!」ズン!「今は退け。そして俺の言ったことをよく考えろ。」ドクドク・・「・・その傷は。」
「たいしたことはない。気にするな。」ググ・・「(・・出血多量でも気力で。)・・わかった。ひとます退こう。」
シュッ・・「それでいい・・くっ!」ガクッ!『先生!』タタタタッ!「だいじょうぶだ・・血が少し多めに
出ただけだ。」【たく、多いんだか少ないんだかわからねーっつーの。教師なら正確な表現を使いな!だから
ムチャはやめろったのに・・治癒!】サァァァ・・「・・少し楽になった。」【血はたっぷり食って補給しな。
お蝶、これから宴会だよな?】「ああ、もちろんだ!」「ひさびさにみんなで騒ごうよ。」『さんせー!』
「土御門雅焔・・恐るべき力だ。」「総合実力では秘密部隊一ではないか?」「モテ方も彩といい勝負じゃない?」

その夜、カラコルム夜営場。ワイワイ!「皆の者!理不尽な神は追い返した!この勝利を祝おう!」オオーッ!
『ハーンに栄光あれ!盟臨館と三牙将に栄光あれ!カンパーイ!』カチンカチン!(ブリキのコップ)
「しかし雅焔どのが天から降ってきたのは驚いたでござる。」「ああ、エル・ドラドから飛び降りたんだ。」
『ええっ?!』「VTOLで降りるのがまどろっこしくてな。」「でも・・あれって高度数千mでしょ?」
「先生は受け身が得意ですから。」「そういう問題ではないと思うが・・」「先生、馬乳酒です。」トクトク。
「お蝶、ひさしぶりだな。」「先生も元気で安心しました・・」「お蝶はセンセにだけは敬語になるね。」
ひきっ。「ミサはヒツジの丸焼き三つでも食ってろ。」「もちろんだよ。あと二つくらいもらおうかな。」
「ミサはあいかわらず底無しですね。」「前にうちに招待したときはえらい目にあったわ。高級フランス料理を
フルコース20周だもの。」「あれっぽちじゃね。あと10周はさすがに遠慮したよ。」『どこが遠慮じゃ!』

「そろそろ楽が欲しいな。馬頭琴を!」「あ、待ってまって。」「ギネビアさん?」「こういうものがあるの♪」
どさっ。「CDプレイヤーか?」「それにこれとこれ。」カチャカチャ。「ボーズのスピーカーとアンプ?」
「よしと。ハデにいきましょ!」ピッ♪・・パラッパラッパラッパ!『おおっ?!』「これってパラパラ?」
「いまどきの女の子はみんな踊れるでしょ。」『まあ・・』「一時流行りましたからたしかに。」「ならいくわよ。」
「学習しました。」タッ。「昔を思い出してやってみますか。」「そういえばヒルダに習ったね。やってみようか。」
タタッ。♪パラッパラッパラッパ!『おお~っ!』「ほう、見事に合ってるな。」「ミサもよく合わせる・・」
「・・ん?お蝶は踊らんのか?」「え?私はハーンとしての立場が・・」「そうかしこまるな。酒の席では平等だ。」
「・・そうですね。じゃ、ちょっと行ってきます。」「うむ。」タタッ。「おっ?お蝶も参戦だ~!」『おおっ!』
「ハーンの踊りを拝めるとはなんたる眼福!」「一生ついていきますぞ、ハーン!」「ほらアテナもきたきた!」
「わ、私はラジオ体操第二くらいで・・」「なにいってんだか!はい、こうこう!」「こうか?おっとっと!」
「ふはははは!アテナ、それでは阿波踊りぞ!」「お頭、ちょうどCDがありますが。」「入れ替えてやれ。」
♪チャンカチャンカチャンカチャンカ!「こら~!誰よ、阿波踊りかけたのは!」「意外と合うじゃん。」
「うわはははは!・・ん?・・なにか大事なことを忘れてるようだが・・ま、いいか。うわはははは!」

そのころ。『はあっ、はあっ・・』「な・・なんとか追いついて倒せましたね。」「今回はきつかったで・・」
「なんつー足の速さよ・・パンジャンドラムがとろくさく感じたわ。」「いやはや亜音速とはおそれいりました。」
「いててて・・ふり落とされるわ蹴られるわであちこち傷だらけだぞ。」「ごくろーさま・・ヒーリング。」
「さて、すっかり遠くまで来ちまったな。」「エル・ドラドに連絡したからあと10分くらいでVTOLが来るわ。」
「ハラへったで~。」「同じく・・」「同感ね・・戻ったらたっぷり食うぞ~!」「そのころには朝ですな。」

♪煙と汚水にまみれし都市 虐げられた緑が牙をむく
♪全てを覆え 緑の森で イグドラシルの木の下で
♪優しい女神も怒ってる 人間なんかいらないと
♪「みどりの叫び」が街を裂く 人は害虫 人は肥・・
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