進んでおるようじゃな。」「こうも立て続けに転生したとなると、もはや偶然の一致では済まされん。」
「そもそも封印されてる七鎧聖が自分の力で転生できるわけがないね。となると・・」『妻の言うとおり、
何者かの介在があったとみるのが自然だな。』「それが誰なのかが問題ね。七鎧聖を説得し、転生の手助けまで
出来るだけの力を持つ者となると、おのずと対象者は絞れてくるわ。」「うむ。四界の首長クラス、またはそれに
匹敵する存在だな。」ゴルルル・・「リーンカーネーションを司るのは冥王ハデスさまですが・・」ヒラヒラ。
「いや、たしかに決定権はあるが、それはごく一部であり、大部分は偶発的転生なのが実情だそうじゃ。」
「それは裏返すと、ヤミで何とでもなるということだね。」『事実上の野放し状態か・・』「厄介なことね。」
「アーレス、甦った七鎧聖のその後の動向は?」「部分的には把握している。世界図を。」ぱっ。「天震鎧姫は
エジプトからインドに移動。金眼念聖は行方不明だ。」「タイタンたちは?」「アフリカへ移動中だ。」
「なに?アフリカだと!・・私の出番のようだな。」ゴルルル。「レオ、どういうこと?」「私の記憶が正しければ、
あそこに眠るは百獣鎧王だ。」ドヨッ!「七鎧聖が一体、ガルガライか!」「全ての獣の王・・」「そのとおり。
そしてかつての我が宿敵・・ヴォーダン、よいな?」「よかろう。状況判断はレオパルドンに一任する。」
第27夜「 誇り高きサバンナ 」 - 百獣鎧聖ガルガライ登場 -
地中海上空『エル・ドラド』。ゴォォォ・・「龍耶と朱音の連絡によれば、キリマンジャロ方面に七鎧聖の気を
感知したそうだ。」「そのへんに封じられてたヤツといえば・・ガルガライね。」「百獣鎧王ガルガライ・・」
「全ての獣の王とかほざいとったヤツやな。」「左様です。餓狼将軍フェンリル様と猛獣大公爵レオパルドン様が
激闘の末に封じたのでございます。」「フェンリルだと?」「凛ちゃんですね。」「・・レオはんも出てくんな。」
「ところで天震鎧姫の二人は今回は合流するのか?」「いや、インドのほうで別の気を感知したそうなので、
そちらへ向かってもらった。」「そうか・・」「今回はガイアライブだから何とかなりますよ、マスター。」
パシュ、カラカラ。「はーい、お待たせ。」「・・冷やし中華が出来たよ。」『おお~。』コトコトン。
『いただきます。』ずるるる~っ。「んまい!イギリスはうまいもの無かったしね。」「ローストビーフばっかじゃ
イヤになりますよね。」「砂風はんに分けてもろた忍び醤油は助かったで。」「あれでようやく喉を通ったような
ものでしたな。」「かーちゃん、これをウチでも作ってくんなきゃ。」「滅多に家にいないのが何ゆってんだか。」
アルプス上空、忍空挺「飛燕丸」。「百獣鎧王か~。手強いのが出たわね。トロ。」「かしこまりました。」
「ギネビアがそう言うとはな・・ハマチ。」「ただいま。」「無理もない。ガルガライの戦闘力は七鎧聖一と
いっていいだろう。特にスピードだ。軽く超音速は出る。・・シャコ。」「ただちに。」「超音速の攻撃か・・
むう、これは厳しい。」もぐもぐ。「しかもガルガライはあらゆる獣を使役することができるわ。アフリカとなれば、
まさに敵地といっていいでしょうね。」ズズ~。「あまり考えたくはない状況になりそうだな・・ウニ。」
「すぐに。」「それよりも厄介な問題がある・・ガイアライブだ。イクラ。」「お待ちを。」「連中は動物の殺戮を
何よりも嫌うわ。自己防衛とはいえヘタに殺しまくったら、連中まで敵にまわすことになるわ。それだけは絶対
避けなきゃ。次はカッパね。」「お安い御用です。」「難しいいくさになるな・・あがりもう一杯。」トクトク。
「ユーディット、アナゴを。」「はいアテナさま。」ちゃちゃっ、シュッ、ちゃちゃちゃっ。「どうぞ。」トン。
「けっこう手早くなったものね。」「寿司を握る技術まで習得したとはな。」「新鮮な魚を空輸宅配してくれる
水野水産のおかげもある。」「下忍のみんなは?」「さつま汁を楽しんでおります。」「ああ・・この前に私が
教え込んだやつか。」「なぜアテナがそのような郷土料理を知っておったのだ?」「日本にいたときにあちこち
食べ歩いておぼえた。」「さつま汁ってどんなの?」「白身魚の焼き身をほぐし、だし汁と味噌で伸ばしたものです。」
「熱い飯にかけて食べると最高だ。」「へえ~。ちょっと食べてみたいな。」「こんなこともあろうかと、こちらに
取り置きがあります。」じゃーっ!「どうぞ。」「ぶっかけ汁みたいね・・」ずるずるっ。「・・むっ、うまい!」
「あっさりしてて、なおかつコクがあるわ。」「魚と味噌の味が相乗効果を生んでおるな。」「これなら何杯でも
おかわりできるわ。」「これにハマったときは五杯もおかわりしたものだ。」ずるずる。「・・やはりうまい。」
そのころキリマンジャロ山麓・サバンナ。ブロロロ・・「今日は密猟者がいないな。」「・・なんか変だぞ。」
「なにがだ?」「なんというか・・こちらをじーっと見られている気がしないか?」「・・たしかに。むっ?
11時の方角に何かある。」「・・転倒したジープ?行ってみよう。」ブロロロ・・キキイッ。「これは!・・」
「ジープがグシャグシャに!」「まるで象の群れに踏みつけられたようだな・・搭乗者はどうなった。」
「むっ?」すっ。「血痕・・茂みに続いてる。」「銃を用意しろ。密猟者なら反撃してくるかもしれん。」
バサバサ・・ごそごそ。(しっ!・・何か動いてる。)(ゆっくりいこう・・)そーっ・・『・・なにいっ!』
ムシャムシャ。「こんな・・バカな!」「レイヨウが・・人を食ってる?!」ぴくっ、くるっ。ダダッ!
「うわわっ!」チャッ、ズドオッ!「ぶはあっ!」ボタボタ・・グン!どさあっ!「レイヨウが角で刺し殺した?
ありえん!」キイイイーッ!はっ。「・・チンパンジー?」ばばっ!ぺたっ。『わっ!』キイッ!ガブウッ!
近くのマサイ族の部落。ギャアギャア・・「これは!・・」「なんてこと!・・」「部落が・・全滅してます!」
「それに・・こらひどすぎる!」「皆殺しでございますな・・しかもハデに食い散らかされております。」
「肉食獣の大群でも、ここまではできねえぜ。」「・・ん?」もそもそ・・「あっちで何か動いてるわ。」
タタタタ・・ざっ。「キリンの群れ?」「何か食べてますね・・あっ!」むしゃむしゃ。「・・こんなことって!」
「死体を木に吊るして食っとる!」「なぜ草食動物であるキリンが人肉を?!」「野生が・・狂わされた。」
ぴくっ、くるっ。「気がついたわ!」ドドッ、ドドッ!「襲ってきます!」「倒すか・・どうする?!」
ウオオオオーッ!ザシャアッ!『・・凛?!』びくうっ!ザザザーッ!・・「人食いキリンが止まった・・」
グルルル・・くるっ、ドドッ、ドドッ・・「凛ちゃんにおびえて逃げてったわ・・」「これは異常な事態ですね。」
「わたしたちも何度か襲われそうになりましたです。」「でも殺さないように追い払うか捕縛するかしたやんす。」
「悪いのは動物じゃない・・それを狂わせたヤツだから。」「ガイアライブのみんな、来てくれたか。」こく。
「今回は凛がかなり怒っています。」「無理もあらへんな。草食動物に人食わせとるきに。」「わたくしたちも
同様に怒り心頭です。こんなことは許すべきではないです。」『その点に関しては同感だな。』『なにっ?』
ぴくっ!・・ザシャアッ!『レオパルドン!』ざざっ!「まあ待て。今回はやりあうつもりはない。俺とて
この状況には忸怩たるものがある・・野生を狂わせた張本人は決して許してはおけない。」「・・。」すっ。
「凛ちゃんが警戒を解いた?」「・・信じていいのか?」うんっ。「わかってもらえたか・・今回の件、
まちがいなくガルガライのしわざだ。」こく。「君がフェンリルならわかるはずだ・・あいつをあの時に
滅ぼしきれなかったのは痛恨の極み。今回こそ引導を渡してやる。」ゴルルル・・ぽん。「?・・フェイ。」
「少しの間でも、あんたがついてくれるんは嬉しいで。」ちゅっ。『お~。』くいくい。「ん?・・凛?」
ちゅっ。『お~!』「あんたモテるな~。くぬくぬ。」「そ、そうなのか?」どぎまぎ。「レオパルドン様の
その純粋さが魅力なのではないでしょうか。」「そうよね~。わたしだってスレた男より一郎さんみたいなのが
落とし甲斐があるし。」「おいおい俺は朴念仁かい。」「あ、やっぱそう聞こえた?」『あははははは!』
「ふふっ・・あの日々を思い出すな。あのときのままだ。」「そうや。世界のどこであろうと御屋形様とうちらが
あるところ、そこがホームなんや。」くいくい。「あ、そやな。凛ちゃんらもうちらのファミリーやな。」うんっ。
ドドドド・・「・・地響き?」「マスター、あれを!」ドドドド・・「動物の群れ?なんて数なの・・」
「どこへ向かっとるんや?」「・・おい、まさか。」「ええ・・あちらはナイロビの方向ね。」『ナイロビ?!』
「これはいけませんね。どうやら狂わせた人食い動物たちで大都市を襲わせるようです。」「あのものすごい数で
襲撃されたら、ひとたまりもありませんです。」「それに動物たちも軍隊や警察との交戦で全滅させられるでやんす。
喜ぶのはガルガライだけでやんす。」「・・やり方が汚い。許せない。」「その張本人であるガルガライを倒さぬ
かぎり、惨劇は止まらぬぞ・・」「エリス、わかるか?」「やってみる・・」ピィィィ・・!「ガルガライは
あの群れの中にいるよ・・」「厄介だな・・暴走する動物たちの中というのは。」「・・」こく。「うむ。」
ダッ!「あっ!」「凛ちゃんとレオパルドンが?」「俺と凛で群れを止める。みんなはヤツを逃がさないでくれ。」
ドドドドド!・・シャッ、たたっ。「やるぞ、凛。・・いや、フェンリル。」こく。「ワイルド・ハウリング!」
ゴゴオオッ!「ヴォルフ・バスター!」ウオオオオーッ!ドオンッ!ドカアアアーン!パオオオーッ!ピイイーッ!
ゴゴォォォ・・「気絶どまりだ。」こく。・・ザッ!「むっ!」キキイッ!「チンパンジー?」ぴくっ!「愛牙!」
シャキーン!ダン!ズバアアアーン!『ぐはあっ!』ドシャアッ!・・ザッ。「見つけました・・ガルガライ!」
『く・・その気はフェンリル。キサマまでいたとはな・・』ググッ・・「まさかチンパンジーに転生してたとはな。」
タタタタ・・「これは意外な正体だな。」「人間に転生するとは限らないんですね。」「考えてみれば人間を嫌う
ガルガライが人に転生するのも変よね。」「むしろ高等霊長類であるチンパンジーちゅーのは理に適っとるわ。」
「キサマの悪行もこれまでだ。今度こそ滅してやろう。獣王剣!」ズラアッ!『・・はたしてそううまくいくかな?』
ボコッ!ガブウッ!「なにっ?!」「地下からイボイノシシが!」ボコッ。すとっ。「ガルガライが地下に逃げた!」
「しまった!・・放せ!」ガン!ブヒッ!『フハハハハ!残念だったな大公爵。我が配下としばらく遊んでくれ。』
ゴゴゴゴゴ・・「これは?」ザザザザ!「四方を動物たちに囲まれましたです。」「ものすごい数でやんす。」
「・・これはきびしいね。」「ざっと数千匹か・・さてどうするか。」「俺たちが変神して蹴散らすのは簡単だが、
無実の動物たちを傷つけるのは忍びないな。」「・・有効かもしれない手があります。朋さん。」「はいです。」
こしょこしょ・・「わかりましたです。やってみますです。」「アラクネ、みんなに耳栓ウェブを。」「いいけど、
なにやる気なの?」「子守唄ですかね。」「?・・まあいいでしょ。みんな耳だして。」ふっ。キラキラ・・
ざっ。「やりますです。・・Aサイクル波。」シィィィィ!びくうっ!ザワザワザワ!「動物たちがおかしい?」
「やはりある種の電波で操られていたようです。朋さんの妨害電波で制御に狂いが出てます。」「有効な周波数を
特定できたです。これで制御から解放できるです。」シィィィ!・・くるっ、ドドドドド・・「正気に戻ったね。」
「さてガルガライを捜さなければな。」「凛、臭いはおぼえてるな?」こく。ダダッ!「あっちか。」ダダッ!
「二人だけでは危険だぞ!」ダダダダッ!シャシャシャシャッ!「な・・なんて速さなの!追いつけない!」
「凛はともかくレオパルドンもあんなに俊足だったのか!」「聞いた話やと魔界大運動会で駆けっこは一番やて!」
「魔界で運動会なんかやってるんですか?」「魔王サタン様のシュミで年に一回やっておられるそうです。」
「ジープ使ったほうがよかったんじゃねえかい?」「いまさら遅いって。」「・・魂入れなら得意だけど。」
タタタタッ。『どうやら逃げきれたな・・次はもっと動物たちを狂暴化させねば。』「次はないでござる。」
ザザザザーッ!『うっ!・・砂嵐?!』「仔細は見ておった。逃がしはせぬぞガルガライ。」ザザザザ・・ビシッ。
『何者だ!』「三牙将・無形の砂風・・と言ってもわからぬでござろう。」「まさか猿に転生とはな。」ざっ。
「ターザンくらいカッコよけりゃよかったけど、チータじゃ拍子抜けね。」ふわっ。『くっ!・・三人も!』
キイイイーッ!・・ザワザワザワ!「むっ?」「なるほど・・茂みに逃げ込んだのはそういうことか。」ふっ。
キィキィキィ!『ゆけいチンパンジーども!そやつらを八つ裂きにしろ!』キキイイイイーッ!ばばばっ!
「王将!」シャキーン!ビュッ!バシバシバシッ!キリキリッ、ちゃっ。「峰打ちだ。」どさどさどさっ!
「砂塵!」バシャアッ!ザザザザーッ!キキィッ!どさどさっ!ばたばた!『眼に砂が入ると痛いでござる。』
ばばばっ!『一人はやったか!』ズブッ!ズブズブ・・『なにっ?!・・猿どもが沈む!』キキイイーッ!
ズブズブ・・「ホンモノはこっちよ♪」バコン!『ぐはっ!・・』どさっ。「ネリチャギ直撃っと。」ぱんぱん。
「ユーディット、身代わりごくろーさま。」シュウ。「ご命令どおり、猿たちは気を失うだけにとどめました。」
「リビング・ロープ。」シュルルルッ、ギシッ。「これでお縄ね。あとは市中引き回しのうえ、打ち首獄門かな?」
タタタタ・・「む?捕まえられたか。」こく。「凛どのと猛獣大公爵どのが一番のりか。」「さすがに速いな。」
「はいこれ。お仕置きはおまかせするわ。」「意外とあっけなかったな・・」「・・?!」ぴくっ!グルルル!
「えっ?」・・ボコオッ!「きゃっ!」「なんだ!」「猿の頭から!」シュルルル!「寄生虫・・まさか!」
シャッ!ザッ!ザザザザ!・・「いまのがガルガライの実体か!」「いかん!また別の動物に寄生するぞ!」
「・・!」シャッ!「凛が追いはじめた!」「忍空挺で追いかけるでござる。来たれ大砂塵!」ゴオオオッ!
タタタタッ!・・「・・待って!」キキイイイーッ!「どうしたエリス?」「・・あそこ!」・・ザザザザーッ!
「なにあれ?」「ミミズ?・・にしてはすごい速さです。」「あれがガルガライ!」『なにっ!』「朋ちゃん!」
「眼が粒子砲です!」シュバアッ!ズバアアアーッ!「速くて当たらないですー!」「追うぞ!・・ん?」
シャシャシャ・・ゴオッ!ドバアアアーン!『うわわわっ!』「すみません!・・」シャシャシャッ!・・
「あいたた・・今の凛ちゃん?」「衝撃波を伴うスピードとは!」「キリマンジャロ方面に行きました!」
「後ろから何か来るで!」・・ゴオオオーッ!「三牙将の忍空挺でございますな。」『皆の衆、乗られよ!』
ぱらり。「縄梯子ですね。」「急いでつかまりますです!」「陽はあっしの背におぶさるでやんす。」「うん。」
キリマンジャロ。ザザザザ・・『もうすぐ・・そこだ!』シュルルルッ・・タタタタッ、ザザーッ!「?」
きょろきょろ。・・ゴゴゴゴゴ。「?!」ばばっ!ゴバアアアアーッ!グオオオオオーッ!「!・・ガルガライ!」
『おおっ!』「あれは・・魔獣!」「むうっ!あれはガルガライの本体ではないか!」「なんやて!」「七鎧聖が
本体ごと復活してたの?!」「巨大な肉食獣・・まさに百獣鎧王!」ガアッ!ブオオオオーッ!「あれは?!」
ザザザザッ!「ガルガライの分身歩兵獣『プレデター』だ!」「凛ちゃんが包囲されたです!」「急げ!」
「・・」ゴッゴッ!・・ゴオッ!「愛牙!」シャキーン!ダッ!ズバシャアアアーン!・・ザシャアッ!
ゴオオッ!はっ?!「獣王剣!」ズバアアアーン!・・ザシャアッ!「昔と変わらんな・・先走りすぎだ。」
「グリズリー・シャドウ。」ズズズズ・・ちょい。ドバアアアーン!「あいかわらず追いつくのに苦労します。」
「マーカライト・ファープです!」ピイイイーッ!ドカドカドカーン!「怖そうだけど、しょせんはザコです。」
「ほいほいほいっと。」シュルルルッ、ピーン。「せーの。」ピィン♪ごちごちごちん!ピヨピヨ・・どさどさっ。
「あやかし糸・ゴッツンコがらみでやんす。」「グランド・ドラゴン!」ドオンッ!・・ドバアアアアーン!
「ボクの中のドラゴン、凛おねえちゃんを守って。ファイアードラゴン!」ボオオオオーン!メラメラメラ!
シャアッ!「香車懸かり!」ズバババババッ!「袈裟角!」ズバアアアーン!「凛には指一本触れさせはしない。」
「砂鉄砲!」ザザアッ!ビスビスビスッ!「忍群、かかれ!」『おおっ!』シャシャシャッ!ズババババッ!
「召喚!」キン!・・ゴバアッ!ブルルルル!「魔牛ゴーゴン軍団、スタンピートよ!」モオオオーッ!ドドドド!
ドカドカドカーン!「ほう、やるな。では俺も手勢を出そう。ロスト・ワールド!」ゴルルルル!・・ドドーン!
ヴオオオーッ!「うわ、でっかい!」「これは・・メガテリウム!」「象より巨大な四足獣の群れでござるか!」
「いけいメガテリウム軍団!」ヴオオオオーッ!ドドンドドン!『うわわわっ!』「大地が揺れるですー!」
「おっ、いい馬ができたわ。ストリング!」シュパッ!ぺたっ。「よっと。」シュィィィーッ、すとっ。
「糸を手綱にしてと・・ハイヨ、シルバー!」ヴオオオーッ!ドドンドドン!ドカアアアーン!「こりゃいーわ。」
「逃げ散ったのを掃討します!ストリームカッター!」ピュウウウーッ!ズパパパパーンッ!ゴロゴロ・・
「プラズマ火炎放射や!」ブオオオーッ!メラメラメラ!グオオオオーッ!「うえ、焼いてもマズそな連中やな。」
「よし、俺はガルガライ本体をたたく!」パキィィーン!「・・変神!」シィィィ・・シュバアアアーッ!
『むん!』ドドーン!『巨神族だと?!・・まだ生き残っていたのか!』ぴくっ。『?・・どういう意味だ。』
『ここで完全に滅ぼしてくれる!』ヴオオオオーッ!ドドドドドッ!『なんの!』ガシイッ!ギギギギ・・
『キサマらさえ人間どもに力を貸さなければ!』『なんの・・ことだ!でやあっ!』ブオオッ!ドドオオーン!
『ぐうっ!・・わからぬか!なぜデウスの造りしエデンに我らがいたかが!』はっ。『・・そういえばそうだ。
エデンはデウス様が創造した世界。ならばなぜそこに魔獣が君臨していた?・・』・・ぎょっ!『まさか!』
『気づいたか・・そうだ、エデンはもともと我らの星だ!そして神々こそ侵略者だ!』『・・そんなバカな!』
『いいえ、事実でございます。』ドスドス!『イエティ?』『たしかにエデンは魔獣の惑星でございました。
ゆえに魔獣側にとって神々は侵略者というのは事実でございますが、ひとつだけ根本的に間違っております。』
『・・間違い?』「それまでのエデンは魔獣が人を支配する世界だったということだ。」『レオパルドン。』
『左様でございます。人は魔獣の奴隷、そして同時に家畜としての存在でした。』「それを我らが解放し、
今の世界にしたわけだ。」『余計なことを・・下等生物は隷属しておればよいのだ!』『・・なんだと?』
『なに?・・はっ?!』ミリミリ・・『改めて認識させてくれたな・・キサマらは俺の敵だあっ!』バキイッ!
『ぐわあっ!・・角が!』ザザーッ!『ヒドラベルト・ソード!』シュルルッ、シャキーン!『光あれ!』
キィィィ・・カアッ!ダーン!『魔獣覆滅、プロメテウス・ジャッジメント!でやああああーっ!』ゴオッ!
ズバアアアアーン!『ぐおおおおおーっ!』ザシャアッ!『・・むん!』ビュン!メリ・・ドシャアアアッ!
「おおっ、やったか!」「・・!」ダッ!「凛?」シャシャシャッ!「・・愛牙!」ガブッ、シャキーン!
ピクピクッ、にゅっ。『くっ!・・だが次の動物に寄生して・・』シュピィィーン!ピッ・・ビチャッ。
タタッ・・くるっ。「・・百獣鎧王、死滅。」すっ、パシパシッ。「寄生獣が。しぶといヤツだったな。」
「レオはん、これからどうするんや?」「連中と袂を分かつ良い機会だ。魔界へ帰ろうと思う。」「そか・・」
「・・フェイ、いっしょに来てくれないか。」「えっ?・・」「天界には帰れずとも、魔界の扉は開いている。
もちろんタイタンに従うもよし・・俺はいつまでも待っている。」「・・」「・・フェイ、行っていいぞ。」
「お屋形さま?!」「こんなにも想ってくれる相手がいるんだ。その心をムダにするな。」「けど・・」
「だいじょーぶだって。一郎さんの面倒はあたしたちでちゃんとみるから。」「そうですよ。いま行かないと
あとで絶対に後悔します。」「そろそろ落ちついてもよろしいのではないかと。」「けどみんなを置いて!・・」
「いや、フェイが幸せになってくれれば、それは俺たちの喜びでもある。」「たまに思い出すのがいいのよ。
『いまごろ楽しくやってるんだろうな~。』ってね。」「それでいろいろ想像する楽しみもできますね。」
「なに、アラクネどののPDAにメールとかくださればよろしいのです。あ、できれば子供の写真も。」
「あっ、それ見たーい!」「二人とも霊格が高いから、すごい子供ができそうだな。」「・・想像がつかぬ。」
「もし写真ができたらぜひ見せてください。」こくこく。「あ、これうちのメルアドです。CCでいいですから。」
「魔界ってどんなとこか情景も見たいでやんすね。」「・・地獄とかあるのかな?」わいわいがやがや。
「たく、こん連中は~。」ぽん。「これがタイタン一家の良いところだな。」「・・うん、そうやったな。」
アウターヘブン。「大公爵までも離脱だと!」「結果的にフェニックスという戦力を削いでくれたけどね。」
「ま、今までで一番の手柄じゃない?」『手法のちがいこそあれ、本質的には相討ちということだな。』
「うわはははは!なるほど言いえて妙じゃわい!」「たしかに満足すべき戦果かもしれんな・・フッ。」
「アーレス!」「いずれにせよ百獣鎧王を滅したことで、こちらも助かったのは事実ですね。」ヒラヒラ・・
「ヴォーダン、そろそろ目標を明確にしてもらおう。敵はタイタンたちか、それとも七鎧聖か。」「むう・・」
「今回のレオの事例がいい材料になるわ・・七鎧聖に対しては協力する立場をとり、下級魔獣については
もとの敵対関係という二重構造が最適じゃない?」「なるほど・・棲み分けか。たしかに妙案じゃな。」
ナイロビ市内、レストラン。『・・・・』「・・静かだ。」「今となってはフェイの関西弁が懐かしいわ・・」
「これがフェイにとっては一番よい道でした・・が。」「別れは出会いよりも素晴らしいことでございます。
別れることで、その人の思い出が残ります。」はぐはぐはぐ!『凛~!』「ムードぶちこわしでしたね。」
「私は凛ちゃんに賛成です。湿っぽい話は食が進みませんです。」「それにフェイあねさんもそんなブルーな
ムードじゃ安心できないと思うでやんす。」「・・楽しく食べてるほうが、ボクららしくて良いと思うな。」
「・・陽くんのいうとおりね。」くいっ、ごきゅごきゅ・・ぽん。「ぷはあ~っ!けっこう強い地酒だわ。」
「ところでナンバー6とベルさんとエリスちゃんは?」「NY国連本部で三日ほど定期健康診断だそうです。」
「三人とも私たちと違って、生身の人間だからね。」「しばらくの骨休めにもなりますでしょう。」
魔界・魔王宮。『魔王サタン様、王妃ヴェール様、第二皇女リリス様、おな~り~!』♪ドンドンドンドン・・
ドドン!「大公爵、大義であった。」「ははーっ!もったいのうございます。」「で、お嫁さんがおみやげね♪」
「・・はい。(・・ヴェールはんはともかく、サタンはんとリリスはんは初見やな。)」「面を上げよ。」
すっ・・(・・!)ドオオオオオ・・(これが・・魔王サタン。すさまじい魔気や・・さすが四界創世期からの
生き残りの一柱。)「ウワサには聞いていたが、なるほど美人だ。レオもスミに置けぬな、ふはははは。」
「うふふふっ。エデンのみやげ話をいずれお聞かせくださいね。」(魔界姫リリス・・妖しい美少女やな。)
「レオパルドン大公爵。魔界大使の任を解き、魔界政庁・内務長官に任ずる。まずは赴任の疲れを癒すがよい。」
「謹んでお受けいたしまする!」「侍従、例のものを。」「ははっ。王妃様からです。」すっ。「・・これは!」
「魔界都市一のデザイナーブランド『小袖の手』に特注したドレスよ。婚儀のお色直しにでも使ってね。」
キラキラ。「うわ・・布地が発光しとる。」「妖蚕『ナイト・モス』の発光シルク製だよ。」「魔界最高級品の!」
「ええもんをもろて、おおきに。」「では婚儀の日取りが決まったら教えてくれ。」すっく。「亭主は多忙なので
たぶん私が名代で出席でしょうけど。」すっ。「父さまが出たら緊張で式にならないんじゃない?」すっ・・
「ふははは、たしかにな。ではこれで!」バサアッ!「魔王ご一家、ご退場~!」『ははーっ!』♪ドドン!
「おっと忘れてた。」ぴたっ、くるっ。「フェニックス、貴殿の抜けた穴はすぐに埋まるだろう。心配ない。」
「・・どういうことですのん?」「ああ・・彼女ね。」「空戦能力は必須だからね。」「・・誰のこっちゃ?」
♪春の野に舞う蝶たちよ 夏の夕焼け赤とんぼ
♪秋の月夜のアンサンブル 冬の雪下に夢を見る
♪このすばらしき虫たちよ 私はみんな愛してる
♪戯蟲聖女を讃えよ虫たち 春夏秋冬いつでもいっしょ
♪けれどあいつは許さない 自然を弄する偽善の女神
♪「虹のつばさ」で飛翔する 右手の螺旋が唸りを上げる・・
インド・ベナレス。ガヤガヤ・・「すっごい人ね。」「ここはヒンズーの聖地だからな。世界じゅうから信徒が
人生の最期をここで迎えるためにやってくる、彼岸に最も近い街だ。」「彼岸か・・でもこんなところにホントに
『彼女』がいるのかしら。」「おいおい、感知したのはアカネだろ。」「まさか大都市とは思わなかったわよ。」
「たしかに・・この喧騒の中から探し出すのはかなり」ピン!『はっ?!』バッ!「・・あっちよ!」ダダッ!
ガンジス河畔。タタタタ・・「近いわ。」「だが姿がわからないと・・ん?」ごそごそ。「・・女の子?」
「川岸で何をやってるんだ?」「・・みつけたぁ!」グッ、ボコッ。「泥の中から何か見つけたようね・・」
ちゃぷちゃぷ。「きれいになったぁ。おい、おきろ。」コンコン。【・・だれじゃ、ワシを起こすのは。】
はっ!「・・この念は!」「ああ・・おぼえてる。」「あたしがおきたらゴーガもおきるやくそくだよぉ。」
【・・おお!リューズか!】ひょこっ。【封印が解けたんじゃな!】「てゆーかぁ、といてもらったんだけどねぇ。」
「しゃべるカタツムリ、間違いないわ!」「まさかあんな小さい子に転生していたとはな。」タタタタ。
「・・ん?」くるっ。「だれぇ?」「あなた、リューズ・ヲルムじゃない?」「なんでしってるのぉ?」「そして
そのカタツムリがゴーガだな。」【ワシとリューズを知っておるとは何者じゃ?】【ひさしいわね、ご老中。】
はっ!【まさか・・この念は天震鎧姫どのか!】「ディーネおねいちゃん?!」【にしてはおかしいの。こちらの
御仁からも同質の気を感じるぞ。】「いろいろあって、分裂してしまったのさ。」「ディーネおねいちゃんも
といてもらってたんだぁー。」「正確には転生したの。古い殻はまだ封印の地にあるわ。」【ということは、
金眼念聖どのや百獣鎧王どのも?】「・・まあな。」ふっ。「なながいせいをときはなつなんて、やることが
こってるねぇ。」「私たち穏健派だけ起こしゃいーのにね。」「おっと忘れてた。アカネ、例の件を。」
「あっ、そうそう。実はね・・」・・「ええっ?!あいつがきてるのぉ!」【・・いまこそ復仇のときじゃな。】
アウターヘブン。「タイタンたちはインドへ移動しつつある。」「その地の魔獣封印の情報は知らぬぞ。」
「アスラ神族のお膝元だったから、魔獣はいないはずよ。」「あれ?・・そこはたしか七鎧聖の一柱の支配地で、
封じたあとにアスラ神族が移住したんだったよね。」『そういえばそんな歴史を聞いたことがあるぞ。』
「・・その七鎧聖が目覚めたのではあるまいな。」「・・あの。」「シカンナ、なにか?」「私が行きます。」
オオッ。「自ら名乗り出るとは、なにか因縁でもあるのか?」「はい・・その七鎧聖を封じたのは私です。」
『なんと!』「その名は戯蟲聖女リューズ・ヲルム・・全ての昆虫の女王にして、最も美しい魔獣・・」
第28夜「 虹のつばさ 」 - 戯蟲聖女リューズ・ヲルム登場 -
「ここがベナレスか。」「天震鎧姫が呼び出すとは、とんでもない発見があったみたいね。」「なんでも四柱めの
七鎧聖を見つけたらしいぜ。」「いったいどの方ですか?」「えーと、なんとか聖女とかいう名前だったわ。」
ぎょっ!『戯蟲聖女?!』「そう、それそれ。」「これはなんとも・・」「かつての魔獣戦争のとき、天軍最強の
アスラ神軍を苦戦させた猛将よね。」「ああ。たまらずヤマト神軍に応援を要請してどうにか封じたと聞く。」
「はい、たしかヤマト神軍の外様だったカムイ一族の部隊が・・あっ!」「さよう・・戯蟲聖女を封じた神こそ、
あのシカンナ様でございます。」「・・壮絶な復讐戦が見れそうだね。」ふっ。「エリス、何か言った?」
忍空艇「飛燕丸」。ヒュンヒュンヒュン・・「うわ~、すっごい喧騒ね。」「ヒンドゥー有数の聖地だからな。」
「このような大都会に七鎧聖がよみがえったとなると、おおごとになるでござるな。」「戯蟲聖女か・・実家の
図書館にあった文献で見たけど、美しい魔獣だったわ。」「ああ。私もバベルの図書館で見た・・美しい女性の
体に巨大な虹色の羽根。本当に魔獣かと疑うほどの美しさだった。」「それはまるで妖精のようですね。」
「フェアリィ伝説の元になったのは事実ね。」「遺伝子に刻まれたほどの美・・だがそれを妬む者もいた。」
「十二神が一柱、シカンナね。自然を操る彼女にとって昆虫の女王であるリューズは邪魔な存在だった。」
「それで魔獣戦争にかこつけて封じた・・と。そういうのは人間と変わらぬな。」「壮絶なリベンジになりますね。」
レストラン。「・・おっ、いたいた。」「あっ、こっちこっち。」「あれ?・・二人の間のあの女の子はだれ?」
ガタガタ。「また会えるとはな、タイタン。」「元気そうだな。ところでその子は?」「わー、すごいしんきぃ。」
【ほほう、かなりの上級神の方々じゃの。】『あれ?』きょろきょろ。「今の声は・・どこから?」【ここじゃよ。】
ひょこっ。「カタツムリ?」「・・ああっ!思い出した!あんたはゴーガ!」【お、アーリマンかい。なつかしや。】
「となると・・その子が!」「そうだ。七鎧聖が一柱、リューズ・ヲルムだ。」『なっ?!』ザザッ!「ん?」
「警戒しなくてもいいって。リューズは必要ないときはおとなしいから。」【特に敵対する理由もないしの。】
「・・そうなのか?」「ゴーガ、うりうり♪」くりくり。【やめんかリューズ、くすぐったいっちゅーに。】
「・・戦う気はないようですね。」「たしかに戯蟲聖女は七鎧聖の中でも穏健派だと聞いたわ。統治されてた人間も
けっこう慕っていたとか。」「他の連中といっしょにしないでほしいわ。七鎧聖だっていろいろあるのよ。」
「ちなみにザ・カートカとガルガライとはつきあいがなかった。ゆえにどうなっても知ったことではないな。」
「・・そうか。」ストッ。「よかった~。ここで戯蟲聖女とバトルになったら大惨事だもの。」ボスッ。
「とりあえずメシにしようや。」「ここはバフェット形式で、あそこで好きなものを取るの・・あら?」
「・・タンドリーチキンとシシ=カバブとチキンカレーとナンと・・」どっちゃり。「エリス、はや~・・」
カチャカチャ。「リューズちゃんはミルク粥だけ?」ぴちゃぴちゃ。「これだけでいいよぉ。ゴーガもねぇ。」
【ワシら昆虫にはこれで充分じゃよ。】「あの、書物で読んだんですけど、リューズさんって最も美しい魔獣だと
書いてありましたけど。」【そうじゃよ。あのころのリューズはまさに女神かと見まごうくらい美しかった。
アラクネとイエティは見たはずじゃぞ。】「そうね・・綺羅と櫻華もあのときはさすがに惜しがったわね。」
「いかにも。美しいものを壊すなどいかに戦いでも許されぬことでありました。」「で、張本人がシカンナかい。」
【何が魔獣殲滅じゃ。本音は美しさへの嫉妬と昆虫たちの支配の奪取じゃよ。】「でしょうね。あのヤローは
虫も殺さない顔してジコチューのナルシーだから。」「自然を守ると称して大殺戮をおこなう・・そんな奴だ。」
「・・だからケリはつけなきゃね。」はっ。「リューズ・・」【復讐するは我らにあり、じゃ・・むっ?!】
ぴくっ!【リューズ!】「わかってるぅ・・きたよぉ。」ピン!『この気は?!』「・・ついに来たね。」にやっ。
ひらひら・・「汚い街ね・・人も多いし。どうせだから一掃したほうが見つけるのも早いですね。」すっ。
ゴゴゴゴ・・「川よ怒れ。そなたを汚しし街と人を洗い尽くし、原初の野に戻せ!」ズゴゴゴゴッ!ドパーン!
『なんだ?!川がいきなり荒れだした!』『このいい天気になぜ?きゃあっ!』ザパアアアーン!ザザザザーッ!
ワアワア!「外で何か起きてます!」ダダッ!『川があふれた!』『河畔の街区は全滅だ!』ウ~ウ~ウ~!
【洪水警報!市民はただちに高台へ避難してください!】「こんなことができるのは・・」「・・シカンナか!」
ゴゴゴゴ・・「水が来ます!」「まずいぞ。このパニック状態の群集では大惨事だ!」「あの蝶々ヤロウが!」
「リヴィ、止められるか?」「無理です。いくらボクでもシカンナ様のあやつる水はどうにもなりません。」
「ここはあたしたちにまかせて。タッちゃん!」「いくか、アカネ!」ターン!【すっごい跳躍力じゃの。】
「ディーネおねいちゃん!」「リューズは出ちゃだめ。あなたを見つければシカンナは無差別攻撃をしてくるわ。」
「俺たちでやつを周辺被害の及ばないところまでひっぱりだす。タイタン、頼むぞ。」「ああ、わかった。」
「物見櫓、状況を報告せよ。」『市街地の二割が水没。犠牲者は数千人と推測されます。さらに拡大中。』
「シカンナめ!」「綺羅以上のみさかいなしとは思ったけど、ここまでやるとはね・・」「むむう・・むっ!
無数の水死体が!・・」ワナワナ・・「子供をかかえた母親まで!」「・・今回ばかりはあたしも怒った!」
ドロッ、シュン。「タイタンたちの現状を把握しました。天震鎧姫がただいま反撃に移ります。」「うむ!」
スタッ。ゴゴゴゴ!「なかなかの水量だな。だが。」「邪神よ、天震鎧姫の力を思い知りなさい。はあっ!」
キン!「気城!」ギン!ヒュゴオオオオーッ!ザパアアアアーン!ザザザザ・・「大気も鉄壁の城塞になるのよ。」
「・・むっ、あそこだ!」ばっ!ヒラヒラ・・「気刃!」シュバアッ!『えっ?・・おっと!』ババッ!スカッ!
「小さすぎて当たりが悪いわね。」『天震鎧姫・・ちょうどいいです。あなたを討てば彼女も出てくるでしょう。』
「討てれば、だな。」「あんたみたいなチョウチョに負けるわけないじゃん。」べえ。『来たれ我が友たちよ。』
ザワザワザワ!「え?・・きゃっ!ゴキブリ~!」「ゴキブリの大群だと?」『喰らい尽くせ!』ザザザザッ!
「こっち来るな~!気刃!」ズバババッ!「気砲!」ドンッ!ブシャアッ!『いくらつぶそうと無数に出てくるわ。
自然の報いを受けなさい、あはははは!』「ほえるな邪神めが!」ゴオッ!『・・はっ?!』ズバアアアーン!
『きゃあっ!』「あれは?」「巨大な紙飛行機?」ヒュゥゥゥゥ・・「剣客・金色夜叉。義によって助太刀いたす。」
『くっ・・このくらいの傷、すぐに再生できるわ。』【そうかな?】ザザザザーッ!『うわっ!・・砂が?!』
【傷口に砂をまぶした。これで再生はかなわぬな。】ザザザザ・・ビシッ!「仮面の忍者・大砂塵、ここに見参。」
『川で洗わなきゃ・・』パタタタッ。「あら、こっちがよく洗えるわよ。」『・・はっ?!』ゴオオオーッ!
ピピイッ!「巨大なスズメ?!」「入内雀、おいしい羽虫を食べちゃいなさい!」バクッ!バサアアアアーッ!
「シカンナを食べた!」「プリティーウィッチー・ギネビアっちよん♪ 胃液はよく洗えるわよ~。」ピイッ!
「また会ったな、天震鎧姫。」「助かったわ。ここは素直に礼を言うわ。」「三牙将、なかなかのものだな。」
「いや、あれで滅するようなシカンナとも思えぬ。」「でしょうね。龍耶くんだっけ。例のパンチで入内雀ごと
消しちゃって。」「いいのか?」「割には合うわ。」「ならば・・むっ?!」ムクムクッ、ボゴオンッ!
「入内雀が爆散?!」「遅かったか!」『はあっ、はあっ!・・みんなまとめて殺してあげます!魔獣ゲランガ!』
ゴゴゴゴゴ!・・ザザアアアーッ!ヴオオオオーッ!「魔獣か!」「海ヘビ型か。」『こんなこともあろうかと、
別の場所で復活させた魔獣をつれてきてたの。襲撃!』ヴオオオオーッ!ザザザザザッ!「こんなやつ・・えっ?」
「まかせてもらおう。はあっ!」ターン!ゴオッ!「薙飛車!」シュピィィーン!・・ズルッ・・ドパアアアーン!
「すっごーい!首を一刀両断!」「たわいもない。」・・ザザアアアーッ!ヴオオオオーッ!「なにっ?!」
「バカな?!いまたしかに倒したはずだ!」「アテナあぶない!砂鉄砲!」ザザザザーッ!ビスビスビスッ!
グワアアアッ!・・ザザザザーッ!「また出た?魔獣は一匹じゃないわ!」「こっちにも首が出たぞ!」
「いったい何匹いるんだ!」『あははははは!いくら倒そうとゲランガは死なないわ!』「・・厄介な!」
ヴオオオオーッ!・・「魔獣?なんて数だ!」【・・むう、あれは百頭魔獣ゲランガじゃ!】「ゴーガ?」
【きゃつめは無数の頭部を持っておるが、本当は一個体なのじゃ。】「ええっ?!あの数で一匹なの?」
「なるほど、触手みたいなものですな。」「天震鎧姫と三牙将でもあれはきついですね・・マスター。」
「ああ、行くか。NO.6たちはリューズを」タタッ!「あっ!リューズちゃん!」「ディーネおねえちゃんたちが
あぶないもの。いくよ!」タタタタ・・「やっぱりこうなるか・・戦闘しつつ援護する!」『おお!』ダダッ!
ヴオオオーッ!「例の大規模攻撃は使えないのか!」ズバアッ!「相手が水中じゃ効果がないのよ。気刃!」
シャッ!ズババババッ!「大気を震動させて破壊力にする能力だからな。気砲!」ドオンッ!ボコボコォッ!
「だったら水も震動させなさいよ!デビルカッター!」シュバアッ!ズパアアアアーン!「できればやってるわ!」
「これはかなりきついでござる。忍群!」『ははっ!』シャシャッ!「手打ち筒を射よ!」ジャキジャキッ!
『ていっ!』ドドドン!ドカアアアーン!ヴオオオオーッ!「くっ、焼け石に水か!」『魔獣はまかせろ!
イージス・ブウウーメランッ!』シュバアッ!ズババババーッ!・・ザパーン!「おおっ!タイタン!」
「これでなんとかなるか。」「やれやれ、やっと来たわね。でもチコクだから出席スタンプはあげないわよ♪」
「下忍は退け!戦場を開けるのだ!」『ははっ!』シャシャッ!・・「タッちゃん、任せよ。」「退こう。」
『くっ、タイタンたちまで!』「ほかのしんぱいしてるひまはないとおもうよぉ。」はっ!『・・だれ?』
つかつか・・ぴたっ。「やっとあえたねぇ・・シカンナ。」ひょこっ。【いまこそ十万年前の復仇を果たさん。】
『妖蟲ゴーガ・・では!』「みんなさがっててぇ。」「だとさ。」「こっちへ退避しましょ。」「・・がんばって。」
「おっけぇ・・蝶力招来!」ピキッ!パリパリパリ!『・・割れる?!』ググググッ!『・・羽化するのね!
させはしません!水よ襲え!』ザザザザーッ!【おっと。巨大化!】ヒュン。ギュイイイイーン!『ゴーガ?!』
ひゅ~。「あのでんでん虫が回転しながらでっかくなったぜ。」【ワシはリューズの武具じゃ!回転防御!】
ギュルルルッ!ドパアアアーン!バシャシャシャーッ!「うまい!回転エネルギーで鉄砲水をはじいたわ!」
『しまった!』【もう遅い!】ググググッ・・バサアッ!「おおっ!」「あれが・・リューズ・ヲルム!」
キラキラ・・「虹色の羽根を持つ女神・・きれい。」『まさか完全体になれるなんて・・』・・カッ!
『シカンナ。あの時はよくも卑怯な手で封印してくれましたね。』『・・あなたが強すぎるからです。』
『おだまりなさい!無実の虫たちを数万匹も殺戮し、あまつさえ私を罠に引き込むダシにした!自然の女神が
聞いてあきれます!』『・・ならば今度こそ滅殺してあげます!』『ふっ・・あなたにできますか?』
『リヴィ、魔獣の本体を水中から攻撃だ!』「いきます!」ターン!ドパアアアーン!・・ゴゴゴゴゴ!
ザパアアアーン!キュアアアアアーッ!『イエティは首の掃討を!』「かしこまりました。ふんぬうううーっ!」
モリモリモリッ!オオオオーッ!♪ドンドンドン!『アラクネ、援護攻撃を!』「おまかせあれ。ストリング!」
シュバッ!ビチャッ。ギューン!「クモに噛まれたアマチュアごときにスターづらはさせないわよ!」ヒュッ!
ヴオオオオーッ!「ほーれ、こっちよこっち!」シュパッ!ビチャッ。ギューン!『お~、速いはやい。』
『さすがご本家でございますな。』ヒョイヒョイ。「で、ここをこうと。」シュパッ!ビチャッ。ぐいっ!
ヴオオオオーッ!「どう?首がからんだうえに糸で固めたから動けないでしょ。」ぱんぱん。『イエティ!』
『レンの凍てつく風にございます。』ビュオオオオーッ!カチカチ・・『とどめは俺だ。ガントレット!』
ジャキン!『ハーキュリーズ・ストレート!』ゴオッ!パキイイイーン!ガラガラガラ!「粉みじんね♪」
水中。ゴボボボ・・『・・あれがゲランガの本体ですね。さすがに大きい。』・・グワッ!『口が?!』
ゴオオオオーッ!『吸い込む気ですか!・・まてよ、その手がある!』ゴオオオオーッ!・・バクッ!
オォォォ・・『広い・・これならつぶしがいがあります。回転飛行モード!』ズボズボッ、シャルルルルーン!
『ローリングカッター!』ズバババババーッ!『ボクの甲羅は高速回転することで鋭利なカッターになります!』
『さて、リヴィはどうかな?』・・モクモクッ。『おっ、血ですぞ。』「この色はリヴィじゃないわね。」
ズズズズ・・『なにか上がってくるぞ!』『もしや本体では。』「迎撃よ迎撃!」「光あれ!」ギン!
ドパアアアーン!『プロメテ・・』『ふう~、血まみれです。・・あれ?』びたあっ!・・『マスター・・
なにやってんですか?』『・・うっす。』びっ。「あっぶな~・・」『相手をよく見て打ちましょうぞ。』
『ゲランガが!・・』『前座は終わり・・真打ちといきましょうか。』『・・いいでしょう!巨蝶化!』
ググーン!・・バサアッ!「お~、シカンナがでかくなったぞ。」「ふむ、それなりには美しいけど。」
「・・相手が悪すぎるね。」『先に言っておくけど、虫や動物なんか使わず自分の能力で戦いなさい。』
『うるさい!いけいクマンバチたち!』ワアアアアーン!『言ったそばからこれか・・予想はしてたけど。』
ワアアアアーン!「数十万匹はいるぜ。」「うわ、真っ黒になっちゃった。」「・・ムダなことだね。」
『おーよしよし。みんな元気でいいわね。』『あら?・・なぜ刺さないの?』『誰にけしかけてるつもり?
あるじを刺すバカはいないわよ。さ、みんなお帰りなさい。』ワアアアアーン・・『元気でね~♪』
『・・さすがは全ての虫の女王。』『そういうこと。さ、直接対決よ。』バサアッ!『・・風よ唸れ!』
ゴゴゴゴ・・ビュオオオオーッ!『そうそう、その調子。』『竜巻でズタズタに引き裂いてあげます!』
ドゴゴゴゴーッ!『まあまあかな。ゴーガ。』【出番じゃの。】ヒュルッ。『装着!』ジャキーン!
「おっ、でっかいカタツムリが右腕にはまったぜ。」「ドリルのつもり?なんかウOコにしか見えないけど。」
『ゴーガ・スパイラル!』シャキン!ギュルルッ!「細くなったよ。」『いくわよシカンナ!』バサアッ!
ズバアアアーン!『自ら突っ込んだ?』・・ドバアアアーン!『なっ!・・突破するなんて!』ゴオオーッ!
『この程度の竜巻じゃそよ風にもならないわ。虹燐粉!』バサアッ!キラキラ・・『くっ!・・視界が!』
『毒じゃないけど戦闘には有効よ。』はっ!『そこですか!霊破線!』ピイイイーッ!ボオオオオーン!
『やった!・・はっ?!』キラキラ・・『・・鱗粉のカタマリ?!』『これぞ分身・夜光蝶よ!』はっ!
『しまった!』『ゴーガ・スパイラル!』ギュオオオーッ!『霊破線!』ピイイイーッ!パシパシパシッ!
『ドリルで散らされる?!』『もらった!』ズドオッ!『ぐっ!・・』『うりゃあああーっ!』ズボオオオーン!
「おおっ!」「シカンナのどてっ腹に大穴が!」『バカ・・な・・』『地獄で虫に食われなさい。』ジャキッ。
『スパイラル!ビイイイイームッ!』キィィィ・・ズドオオオーン!『滅ぶのは・・いや・・』ズドオオオーン!
ゴォォォォ・・『霊体完全破壊、完了。』【ついに成就させたの。】『・・ゴーガ、あなたのおかげです。』
その夜、ベナレスのホテルレストラン。『かんぱーい!』カチカチン!「リューズはすごいな。あのシカンナを
滅ぼしてしまうとは。」「十二神にも匹敵する力・・七鎧聖にしとくのもったいないわね。」「えへへ~。
ゴーガのおかげだよぉ。」【使いこなすリューズの実力じゃよ。】「タイタン、そこで相談なんだが。」
「リューズをそちらに同行させてくれない?」『えっ?』「見てのとおり実力は君たちと遜色はない。それに
俺たちと一緒ではいろいろ見せたくないものもあるからな。」「ああ・・腕だめしのことですね。」
「あなたたちのほうがリューズの力も有効に使えると思うわ。」「しかし・・ん?」てこてこ。じーっ・・
「・・なに?」「おねいちゃん、きれいだねぇ。」にこっ。『・・エリス?』ぽん、ひしいっ!「あ、っと!」
「きーめた。リューズ、エリスおねいちゃんといくぅ!」「で、でも・・」きらきら。「・・可愛い。」ひしっ。
「決まりだぜ。」「ちょうど欠員あったし、いいんじゃない?」【あー・・リューズはそっちのケじゃったの。】
アウターヘブン。「シカンナが・・やられたか。」「戯蟲聖女、恐るべし。アスラ神軍が翻弄されただけある。」
「きゃつはタイタンと同行しているらしい。」「困ったことになったね。ありゃフェイより上かもね。」
『結果的には戦力アップされたということか。』「そういうことね・・(なかなか面白くなってきたわね。)」
「残るは六神・・まさか半数にまで減るとはな。」「ヴォーダン、次は俺がいこう。」ザッ。『アーレス!』
「次に向かうは北米大陸。広大な地こそ俺の戦場にふさわしい。」「たしかにアーレスの軍団には最適ね・・」
♪大峡谷に響く音 あれは魔獣の叫び声?
♪地平線を埋め尽くし 神の軍団やってくる
♪魔獣カクタスの棘が飛ぶ 金眼念聖の笑い声
♪念を込めし木刀が 神も魔獣も打ち砕く
♪『熱き大峡谷』に戦火が走る だけど影で笑うのは・・?
*********************************************
アメリカ西部・アリゾナ州グランド・キャニオン。ゴォォォ・・「いい風景だ・・原初のエデンを思い起こす。
そう・・エデンは静かで平穏だった・・やつらが来るまでは。」ザッザッ・・ぴたっ。「ここか。」じーっ。
「・・なんだ、こんな幼稚な封印とはね。こんなので封じられるヤツならたいしたことないが、まあいいか。」
キラリ、バゴオッ!・・ゴゴゴゴゴ。「目覚めるがいい魔獣よ。いま再び立ち上がり、僕たちの星を汚した奴らに
目にものを見せてやるんだ。」ゴバアアアーッ!シィィィィ!「・・なるほど、こういうヤツか。」にやっ。
アウターヘブン・中央広場。ゴォォォ・・「聞け、わが精鋭たちよ!作戦目標たるタイタンたちは現在、
北米大陸のグランド・キャニオンにある。この地を決戦場とし、今度こそタイタンたちを討ち取るのだ!」
オオーッ!「今回は空軍も投入する。陸と空より囲い攻めれば、いかな天界最強チームとはいえひとたまりも
なかろう。諸君!わが軍団こそ宇宙最強であると、この戦いで証明するのだ!」『ジーク・アーレス!』
「これがアーレスの軍勢か・・」「すさまじいものね・・ヴォーダン、アーレスを引き込んで正解だったでしょ。」
「うむ、これだけの戦力を敵にまわしておれば、俺とて苦戦しただろう。」「苦戦ね・・(行殺でしょ。)」ふっ。
「綺羅、これで本当にタイタンたちを倒せるのだな。」「単純計算ならね。でも不確定要素が多すぎるわ。」
「不確定要素?」「知ってのとおり、天震鎧姫と戯蟲聖女は彼らの側よ。七鎧聖さえも取り込む器の大きさ・・
そして秘密部隊もいまだ未知数の要素なのを忘れた?」「・・なぜだ、なぜこうもタイタンたちに組するものが
後を絶たないのだ。」「あなたには永劫にわからないでしょうね・・その理由は。」「綺羅にはわかるのか。」
「さあ・・どうかしら。そのつもりだけど、本当は何もわかってないのかもしれないわね・・」「・・」
第29夜「熱き大峡谷」 - 毒棘魔獣カクタス登場 -
♪パリラ~・・パーラッパパパパパリラ~・・ジャジャジャーン!「そら必殺でしょーが!」すぱあああーん!
「おっかしいな~。アラモのつもりだったのに。」「たしかに出だしは同じですが。」「着メロで遊ぶなって。」
「・・ここテキサスじゃないけど。」「どっちもアメリカ人以外には同じ西部劇だな。」「というわけで私たちは
ネバダ州ラスベガスに来てます。」【誰に話しとるんじゃ?】「わぁ~!すっごいキラキラな街だねぇ~。」
「今夜はここで一泊し、明朝に問題のグランドキャニオンに出発するぜ。」「じゃ、解散ね♪」『おー!』
ドカドカッ!「あ、ちょっとこら!明日は七時にロビーよ~・・って、聞いてないか。」「・・みんなカジノを
楽しみにしてたしね。」「さて、俺たちもそれぞれに散るか。リヴィとエリスはリューズのお守りよろしくな。」
「わかりました。」「うん・・(不満げ)」しっかり。(エリスにくっついてる)「じゃ、よろしくね。」
ガヤガヤ。「えーっと、まずどこいこう?」「リューズちゃんはどこいきたい?」「んーとねぇ。」ぱらぱら・・
「・・あ、ここがいい!」「ん?・・『お菓子の国』?」【甘いものには目がないからのう。気にせずお二人の
よろしき所でいいですぞ。】「ボクも決めてなかったなあ・・エリスは?」「特にないから、そこにしよ。」
某ホテル内『お菓子の国』。「うわぁ~!おかしがいっぱい!」「ケーキやチョコのバイキングだね・・あれ?」
「えっと、これとこれ・・」さっさっ。「エリス、はやっ!」「エリスおねいちゃん、それもとって。」「これ?」
【・・なんかものすごい量をとっておるのう。】「おかわり自由だから少しづつとれば・・聞いてないか。」
どっちゃり。『いっただきまーす!』ぱくぱく。「うぷ・・見てるだけで気持ち悪くなりそ。」【ワシもじゃ・・】
「・・ん?隣りの人もすごい量だね・・あれ?!」【なんじゃ?】ぱくぱく。「うん、さすがに味がいいね。」
「あ、あの・・ミサさん?」「そうだよリヴィくん。いまごろ気づいた?」「・・わかってました?」「もちろん。
リヴィくんとエリスちゃんの匂いはおぼえてるから。」「え?」くんくん。「普通じゃわからないよ。でも
もう二人は初めての匂いだね。」【お知り合いか?】「国連秘密部隊『盟臨館』のミサ・マルドゥークさん。
よく助けていただきました。」【ほう、話に聞いた・・人間にしては恐ろしいほどの『気』じゃのう。】
「先日こちらに加わっていただいたリューズ・ヲルムさんとゴーガさんです。」「はじめましてぇ。」ぺこ。
「よろしくね。」「で、ミサさんはどうしてここに?・・は愚問ですね。雅焔先生と他の方は?」「どこか別の
ところで楽しんでるはずだよ。合流は明日の予定だし。」「・・盟臨館のみなさん、もう着いてたんですね。」
「ああ、それからアメリカ在住のメンバーも来るよ。」「どんな方です?」「それは明日のお楽しみだね。」
カシノ。ガヤガヤ・・「ここはポーカーか。」「やってみましょうか。」パラパラ・・チャチャッ。ぱさっ。
「ん~・・二枚。」シュシュッ。「いらないな。コール。」カチャ。「レイズ。」「さらにレイズだ。」オオッ!
「・・ドロップ。」「う~・・降りよ。」「レイズだ。」「なに?・・雅焔?!」「うむ。」「・・よかろう。」
ぱらぱらっ。「ハートのストレートフラッシュ。」オオッ!「悪いな、スペードのストレートフラッシュだ。」
オオッ!「強いな・・教師よりギャンブラーで食っていけるんじゃないか。」「運で生きるつもりはない。」
「他のメンバーは?」「あそこだ。」『え?』ガチャン!カラララ・・「・・はいはいはいっ!」ぱしぱしぱしっ。
ジャラララーッ!「グート!ジャックポットです!」オオーッ!「さすがはヒルダ・・すごい動態視力だわ。」
「一枚くださいませ。」「かしこまりました。」シュッ。「ブラックジャック。」ぱさっ。オオッ!ザワザワ。
『どこかのお姫さまみたいだけど・・』『さっきから勝ちつづけてるな。すごい腕だ・・』「アリシアか。」
カラカラカラ。じーっ・・「5にベイト。」カチャッ。カラカラカラ・・カタン。オオッ!『また入った!』
『これで三連続だ!』「お蝶さんも?」「ふ・・ん?ディーラー交代か。」「入ります。」チャッ、カラカラカラ・・
キラッ。チャッ、バスッ!(サイレンサー付きパピヨン)バシッ!「なっ?!」ピピピピ・・♪「その胸ポッケの
コントローラーはなんだ?」バスッ!ボオンッ!『ああっ!』「ルーレットの下に電子機器。イカサマだな。」
「用心棒!」ドカドカッ!「おっ、乱闘ですね。まぜてください!」ターン・・ザシャアッ!ギュルルルッ!
「トリュープ・フリューゲル!」ドカドカーン!『どわあああっ!』「えっ、ケンカ?参戦するわ!」シャリン!
シャシャシャッ!・・どさどさっ。「斬ったんですか?」「峰打ちよ。」「それでもあれは痛いぞ。」
「このお!」グワッ!「ふん。」ガシイッ!「せいっ!」ブオオオオッ!ズドオオオーン!「ぐはあっ!」
「キサマなぞ蒙古相撲では幕下にも入れんな。」「あーあ、始めちゃった。」「雅焔、止めないのか?」
「正義の戦いと認定する。思うぞんぶんやらせよう。ミサがいないのがなによりだ。」「血の海になるものね。」
別のカシノ。チーン、ジャラジャラジャラ。「ふむ、確変ですな。」「・・あら?イエティさんじゃん。」
「おや、これはギネビアどの。他の皆様がたも。」「ここで会うとはな。」「ベガスのパチンコ屋と聞いて
見物がてら来たのだがな。」「日本人客が狙いと聞きました。ちなみに換金率は日本の1.5倍だそうです。」
「そことそことそこが開放台ですぞ。」「よくわかるわね~。」「なに、このくらい基本でございます。」
ジャラララーッ!「ひいふう・・七箱か。さすがに出がいいな。」「忍法、遊砂道。」ザザザザ・・キン。
カラカラカラ。「あ、それイカサマ。」「使い魔でROM操作しておるギネビアにだけは言われたくないな。」
「飲み物をお持ちしました。」「では缶コーヒーを。」「お茶でいい。」「ワンカップ大関ない?」『ないない。』
次の日、グランドキャニオン。ゴォォォ・・「すごいな・・」「エデンにこんな景観がまだあったのね。」
「むー、ここきらい。虫さんも花も少ないものぉ。」「で、観光客の連続殺人事件があったんですね。」
「そうだ。死因は毒殺・・というより刺殺というべきかな。」「ちなみにこれが凶器の毒針よ。」さっ。
「これは・・針というよりでっかいトゲだな。」「何のトゲかしら?」【・・サボテンか?まさかの。】
「ゴーガ?」【待てまて・・思い出した!サボテン魔獣がたしかにおったぞ!】『毒針魔獣カクタスだよ。』
はっ?!『・・ザ・カートカ!』ざざっ!「ひさしぶりだね、みんな。」「いつの間に!」「短距離テレポートさ。
そちらの方たちはお初だね。」「ほう・・話に聞いた金眼念聖か。」「なんて気ですか・・まさに魔獣クラス。」
「外見は子供だけど、中身はすごそうね・・」「これはすごいね。見えなくてもビシビシわかるよ。」
「その七鎧聖がなにゆえに?」「古い友人に挨拶をね。・・やあ、リューズ、ゴーガ。」「ザーくん・・」
【こんな形で会うとはのう。】「あれ、つきあい無かったんじゃ?」【顔見知り程度はあったわい。】
「魔獣をまた解き放ったのか。」「前にも言ったはずだよ。これは救済だって。」「いまどこに?」「もうここには
いないよ。近くの大きな街へ移動中。」『・・ラスベガスか!』「しまった!」「急いで追わなきゃ!」
『追う必要はない。』「なにっ?」ヒュルルル・・ドドーン!『うわっ!』「砲撃?・・どこから!」
ゴゴゴゴゴ・・「・・この音は?」ゴゴゴゴゴ!「・・あっ!峡谷をはさんだ台地に!」「あれは・・戦車隊?」
「あれは・・天軍の主力戦車『ケルプ』ですぞ。」「・・アーレスか!」「あっちの台地にもいるわ!」
ゴゴゴゴゴ!「こっちにも現れたぞ。」ぴくっ。「・・峡谷の底からも何か来るよ。」・・ゴオオオーッ!
「武装天使『ドミニオン』まで!」「制空権もとられたわね。」「まずいな、完全に包囲されたか。」
『そのとおり、これぞ必殺の包囲陣。』ザッ。「アーレス!」「タイタン、この大峡谷を墓標とするがよい。」
「これはまいったね。君たちの巻き添えか。」「ザ・カートカ、あんたは逃げろ。これは俺たちの戦いだ。」
「・・そりゃ逃げようと思えば簡単だけどね。」さっ。グィーン・・ジャキジャキッ。「一斉攻撃!」ドドドドドッ!
キン!「サイコ・シェード。」バシバシーン!『なにっ?』「神を前にして逃げたとあっては七鎧聖の沽券に
かかわる。ここは一緒に戦わせてもらうよ。」「ザーくん!」「・・リューズ、その呼び方はやめろって。」
「・・ザ・カートカがいたのか。まあいい、一網打尽にしてくれる。間接砲撃!」・・ドカドカドカーン!
「なにっ?第三戦車隊が!」「今のは?」ぴくっ。「・・バイクの音だよ。」「バイク・・ヨーコか。」
ゴォォォ・・ドドドドドッ!「なんだ?!」「うわ、大きなバイク。」「CENACOLO VINCIANO!」ズドォン!
バゴッ!ドカアアアーン!「ランドールライフル?神鉄の装甲をつらぬく威力とは!」キキィィィーッ!
カチャ、すたっ。ザッザッ・・ぐっ、かぽっ。ばさっ!『おお・・』「パツキングラマーな姉ちゃんだな。」
「・・だれだ?」「アメリカ在住の教え子、ヨーコ・クサナギだ。」「日系三世で、私たちの先輩でもあります。」
「センパイってどういうこと?」「先生が最初に教え・・いえ、更正させたんです。」「もと暴走族だそうだ。」
「センセ、ちょっと遅れたネ。ソーリィ。」「いや、いいタイミングだったぞ。敵は混乱している。」
「ハーイ。メーリンカンのフレンズ、ハウワユー?」「ノンキにあいさつしてる状況ではないぞ。戦闘中だ。」
「オー、お蝶あいからわずクールね。」「また香水を替えたんだね。」「紹介はあとだ。状況は見てのとおり。」
「ラジャー。ただちにボギーにエンゲージしマース。」ぴっ。タタッ、さっ。ギュルン!バドドドド!
「たかが一人くらい増えたところで状況は変わらぬ。」『だれが一人でござるか?』ぎくっ!「その声は?!」
『忍法・鉄砂!』ビュオオオオーッ!ザザザザーッ!「くっ!・・」【25号車、砲塔旋回に障害発生!】
【こちら54号車、尾栓が閉鎖できません!】『ふはははは!磁性砂鉄の味はいかがかな。』ザザアッ!「砂風か!」
「あっちにも!」「王将!」シュピィィーン!・・ガラガラーン!「神鉄など豆腐も同然だな。」「アテナ!」
「ユーディット、武装変形!」「かしこまりました。」ズズズ・・ビシッ!『バスターキャノンです。』ジャキッ!
「よいしょっと。掃射!」ズドオオオーン!ズババババーン!「一個中隊くらいイッパツね♪」「ギネビア!」
「いまだ!全員散開!」『おお!』ババッ!「しまった!・・分散されては砲撃は無効。ドミニオン、空襲せよ!」
「リューズ、制空権を!」「はーい!・・蝶力招来!」ピキイッ!バリバリバリ!・・バサアッ!キラキラ。
『戯蟲聖女、リューズ・ヲルム!』「出たか!七鎧聖を撃墜せよ!」バサササアッ!『ゴーガ、コネクトッ!』
ガキイイイーン!シュィィッ!『ザコの武装天使ごときが。はああああーっ!』ヒュルルルッ!『スパイラル・
マグナムッ!』ズドオオオーン!【どりゃああああーっ!】ズボズボズボーン!ヒュルルル・・ゴオオオオーッ!
【第二波じゃ!】ズボボボーン!「ゴーガドリルの誘導弾か!ドミニオン、散開して方位攻撃!」バサササッ!
『ほう・・燐粉散布!』バサバサッ!キラキラ・・「瞬光弾一斉射!」シュドドドドッ!『あまい!』パシィィーン!
ズドドドドッ!『ぐはあっ!』パラパラ・・「ドミニオンが・・全滅?!」『虹の燐粉は霊光兵器を正反射するわ。』
『こちらケルプ12号、敵接近!』「たぢからのを!」ドゴオオオーン!グシャアッ!「兵護!」シャリン!
【戦車とは斬りごたえあるねぇ。】「むん!」ドオンッ!ズバシャアアアアーン!ドカドカドカーン【十台!】
「とおっ!」ターン!クルクルッ、ドン!「メッサーシュミット!」バコオオオーン!『うわっ!装甲を貫通して
中まで!』「グーテンモルゲン♪パンツァーファウスト!」パン!ギュルルルッ!ドガガガガッ!『ごばあああっ!』
ボコボコッ、ドカアアアーン!・・クルクルッ、ザシャアッ!「閉鎖空間内ではミンチになるのみです。失礼。」
「紅月!」シャリン、シュバッ!キィン!・・ズルッ、ガラガラーン!『・・ひいっ!砲塔が砲手ごと!』
「神さまの戦車なら四頭立てくらい期待してたのに、こっちの戦車とさほど変わらないじゃない。三日月!」
シュパッ!ズザザザザーッ!ズバアアアーン!ドサアッ!「やっぱ縦断面もほとんどいっしょか・・つまんない。」
『集中砲火だ!』ドンドンドン!「のろい砲弾だね。」チキッ、シュピーン!・・ゴロゴロン。『砲弾を斬った?!』
「信管ごと斬ったから爆発もしないよ。」ユラッ・・フッ。『消えた?・・』カシュウッ!ドスッ!『ぐはあっ!』
「上の装甲が薄くて紙みたいだね。ラクに突き抜けたよ。ちなみに操縦士はもう串刺しにしてるから。」シュイッ。
ギュラギュラギュラ!『拳銃で戦車に勝てるか!』「パピヨン!」ドキューン!ビシッ!・・ドカアアアーン!
『ぐはあっ!・・装填弾の信管を撃つなんて・・』『砲手が・・おのれミンチにしてやる!』ギュラギュラギュラ!
「ふん・・」ドキュドキュン!ビシビシッ!『バカめ、キャタピラに当てたところで』ガクン!『なにいっ!』
ギャギャギャッ!ドシャアアアーン!「キャタピラの接続部を撃った。ちなみに自爆事故は減点2だ。」
「CENACOLO VINCIANO!」ドオンッ!ボガアアアーン!「なんて銃だ!」「『最後の晩餐』ですって?!」
「アラクネ、知ってるのか?」「バベルの図書館で読んだことがあるわ・・妖銃『最後の晩餐』。異端の宗派を
狂信したガンスミスが作り上げた銃。その威力は絶大だけど、使用者を殺人狂にする呪われたアイテムよ。」
ブロロロロ!『バイクなど踏み潰す!』ギュラギュラ!「それあまいデース。Il giudizio universale!」
シュイッ。『・・木刀だと?』「Yeah!」SPAAAAM! 『なあっ!バカな・・』BADOOOOM!「AMEN♪」
「なんと、木刀で戦車を粉砕したでござる!」「霊刀『最後の審判』だと!」「な、なんであのヤンキーが?!」
「なんでござる?」「・・かつての魔獣戦争で猛威をふるった、いくつもの武器が伝説として伝わっている。」
「彩の精霊刀『愛染』もそのひとつよ。『最後の審判』はその対極にあるもので、何でも叩きつぶす豪刀なの。」
「冥王ハデスの刀だったが・・なぜ今ここに?」「・・よくわからぬが、なかなか面白い状況でござるな。」
「くっ、これほどとは・・はっ?!」ゴオッ!「アーレス!」「タイタン!」ガキイイイーン!ギリギリ・・
「なぜだ、なぜエデンを荒らす!」「言ったはずだ。エデンを再び神々の手に!」「ふざけるな!」バン!
「かつての正義を愛し、斯道を重んじたキサマはどこへいった!」「もはや問答無用。軍杖『ソレムニス』!」
ビュン!「アーレス・・ん?」ザッ。「タイタン、ここはボクにまかせてくれない。」「ザ・カートカ?」
「魔獣カクタスを止めに行け。それが君の使命だ・・かつての友と戦うことじゃない。」「・・すまん!」ダッ!
「リューズ、みんなを!」『わかったわ。』バサアッ!ドドーン!『手に乗って。』ドカドカ。『飛びますよ!』
バサアッ!ゴオオオオーッ!「俺たちはここにとどまるぜ。」「吉報を待ってるわ。」「・・いってらっしゃい。」
「行かせぬ!サプリッツェ!」シュバッ!「サイコシェード。」パキイイイーン!・・「ジャマをするな!」
「そっちこそ無理はよくない。ボクならまだ戦いやすいだろ。」「・・魔獣は殲滅する。」チャッ。「できるの?」
「未蔡龍!」さっ、ボゴオッ!シュドドドッ!ドカドカーン!「実体攻撃はムダだっていってるのに。」キラッ。
「サイコクラッシャー。」ドオオオオーン!「ソレムニス・ガード!」シュバアアアーッ・・チャッ。
「・・乗りきられた?」「我が軍杖『ソレムニス』も対エネルギー防御結界を張ることができる。迷射!」
カアッ!「うわっ!・・目が?!」「金眼念聖が弱点みたり!その金色の眼さえつぶしてしまえば無力!」
「くっ!・・見えない!」「滅びよ七鎧聖。芭柳関!」バサアッ!ゴバゴバアッ!ブオオオオーッ!「くっ!」
シャッ!ザシャアッ!「Il giudizio universale!」キキキキーン!パラパラ・・「・・なに?」「なんだと?!」
ビュン!「ストップ!勝負はもうついてマース。これ以上はノーミーニン!」「ジャマだ!叶怨!」ズドォン!
「Yeah!」パキィィーン!・・ドカアアアーン!「・・砲弾を木刀ではじきとばすだと?」「・・どいてくれ。
君には関わりないことだ。」「愚かな人間だ・・魔獣をかばうとは。」ビシッ!「シャラーップ!魔獣だか何だか
どうでもいいことデース!困ってるものはヘルプする、これマンカインドのソウルね!そんなこともわからない
イービルゴッド、認めない!あなたゴッドじゃないデース!」ビリビリビリ!「くっ!・・この迫力は?!」
「センセ、兵護を!」「受け取れ!」ビュッ!ぱしっ。【ヨーコ、ソーロングだったな。】「ヘルプをプリーヅね。」
カチッ。「懐剣を柄に嵌めた?」チャッ。「・・Ha!」GYUOOOOOM!「・・なんだこの巨大なソーマ(気)は?!」
「神に会うては神を切り、邪神に会うては邪神を切る!いまこそ審判のとき!」DAAAAN!・・KAAHH!
「Final Judgement!」ドン!「させぬ!」さっ。パキイイイイーン!BADOOOOM!「ぐはあっ!」ZASYA!
ポロッ・・「・・ソレムニス・・が!これが人間の・・力・・か!」ユラ・・ドサアッ!「ミネウチでーす。」
「ぐ・・?」ザッザッ。「そのダメージでは当分は再起できないぜ。」「・・何者だ。」「ほれ。」つるっ。
「・・なっ?!あなた様は!・・」「もういい、充分だ・・それ以上自分を貶めることはない。」はっ。
「わざと暴挙に走ったのは、あえて叛乱に参画することで被害を最小限にとどめようとしたのだろう。そして
本気でタイタンたちと敵対することで、ヴォーダンら急進派の信頼も得た。あとは行き過ぎないように巧みに
制御していく・・見事だったぞ。」「・・そこまで読まれてましたか。」「もはや十二神は崩壊寸前だ。
ゆえに貴殿もそろそろ潮時だろう・・天界へ戻ってデウスを救出してやれ。」ぎょっ!「なんですと!」
「欺かれていたのはお互い様ということだ。あの後、デウスは改めて封印された。」「・・そうか、綺羅め!」
「それを解けるアルカディアも幽閉されておる。すべて綺羅の思惑どおりだ。」「・・デウス様を封じ、その隙に
天界を占領・・くそっ!」「我が軍も駐留して膠着状態を保っておる。ここでデウスが戻れば事態は一気に収拾する。」
「急いで戻ります。失礼いたします!」フッ・・「・・綺羅に気をつけろと言いそびれたな。それもよかろう。」
「どうだ?エリス。」「・・網膜がやられてるけど、失明はどうにか。」「・・力が使えなければ無意味さ。」
『そうでもないわ。』「えっ?」シュイッ。「・・クレオか?」「連絡があってね・・こうなっちゃったか。」
「これでボクもおしまいってことだ。」「いえ、これから始まるの。人としての人生が・・私と。」はっ。
「しかし・・」「忘れたの?あの時と同じく、今でもあなたを愛してる。それは力を失おうが関係ないわ。」
「力は使えんかもしれんが、メガネをかければ日常生活に支障はないはずだぜ。」「ということで。」
「・・あんたの口車に乗せられたかもしれないな。」「後悔してるか?」「・・いいや。楽しかったよ。」
「さ、行きましょうか。」「ああ・・じゃ、これで。」「養生しなよ。そして・・幸せに。」シュィッ・・
「去ったか。」「見事な活殺でござったな。」「・・オヤジ、前から聞いてみたかったけど、なぜ七鎧聖を?」
「いつ起きるかわからん連中を放置しておくより、今たたき起こしておいたほうが都合がいいと思ってな。」
「もうひとつ、うまくすれば未知の魔獣を復活させてくれ、場合によっては撃滅の手助けもしてくれるわ。」
「それは戦略的に正しい。敵を滅するだけが戦い方ではない、むしろ活かすべきだ。」「・・墨子だっけ?」
「さすが総司令ですね。」「というより、さすが魔王サタンというべきかな。」「そいつぁ内緒だぜ♪」
ラスベガス。ゴゴゴゴ・・「なんだ?」「なに?あれは・・サボテン?!」ズズズズズ!シィィィィ!
「バカな?ビルほどもあるサボテンなんて!」シュババババッ!ズドドドドッ!「ぐはあっ!」「ぎゃあっ!」
「トゲが槍のように!」「建物に隠れろ!」ワアアアアーッ!ドドドドド!シィィィィ!・・キュババババッ!
ザカザカザカッ!・・ガラガラガラ!「建物がハチの巣に?!」「崩れるぞ!」ドガシャアアアーン!
ゴォォォ・・「カクタスは街にもう入ってます!」「遅かったか!」「被害甚大ですぞ。」「止めないと!」
「リューズ、真上で降りる!」『わかりましたわ。』バサアッ!「・・いくぞ!」『おお!』バババッ!
ゴオオオーッ!「・・変神!」パキィィィーン!シュバアアアアーッ!『イカロスキック!』ドカアアアーン!
シィィィ!ドガシャアアアアーン!・・ドドーン!『むん!』シィィィ!ドヒュヒュヒュッ!『イージス!』
シャリン!『スピンシールド!』ヒュィィーン!キキキキーン!『くっ!・・このプレッシャーは?!』
「遠心力ではじきとばしているのに押されてる・・なんて射出力なの!』ピキピキ・・『・・なにっ?!』
はっ!「いけない!」パキイイイーン!『イージスが!』ドカカカカッ!『ぐおおおおっ!』「タイタン!」
『マスター、いま行きます!』ゴロロロッ!「リヴィ急いで!」『ボクの甲羅で防ぎます!』カキキキーン!
『ご主人さま!』ドスドス!『・・むう、神鉄の鎧をも突き通しております。幸いにもそれで傷は浅いですが、
毒が心配でございます。』「イエティ、トゲをぜんぶ抜いて。タイタンは戻ってください。」『しかし!・・』
キキキキーン!『はやく!ボクの甲羅も限界にきてます!』『鱗粉散布!』バサバサッ!キラキラ・・
パキパキパキーン!『リューズさん?』『これでしばらくはしのげます。今のうちに!』『すみません!』
「ぐっ!・・」ガクガク!「毒が効き始めましたな。」「エリスをつれてこなかったのは失敗だったわ・・
リヴィ、急いで迎えに行って。」「わかりました。」タタッ。「カクタスはリューズ殿が押さえてくれてますが、
なにか打開策を講じないことには。」「・・やるか。」ザッ。「イエティは一郎さんについてて。」「ははっ。」
タタタ・・【・・リューズ、ゴーガ、聞こえる?】【アラクネさん?】【念話とは珍しいのう。】【ちょっと作戦が
あるの。こうしたいんだけど・・】【・・わかりました。】【それなら何とかなるじゃろ。】【じゃ、やるわよ。】
ターン!シュパッ!・・ビチャッ。ギューン!・・スタッ。「・・変身!」メキメキメキ!ギガガガガ!・・
ドドーン!ガシュウ!『あれがアラクネさん?』【そうじゃ、巨大な黒クモの魔神・・アーリマンじゃ。】
シュバアアアアアーッ!『糸が来たわ。ハイウィンド!』バサバサバサッ!ビュオオオオーッ!パラパラ・・
【まんべんなくかけるんじゃぞ。】『風の微調整が難しいわね・・』バサバサバサッ!パラパラパラ・・
【・・よかろう。カクタスは真っ白じゃ。】シィィィ!ググッ・・『これでもうトゲは発射できないわ。』
シュゥゥゥ・・「・・あー疲れた。リューズ、あとはまかせるわ!」『まかされました。ゴーガ、やります!』
【エネルギー充填120%じゃ!】キィィィ・・カアッ!「ゴーガドリルが真っ赤に!」『スパイラルファイアー!』
ゴオオオーッ!【うおりゃああああーっ!】ズドォン!・・ギャルルルッ、ボゴオオオーン!ゴオオオオーッ!
「すごい!カクタスを貫通してさらに炎上させた!」シィィィィ!・・メラメラメラ・・【サボテン料理じゃな。】
その夜、「エル・ドラド」集中治療室。「雅焔先生、どう?」「命はなんとかあるが、意識不明のままだ。」
「先生、毒の組成が分析できました。」「ご苦労アリシア。・・麻痺毒か。普通の人間なら即死する量だ。」
「解毒剤はできないんですか?」「いろいろ試しましたけど、どうしても毒を分解できませんので・・」
「ゴーガぁ、なんとかなんないのぉ?」【わしゃ知恵袋ではあるが、さすがに薬師とまではいかんぞ。】
「打つ手なしですか・・」「・・いや、まだ手はある。日本へ向かってくれ。」「日本に?」「ああ、彼女だね。」
「ミサさん、どういうこと?」「俺の妹なら何とかできるかもしれん。」「妹さん?」「現代医学がダメなら、
そっちしかないだろうな。」「イービルポイズン、治せるのはシャーマンだけネ。」「シャーマン?・・」
「ところでNo.6は?」「先に日本へ飛んだわ。いろいろ準備があるそうだし。」「・・そう、いろいろね。」
宇宙空間。スゥゥゥ・・「急がねば・・」『あら、そんなに急がなくても。』はっ!「・・綺羅!」フゥッ。
「もっとゆっくりしてればよかったのに。」「キサマ・・」「ふふ・・タメ口をきけるほど出世したのね。」
「アルカディアはどこだ。」「聞けば答えるとでも?」「腕づくでも聞きだす!」「あらこわい。それじゃあ・・」
ドオンッ!「がはあっ!・・なんだと?!」ググッ・・「ここで滅んでもらうわ。」「・・綺羅が・・二人?」
「大義であった。下がってよい。」「お役に立てて光栄でございました。では・・」フッ・・「・・影姫か!」
「そういうことね。アルと違ってあなたは存在自体が障害なの・・精霊核、最大出力。」カアッ!「ぐうっ!」
「ハデスおじさまによろしく・・さようなら。」シュゴオオオオーッ!・・「やっと鬱陶しいのが消えたわ。」
「・・やれやれ、やはりこうなったか。心配して尾けてきて正解だったな。」「う・・」「しばらく匿うか。」
♪いにしえの都の夜を裂く 呪羅の恐ろしい叫び声
♪闇の中から飛んでくる 蒼ざめた光の触手
♪御霊喰らいて夜を行く 昏き魔獣の侵略を
♪止められるものは目覚めない 砕けた楯も戻らない
♪「大文字送りの夜」に立つ 巨大な姿は・・木?
*******************************
アウターヘブン。「アーレスがやられただと?!」「そう、金眼念聖と刺し違えてね。」『アーレスほどの者が
七鎧聖と相打ちとは・・』「誰よ、昔より力が弱まってるなんてウソついたのは。ぜんぜん昔のまんまじゃない。」
「封印からの起き抜けならともかく、完全覚醒した魔獣はいささかも衰えておらんということじゃな。」
「それはタイタンが魔獣カクタスの毒でやられたことからも明らかよ。」「そのタイタンはどうしておる。」
「映像を。」ぱっ。「日本列島に向かってるわ。どうやら解毒の方法がそこにあるみたいね。」「奴等を殲滅する
好機かもしれんな。」『やめろヴォーダン。そのような姑息なマネは俺が許さん。』はっ。「ミカズチ・・」
「そうそう。タイタンはダーリンの獲物。こんなことでやっつけたら、ダーリンの誇りに傷がつくわ。」
「じゃが静観するのも芸が無いのう・・綺羅、行き先はわかるか?」「私の推理が正しければ・・京都。」
京都・一条戻橋。「・・はい、その毒なら私で治せます。ご安心を・・はい。で、前にお知らせした卦ですが、
手は打っていただけましたか?・・これから探しに?・・はい、それなら。ではよろしく・・」ピッ♪
「長官、幹事長がお待ちです。」「はいはい。総選挙の人選だったわね。写真は?」「怨霊が写ってないのは
これだけです。」「ふむ・・これとこれはダメね。ちゃんと墓参り行ってないので先祖霊が怒ってるわ。」
「防衛庁長官からの半島への派兵依頼はいかがします?」「三獣尸を送ったから安心しろと伝えて。」「ははっ。」
そのころ、魔界・レオパルドン内務長官私邸。カタカタ・・「あんた、まだかかるんか?」「あと5分で区切る。」
「出世したんはええが、家でまで残業とはかなわんなー。」「内務長官というのはかなり多忙でな・・っと。」
タン。「よし、今日はこれまでにしておこう。」「ごくろーはん。ほな夜食を用意するわ。」とたとた・・
「フェイ、メイドを雇っていいと言ったはずだが。」『主婦業でもやっとらんとヒマでしゃーないもん。』
「あれほど招待されてたパーティーとかがあるだろうに。」『訛り抑えんのしんどいからいちげんさんや。
それにどーもああいう場は性に合わん。』「長官夫人としての立場も」♪ぴんぽーん。「む、来客か。」
ぱたぱた。「ウチが出るわ。ほれサンドイッチとジュース。」ぱたぱた・・「だれや・・コホン、どなたですか?」
『夜分遅く失礼する。』ぎょっ!「あの声は!」ダダダッ!「フェイ、すぐに開けろ!」「な、なんや?」ガチャ。
「こんばんわ。」「やはりサタン様!」「なんやて!」「ちょいと話があるんだが、いいかな?」ぴっ。
居間。コポコポ・・「お茶どぞ。」「すまんな。・・そのサンドイッチ、うまそうだな。」「あ、どぞ。」
「あー、催促したようで悪いな。では遠慮なく。」ぱくっ、もぐもぐ。「うん、カラシがよく効いてうまい。」
(あんた、サタン様ってこないなヒトやったん?)(気さくなお方でな。)(あつかましいだけちゃうか?)
「サタン様、わざわざ拙宅まで来られるとはいかなるご用件で?」「実はな・・ちょいとお忍びで出かける
ところがあるんだが、荒事のベテランを同行させたいんだ。」「それならば魔戦鬼どもがいくらでも。」
「いや、場所が場所だけに魔戦鬼どもではダメなんだ。話をしただけで逃げちまう。」「いったいどこへ?」
「ジュデッカだ。」「なあっ!・・あそこへ!」ガクガク・・「ほらな、レオだってビビっちまうだろ。」
「どこやて?」「地獄最下層コキュートス最深部ジュデッカ。絶対零度の冷気に覆われた究極の地獄だ・・
いったいそこへ何を・・?」「『ルシファー』を探しにだ。」『ルシファー?!』ガタッ!「・・本気ですか!」
「本気と書いてマジと読む。大マジだぜ。」「その名はさすがにウチも知っとるで・・魔獣戦争のとき魔獣王を
その命をもって封じた伝説の勇者神・・その愛用していた武具の名や。」「はい正解。よく勉強してるな。」
「だが『ルシファー』はある特性ゆえ誰も使えず、コキュートスに封印された・・なぜそのようなものを!」
「実はな・・」『・・なんと!』「そらホンマかサタンはん!」「そうそう、その呼び方が好きだぜ。だから
マジだって。」「・・えらいこっちゃ。」「だろ~。ならばこそ『ルシファー』が必要なのさ。」「・・ウチが行く!」
「なんだと!」「聞いてのとおり、コキュートスは絶対零度の地獄。そないな環境を踏破できるのはウチだけや。」
「俺は強制しないぜ。コトがコトだけに志願してもらわんと同行させられん。」「しかしサタン様!・・フェイ、
考え直せ。あそこは想像を絶する地獄だ。」「わかっとる・・やけど、ウチはこうやって静かに暮らしとるが、
お館はんやみんなはまだエデンで戦っとる。その助けになるのなら。」はっ。「・・そうだ、恩義に報いるは道だ。
俺とフェイがこうやって暮らせるのもタイタンたちのおかげ・・サタン様、私も同行します。コキュートスには
踏み込めないにしても、せめてそのとば口までお供いたしましょう。」「それで充分だ・・明日に出発する。」
第30夜「大文字送りの夜」 - 怨霊魔獣「呪羅」登場 -
京都。♪ゴォォ~ン・・ブロロロ。「ぐうっ!・・」「熱がひどいわ・・」「あと少しで着くから。」「ベルさん、
どこに向かってるんですか?」「一条戻橋よ。」『なんですと?』「イエティ、知ってる?」「は・・いささか。」
「ゴーガも知ってるのぉ?」【うむ・・まさかご存命なのか?】「・・陰陽師、阿部清明なら千年も前の人だね。」
「いいえ、今もその血は脈々と受け継がれているわ・・着いたわよ。」ブロロロ・・「・・この建物は?」
カラカラカラ。「・・何という霊気ですか、ここは。」「こんな高質の霊気帯は初めてね・・」「いかにも・・
四界にもこれほどの清浄な地は少ないですぞ。」「うわぁ・・こころが洗われるみたい。」【心なしかタイタン殿の
具合も落ち着いたようじゃな。】「スー・・」「・・環境だけでこんなに効くなんて、すごい。」「ベルさん、
いったいここはどこなの?」「国家機関よ。その名は『陰陽庁』。」『なんと!』「やはり陰陽寮ですか!」
「幕末まではそう呼ばれてたわね。」【むう・・現代まで生き残っておったか。】「日本に限らず、卜占は今でも
各国政府を影から支えているのよ・・一般に知られてないだけで。アメリカでさえ『アルカナ』の盟主、あの
『銀河の女帝』を大統領秘密顧問に据えてるのよ。」「へえ・・クレオさん、そんな仕事も・・?!」カツッ。
「エリス?」ぴたっ。「・・誰かいる。ものすごい力の人が。」『ゼロ部隊のみなさん、ようこそ陰陽庁へ。』
スゥ・・「・・巫女?」「は~・・キレイなひとぉ。」【じゃが・・なんという高い霊質と霊圧じゃ。】
「どなたですか?」「陰陽庁長官、土御門雅。兄がお世話になっています。」はっ!『雅焔先生の妹さん!』
「お話はナンバー6から聞いております。ただちに解毒呪に入りましょう。」すっ、ぱさっ。ぺたっ。「呪符?」
「?吉利吉利?吉利吉利・・」キィィィ・・「・・お札が黒く染まる?」【毒を吸い上げておるのじゃな・・】
「?!」バリッ!ボシュッ!・・「一瞬で燃え尽きた?!」「・・マスターの顔色が良くなりました!」
「これでもう安心です。あとは毒で衰弱した身体を清霊結界内にて回復させます。」パチン。・・タタタタ。
「結界の間へ。」『ははっ。』カラカラ・・「どのくらいかかりますか?」「ざっと三日。その間は何人も結界に
入ってはいけません。」「面会謝絶ですか。」「もし入れば結界は破れ、その反動で彼の命も無くなりますので。」
『!・・』「・・そんなにあぶなかったの?」「あと半日遅れたら、取り返しのつかない事態になってました。」
「そういえばナンバー6は?」「先にここへ来ていると思いましたが。」「亭主は別の任務で出かけたって
連絡が入ってるわ。」「珍しいですな、あの方がしばらく留守にするとは。」「まあいろいろあってね・・」
長官室。「京の銘茶です。」「あ、どうも。」「リューズちゃんには京菓子ね。」「お花の形してるんだぁー。」
「治療中は庁内の宿泊室をお使いください。そこらのホテルより居心地は保証します。」「雅さんはおいくつ?」
「お茶に砂糖は入れませんけど。」「そうじゃなくて、トシ。」「20歳。」『ええっ?!』「・・と言ったら
信じます?」くすっ。「・・ホントは?」「あら、本当に20歳ですよ。」「・・わたしより年上にみえるわ。」
「それは失礼ですぞ。アラクネどのは当年とって」「ウェブ!」バシッ!『モガモガ!』「精神年齢の話!でも
20歳で政府の重鎮だなんて・・」「なんの。雅さんは9歳のときに土御門家の当主を継承したのよ。」
「すごい・・優秀なんですね。」「他に候補がいなかっただけよ。」「はて、スジから言えば雅焔どのが跡目を
継ぐのが普通では。」「そのとおりね・・でも兄さんは家を捨てた。家や血筋でなく、自分の力だけで生きて
いくために。・・もっとも、私に跡目を継がせるためにわざとそうしたのはバレバレよ。大根役者なんだし。」
【貴女の潜在能力を早々に見抜いておったんじゃな。そしてそれは正しかった・・それが今の絶大な地位じゃ。】
「おんみょーちょーかんって、そんなにえらいの?」【ワシの知識が正しければ、その上にあるは帝だけじゃな。
実質上の帝の代行として影の国政を取り仕切り、総理さえも指揮下に置くまさに最高権力・・そうじゃな?】
「否定はしませんけどね。」ふっ。・・ぴくっ。「なに?」「・・どうやら十二神が都に入ってきたようです。」
『なにっ?!』「都を囲む結界が感知しました。この気から・・二柱ですね。」「二柱・・誰と誰かしら。」
ピッ♪「天分室、解析できましたか?」『ただいま。結果をアップロードします。』「メインスクリーンに。」
ぱっ。「どちらも精霊強度が高いですね・・ひとつは水の属性で男性型、もうひとつは光の属性の女性型です。」
ぎょっ!「わかった!大海神ボスタングと綺羅よ!」「師匠が!・・」「・・まさかアレに手を出すのでは。」
本能寺。「ここか綺羅、魔獣が封じられておる地は。」「ええボスタング。ここで何があったかはご存知ですよね。」
「むろん。戦国の覇王・織田信長が裏切りにより殺されたその地じゃな。」「歴史の本ではね。」「なんじゃと?」
「事実はこう・・信長は全国制覇のため、ここに眠る魔獣を甦らせようとしたの。その絶大な力をもってすれば、
ものの数ヶ月で全国制覇はできたでしょうね。」「ほう・・だが事は成らなかった。」「そのとおり。もともと
京の都はその魔獣を封じるために作られた巨大な封印都市だったの。四方を霊山と二つの川で囲まれ、整然とした
街路は地脈を正しく通し巨大な檻となり、周囲に神社仏閣を建立しさらに封印力を高める。加えて年に一度の
五山の送り火でそれを維持させる・・まさに完璧な封印よ。」「そうか、信長は京を焼き払い、それらの封印を
破ることで魔獣を甦らせようとしたのか。」「しかしその計画は露見した・・封印を管理してきた朝廷の命を受け、
勤皇派の明智光秀は信長を討ったの。そういった真相を知らずにね・・それ以降、京に手を出す者はいなくなった。
太平洋戦争の際にもアメリカは爆撃を避けた・・封印が破れれば戦争どころではなくなることを知ってたから。」
「・・それほど強大な魔獣ということか。」「そう・・飛鳥の地で甦り、平城京を滅ぼし、より強い結界を作れる
この地で陰陽師によって再び封じられた怨霊魔獣『呪羅』・・千年の時を越え、甦らせましょう・・ふふっ。」
『呪羅?』「そんな魔獣が京に・・知らなかったわ。」「日本国の存亡に関わる千年の大秘事でしたから。」
「それならばこの京の魔法陣のような構成もうなずけますね。」「京だけじゃないけどね・・」ぼそっ。
「ベルさん、なにか?」「いえ、ひとりごと。・・困ったわね。タイタンは絶対安静、『四魁閃』はチベットに
出現した小魔獣を倒しに向かってもらったし。」「櫻華たち来ないの?!だーっ!サイアク~!」ばたっ。
「・・ここのところ増えたね。」「秘密部隊もてんてこまいなの。手に負えない大魔獣と十二神はこちらだけど。」
「しかしいかにも戦力不足ですな。」「リューズちゃんに主力になってもらうしかないかな・・」はぐはぐ。
【タイタンどのが復帰するまではしょうがないのう。】「お菓子おかわりぃ。」「私のあげるわ。」すいっ。
「私もお手伝いします。」『雅さん?』「呪羅とは浅からぬ因縁がありますので・・」ピッ♪「法印部を。」
『法印部長です。』「五山の送り火、どのくらいで焚けます?」『三時間あれば。』「ただちにかかって。」
『かしこまりました。』「龍力部、弐式戦術式神『占庚者』を召喚しますので地の竜脈を開けておいてください。」
「何をしようとしてるの?」「いい機会ですので千年の憂いをいまこそ破戒し、完全に封滅させてやりましょう。」
京都タワー。ゴォォォ・・「ここからなら京の街が見渡せるわ・・」ぴく。「来たわね・・」ふふっ。ザッ!
「見つけたわ綺羅。」くるっ。「よくここだとわかったわね。」「綺羅さまの性格ならばとこのタワーに目を
つけたのは正解でした。」「街を精霊核で破壊し呪羅の封印を解くつもりでしょうけど、そうはさせないわ。」
「かつての主人であらせられました綺羅様ですが、容赦しませぬぞ。」「あらこわい。」「・・きら。」ざっ。
「ん?・・あなたがリューズね。ひさしぶり。」ふるふる。「にどとあいたくなかったよ。」【さもありなん。】
「何か因縁でも?」「むかしからこいこいってうるさいんだよぉ。」【七鎧聖のプライドというものがあるしの。】
「私のとこに来ない?精霊界一の『秘密の花園』を領地にあげるから。」「やだ。きらのせわになりたくないよ。」
【綺羅どの、まだリューズに未練があるのか。】「そうよ。私はシカンナとちがって美しいものは守る主義だから。」
「なら京の街を破壊するのは美学に反するんじゃないの。」「そのとおり。だから破壊するのは私じゃないの。」
?・・はっ?!『しまった!』「師匠がいません!」「いったいどこへ?・・」ドオォォーン!・・「爆発?」
「あそこは本能寺です!」「ボスタング殿はあそこでしたか。」「綺羅!あんたはじめから陽動で!・・いない?!」
はっ!「いつの間に?!」『私の仕事はこれで終わりなの。じゃあまたね♪・・』「・・やられましたな。」
「とにかく急いで本能寺へ行きましょう。」「雅さんの迎撃策の準備が整うまでは、こちらで抑えませんとね。」
「アラクネおねいちゃん、ここから糸を使ったら?」「おっ、それナイスアイデア。距離・・よし。せーの!」
ピイイイイイーッ!・・ぐいぐい。「みんなつかまって。」「だいじょうぶですか?」「いささか不安ですな。」
本能寺。「うわはははは!いかな強力な結界でも必ず要となる点がある。そこさえ叩けば強力であるほどもろい。
それが本能寺の地下にあったとはな。さすがは覇王信長、目のつけどころが違うわ!」・・ズズズズズ!
「さあよみがえれ呪羅!千年の恨みを込めて立ち上がるのじゃ!」ゴバアアアアアーッ!ウオオオオオーン!
シャアアアアーッ!「あれは!」ウオオオーン・・「あれが・・呪羅!」「四足獣タイプですか・・しかしなんと
いう体色でしょうか。」「まるで闇をかためたようだねぇ。」【闇の魔獣・・むっ、あの青白い光はなんじゃ?】
シュルルル・・「・・光の触手?」「市民のほうへ!・・えっ?!」ウアァァァ・・「これは・・触れもしないのに
人々の身体から白いものが抜けていきますぞ!」スゥゥゥ・・「光がどんどん触手に吸いとられてるよぉ!」
【・・そうか!ありゃエクトプラズムじゃ!】『えっ?!』【呪羅はあの触手で霊体を奪い、喰らうんじゃ・・】
「着地するわよ!」ザザザザーッ!すっく。「予定では雅さんの準備が整うまであと30分。それまでみんなで
包囲して呪羅の行動範囲を最小限に抑えるわよ。フォーメーション『四方相克』で散開!」『おおっ!』シャッ!
ズーン!ズーン!『そこまでです、呪羅!』ゴバアアアッ!アエエエーン!オォォォーン・・シュルルル・・
『吸霊触手ですか。ならば!』くるっ、ジャッ!『スケイルショット!』シュバババッ!ズパパパーン!
ドカドカドカッ!オォォォーン!『ぼくの鱗は手裏剣になります・・むっ?』ズズズズ・・『触手が・・復元?!』
シュルルル!ズボオッ!『ぐっ!・・しまった、右手に!』ズズズズ・・『霊力が・・吸われる!』グラッ・・
『リヴィ殿、いまお助けしますぞ!』・・グワアアアッ!オオオオーッ!ドンドンドン!『・・イエティ!』
『レンの凍てつく風でございます。』ビュオオオオーッ!ピキピキ・・『触手が凍った・・くっ!』ズボオッ!
『はあっ、はあっ・・あぶなかった。あと少しで霊力を吸い尽くされるところでした。』『手強いですな。』
シュルルルル!『また来ます!』『まかせて。蝶力招来!』ピカアッ!・・バサアアアーッ!『リューズ!』
『虹鱗粉!』バサバサッ!キラキラ・・ぺたぺたぺたっ。『これで吸霊触手を一時的に封じられます。』
ボコボコッ!シュルルル!『呪羅の背中から新たな触手が!』『なんという数ですか!』『まだこんなに?!』
『ストリングスライサー!』シュバッ!ズパパパパーン!『アラクネ!』ガシュウウ!『お待たせ。総攻撃よ!』
「むっ?・・リヴィたちか。ちょうどよい、返り討ちにして・・?!」びくうっ!「・・なんじゃ、この気は!」
サクサク・・「・・女?」サクサク・・『大海神ボスタングですね。』「何やつ!」ザッ。「陰陽師・土御門雅。
呪羅をたたき起こしてくれたことには感謝しますわ。」「・・なに?」「これでついに滅殺できますから。」ギン!
「むうっ?!」「その用意が整うまで、あなたに前座を務めていただきますね♪」・・ぴしぃっ!(青スジ)
「人間ごときが不敬な!神罰を与えてくれるわ!」さっ。バン!ブシャアアアーッ!「あら、手洗いの水道を。」
「鋼をも穿つ水飛沫、アクアマグナム!」シュバババッ!バコバコバコッ!「ハチの巣じゃ!・・なに?!」
ペラッ、ぺらぺら・・「紙じゃと?!」「見抜けないとは拍子抜けですね。」はっ!ばばっ!「・・式神か!」
「陰陽術では基礎の基礎、このくらいもわからないようでは神が聞いてあきれます・・反撃いきますわよ。」
フワッ・・「・・玉?」「由良由良都、古留部。」ヒュババババッ!「なんとおっ!」バゴバゴバゴッ!
「おぶぅわっ!」ズダダダーン!「いかが?土御門流・五月雨。」「バカな・・神に物理攻撃は効かぬはず!」
ググッ・・「物理?これちゃんとした霊的攻撃ですわよ。もっとも生身でもそりゃ痛いでしょうけどね。」
「おのれ・・神を本気で怒らせおったな!変形!」メキメキメキ!「あ、ひとつ言い忘れてましたけど。」
カアッ!『なにいっ?!・・巨大化できぬ!』「霊玉は封神結界にもなってましたって・・遅かったかしら♪」
『うぬう、これほどの術者がこの時代にまだおったとは!』「あら、昔からずっといましたわよ。」『・・なに?』
「かつてはこうも名乗ってました・・阿部清明と。」ぎょっ!『ま・・まさか「管理人」か!』「そのとおり。
前世の記憶を保ちつつ転生することを冥王ハデスに許されし者・・」ピピッ♪「はいもしもし。・・ごくろうさま。
では点火してください。」ピッ♪「用意が整いましたので、見物していてくださいね・・呪羅の最期を。」
シュルルルッ!ズパパパパッ!・・ズズズズ。『もう!いくら切っても復元するじゃない!』『きりがないですね。』
『これでは本体に攻撃できませんぞ。』『触手がジャマで、ゴーガスパイラルの有功射程距離にも入れないわ。』
ボボッ・・『なに?・・見て!』『・・山に火が?』『あちらにも!』『あそこにも!』【五つの山に火が?】
「これこそ『五山の送り火』よ。」はっ!『雅さん?それじゃ!』「皆さん、よくもちこたえてくれました。
おかげで呪羅を封滅する印が作れました。」『封滅・・どうやって?』「・・厭・蟄・罫・輜、急々如律令。」
ゴゴゴゴ・・『・・地響き?』『・・あっ!』ズズズズズ!『大文字の股から・・巨木が生えてきましたぞ!』
「『大』という字は手を広げた人。そして股から伸ばせば?」『・・そうか、「大」が「木」になりましたね。』
『なるほど、だからでっかいナニは「巨根」っていうのね♪』【こらこらアラクネ、そりゃちがうじゃろ。】
ズズズズ・・「御伐折羅悉達吽。我とともに万世を見つめし神木よ、いまこそ都の守護と成りたまえ。」
ボン!『大文字が巨大な星型に?!』【あれは五茫星、清明印じゃ!】「出でよ、弐式戦術式神『占庚者』!」
ドドドドド!・・ニュニュッ!『おおっ!』『巨木が五茫星に沿って変型しました!』『あれは・・手足?』
グググッ!・・ズズーン!『で・・でかい!200Mはありますぞ!』ズシーン!ズシーン!『こっちに来る?』
スウッ・・「あとはまかせて。」ひょい、ググウッ!スタッ。『雅さんを肩に?』ズシーン!ズシーン!
オォォォーン・・「ひさしぶりね呪羅。あなたには邪馬台国の頃からさんざか悩まされたけど、もういいかげん
このあたりで決着をつけましょう。」シュルルル・・「昔のようにはいきません。」バジィッ!プシュゥゥゥ・・
「占庚者の攻性結界はそれしきでは破れませんよ。攻撃開始。」さっ。グワアッ!ドゴオオン!『うわっ!』
ブワアッ!・・ドガガガガーッ!「・・なんてパンチなの?腕を振っただけで突風が!」(変身はすでに解除)
「呪羅が数区画も殴り飛ばされました!」「いやはや、列車砲なみの威力ですな。」「ケホケホ!ほこりが~。」
『おーい。』タタタタ・・「ベルさんとエリス?」「みんなごくろうさま。今回の任務は終わったようなものね。」
「そうね。あの大木巨人が出ちゃね~。」「・・木製の超巨大ロボットなんて、いかにも雅さんらしいね。」
ズシーン!ズシーン!「そのくらいでやられる呪羅じゃないでしょ?」・・グワアアアッ!オォォォーン・・
メコメコッ、シュルルルル!「無数の触手が!」ギリギリッ!バジバジバジ!「結界で燃やされても・・か。
根性は認めるけど、自殺行為というものよ。木槍。」ギュルルルッ、シャキーン!「右腕がクサビ状に?」
ブン!ドスウッ!オォォォーン!「霊気を食らいたいなら、たくさんあげるわ。」ギン!ゴオオオオーッ!
「・・ものすごく膨大な霊気が流れこんでる。」「エサあげてるの?」「いえ・・敵の能力を逆手にとってます。」
メコッ、メコメコメコッ!ムクムクッ!「呪羅が?!」「ふくらんてますぞ。」ムクムク・・「わ~、風船だぁ。」
【呪羅の許容限界を越えた霊気を強制的に流し込んでいるんじゃな。】「・・みんな、影に隠れたほうがいいよ。」
ささっ。「なんで?エリス。」ムクムク・・「そろそろね・・さよなら。」ボカアアアアーン!『うわっ!』
ビシャバシャバシャ!「うきゃ~!呪羅の肉片が~!」「くっさー!」「これはまいりましたな。」デロデロ・・
「ふえええ~ん!くさいよ、キモチわるいよ~!」【これは油断したわい。】「エリス~!そうならそうと
ハッキリ言いなさいよ~!ぺっぺっ!」・・ひょい。「そのつもりだったけど、ちょっと遅かったね・・」
陰陽庁。「あ~、えらい目にあった。」ガーッ。(ドライヤー)「ここにおフロと洗濯機があって助かりました。」
ごしごし。(バスタオル)「お気に入りのタキシードが台無しです。よい機会なので新調しましょう。」ぐーっ。
(コーヒー牛乳)「あう~、まだなんかにおう気がする~。」くんかくんか。【きれいに洗ったから心配ないぞい。】
「で、洗濯ものの代わりに貸してくれた服なんだけど・・」ばさっ。「・・なんで舞妓さんなんだろ?」
「京に舞妓さんは付き物です。」「あの~、ぼく男なんですけど・・」「リヴィくんのは私のシュミね♪」
「う~む、リヴィに女装させたら似合いそうとは思ってたけど・・」「・・まさかこれほど美少女でしたとは。」
ぺた。「ん?・・リューズ?」「リヴィおにーちゃん♪」すりすり。『あらら~・・』【ユリ専のリューズが
惚れ込むほどの女っぷりとはのう。】「・・あ。」くるっ。・・わなわな。(エリス・・面白くなったかも♪)
「さて、一郎さんが起きるまであと2日あるわね。どうする?」「それなんだけど、帰国している龍耶と朱音から
大阪で七鎧聖の気を感じたって連絡が入ってるの。」『おおさか?』「ついでに第三も別用でちょうど来てるわ。」
「あら、大阪で特殊効果の仕事でも入ったのかしら。」「副業関係らしいけど。」「副業・・ああ、あれですか。」
「ということは、また即売会ですかな。」ぴくっ!「みんな、いきましょう。」すっく。『エリス~・・』
アウターヘブン。「ボスタングが失踪?!」「まったくの行方不明なの。けっこう捜したけど、手がかりなし。」
「ちなみにあたしの作った精霊センサーでも反応なし。つまり完全に滅んだか、よほど優秀な結界に封じられたかの
どちらかでしょうね。」『だがボスタングほどの上級神を封じることは人間では不可能だ。となると前者か。』
「そうかもね・・」「・・どうした、綺羅。」「いえね、あの木製巨人のこと。どこかで聞いたような気が・・」
陰陽庁地下・封霊廓。「・・ご機嫌はいかがですか?」『いいわけないわい。』「でしょうね。ちなみにここの
封神結界はあなた用に調整して括ってますので、脱出は不可能です。」『わかっておる。さんざか試した・・
雅とやら、ぬしのいにしえの名、阿部清明だけではあるまい。』「おわかりですか?」『あの巨木人のことは
かつて大黒に聞いたことがある・・それを使って国を打ち立てたこともな。その国こそ・・あの邪馬台国。』
「木だけじゃありませんわ。土偶たちも貢献してくれました。」『・・やはり、卑弥呼か。』「さて・・」
『・・これからワシをどうする気じゃ。』「そうですね・・コトが片付くまでご蟄居くださればよいかと。」
『ふふ・・ミイラ取りがミイラになったか。』「なに、ほんの半年ほど。あっという間の休暇と思えば。」
「長官、お食事をお持ちしました。」「ありがと。さ、晩ごはんですよ。」すっ。『む、神前料理か。』
「伝統にのっとった素材と調理法を施してあります。これならお口に合うかと。」『・・いただこう。』
魔界辺境・地獄圏。ズズズズ・・「地獄ってこんなとこやったんか・・」「いわば北極圏の火山帯だな。あの山が
地獄火山群の中心を成すコルドロインだ。」ズズズズ・・「お~、えらい極端なコニーデ型や。よう崩れんな。」
「標高はさほどではないが、山裾が急なので火口まで登れたものはさすがにおらん。」「まさに炎の塔やな・・」
「サタン様、この先は溶岩流だらけなのでメガテリウムでも行けません。」「フェイがいるじゃないか。」
「ええで。はあああーっ!」ボオオオオーン!テケレリリリ!『さ、足につかまったり。』「いいぜ。」
バサアアアーッ!『どっちへ飛べばええんや。』「あっちだ。」ゴオオオーッ・・『さて次は何があるか・・』
♪絵に描いたモチというけれど 絵空事は現実にもなる
♪虚空画聖の作品は 現実を超える魔の画
♪三つでひとつ 一人が三人 ペンはホントに強いから
♪「六つの魔手」が描くのは 光か 闇か 虚無なのか・・
地獄圏最下層・コキュートス。シーン・・「ダンテの話はホンマやったんやな・・めっちゃ静かやな、ここは。」
「瞑想するには最高だな。もっとも、そのまま凍死するのがオチだが。」「サタンはんもウチから半径5m以上
離れたら一瞬でそうなるで。」ボォォォ・・「歩くストーブがいて助かったぞ。」じろっ。「・・走るで。」
「ああっ、すいませんすいません!」ぷっ!「ぷははははっ!なかなかええ呼吸や。じゅうぶんマンザイできるで。」
「そうか?んー、フェイと組んでやってみるか。」「・・マジかや?」「おーまじ。」『・・わははははは!』
「・・この極寒地獄を笑いながら行くとは、さすがサタン様だ。フェイ、頼むぞ。必ずや伝説の武具を・・」
パオオオオーッ!「おっと、さしものマンモスもそろそろ限界か。では暖かい上層まで戻ろう。」ズシーン!
アウターヘブン。「残るは綺羅・ミカヅチ・フェルメールだけか・・」「自分も勘定に入れなさいね、ヴォーダン。」
『タイタンはいまだ安静中か。』「ちょっと厄介なところにいるから手出しも覗きもできないけどね。その代わり、
アラクネたちは別行動をとってるわ。」「へえ、それいいね。」「でしょ?」さっ、ボオッ。「ここ、大阪にね。」
「四神獣だけなら楽勝かな、ダーリン。」『そちらは妻にまかせよう。俺はタイタンをおびきだす。』ズシーン!
「今回の秘密部隊は比較的戦闘力の低い集団みたいだし、何とかなるかもしれないわね。」「それはいいね。
前みたくサタン一家が乱入しなければいけるよ。」『ここのところは姿を見せていないようだ。大丈夫だろう。』
紀州・根来の里。三牙将は砂風の実家であるここで、しばしの休養をとっていた。タイタンたちが関西方面に
長逗留することがわかり、下忍たちの里帰りも兼ねて。アテナとギネビアも久々の静かな時間を満喫している。
ザパァ・・「ふう・・いいものだ。」「露天風呂があるとはね~。」ピチャピチャ。「熱燗と付き出しです。」
「ごくろうユーディット。」「あなたも入りなさい。」「失礼します。」ザパァ・・「はいアテナ。」トクトク。
「返杯だ。」トクトク・・「ユーディも。」「おそれいります。」トクトク・・くいっ。『・・はぁぁ~。』
「朝湯に朝酒。身上つぶすのもあと一歩ね。」「私たちは小原庄助さんか。」「それは会津と学習しましたが。」
「しかしだ・・ユーディットはけっこうスタイルいいな。」「プロポーション黄金率で設定したからね。そういう
アテナはナチュラルでそれだけのプロポーション維持してるんだから。」「神の血ゆえだな。ギネビアもその気に
なればトップモデルも夢ではないぞ・・」ちらっ。「やーよ、太らないようサナダ虫を飼う気ないわ・・」くいっ。
「かしこまりました。」ザバァァ。「あちらですね。」ばっ。・・ぶぴいいいいーっ!「おー、赤い噴水。」
「こりない連中だ。」くすっ。「田舎は刺激が少ないからね~。」「?・・なんだかよくわかりません。」
湯上がりの居間。「若い者がまた来ておったか。あとで叱っておこう。」「いいのいいの。居候させてもらってる
ほんのお返しよ。」「ユーディットのおかげで実害は無いしな。」「特に気になりませんので。」「そうか・・
三人そろって田舎を楽しんでもらえてるようで何よりだ。」「ゆっくりさせてもらってる。」「長居して悪いわね。」
「二人とも大事な友、それを歓待するは当然でござる。ユーディットも家事を手伝ってもらい、深く感謝するぞ。」
「いえ、このくらいは何でもありません。」「砂風のいうとおり、京での騒動もあっさり決着したようだな。」
「都の守りは鉄壁でござる。ゆえに我らが出る必要なし。」「土御門雅か。さすがはオヤジお気にの『管理人』ね。」
「先の『銀河の女帝』もそうだが、サタンは人類を援助しているのか?」「植民地として保護していると解釈した
ほうがいいわ。とはいっても、きわめて穏やかな『植民』だけど。」「最近は人間のほうがより魔的かもしれぬな。」
「魔界から見れば噴飯ものね。本当の『魔』はもっと高貴で純粋なもの、エデンは比べ物にならないひどさよ。」
「たしかにな。戦争に独裁にテロ・・ヴォーダンの楽園復興の気概も理解できないこともない。」「人類から
言わせてもらえば、おおきなお世話。殺し合おうが滅ぼうが、すべて人類自身の責任でござる。神も魔もただ見て
おればよい。手を下さずとも人類は自ら清算する・・どんな形になろうともな。」「・・今の砂風と同じことを
考えたものが天界にいた。」「至高神デウス。エデン不干渉の掟がその発想のもとに設立したのは間違いないわね。」
「だが掟は破られた。十二神は言うに及ばず、タイタンたちの存在自体も掟破りだ。」「魔獣はその自主性を
破壊する要素ゆえ、デウスとやらも自ら定めた掟を破らざるをえなかった・・でござるな。」ふっ。「ご名答。」
シュタッ。「お頭、最新情報です・・」「・・ほう、大阪か。行くか?」「そろそろ根が生えそうになっていた。」
「ちょっとリハビリしなきゃね。ん~!」コキコキ。「ならば電車で。部下たちはいま少し休ませたいのでな。」
「いいだろう。家族は大事にしないとな。」「砂風もきれいな奥さんあんまし置いとくんじゃないわよ♪」
「若い娘を三人も連れてきては、いろいろあったのではないのか?」「いや、一人だと修羅場だがまとまると
そういう疑念は起きぬようだ。」「素朴な疑問です。若い娘は二人では?」『・・・・』「・・なぜ私を見る。」
第31夜「六つの魔手」 - 虚空画聖エル=ランジェロ 登場 -
大阪・道頓堀。『せーの、グOコの看板!』しゅたっ。すぱあああーん!x2「恥ずかしいですぞ。」「うーん、
イエティのツッコミは微妙になんかちがうのよね~。」「いまにしてみると、フェイのツッコミは絶妙でしたね。」
「グOコはおいしいよぉ。」もぐもぐ。【賑やかな街じゃの~。】ワイワイ。「・・ベルさん、これからは?」
「ここでファイアワークスのみんなと待ち合わせなんだけど・・まだ来てないみたいね。」『来れないそうだ。』
『ただいま追い込み中だって。』『・・えっ?』くるっ。『?!・・龍哉と朱音!』「ひさしぶりだ、みんな。」
「ディーネおねえちゃん!」「リューズも元気してた?」「でも・・なぜ二人がショウたちを知ってるの?」
「ナンバー6からもらった資料に電話帳があった。」「帰国したついでに地元の部隊へ挨拶でもと連絡とったら、
いろいろ教えてくれたの。最新状況も、ここの待ち合わせもね。」「で、追い込みとは?」「・・修羅場なんだね。
まだ本が出来てないんだよ。」「エリスくわしいな~。」「明日の当日までは忙しくて会えないって伝言だ。」
「しょうがないわね・・じゃあ食事でもしながら打ち合わせしましょうか。何にする?」『もちろんたこ焼き!』
たこ焼き屋。ハフハフ・・「あ、ジャンボ焼き三つ追加。」「カスタードクリーム焼き、もうひとつねぇ。」
「あいかわらずよく食べるわね~。」「おかげで国連からの予算のほとんどが食費になっちゃってるのよね。」
「ところで新たな七鎧聖のことだけど、何か最新情報は?」「誰なのかは見当がついた・・エル=ランジェロだ。」
ブーッ!「うわっ!きったな~!」「な、なんですってえ!」「虚空画聖ですか!」「これはまいりましたな。」
「あー、ランちゃんかぁ~。」【ガンコ者が現れおったな。】「あの、わかんないんだけど・・どういうこと?」
「虚空画聖エル=ランジェロ。七鎧聖のうちでもきわめて特殊な能力を持つ魔獣なの。」「そして性格もな。」
「・・能力って?」「絵、でございます。」『え?』「六本の腕で描いたものを具現化し、また写生を依代として
呪いをかけると伝えられてます。」「ホントだよ。ランちゃん絵がうまくて、絵から抜け出すんだよぉ。」
「と、知人が言ってるから間違いないみたいね。で、性格って?」【その絵じゃよ。絵を描くことがそやつの
最優先事項なのじゃ。】「それをジャマするものは無差別に排除する。神だろうが魔獣だろうが俺たちだろうが。」
「鋼鉄天使の軍団はそれをしたから一瞬にして全滅したのよね。描き写され、そして破り捨てられてね・・」
「・・同人誌即売会と虚空画聖、つながりはあるね。」はっ!「まさかそこに?!」「可能性は高いね・・」
「とにかく、明日にそこでファイアワークスと合流しましょう。二人は虚空画聖を見つけて。」『おっけい。』
その夜、御堂筋ホテル、リューズとアラクネの部屋。「す~。」「・・・・」カラン、ぐいーっ。「・・ふう。」
【眠れぬのか?アラクネどの。】ノロノロ・・「ゴーガ・・一郎さんの容態が気になってね。」【雅どのに任せて
おけば大丈夫じゃろう。】「それはわかってるんだけどね・・付き合う?」カラン。【その灰皿に入れてくだされ。】
チョロチョロ・・ノロノロ・・チュウチュウ。【よい酒じゃの。】「スクリュードライバー。オレンジジュース
入ってるから飲みやすいでしょ。」【・・ひとつ質問があるのじゃが。】「なに?」【なぜに七鎧聖である我らを
仲間に?】「・・さあ?なんでだろ。」【おいおい。】「正直、考えたこともなかったわ。まあいいんじゃない?」
【わからぬ。】「ん~・・しいていうなら、うちの良い意味のいいかげんさかな。」【どういう意味じゃ?】
「神だろうが人だろうが魔獣だろうが、そんなことはどうでもいい。ただ信頼できる仲間というだけでじゅうぶん。」
【信頼を裏切るかもしれぬぞ。】「そうかしら・・ほら。」【む?】「す~・・」「このリューズちゃんの無垢な
寝顔を見なさい。これ以上に信ずるに足るものってある?」【・・よくわかった。】チュウチュウ。【うい~、
けっこう効くぞい。】「もう一杯いかが?」チョロチョロ。【美人の酌で飲めるのは悪くないのう・・ヒック。】
同じころ、京都・陰陽庁。「・・むっ?」ぱちっ。「予想どおり目覚めましたね。」「・・君は?そしてここは?」
「かくかくしかじか。」「そうか・・雅焔先生の。みんなは大阪か。」「事態が動くのは明日になりますので、
今夜はこちらで。」「そうしよう。世話になる。」「ひとつお願いがあるのですが。」「俺にできることなら。」
シュルッ・・ぱさっ。「おい・・まさか。」「あなたの種を宿させてください。」「・・わかってると思うが、
神人混血は」「その力に比して苦しむ・・よくわかってますわ。なぜなら、かつての私もそうでしたから。」
「なに?」ぐいっ、どさっ。「それでもなお、『管理人』の任を引き継ぐには神の血を入れるほうがよいのです。」
「そうか・・君は『管理人』か。だが一晩で?」「じゅうぶんですわ。いっぱいくだされば・・」『・・・・』
早朝、インテックス大阪。「ふわぁぁぁ~。」「ねむいよぉ~。」「なんでこんなに早くに出なきゃ・・ええっ?!」
ガヤガヤ。「なんですかこの行列は。」「入場待ち。だからこの時間じゃないと入れないのよ。」「・・基本だね。」
「開館は10時でしょ。なんで4時間も前から・・」「これでもゆっくりしてたほうだよ・・先頭は夜明けだし。」
【わからぬ・・なぜにこれほどに。】「説明しても理解できないだろうから・・パス。」「まあ、そうかもね。」
「・・あっ、いたいた。」『えっ?』「あ、叡智くんじゃん。」「おはようございます。みなさんこちらへ。」
ガヤガヤ。「ここは?」「出展者入場口です。僕たちはこちらから入れますので。」『・・おー、こっちだ。』
「いたいた、ファイアワークスのみんな。」『おはようございまーす。』「昨日は失礼した。校了予定が大幅に
遅延しておったのでな。」「あー、みなさん顔が煤けてますね。徹夜でしたか?」「ざっと三日寝てないの。」
『三日?!』「でも叡智くんのスタミナ料理でそんなに疲れてないですよ。」「くわえて社長に教わったヨガの
睡眠術で1日1分は熟睡しとったさかい。」「あたしゃしっかり7時間寝てたけどね~。」『手伝ってないから!』
「で、できたので?」「うむ!『ダンテ』の印刷機でつい今しがた刷り上がったところだ。」「んなもんまで・・」
『・・あ、いたいた!おーい!』『えっ?』タタタタ・・「ショウ!ダンテの印刷機貸して!」「お願いですー!」
「おお、これは我らがライバル『虚空画聖』の諸君ではないか。」ぎょっ!『虚空画聖?!』「なんですか?」
「そ、その名前って!・・」「サークル名ですけど。」「んなことどうでもいーから!」「時間がもうないのー!」
「敵に塩を送るも一興。サリーくん、案内してあげたまえ。」「はい社長。ダンテはこっちですよ。」「さんきゅ!」
タタタタ・・「〆切り優等生の『虚空画聖』が修羅場るのは珍しいですね。」「商業誌の読み切りが思いのほかに
手間取って、さっきまで書いてたの・・」「えっ?・・もしかしてプロの方?」「そやでエリスはん。これでも
いま一番の売れっ子なんやで。」「それでも初心を忘れないように同人も続けてるのは見上げた心意気だね。」
「ハルカちゃん間に合うかなー・・」そわそわ。「カナタちゃん、ダンテの印刷機は速いから心配しないで。」
「ところでマキョウはどうしたか?」「あれ?・・いっしょに来たはずなんだけど・・あ、いた。」ぶつぶつ・・
「ありゃ、またやってる。」サラサラ・・「・・根元にからみつく黒髪の感触に少年はあえぎ、たまらずOO内に
大量のOOをぶちまけた・・いいわ。ふふふ・・」『うわ・・;;一o一)』「なんかマジでヤバい人ですね・・」
「マキョウちゃん、ここじゃ犯罪になるってば。」「・・あ、そうか。ついつい・・セーブ・・」ぱたん。くい。
『おお・・』「これは・・なかなかの美女ね。」「プロポーションもなかなかですぞ。」「でも今のは・・?」
「あいからわず筆が走るようで息災だ。」「次のネット投稿小説の構想がふつふつと沸き上がってきたの・・」
「小説家さん?」「マキョウちゃんはサークルのコンテ担当で、また有名なネットえろ小説家なんですよー。」
ぴくうっ。「ちょっと、あなた・・」「・・え?」『・・エリス?』「いいわ・・その天性のえろオーラ。」
『ええっ?』「ちょっと待ってください。えろオーラならアラクネの方が」ごすっ!「なによそれわ!」
「いえ・・そっちのはもう熟しきっててクロウトさん向け。一般読者にはこっちの発展途上のほうがいいの・・
イメージたぎってきたわ。」ぱかっ、さらさら・・「・・『白い蟲惑』?アイデア代もらおうかな・・」
「簡単に紹介しておこう。こっちは吾輩らの友人一同、こっちがサークル『虚空画聖』の面々だ。」『簡単すぎ!』
「そうですかー。わたしが仕上げ担当の地平カナタ、さっきのが下書き担当でリーダーの天空ハルカちゃんですー。」
「そして私が人外マキョウ・・」「変な名前ね。」「・・ペンネームだね。」「で、そのサークル名はどうして?」
『・・?』「あの、ご質問の意味がわかりませんけど。」「どうしてと言われてもね・・なんとなく付けたし。」
「質問を変えましょう。付けたのはどなたですか?」『三人で。』「・・えっ?」「さらに質問でございます。
天震鎧姫ゲッツェンディーネ、金眼念聖ザ・カートカ、百獣鎧王ガルガライ、戯蟲聖女リューズ・ヲルム。
以上の名に聞き覚えはございますか?」『いいえ。』「・・左様ですか。失礼いたしました。」すっ。
「ショウくん、何の話?」「わけわかんないけど・・」「まあヴォークト・カンプフ試験みたいなものだな。」
「あー、瞳孔の動きを見てたんですね。」「なら、いなり寿司を四つちょうだい・・」「二つでじゅうぶんですよ。」
(お二人はどうも違うようですな。)(ハルカってのが本ボシかな?)(リーダーですしね・・あ。)カラカラ。
「印刷と製本完了だ!」「間に合ったよー!」「さすがに速いわ・・」「カートはうちのブースまで戻しておいて
くださいね。」『いまから開場でーす!』『おっしゃ!』「いろいろありがとうございました!」ぺこっ。
『ありがとうございましたー!』ぺこり。「それ、ブース設営いそげー!」『おー!』カラカラカラ!・・
「へえ・・いまどき珍しい礼儀をわきまえた子たちじゃない。」「いかにも。若者の人心乱れつつある昨今では
かなり貴重な存在といえよう。」「ハルカはん、けっこう苦労人やったしな。」「愛美ちゃん知ってるの?」
「売れる前は家が貧乏で、小さいころからバイトとかで家計を助けとったそうや。」「同人から人気を上げて
商業誌デビュー作がミリオンセラー。それで莫大な印税が入ったから、苦労して育ててくれた両親に大きな家を
買ってあげたそうですよ。」『へ~。』「たいした孝行娘でございますな。」「あれ?・・ヒット作なら私も
たいてい知ってるはずだけど・・」「エリスはん、エロマンガ雑誌まではさすがに見んやろ。」「・・ああ。」
「エロマンガの世界はさしものウチも怖くて踏み込めんのや・・ハマったら底無し沼ちゅーて聞くしな。」
「うんうん、それはそうだね。ちょっと立ち読みしただけでもすごいのあるもんな~。」「・・エーちゃん、
そんなの立ち読みしてるの?」「・・ああっ!」ゴゴゴゴ・・「フケツよー!」どばぎーん!『あーあ・・』
「でも虚空画聖のエロマンガはひと味ちがいますよ。ほら、さっき刷り上がった新作です。」ぱらぱら・・
『うわ~。』「すごいわ・・ほとんどモロ出ししてないのにこのエロさ。」「絵も構成もうまいですね・・」
「ほう、見せないエロのワビサビがよくわかってらっしゃる。若いのにお見事です。」「は~、どうやったら
こういうネタ思いつくのかしら。」「幻想的なシチュエーションが得意なようだな。これなら人気でそうだ。」
じーっ・・「・・あ。」「エリス?」「・・ちょっとお手洗い。」ひょこひょこ・・「・・濡れちゃったのね。」
「で、誰が七鎧聖かわかった?」「ハルカかなと思ったんだけど・・今のでまたわからなくなったわ。」
「天震鎧姫のお二人は、あの三人のうち誰がそうなのかわかりませんか?」「う~ん・・それなんだけど。」
「確かにあの三人のうちにいる、とまではわかるんだが・・」「なぜか気配が一人に集中しないのよね。」
「リューズちゃんとゴーガは?」「んー・・よくわかんない。」【どうもいま一つはっきりせんのう。】
「もう少し様子を見てみましょう。観察していれば何か見えるかもしれません。」「それしかないようですな。」
ホール内。ザワザワ。「設営よし。あとは客の入場を待つだけだな。」「虚空画聖はお隣さんか・・」ちらっ。
「マキョウ、スケブ用の電子パレットの準備は?」「私のプッシーちゃんはいつでもウェルカムよ・・」ずでーん!
「ほら、変な愛称付けるもんだから、お隣さんがコケてるよー。」「自分の愛器にどんな名前付けようが勝手よ・・」
「漢字変換がちがーう!『器』じゃなくて『機』でしょ!」「もー、マキョウちゃんエロ好きなんだからー。」
『あいたたた・・』「なかなか難儀なキャラのようですな。」「ちょっとリューズ、エル=ランジェロってあんなの?」
「絵はむかしのまんまだねぇ。好みはよくわかんないけどぉ。」【少なくともエロは描いておらなんだと思うが。】
「おお、忘れておった。ハルカ、うちの新刊である。」どさっ。「さんきゅ、ショウ。どれどれ・・」ぱらぱら・・
「へえ・・エーちゃんまたうまくなったね。これならプロもいけるかも。」「うーん、メカ描写は書き込みが
まだまだかなー。」「メカ描き名人のカナタさんと比較しないでくださいよ。」「・・えろの練り込みが薄いわ。
このシチュはこうしないと。」サラサラッ・・「こんな風に。」さっ。「ん~?・・?!」どばぶーっ!(鼻血)
「きゃーっ!エーちゃん!」「さすがはマキョウ。というより叡智の修行がまだ足りんな。」「マキョウさん!
いったいどんなの見せたんです!」「こんなの。」さっ。「・・あ。」タタタタ・・「・・かがりちゃんもか。」
「うわ・・コンテの走り描きだけでもこんなにすごいんですか・・」はぁはぁ・・「・・リヴィも拭いてくる?」
「ああ、白いほうですね。」「みなさんお若くて結構ですな。」「なんの話ぃ?」【知らんでええんじゃ。】
『出展者のみなさまへ連絡しまーす。まもなく一般のお客様の入場を開始しまーす。戦闘よーい!』オオーッ!
御堂筋。ガヤガヤ・・「ここで乗り換えか。雅に路順を書いてもらって助かったぞ。」『・・おーい!』
「なんだ?」タタタタ・・「おっ、三牙将か。」「もう完治されたか。」「こんなところで会うとはな。」
「あたしたちも会場へ向かうとこだったの。・・ん?」くんくん。「どうしたギネビア?」「・・この色男。」
「どういう意味でござる?」「極上の香の匂いがするの。」「香水?」「じゃなくて、香。日本古来のね。」
「・・ということは?」「今どきこんな香を使う女性は一人しかいないわ・・陰陽庁長官、土御門雅だけ。」
「知りあいか?」「ちょっとね。で、せがまれたんでしょ?」「・・まあな。」「何の話だ?」「つまりね・・」
『・・なにっ!』「ほ、本当かタイタン!」「世話になったしな。」「・・京に行く!」『おいおいおい!』
「なに熱くなってんのよアテナ。」「ただごとでない血相でござるな。」「あたりまえだ!・・あんな思いは
私だけでいい・・」『ああ・・』「そういうことか・・」「神人混血がどんな生き地獄なのか、私はいやと
いうほど見てきた。人間の愚かさも醜さも。」『そして美しさと愛おしさも、でしょ?』はっ!・・ばばっ!
「京まで来る必要はありませんよ。」「雅?!」「な、なんでここに?!」「簡単なことです・・あなたたち
三牙将にお会いしたくて。」「これは土御門の姫巫女、おひさしゅう。」「根来の砂風さまもお元気そうで。
ギネビアも大阪万博からこっち、とんとご無沙汰でしたね。」「いろいろ忙しくてね。」「・・キサマが雅か。」
「いかにも。あなたがアテナですね。」「ひとつだけ聞きたい。・・神の子を生むのか。」「もちろんです。
昨夜にいただいた神の種は、しっかりと私の中に根付き、育まれています・・」すっ・・むかあっ!ビュオッ!
すっ、ぴたっ。『あっ!』「?!・・私の斬撃を指二本で!」「但馬守の不肖の息子ほどではないですね。」
「・・そうか、キサマも。」すっ、カチン。「ただの人間ですよ・・少なくとも寿命だけは。」「なるほど。」
「そこであなたたち、特にアテナにお願いがあります。」『え?』「私の子の後見人になってもらえませんか。」
「なんと。」「は~、その手があったわね。」「・・どういうつもりだ?」「永劫の苦しみを知るあなたこそ、
導き手にふさわしいです。男児ならば添い遂げていただければなおよし。」「・・気の早い申し入れだな。」
「予約、と思ってください。」「面白い。では十月十日後を楽しみにしよう。」「あっさり受けちゃうのね。」
「何か目標があれば、それだけ生きるのが楽しくなるものでござる。」「父親としては複雑な心境だぞ・・」
会場。ワイワイ・・「新刊全部ですね。ありがとうございまーす。」「スケブの方はこっち並んでやー!」
「あいかわらずよく売れてるわね。」「本業こちらにしようかという話もあるんですよ。」「今回も新刊が
目白押しですね。」「・・お隣さんもすごいよ。」「すみませーん!新刊『淫蘭の園』は五千部完売ですー!」
「『黒い森の秘蜜』、もうすぐ売り切れ・・」サラサラッ。「スケッチよし。彩色!」ピッ♪ぱぱぱぱっ。
「スケブCG新作、発信しますよー!一部200円、メルアドは正確に!」「電子パレットとはすごいですな。」
「電子ペンでスケッチして、瞬時に彩色までできちゃうんだ。」「しかもメール発信とは。ここまできたか。」
「いずれはネット上で即売会が行われ、電子同人誌が飛び交うことになるだろう。」「社長、そらちゃうで。
即売会は作家とお客はんが直に向かい合うところに意味があるんや。どんなにIT化が進んでも、これだけは
ぜったいマネできんのや。」「マイ同志愛美の言い分ももっとも。マンツーマンが同人の基本、ベーシック。
手作り直売という人間のプライマルに根ざしているからこそ、同人は太く永く生き続けていけるのだ。」
「それについてはうちも全面賛成ね。プロでちょっと売れて、お客よりも編集しか見えなくなって、ずるずると
つぶれていく輩はいっぱいいるからね。やっぱ読者とのガチンコの初心を忘れちゃあ。」「そのとおり!ハルカは
そこのところがよくわかっておるからこそ、メジャーにおもねず同人も続けておる。初心忘るるべからず。」
ザッ。「へえ、こんな面白いところがあるんだ。人も多いし、楽しい仕事になりそう・・さてと。」コトッ。
パチパチン、ぱかっ。「次元工作器、起動。」ヴン・・「空間リフォーム作業開始。この規模なら数十分かな。」
「おっと、そろそろコスプレタイムね。カナタ、マキョウ。」「ほいほい。」「イッツ、ショータイム・・」
ザッ。「なに?」「まあ見ておれ。」「いくよ。せーの!」くるっ、ババッ!『おおっ!』「ええっ?!」
『帝国海軍・霊紋(れもん)隊!』びしっ!オオーッ!パチパチパチ!「すごい!瞬時に三人とも着替えてます!」
「サークル『虚空画聖』名物、瞬転コスプレである。」「いつ見てもすごいマジックですね。」「・・手品なの?」
「つぎ!」くるっ、ババッ!『魔法拳士・プリウス!』ジャキーン!オオーッ!「また変わりましたぞ。」
「まったく違う衣装で、武器までどこから?」「やっぱすごいよなー。」「大阪の即売会はこれが楽しみなのよね。」
「ほんと神業だね。プロのマジシャン顔負けだわ。」「虚空画聖が関西一なんは、このイベントもあるからやで。」
「・・おい朱音、あれって。」「ええ・・魔獣の力ね。」『えっ?!』「むかしよくやったねぇ。絵に描いた
あたしにいろんな衣装を描いて着せてくれたねぇ。」「描いて・・着せた?」「言ったでしょ。エル=ランジェロの
絵はそのまま『現実』になるの。」「あれはその応用で、おそらくあの電子パレットに自分たちの肖像を登録し、
それに別に描いた衣装CGをプログラムで着せてるんだろうな。」【CGまで操るようになったとはのう・・】
「・・ということは、電子パレットの所有者であるマキョウかな?」「いえ、デッサンの確かなハルカさんかも。」
「緻密な仕上げのカナタさまというセンも。」「みんなじゃないのぉ?」『えっ?』「ディーネおねいちゃんが
二つになったんだから、三つになってもおかしくないよぉ。」「それはやむをえない事情で分かれたんであって、
最初からじゃないのよ。」「・・いや、今のリューズの意見が正解かもしれん。思い出せ、エル=ランジェロは
もともと六本の手を持っていた。だが人間の手は二本しかない。」はっ。『三人で六本。三身一体か・・』
「考えてみれば・・三人とも役割分担が決まってるね。コンテ・作画・仕上げ。どれが欠けても作品はできない。」
【どうやらそのセンじゃの。しかし・・まだ覚醒しておらんのかの?】「とぼけてるだけかもしれないわね。」
「朱音?」「エル=ランジェロの性格を考えると、絵、すなわちマンガを描くことが最優先事項よ。七鎧聖も魔獣も
二の次、いえ、眼中にもない。おそらく煩わしいだけでしょうね。だから覚醒しててもシカトを決め込んだ・・」
「エルちゃんワガママだしねぇ。」「・・?!」ぴくっ。「・・エリス、魔獣?」「いえ・・でも厭な気が。」
「十二神?」「・・かもしれない。でもこの中にはいない・・」「・・こちらも神気は感じないわね。」
ふたたび道頓堀。「さて、会場へ向かいましょうか。」「なぜ雅まで?」「本を買いに。」「お前もか・・」
「うちはユーディットに先行してもらってるから。」「・・その間に何を?」ちらっ。「・・食い倒れか。」
「あ、そーだ。私の分も買っておいていただけません?」「いーわよ。ケータイで指示するから。どれにする?」
ぱらぱら。(ガイドブック)「これとこれとこれ。」「おっけい。」じゃらっ。「うわ、ハデな携帯だ。」ピッ♪
「・・あ、ユーディ?追加注文だけど・・そう、んじゃよろしく~。」ピッ♪「これでいいわ・・?!」びくうっ!
はっ!『この神気は!』・・ゴオオオーッ!ドドオオオーン!『うわっ!』ブオオオッ!「大阪城に落ちたわ!」
「・・機の属性、男性型ね。」「・・あの巨大な影は!」ゴゴゴゴ・・ムクッ。「やはり・・機神ミカヅチ!」
ググッ!『・・タイタン、俺は来たぞ。』「よかろう、今日こそ決着をつけてやる。」「拙者らは会場へ。」
「ミカヅチが来たとなれば、おそらくフェルメールの手がまわってるはずだ。」「お仲間はもちろん、うちの
ユーディも助けなきゃね。」「私も同行しましょう。」「たのむぞ。・・変神!」グッ、ピキィィーン!・・
シュバアアアーッ!『むん!』ブオッ!ドドーン!・・『ミカヅチ、待たせたな。』『なんの。・・イージスが
無い分はどうする?』『気にするな。もともとお前の攻撃を防ぎきれるものでもない。』『よかろう。いざ勝負!』
『会場の皆さんにお知らせします。ただいま大阪城公園に謎の巨大ロボットと巨人が出現。戦闘状態に入りました。』
「なんですって!」「マスター、いつの間に大阪に?!」「相手はミカヅチ殿のようですな。」「行くのぉ?」
【急いで合流せねば。】「ミカヅチか・・相手にとって不足なし。」「素手で巨大ロボット撃破、やってみよ。」
「じゃあ私たちは行くから。」ダダッ!「うむ。健闘を祈・・?!」ピン!「待て!」『えっ?』ぴたっ。
ゴオッ!ドシャアアアーン!『うわっ!』キャアアーッ!ゴォォォ・・「・・天井の照明が落ちてきた?!」
「なんだ?!」「事故なの?」ザワザワ・・「いったい何が?・・ん?」カサカサ・・「なに?・・本が?」
バサササッ!ザキイッ!『うわあっ!』ユラ・・ブシャアッ!『きゃあああーっ!』「い・・いま本が飛んで・・
刃物のようにその子の顔に!」ガクガク!「みんな動くな!・・もはや遅い。」「・・しまった!フェルメールね!」
「そのようだ・・すでにこの会場はまるごとミステリーゾーンと化している。本が牙を剥き、照明がおしつぶす。」
『えー、ご来場のみなさん。ただいまより本日のメインイベント『サバイバー』を開催しまーす。』ぎょっ!
「あのアナウンスはフェルメール!」『ルールは簡単。みんな死ねばゲームオーバー、生きて会場を出れれば
めでたくクリアー。それでははりきって、アッレ・ジェノサーイド!』バサササッ!「本が!」「みんな伏せろ!」
ズバドシャブシャアッ!『ぎゃあああーっ!』ドガシャアアーン!『ぐわあああーっ!』『逃げろーっ!』
ドドドドッ!「いけない!いま動いたら」「ムダだ。・・パニックになっている。」ガタン、ガタガタ・・
『・・デスクが?!』ダーン!ガゴオッ!「ぐはっ!」「ぎゃあっ!」「・・四足獣のように人を襲ってる!」
「机のカドを角のようにして!・・」「あのスピードだと骨まで砕きますわ・・」「まるでヘルハウスや・・」
つかつか・・「・・あれ?平気で歩いてる人がいるよぉ。」【この地獄の中をか?】「えっ?・・あれは?!」
「・・」バサササッ!ザキザキザキィッ!「本の群れが!」「あれじゃズタズタよ・・なっ!」ぐっ、ズボッ!
ぱんぱん、ドサドサッ!「私に刃物は無意味です。」「やっぱり・・ユーディット!」ぴく。「発見しました。」
「どうしてここに?」「目的はいくつかありましたが、状況が変化しましたので皆さんを捜してました。」
プルルル♪「ケータイ?」ピッ♪「もしもし。・・はい、状況は最悪です。脱出はきわめて困難かと。」
「だれ?」「マスターです。」「ちょっと貸して。・・ギネビア?そう、アラクネよ。状況を説明するわ・・」
会場入り口。「・・わかった、こちらは外から攻めるわ。じゃ。」ピッ♪「中は戦場さながらの惨状よ。」
「フェルメールめ、会場そのものを殺戮マシンと化したな。」「むむう・・邪神の残虐さ、酸鼻を極めるな。」
「神にとってはこれでもお遊びにすぎません。我々がゴキブリを殺すのと同じこと。」「許さぬ・・一寸の虫の
恐ろしさ、思い知らせてくれる。」「その意気だ。・・?!」びくっ!ブロロロ!「駐車場の自動車が?!」
「ギネビアあぶない!」ゴオオオッ!「なにが?」すっ、ドグワシャアッ!「自動車が・・つぶれた?」
「掌から超重力波を発しましたね。」「ぴんぽーん♪魔導拳『デモンフィンガー』よ。」ブロロロロ!
「また来るぞ。」「今度はトラックか。ならば」すっ。「これはまかせて。」「雅?」シュッ、ヒュッ!ぺたっ。
「呪符?」「急々如律令。」ボン!シャアアアッ!・・「一瞬で・・焼滅!」「『紅蓮』の呪符は核兵器級よ。」
「さすがは当代一の陰陽師でござる。だが・・」ブロロロ!「殺人カー軍団を殲滅しないと先へ行けんな。」
大阪城公園。『むん!』『ぬうっ!』ガキッ!ギギギギ・・『でりゃあっ!』ブォン!ドドオオーン!
『くっ、リスト投げとは!』『こっちもエデンに降りてから経験を積んでいる!腕ひしぎ逆十字!』ガキッ!
『ぬうううーっ!』メキメキ・・『・・これしき!』グッ、ズオオオオーッ!『俺を腕に巻いたまま立った?』
『むん!』ブン!ドガシャアアアーン!『ぐううっ!・・大阪城に!』『ブーストナックル!』ドオンッ!
ブワアアアアッ!グシャアアアーン!ガラガラガラ!・・『終わったか・・巻き戻し。』ヒュルルルッ。
『あまいぞミカヅチ!』ばっ!『なにっ?ナックルごと!』『ガントレット!』ジャキッ!ドガアアアーン!
『ぬおおおおおーっ!』ズザザザザーッ!『おりゃりゃりゃりゃーっ!』ズドドドドッ!ガガガガーン!
『ムダだ。わが装甲は破れはせぬ。』『そんなことは!』ガーン!『やってみなけりゃ!』ガキーン!
『わからないだろうが!』ガギィン!『・・?』はっ!『装甲の同じところに!』『そのとおり!いかな強固な
装甲でも、一箇所に打撃を集中すれば!・・光あれ!』カッ!『プロメテウウウースッ!』ゴオオオオーッ!
『させん!ドリル・ナックル!』ヒュィィーン!ガキイイイーン!・・『・・くっ!』ピキッ、ピキピキ・・
『ふふふ・・?!』メキッ、メキメキ・・パリィィィーン!『なにいっ!ドリルが!』『うおおおおおーっ!』
バゴオオオオーン!『ぐうっ!・・我が無敵の装甲が!』『無敵なんてものは存在しない!』パラパラ・・
『?!・・ガントレットの破片?タイタン、きさま!』『そうさ・・矛盾の結果だ。最大出力!』カアッ!
『・・このパワーは?!まさか!』『俺の勝ちだ!プロメテウス・オーバーロード!でりゃああああーっ!』
キイイイイ!ドカアアアアアーン!『ぐおおおおーっ!・・ガントレットを暴走させるとは・・見事・・』
ブオオオオッ!・・ガラガラガラッ!『はあっ!はあっ!・・』がくっ!パラパラパラ・・カラン。
会場。「さて、死んだ者は?」「ひいふう・・うちは全員おっけいだね。」「こっちは当然よ。」びっ。
「どんな様子?・・」ちらり。「・・うわっ!」ばっ!「朱音、どうだった?」「はあっ、はあっ!・・
紙袋が頭を食いちぎってた。」「やってくれるわね・・」「お隣さんは?」くるっ。「ハルカ、そっちは?」
「なんとか三人とも生きてるわ。」「即売会がメチャクチャ~。」「・・これは許せないわね。」「うん。・・
マキョウ、電子パレットをカナタに。」「はい・・」さっ。「これは怒ったよ~。」サラサラサラ・・
「おっけい。」「なに?・・銃のイラスト?」・・ボオッ、ガチャッ。「なっ!・・同じ銃が空中から!」
「ハルカちゃんはブレードランナー・ブラスターだったよね。で、マキョウちゃんはジリオンと。」ぽぽい。
チャチャッ。「・・カナタはそのコスモドラグーンがお気に入りね。」「あなたたち・・やっぱり既に。」
「話はあと。今は生きて脱出することだけを考えようよ。」「ディーネもリューズも、全力反撃だよー。」
「・・私たちの生きがいを邪魔した罪、万死に値する。少女神ならば、目のハイライトが無くなるまでボロボロに
マワして、カルピスのスペシャルブレンドをたらふくご馳走してあげましょう・・」『こらこらこらこら。』
「うちも負けておれんな。千夏!」「あいよ。リモコンぽちっとな。」ぽち。・・ガシャアアアーン!ドサッ!
『うわっ!・・コンテナ?』「ヘビーメタル発送かんりょー。さすがに天井のガラスは破れたね。」パシュ。
「叡智にはクレイモア・グローブだ。」ぽい、バサッ。「おっけい。」「かがりはバースト・バットだったな。」
ぱしっ。「これで安心です。」「千夏の手ぬぐいと。サリーくんと愛美くんは不要だな。」「はい。」
「ちょう、カナタはん。」「なに?愛美ちゃん。」「こんなん作れっか?」ひそひそ・・「ああ~、簡単だよ。」
サラサラサラ~。ひょい。「ほい。」ガチャッ。「おおきに。」「わ~、長い銃。」「マスケット銃だな。」
「これやこれ。やってみたかったんや。」「タッちゃん、いくよ。」「おう。七鎧聖の力、見せてやろう。」
ダダッ!バササッ!「おっと。」ぱしっ。ばたばた!「16Pか。薄い本だが、使いまわすには手ごろである。」
バササッ!「ほれ。」ヒュッ、ズバアッ!「そっちも。」ザシャアッ!「さすが8枚刃、よく切れるぞ。」
ガタアッ!「机か。はいっ!」ぱん!「撃発!」ドン!グワシャアアーン!「指向性瑠弾内蔵のグローブさ。」
ゴアッ!「照明?それっ!」ブン!バドオオーン!グシャアッ!ガラガラーン!「炸薬入りバット、効くでしょ。」
「水よ、我を守りたまえ。碧龍牙膜。」ザザザザ・・バサササッ!グシャグシャッ!「薄いけど超水圧ですよ。」
「ほい。」ヒュッ、ズバアッ!「よいしょ。」ブン、ズパパパーン!「手ぬぐいも使いようで妖刀になるって。」
「援護射撃よ。ブラスター!」ヒュィィーン・・ドン!ボォン!「ジリオン・・ロックオン。」シャキュゥン!
ボシュン!「分子消滅・・」パシュパシュゥン!バシバシッ!「さっすが戦士の銃、よく当たるわー。」
「こっちもいくで!『HELLSING』より魔弾!」ドオンッ!パキキキキッ!ボシュボシュボシュッ!『おおっ!』
「原作どおりの弾道だ!」「魔弾の射手はこうでなくちゃねー。」「・・これはさすがに七鎧聖も脱帽ね。」
ビュゴオオッ!ボボボボーン!・・パラパラパラ・・「有象無象の区別なく、ウチの弾頭は許しはせんで。」
「はー、あいかわらず愛美はわけわからん能力出すわね。」【あやつホントは七鎧聖ではないのかの?】
「一気に殲滅するわ。」「みんな伏せろ!」『天震鎧姫?わわっ!』ばばっ!「いくよ、タッちゃん・・」
ちゅっ。『・・怒轟層圏!』ドオオオーン!・・パラパラパラ・・「うわ~、殺人マシンは全滅だわ・・」
管制室。「あちゃ~、やっぱ七鎧聖が三体もいちゃ、簡単じゃないね。ならイッキにケリをつけましょう。」
ゴォン!「なに?」「・・天井が!」ゴオオオーッ!「吊り天井で押しつぶす気ですな。ここは我らが!」
『神獣変化!』ピカッ!ガシガシイッ!「おお!三神獣が!」『今のうちに逃げるか、何か手を打って!』
ググググ・・『なんて重さですか・・』『これはフェルメール様の呪いも加算されておりますな・・』
「なんとか天井を排除せねばな。」「けど発破だと生存者まであぶないです。」「ここはまかせて。」『ハルカ?』
「マキョウ、電子パレット。」「はい・・」ピッ♪「二人も手伝って。」「〆切り大急ぎだもんねー。」
サラサラサラ~。「・・天井のイラスト?」『完成!すかさずデリート!』ピッ♪フッ・・『おおっと!・・
えっ?なにがどうなったの?』『天井がどこかに消えてしまいました?』『まるで空気に変わったようですな。』
「リューズ、説明してあげて。」「えっとね、ランちゃんが描いて消すと、描かれたものも消えるんだよぉ。」
『は~・・やっぱ七鎧聖はすごいわ。」シュゥゥ・・「描いたものを次元的に絵と連結してしまうのですね。」
「描いたものが現実になるなら、それを消せば本体も消えてしまいますか・・恐るべき能力でございますな。」
「やられた~。まさか虚空画聖があれほどなんて・・ん?」すっ、キラリ。「目論見が外れて残念だったな。」
「なんと、このような少女が・・」「見た目でダマされるのよね~。」「中身は老獪で狡猾な邪神ですよ。」
「工神フェルメール、成敗!」ズパアアアーン!ころころ・・「?!・・人形か!」「あ、やっぱりね。」
「簡単すぎると思ったでござる。」「居場所は私が探りましょう。」すっ。「神威如嶽、神恩如海・・」
キィィィ・・「わかるのか?」・・すっ。「空間の狭間にいるわね。」「とりあえず皆と合流しましょ。」
会場外。「なんとか無事だったようだな。」「この程度でやられる我らではない。」「でも・・死者数百人、
重軽傷者千数百人の大惨事です。」ピーポーピーポー♪「フェルメール・・ぜったい許さない。いまどこ?」
「異次元空間なので、特殊な力でないと手が出せませんね。」「私たちが何とかするわ。」「虚空画聖か。」
「その神さまの写真か何かないですかー?」「この人形に生き写しだが。」さっ。「ふむふむ・・マキョウ。」
「はいプッシーちゃん・・」ピッ♪サラサラサラ・・「こんなもんかな。」『お~。』「すごい描写力だね・・」
「まるで生きてるみたいね。」「だから生きてるって。」『あ・・そうか。』「さて、あとはマキョウの仕事よ。」
「おまかせあれ・・」「思いっきしエロエロにしちゃえー!」「・・死んだ同人仲間の弔いのためにもね。」
「さって、そろそろ退却しよっかな・・ん?」ゴォォォ・・「・・だれ?!」すっ・・「なっ!・・なに?!」
ゾロゾロ・・「だれ?だれなの!」ぐっ、バリイッ!「きゃああああーっ!」グイグイ!「は、放せ!・・?!」
ぬうっ。「あ・・やめてやめて!」グイッ、ガバッ!「いやっ、いやっ!・・むぶっ!」ズグウッ!『!!』
「・・抵抗も空しく、フェルメールの幼い蜜壺は夫以外の男たちのもので・・」カタカタ・・『うわ~・・』
「なにこれ・・すっごいエロい。」「文章だけでこれほど表現するとは・・」「むう・・まさに言葉の淫技。」
「・・あ、挿絵が。」『・・おおっ!』「文章どおりに出現しました・・これが虚空画聖の力なのですね。」
「ちなみにそれは挿絵じゃなく、いま起こってることだから。」「マキョウちゃんの『言霊流し』はすごいよー。」
「文章も絵と同じ、字体そのものが意味を成す・・フェルメールはこれで私の小説世界に封じ込められたわ。」
カタカタ・・「結末はなし・・無限ループ設定・・メルアド無しの開放発信・・」ピッ♪「封滅完了。」
「・・どうなったの?」「物語は無限に繰り返される・・いずこともしれぬ宇宙を彷徨しながら続く、終わり無き
永劫の陵辱よ・・」『・・』「滅ぼすより残虐ね・・」「私たちを怒らせたから。」「当然の報いだよねー。」
「ちなみにメールだと読めるかもしれないので、興味あればお試しあれ・・」『・・。』くるっ、ピッピッ♪
「エーちゃん、そこでメールチェックしない!」「エリス~。(^^;;」「砂風もやめんか妻子持ち!」
ふたたび大阪城公園。「・・これでもうプロメテウスは打てないか。」・・ぱん。「まあいいか。どうも前から
プロメテウスに頼りっきりのような気がしてたし。ここらで初心に還るのもいいだろう。」つかつか・・
「しかしだ・・正直、決め手がないとつらい戦いになりそうだな。」くるっ。「なあ、ミカヅチ・・」
夜、梅田。『えええーっ!』「ガントレットこわれちゃったの?!」「プロメテウスが・・もう打てないなんて。」
「フェルメール様がいらっしゃらない今となっては、修復もままなりませんな。」「そもそも直してくれないさ。
ミカヅチと引き換えなら悪くない結果だ。」「なに悠長なこと!ヒドラベルトと一郎さんの格闘技だけで魔獣に
勝てるわけないでしょ!」「俺はそのつもりだが。」「まあ待てご一同。なんならウチの装備を供与しよう。」
「でもしゃちょー、巨人用の装備はさすがにないっすよ。」「特注するにしても時間かかるしね~。」
「・・虚空画聖の皆さんに頼んでみたら?」はっ。『それだ!』「カナタちゃん、何か作って!おねがい!」
「え~?でも魔獣に効きそうな武器ってなんだろなー。」「聞いた話じゃプロメテウスってあれだよね。ほら
『俺のこの手が光って唸る』ってやつ。」「・・なら『真っ赤に燃える』がいいんじゃない?」「あれかー。
でもあれって内蔵武装だからなー。」「・・ひとつだけアテがあるかもしれないわ。」『ギネビア?』
「魔界辺境、地獄火山地帯のそのまた奥にある極寒の地コキュートス・・そこの最深部、ジュデッカにあると
伝えられる伝説の武具・・『ルシファー』。」『ルシファー・・』「それならバベルの図書館で読んだわ。
でもあれってただの伝承じゃなかったの?」「そうでもないよぉ。」『リューズ?』【たしかにルシファーは
現実に存在しておった。ワシとリューズは目撃した・・魔獣の群れを一撃で灰燼と化す恐るべき力をな。】
「そのあまりの破壊力を脅威に感じた神々は、誰も近寄れないジュデッカに武具を封じた・・か。いずれにせよ
それが現存するとしても、誰も入手できませんね。」「ジュデッカは絶対零度の究極の地獄ですからな。」
「・・(さてさて、サタン様たちはうまくやってるかしら。)」「雅、なにか?」「いえ、なにも・・」
「ところで虚空画聖はどうする?」「そっちに関与する気ないわ。今までどおりマンガを描ければそれでよし。」
「今回は即売会をつぶされたから反撃しただけだよー。」「・・少なくとも敵には回らないことは保証するわ。」
「惜しいな・・その絶大な能力は。」「それは違うぞタイタン。彼女らの力は破壊でなく創造にこそ意義がある。
そう、マンガや小説を書いて人々に夢を与える、これ以上のすばらしい使い方があれば教えてもらいたいな。」
「それは社長に同感です。ハルカさんたちは魔獣だなんだという以前に、漫画家です。」「七鎧聖のことは
私たちの胸にしまっておけばそれでいい。・・まあ、言ったところで誰も信じないでしょうけどね。」
「皆さんの作品を楽しみにしてる読者さんたちはおおぜいいますから。」「金のためじゃない、作家は書くこと
自体に喜びがあるのさ・・それを忘れてしまえば、そこでおしまいってのもね。」「ハルカはんたちの作品は
たしかにエロいけど、ハートもソウルもある。だから売れるんや。なぜならそれこそ人間の夢そのものやから。」
「みんな・・ん?」すっ。「・・あの、本の表紙にお三方のサインを。」・・にこっ。『喜んで。』
アウターヘブン。「ミカヅチとフェルメールまでもか・・」「これで残るは私とヴォーダンだけになったわね。」
「・・綺羅、動揺しておらぬようだが。」「じゅうぶん危機感を持ってますわ。とはいえ、プロメテウスを
使用不能に追い込んでくれたことは大戦果よ。これでタイタンの戦闘力は激減した・・倒すのも容易でしょう。」
「そうだな・・次の手は?」「こちらも七鎧聖を使おうと思うんだけど。」「なにっ?!・・いかにして!」
「まあ私に任せて。この手なら確実にタイタンは倒せる・・プロメテウス以上の必殺技を持たないかぎり。」
♪古代の神話の眠る都市 起きてはいけない魔獣の闘士
♪砕鎧拳轟ガンドロウム 神をも滅する拳がうなる
♪絶体絶命 瀕死の巨神 命を賭ける決戦のとき
♪深き闇の底より来たる 紅蓮と燃える新たな力
♪『業火の闘志』よ燃えあがれ 熱き心で魔拳を砕け・・