殲滅いたします。』「よろしい。ヴォーダン、何かお言葉は?」「・・・・」「特に何もないようね・・では
いってらっしゃい。」『ははっ。』シュッ・・「さて、結果がどうなるか楽しみね。ミーメがタイタンの首を
獲ればヴォーダンの望みどおり、よしんばしくじっても既に死んだ者だから惜しくはない・・よね?」ふっ。
「ぐ!・・」「どっちに転ぼうが私は痛くもかゆくもないけど・・おっと、そろそろ『ノクターン・フォウ』が
到着するころね。出迎えに行かなくちゃ。」スゥゥゥ・・「・・我は・・愚かだ。これから・・どうする。」
飛空挺・飛燕丸。「・・うわ~、タイヘンなことになっちゃってるよ。」「妖女神ミーメが綺羅の操り人形に
なったか・・危険だな。」「むう・・死人を戦鬼として再生させるか。」「まるで映画で観た魔界転生ですね。」
「そんなのウチのオヤジでも不可能よ。おそらくミーメはまだ生きてるわ。洗脳されて操られてるんでしょうね。」
「それで思い出した。綺羅の配下に『人形使い』がいたな。」「ええ・・『ノクターン・フォウ』が一人、
春眠のエイプリル。彼女の仕業ね。」「その四人衆らしき連中について教えてくれぬか。」「いいだろう。まず
エイプリルは今言ったとおりだ。ありとあらゆるものをテレパシーで自在に操る通称『人形使い』の精霊だ。」
「次に夏雨のオルガ。気象を操り、暴風雨や台風などを起こす精霊よ。」「む?魅霊どのを彷彿とさせるな。」
「魅霊は自分の周辺だけだが、オルガはもっと大規模で、国ひとつを壊滅させるほどの気象災害を起こす。」
「晩秋のノヴァはあらゆるものを朽ちさせ腐らせるわ。それは生体だろうが非生物だろうが関係なし。」
「腐食か・・なかなかうっとうしい輩でござるな。」「ヘタな化学兵器などより恐ろしい精霊ですね。」
「最後は厳冬のジャンヌ。こいつがリーダー格で、能力もすさまじい。」「察するところ冷凍でござるか。」
「ただの冷凍じゃない。絶対零度、凍るどころか分子結合をバラバラにされるわ。ちなみにイエティの直弟子よ。」
「ではイエティ様の説得という手もあるのでは。」「無駄だな。『凍結の猛将』の弟子ならば、師を倒すことこそ
最高の恩返しと教えこまれているはずだ。またイエティもそれを望むだろう。」「厳しい師弟関係ですね。」
「しばし待て。・・その連中の仕業とするなら、先ほどの会話に矛盾するぞ。」『あ・・』「綺羅はまだ四人が
来ていないと言った・・だが。」「大ウソね。すでに四人はアウターヘブンにいるわ。」「策士ですね。」
綺羅の神殿。「みんな、お待たせ。」『ははっ、綺羅さま。』「長い間隠れさせちゃって悪かったわ。」
「いえ、アウターヘブンは広大なのでヴォーダンに見つかるほうが難しいです。」「ふふっ、たしかにね。
あのバカは他の神殿を見回るなんてマメなことしないし。」「おかげで空き神殿を悠々と使えましたぁ~。
ところで洗脳したミーメはどうしましたぁ~?」「いましがた元気に出撃したわ。」「ハハッ、エイプリルの
洗脳がよく効いてるね。」「・・綺羅さまもあいかわらず悪いお方ですね。自分の手を汚さずにバカを煽って
利用し、同時に楯にするとは・・」「楯だけじゃないわ。砕氷船といってね。」「なるほど、氷海をバリバリ
砕かせて、あとをついてけばいいと。」「もし運悪く氷山にぶち当たって沈んでも、こちらは無傷ですぅ~。」
「用済みになった頃はボロボロだから、処分するのもラクだな。」「そういうこと。で、現状は進むも退くも
できない立ち往生で、ツルハシ持ったクルーを出させた・・ってとこかしら。」「・・氷山を砕ければラッキー。」
「いえ、まず無理ですね。」ふっ。「さすがによく見てるわね。そのとおり、操り人形に期待なんかしてないわ。
本来の目的は・・」「ヴォーダンを精神的に追い詰める気ですね。」「はい正解。直属の部下を二度も死なせて
精神的に追い込ませる、いえ、もうそうなりつつあるわ。」「・・最後はヤケクソの特攻しか選択肢は無し。」
「というわけで今回はゆっくり見物といきましょう。エイプリル、操縦よろしくね。」「おまかせください~。」
ゴォォォ・・「・・これがあのエル・ドラドなのか?」「うわ~、すっかり様変わりしちゃったわね。」
「以前より内部が広くなりましたね。」「性能も向上しているようでございます。」「修理がてら大改装を
したのさ。名前も変わって『飛行要塞アガルタ』だ。」「核融合エンジンを搭載し最高速度はマッハ3。
アウターヘブンとの直接決戦を想定して霊的兵装も強化したわ。」「その時は近い、ということですね。」
【十二神も残るはヴォーダンと綺羅だけじゃしな。だがしかし、この二柱は最大の障害でもあるな。】
「ああ。・・ヴォーダンはともかく、読めないのが綺羅だ。どう動いてくるか・・」「その前に排除しなきゃ
いけない障害もあるわ。アスガルド三闘神の最後の一柱・ミーメが残ってるし、さらに・・」「精霊軍最強最悪の
『ノクターン・フォウ』が出馬してきますね。」「そのうちの一人、厳冬のジャンヌはイエティの弟子だったな。」
「ははっ。若くして凍気の技を極めし逸材でございました。しかし己が才におぼれ、心象の面でいささか。」
「でしょうね・・連中は目的のためなら手段を選ばない。からめ手で敵を追い詰め弱体化させるのが得意よ。」
「タチが悪そうですね・・」【外道どもか。うっとうしいのう。】「・・こちらも遠慮なくいかなくちゃね。」
スペイン、バルセロナ。カンカンカン・・「ほう・・これがガウディの教会ですか。」『実物を見るのは拙者も
はじめてでござる。』「この偉大なモニュメントに負けないものを造りましょうね。中へ入りましょう。」
ガガガガ!カンカンカン!『大勢が働いてござるな。』「さてと・・ここですね。」『ここは・・礼拝堂?』
すっ、ぴた。「間違いないです。ここに教会が造られたのはこのためだったんです。」『と、いうことは。』
「はい、魔獣の封印がゆるんだことを知ったガウディは、その上に新たな封印としてこの教会を造ったのです。
この流麗なデザインそのものが封印の力を発するように。」『・・このうえない芸術的な封印でござるな。』
「正直ここではあまりやりたくなかったのですが、今の状態では自力で破られるのも時間の問題です。ならば
早めに起こしたほうが再建も早いでしょう・・もし可能なら、ですが。」キィィィ・・『始められたか。』
「・・ねじれゆがんだ異形のアパペーよ、魔獣大元帥の名において命じる。混沌のまどろみより起き上がり、
あらゆるものを取り込み天に届くまで育て。」ヴン・・すっ。「用事はおしまいです。とっとと離れましょう。」
第三十六夜「歪んだ世界」 - 歪魔獣アパペー登場 -
ズズズズ・・「なんだ?」「地震か?」「はっ?!・・あれを見ろ!」グニュゥゥゥ~。「サグラダ・ファミリア
教会が・・ゆがむ!」ギュオオオオ~ッ!「ねじれたまま高くなっていく・・はっ?!」グニュゥゥゥ~ッ。
「教会だけじゃない!街も・・歪んでいく?!」グニュウッ!「うわっ!」「きゃあっ!人が・・ゆがむ!」
『・・な、どう!何るんっなが』「言葉まで・・ゆがむ?!」『?!&#‘%・・』グニュゥゥ~・・
「ゆがんで・・消えた!」「あの歪みに巻き込まれるな!」「逃げるんだ!」ワアアアアーッ!ダダダダッ!
グオオオオッ!「歪みが・・来る!」『うわああああーっ!“=*?<★・・』グニュゥゥゥ~・・
飛行要塞アガルタ。『まもなくバルセロナに到着する。VTOLへ移動・・』「・・どうしたキャプテン?」
『・・一足遅かったようだ。外を見ろ。』「なに?」ひょい。『・・なんだありゃ!』「・・塔、ですか?」
「バルセロナにあんな巨塔はないわよ。」「目算するに高さ200m、根元の直径はその倍はありそうですな。」
「・・なんか形状が変だな。キャプテン、拡大できるか?」『モニターに出そう。』ぱっ。「・・これは!」
「そんな?!・・あれは・・街?」「街が融合して巨塔に?!」「それだけではありませんぞ・・融合した建物は
みな歪んでおります。」「・・建物だけじゃないよ。」「・・人が!」【なんじゃと?!・・あのような姿に!】
「何が起きたんだ?・・」『ニュースで観光客のビデオ映像が流されてるぞ。』「映してみてくれ。」ぱっ。
「・・あっ!サグラダ・ファミリア教会が・・歪んでいく!」「周りの街も・・人も巻き込まれていくわ!」
「歪んだままどんどん高くなっていきます・・」「むう・・どうやら空間そのものを歪ませているようですな。」
「どういうことだ?」【例えば紙は巻くことも捻ることもできるの。それと同じに、空間も巻いたり捻ったり
することは理論的には可能なのじゃ。】「ということは・・被害者は気づいてない?」「いいえ。生物は歪みに
耐えられるようにはできていません。もはやあの方たちは・・」【こんなことができるのはアパペーだけじゃ。】
『アパペー?』「知名度はきわめて低いですけど、私たち高等魔獣の間では、その特質ゆえに有名でした。」
【空間と歪みの魔獣。空間を食らい纏いて己が肉となす。そう、あの巨塔こそアパペーの肉体なのじゃ。】
「なんて魔獣だ・・」「このままでは市街全てが同化され、もはや手に負えない巨大さになるでしょう。」
「その前に阻止しませんとね。」「ああ・・だが、どうやって攻めればいいのか。」「とりあえず降りようや。」
バルセロナ市街。ワーワー!「すごいパニック状態ですね・・」「無理もねえ。警察と軍が避難誘導はしてるが。」
「道路は大混雑でこれ以上は無理ね。」「屋根の上を行こう。エリスはリヴィが背負ってくれ。」「はい。」
ターン!・・ザシャッ。タタタタッ、ターン・・「NO.6もベルさんもよくついてこれる・・」「ダテに秘密部隊
諜報員はやってねえさ。」「そんじょそこらのスパイといっしょにしないでね。」「リューズはついてきてる?」
「ぴったり上を飛んでます。」ヒラヒラ。【まもなく歪みの最外周だぞい。】「あまり近づくな、巻き込まれるぞ。」
はっ!「雅焔か!」「俺だけではない。」ターン・・シュタタタッ。「おひさしぶりです。」「ヒルダちゃん。」
「ハイ、リューズ。」ヒュオオオーッ。「えっ?!アリシアさん飛べたんですか!」「正確には滑空だけどね。」
シュン。「・・あ、ミサさん。」「やあ。二人ともここんとこ盛んだね。」『え"っ?』「発情期のニオイが前より
強くなってるし、混合体臭も濃くなってるよ。」「・・そうですか?」くんくん。「・・リヴィの濃いしね。」
「ハイヨ!」ヒヒーン!・・ガカッ!パカッパカッパカッ!「ほう、お蝶様は馬でおいででございますか。」
「わが汗血馬にはこのくらい朝飯前だ。」「Yei!」ブオオオオーッ!・・ダダン!「来たな、ヨーコ。」
ブロロロロ!「ハーイ!エブリバディあんじょうやっとりまっかー!」「なんでそこで関西弁なのよ。」
「カレッジのフレンズにジャパニーズちぃと教わったねん。」「たしかに関西弁は英語に近いリズムだけどな。」
ターン・・ザシャッ!「ここが最外周か。」ズォォォ・・「空間ごと万物を同化する魔獣か。となると本体は
この世界にいないかもしれん。」「どういうことです先生?」「つまりこの混沌の巨塔は魔獣のごく一部で、
三次元存在に見える範囲のものでしかないということだ。」「ストローに吸い上げられる水だけ、ということね。」
「ミサなら魔獣の真の姿を感じられるのではないか?」「うん、見えるよ。塔の中心の異次元にいるね。」
「とはいえ、一歩踏み込めばたちまち同化されてしまうな。」「シィーット!ミーも空間は走れないデース!」
「次元を切り裂くほどの遠隔攻撃・・マスターのルシファーなら可能ではないでしょうか?」「いや、さすがに
そういう応用まではきかないようだ。」ぱらぱら。「そこで説明書調べない!」「手詰まりでございますな。」
「・・あ、一人だけ心当たりがあります。」『リューズ?』【・・まさかガンドロウムか!】「ええ。ガンちゃん
なら次元破壊拳を使えます。」「なら国連情報局を総動員して見つけるぜ・・?!」ぴくっ!「みんな散れ!」
ヒュババババッ!『おおっと!』ドガガガガガッ!「わたたたっ!」「これはアメジスト!」「・・出たね。」
ザッ。『アスガルド三闘神・妖女神ミーメ。君命によりお命頂戴つかまつる。』「あれ?・・口調がヘンね。」
「ミーメさんはああいう大仰な言い回しはしないですよね・・」「・・アラクネ、例のアレを試してみろ。」
「え"~っ!アレやんの・・」「確かめるにはアレしかないですね、たしかに。」「リヴィやんなさいよ~。」
「ボクはまだ命が惜しいですから。」「老い先短いので大切にしたいですな。」「も~っ!わかったわよやりゃー
いいんでしょうが!・・」すーっ・・!『ななじゅうさん~!』シーン・・「決まり。正気じゃないわ。(90)」
「どういうことだ?」「あ~、なんとなくわかりました・・(83)」「そりゃ気にするわね、あれじゃあ・・(86)」
「うん、見えないけどよくわかるよ。(89)」「気の毒に・・(91)」「ヘーイ!気にせんでえーネン!(100)」
「ヨーコじゃ説得力ないって。(86)」『うんうん。』「・・ところでセリフの最後の数字って、なに?(81)」
「よーするにあのねーちゃんは何者かに操作されてるんだな。」「かえって戦いにくいですね・・(88)私も?!」
『いでよクリスタルレギオン。』パキパキパキーン!ザシャザシャッ!「水晶の鎧騎士か。なかなか優雅だ。」
「感心してる場合か。あの鎧はいかなる攻撃も通さんぞ。」「ならば砕けばよかろう。」ダッ!「雅焔?」
ガラガラン、ジャキッ。「鉄ゲタを手に?」ビュッ!ガキィン!「水晶の剣をゲタで受けた!」「はあっ!」ドン!
パキイイイーン!ガラガラガラ!『おおっ!』「ゲタの一撃で粉々に!」「みんな、結晶構造学で教えたとおり
結晶方位に正しく衝撃を加えればダイヤモンドとてこうなる。実技で理解するように。」『はい先生!』シャッ!
「はあっ!」ダーン!・・ギュルルルッ!「ヤクト・ティーゲル!」パキイイーン!ドガシャアアアーッ!
ザシャッ!ビュビュッ!「あぶない!」「はいっ!」シャッ、カキカキィン!「・・ヴァンブレイス(腕鎧)?」
「ヴェグダ伝統の防具『ノートゥング』。脚技主体のヴェグダですが腕も重要な役割があります。すなわち!」
くいっ、ぱしっ。ダン!「ケーニッヒ・ティーゲル!」ドゴオンッ!パリイイーン!『おおっ!』「相手の腕を
掴まえてのヒザか。」「水晶鎧を一撃でぶち抜きました!」「ヒザだいじょうぶなの?・・あ。」キラリ。
「ほう、レッグアーマーでございますか。」「『ジークフリート』。でもカカトもちゃんと保護してます。」
「ふん、鎧がコワくてヨーロッパで暗殺貴族ができるかって。」ビュン!「バカの大振り!」タン、くいっ。
スカッ!「ほい。」ヒュン、ドスッ!「ワン・ダウン。」グリッ、ズボッ!ユラ・・ガシャーン!「鎧って意外と
スキマがあるのよ。そこに刃先を通せば意味なーいじゃーん。はい次!」シャッ!「ほらここも。」ザクッ!
「うわ・・目を刺し抜いたわ。」【むう・・刃先は脳まで届いとるぞ。暗殺者恐るべし・・むっ?】ダダッ!
ブオオッ!「うしろ!」ピタッ!「・・あれ?」キラリ。「ノド元がお留守よ♪」すっ、ズボッ。ガシャン!
「水晶はちょっと気合入れて切らなきゃね。」ダダダダッ!「いくよ、ユーイ。」すっ、チキッ。ぐっ、シャッ!
「よいしょ。」シュピィィィーン!・・パチン。「三体だね。」ピキッ、ピキピキ・・ガラガラガラーン!
ビュビュッ!「投槍よ!」ビュオオオオッ!「・・ミサは動かない?」ズドドドドッ!「やられました!・・え?」
ゴォォォ・・「狙いがいいかげんだね、動かなけりゃ当たらないなんて。」「むう・・すさまじい見切りですな。」
「パピヨン!」ドキュドキューン!バコバコッ!「鎧など霊弾の前には紙同然だ。・・ん?」ビュオッ!「ふん。」
すっ、ぱしっ。グン!「せいっ!」フワッ・・ゴシャアアアーン!「そんな鎧を着けてては受け身もとれまい。」
ギリギリ・・シュパパパッ!「ボウガンよ!」「それがどうした。パピヨン!」ドキュドキュドキューン!
パキパキパキィーン!バコバコバコッ!「銃弾で矢を砕いた?!」「・・その跳弾で射手まで撃ち抜くなんて。」
「CENACOLO VINCIANO!」ドオンッ!ドコドコドコォッ!「イッパツでスリーダウンはピース・オブ・ケークね。」
「ヨーコ、うしろ!」「アメジストソード!」ビュオッ!「HA。」ガキイイーン!「・・最後の審判!」
「ユーがミーメね。オッケィ、ミーがちと揉んでやりまショ。」「人の身で精霊に挑むとは愚かな奴め。」
「そんなのやってみなきゃワッカリマセーン。」くいっ、バンッ!「?!」ザザザーッ!「Come On。」チャッ。
「クリスタルビット。」ボボボオッ。「いけっ!」シュパパパッ!「水晶の連打!」「So Easy。」フッ・・
スカカカッ!「消えた?・・上?!」「Too Late!」ゴオッ!「くっ!」ガキイイイーン!「よく受けたネ。
バーット。」ピシッ、ピシピシ・・「?・・そんな!」パキイイイーン!「ヒット!」パンッ!「はうっ?!」
ぴたっ。「なんだ?」「ミーメの動きが止まったわ?」「気で打ったか。霊体にはきわめて効果的な攻撃だ。」
「ミッサー。」「ヨーコ先輩、お呼び?」すっ。「ピュリファイ、プリーズ。」「洗脳解除だね、やってみるよ。
先生、兵護を。」「ほれ。」ヒュッ、ぱしっ。「ちょっと手助けしてね。」『いいぜ。こういうのは得意技さね。』
「・・あの剣、ただものではありませんね。」【むう・・かなり高位の精霊が宿っておるようじゃな。】
『まずは覚醒させるぜ。』「ん・・はっ?!」ぬっ。「ほら、眼を見て。」オォォォ・・「あ・・あ・・」
「・・なにをやってるんだ?」「ミサの『暗黒瞳』に意識を吸い込み、浄化してから戻す『黄泉返し』の秘技だ。
もっとも、あの暗黒に耐えられればの話だが。」「ほとんどの場合、そのまま戻れず永遠にミサさんの瞳の中を
さまようんです。」「そうやって指一本触れずに葬ったヤツはどれほどいるのやら。」「今回は兵護がいる。
ちゃんと戻る道筋を示してくれるから、そういう事態にはならないさ。」「ヒョーゴはいわば灯台ですネ。」
同時刻・アウターヘブン。「な・・なにこれぇ~?」「エイプリル、どうしたの。」「遠隔操作してたミーメに、
何かヘンな力が働いてますぅ~。」「ヘンなだけじゃわかんねえよ。」「う~んとぉ・・まるでブラックホールに
吸い込まれるような感覚かなぁ~。」「・・それでもよくわからないわ。」「どうやら呪縛を解こうとしてる奴が
いるようね。何とか跳ね返せないの?」「だめですぅ~。かえってこっちが引き込まれそうですぅ~。」
「・・・・」「うん、意識を吸い取れたよ。・・へえ、変な網が貼り付いてるね。」「おそらく綺羅の配下、
春眠のエイプリルの遠隔操作網ね。相手の意識をがんじがらめにして自在に操る・・まるで蜘蛛女よ。」
「ご本家のアラクネよりタチが悪いな。」「わたしはそんなやらずぼったくりなことしないわ。等価交換だもん。」
「あ、それでいいこと思いついたよ。式返ししてみようか。」「できるんですか?」「簡単だよ。エリスちゃん、
なんか手ごろにエロい同人誌ある?」「え?・・これでよければ。」ばさっ。「持ってるんですか・・(-;」
「それ以前にミサ様はどうやって本を?」「精神融合してるこの子の眼を借りるんだよ。ほら読んで。」さっ。
「・・・・」「読んでる・・のか?」「へ~、またこれはエロいね。絵もうまいし。」「・・虚空画聖のだし。」
「これなら強烈なお返しできるよ。」「はあ・・やってることはランちゃんと同じね。」【まあ面白いがの。】
「あああ~っ!」『エイプリル?!』「だめ、そんなとこぉ!」ガクガク!「・・この動きは、まさか?」
「あんっ、あんっ!」トロ・・『うわ~・・』「・・だいたい何が起きてるかわかったよーな気がするわ。」
「止めなきゃ!」「だめよオルガ。いま止めたらかえって精神に障害が出るわ。」「うっ・・」「・・かといって、
このままでも欲求不満でおかしくなるわね。」「そのとおり。となると・・こーゆーの得意なヒト、いる?」
ふるふる。「みんな修行が足りないわね~。よし、ひさびさにやってみますか。」ぽきぽき。『綺羅様が?』
「昔はけっこー鳴らしたものよ。どれ・・」すっ・・くちゅっ。「あらあら、こんなに濡らして・・すぐに
たっぷり満足させてあげるわ・・」ずっ。「あんっ!・・」「みんなも後学のためよく見ておきなさいね。」
「てゆーか・・」じーっ・・「眼が離せないって・・」ごくっ・・「うわ・・あんな奥まで。」どきどき・・
「・・あれ?」「どうした?」「誰かのサポートが入ったね。乱れ方が安定してきたよ。」「ミサ、そろそろ
潮時だ。操作網を切り離して呪縛から解放しろ。」「そうだね。じゃ、切り離すよ。」『ちょーっと待った!』
『ん?』ヒュゥゥ・・ザザーッ。「ギネビア?」「話は聞かせてもらったわ。でもただ解放するのは芸が無いわよ。」
「どうせならこちらの眼を向こうに置いておくべきだ。」ザッ。「アテナ。」「すなわち袋返し。情報収集こそ
必勝の条件である。」ザザザザ。「砂風さん。」「およびユーディットです。小細工には小細工で返しましょう。」
「具体的にはいかにして?」「ミサさん、これこれこういうことできる?」・・「へえ、それは面白そうだね。」
「はああああーんっ!」ビクビクッ!クタッ・・「どうやらイッちゃったみたいね。」すっ、トロトロ・・
「綺羅様、お手拭きを。」「いえ、いいわ。」じゅる~っ、ピチャ・・「デリシャスね。」『うわ~・・』
「しばらく寝かせとけばだいじょうぶ。にしても・・エイプリルがこうまで反撃を受けたのは初めてね。」
「予想よりも手ごわそうですね・・」「考えてみりゃ、十二神が総がかりで倒せなかったんだからな。」
「・・力押しはもちろん、からめ手も通じにくいようですね。」「ええ。タイタンと四神獣だけならともかく、
彼らを助ける人間たちも油断できない連中ばかりよ。さらに加えて魔獣七鎧聖の一部も手を貸してるわ。」
「魔獣までも取り込むなんて・・」「利用できるものなら何でも、かな?」「・・オルガ、それは違うね。」
「どういうこった、ノヴァ。」「・・タイタンたちには種に対する偏見も神であることの驕慢も無いということ。
あくまで対等の友として接している・・それが求心力の強さ。これに匹敵できるのは・・綺羅様くらいかな。」
「たしかに私もエデンに多くの友がいて、いまだ交流もあるわ。だからわかるの・・タイタンたちの強さが。」
「ならばその繋がりを分断すれば、弱体化しますね。」「さすがリーダーのジャンヌ、そこが狙いどころよ。」
「ん・・」『ん?』「エイプリルが目覚めたようですね。」むくっ。「おいエイプリル、まだ寝とけって。」
「そうよ、ゆっくり休んで出番に備えて。」「あ、うん・・そうするぅ・・おやすみぃ~。」ぱたっ。・・キラリ。
「はい受信良好。すっきりくっきりクリアーよん♪」カタカタ。『おお~。』「操作精神網を逆探知して、さらに
逆洗脳をかけるとはね~。」「エイプリルの眼がカメラ、耳がマイクになって、このパソコンに受信できるの。」
「魔女もハイテクを使いこなすようになったんですね。」「レオに聞いた話では、魔界もIT全盛らしいからな。」
「えーっと、綺羅はこれ、あと3人の顔はこれね。コピペ。」ぱぱぱっ。「よし、あとで各部隊に回覧するぜ。」
「エイプリルはどこまで操れるのでござるか?」「無意識下レベルでの支配だから、本人は何も自覚してないわ。
見るもの聞くもの全てこちらに送信してくれるだけ。」「情報を安定して得られるのはきわめて貴重だな。」
「エイプリルが出張ってきたら、適当に対応しとけばいいのですか?」「いや、疑念を起こさせないために全力で
迎撃すべきだろう。ただ最後のツメだけわざとゆるめて、逃げさせるのが得策だ。」「気取られない程度にね。」
「う・・」「ミーメが気づいたか。さてどう対処するか・・」「はーい、まかせてまかせて!」『アラクネ?』
「ちょっとそこのホテルで気つけ処理♪」「目的と手段を入れ替えないでくださいよ。」「それは運しだいね。」
ぐいっ、どさっ。「そんじゃ、ちょっと楽しんできまーす。」『ヤリすぎないように~。』「自信ないけど~。」
「はて、描写は書かれるのでしょうか。」「おもいっきり十八禁になりますけど~。」「隠し外伝、かな?」
「ふむ、彼女を特別講師に招いて房中術を教えてもらうか。ナイトライフの充実は夫婦円満の秘訣だしな。」
「う~ん・・勉強しといたほうがいいのかな。」「貴族のたしなみとして伝えられてるのは学んだけどね。」
「うちの地方はハーレムが盛んだったから、けっこう知ってるよ。」「うちもオドルがあるから似たようなものだ。」
「知り合いにコールガールいたから、よく教えてもらったネ。」「うわ・・みんなススんでるんですね。」
「??よくわからない話題ですね。」【わからんでもええんじゃ、こういうのは。】「そんなもんですか・・?」
ズズズズ・・「いらん茶々が入ったが、本来の目的をどうにかしねえとな。」「ガンドロウムを捜すにしても
時間がかかるな。」『その心配は無用だ。』「なっ?!」ザン!「ガンドロウム?!・・なぜここに?」
「理由は簡単だ。『盟臨館』筆頭・土御門雅焔、手合わせ願おう。」びしっ!「よし、存分に相手しよう。」
『先生!』「みんなよく見ておけ、真の漢の戦いを。」ガラガラン。「鉄ゲタを脱いだ!」「それほどの相手・・」
ザン!ヒュォォォ~ッ・・「なるほど・・ウワサ以上の闘気。」「砕鎧拳轟との戦い、楽しみにしていた。」
『・・!』ダッ!「はあっ!」ドン!「いきなり全力の拳を!」「・・。」ザッ。すっ、パシーン!『おおっ!』
「受け止めました!」「ほう、半歩踏み込むことで無力化したか。」「攻撃とは線ではなく点だ。ある一点に
集中することで攻撃は完結する。ゆえにその点を外してやりさえすば、いかに強力なものも無意味となる。」
「見事だ。人間でそこまで見きわめた者がいたとは。」メキメキ・・ぱっ、ザザーッ。「ならば線で攻めよう。
むん!」ドオンッ!ズガガガガガーッ!「地面をえぐって衝撃波が!」「さすがにいい攻撃だ。だが。」すっ、
ズバアアアアーン!ズドシャアアアーッ!「なんと、手刀をかざしただけで衝撃波を分断しましたぞ!」
「指先に気を集中させ拳気を分かつか。その技量、賞賛に値する。」「ではこちらから参る。」ぐっ、ドン!
『おっ!』「疾い!」がしっ!ぐるっ、ガキイッ!「むうっ!」「あれはコブラツイストです!」メキメキ・・
「・・締め技とはな。」「古代角力・やまたのおろち。殴っても投げても効きそうもないのでな。これなら
連続してダメージを与えられる。」メキメキメキ!「ぐうっ!・・これほどの攻撃を受けるのは初めてだ。
はるばるやってきた甲斐があったというもの・・ふん!」メキイッ!バンッ!「むっ!筋肉の張りだけで外したか。」
がしっ!「殴り合いはお互い無意味のようだ。」「そこで提案だ。先にアパペーまでの道をつけてくれれば、
ゆっくり相手できる。」「わかった。みなそこをどけ。」どたどた。「はぁぁぁ・・」キィィィ・・「はあっ!」
ズドオオオオーン!グボボボボボーッ!『おおっ!』シュゥゥ・・「これで中心への道はついた。あとはまかせる。」
「ありがとう、ガンドロウム。みんな、いくぞ!」『はい!』「では私たちはここで先生の戦いを見届けます。」
「変な空間に入ってもお役に立てないでしょうし。」「足手まといの頭数はいらないよね。」『ミサはちがう。』
「この戦いはとても勉強になる。」「ブドー奥深いデース。松尾芭蕉はえらかったデース。」『それは奥の細道。』
「ではリヴィ、イエティ、リューズ。いくぞ!」タタタタ・・「・・ふっ。」「ほう、なかなかいい笑顔だ。」
「感謝されることなど、はじめてだ。」「その笑顔をまた見れることを希望する。」「努力しよう。・・さて。」
「再開といくか。」ざっ。「いや、今ので気が抜けた。お互い手詰まりでもあるし、新手を見つけたらまたやろう。」
「そうか。正直こちらも攻めあぐねていたところだ。」すっ。「どうだ、そこらで武術理論を肴に一杯。」
「タイタンたちはまだ戦ってるが。」「俺たちの仕事はここまでだ。あと成功を祈るだけ・・いや、連中なら
まず心配あるまい。それに祈り方も人それぞれだ。」「ふはははは!たしかにな。」「ほら、またいい笑いだ。」
「よっしゃ、オレがおごるぜ。」「あんた。正しくは国連の予算で、でしょ。」「同義語だろ?」「違うって・・」
「盟臨館のみんなもハタチは越えてるよな。」『はーい!』「三牙将のみんなも一緒にどう?」「よかろう。」
「つきあうわよ♪」「うむ。」「ポン酒を希望します。」「・・下忍のみなさんもどうぞ。」『感謝の極み!』
歪曲空間内。ズォォォ・・「入ったはいいが、こう歪んでいてはな。」「イエティ、あれをお願いします。」
「了解でございます。外道照身眼。」キラリ。「ふむ・・流れの中心はあちらのようです。」「では行こう。」
ゴォォォ・・「うわ・・この辺はもはや原型すらわからないほどメチャクチャです。」「混沌・・ですな。」
【まさに。空間を溶かし混沌とし、食らう・・我らでさえ心胆寒からしめるヤツじゃ。】「会うのが楽しみだな。」
ゴオオオオ・・「近いですぞ。」「ああ・・ものすごいプレッシャーだ。」ザッザッ・・ぴたっ。「中心部です。」
ドクン!ドクン!「これが・・アパペーか!」「巨大な・・心臓!」「なるほど、吸収した空間を血液とする
異次元の心臓ですか・・」「・・こんな魔獣だったなんて。」【お・・恐ろしや、異次元魔獣アパペー。】
「要はあの心臓をつぶせばいい。いくぞ!」ピキッ!「・・変神!」パキィィーン!シィィ・・シュバアアアーッ!
『むん!』ドドーン!『ヒドラソード!』シュルルルッ、シャキン!『一刀両断!でええええーいっ!』ゴオッ!
ドクン!ピタアッ!『なにっ?!・・前へ進まん!』グググッ!「あれは空間圧縮ですぞ!」「空間・・圧縮?」
【数kmの距離空間を数mの厚みまで圧縮したんじゃ。】「それじゃ・・とどかない!」『味なマネを!・・』
ドクン!グン!『ぬおっ!』「うわっ!」ブオオオオッ!ズダダダーン!「マスターが・・はじき飛ばされた!」
「運動ベクトルを逆転させられましたな!」ググッ、ザン『ちいっ!・・どうにか空間を読めさえすれば。』
「やってみます。蝶力招来!」グィィィーン!バサアッ!『虹燐粉!』バサバサッ!キラキラ・・「・・見えます、
燐粉の密度で空間の歪みがはっきりと!」「むう、あそこの空間に隙がありますぞ!」『あそこか。いける!』
さっ。『ルシファー第五章「テンペスト」!』ジャキジャキーン!『あれは・・ドリル?』【全身を覆うドリルか。】
「まるでジェットモグラですね。」「たとえが古いですぞ。」『おおおおおーっ!』キュイイイイーン!『突撃!』
ドオオオオーンッ!『おおっ!』【高速突撃仕様か!】『でやああああーっ!』ドクン!ギシイッ!「あっ、
また圧縮空間を!」『同じ手は通じん。加速!』キュイイイイーン!ヒュン!「おおっ!圧縮空間を猛スピードで
突破しましたぞ!」『もらったあああーっ!』ゴオオオオッ!ドブオッ!『うおおおおおっ!』グボボボボボッ!
ぴたっ。『・・光あれ!』カアッ!・・『プロメテウウウースッ!』ドンドンドン!ドブオオオオーンッ!
『うわっ!』ギニュウウウ~ッ!「空間が・・正常に戻っていきます!」「アパペーの支配が解けましたな。」
『タイタンは?』ゴォォォ・・シャバババッ!『ふうっ。』【無事じゃったか!】『ああ。びくとりぃ!』ぶい!
その夜、アンドラ公国・繁華街。ガヤガヤ。「へえ、こんな国があったんだ。」「知名度は低いが立派な独立国だ。」
「はーい、みなさんお待たせ♪」『アラクネ?』「後半まったく出ませんでしたが、レギュラーの自覚あります?」
「ちゃんとレギュラーとしての仕事はやってたわよ。ほら、ミーメ。」そっ・・「・・おひさしぶりです。」
「おお、正気に戻ったか。」(アラクネ、ナニしたんですか?)(うん。そのほうが説得しやすいからね。)
「状況は聞きました。・・タイタン、ヴォーダン様をお助けください。このままでは綺羅の思うがままです。」
「それは難しいですね。プライドの高いヴォーダンはマスターに助けられるくらいなら死を選ぶでしょう。」
「左様ですな。恥辱にまみれることは死よりも辛いことでしょう。」「?・・そんなヤツがいるのか?俺なんか
恥をかいたことなど覚えてないくらいあるぞ。」「だから一郎さんを基準に考えちゃいけないって。(^^;;」
「それは重々承知ですが、もはやそのようなことはいってられないところまで事態は進んでいます。いつ綺羅に
謀殺されるかと思うと・・」「いや、それはない。」『雅焔?』「ヒルダ、地政学の砕氷船テーゼを言ってみろ。」
「はい。他人を表に立てて戦わせ、いずれかが壊滅もしくは疲弊したところを叩くことで、ほとんど無傷で目的を
達成する術策です。」「古今東西を問わず、頻繁に使われる策だ。今までの綺羅の動向を見るに、その手を愛用
しているようだ。ゆえにヴォーダンが謀殺されるとすれば、こちら側が敗れたときのみということになる。」
「問題はヴォーダンがそこまで理解しているかどうかね。」「わかってても動きようがない、のかもね。」
「プライドが高ければ高いほど、現実を認めたくなくなるものだ。いわば裸の王様。」「オー、ノーミーニン。
ドリームに生きるだけではダメでーす。アクション イズ ファイナルアンサー!」「小切手を破きますか。」
「まさに。現状に甘んじ座したままでいるか、はたまた破いて真の誇りを貫くか。ヴォーダンも正念場だな。」
「めんどくさいから、こっちからアウターヘブンまでケツひっぱたきに行かない?」「それも面白いでござるが、
まずは綺羅の手勢たる『ノクターン・フォウ』を叩かねば。」「ほう・・そやつらとも手合わせ願いたいな。」
「ガンちゃん、まだ闘う気?」【つくづく格闘バカじゃの~。】「誉め言葉と受け取っておこう。ときに雅焔、
おすすめのツワモノはいるか?」「第二の櫻華はいいな。以前に手合わせしたが、華麗で美しい技を使う。」
「それは興味深い。」「やる気まんまんのようですね・・」「櫻華が殴られるのはちょっと見てみたい気も♪」
アウターヘブン。「春眠のエイプリルぅ~。」「夏雨のオルガ!」「・・晩秋のノヴァ。」「厳冬のジャンヌ。」
『精霊軍特殊部隊「ノクターン・フォウ」、ただいま参陣。』「こちらもこれでやっとこさ戦力がそろったわ。
次から出動するからよろしく。」「・・・・」「ではまずはオルガ、あなたの出番よ。」「おう!」ザッ!
「他の三人は適当に下界を下見してきなさい。気が向いたら暴れるのもいいでしょう。ただし!」はっ。
「国連秘密部隊に要注意よ。七鎧聖も十二神さえもことごとく退けた超人兵団・・それを忘れないで。」
『ははっ!』ボオッ・・「・・あの連中で勝てると思うか。」「さあね。うまく勝てればよし、さもなければ
次の手を打つだけ。今までと同じよ。」ぴくっ。「・・勝つ気がないのか。」「ふっ、だからあなたはダメなの。
勝敗など無意味、大事なのはいかに楽しいものにするか、ということよ。」「!・・」クワッ!ギリギリ・・
「そうか・・わかったぞ!キサマは大義や野望など二の次、ただ我らを駒にして遊んでいるだけだったのだ!」
「なにをいまさら。♪遊びをせんとや生まれけん・・そう、創世も破壊もしょせんは神々の遊びに過ぎない。
そうでなけりゃ知的生命体を造ろうなんて思い上がりも甚だしいことなんてやらないわよ。だいたいこの
神とか称するいけすかない連中もどうやって生み出されたのよ。もっと高位の存在によって造られたんじゃ?」
「う・・」「となると、することは一つ。そう、エデンは巨大なコロシアム。死闘は全て私を楽しませるためよ。」
「・・グングニル!」ビュオッ!くるっ、ぱしっ!「なにいっ?!」くるくる。「ありがと♪これ欲しかったの。
ありがたく頂戴するわ。じゃ、試してこよっと♪」スゥゥゥ・・「・・・・」・・ガクッ!「我は・・無力だ・・」
夏が来れば現われる 入道雲と台風が
邪悪な嵐がやってくる あらゆるものを食らわんと
それに向かう者がいる 無を司る大元帥
愚かな嵐の精霊よ 七鎧聖の力みよ
気刃が踊り虹が舞い 筆が走り拳が打つ
『まほろばの防人』たちよ、愛しき『くに』を護るため・・
大阪・九条南。サラサラサラ・・「15ページめ、下書き終わり。自動彩色。」♪ピピッ。「12ページめ、メカ描き済んだよー。セーブ。」
「10ページめ・・全コンプ。セーブ。」「あと3ページね。朝までにはUPできるぞ!」『おー!』♪ピロロロロ。「電話?」ピッ。
「ハルカです。あ、編集?だいじょーぶ、朝までには・・え?」『ん?』「ちょ、ちょっと!締め切り一週間延長っていきなり!」
「どーしたのハルカちゃん?」「・・猛烈に悪い予感がするんだけど。」「だから編集から延ばすなんて今までなかったじゃない!
いったいどういう・・もしもし、もしもし!・・切りやがった。」「締め切り延びたの?」「だってさ。ここ三日の修羅場はいったい
なんだったのよ。」「・・ならさっさと仕上げて発送しちゃお。そしたら一週間は遊べるから・・」「・・それもそうか。よっしゃ、
とっととUPして寝ちまおう!」『おー!』♪ピンポーン。「・・だれ?こんな夜中に。」「編集さんかなー?」「・・電車も無いけど。」
すたすた・・「どなた?」『こんばんは。いえ、もうおはようですかね。』「だれ?」『こーゆーものです。』さっ。「名刺?・・なっ!」
ガチャ!「開けてもらえると信じてました。」(早く入って!)「失礼します。」ガチャン。「・・だれ?」「変なおじさんを入れると
あとがコワいんじゃ?」「おひさしぶり・・でいいですよね。」「・・これ。」ピッ、シュイッ。『ん?・・ジークハイル?!』ぎょっ!
コポコポ・・「お茶どうぞ。」「ありがとうございます。」ズズ~。「・・あなたね、編集にねじこんで締め切り延ばさせたのは。」
「はい。皆さんにどうしても参加していただきたいイベントがありまして、お時間を作らせていただきました。」「ゆっとくけど、
世界征服も人類絶滅も手を貸す気はないわよ。わたしたちはマンガを描ければそれでいいの。」「もしそれを妨害するなら、大元帥と
いえども容赦しませんよー。」「・・昔のよしみで警告しておくわ。私たちは本気で敵対する覚悟がある。簡単に倒せはしないわ・・」
「わかっております。今回のイベントはそういうものではなく、こういうものです。」すいっ。『ん?・・魔獣七鎧聖・同窓会?』
「神戸で開催します。」『なんで。』「もっぱらあなたたちのために。遠いと来ないでしょ。」「う~ん・・ウラはないでしょうね。」
「洗脳して利用するなんて考えてませんかー?」「そんなことが不可能なのは百も承知です。おとなしく捕まるタマでもないでしょ。」
「そのとおり。・・ここまで誠意を見せられたら、断る理由はないね。」「・・まあいいでしょ。三日後に湾岸ホテルね。会費は?」
「こちらで全てお出しします。なお料理は和洋中の超一流どころを揃えましょう。」「しつもーん。みんな来るの?」「百獣鎧王はもう
滅んだから無理として、ディーネとリューズ、あとガン吉とカトちゃんか・・」「みなさんただいま交渉中です。ま、大丈夫でしょう。」
第三十七夜「まほろばの防人」 - 嵐の精霊「夏雨のオルガ」登場 -
リオ・デ・ジャネイロ。ブロロロ・・「おー、あれがコルコバードの丘のキリスト像ね。」「あのロープウェイで登るんだな。」『待たれよ。』
はっ!キキイイイイーッ!・・ヒュッ、スタッ。「あんたはジークの部下の。」『いかにも。シュバルツシルト忍群総帥・アルベリッヒ。」
「南米くんだりまでご苦労なことね。で、殺るの?」ぴくっ・・『否。用件はこれだ。』ぴっ、ぱしっ。「手紙だと?」カサカサ・・
「・・七鎧聖の同窓会ですって?」「なるほど、ジークの考えそうなことだ。」『ぜひとも出席いただきたい・・との言伝てなり。』
「出てもいいけど、ここからじゃ間に合わないわよ。」「どう急いでも24時間はかかるな。しかも時差がある。」『委細承知。』
ブラジル空軍基地。ゴォォォ・・「うわ・・」「これは・・」『超音速偵察機SR-71。改造して三人乗りにしておる。これならば
ものの5時間で日本までとどく。』「まいった・・こりゃ行くっきゃないわね。」「だな・・」『承知を感謝いたす。さ、乗られよ。』
キィィィ・・「バイクはあとでちゃんと届けてくれよ。」『うちの者が確実にお運びいたそう。では離陸いたす。』キイイイ!
ゴオオオオーッ!・・『離陸完了。高度8万フィートまで上昇後、超音速飛行に移る。』「あんたが操縦までやっちゃうとは驚きね。」
中国・上海。「・・ふう。さすがはガンドロウムね、濃くておいしかったわ・・」「・・なかなかの強敵だったぞ、櫻華は。」
「同じ汗をかくなら、キモチいい方がいいにきまってるしね。」「正直、これほど体力を使うとは思わなかった。奥深いものだ。」
「あら、しっかり底までとどいてたわよ。」「その話ではない・・ん?」トントン。『櫻華さん、お手紙がとどきました。』
「由比、そんなのあとでいいでしょ。」『いえ、速達で宛先はガンドロウムさん、差出人は・・魔獣大元帥なんです。』「むっ?」
「それを早く言いなさい。結界解除。」スゥ・・バタン。「うっ!・・これです。」そっ・・「ふふっ・・見て減るものじゃないわよ。」
「・・フケツです!」くるっ、タタタ・・バタン。「極度の潔癖症のようだな。」「病的なくらいにね。・・第四の彩とかにお願いして、
開通式させてあげましょうか。」「無理強いはいかん、余計に悪化させる可能性が高いぞ。」「わかってるわ、そのくらい・・」
「はあっ、はあっ・・」どきどき・・(・・あんなものが身体に入るなんて。考えただけでもおぞましい・・でも・・)すっ・・
とろっ・・(なんで?・・なんで濡れちゃうの?)「それが生理じゃからよ。」どきいっ!「うわっ!・・ご隠居?」「由比ねえちゃん、
ご機嫌よくなさそうなのだ。ウラ!」「ナデラも・・」「由比、そろそろ潮時かもしれんのう。これ試してみんか?」ひょい。
にょろにょろ。「いいっ?!」「リンガム蟲・入門編じゃ。痛くないぞい。」「いりませんいりません!」「ならばもっと優しい
これがいいのだ。キンバカヅラ!」♪トンタタトンタタ。ゴバアッ!シュルルルッ。「ええっ?!」ギュギュッ!「ちょ、ちょっと!」
「だいじょうぶなのだ。ゆっくりじっくり愛撫して開発してくれるのだ。うちの部族の女性はこれで鏡開きするので、初めてでも
痛くないそうなのだ。」「亀甲縛りとは、なかなか通な植物じゃの~。」「・・いいかげんに!」ボオッ!「しなさあああーいっ!」
ブチイイイーン!『おおっ!』「このスケベ男どもが!陰陽昇龍拳!」ドガアアアーン!『おわああああーっ!・・』キラリ♪
「たく!そのときはちゃんと自分でケジメつけますって!・・。」ちらっ。ニョロニョロ・・ごくっ。「・・ちょっとだけなら。」
「由比。」どっきーん!「は、ははははい!」「?・・出かけるわ。仕度をして。」「あ、はい。・・どちらへ?」「日本の神戸よ。」
飛行要塞アガルタ。『同窓会?』「ジークハイルからそういうメールが来たぜ。」「宛先はもちろんリューズへ。出席者は存命中の
全七鎧聖だって。」「それはまた豪勢な顔ぶれだな。」「で、リューズはもちろん出席するんでしょ?」「・・迷っています。
いまさらジークに会わせる顔を思いつきません・・」「そんなに思いつめることじゃないさ。立場は敵味方だが、それはあくまで
一面的な話だ。テーブルが違えば敵同士が談笑してもいいんじゃないか。」『おおっ!』「ん、なんだ?」「・・一郎さんが珍しく
主人公らしいセリフを。」「というか、初めてじゃないでしょうか。」「目立たない主人公という立場にあまんじておられるのも
そろそろ卒業でございますか。物語も最終クールにも入ったことですし。」「・・最終クールって、なに?」ガヤガヤ。
「こいつらは~・・(-_-メ」ぷっ!「あはははは!そうですね、そんなこと些細なことですよね。やっぱり出席します。」
【ま、たまには息抜きもよいじゃろ。】「ならば日本まで送るぜ。キャプテン、神戸だ。」『もう針路を変更してる。』
「さて、俺たちは同窓会の間、どうする?」「ユニバーサルスタジオいきましょ!」「あ、それいいですね。前回はコミケで
行くヒマなかったですし。」「ふむ、ジョーズと一戦まみえてみたいですな。」「ウォーターワールドショー、観たい・・」
飛空挺「飛燕丸」。「今回は出る幕はなさそうだな。」「ならば根来の里で湯治といくか。」「あ、それさんせー!あそこの湯は
お肌にいいのよね。」「形態変化もスムーズになります。」・・ダン!「何を悠長なことを!いますぐアウターヘブンに乗り込んで
綺羅を倒しましょう!」「ミーメ、それは実際的ではない。アウターヘブンの防衛設備の堅牢さは貴様が一番わかってるはず、
やみくもに突っ込んでもタコ殴りにされるだけだ。」「それは!・・」「今はまだ情報収集の段階でござる。何のために反間として
エイプリルを置いたのか、わからぬ貴殿でもなかろう。」「情報があれば一人で百万の軍団を壊滅することだってできます。しかし
情報が無ければ、勝利するのに幾万もの屍をも積むことになります。」「う・・」「さしあたって今いちばん大事なことは、その
ブイヤベースが煮えたか、ってことよ♪」グツグツ。「腕のよい料理人が来てくれてよかった。さすが北欧料理は本場仕込みだ。」
「・・なんで私がコックなんかしなきゃ。」ぶつぶつ。「今のうちに鍛えておけば、嫁入り修行にもなるわよ。」ぴぴくうっ!
「嫁?・・そうか、料理ができるのは結婚の条件として最強!よし、がんばるぞー!」トトトトン!「・・案外、単細胞ですね。」
ニューヨーク。パラリ・・「同窓会か・・行くの?」「少し悩んでるところだ・・もう七鎧聖の力を使えなくなった僕に出席する
資格があるのかどうか。」「私が知ってるかぎりでは、そんな了見のせまいのは百獣鎧王くらいしかいないわ。ジークもみんなも
温かく迎えてくれるはずよ。」「だからさ。・・その優しさが今の僕には苦しい。」「なるほど。・・わからないでもないけどね。」
♪ポーン。「なに?」『お客様です。アポなしですが、名前を出せば会えるはずと・・オセベルグ海運会長です。』はっ?!
「いいわ、お通しして。」『かしこまりました。』♪ピッ。「ナディア、隠密厳戒態勢。伏忍を配置しておいて・・気休めだけど。」
シューッ。・・カツッ。「はじめまして、ミス・クレオパトラ。そしてお久しぶりです、ザ・カートカ。」「・・ジークハイル。」
「ふんぎりがつかないと思いまして、チョクにお誘いに来ました。」「わざわざご足労を感謝します、オセベルグ会長。」
「いえ、古い友と再会し語り合うのは何よりの楽しみですから。でと、こういうものを持ってきました。」ごそごそ・・カタン。
「DVD?」「ビデオメールです。再生できますよね。」「もちろん。」チャッ、スーッ。ピッ♪『おーい、カトちゃん元気?』
「カトちゃん?・・あ、ザ・カートカだからカトちゃんなのね。ぷっ。」むすっ。「・・そういう呼び方をするのは一人だけだ。
そう、エル・ランジェロ。」『この姿で見るのははじめてだろうけどー。』『・・以前のようにまた美術について語り合いたいわ。』
『じゃ、大阪で楽しみに待ってるからね♪』フッ・・「そういえばランとは仲が良かったわね・・私もひさびさに会いたいな。」
ふっ。「ならばボクも同行しなきゃね。」「決まりですね。なお旅費はこちらで持ちますので。」「いえ、自分のアシを使いますから。」
ピッ。「マリア、ラ・ガーディア空港とシャイアンに連絡。アブロ・バルカンで大阪へ行くわ。空中給油の手配をしておいて。」
「ほう、英国の最も優美な爆撃機をお持ちとは。」「うちのハード事業部長がマニアなので。ついでに同乗して行きませんか?」
アウターヘブン。「へえ・・七鎧聖の同窓会とはね。これは面白そうだわ。」「綺羅様、いかに?」「オルガ、例の作戦を決行して。
目標は西日本の完全壊滅。メインはもちろん開催地の神戸よ。」「任務了解だ。とっておきの大物を送りとどけてやるぜ!」
「よろしく。では私は現地に乗り込んで撹乱工作をするわ。」『綺羅様ご自身が?』「そういう雑務こそ我らにお任せを。」
「おバカ。あれだけのメンツを相手に渡り合うのよ。」『う・・』「つまり私しかいないわけ。じゃ、お留守番よろしくね♪」フッ・・
「・・綺羅様もよくよく陣頭指揮がお好きで。」「人に任せる前にまず自分でやってしまうタイプですねぇ。」「上に立つ方としては
失格かもしれねえけど、だからこそ信頼できるお方だよ。」「味方だと頼もしいけど、もし敵だと恐ろしい・・それが綺羅様よ。」
神戸・湾岸ホテル。『♪こうべぇぇ~ 泣いてどうなるのかぁぁ~』すぱあああーん!x2「ひさびさに歌ネタが出ましたな。」
「お約束のツッコミどーも。」「ここで待ち合わせだったな。さて誰か来てるかな・・おっ。」『・・あ、おひさー!』タタタタ。
「一番乗りは地元の虚空画聖か。」「かつての仲間と会うってなんか楽しみなものね。」「はいこれ、新作の本だよー。」どさっ。
「今回もエロさに磨きをかけたから、夜のお供にぜひ・・」「しかし・・紙袋でいっぱい持ってきたものね。」「みんなへのミヤゲにね。」
「ランちゃんたち、また私を描いてくださいね。」「そりゃもう。リューズはきれいだから描きがいがあるわ。」【・・ひょっとして
リューズをネタにエロは描いておらんじゃろうな。】『ぎくっ!』ぱらぱら。「・・この妖精モノ、よく似てるけど。」『どれどれ。』
「お~、こりゃすごい・・」「うわ・・迫真の描写だわ。」「・・あ。ちょっと失礼します・・」「待ってリヴィ・・私も行く。」
タタタタ・・「そっちじゃない、こっち・・」「え?でもここ女子トイレ・・」「いいから。」ぐいっ!「で、でも!」ずるずる・・
ぱたん。「エリス・・」カチャカチャ・・「流すなんてもったいない。なら私にちょうだい・・」はぁっ・・「む・・」「あ・・」
ガーッ。「おっ、いるいる。」「やほ。みんなまだ生きててなにより!」「龍哉と朱音か。」「大阪で出会ったメンツはそろったな。」
「えっと・・ジークはまだ来てないみたいね。」『主はこちらへ向かっておる最中、じき到着される由。それまで拙者が代理で
エスコートを仰せつかっておる。』「これだけ集まれば、もうだいじょうぶだな。じゃ、リューズは預けるぞ。」「明日の朝にでも
買ってあげたそのケータイで連絡してね。迎えに行くから。」「わかりました。ではみなさんもごゆっくり。」【それでは。】
「おっと、リヴィとエリスがまだトイレか。」「ちょうど戻ってまいりましたぞ。」タタタタ・・「おそくなりました!」
「・・間に合った。」「では行こうか。」カツカツ・・すっ。「はい、ティッシュ。」「え?」「口の左わき。」「あ・・」ふきふき。
バーラウンジ。シャカシャカ・・コポコポ。「マルガリータでございます。」コトン。「これなら甘口だしリューズの口に合うわ。」
「俺はソルティ・ドックで。」「マンハッタン。」「忍者さん、いちおう確認しとくけど、この飲み代もジーク持ち?」『無論のこと。
ゆえに拙者もいただこう。レミー・マルタンで。』「じゃあトカイを。」「ワイルドターキーをダブルで。」「・・アプサン水割り。」
ツカツカ・・「ここにいるって聞いたけど。」「む、あそこにリューズが。」「あ、ガンちゃん、こっちこっち。・・櫻華さん?」
「ちょっと縁があってね。タイタンたちは?」【今回は別行動じゃ。】「あらそう。で、こちらがウワサの天震鎧姫のお二人と
虚空画聖の三人ね。」「NO.6にもらった資料であんたのことは知ってる。」「あのデータだと恐ろしい妖女かとも思ったけど、
実物は予想外にきれいね。」「ありがと♪・・ん?」サラサラ・・「こんな美人、めったにいないからデッサンしとくのよ!」
「あのラインがむずかしいよ~。アンドゥ!」ピッ♪「湧いてきた沸いてきた、新たなえろシチュが・・」カタカタ・・
「なんなら脱いであげましょうか?」『えっ?!』「もちろんここじゃなくて、あとで部屋ででもね。」『ぜひお願いしまーす!』
『あら、ヌードなら私のほうが自信あるわよ。』はっ?!「誰も数十万歳のシワシワなんか見たくないわ。」「ごあいさつね。」
スゥ・・「あんたは綺羅!」「ほう、これは。」『むむう、これは予想外。』「うわ、ヤなのがきた・・」【くわばらくわばら。】
「おお、ひさしぶりだ。」『・・だれ?』どんがらがっしゃ~ん!「あいたた・・こらエル's!敵の顔くらい知っときなさいよ!」
「だってはじめて見たもの。」「話は聞いてたけどぉ。」「・・実物は予想以上にえろオーラがバリバリね。」『・・さすが七鎧聖、
敵の首魁を前にしてこの余裕とは。』「で、魔軍鎧聖は?ひさびさに会ってみようかなって思ったんだけど。」「ここですよ。」
はっ!カツカツ・・『・・ジーク!』「おひさしぶりです、精霊女王・綺羅。」「元気そうね。ちょっと封印が弱すぎたかしら?」
「いえいえ、おかげでゆっくり寝させていただきましたよ。」ゴゴゴゴ・・『うわ・・』「一触即発・・」「はいそこまで。」すっ。
「?・・あなたは!」「あいかわらず悪のかぎりを尽くしてるのね、あんたは。」「・・クレオパトラ。」「おや、お知り合いで?」
「昔にちょっとね。」「く・・」「?・・綺羅のあの様子はもしや。」【・・怯えておる、な。】「まあそう固くならずに。いますぐ
とって食おうなんてしないから。」「・・あなたがいるのなら、作戦変更ね。」スゥ・・「遠慮せずにゆっくりしてったら?
積もる話もあることだし。」『どうせそのあと、殺るつもりでしょ・・』「あのときぶち殺さなかったのは一生の不覚だものね。」
『・・』スゥゥ・・「綺羅が・・逃げた?」「何者だ、あの女性は・・」「クレオパトラ・アレクサンドラ。またの名を
『銀河の女帝』と呼ばれる史上最強のサイキッカーだ。」すいっ。「・・カトちゃん?」「そーだ、カトちゃんだよー!」
「その呼び方はやめろって以前にも言ったはずだよ、ラン。」「・・可愛く転生したものね。ぜひ受けで出演させなきゃ。」
「で、なにゆえ綺羅はあなたをあれほどまでに恐れるのですか?」「ああ、理由は簡単よ。綺羅が私を倒すのは不可能だから。」
『なんで?』「それはヒ・ミ・ツ♪」「ちなみに僕の見解だと、七鎧聖でも難しいだろう。」むか。「・・!」ちょい。シュパッ!
「まあ綺羅よけの役に立っただけでも来た甲斐はあったわ。」「・・?」ちょちょい、シュパパパッ!「?・・朱音、なにやってる。」
「じゃ、私は神戸の支社で仕事してるからごゆっくり。」「わかった。」「ご同行ありがとうございました。」「いえいえ。じゃ♪」
「はあっ、はあっ!・・な、なにあいつ?『気刃』がまったく効かない!」「?・・お前、気刃なんか出してなかったぞ?」
「え?・・そんなまさか?!」「なにか妙な仕草をしてるので変には思ったが。」「??・・なにがどうなってるの・・」
ふっ。「それが『銀河の女帝』の恐ろしいところさ。」「・・なるほど、たしかに俺でも難しい、いや、攻撃不可能だな。」
「ガンちゃん、わかったの?」「私もわかったわ。『夢幻の悪魔』の結界・・お姉さまが恐怖するだけのことはあるわ・・」
カツカツ・・「護衛ごくろうさま、ナディア。」『それが私の務めですから。』シュタッ、カツカツ。「あれがウワサの綺羅ですか。」
「すぐ逃げたのはさすがね。グズグズしてたらマジで滅殺してやったけど、うまく気を外されちゃったわ。」「またいずれ出会う
機会はあります。そのときこそ・・」「あなたの『夢界』があれば、どんな攻撃も無意味・・いえ、ひとつだけ例外があるか。」
「はい。しかしそれが可能なお方は敵ではありません。」「いちおうはね。・・そうだ、京都行こう。」「陰陽庁長官ですか?」
「あなたも三獣詞に会いたいんじゃ?」「そうですね・・みんな少しは上達したかな。」「まあ先生には遠く及ばないだろうけど。」
ふたたびバー。「カトちゃん、『眼』をなくしたのね。」「もう普通の目だけさ・・これでいいのかもしれない。」「いや、よくない。」
『ガンドロウム?』「ちょっと見せてみろ。・・むん!」ピリッ!「いたっ!」「経絡秘孔を突いた。どうだ?」「いたたた・・あれ?
この感覚は・・まさか?」「このスプーンで試してみろ。」ぱしっ。「・・。」キュルルルッ。「うわ、ねじれちゃった。」「使える・・
これなら?」キン。ボシュッ!「・・分子崩壊?」「完治したようだな。」「・・余計なことを。」「持っているものを使わぬ手はない。
大事なのはそれをどう使うか、だ。」「へー、ガン吉って北斗神拳使えたんだ。」「ねえねえ、ひと突きでボンッ!ってのできる?」
「うむ。面白くないのでまず使わぬが。」「・・1秒で何発打てる?」「計ったことはないが、まず20打くらいは。」『おお~。』
「あの五人・・じゃなくて、三柱、昔から仲いいのよね。」「ザ・カートカとガンドロウムの組み合わせは意外ね。」「正反対なので
かえってお互いに無いものを認めてるようですね。」「そーいうのもあるか。・・リューズ、うちの姉がかなり迷惑かけてるね。」
「はあ、正直キショいですね。」『おおっ!』「なに?」「・・リューズもそういう言葉を使うんだ。」「けっこう驚いたぞ。」
「これは新鮮ですね。他には?」「えーと・・もうちょーMMってカンジー。(ぼーよみ)」『あはははは!うまいうまい!』
『御屋形様、宴の用意が整いましたと。』「予定どおりですね。では皆さん、宴会場のほうへご案内いたします。」ガタガタ。
アウターヘブン。「オルガ!」バタン!『綺羅さま?』「オルガならもう出撃しましたが。」「連絡とれないの?」「無理ですぅ。」
「作戦変更よ。相手が悪すぎる・・台風くらいじゃ倒せないわ。」「・・綺羅さま、オルガは放っておいても全力で事にかかります。
その台風の規模は地上界にかつて無かったほどのもの、やおか容易には防げません。」「う~ん・・まあ、任せてみましょうか。」
「だいじょおうぶですよぉ、オルガちゃんなら。」「そう願いたいわ・・?」ぴくっ。「いかがいたしました?」「・・いえ、なにか
誰かに見られているような気が。」『え?』きょろきょろ。「・・誰もいませんけど。」「私たちを出し抜けるような者は、もはや
ヴォーダンの部下にはいないはずですが・・」「・・でも、綺羅さまの懸念もわかるような気がしますぅ。まるで全ての謀り事が
誰かに筒抜けになってるようなぁ・・」『まさか・・』「・・とにかく、防諜には念を入れて。漏洩は致命傷になり得るから。」
紀州・根来の里。「・・そのとおりよ。」「さすが綺羅、感じ取れるだけ部下より偉いな。」「今回は気象を操る精霊でござるか。」
「ノヴァのいうとおり、オルガの起こす天変地異は戦略核をも凌駕する破壊力よ。こと気象に限ってはシカンナより上手ね。」
「となると、事前に制するのが先決ですね。」「私が行きます。ノクターン・フォウ・・操られた借りは数億倍にして返してやる。」
「ミーメ殿、良い意気込みだが勝算は?」「『妖しき紫水晶』と呼ばれたこの腕、やおか精霊軍特殊部隊などに後れはとりません。」
「よかろう。今回はミーメを主力とし、我々はバックアップに徹する。」「けど負けそーになったら、乱入したげるからね♪」
「みなさん、きび団子をどうぞ。」『あ、すみませーん。』「いえいえ、うちの亭主がいつもお世話になってますから。」「う、うむ。」
「素朴な疑問です。同僚がほぼ若い娘ばかりというのは不安では?」「ぜんっぜん心配してません。だってウチのはスジガネ入りの
朴念仁で、私も苦労させられましたから。」「おい・・」「むしろ若い忍び達の方が心配ですわ。据え膳食えずに、夜な夜な皆さんを
オカズにしてるかと思うと、不憫で不憫で・・」『あ~・・はははは。』「鉄の、いや、ハガネの処女ばかりだからの。ふはははは!」
「反論です。少なくとも一人は処女ではないはずですが。」『あ・・』くるっ。「・・ギネビア、いつからユーディットはこれほど
毒舌が走るようになったのだ?」ぴくぴく・・「んー、少なくとも言っちゃいけないことを言ってしまうのはまだ問題ありね。」
「うむ、心で思ってても口に出さぬが大人というもの。」「いまだ精神は子供のままということですね。」「あなたの胸ほどは。」
ぶちいっ!『まーまー。』じたばた!「胸のことは言うなああああーっ!」「よっぽど気にしてるのだな・・まあ無理もないか。」
湾岸ホテル・宴会場。『おお~。』「すっごい料理の種類!」「キャビア・フォアグラ・トリュフ。フグ刺しに白子、アワビにカキ。
北京ダックにフカヒレ・・よくもまあ。」「成金趣味なのは承知のうえでそろえました。いずれも名産地直送、超一流シェフの
手が入ってます。」「さすがジークね、これだけのものができるなんて。」「・・うどんは無いのか?」「そういうと思ってました。
そちらを。」「む?・・これは!」「上質のうどん粉と麺打ち道具です。いかがでしょうか。」「うむ・・極上。よく気が付く。」
『では七鎧聖のみなさん、これより第一回親睦会を始めます。』ぱちぱちぱちぱち。『まずゲストの菖 櫻華さんより祝辞を賜ります。』
『コホン。ほとんどの方はおひさしぶりですわね。思えば数十万年前にもこうやって宴をよく開いたものですね。あの頃のエデンは
本当に美しかった・・でも、今の世界を憎むのはスジ違い。ほんの数百年前と比べ、人は神々を信じなくなり、己が信ずる道を
それぞれに歩みはじめました。たとえそれが誤った道であっても、それは自分で定めた道であるということが大事なのです。これこそ
デウスがエデンへの干渉を禁じた理由。神頼み・他力本願をせず、自分で考えて決め、そして自分で動く。これが進化です。
文明発祥より数千年、ようやく人類はここまできました。今は次の階梯を登るための学びの期間でしょう。そう、多大な犠牲を払って
人類は少しづつ進化していくのです、その犠牲者の魂を背負うことで。これは別に人間だけでなく、あらゆる生物に共通の進化の
あり方。事実、生物は数億年の歳月を費やして進化してきたのです。それに比べれば人間など現生人類からでもたかだか数万年、
まだまだひよっ子です。もうちょっと見守ってあげようではありませんか。そう、あと数千万年はね。』ワハハハハ!パチパチパチ!
『ありがとうございました。それでは乾杯の音頭は、我らがアイドル・リューズ・・』「え?私ですか?」『・・の忠実な執事、
ゴーガにお願いしましょう。』【ワシかぁ?!】オーッ!「そーよね、考えてみればゴーガも七鎧聖だよね。」「うむ。ついつい
見過ごされがちだが、ゴーガも立派な我らの仲間だ。」「はい。ゴーガ無しには私も戯蟲聖女ではあり得ません。」【くうう~っ!
身に余る光栄でございます!・・僭越ながら乾杯を勤めさせていただきます。七鎧聖の皆さん、ご起立を願います。】ガタガタ。
「グラスは私が持ちますね。」【それでは、七鎧聖諸兄の健康と人類のこれからの進化の可能性を祈って。】『カンパーイ!』
神戸元町。ジュージュー!はぐはぐ・・「この肉はうまいのだ、ウラ!」「ほっほっほ、ウワサの松坂牛を食えるとはついておるの。」
「これなら待機組も悪くないですね。お小遣いもたくさんいただいたし。」「もう一枚食べるのだ。」「ワシもいただこうかの。」
「ふふっ、ナデラもご隠居も嬉しそうね・・?!」ぴくっ。「この気は?・・」『ん?・・!』ぴたっ。「・・かなり遠い・・でも。」
「むう・・これはいかんの。」きりっ。「とてつもなく悪い気なのだ・・」・・こく。ばくばくばく!もぐもぐ・・『おあいそ!』
ダダッ!「櫻華さんがいないと応龍が呼べません。」「インファ呼ぶか?」「よいよい。こんなこともあろうかと。」ごそごそ、ひょい。
「・・象牙細工ですか?」「すごいこまかいのだ。」「ほいっ。」ぽいっ。・・グオオオオーッ!『おおおっ?!』ズズズズズ!
「でっかくなったのだ。ウラ!」「飛行戦車『エゼキエル』じゃ。」「はぁ・・すごい。」「これで向かうぞ。さ、乗ったのった。」
ドカドカ。「さ、ここが船室じゃ。」「あれ?・・操縦装置は?」「これじゃよ。」「・・輪?」「ナデラ、回してよいぞ。」「ウラ!
ぐるぐるぐる!」ぐるぐるぐる。ズズズズズ・・「うわ・・ホントに浮上した。」「人力を特殊なからくりで浮揚力にしておる。
ゆっておくがエネルギー保存則には準じておるぞ。ただ損失がほとんどゼロに近いだけじゃ。」「ムダが無いわけですか・・」
「ナデラ、もうよいぞ。」「ウラ!」ぱっ。ぐるぐるぐる・・「回すのをやめても回ってるのだ?」「無摩擦はずみ車じゃからの。
慣性はほぼ九分九厘保たれるに、あとはたまに回してやればじゅうぶんじゃ。」「さすが古代科学の権威・・」ゴォォォ・・
宴会場。ガヤガヤ・・「カトちゃん、ずいぶん丸くなったね。」「そうかな?・・転生したこの身体のせいかな。」「かもしれんな。
現にコイツもだいぶ性格変わったぞ。」「どう?」「まず大食いになった。」ばくばく!「そして大酒飲みにも。」んぐんぐ!
「・・たしかに。昔のディーネは少食で下戸だった。」「そうだっけ?ま、おいしいもん食べて飲んでりゃなんも問題ないない。」
「いや、問題はある・・腰まわりだ。」「同感だ。」ぶちっ!「気刃!」シュパッ!「サイコシェイド。」ピィン、バシイイイーン!
「ちっ、読まれてたか。」「わからいでか。ディーネの短気さは昔のままだ。」「上等。ならば勝負よ金眼念聖!」「おー、やれやれ。」
シュパパパッ!パキィィーン!ドカドカドカーン!「なつかしいわね~。ディーネとカトちゃん、昔のまんまケンカしてるわ。」
「武器でも描いてあげよっかー?」「・・ここはやはり押し倒してねじ込むべきね。」「能力は邪道、やはりゲンコツでなければ。」
「ねえ、タツヤくん。」「なにか、櫻華さん?」「今晩どう?年上の女も体験しといたほうがいいわよ。」「おお、そりゃいいかも。」
ぴくくうっ!「ストップ!」「なんだ?」ダダダダッ!「ちょっと櫻華さん、うちのタツヤになにしてんの!」「ナニの相談よ♪」
「・・まるで公衆便所ね。」「なかなかナイスな表現ね。まあ下品なのは品性の問題か。」ぴしいっ!(-_-メ「・・あんたとは前々から
ケリつけなきゃって思ってたのよね。」ぽきぽき。「あら、気が合うのね。私もいっぺんぶっとばしてみたかったの。」ぱきぱき。
「しばし待て。」ぬっ。『ガンドロウム?』「場をわきまえろ。双方とも能力・得物は使わずベアナックルのみならよかろう。」
『あんた止めんのかい!』「拳の語らいは千万言よりも雄弁だ。親睦を深めるには殴り合いが最良。」「かなり過激だが、真理だね。」
「ではそういうことで・・!」「いいでしょう・・!」ダダッ!『はああああーっ!』ビュッ!ドバギイイイーン!『おおっ!』
「みんな楽しそう。」「開いて正解だったでしょ。」【もともとお祭り好きな連中じゃしの。】「でもお料理が多すぎません?どうみても
百人ぶんはありそうですが。」「いえ、これでいいんです。・・アルベリッヒ。」『ははっ。』スッ。「部下たちを呼んでご相伴を。」
『は?!・・しかし。』「おおぜいいたほうが楽しいですから。それにこれは当初からの予定です。」『・・お心遣い、感謝の極み。』
さっ。シュタタタッ。『御屋形様よりの大盤振る舞いである。皆楽しめ。』『ははーっ!もったいのうございます!』ザザッ!
ガヤガヤ!「・・さすがジーク、部下に優しいのは昔のままですね。」【その寛大な御心、まさに指導者の鑑でございまする。】
「面映いですね・・おっとそうです。虚空画聖。」「ん、なに?ジーク。」「ギャラリーも増えたことですし、例のアレをぜひ。」
「あー、アレね。カナタ、マキョウ!」「これだけ観客がいればやりがいあるね。」「・・コミケで上演禁止のやつでどう?」
ドカドカ。『宴会芸いっちばーん!虚空画聖、瞬転コスプレ!』パチパチパチ!「せーの、はいっ!」くるっ、ぱぱっ。オオッ!
『超音速のMS少女隊!』「ウイングゼロ!・・お前を、殺す。」ジャキーン!「モビルカプール!」ころころころりん。
「・・カンタムロボ。」『それはちがうぞ!』ぐいっ!「なっ?!」「・・超震動電気アンマ。」ズガガガガガッ!「おおおおーっ!」
ズン!「二番、ガンドロウム。うどんを打つ。」『はあ?!』バサッ!ぱんぱん、じゃーっ、こねこね。『おお・・見事な手際。』
「むん!」ズドドドドッ!ドボボボボッ!「麺打ち完了。」「あっという間に・・さすがの豪拳。」シャシャシャッ、グツグツ・・
「ゆで完了。ふん!」ジャーッ!ざっざっ!ささっ。「ぶっかけで食してほしい。」『いただきます。』ずるるるる~っ!・・む!
『うまあああーいっ!』「なんという見事なコシ!」「噛み切るのが難しいほどとは!」「味も濃く、ダシなど不要だ!」
「ガン吉にこんな特技があったとはね。」ずるるる~っ。「彼はけっこう繊細で純情なのよ。ベッドで確認したわ。」つるつる。
「三番、リューズ・ヲルム。カラオケを歌います。」オオオオーッ!「なにこの盛り上がりは?」「リューズはアイドルオーラが
バリバリだから当然だよ。」「・・コス・プレとかやらせてみたいわ。」♪ピッピッ。「どんなの歌うんだろうね?」「そりゃやっぱ
あOやとかじゃない?」「意表をついてドOカムとか。」・・♪ジャジャーン!ドヨッ!『このイントロは・・まさか?!』
「♪沖のぉぉぉ~カモメにぃぃぃ~っ!」ずどどどどっ!「あたたた・・まさかど演歌とは。」「誰が教えたんだ、だれが。」
「四番、菖 櫻華。ストリップします。」ブーッ!「ちょ、ちょっとあんたなにを!」オオオオーッ!(盛り上がる男性陣)
♪パラララ~。すいっ、ぱらっ。ムオオオオーッ!(さらに盛り上がる男性陣)「ふふっ、じゃあご開帳。」ぱらり、ぱかっ。
『おおおおお~っ!』(別のイミで盛り上がる男性陣)「こ、これは!スケッチよ、スケッチ!」「こんな見事なの見たことないよ!」
「う~ん・・どんな漢も一目で堕ちる天下の名器。世界文化遺産に指定すべきだわ。」サラサラ・・「じっさいコレで滅びた王朝は
数知れないそうです。」「まあ・・」【なんちゅうお方じゃ。】「タッちゃん!そんなもん見ちゃダメ!」「こら手を放せアカネ!」
「かつて一夜で百人の豪傑を腎虚にした傾城の名器よ。味わってみたい?」『みたいみたい!』(爆発寸前の男性陣)ぱんぱん。
「はいそこまで。これ以上は十八禁になるので、あとは二次会でやってください。」『御屋形様の命である、みな辛抱せい。』
『しかし棟梁!』『ワシも耐えておるのだ。ほれ。』ギンギン!『・・ははーっ!』「櫻華さんもしまってください。」「ええ。」
「・・ジーク、欠員の七鎧聖にふさわしいんじゃないか?」「そうですね。櫻華さんさえよければ、二つ名を捧げたいですね。」
「あら光栄ですわ。ぜひいただきたいです。」「では・・『淫仙華聖』とかどうでしょう。」「いい名ですね。謹んで拝命します。」
大阪・USJ。ワイワイ!「あー、もうすっかり夜ね。」「だいぶ遊んだからな。」「そろそろホテルに戻ろうや。明日は朝から
リューズを迎えにいくしな。」『はーい。』ヒュゥゥ・・ぴくっ。「この海風は?」「・・リヴィ、なに?」「・・嵐が来ます。」
「海に生きるリヴィ殿ならわかるでしょうな。」じーっ・・「・・おかしいです。」『ん?』ごそごそ、さっ。「このケータイで
気象衛星の画像は見れるよね。」♪ピッピッ。「気象庁HP・・これ。」「・・やっぱりおかしい。気圧配置図・・わかった!」
「どうしたリヴィ。」「南方海上に異常な低気圧団があります。自然則に反した、人為的操作をされてるとしか思えない規模の。」
「・・『夏雨のオルガ』ね!」「どうやら超大型台風を作ろうとしてるようです。」「休暇はこれまでだな。アガルタを呼ぶぜ。」
「リューズを呼ぶ?海上なら飛行戦力が必要よ。」「いや、今回は俺たちだけで行こう。」「そうですね。海ならなんとかします。」
同時刻、沖ノ鳥島海域。ゴォォォ・・「こんなもんだろ。せいっ!」・・ゴオオオオオーッ!「超大型台風いっちょあがり。進め!」
ゴオオオオ!「まっすぐだ。全速力でいけ!」ズズズズズ!「最大風速100m。さて何万人死ぬかな?楽しみだぜ。あはははは!」
飛行戦車エゼキエル。「いけない・・天の竜脈が乱されています。」「衛星画像を見よ。あっという間にばかでかい台風ができおった。」
「西日本を覆うほどの暴風域なのだ、ウラ!」「・・これほどの規模とは。私の八卦炉で消せるかどうか。」「難しいかものう。」
「やっぱインファ呼ぶか?」「いえ、それより先に総司令に連絡をとりましょう。」「おお、それが賢明じゃ。」♪ピピッ。
「こちら四魁閃、アガルタ応答ねがいます。」『こちらキャプテン、受信良好。』「沖ノ鳥島付近に超大型台風発生。敵の手による
ものかと思われ急行中です。」『こちらでも認識している。上を見ろ。』「え?・・あ。」・・ドドドドド!「なんじゃ、来とったか。」
『合流するか?』「別行動のほうが今回はよろしいかと。」『総司令も同感だそうだ。では作戦を伝達する・・』・・「了解。」
忍空挺・飛燕丸。「合流したか。」「こちらは回り込んで後方から追い上げよう。」「後方からなら暴風圏も薄いから接近がラクね。」
「オルガもきっと台風の後方にいるはずです。破壊された地上を見て喜ぶヤツですから。」「前方哨戒に出撃いたします。」
「私も行きます。」「では背中にお乗りください。」「?・・こうですか?」ひょい。「鴨居に気をつけてください。」「え?」
ダッ!ゴン!「あいた!」ゴオオオーッ!「うわわわっ!」「ユーディット・ジェット。」シャキシャキーン!「おおっ?!」
キィィィーン!『操縦は私がしますので。』「それ以前に操縦器も計器もないでしょ・・ま、ラクチンではあるけど。」
ゴォォォ・・「ミーメ殿の実力はよく知らぬが、だいじょうぶなのか?」「あれでもアスガルド神軍で五本の指に入る猛将だ。」
「ちょっとツメがあまいけど、それを補って余りある戦闘力は保証するわ。」「ほう、二人がそこまで誉めるとは面白いな。」
神戸・宴もたけなわ。「下忍衆・ピラミッド縄跳びやります!せーの。」『♪けんこーけー、けんこーけー、あーみのしきっ!』
ヒュンヒュン。ザン!ザン!「すごいすごい!」パチパチパチ!「はははは。お見事です。・・さて、そろそろお開きにしましょう。
かなりできあがってる人がいたり、」「ダヅヤー!あんだはあだしのもんよ~。誰にもコレは渡さないんだからー!」ぎゅ~!
「だからその手を放せというに!いててて!フクロを絞るな!」「ワイ談してる人がいたり、」「今回の新作のテロップだけど・・」
『ふむふむ。』「ろりサキュバスもので・・」『おお~。』「・・ウテルス挿入が見せ場ね。」『ぬおおお~っ!買うかう!』
「なにやら高尚な話をしてる人がいたりで、」「・・ゆえに言葉というものは修飾に過ぎんと俺は思う。やはり原始の会話、
すなわち拳こそ全ての起源ではないかと。」「それは違うよガンドロウム。言語を持つことで文明は発展してきたんだ。やはり
言を尽くし合うことが進化の道だよ。」「いや、言葉だけではわかりあえんのが現実だ。相手に対する疑心暗鬼がその根底にあり、
それが真実かどうかを疑ってしまうのが世の常。剥き出しの自分、すなわち一度原始に戻ってこそ真にわかりあえるのではないか。
言はそこから始めればよい。」「だが戦いには勝者と敗者が生じる。その間でのコミニュケーションは公平とはいえないよ。」
「ならば問う、ザ・カートカ。勝利とは、そして敗北とは何か?」「・・一概に定義はできないな。」「なぜならそれはそれぞれの
パラダイムに過ぎぬからだ。勝ったと思えば勝利、負けたと思えば敗北。ゆえに負けたと思わねばそれは敗者ではない。」
「はあ・・朝までやってそうですね。」【意外とインテリじゃったんじゃの。】「てなわけで、ここらでいったん切りましょう。」
ぱんぱん!『それではここでお開きにします。二次会はそれぞれで楽しんでください。最後は恒例の一本じめで締めます。
ガンドロウム、音頭を。』「よかろう。では!いよーっ!」ぱんっ!『はいお疲れさまでした。なおこのホテルは今夜は貸切りで
バーやレストランも一晩じゅう開けさせてますのでご自由にご利用ください。むろんお代は私持ちです。』「この会場借りていい?
二次会の希望者多くて。」『よろしいですよ櫻華さん。えーと・・お酒も料理もじゅうぶんに残ってますね。なんとかなるでしょう。』
「ほらタっちゃん、部屋に引き上げるよ!」ずるずる。「放せ~!オレもここで二次会を~!」ごすっ!「だれが許すか、ボケ!」
「ザ・カートカ、バーで延長戦だ。」「いいだろうガンドロウム。朝までとことん話しあおう。」「熱き議論の拳を交わそうぞ。」
「私たちはレストランでゆっくりしましょうか。パティシエ自慢のスウィーツがありますよ。」「あら、それはいいですね。」
『御屋形さま、拙者は・・』「ああ、今夜はいいでしょう。どうぞ存分にお楽しみください。」『ははーっ!感謝の極み。』
「わたしらはやっぱり。」「ネタ集め~!」「・・これから始まる酒池肉林、狂乱の宴をしっかり取材しましょう。櫻華さんのテクも
とても参考になるでしょう・・」「乱交に巻き込まれても知りませんよ。」「だいじょーぶ。」サラサラ・・ピィン。『不可視の壁よ。』
コンコン。「天井までぴっちり・・さすが、やるものね。」ガヤガヤ。「ひのふの・・ざっと20人か。まとめてカモン♪」オーッ!
(これ以降は十八どころか二十禁クラスの光景が続く・・)『うわ~・・』さらさら・・「すっごいすごい。ホントに一人で20人を
相手にしてるよ。」「これが全シャかー。液の滴り方とか参考になるね。」「・・彼女はまさに女王だった。無数の獣どもをやすやすと
手玉にとり、従わさせている・・そう、陵辱されているのはむしろ彼らのほうではないのだろうか。」カタカタ・・「さあ一斉にどうぞ。」
『うっ!』『おおっ!』「やった!究極奥義・一斉放射!これが見たかったのよ!」サラサラ!「まさに至芸だね!」サラサラ!
「・・豪雨のごとき白い雨。全身を黄白色に塗りこめられた彼女の肉体はむしろ輝きを増している・・美しいわ。」カタカタカタ・・
北大東島・北北東500km海域。ゴォォォ・・「・・なんて大きさの台風なんだ。」『暴風圏はゆうに半径700kmに達する未曾有の
超巨大台風だ。最大風速120m。』「災害精霊の名はダテじゃないということね。」「これほどの規模となると、どうやったら阻止
できるんでしょうか・・」「ちょっとやそっとの能力ではまさに蟷螂の斧ですな。」「・・個々の能力だとそうだね。でも・・」
「オルガとやらを倒すのが早道じゃねえのか?」「いえ、いったん生み出された台風はもはや自然現象です。オルガがいずとも
いささかも勢力は衰えないでしょう。」「となると、残る道はひとつね。パワーを結集して阻止もしくは消滅させること。」
「そうだな。・・アラクネ、リューズに連絡を。」「え?」「ここは魔獣七鎧聖の力も借りよう。」『ええっ!』「妙案でございますな。
たしかに七鎧聖ならばそれだけのパワーを有しておるでしょう。」「でも・・受けてくれますか?」「そこが問題だが、事情を話せば
なんとかなるかもしれん。」「う~ん・・ダメもとで頼んでみましょうか。」「キャプテン、暴風圏の日本上陸予想時刻と場所は?」
『明石標準時で午前九時ごろ、室戸岬。』「今は午前七時半です。」「タイミングはピッタリだ、連絡を。」「はい。」♪ピッピッ。
同時刻・神戸湾岸ホテル、ロイヤルスィート。「す~・・」・・♪ピ~ロ~、ピロロ~ロロ「・・ん?あ、電話だ・・」ごそごそ・・
「ほう、ドビュッシーの『夢』が着メロですか。いい選曲です。」「起こしちゃった?」「いえ、リューズの寝顔をずっと見てました。」
「まあ・・おっと。」♪ピッ。「もしもし。・・いえ、いいモーニングコールでした。・・え?・・はい。」さっ。「ジークにだって。」
「おや。・・はいもしもし。・・いえいえ、けっしてそのようなことは。・・ほう?なるほど・・それはいいですね。ではみんなで
参加しましょう。・・いえ、酔いざましに最適です。・・では8:50に現地で。」♪ピッ。「なに?」「朝の健康体操のお誘いです。」
午前八時・朝食ビュッフェ。「へえ~、チーズオムレツ・ソーセージ・ベーコン・ガーリックポテト。フルーツもいろいろあるわ。」
「ご飯とみそ汁、焼き魚もありか。納豆もいいな。」「バイキング方式なのがいいわね。」ぎょっ!『櫻華さん?』「おはよ。」
「あの、あれから・・?」「ああ、みんな夜明けまでに打ち止めになっちゃったから、部屋でシャワー浴びてちょっと寝たわ。」
「はあ、打ち止めっすか・・」「あんまし想像したくない惨状になってるみたいね・・ん?!」ぴくっ。「なに?アカネさん。」
じーっ・・「・・気のせいかしら、昨夜より若くなったような。」「たしかに・・微妙に顔立ちとか。」「グレードはまあまあでも
量をいただきましたからね。」「・・ホントに若返ってる!」「そうか、精を・・」「よい子はマネしないでね♪妊娠するから。」
「他の方々は?」「カトちゃんとガン吉は・・」「・・だから言っておる、殴り合ってから話に入るのが理解の早道だと。」ズズ~。
「個人間はそうかもしれないけど、国家間だと戦争だ。しかも死ぬのは当事者でなく国民だよ。」もぐもぐ。「そのような政府は
国民がつぶせばよい。」ぱくぱく。「それが簡単にできれば誰も苦労しないよ。」ふーっ。スゥゥ・・「・・朝まで生テレビ状態、ね。」
「まー、ガン吉があれほど議論好きなのは意外だったけど。」「闘争論に関してはそうだろうな。」「虚空画聖は?」「あっち。」
カチャカチャ。「いやー、勉強になった!」「だいぶエロ知識の造詣が深くなったね。」「・・これで読者を抜かせる新たなテクを
会得したわ。」「おはよ。・・あなたたちも徹夜でしょ?元気ね。」「マンガ家は四徹くらい普通だしー。」「熱中したら日が昇ったことさえ
気づかないものですよ。」「・・櫻華さんが精を糧とするように、私たちはエロ知識を糧とする。そしてさらなるエロを生み出す・・」
「はー、エロもここまで徹すれば芸術ね。」「知らないの?・・エロ絵やエロ小説を描いた巨匠はけっこう多いわ。もちろん表市場には
決して出ず、裏市場でひそかに取引されてるの・・」「なぜならそれはすぐに売れるテーマだったから。そう、生活のためにね。」
「そのへんの事情は昔も今も変わらないよ。むしろ、オタク文化が一般認知されてきた現代のほうが進歩してるともいえるね。」
「へえ~。」「いわゆる『黒歴史』というやつだな。」「おっ、それを知ってるということは!・・タツヤ、ガンダマーね。どれ?」
「初代とGだ。」「種は?」「ありゃ第二紀の亡霊だ。」「わかってるね~。」「腐女子的には、Wと並んで外せないけどね・・」
「ガンダマって、なに?」「しーっ!櫻華さん、その質問はダメ!」「なんで?」「・・それこそ何時間にも渡って延々と歴史を
解説され、あまつさえビデオ上映まで入るんだから。」「そうなの?」「ええ・・わたしは経験がある。特に『G門下生』は
狂信的なほどよ。UCがどう批判しようと『そんなことはどうでもいい!』か『修行が足りん!』とシカト。かといってUCを
批判するわけでなく『それもよし』と認めつつ、ただひたすらGを崇拝する・・」「?・・単語がよくわからないけど、なんとなく
危なそうなものみたいね。」「そうそう。ハマったら底無し沼よ。」「ふ~ん・・(こんど第三の愛美ちゃんに聞いてみよっと。)」
「みなさん、おはようございます。」『おはよー。』「えーと・・アルベリッヒは?」「今日は使い物にならないわよ。寸止めで命だけは
残しておいたけど♪」「手加減を感謝します。さて朝の連絡事項ですが、先ほどタイタンたちから助っ人依頼が舞い込みました。」
ドヨッ!「事情はかくかくしかじか。」「私は当然行きます。ジークも同行してくれるそうです。」「てなわけで、行ってきます。」
「ちょっと待ちなさいよ!・・あたしたちは?」「命令はもちろんお願いもしたくないので。それぞれで判断してください。」
「なるほどな。・・行くぞ、アカネ。」「言われるまでもないわ。」ガタッ。「義をみてせざるは勇無きなり。同行しよう。」ズン!
「災害精霊って、あのキャサリンさんみたいなのかな?」「実物の気象精霊は見ときたいね。」「・・マワすも一興ね。」ザッ。
「・・まあ付き合いだ。役に立つかどうかわからないけど、僕も行ってみよう。」「フルチャージなので少しガス抜きしましょう。」
「みなさんそうなると思いました。さて移動手段ですが」「私が巨大化して空輸しますけど。」「いえ、もっと簡単な方法があります。
虚空画聖、おねがいできますか?」「?・・あー、あの手か。」「そういえば使ったことなかったね。」「・・たしかに妙案だわ。」
「ネット検索・・室戸岬の画像・・あった。」カタカタカタ。「画像をトレースするよ。」サラサラサラ・・「・・こんなものね。登録。」
ピッ♪・・ボオッ。『おおっ!』「画像をトレースすることで、その場への窓を開く『どこでもスケッチ』よ。」「これ・・ホンモノ?」
ビュオオオ!ザザーン!「すごい・・まさにどこでもドアだな。」「やるわね、虚空画聖。」「ではみなさん、参りましょう。」ザッ。
室戸岬。ビュウウウ!ドパーン!「日本の夜明けは近いぜよ!」すぱあああーん!「そりゃ桂浜でしょーが!」「NO.6のボケは
はじめてですね。」「ベルさまのツッコミはいつものことですが。」「だいぶ風雨が強くなってきたな。」「・・暴風圏まで80km。
でももう普通の台風くらいの荒れ模様・・」「リューズたちは間に合うのかしら。」「神戸までちと距離がありますな・・む?」
ボオッ。『なんだ?』「いきなり空間に窓が?」「・・あっ、神戸タワーが見えます。」「と、いうことは。」『お待たせしました。』
ザザッ!『おお!』「魔獣七鎧聖、お呼びによりただいま参上です。」「正しくは六鎧聖でしょ。」「いえ、補完ができましたよ。」
「『淫仙華聖』こと菖 櫻華よ。」『ええっ?』「はあ・・まああんたらしいっちゃらしいけど~。」「適材適所かもしれませんな。」
「最新状況はいかがですか。」「かくかくしかじか。で、暴風圏をなんとか上陸阻止したいのだが。」「ふむ・・手はあります。
四魁閃の風水師と連絡はつきますか?」「連中は台風に追随して最新状況を知らせてくれてるが。」「ではこういう指示を・・」
飛行戦車エゼキエル。「・・はい、それは構成できます。で・・ええっ?!・・わかりました。」♪ピッ。「なんじゃと?」
「こういう作戦です・・」・・「・・ウラ!それはすごいのだ。」「なるほどのう・・じゃがこれで一番負担のかかるのは由比じゃぞ。」
「そこでご隠居とナデラにお願いがあります。・・」・・『う~ん・・』「あぶない手じゃな。」「けど、これしか手はないのだ。
ならば全力でやってみてダメなら納得なのだ。」「そうじゃな。・・やれやれ、とんでもない大作戦になりおった。進路変更じゃ!」
台風後部。「さてもうちょっとで上陸だ。ガンガン暴れろよ。・・ん?」ズズズズズ・・「・・なんだありゃ?でっかい棒みたいのが。」
ズズズズズ・・はっ。「さらに二本?」ズズズズズ!「真横に二本!」ドドドドド!ぎょっ!「後ろに二本?!・・金の柱?」
タッ。「正面の柱に・・誰だ?」「夏雨のオルガ、ここまでです。この台風はここで封滅させていただきます。」「なにゆってんだ?
たとえ神でもこの台風は消せねえよ!」「たしかに一人なら無理、けど。」ザザッ!『風の御柱、天震鎧姫ゲッツエンディーネ。』
「なにっ?」「火の御柱、金眼念聖ザ・カートカ。」「水の御柱、淫仙華聖・菖櫻華。」「月の御柱、戯蟲聖女リューズ・ヲルム。」
「雷の御柱、砕鎧拳轟ガンドロウム。」『地の御柱、虚空画聖エル・ランジェロ。』「山の御柱、魔軍鎧聖ジークハイルです。」
「そして天の御柱、由比。みなさん、お願いします!」『おお!』バリバリバリ!「な・・なんだ?!」「陰陽八卦の大極炉よ、
いまこそ巨いなる七鎧聖の力もて邪なる魔風を封じよ!」ドオオオオ!「うおっ!・・この巨大な力は・・なんだ?!」
上空・成層圏。ズズズズ・・「すさまじいものね・・」「直径2000kmにおよぶ八卦の陣とは・・」「予定のタイミングです。」
「いくぞ。変神!」シィィィ・・シュバアアアーッ!『とおっ!』ゴオオオーッ!『もうちょっと・・そこだぜ。』ぴたっ。
『陣の真上ぴったりよ。』『始めるぞ。ルシフェル第六章「漆黒風」!おおおおーっ!』ボオッ!・・ギュオオオオッ!
『・・この闇が「負の波動」か!』ググググッ!『くっ!・・こちらまで引き込まれそうだ!』「はやく打たないとタイタン自身が
『闇』に食われるわ!」「急いでくださいマスター!」グググッ・・ギュッ!『おおおおおーっ!ダークネス・プロメテウス!』
ドオオオオーン!ズゴオオオオオーッ!「黒いプロメテウス!」「ドンピシャ、結界のど真ん中だぜ。」「到達まで20秒!」
バリバリバリ!「くっ!・・やはりものすごい力、制御しきれない・・」フラッ・・わしっ。「しっかりせい、由比。」がしっ。
「二人で支えるのだ、ウラ!」「由比のチャクラに接続・・よし、こちらに力を振り分けたぞ。」「一人で無理でも三人なら
どうにかなるのだ!」「ありがとう・・あと少し・・来た!」・・ゴオオオオオオーッ!ズドオオオオーン!「直撃じゃ!」
「よし、炉の力場を反転!はいっ!」ババババッ!「上へ!」ズゴオオオオーッ!「やったぞい!」「台風が吸い上げられるのだ!」
ドオオオオオーッ!「封滅・・成功です・・」ふらっ・・『由比!』がしっ!「やはり無理があったか!」「運ぶのだ、ウラ!」
「ま・・まさかこんなことが!この巨大台風のエネルギーを吸収しうる力などありえねえ!」『それが神の傲慢というものよ。』
ばっ!「・・てめえは!」「『妖しき紫水晶』のミーメ。ノクターン・フォウ、先日の借りを返しにきたわ。」「ハッ、できるのかよ!
出ろ、兵隊ども!」ズボボボボーッ!『我ら、オルガ様に仕える「嵐の兵団」!』「ふーん、ざっと千体ってとこかしら。ならば
こちらも数を揃えましょう。みなさん!」♪ピイッ!・・ズボオッ!ヒュンヒュンヒュン!ざっ。『三牙将、ここに見参!』
ざっ。「魔獣七鎧聖もここです。」ザッ。「タイタンと三神獣はこっちよ。」「暴虐もここまでだ、夏雨のオルガ!」「ちいっ!」
「こいつは私が倒します。みなさんは兵団を。」「お安い御用だ。」「朝の体操に手ごろですね。虚空画聖、たびたびすみませんが。」
「たく、便利屋なのは昔っからだけど。」サラサラ。「んーと・・このくらいかな。」サラサラ。「・・こんなもんでしょう。現出。」
ボオッ!「なんだ?・・空中に巨大な板が!」「飛べないヒトのための足場よ。」「400km四方もあるから、ちょっとやそっとじゃ
転げ落ちないよー。」「・・おまけに超弾性も持たせてる。数百mのジャンプも可能よ。」「・・これが七鎧聖の実力かよ。」ぞっ。
「これで安心して戦えます。では皆さん、メインイベントといきましょう。」ばっ!『おお!』ばばっ!・・スタスタッ。
「くっ!・・まさかタイタンたちと七鎧聖が結託するとは・・かまわねえ、やっちまえ!」『おおっ!』ゴオオオーッ!
「ふん、空を飛べるを有利と思うなよ。王将!」ジャキン!「振り飛車!」ビュオッ!ヒュルルルッ、ズバババーッ!『ぐはっ!』
『なあっ!』『得物を投げて奴は無手だ、今のうちに叩け!』ゴオオッ!「はたしてそうかな?香車!」すっ、ジャッ!『袖から剣が?』
「カシラ刺し!」ヒュバババッ!ズドドドドッ!『ながっ!バカ・・なぁっ!』ポロポロ・・「法儀処理済みだ、霊とて効くぞ。」
「忍びの真価、いまこそ発揮せよ!」『ははっ!』「抜刀!」ジャジャッ!「はっ!」ダーン!『なにいっ?なんという跳躍!』
「もらう!」ズバシャアッ!「ものども続け!支給した裏高野にて鍛えし業物、よう斬れるぞ。」『感謝の極み!』ズバドシャッ!
「えーと、だれにしよっかなー♪・・おし。召喚!」キュイン!ゴォォォ・・『な・・なんだあれは?!』バサバサアッ!
「あら知らない?魔界空軍のトップガン、リヒトホーフェン大佐よ。」ドヨッ!『魔戦鬼レッドバロン!』『天空の紅き男爵!』
「大佐よろしくねー!」「姫さま、ご召喚くださり感謝いたします。敵の数に不足なし、我が機銃の露となれ!」ブオオオオオーッ!
バコバコッ!『がはっ!』『ぐはあっ!』「あら、20mmバルカンにグレードアップされてる。オヤジよーやっと予算出したのね。」
「あにゃ~、なんつー敵の数よ。」「雲霞の如きとはこういうことか。」「これならてきとーに打ちゃ当たるわね。はぁぁ・・」
キィィィ・・「千気刃乱舞!」シュバババッ!ズバシャアアアッ!『ぐはっ!』『きぃやぁっ!』ピリ・・パラパラ・・
「いくぞ、散式気砲。」ギュィィィ・・ドンッ!ボボボボボッ!『はがっ!』『ほくっ!』「一撃で数千の孔を穿つ対空技だ。」
「さて、戦闘のカンはだいじょうぶかな・・サイコクラッシャー。」キン!ドオンッ!『なあっ!・・』シュゴオオオーッ!
「・・うん、申し分なし。リハビリには手ごろな相手だ。せいぜい調整させてもらうよ。サイコ・トーネード。」ブオオオオッ!
「蝶力招来!」グーン!・・バサアッ!『ゴーガ、アレを使ってみます。』【大規模殲滅技でございますな。よろしいかと。】
ゴオオオーッ!『速度よし。燐粉散布!』キラキラ・・『殲滅技・月光蝶!』シュゴオオオーッ!『通り過ぎた?・・なっ!』
ボオッ!ズバシャアアアーッ!『・・光る粉で霧散?!』【無数の高速燐粉の弾丸が貫く、いわば粒子砲。破片も残らぬぞ!】
「今日はコスプレでいくわよ。」サラサラ。「じゃあこれだね。」サラサラ。「・・マニアックなので。」サラサラ・・タン。
『装着!』ジャキーン!「ゼロカスタム!」「ローズ!」「・・一日ザク。」「ターゲット・ロックオン。・・お前を、殺す。」
キィィィ・・ズドオオオオーン!「いけっ、ローゼスビット!」キュババババッ!「バラの洗礼、ローゼス・スクリーマー!」
「・・魔法のふとん叩き。」ブン。「巨大化。」ググググーッ!「せーの。」ブオンッ!どばしいいいーん!「・・一撃二百殺。」
「遠当てはつまらん。・・ふむ、あれでいくか。」ぐっ、ダーン!「ほーあたたたたたたっ!」ドドドドドッ!バコバコバコ!
「百連極打!」・・ザシャアッ!「・・お前たちは、もう死んでいる。」『・・あべし!』ボボボボボーン!パラパラ・・
「対空ならこれね。玉旛竿。」ぐっ、バサササッ!『なんだ?・・巨大な布が!』バフッ!「大漁たいりょー♪せーの!」
グイッ!ギュィィィーッ!『うぎゃあああーっ!・・』ゴキゴキゴキ・・ひょい、ぱしっ。「やっぱ燃えないゴミかしら。」
「さて、私もひさびさにパワー全開といきましょうか。」『魔獣大元帥に攻撃を集中せよ!』キュドドドドッ!「ふむ。」
ボボボボッ・・『・・攻撃が通らない?』「こちらの攻撃ターンです。」『!・・』シーン・・『・・動かぬ?』「はい、おしまい。」
『何を・・っ?!』シーン・・『味方が・・いない?!』「いえ、あなたもですよ・・』ユラ・・『?・・何がどうな・・』スゥ・・
「うわ・・数百の敵が一瞬で。」「魔軍鎧聖様の必殺技『 』でございますな。」『え?』「いま聞き取れませんでしたけど・・」
「ですから『 』です。すなわち『無』を武器とするのでございます。」『無・・』「そんなものどうやって使うんだ・・」
「ちいっ、役立たずどもが!」「まあ部下を卑下するようなクズがアタマではね。」「てめえ・・ブッ殺してやらあ!烈風刃!」
シュバババッ!「フン。」パキパキパキィーン!「なんだと?・・アメジストの壁!」「パープル・スプラッシュ。」ヒュバババッ!
バコバコバコッ!「ぐはっ!・・」ガクッ・・「他愛もないわね。」つかつか・・(・・そうだ、もっと近づけ。とどめをさす隙に
壁を作るヒマもなくコマ切れにしてやるぜ!)つかつか・・ぴたっ。「水晶槍。」シャキーン!「これで終わりよ。」ぐぐっ・・
「・・バカが!烈風刃!」シュバババッ!「なっ!・・」ズババババッ!・・「卑怯・・な!」ピリッ・・ブシャブシャッ!
「へへへへっ、ミンチいっちょう上がり。卑怯もクソも勝てばいいのさ。」「きわめて同感ね。」ズドオッ!「ながっ!・・」すっ。
「ば・・バカな・・?!」ぐぐっ・・「ユーディット、代り身ありがと。」・・ズズズズッ。「いえ、このくらいならいつでも。」
「・・卑怯・・な!」「あら、卑怯もクソも勝てばいいのよね。それに神族たる私が肉塊になっておかしいと思わないの?」
「あまりにリアルなので思考が至らなかったかと。」「いえ、要するに敵を舐めすぎたのが敗因よ。汚い手を使うのは自分だけとは
限らないってこと。」「て・・めえ・・」「巨大な水晶で串刺しにされてるのに元気ですね。」「このくらいじゃね。ではホントの
とどめといきましょう・・結晶成長。」パキパキパキ!「ぐわああああっ!」「先ほどの水晶の弾丸から成長するの。そして・・」
パキパキパキ・・「がああああぁぁぁ・・」パキパキ・・「全身を水晶に置き換える・・これぞ妖技・晶化葬送。」パキパキ・・パキン。
「全身が晶化しても意識はそのままよ。」けりっ。グラッ、ヒュゥゥゥ・・ザパーン・・「下は日本海溝。水圧で砕ければ楽だけど、
もし深海底まで降りたら、マントルに呑み込まれるまで数千万年の孤独と苦痛を謳歌しなさい・・」「けっこう容赦ないですね。」
京都・陰陽庁。オォォォ・・「雅、由比の具合は?」「絶対安静。だいたい人の器で七鎧聖のパワーを許容できるわけないでしょ。
櫻華がいながらなんで止めなかったのよ!」ガミガミガミ!「わ、わかったわかった、ごめんごめん!」ぺこぺこ。『へえ~。』
「櫻華があれほど押されるとは。」「聞いた話では、櫻華様が堕天直後で右も左もわからぬとき、お世話になったそうでございます。」
「いつの時代の話よ。」「まあまあ姫巫女、身体に障りますぞ。」「はあっ、はあっ・・もう落ち着きました。」「無理もないのだ。
由比ねえちゃんとミヤビ様は大の仲良しだったのだ、ウラ!」「陰陽道と風水はつながりあるな、たしかに。」「命はギリギリで
つないだわ。けど、秘密部隊としての活動は当分厳禁よ。」「わかったわ・・痛い戦力低下ではあるけど。」「それについて妙案がある。」
「アテナ?」「ミーメを四魁閃に入れよう。」ぽん。「・・はい?」「由比どのの貢献に応えるべきでござる。」「お勤めがんばってね♪」
「ご隠居、ナデラ、どう?」「ふむ、『妖しき紫水晶』ならば文句なしじゃな。」「きれいなねーちゃんは大歓迎なのだ、ウラ!」
「全員一致ね。ミーメ、上海に戻るわよ。」「え?!でも、あの・・あ。」すっ・・「私といると、いろいろ楽しいわよ・・」ふぅ・・
「あ・・」ぞくぞくっ・・「ふふっ、感じやすいこと・・じゃ、お預かりするわ。」カツカツ・・『う~む・・』「ありゃカンペキに
櫻華のオモチャにされるわね・・」「由比は極度の潔癖症だから櫻華も手を出さなかったけど、ミーメは・・アテナも悪党ね。」
「あのガチガチ頭を櫻華なら少しはこなしてくれるかなとな。」「あれでは綺羅レベルにはとうてい通じぬ。もう少し柔軟な
考え方ができぬとな。」「まあ、厄介払いってのも少しはあるけどね。」「しかしあれは大蛇に小鹿を与えるに等しいのでは。」
「あはは・・おもいっきりそんなカンジですね。」「まあ櫻華様の理性を信じるしかないかと。」ふるふる。「・・絶対、ない。」
「今日はいつものゲストルームに泊まるといいわ。三牙将もどう?」「いや、我らは根来へ戻りまする。」「可愛い奥さんがおいしい
手料理作って待ってるもんね♪」「・・ま、まあな。」「ふふっ・・ときに雅、あの件は?」「順調よ。ギリギリまで目立たないように
うまく隠してるけどね・・」「ねえ、何の話?」「い、いや、ちょっとな。」「個人的な話よ。」「?・・あやしい。」「そういえば雅、
予定日はいつだっけか。(天然愚鈍)」『!』「予定日?一郎さん、なんの予定日?」「いやな、雅が」「あ、蚊が。」ゴン!(王将)
きゅう。「いかんいかん、ちょっと強すぎたか。」「ありゃ~。ま、よくあることか。リヴィ、冷やしといて。」「はいはい。」
「ときに七鎧聖ご一行はどうした?」「クレオの案内で先斗町で芸者遊び。大福帳持ってたわね。」「・・常連さんなのね。」
アウターヘブン。「オルガが獲られたわね。」「期待された結果ともいえますか。」「ウザいのがいなくなってホッとしたり~。」
「・・まあ、あんなのはいなくても支障なし・・」「あなたたちも容赦ないわね。ま、そういうのばっかし集めたのは事実だけど。」
「次は誰が行く?」「・・そうね、私がいいかな。」ユラ・・「ノヴァか・・いい舞台を選ばなくちゃね。・・よし、あそこなら。」
先斗町。♪チントンシャン・・『お~。』「リューズの舞妓さん姿って、すっごいきれい。」「ああ、まるで蝶の精のようだ・・って、
そのまんまか。」「・・しかしなぜボクまでこんなカッコウを。」チャラン♪「あら、よく似合ってるわよカトちゃん♪」「だから
その呼び方はやめろって。」「むう・・これはなかなか。」『え?・・ガンドロウム?』タラ~ッ。「ザ・カートカ、とてもきれいだぞ。」
ぽっ。「う・・」ざわっ!・・ヒソヒソヒソ!「ガン吉xカトちゃんてのどう?」「やっぱ受けはカトちゃんだね。」「・・芸が無いわ。
綺羅もからめて変則3Pのほうが。」「あ、それ斬新。前後を同時に責めるのね。」「出したぶん同時に補充されるわけか~。いーかも。」
「クレオパトラ、機内での話の続きですが。」「水野グループと連絡をとりました。向こうも大西洋への足掛かりが欲しいのは事実、
提携にやぶさかではないそうです。」「それは吉報です。」「交渉の席はうちでお膳立てしましょう。ハワイあたりでどうです?」
「いえ、私自身が壱岐へ行きましょう。それだけの気概を見せれば、向こうも本気で話されるかと。」「・・お見事な心意気です。
まずは一献。」コッコッコッ・・くいっ。「数億ドルの商談さえも、この一杯に勝ることなし・・ですね。」「まことに・・」くい。
♪都市を蝕む腐敗の波 人も物も腐りゆく
♪腐り姫の低い嘲い 拡がる腐界は止められない
♪それを止める者がいる 浄化の火炎と爆炎で
♪『腐敗の宴』を阻むため 熱き命の熱風を呼べ・・
***************************************************
スイス・ジュネーブ。アルプスの大自然に囲まれた美しい都市・・だったが。ジュブジュブ・・「なんだ?」「・・山から聞こえる?」
ジュブジュブ・・「見ろ!山の緑が・・」「そんな?・・茶色になっていく!」ジュブジュブ!「うっ!・・なんだこの悪臭は?」
「モノの腐ったような臭いが・・」「茶色の波が・・こちらへ来る!」ジュブジュブジュブ!「建物まで茶色に?・・うぐっ!」
『ぐっ!・・気持ち悪い・・』「うげええっ!」ドボドボドボッ!「げぶぉっ!・・身体がぁ!」「あ・・あがああああ!・・」
ジュブジュブジュブ・・『・・うふふふふ。』スゥゥゥ・・「あらゆるもの全て混沌に返る・・そう、腐って溶けてドロドロに。
それを生きたまま味わえるなんてステキでしょ?腐敗は内から始まるから、内臓や骨を嘔吐しながら溶け落ちていきなさい・・」
飛行要塞アガルタ。「・・これがジュネーブの惨状だ。」「これはひどい・・」「あの美しい街がヘドロのように・・ノヴァね!」
「晩秋のノヴァ、またの名を『腐り姫』。あらゆるものを腐敗させる大規模殲滅戦を得意とするノクターン・フォウ最悪の精霊です。」
「戦場での使用ならばまだしも都市テロに使うとは・・精霊軍の風上にもおけませぬな。」「・・許せません。この暴虐は私たちさえ
凌駕するものです。」【これに比べれば魔獣など可愛いものじゃな。】「・・やっつけよう。」こく。「この腐敗はジュネーブを呑み込み、
フランス国境を越えていまだ拡大中よ。計算によるとリヨン到達まで三日。」「そこを絶対死守線とするぜ。キャプテン、先回りだ。」
「そういや今回の秘密部隊は?」「ファイアワークス(有)がこちらへダンテで急行してる。ある意味適役だろ?」「爆炎・・か。」
「・・ちょっと出かけてくるわ。」すいっ。「ベルさん、どこへ?」「知り合いのとこ・・役に立つものが手に入るかも。」シュッ。
アウターヘブン。「これがノヴァの力か・・」「作戦開始からものの数時間でジュネーブは壊滅。死者は50万人を突破し更新中よ。」
「恐るべきはノクターン・フォウ。だがタイタンたちも黙ってはおるまい。」「もちろん全力で阻止にかかるでしょう。けどそれこそ
思うツボというもの・・腐界の中に踏み込んだが最後、タイタンたちとて同じ運命よ。」「なるほど、自ら死地に陥るということか。
どうやらこれで最大の障害は排除できそうだな。」「まあね・・(そうなったら次はあなたの番。生き腐りでも生ぬるいわね・・)」
「あとは吉報を待つだけか。綺羅、あとは任せる。」カツカツ・・「・・あいかわらずムカつく奴ですね。」スタッ。「えらそーにねぇ。
自分じゃ何もしないくせにぃ。」ストッ。「まったく同感だけど、無能はそれなりに使い道があるわ。せいぜい裸の王様には踊って
いただいて、民の憎悪を一身に引き受けてもらいましょ。」「最後はつるし上げられるわけですね。」「責任者ですからねぇ。えへへ♪」
「ノヴァは順調に作戦を進めてるけど・・ジャンヌ、もしあなたならどうやってあの腐敗の結界を抜く?」「やはり凍結ですね。
凍らせてしまえば腐敗は止まります。」「だよね。・・やはり今回のカギはイエティ将軍か。」「だったらぁ、始末しちゃおうよぉ。」
「エイプリルの意見が正解だけど、問題は誰がどうやってやるかよね。」「実はもう配下の『魔弾』を派遣しました。」「さすが♪」
「でもイエティ将軍は恐ろしくカンがいいわ。『魔弾』とて見切られるわよ。」「いえ、必ず当たる手があるのです・・」ニヤッ。
フロリダ・オセベルグ海運本社。「・・許せませんね、ノクターン・フォウとやら。」『御意。これほどまでに残虐とは・・』
「いえ、そうではありません。」『御屋形様?』「これは私のやるべき仕事、それを横ヤリを入れられたことを怒ってるのです。」
『して、如何に。』「商売敵に対する手は二つ。話のわかる相手なら手を結ぶ、そうでなければ・・」『徹底的に叩きつぶす。』
「それも死角から力いっぱいぶん殴るのがより効果的です。出かけますよ、アルベリッヒ。」『何処に?』「グリーンランドです。」
第三十八夜「腐敗の宴」 - 腐敗の精霊「晩秋のノヴァ」登場 -
忍空艇・飛燕丸。ヒュンヒュンヒュン・・「なんという腐界の速さだ・・」「まるでヘドラのようなヤツでござるな。」「わりと正解ね。
ノヴァの腐敗結界、略して腐界はまさに燎原の火のごとく広がるわ。」「悪趣味な精霊ですね。」「問題はだ、いかにしてノヴァに
近づくかだ。地上を行くは論外、かといって」「空中からでも同じことよ。腐界はかなりの高度まで影響するわ。たとえば~・・」
キィィィーン・・「む、フランス空軍のミラージュでござるか。」「国境を越えたので動きましたね。」「爆撃で止める気らしいな。」
「あ、ちょうどいいかも。見てなさい、アレがどうなるか・・」「・・もしや戦闘機までも。」「形あるものならば同じことだ。」
『各機、ナパーム弾投下アプローチに。高度1200で腐敗の先端を狙え。アタック!』ゴオオオオーッ!♪ピピピピ・・『高度1800。』
『あと少し・・』ガグン!『なんだ?!』『エンジンストール!』『バカな・・なにっ?!』ぬちゃり。『操縦桿が・・うぐっ!』
『なんだこの気分は・・うげえっ!』・・ブシャアアアアッ!『機体が?!うぎゃああ!・・』ジュババババーッ!・・
「・・墜落ではなく霧散か。」「あの飛行速度でいきなり機体が腐ったら、たしかに空気抵抗でああなるわね。」「どうやらかなりの
高度まで腐界は及んでるようだな。」「今ので正確な影響範囲が算出できました。二次元範囲はあの茶色のとおり、高度は1500m。」
「さてどうやって攻略するか・・」「ギネビア、腐界を無力化する手はござらぬか。」「二つあるわ。燃やすか、凍らせるか。」
「なんだ、それならどちらもエキスパートがいるな。」「イエティ殿と、ファイアワークスでござるな。」「・・危ないかもしれません。」
「ユーディ、どういうこと?」「今までの情報を総合するに、綺羅ならばそのくらい読んでるはずです。ならば当然ながら妨害工作を
仕掛けてくるかと。」「なるほど・・ことにノクターン・フォウならサボタージュとテロはお家芸だ。その可能性は高いな。」
「オヤジのことだからファイアワークスは呼んでるでしょう。となると・・今回の役目はやはり。」「カウンター・テロですね。」
「ふっ、ボディーガードでないのが我ららしいな。」「守るなどとネガティブな方針では、ドロナワになりかねないからな。」
「砂風、今回はあなたの忍軍にがんばってもらうことになるわ。」「委細承知。水も漏らさぬ根来忍陣『無影砦』で見張ろう。」
オーストリア・ザルツブルグ。♪カラーン。「いらっしゃいませー。・・おや、ヴェールさん。」「おひさしぶりね、マリオン。」
「しばらくぶりですね。こないだのアンチミサイル・リングはお役に立ってます?」「そりゃもう。おかげで流れ弾に当たらずに
すんでるわ。」「で、また何か?」「たとえば腐敗結界の中でも大丈夫なアイテムってある?」「いくつかありますよ。えーっと。」
ごそごそ。「まずは絶対防護服『バルカンスーツ』。」どさっ。「それって製造元はファイアワークスじゃない。それに今回は
巨大化するキャラがいるからダメよ。」「それを先にゆってください。なら次は結界スプレー『鉄壁』。」ゴトン。「これはよさそうね。
有効時間は?」「ほぼ一時間ですね。」「短すぎるわ。その間にカタがつく保証ないし。」「えーっと、持続して範囲制限の広いの・・
これですね。」カラカラン。「・・バッジ?」「効能は・・」「・・うん、これね。1ダースちょうだい。」「まいどありー。領収書は?」
リヨン郊外。「腐界到達まで2時間。」「イエティ、今回は頼む。」「おまかせください。わたくしめの凍気で止めてみせましょう。」
ぴしっ。「相手が相手だから、半径5kmに不可視センサー糸を撒いておいたわ。もし近づく者があれば、たとえ空中でも感知可能。」
「けどノクターン・フォウのことです、何か奇策を使ってくるかもしれません。じゅうぶんにお気をつけて。」「承知でございます。」
「私は上空で哨戒につきます。ウイング!」バサアッ!【鱗粉を散布して、接近物あらば即座に感知できるようにしておくぞい。】
「・・私は周囲の思考を感知するテレパシー監視に入るね。」すっ・・「精神的物体でもこれで容易には近づけないでしょう。」
だが・・『うふふふ・・人間じゃあるまいし、そんな近くから狙う必要ないね。この「魔弾」の有効射程距離は10km以上さ。』
チャッ。ジィィィ・・『・・ターゲット視認。ジャンヌ様の作戦指示に従い・・』ピタッ。『・・狙撃目標、タイタン。』
近くの丘。『お頭、陣を敷きました。』「うむ。もし何か異常あらば、気のせいだろうが何だろうがかまわぬ、ただちに報告せよ。」
「・・まったく見えないが?」「『無影砦』は文字どおり影無き陣。周囲に完全に溶け込んで敵に察知させぬまま、360度を完全に
カバーする。加えて忍法『鷹の眼』で最大30km先の異常すら感知できる。」「さすがは戦国時代を席巻した根来忍群ね。」
チカッ。『むっ?・・あの丘で何か動きが。』じーっ・・『・・狙撃者?!合図を!』♪ピロロロロ。はっ!「合図か!」「見つけたわね!」
「東南か。ユーディット!」「変型します。」グニュ~、シャキーン!「お得意の紙飛行機ね。」「低空飛行で行け。」『心得ました。』
ジィィィ・・『・・発射。』ググッ・・ボオッ!『なっ?視界が真っ白に!・・通常視野!』さっ。ヒュォォォ~。『紙飛行機?!』
「見つけたぞ!」ダーン!『しまった、気取られたか!・・だが!』チャッ、ドキューン!「回避!」さっ、チュィーン!
「櫓崩し!」ズバアアアアーン!『ぐおおおおおーっ!』ザシャッ!・・ドサアッ!「意外とあっけなかったな。」ヒュン、バシャッ!
「狙撃者でござるか。」「撃たれる前に倒せてよかっ・・?!」ばっ!「どうしたギネビア。」「・・こいつは精霊軍の『魔弾』!」
「知っておるのか?」「・・しまった!コイツは抜け殻に過ぎないわ。本体はもう!」はっ!「・・そうか、弾丸そのものが!」
ヒュィィィッ!『・・はっ?東南から超高速飛翔体が!』【小さい・・しかし速い!】びくっ!「・・これは、殺気!」「襲撃?!」
ぴくっ!「むっ!・・御主人様に!いけませんぞ!」ダッ!・・ヒュゴオオッ!はっ!「・・なにっ?!」ゴオッ!・・バゴオッ!
「ぐうっ!」「?!・・イエティ!」どさっ!チュィィーン!・・「イエティが撃たれました!」ダダダッ!「キズを見せて!」
「く・・」「イエティ!」「・・だいじょうぶ、急所は外れてる。命に別状はないわ。」「エリス、ヒーリングを。」「うん・・」
「御主人様、お怪我は・・」「大丈夫だ。お前のおかげだ。」「ようございました・・」にこっ。「あの弾丸はまだ飛んでるぜ!」
パキキキッ!「あの高速でなんて機動性なの!」「・・そうか、精霊軍狙撃兵『魔弾』ね!」「弾丸そのものが実体です!」
『私が守ります!』バサササッ!パキキキッ!『くっ・・速くて追いきれない。』【来ますぞ!】チュィィーン!『ゴーガ!』
さっ、キィィン!パキキキッ!【後ろに回りこんだ!】『重燐粉防御!』バサササッ!パチパチパチッ!チュィィーン・・
『間をとりましたか。』【むう・・防ぐのがやっととは。】『あの速さでは迎撃もままならない・・防戦一辺倒じゃ埒があかないわ。』
『ならば埒を開けよう。』はっ!「あの声は?・・ん?」フウッ・・「影?・・あっ!」ズズズズ・・「・・ダンテ!いつの間に?」
ヒュィィィーッ、ザッ。「・・ショウ!」「苦戦しているようだな。ふむ・・」パキキキッ・・「あれならなんとかなるだろう。」
「手があるのか?」「まあ見ておれ。」ザッ。「カモーン!」チュィィーン!バゴッ!『直撃?!』「ショウ!」「なにか?」くるっ。
『え・・?』「いま・・魔弾が当たった・・よね?」「これだ。」ぴっ。『んん?・・あっ!』ギュルルル・・「・・魔弾が?!」
「・・止まってる?」「弊社謹製『バルカンスーツ』。たとえ対戦車ライフル弾でも徹りはせぬ。そして防弾繊維はアラミド改良型、
登録商標名『サルガッソー』。文字どおりがっちりと弾丸をからめとる。」ギュンギュン!「おーおー、もがいとるもがいとる。」
「叡智、『ガシャポン』を持て!」『はーい!』・・シャアアアーッ!ザシャッ!「どーぞ。」「うむ。」ぱしっ。「・・カプセル?」
ぱかっ。「むん。」カポン!カラカラカラ!「閉じ込めただけですか?」「見せ場はこれからだ。スイッチオン!」ぽち。カアッ!
ボシュウウウーッ!「蒸気?」シュゥゥゥ・・「処分完了。」ぱかっ・・「・・魔弾が、無い?」「当然です、核炉の中ですから。」
『核?!』「核融合式万能処理炉『ガシャポン』。この中で核融合反応を起こし、物質を原子レベルに分解する。さっきの蒸気は
排気と冷却を兼ねておる。」「ちなみに放射能は出ませんので、そんなに逃げなくてもいいですよ~!」『・・ホントか~?!』
「・・さすがファイアワークスだな。」「ちょっとNO.6、ガイガーカウンター出しなさいよ。」「んなもん簡単に出せるかい。」
「エリス、イエティの容態は?」「・・傷は深くないけど、今回はムリ・・」「となると、オプション2ね。」「委細承知。さて、
今回は大仕掛けが必要なので、さっそく作業にかかる。猶予は?」「あと1時間ってとこだな。」「充分だ。社員諸君、業務だ!」
『はーい!』シャアアアアーッ、スタスタッ。「みなさん降りてきましたね。」「おひさしぶりで・・?!」びくっ!「・・だれ?」
「はい?」「誰って・・あ、そうか。」「かがりちゃんはリューズの成人体は未見だったわね。」「まあ、あのリューズさんが
大きくなったらこうなったんですね。」「円盤皇女に似とんな~。」「?・・そんな七鎧聖いましたっけ?」【知らんしらん。】
「愛美さん、これお借りしてたマンガです。」さっ。「まいどおおきに。ほな次は『悪魔くん・千年王国』や。」どん。
「・・お願いしてたアレは?・・」「あー、そやった。ほい、『パタリロ』。」どさっ!「ちなみにまだ完結しとらんから。」
「千夏はまだショウと式挙げないのか?」「ん~、なんか実感なくてさ。何をいまさらって。」「それはいかんぜ。形式とはいえ
結婚式と初産は人生の区切りだ。オレとかみさんのようにな。」「そんなもんかね~。・・ま、ぼつぼつ考えとくわ。」
ダンテ。「イエティはキャビンで休ませておく。」「サリー、仕掛けの状況は?」「きわめて順調、刻限には間に合いますよ。」
♪ピッピッ。「起爆回路点検ええで。」「・・おいでなすったよ。」『むっ!』ダダッ!「あれか。」ズズズズ・・「あんな速さで
腐敗が進むの?」【まるで侵略じゃのう。】「予想よりも速いのでは?」「ショウ、そろそろヤバそーだけど?」『いま終わったぞ。』
キュィィィーッ!・・タタッ。「作業終了。」「オペレーション『草薙』を始めよう。」「作戦カウント始めます。3,2,1・・マーク。」
「点火プログラム起動・・スタート。」♪ピッ。カタカタカタ・・「腐界、あと20秒で迎撃ポイントAに到達するよ。」
「連鎖爆破まで3,2・・いま!」ドドドドオオオーン!『おおっ!』「爆破エネルギーが・・前進してる!」ズオオオオーッ!
「どうやって?」「なに、簡単なことだ。フェーズド・アレイは知ってるか。」「イージス艦やパトリオットのアレですね。」
「それと同じく、爆破線を位相連続することでエネルギーの流れを制御できるんです。」「炎の津波となって腐界に向かいます!」
ゴゴゴゴッ!ズバシャアアアアーン!『うわっ!』ドドドドド!・・「・・どうなった?」「ものすごい土煙で状況が・・あ。」
ズズズズ・・「・・止まってる!腐界が止まったわ!」「とりあえずはな。だがいずれまた動きだすぞ。」「今が攻撃の好機か。だが
腐界に踏み込めないことに変わりはない。」「う~ん、バリアーが欲しいところね・・」「あるわよ。」はっ!『・・ベルさん?』
「お待たせ。いいアイテムが手に入ったわ。」さっ。「障壁バッジ『ピュリファイピース!』」♪すっぱかぱっぱっぱ~!
「うわ、いまどきレトロなピースマークのバッジ。」「これを付ければ浄化結界が発生し、原子炉の中でも平気でいられる逸品よ。」
「これがねえ・・まあ付けてみるか。」カチャカチャ。「・・ベル、ひょっとして芸風変える気か?」「あらわかった?ザルツブルグの
腕のいいアルケミストの知り合いに、いろいろ作ってもらったから。」「どらエもんキャラか。ま、たしかにいれば便利だわな。」
ザッザッ・・「たしかにすごいな・・」「腐界に踏み入ってるのに、なんともないですね。」「ベルさん、その錬金術士って何者?」
「アラクネなら知ってるかもね。マリオン・クローリー。」ぎょっ!「なんですって!」『え?』くるっ。「・・リューズ?」
「・・ゴーガ、まさか!」【・・うむ、可能性はあるのう、彼女ならば。】「知ってるのか?」「はい・・錬魔聖師マリオン。」
『錬魔聖師?』【高等魔獣は七鎧聖だけではないのじゃ。マリオンは超能力こそ持たぬが知力に長けており、我らの城塞や
さまざまな便利な道具を創造しておった。】「いわば魔獣サイドの工神フェルメールみたいなものか。」「魔獣はその超能力ゆえに
道具に依存する必要は少なかったわね。・・そっか、たしかに言われてみれば、あれだけの城塞を築くには、それなりの技術力が
要求されるわね。」「・・マリーはとても頭がよく、便利なものをいろいろ作ってくれました。薬や武具、そして楽器や文房具なども。
エル=ランジェロの画材もそうでしたし、私のアクセサリーなども・・」【じゃが魔獣戦争の戦乱の渦中で行方不明になったんじゃ。
てっきり死んだものだとばかり思うておったが・・】「ならばここの始末が済んだら、ザルツブルグに行ってみよう。」「えっ?」
「リューズの旧友かもしれないんでしょ。だったら確かめに行くべきよ。」「ザルツブルグならここから遠くはないぜ。」
ザッザッ・・「・・む?」ユラ・・「・・よく腐界を止めたわ。」「晩秋のノヴァ!」ザッ!「やはり健在でしたね。でもなぜ再動せず
ここで待ってたのです?」・・ふっ。「それはね・・」さっ。・・ボゴボゴオッ!「これは!」「無数の腐乱死体が!」オオオオ!
「・・私の腐界で腐り死んだ者は、私の下僕となる。数十万の腐敗の軍団、かわしきれるかしら?」「・・そうか、罠に引き込む
ために待ち受けていたか!」「自分に有利な地に引き込むのは戦術の基本です。・・やられましたね。」「物量にモノいわせるのは
感心しないわね。」「社長、ちっと敵多すぎっすよ。」「たしかにもてあます数ではあるな。」「やれて数千、ってとこね・・」
「ダンテの火薬みんな使ってもおっつかないね~。」「困りましたね~。これが海なら何億いようが土座エ門にできるんですけど。」
「あ~!超級覇王電影弾さっさと会得しとくんやった!」「やれやれ、ひさびさの大ピンチだぜ。」「にしてはみんな冷静ね~。」
『ならばバランス取りをしましょうか。』「なに?」ズズズズ・・ゴバアアアッ!『なっ!・・魔獣!』ひょい。「お待たせしました。」
「ジークハイル?」「待ってなんかないわよ。」「魔獣など連れてきて、どうするつもりですか。」「こいつは清掃魔獣チュリートです。」
『清掃魔獣?』「・・名前もぜんぜん怖くないね。」「さて清掃開始といきましょうか。思う存分お食べなさい。」キュオオーン!
グワッ!ジュルルルル~ッ!『うわ・・』「腐った大地と腐乱死体を!」「こいつの大好物です。なかなか美食家でしょ?」『どこが。』
ジュルルル~ッ!「そんな?・・私の腐界が!」「あとは滋養豊かな糞として排出されます。いわば地球に優しい魔獣ですね。」
『お~・・』「腐界がどんどん吸いつくされてく・・」「こういう魔獣ばかりなら、退治することもしなくていいんだけどね~。」
「く・・まさかこんな手があるとは。」ザッ。「手は尽きたな。」「おとなしく降伏するのなら、命だけは助けてあげるわ。」ふっ。
「・・ノクターン・フォウに降伏は無いわ。それにまだ手はある・・!」ドロドロドロ・・『なっ!』「ノヴァが・・溶ける!」
ズズズズ・・「地中に浸透していきます!」「逃げる気?」【・・いいえ、攻撃よ。】ズブッ!「足元が!」ズブズブ・・「沈む?」
【腐り沼・・冒せないなら、底無し沼へ引き込むだけ・・】「これはいけません。チュリート、沼を呑み干しなさい。」
キュオオオーン!ガボッ!ゴクゴク・・【ムダよ・・大地あるかぎり腐り沼は尽きない・・地球を呑み干す気じゃないとね。】
ズブズブ・・「アラクネ、糸を!」「はいっ!」ピュルルル!・・ドロドロ・・「あら?・・そうか、まだ腐界の影響が!」
「獣化して脱出します!」「いかん!」『ショウ?』「巨大化したが最後、己が重量でさらに深みにはまるぞ!」「くっ!・・」
「マイ社員諸君、ワイヤーショットを。」チャキチャキッ。「ていっ!」バスバスッ!ヒュルルル・・ドカドカドカッ!
「特殊樹脂製ワイヤーだ、しばらくは保つ。それぞれにつかまってくれ。」「かがりくん。」「はい。」「叡智くん、たのむわ。」
ギュッ。「は、はいっ!・・(ムネが~!)」「サリーさん。」「・・よろしく。」「どうぞリヴィくん、エリスさん。」「愛美さん。」
「まかしとき、リューズはん。」「では吾輩はNO.6とベルを。リワインド開始!」♪ピッ。ジィィィーッ・・ガクン!
「む・・いかんな、モーターが沼の吸引力を抗しきれんか。」「沈降を止めるので精一杯です~!」「なんて力なのよ・・」
『我らに任せよ!』シャシャッ、ザザザッ!「三牙将?」「下忍ども、ワイヤーを引け!」『ははっ!せーの!』グイグイ!
「召喚、ゴーレム!」ゴバアアアッ!「さあ綱引きよ。よいとまーけ!」ムウウウ~ッ!グングン!「ん~、さすがに今回は
応援団に徹するか。」「いまさらですアテナさま。」ぷち。「・・ユーディット、前から思ってたのだが。」「ひとこと多い、ですか。」
「自覚してるならなんとかしろ。」「これが性分ですので困難かと。なお悪意は皆無なのでご容赦を。」「あったらなお悪い!」
『ふうはあ・・』「な・・なんとか脱出できたぞ。」「あう~、服がドロドロ~。」「さしものバルカンスーツもこれまでか。除装!」
バンバン!どさどさっ。「さて、この沼をどうするか。」「チュリートでも吸いきれないのは困りものですね。」「手はあるぞ。」
「ショウ?」「ジークハイル殿、この魔獣は腐敗物を浄化するといったな。」「はい、ウンコは栄養豊かな土になります。」
「ならばここにちょうどよい肥溜めがあるではないか。」『・・ああ!』ぽん。「なるほど、その手は面白いです。チュリート、
ここでお通じしていいですよ。」キュオオオーン。のそのそ・・ドバドバドバ!『うわ~・・』「これは詳しく書けないわね。」
「よく出ますね~。(^^;;」【まるでバキュームカーじゃの~。】「いっぱい食べましたので。」「さて、ノヴァがどこまでガマン
できるか・・」【・・なっ?なにこれ!】ザワザワザワ!「さすがにパニクってるぜ。」【わあっ!・・なんてひどいことを!】
「腐り姫がウンコごとき何でもないでしょがー!」【そういう問題じゃ!・・たまらない!】ズムズム・・「出てくるぞ。」
ズボボボッ!「ふう~・・肥溜めにするなんてひど」「王将!」シュピィィーン!「・・い・・」チャリッ。ズル・・ボトッ!
「これで終わったとは思わんが・・」ズズズズ・・ゴバアアアーッ!「腐敗の沼が?!」ズズズズ・・「・・巨大な人型に!」
【もう怒ったわ・・みんなまとめて腐らせてあげる!】グワアアアーッ!「おっと!」ドバシャアッ!グズグズグズ・・
「そうか、ノヴァは腐界そのものか。」「人間形態は単なる便宜上のものにすぎないわけね。」「精霊とゆーよりバケモノだよ!」
「サリーはん、海造って津波で流せへん?」「イヤですー!あんなもの流したら海洋汚染です~!」「赤潮になるね、ぜったい。」
キュオオーン!「なに?」「チュリート?」ザザザザッ!ギュルルルッ!【なんだ?・・このバケモノ蛆が。同化してやる!】
ズブズブ・・「チュリートが!」「いけません!すぐに離れなさい!」ぷいっ。「?!・・私の命令を聞かない?」ズズズズ・・
「ああ・・溶けていきます・・」【くっ!・・もう手遅れじゃ!】ジュブジュブ・・「・・はっ?!もしや彼は・・覚悟の上で。」
「・・変神!」シィィィ・・シュパアアアーッ!『はあっ!』・・ズシイイイーン!『タイタン、光臨!ノヴァ、これ以上の狼藉は
許さんぞ!』【倒せるものなら倒してみるがいい。私にはいかなる物理攻撃も効か・・ぬ?!】ズズズズ・・『・・ノヴァの身体が
変色していく?』【こ、これは?!】「・・やはり。」『ジークハイル?』「これでわかりました・・チュリートの体内には腐敗物
分解酵素があります。それを同化するということは?」「・・わかった、毒を盛ったわけね!」「そのとおり。彼はそれを狙って
あのような挙に・・タイタン、彼の行為をムダにさせないでください。」『・・わかった。ルシファー起動!』ジャキーン!
『ひさびさにいくぞ。光あれ!』キィィィ・・【くっ!・・その輝きは!】『そのとおり!』ダン!『邪悪なる腐敗よ、神の光にて
塵となれ!』カアッ!・・『プロメテウス・イレイザー!』ゴオッ!バドオオオオーン!【うぎゃああああーっ!・・】シュバババッ!
「す・・すごい!あれは霊子分解波です!」「物質を原子分解するように、霊体を霊子分解・・あれがルシファーの力なのね。」
「・・ゴーガ、やはりあれは・・」【うむ。・・魔獣皇を封じたあの拳によう似ておる、な。】「はい。・・どうやらタイタンは
あのときの勇者神となんらかの関係があるようですね・・」「心情としては、そうあってほしくないですね。」「・・ジーク?」
「なぜなら・・そうであれば、もし『彼』が復活すれば、必ずやタイタンを第一の標的にするでしょうから。」「でしょうね。・・
そのとき、ジークはどうします?」「さて。・・ま、そのときになったら決めましょう。今はまだ早すぎる話題ですし。」
ゴォォォ・・サラサラサラ・・「腐界消滅、ノヴァも消え去ったか。」「なんつっても最大の功労者はあの魔獣ね。彼がいなかったら
もっと苦戦してたでしょうね。」「そうだ、ここに墓を建ててやろう。」「それは名案です。」「・・魔獣に墓を?」【これは・・意外じゃ。】
・・ザクッ。「はなはだ簡単でござるが、これでよかろう。」「では、ご一同。」「弔辞はタイタンがやってね。」「ああ。・・その命を
もって腐敗の波を押しとどめた、魔獣チュリートの御霊に冥福を。できうれば天国の門に至らんことを願う・・」「全員、黙祷!」
『・・・・』「・・こんなにしてくれるなんて。」「タイタンたちが七鎧聖すらにも慕われる理由です。・・ならばこそ私は・・」
「下忍ども、御詠唱を。」「ほう、コラールか?」『はんにゃーはーらーみーたーじー!』ポクポクポク、チーン♪『お経かい!』
アウターヘブン。「・・あれだけの実力者でもダメか。」「今回はさすがにちょっとまいったわね。まさかノヴァが敗れるとは。」
「恐るべきはタイタンの人脈です。魔獣までも組するとは。」「なら、あたしがその人間関係を引き裂いてあげましょう~。」
「エイプリルの『人形使い』なら、同士討ちも可能ね。」「さてさて、こういう手で攻められると連中はどう対処するかしら?」
「健闘を祈る。・・私は下がる。」バサッ。カツカツ・・「・・(綺羅め、今にみておれ。手駒が無くなったときが終わりだ。)」
「・・ふふっ、あのバカなんか企んでるみたいね。」「ですねぇ。おそらくあたしたちが全滅したときにぃ・・」「手持ちの軍で
総攻撃か・・いかにも単細胞の考えそうなこと。ジャンヌ、打ち合わせどおり。」「かしこまりました。ただちにかかります。」
その夜、リヨンの四つ星レストラン。『うわ~!』「こんな豪華なフランス料理フルコースなんて初めて!」「しかも秘密部隊と
砂風の下忍たちまでもとは・・ジークハイル、ホントにいいのか?」「葬式の参列者にご馳走するのは喪主の務めです。」
ワイワイ!「むう、なんという美味!」「棟梁についてきて本当によかったであります!」「まあ、拙者の払いではないが・・」
ぱく、もぐもぐ・・「・・なるほど、バジルもあるのか。」サラサラサラ・・「エーちゃん、さっきからなにメモってるの?」
「四つ星シェフのレシピ解析。こんな機会めったにないから。」「さすがアイアンシェフ、研鑚を惜しまぬのは賞賛に値する。」
「けどさ、エッチの料理もかなり近いよね。」「そやそや。ただ、これでフレンチ風を覚えたらそれはそれで楽しみやな~。」
「それでは実家にお願いして、舌ビラメやサーモンを送らせましょうか。」「キャビアどうよ?」「あー、それは高いので・・」
「ユーディット、できそうか?」「素材と味は記憶しました。完全という保証はありませんが、近い味はなんとかなるかと。」
「どうせなら叡智くんに教わったら?腕いいしさ。」「うむ、みやげに持ってきてくれた幕の内弁当は、実にうまかったぞ。」
「明日はザルツブルグに行くぞ。」「リューズを親友に会わせてあげないとね。」「また錬金術士というのも興味ありますしね。」
「あ、そうだ。ジーク、かくかくしかじか・・」「ほう、マリオンが。それは私も知りませんでした。」「・・会ってみる?」
「・・いえ。会ってしまうと、私のほうへ引き込まなければならなくなります。それはしたくありません。・・マリオンには
できればカタギでいてほしいです。」「・・私も同感。会わないほうがいいかな・・」「リューズはいいでしょう。友人ですし。」
?・・あ、そういや忘れてた。ダンテ船内。「はい、あーん・・」「あーん。・・エリス様もお行きになればよろしいのに。」
「いいの・・騒々しいのは好きじゃないし。それにフレンチよりも、叡智くん手製のおじやの方がおいしいし・・」ぱく。
「・・で、エリス様、・・いえ、リリス様。」ぴく。「・・いつから?」「最初からですな。」ふっ。「さすが『凍結の猛将』ね。」
「二人になる機会などめったにありませぬから。・・リヴィ様とのこと、ご本意をお聞きしたく。」「・・見て、わからない?」
「九分九厘は。ただ残り一厘を確信したく。」「・・もし、全てのコトが終わったら、絶対に。」「・・それを聞いて安心しました。
ご両親は?」「うちは放任主義、みんな自己責任よ・・これもね。」「お姉さまより先になりますな。」「・・そうだね。」くすっ。が
♪花の都 音楽の都 美しい都に花が咲く
♪「人形使い」の魔の花が 人々を苗床に咲きほこる
♪街を覆う花・花・花 人を覆う花・花・花
♪化ける草と書いて花 花のお化けが街をゆく
♪『春がきた』鮮やかな地獄の季節が・・
アルプス上空。『間もなくオーストリア国境を越える。』「もうすぐザルツブルグね。」「マリオン・クローリーか・・ベルはよく
知ってるようだが。」「けっこう長い付き合いね。今どき貴重な魔法アイテムの製作者でもあるし、そのスジでは超有名人よ。」
「魔法関係というと、ご隠居やギネビアさんもですか?」「ギネビアは知らないけど、ご隠居の使う魔法兵器のいくつかは彼女が
作ったものだという話は聞いたわ。」「ほう、あのご隠居がお認めとは。錬魔製師ならばいかにも。」「その錬魔聖師ってなんだ?」
「俺たちもよくは知らん。」「リューズから聞いたのが初めてですね。」「古株の私も、存在すら知らなかったわ。」「わたくしは
小耳にはさんだことはありましたが、実際に見たことはございませんでした。」「当然です。マリオンは魔獣としては無力に近い
存在でしたから。」【その代わりに知力に長けており、精神文化中心の我らの内で、ほとんど唯一の物質文化の権威じゃった。】
「城砦の建造・アイテムの製造などで重宝され、七鎧聖に相当する地位さえ与えられたものでした。」「・・何でも屋さんだね。」
「まずはベルに先導してもらおうや。そのほうが相手も警戒しねえだろう。」「そうね、いきなり会ったらビックリするだろうし。」
アウターヘブン。「連中はオーストリアのザルツブルグへ向かってるわ。」「そこに何があるというのか?魔獣封印の情報は聞かぬが。」
「そのへんを探るのも兼ねて、エイプリルを派遣したわ。」ぴく。「・・『人形使い』か。」「その徒名は精確じゃないわ。正しくは
『春を呼ぶ者』というべきでしょうね。」「?・・よけいにわからぬが。」「ま、見てればわかるわ。あそこはすぐに春になるから。」
「春・・?」「春は花が咲くわ・・きれいな花がいっぱい。でもそれは見せかけだけのこと。・・そういえばそれを見抜いた詩人が
エデンにいたわね。名前はたしか・・ランボー。」「・・『地獄の季節』か。」「あら、知ってるとは意外。ひょっとしてポエマー?」
忍空艇「飛燕丸」。「ザルツブルグか・・どーしたもんだろ。」「ギネビアはその術士は知っておるのか?」「知ってるどころか、
愛用してる常連だもの。」「実は拙者も存じておる。最高品質の忍器が欲しいときには、まずそこへ行けば間違いないからな。」
「かなりの腕前のようですね。」「それは保証付きだな。なにしろ、この『王将』もその店で作ったものだから。」チャッ。
「な~んだ、みんな知ってたのね。」「業界では一流ブランド扱いの有名店でござる。」「値はかなり張るが、それに見合った逸品を
造ってくれるので、それなりに名を持つ連中の御用達になっている。」「ちょうどよい、ついでに目新しい忍器を漁ってみるか。」
「話を戻すが、何を悩んでいるのか?」「敵の襲撃があった場合を考えてたの。もしあの店に被害が及ぶようなことになると、
あちこちの組織や業界人が大パニックになるわ。」「さもあらん。」「それはないと思うぞ。」『なんで?』「そうか・・二人は
知らないか、彼女の実力を。」「アテナ様はご存知のようですね。」「うむ。・・ヘタをすると私たちより強いかもしれん。」
第三十九話「春がきた」 - 妖花の精霊「春眠のエイプリル」登場 -
音楽の都ザルツブルグ。『お~。』「さすがは歴史ある街だな。街並みが他とはちがう。」「モーツァルトがトコトコ歩いてても、
まったく違和感ないってカンジね。」「どこからかアンサンブルが聞こえてくるようです。」「好きですぞ、こういう街は。」
「緑も花も多いですね。」【いままで歩んできた都会とは一線を画しておるのう。】「あ、あそこよ。『Atelier de Marion』。」
「ほう、ここか。ベルからよく聞いちゃいたが、来るのは初めてだぜ。」「・・外は古風だけど、中はすごい霊気に満ちてるね。」
♪カラーン。「いらっしゃいませー。」「やほ、マリオン。団体さん連れてきたわ。」「あ、それなら先客いますよ。」「え?」
ひょい。「おお、着いたか。」「お先に失礼つかまつる。」「遅かったじゃん。」「お昼してこられたので?」『三牙将?』
「常連さんです。で、そちらの方々はお初ですね。」「あ、紹介するわ。こちらは」「・・リューズ?リューズじゃない!」
『えっ?』「・・マリー?本当にマリーなのね?」「そうよ、バルベード・アラ・ドルーダ。」「・・ラーザ・エレ・ミレーレ!」
「なんだ?」「聞きなれない言語でござるな。」「神聖語とも違うぞ。」「あれは七鎧聖しか使わない特殊言語ね。知ってるのは
私とイエティくらいかな。」「さようですな。意味はさっぱりですが。」「マリー・・ね?」「・・いいね。」すっ・・ぐっ。
『おおっ!』「うわ~・・ディープ。」「こういうのはじめて見ます・・」どきどき。「そういえばリューズどのはユリ専でしたな。」
「なかなかグッとくるものがあるな。」「どちらも美女だからよ。」「・・虚空画聖が喜びそうな画だね。」ちゅるっ・・『ふう・・』
「・・間違いなくマリーの唾の味。」「リューズのも昔のまま、甘いわ。」「・・そういうものでござるか?」「私が知るか!」
「女性はブレスケアは最重要点検項目だしね。」「はい、食後の歯磨きとリステリンは欠かせません。」「モンダミンはきついぞ。」
【おひさしゅう、錬魔聖士。】「老師も壮健で。」「・・あれからどうなったの?」「話せばすっごく長くなるわ。一万年だし。」
「そんなに・・そんなに独りで。」「意外とそうでもなかったりして。付き合い良い連中がけっこういたし。」【ほう?】
「一番の恩人が、あの戦乱の中から救ってくれたサタンね。」『サタン?!』「魔王サタンが!」「あー、そっかー。たしかに
サタンなら錬魔聖士に目をつけて当然かも。」「八千年ほど魔界で匿ってくれたわ。その間に魔王城建造やら魔界都市開発やらで
恩返しはしたけどね。」「魔界にいたんですか・・」「エデンに降りたのが千年前くらい。アテナとはその頃からの付き合いよね。」
「そうだな。いろいろ世話になった。」「櫻華さんにご隠居、『管理人』の方々も贔屓にしてくれてるから、退屈はしなかったな。」
「ということは、クレオと雅か。」「二人だけじゃないですけどね。」「・・他にもおられるんですか?」「そりゃそうだろ。」
「アラクネもけっこう古株なのに、知らなかったのか?」「ヨーロッパは守備範囲外だったの。トルコから東なら詳しいけど。」
「後先になりましたが、ウワサのゴッド部隊の皆さんですね。活躍のほどはベルさんからよく聞いてます。」「錬金術士だそうだが、
この現代でどんな仕事を?」「たしかに昔は医薬品や化学薬品の調合が主でしたが、今はいろんな便利アイテムが売れセンですね。」
「へ~、たしかに珍しいモノがいっぱい。」きょろきょろ。「武器も多いようですね。」「そのスジのお客さんは金に糸目つけずに
良いものは買ってくれますから。」♪カラーン。「いらっしゃいませー。・・あ、おひさしぶりです。」「しばらくだったね。」
『え?』くるっ。「・・彩か!」「『チーム・夢幻』のみなさまも。」「ここで合流って連絡だったからね。」「この店はよく
知ってますから。」「ちなみに私の『ファサーデ』もここ製です。」「元気だった?マリー。」「彩さんも息災でなによりです。」
「では今夜、旧交を温めないかい?」「むっ!」ぎぬろっ!ぐっ、ずる~っ!「こーの万年発情」キュィィーン!「・・え?」
「彩さん!マリーとどういう関係ですか!」ずいっ!「・・えっと、ドリル突きつけられてると答えにくいんだけどね・・」
「返答如何によっては、あと10cm進めます。」キュィィィーン!「マリー、へるぷみー。」「あははは。リューズ、だいじょうぶよ。」
「・・ホントに?」「人生経験長いからね。彩さんくらいのジゴロはうんざりするほど見てきたし、蹴り飛ばしもしたっけか。」
「じっさい未踏峰なんだな、これが。」どばぎーん!「山といっしょにすな!」「ドリルでミンチにしたほうが世のため人のため、
マリーの貞操のためですね。」キュイイイーン!「あ、ミンチにするなら下のほうを。宦官にしちゃえば問題解決!」『おいおい。』
「ちょうどいい、これを見てもらえないか。」カチャ。「これは・・もしやルシファー?!」「そうだ、サタン様にいただいた。」
「そうですか・・遂にコレが必要になるときが。」「どういう意味ですか?」「この武具こそ、かつて魔獣王ヤハウェを倒し封印した
勇者神ティターンが使っていたものです。」ぎょっ!『ティターン?!』「そ、それって・・タイタン!」「そうも発音しますね。」
「・・俺か?」「いえ、そもそもティターンというのは巨神族の全体呼称です。もちろんそれぞれに名前がありましたが、巨神族は
魔獣戦争後まもなく三大神族により絶滅させられ、記録からも抹消されました。そして公式には奇病による絶滅として記録され、
歴史書には数行の記述で言及されるだけの、過去の遺物となりました。」「・・でもマスターはたしかに巨大化能力はありますが、
この等身大が本来の姿ですよ?」「その逆です。四神獣の皆さんと同じく、今の状態が擬態で巨人が本来の姿です。」『・・あっ!』
「もっとも、長年それでいたことで、そちらがデフォルトだと勘違いしてるということはありえますが。」「・・そうなの?」
「俺自身にもよくわからん。だが巨大形態で最大の神力を発揮できるのは事実だ。」「となると最大の疑問は、なぜに御主人様が
無自覚で擬態をとってきたかの理由ですな。」「可能性として考えられるのは、自己防衛です。もし巨神族が生き残っているとしたら、
三大神族はただちに抹殺に乗り出すでしょう。なにせあの魔獣戦争の真実の生き証人ですから。」「魔獣戦争の・・真実?」
「実は侵略戦争だったという話なら聞きましたが。」「いえ、もうひとつウラがあります・・アーリマンとイエティはご存知じゃ?」
「アラクネ、知ってるのか。」「・・うん。でもまさか一郎さんに関係あるとは思わなかったわ。」「さようです。しかし御主人様が
巨神族の血脈に通じるものとなれば、話は別です。」「・・かなり危険な真実のようですね。」「知ってしまえばこれからの行動に
多大な影響を及ぼすのは確実です。」「そうか・・だが聞かずに後悔するより、聞いて判断したい。」「そうですか・・では。」
ゴクッ・・ぴくっ。「待って!」はっ!『・・エリス?』「なんだ?」「・・何か街で起こってる。そう・・恐ろしいことが。」
ザッ。「ふ~ん、なかなかきれいな街ですねぇ。あたしのお花畑にピッタリ♪えっと、風向きは・・」ぺろっ、すっ。「よしよし。
ほんじゃ、種まき開始ぃ!」ホォォォ~ッ。キラキラ・・「さあどんどん広がれ~。この街の人たちを苗床にキレイに咲いてね♪」
キラキラ・・ぴとっ。「ん?・・なんだ?」・・ズズズズ。「うっ!・・こ、これは?!」ピシピシピシッ。「身体の中を・・何かが!」
ミキミキミキッ!「ぐおおおおおーっ!」「きゃあっ!・・あの人の全身に!」「・・根が?!」メコメコッ、ポンポン!「花が!」
「た、たすけ・・」メコッ、バアッ!『うわあっ!』「く・・口から!」「巨大な花が!」ピルピルピル!ビュバアッ!ギュルルッ!
「ぐうっ!」「口の花からツルが!」グイッ!ガボッ!『ぎゃあああーっ!』バリバリバリッ!「く・・食ってる、人を!」
ウワアアアーッ!キャアアアアーッ!「あははははは!どうですぅ?人間花はとーってもきれいでしょ。ちなみに肉食性なので苗床に
ならなかった人はとっとと肥料になってくださいねぇ♪ この調子なら、ものの一時間で街はあたしのお花畑になりますねぇ。」
ワアアア・・「なんだあの悲鳴は?」「あちこちからするわ。」「外を見てきます!」・・はっ!「だめリヴィ!外へ出ちゃだめ!」
ぴたっ。「エリス?」「・・見える。外には邪悪の種子がいっぱい。出ればたちまちやられちゃう!」「種子・・エイプリルね!」
「ウワサに聞いた大量殺戮技『春の祭典』ですな。エイプリルの吐き出す種子は人に根付き開花する、恐ろしい悪魔の花です。」
「種子に取り付かれた人間はどうなるのです?」「花に支配され他の人を食らう、人の形をした花のバケモノでしかなくなるの。」
「うえ・・まるでマタンゴね。」「蘭、衛星で最新情報を。」「了解です。・・米国スパイ衛星コネクト。軌道変更・・ロック。
映像きます。」キラッ、ぱっ。「へえ、片目がプロジェクターになるのね。」「・・街は花のバケモノだらけか。」「むう・・」
♪ピッ。「儂だ。みな無事か?・・そうか、裏高野の退魔護符の加護はさすがだな。・・うむ、風上で待機しておけ。」♪ピッ。
「下忍どもは危険なので今回は下げておく。」「私なら外へ出ても何とかなると思われますが。」「いえ、ユーディットも危ないわ。
種子は肉あるものなら魔獣だろうがなんだろうが取り付くの。」「かといって、このまま座して死を待つのも面白くないですね。」
「えっと、こないだ売ったバッジまだありますよね?」「ええ、バッグにあるけど?」カチャッ。「ちょっと貸してください。」
♪ピッピッピッ。「はい、対物理防御に設定変更。これで種子の付着は防げるはずです。」「そういう使い方もあったのね。」
「ありがたい。これで心配なく外へ出れる。」「マリオン、僕たちにも売ってください。」「あと使える道具がなんかあれば。」
「皆さんしばらくごぶさただったので、いろいろ揃えておきましたよ。」ガヤガヤ。「これをもらおう。」「これと~・・これ。」
「ほう、このようなものも。」「あ、これ幽さん専用です。」「ふむふむ、試しに使ってみましょうか。」「武装制御プログラムに
追加インストール。」ピッピッ♪「支払いは俺にセンタリングしてくれや。」「みんなで六千万マルクです。はいこれ領収書。」
「ではみんな行くぞ。」「私はここでマリオンを守ります。」「あ、だいじょうぶよリューズ。このくらいの状況なら今まで何度でも
クリアしてきたから。」「・・そうなの?」「では僕が」ずどおおおーん!「ほら隊長さっさと行くわよ!」ずるずる。『あら~・・』
ダダッ!『・・これは!』「うっ!・・」ピルピルピル!「これが・・人間花ですか!」「むう・・なんと醜悪なものでしょうか。」
「あのブリっ娘、中身はノヴァ以上に腐ってるわね・・」ピルピルピル!「襲ってきます!」「王将!」シャリン!「待てアテナ!」
「タイタン?」「彼らはゾンビでなく、まだ生きてるんだ。エイプリルを倒せば元に戻れるかもしれん。」「そうなのか、イエティ?」
「可能性はございます。」「そうか。ならば!」シュバッ!スパスパッ。「触手を切るくらいならかまわんだろう。あとは峰打ち!」
ドンドン!ばたばたっ。ピルピルピル!「まだまだ来るわ!」「戦闘はなるべく避けよう。建物の上へ!」ターン!・・すたっ。
「街路は人間花だらけですね。」「やっぱ中枢のエイプリルとやらを討たなきゃダメっぽいわね。」「問題はどこにいるかですが。」
「衛星で見つけようにも、面が割れてませんので。挙動不審な人物を検索する手もありますが、これはかなり時間がかかります。」
「・・むっ?ギネビア、エイプリルに施した感覚ジャックはまだ有効でござるな。」「あ、その手があったわね。ケータイでと・・」
♪ピッピッ。「きた。・・ありゃ、本人視界だけじゃどこだかわかんないわ。」「いえ、それなら特定方法はあります。」『蘭?』
「周波数特定・・移動体通信システムによる三角測量・・座標照合・・」「なるほど、複数の中継アンテナによる位置検出ですね。」
「・・特定!あそこの丘です!」ぴっ!「よくやってくれた。みんな、建物づたいに行くぞ!」『おお!』ダダッ!ターン!
ドンドン!「ここまで来たわね。」バリーン!ピルピルピル!「うえ~、キモチわるい。雑草は駆除するに限るわ。」ひょい、ポン。
「いきなさい、『鉄蝗』。」・・ワアアア~ン!バリバリバリ!「あらゆる物を食い尽くす黙示録のイナゴ。今回は植物限定に設定済み。」
ピルピルピル!ビチビチッ!「あ、ダメダメ。それロボットだから食べられないわよ。観念してエサになってね♪」バリバリバリ!
「さて、こっちはこれでいいとして・・どこだったかな~。」ごそごそ・・「・・あった。よいしょっと!」ガラガラガラーン!
「状態は・・よしと。ではかねての打ち合わせどおり、出前しますか。」タタッ。「・・もし彼がそうだとしたら、だけどね。」
丘。「タイタンたちはまだ捕捉できませんかぁ。さすがに簡単にはいきませんねぇ・・?」ぴくっ。「・・なるほどねぇ。」ふっ。
ザザッ!「エイプリル、そこまでだ。」「完全に包囲したわ。おとなしくお縄につけば、お上にも慈悲があるかもね。」きょろきょろ。
「はい、たしかに包囲されてますねぇ・・あなたたちが。」『なにっ?』ボコボコッ、ザザザザッ!「これは?!」イヒヒヒヒ!
「薔薇の・・怪物?」「しまった、読まれてたか。」「あたしの可愛いバラバランガたちですよぉ。ちなみに得意技は」さっ。
シュバアアアアーッ!『うわっ!』「この液体は?」ピキピキ・・「う・・動けん?!」「瞬間的に硬化するとは・・不覚!」
「硬化蜜ですよぉ。じゃ、ゆっくり食われてくださいね♪」イヒヒヒヒ!「誰か・・動けるものは!」「指すらも動かせぬとは・・」
「これは単なる硬化でなく、何か暗示の一種ではないかと。」「そうか、蜜の芳香が神経系を麻痺させてるのね!」「・・洗い流せば。」
「リヴィ、水流を!」「だ・・ダメです!水を吐けません!」「やれやれ、こりゃけっこうな大ピンチだぜ。」『NO.6、冷静すぎ!』
ポツッ・・ドザアアアアアーッ!「・・えっ?!」「しめた、雨だ!」「しかもバケツを抜いたような集中豪雨!これなら!」サァァ・・
「・・よしっ、動ける!」ダッ!「そんな・・いままで青空だったのになぜ?!」『あら、雨降らせるくらいカンタンよ。』ざっ。
「マリオン!」「上空に降雨マシン『ユム・チャック』を滞空させてるわ。」【助かりましたぞ、錬魔聖師。】「いえ、まだ早いわよ。
この雨はあちらさんにも有利よ。」「・・こうなったら力押しですぅ!合体!」ズムズムズム!「薔薇の怪物が・・合体巨大化!」
グワアアアアーッ!「いけっ、モスバランガ!みんなやっちゃえ!」イヒヒヒヒ!ズシーン!「怪獣相手なら俺の出番だ。変神!」
シィィィ・・シュバアアアーッ!『はあっ!』・・ドドーン!『怪獣は押さえる。みんなはエイプリルを!』「おおっ!」ザザッ!
「ならばこっちも数を出すだけですぅ。」すっ、ぱぱぱっ。「・・花?」ポトポトッ。「いでよ白薔薇騎士団!」ズウウーッ!ガシャン!
「ほう、精霊軍重装騎士団『ローゼンリッター』ですな。けっこう手ごわいですぞ。」「どっかで聞いたよーな名前だけど、不良中年が
いなきゃ問題なしよ。」「あ、それこないだ愛美さんに借りた大河アニメですね。」「・・すごく長いのでまだ観れきってないけど。」
「俺は以前に完遂したぜ。けっこーいろいろ勉強になったな。」「だから愛用の蒼白馬に『ブリュンヒルト』って名づけたのね。」
「でも白薔薇なら最近はロサ・ギガンティアというのが通説では?」「・・隊長、どんな本読んでんですか。」「私も愛読してますよ。
あれはイヤ味が無くて癒されますし。」「愛美さんによると、既に過去にアンチ・テーゼ作品『笑う大天使』があるそうですよ。」
「??・・ゴーガ、わかります?」【知らんしらん。】「愛美ちゃんに聞けばみんな貸してくれるわよ。私も通信貸し出しの常連だし。」
『こい、花のバケモノ!』イヒヒヒヒ!シュバババッ!『トゲ蔦か。ヒドラソード!』シュバッ、ピキーン!『でやあっ!』ズバアッ!
『弱点は花芯だ!』ヒュッ!ズドオッ!『どうだ!・・なにっ?!』ジュウウウ~ッ!『ヒドラソードが・・腐食した?いかん!』
ブオオオオーッ!『回避!』ダーン!バシャシャシャッ!ジュウウウ~ッ!『強腐食液・・ダテにでかくなったわけではないか。』
イヒヒヒヒ!ブオオオオーッ!『ジャンプ!』ダーン!『はあっ!』クルクルッ、ザン!がしっ!『後ろをとれば液はかからん。』
ビュルルルッ!ギリギリッ!『トゲ蔦が?だが神鉄の装甲は抜けまい。』・・ギャギャギャッ!『なにっ!・・チェンソーか!』
「かかれぇ!」ドドドドッ!「やってみますか。」クッ、ピィーッ。「ほい。」シュパッ!シュルルルッ。「かかった!」ターン!
ギュイン!ザシャッ!じたばた!「妖糸絞首殺。糸は鎧の隙間から首を吊ってるわ。」キュイッ・・ピィン♪ガクッ。ピチッ!どさっ!
「新しい技ですか。では僕たちも新合体技で。」「・・いくよリヴィ。力の星霊マルスよ、無力な物に猛き力を与えよ。エロイム
エッサイム我は求め訴えたり・・『パワードレッド』。」・・キラリ。サアアアアーッ・・「火星光、受け取りました。徹鋼飛沫!」
シュババババッ!バコバコバコッ!「最新鋭戦車の正面装甲をも貫く水飛沫。加えて聖別化されてますので、精霊にも有効です。」
「リヴィ様もまたお強くなりましたな。あれほどの者が精霊軍に一人でもおれば、今のようなことにはならなかったでしょうが。」
ガシャン。「・・精霊軍諸法度、第二条。精霊兵士の存在意義は、ただ人民を護るためだけにあり。ゆえに例え精霊界支配者といえども、
理不尽な指令はこれを拒絶する権利を有する。」ぴくっ。「軍人の本義を忘れ、単なる走狗に成り下がるとは。この『凍結の猛将』、
決して許しはしませぬぞ。氷着!」すっ、シュゴオオオーッ!パキパキ・・ビシッ!「凍拳『チラー・ナックル』。かかってきなさい。」
ドドドドドッ!「ふん!」ドンッ!ばごおおおーん!メシャアッ!「ふんふんふん!」ズドドドッ!バゴバゴバゴッ!「ほれいっ!」
どかあああーん!ズダダダーッ!ゴォォォ・・「強打撃武器の前には、鎧など単なる重しに過ぎませぬ。」タタタッ、シュシュッ。
「ゴーガ・コネクトッ!」ガシイイーン!【まいりますぞ!】「はあああーっ!」ヒュィィーン!「スパイラル・マグナムッ!」
ドキュウウウーン!【うおりゃあああーっ!】ズボボボボーッ!ヒュルルル・・ゴオオオーッ!【環状線じゃい!】ズガガガガーッ!
「翁もまだまだ現役ね。じゃあ、年季の結果を見せよっかな。」ごそごそ、ジャキッ!「それは・・まさかガントレット?」
「うん。もちろん仕掛けありありだけどね。おっと。」ビュオッ!ひょい、「ほいっ!」ゴン。ズドオオオーン!メシャアッ!
【なんと?!】ガラガラーン!ゴォォォ・・「なんて破壊力・・軽く触れたただけなのに!」「『衝撃篭手「ナバロン」。接触すると
要塞砲に匹敵するショック・ウェーブを叩き込む。」パシュッ、バシュウウウーッ!「すぐ熱くなるので改良の余地ありだけどね。」
「愛染。」すっ、シュイン!「仕入れた道具をさっそく試してみましょうか。」ぱさっ。「妖蚕絹布。」スーッ・・キィィィ・・
「ほう、刃の霊質が変わりましたか。では。」シャッ!シュパパパパッ!・・チャキッ。「・・予想よりも切れすぎますね。」
ピリ・・ガラガラガラーン!「魔界の妖蚕バトラの糸で織った布。拭ったものの霊的属性を一時的に『魔』に変える・・だそうで。」
「こっちも新兵器を使ってみましょ。影沈み・・」ズズズズ・・『影串。』ドボオッ!ズドドドドッ!『おー、使えるつかえる。』
「ん~、私の能力では何使ってもいっしょなんですけどね・・」スゥ・・ぴたぴたぴたっ。「・・貼り付けよしと。ぽちっとな。」
ぽち。ドカドカドカーン!どさどさっ!「超小型磁力吸着爆弾『北斗』・・あ、なるほど。お前はもう死んでいる、ですか。」
バサササッ!「ファサーデの新たな力、お見せしましょう。おぼろ車!」バサッ!ギュルルルッ、ズゴゴゴゴーッ!ドカドカドカーン!
ゴオオオオーッ!・・バサアッ!「質量でなく、スピードと遠心力エネルギーで吹き飛ばします。さらに!」ギュルルルッ、ジャキン!
『破砕車・疾風刃雷!』キュイイイーン!ズゴゴゴゴッ、ズガシャアアアアーッ!『高速回転でいかなる装甲をも切り裂きます。』
「そろそろ『王将』も飽きてきたところだったので、ちょうどよかった。自在刀『龍馬』!」すっ、ジャラララッ、シャキーン!
ゴオッ!「ふん・・」ガキイイイーン!「桂馬刺し。」キュインッ!ズドオッ!「眼を貫かれればたまるまい。」クイッ、ズボッ!
「『龍馬』はガリアン・ソード、先端だけでも制御可能だ。そして!」ビュン!ジャラララッ!「猛龍蹂躙!」ギュララララッ!
ズドドドドッ!「狂馬跳躍!」ギュイン!ズバシャアッ!「龍の如くうねり、馬のように跳ねる。」ジャラララッ、シャキーン!
「ほう、さすがはアテナ殿。では拙者も新機軸と参ろうか。紅錆嵐。」ザアアアアーッ!ピキッ、ピキピキピキ・・ガラガラガラ!
「あらゆる金属を錆びさせる魔界『朱の砂漠』の赤砂とのことだが、なるほど重武装の相手にはきわめて有効でござるな。」
「マリオンの道具は使えるから好きよ。こちらもいきますか。」ぴっ。「妖獣アンプル。どれにしよっかな~♪・・これ。」パキッ。
「召喚・ジェラティノス!」ボーン!・・キュルルルッ!「見た目メタルスライムだけど、経験値は稼げないから。いけっ!」
ブワアアアーッ!ジュルルルッ!・・グラッ、ガラガラガラーン!・・ジュルルルッ。「鎧だけ残してごちそーさまでした♪」
「私も新しい本を買っていただきました。」さっ、パラパラ・・「・・『ヒーロー愛銃大図鑑』、すべて記憶しました。まずは。」
グニュ、ジャキン!ピッ、ドキュドキュン!「レーザーサイト付ハードボーラーです。次は。」ジャキン!ズドンッ!バゴオッ!
「スペイン・サラスケータ社製オートバグラー。二連水平ソードオフ・ショットガン、スラッグ弾は近距離なら絶大な威力です。」
ジャキジャキッ!ドンドンドン!バゴバゴバゴッ!「エボニー&アイボリー。・・大口径のはずですが、破壊力はいまいちかと。」
ガリガリガリ!『くっ!・・腕さえ封じられてなければ!』「タイタン、これを使って!」ヒュッ!『マリオン?』ギュイイン!
ぱしっ。『これは・・盾?』「ディスカーマ『アポロ』。攻防一体のスグレモノよ。」『使ってみよう。回転!』キュィィーン!
ズバババッ!『切れた!』ジュバアアアッ!『腐食樹液か。遠心防御!』キュィィーン!シュバババッ!『よしっ、使える!
コロナ・ブレード!』ぐっ、ジャキーン!『走れ、ソル・チャリオッツ!』ブン!ギャルルルッ!ズバシャアアアーッ!
『弱点の葉柄を切れば、ただの大盛りサラダだな。光あれ!』カッ!『ルシファー第七章「芙蓉」。土より生まれし物、汝再び
土に還るべし。エコロジック・プロメテウウウースっ!』ズドオオオーンッ!グボボボボッ、どさどさどさっ!ゴォォォ・・
「そ・・そんな?!全滅だなんて!」「残るはエイプリル、あなただけよ。」「徹底抗戦でも撤退でもお好きなように。」
「いえ、もっと面白い手があります。」『彩?』シュッ、トン。「あ!・・」くたっ。ぱしっ。「伊賀忍法・昏倒打ち。さてと、
ここは僕に任せてもらえませんか?」「どうする気だ?」「このまま帰しても、敵前逃亡で処刑されるでしょう。ならばもっと
有効に動いていただくのが良いかと。」「あ・・まさか。」「アレをする気ですな。」「忍びは非情。けど考えようでは最後に
いい夢を見ながら逝かせるも慈悲かも。」「そりゃわかるけどねえ・・ま、今回は仕事のうちということで見逃しましょう。」
「?・・何をする気だ?」「むう・・噂に聞いたことがござる。伊賀若頭の恐るべき房中術を。」「えーと・・くだいてゆーと。」
「十八禁ですね。」「こっからオトナの時間ってこった。」「エリスの教育に悪いわね。」「・・何をいまさら、だけどね。」
「??・・ゴーガ、解説してください。」【いや、そう言われてものう・・】「連れ込み宿なら、すぐそこにあるわよ。」
「どうも。ではのちほど。」シュン・・「・・記述どうする?まったく書かないのも問題よね。」「そうだな・・限定かけよう。」
「はぁぁぁ・・」「きれいですよ・・ここは?」「・・ああんっ!ふはあっ!」「いいですね・・では。」「はあっ!・・」
「精霊相手は初めてではないですが、これはこれで。」「あっあっあっ!・・はあああ~んっ!」くたっ・・「まだ一回めです。
あと五回はいっていただかないと。」「はあああ・・」「快楽におぼれ、頭が空っぽになるまで・・そして。」ふっ・・
その夜、レストラン。「・・あ、来たわ。」「お待たせしました。」「エイプリルは?」「処置を済ませて、帰らせました。」
「処置か・・ほんっと女の敵ね。」「普通は優しいですよ。ですよね、アテナ?」どきっ!「そ、そこでいきなり私に振るな!」
「あー、そういやアテナは彩と経験済みか。」「あと秘密部隊で食われたのって、だれ?」「残念ながら、皆さん身持ちが堅くて。」
「櫻華さんはウェルカムでは?」「ああ、そりゃ無理ですな。なにせ櫻華さんは隊長のえっちの先生ですから。」『ええっ?!』
「六歳の頃から手ほどきを受け、免許皆伝をいただきました。」「へえ~、どうりで人並み外れたえっちテク持ってるわけね。」
「今回の術も師匠直伝ですが、使うのは最初で最後にしたいものです。」「反間は忍びの基本ですが・・たしかに残酷ですからね。」
「で、人間花のほうは?」「みんなの協力でどうにか事態は収拾した。」「エイプリルの制御をあたしの魔法結界で遮断してる間に、
アラクネの蜘蛛と流動体のユーディが体内に潜り込み、根こそぎ駆除してくれたわ。」「いや~、めちゃめちゃ大忙しだったわ。
数万のミクロスパイダー総動員だもの。」「私は不定形がデフォですが、人の体内を通るのはキモいです。」「ご苦労様でした。」
「そういえばエイプリルの感覚ジャックはまだ使えるのでは?」「あ、そうそう。どんな仕儀になるか確認しとかないとね。」♪ピッ。
アウターヘブン。「・・ただいま~。」ヨロヨロ・・『エイプリル?』「行方不明になってたので、てっきり死んだかと思ってたわ。」
「敵に捕まって・・なんとか逃げ出して・・」「そうだったのね。」「とにかく、少しお休みなさい。話はあとでゆっくり聞くから。」
「はい~・・あっ。」よろよろっ、「おっと。」さっ。「・・。」ズドッ!「ぐっ!」「ジャンヌ?!・・エイプリル、何を!」
ズルッ・・どさっ!「あははははっ!殺った、やったよ!」「なるほど・・『人形使い』が操られてたか。」「綺羅様は殺しません。
『あの方』に怒られますから。」ぴくっ。「・・そう。ならば慈悲は無用ね。ジャンヌ。」ぴっ。「御意。」「・・えっ?!」ばっ!
がしいっ!「きゃあっ!」パキパキパキ・・「氷結握。もはや取れはしないわ。」「な・・なぜ?!」「わからなかったの?綺羅様の
ブロックサインが。」「匂い、ね。あなた自身の放つ芳香に、まったく別の香りが混じってるのに気づいたの・・男の香りがね。」
「それともう一つ。あの連中が逃がすなんてヘマするとは思えない。ならば答えは一つ、反間ということよ。」「一番マヌケだったのは
すぐにアクションを起こしたことね。私ならしばらく様子を見させて情報を取るわ。」「・・ふふっ、あはははは!そのとおりだよ!」
「どういう意味?」「すぐにわかるよ、すぐにね!」・・はっ!「ジャンヌ、殺!」「氷葬!」パキパキパキ!「彩さま・・いまこそ
命を捧げ・・」カチン・・「自爆する気だったのよ。」「爆発物は凍結させるに限りますね。」ぴしっ、♪チィィン。ガラガラガラ!
「けど、これだけとは思えないわ。すぐにアウターヘブン全域の調査を。」「ただちにかかります。」シュン・・「さてと・・」
ひょい、カラン。「同じ男を愛した女・・それに免じて、私と一つになることを許しましょう。」ぽい、ガリガリ!・・コクン。
ザーッ・・「あらら・・まあ、こんなもんか。」「あの綺羅が相手では長引かせるは無意味、襲撃前にいろいろ仕掛けてくれただけで
じゅうぶんでござる。」「・・エイプリルの最期の言葉は、洗脳ではなく本心だったな。」「それについて僕は何も言う資格はないです。
非難も逍遥と受けるまで。」「そうではない。・・惚れた男の為に死ぬのは、女の最高の幸福なのかもしれんという感慨がな・・」
「あら、アテナらしくもないメランコリックね。」「いえ、アテナ様はこうみえてかなりのファンタジスタです。」『・・はあ?』
「・・え~と、それってひょっとしてロマンチストと言いたかったんじゃ?」「いえ、その極端なものをそう呼ぶのは一理あるかと。」
「いわばマニアに対するヲタクみたいなものね。」「それはちょっと違うんじゃないでしょうか。」「定義とは難しいものですな。」
「マリオン、あの楯は助かった。じゅうぶんにイージスとヒドラベルトの代わりになる。」「いえ、『アポロ』はもともとあなたの
ものだったんですよ。でしょ、リューズ?」「・・はい。たしかにあの鎖円楯(ディスカーマ)は『彼』が使っていたものです。」
【・・やはり歴史は繰り返されるのか。】「勇者神ティターン・・俺がそうなのか。」「それを自覚するとしたら、おそらくは
魔獣皇ヤハウェに面したとき・・かもしれません。」「すなわち最終決戦、か。」【・・ひょっとして、誰かが仕組んだものかの。】
「マリオン、ちょっと。」「はーい。・・なんですかベルさん?」「お金の話だから、あっちで。」「なるほど。」カツカツ・・
すっ。「やっぱりあなたでしたか。」「気づかれてたか?」「うすうすは。しかし家族そろってサポートとは、お祭り好きですね。」
スゥ・・「マリオンもいいタイミングで『アポロ』を渡してくれたね。」「お預かりして数千年、不良在庫みたいなもんでしたから
大蔵ざらえは大歓迎ですよ。」「これからもアイテム関係で世話になるぜ。」「まいどありがとうございます。これからもご贔屓に。」
「それと例の話だが、もうちょっと待ってくれな。じきに真相は事実で明らかになるんで。」「それでみんなからあの話の記憶を
消したんですね。」「気づいてた?」「ええ。こだわったわりにはみんな蒸し返さないのでピンときました。」「さすがだね。」
「いきなり真相を明かしても混乱するだけ、むしろ少しづつ真相に近づけば順応しやすい。」「なるほど・・切り札、ですね。」
♪ヒュ~。「そこまで読んでたのね。」「皇を倒せる手は一つだけ。だから彼を勇者神として育てる・・いえ、覚醒させるか。」
「まだ今の段階ではヤハウェに勝てない。『ルシファー』と『アポロ』を完全に使いこなせないと。」「でもそれももう少しよ。」
「皇の封印は強力で、自力脱出は不可能のはずですが。」「手助けがあれば別だろ。」「・・誰が?」「アイツでないことは確かだ。」
♪常夏の街に冬が来る 全てを凍らす嵐が来る
♪絶対零度より冷たい 『寒き冬将』の侵略が
♪神も人も凍ってゆく 戦えるのはただ一人
♪不肖の弟子は討たねばならぬ 老いたる師は越えねばならぬ
♪「汚れし白」を倒すのは 全身全霊の一撃か・・