戦闘学園 - バトル・オブ・ハイスクール -   作:風雲再起

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フェイズ01「凛は舞い降りた」

海上自衛隊・館山観測所。「第七管区SOSUS感あり。照合。」カタカタ・・「登録音紋に該当なし。アンノウンと定義する。」
「水上レーダー感なし。潜水艦と推定。」「P-3C緊急出動。同時に近傍の護衛艦を急行させます。」「在日米軍へ情報伝達。」
「統幕本部へ状況連絡。」「警戒レベル3に上げる。待機中護衛艦は即応出動準備。」「まもなく当該海域に哨戒機到達。」

洲崎沖20km。グォォ・・「ソノブイ投下。」ヒュルルル・・ざぱーん。「ソナー発振。」♪ピコーン。「感あり。アンノウン
全長300m、全幅・・60m?!」「バカな、タイフーン級でもそこまででかくないぞ!」「まるで空母じゃないか・・」
「ん?・・発射管開放音!」『なにいっ!』シュゴオオーッ!「ミサイル視認!」「バカな、潜水艦発射型対空ミサイルなど
まだ試験段階だぞ!」「フレアだ!」シュパァッ!「・・回避成功!」「緊急通信。我アンノウンより攻撃を受けり。
行動指示を請う。」【直ちに退避せよ。交戦は不可、繰り返す、交戦は不可。】「了解。・・だろうな。」【在日米軍の
ズムウォルト駆逐艦に任せろ。】「ズムウォルト?・・新世代ステルス艦がお出ましか。アンノウンは対空攻撃能力あり、
ヘリは使うなと忠告しといてくれ。」【了解。聞くかどうかは知ったこっちゃないがな。】「お手並み拝見といこう。」

米海軍ズムウォルト級。「この新世代艦の実力を見せるときが来たな。」「相手の所属国が不明なのは不気味ですな。」
「まずは海上へひきずり出そう。爆雷投射。」ボンボンボン!・・ザパザパーン!「深度150・・起爆。」・・ズズズーン!
「アンノウンの状況は?」「確認中。・・速度・深度とも変化なし。」「ノックしたくらいでは起きないですか。」
「アクティブソナーで叩いてやれ。」♪コーン!「・・アンノウンに動きあり。何か巨大なものが動いて・・分かれた?!」
「魚雷か!」「いえ、低速です。・・左舷20度、急速接近!」「あっちだ!」ダダッ!「・・あの影は、なんだ?!」
ゴバアアアーッ!「手?・・巨大な手が!」グワッ!ゴシャアアーン!『うわあっ!』ズダダダーッ!「・・巨大ロボット!」

厚木基地。『スクランブル、スクランブル。東京湾沖にてアンノウンと交戦中。F/A-18は対艦装備で発進せよ。」キィィ・・
キュゴオオオーッ!【僚艦小破。敵は機動兵器と推定される。】「機動兵器?なんだそりゃ。」【全貌は不明。報告では
巨大な手があると。】「手?・・ロボットかよ。」「バカな、まさか巨大ロボットとでもいうんじゃないだろうな。」
【そのまさかの可能性あり。まもなくホットゾーン。】「了解。・・ジーザス、あれか!」「信じられん・・マジで巨大な
ロボットが艦上に!」「全高およそ10m。お台場で見たガンダムよりは小さいな。」「・・こっちを向いた!」クイッ。
ブオオオオーッ!「ガトリング砲?ブレイク!」キュィィーン!「ガッデム、マジでガンダムかよ!」「しかしこれでは
ミサイルも発射できません。」「上半身に攻撃を集中して艦上から叩き落とせ!」さっ。「?・・腕を上げた?」キュオン!
ガクン!ガタガタ!「な、なんだ?!」「電子系作動不能!全てのシステムが沈黙!」「EMP兵器?操縦不能、脱出!」
バシュゥゥーッ!・・ざぱーん!「まさか電磁パルス兵器まで持ってるとは・・離れる?」ヒュッ、ザパアアアーン!
【こちら護衛艦。パイロットを救助する。】「おい気をつけろ、奴はまだ下に!」【アンノウン01より停戦信号があった。
救助中の攻撃はしないとのことだ。】「・・敵に情けをかけられたか!」【アンノウン01・02は東京湾へ移動中。】

市ヶ谷・統幕本部。「海自へ、交戦は不可。アンノウンの動向を見極めよ。」「東京湾内での交戦は危険だ。様子をみる。」
「在日米軍から攻撃要請。」「却下だ。P3Cの件は威嚇の可能性がある。明確な敵対行動に出ないかぎり、攻撃できん。」
「アンノウン01/02、羽田沖を通過。停船指示に応答なし。」「竹芝桟橋方面に地上隊を配置せよ。」「了解。」
「攻撃判断は?」「市街地での交戦はなるべく避けたいが・・撃たれるまで撃つな。それが基本だ。」「徹底します。」

レインボーブリッジ。「・・隊長、見えました!」「あれか。・・まるで潜水空母だ。そろそろ水深が浅くなるはず。」
ザザザザ!「アンノウン01浮上!・・お、大きい!」「02も浮上しました。・・信じられん、まさに巨大ロボットだ。」
ズズズズ・・「艦首ハッチが・・開く?」「まさか、強襲揚陸艦か!」ザッザッザッ!「・・巨大ロボットの大群が!」
『こちら陸上自衛隊。警告する、そこで止まれ。上陸は認められない。』グワッ!ズシン!「警告無視か。命令は?」
「相手が撃つまで撃つな、とのことです。」「照準だけつけておけ。」「新橋方面へ移動します。」「避難指示を。」
「推定進路の車輌を退避させろ!接触でもしたら事態が悪化する。」「・・放置車輌だ?牽引してでもどかせ!」
「ロボット軍団は第一京浜へ右折。新橋方面へ。」「となると・・狙いは永田町か。」「内堀通りも閉鎖だ!」

銀座。『避難警報、避難警報。謎のロボット軍団が接近します。危険ですのでこの地域から避難してください。』
ワアワア!「なんだありゃ!」ズシンズシン!「ロボットの大軍が!」「でけえ・・」「晴海通りを左折するわ。」
「・・皇居へ?」『日比谷・桜田門・永田町方面に避難命令が出ました。指示に従って退避してください。』

皇居。・・「ついに『鉄機兵団』が動き始めました。」・・「承知しております。向こうが攻撃を始めるまでは。」・・
「はい、既に連絡済みです。このために準備していた『あの子たち』が動きます。」・・「感謝の極みです、陛下。」

国会議事堂前。ズシンズシン!『そこで止まれ!これ以上進めば攻撃する!』ジャキジャキッ!「止まれ・・」
ズシン。さっ、ズンズン!「・・横に並んだ?」ザッ!【警告する。これより国会を破壊する。危険なので下がれ。】
「な・・」【前進。】ズシンズシン!「攻撃命令を!」「撃つまでだめだ!」ズシン!・・【諸君の専守防衛に徹する
精神には敬意を表する。だが我々も任務なのでな。】ジャキッ!「・・攻撃準備!」【さらばだ、防人よ。】グッ。

『ちょっと待ちなさい!』ピクッ。「東京観光だったら鳩バス使いなさいよ。」ザッ。【・・六人?】「百歩譲って
それで乗り付けてもええですけど、見学なら降りてしなはれ。」【見学ではない、破壊だ。】「オマイガー。それなら
テロリストでオッケー?」「ならば凶器準備集合罪および銃刀法違反ですね。」「武装解除して投降してください。」
【断ればどうする。・・?!】ゴオッ!ドゴオオオーン!【なにいぃぃぃーっ!・・】ドガガガガーッ!ゴォォ・・
「こうなるわ。」シュゥゥ・・【ば、バカな?パンチ一発で吹き飛ばした!】【正面装甲があんなに凹むとは!】
「このまま帰っていただければ、余計な損害を出さなくて済みますけど。」【な・・なんなんだこいつらは?!】

『君たち、危ないから下がりなさい!』「それはこっちのセリフ。みなさん家族とかいるでしょ、ならばこんなことで
命を落とすことないわ。」「僕たちはこのために存在するのです。この連中と戦うために。」『いや、しかし!』
「しゃーないな。・・あれ。」「わかりました。」さっ。『・・星三つ?陸相閣下!』ザッ!「効果てきめんやね~。」
「安全距離まで後退し、周囲の保安を確保してください。」『ははっ!』ザザザッ!「お仕事ゴクローさまデース♪」

「さってと、お待たせ。」「これで心置きなく戦えます。」【・・攻撃開始!】ズガガガッ!「鏡面障壁。」ピィン。
ボボボボッ!【・・なんだ?】・・ヒュドドドッ!バゴバゴーン!【うわっ!】【バカな・・砲弾が跳ね返ってきた!】
「こちらのターンですね。」ヒュン。・・ズルッ、ドサドサッ!【なんだ?・・腕が切られた!】「これぞ無影刀。」
「ほな、いかせてもらいますえ。祇園祭り。」ヒュバババッ!【帯だと?】ギリギリッ!「ほい。」グイッ!ボギャアッ!
ドドーン!【・・頭部が引きちぎられた?ありえん!】「大仰やな~。たかがメインカメラをやられただけどすえ。」
「ガルガンチュア、カムヒア!」ボオッ!【あれは・・何だ?!】【巨大な影が!】ブオッ!ドガアアアーン!【ぐはっ!】

市ヶ谷・統幕本部。オオッ!「信じられん・・生身で巨大ロボットを!」「あれが我が国の秘密戦力だというのか!」
「いいえ、彼らはあくまで国際組織であり、日本防衛は業務の一環に過ぎません。」「日本人が多いようだが。」
「同時にアメリカ人とドイツ人もおります。」「だが防衛任務に介入されてはな。」「そのために現場の隊員に甚大な
人的損害が出てもですか?」「む・・」「使い捨ての傭兵部隊と考えてもらってけっこうです。なにせ『員数外』ですから
戦死しようが国民の反発は出ません。」「・・たしかに、奴らと交戦状態になれば人死にが出る。それは困る。」
「そう、自衛隊は戦うよりも『国民の安全を守る』ことが第一義です。そこが他国の軍と根本的に異なるところです。」
「だが米軍には被害が出た。日本が戦場になる可能性は高い。」「やっていただこうじゃないですか。」『なっ?!』
「米軍が暴れて市街地に被害でも出れば世論は駐留反対に傾き、自己防衛論が高まる。財政が苦しいワシントンにしても
撤退の口実になるのでは?」『むう・・』「もっとも、米軍をしても『鉄機兵団』に勝てる算段は低いですけどね。」

ゴォォォ・・【バカな・・全滅だと!】「残るは隊長さんらしき、あんただけよ。パイロットはみんな生きてるっぽいから、
連れて帰りなさい。」【そうはいかぬ。負けて逃げ帰ってきましたでは話にならぬ!】「だよね~。じゃあ・・やる?」
ザッ。【鉄機兵団第一機甲中隊長・アストレア、参る。】「『一の拳』鐵鉄凛、全力でお受けする。」ヒュォォ・・ダン!
ズンズンズン!【バトルホーク!】ズラァッ!【でやああああーっ!】ブオオッ!ガキイイーン!【・・なにいっ?!】
バジジジ!【・・超振動ブレードを素手で受け止めただと!】「この程度じゃ肩こりも取れないわよ。はっ!」バゴッ!
パリィィーン!【砕けた・・はっ?上!】くい。ブオオッ!「うおりゃあああーっ!」ばごおおおーん!ドグシャアッ!
【うごおおおっ!】ザシャアッ!「勝負あり!」『ま・・まだだ!』パシュッ!ググ・・「俺は・・まだ戦える!」
「・・その根性は認めるけどさ。」ぽりぽり。「刺し違えてでも!」「やめとき。あんた一人の命じゃないでしょ?」

『そのとおりだ。』はっ。「・・その声は!」ゴオオオオーッ!「VTOL?」パシュッ。カツッ。「パイロットを収容せよ。」
「・・ローズ大佐!」「アストレア少尉、そこまでだ。いくら任務でも私は命まで求めぬ。生きてまた働いてほしい。」
「・・ははーっ!」「・・あなたは?」「鉄機兵団師団長、ローズ大佐とお見知りおきを。今回は我らの負けを認める。
ついては部下の回収を認証いただきたい。」「了承しました。」「かたじけない。」『・・そこの集団、動くな!』
「ん?」ジャキジャキッ!「テロ容疑で逮捕する!」「ふ・・上を見ろ。」「え?・・あっ!」ゴォォォ・・「護衛機!」
「邪魔するなら上空から機銃の雨が降り注ぐぞ。」「く・・」『大佐、回収完了。』「では失礼する。・・また、いずれ。」
「はい。また、いずれ。」ゴオオオオーッ!・・「ふふっ、こじれた時のために護衛機を用意してたとは食えないわね。」
「将たる者が前線に赴くなら、当然の配慮です。」「ローズはんとやら、なかなかのお人やな~。」「ああも正々堂々と
要請されたら、否とは言えませんね。」「上陸からここまでファイアしなかったのも、ピュアなプライド感じマース。」
「さて、帰ろっか。」「状況終了。後始末は自衛隊にやってもらいましょう。」「でもあちこち壊れてますね。ちょっと
『戻して』おきましょうか。」「巨人機兵の残骸以外はいいでしょう。」「国家予算の節約にもなりますしね。」

「アンノウン01、離脱します。」「米海軍が湾口で待ち構えてます。」「このままでは交戦になるぞ。」「いいえ。」
「・・あっ、艦隊後方より奇襲!大混乱です!」「伏兵か。」「ルート確保のため、あらかじめ伏せておいたのでしょう。
戦術の基本といえば基本です。」「混乱の隙に01突破。・・シグネチャー、消えます。」「今回は去ったか・・」
「損害は?」「議事堂前にいくつか弾痕が・・あれ?」「どうした。」「・・弾痕が、消えてます。」「なにっ?!」
「このとおり、襲撃前と何も変わっておりません。」「どういうことだ?」「まさか、これも?」こく。「有用でしょ?」
「敵機動兵器の残骸を回収せよ。」「米軍から共同調査の要請が来てますが。」「やってもらえれば解析が楽ですけど、
結果を伏せるかもしれませんね。同時並行でこちら独自の解析もやるべきかと。」「わかった。受け入れると伝達しろ。」

某所。「ぬう・・作戦失敗か。」「議事堂前までは作戦どおりでしたが、想定外の戦力が出ました。」「記録映像を。・・
奴らはいったい何者だ?」「量産型とはいえ巨人機兵を生身で破壊するとは驚きました。」「超能力?いや、それほどの
サイキッカーは存在せぬはず・・」「得られた情報の解析を急ぎましょう。プロフェッサーとDr.エヴァが進めてます。」
「次の作戦までに何らかの見解を出してくれ、ゴメス将軍。」「心得ております、イビルシュタイン総帥閣下。」

「今回の報告は以上です。」「ご苦労だった。・・凛は生徒総長にふさわしいか?」「まだ未知数なれど、これまでの
言動から、よろしいのではないかと。」「そうか。・・支えてやってくれ。」「ご安心を。私たちより頼りになる制御棒が
いますから。」フッ。「健治か。」「まさに名コンビです、あの二人は。」「カップルでは?」「いえ、まだそこまでは。」
「基本方針どおり、君たちが基幹部隊だ。必要に応じて追加戦力を加えてくれたまえ。」「了解です、校長先生。」

八丁堀、カラオケ屋。「で~、現場は疲れるわ。」「まあ冷たいコーラでも飲んで落ち着けば。」じゅじゅじゅ~。
「エヴリバディ、カラオケしないんデスカ?」「個室喫茶として使うことが多いですね。そのときはあまり。」
「ならミーが歌いマース。」♪ピッピッ。「外人って何歌うんだろ?」「やっぱポップスじゃないかな。」♪ジャジャーン!
「あれ?」♪Der H?lle Rache kocht in meinem Herzen, Tod und Verzweiflung, Tod und Verzweiflung flammet um
mich her!「あら、『夜の女王のアリア』ですね。」「へ~、エレンそういうの歌うんだ。意外・・」「そうなれば、
いっしょに歌いましょうか。」「いよっ、ご本家。」♪F?hlt nicht durch dich Sarastro Todesschmerzen,Sarastro
Todesschmerzen,hahahaha hahahahaha・・「お~、すごいすごい。」「豹馬センパイと雅センパイも来ればよかったね。」
「おっし、ちょっと元気出てきた。健司、デュエットしよ。」「いいけど、何を?」「えっとね・・これ。」♪ピッピッ。
♪いくぜ 駆け抜けろ ヒーローになるそのとき「オー!スーパーヒーロー作戦!」「まさかこれを聴けるなんて!」
♪出動だ 平和の戦士たち ♪輝くぜ 変身! 勝利のEnergy!「オー、グーッド!」「これは名曲ですね~。」
♪スーパーヒーロー作戦! 熱い未来を掴むのさ!「トオッ!」「トオッ!」『トオオオオオーッ!』しゅぱっ!
「いやいや、これはヒートアップするわ。」「次はソニア先輩、何かドゾ。」「じゃあ・・これで。」♪ピッピッ。
♪ドンドンチャッ!ドンドンチャッ!・・「これは?!」♪Buddy you're a boy make a big noise Playin' in the street
gonna be a big man some day!「クィーン!」「これはやるっきゃないわ!」♪We will we will rock you!
ドンドンザッ!コンコン、ガチャ。「お客さま、足踏みはどうかご勘弁を。」『すいませんすいません!』ぺこぺこ。

全てには始まりがある。そう、彼らもまた。
その学園に何も知らずに彼女は来た。
だがそこは、力が全てのジャングルだった。
上等だ、ゲンコツで語るのは大得意。
ならば極めてやろうじゃないか、てっぺんを。
小手先の技など、シンプルな力の前には無意味。
次回「私の学校は戦場だった」に、状況を開始せよ。


フェイズ01~06

フェイズ02「私の学校は戦場だった」

 

ザッ。ヒュォォォ・・「国立撰籐学園か。今度はどんなとこかな?」ザッザッ・・ヒクッ。「・・これはこれは。」フッ。

「血と硝煙とガンオイルの匂い・・学校というより最前線ね。思ったより楽しく過ごせそう・・」・・ザッザッ。

「・・鐵鉄凛。これまで十数もの学校を転々としてきた超問題児。各校の不良・番長を再起不能なまでに叩きのめし、

時には撲殺。また武装した数十人を数秒で殲滅したこともある。」「よく警察ざたになりませんね。」「その警察が

利用してたのさ、荒れた学校を掃除するために。」「官憲も認める実力者ですか。けど・・」「そう、我々の相手は

そこいらの不良学生の比ではない。ゆえに。」「はい、それだけの戦闘力があるか、歓迎会で確かめましょう。」

 

一年生教室。「本日から転入してきた鐵鉄凛くんだ。」「よろしく。」「では恒例の歓迎の儀式を。」ジャキジャキッ!

「・・武装してない生徒がいるけど?」「彼らに武装は必要ないからだ。」「じゃあ銃持ってるのがザコでいいのね。」

・・どがしゃあああーん!ゴォォォ・・「準備体操にはちょっと足りないかな。」ぱんぱん。「お見事です。」ぴく。

「ニューカマーにしてはナイスですネ。」「二人か・・お名前を聞いておこうかしら。」「エレン・ギガンテス。」

「淤加美健司です。よろしく。」「二人が一年生のトップ2なのね。」「ノンノン、筆頭は健司デース。ミーはセカン。」

「で、やる?」「フィストで語るのが早道ネ。」すっ、ゴォォ・・「・・影?」ドン!ばごおおーん!「ジ・エンド。」

『・・スタンド、しかも巨人か。」シュゥゥ・・「止めたか。」「アンビリーバボ!」「スタンド使いは初めてじゃないわ。

だから弱点も知ってる。」ヒュッ、バゴオッ!「アウチッ!」グラッ。「スタンドのダメージは本体にも反映する。」

「スタンドに物理攻撃が?」「理屈は知らないけど、私の拳には実体と同じよ。」「・・スピリット・パワー?」

「骨にヒビ入ってるはずよ。」「エレン、保健室へ。」「ノー。ケンジの戦い見るまでダメ。」「じゃあ、早く済まそう。」

カツッ。「どうぞ。」「?・・打ってこいって?」「そうです、遠慮なく。」「・・じゃあ、お言葉にあまえて。」ヒュッ、

ギュン!バゴオッ!「ぶ!・・」グラッ。「・・っ!」タタッ。「痛って~。・・手加減しといて正解だったわ。」

「見抜かれましたか。」「空間湾曲能力。あらゆる攻撃を反転させる。誘いがどうもきな臭かったから、様子をみたの。」

「ご名答。」「ケンジのミラーシールドはミーのガルガンチュアでも破れマセン!」「・・そうかしら?」『え?』

つかつか。・・すっ、ぽん。「ベクトルの問題ね。ベクトルが高いものほど反撥は強くなる。でもベクトルがゼロなら。」

「・・オー!その手がありマシタ!」「そう、攻撃しか考えていない方がほとんどでした。それでは僕は倒せません。」

「かつて合気道の達人にコロコロ転がされた苦い経験があったからね。」「やはり経験値の高い方には通じませんね。」

「決まりですね。これより凛さんを学年筆頭といたします。」「文句なしです。」「イッツ・ルールね。アクセプト。」

「はい皆さん、授業を始めますよ。」ガヤガヤ。「あら、けっこー丈夫なのね。そりゃ手加減はしたけど。」「このくらい

日常茶飯事だから。」「受身は最優先必修科目ネ。」「エレンは治療しなくていいの?」「ノープロブレム。次の休憩時間に

ソニア先輩に『戻して』もらいマース。」「?・・戻すって、何を?」「二年生筆頭。その意味は見ればわかるよ。」

 

休憩時間。ガラガラ。「エレンが怪我したって?」「あ、ソニア先輩。」「ヒーリング・プリーズ。」「どれどれ・・」

すっ、サァァ・・「はい、これでいいわ。」「サンキュー。」「で、エレンを傷つけたというバケモノはだれ?」「はい。」

さっ。「ああ、あなたがウワサの転入生。ソニアの『巨人』に勝てたのは健司くんだけ。それをいきなりクリアとは、

有望な人材ね。」「あなたが二年生筆頭の。」「ソニア・ロンジン。挨拶代わりにやる?」「この学校らしいわね。」

タッ。「さあ、どうぞ。」「?・・では。」ドン!ずどおっ!「なぐっ?!・・」「え?・・急所がずれたわ。」ばっ!

「・・なに、今の?」「本能的に致命打を外したのね・・なんて子。」ズキズキ・・(攻撃が見えなかった・・ん?

たしか「戻す」って・・そうか!)「もう一回。」「何度でも。」シャッ!・・ガゴオッ!「ながっ!・・」『バカな!』

「ソニア先輩が・・直撃を!」「アンビリーバボ!」「くっ・・偶然よ!」「いいえ、必然よ。」ドン!ボッ、ドコッ!

「がっ!・・」「また捉えた!」「ハウ?」「そんな・・まさか?!」「あなたの能力は『時間』。ヒット寸前に時間を止め、

回避とカウンターを打つ、でしょ?」「く・・」「けど、止められる時間はほんの数秒と読んだ。その間に反撃するには、

相手にきわめて近い間合いにいなきゃならない。その場合、ポジショニングは限られるわ。ならば逆にそのポジションに

動くようなフェイントをかけ、そこ向けてに第二撃を打てばいい。」「・・たった一回でそこまで見抜いたのね。」

「攻撃と回避のパターンを多くの経験から知りぬいたゆえの戦略ですね。」「リンはマーベラスなファイターね!」

「お見事。いかにも私は時間を操れるわ。止めるのは難しいけど、物体の時間を戻すのは得意。」「それで傷も治せる・・

いえ、元の状態の時間まで戻せる。」「ご指摘のとおり、攻撃力にはいささか欠けるのが欠点ね。」「ご謙遜。攻撃中の

私だからこそ耐えられたけど、普通なら一発でダウンです。」「そうか、戦闘状態の凛は身体能力がブーストされるんだね。」

「イッツ、スーパーマン?」「おそらくは気功ね。全身の連動させることで通常の数倍の能力を発揮し、同時に筋肉を強靭な

鎧とする。・・どこでそれだけの技を?」「なんとなく。」「トレーニングとかしないんデスカ?」「したこともないな~。

もともと奥山で生まれ育ったんで、生活自体がトレーニングになってたかな。地元のクマが遊び相手。」『金太郎ですか。』

 

放課後。「じゃあ三年生を紹介するわ。」カツカツ・・「ここが生徒会室。三年生筆頭と次席がいるわ。・・入ります。」

ガラガラ。「ようこそ、転入生。」「さっそくやりはったそうやね~。」「はい、こちらが。」「一年生筆頭・鐵鉄凛です。」

「三年生筆頭の月影彪馬です。」「次席の本能寺雅どす。・・お先によろし?」「どうぞ。」「一手もんでおくれやす。」

ザッ。「ほないきますえ。」シュルルッ。「・・帯?」「祇園祭りどす。」ヒュバババッ!「!」さっ、ズバシャアアーン!

「!・・床が裂けた!」「雅センパイの帯は巨剣と同じだよ。」「おまけに大蛇のように締め殺すこともできますよ。」

「ミーのコロッサスも投げとばされたネ。」ギュラララ!「・・なんて動き。まるで生き物。」「ほい。」ビュゴオッ!

「巻き込まれたら骨の一本や二本じゃ済まない。ならば!」グッ、タッ!「突っ込む?」「無理よ!」「ジーザス!」

「・・」スゥッ・・はっ。「・・あの目は。」ヒュゥゥ・・ボボボボッ。「抜けはった!」ドン!ぴたり。「勝負あり。」

「・・やな~。おしまい。」「・・『死人舞』。自らを無と化し五感を封じて動くことで、あらゆる逡巡や躊躇を無くし、

自身の潜在能力を開放する・・そこまでの境地に。」すっ。「では僕の番です。はじめに見せておきましょう。」

ヒュッ。「?」ピキ・・カラン。「!・・花瓶が真っ二つに!」「これぞ無影刀。勝算は?」「・・ないでもないわ。」

「では。」ヒュッ。「・・。」ビシッ!タラ・・「・・よけない?」ツイッ・・ぺろっ。「けど・・覚えた。」「!」

ヒュヒュッ!ボボッ!「ジーザス!」「なんて動き!」「あえて受けることで刃筋を覚えたのか。」「これほどとは・・」

ボッ!ぴたっ!「・・さすが筆頭、ですね。」ぴっ・・「いえ、そちらの拳がヒットするのが早かったでしょう。」

「同体、やね~。」「それでいいです。」すっ。「これなら我が校の主戦力になりますね。」「え?・・なんのこと?」

 

ぱっ。「・・巨大ロボット?」「認識番号GMS-01『アタナトイ』。全高10m。現状の主力兵器です。」「話が見えない。」

「日本は狙われています。この巨人機兵を有する勢力によって。」「・・察するに、大国じゃないようね。第三勢力?」

「それが『鉄機兵団』。目的は日本を占領し、超大国にすること。」「バカじゃないの。日本が先鋭化したらアジア諸国

のみならず米露からも目をつけられる。太平洋戦争前に戻るわ。」「当時とは技術レベルが違うわ。日本がその気になれば

軍事大国に変貌するのは、むしろ容易いわね。」「それができてもしないのが国家戦略でしょ。それくらい私にもわかる。」

「けどDr.イビルシュタインはそう思っていません。日本のポテンシャルを使えば、世界征服も可能と。」「それが首領?」

「元はドイツの優秀な科学者でしたが、いつしか世界情勢を憂い、世界統一を提唱しだしたのです。」「そりゃダメね。」

「むろん無視され失脚、その後姿を消しましたが・・」「実力行使に及んだわけどす。本質は良い方なんやろうけど、

変な方向に突っ走ってしもたんやな~。」「ポリシーはなんとなく理解できマース。バット、メソッドは間違ってマース。」

「国と自衛隊は知ってる?」「事態は把握してますが、具体的な対応策は未だ。」「それで員数外の私たちが準備されたと。」

「そのとおり。この学校はカモフラージュで、実体は国際機関です。」「・・もしかして。国連秘密部隊?」ぎょっ!

「ウワサに聞いたことがある。世界の紛争の種を事前に摘んでまわる影の国連軍・・ま、ネット伝説に過ぎないけど。」

「詳細は機密です。僕たちでさえ上部組織については知らされていません。」「そのうちわかるでしょ。で、それと戦えと?」

「強制はしません。全てを話したうえで、あくまで自由意志で。」「断って敵側へ洩らすかも。」「敵側がそんな与太話を

聞いてくれればの話ですが。」「巨人機兵に生身で立ち向かうなんて、アホちゃいます?・・やろ。」「そりゃそうだ。

最後に確認。もし死んだ場合は?」「我が校から生徒が一人いなくなるだけです。まあ荼毘くらいしてあげますけど。」

「・・クックックッ。そうでなくっちゃ。死して屍拾うものなし。それでこそ「死狂い」になれる。・・参加しましょう。」

 

視聴覚室。「ここで巨人機兵との戦闘をシミュレーションできます。」『バーチャ3Dか。この解像度はプロ仕様ね。』

「フィードバックもリアルなので、当たると死ぬほど痛いです。」『オッケイ、始めて。』「状況スタート。」ヴン。

ズシーン!「でかっ。・・こりゃ歯ごたえありそ。」【まず主兵器の76.2mmマシンキャノン。】ジャキッ、ズドドドッ!

「おっとと。」シャシャッ、バゴバゴッ!【大口径なので至近弾でも骨くらい折れますよ。】「見切りは大きめにね。」

【頭部30mmガトリング。】カタカタ・・ブオオオーッ!「とととっ!」ババッ!ザバババッ!「ふぅ、あんなの食らったら

バラバラどころじゃないわ。」【超震動アックス。】グワッ!ブオオッ!「・・いける。」ニヤッ。ガキイッ!【おおっ!】

【アックスを受け止めた!】【アンビリーバボ!】グググ・・「震動は気で緩衝できる。そして!」ギギギギ・・バキィッ!

【ブレードが砕けた?】【超震動が跳ね返って自壊したんやね~。】「勝機!」ダーン!「鐵鉄家拳法奥義・一の拳!」

ドゴオオオーン!グシャアッ!・・ザシャアッ!「はぁっ・・」【正面装甲がへこんだだけですよ。】「いいや。」

ビリビリビリ!ボンボンボン!グラッ・・ドドーン!【な・・なぜ?!】「外装はともかく、内部構造はグシャグシャよ。」

【徹し、ですね。骨法に近い技のようですけど。】【障害物を透過して破壊エネルギーを内部に叩きこむ・・波紋かな?】

【すばらしいわ。これほどの短時間で、しかも一撃で倒すなんて。】「合格、かな?」【それ以上です。歓迎します。】

 

生徒会室。「で、凛くんが一番強いということが証明されましたので、決議を採ろうと思います。」『賛成。』ささっ。

「え?」「決まりました。凛くん、いえ、これからは生徒総長と呼びましょう。」「・・生徒総長?」「学園の頂点に立つ

いわば横綱です。ただし、挑戦者が勝てば交代します。今までは僕が務めてましたが、さっき僕に勝ちましたので。」

「聞いてない!なんか、いろいろ面倒な仕事とかあるんでしょ。」「ご心配なく。そういった事務処理は僕たち生徒会が

やりますので。」「上にどーんと座っとったらええのん。」「はぁ・・」「ではこれで今日の生徒会を終了します。」

 

校長室。「決まりました。」「どうだった?」「すばらしい戦闘能力です。しかも、まだまだ伸びていくでしょう。」

「うむ。シミュレーション記録は見ていた。」「これで基本戦力は揃いましたね。」「いや、もうお一方おられる。」

「・・内親王ですか。」「陛下たっての願いでな。巨人機兵戦は厳しいが、白兵戦ならば。」「・・不二の軍勢。本来は

皇家を守る伝統の戦力ですが。」「最後に動いたのは蛤御門の変。進駐軍すらその存在を恐れ、皇家には手を出せなかった。

だが国難来たるこの時こそ、使っていただきたい。・・との詔だ。」「感謝の極み。丁重にお迎えいたしましょう。」

 

皇居。「日美子内親王、勅命により参詣いたしました。」・・・・「かしこまりました。数千年受け継ぎしこの御技、

今こそ御国のために役立てられるは本懐です。」・・・・「ははっ。赴きましょう、我が戦場・・撰籐学園へ。」すっ。

 

下校。「初日からこれじゃ、先が思いやられるわ。」「連中はもうすぐ攻めてくる。そこからが本当の始まりさ。」

「ノープロブレム!リンがいれば鬼にうまい棒ネ!」「そりゃ金棒。うまい棒でどーすんの。」「おいしいデスヨ?」

「さっそくだけど、来週も転入生が来る予定。」「多いね。どんなの?」「詳しくは知らないけど、かなり強いらしい。」

「ふ~ん。・・強いヤツは大好き。」「じゃあ僕は弱いからダメだね。」「よくゆーわ、ミラーマン。」「ケンジは技は

パッシヴでも、ハートはアグレッシヴね。」「ほほう、じゃあ私を口説いてみな。うまくいったらヤラせてあげるから。」

「ちょ、ちょっと。」「あはははは!ジョーダンだって。」「ケンジのモッコシはグレートね。」「み、見たのエレン?」

「ちょっとペシペシしたらわかるネ。」「・・されたの?」「・・油断してたら。」「・・ちょっとペシペシさせろ。」

「ダメだって!」「いーじゃん、減るもんじゃなし。」「むしろ増えるし!」「人体の神秘を確かめさせろつってんの!」

どたばた!「オマイガー、それじゃまるで痴女か腐女子デース。」「エレン、助けてよー!」「エレンも手伝いなさいよ。

ウタマロ見たくないの?」「う~ん、どっちにつくか、ファイナルアンサー。」♪ピン。「カラオケBOX行って、ゆっくり

鑑賞するがベスト!」「おっ、それいいね。気に入ったらデュエットでリコーダー演奏とか♪」「こらこらこら!」

 

学園に降臨する新たな力、日美子内親王。

現代によみがえる二千年の伝統。

永き世を守りし不死の軍勢が襲いくる。

戦争は数、それは真実。だが紙鉄砲一億発が何になる。

ただ一撃の主砲があれば、それ以上何がいる。

次回「漢女(おとめ)達の邪馬台」に、状況を開始せよ。

 

***************************

 

フェイズ03「漢女(おとめ)達の邪馬台」

 

国立撰籐学園。表向きはただの高校だが、実体は世界中から選ばれた素養のある人材を集め、秘密工作・諜報活動・

電子戦などの特殊訓練を施し、国際機関へ供給する訓練センターである。ゆえに生徒は国際色にあふれ、授業は基本的に

日本語だが個人割り当ての端末は母国語で資料と同時通訳が出力できる。「・・ゆえにAKシリーズは遊びが大きいので

あくまで弾をばら撒くのが目的だ。対してM16シリーズは命中率は高いが、その分まめに整備してやる必要がある。

フィールドではAK、市街地ではM16が有利といえる。凛くん、なぜ米軍はM16に固執し、最新型を導入しないかわかるか?」

「量産体制の問題だと思います。安定して供給でき、なおかつバージョンアップならあまりラインをいじらなくて済む。

突撃銃に生産コストかけるほど米軍も余裕ないはずです。」「そのとおり。いくら性能が良くても安定供給できなければ

消耗品である銃はたちまち使い物にならなくなる。戦争とは工業力なのだ。」「クエスチョン。USアーミィ、ベレッタの

ピストル使ってマス。イタリー製なのにホワイ?」「いい質問だエレンくん。ベレッタについてはライセンス生産ラインが

確立しており、安定供給が見込めるからだ。それに残念ながら、コルトもS&Wも軍の要求スペックを満たせなかった。

残ったのはM92FとSIG ZAUER P226のみ。それも安全装置の差で決着がついた。」「ガバやマグナムに胡坐をかいてる内に

技術進歩に出遅れたんですね。」「そのとおり。日本の携帯に例えればわかりやすいだろう。井の中の蛙だったので、

恐竜的進化となり、iPadが出たときに慌てたがもう遅い。じっさい、私もノキアの携帯使ってるしな。軽いし簡単だし。」

 

休憩時間。「ほんと、ここの授業は面白いわね。」「実銃を使ってのブラインド・ストリッピング競争も楽しいよ。」

「マイフェバリットはモールス・コード。わかるようになると楽しいデース。」「でも慣れると音楽や環境音まで思わず

解読しちゃうのがね。」「おお、それやっとかなきゃ。来る前の授業ぶん遅れてるからな~。」「早覚え法のファイルが

あるから送るよ。」カタカタ、タン。「感謝。今夜に特訓かな・・ん?」ぴく。「なに?」「ホワット?」ひょい。

ブロロロ・・キキィッ。「・・ロールスロイス?」「しかも菊の御紋入りだ。」「誰か出てくるデス。」カチャ。ザッ。

ヒュォォ・・『おお~。』「すっごいきれいな子・・」「オリエンタル・ビューティ!」「うちの制服ということは、

例の転校生かな。」『殿下、お供いたします。』『不要です。校門内は聖域、私のみで歩まねば。』『ははーっ!』

ザッザッ・・「・・あいつ、すごい。」タラ・・「凛、何が?」「気よ。・・今まで見たこともない巨大な気。エレン、

なんか見える?」ガクガク・・「・・ジーザス。数千のスピリットがガードしてマス・・」「霊魂?いえ、精霊かな。」

「見えない・・軍隊。」「タイの色から一年生だね。このクラスに来るよ。」「・・いいお友達が増えそうね。」ニヤッ。

ぴくっ。ぴたっ。くい。(・・あの子は?いい目してる・・そう、純粋なまでの肉食獣の目。)フッ。・・ザッザッ。

 

「では新たな生徒を紹介します。」「日美子です。よろしくお願いいたします。」すっ。「では恒例の歓迎の儀式を。」

ジャキジャキッ!「どうぞお撃ちください。」ググ・・?!『トリガーが・・引けない?』ザワザワ!「ノーサプライズ。

オートマはスライド閉じてないし、リボルバーはシリンダー回らないデス。」『えっ?』ガチャガチャ!『・・閉じない?』

『回らない!なんで?』♪ぱちぱち。「やるやる。精霊たちに押さえさせたのね。」ぴく。「・・あなたは先ほどの。」

「生徒総長・鐵鉄凛。教室じゃせまいだろうから、校庭でやらない?」くい。「了承しました。友好を温めましょう。」

「これはすごい戦いになりそうだ。」「見に行きマショー。」バタバタ!・・「・・えーと、授業どうしようか?」

 

ザッ。「さて。まずは先手をどうそ。」「参ります。・・来たれ神兵。」さっ。・・ウチテシヤマム ウチテシヤマム

ザザザーッ!・・ザッザッザッ!『おおっ!』「・・ハニワ兵団!」「精霊を具現化させたのね。」「不定形体よりも

戦闘力が上がります。梓弓!」ギリリリ!「放て!」シュパパパッ!ザアアアーッ!「ジーザス!サウザンド・アロー!」

「あれじゃ避けられない!」ドガガガガッ!「ホワット?!」「地面に根元まで埋まった!なんて威力・・」ゴォォォ・・

「・・この程度で終わるはずがありません。」『そのとおり。』サァァ・・ザッ。「リン!」「無傷?!」「ケホケホ。

ひっどい土埃ね。」ぱんぱん!「防御を無効化する霊矢をどうやってかわしたか、種明かしをお聞きしたいですね。」

「ん?タネも何も、打ち落としただけだよ。」「物理防御は不可能なはずです。」「じゃあもう一回やってみせようか?」

ぴこぴこ。「・・梓弓!」シュパパパッ!ザアアアーッ!「今度は濃くしました。」「そりゃありがたい。」「・・え?」

グッ・・「・・風陣!」ドンッ!「張り手?」ブワァッ!パアアアーンッ!『おおっ!』「・・衝撃波!」「そうか、掌打で

有効範囲を広くしたのか。」「アンド、ソウルパワーも入ってるのでスピリチュアルウェポンにもポシブルね。」パラパラ・・

「・・さすがです。ならば!」さっ。「抜刀!」ジャリリッ!「打ち果たせ!」ザッザッ!ウチテシヤマム!ウチテシヤマム!

「おー、本格的に攻めてきたね。そうでなくっちゃ!」ダダッ!「突っ込んでくる?」「八尺瓊(正拳)!」ドン!ボゴオオッ!

「草薙(フック)!」ギュオン!ドバババッ!「岩戸開き(裏拳)!」ばごおおーん!「霊体でも気を込めれば打てるよね。」

 

「まさかその技は・・失伝したといわれた『古流・鐵鉄』!」「ん?そういう呼び方は聞いたことないけどさ。」

「・・数字の名のついた技は?」「『一の拳』があるよ。」ぎょっ!「『壱の拳』・・では『弐の拳』と『参の拳』は?」

「それは知らない。」「・・『零の拳』は。」ぴく。「知ってる。けど、それを使うのは、本当に危ないときだけ・・」

「やはり・・まさか実在するなんて。」「何が?」「あなたの技は神武に発祥した日本最古の拳法『古流・鐵鉄』です。」

「ん~・・健司ー!神武ってどのくらい?」「えーと、紀元前600年くらいかな。」「げ、弥生時代か。邪馬台国より前?」

「千年ほど前。ほとんど神話レベル。」「・・話がでかすぎてよくわからん。」「武器の発達により失われたという伝承

でしたが、いったいどうやって?」「知らん。自然と使えてたし、名前は自分で適当に。」「遺伝子記憶?ありえる・・」

「なにブツブツ言ってんの。そんなことより、続けるの?」「・・続けます。あなたの正体を知るために。土偶兵!」

ザザザッ!ズブズブ・・「なに?」グモモモ・・ドドーン!「ハニワ兵士が集合して巨大化?」「まるで大魔神ね。」

ズシンズシン!グワッ!「迎撃!」ドン!ズボッ!「え?・・突き抜けた!」ガシイッ!「ぐっ!」メキメキ!「土偶兵は

物理攻撃を無効化します。両腕を封じられた今、どう切り抜けます?」(土・・そうか、コイツは泥の塊と同じ、打ち込んだ

破壊エネルギーが拡散しないのか。けど・・泥の結合を解けば。)「・・ふぅっ。」シュゥゥ・・ヒュォォォーッ!

「・・あの呼吸法は?」・・ブルブルブル。「・・土偶兵が震えてる?」ビリビリビリ!・・はっ!「共鳴?そうか、

呼吸による体内波動で!」ボオオオーン!『うわっ!』パラパラ・・「・・ふうっ。これ疲れるのよね。」ザン。

「・・古流鐵鉄奥義『宿禰』。触れるものを共鳴破壊する・・」「へー、そんな名前なんだ。でも『因幡』と呼んでる。」

 

「まさかこんな所で失われた神業に会うなんて・・これも御神の導きか。」「まだ隠し玉がありそうね・・いくよ!」ダッ!

スッ・・(・・あの構えは?)ゴッ!「伊。」ばしいいーん!「止めた?!」「呂。」ブオオッ!「うおっとお!」ダダーン!

「波。」ガシッ!ギリギリ!「こ・・この技は?!」グッ、パン!ガゴッ!「ぐっ!」ザザーッ!・・「はぁっ、はぁっ・・

危なかった。」「凛が・・苦戦してる。」「リン、ファイトね!」「つっ・・いいブレイク技です。」「それよりも。

今の技は何?見たことない。」「これは皇家秘伝・門外不出の技。名前はありません。」「・・いえ、知ってる。」はっ。

「・・確かに知ってる。見てないのは事実だけど・・なるほど。」クッ。「もう一回!」ダン!「伊。」ザン!ぴたり。

「えっ?」ヒュッ、ぴたあっ!「うっ!・・」「寸前で体を入れ替えての横拳!」「テンプル直撃してたら即死ネ。」

「健司のバリアと同じよ。攻撃が撥ね返ってくるなら、しなきゃいい。」「・・参りました。」「これで挨拶は終わり。」

 

東経150度・北緯30度。「鉄機兵団」の本拠地、海中要塞『メエルストロム』。「総帥、例の敵の解析ができました。」

「うむ。始めよプロフェッサー。」ぱっ。「まず主力と思われるこの少女。推定年齢16歳。小柄ですが・・」ぱっ。

「おおっ!・・この筋肉は!」「いっさい無駄のないワイヤーのような筋肉です。まさに闘うための肉体。格闘家というより

カンフーの高手に近いです。Dr.エヴァ。」「これほど完璧な肉体を私は見たことがありません。強靭でしなやかな筋肉、

それでいて芸術的なまでに流麗なプロポーション。動作も洗練されており、全身の筋肉が連動することで超絶の運動能力を

発揮します。もしオリンピックに出れば金メダルでオセロができますね。」「問題の、素手で巨人機兵を倒す秘密は?」

「その答えがこの写真です。」ぱっ。「これは!」「キルリアン解析したものです。」「なんという巨大なオーラだ。」

「エネルギー量を試算したところ、ざっと200メガトンと出ました。」『なにいっ!』「リトルボーイが16ktですから、

ざっと12500倍ですな。」♪ピッピッ。「水爆でもせいぜい9メガトンだぞ。」「計算上ですので単純な比較はできませんが、

それほどのポテンシャルを有することは事実です。」「ぬう・・ローズ大佐、直に会ったそうだが、どんな印象を持った?」

「いい目をしてました。恐れも澱みも躊躇も無い、純粋な印象です。そして同時に、野獣の気配も。」「野獣とな?」

「敵対する者は何であろうと全力で撃滅する。まさに一切の躊躇無く。狼というよりヒグマです。」「それは興味深いわ。

捕獲できないかしら?」「それは殺すより難しいぞ。」「だが所詮は生身の人間、巨人機兵の火力と物量をもってすれば、

倒せぬわけがない。」「今しばらくデータを集めてから具体策を立てるのがよろしいでしょう。」「同意します。」

「プロフェッサー、次は『イェニ=チェリ』を用意せよ。」「なるほど、生身の敵に対したときどう戦うか、ですな。」

「すでに数百体を製作しておりますわ。彼らも喜ぶでしょう。」「ゴメス将軍、有効な作戦目標は?」「横須賀米軍基地。

『イェニ=チェリ』の脅威を実証でき、一般への被害は最小限です。」「ローズ大佐、作戦を実行せよ。」「ははっ。」

 

生徒会室。「・・状況は以上です。」「私の御霊では巨人機兵には通用しませんね。」「機動兵器だけで戦争はできません。

いずれ歩兵部隊による侵攻も想定されます。」「最新情報では、敵にも重装歩兵が存在するようです。詳細は不明ですが、

中東あたりで集めたゲリラや傭兵で構成されているとも。」「要はテロリストやね。そんなんで軍事行動できるんかいな?」

「つまり、そういった歩兵が出たときが私の出番なのですね。」「やはり戦争は数です。どんな強力なユニットでも物量の

前にはいずれ息切れし、連鎖的崩壊は必至。」「かしこまりました。私が必要なときは、いつでもお呼びください。」

「んー・・みこっち、ちょっと質問。」「・・みこっち?私のことですか?」「そう。えっと・・例えばあのデジタル時計を

霊の力で止めたりできる?」「?・・ええ、できると思います。」「やってみて。」「・・はい。」すっ・・フッ。

「表示が・・消えた。」「次は表示を暴走させてみて。」「・・」パパパパッ。「メチャクチャな表示してマース。」

「やはり、ね。」「・・今のはどういう意味です?」「あなたの技、巨人機兵にじゅうぶんに通用するわ。」「え?」

「なるほど、そういうことですか。」「今までこういう応用を知らなかっただけ。シミュで試してみましょう。」ガタッ。

 

視聴覚室。「ほらね。」「これはすごいね。」「マーベラス!」「強力な戦力になるわ。」「よう思いつきはったな~。」

「すばらしい。これもまた戦いの一つのあり方です。」『・・』かぽっ。「・・私にこんな力があったなんて。」

「力とはそれ自体ではなく、どう使うかが大事なの。まだまだ新たな可能性がありそう。」「ありがとうございます。

正直なとこ、機械や電子が主体の現代戦でどこまで通用するか不安がありましたが、おかげで自信がつきました。」

「いえいえ、ぶっちゃけ私がラクしたいからだし。」「たしかに、これがあれば戦いがすごくラクになるね。」

「パワーよりソウルで戦うほうが、スマートね!」「副長、そういうわけで正規メンバーへ入れることを推奨するわ。」

「きわめて同感です。賛否を。」ささっ。「満場一致です、総長。」「おーし。じゃあ加入の儀式をやりましょう。」

「そんなんありましたけ?」「いま考えた。みこっち、手を。」「あ、はい。」さっ。「健司、カッターナイフ。」

「どうするの?」ぱし。「ちょっとだけ切るよ。」チョン、タラ・・ついっ。ピチャ・・「あ・・」「そして私の血も。」

ピッ、タラ・・「舐めて。」すっ。「え・・はい。」ついっ・・ピチャッ。「汝の血は我と共に。我の血も汝と共に。

いまここに血盟の誓いを立てん。我らは汝のために死のう。汝は?」「・・私は、あなた達のために死にます。」

「死人は二度死なず。既に死んでいるが故に。」はっ。「・・死狂い。」「だが死んだからこそ、生の価値がわかる。

死は生への入り口。共に黄泉比良坂を登りましょう。」「はい!はい!」ぽろぽろ・・「・・なかなかやりますね。」

「ようもあんだけ口から出まかせ言えるもんやな~。ちっと感動したんは口惜しいどすけど。」「心理考察をすれば、

彼女は腹を割って話せる友がいなかったのかもしれませんね。だから余計に総長の言葉が身に沁みたんでしょう。」

「イッツ、ロマンティック。私も体液交換してみたいデス。」「いや、それ聞きようによってはすごく危険だから。」

 

揚陸潜艦「リヴァイアサン」。『大佐、まもなく敵SOSUS圏内。』「新装備を試そう。スクリュー停止、超伝導推進へ。」

『スクリュー停止、機関接続切り替え。』『超伝導場、発生。推進開始。』ルルル・・『ノイズレベル、許容範囲内。』

『SOSUS圏内進入。・・反応なし。』『巡航速度20ノット。』「速いな。せいぜい10ノットくらい出ればよしと思ったが。」

「艦首から展開した境界層膜『ストモロフス』の効果でもあります。」「エチゼンクラゲとはうまく名づけたものだ。」

『SOSUS圏通過。いぜん反応なし。』『作戦ポイントに到着。』「よし、揚陸ポッド連続射出!」ガコン。シュボボボッ!

『進行中。浮上し、海面滑空に移行。』『揚陸ポイント確認。高度やや上げます。』「建物とかに当てるなよ。」

 

米軍横須賀基地。・・ドパドパーン!「なんだ?」「ミサイルだ!」ゴオオオーッ!「巡航ミサイルか?」「司令部、

十数本の巡航ミサイルが接近中!攻撃指示を!」『こちら司令部、ただちに撃墜せよ!』ズガガガッ!チュンチュン!

「バカな?銃弾が通らない!」「そんなミサイルがあってたまるか!」ズザザザーッ!・・「・・不発?」パシュッ。

ぬうっ、ガシャン!「な・・なんだコイツらは?!」「撃て!」ズガガガガッ!チュンチュン!「弾がはじかれる!」

チャッ、ドンドン!「ぐはっ!」「がはっ!」「・・銃剣付きM14?なんであんな古い銃を・・はっ?!」ガシャン。

ズバッ!「がっ!」「ナイフだ、防弾チョッキなら刃物で抜ける!」ジャキッ!ビュッ!パキィーン!「バカな?!」

「クロムモリブデン鋼の刃が!・・」ズバッ!ドンドン!「後退だ!接近戦では歯が立たない!」「司令部、敵は

複合セラミックと思われる装甲で覆われ、銃弾が通らない!」『重狙撃兵を配置する。皆はいったん下がれ。』

チャッ。「50口径バレットM82対物ライフルだ、戦車だろうがぶち抜いてやる!」ズドオンッ!ぱきぃぃーん!「跳ねた?

被弾径始か!」チャッ、ドキューン!ビシッ!「ぐはっ!」どさっ!「・・そ、そうか・・M14は一発づつ狙い打つなら

M16より上だった・・」ドンドン!ビシビシッ!「リコイルの強い銃なのに、なんて精確さだ!」「よく見てみろ。

オリジナルの曲銃床を直銃床に変更し、またあのゴツい装甲に合わせて短くして、反動によるブレが少なくなってる。」

「ジャングルならともかく、市街戦ならM14はまだまだ有用だ。あれを造ったヤツ、かなり実戦を知ってるな・・」

 

『作戦順調。当方の損失なし。』「さすがゴメス将軍、銃の選定まで抜け目がない。」「将軍は傭兵として数々の実戦を

生きぬいてこられた方、身に沁みて学んだ成果でしょう。」「正面複合装甲は丸みをもたせ、なおかつ弾力性インナーが

着弾衝撃によって変形し貫通を許さぬ。まさに無敵の歩兵だ。」『第三ブロック制圧。敵は司令部ブロックに集結中。』

「第二段階だ。水中用巨人機兵『モーカン』発進。停泊艦船を撃沈せよ。」『了解。アストレア、モーカン、出る!』

ゴバアアアーッ!「まずはあの巡洋艦だ。超振動クロー。」ジャキッ!ギガガガガーッ!「船腹を切り裂かれれば、

防水区画など無意味。」ズズズズ・・「沈むまで時間があるから、とっとと退艦してくれよ。」ゴオオオーッ!・・

 

撰籐学園。♪ビーッ!『?!』「緊急招集着信メール音!」さっ。【横須賀米軍基地にて状況発生 緊急出動指令】

「健司、エレン、行くよ!」『おう!』「みこちんも同行して。今回は現場に慣れるだけでいいから。」「了解です。」

ダダダッ!「・・屋上ですか?」「そう、ペントハウスへ。」ガチャ。「来ましたね。」「いきますえ。」「これは?」

キュンキュン・・「ヘリコプター?」「陸自お下がりのUH-1Jよ。」「にしては、塗装がポップですね・・痛ヘリ?」

「おや、そういう単語をご存知とは意外です。」「エレンが塗装したがったんで任したら、こないなってしもたんよ。」

「ポップ・アートは、なかなか理解されないデス。」「乗ったのった。」ドカドカ。「・・ソニア先輩が操縦?」

「免許持ってるから。ではいきますよ。ドックアウト。」パチパチッ。ウィィーン・・「ポートまで10秒。クラッチ接続。」

ヒュンヒュンヒュン。「みんなインカム付けた?難聴になるわよ。」ごそごそ。『離床ポジション到達。上昇。』グッ。

ヒュバババ!『耳当てしてても、うるさいんですね。』『すぐに慣れるわ。』『目標、横須賀基地。』ババババ!・・

『状況を説明します。敵は横須賀基地の破壊が目的。停泊艦船の破壊のみならず、歩兵を上陸させて侵攻中です。』

『ロボットだけじゃなく、歩兵もいたのね。』『むろんただの歩兵ではありません。これがそうです。』ぱっ。

『全身を装甲で覆ってますね。』『まるで等身大ロボットやね~。』『強そうだけど、小回りきかなそうデス。』

『そこは集団行動でカバーしてるようですね。互いに死角を作らない陣形を組んでます。』『・・ちょっと待って。

こいつらの動き、何かおかしいわ。』『例えば?』『無駄な動作が無さすぎる。どんな熟練兵でも多少は不規則な動きは

するはずなのに、こいつらは最小必要な動作だけで、まるでロボットそのもの。』『あ、たしかに。周囲見回し動作の

周期がみんな同じです。』『これは式神の動きに近いですね。』『ホワイ?』『・・まさか。』『豹馬センパイ、何か?』

『いえ、まだ突拍子もない仮定にすぎないので、確認が必要です。』『一匹ふんづかまえて尋問すりゃ、一発解決どす。』

『降下したら分散します。総長・健司くん・エレン・日美子さんがAチーム、僕と雅さんとソニアでBチームです。

Aは港湾部、Bは基地内の敵を掃討します。』『まだ敵の実力がつかめないから、初手は無理せず様子をみるのよ。』

 

『大佐、所属不明ヘリが接近。』「画像を。・・えらく派手な塗装だな。」『ポイントBに降下。搭乗員が降ります。』

「・・あいつらは!」「先日の連中ですな。」「『イェニ=チェリ』に指令。あの連中を戦術攻撃目標に追加だ。」

『目標は二小隊に分かれ移動中。』「先回りして迎撃せよ。例の主力の少女がいる方には二個中隊をまわせ。」

 

港湾部。タタタ・・ザッ!「おっと、お出迎えだ。」ドンドン!「反転障壁。」ヴン。キュキュン、バシバシッ!

「おや、弾が通らないね。」「ちょっと硬そうデスネ。ガルガンチュア、カムヒア!」・・グワアッ!ズシーン!

「オー、めりこんだだけでペッタンコになりまセン。」「なんつー硬さよ。ならば!」ダッ!「はあっ!」ドン!

ズドォンッ!・・ぼごおおおーん!「ペネトレート!」「どんな装甲でも『徹し』て、中の人にダメージを与える。」

「すごい・・」「みこちん、あなたもやってみ。」「やってみます。来たれ神兵。」ゴォォ・・ドドーン!ウチテシヤマム。

「梓弓。」シュバババッ!・・ドカカカッ!「御霊の矢が射抜くは魂魄のみ。鎧など無意味です。」「やるやるー。」

 

基地内。ドガガガッ!「クロノス・フィールド。」さっ、グググッ・・ポトポトッ。「時間圧縮断層。弾丸は届きません。」

「無影刀。」ヒュヒュン、ズバシャアアーッ!「祇園祭りどす。」ヒュバババッ!ギリギリッ。「舞っておくれやす。」

ギュララッ!ばしいいーん!「装甲はともかく、中のお方はたまらんな~。」「どれ、中身を見てみましょう。」パカッ。

『・・これは!』シュコォォ・・「・・改造人間?!」「脳外科手術の痕が!」「この手術痕は・・ロボトミー。」

「前頭葉切除による人間性の剥奪・・今は禁忌とされとる術式どす。」「しかもこの人はどうやら中東系・・ソニア、

校内データベースで照会を。」♪ピッピッ。「顔写真から登録手配書照合・・ビンゴ。アルカイダ系テロ組織のメンバーで、

自爆テロの指導者。現在は行方不明となってます。」「おそらくは鉄機兵団が捕らえ、施術して手兵にしたのでしょう。」

「テロリストなら捕らえようが改造しようが文句はあんま出まへんな。うまいっちゃうまいけんど、なんか嫌やわ~。」

「少なくとも、ぶち殺しても心が痛まない相手なのは良いニュースですけど。」「下級生には黙っておきましょう。」

 

『全部隊壊滅。反応消失。』「相手が悪すぎた、か。」「けど新たな戦闘データが取れました。ある意味成功ではないかと。」

「停泊艦船はほぼ沈めたし、戦果としてはまあまあか。よし、撤収しよう。」『アストレア少尉、帰艦してください。』

【まだ敵が残ってるじゃないか!】「・・少尉、勝算は?」【陸上ならともかく、水中ならこちらに利があります。】

「・・わかった、やってみよ。」【ありがとうございます!】「よろしいので?」「少尉の主張にも一理ある。水中からの

攻撃にどう対処するか・・これからの戦術の参考にもなろう。」「よしんば負けても、ですな。」「健闘を祈ろう。」

 

港湾。「いちおー終わったみたいだけど・・」「駐留艦船は全滅、被害甚大ですね。」「さすがに沈んだものまでは

戻せませんね。」「アメリカはんやったら、すぐに新しいの持ってきはるやろけど。」「バット、なんか物足りないデス。」

「巨人機兵との戦闘が無かったからかな。」「・・いえ、まだのようです。」「みこっち?」「まだ殺気が残ってます。」

ザバアッ!ズガガガッ!「海中から!」「反転障壁!」チュンチュン!・・ザザザーッ!「・・巨人機兵!」グワッ!

「散開!」ばっ!ズガシャアッ!「こいつ!」グッ。ザザザーッ!「沖に下がられた!」ズガガガッ!チュンチュン!

「ちっ、海を楯にするとは賢いわね。」「これではこちらの間合いに入れませんね。うまい手です。」「どないします?」

「ここは私が。」すっ。「・・そうか、みこっちがいた!」「例の手をやってみます。来たれ、神兵。」ドドーン!

「進軍。」ウチテシヤマム!ウチテシヤマム!「・・海の上を進んでいく?」「まるで平家の怨霊だね。」わらわら。

ズズズ・・ガクン!「お、動きがおかしくなった。」「効いとるようやね~。」「霊エネルギーで電気回路の流れを乱し

制御に誤作動を起こさせる、いわば電子戦。」「こんな応用方法があったなんて、自分でも気づきませんでした。」

 

「な、何が起こった?」『「モーカン」動作異常。制御不能のようです。』【こちらアストレア、まったく操縦できない!

制御回路に重大支障、サポートAI暴走!原因不明!】「制御系を切れ。非常手動に切り替えて撤収せよ。」【しかし!】

「機器の故障なれば少尉の責任ではない。そこで修理もできぬ。」【・・了解。】「・・これも敵のせいでしょうか?」

「たぶんな。故障のタイミングが良すぎる。我らにもまだまだ未知の戦力があるようだ。・・収容しだい撤収せよ。」

 

ザザザ・・「・・逃げたね。」「退き際が鮮やかですね。あの女性指揮官かもしれません。」「ふむ・・次はビーコンでも

付けてやりますか。」「それいいですね。米軍に頼んでもらっておきましょう。」「それよりも課題ができましたえ。

海中の敵に対してどないしよ?」「たしかに僕たちの能力は陸戦でのみ有効です。海の敵にはいささか不利ですね。」

「あの、私の知り合いに竜神の巫女がいます。」「竜でも呼べるの?」「それは難しいですが、水術の達人です。」

「・・もしやそれは、壱岐水軍の姫巫女では?」「そうです。なぜご存知で?」「今度二年生に転入してくるからです。」

『ええっ?』「なんや、ちゃんと考えとったんやね。」「校長も同様の懸念をお持ちで、手配していたそうです。」

「どんな方かしら。二年生は私だけだったので楽しみ。」「とにかく帰ろ。ハラへった。」「もんじゃに行きまショ。」

 

海中要塞『メエルストロム』。「『モーカン』故障の原因がわかりました。何者かによる電子妨害です。」「ハッキング?」

「制御回路は閉回路で、外部から侵入する余地はありません。つまり、ウイルス等でもありません。」「ではEMPか?」

「電磁パルスでも障害を受けないよう隔離されています。」「むう・・我らも知らぬ電子兵器があるということか。」

「記録映像には前回にはいなかったメンバーが確認されています。おそらくは。」「電子戦要員まで擁しているか。」

「だが当初予定されていた戦果は出ております。まずは成功というべきでしょう。」「『イェニ=チェリ』は使えます。

通常兵力相手ならば、じゅうぶん有効であることが確認されました。」「うむ。Dr.エヴァ、引き続き量産を認める。」

「すでに素体は確保してあります。ロボトミーで一切の感情を失った兵は死すら恐れず命令に従う、理想の軍勢です。」

「使いどころ次第ではな。やはり理性を持った兵も必要だ。特に巨人機兵のパイロットは。」「退くべきときに退くは

立派な戦術だ。総帥、以上の二段構えの布陣はかなり有効かと。」「作戦面は将軍と大佐に委ねる。私は口を挟むまい。」

 

校長室。「・・というわけで、敵は改造兵士を。」「よくぞ考えたものだ。まあ、厄介者を使うぶんには大歓迎ではある。」

「米軍の動向は?」「さっそく基地の復興に動きだした。真珠湾から代替艦隊と大量の物資が送り出されている。」

「この隙にロシアや中国が動きそうですね。」「さっそく中国の空母が動き出した。南西諸島の突破が目的のようだ。」

「では例のプランを。」「そうだ。・・わざと突破させる。」「外洋に出てもらえば、そこは狼の待つ荒野です・・」

 

もんじゃ屋。ジュージュー!「あふあふ・・あふい。」「これは初めて食べます。おいしいものですね。」ショリショリ。

「いかにもこういうの縁がなさそうだしね。」「ピザより断然おいしいデス。」「でもいいの?リムジン待たせておいて。」

「いいんです。それにSPもそこで食べてるし。」「ああ・・あの似つかわしくない背広の一団。」「護衛任務中なので、

食費は経費で落ちるよう手配したので喜んでました。」「ならちょくちょく誘ったほうがいいかもね。」「パーラーとか

入ったらどうするんだろ?」「あの格好でケーキ食べてるの見てみたいデスネ♪」「うふふっ、それは面白そうですね。」

「おっし、みこっちをいろんな所に連れてっちゃお。」「ならば池袋の乙女ロードとかいいかもデス。」「乙女ロード?」

「女性向け同人店が集中してるとこデス。別名『腐海』とも。」「棲息してるのは、ある意味王蟲よりタチ悪いけどね。」

 

玄界灘。ザザーン!「そりゃあっ!」ビュオッ!ヒュルルル・・ズドッ!オオッ!「この距離からカジキを銛で射抜いた!」

「さすがは姫巫女じゃ!」「よーし、綱をたぐれ!」『えっほ、えっほ。』「よっと!」ザバアッ!「400kg級の大カジキだ!」

「200万にはなるね。これで通算一千万はいったか。」「姫巫女がおると漁獲がええのう。」「何言ってんの。魚群を捜して

上げてるのはあんた達の腕、わたしはお手伝いしてるだけよ。」「やっぱり行かれるので?」「日本のためと言われちゃ、

行くっきゃないでしょ。」「ご武運をお祈りしますだ。」「鉄機兵団か・・このカジキより手応えありそうね。」ニッ。

 

国際力学は冷酷非情 調子に乗れば痛い目に会う

檻から逃げた小鳥には 過酷な外界が待っている

そこは無法の大海原、縋るものなどありはしない

それでも行くか 自由を求め

だが自由とは 野垂れ死にする自由でもあることを知れ

「聴け、わだつみの唄」 それは海の巫女の世界

今も昔も 板子一枚下が地獄なのは変わりはしない

 

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フェイズ04「聴け、わだつみの唄」

 

撰籐学園、二年生教室。「では転入生を紹介します。」ガラガラ。オオッ!『すごい日焼けした肌だ!』『あれは自然に

焼いたんだな。』『それよりあの銛はなに?』「壱岐から来た水野嘯子くんだ。では恒例の歓迎行事を。」ジャキジャキッ!

「銃か。いいよ、撃ってきな。」ドキュドキュン!グググ・・ぴたり。『銃弾が・・止まった?!』「そりゃ当然、だって

ここはもう海中だもの。」『え?・・っ!』ゴポゴポ!「水の抵抗で40cmほどしか進まないのさ。」『ガボガボ!』

「ほい。」スッ・・『・・?!息ができる?』「幻海潮鳴。私はどこだろうが海にできる。まぼろしの海にね・・」ニヤッ。

「お見事。」ぴく。「あんた・・さっき撃たなかったし、溺れもしなかったな。」「銃は必要ないし、すぐに状況を把握し

周囲の時間を少し『戻して』エアポケットにしたから。」「へえ・・察するところ二年生筆頭か。」「ソニア・ロンジン。

筆頭は暫定的なもの、よければあなたに譲渡するわ。」「それはダメだな。手合わせしてからじゃないと皆が納得しない。」

「二年生は人材不足なの。だから戦闘力の低い私なんかがやってるわけ。」「それでもいちおうケジメはつけなきゃね。」

「やれやれ・・じゃあ。」ボッ・・バチイッ!「くっ!・・今のは?」ジィーン・・「へえ、水深1万mの水圧で弾かれたら

骨くらい砕けるはずだけど。」「水圧・・?」はっ。キラキラ・・「まさか・・その肌の水膜が。」「そう、この薄い膜内に

数トンの圧力がある。」「時間を止めた状態だったので、まともに食らわずに済みましたが・・こちらは手詰まりです。」

「いやいや、二度目はさすがに別の手を考えるだろ。勝ちを譲られるのは遺憾かも。」「そうあるべき方が持つべきです。」

 

生徒会室。「というわけで、新しい二年生筆頭よ。」「よろしくな。」「これはまたワイルドな方が。」「健康そうな肌が

まぶしおますな~。」「この方が例の海洋戦力の?」「壱岐水軍の竜神の巫女です。」「オケアノス・シャーマンですネ。」

「よっ、ひさしぶり。」「お待ちしてました嘯子さま。新年祝賀の儀以来ですね。」「お知り合いで?」「代々皇家御用達で

鮮魚を供給してくださってるんです。」「平安からの付き合いで、帝御目見えをいただいてるのさ。」「すごいどすな~。」

「ところで総長は?」「授業終了直後にトイレへ猛ダッシュ。」「たぶんウンコですネ♪」「はっきりい言わなくても・・」

ドタドタ!ドガシャアアーン!「遅れた!」「また壊しはった。」「また私が『戻す』んですね・・」カシャカシャ・・

「ん?このウミショーっぽい人だれ?」「かくかくしかじか。」「うわ、すっごい筋肉。」むにむに。「聞いてませんね。」

「あんたが総長かい。」「いちおう。」ゴッ!ぴた。『おおっ!』「奇襲パンチを指一本で止めた!」「・・そんな?」

グググッ。「腕が伸びる寸前にこの角度で止めれば、押しも引きもできなくなるわ。」「これが・・総長の力か!」

「これは挨拶。本気ならカウンターでもう殺ってる。」「・・本気か。」「ハッタリかますほど頭よくないのよね。」

 

海中要塞メエルストロム。「今回のターゲットはこれだ。」ぱっ。「中国の空母ですか。」「情報によると、南西諸島を

突破して外洋に出ることを画策している。」「日本と台湾および在日米軍に対する牽制ですね。」「先日の作戦で横須賀を

叩いた尻馬に乗ったのだろう。そして・・日米も裏では突破を見逃す。」「ふっ、我らに襲わせようという腹ですね。」

「政府のバカ共にしてはよく考えた作戦だ。外洋に出てしまえば、何か起こっても責任をとる必要はない。SOSを受けても

ダラダラと準備して引き延ばすだろう。」「そこまでわかってても?」「いただこう。中古空母など欲しくもないが、

道具としては使えるのでな。」「外洋用巨人機兵『ボスタング』を準備しております。」ぱっ。「人間型ではないのか。」

「水中戦に特化した結果です。ただ、大きいので同伴させる形になります。」「そして艦内制圧用に洋上活動仕様の

『イェニ=チェリ・マリーナ』も用意しているわ。」「懸念事項として、例の連中がヘリで駆けつけるかもしれぬ。」

「『ボスタング』には対空兵装もあります。近づくこともできないでしょう。」「了解した。これより出撃します。」

 

六本木、統幕本部。『中国空母艦隊、領海侵犯。停止命令にも応じません。』「領海を横切るまで警告を続けろ。ただし、

絶対にこちらから撃つな。」「引っかかりましたね。」「わざと南西諸島の艦船を手薄にした餌にまんまと食いついた。

まもなく日米共同で抗議声明が公表される。」「これほど堂々と領海侵犯したら、いかなる言い訳も通用しません。

あとは鉄機兵団にお任せしましょう。」「そう都合よく来てくれるかな?」「来ます。空母はその存在だけで価値があり、

またその巨体はいろんな使い道がありますから。」「本土爆撃とかに使われぬか?」「無差別爆撃はありません。ただ、

ピンポイント爆撃の可能性はありますが、それは現行の『リヴァイアサン』でも可能です。巡航ミサイル全盛の現在に

わざわざ爆撃機を飛ばすほど連中は愚かではありません。むしろ・・」「なんだ?」「・・いえ、やめときましょう。

かなり突拍子もない推論ですので。」『目標、領海を抜けます。』「追尾中止。あとは監視衛星と潜水艦に委ねる。」

 

ボスタング。『感あり。中国空母艦隊です。』【少尉、突出だ。作戦どおり空母から眠らせろ。】「作戦了解。」

ゴォォォ・・「『ボスタング』はウォータージェット推進、スクリュー音は出ない。陣形内でも気づかれない・・

音声視覚化視界。」ぱっ。「あれか・・中央の巨大なイメージ。接近。」ズズズズ・・「艦底到達。スピーカー吸着。」

ウィィ・・ゴン。「ケーブル伸長、安全距離まで潜行・・音紋受信テスト。」チャッ。「・・多数の足音。会話までは

聞き取れないが受信良好。」パチパチッ。「極低周波、発振。」・・ヴォォン!グラグラッ!「くっ!・・この距離でも

これだけ叩かれるか。持続時間・・よし。」パチッ。「艦内音・・足音聞こえず。全滅と推定。第一段階終了。続いて

第二段階。護衛艦艇の撃破。」ゴオオオ・・「超震動クロー展開。」ジャキッ。ヴン「攻撃開始。」バリバリバリ!

 

統幕本部。『空母以外の艦艇は全滅。』「なんと・・反撃もできなかったとは。」「これが鉄機兵団の実力です。

これがもし第七艦隊でも、結果は同じだったでしょう。」『リヴァイアサン浮上。兵士を空母に送り込むようです。』

「なぜ空母のクルーは誰も出てこないんだ。」「それ以前に、なぜ護衛艦艇が沈むのに何の動きもなかったのか?」

「答えは甲板上にあります。ズームを。」ググッ。「あれは・・甲板作業員。」「みんな倒れてる・・なぜだ?」

「推測ですが、敵は超低周波を使ったと思われます。船体自体が共鳴器となり、艦内の人間はもちろん甲板上の人間も

ほんの少し『押され』ます。その圧力変動は自動車がぶつかったときに等しい。・・おそらく乗組員は全員即死です。」

「ぬう・・なんと恐ろしい兵器だ。」『艦上に動きあり。各部で溶接作業をしているようです。』「溶接、だと?」

 

空母艦上。バジジジ!「兵員区画と整備甲板は全て密封しろ。例の物をエレベーターへ。」キリキリキリ・・ゴトン。

「よし、整備甲板へ運びこめ。」ズズズズ・・ガコン。「セットが終わったらエレベーターも溶接だ。」バジジジ!

『大佐、航行要員を配置完了。』「うむ。少尉、ボスタングは護衛を。」【了解です。】「要員以外は撤収だ。」

 

統幕本部。『リヴァイアサン、離脱します。』「いったいどういうことだ?」『空母、移動開始。20ノット、進路320。』

「やはりそうですか。」「連中はいったい何を?」「航路を逆に戻るんですよ、母港へ。」「・・戻す?なぜわざわざ?」

「目的は中国海軍力への打撃、目標は軍港破壊です。」「・・まさか。」「連中は空母を巨大な爆弾に変えたんです。

運び込んだのは、おそらく引火性ガスのタンク。艦内にガスを充満させ、軍港へ突っ込ませる。航空燃料なども合わせると、

軍港を吹き飛ばすには充分な爆発力でしょう。」「・・戦術核並みか。」「中国政府へ連絡を!」「それはやめましょう。

わかった上で連絡すれば、日本も関与してるという口実を与えます。ならば、知らんぷりをしてればいい・・ペンタゴンも

同じ意見でしょう。」『那覇基地より連絡。米軍は引き続き現状把握に務める。自衛隊も同様の措置を願うとのことです。』

「ほらね。」「北京もバカではない、阻止するだろう。」「確かに。だが相手は鉄機兵団・・はたして阻止できるか。」

 

撰籐学園。『・・中国空母はまたもや西南諸島の領海を横断し、母港へ戻ろうとしています。』「表向きは、ね。いまごろ

北京は大騒ぎでしょ。」「さすがマスゴミ、大事なことは言わないね。」「大本営発表そのまま流してるだけデスネ。」

「今回は出動はかからなさそうですね。」「もしかかっても、東京から西南諸島じゃ間に合いませんね。」「そうかな?」

「嘯子さん、何か手が?」「こんなこともあろうかと、壱岐水軍の秘密兵器を持ってきてる。ちょっと見てみるかい?」

「ジェット機かなんかどすか?」「それに近いね。じゃ、行こうか。」ガタッ。「近くにあるの?」「そう、すぐ近くに。」

 

階段下・用具室。ガチャ。「入ってはいって。」ぞろぞろ。「ここに?」「正しくは。」すっ、パチッ。ウィィーン・・

「エレベーター?」「いつの間にこんな仕掛けを。」「僕もこれは知りませんでした。」「もうすぐ着くよ。」

ガラガラ。『おおっ!』ゴォォォ・・「これが水中高速艇『海鳴』だ。境界層推進システムで最高速度2000ノット。」

「2000ノット?!」「・・って、どのくらい速いの?」「単純に換算すると・・マッハ3。」『なにいっ?!』

「ありえない!SR-71と同じ速度を水中で!」「水中だからできるのさ。ウナギをつかんだことあるかい?」「ウナギ?」

「つかむとヌルッと滑るのでつかみにくいですね。」「それと同じことが水と船の間で起きる。水圧が推進力となり、

海自体が加速させてくれる。動力はそのきっかけを与えるだけ。」「なるほど、リニアモーターカーに似てますね。」

「海中なら駅も踏切も無いきに、スピード出しほうだいどすな~。」「さすがは壱岐水軍、これほどの超技術を。」

ドカドカ。「ハッチ閉鎖。潜行。」ズズズズ・・「東京湾を出るよ。加速開始。」ウィィィ・・「・・進んでるの?」

「速度計ではね。現在300ノット。毎秒20ノットづつ加速中。」「思ったより騒音とかしませんね。」「加速によるGも

ほとんど感じまへんな~。」「コクピットに慣性緩衝装置が付いてて、10Gくらいまではキャンセルしてくれてる。

万が一海中生物と遭遇しても、海水ごと押し除けてるので交通事故にはならないよ。名古屋沖を通過。」『はやっ!』

 

♪ピピッ。「おっと、通信だ。」『こちら校長、出撃指令は出していないぞ。』「出てからでは間に合わないと判断し、

近接海域にて待機します。」『・・わかった。狙うは帰還時だ。室戸岬沖にて待機せよ。』「了解。停止し待機します。」

「減速。」シュゥゥゥ・・ぴたり。「上は敵の作戦を見逃すようですね。」「日本へ直接向けられた作戦ではないですから、

むしろ下手に手を出すと藪蛇になることもありますね。」「日米が噛んどる様子あったら、格好の宣伝材料にされそやね。」

「対応させるなら中国自身にか。ま、そのほうが後腐れなくていいかもね。」「じゃあ観戦がてらメシでも食うか。

キッチンに新鮮なカツオがあるからタタキやカツオ飯にするよ。」「あ、手伝うわ。」「ダシは任せてくんなまし。」

「・・凛とエレナは行かないの?」「あたしゃ野生派、味とか二の次だから。」「ガイジンに何期待するんデスカ?」

 

東シナ海、上海沖200km。キィィーン・・【命令が下った。空母を撃沈せよ。】『了解。シルクワームを使う。ダイブ。』

キィィーン!♪ピーッ!『ロックオンされた?』・・シュゴオオーッ!『SAMだ!回避!』シュボボボッ!『多弾頭?!』

『避けきれない!』ズガガガーン!・・「・・さすがは新型SAM『スパイダー』だな。」「多弾頭による飽和攻撃。編隊が

かたまっててくれれば、まさしく一網打尽ですな。」「捕りこぼしはボスタングのEMP砲が始末してくれる。となると、

次は艦船の出番かな。」『中国艦隊接近。巡航ミサイルを使うようです。』「少尉、ハエ叩きをよろしく。」【了解。】

 

「あらら、巡航ミサイルが落ちちゃった。」「電磁パルスで誘導装置がやられたね。」「打つ手ナッシングネ。」もぐもぐ。

「艦隊も巨人機兵に次々と沈められてますね。」「まるで餌にたかるハエが叩き落とされてるみたいね。」「あ、それか。

わざわざ出向かずとも、どんどん寄ってきてくれる。実に効率的だね。」「中国の海軍力を殺ぐにはいい作戦です。」

「あとは大連の軍港を吹っ飛ばすだけやね~。」「・・けど変ですね。吹っ飛ばしただけでは突貫工事で復旧されます。

そんな無駄な手を使うためだけに、ここまで手の込んだ作戦を?」「いい視点ですね。もしかすると本当の狙いは・・」

 

大連軍港沖。ズズーン・・『湾岸から猛烈な砲撃。湾内への突入を阻止するつもりです。』「空母の損傷は?」『さすがに

あちこち痛んできました。』「むしろ手間が省けた。空母の搭乗員に連絡、液体窒素を開放し退去せよ。」『了解。』

「大尉、フェイズ3だ。」【了解しました。予定地点まで・・魚雷発射。】シュゴォッ。シュゥゥゥ・・ドカーン!

『舷側に亀裂が入ります。』「液体窒素で冷却された鋼板は脆くなる。魚雷一発で容易に砕けるほどにな・・」ズズズズ!

『空母、着底。ジャストポイントです。』「よし。作戦終了。帰還する。」『ボスタング、先導してください。』【了解。】

「帰りの駄賃に、沈底機雷を散布しておけ。」【了解。マインレイヤー起動。】ガコガコン、コポコポ・・ゴトゴトン。

 

「なるほど、そうきましたか。」「湾口に座礁させるとは予想外の手ですね。」「なかなかやるなぁ。あそこにでかい

半沈没船がいると、大型艦艇は通れない。そして撤去にはものすごい時間と手間がかかる。単純に爆破しても残骸がジャマ。」

「そっちのほうが余計に迷惑ですね。」「ついでに沈底機雷でもばら撒けば完璧やね。」「回数起爆もありそうですね。」

「♪港殺すにゃ艦砲いらぬ、機雷の百でも撒けばいい・・機雷戦は、やられる方には、たまったもんじゃないですね。」

 

リヴァイアサン。『大佐、未知のシグネチャー感知。』「未知だと?」『データベースに該当音紋なし。』「スピーカーへ。」

ゴォォォ・・「ジェット機のような音ですな。」「音源の針路と速度。」『方位220、速度・・3000ノット?!』ザワッ!

「静粛に!・・副長、見解を。」「計算間違いは論外。と、なると。」「正しい数字か。・・例の連中か?」「米軍でも

それだけの技術はありません。消去法でいけば。」「直衛の『ボスタング』に連絡。敵接近に備えよと。」『了解。』

『海鳴』。「まもなく作戦海域。減速。」ヒュゥゥゥ・・「レーダー感。でかいのが空母、やや小さめが巨人機兵だな。」

「あっ、こっちに来る。」「どんなヤツかな?ピンして姿を見てやろう。」♪ピィィーン!・・コーン!「出たでた。

なるほど、エイみたいなヤツだね。海中戦特化型か。」「海の中じゃ手が出せないですね。」「エレン、巨人出せる?」

「コロッサス、泳げまセンネ。」「こういうときの為の私だろ。まあまかせとき。」タタッ。「お手並み拝見します。」

 

リヴァイアサン。「む?小さいエコーが分離した・・まさか?」ぱっ。「・・人間?この深度で潜水具も付けずに!」

ちょいちょい。「・・来いというのか。よかろう!超震動クロー!」グワッ!ひょい、バチン!「よけるか!」ビュン!

ヒュッ、ズバッ!「・・なんだ?なぜクローが斬られた?!」スッ・・メキッ!「なんだ?」【警報。水圧上昇、危険。

現在深度2000m。ただちに浮上せよ。】「バカな?深度はたかだか20mだぞ!」メキメキ!【深度4000m。危険、危険。】

「・・そうか、あいつが水圧を!」バシュゥゥーッ!【耐圧殻破損。浸水警報。】ベコベコッ!「くっ・・脱出!」

 

『海鳴』。・・グシャアアーン!「・・潰れちゃった。」「乗組員は脱出したようだね。」「アンビリーバボ。」

「さすが嘯子さま、海中では無敵ですわ。」「水圧まで自在にできるなんて。」「戻ってきたようです。」ガコン。

パシュッ。「ごくろはんどした。」「見てのとおり、カタはついたよ。」「『リヴァイアサン』脱出艇回収後急速離脱。」

「追うよ。この船なら追いつける。」ヒュィィーン!「大佐!敵船がありえない速度で追ってきます!」「魚雷は?」

「相対速度が速すぎるので使えません。」「音波攪乱剤散布。煙幕を張る。」モクモク・・「これで撒けるとは思わんが、

いくばくかの時間稼ぎにはなる。」「そして体勢を立てなおして反転攻勢ですな。」「ただ逃げるよりチャンスはある。」

『待て。』はっ?『メエルストロムから通信です。』ぱっ。「ゴメス将軍?!」ザッ。『私にまかせてもらおう。』

「まさか・・アレを?」『敵はどうやら本拠が狙い。ならばこちらから見せてやろうではないか。』「ははーっ!」

 

♪ピピッ。「通信?・・はい、こちら『海鳴』。」『こちら校長。追撃は適当に。要は最終目的地へ案内してもらえ

いいことだ。』「追尾ビーコンを付ければすぐに」♪ピピッ。「え?・・巨大な何かが接近?!」『特定できるか?』

「アクティブ・ソナー。」♪ピーン・・コーン。「反響音解析・・な、なんだこりゃ!画面を埋め尽くすほどだと?!」

ズズズズ・・「・・震動?」ズズズズ!『・・いかん!敵に手を読まれた!すぐに緊急離脱!』「急速ターン!」グイッ。

「どっかにつかまれ!艦首艦尾スラスター全開!」バン!ドドドド!『うわっ!』ズダダダッ!「急ハンドルは事故の元

どすえ。」「空なら問題なし。ロケットモーター起動。」ズドドド!「海面離脱!」どぱあああーん!「翔んだ?!」

「主翼展開。インテークノズル開放、ジェットエンジン起動。」ヒュィィーン、ゴオオオーッ!「飛行能力あったの?」

「『海鳴』は、なりは小さいが万能戦艦だ。火器を積んでないのが欠点かな。」「敵が浮上するよ!」ゴバアアアーッ!

『なっ!』「な・・なんて巨大なの!」「直径1000m。高さ500mのピラミッド・・あれが鉄機兵団の移動要塞ですね。」

ジャコジャコッ。シュドドドドッ!「SAM?なんて数を撃ってきやがる!」「いえ、低速で機動性重視。RAMですね。」

「よけい厄介だよ!」ゴオオオオーッ!「欺瞞装備は無いの?」「チャフ・フレアの類は積んでねえ!」「ん~・・

たしかグリルにアルミホイルありましたどす。」「あ・・そうか!」ダダッ!バサバサ!「健司、エレン、手伝って。」

「アルミホイルを破るんですね。」ばりばり!「アーンド、バラまけば即製チャフになりマース。」シャリシャリ。

「こんなもんか。」「ハッチ開けます。」バン!ビュオオオオーッ!「そーれ、いけい!」バサバサバサ!ドカドカーン!

「効いてる!七割が誤爆したよ!」「残り三割は何とかします。・・来たれ、神兵。」ギュギュン、ポロポロ・・

「ようやく避けきった。長居は無用、三十六計といくよ!」ゴオオオーッ!「・・あれが敵の本拠か。」ギラッ。

 

海中要塞メエルストロム。『敵機、急速離脱します。』「ほほう、あの飽和攻撃を避けきったか。」「いい腕ですな。」

「将軍、私の不手際でご出馬されたこと、申し訳なく。」「私の勝手な判断で動いたこと、少佐に非は無い。」

「うむ、それを私が承認した。大佐のせいではない。」「ははっ。」「それにしても・・楽しいな、この敵は。」

「いずれ敵の素性も調査しませんとな。」「超絶の戦闘力の秘密とか、楽しそうですね。」「それについては諜報員を

派遣する予定だ。モニカ。」【これに。】ボオッ。「敵組織への草だ。これで情報を得る。」「必ず吉報を・・」フッ・・

 

八丁堀、カラオケ屋。「くそっ!・・手も足も出なかった!」バン!「いや、この状況じゃ逃げきるのに精一杯だよ。」

「ガルガンチュアも、海中だと役立たずネ。」チュー。「海戦は嘯子さま頼りというのは、いささか辛いですね・・」

「今回の反省から『海鳴』も武装することに決まった。いま突貫工事でやってる。」「そういう問題じゃないわ。・・

こちらのバトルフィールドに持ち込む手を考えなきゃ。」「ぱっと考えて、迎撃戦しかないと思うけど。」

「敵が襲ってくるのをアクティブ・ディフェンス。それで敵が弱ったとこをカウンター・アタック。これしかないデス。」

「ともかく、これで敵の規模が知れました。そういう意味では収穫ではないかと。」「そう前向きに考えるしかないか。

おっし、歌うぞ!」オーッ!「一番、水野嘯子。舟唄。」オーッ、ぱちぱちぱち。『♪沖のカモメにぃぃ~っ!」オオ・・

「♪ふかし芋とられてぇぇ~っ。」『・・あれ?』「♪ついてねぇぇ~っ。」「そりゃラッキーマン主題歌じゃ!」

 

校長室。「鉄機兵団・・予想以上の組織のようだな。」「敵の規模を思い知るによかったのではないかと。」「うむ。

敵の巨大さを知って戦意喪失する者がいるかとは思ったが。」「その心配は無用どしたな~。却ってますます闘志が

沸いてきたお方ばっかしやし。」「まあ、そういうのを選んだのもありますしね。」「ちがいない。それはともかく、

英国MI5からの推薦留学生が来ることになった。」「ほう・・そのセンは臭いますね。」「アメリカでいうところのNSA。

内外でも評判が悪いですね。」「それよりも、上層部が鉄機兵団寄りではないかとのウワサも・・」「うむ。だがあえて

受け入れようと思う。」「獅子身中の虫となるか、それとも・・」「ミイラ取りがミイラになるんも一興やね~。」

「ましてやミイラ本人がハムナプトラ級の超大物。その可能性は高そうです。」くすっ。「それも御してこそ一流だ。」

 

学舎に垂らした一滴の毒 それすら調味料とするが醍醐味

「影の手」が静かに迫る 凛の息の根を留めんと

だが凛は不敵に笑う 遊び相手には丁度いいと

遊びをせんとや生まれけむ 戯れせんとや生れけん

さあ 「戦渦の遊戯」を始めよう

どうせ遊びをするなら 命がけなほうが面白い

***************

 

フェイズ05「戦渦の遊戯」

 

撰籐学園・一年生教室。「それでは新しい友達です。イギリス留学生のモニカ・H・バスカヴィルさんです。まず恒例の挨拶を。」

ジャキジャキッ。「・・影。」すっ、ボオッ。ズワアアッ!『影が?!』ドキュドキュン!キキキィン!「銃弾が・・通らない!」

「・・殺害の意志ありと判断、殲滅する。」ビュン!ぱしいっ。「?!」ギギギギ・・「弾頭はみんなスタンゴムよ、勘弁してやって。」

「・・二次元刃を素手で受けきるあなたは?」「生徒総長・鉄鐵凛。」「・・ここは顔を立てておきます」ぱっ。シュルルル・・

「わかってくれてなによりね。」タラ・・「リン、血が!」「あれ?・・へぇ、痛くないんだ。さすが二次元。よっと。」ぎしぃっ。シュン・・

「よし。」「あまりの握力で細胞が自己融合しましたね。」「気にしないで。こんなのしょっちゅうなのでケガにも入らないわ。」

「・・(これが今回のターゲット。目的は戦力調査および必要なら抹殺。けど組織の規模と戦力を測ることが最優先・・)」

 

休み時間。ガヤガヤ・・「エレン・健司・みこちんよ。」「ハイ!」「やあ。」「正しくは日美子です。」「・・モニカでいいです。」

「三人はいずれも生徒会に所属してるの。あなたもそこそこの腕がありそうね。」「・・いえ、皆さんに比べれば私など。」

「ご謙遜。あのときの目・・そう、人を殺した者特有の目でした。」「この四人はともかく、キラー経験ある人はほとんどいまセン。」

「最初はそりゃあ辛いし苦しい。けど何人も殺していくうちに、だんだんそれが作業に思えてくるようになると『サイレント・ソルジャー』

一丁あがりというわけ。」「・・ちなみに何人?」「10から数えるのやめたから。」「ユーは今まで食ったギョーザの数を覚えてマスカ?」

「そこはパンの枚数というべきじゃ?」「ラーメンとギョーザ大好きネ♪」「あ、よければSPが教えてくれた『二郎』とかいうお店を・・」

「あれはラーメンじゃない、ラーメンに似た『なんか』よ。」「なにか『メンカタカラメヤサイニンニクマシマシ』という祝詞を唱えるとか。」

「いいわね、放課後に行こっか。」わいわい。(・・殺伐とした話題がいつの間にかラーメンに?この思考回路は理解できない・・)

 

生徒会室。「で、隊員候補の新人をお連れしたというわけですか。」「ようこそ撰藤学園へ。」「ほなさっそく実力を見せて

もらいまひょ。」「では・・」ズオオオ・・「影のスタンドか。」「二次元の刃で切れ味抜群。おまけにいかなる隙間へも入っていき、

ある程度の距離でも遠隔操作ができるそうです。」「アサシンにはもってこいの能力デスネ。」ぴく。(・・もしかして気づいてる?)

「よろしいでしょう。部隊への加入を認めましょう。」「・・部隊って、何の?」「おや、ご存じない?事前の説明はしましたか?」

「全然。入るかどうかもわからなかったし。」「なるほど、一理ありますね。(カマかけてみたけど、さすがにシッポは出しませんか。)」

「では現在の状況と敵を説明し、そののちに実戦形式のシミュレーションで試してみましょう。」「・・よろしくお願いします。」

 

視聴覚室。「・・これはすごいわね。」「量産型とはいえ、輪切りにしてまうんはえらいどすな。」「もうバイザーを外していいですよ。」

かぽっ。「・・どう?」「文句なし、合格よ。」「しっかし驚いたぜ。あの影が攻撃だけでなく防御にもなるとはな。」「紙以上に薄いけど

鋼鉄以上の強度も持ってるようですね。」「ミーのガルガンチュアも、シャドウ相手ならノーレンにプッシュですネ。」「・・どうも。」

「正式加入が決まったとこで、今日はおしまいです。」「出動かからんかって、よろしおしたな~。」「では、解散。」『はーい。』

ドヤドヤ・・「・・いいのか?獅子身中の虫を仲間に加えて。」「あえて入れたほうが、目が届きやすいのもありおすな~。」

「それにこういう諺もあります。『ミイラ取りがミイラになる』。」「ファラオの呪いが凛ですね。」「・・たしかに。ここは様子見かな。」

 

ラーメン二郎新橋店。「大ブタヤサイマシマシニンニクカラメ。」「小ブタダブルヤサイマシマシニンニクアブラブラブラ!」「普通で。」

「小盛野菜ふつう濃い目背油少しで。」「・・普通で。・・慣れてるのね。」「何回かつれてってもらったことありますから。当初は

ありえない量に引きましたが、だんだん慣れて祝詞もスムーズに唱えられるようになってきました。」「へいお待ち。」どどぉん!

「!・・すごい。」「大半はキャベツともやしよ。」「週に二度はこれ食べないと調子が出ないデス。」「カネシの味がクセになるね。」

「・・いただきます。」ズズ・・「!・・おいしい。」「でしょでしょ。」「ではいただきます。」ずぞぞぞぞ~っ!「?!・・」「ヒミーコは

食べ方にグレートギャップあるのが魅力ネ!」「SPも慣れたのか宇宙人を見るような目をしなくなったしね。」じゅるるる~っ!

コトン。「たいへんおいしゅうございました。」「・・いつもこんなの?」「いえ、麺類限定ですわ。」「牛丼でもがっついてたでしょ。」

 

明石町マンション。パタン。「・・ただいま。」当然ながら誰もいない。室内は空っぽで、ボストンバッグ一つだけが唯一の家具である。

ジーッ。バッグを開けて、タブレット端末とBluetoothマウス・キーボードを取り出し起動する。カタカタ・・「・・『Tune In』起動。」

いつもの「Calm Radio」にセット。「今日は・・『Native』にしよう。」ネイティブ・アメリカンのプリミティブな音楽が流れる。カタカタ・・

「本日の活動報告書・・さて、どう書いたもんかな?・・よし。」カタカタ・・「接触に成功・・首尾よく入会を認められる。ただ・・」

カタカタ・・「・・よし。発信。」タン。「これでいい・・」ごろん。寝具も無く、タオルケット一枚でそのまま床に寝ころぶ。「・・・・」

 

海中要塞メエルストロム。「情報員は無事に潜入でき、あの組織と接触を持ったとのことです。」「さすがに行動が速いな。」

「いえ・・どうもトントン拍子に事が進みすぎてるような気が。」「気に入らぬ、か。」「あくまでカンですが、話がうますぎるかなと。」

「もしや漏れたか?」「いえ、それなら警戒し排除する傾向なのですが・・むしろ歓迎してるとしか。」「??・・わからぬ。」

「どうもこの敵は通常のパターンと異なる動向をしてくるようです。」「ふむ・・レポートにも当惑してるのが文間にも見てとれるな。」

「そこで提案です。有事状況を作って実力を見てみましょう。」「よかろう。普天間基地への襲撃作戦を使うがよい。戦術目的は

あくまでも示威行動で、明確な目標も無いからな。」「感謝します。ついでに新戦力のテストも兼ねましょう。プロフェッサー。」ぱっ。

『アタナトイ改良型「オルクス」。格闘戦仕様に特化しました。部位重点装甲、重合金クローナックル、関節アクチュエーターも

スピードと反応速度を向上。そして隠し武器として電撃ネットで行動を抑制します。いくら敵が速かろうとも、面で攻めるので

ヒットは確実です。』「さらに歩兵戦力も向上しました。Dr.エヴァ。」『イェニ=チェリ改善「サッグ」。集団・電撃戦に特化し、

火器を持たずにブレードナックルと肩・肘・膝各部のスパイクのみで戦います。』「それは面白い。ぜひ試してみよ。ローズ大佐。」

「これに。」「『オルクス』と『サッグ』一個中隊づつを与える。目標は陽動による敵の出動、有事状況による敵戦力の威力偵察。

諜報員に有用な情報を与えられたと判断したら、ただちに撤収だ。」「了解。一時の勝利に酔うより、明日の完勝のために。」

 

『強襲揚陸潜水艦「リヴァイアサン」発進準備。』「搭載戦力収納急げ!」「気密ハッチ閉鎖。ロック確認。」「よし。注水。」

ザザザザ!「水位30。」「エンジン始動。暖気運転でアイドル。」「魚雷管注水テストよし。」「メインタンク注水。浮力0.01。」

ゴボゴボ・・「水位100。」ゴォン。「浮揚よし。相対深度3m。」「微速前進。」ズズズズ・・「ハッチを抜けます。3・・2・・いま。」

ゴォォォ・・「ハッチ後方120m。閉鎖します。」「巡航速度まで上げろ。目標は沖縄南西部、宜野湾市。」「航路設定。」

「到着一時間前までは通常直だ。副長は先に休め。」「いえ、大佐のほうがお休みになられるがよろしいかと。」「私の仕事は

この椅子に座り、時折指示を出すだけの簡単なお仕事だ。」「それこそ副長の私がするべき仕事です。いざというときは寝てても

たたき起こしますのでご安心を。だいいち大佐が働いてて、部下が心安らかに休めると思いますか?」ふっ。「・・では、頼む。」

 

翌日、早朝。「・・ん。」むくっ。そのまま寝ていた状態で起きる。タイマーOFFしてたタブレットを点ける。「・・午前5時か。」

シャワーを浴び、同時に洗濯物を湯船で漬け置き洗いにしておく。学校から帰ればすすいで干せばよい。「・・ふう。」ふきふき。

バッグから着替えを出す。朝食は昨夜買っておいた惣菜パンとコーヒーボトル。食べながらタブレットでメールチェックをする。

「・・『本日1400 普天間で状況予定 実戦を観察し報告』・・デリート。」♪ピッ。「・・『Chamber Music』が朝にふさわしい。」

宮廷音楽の静かな調べをBGMにBBC英文ニュースサイトを拾い読み、関連項目知識を検索確認してから、部屋を出る。

 

沖縄・宜野湾沖。「作戦時間だ。『オルクス』一個中隊発進。同時に『サッグ』も揚陸ポッドで打ち込め。陽動の対地ミサイルを。」

ズボボボーン!「焼夷弾頭ミサイルおよび揚陸ポッド射出。」「オルクス六機出撃完了。」「よし。あとは来るのを待つだけだな。」

「大佐、ヒマつぶしに基地を破壊してはどうですか?」「移転問題を促進するわけだな・・よかろう。暖気程度なら好きにやれ。」

 

普天間基地。・・ヒュルルッ、ドカドカーン!『敵襲!』『嘉手納基地へ援軍要請を!』『敵識別急げ!』・・ゴバアアアーッ!

「これは?!・・『鉄機兵団』戦闘ロボット!」「重MAT展開!応戦だ!」「こちらオルクス中隊長、アストレア少尉だ。大佐の

お許しが出た。主目標と接敵するまで、存分に鳴らし運転しておけ。」『隊長、MATジープです。』「このオルクスの本領発揮だ。」

グッ、ヒュイイイーン!「なんだ?あの図体で高速走行だと!」「足裏に車輪が?」ヒュン。「おそい。」グワッ!ドグシャアッ!

「うむ、ターボホイールの性能は見事だ。よし、小隊単位で展開、『サッグ』揚陸ポイントを広げよ。」ヒュイイーン!ゴオオオーッ!

 

撰籐学園、授業中。「・・このように地政学というのは国家の性質を地理的条件に起因するものが大きいという理論だ。」

「概して大陸国家は共産主義、対して海洋国家は資本主義という観念でいいのですか?」「それは経済体系のみの話だ。

政治形体には海洋が立憲君主制、大陸が共和制という傾向にある。だが共和制といっても一党独裁もあるから一概には

言えないな。」「国家の形を決めるものは地理・歴史・民族性・宗教をも考慮に入れなければいけないよね。」「ノットイェット。

加うるにITテクノロジーもファクターに入りそうデス。インテリジェンスはどんなウェポンよりスピーディ。」「いい目のつけどころだ。例えば

『アラブの春』運動もSNSが発端だった。」「・・けど、その『アラブの春』は、失敗に向かいつつある・・根本に『民の質』がある。」

『ほう・・』「大衆は烏合の衆。ちょっとつつけば右へ行ったり左へ行ったり。まるで風見鶏・・私はいやというほどそんな人を見た。」

「モニカくんの意見は人間の本質をついてるな。」「けど例外もある。ごく一部の人は、いやになるほどブレないわ。」「言い換えると

ブレるほど利口じゃないってことだけどね。」「それ以前に『ブレってなに?おいしいの?』というレベルですね。」「・・単なるバカね。」

「ザッツライト!でも『ピュアなバカ』でエニシングバット?」はっ。「醜い利口になるよりも、きれいなバカで生きてやるわ。」「う・・」

「凛、それ『空手バカ一代』主題歌だよね。」「あ、バレた?」アハハハハ!「うん、あの歌もまた人の本質を表してるね。」

♪ピンポンパンポ~ン。『生徒会の皆さん、状況14。』ハッ。「先生。」「うむ、行ってきたまえ。」『礼!』ザッ。ドカドカドカッ!

 

地下ドック。ガラガラ。カンカン・・「来ましたね。」「詳しい説明は出てからどす。」「ハッチ閉鎖確認。注水。」ザザザザ!

「フルゲージ。『海鳴』改良型『海龍』、発進。」ゴゴゴゴ・・「境界層推進開始。」ヒュイイーン!「2000ノット。到着まで10分。」

「・・(すごい。海中を超高速で走れるなんて。さすが隠岐水軍のテクノロジー。)」「戦場は沖縄のようどす。」「普天間基地が

鉄機兵団の攻撃を受けました。嘉手納の援軍も電磁パルス兵器で無力化とのことです。」「要は敵をやっつけりゃいいのね。」

「そう簡単にはいかないわね。最新情報では、敵戦力は通常より格闘戦能力が向上してるようよ。」「ふむ、敵さんも少しは

賢くなったというわけか。」「これは少々手ごわいかもしれませんね。」「孫子曰く『敵を知り己を知れば百戦危うべからず。』

米軍戦闘記録からできるだけ敵情報を集めて。米軍には試験気球(グラン・デッセ)になってもらうわ。」はっ。(・・友軍を犠牲に

戦力を測るというの?)「同意だね。世界最強と称される海兵隊の実力、見せてもらいましょう。」「エネミーに一口ベット!」

「ならマリーンに一口のりますね。」「僕は敵かな。」「米軍とケンカしたことないから、ここは敵さんに一票。」「じゃあ米軍に。」

ワイワイ。(・・なんて不謹慎な。)「これで賭けは成立ね。」「おし、少し速度をゆるめて、区切りいいとこで着くようにするよ。」

 

普天間基地。ヒュイイイーン!「敵ロボット、なんてスピードなんだ!」「歩兵部隊接近!」「なにっ?!」バババッ!ギラリ。

ズバズバアアーン!『ごはぁっ!』「首が飛んだ!」ヒュッ!ザキイッ!「ぐっ!」・・ブシャアアーッ!「拳に・・刃が・・!」

「うわっ!」ドキュドキュン!ボボボッ!「あ、当たらない?」ドブオッ!「がはあっ!・・膝に・・槍が・・」メリメリ・・ズボッ!

 

リヴァイアサン。「ほほう、『サッグ』は使えるな。」「ははっ、予想以上の戦果かと。」「『オルクス』もなかなかのスピードと動きだ。」

「二脚歩行の概念をくつがえす驚異のメカニズム。もっとも、ヒントは日本のロボットアニメですが。」「なに?それは初耳だな。」

「ゴメス将軍がお好きのようで、それをヒントにした作戦もあるそうです。」「・・幼稚園バス襲撃とかなら、辞表を出してたな。」

 

海龍。「・・海兵隊全滅か。」「おかげで戦闘データが揃ったわ。」「皆さんの犠牲はムダにはしません。」「多謝。ナムナム。」

「・・(もしかしたら、わが軍は恐ろしいものを敵に回したのでは。)」「そろそろ選手交代といきましょう。」「いいよ。浮上!」

ザバアアアーッ!【少佐、所属不明の潜水艦が。】『いや、本番はこれからだ。「サッグ」に通達、第一級戦闘態勢!』

シャコッ。「揚陸艇『那須与一』発進。」ゴオオオオーッ!・・ギュララララッ!バタバタン。「敵歩兵は編成中のようですね。」

「準備ができるまで少し待ってあげましょう。」ザザザーッ・・「できた?それじゃ・・」ばっ!・・スタスタッ。「始めようか。」ポキポキ。

 

「サッグ隊、主戦力は後回し、まずは脇からつぶしていけ。」ダダダッ!「戦力は弱いとこを集中して叩く。実に利に叶った作戦です。」

「けんど、そんくらい見抜けんと思わしゃったんか?健児はん、よろしゅう。」「障壁。」すっ、ドドンッ!『ぬおっ?』パキィィーン!

「!・・エルボースパイクが砕けた?!」「無影刀。」ヒュン、ズバババッ!『ぐあっ!』「祇園祭どす。」キュバババッ!バシイイイーン!

「さあ来い!」ダダダッ!ゴオッ!ガグン!『なにっ?!』「あれは?・・水滴が攻撃を止めてる!」「龍水露楯。この水滴の中は

海底1万m相当の水圧がかってるのさ。そして!」グン!ドバアアアアーン!ズガガガーッ!「同時に超水圧の散弾となる。」

「時よ。」キィン。・・ぱっ。『ぐおっ!』ドサドサッ!「これは?・・みんな失禁だと?」「秘技・玉砕き。あー、ばっちい。」ぶんぶん。

「強い・・はっ?」ゴオッ!「・・楯。」グワアアッ!ガキガキーン!「斬。」ブオオッ!ザキザキィッ!「・・牙を剥く者には容赦しない。」

 

「くっ、サッグ全滅か。オルクス中隊、主力の三人を叩く。攻撃開始!」ヒュイイイーン!「来たきた。」「エブリバディ、ゲラアウト。

ここはリンとミーのPREYね。」「手出し無用に願います。」「いいでしょう。」「ほな見物しときますえ。」「ちょっかいは出さない、

安心しな。」「それでは賭けますか?」「僕は敵の健闘に一票かな。」「?!・・援護しないの?」「はい。なぜなら・・」くい。

「ガルガンチュア、カムヒア!」・・どしいいいーん!「ショルダーガード!」ゴッ!どかあああーん!「また出たか、見えない巨人。

ペイント弾!」ポポポン!ビチャビチャッ!「・・なっ?なんだこれは!」『な、なんというおぞましさ・・』『巨人というよりバケモノだ!』

「・・見たネ?見てしまったネ?ならば・・キル。」ゴオッ!ドグシャアアアッ!「攻撃だ、クローで攻撃しろ!」ジャキッ!ビュッ!

「布留部 由良由良止 布留部。来たれ神兵。」・・バコバコッ!ゴバアアアーッ!「なんだ?土の巨人が!」ガボガボッ!

ズズズ・・「・・クローが土に引き込まれる?!」メキメキッ、パリィィーン!「折れた?!・・すさまじい圧力!」「天誅。」グワッ!

グシャアッ!『ぐぎゃっ!』「コクピット直撃か!」「ヒミコ、ナイスカバーね!」「生身のリーダー格に攻撃を集中しろ!」ズガガガ!

「・・はっ。」ユラァ・・ボボボッ。『バカな?当たらん!』『至近弾でも消し飛ぶ大口径なのに!』「古流・鐵鉄のうち『逃水』。攻撃を

受け流すと同時に幻惑する・・】ボッ・・「消えた?いかん!」ボッ!「徹甲!」ズドォン!ボゴオッ!「120mmに耐える正面装甲を!」

「まるで紙細工のようにひしゃげただと?ありえん!」「木霊!」ドォンッ!バリィィーン!「装甲が・・弾け飛んだ?!」ドガシャアアーン!

「ヒットの寸前に・・空間が歪んだ?」「凛の攻撃は物理に加えて空間そのものをねじ曲げます。」「鉄板を曲げて折り目をつけるのと、

ほぼ同じどす。」「だから単純なパンチでも、信じられない破壊力を生み出すことができるのよ。」「・・そのような力をどこでどうやって?」

「そういえば聞いたことないな。」「聞いても答えないんじゃないかな。短い付き合いだが、よくわかる。思った以上に寡黙だってな・・」

「・・けど、普段は普通に」「表面的にはそうだが、肝心なこととなると途端に口を閉ざしてしまう。それを寡黙と言わずに何という。」

「・・(凛の過去。そこにこそ強さの秘密がある。)」チラッ。(心理誘導が効き目あったようですね。)(ますます深みに嵌りますえ。)

 

リヴァイアサン。「三番機・六番機大破。脱出装置作動。」「回収急げ。誘導装置が故障したものは艀を使え。」「四番機大破。」

「被害甚大ですな。」「その代わり貴重なデータが得られた。もっとも損得勘定からいえば大赤字だが、いずれはこれが活きるだろう。」

「敵側の観察者の情報も合わせれば、より効果的です。」「残存機、あと2機です。」「早いな。全パイロットの生還に傾注せよ。」

 

ドガアアアーン!カラカラーン。・・「残るは隊長機のみ。」「逃げ足の早いのには感心しました。脱出システムは超優秀ですね。」

「パーソネル・イズ・トレジャー。それを実践してるグッド・カンパニーデス。」「それに、あえて部下の楯になる心意気、気に入ったわ。」

『脱出カプセルの回収が済むまでは、近づけさせぬ!』「あら、すっかり立場が逆ね。・・いいわ、追い討ちは下策。だから見逃す。」

『それだけではない。俺とお前、サシで勝負だ。』ズン!「・・上等!」メキッ。ググッ・・『いくぞ!』ダッ!ヒュイイイーン!ゴオッ!

『ネット!』シュバッ!バサアッ!「網?」『電撃!』ズバババッ!「くっ!」『1万ボルト。黒焦げだ!』「・・そう?」『・・なに?』

すっ。バリバリ!『バカな・・この高電圧の中で!』「ご存じない?我が校の制服は絶縁物質製。防弾・防刃・防毒・耐熱・耐寒・

耐腐食・おまけに放射線まで遮蔽できるスグレモノです。」「加えて内張りに陰陽道の防御呪紋入りどすえ。こいで露出部の加護も

完璧どす。」「レーザーペンナイフ。」ヴン。ヒュン、ブチブチッ。「肩こりが取れたわ。」コキコキ。『な・・なんという・・ならば!』

ドン!『全力をもって倒すのみ!』「来い!」グッ。【そこまで!】はっ?ザザーッ!「え?」【兵員の救助は完了した。大尉、撤収だ。】

「けど!」【作戦目標は達成された。もうこれ以上の戦いは無意味。】「・・了解。」ヒュイイイーン!「下がる?」ザバアアーン!

『また会おう!』ゴポゴポ・・「状況終了、かな?」ぱんぱん。「そのようですね。」「退き際が潔いのは強敵の証だな・・面白え。」ニッ。

「・・(貴重な戦闘データが取れた。そういう意味では成功だけど・・)」「帰るよ。」「・・あ、はい。(・・同時にますます謎が深まった。

特に凛のルーツの探求は、真の実力を知る大きな手がかりとなる。いずれは故郷にも行かねば・・)」「・・(いい傾向ですね。)」

 

リヴァイアサン、士官室。「・・」『いるか。』はっ。シャッ。「ローズ大佐?」カツッ。「休め。・・任務、大義であった。褒めてとらす。」

「ありがとうございます。」「逡巡なく退いたは賞賛に値する。おかげで迅速に撤収できた。」「はっ。・・」「・・決着をつけ損ねたのが

口惜しいか。」「いえ、そんなことは」「その表情は正直だぞ。・・もうじき敵組織の全容が掴める。それまでの辛抱だ。」「・・ははっ。」

「おっと、話がそれたな。本題はこれだ。」ゴトン。「・・酒?」「部下に持ってってやれ。生還祝いだとな。」「しかし艦内の飲酒は・・」

「ふふっ・・忘れたか?私がすなわち軍規だ。アストレア少尉、酒保開け。」「命令に従います。失礼します!」カツッ。「よろしい。」

 

夜、モニカのアパート。カタカタ・・「・・『組織名称:撰籐学園生徒会、構成員:七名(自分除く)、構成員氏名と異能:・・』」

カタカタ・・「・・一年;生徒総長・鐵鉄凛。対巨大兵器特化の主戦力。空間衝撃拳(暫定呼称)と推定。対策:現状は無し。

ただ、その経歴に迫ることで打開策を得られると期待される』・・」ぴた。・・・・カタカタ。「・・『要望:凛の過去をさらに追及する

情報収集活動の認可を。』・・送信。」タン。ピッ。・・「・・ん?」ピクッ。「・・なんか妙な?」じーっ・・「・・気のせいか。」

 

某所・・【来たきた。暗号解読・・この内容なら検閲無しで送れるわね。ほいじゃ送信と。】♪ピッ。【ネットワーク追跡・・ほうほう、

津波ブイに偽装したアンテナ経由か。とりあえずマークね。】トン。【システム潜入・・ありゃ、地雷原。いちいち掘り出すのも面倒ね。

ま、今回はマーキングで良しとしましょ。撤収・・ログアウト・・】はっ。「ふう・・サイバーダイブはめっさ疲れるわ。」トントン。

♪ピッ。「彪馬さん、こちらラクシュ。シッポを捕まえたわ。ついでにネズミの巣もハケーン。」『上等です。引き続き監視をお願いします。

泳がせて情報を取るのが最良です。』「わかってる。いわばシッポにヒモのついたネズミ。さあ、どう道化芝居を踊ってくれますかね・・」

 

生徒会。「というわけです。」「裏書記がいたなんて聞いてないわよ。」「ゆった覚えあらへんしな~。」「ラクシュは非常勤隊員よ。

異能はサイバーダイブ。あらゆるネットワークを監視し情報を収集もしくは操作する。けど授業は在宅でやってる不登校児ね。」

「スジガネ入りのヒッキーだな。」「通信の手段も携帯改造の通信機のみ。既存のLINEやSKYPEだとザル同然のセキュだそうで。」

「驚いたことに、ラクシュの姿を見たヒト、ノーバディ。」「僕もドア越しに通信機を渡されただけです。」「つまり、誰もその姿を見た者は

いないということ?それでよく信用できるわね。」「校長先生の推薦だったので。」「正体不明の書記はともかく。・・問題はモニカね。」

「鉄機兵団のスパイということは明白です。」「手は二つ。吐かせるか、泳がせるか。」「前者は無理ね。自決の可能性が高い。

悪の組織にしては忠誠心と士気が恐ろしく高いからね。」「これまでの退き際の鮮やかさを見ても、そう思うね。」「後者にしても、

こちらの台本どおりに踊ってくれる可能性は低いわ。」「そこでオプション・3デスネ。」「七縱七禽。これがベストよ。」「三国志だね。

諸葛亮の南蛮戦略。」「面白そうどすな。」「いんじゃないの?」「それはいいですね。」「やれやれ、となるといろいろ小細工が

いりますが。」「そこも面白いのよ。まずは・・里帰りね。」『里帰り?』「凛の実家って・・どこだっけ?」「クリプトン星やないのん?」

 

ふるさとは遠くにありて思うもの

だがしかし そこは人知の及ばぬ大秘境

魑魅魍魎の跳梁跋扈する深山幽谷

なるほどこれならあの力も無理もなし

それでも迫る地底からの敵

だがここは凛の故郷 『乱暴』者の原点だ

山そのものが凛に味方する・・

 

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フェイズ06「乱暴」

 

生徒会室。「で、一年生は団体旅行に出かけました。」「ふーん。上級生もついてかなくて大丈夫か?鉄機兵団が各個撃破しそうだけど。」

「そうだけやあらへん。間者もいっしょやのになんもせんと思うほうがおかしいわ。」「その点については心配無用です。総長の実家に入れば、

この学校よりも確実に安全です。」「・・ひょっとしてイゼルローン要塞ですか?」「いえ、どっちかというとデス・スターでしょうね。」

「・・つまり攻撃兵器ってわけだ。」ぞっ・・「凛の故郷・・飛騨山脈の奥地にある名もなき隠れ里。だがしかしその実態は・・」ニッ。

 

富山県、立山黒部アルペンルートより南西へ数十km。ババババ・・『エレンもヘリ免許取ってたなんて驚いたわ。』『ソニア先輩に教わりまシタ。

スタディよりラーニングね。』『えーっと、この辺グーグルマップでは真っ白だね。』『・・グーグルアースも一面の雪景色だけど、どこに?』

『だってグーグルカーなんか来れない山奥だもの。地図に載ってない集落なんかこのへんにゴロゴロあるよ。あ、そこそこ。その峰の向こう。』

ババババ・・『・・アンビリーバボ!いきなりビレッジが!』『おお~。』『村・・じゃないね。集落か。』『・・これは?峰が天然の壁になり、

生態系が閉じている・・完全に隔絶した世界。』『数百年前に先祖が発見し、住み着いたんだ。あそこがヘリポートだよ。』『ランディング。』

ヒュンヒュンヒュン・・ザシャッ。シーン・・「・・静か。」「ちょっとした音は万年雪に吸われるから。」「なんでヘリポートが森の上に?」

「森の下はいろいろヤバいからね。」『えっ。・・?!』ズーン・・ズーン・・「・・あの足音は?」タラ・・「ああ、そろそろお昼だしね。

さ、降りるよ。」カンカン・・「・・すごい。少し降りただけでヘリが見えなくなった。」「この階段を使わないと見えないつくりになってる。」

ザァァァ・・「まるでフォレストというよりジャングルです・・」「家はこっちだよ。」サクサク・・「日美子様が同行しなくてよかった。」

「侍従長の許可が下りなかったからね。そんな僻地に行っちゃダメー!とか。」「シティしか知らないヒト、こんなスーパーローカルなトコ来たら

死んじゃいマース。」「まちがいなくカルチャーギャップで卒倒ものだね。」「?・・なぜかどこからかの視線をひしひしと感じるのはなぜ?」

 

皇居。「ぶ~。侍従長のいけず。」「内親王姫殿下、その物言いは感心しませんな。だいたい世俗の者と交わるのは・・」「あーはいはい・・ん?」

ブルルッ。「はい、日美子です。・・ラクシュ先輩?!」【やっぱり退屈してるようね。メールでリンク送っておいたから、あとでPCで楽しんで。】

「え?・・まさか?!」【衛星画像だから鮮度のほうは保証しないけど。】「ありがとうございます!さっそく!」ダッ!「あ、姫殿下!」

日美子の部屋。このほどPCが今さら入った。しかも何を間違えたかLinuxベースである。・・むしろいいOSなので結果オーライ?

ガタッ。カタカタ・・数か月前までマウスってネズミ?なレベルだったが、同級生の集中レッスンのおかげでひととおりは使えるようになった。

「リンクは・・これ。」タン。「おお、見える見える。・・うわ、雪だらけ。こんな寒いとこ行かなくて正解かもね。・・それにしても

さすが最新スパイ衛星、顔の表情まで見えるわ。」くい。「あ、モニカがこっち向いた。・・見えなくても感じるのね。さすが手ごわい・・」

 

同時刻、シャイアン山NORAD(北米防空総局)。ワイワイ!「衛星D-8がハッキングされてます!」「現在位置・カメラ角ともに不明?ジャミングか!」

「なんとか奪還しろ!」「犯人の特定は?」「ダメです、ゴーストだらけで追跡不能。」「これ?は・・ラビリンスディレクトリ?!」ドヨッ!

「『ダイダロス』か!」「難攻不落のペンタゴン軍事AIをエロ画像だらけにした伝説のスーパーハッカー!」「・・いったい何をしてるんだ?」

 

サクサク・・「あ、ここよ。私の実家。」『お~。』「茅葺きの合掌造りだね。」「ん?何かいますデス。」むくむくっ。くるっ。『ヒグマ?!』

「ポン太、ひさしぶり!」オウオウ!がばっ!「あはははっ、くすぐったい!」「ヒグマにペロペロされてるよ。」「・・もしかして、ペット?」

「十のとき、この辺を荒らしてたのをやっつけて降参させたんだ。」「・・十歳でクマ退治?」「このあたりじゃ珍しくないけど。」

『おお、凛か!』はっ。「屋根の上に人が?」『むん。』ゴオッ!・・ドザシャアッ!「10mを飛び降りたよ。」「ま、これは珍しくもないデスネ。」

「お父さんです。」「私が凛の父、鐵鉄十蔵でござる。」『よろしく~。』『あら、団体さまのお越しとは珍しいわね。』ズシンズシン!

『なっ!』「き・・巨鳥?!」「いいえ、モア鳥の帰化種ですよ。」「ピー子、ひさしぶり!」ピキィッ!「母の鐵鉄舞です、よろしくね。」

「みんな、ただいま!」アオオオ~ッ!「な、なに?」「合図ですよ。」・・ザワザワザワ!ズシンズシン!『なななっ?!』「き・・恐竜?!」

「丹波竜、茂師竜、日本竜の子孫たち。竜伝説のモデルだよ。」「草食種ばかりだから安心でござる。」「ま、でっかい家畜ってところね。」

「肉食はいないの?」「いるけど、ほとんど狩り目的かな。」「ハンティング?・・っ?!」ズシンズシン。「またあの足音・・草食獣とは違う。」

「ちょうどよい。凛、夕食の調達に行け。」「聞いた話では狩りの力はあるそうですから、皆さん楽しんでね。」「うん。行ってきます。」

「・・(目標座標確定。発信開始。)」♪ピッ。(衛星経由でメエルストロムに・・状況開始までおよそ半日。)ぴく。(・・始まりましたね。)フッ。

 

太平洋沖、海中要塞メエルストロム。『諜報員から座標が送信されました。』「でかした。・・飛騨の山奥?」「実景照合。・・一面雪だらけか。」

「これでは識別のしようがないな。」「・・しばし待て。最新衛星画像を。」ぱっ。「・・なにこれ?いきなり広大な森林が!」「やはり、な。」

「どういうことだ?」「機密画像。日本のみならず他国にも差はあれ映して都合の悪い場所は欺瞞画像を流すことがある。モザイクはまだ可愛いほうで

ひどいときはブランク画像をよこすときも。」「ふむ。・・そこまでして隠す必要のあるものがここにある、と。面白い。ゴメス将軍。」

「ゲリラ仕様『イェニチェリ=ウッズマン』がよろしいかと。」ぱっ。「光学迷彩で視認率を低下。主兵装はサプレッサー付きサブマシンガン、

近接用にグルカナイフを装備。」「コマンドナイフではないのか?」「あんなものでかいばかりで役に立ちません。歴史的に実績のあるこちらを

採用しました。ちなみに銃種はUZI PROです。」「ほほう、マイクロUZI改良型か。取り回しと静粛性は文句なし。面白い、それでいこう。」

「ローズ大佐、『リヴァイアサン』搭載の降下艇でエアボーン作戦を始めよ。」「ははっ。」「アストレア少尉は待機。後詰めとして

試作型機装鎧『ガイスト』を装着してもらう。」ぱっ。「これは等身大ですね、プロフェッサー。」「交戦記録を基に、最適なデザインと

性能を追求した結果です。この骨格フレームがパワーアシスト機構を構成し、基礎運動能力は十数倍になります。これで主戦力の格闘娘と対等に

渡り合えるかと。」「試してみましょう。」「ただいま開発中の新戦力もあるのでお楽しみに。」ニッ。「?・・では出撃します。」

 

皇居。「うわ~、まるでジュラシックワールド。日本にまだこんな秘境があるなんて。行かなくて正解かな。」「姫殿下様、お茶でございます。」

コトン。「ほほう、これは『帰らずの里』ですな。」「侍従長、ご存知?」「いささか民俗学には広いので。日本有数の大秘境。聞いた話では

踏み入った者はだれ一人戻ってこなかったとか。」「へえ・・けど何事にも例外はあるようですね。」「ひょっとして鐵鉄一族ですかな。」

「え?総長まで知ってるの?」「日本唯一の狩猟民族にして戦闘種族。平家の落武者を始祖にし、過酷な環境に順応し、遺伝的に強大な戦闘能力を

身につけた種族です。その技術を部分的に伝えたのが忍術の基礎となっているとか。」「ニンジャの・・始祖。」「その狩りに出かけるようですな。」

 

裏の森、もといジャングル。ギャアギャア・・「リン、ハンティングするのにガンも持たないんデスカ?」「うん、誤射すると危ないからね。

この腕一本でじゅうぶん。」「まあ、そうだろうね。」「・・静かに。」はっ。・・ズーン・・ズーン・・(近いね・・)メキメキッ、ドドーン!

ぬうっ。『!・・スピノサウルス!』「神流町で発掘された実例はあるが、よもや生息していたとは・・」・・グオオオーッ!ズシンズシン!

「凛、まかせた。」スッ。「おっけい、まかされた。」ザッ。「・・一人で立ち向かう?ムチャな!」「まあ数秒後にその理由がわかるネ。」

ズシンズシン!「はぁぁぁ・・はあっ!」ドン!「張り手?」ズドオオオーン!グギャアアアーッ!ズガガガーッ!ゴォォォ・・「す・・すごい!

十数mも張り飛ばした!」「これぞ『参の拳』。敵の勢いをせき止め、同時に同等の力で反撥する攻防一体の拳。」「・・骨法まで会得してたとは。」

「骨法の起源かな。日美子さんの話では日本最古の拳法とか。」「?・・格闘技の起源は角力(すまい)では?」「よく知ってマスね。『古事記』に

記述してあるのが表向きのファクト。バット、偽伝とされてる『竹内文書』によれば、スサノヲを始祖とし、中大兄皇子・中臣鎌足・聖徳太子が

マスターだったとか。」「一説には仏陀を始祖とし、仏教伝来と共に伝えられたそうです。」「・・とことん嘘くさい気がするけど。」

グオオオ・・「まだやる?」・・グワッ!ズシンズシン!「モニカ、たっち。」ペン。「えっ?・・了解。」キリッ。・・ズズズズ。「影よ。」

シュン!・・ズルッ。「上顎が?」ヒュヒュン。「・・おしまい。」くるっ。・・ズルズルッ、ドシャアッ!「一瞬でコマギレに・・やるね。」

「エレン、ガルガンチュアで肉を運んで。」「オッケー。」「大漁だけど、食べきれるかな?」「余ったぶんは燻製肉にして保存食にするから。」

 

「ほほう、やりますなあの英国人。」「ええ・・やりすぎるくらいにね。」「・・姫殿下、状況が変わりました。行ってもよろしいです。」「なぜ?」

「あの英国少女、油断ならぬ存在です。」「それは全面的に賛成ね。でも・・」「でも?」「・・私には、迷ってるように見える。」「なるほど。」

「いずれにせよ、行きたくてもアシが無いわ。」【それならなんとかなるかもよ。】「ラクシュ先輩?」♪ピピピッ。「え?・・はい、日美子です。」

『鉄機兵団が動きました。総員出動指令です。』「はい、ただちに。」【でしょ。】「すぐにお車の準備を。」「いえ、『道祖神』を使います。」

タタッ。玄関先にある地蔵に近づく。「神威如嶽、神恩如海・・古より道を守りし道祖神、我に道を示したまえ。」キィィ・・「開道。」シュバッ!

生徒会室。片隅に同じ地蔵がある。・・ヒュン。「お待たせいたしました。」「やはりルーラで来ましたね。」「他にはどこにありますのん?」

「世界主要国の首都の墓地に、目立たないように置いてます。おかげで海外旅行がラクチンです。」「今度あたしも使わせろ。」「いいですけど

慣れないとどこに飛ばされるのかわかりませんよ。防犯に変な場所にも置いてますし。」「変な場所って?」「霊スポットとか黄泉之國とか。」

 

 

飛騨山脈上空、降下艇「ブランデンブルグ」。ゴォォ・・「ヘリやオスプレイでなく、飛行船とは驚きですね。」「キャビン以外はコンパクトに

畳めて収納できるし、ある意味ステルス機だ。さすがゴメス将軍、着眼点がいい。」「動力はターボプロップで速度は旅客機なみ。しかも

エンジンを切っても浮遊は可能。しかも輸送機として十分なペイロードもある。」「個室キャビンもあって、快適性はこのうえなしだな。」

『まもなく作戦ポイント。』「よし、『ウッズマン』第一陣降下開始。」ザザッ。♪ビーッ!バババッ!ゴォォ・・バササッ。『降下完了。』

「回収ポインにて待機。前線指揮所として機能する。少尉は後衛として待機・準備せよ。」「了解。機装鎧、装着開始します。」タッ。

『ウッズマン第二陣降下完了。集落に向かいます。光学迷彩稼動中。エンカウントまで約10分。』「敵は鋭い。あくまで慎重に。」

 

集落。ワイワイ。ジュージュー!「じょーずに焼けマシタ!」『お~!』「まずは捕獲者の凛からだ。」「いっただきまーす!」バリッ!ガブガブ!

「・・自分はさすがにナイフで。」ブツッ。モグモグ・・「・・うまい。」「ささ、みんな切り取って食べましょう。」ガシガシ、ムシャムシャ。

「うむ、やはり肉食はうまいな。」「青臭さの処理が面倒な草食よりもいいですね。」「ポン太もピー子も生肉の塊をもらってよかったね。」

ガツガツ。オウオウ。クワックワッ。「・・む?」ぴく。「なに?・・っ?!」くい。「・・エアボーン。黒いパラシュート・・二手か。」

「鉄機兵団!」ザッ。「待たれよ。ここは我らに任されよ。」「ええ、娘の敵ならわが一族にとっても同じことよ。んじゃ、狩りますか。」

ポキポキ。「うむ。もう一方はよろしく頼む。」ボボッ・・「消えた・・」「凛、ホントにご両親はダイジョブ?」「二人とも私より強いもの。」

『お、おお。』「さて、ぼくらはぼくらで忙しくなるぞ。」「ちょうどいいから、みんなで楽しもうよ。」♪アアアア~ッ!・・ザワザワ!

「ワッザ?!」「ジャングルが・・揺れている。」「この緑の海はみんなのもの。領海侵犯は全力で迎撃しなくちゃね。」ズズズズ・・

 

ジャングル。(・・前進。)サササ・・(待て。・・誰か近づいてくる。)(伏せろ。)スゥ・・ザッザッ。「ふん、光学迷彩か。」「私たちには

まったく無意味だけどね。」すっ、ピカッ!『うをっ、まぶしっ!』「閃光弾。ノクトビジョンを使ってるならしばらく見えないはずよ。」

「それに影が見える。一度見切ればそれでじゅうぶん。」シュン。・・ザッ。『・・なっ?!』ピタッ。『う・・動かぬ?』「秘孔を突いた。」

「1時間は指すら動かないわ。その間に・・」♪ピロロロ。・・ザワザワザワ。『?!・・虫!』「群妖蟲。さあ、お食べなさい。」ザワザワ!

 

もう一方。ウギャアアーッ!・・『な、なんだあの悲鳴は・・』『第一班が戦闘状態に入った、が・・』『誰か来る。伏せろ。』スゥ・・・

スタスタ・・(射撃用意・・撃て。)チキチキッ。チュンチュン!「そこですか。凛、いたよ。」♪アアアア~ッ!・・ズシンズシン!『なに?!』

ゴオオオオーッ!「熊だ!」ブン!ボキュボキュッ!『数人の首が!』クワアアアーッ!『化け鳥!』ゴッ!バガアアアーン!『どわあっ!』

ズシンズシン!『き、恐竜!』ドドドド!ブシャブシャァッ!『おぶっ!』「敵さんは大混乱デース。」「いまのうちに殲滅するよ!」ダッ!

 

降下艇。『ブッシュマン全生命反応途絶。』「全滅・・いったい何が?」『アストレア、「ガイスト」、出る。』「待て!敵戦力に異変がある。

それが判明するまでは」『ならばこそ行くのです。打てば響かないかと。』「・・それも一理ある。よかろう、行ってこい。」『感謝します。』

ガコン、『機装鎧「ガイスト」、発進。』シュゴォォーッ!『おお・・なじむ、実になじむぞ!これならあの連中にも!』ゴォォォ・・

 

集落「パーティーは終わった。」「意外とあっさり片付いたわ。」「ご苦労様でした。・・ん?」・・ゴオオオオーッ!ザシャアッ!「なに?!」

「あれは・・パワードスーツ!」ゴォォ・・『いざ、勝負。』「その声は・・アストレアさん。」『これでサイズ的ハンデは無くなった。』

「でもダメージは直接通ります。」『敗北して生かされるよりはマシだ。』「では・・みんなは手を出さないで。」ザッ。『うむ。』

『いくぞ!』ドン!ゴオオオオーッ!ドガアアアーン!「くうっ!」バキバキバキイッ!『オオッ!』「木3本をぶち抜く衝撃とは!」

シュゥゥゥ・・「ふう・・いいパンチだね。」『・・あれを耐えるとは。』「今度はこっちの番。・・!」ヒュッ。『消え・・?!』

バゴオオーン!『ぬおおおおーっ!』ズガガガーッ!「・・200mも地面をえぐって!」「ジーザス!」バヂバヂ!【衝撃緩衝機構損傷。

あと1tで無効化】「じゅうぶんだ。次で決着をつける!」ゴオオオオーッ!ガシッ!「なっ?」『ウェポンクラスター展開!』バシャッ!

「胸部に火器群が!」「零距離発射する気だ!」『勝った!』「まだだ!」グン!ガシッ、『なにっ?』「うりゃあああーっ!」ドン!

『なあにいいいーっ!』「巴投げデース!」キュドドドッ!バコバコバコッ!「一斉射が逸れた!」『・・機動バーニア!』バシュバシュッ!

ザザーッ!・・『あのような手があったとは!・・ぬっ?』ゴォォ・・「あれは?・・海龍。」『援軍か・・これまでだな。』「よかった。

これ以上は死闘になります。」『では、また。』シュゴオオオーッ!・・「ええ、また。・・生きて戦い続けましょう。」ゴォォォ・・

 

「ただいま戻りました。」「うむ、大儀であった。撤収のタイミングも文句なし。」「自ら退いたのははじめてです。」「一応聞こう。なぜだ?」

「・・おかしな話ですが、戦ってるうちになぜか楽しくなりました。」「ほう?」「同時に、決着することが・・惜しくなりました。」ふっ。

ゴトン。「とっておきのダーク・ラムだ。」「ほう、『バカルディ』ですか。」コポコポ。「彼女を肴に飲もうじゃないか。」「喜んで。」

 

ふたたび集落。ワイワイ。「うん!おいしいお肉ですね。もう一本。」『うわー・・』「これで10kgデース。」「みこちん底なしだから。」

「出る幕あらへんでしたけど、こないな野趣あふれる料理は初めてどす。」もぐもぐ。「これはこれで来た甲斐があったというものですね。」

「みやげに冷凍マグロをいっぱい持ってきたよ!」ドサッ。『おおーっ!』「魚なんて十数年ぶりね!」「さっそく冷蔵倉庫に納めよう。」

「・・(食事がこんなに楽しいものなんて。)」じーっ・・(よしよし、徐々に効いてきたようですね。)(あせらず、ゆっくりどすえ・・)

 

海龍。「今夜はキャビンで寝ましょう。」「・・あれ、リンは?」「ジャングルに入ってったよ。なんでも愛用の木の寝床があるそうで。」

「・・ここは盆地で気温の変動が少ないとはいっても、雪がまだ残ってるのに?」「熊といっしょに寝てたりして。」『・・・ありうる。』

 

ジャングル。ピィピィピィ・・凛は樹の洞で寝ている。「ん~・・ポン太、あったかい・・」クルルル・・秘境の夜は更けていく・・

 

同時刻、某所・・『米軍の最先端戦術研究所のサーバがハック。抽出した情報は・・?!』【生体兵器とそれに伴う心理操作について】

『・・あまりの非人道的ゆえに削除された記録。まだ消し忘れが残ってたのね・・まさか鉄機兵団は?関連技術を検索・・光学兵器!』

【光学兵器とサイバネティクスの展望について】『・・戦術を変えてきた。小回りのきかない巨人兵から機動性のある生体兵器に。】

 

 

投入される新たな敵 心を持たない人間兵器

その凶猛たる閃光が校舎を襲う

だが現場との乖離が反発を呼ぶ

兵は力と信ずる者 兵は心と信ずる者

力無き心は無力 心無き力は暴力

ならばこちらもそれを上回る暴力を

「眼過の敵」はしめやかに殲滅せよ!

 

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