「♪ルンルン。明日はバレンタインデ~♪」グツグツ・・「命、なに作ってんだ?」「なにって手作りチョコ。明日の
バレンタインデーにみんなに配る義理チョコと、凱への本命チョコよ。」「チョコか・・まあ溶かして固めるだけだし、
これならいくら命でも・・」「ちょっと味見してくれる?」「いいぜ。」ぱくっ。・・どかーん!「・・もうちょっと
改良が必要ね。・・よし、このジギタリスを混ぜてと。」グツグツ・・ぶくぶく。(凱が泡吹いてる音)
ベルサイユ宮殿地下、第13部隊秘密基地。「え~と、あーしてこーして・・よしできた!」「あら、いい香り・・
リオン、厨房でなにしてんの?」「ほら明日バレンタインだろ?手作りチョコを作ってたんだ。」「へぇ~。あなた
そういや料理はうまかったのよね。」「一時期こってたこともあったからね。あたしの隠れた才能ってやつね。」
「自分で言うもんじゃないわよ。」「ちょうど明日は「曼荼羅」へ出張だしね~。いいタイミング!」「チョコ渡す相手
なんていたかしら?」「護ちゃんでしょ、それに戒道くん!」「ああ・・納得。(^^;;」「あ、あと刹羅さんにも
送らなくっちゃ♪」「刹羅って・・第四部隊長の刹羅さま?」ギラッ!「ちょっと、なにその「さま」ってのは?・・
まさかお蝶。」「え?そのあの・・(真っ赤)」「・・年考えなさいよ。」ぶちっ!「年の話はするなあああ~っ!」
どたばたどたばた!・・でも、お蝶ってホントはいくつなんだ?(^^;;
ネオGシティー商店街。ガヤガヤ・・「ヲイル、あれはなんですか?女性がいっぱいお菓子屋さんの店頭に群がって
ますけど。」「ああ、明日はバレンタインデーですから。」「バレ・・なんですか?」「年中行事みたいなものです。
明日だけは女性から意中の男性にチョコを贈っていいというイベントです。まあ意中でなくても、知り合いとかに
義理チョコって安めのチョコを贈る社交辞令的な面もありますけど。」「へぇ~・・ちょっと見てっていい?」「はい。」
ガヤガヤ・・「いろんなチョコがあるのね~。」「けっこう盛況なイベントとは聞いてましたが・・」ばたばたばた!
「な、なんかみなさん殺気だってるよーな・・(^^;;」「まあ意中の人をゲットできるチャンスでもありますから。」
「・・さっき義理チョコという概念もありましたね。」「ええ・・ンドゥーネ様。」キラッ・・『これください!』
チェコ、プラハ。「・・・・」ぴく。「どうしましたの隊長?」「・・・・」「ほえ?明日「曼荼羅」で血の雨がふる?」
「おっ!これは緊急出動10-4 10-10かぁ?流血ざたならあたしの出番!どんな奴でも虚無の刃でぶった斬るまで!」
ふるふる。「・・・・」「なんですってええ~っ!第一部隊に任せる?こんなおいしい仕事をみすみす」キラッ。
「う"っ!・・(隊長のその目、すっごく怖いんですけど・・)わかりましたよ~。(TT)」「リナさんはあいかわらず
修羅場好きですわね。」「最近バイオネットもすっかりおとなしくてヒマなんで、腐ってるだけでしょ。」「うるへー!」
「・・」すっ。「隊長?」「・・・・」「え?・・やっぱり心配だから合同作戦?!おっしゃあっ!」『了解!』
ギアナ高地、第一部隊秘密基地。「ていっ!」「どりゃあっ!」ババババッ!バシィィーン!・・スタッ。『はっ!』
「いまのはいいカンジよ、葵。」「いえ、隊長に比べればまだまだです。」「ご謙遜ね。そこが葵らしいんだけど。」
「綾香お嬢さま、芹香お嬢さまよりお電話でございます。」シュタッ。「ありがとセバスチャン。もしもーし。」
『・・・・』「え?・・わかった。じゃ、あっちで。」♪ピッ。「「烈風の葵」、「鋼鉄のセバスチャン」、出動よ。」
「はい!」「承知。して、いずこへ?」「宇宙都市要塞「曼荼羅」。なんでも明日、面白いことが起きるそうよ。」
「面白いことですか?」「とにかく行ってみましょう。」「万能リムジン「エクストリーム」、発進準備いたします。」
記録外ミッション45「聖バレンタインデーの惨劇」(36話あたり)
さて当日、カモメ第一小学校。校内は修羅場となっていた(笑)。『かいどーくん!』「・・ん?」ドドドドドッ!
「チョ、チョコ受け取ってください!」「あたしのも!」わいわいきゃーきゃー!「うわっは~、戒道は人気だな~。」
「上級生にも戒道くん狙いのヒト、いっぱいいるからね。」「戒道はまあわかるが、なんで護にはこないんだ?」
「そりゃ天海くんは売約済だもの。」『えっ?』「ね、初野さん?」「そ、そんな~・・」ぽっ。「ボクにもこないよ~。」
「アンタは当たり前でしょ!」「俺はそーゆーの縁ないから、どうでもいいけどな。」「あ、忘れてた~。」がさがさ。
「はい牛山くん、数納くん。」『おおっ!』「あら、あたしも用意してたんだ。ほれ。」『おおおっ!』「うれしいぜ!」
「持つべきものは友達だね~。(;;)」「あれ?ウッシーのだけ大きいね?」「レイコのか?」「だ、だってさ、
ウッシーって体大きいから、50円のチョコじゃ・・(真っ赤)」「・・ありがとよ、レイコ。」「素直じゃないんだから。」
「え~と・・」ドドドド!『かいど~く~ん!』「おおっと!・・な、何なのこの騒ぎは。」「・・ごめん、ちょっと。」
グッ。「・・え?」「すみれ、あっちへ行こう。」ツカツカ・・「・・なによあの子?!」「ムカつく~!」「ああ・・
やめといたほうがいいよ、御堂音さんに難癖つけるのは。」「なんで?」「ほら、6年のサユリがやっぱりシメて
やろうとしたのよ。でも・・」「・・あれ以来、学校来てないね。」「聞いた話じゃ、部屋から出ようとしないって。」
「あのタカビーがねえ・・」「御堂音さんって、なんか底知れないとこあるよね。」「普段は目立たないけどね。」
「うちのクラスでも、つきあってるのは天海くんやウッシーくんたちのグループだけだよ。」「ねえねえレイコ。」
「なに?」「御堂音さんて、どういう子?」「そうね~・・見た目はおとなしそうだけど、つきあってみるとこれが
けっこーしたたかでしぶといわよ、あの子は。」『・・う~む。』「現実主義者のレイコにそこまで言わせるか・・」
屋上。「やれやれ・・ここならいいだろう。」「・・毎年こうですか?」「まあ母さんと分けて食べてるけどね。」
「優しいんですね。」「でもね・・やっぱり本命からもらいたいな。」「え・・(真っ赤)」・・すっ。「・・ありがとう。」
「・・ぎ、義理ちょこです。」「義理でも嬉しいよ・・でもそれにしては大きい箱だね。」「・・過剰包装ですから。」
マンモスオーダールーム。「みなさ~ん!今日はバレンタインデーなので、特製チョコ風味オイルカクテルですぅ!」
『おおっ!』「さすがマルチィ、気がきくな~。」「でもさ、あたしらでチョコ味ってわかるのか?」「ソルさん、
それは心配ないですぅ。ものは試し、はいどうぞ。」ごっとん。「んじゃ、お毒味。」チュ~。「・・んまぁぁーいっ!」
「どうですか?味覚を生む物として短期崩壊性アイソトープを入れてありますぅ。このベータ線で超AIが刺激され、
チョコ味を感じるように調整してますぅ。」「マルチィ、あんた天才!世界一のオイルバーテンダーだよ!」
「ほう・・これがチョコ味というものですか。」「味覚というものはこういう感覚なのですね~。」「他にもバニラ味や
ストロベリー味、はたまたフレンチ・中華・イタリアンと、現在開発中ですぅ。私の味覚機構のデータを元に、
研究してるんですぅ。」『ほおお~。』「まさに料理の鉄人ですね。」「まあホントに「鉄人」だけどね・・(^^;;」
メインオーダールーム。「エブリバディ、ギリチョコをドゾ!」『おお~!』「お中元みたいなものだが、やはり貰うと
嬉しいものだな。」「ハーシーズのジャイアントチョコとは、さすがメリケンだぜ。」「火麻くんは義理しかもらえない
だろうがな。」「ふっふっふ・・甘いぜ幸ちゃん!これを見よ!」ババーン!『おおっ!』「そ、その包装の大きさは!」
「オー!本命チョコデース!」「いったいどなたが?」「ふふふ・・ヒミツだぜ。」「ホウメイさんですね。」ポリポリ。
「だあああーっ!猿頭寺!なんでわかんだ!」「カンタンな推理です。女性隊員で参謀と親しい方はひとりだけ。」
「ぐぐぐ・・ん?」どっちゃり。「猿頭寺!なんだそのチョコの数は!」「ああ・・毎年のことです。」ポリポリ。
「諜報部の女性隊員からのものですね。」「なるほど・・ウッシーも整備部かかえてっから、いっぱいもらえんのか?」
「いえ、整備部はけっこうカップル多いですから。」「ひときわ大きいのは智子くんだな。」「幸ちゃんは桜からだろ?」
「まあな・・あとは娘たちからかな。ときに火麻くんは参謀部をかかえてるのにもらえないのか?」「・・ああっ!
言われてみれば!」「やっぱ日ごろの行いデース。」『わははははは!』「へん!」シャッ。「おはようございまーす!」
「命くん、おはよう。凱は?」「ちょっと体調くずしたようなので、今日は有休を。はい申請書。」「受領しよう・・ん?」
がさっ。「命くん・・それは?」「え?・・ああ、手作りチョコです。」『ぎくっ!』「義理ですが、はいどうぞ。」
『・・(-_-;;(こないだのゾンダー料理の悪夢がよぎっている)』「ちぃーす。」シャッ。「あら、リオンおばさま。」
ドオンッ!ボゴオオーン『うわっ!』「な・ん・て・いったのかな命くぅん?」ちゃきっ。「な、何かの幻聴ですよ~。」
「今日は何かね?」「ちょっと諜報部捜査課と連絡会議。ESトレインの時間が少しあるから、遊びに来たよん♪」
「だからといってその化け物銃ぶっぱなすんじゃねえ!」「あ~あ、床に大穴できちゃったよ・・修理タイヘンだ。」
「オー!ベリベリパワフルなガンね!ミーにも貸してくだサーイ!」「反動で腕ちぎれてもいいんならどうぞ。」
「それが「キングギドラ」ですか~。」「名は体を表すというが・・いったい誰が付けた名前なんだ?」「あたしよ。
ところで護ちゃんと戒道くんは今日は来てないの?」「学校が終わる時間だからそろそろ顔見せると思うけど・・」
「戒道くんならJカイザーに行ったほうが早いぞ。」「んじゃちょっと待ってみようかね・・ん?」ぱっ。「これなに?」
「あ、私のチョコ。」「命のか~。ひょっとして手作り?」「そう。ピーナッツ、アーモンド、マカダミアナッツの
三種類セットよ。」「こってるね。どれ」ぽい。『ああっ!』もぐもぐ・・「だ・・だいじょうぶかね?」「なにが?
けっこーいい味だけど。」・・ズズズズズ。『・・なんだ?』「・・あれ?なんか身体が熱く・・ウオオオオーッ!」
メキメキメキッ!『り、リオンが!』「変身?!」「サイボーグ部分まで生機融合してる?!」「まさか、ゾンダー!」
「素粒子ZO発生してまセーン!」「それじゃ・・これは?!」グオオオオーッ!♪キィィィーン!『うわああっ!』
「な、なんだこの声は!」「・・超音波ヴォイス?!」はっ!「思いだしました!これは・・サイコヴォイス!」
「猿頭寺、なんだそりゃ!」「以前にリオンはこの型態をとったことがあります!コード名『βMax-Nebra』!」
「なんかVTRの名前みたいデース。」♪キィィ~ン!ボコボコボコッ!「さっき開けた穴が拡大?」バサアッ!
ヒュッ!「いかん!穴からセントラルシャフトに!」「真下にはマンモスオーダールームがあります!」
「機動部隊に連絡!すぐにとんでもないのが降りていくと!」「りょ、了解!」「全管区に非常事態警報!」
マンモスオーダールーム。♪ビーッ!『緊急事態!セントラルシャフトを』ズズーン!『おわっ!』ズズズズ・・
ゴオオオオーッ!「な・・なんだこりゃ?!」「データ照合します・・判明!これはリオンのβMax型態です!」
『リオンだって?!』バサアッ!「これはいけません!外へ出ようとしています!」「こんなのシティに出したら
大騒ぎよ!」『機動部隊に指令!βMaxを制圧せよ!ただし殺さないように!』「難しいこと言ってくれるぜ!」
「とにかく捕獲しましょう。諜報部のみなさん!」「承知です。キャッチャーネット放出!」シュバッ!バサッ!
「意外と簡単でしたね。」「さて、スタンスティックでと・・ん?」ムシャムシャ。「・・アーモンドの匂い?」
メリメリメリッ!「な、なんなの?!」「形態変化だと!」ググググ・・バリィィーン!「ネットが破られました!」
ウオオオオーッ!「データ照合。陸戦型『Fortessimo』、格闘戦形態です!」「シルヴィー、やるぞ!」「おっしゃ!」
『どすこーい!』ガシッ!ウオオオオーッ!ブン!『どわあああーっ!』ドドーン!「う・・うそ!5m程度なのに」
「20mある俺さまたちを投げ飛ばすだと?!」「わたくしが抑えます!ケイオスマント!」シュバババッ!「縛!」
ビシィッ!「これで動けません。」・・ウオオオーッ!ギュン、ドスッ!「角でマントを?・・なにっ!」パラパラ・・
「ケイオスマントが・・崩壊した!」「そ、そんなことが・・」ハッ!「まさか?!・・区域指令中枢MMを!」
「どーゆーこと?」「解説します。ケイオスマントはマイクロマシンの集合体です。それらが連係して一糸乱れず
動けるのは、マントの各区域にある指令専用マイクロマシンが担当区域を統括しているからです。もしそれが破壊
されたら、その区域はカルマン管制を失い、個々のマシンに分裂してしまいます。でも普通は数百万の一個の
それを選択破壊することなど不可能です。」「いえ、それが出来るのが『Fortessimo』のサイコ・グローリィです。
バニシング・ポイントを見極め、精確に破壊する・・恐るべき能力です。」「包帯なら破局点はありません。マイティ・
バンテージ!」シュバババッ!ビシィッ!「これでどうですか?」ムシャムシャ・・「・・マカダミアの香り?」
メキメキ・・「また変形だよ!」「どんな形態になっても伸縮性包帯は切れません。」ビリビリビリッ!「きゃっ!」
「切れただと?」「あ・・あれは!」キィィーッ!「高速戦形態『Aqura』?!これはいけません!」ゴオオッ!
『ああっ!』「こちらマンモスオーダールーム!ターゲットそちらへ行きます!すぐに避難してください!」
「なにっ?!」・・ゴゴゴゴ。「総員メインオーダールーム退去!」『わわわっ!』ドカドカッ!・・ボコオオーン!
『うわっ!』ヒュゥゥ・・「管制コンソールが~!(TT)」「ワターシのエロゲー入れてたパソコンが~!(TT)」
「これはいかん!βMaxが市街地へ!」「機動部隊!すぐに上がって追いかけろ!」『了解!』「あ~あ・・こりゃ
メインオーダールーム、直るまでしばらくかかりますね。」「神種より厄介だぜ!」メキメキ・・グシャッ!
宇宙開発公団ビル・ターミナルエリア。無料でインターネットが使えるサービス端末である。御堂音かすみは最近
ここを愛用している。「え~と、国連秘密部隊第四小隊の住所はと・・」カタカタカタ・・パッ。「ビンゴ。これで
宅急便が送れるわ。」・・ぽっ。「ああ・・刹羅さま。もう一度お会いしたいわ・・」以前に情報将ヲイルはある仕事で
刹羅と出会い、一目ぼれしていたのである(これについては別エピソードで)。・・ゴゴゴゴ。「・・なにこの震動?」
ドカアアアーン!「きゃあっ!」「あぶない!」ガシッ!シャッ!キィィィーッ!「あ・・あれは何なの?!」
「いけないな・・こんなところで変貌したとは。」「・・刹羅さま?!」「え?・・どっかでお会いしましたっけ?」
「え、ええ・・(ヲイルだったので気づかれていない)」「大丈夫ですか?それでは僕は」「あいたたた!・・足が。」
「え?・・いけないな、骨は折れてないようだけどアザになってる。」「・・痛くて歩けない。(とっさに作った)」
「捻挫ですね。医務室まで連れていってあげます。よいしょ。」ひょい。(おんぶ)「・・すみません。(ぽっ。)」
♪ウウウウ~ッ!「警報?!」「あ、あれなに?!」キィィーッ!「ゾンダリアンロボ?・・にしては小さいね。」
ゴオオ・・「こっちに来るぅぅぅ~っ!」『うわっ!』ゴオオーッ!・・『・・ふぇぇぇ~。』「あれは・・?」
(ヲイル、聞こえますか?)(はい、ンドゥーネ様。)(あんなゾンダリアンがいましたか?)(いえ、私も初めてです。
どうやらゾンダリアンではないようですが・・)(我らの手のものではない?・・まさかバイオネットとやらの
モンスター?)(それが一番可能性が高いようです・・いかがします?)(・・しばらく様子を見てみましょう。)
ホテル「スペースG」、ロイヤルスウィート。「姉さんの予言、当たったわね。」「・・」こく。「でもリオンさんは
偶発を除けばあの形態には恣意的にはなれなかったはずですが。」「そのはずよね~。どうしちゃったんだろ?」
「しかもあれは自分の意志で形態を環境に応じて変化させております。明らかに今までの状態とは異なります。」
「ほええ~っ、すごいすごい!」「これはぜひ記録しませんと。」ジ~。キラッ。「あら?」「なに、知世?」「手に何か
持ってますわ。」「えっ?ちょっと再生してみて。」「はい隊長。」ジ~・・「・・ストップ!」ピタッ。「これか・・」
「ブレててよくわかんないじゃないの。」「知世ちゃん、画像処理できる?」「カンタンですわ。」ピピピッ。「おっ、
よくわかる。」「あれはどうやらチョコレートのようですな。」「チョコレート?」「ん~と、見たところ三種類あるね。」
「なんでチョコなんか後生大事に・・まさか?」「・・・・」「なるほど・・変身の触媒か。」「ではあれを奪えば、
形態変化で逃げることができなくなるわけですね。」「そう。姉さん、作戦よろしく。」こく。「・・・・」
キィィィーン!「なんてスピードなのですか!」「オイラたちが追いつけねえなんて!機動性もケタちがいだぜ!」
「こっちへ来るぞ!」「全員で止めるのです!」『おおっ!』ザザッ!ヒュン!・・ドオオオーン!『うわあああーっ!』
「なんてソニック・ブームなの!」「これじゃ止められねえ!」「たく、GGGも勝手の違う相手には戸惑うってか?」
『なにっ?』「出番だよ、「烈風の葵」!」「はい!」スタッ。「公団ビルの上に・・人?」「芹香さま、お願いします!」
こく。『ry-bn。』キン!「はあっ!」ダン!ゴオオオーッ!「な、なにあれ?!」「人間が飛んでるだと!」「まさか
あれがスーOーマンとかゆーやつ?」「それをいうならスーOーガールだろ。」「あれはスカイたちよりも速いです!」
キィィィーン!「追いつきました!はあああーっ!獅王落鴉拳!」カッ!バゴオオオオーン!『やった!』
ヒュルルル・・ドドオオオーン!・・「さくらちゃん、いま!」「はい!九郎判官義経公がゆかりの「九郎霊符」!」
ピッ。「清明の杖よ、白き飛翔の翼を!霊符「白鳥」!」パシィィーン!バサアッ!「それっ!」ヒュゥゥ・・
「チョコもーらい!」パパッ!グオオオーッ!「セバスチャン、押さえて!」「失礼いたします。」グッ。ブン!
「大外刈りでございます。」ズドオオオーン!「腕ひしぎ十字固めでございます。」ギリギリ・・グオオオオーッ!
「・・」「りょーかい!とどめはこれよ!氷窟蔦!」バン!パシパシパシッ!「おっと危ないですな。」ひょい。
ビシビシィッ!「これでガリバー状態ね。たいちょ、よろしく。」こく。『clrly。』サアアアア・・シュゥゥゥ~。
「怪物が・・リオンに戻っていく。」「あの方たちはいったい・・」「むう・・恐ろしい方々が集まっていたものです。」
「ボルフォッグ、知ってるのか?」「はい・・国連秘密部隊、第一小隊および第二小隊の方々です。」『なにぃっ!』
『・・・・』「なんと・・芹香くんと綾香くんの部隊が来ていたとは!」「やはりすごいわ・・私なんかまだまだね。」
「今回はβMaxが5mと小ぶりだったから機動部隊では対処しきれなかったのです。いわば蚊を追うような結果に
なってしまいましたから。」ポリポリ。「一理あるな・・医療部へ伝令。リオンを収容せよ。」「了解。」
公団ビル医務室。「これでだいじょうぶですよ。」「・・ありがとうございます。」「ではお大事に。」「あ、あの!」
「なにか?」「・・これ、受け取ってください。」さっ。「・・ありがとう。そういえば名前も聞いてなかったね。」
「・・御堂音かすみと申します。」ぴく。「・・そうですか。あなたが・・」「・・やはり。」「僕もいちおう情報畑な
もので・・はいこれ。」「・・名刺?」「そこのナンバーかアドレスで連絡してください。」「・・では私も。」すっ。
「経営コンサルタント・・ですか。」「それが「仕事」です・・いちおう。」「・・もらっておきます。」
「で、どうなのイネスさん?」「説明しましょう。綾香の推測どおり、このチョコが変身の起爆剤になっていたわ。
分析の結果、それぞれのチョコから異なる種類の未知の因子が検出されたわ。どうやら一種の触媒のようなものね。
それで三つの形態を使いこなしていたってわけ。」「なるほど・・誰がそんなチョコ作ったのよ?」「こんなムチャな
媒質を作れるのはただひとりよ。・・いまごろは「軍荼利」のトイレ掃除をしてるころね~。」「・・ああ、なるほど。」
「でもね、この触媒は非常に興味深いわ・・うまくすればリオンの変身能力を制御できるかもしれないわ・・」
マンモスオーダールーム。「ほええええ~っ!広いひろい!」「これは貴重な体験ですわ。記録しませんと。」ジ~。
「やほ。シルヴィー、おひさ!」「あっ、リナおねーちゃん!そーいや第二部隊だったね~。」「シルヴィー、知り合い?」
「うん、GGG入る前によく遊びに来てたんだ。」「ああ・・激動のオヤジんとこね。」「おひさしぶりです、オルトロス。」
「葵姉さま、お元気そうでなによりです!」「・・・・」「・・・・」「芹香さんとケルベロスはあれで意思の疎通が
とれてるんでしょうか・・(^^;;」「フラウも知り合いか?」「はい。よく「アルビオン」でお会いしました。」
それから数ヶ月後・・「お蝶、行ってくるぜ。」「はい、アーモンドチョコ。」「またかよ~。」「いざというときだけよ。
無理に使えとはいわないから。」「へえへえ。」『とかいーつつ、けっこう使ってるのはどなたでしたか?』
「うっせーポルコ!」げしっ!「グダグダぬかすと車内で変身するぞ!」『あ~それだけはそれだけわ~!(TT)』
*****************************************
♪パラ~パーパラパーパーパラ~(春の海ね)
マンモスオーダールーム。「今日は大晦日か・・一年ったって早えもんだな~。」「サンボー!大ソージの手を
休めないでくだサーイ!」「へいへい。」「一年間のホコリを落とさないとね~♪」パタパタ。「ちがいますぅ!
命さん、はたきは回して使うんですぅ!」「あ、そうなのマルチィ?」「長官さんも上からゴミを落としていって
くださぁい!みなさんおそうじの基本がなってませんですぅ!」「う~む、マルチィくんは掃除のプロだったな。」
「勇者のみなさんのほうがよっぽど上手ですぅ。ほら。」「うりゃあああああ~っ!」「どりゃああああ~っ!」
「てりゃああああ~っ!」「すげえすげえ!気合はいってんな~。」「日ごろの修練のたまものですぅ。」
「修練って?」「週に二回はみんなでおそうじしてますぅ。」「なるほど・・」「仕上げだぜ!チェストウォーマー!」
ブオオオオーッ!『あちちちち!』「こら炎竜!温度高すぎだ!」「おっと、人がいたことを忘れてました。」
Gアイランド商店街。「ヲイル、この喧騒はなんですか?」「今日は大晦日です。一年という地球人の生活周期の
一つのくぎりになりますので、明日から三日間は新しい年を祝う期間となります。」「あれ?ついこないだも
クリスマスとかいう行事がありましたね。」「あれはあれ、これはこれです。人間というものは何かと口実があれば
休んだり祝ったりする嗜好があるようで。」「む~ん・・いい習慣ですね。」「そーいうと思いました・・さて、
郷にいらば郷に従え。おせち料理の材料を買いましょう。」「栗きんとんを忘れずにね。」「お雑煮もね。」
記録外ミッション47「元旦がきた」(35話あたり)
宇宙都市ネオGアイランドにもちゃんと神社仏閣はある。そのひとつ、Gシティー商店街近くの光明寺では・・
ゴ~ン・・「うおっほ~!やっぱ除夜の鐘を撞くと、一年終わったって気になるな~。」「そうだね、お父さん。」
「それじゃ~、ママも~、え~い!」♪ゴオォォ~ン・・「あっ、マモルく~ん!」「うわっは~、華ちゃんだ!」
「あら~、初野さん~、今年はいろいろお世話になりました~。」ぺこ。「天海さんもよいお年を。」ぺこ。
「うちは商売してやすから、年末年始はこうやってお参りするのが習慣になってやす。」「来年も繁盛すると
よいですね。」「あれ?あやめさんは?」「アーティーのお兄さんとホテルだって。すっかりフィアンセよね~。」
「そういや護と華ちゃんもフィアンセだったよな。ホテル予約してやろうか?」「お、お父さん~。(^^;;」
「みなさん~、そろそろGパークへ行きましょう~。新年カウントダウンが始まりますわよ~。」『はーい!』
マンモスオーダールーム。「大晦日の夜直か・・まあ勇者のみんなと年を越すのもいいもんだな。」「そうですわ。
こういう年越しもイキというものですよ、パパ。」「そうそう!ここならいっぱい仲間もいて楽しいしね!」
「・・そうだね。」「これこそGGGの年越しよね。」「しかしですね、大河家の年越しをここでするというのは
さすが長官、よいアイデアです。」「ここならマルチビジョンもあるし、紅白だろうが裏番組だろうが見ほうだい。」
「それに人間の年越しスタイルってのも勉強になるしね~。」「コタツとミカンまで準備しているというのが
出来すぎとは思いますが・・」「それだけではありませんのよ。おせちもちゃんと作ってきたし。」「見せて。・・
へぇ~、おせちってこうなってんだ。」「そろそろ新年のカウントダウンですよ。」「・・」こく。『おお。』
『それでは!3,2,1・・ゼロ!』ポンポンポーン!『新年あけましておめでとう!』ワアアーッ!パチパチパチ!
「明けたな。では勇者諸君!」『あけましておめでとうございます!』「それではマルチィくん。」「はぁ~い!
新年特別ブレンド、オイルのおとそカクテルですぅ!」ガラガラ。『おおお~っ!』「ちょっと酔いますから、
飲みすぎに注意してくださぁい。」「では乾杯といこうか。昨年は大変だったが、今年も神種あるかぎり我々に
安寧の時はない。だが今はこの年を祝おう。乾杯!」『カンパーイ!』ガンガンガン!(金属製なので)
♪ピピピッ。「あら?・・パパ、さっそく電子年賀状が来たようですわ。」「出してくれ。」ピッ。パッ。
【GGGのみなさんへ あけましておめでとうございます。我ら神種も三が日は行動しない方針ですので
ごゆっくりお休みください。なお出撃始めは四日からとなっておりますので またのお相手を今年もよろしく。
機界女王ンドゥーネ】『・・(・_・)』「・・し、神種ってけっこー律義なんだね~。(^^;;」
そして早朝。ガヤガヤ・・『初日の出参拝のみなさん。あと三分で日の出になります。日は北米大陸付近から
出ますので、アフリカ大陸方面の方はお急ぎ移動してください。』「あら?・・リオンさんとお蝶さん!」
「おっ、凱と命か!」「来てたのか。」『あけましておめでとうございます。』「命はやっぱ日本人だね~。和服が
よく似合うこと。」「でもたしか晴れ着は未婚女性だけなんじゃなかったかしら?」「そうなの?」「知らんぞ。」
「リオンさんもお蝶さんも、よく晴れ着が手に入りましたね~。」「これはパリブランドなのよ。」『えっ?』
「・・そーいえば絵柄が西洋してるわ。」「これ高いんじゃないのか?」「いやね、ちょっとした実入りがあった
もんでね。」「・・バイオネットのどっかの支部襲って、お宝ちょろまかしたのね。」「さあね~♪」「おっと、
そろそろ日が出るぞ。」・・サァァァーッ!パンパン!・・「宇宙からの初日の出詣でってのもイキだね~。」
御堂音家。ズズズ~!「あーっ!お雑煮がおいしい~!」「おせちもうまく出来ましたね。はいンドゥーネ様。」
トクトク・・グイーッ!「ふぅ・・冷生酒って甘くておいしい・・」「私はどっちかとゆーとドブロクが好み。」
グイッ。「三が日はこうして食って飲んでゆ~っくりしましょうね~。」「テレビも特番でおもしろそうですし。
世界紀行ものもありますから、今後の侵略作戦の参考にもなります。」「ヲイルは仕事熱心ね~。私はな~んも
考えずにでれ~っとしてますから~。」こてっ。「あら、もうダウンですか?表の空気吸いがてら、初詣と
年始参りとかいうものに行こうとしましたのに。」「はつもーで?」「お寺や神社にお参りに行って、今年の無事と
安全を願う行事です。」「私たち神種が神さま詣でてどうすんの。」「あ、そうか・・それでは年始参りにでも。」
「どこですか?」「知り合いあちこち。ンドゥーネ様ならお年玉というものがありますね~。」「・・ん?」ガバッ!
「それ知ってる!たしか年の始めに・・」「そうです。・・やめます?」「行きます。着替えます。」バタバタ。
カラコロ・・「ヲイル~、これ重いよ~。」「それが正月の礼装です・・たしかにちょっと重いですね。」
「まあきれいだからいいけどね・・まずはお隣の戒道くんちね。あけましておめでとうございまーす!」
「おっ、すみれちゃんとかすみさん。」「これはお隣の御堂音さん。」『あけましておめでとうございます。』
「さあ上へどうぞ。」「失礼します・・あっ、幾巳くん。はい、お年玉。」「ありがとうございます。」(ヲイルが
あげるの?)(私はいちおう社会人ですから。)パタパタ・・ガラッ。「おっ、お客人か。」「どうぞどうぞ!」
(なっ?!ソルダート戦士たち!)(うわ~、いきなり出会ったか・・)「はじめまして。隣の御堂音です。」
「うむ、はじめまして。私はソルダートJ。」「フランソワーズよ。」「ジョーです。」「三人とも大晦日から大掃除や
おせち作りを手伝ってもらってたんですよ。おかげで助かりましたわ。」「こちらこしょ~。青の星の年中行事って
なんていいんれしょうにぇ~、ヒック。」「フランソワーズ、飲みすぎだ。」「ジョーは意外と強かったのだな・・
私は下戸なのでもっぱら食う専門だが、二人は晦日から飲みっぱなしだな。」「トモロにょぶんも飲まなくひゃ~。」
「さあさ、どうぞうちのおせちもめし上がってください。」「ジョーが手伝ってくれたので、なかなかうまいよ。」
『いただきます。』ぱく。「・・これは!」「まさにプロの味・・ですね。おぼえておきましょう。」もぐもぐ。
「さて次は・・天海家ですね。」「あけましておめでとうございまーす!」「うわっは~!すみれちゃんだ!」
「こっちこっち!」「あら、初野さんも。」『あっけましておめでとー!』「ええっ?!みんないるの!」
「これは!・・お年玉袋、足りたかしら?」「あら~、御堂音さん~。どうぞどうぞ~。」『は・・はあ。』
「すみれちゃん、きれい~!」「やっぱ地がいいと着物が映えるぜ。」「あたしをさしおいてどこ見てんのよ!」
「レイコはさっき充分ほめただろうが。」「まあボクの絣の羽織のほうがいいけどね~。」「オーホッホッホ!昔は
シャネルの晴れ着を仕立てたものね~。」「フギュルルル~!」『年かわっても変わらんな~、このパターン・・』
マンモスオーダールーム。ガヤガヤ・・「正月はよいですが・・」「この飾りはなんだ?」「車には正月には
しめ飾りをつけるのがお約束です。」ポリポリ。「菖蒲とミカンとイセエビですか~。(^^;;」「これで出動
かかったらヤだな~。」「それでは恒例、勇者による新年カルタとり大会を始める。カルタは特製の5mサイズ。
装備使用は反則。では第一回戦、スワンくん。」「ハイ!では読みマース!田子の浦ゆ~、うち出でてみれば」
「百人一首データベース検索・・見切りました!」「はいっ!」パシーン!「なんとおっ!ミスティーが!」
「あまいあまいボス。最初の「た」で見切って動かないとね。」「むう・・先頭文字検索法を忘れてました。」
参謀部。「うわ~!ルリちゃん、かわい~!」「年末にES宅急便で送っといてよかったわ。」「・・きゅうくつです。」
「正月三が日の辛抱だから。」「あかりもなかなかカワイイね。」「こうやって晴れ着で揃ったことだし、記念写真を
撮りましょうよ!」「ユリカ、名案!」「じゃん!最新鋭デジカメ!さあさ並んでならんで。」どやどや。
「ルリちゃん、もーちょっと笑って。・・ま、いいか。お蝶さん、少し右。リオンさん、頭の上のVサインは
やめなさいって。・・ほんじゃ、チーズ。」パシャッ。「即座に再生チェック!・・あれ?」「どうしました?」
「・・いやね、これ。」『・・えっ?』「これ・・誰ですか?」「知らない晴れ着の女の子が・・写ってる。」
「どれ・・ああ。絆おばさま!心霊写真ゴッコはやめてください!」【あら、バレちゃいました?】スゥ。
「しかも若作りして~・・ん?」ザザーッ。(全員引いてる)「みんなどしたの?」「そ、そそそれって・・」
「・・幽霊さん?」「足はあるわよ。」ひょいひょい。「で、でも透けてる・・」「そりゃ~精神イメージだし。」
【そういえばリオン以外は初めてでしたね。】「・・リオン、幽霊にも知り合いいるの・・」「だから~。ほら、
獅子王絆おばさまよ。凱のお母さん。」「・・記録では木星で遭難したはずですが・・」「・・あれ?あのいきさつは
公表されてなかった?」【ああ・・そういえば知ってるのはメインスタッフと世界十大頭脳だけでしたわ。】
「あらそう。ともかく、地縛霊でも怨霊でもないからたたられたりしないわよ。」「で、でも・・(真っ青)」
【う~ん・・よし。では新年クイズ大会。木星に見られる大赤斑、これの正体は?】「え?・・巨大嵐です。」
【はい正解。第二問。川中島の第三回合戦で有名な上杉軍と武田軍の作戦とは?】「車懸りと啄木鳥の陣!」
【第三問。アインシュタインの一般相対性理論、これを簡潔な公式で表わすと?】「E=mc^2です。」
【さらに難しくなるわよ~。では大数学者フェルマーの大定理を。】『えっ?う~ん・・』「たしかあれは・・」
「Z^2=X^2+Y^2のX,Y,Zを満たせる同じ値は1だけ・・ですか?」【よく知ってるわね~。でもそれは間違い。
実は別の解があるのよ。】『ええっ?!』「それがホントなら大発見です!」【教えてあげようか?】『ぜひ!』
「あらら~、あっという間にペースに巻き込んじゃってる・・さすが絆おばさまね。」
夕刻。「いっぱいお年玉もらっちゃった~♪」「私はそのぶんあげまくりましたよ・・」「さ、帰って今夜はゆっくり
お酒でも飲みながら「新春かくし芸大会」でも見ましょう。」「私は新春衛星洋画劇場がいいんですが・・明日は
昼まで寝ましょう。」「賛成。そしてまた年始回りね♪」「カンベンしてください~。(TT)」カァカァ・・
その夜のマンモスオーダールーム。夜直は火麻参謀。「おっし、三光だぜ!」「あまいぜ参謀どの!俺は月見酒に
猪鹿蝶にタネとカスだ!」「なんだとお!」「新年そうそう花札バクチですか・・」「氷竜どの、それ当たり。」
「なんですと?!」「国士無双でござる。」「やられちゃった~!」「ええい次だつぎ!」ガシャガシャ・・
「14連チャン~!」「確率変動はやくこい!」「はどーけんはどーけん!」「この!ジャンプ!」「あまい!
しょーおーけん!」「シルヴィーはうまいな~。」参謀の夜直の日はたいていバクチ場となっているのである・・
♪ザン!
宇宙開発公団、総裁室。「・・・・」「桜くん。・・桜くん。」「あ、は、はい総裁!」「どうしたのかね?なにか
考えごとをしてたようだが。」「・・すみません。」「よければ私に・・」「いえ、総裁のお手をわずらわせるほどの
ことではありませんので。」「そうか、それならよいのだが・・」バタン!「オヤジ!」「梓、ノックもせずに
なにごとだ。」「ちょっとこっち!」グイ!「な、なんだ?!」「いーから!」ズルズル。「あの、総裁・・」
「すぐに戻ってくる。」バタン。「なんだというのだ梓。」「聞いたぜ。・・桜さんに縁談がきたんだとよ。」
「なにっ!」「シーッ!・・諜報部の志保が仕入れてきた情報さ。オヤジなにやってんだ!」「なにって・・」
「グズグズしてたら取り返しのつかねえことになるってんだよ!」「だが・・めでたいことではないか。」
「・・ホントにそう思ってる?」「・・」「あたしらに気兼ねするこたねえって前にも言っただろ。母さんも
許してくれらあ・・」「・・撫子。」「母さんをまだ愛してるってのはよくわかってる。けどよ、オヤジのそんな
意地を母さんは喜ぶと思う?・・きっとこう言うだろうぜ。「あなたが幸せになればそれでいい」・・って。」
♪プルルル。カチャ。「はい総裁室です・・千鶴さん?」『今夜ひさびさに飲みに行きませんか?』「いいですね・・
はい、ではいつもの店で。」カチャ・・「・・今夜はおもいっきり飲んでやろう。これが最後かもしれないし・・」
記録外ミッション48「大河家の家庭の事情」(40話あたり)
その夜、シティー繁華街、小料理「日の出屋」。「で、桜さん。相手はどんな方ですの?」「・・やっぱりそのこと。
さすがGGGは情報が早いわね・・」「ゴシップのエキスパートがおりますから。」「ああ・・志保ちゃんね。」
「はい、付き出しのヒジキ煮と山菜おひたし。それに生酒。」コトッ。「桜、なにブルー入ってんのよ。ほら
飲んで気を晴らしなさい。」トクトク・・「ありがと、冷院・・」グーッ!・・コトッ。「ちーちゃん、あなたの
オヤジもGGG長官とかしてバリバリやってるのに、どーしてこういうのはダメなんでしょうね~。」
「おそらく・・父はまだ母のことを。」「ああ・・そりゃわからないでもないけど、そういうのって言い訳にしか
聞こえないんだけど。」ぴくっ。「・・どういうことです?」「つまりね、相手に義理をたてるってのは結局は
エゴイズムでしょ。義理を立てられた相手がホントにそう望んでるならともかく、自分で勝手にそう思い込み、
勝手に義理立ててるのは本末転倒じゃない?」「・・なるほど。そういう見方もできますわね、たしかに。」
「そうよ・・総裁は勝手よ。」「おっ、やっと桜が本音モードに入ったわね。」「さ、もっと言ってくださいね。」
「私の想いをわかってるくせに・・もう3年にもなるのよ。そりゃGGGとかで忙しいのはわかってる・・けど
もうちょっと私のことも考えてくれてもいいじゃない。」「だいたい忙しいっていう口実作るのに限って、存外
ホントには忙しくないものよ。いわば逃げ口上ね。」「お料理は作らなくていいんですか?」「手元見なさい。
ちゃんと包丁は動かしてるわよ。こういうふうに忙しくても話の相手くらいはできるものよ。」トントン。
「で、縁談がついにきちゃった・・ハラたつから受けてやろうかしら。」グイッ。「一時の感情で生涯の伴侶を
決めちゃうってのはやめといたほうがいいわよ。必ず後悔するから。」「・・冷院にも彼氏いたよね。どう?」
「ああ・・おたがい気長にやってるわ。もっともアイツ長官以上の朴念仁だから苦労するけどね~。」ふっ。
「たしか中華料理店で働いてるんでしたわね。」「そう。師匠にだいぶしごかれてるみたいね。まあ根性バカだから
苦労を惜しまないっていいとこはあるから、そのうち暖簾分けされるかもね・・はい、お刺し身。」コトッ。
「桜さん、今夜はとことんつきあいますから。」「ありがと。」「バンバン飲んでね。もっともお代はもらうけど。」
大河家。「千鶴は?」「友達と飲んでるから遅くなるって。」「そうか。では」『いただきまーす!』カチャカチャ。
「楓、今回の人事考課はどうだ?」「・・ミユキさんにSを。」「やっぱ新金属開発が効いてるね。あの技術で
だいぶ収入増えたし。」「月面からの輸出量もすごいんだよ。おかげでダイヤのやりくりで大忙しなんだから。」
GGGは各国や国連からの予算のほかに、高速輸送・科学技術パテントなどで莫大な収入を得ているのである。
「そうだな、ミユキくんはGGG財政の大恩人だからな。」「そういうオヤジのほうはどうなのよ。」「なんだ?」
「桜さん。二足のワラジはいてるオヤジのサポートでタイヘンでしょーが。」「う・・そうだな。」「それに・・
結婚祝いも・・」ぐさっ!「そっか~。もう桜さんは辞めちゃうんだな~。」「勝手に決めるんじゃない!」
「でもさ、本命がこう優柔不断じゃどうしようもないよな。」『ね~。』「ぐう・・(図星なので言い返せない)」
『ただいま~。』「あ、千鶴おねーちゃんだ。」「ちょっと手かして。」「どうした?・・なにっ?!」でれ~。
「桜さん、酔いつぶれちゃって。」「ありゃ~・・楓、お客さん用のフトン。」「わかった・・」「初音はポリバケツ。
いつゲロってもいいように。」「うん!」「オヤジは運搬!」「私がか?!」「千鶴姉はここまでかついできたんだ。
あたしは酔いざましのカユ作るから。」「・・わかった。千鶴、私が。」「気をつけてくださいね。」「よいしょ。」
「・・うげえええ~。」「わっ!」「あらら、やっちゃいました!」「オヤジ受けてうけて!ポリバケツはやく!」
「ん・・ここは?」「私の家だ。」「・・総裁?!あいたたた・・」「まだ抜けきっていないようだな。水だ。」
「すみません・・」ごくごく・・「ふぅ・・あれ?服がちがう・・」「君の服は洗濯中だ。」「・・まさか!」かっ!
「総裁!私が酔いつぶれてるスキに」「やっとらんやっとらん!娘たちだ着替えさせたのは!」「・・な~んだ。」
「残念そうな言い方だな・・」「あ、いえ、その・・」「とにかく今夜はうちで休みたまえ。幸い明日は休日だ。
娘たちもいるし、ゆっくりするといいだろう・・むっ?」ピクッ。・・ガラッ。ドサドサドサッ!『おおっと!』
「どうも変だと思ったら・・」「き、気がついたようでよかったですわ~。(^^;;」「いやね、ほら、ちょっと
入るタイミングのがしたかな~なんて。」「・・期待してたんですが。」「ちょっ!楓おねえちゃん、それは!」
「さっさと寝なさい!」『おやすみなさ~い!』ドタドタ!・・「まったく・・」「・・いい娘さんたちですわね。」
朝。『いっただきまーす!』「今朝は私がおみそ汁を作りましたわ。」『・・(―_―;』「では。」「さ、桜くん、
それは」ズズ~・・ドカーン!『桜さん!』ぷすぷす・・「・・一発で目が醒めましたわ。」ぽわ~・・(煙)
「あら?おかしいですわね~。今日はうまく作れたと思ったんですけど。」「千鶴ねえ・・なに入れた?」
「え~と、豆盤醤とハラペーニョ、それに隠し味にサッカリンですわ。」「爆弾作ってんじゃねえぞ!この偽善」
「な・ん・で・すって・・」ゴゴゴゴ・・ヒュゥゥゥ~・・「・・いえ、できれば次回はさらなる改善を。」
「そうですね。修行しましょう。」スゥゥ・・「・・朝から冷えるな。」「だ、暖房入ってるのになぜでしょうね?」
「梓おねえちゃんもこりないね、毎日まいにち。(^^;;」「・・もっとこりないのは千鶴姉さんだけど。」
「パパ、今日はひさびさにみんなで街に行きません?」「さんせー!」「・・桜さんもいることだし。」「そうだね。
桜さんも行こうよ、ね?」「え・・ええ、私はかまいませんけど・・」「そうだな、たまにはいいだろう。」
シティー商店街。「ねえこれこれ!」「おっ、初音にピッタリじゃねーか。」「いいな・・よし、買ってやろう。」
「いいよパパ。私だって給料とりなんだから。」「・・でもな~、娘にきれいな服を買ってやるってのは親の
生きがいなんだよな~・・」いじいじ。「そういうのは学生までですよ。」「そーいやあたしも千鶴ねえのお下がり
ばっかだったよな。ムネきつくてまいったぜ。」「・・梓姉さんのお下がり、ウエストゆるかった・・」ぼそっ。
「それは楓がやせすぎだからだよ!」「あらそうかしら?梓がちょっとふくよかなせいだと思いましたけど。」
「なんだとこの洗濯板!」「今日こそ決着つけましょうか!」「両者、はじめ!」ドタンバタン!「あ、あの、
総裁、止めなくていいんですか?」「姉妹でじゃれあってるだけですよ。ほっときましょう。」「はあ・・(^^;」
「はあっ、はあっ・・さすが千鶴ねえだぜ。」「梓もだいぶ腕を上げましたね・・」「ここで説明しましょー。
千鶴お姉ちゃんは知ってのとおり戴拳道と造山拳を使います。そして梓お姉ちゃんはそれに対抗するために
八極拳を会得してます。」「・・ちなみに私は抜刀術、初音は暗器術。」「GGGには人事部主催で世界の武術流派の
クラブがあって、まだ免許皆伝を会得してない隊員はこのクラブで修行することを義務づけられてます。」
「GGG隊員たるもの、最低ひとつは武術免許皆伝を持つこと・・人事査定にも係わりますから隊員は熱心です。」
「GGGって・・スゴいんですね~。(^^;;」「いざというときにモノをいうのが腕っぷしだからな。」
お昼どき、北欧料理「ノーベル」。「はいお待たせ!」ドン!『おおっ!』「スモークサーモン六人前!つまり
一匹まるごと!」「すっごーい!」「豪華ですわ。」「それとブイヤベースね。」ドン!モワ~。「いい香り・・」
「これだけまとまった人数だと大量に作るから、さらにおいしくなるのよ。さ、どうぞめしあがれ!」
『いっただきまーす!』「うむ、よくスモークが効いててうまい!」「お魚もお野菜もいっぱいですね~。」
「スープがコクがあってうまいぜ!」「この店は小さいのに評判なのがよくわかりましたわ。」「そうだろうな。
なにせ料理人が本場スウェーデンの人だから。」「たまたまホウメイさんと知り合ってスカウトされたの。他にも
フランスやドイツ、なんとロシアからも見つけてスカウトしてくるんだからホウメイさんはすごいわよね。」
「オヤジはホウメイさんとも昔なじみだったよな?」「ああ。まだ私が駆け出しだったころからだ。火麻くんも
よくメシを食わせてもらってたな。それに・・」「・・撫子さん、ですか。」「ああ・・私が撫子と出会ったのも
ちょうどそのころだったな。」「パパ、せっかくだからママとのなれそめを聞かせてください。」「・・いいだろう。」
25年前。大河幸太郎21歳、大学生。悪友の火麻激とつるんでたころ。ともに貧乏学生だった二人は勉学のかたわら
食堂でバイトをしていた。まかない付きで学生にはおいしいバイトであった。実は同級の在日中国人、ホウメイ
(当時20歳)の実家であり、彼女もその腕を調理場でふるっていた。「幸ちゃんよ、今日は新しいバイトの子が
くるらしいぜ。」「それは楽しみだな。」すこーん!x2『あいた!』「こら幸と激!サボってないで働くアル!」
『へいへい~。』「メイはいつも元気だな~。なに食ったらそんなに元気なんだ?」「晩メシに作ってやるアル。
はいラーメン。」「おっし。へいラーメンおまち!」「しかし・・激のモヒカンみて客は逃げちまうんじゃないか?」
「帽子で隠してあるからだいじょぶアル。」ガラガラ。「いらっしゃー・・いいっ?!」「どうした幸ちゃん・・
おおっ!」ぴかっ!「あの~・・「順風満帆」はここですか~・・」「そう・・ですが。」「よかった~・・実は~・・
今日からここで~・・バイトすることになったものです~・・」「ん?・・おっ!撫子ちゃん、よく来たアル!」
『撫子?』「紹介するアル。ワタシの親友の撫子アル。」「・・よろしく~。」ふかぶか。『こちらこそ。』ふかぶか。
「こっちの二人は大河コータロー、ピューマ激アル。」「ピューマじゃねえ、火麻!」「こーたろーさんと~・・
ぴゅーまさんですか~・・いろいろ教えて~・・くださいね~・・」ふかぶか。『こちらこそ~。』ふかぶか。
(おいメイ、こいつってなんなんだ?えらくとろいが・・)(撫子、お嬢さまアル。でも親ができた人で、世間の
風に当たらせようと、うちらの大学入れてバイトもやらせてるアル。)(・・そういえば講義室で見たよーな。)
それからの三人は撫子の世間ズレの激しさにキリキリまいさせられるのだが、ざっくばらんな三人のこと、
すぐに気心を知り、このツーペアはバイトだけでなくキャンパスでも街でも見かけられるようになった。
そして大河・撫子、火麻・ホウメイのカップルへと自然に進展していった。またたく間に時は過ぎ・・
卒業前日、バイトも最終日。『カンパーイ!』「かんぱ~い・・」「四年間なんてはええもんだな~。」
「そうだな・・まるで夢のような四年間だったな。」「そうアルね・・明日からは社会人アル。激はアメリカ、
幸は国家試験に通って科学技術庁か・・」「・・メイ、くどいようだが」「くどいアル。わたしこの店捨てて
いけないアル。」「そうか・・」「撫子は就職決まってないアルね、どうするアル?」「親のツテぜんぶ蹴るとは・・
もったいないことを。」「でも~・・やっぱり~・・自分の進路は~・・自分で決めたいですから~・・」
「その進路アル。撫子はどうしたいアル?」「・・コータローさんの~・・お嫁さん~・・」・・ブフォ!
『なんだとおお!』「ほら~・・婚姻届け~・・出してきました~・・」ぴらっ。『なにいいいいーっ!』
もうそれからがタイヘン。撫子の意志は強固で、親もほとほと困りはて、あげくに「娘をよろしくお願いします。」
すったもんだのあげく、どうにか結婚式も挙げる。そのときのホウメイのお祝いのことば。「ご愁傷さまアル。」
最初の数年は幸太郎もバリバリ働き、撫子もマイペースながら家事をこなす。やっと落ち着いたごろ、長女誕生。
それから毎年おめでたで、ついに四人の子持ちとなった。幸太郎も順調に出世し、宇宙開発公団総裁にまでなった。
そして・・四年前。「パパ、ママは今夜は実家へ?」「うむ。ご両親とゆっくり・・」ヒュルルル・・
「・・なんだ?」・・ドドドーン!『なにっ!』ズズズズ・・「なにごとですの!」「オヤジ!千鶴ねえ!」
「どうした梓!」ダダダッ!「あ・・あの方向って!」ズズズズ・・「燃えてる・・まさか!」「ママの実家!」
ウ~ウ~ウ~!「通してくれ!」「いけません!ここから先は危険です!」「あそこには妻が!」ゴオオオ・・
『南無妙法蓮華経・・』「撫子・・私がいてやれば・・」「ママ・・ううっ!」「ちくしょう・・ちくしょう!」
「・・・・」ググッ!「ママ・・なんでこんなことに・・」「・・許さない。たとえ誰であろうとも・・」メリッ!
『・・・・』「撫子の仇・・EI-01は倒した。そして黒幕の原種も・・」「神種ももうすぐですわ。」「勝とうぜ。
ママのためにも。」「・・勝とう。」「私たちは直接は戦えない。けど、できることを全力でやれば必ず。」
「・・(・・私にはこの一家の手助けができるのかしら・・この激しい宿命を背負った一家の・・)」
夕刻。・・ポツッ。「・・雪か。」「宇宙都市の雪・・」「オヤジ、それじゃあたしらは先に帰ってるから。」
「あとはお二人で。」「・・では。」ぺこり。「がんばってね~。」「ああ・・すぐに戻る。」サクサク・・
「明日は出勤が大変だな。」「そうですね・・」「・・桜くん。」「・・はい。」「いい機会だった・・これが私が
煮え切らなかった理由だ・・君まで巻き込みたくなかったのだ。」「・・水くさいですわ、総裁。」「ん?」
「やっとわかりました。総裁には女房役が必要なんです。たとえば秘書の私のような。」にこっ。「・・桜くん。」
「私になにができるかわかりませんけど、できることを全力でやりましょう。それがみんなの幸せになるから。」
「・・そうか。では。」ザッ。「磯貝桜総裁秘書。」「はい。」「永久秘書に任命する。」「かしこまりました。」ぴしっ。
*****************
♪ザン!
がたごと・・ルーブル美術館地下。現在、国連秘密部隊・第13小隊の改装作業中・・といっても、ビークルロボ
収容施設及び備品・機器はすでに改装が完了しており、あとはリオンとお蝶の小物類と後片付けを残すのみである。
ちなみにこのときルリはもうGGGへ移籍している。
お蝶のプライベートルーム。「おーい、お蝶ー。」「なに?」ふきふき。「モップが壊れた。新しいのちょーだい。」
ボロッ・・「それ20本目ね・・(―_―;;どー使えばそんなに壊しまくれるのよ。」「まーまー、『旅の恥は
掻き捨て』って言うし。」「『立つ鳥後を濁さず』よ!ちょっと待ってて、上から持って来るから。・・そうそう、
まだ電源入ってるから、キーボードいじらないでよ」「は~い」カツカツ・・きらーん☆「いじるなと言われると、
ますますいじりたくなるのよね~♪ さぁ~て、美少年HPにアクセスアクセス!」カタカタカタ・・パッ。
【パスワードが間違っています。(フランス語)】「そっか、自分のじゃないからパスワード違うんだった(^_^;)。
お蝶が使いそーなヤツは~」カタカタカタ・・パッ。【パスワード確認。AAランク極秘ファイル閲覧承認。】
「なんだこりゃ? へえ~、ゾンダリアンやらバイオネット獣人の極秘データか~。おっ、神種まであるじゃん。」
カチカチ「ん?『β-Max』?ゾンダリアンでも獣人でもなさそだけど・・」カチッ。【パスワードを入力して
下さい。】「う~、この期に及んでまたパスワードかよ~!」くしゃくしゃ。「ええい、ダメもと!これでどうだ!」
『ユ・メ・ノ・カ・ケ・ラ』パッ‥【パスワード確認。ファイルが表示されました。】「ビンゴ!さてと・・」
「リオンー、これで最後だからねー。ちゃんと掃除終わらせるのよ・・って?!」パチパチ・・ブゥゥン・・
「どーしてくれるのよ!まだローンが残ってるのよ、このパソコン!弁償してもら・・ん?」ガクガク・・
「なに青ざめてるのよ・・今頃後悔しても」「なぜ・・」「・・リオン?」「なぜ教えてくれなかったんだぁぁぁぁっ!」
「え・・」・・ハッ!「まさか!」【β-Max:リオンの変身形態。ただし発生は現在のところ不随意】ブツッ・・
翌日。「リオンー、どこにいるのー?」きょろきょろ。『いましたか?』「ダメ。やはり『β-Max』を知られたのが
まずかったわね・・」『あの後、私に乗りたいと言ってきたんです。「どうかしたんですか?」と聞いたんですが・・』
「どうなったの?」『・・黙って帰っていきました。』「・・普通なら数発蹴りを入れるのに・・」『ヴェルサイユ
にも行っていないようですし・・これからパリ市街へ行ってみます。』「ひかりんとやーみんじゃ目立ち過ぎるし、
あなたの<鼻>が頼りよ。」『了解しました・・あっ。』ポツポツ・・「雨・・これは本降りになるわね・・」
記録外ミッション49「夜空の向こう」(本編26~28話)原作:綾女桜作戦参謀
ザァァァァ・・「どうして・・」パリ市街。どしゃ降りの雨の中、リオンは宛てもなく歩いている。「どうして
助けたのよ・・」昨夜の衝撃はリオンの心に致命的なまでの傷を負わせていた・・『あたしの中に、あんな化け物が
いるなんて・・』ガタガタ・・『・・できれば知らないままでいて欲しかった。でないとあまりにも残酷過ぎる・・』
『ジジイ達は知ってるのか?』『ええ・・私以外で知っているのは、世界十大頭脳と秘密部隊の各小隊長、それと
GGGの猿頭寺諜報部長よ。』『ああなる事を承知でサイボーグにした訳か・・いっそ殺してくれればよかったのに。』
『なんて事言うの!』『モルモットにされただけじゃなく、いつ暴発するか分かんない不発弾まで植え付けられて!
これからどうすればいいんだよ!』『だ、大丈夫よ!相当なマジキレモードじゃないと変身しないし、いざとなれば
秘密部隊総出で・・』『今度はどう変身するか分からないのに?!』『う・・』『こんな・・こんな中途半端なモンに
なるくらいなら、あの時死んだ方がよかった!』『リオン・・』『・・もういい、お蝶責めてもはじまらない・・』
凱旋門下。ザァァァァ・・「・・・・」バッバッ!「裏切り者には死を!リオン・レーヌ覚悟!」チャッ。
「バイオネットか・・獣人じゃないのね・・」ザァァァァ・・「・・武器を出さない?」「どういうつもりだ?」
「気を付けろ、裏があるに違いない。」「近くにビークルロボはいないようだが・・」「・・どうしたの?はやく
私を殺してよ・・」ピチャッ。『むっ!・・』「これは・・スキだらけ?」「闘気のカケラもない・・もしや?!」
「むう・・彼岸の境地か。」「己を捨て去り、死すらも恐れぬ・・まさに究極の境地。」「考えすぎよ・・さあ、
はやく私をこの世から消して・・」『それはいけませんね。』『なにっ?!』・・ズルッ、ボトボトボトッ!
「く、首が?!」ピキーン!「くうっ!・・身体が動かん・・」『君は生かしておくよ・・まだね。』・・スタッ。
「国連・・秘密部隊・・第四小隊長・・」「あたり。・・ちょっと待っててね。」スゥ・・「空中移動・・?」
「・・刹羅さま?」「どうしたんですかリオン、あなたともあろう方が・・」「・・うわああああ~ん!刹羅~!」
がばっ!「おっと。」「うわあああああ~ん!」ザァァァ・・雨か涙か・・リオンと刹羅を濡らしているのは・・
パチパチ・・「う・・」「あっ、気が付いたのね。」「ここは・・?」「ホテル『オスカル』のスイートルームよ。
私はイリス・チェリーブロッサム。みんなはアイリスって言うの。」「・・スイートルーム?!しかもどーして
あんたみたいな子供が?!」ガバッ「うっ!」くらっ・・「だめだよ、いきなり起きちゃ。肺炎起こしかけてたし、
ジェネレイターも素人調整で不安定なんだから。」「・・あんた、ただの子供じゃないね。」「えっ?!・・えとね、
パパとママが英国情報部で働いてるの(^_^;)。その関係でメカも少し・・」トントン♪「合言葉どーぞ。
『じっちゃんの名に賭けて』」「『謎は全て解けた』」「刹羅・・兄ちゃんね。」ガチャ。「お目覚めはいかがですか?
リオン・レーヌ。」「あなたがここへ・・このバスローブも?」「いや、それはアイリスがやってくれた。」
「けっこー重かったけどね。」「で、お蝶さんへ連絡入れたから。すぐにポルコで迎えに来るって。」「どうして・・
助けたんですか・・」『えっ?』「あのまま死なせてくれたらよかったのに・・」「何があったのかは聞かないけど、
命を粗末にするもんじゃないな・・」「あたしに生きる価値なんてあるのかな・・確か知ってるんだよね、
『β-Max』の事。」「・・ああ。」「半分機械の上に、いつ化け物になるか分かんない体で・・」「大切なのは見た目
じゃない、ここさ。」すっ・・さわっ。「あ・・」ぽっ・・「刹羅お兄ちゃん!なんてトコ触るのよ!」むかっ!
「なんの為に生きて戦うのか。<心>がそれを思い出せば、また歩き出せる。」「・・」「実は明日、雑用で
ドーバーへ行くんだが、よかったら君もどうだい?」「そうね・・気分転換になるよ。今のままじゃ現場復帰しても
足手まといになるだけだと思うな・・」「・・荒事かい?」「そうなるかもしれないな・・アイリス、今日はもう
これまででいいから。」「・・リオンと一緒に残すのは心配ね。(一_一)けっこーお兄ちゃん女殺しだし~。」
「だいじょうぶだよ。さ、お休み。」ちゅっ。「・・わかった。それじゃ明日ね。」ぱたん。「・・あの子あなたを
好いてるみたいだけど。」「まあ妹みたいなもんかな。」「いもうと・・ねえ。」「それより・・」キラッ、バサッ!
「なっ?!」「ほら、キレイじゃないか。」「・・どこがよ。手足は機械よ。」「いや、僕にはどんなものより美しく
みえるな・・」すっ・・「なぜなら、リオンの心は美しいからだ・・僕にはわかる。その牝獅子の仮面の下の
優しく純粋な心が。」「・・刹羅。」ほぉ・・「リオン・・」「灯かり・・消して。」キラッ。フッ・・
チュンチュン・・「ん・・はっ!」バッ!「おはよ。」「・・おはよ。」「気分は?」「ん・・だいぶ良くなったわ。」
「よかった。僕も努力のしがいがあったな。でも・・」「でも?」「けっこーカワイイ声出すんだね。」・・かっ!
「な、なにいってんのよバカ!ついついその気になっちゃったけど、別にあなたなんか・・」「きらい?」
「・・キライじゃないけど、かといって彼氏でもないけど・・」もじもじ・・「友達・・かな。」「それでいいよ。」
「おはよー!」バタン!『あ。』「・・なによこれ!刹羅お兄ちゃんまたスケコマシたのね!」むかーっ!
「スケコマシって・・ああ、なるほどね。納得。」「まったく!ちょっと・・いや、そうとう顔がいいからって
すぐ身近の女性こますんだから!」「でもアイリスは出来ないからな~。僕はロリは道徳上ひかえるように
してるから。」「ひかえんでいい!あたしはこれでも・・」・・はっ!「と、とにかく今回はしょうがないとして、
次からは気をつけなさいね。」「はいはい。」「ほらさっさと起きて!今日はユーロトンネル越えよ!」ぷんすか。
翌日の夜、ドーバーの某レストランバー。カラン♪「あっ、いたいた。」「あら、リオンも一緒なの?いつから
そんな仲に?」「命?どうしてここに?」「ちょっと凱と派手にやりあっちゃって~(^^ゞ。気ままに1人旅ってのも
いいかな~と思って。」「またケンカか・・まあ仲がいいって証拠かもね・・」「・・リオン、熱でもあるの?」
「なんで?」「だっていつになくおとなしいから。普通ならこの店の半分は倒壊してるはずだし。」「なによそれ・・」
「ささっ、皆さん座って座って。」がたがたっ。「それではディナーにしましょう。」『いただきます。』ぱく。
『・・まずい。』「粗食だけで過ごす修練もしたが・・(―_―;;」「イギリスのディナーに期待する方が
間違ってるのよ。」「君はイギリス人だろ、アイリス。(^_^;)」「そうかなぁ。私はオイシイと思うけど。」
「命の・・いや、命姉ちゃんの味覚は論外だと思う。」「でも・・こうやってゆっくり食事していいのかな。
どこに敵が・・」「それなら大丈夫よ、ほら。」「え?・・あれ?」ユラ・・「あそこのテーブルの三人・・」
「・・」もぐもぐ。「「うまからずとも誉めて食え」というが、これは誉めるところがないな。」「・・同感だ。
これなら山カガシのほうがよっぽどうまい。」「・・」「度鬼はもくもくと食っているが・・」さっ。「なんだ?」
「これは・・忍醤油。」「用意がいいな。もらおう。」トロッ。ぱく。「・・うん、悪くない。神居も。」「うむ。」
「第4小隊の面々よ。」「へぇ~、美形ぞろいじゃない。」「仮面つけてるのが紅影さん、片目のロンゲが度鬼さん、
軽装なのが神居さん。」「あいさつもしねえのか?なら・・」キラッ。「ほれ。」ヒュッ!・・スカッ、カラーン。
「あれ?」「あれはオボロ影。虚像よ。」「虚像?!じゃ、どこに?」『ははははは!』ゴオオーッ!「なんだあ?!」
「紅影、参上!」びしっ!「・・」すっ。「神居、ここに。」すとっ。『我ら第四小隊、忍者部隊。』「どこに?!」
「天井で食事をしてた。」「・・ヘンな連中~。」「特に紅影さんは目立つわね~。・・ん?度鬼さんの持ってる棒、
まさか。」「・・」すっ。「七節棍?!」「度鬼さんは志保ちゃんの先生よ。」『志保の?!』「いかにも!度鬼の
七節棍術は世界一。だがまだお嬢はその域には達してはいないがな。」「・・」「・・なに?もう少しか。」
「へぇ・・志保の先生とあれば、さぞかし強いんだろうね・・」「・・どうしたのリオン?いつものあなたなら
速攻勝負に出てるはずなのに。」「命・・あたしゃもうそういうのはヤメにしたのさ・・ごちそうさま。」ガタッ。
ことこと・・バタン。「・・いけないな。まだ傷をぬぐいきれていないようだ。」「無理もない、隊長。自分が人外の
ものだと知れば、ああなって当然・・」「・・こりゃちょっと手間ヒマかかりそーね。」ぱくぱく。
ユーロトンネル・ドーバー側出入口。『ヲイル様、準備完了致しました。』『ご苦労です。』『しかし、NO.2で
あられるヲイル様がこのようなテロ作戦においでになられるとは・・』『アルプスでの教訓です。「今度は
あなた自ら指揮を取りなさい」との、ンドゥーネ様の勅命です。』『タイヘンですな。』『まあ仕事だしね・・
(ホントは別件なんだけど、お仕事もしとかないとね~。)』ぺろっ。『なにかおっしゃられましたか?』『いえ、
ところでフランスの方は大丈夫ですか?事が終わる前に第13小隊に駆け付けられでもすれば、全ては水泡に
帰します。』『その件でしたら、入手した情報によればリオン・レーヌは現在戦闘不能との事。ならばもはや
障害とはならないかと。』『・・だとよいのですが。さあ、ユーロトンネル爆破作戦、第一次爆破準備です。』
ザザーン・・「ここにいたの。」「・・命か。あまりあたしに関わらない方がいいよ。五体満足でいたいなら。」
「それは無理よ。あなたの従兄の奥さんだもん。親戚づきあいってのがあるし。」「そうだったね・・でも、
そういうんじゃない・・」ザザーン・・「月明かりのない夜の海って、どこか不気味ね・・」「一度落ちたら
絶対の暗闇・・まるで今のあたしだ。」「・・?」「今度あたしの中の<悪魔>が目覚めたら、二度と戻れないような
気がする・・」「・・怖いの?」「・・」「それを責めたりしない。私もそうだから・・。奇跡的に<こっちへ>
戻れたけど、街や仲間・・何より愛する人を傷付けた事実は一生消えない。今でも夢に出るのよ・・全てが
物質昇華された星で1人佇んでる夢・・」「・・命。」「それでも・・私は私でいたい。たとえ、姿形が変わろうと
<心>を見失わなければ<自分>はなくならない。」「じぶん・・」「そっ、この世でたった1人の<自分>。
人真似なんかじゃない、あなたでないと駄目なのよ。」「あたしで・・ないと。」「そう思ってる人は・・
ロボットもだけど・・私達だけじゃないわ。ううん、誰もが生まれた瞬間からそうなのよ。」「そうだろうか・・」
「そうよ。」スッ・・「あんたも来たのか。」「人ごとだと思えなくてね・・私も<変った>クチだから。」ふっ。
「・・どういうこと?」「実はね・・」ハッ!「アイリス、伏せて!」ゴオッ!ボコーン!「ゾンダリアン!?」
にゅにゅにゅ~っ!「こんなトコまで出てくるなんてホント節操がないんだから!リオン、アイリスをお願いっ!」
「え・・」ドン!「獅王流星撃!」ボコォォーン!『ぐはあっ!』「速い・・」ザシャッ!「リオン、後ろ!」
ハッ!『くたばれぇ!』ガキィーン!「・・防いだ?!」「条件反射ね。そして!」ヒュッ、バキィィーン!
『なにぃっ!』「・・アイリス?!」「雷牙博士に作ってもらったキック力UPシューズ。すごいでしょ?」
「子供に物騒なオモチャ作るわね~(^_^;)。あ、子供じゃないか。何せ・・」ズズーン!「爆発音?!」
「音と聞こえた方角からすると・・ユーロトンネル?!」「命、行こう!」「せっかくだから応援しなきゃね!」
「・・待って!」ダッ「リオン?」「あんたは・・なぜ戦える?十字架背負って、自分の中の<悪魔>に怯えながら、
それでも!」「共に生きるため。」「?」「地球や人類や宇宙のという、大それた理由じゃないの。ただ、凱と一緒に
いたい・・獅王機甲拳始めたのもそれがきっかけ。」「・・・・」「<あの時>・・彼は私に言ってくれた。
「お帰り」・・と。その時分かったの。「ああ、帰る所はすでにあったんだ」と。だから・・私は戦う。自分の
居場所を守る為に!はあっ!」シャッ!・・「共に生きる為・・」「・・追っ掛けなくていいの?」「・・アイリス。」
「私も戦ってるの。私は居場所を<取り戻す>ため・・」「?・・」「行くなら便乗させるわよ。」チリーン。
「自転車?」「あたしの愛機、補助動力付自転車「轟天号」よ。」「・・どっかのアンドロイドの愛車みたいだな~。」
「補助動力はジェットエンジンで最高時速200㎞。」「200?!バイクなみじゃない!」「行くの?」「・・うん。」
「さっ、乗った乗った!」ひょい。「アゴ引いて。轟天、発進!」ピッ。ヒュィィ・・ドンッ!「おっとぉ!」
がっくん!「いててて!首くび!」「だから言ったのよ。・・3分のタイムラグか・・間に合えばいいけど。」
「前々から思ってたけど・・かわいくないガキンチョ。」「ガキじゃないわ!本当はあなたより年上」「は?」
「・・なんでもない!スピード上げるわよ!」ドオン!ごきっ!「いててて!」ゴオオオーッ!
『第1段階、成功です。』『こうもあっさり上手くいくと、かえって不安ね・・』ぴくっ。『そこ!』チャッ、
シュパッ!「おっと!」パシッ!『私の手裏剣を受けた?・・何者です!』『わははははは!』ゴオオオーッ!
「紅影、参上!」びしっ!(腕ぐみポーズ)『・・どこかで見たよーな?』「そこなお嬢さん、ユーロトンネルを
爆破して通行妨害を図るとは言語道断!この紅影、みのがすわけにはいかんな。」「そのとおり。」スタッ。
「・・」ストッ。『三人も?』「いいえ、四人です。」スゥッ。『はっ・・(いいオトコ・・)』『お前たちか!』
『知っているのですか?』『はっ、国連秘密部隊・第4小隊。通称「忍者部隊」です!』「ニンジャ?たしか・・
諜報・非合法任務のエキスパートがそう呼ばれていると聞きおよびます。』『いかにも。我ら情報部戦隊の
ライバルともいえます。』『ライバルか・・なるほど。』「お名を聞きましょうか。」『先に名乗るのが礼儀でしょ。』
「そうですね・・僕は第四小隊長、服部刹羅。以後お見知りおきを。」『私は情報将ヲイル。よしなに。』
「ごていねいに・・では挨拶も終わったことですし、仕事といきましょう。」『そうね・・情報部戦闘部隊、かかれ!』
『おおっ!』シャシャッ!「ヲイル殿、あなたの相手は僕です。」キラッ・・『ほう・・サブミクロンの鋼糸ね。』
「さすが。一目で見抜いたのはあなたがはじめて。」『では楽しみましょうか。魔剣バルムンド!』シャバッ!
ブゥゥン・・「切れ味がよさそうですね。・・ときに巨大化はしないのですか?」『他はともかく、情報部隊員には
プロの誇りというものがあるわ。それに、小さいがてごわい敵相手に巨大化するのはスキを多くするだけ。
それこそ総身に知恵が回りかねってことになるわ。』「ほう・・さすがに上位神種。それに・・」『・・なに?』
「神種形態でもキレイですね、あなたは。」『・・(真っ赤)』「惜しいですね・・あなたのようなキレイな方を
切らねばならないとは。」ゴオッ!『これは?!・・すさまじい殺気!』ザッ!「覚悟してくださいね。」すっ・・
「さあきたまえ!」『紅影、今日こそ倒してやる!』ザッ。「ほう、お前はフレイムか。元気だったか?」
『いくぞ!ファイヤー!』ゴオオーッ!「おっと!」ひょい。『今回はパワーアップしてるぞ!ファイアー!』
ズボボボーン!「ほう、火球の連打か。ならば!忍法、消火陣!」ちゃっ、シュバババーッ!シュシュン!
『なにっ?消えた!』「はははは、火の用心だな。」『くっ!・・退却!』ズズズズ・・「ムダだな、私には見える。
忍法、紅い彗星!」ピッ。シュバッ!「この仮面は特殊フィルター内蔵でね・・そこだ!忍法、影縫い!」
シュパッ!トカカカッ!『むうっ!動けぬ!』「ははははは、そこで壁の花になっていたまえ。」『くそうっ!』
シャシャッ!「おそい。」ガシッ!『なにっ?!背後をとられた!』グン!「飯綱落とし!」ドゴオオオーン!
『ぐはあっ!』ヒュッ、スタッ。「これで三人。」『同時にかかるぞ!』『おう!』シャシャシャッ!「正面から
二人・・」スッ、シュシュシュッ!『突っ込んでくるぞ!』『一人はやられても、もう一人が斬る!』「どうかな?」
ユラッ・・ユラユラッ。『な、なんだ?!』『動きが・・読めん!』ピキィィーン!・・『バカ・・な・・』
『一瞬にして・・二人を・・』・・グラッ、ドサドサッ・・「変移抜刀霞斬り・・次か。」カチン。シャッ!
「・・」『右手だ、奴は右視界は狭い!』シャシャッ!タン!『覚悟!』ゴオッ!カキィィーン!『ちいっ!
受けられたか!』ヒュッ、バキィィーン!『ぶはっ!』ダダーン!ビュンビュン!バキバキッ!『ぐはあっ!』
『なんという棍の腕だ・・距離をとって手裏剣で倒せ!』バッ!キラッ。ブン!カカカカカン!ドゴオオーン!
『なにぃっ!』『棍が・・伸びた!』ジャララッ、カシーン!『一瞬で棍に戻った・・これが七節棍か。だが!
手裏剣!』シュババババッ!ヒュルルルッ、キキキキーン!ピシッ。・・ボゴッ!『はがっ!』『なんだ?!
いきなり頭部が爆発?!』ピシッ。ドゴオッ!『あぶこっ!』『これは・・指で鋼球を弾いてるのか!』
シュルルルッ。『おっと!』シュバッ!ピキーン!「切りますね・・僕の糸を。」『このバルムンドに切れぬものは
ないわ。』「ならばこれはどうです?忍法、鳴門。」シャァァァ・・『これは?・・なんて美しい模様・・はっ?!』
シュババッ!・・パラパラ・・『はあっ、はあっ・・あぶなかった。幻惑効果があったとはね・・』「見事です。
僕の糸をそこまで見切ったのはあなたで二人めです。」『・・一人めは?』「それは秘密です。さてと。」『はっ?』
「部下はみんな倒したぞ。」ザッ。「退けばよし、さもなくばここで・・」ザッ。「・・」チャキッ。『・・ここは
おとなしく退いたほうが賢明ね。囮の役も果たしたし。』ふっ。「?・・しまった!」バッ!『もうおそいわ。
ユーロトンネル爆破などというのは陽動、真の目的はリオンの抹殺よ!』「・・いない?!」『うしろを向いた
スキに退かせてもらうわ。それじゃ、アデュー。』・・「・・やられたか。」「まさか上位神種自らが陽動とは・・」
「情報将ヲイル・・おそるべし。」「・・」「急ぐぞ。リオンと命くん、それにアイリスが心配だ。」『うむ。』
ゴオオオーッ!「もうすぐね・・なにっ?!」ズズーン!「ゾンダリアンロボ?!」『飛んで火に入る夏の虫。
リオン・レーヌ、お命いただきます!』グワッ!「しまった!」「くっ!・・」「獅王砲撃拳!」ドゴオオオーン!
『なにいいいーっ!』ズガガガガーッ!「・・命!」シュゥゥゥ・・「おかしな気配を感じたんで隠れて様子を
みてたのよ。大正解!」『なんのこれしき!』ゴバアッ!「あら?けっこータフ。」『こんなこともあろうかと、
装甲度を高めておいたのだ。よって打撃系攻撃は効かぬ!』「こりゃちょーっとヤバいかな?」ズーン!
「・・命、さがってな。」「・・リオン?!」「アイリスをたのむ。」「・・わかった。」『ほう・・覚悟を決めたか。』
「うるせえ!でかけりゃいいってもんじゃねーんだよこのバカ!」「おっ、リオン節が復活してる~!」「やっぱ
強そうな敵を前にすると気力充実するのかな?」「だいたいか弱いレディーにちょっかい出そうってヤツが
そんなむさ苦しい格好してるんじゃねーよ!もちっとTPOってもんを考えろセンスなし!」『こ・・このお!』
「お~お~すごい挑発!」『武器も持たぬ貴様などひとひねりだ!』ゴオッ!「ハイパーモード!おおおおーっ!」
ギーン!ジャバジャバッ!「うりゃあっ!」ガキィィーン!『ば・・バカな?!受け止めただと!』ギギギギ・・
「ずおりゃああああーっ!」グン!ふわっ!『え"?・・こっちにおちるううう~っ!』ダダッ!ズドドドーン!
『はーっ、はーっ・・(間一髪)』「リオン!どこへ投げ落とすのよ!」「死ぬかとおもったじゃない!(半泣き)」
「お?ごめんごめん。落下地点まで考えてなかったわ。」『ぬうううーっ!』ゴバアッ!『わわわわっ!』ダダッ!
『ちょっとビックリしたがそれだけだ。効かぬ、きかぬぞおおお~っ!』「けっこーガンバリ屋さんだね~。」
シャシャッ。「あれか。・・おや?」「ほう、リオンが戦っているな。」「どうやら克服したようだな。」こく。
「ではここは危なくなるまでリオンに・・ん?」・・ブロロロロ!「トンネルをフランス側から何か・・来る?」
ブロロロロ!「ん?・・あれは!」『リオン~!』「ポルコ、お蝶!」『なんだ?』キキィィーッ!「お待たせ。」
『そろそろカムバックするころだろーとおもって、武器もってきたよ!』「ひかりんとやーみんは?」「あっちで
ゾンダーロボと交戦中。どうやら足止め役だったようね。」「それで遅かったのか。どれ!」ガチャ、ガラガラッ!
『武装などさせるか!』ガクン。『・・おや?動けん?!』じたばた!「ちょっとだけおとなしくしてください。」
くいくい。「糸一本でゾンダリアンロボを捕縛するか・・さすが隊長。」ジャキジャキジャキーン!「武装完了!」
「はい、もういいですよ。」キラッ。『おおっ?!・・動けるようになった。』「さってとお、復帰第一試合!」
『・・よかろう。相手が強いほど燃えるというもの!』ザッ!「両者、礼!」さっ。「レディー、ゴー!」
♪ちりーん。(自転車のベル)『うおおおおーっ!』ドスドス!「キングギドラ!」ジャキン!ドドドオンッ!
『うわっ!』キィ~ン!「なんて発射音よ!」「トンネルだから反響する~!」ドゴゴゴオンッ!『むうっ!』
ザザーッ!『なかなかの威力だ・・だがムダだ!この装甲は破れん!』「そう思ったよ。」ぽい。『捨てた?』
「やっぱヤットウがいいかもね~。Gキャリバー!」ズラアッ!「Xカートリッジ、装填!」ピッ、ジャキッ!
「もう一発は」ガブッ。『終わりだ!』ゴオッ!「うるわあああーっ!(口にくわえてるので)」ビュン!
ドン!ピキィィーン!ズバアアアーッ!『・・腕があああああーっ!』「腕をタテに真っ二つ?!」「すごい!」
シュバアアアーッ!カシン!カラーン。「第二弾!」ぷっ。ジャキッ!「とどめるよ!はあああーっ!」ダーン!
「大ジャンプで敵の頭上に!」『むうっ!』「どりゃああああーっ!」カッ!ズババババババーッ!ザシャアッ!
バシュゥゥーッ!カシン!カラーン。コロコロ・・「おしまい。」すっ、くるっ。・・ピキッ、グラッ、ドドーン!
「なんと!」「あの重装甲ゾンダリアンロボを・・一刀両断に!」「あれこそ獅子の女王の真の姿です・・」
パリ、「トゥール・ダルジャン」。「ではリオン復帰祝いのディナーをはじめます。」ぱちぱちぱち!「ではみなさん、
ワイングラスを。」すっ。『チェリオ!』「今日はリオンのおごりだから、どんどん食べてね。」ブフォ!
「お蝶!・・マジ?」「大マジ。」「・・わかったよ~(TT)」「そうそう、あらためて紹介するわ。こちらは
GGG諜報部捜査課長、イリス・チェリーブロッサムよ。」「捜査課長?!このガキンチョが?」「これでも22なんだ
けどな。」「へ?」「まだ<本職>やってた頃にヤバイ事件に足突っ込んじゃってね。その時飲まされた薬のせいで
こうなったわけ。「イリス・チェリーブロッサム」も仮名なの。」「そうだったんだ・・元には戻れないの?」
「戻れない事もないけど、<完全>に戻るにはその時の薬の成分調べて解毒剤作らなくっちゃね~。
物事は様々な<事実>で構成されている・・けど、<真実>はいつも1つ。」「小難しい話するなよ。」「そのせいか
どうか知らないけど、イリスのEQは300以上。世界中の名探偵や名刑事が束になってもかなわないのよ。
あのシャーロックが敗北宣言したくらいだもの。」「あのイギリスの推理AIがか!」「あら、ホームズは私のいい
パートナーよ。いろんな情報くれるし、ヒントになる推論もしてくれるし。」「へぇ・・で、刹羅との関係は?」
「ステディです。」かあっ!「ば、バカ!そんなこと言わなくっても!」「本当ですから。見た目が変わっても、
アイリスは僕の大事な人です。」「ふ~ん。・・刹羅、大事にしなよ。」「もちろんです。」「そのわりには他の女性に
手を出すクセがあるのよね~。(一_一)」「リオン・・あなたまさか?」「ふふ~ん♪・・ヒミツよ。でと、命。」
「なに?」「おめえ、お蝶に呼ばれたんだろ?」ぎくっ!「やっぱり・・あまりにもタイミングが良すぎたよ。」
「・・他人事とは思えなくてね。」「私はたまたま薬の情報が入ったから。結局そっちは空振りだったけど。」
御堂音家。「申し訳ありません。私だけがおめおめと・・」「まあ済んだ事をとやかく言っても詮無き事。
ところでお土産は?」「はい、オレンジペコ。ウェッジウッドのティーセットもあります。おまけにパリで
仕入れてきたお菓子も。」「では早速ティーパーティといきましょう・・をや?」「・・なにか?」「ヲイル・・
なにかいいことありました?」「な、なんでですか?」「いえ・・ちょっとそういう気がしただけです。」
(・・刹羅か。またどこかで会えるといいな・・)「はい?」「さっそく入れますね。」そそくさ。「・・?」
********************************************************
♪ざん!(風雲再起作ではないのでひらがな)
GGG諜報部。限られた隊員のみが出入りできる特別区域、ここではゾンダーの情報が一手に集められ逐次分析が
行われている。また、それと同時に隠密行動を行う諜報部員たちの訓練施設でもあった。
「猿頭寺部長、これが新式のシミュレーターでありますか?」「そうだよ、ボルフォッグ。このシステムによって
君は今までのシミュレーターではできなかった『心』の経験を積むんだ。」ぽりぽり。「心の経験ですか?
よく理解できませんが?」「だからこそだよ。それでは・・志保君!」「ハイッ!」しゅたっ!「んふふ~、
覚悟してよね~、ボス♪」「志保隊員がらみとなると・・なんでしょうか・・この妙な違和感は?」
記録外ミッション50「心の絆」(作:春月 彩 作戦参謀 、改行および効果音追加:風雲再起)
サァァァァ・・「風を感じるとはシミュレーターにしてはよく出来ています。ですが・・」きょろきょろ。
改めて辺りを見渡しても目の前の映像に妙な違和感が感じられる。「ボス?どうしたの?」「志保隊・・・ん?!
これはシミュレーターの縮尺設定にバグがあるようです。」ボルフォッグはそこで違和感の正体に気が付いた。
いつもならズーム機能を使って見ている彼女の顔があまりにも近く、ほんの数十センチしか離れていないのである。
そう、視点の位置がいつもよりかなり低くなっているのだ。「うぷぷっ、ボス、自分の身体よく見てみてよ(^^)」
「身体ですか?・・なっ!!」いつもと変わらないはず・・だがそこに見慣れている鋼鉄の腕はなく、かわりに
人間の腕が見て取れる。「こ、これはいったい・・ちゃんと意識どおりに動くようですが?」「説明しましょ~♪
その身体はね、ボスのAI意識からシミュレートされた身体なのです!でも・・ふぅん。」彼女の顔がさらに近づき、
その瞳はまさに興味津々と言った感じである。「なんですか?志保隊員・・そんなにマジマジと・・」「こうやって
ボスの顔を見れるとは思わなかったから・・結構いけてる。」「・・からかわないで下さい。」「紫色の瞳ってのも
神秘的だし、どことなく・・」「どことなく?なんですか?」「えっ!? ううん、なんでもないの!!
それだけじゃないわよボス。機能チェックとか無線通信とかできる?」「・・??・・ダメです。そういった
機械機能的なものはすべて使用できません、志保隊員なぜ私はこのような状態に?」『あー、それについては僕から
話そう。』「猿頭寺部長?」何もない空間にいきなり画像が浮びあがると、そこにはいつもと変わらないボサボサ頭
が映し出されている。『ボルフォッグ、君を始め氷竜、炎竜のビークルロボ達は確かに優れている。また超AIに
より、今までとはまったく違った概念での戦闘行動も可能になった訳だが・・』ここでいったん言葉を切ると、
いつもの開いているかどうか解らない目が見て取れるほどの真剣な表情で、『だがその分、どうしてもその性能や
武器に頼ってしまっているように僕には見えるんだ。その為、自分の性能を上回る敵や攻撃の通用しない相手と
対峙したときの超AIに、無視できないほどの負荷が検出されている。これは人の「恐怖」とも呼べる反応なんだ。』
「そんなことはありません。私達にはそういった感情は存在しないからです。」『僕もそう思っていたさ。でも
君たちの超AIは僕達の予測をはるかに越えた成長を遂げ、今では一個の人格と呼んでもいいくらいに成長して
いる。だが、まだまだ未熟。理解しなければいけない事がいくらでもある・・そしてそれを理解した時、君は
今よりももっと強くなれるはずだ。そしてその時こそ真に「勇気」というものを理解できると思う。』「なるほど・・
それでこのシステムですか。」『ま、そういう事だね。』ぽりぽり。「さすがボスは飲み込みがはや~い。」
『一応テストケースという事で、これがうまく行き次第氷竜・炎竜にもこの訓練を受けてもらう事になる。なお、
この空間での君は人間となんら変わりがない。姿形ばかりでなく人と同じ五感も体感できるし、身体能力にも
制限がかかっている。』「とはいえ、いつもボスが動くのと変わりないくらいの能力はあるのよ。努力もせずに
そんな身体なんて贅沢ってモンよ。」「そうですね。できれば私も鍛える時からの方がいいと思います。」
2人に視線を向けられた猿頭寺はすまなそうに『うーん・・残念だけどそこまでの時間的余裕はないんだ。
EI-02の出現から頻発するゾンダーの襲来、奴等もどんどん強くなって今までのデータを・・』
「部長、話はその位にしましょう。いまは修行が先です。」『うん、そうだね。このシステムは、次回からは
志保君と君がいれば使用できるようになっている。頑張ってくれよボルフォッグ。』プツッ。
空間に浮いていたモニターが消えると、そこは実世界といっても区別が付かない自然の景観が広がっていた。
鳥のさえずり、流れる風も心地よく今までセンサーで感じていた感覚とはまるで違っているように感じられる。
「このような手付かずの自然など実世界では見た事がありません。Gアイランド近辺ではありませんね・・」
「ここはね、私の故郷『伊賀の里』がモデルになってるのよ。」「なるほど・・」「ま、機会があったら連れていって
あげるわ。さてと・・おしゃべりはこの位にして、まずは小手調べといきます~かッ!!」ジャジャジャッ!!!
「なんの!ムラサメ・ブレード!!むっ!?」ゴス!ボスッ!!ボゴッッ!!「・・ぐぅ、ゲホッゲホッ・・こ、
これは息が出来ません。」いきなり繰り出された指弾があまる事無く身体にめり込み、さらに喉からこみ上げてきた
酸っぱい感触でさらに息が詰まる。呼吸などした事がなかった彼にとってそれは体験した事のない苦痛であった。
「あちゃ~・・それが『苦しい』って感じよ。でもここまで酷いとは思わなかったなぁ(^^;」「げほっ・・
どういう事ですか志保隊員。」「いい?人には内蔵武器なんてないの。それにボスの力量ならあれくらいの指弾、
躱せて当然でしょ。なのに防御機構に頼りそれを怠った・・これって慢心以外の何物でもないわ。もし防御機構の
限界を超える攻撃だったらどうなると思う?」「・・返す言葉もありません。」苦痛に歪む彼の顔にさらに深い影が
落ちる。そんな彼をジッと見つめる彼女の顔がフッと微笑むと、人差し指で彼の鼻を突つきながら、
「まだ理解できないでしょうけど、覚えておいて・・心・技・体、これすなわち武の礎なり。」「心・技・体・・
武の礎ですか?」「そゆこと。ココロ、ワザ、カラダこの三つがすべての武の基本。これがそろわない者は
すべからく上辺だけの存在。この三つがあってこそ『魂』を燃やし、限界以上の力を発揮できるの。
そして『魂』の宿りし武技は無敵の『牙』となるわ。そして武器や防具はそれを助ける『従』。けっして『主』では
ないという事をよく覚えておいて。」「わかりました。深く胸に刻んでおきます。」「うん、じゃ仕切り直しよ!
さっさと立つ!!」「では・・シルバームーン!!」シャシャッ!!「甘~い!!」ガキキンッ!!
ビックオーダールーム。まだ隊員数も少ないため、今この場所には2体の影しか見えない。そしてその近辺を
小さな影が動き回っているのが見える。「炎竜、最近ボルフォッグの姿を見ませんね・・」「ん、まーあいつは元々
諜報活動が主なんだし、きっと護の警護でもしてるさ。」「いえ、いままではどんな時でも一日に一度はここに顔を
出していたのに、この場所では663時間前に姿を見たきりです・・ピギー、アナタは何か知っていますか?」
「ピキュピキュピキュユ・・」氷竜の問いかけに忙しそうに動いていたロボットが動きを止めるとすまなそうに
答える。「そうですか・・あなたも何も知らないのですか・・気になります。もしかして最近の戦闘での飛躍的な
戦闘力の向上と何か関係があるのかも・・」「兄貴の考えすぎだって。ボルフォッグにだけ特別な改造がされた
なんて聞いたことがないぜ。」「それはそうですが・・なにか決定的な違いと言うものを感じるのです。それは
今まで凱機動隊長に感じていた『力』と同質のもの・・」ガギョン!「その推理あながち間違っちゃいないぜ。」
「ゴルディー!どういう事ですか?」いきなり現れたゴルディーマーグに対して氷竜がたずねる。
ゴルディーマーグはピギーからオイルドリンクを受け取り一口飲んだ後、「凱隊長は人間で俺は火麻参謀の
思考パターンを使用してる。だがボルフォッグやお前らは違う。ま、そういうこった。」「なんでそれが戦闘力の
向上に関係すんだよ?」予想していた事とまったく見当違いな解答に炎竜が食って掛かる。「ふっ、自分で考えな。」
「んだと!!」「止めなさい炎竜!!そうです、これは自分で考えなくてはいけないのです。」「ま、ヒントくらいは
出してやるか・・ボルフォッグは自分に欠けていた真の『勇気』を掴みつつある。そしてそれはお前らにも絶対に
必要だ。」「・・・・・・真の勇気?」
ボムッ!!「爆煙!?くっ・・何も見えません。」『ふふふ・・目で捉えようとしてもムダムダ。意識を集中して
心で感じなきゃ。』「なるほど・・要は心。目は必要がないですか・・ならば」スッ・・『(すごい・・いきなり目を
閉じるなんて私にはできなかった・・でも本物かどうか試してあげる!!)』ヒュヒュヒュッ!!「むっ!」プンッ!!
『なっ!苦内を全部避けた!?』「志保隊員、手加減無用!!」『そう!ならば本気で行くわよ!七節棍!!』
ビュッビュッ!「目が見えないというのはとてつもない恐怖ですね・・ですが、この感覚・・センサーとは違う、
音が・殺気が・・・見える!」ププンッ!!『(くっ!これも避けるなんて、本物ね・・こんな短期間で心眼まで
習得するなんて。お兄ちゃんといい勝負・・でも!まだ負ける訳にはいけない!!いくわよ志保!)朧霞!!』
「・・ぬ!?志保隊員の気配が増えた!?」「霞谷流忍術、八又大蛇!!」フンッ!ボボボボボッ!!!
バキィィーン!!「ぐっ!・・殺気が同時に複数襲ってくるとは・・これでは本体である棍を躱し切れません・・」
ツウゥ・・『ふふふ・・その出血じゃもう躱せないでしょ?そろそろギブアップしたら?」「まだ・・まだ倒れる
わけにはいきません!!」「そ、じゃあとどめ!八又大蛇!」ボゴゴゴン!複数の殺気とともに必殺の棍が
ボルフォッグへと叩き込まれる。「うふっ、今日も私の勝ちみたいっ・・て、変わり身!?」バン!『同じ技を
同じパターンで繰り出すとは私を舐めすぎです志保隊員!』「くっ・・隠形!!」フッ・・「消えた?!だが・・
気を細くせよ、水滴のみが岩に穴を穿つ・・そこです!!シルバームーン!!」「ちぃ!まだまだ!!火炎旋風棍!」
ごひゅひゅひゅひゅ!!「重々承知、こちらが本命です!!」「なっ!?後ろ!!!」「大回転魔弾!!」ギュン!
バシュシュシュシュ!!「きゃーーーっ!!」背後からの攻撃にバランスを崩し倒れた志保が人の気配を感じ
目を開けると、そこにはボルフォッグの顔。首筋には刃が当てられている。「・・まいった。」ふぅ。「ついに一本
取れました。・・さ。」すっ。「ちぇー。ちょっと甘かったか・・失敗したなー。」ボルフォッグの手を借りて
立ち上がると心底悔しそうにつぶやいた。
「ふー、ちょっと疲れちゃった。」「そうですか、では戻りましょう。」「違~う。このまま休憩。きっと現実世界
よりもいい休息になると思うよ。」「それもそうですね。」煙幕が薄れていくにつれ辺りの景観が見て取れる。
落差のある岩肌から沢の水が飛沫となって降り注ぐ音と鳥のさえずり、岩辺を抜けた冷たい風が心地よい。
「ここはね、小さい時からの私のお気に入りの場所なの。ここだけは忠実に再現されてるんだ。」「そうですか。
なるほど、い・・」いい所、そう言いかけたボルフォッグは言葉が出てこなくなってしまった。上気した身体を
冷やすため服を少しはだけ、日にキラキラと光る汗をぬぐい首筋に張り付く髪をかき上げている志保の姿が
飛び込んできたからだ。「・・奇麗です。」「ん?どうかした?」「い、いえ!なんでもありません!!」ばっ!
『(私とした事が・・・つい志保隊員に見入ってしまいました。)』
ザァァァァ・・腰を下ろすと仮想現実とはとても思えない静寂、沢の音が心地よい。「ね、ボス。ちょっと聞きたい
ことがあるんだけど?」「なんでしょうか?」「あのさ、ボスってホントにショタコンな訳?」「グッ!?
ゲホゲホ・・いきなりですね。」「まー、回りくどいのって苦手だし。」「・・そうですね、護隊員はゾンダー核を
浄解できる能力もあり、GGGにとって全力で守らねばならない重要な存在です。ですが・・」「でも?」「その、
何というか、そういう事とはまた違った・・そう、大切に思う存在。そしてそれを守る事は私に与えられた義務の
ように感じています。」「なるほどー、なーんとなく分かった。それって、お兄ちゃんと一緒だ。」「お兄さん?
志保隊員に御兄弟がいたとは初耳です。」「ま、ね。お兄ちゃんもある秘密部隊に所属してるからおいそれと名前も
出せないんだ。」そして志保は膝を抱え、古い記憶を懐かしむかのように言葉をつなぐ。「小さい頃はね、修行の
最中まで後ろにくっついて追いかけてたっけ・・お兄ちゃんの力量なら私くらい簡単に振り切れるはずなのに、
いつも私が見失わないようにしてくれて・・それに私に何かあると必ず助けてくれるの。忍者としての才能も
私よりもずっとあって・・」「そんな事はありません。志保隊員こそ歴代最強といわれる手練ではないですか。」
「フフッ、私なんてマダマダ。パパ、ママそれにお兄ちゃん。誰にもかなわない・・ボスにも追いつかれちゃった。」
そういった志保の顔に一瞬現れた寂しさをボルフォッグは見逃さなかった。「それは志保隊員の思い違いです。
初めから本気の志保隊員を相手にしたらまだかなわないでしょう。やっと、志保隊員に全力で相手をしてもらえる
だけのレベルになったという所ではないですか?」「でもそれだって時間の問題でしょ!」「いいえ、志保隊員の
技量はまだまだ成長段階です。それは私が保証します。しかし勝てないと思っていたら、そこで前進は止まって
しまいますよ。」「それはそうだけど・・でも。」「ではこう考えてはいかがでしょうか?追いつかれたと思うのなら
追い返せば良いのです。それにその方が修行にも力が入るのではないですか?」「うん・・」返事は返ってきた
ものの、どうもまだ納得しきれてないようだ。ボルフォッグは一つため息をついて、「私はこの数週間、志保隊員に
追いつく事だけを考え修行をしてきました。なぜだと思います?」「部下より力がないのは勇者としてのプライドが
許さないから?」その答えを聞いてボルフォッグは首を横に振る。「それは志保隊員、アナタと共に修行が
したかったからです。」「(どきっ!)それって・・私のため?」「はい、互いに切磋琢磨する。それこそが本当の
修行だと私は思うのです・・そしてこれからが本当の修行です。時間がかかってしまいましたが、よろしくお願い
します、志保隊員。」優しく微笑みながら手を差し伸べる彼の顔が眩しい。どことなくお兄ちゃんに似ている・・
そう思ったのはまとう雰囲気が似ているせいかもしれない。「AIのボスに諭されるとは思わなかったなぁ~。」
「すみません。人としての感情すら理解していない私が助言などと。」『AI』その言葉を聞いてちょっと彼の顔が
曇る。やっぱり気にしてるんだ・・「うぅん・・・嬉しいの。ボスの心って本当に純粋なんだもの。」この時、
私はこの人になら話す事が出来る・・そう思った。「本当はね。あなた達勇者ロボがうらやましかった。私も
機界生命体と正面きって戦いたかった。そうすればお兄ちゃんに並べるんじゃないかっておもって・・
初めはただの憧れだったの。でもその内それだけじゃない感情が私の中に生まれて・・兄妹でなければ・・何度も
そう思った。」「・・・・」「お兄ちゃんが秘密部隊にスカウトされた時、お兄ちゃんは「一緒に来ないか?」って
言ってくれて・・でも、私は足手まといになるって自分から辞退したの・・正直、逃げたって言うのが正解かな。
それでね、おじいちゃんの薦めでGGGに入ってすぐ、私もGストーンを埋め込んだサイボーグにして下さいって
麗雄博士に頼んだの。」「・・それで?」「もぉ、そんなに恐い顔しないでもいいでしょ。見ての通り。バカモン!
って叩かれた。で、泣きながら言うのよ・・『君のその身体がいかに尊いものか解らないか?』って・・すっごく
痛かった。」「博士の言う通りです。人とはその血の通う身体があってこそ輝くのです。たしかに凱機動隊長は
サイボーグの身体によって計り知れない力を手にしました。ですがその代償は余りにも大きいものです。」
確かにそう、あの時は大きな力だけを求めていた。でも命さんと知り合ってその悲しみに触れるたびに、その業の
深さに私は恐怖した。「そうよね・・命さんの涙がすべてを語ってるよね・・」
また静寂が辺りを包む。どうしても居心地が悪い。だから私は思い切って、「ね、ボス。私の事はどう思ってるの?」
言ってから恥ずかしくて顔が赤くなっていくのが分かる。「言ってもいいのですか?」「もっちろん!!
なになに?」「自己中心的な数々の問題、歩く電光掲示板、諜報部の副長としてもっと自覚を持って下さい。」
ズデデッ!「だ、だからそういうことじゃなくって・・その感情でってことで・・」「むむっ・・そ、その、
志保隊員といる時は、護隊員とはまた違った・・言ってみればとてもよい充実感が得られるのです。」
その答えとともに真っ直ぐに見つめられ、私の胸は早鐘のように鼓動を繰り返す。「ですが、これはいままでの
私には存在しなかった感情なため、どう表現していいのか・・とても言葉にできないのです。これでいいですか?」
とても優しい笑顔、この笑顔は私だけが知っているもの・・こくっ・・唾を飲み込こんだハズなのに口の中が
カラカラになっている。「それって・・こうやって表現できる?」つい言葉になってしまった。ダメ・・もう、
止まらない。紫の瞳に吸い込まれるような錯覚・・そして・・重なる唇・・暖かくやわらかな感触・・時が止まる・・
私の中のある感情がどんどん膨らむ・・そして気づいてしまった。だから・・私はシステムの停止ボタンを押した。
「・・志保隊員。」問い掛ける彼の顔がもまともに見れない。「ふー、汗かいちゃった。私、シャワー浴びてくるね!」
ダッ!!「待って下さい!!志保隊員!!」なぜかこの場にいたくなかった。そしてボスの制止の声を振り切って
私は居住区へと続く通路へと駆け出していた。
タタタタタタタタッ!「あら?」「ん、どうした命?」「ねえ凱、あっちから走ってくるの諜報部の志保ちゃんじゃ?」
「なんだか凄い勢いでって・・うわっ!」「ぶつかる!!」トンッ!ツタタタタタタタタッ!「・・み、命。彼女、
壁・・走ってったぞ(^^;;;」「・・・・。」「どうした?腰が抜けたのか?」「そんなんじゃないわ!・・ただ、
彼女、泣いてるみたいだったから・・」
パシュー!「ハッ!ハッ!ハッ!・・はっ、はぁ。」自室に飛び込むとそのままドアに寄り掛かってしまう。
「馬鹿みたい・・まただ・・絶対に結ばれないじゃない・・志保ちゃんともあろう者がなにやってんのよ。」
ぽたっ・・ぽたたっ。止めようとしても涙は止まらない・・。「でも・・切ないよ・・ボス。助けて・・。」ギュ!
自らを強く抱きしめて力なくその場にしゃがみこむ。その姿はもろく崩れてしまいそうなほどか弱く見えた。
その頃、スサノオでは・・ドゴォン!「くっ・・私は一体なぜここにいるのでしょう・・なぜ彼女の元に行けない
のですかッ!!」そう、彼女の消えた通路は狭く、彼の通行を決して許しはしなかった。「今まで誇りに思っていた
この身体がこんなにも恨めしいのはなぜですか!!」ドゴォン!!はなった拳が床にめり込む。「AIが苦しい・・
これは『切ない』というのでしょうか・・こんなことならば私は『心』などいらなかった。ただの戦闘ビークルの
ままでいたかった!!」ゴォォン!「心は理解できてもそれを表現できない私はどうしたらいいのです!ただ一言、
ただ一言伝えたい・・これは何という思いなのでしょうか!」ツゥ・・キラッ!「む!これは・・まさか!?」
メインオーダールーム・・「おはようございます、猿頭寺部長。また徹夜ですか?」「・・ん?やぁ、おはよう
ボルフォッグ。まだ4時じゃないか。どうしたんだいこんな時間に?」「実は志保隊員の姿が見えないのです。
シフトスケジュールによれば今日はスサノオの当直のはずなのですが・・何かご存知ですか?」それを聞いた
猿頭寺の顔が一気に渋くなる。「・・それが志保君は昨夜遅くにいきなり辞表を提出して里に戻ってしまったんだ。」
「なっ!!猿頭寺部長、その辞表はすでに受理してしまったのでしょうか?」「それがね・・直属の上司の承認が
とれていないんだ。」そういって笑う彼の手には一通の封筒が握られていた。「ありがとうございます!」
辞表を受け取ると礼もそこそこにメインオーダールームを駆け出していた。「2人とも出張扱いにしておくから。
しかしゾンダーの襲撃となったらすぐ戻ってくるんだぞいいな!」「了解しました!」
膝を抱え座り込んでからどの位経っただろう。暗かった辺りが夜明けとともに紫に輝き始めていた。「はぁ・・
パパ達になんて言おう。」朝もやに霞む沢の飛沫と紫に輝く空を見ながら、つい呟いてしまう。GGGを飛び出した
ものの里には戻れず、気がつけばこの場所にいた。兄とそしてボルフォッグとの思い出の場所、そう考えただけで
また涙があふれてくる。「こうも簡単に後ろを取られるとは・・死にたいのですか?」「何もっ・・・ボス!?」
いきなり背後を取られそこに予想もしなかった存在を確認した時、その顔は信じられない者を見たという表情の
驚きが見て取れる。「やはりここでしたか。里の方にお伺いしたら、戻っていないと言われましたので。
多分ここではないかと思いました。なるほど、シミュレーションよりもなにかこう神秘的な雰囲気がありますね。」
「でも、なんでこんな所まで?」少し赤味を帯びた顔が期待込めて彼に問い掛ける。「貴方の辞表が正式の手続きを
踏んでいなかった為です。」あまりにも事務的、その言葉を聞いて明るかった彼女の顔が一気に暗くなる。
「あ・・、そう。で?どこを直せば良いの?」「私の質問に答えて下さい。本気でGGGを辞めるつもりですか?」
「・・うん、もう一度自分で修行してみようと思うから。」そう答えてもボルフォッグに真っ直ぐ見詰められると、
どうしても見つめかえせず目をそらしてしまう。「そうですか・・解りました。直接の上司である私が現時点を
もって辞表を受理しました。」『(止めに来てくれたんじゃないんだ。ちょっとは期待してたってのが甘いわね。)』
理解は出来てもやはり寂しかった引き止めてほしかった。表情には出さないでも心がまた泣き出しそうになるのを
グッとこらえる。「ではこれは餞別です。」そう言って差し出された彼の大きな手に比べればあまりにも小さい
長方形の小箱がちょこんと乗っていた。「ペンダント?・・これってGリキッドの結晶?」箱を開けると首にかける
には少し大きめな涙滴型の緑色をした結晶が銀のチェーンに繋がれて入っていた。「私の『涙』です。」「涙!?
だって!!」「そうです。私にはそんな機能はありません。ですが昨晩、志保隊員を追いかける事ができなかった。
そしてその時の『思い』があふれその形となりました。さ、どうぞ。」マニュピレーターを器用に使い志保の首に
それをかけた瞬間、志保の身体が一瞬緑の光に包まれ彼の心が流れ込む。それはボルフォッグにも感知できない
ほどの瞬きであったが、彼の勇気、苦悩そして一番奥にある彼女にとっても大切な生まれたばかりの光。
そのすべての思いが志保の心の中を駆け巡りそして彼女の心を癒していく。『(私だけじゃない・・彼だって一緒。
なのに私ったらなんでこんなにクヨクヨしてたの!)』「ん?どうしました??」「ボス!!私、GGGに戻る!!」
いきなりの言葉だった。だかボルフォッグは彼女の言葉に首を横に振と、「いいえ、志保さん。貴方の辞表はすでに
受理され、管理コンピューターからも貴方の名前は削除されました。」「そ、そんな・・私、GGGが好き!!
みんなが好き!!もう逃げるのは嫌ッ!だからッ!お願い・・・ボルフォッグ!!」そこには先ほどと違い、
ボルフォッグの目を真っ直ぐ見つめ返す彼女がいた。もう迷いはない.、そしてその瞳の光は真に勇者のそれである。
ザァァァ・・沢の音の静寂の中にお互いを見つめ、長いのか短いのか時があいまいに思えた時、ボルフォッグの
顔がフッと微笑む。「・・ですが、諜報部はいつも人材不足。優れた技量を持った新入隊員はいつでも大歓迎です。」
それを聞いた彼女の顔に笑みがあふれ、こぼれ始める。「それじゃ・・」ボルフォッグは姿勢を正しGGG式の
敬礼をすると、「GGGへようこそ!志保隊員!!」「はいっ!よろしくお願いします、ボス!」彼女もまた姿勢を
正し、敬礼をする。そのさわやかな笑顔が二人の気持ちを表していた。「あ、あのところで・・お給料は現状維持?」
「もちろん、新入隊員時に逆戻りです。」「えぇ~~そんなぁ!!(;;)」
「ふむ・・これで里に戻ってきたら破門とするつもりであったが杞憂であったか。」少し離れた木立の中より
気配を殺して彼らを見詰める影が2つ。「あなた、あの子はそんなに弱くはありませんよ。」「無論、この私と
お前の子だからな。」それを聞いてさもおかしそうに問い返す。「あら心配で居ても立ってもいられずに飛び出して
きたのはどこのどなたかしら?」「む・・さて気がつかれる前に戻るぞ。」「くすくす・・ええ。」シュシュッ!!
「ん?・・あちゃ、パパ達来てたのか~。恥ずかしいなぁ・・もぉ。」「よい御両親ではありませんか。さ、
戻りましょう。私に乗って下さい。」「あ、ちょっと待って!」変形しようとしたボルフォッグを志保が慌てて
止める。「なんでしょう志保隊員。」「その・・お礼がしたくて。それに、ビークル形態じゃ無理だから・・できれば
その・・アイカメラ切ってくれる?」「はいはい。何をするつもりです?」フッ。はにかんだ仕草もかわいい。
そう思っても、言葉では少しぼやきながら素直に指示に従う。・・チュ♪いきなり口のセンサーに柔らかいものが
触れる感触。「しっ、志保隊員!?」「もう少し!もう少しこのままでいて・・これがすんだらいつもの志保ちゃん
に戻るから。」「わかりました・・心で感じましょう。」朝もやも晴れ美しい朝日が彼らを照らす。大きさはまったく
違っていた。だが、お互いの心にはそんなモノは関係がない。そして繋がり混ざり合う。そこには人の姿の
ボルフォッグと志保の姿があった。(やっと理解しました・・心とは・・心とはこんなにも素晴らしいもの。貴方を、
護隊員を、そして愛すべき人々のために、私は『勇者』となる事をこの心に誓います。)
「へぇー、でそれがそのペンダントね?」「そうよミスティー。私の一番の宝物。」キラッ!曼荼羅要塞の展望室
から見える月の光を反射してネックレスとしては少し大きめな涙滴型の結晶がよりいっそう緑色に輝いている。
そしてミスティーにはそれに見入る志保の瞳もまた輝いているようにみえた。「だからこそ私のメモリーにも
ボスの事がこんなにいっぱい入ってるんだ(^^)」「・・う、それはいいっこなし。」「はーい、だって今は
ライバルだもん。こればっかりは志保ねぇにだって譲れないんだから!」「え?そんなことないわよミスティー。
ボスの相手はアナタ。結構お似合いよ。」「で、でも志保ねぇだって!!」「ううん、私は人で『彼』は勇者だもの。
お互いがいいパートナー。それこそが最高の関係。」「・・志保ねぇ。強い。・・・人ってすごいね。」
「ま、結構かかったけどね・・」互いの気持ちが解る相手だからこそもう言葉はいらなかった。(・・私の心は
志保ねぇの心でもある。もしかしたら『私』は志保ねぇの夢の具現なのかもしれない。でも『私』は『私』。
私も志保ねぇみたいになれるといいな・・)緑に輝くその結晶は月に吠える狼のごとく瞬き、優しく輝いていた。
パシュー!「志保隊員ここにいましたか。おや?ミスティーまで・・こんな所でどうしたのです?」「べ、別に?
月を見てただけ(^^;」「はーい、そーで~す。なんでもありませーん(^^;」「そうですか?では志保隊員、
今晩修行に付き合ってください。久しぶりに戦闘感を鍛えたいのです。」「う~、ボスからのお誘いじゃ断れない
わね~。でも代わりにあの修行もするわよ(^^)」「ヴッ、イヤな予感的中ですが・・・わかりました。」「ヤタッ!
今晩は寝かさないわよ~♪」「えっ、えっ?どういう事、志保ねぇ??」「聞くだけ野暮ってもんよ。そうね~・・
ヒント。そのシミュレーションでは人間でくノ一の得意技♪ま、私の場合ボス以外に使った事はないけれど、
ちゃ~んと伝授しておくから♪♪」「しっ、志保隊員ッ!!行きますよ。」ぐい!!「あ、ちょ、ちょっと
引っ張らないでよ~。じゃね~ミスティーおやすみ~~(^^)/~~~」パシュー!「・・シミュレーションでは
人間?ボスも人・・得意技!?」はっ!「あぁ~~、志保ねぇ!自分だけズルイ!!私も~!」ドドドドッ!
「光学迷彩解除・・やれやれ、ミスティーに知られてしまいました。」「いいじゃないの。まだ譲れないわ。」
「どういう事です?」「いいの、いいの♪それよりも・・ね。」「そうですね・・では。」「行きましょ。まずは
こてんぱんにノしてあげるッ♪」「ふっ・・・負けませんよ。」ガキョン、ガキョン、ガキョン・・・。
『(私のベストパートナー・・・大好きよ、ボルフォッグ。)』
****************
♪ザン!
『ジェネレーティングアーマー消失!Jジュエルジェネレーター重欠損!』「き・・キングジェイダーが!」
『Jバード強制排除。』バチーン!「なんだと?!トモロ、どういうつもりだ!」『Jキャリアはもうダメだ。
私が特攻をかける。』ドーン!「Jキャリアが特攻?!これはいけません!ミスティー、「弁天」をお願いします!」
「待て!トモロ!」「なんで一人でいくのよ!」「死ぬ時は一緒だと誓ったではないか!」「・・トモロ・・」
『すまない。その約束は守れそうにない・・さようなら。』「トモロ!」ドドドドッ!『JクォースΣ・スピアモード。』
シャキン!『特攻・・J、アルマ、フランソワーズ、ジョー・・楽しかったよ。』「まだです。」スゥ。『お前は・・
キングボルフォッグ。』「あなたはこんなことで死んではいけません・・私がお連れします、新たな翼へ。」
・・ブゥン、ピピピピ・・「・・システムチェック。全回路作動確認良好。」『・・モロ、トモロ!』「・・誰かが
私を呼んでいる・・」『トモロ!』「・・確認。ソルダートJ。」『おお!わかるか私が!』「状況説明を要求する。」
『うむ。お前はZG-29激突寸前にキングボルフォッグにより中枢コアユニットを回収されたのだ。そしてここは
ネオJキャリア内コンピュータータワー。』「ネオJキャリア・・たしかにオペレーティングシステムが異なる。
前よりかなりバージョンダウンしているようだ。」『ぜいたくをいうな。地球人が造ったにしては上出来だ。』
「システム再点検・・アルゴリズムの大筋は似ているので、校正にはさほど時間はかからんだろう。」『そうか・・』
「そのためにシステム構成チャートを要求する。」『わかった、GGGが持っているだろう。すぐに連絡をとる。』
♪ピピッ。パッ。『はい、マンモスオーダールームですぅ。』『おや?・・アクセスコードを間違えたか?』
『ソルダートJさんですかぁ?何かご用でしょうか。』『いや、JカイザーのOSチャートをもらおうと思ったのだが、
どうやらコード間違いらしい。』『それなら「蓬莱」の科学部に転送しますぅ。しばらくお待ちください。』『すまん。』
「ぶしつけで失礼だが、君の名前は?」『あれ?・・どなたですかぁ?』「Jアーク・・訂正、現在はJカイザー
メインコンピューター、トモロ-0117。」『トモロさんですか~。いいお名前ですね~。』「・・そうか?」『はぁい。
私はメイドロボXPG-02・マルチィといいます。』「Xナンバーということはプロトタイプか?」『お姉さまが
XPG-01・ピギーですぅ。そして03ナンバーの妹も稼動中ですぅ。』『オホン。・・トモロ、チャートはいいのか?』
「あ・・」『あ・・す、すすすみませぇ~ん!すぐにおつなぎしますぅ!』パッ。『はい、こちら科学部です。』
記録外ミッション51「エレクトロ・ラヴァーズ」(29話~)
「うんしょ、よいしょ。」ゴトン。ジャーッ!「ふぅ、オイルカップの洗浄はこれが最後ですぅ~。・・おっと、
そろそろチャージタイムですぅ。」マンモスオーダールームの勇者ロボ用巨大テーブル内部がピギーとマルチィの
お家である。とはいってもメンテナンスベッドがあるだけだが。ゴトン。「電源コネクト、循環液還元チューブ接続、
ホストオンライン・・」「・・やっとつながった。」「あれ?どなたですかぁ?」「トモロだ。」「トモロさんですか。
電脳空間でお会いできるなんて奇遇ですね~。」「いや・・待っていたのだ。君と話したくて。」「わたしと?」
「・・そうか。君にはモデルとなる人格がいたのか。」「生みの親である雷牙博士の娘さんだそうですぅ。なんでも
若くして亡くなられたとか。」「どうりで感情豊かなわけだ。」「いえ、これは情操プログラムですから。私はただの
ロボットです。プログラムされたとおりに動くだけですぅ。」「・・そうはみえないな。私の知っている限りでは、
君ほど純粋な人間は初めてだ。」「・・そうですかぁ?」ぽっ。「あれから君が気になって、いろいろ調べた・・実に
ユニークなロボットだ。君はまるで鏡のような子だ。」「カガミ?」「そう・・意識せずして人の範となり、それが
人に自覚と実行を促す。心弱きものには君はとてもまぶしく映るだろう。」「・・私はただ自分のするべきことを
やってるだけですぅ・・」「それさえ出来ない人間は大勢いる。そういう意味で君は人間の理想形を具現化したもの。
まさにマルチィはあるべき姿なのだな。」「・・だから人間ではなく、ロボットなんですぅ・・」「・・そうか。
なるほど・・君のように純粋な人間は確かに存在しない・・いや、できないな。だからロボットか・・」
それからはトモロとマルチィはメンテ時に逢瀬を重ねることとなった。電子の速度で会話できる電子頭脳にとって
充電時間の数十分はまさに永遠ともいえる時間である。だが・・「・・あれ?牛山さん、ちょっとこれを。」
「なんだい命くん?」「ほら、マルチィのメモリーに膨大な情報が。」「どれ・・たしかにこれは尋常じゃない量だね。
解凍してみようか。」カタカタ・・「・・これは。」「なんですか?・・あら。」「う~ん・・長官に報告しよう。」
「・・なるほど。GGG機密漏洩疑惑か。」「そのリストはメモリーのほんの一部です。実際には膨大な技術情報が
漏洩しているものと思われます。」「で、誰のところに?」「それが・・Jカイザー中枢電脳「トモロ-0117」です。」
「・・会話内容の全文はあるか?部分的でよい。」「これです。」「ふむ・・牛山くん、君はこれを読んだかね?」
「いえ、キーワード検索だけです。」「やはりな・・読んでみたまえ。」さっ。「えっ?はい・・これは?!」
「気になるのがJのことだ・・どうしてああも獅子王凱につっかかるのか。」「勇者のみなさんの間でもそれはよく
話題になってますぅ。だいたい意見の一致をみてますが。」「どういうものかね?」「え~と、カンタンにゆーと
ジェイさんはプライドが高い。」「それはわかる。」「それにかつてゾンダリアンだったころに凱さんと闘い、その
実力・・とゆーよりムチャクチャさに驚いた。」「ムチャクチャという単語がよく理解できないが・・」「ん~と、
つまりロジックをまるで無視した突飛な手を使うということですぅ。」「・・よくわからないが、概念としては
なんとかわかる。だがそのような解はおおむねリスクが高すぎることが多いのだが・・」「それは反対ですぅ。
リスクは確かにシミュレーション上では大事な要素ですぅ。けどそのリスクは不確実なものですぅ。」「なに?」
「絶対解法など、この世にはありません。それは数学上での数字遊びに過ぎません。現実には無数の要因が
複雑にからみあって事象は存在しますぅ。ゆえに数字で表されるものは便宜上そうしてるだけですぅ。」
「数字は・・便法か。」「たとえば朝と夜はどこで分けられますぅ?」「恒星が昇ってくればそれが朝だろ。」
「恒星のどこがですかぁ?」「う・・」「それにこのマンモスオーダールームではお日さまは見えません。
もし内蔵時計がなければ、昼と夜の区別もつきません。」「・・そうか、時間とは単なる目安にすぎないか。」
「よく考えてみれば、わたしたちがこうやって電子速度で会話するのと実際に会話するのとでは、同じ単位時間に
伝達できる情報量がまるで違いますぅ。そうなると時間の概念がいかに相対的なものかわかりますぅ。」
「話を戻すが、つまりリスクというものは思い込みともいえるわけだね。」「そうですぅ。たしかに過去の事例から
ある程度は読めるでしょう、けど、やってみなくちゃわからないというのが大半ではないですか?」「うむ・・」
「こないだのZG-29戦でトモロさんは特攻をかけました。なぜですか?」「なぜって・・そうすることで突破口が
開けると思ったからだ。」「ご自分が壊れるという最大のリスクをおしても?」「・・そうだ。」「それですぅ。それが
ムチャクチャってことですぅ。」「・・そうか。わかったような気がする。Jはそれにショックをうけたということか。」
「もともと凱さんはあまり考えずに突っ走る猪突猛進タイプですし、あきらかにJさんとは違いますね~。」
「いやいや、ああみえてJもけっこう向こう見ずなところがあるな。案外似た者同士かも。」「近親憎悪ですかね~。」
「・・これは雑談というものですね。」「たしかにところどころにキーワードはあるが、他愛のない雑談だな。」
「ものすごい情報量でしたので、なにかと思えば・・」「・・牛山くん、このバックアップは全て消去したまえ。
そしてマルチィには・・」「わかってます。現状のままですね。」「そうだ。充電時間はいわばプライベートタイム。
そこに干渉する権限は誰にもありはしない。」「了解しました。命くんにも口止めしておきます。」「よろしい。」
Jカイザー艦橋。『J、フランソワーズ、ジョー。』「なんだトモロ。」『艦内点検をしてみたのだが、どうも清掃状態が
よくない。』「清掃状態って?」『整備衛星での大整備でだいぶ汚れたみたいだ。』「自動清掃機があるはずだが。」
『あれはこないだの戦いでJキャリアごと失われた。整備衛星にも在庫がなかったので困っている。そこでだ、
掃除をしてもらいたい。』「掃除だと?」「でもJカイザーに掃除機ないわよ。」『提案がある。掃除のエキスパートに
出向を要請したい。』「エキスパートか・・だが費用がな。」『GGGに頼むぶんには無償だ。』「・・やってもらおうか。」
マンモスオーダールーム。「マルチィくん、君に特別任務をやってもらいたい。」「なんでしょうか長官さん?」
「Jカイザーに出向き、艦内清掃作業を遂行してくれ。GGGで清掃のプロフェッショナルとなれば、君しかいない。」
「わかりましたぁ!おそうじのエキスパートとして、任務を果たしてきますぅ!」びしっ!「たのむぞ勇者!」
『ごめんください~!』「どなた?」『GGGより派遣されましたマルチィですぅ。おそうじに参りました。』
「あらすごい装備。」どちゃっ!「これは本格的だな・・」「それではブリッジから順に下へいきますぅ。まずは
はたき!」ピシュ!キリキリッ、ビシッ!「どりゃああああーっ!」ぱたぱたぱた。「気合のわりには・・(^^;;」
「次は窓拭きですぅ!ダブルワイパーブラシ!」チャキッ!「でりゃあああーっ!」キュ~ッ!「すごい。一回で
窓がピカピカに。」「床そうじですぅ!モップ!」ジャキーン!「おりゃあああーっ!」シャシャシャーッ!
「むう、さすがは清掃プロフェッショナル。」「あれよあれよという間に・・」「ブリッジ完了ですぅ!」キラキラ・・
『うわ~・・』「これがプロの技か・・」「では次のデッキにかかりますぅ。失礼します!」ぺこ。『よろしく~。』
コンピュータータワー。シャッ。「失礼しますぅ。おそうじをしますぅ。」『マルチィ、よろしく。』「あ~、だいぶ
インテークやらパネルの隙間やらにたまってますね~。掃除機で吸わないと熱もっちゃいますぅ。」『頼む。』
ガーッ・・『・・マルチィ、これからもたびたび掃除に来てくれないか?』「正式要請があればできると思います。」
『よかった。艦内スキャンしたところ、マルチィの掃除したところはこれ以上ないくらいきれいになってる。
とてもJたちではここまでは出来ない。』「お誉めにあずかり恐縮ですぅ。・・よし、終わりましたぁ。」ぴかぴか。
「それでは次のエリアに移りますぅ。」『マルチィ、少し話していかないか?』「いえ、清掃任務を遂行中です。
私はそのためにここに来てるんです。勇者ロボのみなさんやトモロさんが戦闘を仕事としているように、私は
清掃と給仕を仕事としてます。そしてどちらも一生懸命に全力ですべきことです。」『・・そうだな、君が正しい。』
「また今夜の充電時にお会いしましょう。」にこっ。『ああ。この艦の感想も聞いてみたいしな。』「では。」ぺこっ。
マンモスオーダールーム。「Jカイザーの面々から感謝のメッセージがきている。マルチィくん、よくやった。」
「ありがとうございますぅ。」「ぜひまた来てほしいということだ。正式に要請があれば派遣しよう。」「はい!」
その夜、充電時間。「どうだった、Jカイザーは?」「立派な戦艦ですぅ。おそうじのしがいがありました。」
「前のJアークはもっとコンパクトに出来ていたがな。さすがに地球人の技術ではこれが精いっぱいらしい。」
「使い勝手はどうですかぁ?」「整備衛星で最終合わせこみをしたのでだいぶマシになった。それに君のおかげで
風とおしもよくなり、きわめて良好だ。」「よかったですね~。」「また次の機会には頼むよ。」「おまかせください。
どんなによごれても私がおそうじしちゃいますから。」「できれば常駐して・・」「え?」「い、いや、なんでもない・・」
毎日30分のデート・・しかしマルチィもトモロもそれで充分に幸せだった。電脳空間では一瞬さえ永遠である・・
♪ザン!
諜報部は謎の多い部署である。面がわれてるメンバーは副部長の志保のみ。他にも多くの部員がいるはずだが、
その全容は長官さえ知らない。把握しているはずの猿頭寺部長は何も語らず、志保はウソばっかである(笑)。
だが、わずかに知られている諜報部員がここにいた。GGGきっての敏腕刑事とその右腕の捜査ロボのコンビ。
諜報部捜査課。それがその二人(?)の所属課である。Gアイランドシティーで起こる怪事件・難事件を次々と
快刀乱麻に解き明かす最強勇者刑事コンビ。Gアイランドシティー警察は尊敬と畏怖をこめてこう呼ぶ。
記録外ミッション52「G分署」(22話直後)
♪ピーポーピーポー。ガヤガヤ・・「・・これは変ですね。これだけの出血があれば、死体を動かせば痕跡が残る
はずですが・・」「ボス、この路地には車両の入れる余地はないわね。」「ルミノール反応なし。残留熱ももはや
残っておりませんな。」「足跡は?」「五つほど。照合してみたところ、街でも有名な不良グループのものです。」
「彼らの行き先は?」「行方不明。ガイ者かホシのどっちかでしょうね。」「おそらく被害者でしょう。犯人なら、
こんな手のこんだ隠蔽方法はできません。」「そりゃそーだ。あたいらの鑑識センサーでも解明できないなんてね。」
「・・ホームズの意見を聞きませんか?」「そうですね。通信。シャーロック、これだけの情報から推理できますか?」
『簡単だよ。ホトケはどこにも行っていない。そこにあるよ。』「なんですと?」『血痕の分析結果によると、リンや
有機物が大量に混入している。普通の血液では考えられない量だ。』「てことは、これは血痕だけでなく・・」
「人間一人ぶんの分量だ。その血痕こそホトケそのものさ。」「なんとまあ・・」「液体になるまで粉砕されたと
いうのですか・・こんな事ができるのは・・」「神種・・だろうな。どうやら潜入しているようだ。」「でも隊長や
護は感知してないわよ?・・ステルスかけてるってか。」「それが正解なようだな・・」「これはいけませんね・・
感知できないとなれば、地道な捜査しかありません。」「やれやれ・・まあお仕事だから~。」「ミスティー、捜査する
のはあなたではありません。」「えっ?」「忘れてますね、捜査課を。」「ああ・・そーいやそんな部署あったね。」
「コールをかけましたからじき到着しますが・・」・・ゴゴゴゴ。「来たようですな。」「ジェットエンジン音?」
キィィィーン!「なに?チャリンコがものすごいスピードで走ってくる!」キキキィィーッ!ザザザーッ!
ヒュゥゥゥ・・「お待たせ、ボルフォッグ。状況はホームズから聞いたわ。」「お待ちしてました、捜査課長。」
「ボス、この子だれ?」「紹介しましょう。彼女は諜報部捜査課長、イリス・チェリーブロッサムさんです。」
「ミスティーとは初見だったね。よろしく。」「ミョーに大人びてるわね~。」「キルリアン解析してみなさい。」
「えっ?・・あれ?壊れたかな?オーラ色が成人のものだわ。」「そのとおり。アイリスは見た目は小学生ですが
中身は成人女性です。いきさつはかくかくしかじか。」「なるほど・・シナプス集積度が濃くなったせいね。」
「そんなとこね。おっと、もう一人紹介しておくわ。システムチェンジ!」ジャキジャキッ!スタッ。「なんだぁ?!
チャリンコが変型して人間型態になった!」「あたしの相棒のロボット刑事、XPG-03Sセリオ。メイドロボから
発展した特殊任務対応型ロボよ。」「はじめまして。」「へぇ~、耳のセンサーがなけりゃ人間そのものだね。それに
マルチィよりも背が高いし。でも変型機構はけっこー無理が」「そんなのどーでもいいって。(^^;;さて、
さっそく捜査にかかるわ。セリオ、ここ数週間内にシティーに越してきた人物のリストを転出先の記録と照合。
記録に食い違いがあるものを抽出して。」「わかりました。」「ちょっと待った。なんで地付きの犯行とするわけ?」
「記録によると神種およびゾンダリアン反応はなかったわ。しかも状況からみて戦闘を観察していたところで
ガイ者がからんだと見るべきね。となれば、下っぱゾンダリアンの通り犯じゃないわね・・上位指揮官クラスの
ゾンダリアンもしくは神種が関係している。そしてそれだけのランクのホシがリスクを冒してまでここにいるなら、
常駐しているとみてまちがいないわね。」「以前から潜伏していた可能性もあるんじゃない。」「いえ。今日の戦闘は
いつになく大苦戦をしいられたよね。こちらの打つ手を見切られてた・・そんな戦局がいままであった?」
「なるほど・・今回からそいつが活動を開始したからか。」「そしてそいつはシティーのどこかに人間のふりをして
潜伏している・・野放しにしておくとGGG最大の障害になるわ。」「・・検索完了。記録に不審な点のある人物は
特定できません。」「やるわね・・全部で何人?」「11人です。」「全員のプロフィールを投影して。」「了解しました。
アイ・プロジェクター。」ぱっ。「・・これはちがうわね、次。」ぱっ。・・ぱっ。「・・止めて。」ピタッ。
「御堂音かすみ・・か。・・次。」ぱっ。「御堂音すみれ・・姉妹・・セリオ、この姉妹の詳細データを。」ぱっ。
「・・どこにも不審な点はないようだが。」「・・なんかひっかかるわね・・セリオ、姉妹の顔の特徴を比較、
共通点を抽出して。」「照合・・共通点、1.2%。」『なにっ?』「やっぱり・・実姉妹における全国平均と偏差は?」
「36.4%±4.5%。」「ビンゴ。・・この姉妹が第一容疑者ね。」「すっごい・・あっという間に容疑者特定しちゃった。」
「単なる偶然という可能性は?血のつながらない姉妹というのは珍しくありませんが。」「経歴をよく見なさい。
どこからみても完璧に実の姉妹。カタギでこれだけの情報操作できると思う?それ以前にこんな手のこんだ偽造を
やる理由は?」「・・なるほど。さすがはアイリスです。」「だったらしょっぴいてゲロさせようよ。」「おバカ。
相手は上位神種よ。ヘタに手を出せばGアイランドごと消滅させられるかもしれないのよ。しかも二人。強攻策は
最悪の結果をまねきかねないわ。」「いま上位神種と言いましたが、ただのゾンダリアンという可能性も・・」
「・・諜報部ロボともあろうものが何たわけたことを!この顔写真よく見なさい!特にこの目!こんな強靭な
意思の光を宿した目を持つのがそこらの下っぱなわけないでしょ!」『・・たしかに。』「特にこのすみれっていう
女の子、小学生とは思えないほどの目の光を持ってる・・そう、死生眼に近いわ。」「死生眼・・数多くの戦場を
あらゆる地獄を見ながら生き抜いてきたもののみが持つ目・・でしたな。」「上位も上位、ヘタすりゃ神種の上に
立つものかもしれないわね・・それなら自ら乗りこんでくるだけの度胸も、機界生命体反応を消せる技量もわかる。
これは慎重にいかないと取り返しのつかない事態になるわね・・」「こりゃ大ボシだ・・プロにまかせるわ。」
カモメ第一小学校。ガラッ。「ちぃーす。まもちゃんいる?」「アイリス?」「あっ、いたいた。ねえねえ、こないだ
転校生がきたって聞いたんだけど。」「すみれちゃんのこと?」「そうそう、そのすみれさん。どの子?」「はい?」
「あなたが御堂音すみれさん?」「そうですけど・・」「あたしは1組のイリス・チェリーブロッサム。アイリスで
いいわ。」「はじめまして。」「アイリスはイギリスから来てるんだ。お父さんがGGGで働いてるんだって。」
「科学部だからラボこもりっきりで、めったにウチに帰ってこないのよね~。娘を何だと思ってんのかしら。」
「でもアイリスさんちにはセリオって優秀なメイドロボがいるじゃない。」「パパの造ったオモチャよ。マルチィと
ちがって機能重視だから無感情だし、気の利いた電化製品みたいなもんよ。」「でもケーキはおいしかったぜ。」
「それはともかく、すみれさん。」「は、はい。」「今日つきあってくれない?」「えっ?」「あたしは話好きでさ、
転校生なんて存在はほっとけないの。いろいろ話を聞かせて。」「ほら始まった、アイリスのチョー話好きが。」
「うわっは~、ボクもだいぶ聞かれたよ。」「もう根掘り葉掘り聞くもんね~。事情聴取されてるみたいに。」
「お話してるときが幸せなのよね~、あたしって。それに新鮮な話題に飢えてるのよね。」「ホント、聞き上手で
話し上手なんだから。」「けっこう楽しいぜ、アイリスと話すのはよ。」「それじゃ、放課後におつきあいしますね。」
パーラー「Atelier de Marie」。「ここのシャリオチーズケーキとミスティカティーはおいしいのよ。」パク。もぐもぐ・・
「・・ほんと、おいしい。」「気にいった?」「ええ。いいお店をおぼえました。」スス~。「よかった。それじゃ本題に
入りましょうか・・御堂音さん、いえ・・機界女王ンドゥーネ。」ブッ!「ゲホゲホ!・・な、なんのことですか?」
「あたしのもう一つの顔を紹介しておくわ。」すっ。「名刺?・・GGG諜報部捜査課長?!」「ネタはわれてるの。」
「そう・・ですか。」ゴゴゴゴ・・「待った。・・今日はやりあう気はないの。」「・・えっ?」「いや~、しかしまさか
当てずっぽうがドンピシャだったとはね~。半信半疑でカマかけてみたんだけど。」「・・なぜわかりました?」
「話せば長くなるけど、かくかくしかじか・・」「・・それだけの材料から私までたどりつくとは。」「そしてね、
こないだのミサイル事件のとき、あなたGGGに連絡してくれたでしょ。あの記録テープの声とあなたの声紋が
ドンピシャ。」「見事です・・で、どうします?」ズズズズ・・「どうもしないわ。」ガクッ。「な、なんですかそれは。」
「あなた相手に直でやりあったら、こっちが損害でかいわ。だったら泳がしとくほうがかえって安全というものよ。」
「・・監視付きっていうのはイヤですね。」「だいじょうぶ。あなたが直接行動に出ないかぎり、こっちも手は
出さない。情報収集だろうが前線指揮だろうがお好きにどうぞ。」「話がうますぎますね・・」「・・正直に言おうか。
あなた、変な機界生命体ね。」「無礼な!」「まあ聞いて。・・なぜミサイル事件のときにGGGに連絡してくれたの?」
「私はあのような大量殺戮は好まぬだけのこと。それだけです。」「・・ほんとに?」「くどい。」「まあいいでしょ・・
もうひとつ。最近おかしなことなかった?」「・・どういうこと?」「だってさ、火星のリンヴォに鎮座ましてた
女王様がわざわざ危険を冒して敵地へ単独潜入。こりゃどう考えたって戦略にも戦術にもならないわ。」「・・・・」
「黙秘権は認めたげる。・・後ろのかすみさん、弁護士する?」キラッ。「正体を知られた以上、生かしておけぬ・・」
「おーこわ。でもここで殺ると、あとが面倒だよ~。」「ヲイル、ここでは。」「はっ。・・外へ出ましょうか。」
路地裏。「ここならいいでしょう・・妖刀バルムンド!」バリバリバリッ!ブゥゥーン・・「それがチンピラを液体に
しちゃった凶器ね・・切断だけでなくジューサーにもなるようね。」「あなたも液体に粉砕してあげるわ・・」キラッ。
「さぞやあたしのジュースはおいしいでしょうね~。」(・・なに?死を前にして恐怖も動揺もないとは・・)
「・・ヲイル、待ちなさい。」「ンドゥーネさま?」「この人、殺すには惜しいです。ゾンダーメタルを。」「はっ。」
すっ。オォォォ・・「あたしをゾンダーにするか・・悪くないわね。」「せいぜい我らの役にたってもらおう。」
「イヤなこった。セリオ!」ヒュッ!パキィーン!「なにっ?!」「ゾンダーメタル破壊。」ザシャッ!くるっ。
「サイボーグ?」「はずれ。あなたにそいつがいるように、あたしにも相棒がいるのよ。」「おもしろい!バルムンド!」
ブォン!「武術データロード・・古流・早業。」パシーン!「真剣白刃取り?!」「三日月。」ズドン!「ぐふっ!」
「ヲイル!」ゴゴゴゴ・・「おっと、塵にされるもんですか。」ヒュッ!キリキリッ!「なに?・・糸?・・はうっ!」
ギュッ!「?!ンドゥーネさま!」ダッ!「くっ!・・ちぎれない!」ギリギリ・・「サブミクロンの炭素鋼糸・・
細すぎて切れない!」「どう?あたしの彼氏直伝の糸は。」「ンドゥーネさまを放せ!」「いいわよ。」「えっ?」キュン。
「・・ふぅ。」「さっきも言ったとおり、あたしはあなたたちとやり合う気はない。いわば安全装置ね。」「安全装置?」
「あたしがいるかぎりGGGには手は出させない。その代り、あなたたちもやりすぎないでね。あたしは見てるから。
セリオ、システムチェンジ。」「了解。ジェットサイクル「轟天」モード。」ジャキジャキッ!「それじゃまた明日ね。」
「待って。・・なぜ?」「・・あんたたち、気にいったから。なんか敵って感じしないのよね。じゃあね!」ゴォォォ・・
『・・・・』「・・変な人間もいるんですね。」「彼女に言わせれば、私たちも変な機界生命体だそうですが・・」
「・・否定できませんね。で、いかがします?」「・・もう少し様子をみましょう。彼女が約束を守るか・・」
「弁天」。「猿頭寺部長、以上の理由から捜査は慎重を期すわ。ここはあたしに任せてくれない?」「なるほど・・
課長の言い分はもっともです。泳がせるのが最良ですね。」ポリポリ。「アイリスくんに任せよう。で、このことは
僕と君だけの機密ということで。」「口は少ないほどいいですから。」「ボルフォッグたちには手出ししないように
うまく言っておこう。」「お願いします。」「しかしだ・・」ポリポリ。「・・面白いことになったもんだ。」「ええ・・」
次の日、「Atelier de Marie」。♪カラーン。「いらっしゃいませ。」「え~と・・いた。」かつかつ。「来たわね。」
「ここに呼び出すとは、どういうことですか?」「まあ座って。・・かすみさんも。」「・・用件は?」「これ。」ぱさ。
「なんですか?・・これは?!」「誓約書よ。GGG諜報部長、猿頭寺耕介のサイン入り。」「・・『この事実は部長と
捜査課長のみが知るものとし、GGG隊員といえども口外厳禁とする。』・・なぜですか?」「無用の人死にを出さない
ため。もしばれたらこのGアイランドは屍山血河となる・・あたしも部長もそのくらいは読めるわ。安全装置とは
そういう意味も込めて言ってるの。」「・・人間にこれほど切れる者がいたとは。」「これは完敗ですね・・」
「まあがんばってあたしを出し抜いてね。あたしも捜査課長のメンツにかけて見張るから。」にこっ。
カモメ第一小学校。「でさ、三丁目のロシア料理店がまたうまいんだこれが。」「どんな料理があるんですか?」
「煮物や鍋物が中心ね。あとはピロシキかな。」「ピロシキ?」「いわば揚げ肉まんね。これがサクサクしてうまい!」
「うわ~、ヨダレ出てきちゃいそう。今日かすみ姉さんと行ってみよう。」「あ、今日は定休日だ。」「あららら~!」
「・・なんかアイリスとすみれちゃん、いきなり気が合ったみたいだね。」「けっこーいいコンビかもな。」
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♪ザン!
早朝のロンドン‥霧が辺りを包んでいる。ベーカー街の安アパート(築200年以上の1DK)の一室。
「‥‥」「どうした?」「ん‥ちょっと昔を思い出して。」「初恋の相手かい?」「そんなに昔じゃないわ。
初めて‥あなたに会った日の事。」「なるほど。あの頃はこうなると思わなかったと?」さわ‥「あ‥悔しいけど
その通りね。一介の私立探偵が<忍者部隊>の隊長の情婦なんて‥」「せめてステディと言って欲しいなあ‥
それに君も」すっ。「そこから先は野暮よ。」「そうだな、アイリス‥」ギッ‥「んっ‥刹羅‥」
記録外ミッション53「陽の当たる坂道」(1話以前)原文:綾女桜参謀 脚色:風雲再起(ちょっとだけ)
数ヶ月前。カツカツ‥「先程はお見事でした、ミス・マーリン。」スッ。「だれ? 私服警官じゃなさそうだけど。」
「あなたの大ファンだと言っておきましょう。」「ストーカーならお断りよ・・あなたそういうの得意そうだし。」
「その気になれば、あなたがロンドン塔に閉じ込められても助け出してみせますよ。」「すいぶん自信が
あるようね‥」ふっ‥「けど私は白馬の騎士を待つより自力で脱出するタイプなの、ミスター・ハットリ。」
「ご存知でしたか‥僕を。」「これでも探偵よ。ヨーロッパの社交界であなたを知らない人は十中八九モグリよ、
プレイボーイさん。」「それはそれは‥どうです?これからバーにでも。」「残念だけど下戸なの、私。
運が巡ってきたらまた会いましょう。」カツカツ‥「‥これは手強いな。」「だが、それだけおとし甲斐が
あるのだろう?」スッ。「隊長のプライベートに口を出すつもりはありませんが、もう少し‥」ツッ。
「‥‥」トン。「志保に報告するって?う~ん、ある意味父上や爺様に報告されるより怖いかもなあ。」
翌朝。♪ジリリリ‥カチッ。「ふわぁ~。さて、朝食作りますか」♪ピンポーン「(またか‥)」ガチャ。
「おはようございます、お嬢様。」「おはよ、レイモンド。あなたもめげないわね~。」「それが取柄ですから。
お嬢様がお屋敷にお戻りになられ、お婿様を迎えられるまでは毎日このボロアパートに。」「ボロは余計よ(^_^;。
私はあんな窮屈なトコに戻る気はこれっぽっちもないわよ。今の暮らしの方が水に合ってるわ。」「仮にも
侯爵令嬢であられる御方がなんて事を!旦那様も奥様もどれほど御心を痛めていらっしゃれるか・・」
「甘いわ。パパもママも根っからの自由人よ。自分達も飛び出したくてうずうずしてるんじゃない?」
「またそのような‥」「後でゆっくり話を聞くから。今はお客様の接待が先。」「お客様?」「そろそろ
出てきたら?ストーカーさん。」すっ‥「空気に溶け込むとは‥忍者みたいな人ね、あなた。」「お嬢様、
この御方は?」「知ってるわよ。セツラ・ハットリ。世界一のスケコマシでしょ?」「いえ、そうではなく‥」
「(まだ僕の正体は明かさない方がいい)」「(‥分かりました)」「残念だけど、今は特定の異性と付き合う気は
ないの。事件と推理小説が私の恋人‥。もっとも浮気調査と蒸発者捜索が収入の大半だけど」「昨夜のパンツ
スーツもなかなかだったけど‥スッピンも綺麗だね。」「なっ?・・ああっ!」バタバタ‥バタンッ
「不法侵入罪で訴えられたい?!(真っ赤)」「いえ、今日はこれで。ではまた。」「こっちは願い下げよ!」
しかし、その後も刹羅は彼女の行く先々に現われた。行き付けのスーパー、本屋、事件現場、そして
事務所兼住居のアパートにも‥。「ほんっとにしつこいわね~!」「スコットランドヤードに届ける?
ストーキング被害で。」「‥やめとく。警察じゃあなたの尻尾は掴めそうにないし‥あなた何者?」
「名探偵イリス・マーリンのファン。」「茶化さないで。」シャッ。「‥‥」「サーベルを突き付けられても
微動だにしない‥ただのプレイボーイには無理な芸当よ。」「恋が恐怖を忘れさせるのさ。特にあなたみたいな
美人だと。」「‥‥」スッ‥「今日はオフだし‥ちょっとだけなら付き合ってもいいわよ。」「それは光栄です。
で、どこへ行きます、レディー?」
シャャーッ‥「まさかサイクリングとはね‥」「あらご不満?」「いや、少し意外だったから。」「推理一筋だけと
思った?これでも学生時代はフットボールやってたし、サイクリングはもっと小さい頃からの趣味よ。」
「へえ~。」「スピード上げるわよ。ついてこられる?」「世界の果てまでも。」「じゃ!」シャャーッ!‥
「ふぅぅ~。」どたん。「どうぞ。」「ありがと・・外見に似合わずタフね~。ほとんど汗かいてないじゃない。」
「鍛えてるからね。」「鍛えてるにも、いろんな意味がありそうだけど~(-_-)」「はは‥」んぐんぐ。
「で、これからどうする?」「そうねえ‥」ごろん。「天気もいいし‥しばらくお昼寝でもしよ。」
「僕が寝込みを襲うとは思わないのかい?」「それはないわね。伊達に1ヶ月もつけ回されていないわ。
あなたはとんでもないスケコマシではあるけど、外道ではない。こっちがその気にならない限り抱かない主義‥」
「それじゃ僕は、お昼寝中のプリンセスの護衛といきますか。」「‥‥」ごろんっ。
夕方。「う~ん、よく寝た・・」「そろそろ帰るかい?」「ええ。」シャャーッ‥「これは‥」サワサワ‥
「坂道を夕陽が照らして‥まるで絵画の中に迷い込んだようだ。」「私のお気に入りのコースよ。ここへ誘ったのは、
家族以外ではあなたが初めて。」「変われば変わるもんだね」「そうね。自分でも信じられないくらい。
思えばこの1ヶ月間もまるで‥(私を護ってるような‥)」「じゃあ今夜‥」「‥ごめんなさい。あなたに好意は
感じるけど、そう言う気にはなれそうもない‥」「完敗かな‥今回ばかりは‥」「‥‥」
ベーカー街のアパート。ガチャ。「お嬢様、大変でございます!」「レイモンド‥いたの?」「旦那様が倒れました!」
「パパが!‥まさか狂言じゃないでしょうね。」「いくら私でもそのような狂言は使いませんっ!」キッ!
「‥ごめん。それで容体は?」「命に別状はございませんが、明日の園遊会への御出席は‥」「ああ、うちの
屋敷でやるアレね。今更中止は無理よね・・」「ぜひとも奥様と共に旦那様の御名代として‥」「堅苦しいのは
大嫌いだけど‥パパが倒れたんじゃ仕方ないわね。名代、引き受けるわ。」「ありがとうございます。」
かくして翌日。パチパチパチ‥『皆様、今宵は忙しい中、我がウォーレス家主催の園遊会にお集り頂きました事、
このディアナ・マーリン・ウォーレス、主人に代わりまして厚く御礼申し上げます。』パチパチパチ‥
『‥それとこちらは、私と共に主人の名代を務めます娘のエリザベスです。』ぺこり。「おお‥」「なんて美しい‥」
「まるで花の精だ‥」ガヤガヤ‥『皆様、今宵はこころゆくまでお楽しみ下さい。』パチパチパチパチ!‥
「あなたが帰ってくれて助かったわ、リズ。私だけじゃたくさんのお客様に対応できないところだったもの。」
「そう‥」きょろきょろ。「どうしたの?お友達を探してるの?」「ううん、そうじゃないの(よかった‥。彼は
来てないようね)。でも、よくこれだけ各界の著名人が集まったわね。さすがウォーレス家かしら。」「エドの人柄も
あるでしょうけど‥」「あっ、あれってユキノ・ディアノじゃない?!彼女も招待したの?」「ええ。」「うわ~、
さすがオスカー常連の大女優。優雅の中にも気品が‥」ドカーン!「うわっ!」「なに?!」「テーブルが爆発?!」
ガヤガヤ・・「怪我人は?」「1人も。爆発自体小規模だったのとテーブル近くに人がいなかったのが幸いでした。」
「金探に引っ掛からなかったって事は‥プラスチック爆弾?」『ガァァァァァッ!!』「今度は何!?」
「きゃぁぁぁぁっ!!」「ば、化け物だぁっ!」「着ぐるみ‥ではありませんね。」「バイオネットの獣人まで呼んだ
覚えないわよ!レイモンド、ママとお客様達をお願い!」「はい!お嬢様は?」「‥なんとか時間を稼いでみる。」
サッ‥「御武運を」ダッ!「とりあえず‥(ちらっ)よし。」カチッ。シュルシュルシュル!パパパンッ!
『ネズミ花火ウガ!?』「こちらへどうぞ。モンスター御一行様。」『小娘が!八つ裂きにするウガ!!』ダダダッ!
『どこへ消えた?!』プスプス‥『火薬の匂い‥?』ヒュルルルル~ッ!ボボボォォォォン!『がぁぁぁぁぁっ!』
「お口に合いましたか、アトラクション用の花火は?」『コロス!』ぞろぞろ‥ゴスッ!『お、お前は‥』ドサッ。
「大丈夫?」「あなたは‥?」「私は志保。あんたの事はお兄ちゃんから聞いてるわ。」「お兄ちゃん‥?」
「しっかし、私らならいざ知らずカタギにいいようにあしらわれるなんて、バイオネットも地に落ちたわね~。」
『何を言うウガ!たかが小娘2人。』「おバカ。私らだけだと思ったの?」「わはははははっ!」ゴオオオーッ!
「紅影参上!(腕組みポーズ)」「神居、ここに。」「‥‥」『<忍者部隊>‥!』
「どうなってるのよ!私は全然聞いてないわよ!」「どうせ上の脳なしさん達が勝手に考えたんでしょ。」
「現場知らずにラボに閉じこもってるから、臨機応変ができなくなるのよね~。現にほら。」シュパパパパ!
ボコォォーン!『ぐぇぇぇぇっ!!』「第4部隊か‥ここは招待客で通した方が得策ね。どーせ戦うのは
私達じゃないし~。」「そうそう。たまには見物といこうよ、ユキねえちゃん。」「はい、50年ものワイン。」
シュシュン! ピキーン! カカカーン!「すごい‥これがニンジャなの」「カンドーした?」ブンッ!
「(でも‥何か引っ掛かる。招待客狙いのテロにしては詰めが甘過ぎ‥はっ!)まさか!」ダッ!『逃さんウガ!』
「七節棍!」カカカカン!バコオオオオーン!『ウガアアア~ッ!』シュタッ。「あんたらの相手は私達よ。」『ぐう‥』
ウォーレス邸の一室。バキィッ!「エドワード・ロラン・ウォーレスだな。」「‥いかにも。」「お前の存在は我らに
とって脅威。死んでもらおう。」「そうはいかんな。」ヒュン!「仕込み杖‥仮病?」「お前達の真の狙いが私だと
いう事はお見通しだ。外の獣人達が囮だという事もな‥。今頃第4部隊が交戦中かな?」「アサシンは1人いれば
充分‥ニンジャどもが気付いても今からでは間に合わん。」「パパ!」「‥リズ!」「隙ありっ!」ザクッ!
「な、何っ?!」ポタポタ・・「バカ・・な・・」「バカはそっち。」「娘のフェンシングの腕は私以上だ。それと
互角に戦えるのはここではレイモンドだけだ。」スチャ。「観念して自首しなさい。」「殺さないのか?」「私は探偵。
人殺しはポリシーに反するわ。」「ふふふ‥甘いぞ!!」‥キラッ。「しまった!」ヒュッ、ピキーン!「切れない?!」
キリキリッ!「ぐっ!・・鋼糸か‥」「さあ、どうするエドワード!このままだとかわいい1人娘の首と胴体が
離ればなれだぞ。」「甘いのはどっちかな?」「どういう意味だ?」ピキィィーン!「なっ?!」ブツッ!「はあっ!
けほけほっ‥」スッ‥「勝手に僕の専売特許を使わないでもらいたいな‥」「セツラ‥!」「国連秘密部隊
第4部隊長・服部刹羅か!」「お屋形様からエドワード侯護衛の命を受けていたんでね。」「おのれ!」シュルルッ!
「なかなか良い糸さばきだ。だが‥」ピキーン!「僕に比べたらまだまだだな。」「うぐ‥体が‥!」ギギギギッ!
「後で洗いざらい吐いてもらうよ‥」シュルシュル‥「あなたは‥」「大丈夫でしたか?ミス・ウォーレス。」
「・・来ないで!」ダダッ!‥コロンッ。「‥‥」「お兄ちゃん、追い掛けなくていいの?」シュタッ。
「志保‥いいのか?」「出張に便乗して難癖つけるつもりだったけど、ただのインテリでなく度胸もある。
それに咄嗟の判断力‥お兄ちゃんが見初めた相手だけの事はあるわ。現時点では47代目服部半蔵の妻最有力候補ね。」
「半蔵の名を襲名するかどうは別だが‥」ちらっ。「すべてはあの子が決める事。私がとやかく言う権利はないよ。」
「ありがとうございます」ぺこり。シャッ!「あ~あ・・おじさん、いいの?」「刹羅くんならな・・」「はいはい。」
森の中のログハウス‥といってもウォーレス邸内だが。ギィ‥「やっと見つけたよ。」「‥‥」「知らないフリを
してすまない。」「やっぱり知っていたのね‥私が侯爵の娘‥エリザベス・イリス・マーリン・ウォーレスだと。」
「エドワード侯‥エドさんから直々に頼まれてね。「身を守る術は教え込んでいるが、万が一の事がないとも
限らない。私よりまず娘を最優先にして欲しい」と‥」「パパも親バカね‥。実はね、生まれた時からこういう
暮らししてたわけじゃないの。物心ついた頃にはパパとママと3人、旅から旅への暮らしだったわ。ところが、
私が8つの時にヘンリー伯父さん‥パパのお兄さんが急死して‥伯父さんには子供がいなかったから、
次男坊のパパが後を‥。おかげで私は侯爵令嬢よ。どこに行ってもウォーレスの名が着いて回る‥大きくなるに
つれ、だんだん重荷になっていった。」「それで家を出て探偵業を・・」「パパやママは何も言わなかった。
私が家督を継ぎたくない事は知ってたし‥」「<家>の束縛を拒んだわけか。」「ええ‥嫌なものは嫌と逆らうのも
勇気‥だと思う‥」「確かに‥だけど、逃げずに自ら飛び込むのも勇気なんじゃないかな?」「!それって‥あなた
自身の」「さあ‥まあ、まがいなりに僕も<家>の束縛の中で生きてるからね。そうそう。」ひょい。「落とし物。
さくらんぼのブローチ‥よく似合ってたよ。」「‥‥」「信じてくれないだろうけど、名探偵イリス・マーリンの
ファンだというのは本当さ。少なくとも僕には、仕事をしている時の君が1番輝いて見える。」「‥刹羅。」
「帰ろうか。」「‥帰りたくない。」「えっ?」ジーッ‥パサッ。「あなたを愛してる‥どうしようもなく。
あなたの声が聞きたい。唇を重ねたい。そして‥」「ひとつに‥かい?」「‥‥」こくっ。「分かった。」ふさっ‥
「僕に任せてくれ‥リズ。」「アイリスと呼んで‥。親しい相手にはそう呼んでもらってるから‥」「‥アイリス、
怖い?」「え‥?」「震えてるよ。」ふるふる‥「大丈夫、大丈夫だから‥離れないで。」「離すつもりはないよ。」
ぎゅっ。「あっ‥どうしたんだろう‥こんな感覚初めて‥。頭が‥おかしくなりそう‥」「ゆっくり力を抜いて‥」
(現在に戻って)チチチチ‥(あれ以来、私の考えが微妙に変化した。)すでに刹羅の姿はない。アイリスは
いまだ余韻の残るベッドの中で熟考していた。(ウォーレスの人間である事を認めたうえで探偵を続ける。
刹羅のおかげでそれをやってみる勇気が芽生えた‥)♪ピピピピピ‥「電話? 携帯からって事は」ピッ。
『おはよう。』「やっぱりあなたね。」『どういう意味?』「こんな朝に携帯かけてくる非常識は、家族以外じゃ
あなただけだもの。」『ところで‥今夜空いてる?実は爺様が来るんだ。』「爺様って‥ドクター高之橋が?!」
『君の顔を見たいと言っている。』「<正式に>紹介したいわけ?」『別にそんな意味じゃ‥でも、できれば。』
「‥いいわ。なるべく早く仕事終わらせていくから。」『それじゃヒルトンで。』ピッ。
夜。「まったく、浮気調査が2つも重なるなんて‥ま、そのおかげでこっちの懐は潤うけど。すっかり遅く
なっちゃったな~・・ん?」フッ‥「あれは‥ユキノ・ディアノ。確か今、ハリウッドでロケ中じゃ?」
そろ~。「お待ちしておりました。」「こちらこそ。それで、例の物は?」「ここにサンプルが。」パカッ。
「(ライフル銃?!しかもNATO軍最新型!)」「残りはハリッジ・ポート第4埠頭のフルーツコンテナに。」
「ご苦労さま。これはささやかですが」さっ。「500万ユーロ。残りはヒマラヤに持ち帰ってからという事で。」
「分かりました。ではまた御贔屓を‥」フッ‥「(銃の密売‥ヒマラヤ‥? なぜユキノが‥)」バリバリッ!
「うっ!」どさっ。「ユキノ、注意散漫だぞ。素人に尾行を許すとは。」「素人じゃないわ。イリス・マーリンこと
エリザベス・イリス・マーリン・ウォーレス‥ホームズの再来の声もある私立探偵にして、ウォーレス家の
継承権第1位よ。」「ウォーレス家の人間か。」「<一番のユキノ>の顔を知ったからには、生かしちゃおけないわね。」
「やめろ。ここで殺しては後々面倒だ。」「じゃあどうするの?ドクター。」「そうだな‥彼女の<存在>を消すと
いうのは。」「消す?殺すんじゃなくて?」「まあ見たまえ。」カポッ。とろっ・・ごくん。「これでよし。あと10分も
すれば、イリス・マーリンという人間はこの世から消滅する。」「この手を血で染められないのは残念ね~。」
「強いては事を仕損じる。クーデターの前に無用な波風を立てては元も子もない。」「バイオネットの下克上か‥
楽しみね。」「そう遠い日でもないだろう。行くぞ。」「じゃあね、探偵さん。もう会う事はないでしょうけど。」
スッ‥「(存在が消える‥?ユキノ‥ドクター‥バイオネット‥刹羅に知らせ‥な‥きゃ‥)」
「‥おい、しっかりしろ。」「(えっ‥?)」「よかった。生きてるぞ。」「(助かったの‥? じゃあ、あの薬は‥)」
「大丈夫かい?お嬢ちゃん」「お嬢ちゃん?!」がばっ!「こちらハイウッド。ハイドパークにて少女を1人保護。
年齢は10歳前後。」「ちょっと待って!私は21、れっきとした大人よ!」「大人?はは、どこかで頭をぶつけたのかい?」
「ぶつけてないわ! スタンガンで不意討ちされたけど‥。名はイリス・マーリン。」「へえ~、あの名探偵と
同性同名なんだ。」「同性同名じゃなくて本人!!」「こりゃ重症だな‥。もしもし?心療科のベッドの空きは‥あっ、
待ちなさい!」「あなたみたいな愚鈍な警官と話しても、埒があかないわ!」タッタッタッ‥「ハアハア‥
(まだそんなに走ってないのに、もう息切れなんて‥。まさか薬の影響?)」ペタン‥「!?」
アイリスは、寄りかかったショーウィンドウに映った己の姿を見て驚愕した。「か、体が縮んでる!」ひょい。
「勝手に動いちゃダメだ。」「離して!‥あっ?」スタスタ。「どうもすみません。この子が御迷惑かけたようで。」
「お知り合いですか?」「恋人の妹です。ミス・マーリンの大ファンでして‥彼女に成り切っていたんでしょう。」
「あなたの名前は?」「セツラ・ハットリ‥」「!これは失礼致しました!」サッ。ツカツカ・・
「‥一体どういう事だ、アイリス。」「刹羅‥私が分かるの?」「おとした女性の顔は忘れないのが自慢でね。
少し‥いや、大分背が縮んでたのにはびっくりしたけど」「う‥刹羅あああ~っ!」かばっ!
「どうしてこんな事に‥」「その子がお前の恋人か」スタッ。「爺様‥はい。」「いくらボクに似てモテるとはいえ、
小学生は倫理上やばいぞ。」「冗談はやめて下さい(^_^;)。彼女は立派な大人ですよ。」「初めまして。刹羅の祖父の
高之橋両輔です。」「これは‥エリザベス・イリス・マーリン・ウォーレスで‥て、悠長に自己紹介してる場合じゃ
ないわ!刹羅、私、バイオネットの取引現場見ちゃったのよ!しかもオスカー女優のユキノ・ディアノが‥」
「落ち着くんだ。ここでは怪しまれる。とりあえずホテルに行こう。」「う、うん‥」
ロンドンヒルトン。「‥というわけなの。」「<一番のユキノ>‥。裏方専門の中堅幹部でなかなか尻尾を
掴めなかったが‥やはりユキノ・ディアノだったか。」「早く警察、いえ、各秘密部隊に連絡を。」「あやつらも
バカではない。いや、バイオネットの中で最も手強い部類に入る。おそらくライフル銃もコンテナごとどこかへ
消えとるじゃろう。」「物的証拠がなくても、証人がここにいるわ。」「残念だが、今の君では証言能力を疑われるのが
オチだ。私立探偵イリス・マーリンが謎の薬のせいで子供になったなんて、スコットランドヤードもICPOも
取り上げてくれないぞ。」「<存在>を消すって、こういう事だったのね‥。今の私は探偵でも侯爵令嬢でもない、
無名の少女‥」ぐぐっ。「これからどうするつもりじゃ?」「決まっています!ユキノとあのドクターって男を
捕まえて、薬の解毒剤を手に入れます。」「カタギには無理だ!第一その体じゃ‥」「最初に言ったはずよ。私はただ
助けを待つタイプじゃないって。それに、私にはまだ最大の武器があるわ。これがね。」とんとん。
「なかなか頼もしい娘さんじゃのう‥しかし、個人の力では限界があるぞ。」「ならどうすれば?」「君さえよければ、
GGGに籍を置いてみんか?」「GGGに?!でもGGGは解散されたはず‥」「表向きはな。だが、来たるべき
機界亜種戦に備えたプロジェクトGの準備が進行中じゃ。」「‥私は探偵です。武装組織に入ってもお役に立てるとは」
「機動部隊だけがGGGではないぞ。例えば、街中に潜伏した人間型ゾンダリアンの捜索‥推理AIも開発中じゃが、
やはり最後の詰めは人間になる。探偵業で培った君の眼力が加われば千人力じゃ。」「探偵が刑事の真似事ですか‥」
「僕も爺様と同意見だ。君にも探偵としてのプライドがあるだろうが、バイオネットがまた狙って来ないとも
限らない。GGGの中なら志保達もいるから一応安全だ。それに‥君ならシホリンのストッパーも勤まる。」
「なにそれ?」「あいつは優秀だが、やたらゴシップを振りまく悪癖があるんだ。」「‥‥(-_-;)。GGGなら各国の
重要機密も入手可能だろうし、あいつらの手掛かりも掴めるかも‥分かりました。」「戸籍や住民票は偽造するとして、
そのための仮の名前が必要じゃな。」「姓はともかく、名前は変え過ぎると呼ばれても咄嗟に反応できないというし。」
「それなら、ファーストネームはイリスで決まりね。エリザベスより馴染んでるし‥。ファミリーネームは‥
桜の大紋にちなんでチェリーはどうかしら。」「もうひと捻り欲しいのう。桜‥花‥フラワー。チェリーフラワーは?」
「『桜の花』ならブロッサム(blossom:特に果樹の花)の方が。」「イリス・チェリーブロッサム‥いいわね。それで
いきましょう。」「日本へはボクが責任を持って送ろう。」「ウォーレス家には僕から事情を。」「頼む。」「しばらく‥
会えなくなるわね。」「そうだな‥」「おっと、ちょっと忘れものをしたぞい。すぐには戻ってこんから。」シャッ。
「爺様‥(^^ゞ」「気を使ってくれたのね。」「それにしても、君をこんな姿にするなんて‥バイオネットの奴ら‥」
ゴゴゴ‥「私も軽率だったのよ。1人で後つけたから。」「僕は絶対に奴らを許さない‥!」「刹羅‥」
「これじゃあ<恋人の営み>ができないじゃないか!」すぱーん!「そーいう問題かいっ!(^_^メ)」
「・・いや、Oリというのも趣向が変わってていいかも。」くるっ。「え"?・・マジ?」じりっ・・たじっ・・
「え~と、いやその、サイズがちょ~っと合わないんじゃないかと・・」「合うように開拓すれば。」「ゲッ!」
すぱぁぁーん!「ばかもの~!いくらリリカルえっちでも限度があるわい!」「爺様?・・見てたんですか。」
「はーっ、はーっ!・・マジだった、いま目がマジだった。(-_-;;」「とにかくOリはいかんぞ!」「はーい。」
3日後、ヒースロー国際空港。「旦那様達の事はお任せを、どうぞお気を付けて。」「僕の方でもユキノ達の捜索を
進めるよ。連絡は常時入れるから。」「ありがとう。」「アイリス‥元の体に戻ったら、またサイクリングに行こう。」
「ええ。あの陽の当たる坂道へ‥」チュッ‥「名残惜しかろうが、そろそろ搭乗手続きじゃ。行くぞ。」「‥はい。」
ゴォォォォ‥「リズは行ったようだな。」カツッ‥「旦那様‥!」「ミセス・ディアナまで‥」「これもウォーレスの
血をひく者の宿命だろうか。」「あるいは‥試練かもしれません。スコットランドの時代より<自由>を尊び、
影ながら国と民を守ってきた一族の当主になるための。」「あの子には、そんな束縛を受けない人生を歩んで
欲しかったが・・」「大丈夫よ、あなた。私達の娘ですもの。きっとひと回りもふた回りも大きくなって戻ってくるわ。
心も<体も>‥」「それに、頼もしい伴侶もおりますし。」ちらっ。「えっ?(・・;)」「このレイモンド・ビショップ、
伊達に40年もウォーレス家に仕えてはおりません。お嬢様と貴方様、最良の組み合わせと確信しております。
今後ともお嬢様の事、何卒‥」「何か脅迫じみた色を感じるのは、僕の気のせいでしょうか?(^_^;)」「いえ、私は
一介の、愚直だけが取柄の執事です。」「ですね・・同じタイプの同業者の方をよく知ってますから。」
新羽田空港。「やっほ~、こっちよ~!」「園遊会以来ね、志保ちゃん。」「事情はおじいちゃんから聞いたけど‥
なかなかカワイイじゃな~い♪ 着せ替えごっこして遊びたいくらいよ。」「まさかこの歳になってフリル付きを
着るとは思わなかったわ。」「ダイジョーブ。見た目はカンペキなお子様だから。」「それが1番つらいところ
なんだけど‥」「ようこそ日本へ、イリス・チェリーブロッサムさん。」ポリポリ「は、初めまして。猿頭寺諜報部長‥
(ハンカチで鼻を覆っている)」「今は宇宙開発公団のシステム主任ですが。それではこちらへ。」スタスタ‥
『お初にお目に掛かります。イリスさん。』「あなたがボルフォッグね。アイリスでいいわ。ビークルロボ見るのは
今日が初めてだけど、ビークルモードは本物のパトカーと見分けつかないわね。」『恐れ入ります』「ささっ、乗って。」
バタンバタン。ブロロ‥「はい、外国人登録証明書。それと契約書に支度金入りのカードにマンションの権利書と
キーに住民票の写し。」「準備いいのね~。」パラパラ。「諜報部副部長兼捜査課長‥かなりの重責ね。」『日本警察では
警視クラスに相当します。』「ずいぶん張り込んだわね。」「人件費を惜しまないのがGGGの方針ですから。」ポリポリ。
「そうそう、忘れるところでした。これも。」ぱさっ。「これは‥」「あなたの<経歴>。来週までに暗記してね。
編入手続きはこっちでやっとくから。」「は?」「このままあなたを雇うと、労働基準法及び児童福祉法違反になって
しまいますので‥普段は小学生として振舞って下さい。必要となれば迎えを行きますので」「‥‥(゚o゚)」
翌週の月曜、カモメ第一小学校・4年3組。ガヤガヤ‥「ねえ聞いた?1組に外国から転校生が来たんだって。」
「この時期に転校生なんて珍しいな。」「イギリス人らしいよ。イギリスといえばロンドンのオペラハウスで
シェイクスピアを三回も見たよ。」「オーッホッホ!私なんかセント・アンドリュースを全コース貸し切りにした事
あるわよ~。」「フギュルル~ッ!」「どんな子かな?」「浮気したら天海くんが泣くわよ~。」「そ、そんなんじゃ‥
(真っ赤)」「どっちみちそれはないよ。転校生は女の子だって。」「女の子?!ちょっと見にいかねえか!」
「ウッシー・・うしろ。」「ん?・・はあっ!」ゴゴゴゴ・・「れ、レイコもいっしょに行くか?(^^;;」
「もちろん!」「それじゃあたしも行く~。」「ボクも~!・・マモルいないと穴開いてるみたいだね。」『うん・・』
ガヤガヤ・・「すっげえ人だかりだな。」「みんな物見高いんだから。」「で、問題の転校生は~?」「あ、あの子だ。」
『おお~っ!』キラキラ・・「うっひょ~!すげえ!金髪だ!」「お人形さんみたい~!」「目が青いよ~!」
「あんたたちは明治人か!いまどき外人なんて珍しくもないわよ!」『だって~。』(へぇ・・あれが3組のウワサの
連中か。旧GGG時代から関係深いようだから、トモダチ付き合いしとくのも悪くないわね。よし。)すっ・・