「みなさん、これで今日の日程は終了です。明日の朝は8時にここに集合ですから。」『は~い!』「あれ?
リオンさんも泊るの?」「もう遅いから今夜は泊っていくわ。できればマモルくんの部屋に泊めてほしいな~。」
「うわっは~、(^^;;でもボクの部屋はシングルベッドだよ~。」「添い寝はイヤ?」「い・・いえ・・」
「リオンさんダメですよ!私は親御さんから護くんたちを預かってるんですから、もし何かあったら申し訳が
立ちません!」「へ~い。」「私の部屋ならベッド余ってますけど?」「やなこった。・・こーなったら夜這いを」
「なになに、夜這いが何ですって?」「・・げげっ!志保!なんでテメエがここに!」「なんででしょうね~♪」
「さてはボルの差し金か!」「そのとーり。アンタがいんこーざい違反しないようにお目付け役ってわけ。」
ゴオオオ・・「うわっは~、なんかすごいメンツになっちゃったね。」「今夜ここ戦場にならないでしょうね・・」
「あっ、リオンおばさま~!」ぎくっ!「おばさまぁ?」タタタタ・・「ひばり?!なんで香港に?!」
「友達と一泊グルメ旅行だよ。」『こんばんは~!』「Gエンジェ・・おっと、いつもの連中かい。」「うん。」
「まあ奇遇でございますですわ。」「・・こんばんは、志保姉さん。」「あら、つばめちゃん?」「おお~っ!
この人がつばめの憧れの最強くノ一、志保さんかい!」「最強ってまたホントのこと~。」「誰のこった?」
「リオンねーさん、キングギドーラ見せてんか。」「ここじゃやべえって。」ワイワイ!「マモルくん、あれって
たしかカモメ第二中学の」「うん、ウワサに聞く「破壊天使組」のお姉さんたちだね。あのひばりさんがたしか
凱にいちゃんの姪だって。」「へぇ~。獅子王家って親戚多いんだ~。」「・・(ヲイル、たしかあれは・・)」
(はい、第八部隊「Gエンジェルズ」の面々です。我らとは滅多に敵対しませんが、かなり手強い存在です。)
そのころ外では・・『まさかひばりさんたちまで来てるとは。まあこれでリオンもそうそうはうかつなマネは
できないでしょう。・・むっ?』ブロロロ・・キキィ。ガチャッ。『・・あれはまさか?!緊急シグナル!』
ブルルル・・「ん?」カチャッ。「ボス、なにごと?」『玄関に注意してください。』「えっ?」ガガーッ。
「・・あれは?!ちょっとリオン!」「なんだ?・・なにいっ!」「・・あら?(ゲゲッ!なんであの二人が!)」
記録外ミッション54「香港颱風Ⅱ:ランタオ島波高し」(外伝16話つづき)
『うわ~っ!ユキノ・ディアノだ~!』キャーッ!ドドドドッ!「あっ!おいこら、アブナいってば!」
「まあ、ファンのみなさんですね。(ラッキーちゃんーす!これで楯ができたわ。)サインですか?」『はーい!』
「次の新作いつですか?!」「うわ~!ホンモノはやっぱりキレイですわ~!」「・・サインください。」
「世界のトップスターに会えるなんて大感激~!(TT)」「ホンマモンや、ホンマのハリウッドスターや!」
「え~と、ひばりさん江・・と。なんか伝説の演歌歌手みたいね。」にこっ。『はううう~っ・・ステキ。』
(ヲイル、あれは?)(ほらテレビの映画で見ましたよね。世界的映画スターのユキノ・ディアノです。)
「ん?・・あなたがたは。」「なにか?」「・・いえ、ちょっと。(この二人がドクターが言ってた・・)」
カツカツ・・「・・ふふっ。」『・・(青スジx2)』すっ・・(ざまーみろ。)ぴくうっ!(さらに青スジx2)
「あ、あのー!」「はい?あなたもサインが欲しいの?」にひっ。「(・・このアマ。)あ、握手を。」
「ええ、いいですよ。(なんにもできねーだろ。やーいやーい。)」すっ・・がしっ。キラッ。ジュゥゥゥ~ッ!
「う・・(ぎえええええーっ!)」「光栄ですぅ~。(どーだこのヤロー。)」ぴくぴく・・「い、いいえ~。」
「これはユキノさま。特別室へのエレベーターはこちらでございます。」「あ、どうも。」ガーッ。パシッ。
うぃぃ~ん・・「・・あーちあちあちっ!」ふーっ!ふーっ!「・・あんのメス獅子やろおおお~っ!」
「リオン・・なにしたの?」「ちょっと放熱作業。いまごろ洗面所で冷やしてるだろーね。」にかっ。
「アイツがここにいるってことは・・リオン、こりゃ夜這いどころじゃないよ。」「ああ・・(あっま~い!)」
かすみとすみれの部屋。コンコン。「なに?」『ユキノ・ディアノさまからのご伝言です。これよりお部屋に
ご招待したいとのことです。』「はあ?」『ひいてはご正装なされるようにと。シャネルのコーディネーターを
お連れしましたので、お着替えを。失礼いたします。』ガチャ。ガラガラガラ。「うわ~・・ドレスの山・・」
「この中からお二人にふさわしいものをわたくしが見極め、着付けいたします。」『よ、よろしく~。』
最上階、特別室。コンコン。『どうぞ。』ガチャ。「ようこそ、御堂音かすみさん、それにすみれさん。」
「はじめまして。」「このたびはお招きにあずかり光栄です。」「いいえ・・やはり本来の気品というものは
自然とにじみ出てくるものですね。」(?!)(・・そうか。)「あとは私たちだけで。」「ごゆっくり。」パタン。
「どうぞおかけになって。」『はあ・・』「さて、ちょっと遅いけどディナーを楽しみましょう。香港随一の
フレンチ・シェフが腕をふるった料理ですわ。ワインはブルゴーニュの赤。」『うわあああ・・』
「やはり食事は大勢で楽しくやるものですね。一人ではさびしくて。さ、ワインを。」トクトク・・
「それでは乾杯を。・・機界神種の健闘を祈って。」はっ!「やはり・・では、オメガの健闘を祈って。」
「ふふ・・さすがね、情報将ヲイル。」「そちらも。・・一番のユキノ。」「ヲイル、知り合いでしたか?」
「はい、以前にたびたび顔を会わせました。今夜はさすがにダマされましたけどね。」「あんなわたしは想像も
つかなかったでしょうね。」「映画を観てて、どこかで見た顔だな~って感じたことはあったけどね。」
「ではこの方がヲイルがよく話題にしてた・・」「オメガの戦闘指揮官、一番のユキノです。」「よろしく。」
「ユキノは初見だったわね・・こちらが機界女王ンドゥーネ様。」「知ってるわ。梁山泊壊滅あたりからね。」
「さすが・・GGGに潜入員がいるってウワサは本当らしいわね。」「はずれ。ヒマみて予備要員を装って
うちの隊員が情報を集めてきてくれるの。」「GGGの防諜体制どうなってんのかしら?」「ゾンダリアンを
ターゲットにしてるからでしょ。なみの情報員では鉄壁のセキュリティを破れるわけないしね~。」クイッ。
「でもあなたの工作員は破った。」「それもバツ。視点を変えればいいのよ。すなわち、隊員の井戸端話。」
「なるほど・・いいとこに目をつけたものね。」「バカ話の中にも1%の真実はあるもの。それを読めるかが
優秀な諜報員の条件ね。」「あら?それって確か志保の・・」「そうよ。志保ちゃん流情報収集の術。
その正統継承者がうちのメンツだと知ったら、志保はどういう顔するでしょうね~、あはははははっ。」
「ふふ・・越後屋、ぬしもワルよのう。」「いえいえ、お代官さまに比べれば。」『わははははは!』
「う"~、私の思考の次元を超えたやりとりが・・ここは黙って食べてよ~っと。(^^;;」もぐもぐ。
深夜。そろそろ・・(抜き足差し足忍び足・・)ぴたっ。きょろきょろ。(・・ここね、マモルちゃんの部屋。)
カチャ、そ~っ・・(・・寝てる。)そ~っと・・ぴしっ。カチャ。(カギはかけたと・・これで二人きり~♪)
ひょいひょい。「スー・・スー・・」(カワイイ寝息~。すぐにおねーさんがいい夢見せてあげるからね~。)
ぱさっ。ごそごそ・・ぎゅっ。(う~ん、あったかくて柔らかくて気持ちいい~。パジャマのボタンは・・)
さわさわ・・ふにっ。(?・・ふに?)ふにふに・・(・・え?え?!)「・・どこさわってんのよ。」
「なにぃぃぃーっ!」ばさっ!「じゃーん!大ハズレ~!」「し・・志保?!」「どーせこんなことだろーと、
護くんと相談して部屋を替わっておいたのよ。」「てんめえ~・・」メラメラ・・「やりますかね?」ポキポキ。
カッ!『・・なにっ?!』ズズゥゥゥ~ン・・「あれは・・砲声!」ダダッ!ジャッ!「・・あれは?!」
ピカッ!・・ドゥゥゥ~ン・・「遠いな・・ランタオ島あたりか?」カチャッ。「「弁天」!状況を!」
『こちらジェームズです。ランタオ島沖より島の施設に向かって艦砲射撃を行ってるようです。』「施設って?」
『情報によれば軍の技術工廠。未確認ですが戦略兵器の研究開発をしていたようです。』「オメガだな・・
また軍事施設を狙ってきやがった。ジェームズ、敵はヤツか?」『はい。戦艦ロボ、アイアンロックス。』
「ユキノの巨獣メカか!あいつこのために香港に!」「ユキノはあたしが押さえる。リオンはボスと!」
「わかってる!ひばりたちも叩き起こせ!」バリィィーン!ターン!「ボル!いくぞ!」『了解ですリオン。
ウルフアタッカー!』ジャキーン!ゴオオオーッ・・スタッ!『キャッチ成功しました。』「ランタオ島へ!」
『うわ~・・』「あれはオメガのアイアンロックスですますわ。」「また出やがったか!」「・・いくら倒しても
すぐに再建されてる。たいしたものね。」「行くんか?」♪プルルル。カチャ。『志保よ。Gエンジェルズ出動!』
「わかりましたわ!」ジャン!「みなさん出動ですわ!」『おう!』「屋上へ!」ダダッ!ガチャ。「おっと!
そうはさせないわ。」「・・えっ?!ユキノ・ディアノ?!」「あなたたちはここで見てなさい。さもないと
つまらないケガするわよ。」「すみません、ボクたちは行かないと!」ダダッ!「紅嵐!」ドン!「なっ?!」
ドコオオオーン!パラパラ・・「これは・・クルド流暗殺拳。・・まさか。」「わざと外したのよ・・だから。」
「ユキノさまが・・オメガ?!」「知らなかった?夢を壊すようで心苦しいけど、わたしがオメガ戦闘隊長、
一番のユキノよ。」「そないな・・アホな!」「お願いだからここを動かないで。わたしはあなたたちを傷つけたく
ないから・・」『その気持ちがあるだけまだマシなようね。』ハッ!カカカカン!「おっと!」シャッ!
「七節棍・・志保か!」「そのとおり!子供に手は出さないで。あなたの相手はあたしがしたげる!はあっ!」
シャッ!「くっ!」タタタン!「いまよ!屋上へ!」『はい!』タタタタッ!「これでよし・・ユキノ、あたしは
アンタを許さない!あの子たち、そうとう傷ついたよ!」「そうね・・でもいずれはわかることよ。」「それでも!
純真な心を踏みにじる悪があたしの敵よ!」「・・わたしは悪。そして志保は正義。それでいいの。」「・・勝負!」
「あれは?!」ガチャッ!「マモルくん!」「華ちゃん!」「あれは?!」「だいじょうぶ・・こっちには被害は
及ばないみたい。」コンコン!ガチャ!「天海くん、初野さん!危険だから私の部屋に集合して!」『はい!』
タタタタッ・・ズズゥゥ~ン!『うわっ!』「い、いまのは?」「・・だいじょうぶ・・でしょう、たぶん。」
「こ・・こわくない、こわくない。」「戒道くんももう部屋に来てるはずだから。」ガチャ。「かすみ姉さん。」
「・・大変なことになったな。」「戒道、あれは?」「どうやらオメガの戦艦ロボらしい・・だいじょうぶ、
こっちに興味はないみたいだ。」「ランタオ島のほうに攻撃してるようね・・」「あれが・・オメガ。」
屋上。「ぐすっ、ぐすっ・・」「ひどいですわ・・あのユキノさまがオメガだったなんて!」「・・許せない。」
「そうだ・・あたしらの夢をぶち壊しやがって!」「この無念と怒り、晴らさでおくかいな!」「・・うん。
みんな、戦おう!夢を壊す悪、オメガを倒すんだ!」『おう!』ばっ!『エヴォリューションッ!』ピカッ!
「風よ!光よ!きたれ!ガイアアアアーッ!」「超力招来!きて!アジール!」「吹けよ風、呼べよ嵐!
出番ですわ、ティーガー!」「天・地・愛!いくぜ、ダイナスト!」「ゼノギァス、スゥイッチオン!
ワン、トゥー、スリー!」シィィィィ・・シュバアアアアーッ!『とおっ!』キィィィーン!
ランタオ島沖。ズドーン!ヒュルルル・・ドゴオオオーン!「的中!」「アイアンロックス、砲撃続行よ!」
「ムーンねえちゃん、ユキねえちゃん遅いね~。」「最新情報では香港にリオンやら志保やらいろいろ集まってる
そうだから、足止めしてくれてるのかもね。」「だったらあたしたちだけで任務達成するしかないね~。
もうちょっとで全壊しそうだよ。」「主砲、一斉射!」ズドオオオーン!・・ドガアアアーン!「的中!やったよ!
完全に破壊したよ!」「任務完了!長居は無用、とっととエゼキエルとの回収ポイントに向かうわよ。」
「りょーかい。」♪ビーッ!「レーダーに感?」ダダッ!「え~と・・敵機見ゆ!ウルフアタッカーだよ!」
「ボルフォッグまで来てたの?!」「ちょっと待って!フロントに誰か乗ってる・・ゲゲッ!獅子の女王だよ!」
「ええっ!あの人間核兵器が!」「逃げる?それとも戦う?」「逃げたいとこだけど・・いっちょバトるか!」
「対空EMP弾幕!」ズドドドドドッ!バリバリバリッ!「ちいっ!電磁パルス弾幕か!」『これはいけません!
私はミラーコーティングされてますが、リオンは!」ビリビリビリッ!「・・なんのこれしき!うりゃあっ!」
バシィィーン!『なんと?!気力でパルスを弾くとは!』「ボル、つっこめ!Gキャリバー!」ズラアッ!
「Xカートリッジ!」ヂャキッ!「でりゃあああーっ!」カッ!ズバアアアーン!バシュウウウウーッ!
「一番主砲塔、大破!」「どうせ敵はヒットエンドランよ!離脱する間を狙う!」ズドドドドドドッ!
『獅王破砕拳!うおおおおーっ!』ズドオオオーン!『うわっ!』グラグラッ!「い・・いまのは?!」
ザパアアアーン!『はぁぁぁぁ・・』「あ・・あれはGエンジェルズの紅のガイアー!」「あんなのまで!」
『妖鎌「紅月」!』ゴオッ!ズパアアアーン!メキッ・・ザパアアアーン!「Bブロック大破!」
「く・・黒のアジール!」『唸れ!金砂地・銀砂地!はああああーっ!』ズバババーン!「動力部が!」
「紫のティーガー!」『でりゃあああーっ!』ドゴオオオーン!ドガアアアーン!「艦首が吹き飛んだ!」
「緑のダイナスト・・」『ゴートゥーヘルや!ストームバルカン!』ブオオオオーッ!ドガドガドガーン!
「機銃群、全壊!」「青のゼノギアス!」「Gエンジェルズが勢揃いしてるなんて!」「しかも・・これは?!」
『はぁぁぁぁ・・』ゴゴゴゴゴ!「な・・なんなのこのプレッシャーは?!」『うおおおおおーっ!』
ドゴオオオーン!ズパアアアアーン!ザキィィーン!バゴオオオーン!ズドドドドドッ!『きゃああああーっ!』
「おいおい・・ひばりたち、いつになくすげえ気合だな・・」『これは・・どうやらすさまじい怒りかと。』
「怒りか・・あいつら普段は温厚なだけに、ぶち切れるとこええな~。」『あっという間にスクラップに・・』
『はあっ、はあっ・・』ズズズズ・・シュバッ!ボゴボゴ・・「な・・なんとか脱出できた~・・」
「ふえええ~・・すっごいコワかったよ~。」「アイアンロックスが数分でズタズタに・・なんて連中よ・・」
朝、午前八時。『・・ふわあああ~っ。』「寝不足だよ~・・」「わたしも~・・」「同感だ・・一晩中戦争を
見てたからな。」「集合十時に変更しとくべきだったかしら・・」「そのほうがよかったかもね~・・」
「志保・・ユキノは?」「逃げられた。・・技にいつもの切れがなかったね。やっぱ引け目があったのかな。」
「どういうこと?」「かくかくしかじか。」「そっか・・それでひばりたちも怒ってたのか。」「そうだね・・
あのさ、ユキノもだいぶ傷ついたみたいね。」「・・アイツもなんのかのいっても、優しい女だからね・・」
「ひばりたちは?」「部屋でマグロになってる。あれだけパワーを放出すりゃ無理ないね・・」
ひばりたちの部屋・・「・・ひばり、眠れる?」「いや・・どうもユキノさんの顔がちらついて・・」
「・・ひばりもそうですの?」「あたしもさ・・ユキノさん・・あの時・・」「・・泣いとったね。」
「・・あたしってどうしてこんなにバカなの・・」「ユキねえちゃん、どうしたの?」「帰ってから司令室にも
行かずに・・」「・・あたしね、ファンを傷つけた・・純粋に慕ってくれる子たちの心を踏みにじった。
これが悪なの?悪ってこんなに苦しいものなの?情けない・・自分が恥ずかしい・・」ポロポロ・・
『・・・・』「お姉ちゃん、自分をそんなに責めないで。巨悪ってのはそりゃー苦しいし辛いもんだよ。
小さい悪はたしかにラクだよ。自分の欲望を満たすためだから。でも巨悪は自分の欲望さえも捨てないと
なれないものだと思うよ。悪を超え、悪を屠る悪・・それがオメガじゃない。」「・・フレイア。」
「がんばろうよ。あたしたちは今まで誰も出来なかったことをやろうとしてるんだから。その道ははてしなく
遠くて辛い道だけど、やりとげればきっと何かが見えるはず。そう信じて進もうよ。」「ムーン・・そうだね。
あたしたちはとうの昔に悪として滅びることを覚悟したんだったね・・ちょっとそこの装甲板とって。」
「これ?」すぅぅぅ・・どぐわしゃああっ!『ゲッ!』「おーしっ!反省完了!」だくだく。(大流血)
『お・・お姉ちゃん。(^^;;』「超合金の装甲板が頭の形にプレスされてるよ・・」ぞ~っ・・
************************
ハリウッド。「ユキノさま、次回の作品は?」「これなんかどう?」バサッ。「・・ポリスアクションですか?」
「たまにはアクションものもやってみたいの。それともうひとつ、新企画をね。」「といいますと・・?」
♪プルルル。「はい志保ちゃんどぇーす。・・ゆきのん?!」『今夜会える?』「いいけど・・じゃ、いつもの。」
『いえ、今日のは大事な用だから、いまから言うところに。』「いいけど・・」『正装してきてね。』「はあ?」
ハリウッド近くの高級クラブ。「こちらでございます。」「どうも。」しずしず・・ガチャ。「お客さまが参りました。」
「ありがとう。こちらへ。」しずしず・・「あとは。」「かしこまりました。」パタン。『・・・・・・』プッ!
『あはははははっ!』ダンダンダン!「にっあっわっねぇぇぇ~っ!あははははっ!」「あたしも自分でやってて
そう思うわ~!わははははっ!」「あ"~、あまりのおかしさに涙でちった。めそめそ。」「でと、わざわざこんな
高級クラブの個室借り切ってまで、何の用よ?」「それなんだけどね・・こないだのあれ。」「・・ああ。」
「やっぱ胃もたれしちゃってね・・それであれこれ償いを考えたわけ。」「償い・・?」「まあ聞いて。」
ネオGアイランドシティー一丁目、無国籍料理「サイレンス」。♪カラーン「ちぃーす。」「あれ?志保ねえさん。」
「やっぱりいた。マスター、いつもの。」「もんじゃ焼きやね。」「ちょっとみんな集まって。」『?・・』
「実はね、こないだの件でユキノが詫び入れてきたの。」『詫び?』「そういう問題ではねえでございますわ。」
「そや。うちらはまだ怒っとるで。」「これ詫び証文。」ひょいひょい。『?』カサカサ・・『・・これは?!』
「見てのとおり、ユキノ・ディアノの次の映画の出演依頼よ。」「これって・・マジにハリウッドかよ!」
「うわ~、詫びにしてもすごいこと考えるね。」「世界同時公開。のべ30億人が見ることになるわよ。」
『さんじゅうおくにん?!』「くらくら・・めまいがしてきたでございますわ。」「なんかのワナっちゅー
可能性もあるで。うのみにはできまへんな。」「それならだいじょうぶ。あたしも出るから。」『ええっ?!』
「・・諜報部の仕事にさしつかえるんじゃ?」「その逆。大河長官と猿頭寺部長の許可も得たわ。
名声は使いようでは強力な武器になるのよ。ユキノがそうでしょ?」『・・なるほど。』「で、どんな映画?」
「これがシナリオ。」バン。「みんなのぶんあるから。」パラパラ・・「・・アクションもの?」「タイトルは・・
記録外ミッション55「野生の七人」(外伝54話直後)
シャッセ・・もとい、第13部隊本部。「映画出演だぁ?!しかもユキノのか!」「リオンにも出演依頼が
来てるけど、どうする?」「あいつなに考えてやがる・・お蝶はどう思う?」「いいんじゃない?」「おい・・」
「こう書いてあるわ。「Gエンジェルズのみんなが心配なら、来たほうがいいよ~。」」「・・あのアマ!そこまで
腐ったか!」「ちがうと思うけど。これは挑発よ。リオンならこう言えばとんでくるってよく知ってるわね。」
「・・おっし、その挑発受けてやろうじゃねえか!で、あたしの役は?」「それがね・・うぷぷっ!」「?」
「・・映画の出演ですって?!」「ユキノから依頼がきました!」「映画・・夢にまでみた映画スター!
ヲイル!すぐに出発準備です!」「もうできてます。」どさっ!「いきましょうハリウッドに!」「おー!」
そしてハリウッド。「ほんじゃいくよ!みんな準備はいい?」『おーっ!』「なんでユキノが監督してんだよ、志保。」
「なんでも制作・監督・主演てのをやってみたかったんだって。脚本はミヤビ。」「本職か・・やってみっか。」
♪ザザン!ザザン!パッパカパ~!パパパパパパパ、パ~!(某20世紀フoックスのタイトルロール)
『21世紀のシカゴ。犯罪は重武装化し、もはや従来の警察力では阻止できなくなった。シカゴ市警はそこで
超戦闘力を持つエキスパート部隊を創設した。その名こそ!』♪ザン!『WILD-SEVEN!』♪ババーン!
シカゴ銀行。・・ドカーン!ズドドドドッ!「おらおらおらっ!シホ、ずらかるぜ!」「がってんだリオン!」
ダダダダッ、バタバタン!キキキキィィーッ!ブロロロロッ!「これで二千万ドルはいただきだぜ!」
♪パフォパフォパフォ!「ちっ、うるせえマッポだ!シホ、運転代われ!」「あいよ!」ジャキッ!
「キングギドラ!」ドォンッ!ドカアアアーン!キャキャキャッ、ドオオオーン!「これでクリアー!」
ブロロロロッ!「12531、12532、12・・あーっ!もうめんどくせえけど大もうけ!」「やっぱ青色申告の
締め切り日を狙って正解ね。」「アメリカもそうか?」「知らないわよ。台本にそう書いてあるから・・ん?」
ウウウウ~ッ!「また来た!」「へっ、またキングギドラのえじきにするだけさ!」チャッ。バリバリバリッ!
「おわたたたっ!」「いきなりバルカン?!どういうマッポよ!」「・・シホ、前だ!」ザッ。「・・婦警?」
「ひいちまえ!」ブロロロッ!「はああああーっ!獅王砲撃拳!」カッ!ドゴオオオーン!『うわあああーっ!』
ドシャアアアーン!カラカラ・・「あいたたた・・な、なによいまのは!」「パンチ一発で車をぶち壊しただと!」
カツカツ・・「強盗殺人罪の容疑で逮捕します。あなたには黙秘する権利、弁護士を呼ぶ権利があります。」
「うるせえ!」ドオンッ!パシッ!「ば・・バカな?!キングギドラの弾丸を・・素手で受けただと!」
ぽい、カラカラ・・「ば・・バケモン・・」「州法132条にのっとり、ミランダ法の適用外とみなします。
あなたには黙秘する権利も弁護士を呼ぶ権利もありません!」ゴッ!バキィィーン!・・ドガシャアアアーン!
「け・・蹴り一発で自動車を!」「200mも蹴りとばすなんて・・」「抵抗すればああなります。」『はいーっ!』
警視総監室。「ひばりさん、ごくろうさまでした。」「いいえ、みんなが追いこんでくれたおかげです。」
「謙遜ですね・・ユキノ団長、ホシはやはり?」「「ピケット団」の一味でした。いまは市警の留置所にいます。」
「まったく・・市警の役たたずどもは手柄ばかり取りたがるのですね。」「うちでゲロらせると確実に
吐かせられますが、明日の朝までもたないということで。」「前回は責め殺しちゃいましたからね・・
自殺にみせかけて処理しましたが。」「あれはつぐみはんがネックブリーカーにリキ入れすぎたからや。」
「・・その前はすずめちゃんがキレてコマギレにしちゃったし。」「幼児誘拐殺人犯には当然の報いですわ。」
「ごまかすのも限界があります。みなさん気をつけてくださいね。」『はい、すみれ警視総監。』ザッ。
シカゴ市警、留置場。「・・バッカだね~。こんなとこであたしらを捕まえたつもりなんだから。」
「そーそー、ピケット団をなめちゃ困るね~。よいしょ。」パカッ。カチャカチャ・・「じゃん♪
プラスチック爆弾できあがり~。」ぺたっ。するする・・「ぽちっとな。」ドッカーン!ガラガラガラ!
タタタタッ!ブロロロロ!キキィッ!「はやく乗りなさい!」「すまねえカスミのアネキ!」バタン!
ブロロロ・・「たく、ドジふんだもんだね。」「めんぼくねえ。バケモンみてえにつええ婦警がいてね~。」
「ああ、最近のしてる「WILD-SEVEN」とかいう特殊部隊よ。あんたら命があっただけめっけもんだよ。
ウワサでは何人もぶち殺されてるって。」「うヘ~、つるかめつるかめ。」「ともかく、もっとでけえエモノが
必要だな。」「それなら郊外の研究所で巨大ロボットを開発してるわ。それを手に入れれば・・」「いいね。」
デカ部屋。♪ジリリリーン!「はい特捜課・・このドアホ!いてこますぞおらぁ!」「なんなの、かもめ?」
「あの二人がフケよった!」『ふ~ん。』「なんやその反応は!」「だって、わたくしたちの責任ではごぜえません
ですわよ。」「そうそう。またとっ捕まえれば済むこった。」「・・出動かかるまで無関係。そういうこと。」
「かもめちゃんもいまのうちにスタミナためといたほうがいいよ。ボクのカンではもうじき出動かかるから。」
「・・そやな。それまで吉本新喜劇でも見てよか。」『シカゴじゃやってねえって。』「台本そう書いとるで。」
ロボット研究所。どかああーん!「大変だ!軍用巨大ロボットが盗まれた!」ガキョンガキョン!
「なんつーロボットだよこれは!」「いまどきレバー操縦とはね~。」「核攻撃用にできるだけ電子回路を
減らして、機械工学だけで造ったんだって。」「つまりは手足ついた作業機械ってわけかい。ま、いーや。
パワーだけは人一倍あるみたいだし。パンチだ、ロボ!」『ま"。』どがあああーん!ガキョンガキョン!
♪ビーッ!『ピケット団が巨大ロボットを強奪。市街を破壊しながら接近中。』「ほらきた!」「出動よ!
カンフーひばり!」「はい!」「ヘッドハンターつばめ!」「・・はい。」「スウォーズすずめ!」
「はいでございますわ!」「グラップラーつぐみ!」「おう!」「コマンドーかもめ!」「はいな!」
「WILD-SEVEN、戦闘出動!」『アイアイサー!』ダダダダッ!「・・?ちょっと待って!」『えっ?』
ぴたっ。「なんで六人しかいないの?」『あ・・』「ユキノ団長入れて・・六人だね。」「すみれ警視総監は?」
「数に入ってないわ。あれ?変だな~・・」ぱらぱら。(台本めくってる)「・・いっけね!ひとり忘れてた!」
タタタタ・・「・・いたいた。」タタタタ。「はいこれ。」ひょい。「ガルルル・・」『サバンナ死羽姫?!』
「ずっと隅でお菓子食ってたから、すっかり見逃してたわ。」ギラッ!ババッ!ぴたっ。「かわいい~。」
「あら、ひばりがお気に入りみたいね。」こくこく。「じゃあひばりちゃんつれてって。」「はーい。」
「まあ可愛いでございますわ~。」「すずめ、手を出さないほうが・・」ギラッ!がぶっ!「いてててて!
なにすんだコノヤロでございますですわ!」「死羽姫は人間性を鋭く見抜くからね~。」「・・ということは、
すずめちゃんは人間性に問題ありってこと。」『うんうん、当たってる。』「うるへーでございますですわ!」
市街地。がきょんがきょん。「♪ビルの街に」ガオオオ!「♪夜のハイウェイに」ガオオオ!「こら~!
なにノンキに唄ってんのよ!」「いや~、慣れるとロボットの操縦ってキモチいいもんだね~。」
「操作系が上半身と下半身に分かれてるのがミソね。右、左、右、左。」「どこぞのゲームじゃないのよ・・ん?」
ターン・・スタッ。「あれは?・・リオン、ビルの上!」「また出たかバケモノ婦警!」「今度は負けないわよ!」
「リオン、シホ、やっておしまい!」『アラホラサッサ!』「いくぜ!今週の目玉!ぽちっとな。」パカッ。
「♪ヤル~。」「♪ヤル~。」「♪ヤル~。」「やられるぞきっと、な?」『しびびんしびびんしびびんび~ん!』
(う~む、なつかしいフレーズ・・(^^;;)(だれだよこんなシナリオ書いたヤツは・・(―_―;;)
(な・・なんだかよくわからないけど(あたりまえだ)、ちょ~っとイメージとちがうよーな・・)
ガオオオ!「くるか!」ドオオーン!「ロケットパンチ?!」「ひばり、まかせな!」ターン!ザシャアッ!
「つぐみちゃん!」ゴオオオーッ!「どすこーい!」ガシィィーン!ジャリジャリジャリーッ!・・
「なんだあいつは!」「受け止めたですって?!ビルもぶち抜くロケットパンチを!」「返すぜ・・うりゃあっ!」
ブン!すこおおーん!『うわわわわっ!』グラグラッ!「スキありですわ!」ターン!「金砂地、銀砂地!」
シャキーン!「てえええーいっ!」ズバアアアーン!・・ドドーン!「左腕がやられた!」「ゴートゥーヘル!
いてこましたるで!ダブルバルカン!」ジャキッ!ブオオオオーッ!ズガガガガガーン!「ハチの巣よ~!」
「なんてやつら・・はっ?!」・・キラッ。「・・もらった。」スパアアアアーン!・・ザシャアッ!
ピン・・ズズズズッ、ガラガラン!「コクピットカバーが!」「なくなっちゃった~!」「死羽姫ちゃん!」
こく。ヒュッ!・・ストッ。「なんだ?」「うがああああ~っ!」どたばたどたばた!がぶっ!カジカジカジ!
「いてててて!頭かじるな~!」「あははははっ!どう?うちのメンバーの総攻撃は。」「キサマは・・!」
「とどめよ!ひばり、つぐみ!」『はい!』「トリプル!」「合体!」「奥義!」『はあああああーっ!』
ギーン!『ワイルド・デストロイヤー!』ドゴオオオオーン!『あれえええ~っ!』ひゅるるる・・どどーん!
「任務完了!」「では、勝利のポーズ!」『ヤッOーヤッOーヤッOーマン!』「がるるるる!お菓子~!」
かくて映画は公開となり、全世界でバカウケ。劇場で笑いすぎて病院送りも出る大人気となった。おしくも
アカデミー賞はのがしたが(あたりまえだ)、それより名誉なMTVアカデミーをみごと受賞。ユキノは芸の幅を
広げ、ギャグもアクションもこなせるマルチ女優として名声をさらに高めた。そしてGエンジェルズも・・
キャーキャー!『ひばりちゃーん!サインくださーい!』「ボクは字ヘタなんだよ~!」「はいはい。わたくしは
もう何千枚も刷ってるでございますですわ。」「・・めっきり人気者。」「うれしいけど、なんかちがうよな~。」
「おかげでウチの店はカンコ鳥泣かんなってうれしーわ。」「テレビのバラエティー出演きとるで。どないや?」
「おとはんはすっかりジャーマネきどりやな~。」「あ~、スOードの苦労がよ~くわかったよ・・」
トイOラス・Gアイランド店。「ちがう~!これ全然似てな~い!」「まあアメリカものですから・・」
「ぶ~・・やっぱユOジンにもってってガシャポンにしてもらいましょう!あれならまだマシよ。」
「版権どうします?」「ユキノさんと交渉。これ送りつければ納得します。」「・・たしかにこれは。」
「リ・オ・ン♪」「・・なんだよお蝶。」「じゃん。」パサッ。「映画出演依頼。」「・・役は?」「ふふふ~、
みじめったらしい悪役。」「があああ~っ!なんでラブロマンスの主役とかこねーんだよ!」「くるわけねーだろ。」
大要塞エゼキエル。「ユキノ。」「なに?ドクター。」「あの続編は作らんのか?」「う~ん・・某シリーズみたく
みやぴんが10本ほどシュミで書いてるけど、エOリアン化するのもね~。」「ギャグならば問題なかろう。」
「たしかにね・・柳のドジョウ、もう2、3匹狙ってみるか。」「マーチャンダイジングも力を入れることだ。」
「あれ?・・もしかしてドクター、コレクター?」「想像にまかせる。」バサッ。カツカツ・・「・・なるほど。」
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♪チントンチントンチントンチントンチロリ~ン・・(リOフのオープニングね)
・・ 春が、すぐそこまで来ていた。「・・風、また少し暖かくなったかな・・」私はゆるやかに吹く風を受け、
髪を押さえながらつぶやいた。高台にある高校へと続く坂道。私はまばゆい木漏れ日の下を通り抜ける。
影から出た途端、まぶしい陽射しが体を貫く。私は目を細め、空を見上げた。どこまでも広がる、限りなく
澄んだクリアブルーの空。両手を伸ばせば、その青に溶け込みそうな……そんな気がした。
「なーに気取ってんのよ、みこちん!」すぱーん!「いでっ!・・み~や~び~ん!」「ちぃーす。
また寝ボケてたの?」「便所スリッパでいきなり後頭部しばかれたらドラキュラだって起きるわよ!」
「なかなかシュールな表現ね。それ今度の投稿小説で使わせてもらうわ。」メモメモ。「たく・・たまには
アイデア料くらいよこしなさいよ。みやびんちはお金持ちでしょ。」「ムダ使いしないからお金持ちなの♪」
「あんたほんっとムカつくわね!」ぴくうっ!「・・なに?」「・・きたきたきたきたあああーっ!」みみみ~ん!
「げげっ!みやびんの持病!」「見える!未来が見えるわあああーっ!」『ひそひそ・・(遠巻きにしてる登校生)』
「・・(恥ずかしい命)」「みこちん!あなた今日すばらしい出会いがあるわ!」「あ・・あんだって?」「つまり!
は・つ・こ・い!ファーストラヴ!」「えっえっ?!卯都木センパイが初えっち?」「みこっちゃん、まだだったの?」
「こらスミレにナコ!尾ヒレつけるんじゃない~!」「で、やっぱ痛かったですか?」「やっぱりじゅうぶん
潤滑させてからでないと。」げんこつ!x2『いった~、ジョーダンだってば。(☆_;)』「おやおや、みなさん
朝からお元気でなによりです。」『おはようございます、抜作先生。』「はいおはよう、「四紋竜」のみなさん。」
記録外ミッション56「勇者学園」(5年前?)
♪リンゴーン。「やーれやれ。終わったおわった。」「みこちん・・今夜は歌会よ。」「・・わかった、みやびん。」
「それまでいつもの丘?」「そう。あそこ見晴らしがいいからね~。モクるにゃもってこいよ。」すぱーん!
「ヤンキーみたいなマネすな!私たちは影働きなのよ。普段は模範生装ってなきゃダメじゃない!」
「わ、わかってるわよ~。ナコは民族音楽部?」「うん、発表会が近いから。それじゃ今夜。」「じゃあね・・
みやびんは帰宅部だよね。」「今日は古神道のお稽古があるから。遅れるんじゃないわよ。」「そっちこそ。」
丘の上・・「ふぅ~。世俗のアカを洗うにはここが一番・・」ザッザッ・・「あれ?卯都木・・命さんだっけ?」
「・・えっ?」クルッ。「・・獅子王くん?」「先客とはな・・今日は出直そう。」くるっ。「ちょ、ちょっと
待ちなさいよ。なんで逃げるの?」「いやそういうわけじゃないんだが・・」「もしかしてデートのまち合わせ?」
「いや、いつもそこが俺の指定席だったから。今日は卯都木に先を越されたわけだ。」「ふ~ん・・ね、ヒマなら
ちょっと話してかない?」「いいけど・・何を?」「いろいろ。あたしもタイクツだったし。」「・・いいだろ。」
ザッ。「こうやって話すのははじめてだな。」「そうね~、獅子王くんは学年一のヒーローだから、遠くから見てた
だけだったね。それに私はモテる人ってあんまし好きじゃないの。」「こりゃまいったな。俺は別にそんな気は
ないんだが。」「で、なんか用?」「いや、たまたまさ。俺はこの丘からの眺めが好きなんで、よく来てるんだ。」
「へぇ~、獅子王くんにそんなシュミがあるなんて。」「ところで君はここで何を?」「な~んにも。こうやって
ぼーっと空と海を眺めてるのが気持ちいいの。」「俺といっしょだな。」『あはははは!』「あのさ、獅子王くんって
宇宙開発公団に就職するんだって?」「ああ。オヤジの引きだけどな。俺も宇宙飛行士になりたいからさ。」
「宇宙か~。ロマンチストなんだね。」「そうじゃないさ・・もっと別の理由があってさ。」「別の・・理由?」
「おっと、もうこんな時間か。」ザッ。「これからちょっと行くとこがあるんで。・・またここで会おうぜ。」
ザッザッ・・「・・ふむ、いままで知らなかったけど、なかなかいい男じゃない。・・また会おう・・か。」
その夜、生徒会室・・「夜の生徒会室か・・なんかヤバげな雰囲気じゃない、スミレ?」「そうそう、生徒会長と
生徒会の女子が夜な夜なインビな」すぱーん!「それは十八禁でしょ!」「みやびんがなんで知ってるの?」
「そんなのWinユーザーには基礎よ♪」「あの、話が見えないんですけど。」「あ、ナコは知らなくていい世界の
話だからね。」「そうなんですか?」「みなさんお待たせしました。」ぬっ!『おわっ!抜作先生!』「さっそく
「四紋竜」の歌会をはじめます。」ガタガタ・・「さて・・今回のターゲットはこちらです。」ピッ、ぱさっ。
「空手部の面々。三日前、一年女子にひどいことをしました・・闇に葬りなさい。全部で8人。」『了解。』
「彼らはまだ道場にいます。・・速攻必殺。」ザッ!タタタタ・・「たのみましたよ、みなさん。」
空手部道場。♪ピロピロリ~。「なんだ?」「笛の音?」・・ブゥゥゥ~ン!『うわっ!』「スズメバチだ!」
ゥワンゥワン!「いててて!」「外へ逃げろ!」ダダッ!バサバサバサッ!カアカアカア!「カラスだと!」
バサバサバサッ!ガスッ!「ぐわあっ!目が!」「この!」ブン!カアカア!スカッ!『さしもの空手も
ハチとカラス相手じゃ役立たずね!』「だれだ!」『デスリング!』ヒュルルルルッ!ズババババッ!
『ぐわっ!』ブシャアアーッ!ターン!「ダブルクラブ!」ブン!バコオオオーン!「ぶぎゃっ!」
ブンブン!ドガバキベシィッ!『ぐはあっ!』バタバタッ!「道場空手じゃ殺し合いには何の役も立たないよ。
ナコ、始末して。」「はい。」♪ピロピロロ~。ワシャワシャワシャ!「さあミミズさん、アリさんたち。残らず
土に帰してあげなさい。それしか浄化の方法はありませんから。」ザワザワザワ・・「ものの30分もあれば
骨も残さずこの世から消えてなくなるわ。」スッ・・「・・いかがです?これであなたの傷も癒えるでしょう。」
「・・ありがとうございました。」「逃亡したということにして処理しておきます。それと・・他言無用です。」
「四紋竜」・・学園を治安を守る特務部隊。二年の卯都木命・土御門雅・神居奈子・それに一年の風祭スミレの
四人が隊員である。風紀主任である抜作先生の指令(バイト代あり)で平和を乱す不良学生や悪徳教師を仕置き
する闇の生徒会。普段は模範生を装い、いざ仕事となれば得意技で闇から闇に悪を葬る学園必殺仕事人である。
命は新体操の重合金クラブ、スミレは同じく新体操の鋭利な刃のついたリング、奈子は笛で昆虫をあやつり、
雅は式神「八咫烏」を使う。これまで数十人のターゲットが「事故」や「蒸発」、「失踪」となっている。
次の朝。「ふわあああ~っ!・・きのう遅かったからな~。」「やあ、卯都木。」「ん?・・あっ、獅子王くん。」
「おはよう。なんか眠そうだね。」「ちょっと夜更かししちゃってさ。」「勉強か、えらいな~。」「ま、まあね。」
「どうだ?授業フケてあの丘で寝ないか?」・・かっ!「ば、バカ、なにいってんのよ朝っぱらから!(真っ赤)」
「?・・やっぱ登校拒否はまずいかな。」「え?・・(こいつ・・スケベ心ゼロ?!天然記念物ね・・)」
「獅子王凱!」ザッ!「あら?シュウくん。」「お、シュウ、おはよう。」「キサマ、あれだけモテてなおかつ
卯都木まで!許さん、ゆるさんぞおおおーっ!」「はあ?」ダッ!「くらえ男の純情パンチ!」「あ、クツの紐が。」
ひょい。スカッ!「なにぃぃぃーっ!」ぐわらがらどっしゃーん!「あ~あ、お約束・・」「なんかあったか?」
「ふ・・ふふふ、さすがは凱。これしきの攻撃では通じんか。」パラパラ・・「・・話が見えないんだが。」
「問答無用!」ダッ!「男のスタミナキィィィーック!」♪キンコンカンコ~ン!「おっと、1時限めだ。」
ひょい。「なんとおおおおーっ!」ドンガラガッシャ~ン!「急がんと担任に怒られるぞ、シュウ。」タタタタ・・
ゴバアッ!「なんと、もうこんな時間か。」くるっ。「卯都木、遅れるぞ。」「・・え~と・・(^^;;」
その夜。「また仕事なの?」「いえ、今回はいわばボディガードです。護るべきはこちらの二人。」パサッ。
「獅子王凱くんとシュウくんです。」「ボディーガードって・・なにから?」「他校の番長グループです。
二人をターゲットにしているとの情報が入りました。どうやらめざわりな存在と目されてるようです。」
「なるほど・・あの二人は勉強もスポーツもこの界隈ではトップでかなり目立つからね。うちの学校の
シンボルと捉えられても不思議じゃないわね。」「具体的にはどこのグループですか?」「私立北斗学園の網刃組。」
『ほ~。』「県下最大最強の番長グループ・・ふふっ、これは絶好のチャンスね。返り討ちにしてやりましょう。」
次の日の放課後。「獅子王く~ん。」「やあ、卯都木さん。」「ね、今日はいっしょに帰ろ。」「いいぜ。」「こらまて!
俺もいっしょに帰る。」「シュウか。いいぜ。」スタスタ。「シュウくんてさ、なんで獅子王くんにつっかかるわけ?」
「凱は俺のライバル!男はライバルがいてこそ己を磨けるんだ。」「ライバルになったつもりはないんだけどな。」
「俺の勝手だ!(きっぱり)それに・・」「なに?」「・・いや、なんでもない。」「・・(ははあ・・シュウくん
あたしに気があるんだな。これはうまく利用してあげないとね・・そろそろ撒いたエサに食いつくころね)」
ザザザッ!「なんだ?」「獅子王凱とシュウ。お命ちょうだい申し上げる。」チャリッ。スッ。「チェーンと木刀か。
シュウ、何人いける?」「そうさな、10人がうち5人。」「なら俺が5人倒せばいいんだな。」(えっえっ?なんか
予定のシナリオとちがうけど・・)「お前ら何者だ!」「我らは・・はっ!」ドグシャアッ!「ぶはあっ!」
「俺たちに何の用だ!」バキバキィッ!『ぐわっ!』「答えないか!」バコオオオーン!「たわばっ!」
「答えないならかかってこい!」バキィィーン!(・・きったな~。問いかけに応じるスキに先制攻撃。)
「意外とあっけなかったな。」ぱんぱん。「話すヒマがあったら張り倒す。はじめて凱と意見が合ったな。」
「俺もケンカはベテランなんでね。」「ふ・・それでこそ凱だ。卯都木、迷惑かけたな。」「それはいいんだけど・・
なんで二人ともそんなに強いの?」「シュウのおかげさ。毎日のように挑んでくるんで、ある程度の見切りが
できるようになった。」「俺も凱に仕掛けることでカンを養っている。考えなしにつっかかってるわけではない。」
「へぇ~・・あら?こいつら北斗学園の連中だ。」「となると・・網刃組か。」「降りかかる火の粉は払うのみ。
凱、一時休戦だ。やつらをたたきつぶす。」「つきあうぜ。」ザッ。「卯都木、そういうわけでまたな。」ザツザッ・・
「・・」「予想外だったわね・・まさかあの二人があんなに強いなんて。」すっ。「出る幕がなかったですね。」ザッ。
「でもあの二人、まさか網刃組に殴りこむんじゃないでしょうか?」トッ。「危険ね・・援護しましょう。」こく。
北斗高校。ザッ。ヒュオオオ・・「いくぞ、凱。」「ああ。」ザッザッ・・ザザザザッ!「大勢でお出迎えとはな。」
「出てこい、網刃。」「ひゃははははは!飛んで火にいる夏の虫とはこういうことだな。天才のオレさまの
ジャマをするヤツはたたきつぶす!」「バカ。てめえなんざハナから相手にしてねえぜ。」「近所迷惑なんで
早々につぶさせてもらうぜ・・きな!」ザッ!「てめえらかかれ!」♪ピロリラリ~。「な、なんだ?」
ゥワアアア~ン!『うわっ!スズメバチだ!』ワァンワァンワァン!「なんだ?」「なんでもいい!とにかく
攻撃チャンス!」「それもそうだ!」ダッ!バキィィーン!「しまった包囲を破られた!だがこの人数なら・・」
バサバサバサッ!「なにっ?!カラスだと!」ギャアギャアギャア!『うわわわわっ!』「なんだいったい!」
「天は我に味方せり!」ドバアアーン!「そういうことだ!それいっ!」バキィィーン!「くそう!この天才の
オレさまがこんなことで!まだ数はいるぞ!」・・ヒュルルルルッ!ズババババーン!『ぐはあっ!』
「これは?!・・まさか!」バゴオオオーン!「ぶぎゃっ!」「よそ見してる場合か。」「ザコどもはおおかた
片づけたぞ。」「て・・てめえ!天才のオレさまの顔を!」バキィィーン!「はがっ!」「顔がどうしたって?」
「一度ならず二度までもぉぉぉ~っ!」バキバキバキッ!「あばばばばっ!」ドバアアーン!「はがあっ!」
ズダダダダーン!「喋るヒマがあったら戦わんか。」「戦いの最中におしゃべりするのはシロウトだ。」
「ぐぐっ・・こうなったら!」バッ!チャキッ!「拳銃?!」「お里がしれたな。」「死にくされ!」グッ!
ビュオオオーッ!グシャアッ!「うがあっ!手が!」「いまだ!」ダッ!「おりゃあああーっ!」「・・はあっ!」
ドバギィィーン!「うわらば!」・・ドグシャアッ!「ホームラン・・だな。さすがだ凱。」「終わったな・・
だが、いまのは?」ころん。「・・新体操の棍棒?」すっ、ズシッ!「これは?!」「どうした?・・むっ!
このとてつもない重さは!」「ああ・・普通の棍棒じゃないな。」「・・どうやら守護天使がいたらしいな。」
「あぶね~。とっさに投げちゃったけど・・バレたかな?」「だいじょうぶよ。あの程度のヒントじゃ、まず
気づかれないわね。ことにあの二人は物事よく考えないで動くタイプだし。」「ミヤビ姉さまのいうとおりですよ。
獅子王センパイけっこう単細胞ですから。そこがまたステキなんだけど♪」「おっと、後始末しとかないと。」
♪ピロリロ~。・・ザワザワザワ。「これでこの地区の虫たちも潤いますわ。」『うぎゃああああーっ!』「あれ?
まだ息のあるのがいたみたいね。」「生きながら虫に食われるのは地獄ですね・・ほら、もう聞こえなくなった。」
次の朝。『おっはよー。』「やあ。おっ、今日は大勢だな。」「土御門と神居と一年の風祭か・・どういうつながりだ?」
「カラオケ仲間よ。」「ほう、いつか聞いてみたいもんだな。」「やめといたほうがいいわよ獅子王。みこちんの歌は
とても聞けたもんじゃないから。」「そういうみやびんもアイドルソングでコブシまわってるじゃない!」
「歌がうまいのは神居センパイですよね。さすが民族音楽部の歌姫。」「でも私の歌はぜんぶアイヌ語だし。」
「ほう・・そういえば神居はアイヌ出身だったな。古代日本の心を伝えるアイヌ・・一度北海道へ行ってみたい
ものだな。」「・・ありがと、シュウくん。」「シュウ!それグッドアイデアだ!どうだ夏休み北海道ツアー!」
「あ、さんせー!」「その話、のるわ。」「新体操部の夏合宿サボってでもいきまーす!」「私は里帰りついでだし。」
「で、言い出しっぺのシュウももちろんくるよな?」「無論だ。凱ひとりに女性4人もまかせられるか。」
♪キンコンカンコン。「あ、いっけね!一時限目が始まっちまう!」『おっと!急げ~!』ドドドドドド・・
「・・やれやれ、次からは「六文銭」でも結成しましょうかね。おっと、私もホームルームです。」カツカツ・・
次回「勇者学園2:カムイヌプリの伝説」につづく・・
♪ザン!
ナイアガラ滝。ホテル群が立ち並ぶ世界有数の観光地である。ゴォォォ・・「うわ~!滝が目の前に!」
「このロイヤルスィートは景観が売りでございますから。」♪ポロポロン。「セバスチャンがピアノも
できるとは知らなかったわ。」「ほんの年寄りのたしなみでございます。ジャズピアノをいささか。」
♪ツターンタタン、ツターンタタン・・「クラシックじゃないのがセバスチャン様らしいですね。」
「葵どの、わたくしに「様」はいりませんというのに。」「葵はあたしと違って礼儀正しいから。」
「綾香様、マスターのお呼びだしとは?」「なんか造ってるものがあるので協力してほしいんだってさ。」
「うわはははは!」バーン!「おう、なかなか良い部屋だの。」「大師匠?」「師匠!あんたはなんでそうやって
いっつもドア蹴破るのよ!」「頑丈そうなドアは蹴破るに限るわい!」カチャ。「フロントですか?ドアの修理を。」
「修理代はワシにつけとけ。」「確信犯・・で、なに協力すればいいって?」「それじゃそれじゃ。ついてこい。」
記録外ミッション57「明日のために」(19話あたり)
ナイアガラ滝壷。観光船「霧の乙女号」がスレスレまで行き、膨大な飛沫を浴びながら大瀑布を真下から
眺められる。ゴオオオオ!「わ~!シャワーの中にいるみたい!」「レインコートが必要なわけですな。」
「師匠、いまさら観光でもないでしょうに。だいたいこの小船はなんなの?」「まあ見とれ。」ブロロロ・・
「・・滝に突進?!」「あたしは藤村操になる気はないわよ!」「ほう、よく知っとるな。セバスチャンか?」
「誰ですかそれ?」「葵どのが知らぬのは無理なきこと。昭和初期に見事な遺書を遺して華厳の滝に飛び込んだ
一高生であります。綾香様、「巌頭の感」の暗誦を。」「はいはい・・悠々なる哉天壌。遼々たる哉古今。
五尺の小躯を以って此大をはからむとす。ホレーショの哲学竟に何等のオーソリティーに価するものぞ。
万有の真相は唯だ一言にして悉す。曰く「不可解」 我この恨を懐いて煩悶終に死を決す。既に巌頭に立つに
及んで胸中何等の不安あるなし。始めて知る、大なる悲観は大なる楽観に一致するを。」「うむ、見事じゃ!」
「セバスチャンが覚えろおぼえろってうるさかったからよ。」「すごいです・・で、どういう意味ですか?」
「え~と・・よーするに世の中がわからなくなったんで死にますって意味だっけ?」「要約しすぎですぞ。」
「というわけで、突っ込むぞ。」「理由になってな~い!」バシャーン!『うわっ!・・あれ?』ブロロロ・・
「滝の裏に・・空洞?」「それに・・ボートデッキ?」「なるほど・・」「ここがワシの秘密研究所じゃ。」
カツカツ・・シャッ。『これは?!』キューン、ガガガガガッ!「ビークルロボ・・しかもでかい!」
「単機でガオガイガーくらいありますな。」「それが二機も・・」「どうじゃ?重戦闘ビークルロボじゃ。
名前はケルベロスとオルトロス。」「へぇ~、師匠こんなもの造ってたんだ・・」「おや?・・マスター、
関節部とアクチュエーターが妙に凝った造りでありますな。」「さすがに気づいたか。いかにも運動性と
フレキシビリティを重点に置いておる。」「多重関節と可動外部装甲・・もしや?」「格闘戦仕様ですか?」
「正解じゃ。完成のあかつきには獅王機甲拳を使う格闘ロボとなる。」『獅王機甲拳!』「でも機甲拳は
技だけじゃなく心も重要。技はプログラムできるでしょうけど、心はムリなんじゃない?」「そこでお前たちじゃ。
綾香、葵。超AIのモデルとなってくれ。」『はあ?』「ケルベロスに綾香、オルトロスに葵を予定しておる。
お前らなら機甲拳の心得もできておるからな。」「たしかにいい手だけど・・セバスチャンは経験あったよね。」
「はっ。半年ほど前に<混沌の>イヤベス殿に見込まれ、新基軸ビークルロボのモデルをさせていただきました。」
「イヤベスんとこのデガンジャか。あれもなかなかのものじゃの。昨日エアーズロックで初陣を飾ったとか。」
「セバスチャンさま、モデルってどうするんですか?」「頭になにやら付けて半日ほど寝るだけでございます。
目が覚めればコトは終わっておりました。」「それだけですか。」「ちょっと待って!・・もしかして寝るって
睡眠薬注射するの?!」「そうじゃが?」「・・イヤ!ちゅーしゃはぜったいイヤ!あたし降りる!」
「小さなもんじゃがの。」「サイズの問題じゃない!もし強攻策なんかとったら研究所ごとぶっ壊すわよ!」
『う~む・・』「綾香さまの注射嫌いはスジ金入り。予防接種がイヤで小学校ぶっ壊した前歴もあります。」
「研究所破壊されてはかなわんな・・しかたない。葵どのは予定どおりオルトロスのモデルになってもらうが、
ケルベロスはいかがしたものか・・むっ?」ピン。「綾香、モーションキャプチャーならよいか?これなら
動きをデータ化するだけだから注射もないぞ。」「う~ん・・それで手を打つわ。」「あとはマインドじゃが・・
綾香を想定して造ったので、おいそれと代役が務まるものも・・」「あの、案がありますけど。」「なに?葵。」
「綾香さんに近いマインドが必要なら、やはり身内の方がよろしいのでは。」「ならお父上では?」「いかん。
ケルベロスとオルトロスは合体機能を持っておる。となるとシンパレートを合わせるには同性でないと。」
「オヤジと葵じゃちょっと問題ありね。」「となると・・残るはひとり。」「芹香さまですね。」「ええっ?!
姉さんのマインドじゃあたしとまるきり違うわよ!」「そうは思いませんな。進む道は違えどお二人はよく
似てらっしゃいます。産まれてこのかたお世話をさせていただいたわたくしめにはわかります・・芹香さまが
仮に拳の道に進まれてたなら、綾香さまにヒケをとらない武闘家になったはずです。」「そんなもんかな・・」
「私も芹香さまはよく知ってますけど、綾香さんが思う以上に似てますよ。」「姉妹だしそりゃ似てるとこは
多いでしょうけど・・よくわかんないわ。」「セバスチャン、足労じゃが。」「プラハへ行ってまいります。」
「マスター、葵さんのダイヴ・インスペクション順調です。」「ふむ・・これはすごい係数値じゃの。」
「はい。通常の5倍近い神経反応速度と情報伝達速度、さらにアドレナリンの組成も異なっています。」
「それに加えて生体エネルギー効率のよさ。エネルギー保存則の理想値に近いぞ。」「ということは・・
葵さんは人間核融合炉?!」「というより人間GSターボじゃな。もっともあれでさえGストーン本来の力の
二割程度しか発揮できていないらしいが・・あとをたのむ。ワシはモーションキャプチャー室へ行く。」
「獅王閃光拳!」ドオオオーン!ボボボボン!『うわっ!』「どうかした?」「なにごとじゃこの騒ぎは!」
「マスター、モーションキャプチャーは不可能です!技を出したとたん、記録機がぶっ飛びました!」
「なんじゃと?・・そうか!反応速度か。」「はい。データがあまりにも大量高密度なので、記録機の設計限界値を
軽く越えてしまったようです。」「我が弟子ながらなんというヤツじゃ・・むっ?妙案があるぞ。綾香、技は
関節技のみにしてくれ。」「いいけど、なんで?」「それなら動作が打撃技ほど激しくない。」「なるほど。でも
サブミッションは相手いなきゃ。」「ワシが受けよう。」ぎょっ!『マスターが?!』「ヘタな相手では良いデータは
得られぬ。ワシ以上の適任がおるか?」「ひとつだけ。本気で折っちゃっていい?」「折れるものならな。」
ザシャアッ!「さて、やろうか。記録開始!」「いくわよ!」フッ・・「むっ?」ガシッ!「なんと!」グイッ!
「獅王壊裂拳・小手砕き!」ギシィッ!「・・折れない?」「獅王金剛功!肉体を鋼鉄と化す気功法じゃ。」
「さすが。はっ!」ぱっ、シュタッ。「それじゃあ安心していろいろ掛けさせてもらいましょう。」「きなさい!」
食堂。もぐもぐ・・「葵、終わった?」「はい。アミノ酸をだいぶ消費したので、おにぎり食べてます。」
「えっ?・・うわ~、山のようなおにぎり。」「葵くんはヤセの大食いだったのか。」「まったく、この小さい体の
どこに入っていくんだか。」「ぜんぶ戦闘力になってます。」もぐもぐ。「さすがはGSターボ娘じゃの。」
「ただいま戻りました。」「・・・・」「姉さん、ひさしぶり~!」「芹香さま、ご足労でした。」こく。
「芹香どの、さっそくですまぬがダイヴ・インスペクションを。」こく・・じ~っ。「えっ?・・姉さん、
おにぎり欲しいの?」こくこく。「あ、どうぞ。いくらでもありますから。」「セバスチャン、お茶四つ。」
「綾香さまとマスターのぶんもですな・・一つ多いですが?」「セバスも食べるんでしょ?」「おそれいります。」
「・・(いただきます)」ぱく。「・・(おかかにあたって嬉しいみたい)」「姉さん、おかか好きだもんね。」
「こっちが梅干し、そっちが塩シャケです。」「あ、シャケもーらい。」「わたくしはモチ米焼きにぎりが好きです。」
「おお、セバスチャンとは気があうの~。ワシもモチ米党じゃ。」「モチ米は腹もちがいいんですよね。」
カチャカチャ・・「脳波移植開始。」ビィィィ・・「・・なんと?!」「どうかした?」「この脳波パターンは
通常人の数十倍の密度じゃ!」『ええっ?!』「波形をみてみよう。」カタカタ・・「・・なるほど、こういうわけか。」
「セバスチャン、わかる?」「はて?」「こちらの葵くんの波形と比べてみい。」「え~と・・あっ!私より波が
すっごくこまかい!」「たしかに。単位時間のパターン密度が濃いわね・・」・・はっ!「もしや・・芹香さまは
ご幼少のころから古代ラテン語やルーン語で書かれた魔導書をまるで絵本のように読んでおられました。
特に習ったわけでもございませんのに・・」「あ、そういえばそうね・・そして「闇」フォルスト様が姉さんの
素質を見込んで弟子にしたのよね。」「あのときフォルスト様はおっしゃいました・・芹香さまは史上最大の
魔導士となる素養がある。教授できるのは光栄の限り・・と。」「今世紀最大の魔導士である「闇」をして
そこまで言わせるか。つくづくこちら側でよかったと思うぞ。」「姉さん敵に回したら、あたしだって勝てないわ。」
「とはいえケルベロスは魔法使いロボではない。芹香の頭脳に綾香の関節技・・なかなか面白くなりそうじゃの。」
ホテル・スウィートルーム。「・・」くた・・「姉さん、おつかれさま。」「さすがにだいぶスタミナを消費した
ようですね。」「・・・・?」「姉さん、葵の辞書に「グロッキー」という言葉はないわよ。」「・・」こく。
「夕食でございます。」カラカラ。コトンコトン。「せっかくの北米ですから、豪快なメニューにしました。」
パカッ。「前菜はスモークサーモンとキャビアとフォアグラ、スープは海の幸ガンボスープ・クラッカー付き、
メインは18オンスのハワイ風ビーフソテー、サラダはアンチョビ風味シーザース、デザートはアイスサンデー
でございます。」「うわ~・・すごいボリュウムね。食べきれるかな?」「私ならだいじょうぶです。」
「・・・・」「楽勝です・・って、姉さん・・(^^;;」「右に同じですな。ワインをどうぞ。」トクトク・・
夜。綾香のベッドはフカフカの羽根布団付きのキングサイズ。「う~ん・・ギアナの樹上も風流だけど、たまには
こんな豪華なベッドもいいわね~。」コンコン。「?・・どうぞ。」ガチャ。ギィィィ・・「・・」「姉さん?」
「・・・・」「え?ひさびさに一緒に寝たい?」こく。「・・ふふっ、どうぞ。」ふわさっ、ぽすっ・・
「昔はこうやって一緒に寝たものね・・遠い昔だけど、昨日のことのよう。」・・こく。「五歳のときに姉さんは
プラハへ魔法留学、あたしもギアナで獅王機甲拳の弟子入り・・」「・・・・」「わかってる・・母さんが
「賢人会議」に殺され、オヤジは復讐の鬼となった。あたしたちにも仇討ちができるよう魔法と拳法を学ばせた。
気持ちはわかるし、母さんの仇は討ちたい。だから必死に鍛練し、ついに免許皆伝にまでなれたわ・・
オヤジもその間、世界中を仇を求めてまわり、世界各地で数十の犯罪組織やギャングを壊滅させた。
まさかその腕をおばあさまに買われて、秘密部隊総司令になってたとまでは読めなかったけどね。」こく。
「・・」「そう・・仇はまだ見つからない。志保によれば、どうやら「十賢人」のうちの一人らしいけど・・」
「・・・・・・」「・・そうね、オメガが動くほど「賢人会議」も黙っていられなくなる。きっと姿を見せるわ。」
「・・・・」「ふふっ・・明日のために、もう寝ましょうか・・おやすみなさい。」「・・」こく。パチッ・・
「・・オヤジ、いまごろどうしてんのかしら。」「・・・・」「・・そうね、きっと元気ね・・」・・・・
世界のどこか・・「明日香・・お前の仇はこいつでもなかったよ。」ドサッ。『ビッグワン、最新情報だ。』ピコッ。
「なんだGAGA?」『「賢人会議」、南極方面に動きあり。』「南極?・・なんのつもりだ?」『すぐに「アバドン」に
戻ってほしい。』「わかった。」ピコッ。♪ピイッ!ブロロロロ・・バタン。「フライスイッチ・オン!」
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♪チントンチントンチントンチントンチロリ~ン。(おなじみリOフのOP)
ガタコンガタコン・・『ご乗車のみなさま。この列車は上野発札幌行の夜行列車でございます。終点札幌への
到着予定時間は・・』「飛行機なら一時間ちょいなのにな。」「列車の旅が情緒というものよ、ガイ。」「まあな。」
「卯都木のいうとおりだが、高い飛行機代を使うくらいなら、列車にして浮いた分を遊びにまわしたいのが
まずは本音だな。」「シュウ、それはミもフタもない言い方よ。」「みやびんちはお金持ちだから、自家用ジェットでも
持ってると思いましたのに。」「わたしゃヒュー・ハフナーか。」「ミヤビ姉さまなら持ってても不思議じゃないです。」
カラカラ・・「お弁当はいかがですか?」「幕の内ひとつね。」「俺はしょう油めし弁当を。」「俺は」「ガイにお弁当
作ってきたんだけど。」「そうか?じゃあ俺は命のもらうわ。」『お~お~。』「ヤケるわね~、みこちん。」「え~と、
私はバッテラを。」「奈子はあいかわらず少食ね。」「えーと、これとこれ。」「そのぶんスミレが食べてるけどね。」
「では。」『いただきま~す。』モグモグ・・「ガイ、お味はどう?」「・・ぐっ!」「どうしたの?」「・・あ、ああ。
なかなかうまいぜ・・(T_T)」『・・・・』「・・獅子王、自分は偽らないほうがいいわよ。」『どれどれ。』
「あっ!わたしのお弁当!」ひょい、ぱくぱく。『・・(T_T)』「獅子王くんの気持ち、お察しします・・」
「卯都木センパイ・・味見しました?」「そんなに?どれ・・」ぱく。・・ブーッ!「ゲホゲホ!・・みこちん!
あんた殺す気?!」「え?え?」「なんだなんだ。せっかく卯都木が作ってくれたものがうまくないだと?
どれ俺が味見してやろう。」ひょい、ぱく。「・・ふむ、これは一般人にはきつかろう。だが俺の口には合う。」
『どんな口じゃ!』「うれしい~!さ、シュウくんどうぞ。」「うむ。凱は俺の駅弁を食え。俺はこっちがいい。」
「シュウ・・おまえ味わかってるのか?」「俺は味オンチだ!(きっぱり)」『んなこと威張って言うんじゃない!』
記録外ミッション58「勇者学園Ⅱ - カムイヌプリの伝説 -」
そんなこんなでカムイコタン。ピィピィピィ・・サラサラ・・『うわ~!』「ここが奈子の故郷なのね。」「すごいな。
一面の緑と雪山と渓流か・・これほどの自然のパノラマは初めて見る。」「ん~!空気がおいしい・・」「涼しくて、
夏であることを忘れてしまいそうだな。」「神居センパイ、こんなにステキなとこに住んでて、どうしてゴミゴミした
都会の学校なんかに?」「それはね、どんなに素晴らしい環境でもずっと住んでるとそうは思えなくなるからよ。」
「む?・・神居、その口調は過去形だな。」「ええ・・ここを離れて二年にもなるけど、やっと最近わかってきたの・・
私は間違ってたって。ここの暮らしがどれほど幸せだったかがようやくわかってきたの。」『・・・・』「・・奈子、
離れた甲斐はあったわね。」「みやびん?」「だってそうでしょ。故郷は遠くにありて想うもの・・それが実感できたん
だから。ちょっと離れてみないと、その良さがわからないことは往々にしてあるものよ。それを体験できた奈子は
幸せ者よ。」「・・そうですね。みやびんのいうとおりです。」「ほう・・土御門、なかなかいいことを。」「さすが
学年トップの秀才だな。」「一年女子の憧れの方ですし~。」「面映ゆいわね・・ん?奈子、あのキレイな山は?」
「あれはカムイヌプリ。私たちのコタンの守り神です。」「カムイ・・「万物神」ね。すなわちあれが神の山か。」
「なかなかに峻険な山だな・・登山家でも登頂は難しかろう。」「それ以前に入山は禁止されてます。神聖なのと、
シュウくんの言うとおり何人もアタックして死んでますから。」「帰らずの山か・・いや、聖域というべきか。」
ピィピィ・・「・・あっ!理夢~!」「ん?・・奈子ねえちゃん!お帰り~!」とてとて。「誰だ?」「妹の理夢です。
地元の中学に通ってます。」「へぇ~、なかなか可愛い妹さんじゃない。」「はじめまして。神居理夢です。」ぺこ。
『はじめまして。』「理夢、父さんと母さんは?」「阿寒コタンでの部族会議が長引いてて、あと2~3日は戻って
これないって電話あったよ。」「まあ・・じゃ、兄さまは?」「うん!夏休みで戻ってきてるよ・・あっ、兄さま~!」
「はっ!・・兄様・・」ツカツカ・・「奈子、久しいな。」「はい・・」ぽっ・・「・・伊賀での修行はいかがですか?」
「順調だ。あと二年もすればじゅうぶん働けるようになるだろう・・奈子のほうも順調か?」「はい・・いいお友達も
できましたし。」「そうか・・みなさんようこそ。」『こんにちは。』「父と母は不在ですが、みなさんを歓待する準備は
理夢としておきました。チセへご案内します。」ぞろぞろ・・(奈子、この方たちが。)(はい・・二人を除いて。)
コタンの温泉。当然男湯と女湯に分かれている。カコーン・・ザザァァ・・「いや~、極楽ゴクラク。」「夏場とはいえ
ここは肌寒いほどだしね。旅の疲れもあるし。」「そういや上野からこっち、丸二日もおフロ入ってないんでしたね。」
「夜行列車のシャワーは混んでて使えなかったしね・・奈子。」びくっ!「は、はい!なに、みやびん?」
「何じゃないわよ。・・そろそろ本題に入ったら?」「えっ?!」「私を誰かお忘れ?・・「記録」にはあったわよ。」
「・・アカシック・リーダーでしたね。」「みやびん、何の話?」「この旅の裏の目的よ・・ね?」「・・はい。」
男湯。チャポーン・・「まったく、何が悲しゅーて凱と風呂に入らねばならんのだ。」「シュウ、セリフと行動が
一致してないぞ。女湯との境の生け垣を探るな。」「これくらいしか楽しみがないだろうが。」「やれやれ・・」
「む、ここにわずかな隙間が・・」ひそひそ・・「・・何やら内緒話をしているようだな。いったい何を・・」
「ふ~ん。開発業者か・・」「カムイヌプリの麓にスキー場を造ろうとしてるんです。あの一帯は国定公園に指定
されるはずなんですけど、まだ正式な通知が出てなくて、そのスキに造ってやろうという魂胆らしいです。」
「聖なる山を汚されたくないんですね。」「それもありますが・・あそこは雪崩が頻発するところなんです。
もしスキー場にでもなったら、数多くの人が雪崩の餌食になるのは確実です・・」「なるほど・・事情はわかったわ。
ようするに業者が開発をあきらめるように仕掛ければいいわけね。」「はい。現場に建てられたプレハブ小屋には
業者付きの地上げ屋が居座ってます。それらを怖い目に会わせればよいかと。」「甘いわね、奈子。」「みこっちゃん?」
「あたしら流のやり方を忘れた?・・みんな山に消えてもらいましょう。」「みこちんに賛成。ああいうのは徹底的に
つぶさないと、また別のどこかで誰かを泣かせるのは明白。良い悪人は死んだ悪人だけよ・・」ニヤッ。
「ミヤビ姉さまに賛成。後顧の憂いを残さないよう、きっちり山の神さまのイケニエになってもらいましょう。」
「・・・・」「おいシュウ、どうした?」はっ!「い、いや、なんでもない・・」ザバァ・・「覗きはもういいのか?」
「何も見えはせん。」「そうか・・シュウ、何かあったか?顔色がひどく悪いようだが。」「湯冷めしただけだ・・」
(あの会話はいったい何だ?・・卯都木たちは何をしようとしてるのだ?・・今夜、か・・)ザザァ・・
深夜・・(・・いくわよ。)(オッケイ。)すっ・・「・・・・」すっ。(動いたか。・・ここは尾けていこう。)
スススス・・(見失わないようについていかなくては・・)スッ、キラッ。「むっ?!」バッ!(し~っ・・
声出したら首がなくなりますよ。)(風祭?!・・目はマジか・・)・・こくこく。(こちらへ。)スススス・・
「さて説明してもらいましょうか、シュウ。」「事と次第によっては、あなたも山に消えることになります・・」
「この殺気・・おまえらいったい何者だ?」「それを聞くと、選択肢は二つになるわよ。」「・・かまわん。」
「いい度胸ね。あたしたちは学園仕置人「四紋竜」。」「・・そうか、以前の北斗の一件もおまえらか。」
「さすがに気づいてたようですね。」「獅子王くらいよ、何も考えてないのは。」「子細は風呂場で聞かせてもらった。
俺も同行しよう。」「シュウ先輩に何ができるんですか?」「力仕事くらいはな。それにそういう仕掛は得意でもある。」
「みこちん、どうする?」「シュウをここで消すと、あたしたちにまで累が及ぶわ。それにけっこう口は堅そうだし、
同行してもらってもいいんじゃない。殺すよかよっぽど有用よ・・その気になればいつでも消せるし。」ニヤ・・
ぞくっ!(卯都木にこのような冷酷非情な笑いができるとは・・俺は何もわかっていなかったらしい・・)
「シュウ、五つの誓いをしてもらうわ。」「ひとつ。仕事以外で無用な揉め事は避けること。」「ふたつ。仕事姿を
見た者は、誰であろうと即刻処理すること。」「処理・・」「好きに解釈してください。みっつ。裏切り・逃亡および
密告はこれを許さず。死をもって償うべし。」「よっつ。たとえ親類縁者にも知られてはならない。ただし、依頼人の
場合はこれに該当せず。」「いつつ。依頼は厳正に審査されるが、いったん受けた仕事は完遂すること。」「誓おう。」
「これで戦力が増えたわね。」「名前も「四紋竜」から変えるべきですね。」「それならいい名前を考えておいたわ。
『五練者』てのはどう?」「それも「記録」にあったの?」「さあね~♪」「何でもお見通しのクセにとぼけるんだから。」
建設現場。カラコロ・・「なんや?」「なんか音がしたで。」ガラッ。「誰や!」シ~ン・・「・・キタキツネか?」
バタン。・・カラコロ・・「やっぱ誰かおるな!出てこんかい!」シ~ン・・「ちょっと見回ってくるで。チャカくれ。」
ザッザッ・・「どうせ地元の連中やな。こんなコケオドシにビビってたまるかい。」「そうかな?」ぎょっ!ゴキィッ!
ガクッ・・「まず一人。」「ひゃ~、シュウって関節外しの心得あったんだ。」「コツさえ覚えればけっこう簡単だぞ。」
『お~い・・』「なんや?」『お~い・・』「あの声は・・なんかあったんや!」ドカドカドカッ!きょろきょろ。
『お~い・・』「あっちや!」ダダッ!『お~い・・』ピタッ。「こっちやて?!」『お~い・・』『お~い・・』
「なんや?!あちこちからヤスの声がする!」「バ・・バケモンや。」「アホぬかせ!そんなもんおるわけ・・」
「・・どした?」ズ・・ズズッ、ボトッ!「あ・・アニキの首が!」『ひええええーっ!』バタバタ!パシン!
「はーっ!はーっ!・・ん?」ザワザワ・・「な、なんや!」ザワザワザワ!「み、ミミズや!何千ものミミズ!」
「いつの間に小屋の中に!」「逃げるんや!」ガッ!・・「あ、開かへん!」「なんで開かんのや!」ザワザワザワ!
『ぐぎゃあああああーっ!・・』ジュプジュプジュプ・・「こ・・小屋の中で何が起きとるんや?!」『お~い・・』
びくっ!「もうイヤや!車で逃げるんや!」ダダッ!バタン!キュィィィッ、キュィィィッ!「かかれ!かかれ!」
ドオオオーンッ!びくっ!「な、なんや!今のごっつい音は・・」ゴゴゴゴ・・「あれは・・土砂崩れ!」
ゴオオオオーッ!「かかれ!かかってくれえええーっ!」ブルン!ブロロロ・・「はよ逃げな!」キキィィーッ!
ドゴゴゴゴーッ!「間にあわん!」グシャアッ!ゴロゴロゴロッ!「うわああああーっ!」ドゴゴゴゴ・・
パラパラ・・「・・い、生きとる。助かったんや・・」ゴソゴソ・・ポロッ。「外や!・・」ドグシャアッ!
「・・悪運だけは強いのもいたようね。」「土砂崩れに巻き込まれて頭蓋骨陥没骨折で即死・・というところね。」
「こんな地盤の弱いところで開発なんかするからです。自業自得。」「卯都木センパイの一撃でこれですからね。」
「地盤のせいだけとは思えんがな。」「シュウ、ケンカ売る気?」「お前とやりあったら撲殺されてまうわ!」
『それでは次のニュース。今朝、カムイヌプリ山麓のスキー場開発現場で大規模な土砂崩れが発生し、ふもとの
プレハブ小屋ごと十数人が生き埋めになりました。救出作業は始められていますが、発見された遺体は車の中の
一体だけで、土砂の量からも残りの行方不明者の生存は絶望的との観測です。』「ここのすぐ近くじゃないか。」
「あそこはカムイの領域なんです。ヘタに人の手を入れると、カムイの怒りにふれるとの伝説があります。」
「現実的には地盤と地形の関係であそこは昔からこういった災害が起きやすいところなんです。」「なるほど。
昔からの言い伝えにはそれなりの根拠があるというわけだな。」「現代人はそれを迷信ときめつける・・愚かね。」
『次のニュース。政府は今朝、カムイヌプリ一帯を国立公園として正式に認定する声明を発表しました。これにより
山麓一帯の再開発は禁止となり、原生林やコタンの文化は保護されることになります。』『おお~。』「よかったね。」
チセの外の渓流。サラサラ・・「きれいな流れ・・何か用ですの?」すっ。「ミヤビくんだったか・・君が一番
聞きやすそうだ。どうやって?」「どちらのこと?」「・・国立公園指定のほうだ。」「長距離電話一本で済みましたわ・・
総理への。」「むっ?」「ご存知とは思いますけど、うちは顔が広いんです。現総理もよく私と遊んでくれました。」
「・・家だけでなく、あなた自身もかなりの人脈を持っているということか。」「ええ・・想像以上にね。」ふっ。
「報酬は?」「三泊ぶんの食費と宿賃でどうです?」「ふっ・・なるほど、抜作先生の言ったとおりの方たちだ。」
「お知り合い?」「ああ・・またの名を「飛影」。伝説的な忍者だ。」「抜作先生がねえ・・人は見かけによらないか。」
帰りの夜行列車内。ガタコンガタコン・・「く~・・」「す~・・」「くか~・・」「・・(とんでもない旅行だったな。
土御門の呪符が死者の声を反響させ、風祭の氷で造った刀輪が首を刎ね、奈子の呼んだ蟲が小屋を埋め尽くした。
とどめは卯都木の棍棒で土砂崩れ。なんという連中だ・・俺などとうてい及ばぬ。)すっ・・グッ!「?!(卯都木?)」
「ひとつ忘れてたわ・・凱には他言無用。もしばらしたら・・」オォォォ・・「あ、ああ・・わかってる。」
「ならいいのよ。」ぽい、ドサッ。「ん・・シュウ、静かにしろ・・」(おっと・・そいじゃね~。)すっ・・
この後「五練者」は卒業まで仕事を続けたが、その存在と仕事の記録はいっさい残されてはいない・・
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♪ザン!
大要塞エゼキエル・司令室。「・・面白い企画がある。」「ゲドウ、なに?」「新たな作戦か?グローバー戦直後だから
魔神獣も巨獣メカも整備中だぞ。」「だからこそ、みんなを鍛える良い機会だ・・見たまえ。」パッ。『ほう・・』
アバドン。♪ジャンジャカジャンジャカ・・「ビッグワン、名指し通信です。」「誰だ?」「失礼ですが、どちらさま
ですか・・えっ?!オメガのドクター!」「なに?・・出せ。」パッ。『久しいな、ビッグワン。』「ついこないだ
会ったばかりだろうが。で、何用かな?」『面白い企画がある。まずはこれを。』パッ。「・・ほう、たしかに面白い。」
『いかがかな?』「いいだろう、受けよう。では五日後でどうか?」『よかろう。楽しみにしている。』プツッ・・
「GAGA、編成案をまとめろ。」『このような編成まで考慮していなかったが、なんとかやってみよう。』
「サイバーソウルは編成案ができしだい、各部隊に廻状をまわせ。」『ラジャー!』「さてさて面白くなるぞ。」
記録外ミッション59「黒いロイヤルボックス」(本編20話・外伝40話直後)
パリ・第13部隊基地。「オメガと甲子園で野球大会だあ?!」「行ったり来たりね、まったく。」「くそ~、そうと
知ってりゃ日本でもうちょっと遊べたのにな~。」「でも・・なんでこんなアホな企画をビッグワンが?」
「さて。あのオッサン70年代センスだからな。スポ根熱血路線だからじゃねえの。」「案外真実かもね・・おっ、
このオーダーはすごいわよ。」「どれどれ・・ヒュ~、秘密部隊の精鋭でかためたもんだな。」「対するオメガは
総力戦か。」「あちらさんは人材少ないからな~。・・おっ、交通費と滞在費はビッグワンとオメガもちだって!」
「そりゃそうでしょ。いわば協賛行事だし。」「あれ?・・ルリの名前もあるぞ。」「えっ?・・あらホント。」
メインオーダールーム。「合同野球大会の招待状だと?」「うむ。ルリくんを審判として派遣してほしいと
ビッグワンから要請があった。」「ヒロシの野郎、また遊んでんな・・まあいいだろ。秘密部隊からの
正式要請とあらば。」「参謀部と諜報部はけっこう秘密部隊とつながり深いからな。そういえば志保くんに声が
かからないのはどうしてかね、猿頭寺くん?」「その必要はありません。彼女は呼ばれずとも顔出しますから。」
「なるほどな。たしかに志保ならそうだろう。」「送り迎えはジェームズでよろしいですか?」「よかろう。」
西宮港。ゴゴゴゴ・・「・・ありゃなんや?」「ひえっ!街が空から降りてくるで!」ザザザザァァ・・
「大要塞エゼキエル、予定どおり西宮港に着水した。」「陸は大騒ぎね。警察や自衛隊が文句いうんじゃない?」
「手は打ってある・・どちらも見ないふりをすることになってる。マスコミも沈黙を守る。」「へぇ・・そういえば
わたしはよく知らないけど、そういったコネがあるって話は聞いたことあるわね。」「ユキノ、知らぬほうがよい。
世の中はそういうものだ。」「はいはい。ま、政治的なとこはドクターとゲドウにまかせるわ。」「・・賢明だ。」
「あっ、「汽神号」が来てるよ。」ポォォォーッ・・「阪神電鉄か。誘導ビーコンを出す。」「今夜は前夜祭だな・・」
エゼキエル・ゲストハウス。とはいっても高級ホテルなみの施設である。ガヤガヤ・・『ようこそ秘密部隊の諸君。
いよいよ明日は野球大会だ。今夜はゆっくりと鋭気を養ってほしい。では甲子園に乾杯。』『カンパーイ!』
ガヤガヤ。「ミヤビさん。」「あら、オリヴィエさん。」「こないだはどうも。」「どうやら丸く収まったようですね。」
「まあね。ほとんどリオンのおかげだけど。」「あの方はガサツなようでいて、意外とそういった繊細な心くばりが
できる方ですから。」「たしかにね・・ちょうどいい機会だからお礼をいっとかなくちゃ。」「やめたほうがいいですよ。
あの方はそういうのをとても恥ずかしがる方ですから。」「ふふっ、いえてる。ミヤビさんは明日は選手で?」
「はい、オメガは人手不足ですから。抑え投手です。」「ええっ?!・・リリーフピッチャーなんてできるの?」
「先発のユキノが完投すれば出番なしですけどね。」「・・これはぜひともひっぱり出さなくちゃね。」「うふふっ。」
ガヤガヤ・・「こないだのカラオケ大会、楽しかったね。」「なんといってもファーストの歌のうまいことでしたわ。」
「うんにゃ、サードもクロウトはだしだったで。」「エゼキエルのカラオケボックスで歌いこんでるからね。」
「ひばりちゃんはアニソン専門だったね。」「やっぱりアニソンはノリがいいし、歌っててみんなも楽しめるしね。」
「そうそう。シャウト入りの歌なんか、みんなで合いの手入れられるしな。」「やっぱ一番燃えるのがズバットね!」
「♪ふくしゅうのかーぜ~♪」『アスカァァァーッ!』ブフォッ!「ん?どうしたのオヤジ?」「いや、なんでもねえ。」
「で、母さんのカタキは・・」「ああ・・ようやく十賢人の中にいるとまではしぼれたぜ。」「・・・・」「そうね、
姉さんのいうとおり一人づつあたっていくしかないわね。」「残るは八賢人・・さてどいつがそうかな・・」こく・・
「よっ、また会ったね。」「リオン、伊賀で会ってから一週間もたってませんよ。」「刹羅に聞いたぞ。志保とハデに
やりあったそうだな。」「まあ社交辞令みたいなものよ。ところで志保は?」「GGGから来ているのは参謀部の
二人だけだな。」「・・・・」「え?ほっといてもすぐに姿をみせる?師匠の度器さんがそういうなら間違いねえな。」
「いや、もう来てるはずなんですが・・エゼキエル内を散歩でもしてるのかな。」「志保なら心配ないだろう。」
「あらスケコマシ。こないだは話す機会がなかったわね。」「ユキノさん、スケコマシはひどいですね~。」
「ホントのことでしょ。ゆっとくけど、うちの妹たちに手出したらぶち殺すからね。」「未成年は守備範囲外です。
やはり落としがいがあるのはユキノさんみたいな方ですね。」「そりゃどうも。ま、がんばってね~♪」
「ふはははは!刹羅になびかない女は珍しいな。」「・・」こく。「撃墜王にも苦手な相手がいたか。これは愉快。」
「わたしゃ外見より中身で見るからね。外もいいぶんにはいうことないけど。」「こりゃいいや。刹羅、ユキノを
落とさねえとプレイボーイの名が泣くよ。」「そうですね・・難易度が高いほど燃えるということですね。」
エゼキエル・データバンク室。カタカタ・・「こんなチャンス二度とないからね。できうるかぎりのデータを
覗かせてもらうわよ・・っと、プロテクトね。パスコードは検索機で・・」ピピピピ・・ピッ。「ビンゴ。いまどきの
忍者はサイバー技能も必修よん♪ これがオメガの資金ルートね・・なっ?!」・・ガクガク・・「そんな・・ことって・・」
ゴク・・「・・クローズ。アクセスログ抹消・・足跡を残さず撤退・・よし。」フッ・・「・・なんてことなの・・」
「刹羅さま~、今夜どうです?」「光栄ですねキャナルさん。」「ちょっとキャナル。あんた本気?」「あの、ご自分を
もっと大事にされたほうがいいと思いますけど。」「いいの、一夜の夢でも。刹羅さまとの一夜・・ゾクゾクするわ~。」
『あのね~・・』「・・まあキャナルも大人だから自分の始末は自分でできるか。」「くれぐれもその場の勢いで変な
気を起こさないようにしてください。」「わかってるわよナミ。でも・・刹羅さまだったら認知してくれなくても・・」
げんこつ!(の二乗)「きゅう。」「たく!気持ちはわからんでもないけど。」「刹羅さまもあまり遊びが過ぎるとのちのち
困ったことになりますよ。」「はあ。でも女性のほうが放ってくれないもので、ついつい。」「ムダよナミ。刹羅は
世界じゅうに女つくってんだから。知ってるだけでもひのふの・・20人は下らないわね。でもまあクロウトさん
ばっかだからまだマシかな。」「クロウト・・ですか?」「高級コールガール・殺し屋・外人部隊・犯罪組織の女幹部・
刑事・私立探偵・某国プリンセス・・あと何だったかな。」「うわ~・・スジガネ入りのプレイボーイですね。」
「ははは。そういう意味ではサイバーソウルの皆さんもカタギではありませんね。」「そりゃそうだけど~。」
(兄さん・・)(志保か?「木霊」とは尋常じゃないな。)(すぐに来て・・大事な話が。)(・・わかりました。)
「失礼。ちょっとお手洗いに。」「ええっ!くらくら・・」くらっ。「ちょ、ちょっとキャナルどうしたのよ?」
「・・信じられない。刹羅さまがおトイレに行くなんて~。ああ、この世の終わりだわ~。」『幻想もちすぎ!』
男子トイレ・・ではなく刹羅のシングルルーム。ガチャ。「・・?」パタン。「だいじょうぶ。盗聴器は何も
聞こえないよう細工しといたわ。」「かなり重大な話のようですね。」「うん・・実はね。」・・「なんと?!・・いや、
ありえないことじゃないな。」「そう・・よく考えてみればヒントはいくつもあったわ。」「だが・・これは恐ろしい
事実です。まさかオメガのバックにそのような大物がいたとは。」「それよりも恐ろしいのは・・もしこの事実が
公のものになれば・・」「いや、それはありえない。オメガのいままでの動きを考えると、たとえ滅んでも真相は
あの世までもっていくでしょう・・そして僕たちもそれを遵守すべきです。」「そうね・・知ってはいけないものを
知ってしまう・・その恐ろしさがつくづくわかったわ・・」ガクガク・・「志保・・怯えてるのか。無理もない・・」
「兄さん・・」ぎゅっ・・「こわい・・恐ろしい・・いつか自分で叫んでしまいそう・・」「わかるよ・・王様の耳、
いや、秘密を見てしまった民は沈黙を守れず、国を滅ぼした・・それがあの童話の原本だ。」「兄さん・・」
「今夜はここで寝なさい。僕がずっとついててあげるから・・」「・・忘れるほどの経験をさせて。お兄ちゃんなら
かまわない・・」「バカをいうんじゃない。志保は僕の妹だ。」「・・知ってるの。お兄ちゃんと私は血がつながって
いないって。」「えっ!・・なぜそれを。」「小さいころはわからなかったけど、大きくなってわかった・・いえ、
理由はないけど本能でわかった・・」「だが志保は一緒に育った大事な妹だ・・その先を踏み越えることは・・」
「お兄ちゃんらしいね・・ごめん、変なこと言って。」くすっ。「・・志保。」「ん・・」・・「・・今夜だけ。」
次の朝。「ん・・お兄ちゃん?」ぱさっ・・「・・書き置き?」『先に出る。一緒だといろいろまずいだろ?』
「・・ふふっ、さすがに気まずかったのね。ほんじゃ朝シャンしてからゆっくり出ますか。」バサッ。ズキッ・・
「いて・・初めてにしてはちょっと激しかったかな。よいしょ。」トッ、ガクガクッ。「あらら・・リキ入んないわ。」
朝食バイキング。ガヤガヤ・・「おーっす、リオン!」「志保?いま来たのか。」「やーね、昨夜から来てたわよ。
ちょっとエゼキエル内を見学してたら遅くなっただけ。」「でもさ志保、セキュリティ記録には残ってないよ。」
「ユキノ、あたしがそんなドジふむと思う?」「・・思わない。あんたそのへんは優秀だかんね。」「そゆこと。」
「刹羅、昨夜は誰と褥を共にしたのだ?」「さて。夢は覚めたらおぼえていないので。」「・・」「度器の言う通り、
女なしでは三日と保たないからな刹羅は。」「中五日までならガマンできますが。」『それでも多すぎる!』
「兄さん、おはよ!」ガバッ!「おっと!・・志保、おはよう。」「志保は相変わらず元気だな。」「・・・・」
「お師匠さま、ブラコンはないでしょ。」「「無名」にいたころはすごかったしな。だが名コンビだったぞ。」
「秘密部隊で女性隊員がいないのはうちだけだ。やはり紅一点がいないといまひとつ精彩を欠くな。」こく。
「志保みたいなのでも、いればけっこう華やいでたしな。」「あら、あたしは諜報部を捨てて復帰はできないわよ。」
「それはわかってます。志保はいい就職をしましたよ。」「うむ。ヨーロッパ暗黒街で「獅子の女王」とならび
恐れられた「闇姫」の志保がGGG諜報部副部長か・・おもしろいものだ。」「GGGは実力主義だからね。」
甲子園球場。ポンポンポン!「さて!「発破屋」による花火を合図にいよいよ始まります秘密部隊とオメガの試合!
実況は私、「サイバーソウル」隊長の素子、解説は第13部隊のお蝶さんです。」「よろしく。」「カメラはみなさんの
予想どおり知世ちゃんです。」「スロー再生もおまかせください。」「さて両軍の選手がホームベース前に整列します。」
「主審はフォルスト導師、塁審はルリ・レニ・アルエットか。またえこひいきしないメンツを選んだものね。」
「ではルールを説明します。基本は野球ですが、特別ルールとして相手を攻撃する意図以外なら特殊能力および
得意の得物の使用は自由です。で、勝ったチームは負けたチームに高級松坂牛ステーキをゴチになれます。」
「リオン、死んでも勝つのよ!こんなチャンス滅多にないんだから!」「あや~、お蝶さんそーいやグルメでしたね・・」
ザザッ!「礼!」『うおおっす!』ザザッ!「後攻の秘密部隊が守備に散ります。さてここでオーダーを紹介します。」
秘密部隊 オメガ
監督 ビッグワン ゲドウ
一塁 セバスチャン ファースト
二塁 バーン セカンド
三塁 綾香 サード
遊撃 葵 死羽姫
左翼 オリヴィエ フレイア
中堅 ソニア シュウ
右翼 刹羅 彩
捕手 エシディシ ムーン
投手 リオン ユキノ
「お蝶さん、このオーダーについてひとこと。」「秘密部隊はまさにオールスターね。主力を中心に必勝体勢の
編成だわ。対してオメガは出れる者みんな出したわね。」「ドクターはどこに?」「こういうの苦手なのかしら。」
ロイヤルボックス。「いよいよ試合開始です。」・・「はい。本日はわざわざのお越し、いたみいります。」・・
「いかにも。プロでも滅多に見られない好試合になることは確実です。」・・「ごゆっくりご観戦ください。」
「プレイボール。」♪ウウウウ~!「試合開始です!トップバッターは死羽姫!リオン、第一球!」ザッ。
「うりゃあっ!」ビュッ!バシィィーン!ビリビリ!「ストライク!」「球速・・200km!プロでもこんな豪速球は
投げられないわ!」「サイボーグゆえのパワーよ。」「速くて全然見えないのだ。」「さーて、三球三振といこうか!」
ザッ!ビュッ!・・きらっ。コン。「あっ!いきなりセーフティバント!」「むっ!リオン、俺がとる!」ダッ!
「たのむよエシディ!」ビュッ!パシィーン!「セーフ。(ぼーよみ)」「なんと!ものすごい脚力!」「あはっ。」
「ちっ、なんて足の速さだ。」「ユキノ、死羽姫は足で撹乱してくるぞ。」「ああ・・ぜってー刺してやるさ。」
「二番はセカンドです。」「殖甲!」ビシイッ!「だろうね。生身じゃあたしの球は打てないから・・でも同じこと。」
ザッ。・・シャッ!「死羽姫走った!」「バレバレ!」ビュッ!パシッ!「セーフ。」「なっ?!あのタイミングで
ゆうゆうセーフです!」「一塁から二塁まで1.3秒・・オリンピックもビックリね。」「へっへっへ。オリンピックは
しょせんアマチュアの大会じゃない。プロの走りをなめんじゃないって。」「ユキノ・・それは監督の私のセリフだ。」
「三塁も落とすのだ。」ザザッ・・シャッ!「また走った!」ザザーッ!「セーフ。」『お~っ!ぱちぱちぱち!』
「あんたほんっと速いわね~。感心するわ。」「綾香、次は予告ホームスチールなのだ。」「がんばってね♪」ぽん。
「アウト。」『・・ええっ?!』「な、なんなのだ?」「じゃん♪隠し球~。」『汚っ!』「ぎゃははは!おそれいったか!
綾香、ナイスプレー!」「くおらあっ!死羽姫なにやっとるか!」「・・だから監督のセリフをとるなというに。」
「一回の表はセカンド三振、サード三振で終わりました。」「さすがにSSSでは打てないようね。」チャッチャッチャ!
『フレー!フレー!秘密部隊!』「おっ、ここでチアガールのGエンジェルズのハデな応援です!」ワアアーッ!
「観客に大ウケね。といっても秘密部隊のみんなだけど。」「うちは女性多いから人材には事欠きませんね。
それに対してオメガは・・」「三三七拍~子!」『うおおっす!』ドンドンドン!『チャッチャッチャッ!そーれ!
チャッチャッチャッ!』「オメガ整備部の応援団です・・うわ~、ほとんど男子校・・」「応援団長はまるヨさんか。
けっこうこーゆーの好きみたいね。」「チアガールやってるのは紙女ですから動きがシンクロしすぎてますね~。」
「さて裏の攻撃です。一番は刹羅さま。」「よろしくお願いしますね。」「はいはい。一球でカタつけたげる。」ザッ、
ヒュッ。「あれ?・・ユキノ投手の球はごく普通のものです。」「なんだこれなら。」カキーン!「打った!これは
大きい!」「あらあら、いきなりホームラン?」「そうはいかんな。むん!」ダーン!パシッ!『なっ!』
「センターのシュウ、大ジャンプでファインプレー!」「おっし!一球アウト!」「・・そうか、打たされたのか。」
「そゆこと。チームメンバーの能力を見極め、打たせて捕る。三振だろうが凡打だろうが同じアウトよ!」
「さすがユキノね。それならあたしは地道にヒットでいかせてもらおかな。」ザッ。「二番は綾香さん。」「ふっ。・・
綾香、本気でいくよ。」ザッ!ビュッ!「いける!」ブン!バキィィーン!バシイッ!「ファウルチップ。バッター
アウト。」パラパラ・・「・・バットが!」『・・・・』「時速・・300キロ!」「バットを砕いて・・ストライク!」
「ニューボールください。」ボロッ。「硬球があんなにボロボロに・・」「ムーン、あんたよくそんなボール受けて
平気でいられるわね。」「だいじょうぶですよ。私は水圧ブレーキですから。」「あ・・液体人間だったね。」
「三番は葵ちゃんです。」「小柄な三番ね~。でも葵なら油断できないわね・・これも勝負!」ザッ、ビュオッ!
バシィィーン!「ストライク。」「・・よし。」プッ。「三球三振といきますか!」ビュッ!ゴオオオオーッ!キラッ。
「たあっ!」ザン!パシィィィーン!『蹴った?!』ワアアアアーッ!「センター前ヒット、ランナー一塁です!」
「しまった・・まさか蹴るとは!」「おっし!葵、よくつないだ!あたしにまかせろ!」ビュンビュン!
「さあここで四番打者、リオンです!」ザッ。ビシッ!「ユキノ、二球はいらねえ。全力の一球で来な!」
「いいでしょう!リオン相手に三球もやってらんないわ。一球入魂!」ザッ!「でりゃああーっ!」ドビュウウウッ!
「ものすごい豪速球!」グッ。「うおおおおーっ!」カキイイイーン!ビュオオオオーッ!「レフト方向!これは
入ります!」「フレイア!」「まかせて!速乾性樹脂!」ブシュウウウウーッ!パキパキ・・「なんと!レフトスタンド
前に巨大な壁が!」コーン・・パシッ。「とった!」ワアアアーッ!「きったね?!そんなんありか!」
「攻撃には使ってませんからルール違反ではありません。」「わーったよ!・・なら次はぶち割ってやらあ。」
「フレイア、ナイスプレー!」ぱん!「イエイ!」ぱん!「もしもし。」「はい?」「まだチェンジじゃないですよ。」
『・・えっ?』「フェアです。」『・・はい?』ザザーッ。「ホームイン。」ワアアアーッ!『・・え?ええっ?!』
「説明しましょー。いまのは壁に当たってワンクッションですからヒットです。プレーはぞっこー中(ぼーよみ)。」
『・・ああっ!しまったああーっ!』「ほい三塁打。」トン。「おーっと!ここでオメガの痛いボーンヘッドです!」
「だはははは!みたかあたしの演技力!」「くそ~!リオンがくやしがってたんで惑わされた!」「・・ブザマだ。」
「なんとか気をとりなおして後続を断ち切りましたが、この一点はオメガには痛い点でした。」「でも次は四番から。
やっきになって取りかえしてくるでしょうね。」「さてその四番は・・おおっと!ユキノだ!」ビュンビュン!
「リオン。さっきの借り、利子つけて返したげるわ!」ビシッ!「いいよ~。返せるものならね!」ザッ!ビュッ!
「クルド流暗殺拳、幻影打!」グッ、ビュゴオッ!カキィィーン!ゴオッ!「うおっと!」「ピッチャーの頭を
かすめてのライナー!伸びます!」「センター!」「まかせて!」バサアッ!ピィィィーッ!「ソニア、飛んだ!」
「どんな打球も逃がさないわよ!」さっ、パシッ!「アウト!・・え、ええっ?!」グン!「うそおおおおーっ!」
「打球の勢いが止められない!」バシィィーン!「きゃあっ!」「おおっと!そのままバックスクリーンに!」
「ホームラン!」♪パッパカパー!ドンドンドン!「「発破屋」提供の花火が打ちあがりました!文句なしの
大ホーマー!」『おっしゃああーっ!』「さっすがユキねえ!」「それでこそ戦闘隊長だって!」「帰ってきたのだ。」
「イエーイ!」パンパンパン!『やったやったー!』どかすかぼかすか!「いて!いててて!・・くおらあっ!
誰だドサマギにおもいっきり殴ってんのは!」『きゃーっ!』ドドドド!「あの~、試合続けたいんですけど。」
「後続はどうにか三人でおさえましたが、リオンのショックはかなりのもののようです。」「くやしーっ!」
「いけないわね・・コントロールが乱れてきてるわ。」「でも三振ですよ?」「見逃せばフォアボールばっか。速いから
反射的に振ってしまうだけよ。二巡めからは打たれるわね・・」「さすがお蝶さん、リオンをよく見てますね・・
さて二回の表は五番セバスチャンです。」ザッ。「さて、まいりましょうか。」「ハリセン?・・油断できない。」
「(ユキ姉ちゃん、まずは外すよ。)」すっ。こく。ザッ・・ビュッ!「絶好球でございます。ふん!」スパーン!
「外へはずしたのを強引にライト前!ランナー一塁です。」「ちっ。・・悪球打ちだったとは。」「六番オリヴィエ。」
ザッ。「(オリヴィエは野球はシロウト同然ね・・速球で決めちゃえ。)」すっ。こく。ザッ・・ドビュウウウッ!
「サイコキネシス!」キン!ググググッ・・ぴたっ。「あーっ!インチキ!」カキーン!「センター前ヒット!
一塁ランナー三塁へ!」「ノーアウト二・三塁・・ここは満塁策が常道ね。」「マウンドに内野手が集まります。」
こそこそ・・「・・というわけ。SSS、たのむね。」「まかせて!」「チームワークならいけます。」「・・はい。」
「ではいくよ!」『うおおっす!』パラパラ・・「内野手が散ります。どうやら勝負するみたいですね。」「おかしい・・
ここで勝負はリスクが大きすぎるわ。」「どんな手でしょうね・・さて七番はソニアです。」(ユキ姉ちゃん、まかせる。)
こく。ザッ・・ビュッ!「あっ?!スッポ抜けた!」「ワイルドピッチとは。ホームはいただきです。」ダッ!
「ひゃっ!」コーン!・・ポーン、パシッ。「三塁踏んで、二塁!」ザッ。「アウトね。」「なんと?!不覚!」
ビュッ!パシッ!「えっ?」「アウトです。」「それっ!」ビュッ!パシッ!「スリーアウト。(ぼーよみ)」
『・・トリプルプレー!』「おっしゃあああーっ!作戦成功!」『イエーイ!』「SSS、ナイスプレーよ!」
「・・おいおい、いまのどうなったんだ?」「やられたぜ・・ユキノはわざとソニアのバットに当たるように投げ、
その反射球をサードがワンバウンドキャッチ。そのまま三塁を踏みセバスはアウト、そしてあとはゲッツーコースで
オリヴィーとソニアを二重殺。」「あーきてこーきて・・てことは、ユキノはそこまで計算して投げたのか!」
「あーっはははは!これぞオメガボール一号よ!」「それにSSS鉄壁の連係よ!」「なるほど・・それで内野か。」
「あっという間に二回の裏が終わってしまいました・・プロでもここまですごい試合できないわよ。」「もおほとんど
超人野球の世界に入っちゃってるわね。」「では三回の表・・といきたいとこですが、枚数が押してるので早送り。」
カキーン!タタタタッ!パシッ!ザザーッ!ワアアアアーッ!「・・で、現在のところ4対4の同点です。
では最終回の攻撃です。」「ピッチャー交代。」「おっと、ここで秘密部隊側がリリーフのようです。」ブロロロ・・
『おおっ!』「リリーフカーのジェームズに乗ってきたのは・・芹香さま?!」キキッ。バタン。「・・」こく。
「ちょっと~、芹香さまでだいじょうぶなの?」「どう考えても野球向きじゃないですよね。ましてやピッチャー
なんて・・えっ?投球練習はいらない?」「打順はユキノ・彩・シュウのクリーンナップか・・どうなるのかしら。」
ザッ。すっ・・ひょい。『ななっ?!』ひょろひょろ~・・「お・・遅い!ハエが止まるようなトロい球です!」
「う~・・」ひょろひょろ~・・「・・きた!」ブン!すかっ!「・・あれ?」パシッ。「ストライク。」
「あらま・・あまりにも遅すぎて空振りでした。」「変ね?・・今のは真芯でタイミングもバッチリ。どうみても
空振りするわけないのに。」「第二球。」すっ・・ひょい。ひょろひょろ~・・「今度こそ・・それっ!」ビュン!
すかっ!パシッ。「ツーストライク。」「なぜ?どうして?!」「・・タイム。」「おっと、ゲドウ監督からタイムです。」
たったった・・「ユキノ・・これを見ろ。」「スロー再生?・・ああっ!」「球がバットをよけてるでござるな・・」
「これは・・バットが起こす気流が空気の境界層を作り、ボールはその界面に沿ってバットをよけてるのだ。」
「なんつー球よ・・ほんじゃ打つ手はひとつだね。」「うむ・・バント気味にバットを出し、ボールを吸いつける。」
ザッ。「謎は解けた。次こそホームランよ。」「・・」ザッ。ヒュッ!「普通の投げ方に切り替えたわね。予想どおり!」
ヒュィィン・・『なにっ?!』「ボールが・・消えた!」・・ヒュルッ!「ホームベース手前で現われた?!」
パシーン!「ストライクバッターアウト!」ワアアアーッ!「すごい!主戦打者のユキノを三振に切ってとった!」
「くっ!・・消える魔球とは。たのむよあやぴん!」「まかせるでござる。」ザッ。「五番打者の彩さん。」「・・」
「消える魔球は見切ったでござる・・魔法で一時的に次元シフトを起こしボールを消す。だが現出した瞬間を狙えば
打てるでござる。」「・・」すっ・・ヒュッ。「投げ方がちがう?」シュルルル・・『ああっ!』「ボールが渦を巻く!」
「これは・・面妖な。」パシン。「ストライク!」「つづいて第二球!」「手前で捕らえればどんな変化球でも!」
すっ・・シュルルル・・「・・なんと?!」ヒュッ。パシン。「ツーストライク。」「なにいまの球は?!」「投げたと
同時にキャッチャーミットに収まってたよ!」「スロー再生してみますわ。・・ええっ?!」『これは!』「投球が
手を離れた瞬間にかき消え、同時にベース前に現出?・・そうか、ESウィンドウ!」「ワープ魔球・・すごい。」
さっさっ。「ゲドウ監督がなにやらブロックサインを出したもようです。」「・・わかったでござる。」「第三球!」
すっ・・ヒュッ。さっ。「あっ!スリーバントのかまえ!」「これなら!」シュルル・・ボキイッ!パシン!
「ストライクバッターアウト!」『・・バットを折った!』「そんな・・バカな!」「あのトロいボールでどうやって?!」
「またスローで見てみますわ。」『どれどれ・・これは!』「信じられない・・ボールがバットを食いちぎってる!」
「ちょっと!いまのは反則よ!」ダダッ!「ユキノが主審に抗議に走ります。」「・・それは監督の仕事だというに。」
「主審のフォルスト導師に激しく抗議しています。・・あ、ひきさがった。」「ん?・・意外とあきらめがいいわね。
ユキノらしくない・・」「次はシュウさんです。」ザッ。「たまにはいいとこ見せておこう。」「第一球!」「・・」ザッ。
ヒュッ。「・・もらった!」カキーン!「!」「打った!これは大きい!」「まかせて!」ダッ!「レフトのオリヴィー
走ります!でも高度があるぞ!」「テレポート!」ヒュッ。・・パッ。「空中に瞬間移動!」パシッ!「ビンゴ!」
ギュルルル・・ボコオッ!『なにっ!』「グラブをひきちぎった!・・入ったあああーっ!」♪パパラパー!
「どうだ!名づけてトルネード打法!」「そうか・・打球にものすごいスピンをかけ、それでグラブを。」
「それよりどうして芹香さまの魔球があんなに簡単に?」「むっ?・・」すっ。ピラッ。「・・やられましたね。」
「あれは・・「魔力消去」の呪符!」「ホームベース前に土をかけて隠してあった・・」・・はっ!「そうかわかった!
ユキノの抗議はフェイク!あれでみんなの注意を審判に引きつけてる間に彩に渡して置かせたのよ!」「汚っ!」
「へへーん、なんのことかしら~♪ぜっんぜん知りましぇ~ん。」「悪党・・いや、たいした策士です。」
「次の打者は三振に切ってとり、なんとか一点でおさえましたが、5対4で秘密部隊最後の攻撃をむかえました!」
「・・ピッチャー交代。」「おっ?オメガもリリーフです。」ザッ。「マウンドはいい眺めね~。」『あれはミヤビ!』
「うわ~、こちらも魔球投手を投入か。」「しかも下位打線・・最後の最後で大ピンチね。」「先頭打者はバーン。」
「責任重大だぜ。なんとか塁に出れば足でかせげるがな。」ザッ。「ミヤビ、第一球!」ビュッ!「打ちごろの球・・
いや、見送ろう。」パシーン!「ストライク!」「なにっ?!」「ど真ん中へ直球です!」「あら、スッポ抜けちゃった。
よかった~、ホームランまちがいなしの絶好球だったもの。」ひらひら。「く・・」「第二球!」ビュッ!「であっ!」
ゴッ!パシーン!「ストライクツー。」「・・遊び球だった?!」「あらら~。どうもコントロールがよくないわね。
振ってくれてありがと♪」むかっ。「・・いやまてよ。まさか普通の球しか投げられないのか・・」「第三球!」
ザッ。「由良由良都、古留部!」ビュッ!ヒュイイッ!『分身魔球!』「なにっ?!しまった!」バシィィーン!
「バッターアウト!」「くそっ!」「ふふっ、おいしいものは出し惜しみするタチなの。」「完全に遊ばれましたね。」
「ピンチヒッター。」「ここで代打です。・・あれは志保さん!」ワアアアーッ!「あら・・これはてごわいのが。」
「やっぱ見せ場で登場するのが役者ってもんよ。」ザッ。「志保!三振だったらタコ殴りにすっぞ!」「第一球!」
「最初から勝負ね。古留部!」ビュッ!ヒュィィッ!「いきなり分身魔球!」・・キラッ。「見えた!」カキーン!
ぱこおおおーん!「あでっ!」「ファール。」「ダッグアウトのリオンを直撃!」「あら~、リオン生きてる?」
ピヨピヨ・・「あ~、これはしばらく起きないわね。」「寝かせとけねかせとけ。静かでいいや。」「第二球!」
ヒュィィッ!「またも魔球です!」カキィィーン!「今度はオメガ側のベンチだ!」「ユキノ、よけて!」
「その必要なし。」すっ、スパーン!・・コロコロ。「顔の前にかざした手刀でボールを真っ二つにした!」
「だから言ったのよ、よける必要ないってね。」「ちっ。さすがユキノね。」「まさかわざとファールを・・?」
バックスクリーン内、係員用覗き窓。ここに賢人会議の雇ったスナイパーが。「あれがユキノか・・依頼実行。」
チャッ。「この距離なら外しはしない・・」スコープのレティクルがユキノの頭部をとらえようと動く・・
キラッ。「ん?・・あれは?!狙いは・・ユキノか!」「第三球!」ヒュィィッ!ギン!「うりゃあああーっ!」
ザシャアッ!カキィィーン!「打ったあああーっ!これは大きい!バックスクリーンまでいきそうだ!」
ユラユラ・・ピタッ。「もらう!」・・ヒュイイイッ!「なにっ?!」バキイッ!バゴオオオーン!「ぶはあっ!」
「やった!バックスクリーン直撃の大ホームラン!ついに同点となりました!」ワアアアーッ!タタタタッ。
「あれ?・・志保さんは塁を回らずにスタンドに走ります。」「みんな!あそこにスナイパーがいるわ!」『なにっ!』
「カーツ、ワム!すぐに急行!」『おう!』シャッ!「インドアバトルならあの二人にかなう者はいないわ。」
「ぐっ・・逃げなければ。」「そうはいかんな。」ザッ。「なにっ!」「いろいろ聞きたいことがある。」すっ。
「二人・・」ザッ!チャキッ。ドキュドキュン!「ふん!」パシパシッ!「なにっ?!・・弾丸をつかんだ!」
「カーツ様、差し出がましいことを失礼いたしました。」「よい。感謝するぞ、ワム。輝彩曲刀!」シャン!
「刀と銃で勝負になるか!」ドキュン!「おそい。」シュッ・・「消えた?!」・・バン!「うわっ!」チャッ。
「一閃!」ヒュン!・・パラパラ。「銃が!」「銃だけではないぞ。」ズ・・ポロポロッ。「指があああーっ!」
「これで廃業だな。」「さて、どこの手のものかはゆっくり聞かせてもらおう。」「う・・うぐっ!」「なんだ?」
「うぐわあっ!」メコメコ・・「服の下で・・何か動いてる!」「ぐがあああっ!」ブシャアアッ!キィィィ!
「な・・なんだこれは!」キィィィ・・シャシャシャシャッ!「逃げた!」「くっ!・・もう届かぬか。」
「任務に失敗したものは抹殺か・・てごわい。」「うむ・・だがあの変な生き物はなんだったんだ?」
シャシャシャ・・ヒュッ。キィキィ!「そうか、やはり失敗したか・・まあよい。式神「鋭利暗」、ご苦労だった。」
グシャッ!「こんなもので倒せるとは思わぬ・・俺自らの手で始末してくれるわ。クククク・・」バサアッ!
「試合終了です。結局5対5で引き分け時間切れでした。」「それじゃ勝利特典はどうなるの?」「心配ないさ。
いまから全員でステーキパーティーだ。ジャンヌよろしく。」「はい。ティセ!」パチン。ドドドドドッ!
ガチャガチャガチャ!「ほい。バーベキューセットいっちょうあがり!」「「ナイチンゲール」には被災者援助用の
調理器具や食糧が搭載されている。たまにこうやって使わぬと、いざというとき使い物にならないものだ。」
「デューク西郷シェフ。」「・・松坂牛三頭ぶんを仕込んでおいた。すでに精肉ずみ、タレ漬けも頃合いだ。」
「え~、ビールいかあっすかあ!」『銀麗、くれくれ!』「はいはいはいと。おっと、ひばりちゃんたちはダメよ。」
「とゆーわけで、打ち上げよ!」『カンパーイ!』カチンカチン!ジュージュー・・「なんで病院船にキムチが?」
「知らない?食欲増進・消化促進・それにビタミン学の見地からキムチはいいのよ。」「トウフや梅干しはなんとか
理解できるけどな。」「コンニャクは消化器内の汚れを吸収清掃してくれるし、生キャベツはビタミンの宝庫。
それにレモンのビタミンCはもはや説明の必要もないわね。」「なるほど~。いちおう理屈はつけてるんだ。」
「ああ・・これが夢にまで見たシモフリ・・」「ママの唯一いけないとこは、その食い意地はってるとこです。」
「チャクラは野菜しか食べないのか?」「おにくはきらい。くさいし、おなかこわすもの。」「・・マニプーラ。」
「はい・・チャクラは以前はまともな食生活をしてませんでしたから・・おそらくは腐肉を食してたせいかと。」
「高級肉は歯ごたえなくてダメね~。」「・・・・」「うん姉さん。またアナコンダごちそうするわ。」こく。
「そういえばこないだのアナコンダはビックリしましたね。」「さよう。解体したら腹から消化途中の人体が
出てきたんですからな。」ぶっ!「味がいいのはやっぱ人食ったやつね。エサがいいのね。」『オエエエーッ!』
「綾香、そんなえげつない話題をメシどきに出すな~!」「あら、人食いヒョウもおいしいわよ。」
ロイヤルボックス。「お帰りですか。」すっ・・「もったいないお誉めの言葉、ありがたく頂戴したします。」
カツカツ・・「はい。明日からはまた敵味方・・いえ、賢人あるかぎりは共闘も多いことでしょう。」こく・・
「全ては計画どおり進んでおります。また一段落すればこのような企画をやりましょう。では・・」バタン。
ブルルル・・「・・ふう、さすがの私もあのお方相手では緊張する。だが楽しんでくれたようだな、ミヤビ。」
すっ・・「そうですわね、ドクター。たまにはこんな茶番もよろしいでしょう。」「それをいうならオメガそのものが
茶番に過ぎぬ。だが三文芝居も役者が良ければ歴史に残る名演となる。」「まさに・・役者はそろってるわ。」ふっ。
「シナリオはもうできてます・・最終回まで。」「逆転サヨナラはあるか?」「それを言っちゃお話になりません。
ま、見ててください・・「読者」ではなく「脚本家」である私の腕を。」「・・そして「監督」も兼ねるか・・」
GGG機密会議室「無明」。「なんと・・オメガにそんなバックが。」「いえ、考えてみればありうることです。
「賢人会議」が起こす争乱は心ある者なら見過ごしはできないでしょう・・それで「力」を必要としたと。」ポリポリ。
「いまひとつ重大な関連情報があります。」「なにかね刹羅くん?」「「キングダム」・・ご存知ですね。」ぎょっ!
「まさか!「キングダム」がオメガの・・」「思い当たるフシはありますよね。巨大な資本を有し、なによりも
平和と繁栄を願う「キングダム」の理念・・そして人類の「業」を断ち切ることこそ悲願。」「それはおかしいわ。」
『志保?』「旧バイオネットの所業をおぼえてるでしょ。オメガはその延長だということを忘れないでください。」
「しかしだ・・」「オメガは倒さなければいけない。そうでないと・・ムダになる。」「ムダ・・とは?」「・・・・」
「結論だ。GGGは「賢人会議」の行動に対し、ゾンダー関連でないかぎり公式に出動しない。」「しょうがないか。」
「ただし。被災者の救助活動支援として、人道上から単体もしくは小隊編成で出動する。その際に救助活動を
妨害する因子を排除するための戦闘は救助活動の一環として認められる。異論は?」『ありません。』「では解散。」
「長官・・うまく余地を残しましたね。」「困ったときは呼んでくれたまえ。できるだけ適切な応援を送ろう。」
************************************
♪チントンチントンチントンチントンチロリ~ン。(おなじみ葉っぱOP)
土御門雅、有名お嬢さま短大二年生のときのお話・・
「あ~あ、退屈・・高校時代はいろいろあって楽しかったけど、卒業して足洗っちゃってから、とたんに退屈な
日常が続くわ~。なんか刺激的なことでもないかな・・ん?」ウ~ウ~ウ~!「消防車・・火事?・・近いわね。
せっかくだから野次馬しよっと。」タタタタ・・パチパチパチ・・「あそこか・・おおっ!これはすごい火事!」
ゴオオオ!「中に誰かいるんですか?!」「5歳の娘が!」「なにっ!隊長、いってきます!」「この火勢では
お前までやられるぞ!」「何もしなければその子は確実に焼け死にます!」「むう・・わかった、行ってこい!」
「ほら水だ!」バシャアッ!ダッ!ゴオオオーッ!「うわ~、これじゃ助けに行ったほうまで・・あっ!」
ガシャアアーン!・・スタッ。「もう大丈夫だよ。」「うえええ~ん!」「さおり!ありがとうございます!」
ワアアアーッ!パチパチパチ!ぽん。「纏、よくやったな。」「実は突っ込んでからちょっとだけ後悔しました。」
「はははは!お前も人間だということだ。」パチパチパチ!「ああ・・あの人・・纏さんていうの・・」
記録外ミッション60「お七狂乱」(二年前?)
「それじゃ、お先に。」『おつかれさん~!』カツカツ・・「あ、あのー!」「えっ?・・君は?」「え~と、その・・
纏さんですね?」「はい、秋水纏ですが・・」「私、土御門雅っていいます。あの・・ナンパしてください。」
「えっ?・・あははは!面白い人だね。」「いえあの、こーゆーのってなれてなくて、どう言えばいいのか・・」
「そうだね・・明日は非番だから10時に駅前噴水の前に五分ほど立ってるから、もし気が変わらなかったら。」
「あ・・はい!必ず行きます!」「まあアテにしないでちょっとだけ待ってるから。じゃあね。」ツカツカ・・
そして次の日、午前九時。「ちょっと早かったかな?まあいいや、どうせヒマだし・・えっ?」「纏さん・・」
「雅くん・・だっけ。もう来てたの?」「はい・・遅れたらいけないので六時から・・」「六時って・・今朝は
氷点下で・・」ガタガタ・・「だって・・」「・・」ぱさっ。「あ・・」「いこうか、まずは暖まるところへ。」
喫茶店。「で、どうして僕を?」「昨夜の火事が最初だったけど・・それだけじゃないかもしれない。」「?」
「なんていうか・・よくわからないけど、纏さんを見たときから胸がドキドキして、昨夜も眠れなかった・・」
「・・わかるよ。僕も君に会ったとき、正直ドキンときた。まるではるか過去に会ってるような気が・・」
「私も同じ・・もし前世というものがあるのなら、もしや纏さんと私は・・」「・・かもね。どうかな、それが
何なのかわかるまで、しばらく付き合ってみようか。」「・・はい。たとえ答えが出なくてもそれはそれで。」
それから雅と纏はつきあいはじめた。お互いのことを知るにつれ、自身さえ自覚してなかった記憶の同調が
明らかになり、それは確信へと変わっていった・・そして二人はいつからともなく愛しあうようになった。
土御門家。古代より続く由緒ある家系であり、現在でも政財界にかなりの影響力をもつ。「秋水纏くんか。
雅を嫁に欲しいと?」「はい。」「失礼ながらこちらで少し調べさせてもらった。消防士か・・いかんな。」
「お父様、なぜ?!」「消防士は知ってのとおり命を張る職業だ。よっていつ殉職するかわからん。そうなれば
雅は未亡人だ・・そうとわかって娘をまかせる親はそうはな。」「おっしゃることはよくわかります。しかし
愛する者が待っていてくれるからこそ、どんな危険からでも帰ってこれるのです。」「むう・・よくわかった。」
「それでは!」「まあ待て。雅はまだ学生だ。卒業して一人前になったら許そう。留年しなければ、な。」
むっ。「お父様。まるで私が勉強していないみたいじゃないですか。」「みたいじゃなくて事実だろうが。
ろくに講義にも出ておらんという情報が入っておるぞ。」どきっ!「・・出てなかったのか?」「いえその、
どうも役に立たないから・・」「それはいけないな。役に立とうが立たまいが勉強は大事だよ。」「は~い。」
「うはははは!雅のそんな顔は初めて見たぞ!うむ、これはよい婿どのだの。」「お父様!」「うはははは!」
纏のアパート。2Kだが、住人の性格を反映してきっちりと片付いており、実際の間取りよりも広く見える、が。
「うわ~、せっま~・・」「雅の家と比べないでよ。」「そこまで言わないけど・・よくこんなので生活してるよね。」
「一人暮らしならじゅうぶんだよ。ホントはつれてきたくなかったんだけどね。」「終電がなくなっちゃったから
しょうがないじゃない。今夜泊めてもらうわ。」「じゃ、フトン敷くから。」ガラッ。バサバサ。「こっちの六畳で
寝るといい。僕はこっちの居間で寝るから。」「おフトン一つしかないけど?」「冬着を着込めばいいのさ。」
そして深夜・・『・・ねえ、もう寝た?』「・・いや。やっぱり寝付けないな。」『・・こっち、来ない?』「えっ?」
『こっち来て一緒に・・』「・・うん。」スゥゥ・・「さ・・着込んだの脱いで。」「・・」すっ。ばさっ。
「やっぱりあったかい・・」ぎゅっ。「・・雅。」すっ・・「うん・・」・・「んんっ!・・愛してる・・」
数日後、土御門家。「お父様、なにか?」「いやな、報せないでおこうとも思ったんだが、いちおう耳にだけは
入れておこうとな・・実は縁談がきた。」「誰の?」「お前だおまえ。相手は王崎コーポレーション会長だ。」
「それって自衛隊に兵器をおろしているあの?」「そうだ。どうやらうちの人脈に目をつけたらしい。」
「政略結婚ですか。またレトロな。」「まったくだ。当然断ったよ。もう嫁ぎ先は決まってるとな。」「まったく・・
こういうのはもうやめにしてほしいものだわ。」「あの手の輩は古代から変わらんな。進歩というものがない。」
「纏さんと私ははるか過去にどこかで会ってる・・潜ってみるか。」ぱん!「私の過去・・生まれる以前の
私の「記録」・・時の書庫よ、開いて・・」オォォォ・・「・・見える。100年・・200年・・あった。」
江戸時代。カンカンカン!カンカンカン!ゴオオオーッ!「火事だー!」「越後屋から火が出たぞー!」
「あっ!あれを見ろ!」カンカンカン!「半鐘を叩いてるのは・・お七じゃないか!」「あの狂いのお七か!」
「平さん火事よ!はやく消しにきて!あはははは!」「まさか・・お七が火付けを!」「たいへんだ・・」
「婚礼が決まってた「め」組の若頭の平吉がこないだの火事で死んじまってから、お七は狂うてしもうた・・
不憫な娘じゃが、まさか火付けまでしてしもうたとは。南無阿弥陀仏・・」「あはははは!平さん火事よ!」
火付けは打ち首獄門が常である。だがお七のつけた火は江戸の2割を焼き払い、多数の死者を出したため、
特別に火あぶりの刑が下された。小塚処刑場に薪が積まれ、お七はその上に磔にされた。ガヤガヤ・・
「それではお七の処刑を行う。火をつけろ!」メラメラメラ・・ゴオオオーッ!「あはははは!火よ、火だわ!
平さんに会える、平さんに!あはははは!」「・・南無阿弥陀仏。」『南無阿弥陀仏・・南無阿弥陀仏・・』
お七のあまりにも哀しいその最期に、見物の群集から誰からともなく念仏がわき上がり、業火に包まれたお七を
弔った・・「平さん!来てくれた・・やっと会えた・・やっと・・」ゴオオオ・・「せめてあの世で・・」
「・・はっ!」ばっ!「・・そうだったの。お七が私・・そして平さんが・・」ぐぐっ・・「やっと・・
やっと会えた・・平さん・・今度こそ添いとげられる・・」・・バタバタ!ガラッ!「雅、たいへんだ!」
「お父様?」「例の秋水くんだったか・・いま情報が入った。秋水くんが・・」「・・なんですって!」
病院。タタタタ!「すいません!秋水纏さんの病室は!」「・・お知り合いですか?」「はい。婚約者です。」
「そうですか・・地下一階です。そこのエレベーターで。」「どうも!・・地下?」「・・霊安室です。」
霊安室。バタン!「君は・・秋水くんの。」「隊長さん・・纏は!」「見ないほうがいい・・」「・・」ダダッ!
「いかん!」バサッ!・・ワナワナ・・「・・うわあああああーっ!」「・・これは事故じゃない。他殺だ。」
ぴくっ!「どういうこと?!」「私も火のシロウトじゃない。あの火勢ではこんなに焼けるはずがない・・
おそらく誰かに火炎放射器で!」ダン!「もともとおかしな火事だった。オフィスビルから出火。そしてOLが
中にとり残されていると通報があった。たいした火勢でもなかった。纏は飛び込んでいったが・・焼け跡からは
猫の子一匹も焼死体はなかった。壁に開いた隣のビルと通じる穴以外は!」「・・いったい誰が!許さない!」
土御門家。「わかったぞ雅。実行犯と黒幕が・・陸自非合法部隊と王崎会長だ。」「わかったわ・・ありがとう。」
すっ。「行くのか、やはり。」「はい。私は許さない・・いまこそお七となって、敵を焼き尽くしてくれます。」
「これを持っていけ。」ぱさっ。「これは・・まさか「八岐大蛇」の呪符!」「そう、土御門家秘伝の呪符だ。
だがここ数百年間、使いこなせた者はおらぬ。お前なら使えよう。歴代最強の呪力を持つお前なら。」はっ!
「・・知ってたの。」「自分の娘の秘めた実力くらい見抜けぬようでは土御門呪殺師頭首とはいえん。お前が男で
あったなら、間違いなく歴代最高の継承者となっていたであろう・・口惜しいぞ。」「・・お預かりします。」
王崎コーポレーション本社ビル。ガーッ。「むっ?今日はもう閉館ですよ。」「由良由良都、古留部。」ヒュヒュッ!
ボコボコッ!『ぐはあっ!』ツカツカ。「58階ね。古留部!」ドグシャアアッ!「八方陣車。」スゥッ・・
最上階、会長室。・・ドバアアアーン!「ふふふ・・ようこそ雅くん。」「王崎。首を洗って待ってたとは殊勝よ。」
「いやいや君がこんなに気の荒い方だとは思わなかった。どうやらせっかくの手間も無駄だったようだな。」
「手間・・その言葉で閻魔に弁明するがいいわ。」ゴオオオオ・・「そうかな?」パチン。ザザッ!ジャキジャキッ!
「陸自非合法部隊ね。ちょうどいいわ、まとめて地獄にたたき落としてあげる。」「呪術が近代兵器に通じるものか。」
ズガガガガガッ!ゴォォォ・・「いい女だったが、ハチの巣ではな。」「だれのこと?」「なにっ?!」ヒュンヒュン。
「・・バカな、傷ひとつつかないとは!」「そんなチンケなもので私の珠振は破れないわ。」「火炎放射器だ!」
ジャキン!ボオオオーッ!「効くわけないでしょ!古留部!」ヒュン!ボコッ!ドガアアアーン!『ぐわっ!』
「自分のナパームを浴びて死の火踊りを舞いなさい、あははははは!」「むうっ!T3を出せ!」ガチャン!
「あら、ウワサのパワードスーツね。」「たとえ戦車砲とて跳ね返す超合金製だ!」「あらそう?反魂法。」バサッ!
ポンポンポン!「抱きしめてあげなさい。」こく。ダッ!ガシッ!「ムダなことを。」メキメキ・・ゴガアッ!
『ぐぎゃあああーっ!』「なにっ!」「衝撃には強いようだけど、塑性変形までは考慮しなかったようね。これで
部隊は全滅よ。古留部!」ヒュンヒュン!カカーン!「不可視装甲板ね。」「そのとおり。指一本触れることは
できぬよ、うわははははは!」「・・ふふふっ、あはははははっ!」「なにがおかしい!」「あんたのバカさかげんは
いいかげん飽きたわ。土御門家古神道をなめんじゃないよ!」ぴらっ。「冥土の土産にお見せするわ。いえ、
あんたは冥土にもやらない。この場で焦熱地獄を生きたまま味わうがいい!」ゴオッ!「なにっ!呪符から炎が!」
「八つの峰を一瞬に焼き尽くす「八岐大蛇」の炎よ、いけえっ!」キュオオオーン!ゴバアアアアーッ!
「炎が・・八頭の龍に!」キュオオオオーン!ドゴオオオーン!バリィィィーン!「うわああああーっ!」
ドガアアアアーン!「なんだあれは!」「王崎コーポレーション本社ビルが爆発した!」ゴオオオーッ!
ウ~ウ~ウ~!キキィッ!ドカドカッ!「これは!・・ビル全体が一瞬に炎上するとは!」「隊長、あれ!」
「屋上に・・和服の女?」『あははははは!見える平さん?あなたへの弔いのかがり火が!あははははは!』
「あれは・・伝説のお七?!」『燃えろもえろ!天までとどくほど!あははははは!』ゴオオオオーッ!・・
「たいしたものだな。」はっ!「・・だれ?」「ドクターと呼んでもらおう。君を迎えにきた。」「ドクター?・・」
「さるお方から君をまかされた。これが紹介状だ。」ひょい、ぱしっ。ぱさ・・「・・これは!まさか?!」
「そうだ。そのお方も君のことを気にかけておられる。君はまだ死んではいかんとの仰せだ。」「あのお方が・・」
「もうひとつ。この一件には黒幕がいる。」「・・どういうこと?」「「賢人会議」・・知っているな。」ぴくっ。
「そう・・そうだったの。」「王崎ごとき小者はしょせん手駒に過ぎぬ。自衛隊をも自在に動かす「軍事」の賢人、
それが黒幕だ。」「・・証拠は?」「ない。信じるかどうかは好きにするがいい。」「・・行きましょう。」すっ。
翌朝。燃え尽きたビル内で焼死体の捜索が行われたが、目撃された女性の死体はどこにもなく、報告書からも
削除された・・だが消防士たちはこの火事を「お七事件」としてひそかに仲間うちだけで語り継いでいった。
*****************
♪ザン!
ヒマラヤ奥地・城塞都市クルド。世界中に優秀な傭兵を送り出すクルド衆の本拠である。一般にはクルド兵として
知られているが、それを凌駕する超絶の戦闘力を持つ傭兵団が存在する・・銃器に頼らず、己の肉体のみを
唯一最強の武器とし、人間の潜在的爆発力を引き出すユーラシア大陸最強戦闘術。その名はクルド流暗殺拳!
ワアアアーッ!『これより新たな拳皇(ラクシャーサ)の認定式をおこなう!出でよ、ユキノ・ディアノ!』
「はい!」ザッ!ワアアアーッ!『ユキノはたった一年という短期間で暗殺拳の全てを修得し、高位闘士たちを
次々と打ち破った逸材である。本来ならば5年の修行期間を経ないと許されないこの試練であるが、師である
老師の特別の推薦により許された。ラクシャーサの称号を得るためには試練の回廊を生きて抜けることが
要求される。ユキノ、命を賭けても試練に挑むか?これは拒否しても名誉を汚すことにはならぬ。退くことも
立派な勇気である。返答はいかに!』「この命なにするものぞ。ただ拳神の御手に委ねんもの!」『よろしい。
試練の回廊を開け!』ギギギギ・・ガコン!『この回廊を抜けられたものはクルド二千年の歴史の中でも
わずか50人にも満たぬ。現存する者では老師とその弟子のケン・アースライザーのみ。しかも通過者により
その仕掛けは時代に合わせて改定されておる。ゆえに先人の攻略法は通用せぬ。では拳神の加護のあらんことを!』
「・・この試練を通過すれば、わたしは世界を相手に戦えるようになる。だから・・行く!」ザッ!タタタタ・・
「行ったのう。」「はい。だがユキノならば必ずや。」「うむ。ケンよ、どんな仕掛けをもりこんだかの?」
「現在は銃器の時代です。誰でも簡単に人を殺せる武器・・それに打ち勝つ技量でなければラクシャーサの
称号にはふさわしくないかと。」「たしかにの。ワシのころから鉄砲がのしてきおったからの。それでワシは
機関銃を仕込んだものじゃ。」「おかげで苦労させられましたよ。もっとも、俺はさらに戦車を追加しましたが。」
「ほっほっほ。五体満足で出てこれればいいのう。」「ユキノが学んだ技をさらに進化させてれば可能でしょう。」
記録外ミッション61「奇跡の拳」(3年前)
「はいはいはいっ!」パンパンパン!「ユキノそうじゃない。手数はいらない、一撃で相手を倒す気でいけ!」
「でやあっ!」ゴッ!バシィィーン!「そうだ、この一撃だ!今のを忘れるな。」「ありがとうございました。」
「よし、休憩にしよう。」「はい。・・ふう。」シューッ・・「ここへ来て一年か。早いものだな。」「うん・・
ドクターの紹介でここへ来たときには、暗殺拳のすさまじさに驚いたものだったけど、あこがれもしたわ。
あれだけの技を自分のものにできれば、どんな相手とでも戦い、勝てる。そう・・世界を相手にしても。」
「世界を相手にか・・まさに我らの理想の姿だな。戦いに生き、信念に殉じる。たとえその信念がどのような
ものであろうとも、己を信じて生きるというのはすばらしいことだ。」もみもみ・・ずぱこおおおーん!
「言ってることとやってることがかみ合ってないでしょーが!」「あいててて・・いや~、ユキノの成長を
確認したかっただけなんだけどな~。」「だからってチチをもむな!老師に教えてもらわなかったら、兄弟子だし、
なすがままにされてたかもね。」「あ、それは心配ないな。俺はクロウトしか相手にしないから。ユキノは可愛い
妹みたいなもんだ。」くりくり。「ラクシャーサとしての武勇伝より、そっちの悪名のほうが有名だっての。」
「ところで妹さんたちは元気か?」「うん・・でもね、ドクターに志願して生体改造を受けたって報せが・・」
「なんと・・」「ドクターは止めたけど、どうしてもって・・戦えるようになるために。」「ユキノはなぜ
止めなかった?お前なら・・」「止めたわよ・・戦うのはわたしだけでじゅうぶん、二人は普通に生きろって。
でも・・その直後に自殺をはかったのよ・・足手まといになるくらいなら死ぬって・・」「・・それほどに
二人の意志は固かったわけだな。」「幸いに一命はとりとめたわ・・そしてその時点で改造を受けることに
わたしも同意した。そうじゃなかったら、また二人は・・」「・・そうだったのか。ユキノ、二人の思いを
ムダにしないためにも強くなれ。誰にも負けないくらい。」「わかってる・・この命、最大限に使ってやるわ。」
ヒュゥゥゥ・・ザシャッ。「城塞都市クルド・・ワシはまた来たぞ、老師。今日こそ一本とってみせる。」バッ!
「たのもう!」ギギィィィ~・・「老師はおられるか?」「ほっほっほ。またやってきたのう来音。三年ぶりか。」
「おひさしぶりです、老師。」すっ。「うむ。・・どうやら新たな工夫ができたようじゃの。気が一段と上達した。」
「お恥ずかしい限りです。ついては一手所望いたしたく。」「よかろう。だがその前に、ひとつ試してもらいたい
若者がおる。ひとつもんでやってくれぬか?」「老師がお目をかけた弟子ならば、ワシにも学ぶところがあるやも
しれませぬ。では手合わせしてみましょう。」「かたじけない。外の風にも当たらせたいからの~。ユキノを呼べ。」
「お呼びですか、老師。」「ユキノ。こちらは獅王機甲拳のマスター来音どのじゃ。」「お初にお目にかかる。」
「マスター来音・・世界十大頭脳にして、東洋最強の獅王機甲拳の伝承者!」「そのとおりじゃ。どうじゃ?
一手やってみんか?」「獅王機甲拳が相手なら、わたしに否やはありません。」「ふっふっふ・・良い気迫じゃ。
老師が目をかけただけある。」「ケン。武闘場をあけよ。試合を始める。」「かしこまりました、ただちに。」
ザッ。ヒュォォォ・・「ユキノ、相手はマスター来音、勝てなくて当然の相手だ。勝敗は気にせず、胸を借りる
つもりで全力でやってこい。」「はい!」ザッザッ・・ザシャッ。「ほう・・ワシを前に一片のおびえなく、ただ
未知の拳に対する興味と闘志のみか。これは本気で相手せぬと失礼にあたるな。」「両者、礼!」ザッ。「始め!」
ダン!「とおおーっ!」「むん!」バシィィーン!「いきなり初手をうってくるか。若くてよいぞ。ふん!」
ドン!「はいっ!」クルッ、スカッ!「せいっ!」ゴオッ!「獅王閃光拳!」ドン!「はっ!」シュピッ!
「紅嵐!」ゴオッ!「ほいっと!」ひょい、スカッ!「なかなかやるの!ならば、獅王爆撃蹴!」ゴオッ!
「はいっ!」バシィィーン!ボゴオッ!『おおっ!』「受けたユキノの地面がへこんだ!」「見事!戦車をも
たたきつぶすカカト落としをよくぞ受けきった。誉めてやろう。」「くっ・・なんて威力なの。」ジ~ン・・
「では続けようかの。むん!」ドンドンドン!「はあっ!」クルクルッ、ボコボコボコン!ターン!
「穿鑓蹴!」ギュルルルッ!「あまい!」ひょい、スカッ!「かかった!」バッ!「なにいっ!」バキィィーン!
「ぬおおおおーっ!」ザザザザーッ!シュゥゥゥ・・「ふう・・ラセン蹴りから回し蹴りへの連続技とは。」
「これぞ遠心連脚!」「ほっほっほ。ユキノめ、オリジナル技を作りおったぞ。」「獅王機甲拳と同じく、クルド流
暗殺拳も無形の拳です。各代で新たな技が開発される・・だが始めて一年にも満たないユキノにそれが出来るとは
驚きですね。」「若いのになかなかよく使うのう・・これは老師よりも面白いかもしれん。では上級編じゃ!」
ヒュォォォ・・「・・この気は。」「ユキノとやら。その腕に敬意を表し、獅王機甲拳の奥義を見せてやろう。
はああああーっ!」ズゴゴゴッ!「これは?!」「獅王天道拳!」ドオオオオーン!「うわっ!」「いかん!」
ダッ!ガシッ!「・・老師?!」「ケン、動いてはならぬ!」ズゴゴゴゴッ!「これは・・なんて澄みきった
闘気なの・・いつかわたしもこんな拳を・・うわあああああーっ!」ドゴオオオーン!「がはっ!」ブシャッ!
「ユキノ!」ぴくっ、ぴくっ・・「ケン、手当てを。」ぱっ。「はい!」タタタタッ!「・・待って・・ケン・・」
「なんだと?!」「まだ・・終わってない・・」ググッ・・「なんと・・我が奥義をまともに受けてまだ立つか。」
グググッ・・ザン!「マスター・・勝負はまだ・・」ヨロ・・「・・その闘志、見事なり。・・老師。」「うむ。」
「ケンどの。」「・・やってください。」「・・はあっ!」ドンッ!「ぐっ!・・」・・クタッ。「それまで。」
「お預かりします。」「うむ。」ドサッ。「ユキノ・・見事な戦いだったぞ。」ザッザッザッ・・「どうかの?」
「老師・・あの娘、とんでもない逸材だの。いま少し修行を積めば、文句なしにラクシャーサの称号を狙えるぞ。」
「やはりそう思うか。ではやらせてみるかの。」「まずいけるだろう・・ワシはこれで失礼する。」「ほう・・
わしとの手合わせはせぬままにか。」「その必要はない。今の戦い、ワシは手加減しておらぬ。まだまだ修行が
足らぬことを痛感したぞ・・」ザッ。「いつでも来るがよい。わしは待っておるぞ。」「ふ・・間に合えばな。」
パチャ・・「う・・」「気がついたか。」「・・どのくらい?」「まる一日だ。」「そう・・負けちゃったか。」
「勝つつもりでいたのか、マスターに。」「そうじゃないと戦う意味がないでしょ・・勝つつもりでやらなきゃ。」
「たしかにな。」バサッ。「いきなり起きたら!」「だいじょうぶ。・・なんかじっとしてられないの。まるで
全身の細胞がエネルギーに満ちあふれてるみたい。よっと。」クン、スタッ。「気のせいか身体が軽いわ。」
トントン・・シュシュッ。「起き抜けから元気だな・・ん?」シュパパパッ!ビュビュッ!「・・ユキノ。
本当におかしいぞ。拳と脚の切れが以前より格段によくなってる。」「そう?はああああーっ!」ドオン!
ドゴオオオーン!パラパラ・・「・・えっ?いまの・・なに?!」「拳圧だけで壁をぶち抜いた・・まさか!」
「ほっほっほ。マスターめ、味なミヤゲを残してくれたものじゃ。」「老師?」「いま思い出したぞ。獅王天道拳は
活人の拳。相手を浄化する奇跡の拳じゃ。」「奇跡の・・拳。」「あの一撃を受けたことにより、ユキノの全細胞は
エネルギー効率が向上したと想定できるの。だから潜在的に持っていたパワーを発揮できるようになったんじゃ。」
「これが・・わたしのパワー。」「ユキノにこれだけの力が・・」「じゃがの。そのパワーを自由自在に制御できる
ようにならなければならぬ。ケン、その線で修行の方針を変えよ。」「わかりました。ユキノ、修行の段階をかなり
上級のものにするぞ。いままでとは比べものにならないくらい厳しい。覚悟しておけ。」「もちろん!」「よし!」
「あれから数ヶ月。ユキノに教えることはもうありませんね。」「あとはユキノが自身でどこまで高みに登れるか。
わしらはもう見守ることしかできんのう。」「いえ・・最後にひとつだけ教授しなければならないことがあります。」
タタタタ・・「ここが最後の房ね・・ん?!」ザザッ。「ユキノ・・よくぞここまでやってきた、いや、必ず
来ると確信してた。」「・・まさか!」「そうだ・・俺が最後の試練だ。」バサッ!「ケン・・わかったわ。」ザッ。
「先代ラクシャーサであるこの俺を乗り越えてみろ。いくぞ!」ドン!ドバアアアーン!「はいっ!」ドン!
ドガアアアーン!「相殺したか・・上!」ババッ!「地断脚!」ゴオッ!「むん!」ドオンッ!ズバババーッ!
「大地を裂く浴びせ蹴り。見事だ!」「受けたケンもやるね!」「いくぞ!昇竜脚!」ばっ、ドン!「おっと!」
クルッ、ダン!「昇り蹴りの体勢ではよけられないわよ!」「どうかな?はっ!」ダーン!「えっ?!腕の屈伸
だけで大ジャンプ!」スカッ!タン!「落雷拳!」ゴオッ!「まだ!」バン!くるっ、ドゴオオオーン!
「おりゃあああーっ!」ドン!「とおおおーっ!」ドン!バシィィィーン!カッ!ズガガガガーン!
ドドドドッ、ドバアアアアーン!『おおっ!』「試練の回廊が吹き飛んだ!」「中で何が起きてるんだ?!」
「ほっほっほ。いい勝負じゃの~。クルド暗殺拳史上最高の戦いかもしれんの。さて、出てくるのは・・おっ?」
ゴォォォ・・ザッザッ。「ユキノだ!」「ケンを背負ってユキノが出てきた!」「新たなラクシャーサの誕生だ!」
ワアアアアーッ!「つ・・情けねえ。妹に背負われるとはよ。」「いい勝負だったね。」「・・まあな。」もみもみ。
「・・あんたって男はあああーっ!」どがあああーん!「おうわああああ~っ!・・」・・キラッ。「ほっほっほ。
よく飛んだもんじゃの~。」「たく、せっかくの気分がぶちこわしじゃない。スケベ兄弟子が!」ぱんぱん。
「ではこれよりラクシャーサの証である焼印を右腕に入れる。」「あ、それイヤ。」「・・なに?」「だってさ~、
熱いわ痛いわ一生残るわだもの。それに、世界でそんなもの見せても何の役にもたたないわ。」「し、しかし・・
老師、なんとか言ってやってください。」「いいんじゃないかの。ユキノのきれいな肌にわざわざ付けるほどの
ものでもあるまい。それに・・たしかに世界を相手では何のご利益もない。それを示すのはただ拳のみじゃよ。」
「しかしそれでは伝統が!」「ユキノ、見せてやれ。真の称号とはどういうものか。」「はい老師。はああああーっ!」
ゴオオオーッ!「はあっ!」ドオオオーン!・・ドガアアアアーン!『おおっ!』「山が・・ふっとんだ!」
「どうじゃ?これに優る称号があるかの。」『ははーっ!』ザザッ!「・・あれ?ユキノが消えた!」ヒュゥゥ・・
「いましがた去ったわい。もはやここに用はないからの。そして・・」くるっ。「・・目指すは世界じゃ。」
ザッザッ・・「ユキノ、行くか。」ザッ。「ええ・・ケン、またどこかで会いましょう。」「そのときは敵味方の
関係かもしれないな。」「ふ・・望むところよ。腕磨いときなさいよ。」「ああ。」ぴっ。シュッ・・
♪ザン!
『ナンバー1、シャッセールのリオン・レーヌにまたも作戦をつぶされました。』『そうか・・やはりあやつは
生かしてはおけぬ。刺客を送ろう。』『ですが今まで数多くの殺し屋を送りましたが、すべて失敗しております。』
『ならばこそ、世界最高のプロを雇った・・「黄金蝶」を。』オオッ!ザワザワ・・『「黄金蝶」ならば・・』
『世界有数のサイキッカーにしてプロの殺し屋・・』『その正体を見た者はみんな口を封じられるらしい・・』
バイオネット要塞内・ドクターの研究室。「黄金蝶ですって!」ガタッ!「そうだ。ナンバー1はそれを雇ったと。」
「・・獅子の女王もついに年貢の納めどきか。」「ユキノ、知ってるのか?」「暗黒街に生きる者なら子供でも
知ってるわ。寸鉄も帯びずに要塞ひとつを全滅させたとか、完全護衛の独裁者を難なく暗殺したとか・・しかも
それがウワサや風聞ではなく、事実なんだから始末が悪い。できればお目にかかりたくない存在よ。」
「クルド流暗殺拳を極めたユキノでもか。」「暗黒街で生きのびる秘訣は、彼我の実力差を冷徹に見抜くこと。
逆立ちしても勝てない相手に挑むバカは長生きできない。まさに野生の掟そのものよ・・」「きびしいのだな。」
記録外ミッション62「黄金蝶」(二年前?)
パリ・シャンゼリゼ通りの喫茶店。「志保、あんた「無名」からGGG諜報部へ移籍するんだって?」「そう。
おじいちゃんがどうしてもってね。よほど諜報関係の人材が不足してるらしいしね。」「ヨーロッパ暗黒街を
震撼させた「闇姫」も、ついに宮仕えか・・出世だね。」「よしてよ。あたしは「無名」で世界を自由に飛び回って
いるほうが性に合ってる。それに・・」カタン。「・・志保?」「バイオネットにどうしても決着をつけたい奴が
まだいるのよ・・」「へえ・・バイオネットに闇姫を燃えさせるだけの相手がいるのか。」「リオンもウワサくらい
聞いたことがあるはずよ・・「一番の」ユキノ。」「・・ああ、あいつか。聞いた話じゃバイオネットには珍しい
バリバリの正統武闘派とか。」「なぜか組織内では目立たないようにしてるけど、実力は綾香クラスよ。」ブフォ!
「な、なんだと!あのバケモンに匹敵するってのか!」げしっ!「なになに誰がバケモノですって?」ぎょっ!
『・・綾香?!』「な、なんでここに?」「プラハの帰りにちょっと買物でもと思ったの。奇遇ね~。」
「・・いえ、それだけじゃないよね。ギアナ高地からわざわざ綾香が出てくるには、それなりの理由があるでしょ。」
「さすが志保ね。・・リオン、あなた狙われてるわよ。」「またバイオネットの殺し屋か?しつこいね~。あれだけ
返り討ちにされて、まだ懲りないんかよ。」「今回のは張り込んだみたいよ・・「黄金蝶」よ。」『・・なにいっ!』
「あ、あの伝説にまでなってる世界最高のプロフェッショナルの!」「おいおい・・マジかよ・・」サーッ・・
「さしものリオンも蒼白か・・ま、無理ないわね。だから今回はリオンの護衛をおばあさまから要請されたの。」
「そりゃありがたい・・さっそく頼むよ。」『・・えっ?』「・・真後ろのインドの姉ちゃん、役者はそろったぜ。」
『そうね・・ビッグ4の三人までいたのはうれしい誤算だわ。』くるっ。「はじめまして。私はパピヨン・ノワール。
マドモアゼル・リオン、お命いただきに来たわ。」「・・あんたが「黄金蝶」か。」「堂々と名乗ったということは、
あたしら全員、生かして帰す気がないという宣戦布告ね。」「そうよ「闇姫」、そして「閃光の」。」すっ・・
ザッ!「ビッグ4の三人をまとめて相手する気なの?」「いいえ。・・まとめて殺してあげるわ。」カチャ・・
「・・メガネをとった?」シィィィ・・ドンッ!『ぶわっ!』ブワッ!ゴオオオーッ!「はっ!」くるっ、「鈎縄!」
シュパッ!カラカラッ。「よっと!」ダダン!「よいしょ!」グン!・・トン。ドグシャアアアーン!・・
「友達がいのない人たちね。リオンは壁にめり込んで即死よ。」「あ、それなら大丈夫。」「リオンは心配する必要
ないから。」「えっ?」カラ・・ズズズズ・・ゴバアッ!ガラガラガラ!「お~痛て。これ以上バカになったら
どーすんだ。」「・・ウワサにたがわぬ頑丈さね。」「今の光圧・・サイキックね。」「破滅の光、サイコ・バースト。
いかにあなた達でも、光速までよけられないわ。」「それはどうかな?」シャッ!「綾香?」「・・消えた?」
ばっ!「もらう!」「一瞬に黄金蝶の目の前に!」「高速機動で残像も残さず間合いをゼロにしたのか!」
「おそいわ。」カッ!「なっ?!・・」ドバアアアーン!「きゃあああーっ!」ドガドガドガーン!ガラガラ!
「綾香!」「まずは一人め。」「・・七節棍!」ビュン!カカカカン!「それはダメね。」キン!パキィィーン!
「なっ!七節棍が粉砕された!」「言ったはず、私の光より速いものはないと。」カッ!「しまっ・・」ドオンッ!
「うわあああーっ!」ドガアアアーン!「志保!」「これで二人め。残るはリオン、あなただけ・・」「・・ふふっ。」
「・・?」「あんたの技は見切った。そして必勝法もね。」「へえ・・見せてもらいましょうか。」「それはね・・」
くるっ。「・・えっ?」「逃げる!」ダダダダッ!「?!・・なんてやつ!仲間を見殺しにして逃げるなんて!
この卑怯者が・・ぜったい逃がさないわよ!」シャッ!・・ガラガラ。「ぷは~、えらい目にあったわ。志保、
生きてる?」「なんとかね・・」ゴバアッ!「ふう・・死んだフリして正解ね。リオンもすぐに察してくれて、
黄金蝶を引き離しにかかってくれて助かったわ。」「さすがに無傷じゃないものね・・姉さん、出番よ。」すっ・・
「・・芹香さま?」「こんなこともあろうかと、今まで陰に隠れててもらったの。治癒魔法お願い。」こく。
「なるほど・・リオン、うまく黄金蝶を周辺被害をうけないとこに引っぱってくれたかな?」「ああみえてリオン
けっこう頭切れるからね。マジで黄金蝶、倒す手を思いついたかもしれないわよ。」「・・・・」こくこく。
チュイルリー公園。タタタタ・・「たしかここにあったはず・・あった!」ダダッ!・・ザザーッ。「ここは・・
ミラーハウス?・・なるほど、いい手ね・・少し見くびってたかな?」さっ。・・「・・遊んでみましょうか。」
カツカツ・・「さてどこにいるか・・」さっ。「そこ!」キン!パリィィーン!「ち・・外したか。」さっ。
「私の目を惑わすアイデアはいいけど、それだけでは私は倒せないわよ。かといって、いかなる反撃も私の光を
上回ることはできないけどね。」『いや、それは大きな間違いさ。』はっ!キン!パリィィーン!『たしかに光は
いかなるものより速い。けど使ってるあんたは光より遅い。この意味わかるか?』「そこか!」キン!パリィン!
『今のあんたがいい証拠さ。無敵の光もむなしく空を切るだけ・・教えてあげる。最強の武器は人自身なのさ。』
「・・ふ。」すっ・・「ならば私を倒してそのことを証明することね。」「いいとも。」「そこ!」くるっ、キン!
パリィィーン!「かかった!」「なっ?!・・」ドオオオオーン!「なにいいいいーっ!」ガシャガシャガシャッ!
ドガッシャアアーン!「きゃあっ!」ズザザザーッ!ガシャガシャ・・「いや~、こんなにうまくいくとはね。」
「く・・なぜ・・」「あんたが最後ににらんだのは鏡に映ったあんた自身。正反射角ぴったりのところで打たせる
のは苦労したけどね。」「・・負けたわ・・殺せ。」「その必要はないね。鏡の破片で出血多量・・あと数分てとこ。」
「・・いいでしょう。数多くの人を殺めてきた罰ね・・このまま失血死するのも悪くないわ・・」ガク・・
『リオン~!』タタタタ・・「よっ、なんとかなったぜ。」「黄金蝶は血ダルマか・・死んでるの?」「いーや。
ちょっと血が出すぎて気を失ってるだけさ。志保、鏡の破片抜くの手伝え。」「いいけど・・助けるつもり?」
「・・よくわからねえけど、なんかこいつさ、違和感なかった?」「・・たしかに。」「言われてみれば・・なんか
殺し屋というよりも戦士・・って感じね。正々堂々と名乗ってから襲ってきたし、初手は少し手加減してたし。」
「そうね・・本来ならあいさつなしで全力で殺りにかかるべきところを、わざわざ声をかけるとは・・」
「・・・・」「え?・・彼女の心は闘志と殺意が同居してて、なおかつ自己のスタイルを重んじてる?」こく。
「綾香、「エクストリーム」呼べや。」「いいけど、どうするの?」「この出血じゃどっちにせよ助からないわよ。」
「いや。こんなズタボロのでも治せるヤツがいるじゃないか、あそこに。」『・・ああ。』「なるほどたしかに・・」
「・・はっ?」「あ、目覚めた。」「・・ここは?」「スイスの「アルビオン」よ。私は医者のニルヴァーナ。」
「え?どこかで・・あっ!まさか新しい世界十大頭脳、「命の唄の」ニルヴァーナ!」「そうともいうわね。」
「・・なぜ私はここに?」「リオンがつれてきたのよ。なんとか助けてくれって。」「・・リオンが?」
「ふふっ・・あの子はバカで猪突猛進で凶暴で粗野だけど」「えらい言われようですね。」「でも本質は優しい子
なのよ。だからみんなから慕われてるの。」「そのリオンは?」「あなた渡してフランスに帰っちゃった・・まあ
あなたが目覚めたときにバツが悪いんで、とっとと退散したってとこかな。けっこう恥ずかしがり屋だしね~。」
「そうですか・・あの、私は・・」「知ってるわ・・あと三日もすれば退院できるわ。その後のことは自分で
考えなさいね。今の仕事を続けるもよし、リオンにリベンジするもよし、または・・」「・・考えておきます。」
ふたたびシャンゼリゼ通りのカフェ。「・・というわけで、志保はめでたくカタギになったわ。」「GGGじゃカタギ
とは言えねえよ。バイオネットの獣人なんかでも所詮は地球の生き物だし・・これから志保が相手しようってのは
宇宙から来た怪物ども。ある意味あっちのほうが大変じゃないかね・・」「・・」こく。「それは私たちも同じよ。
もしゾンダーまたはゾンダリアンがこっちでも出現するようなら、お座敷がかかるとみて間違いないわね。」
「そうだな・・けどシャッセールも人手不足で機界生命体まで手がまわらないのは確かだしな~。」「はい履歴書。」
ぱらっ。『・・え?』くるっ。「はーい♪」ぎょっ!「お、お!・・黄金蝶!」「な、なんでここに?!」「・・」
「あ、その名前は捨てたわ。」『・・はい?』「殺し屋は廃業しちゃったの。そこで転職先を探してたんだけど、
こういう経歴じゃ雇ってくれるとこって限られちゃうし~。」「・・そりゃ旧職:殺し屋って正直に書いてりゃな。」
「使える技能としては情報処理・総合工学・サイバネティクスなんかがあるけど。」「どこでそーゆースキルを・・」
「・・ふふっ。リオン、いい人材見つかったじゃない。」こく。「あたしの一存じゃ決められないっつーの!」
「それならだいじょうぶ。さっきシャッセール本部で内定もらってきたから。」「なにいっ!コマンダーが?!」
「「黄金蝶なら大歓迎や。」ってね。それで配属はね・・」「経理部か?」「リオンのサポートパートナーよ♪」
「・・なあにいいいーっ!」「あははは!悪さが過ぎて、ついにコマンダーにお目付け役をつけられたわけね!」
「・・・・」「・・コマンダーの性格を考えると、綾香のが大正解?ジョーダンじゃねえ!」「覚悟しなさいね。
それからこれからは私のことはパピヨンと呼んでね。」「やだ。けど黄金蝶じゃな・・おっそーだ!お蝶でどう?」
「テニスはそんなにうまくないけどね・・ま、お蝶のほうが呼びやすいかな。ではさっそく一昨日のミッションの
報告書を出して欲しいとコマンダーからの伝言だけど。」「ぎくうっ!」「・・まさか、まだ書いてないの?」
「う~・・一行も・・」「やっぱりね・・こんなこともあろーかと、はい。」トン。カチャ。「・・ラップトップ?」
「フォーマットはもう入ってるから、きりきり打ってね。」「あたしゃキー打ち苦手なんだけど~。」「だいじょうぶ。
このアイコン。」「・・オラ打「ジョOョの奇Oな冒険」?」「タイピングゲームよ。オラオラ打って練習しなさい。。」
「・・?」「・・え?芹香さまやってみたい?」こくこく。「姉さんタイピングなんて出来たっけ?」すっ・・
カカカカカッ!『オラオラオラオラアッ!』『おおおお~っ!』「す・・すげえ速さ!」「あまりにも速くて、
タイピング音が一連の音にしか聞こえない!」カカカカ・・タン。「・・・・」「・・え?悪魔召喚プログラム?」
こく。・・ドロドロドロ・・「・・なんだ?いきなり空が黒くなった・・」「・・」「出てきます・・って?!」
「ちょっと待って~!姉さんマジで?!」こく。「・・・・」「・・え?だいじょうぶ、最悪でもパリが消滅する
だけだから・・って~!」「お蝶!ラップトップのバッテリー外せ!」「もう外してるわよ!でも止まらない!」
ズズズズズ・・「しかたねえ!せりゃあっ!」ブン!ドガシャアアアーン!ズズズズ・・「・・ふう、止まった。」
「・・とかなんとかいって、どさくさまぎれにラップトップ壊したわね・・」「どーせシャッセールの備品だろ。
また新しいの買えば。」「・・私物だったの。」どきいっ!カチャ・・きっ。「今度こそ殺ス!」「うわあっ!」ダッ!
ドカーン!ボカーン!「こら待てリオン!やっぱあんたは死すべし!」「どわあああーっ!コマンダーにもっと
新しくていいの買ってもらうからカンベン!」「それこそ備品じゃない!こら待て~!」ドドドド!・・
『・・・・』「・・なかなかいいコンビになりそうね、あの二人。」こくこく。「シャッセールも賑やかになるね。」
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♪ザン!
カモメ第二中学校。・・ドタバタ!バリィィーン!「みんなタイヘンだ!」「つぐみちゃん、左開きのドアを
右にたたきつぶして開けちゃダメだよ。」「また工作の時間に修理ですますわ。」「んなこたどうでもいい!とにかく
これを!」さっ。『なになに・・「こみっくGシティ」?』「略して「こみG」。ついにこのGシティでも念願の
同人誌即売会が開かれんだ!」『ええっ!』「これは千載一遇の大もうけのチャンスや!」「・・どういうこと?」
「つまりな、本作ってそれがバカ売れしたら、一日で数百万は稼げるんや!」『すうひゃくまん?!』「あ、それは
ちょっとサバよみすぎ。いいとこ数十万だな。」「それでも月のおこづかいの数百倍だよ!」「わかりましたで
ございますですわ。つぐみさんは本を作りたいと、こういうわけですますね。」「そのとおり!あたしら五人が
力を合わせりゃ、締め切り日までにじゅうぶん作れる!」「本て・・マンガ?」「そや。いわゆる同人誌や。」
大要塞エゼキエル。「・・重大情報が入った。これを見たまえ。」ぱさ・・『・・「こみG」?』「この即売会が
どうしたっていうの?」「特戦隊とSSSに指令する。この締め切り日までに本を完成させ、出店してほしい。」
『なんで?!』「・・説明する必要はない。」「じゃ、拒否するわ。わけわからん指令にホイホイ従うほどわたしは
落ちぶれてないわよ。」「ユキノさんに賛成。動くには明確な説明を要するわ。」「・・わかった。ユキノ、サード、
耳を貸せ。」『?・・』こしょこしょ・・「・・わかった!そういうことならやったろうじゃない!」「う~ん、まあ
そういうことならしょうがないわね!」「納得してくれて感謝する・・作戦にかかれ。」『了解!』カッ!シャッ!・・
「ゲドウ殿、どのように説明されたのですか?」・・フッ。「出店権限で本は買いほうだいだとな・・」「なるほど。」
記録外ミッション63「こみっくG」(タイムテーブル無し)
ユキノの部屋。「では企画会議を始めるわ。まずはジャンル決め。」「アニメ!」「トクサツ!」「メルヘンものが
いいのだ。」「時代劇でござる。」「オヤジやOい。」ぎょっ!「みやびん・・マジ?」「当然。やOい、しかも濃い
オヤジものは今が旬なのよ。」「で・・誰とだれ?」「ドクター&フォルスト様。」『・・それいこう!』
「あの~、拙者は・・」「あ、あやぴんはだいじょうぶ。ちゃんとお役目あるから。」「・・そうでござるか?」
「でもさ、賢人会議が攻めてきたらどうするのかしら?」「それはないってドクターが保証してくれたけどね・・」
ちょっと前、「シャンバラ」。「トレーズ。オメガのドクターから名指し通信だ。」「ほう・・出ましょう。」ぱっ。
『久しいな、トレーズ。』「ドクターもお元気そうでなによりです。で、わざわざのご用件とは?」『要請だ。
O月X日まで、賢人の一切の破壊活動を控えてもらいたい。』「これは・・どういう仕儀ですかな?」『これだ。』
ぱっ。「・・なるほど。その件、保証しましょう。」『感謝する。では。』フッ・・「トレーズ、なぜあのような
理不尽な要請を受けた?」「ブンドル、あなたにはわからないのですか?かのイベント、実にエレガントだ。
考えてもみたまえ・・人の情念と欲望がひとつに結集し、同人誌やコスプレの形で花開く様を。特にコスプレは
美しき少女たちの晴れの舞台。さぞやエレガントな光景だろう・・」「なるほど・・たしかに美しい。よし、
他の賢人には休暇をとってもらおう。彼らもしばしの休養が必要だろう。」「そのセンでいきましょう・・そうだ、
蛍と色にだけは声をかけてあげましょう。」「・・読めたぞトレーズ。当日は高性能ビデオカメラを忘れるまい。」
セカンの部屋。「で、内容は肌色系と決まったんだけど。」「・・ダメだ!ボクにはできないよ!」「なんでよ!
いちばん絵がうまいセカンが描けないってどういうこと!」「だってよくわからないもの。」「・・だいじょうぶ。
私がモデルになる・・」ぬぎぬぎ。「あ、それナイスね♪」ぱさ・・「・・どう?」・・ブピュウウウ~ッ!
「こらこら鼻血吹いて昏倒してる時間はないのよ!さっさと慣れて描きなさいってば!」「だ・・だって・・」
「ファースト、荒療治よ!セカンに抱きついて!」「わかった・・」じり・・「こ・・こないで!」どくどく・・
だきっ。「あ!・・」ブシュウウウ~ッ!「たく、いつまで経っても慣れないんだから。しばらくそうやって
なじませとけば。その間にあたしがすっごいコアな絵コンテ仕上げちゃうから。」「まかせて・・」「あうぅぅ・・」
御堂音家。「ヲイル、これは人間の心理を調査する絶好のチャンスです。」「そーいうだろうと思ってました・・
ま、いいでしょ。」がさごそ。「なにタンス探してるんですか?」「・・ふっふっふ。」ぴく。「・・をいる?」
「ンドゥーネさま、これどうです?」ばっ!「・・そのドハデな服は、どっかで見たよーな・・あっ、まさか!」
「あったり~♪日曜の夕方にやってる「カードハンターあやめ」のハンタードレス、メルヘンバージョン!」
「・・それってまさか、私が・・?」タラ・・「コスプレは即売会の華です。いっぺん着せてみたかったのね~♪」
「イヤだと言ったら?」「作戦は中止します。ンドゥーネ様、欲しい本がありましたよね~。」「ぐ・・ヒレツな。」
GGG参謀部。「ねえねえ、やっぱ長官&参謀本じゃない?」「・・それ千鶴さんたちがもう始めてます。」
「志保、他に何かいいネタない?」「そうね~・・ゴル&冠龍神とか。」「誰が買うんですかそんなもの・・」
「ね、あたしにナイスなアイデアがあるんだけど。」「ユリカさん?」「凱&ソルダートさんは?」「それももう
命さんとスワンさんが始めてます。」「あら残念。だったら・・護くんと」『却下。』「お子様ネタはタブーです。」
「・・そーだ!リオン&お蝶本はどう?」「・・いいかも。」「それならいいセンいきそうね。で、攻はやっぱり?」
パリ。「やっぱ燃えるアクションものじゃねえか。」「いーえ、大河ロマンよ。」「えと、経済モノはどうですかー?」
「誰が買うんだそんなもん。」「待って。・・それ意外といけるかも。」『えっ?』「ちよちゃん、こういうのは?」
ひそひそ・・「はい、シナリオ書けますよー。」「決まりね。それを基に私とリオンでうまく描いてみせるわ。」
無国籍料理「サイレンス」。サラサラ・・「はい、3ページ目の絵コンテですますわ。」「はええ~。・・うわっ!
これすっごい!」「どれどれ?・・おひょ~!中学生がこないなモン描いてええんかいな?」「このくらいハードに
書かないと、目が肥えた昨今の読者は買ってくれませんですますわ。」「たしかにな・・はいつばめ、2ページ目の
ペン入れ終わったぜ。」ぱら。「・・わかった、仕上げに入る。」サラサラ・・「1ページ目のトーン貼り済んだで。」
「かもめはこういうのすっごいうまいよな。」「切り絵は小さいころから得意やったしな。」「みんな~、今夜は
なんにするってマスターが。」「汁物以外なら何でもいいぜ。」「サンドイッチみたいに片手で食べられるようなのが
よろしかろうですますわ。」「あ、飲み物はみんなパックな。こぼしたら一大事やしな。」「うん、わかった。」
絵心のないひばりは、マスターと共にメシスタントをしているのである。そして大事な役目がもうひとつ・・
夜明け。ふら・・ぎにゅぅぅぅ~っ!「いてててて!」「ほらほら、眠っちゃダメだよ!締め切りまであと
三日しかないんだから!」「お願い~・・寝かせて~・・」「不寝番を頼んだのはみんなでしょ。ほら、
つばめちゃんなんか顔色も変えずに描き続けてるよ。」カリカリカリ・・「つばめはもともと青白いやんか~。」
「それにすずめちゃんも・・あれ?」サラサラサラ・・「ぐ~・・すぴ~。」「・・寝ながら描いてるよ。」
同時刻、GGG整備部・仮眠室。「おらおら!ヤロウども、ラストスパートやで!」「主任~!」「寝かせて~!」
「四徹くらいで人間死なへん!」『ふつう死にます。』「見い!うちの六徹でも鈍らんペンさばきを!」
シュババババッ!「人間業じゃない・・」「主任が大変だから手伝おうとした自分たちが甘かった・・」
「どーじんは愛や!パトスや!リビドーや!一本の効果線にさえ愛と全霊を込めれば、おのずとキャラは
生きてくるんや!うまいヘタは二の次、大事なのは愛と情熱と根性や!ほれ56ページ目ペン入れ終わり!」
しゅぱっ!『おおっ!』「これは!・・原画だけでもすごい迫力でやんす!」「すげえな~、主任は・・プロの
マンガ家顔負けの画力とスピードだぜ。」「よし!整備部の名にかけて、この入魂の原画にさらに仕上げをかけ、
目標の売り上げ五千部を達成してそれで打ち上げをやろう!」『おおっ!』「それでこそうちの舎弟や!」
「お待たせ。食堂から激辛カレーライスを出前してきたでござる。」『さんきゅ~・・』カリカリカリカリ・・
「がんばってるでござるな・・」「・・もう三徹め。さしものわたしも体力の限界・・」ふら・・ザクッ!
「あいた!」「ユキノ、倒れるのは明後日まで辛抱して・・」「・・わかったよ~。しくしく・・(T_T)」
「Gペンで刺して気付けでござるか・・まさに修羅場でござるな。」「これどんな戦闘よりもハードだよ~。」
「しくしく・・眠いのに寝られないのがこんなにつらいなんて・・」「わらしはあと三日はだいじょぶなのだ。」
「死羽姫はスタミナも野獣なみだからね~・・」「諸君、がんばっているな。」すっ。「・・ドクター?」
「陣中見舞いだ。」カチャ。「アンプル・・まさか?」「特製スタミナドリンク「星十徹くん一号」だ。たとえ
十徹でもへっちゃらだ。」「どれどれ・・」チュー。「効くでござるか?」・・ドッカーン!「おおおおーっ!
きたきたきたあああーっ!」バリバリバリ!「おお!通常の三倍の速度で描いてるでござる!」「私も・・」
チュー・・ボン!「くううう~っ!一発で全細胞が目覚めたみたい!」「さすがドクターでござるな・・」
「死にかけのものにはよく効く。ただし、元気なものが飲むと、ちょっと困ったことになる副作用がある。」
カリカリカリ!「うん!ドクターのスタミナドリンクのおかげで、もうすぐ完成するよ!」「すっごい効き目ね。」
じーっ。「・・「元気な人は服用してはいけません」?どうなるってのよ。」チュー。・・カーッ!「うっ!・・」
「・・どうしたの?」「い、いえ、ちょっとね・・」「はい最後のペン入れ終わったよ!」「・・仕上げに入るわ。」
もじもじ・・「・・セカン、ちょ、ちょっといい?」「なに?」「いいからあたしの部屋に来て!」ぐいっ!
「さ、サード?!」「ファースト、ちょっとだけたのむわ!すぐ戻るから!」「・・わかった。」バタン!
「・・・・」カリカリカリ・・「・・お、お待たせ。」ふーっ、ふーっ。「・・セカンは?」「しばらくお休み。
もうあとは仕上げだけだから問題ないわ。」「そう・・何回?」「・・これだけ。」「・・若いのね。」カリカリ・・
そして入稿日。指定印刷所は「つかもと印刷」。GGG艦攻部広報課の下請けである個人経営の印刷屋さんである。
腕はいいのだが、GGG以外の仕事があまり来なく、カンコ鳥が鳴いている。「にゃああ~。ヒマですぅぅ~。
たまにはいっぱい刷りたいですぅ~。」看板娘の千紗。ネコっぽいが、猫憑きではないので念のため(笑)。
ドドドド・・「・・にゃ?!借金取りの大群ですぅ~!」あたふた。ドカアアアーン!「にゃあっ!・・あれ?」
『印刷たのむ~!』「?・・あ、そーか。今日は「こみG」の締め切り日だったんですぅ。すっかり忘れてました。
いらっしゃいませ~。並んで順番にどうぞ。」ガヤガヤ・・「ノンブルをちゃんと打ってるか、事前に確認して
くださ~い!さもないとページばらけても責任もちかねますぅ!」ドヨッ!『エンピツ貸して!』『ひいふう・・』
「これ印刷可能範囲からはみ出てますけど、いいんですね?」「しまったああ~っ!」『あ~、初心者だな・・』
「オフセット500部ですね。では必ず当日にスペースまでお運びしますぅ。ありがとうございました~。」
カリカリカリ!「最後の追い込みだ!印刷順が来るまでに完成させる!」「そこ、土壇場は迷惑ですよー!」
GGG整備部・仮眠室。現在、討死にした執筆陣でマグロ状態。『ぐお~!すか~!』「・・まだ戻らんか。」
「主任・・」ふらふら・・「もんたか!」「入稿完了です・・」ばたっ。「ぐ~・・す~。」「大役、大儀やった・・」
くらっ・・ばたっ。「くか~・・すぴ~。」ひそひそ。「うわ~、この部屋、男くさ~。」「主任もよくこんなとこで
大イビキかけるよね・・」「しーっ。半日もすれば起きてくるから、それまでにあたしたち整備部レディーズは
おフロとご飯を準備しとくのよ。」『りょーかい。』「主任のコスプレ衣装の製作は?」「ばっちり。仕上げは上々!」
当日、「こみG」会場。ガヤガヤ・・「うわ~!すっごい人数!」「開場まで一時間あるが、数千人はおるな。」
「わたくしたちは出店者ですますから、先に入れますですわ。」「さ、急いで店支度しようぜ。」『おお!』
会場内。ドヤドヤ・・「・・売り子もすごい人数。」「本は届いてるよ。ダンボール開けて並べよ。」がさごそ。
「おっ、ひばりじゃないか。」「あっ、凱おにいちゃん!」「おはよ、ひばりちゃん。」「・・命おねえさん。
おはようございます。」ぺこ。「これがGエンジェルズの本か。うちの本はこれだ。」「いただきます。では
ボクたちの本と交換ということで。」「いただくぜ。どれ・・」パラ・・ぶっ!「こ、これ・・ホントに
お前たちが?!」「どれどれ?・・うわっ!す・・すっごい・・いまどきの中坊ってススんでるのね~。」
「あら、このくらいなら抑えたほうですますわ。」「これでか・・」「うわ~、ひえ~、・・こりゃ負けそ。」
「ムーン、そっちに10部ほど置いて。フレイア見本はこっち。」「お隣さん、ごあいさつします。」「どうも♪」
くるっ。『・・ああーっ!』「な、なんでリオンがここに!」「それはそっちのセリフだユキノ!なんでまた!」
「あら、特戦隊がお隣さんなの?」「おひさしぶりですー。」「お蝶さんにちよちゃんまで?!・・待てよ。
ひょっとして「汽神号」で秘密部隊まとめて?!」「あったり~。他の連中は行列してるぜ。」「あうぅぅ~・・
秘密部隊もお祭り好きだっての、すっかり失念してたわ・・」「こーゆーイベントは見逃さないって。あ、これ
うちの本。」「どうも。・・『マンガ・証券取り引きウラ技大全』?またえらく濃ゆい本ね。」「原作は私ですー。」
「ちなみに価格は一冊五万円よ。」『誰が買うか!』「いえ・・ちよちゃんが書いたんなら、たとえ百万円でも
高くないでしょうね。」「ミヤビ?」「さすがミヤビさんね。一目でこの本の価値を見抜いたわ。」「・・そうか!
金融の天才のちよちゃんが書いたのなら!」「財界スジがさっそく聞きつけて、通販してくれって殺到してるよ。
でも欲しいならここに来て買えって突っぱねたぜ。」「それでか・・行列に不似合いな背広集団がいたのは。」
「で、ユキノたちの本はどんなんだ?」「こんなの。」ぱら・・「・・おおっ!」「うわ~・・これすごいわ。」
「見せてくださいー!」ぴょんぴょん。「ちよちゃんにはまだ刺激が強すぎるって。」「ユキノ・・もう三部くれ。」
「そんなにどうするの?」「鑑賞用・保存用・贈答用だ。」「・・あんた、立派なヲOクだよ・・(-_-::」
『それはただいまより「こみっくG」を開催いたします。危険ですから会場内は走らないでください。』
ワーッ!ドドドドッ!「いらっしゃいませー!」「ひとり十部までですよ!」「はい、全部で50万円です。」
「うわ~・・お隣、飛ぶように売れてくね。」「うちも負けてないって!死羽姫、次のダンボール開けて!
ミヤビとあやぴんは指定した本の買い出し!」「まかせて。一冊たりとも買い逃がしはしないわ。」
「いらっしゃいませー!」「ふむ、これは可愛い本だね、スティンガーくん。」「うん、そうだねコーウェンくん。
内容もなかなかイケてるよ。」「どれどれ・・うむ、良い。三部づつくれたまえ。」「ありがとうございますですわ。」
「今日は収穫だったね、スティンガーくん。」「うん、そうだねコーウェンくん。」「・・どっかで見たよーな?」
「なかなか盛況だな、火麻くん。」「うちで企画して大正解だったな。まあ若干業務に影響が出たけどな。」
「幸いにして神種も賢人会議も静かだったしな・・ほう、この本は。」「いらっしゃいませ~!」「どれ・・
なかなかの画力だぜ。えっちシーンの描写もうまい。こりゃ経験者じゃねえと描けねえぞ。」「作者は誰かな?」
「ぼ、ボクですが・・」「ほう、若いのにいいセンスをしている・・スケブを頼めるかな?」「は、はい!」
サラサラ・・「すげえ・・下描きもなしでよくもまあこんなにきれいに。」「できました。」「うむ!では料金だ。
釣りはいらん。」ぱさっ。「一万円?!多すぎます!」「このスケブ代もコミだ。それだけの価値はある。」
「いいからとっとけよ。GGG長官は高給取りだし。」『GGG長官?!』「ではがんばってくれたまえ。」「じゃな。」
『・・・・』「・・セカン、見直したわよ。」「ボクでもできることがあったんだ・・」「・・これが「こみG」・・」
コスプレスペース。ガヤガヤ・・『おおっ!』「あれは「カードハンターあやめ」!」「イメージぴったり!」
「すいませーん!撮らせてくださーい!」「いいですよ。」パシャパシャ!「こっち向いてー!」「笑ってー!」
「ふふっ。ンドゥーネ様、嫌がってたわりにけっこうノリノリじゃない。」「あのー、すいません!」「はい?」
「その雪人さん、すっごい似合ってます!撮らせてください!」「いいわよ。」パシャパシャ!「いい気分~。」
「どうかね、ブンドル君。」「これは・・思ったよりはるかに美しい。」「そうだろう。着飾った少女たちは実に
エレガントだ・・むっ?!」「どうした?」「あれを見たまえ。」パシャパシャ!「主任!今度はこっち!」
「髪を下ろしてメガネをとった主任は、まるで別人のようね!」「前からそうじゃないかと思ってたけどね~!」
「主任はやっぱりすごい美人だったのな!」「こんなステキな方の下で働けるなんて幸せです~!」パシャパシャ!
「ほうか?もっと撮りいや!(上機嫌)」「ほう・・あれは撮影の価値がある。」つかつか。「失礼だが、撮らせて
いただけないだろうか?」「ええで。・・おっ、なかなかシブいカメラもってまんな。1931年型のライカやないか。」
「これがおわかりになるか。」「使うもんを選ぶ最高級の一眼レフや。そこらのカメコではまず宝の持ち腐れやな。
どれ、あんさんの腕、見せてもらおか。」「無論のこと。」シャシャッ。パシャパシャ!「なかなかの腕やな。
フィルムを惜しまんのもええ心がけや。」「最高の被写体の美しさを最大限に出すのは、何百枚の一枚だけ。」
「ようわかっとるな。あんさん気に入ったで。」「お、その目線は美しい。」パシャパシャ!「マドモアゼル、
これをどうぞ。」すっ。「なんや?・・おおっ!ダイヤモンドのネックレス!」「それを付ければさらに美しさが
引き立つでしょう。」「借りるで。」チャリッ・・キラッ。『おおっ!』「すっごいきれい~!」「ネックレス一つで
こんなにちがうんだ~!」「撮ろう!」パシャパシャ!「・・よし!撮影を終了する。マドモアゼル、感謝する。」
「うちも楽しかったで・・これ返すわ。」「ガラス玉の安物です。ほんのお礼に。」「ほか?・・模造にしてはえろう
よう出来とるな~。」「それでは失礼する。」「また機会があればお会いしましょう。」「ほな、さいなら~。」
「主任、それちょっと見せてもらえます?」「・・そか、あんたは鑑定士の資格持っとったな。ほれ。」チャリ。
じ~っ・・「これ・・ダイヤもオパールもサファイアも正真正銘のホンモノですよ!鑑定額はおよそ五千万円!」
「なにいっ!ホンマか!」「こんなもの持てるのは王族か大富豪くらいのものです。」「・・何モンや、あやつら・・」
「だいぶ売れたね、ルリちゃん。」「あと少しで完売です。」「あ、あの・・」『えっ?』「えっと・・その・・」
もじもじ・・「どうしたの?」「え・・あの・・」「・・本が欲しいんですね。」「あ・・はい・・」「500円です。」
「は、はい。・・あ、あれ?」ごそごそ・・「・・あうぅ~。」「・・ひょっとしてサイフ落としたとか?」・・こく。
「・・はいこれ。」「・・えっ?」「本はホントに欲しい人に読んでもらうのが一番だから。ね?」「・・あ・・
ありがとう・・ございます・・」ぺこ。「蛍ちゃん・・サイフ忘れてたわ。」「あ・・色さん・・」「これは?・・」
「あ、あの、その・・」「ここを手伝ってもらったので、お礼に。」「・・え?」「・・そうですか。ありがとう
ございます・・」ぺこ。「蛍はこのとおり人づきあいが下手なもので・・」「・・それでもいいと思いますよ。」
「え・・」「なぜなら私も人づきあいがヘタだからです・・けど、そんなことで人の価値は決まりません。
大事なのは、自分に正直で素直であること・・私はそうやって生きてきました。」「あ・・(感動してる)」
「・・たしかに。励ましのお言葉、感謝します・・さ。」「う、うん・・」ぺこっ。「・・がんばって。」
「リオン、調子はどう?」「志保か。ぼちぼちってとこだな。」「はい、うちの本。」「どれどれ?・・ぶっ!」
「どんな本?」どきっ!「いや、お蝶は見ないほうが・・」「・・ちょっと見せなさい。」さっ。「あっ!」
ぱら・・「・・・・・・」ズズズズ・・「この気は・・志保、逃げろ!」「え?」「・・志保さん、覚悟はいい?」
カチャ。「お蝶さんがメガネをとったです~・・」「・・なんかヤバげな雰囲気。」「サイコ・バースト!」カッ!
ドガアアアアーン!「なんだ?!」「あっちのほうで大爆発よ!」『会場の皆さんにお知らせします。ただいま
パピヨン・ノワールさんと志保さんが交戦中。危険ですので100m以内に近づかないでください。』
ドカーン!ボカーン!「ふみゅううう~ん!もうカンベンして~!」「今日こそ地獄へ吹き飛ばしてあげるわ!」
こうして「こみG」は続く・・まだまだいろんなエピソードがあるけど、長くなるので今回はここまで。
第二弾はネタが溜まったら、また書きます。
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秘密衛星アバドン。説明するまでもなく国連秘密部隊の統合指令本部である。ここに常駐しているのが第九部隊
「サイバーソウル」の三人娘、素子・キャナル・ナミ。毎回顔を出している三人であるが、意外とその私生活は
知られていない。そこで今回はこの三人娘にスポットを当ててみよう・・2月のある日の情景である。
記録外ミッション64「電脳娘は電子ヒツジの夢を見るか?」(36話あたり)
国際標準時07:00・・ピッ。ウィィィーン・・カタカタカタッ。ぱっ。『みなさん、朝です。起きてください。
お~い、やっほ~。』アバドンの朝は多機能端末の目覚ましメッセージで始まる。(録音協力:ルリちゃん)
「ん・・」むくっ。「ふわぁぁ~・・もう朝時間か。GAGA。」『おはよう素子さん。』「おはよ・・やっぱ
ルリちゃんにおはようメッセージ入れてもらって正解ね。あんたの陰気な声じゃそのまま死にたくなるわ。」
『最近新しい目覚ましボイスを仕入れたが、聞いてみるか?』「そんなのどこで仕入れてくるのよ・・いちおう
聞かせてもらおうかしら。」♪シャンシャンシャン!『♪おっはよーおっはよーぼんじゅーる!』「却下!」
『けっこう気に入ってるのだが。』「やめやめ!脳ミソがメルトダウンするわい!・・顔洗ってこよ。」
個室は1ルーム6畳。ベッドを入れればほぼ満杯であり、バス・トイレ・キッチンは共同である。
共同洗面所。「うーす。」「モーゲン。」「ナマステー。」しゃほしゃほ。すでにキャナルとナミが歯を磨いている。
寝巻きも三者三様で、素子はシャツにパンティのみ、キャナルは豪華なネグリジェ、ナミはダボダボパジャマ。
「今朝の炊事当番はナミだっけ?」「はい。ナンとタンドリーチキンとミルクがゆです。」「シシ・カバブ残ってたら
焼いてくれません?あれはスパイス効いててシャッキリするから。」「ありますよ。冷蔵庫から出しときますね。」
「さてトイレだけど・・」・・『ジャンケンポン!』「勝った~!」「あう~。」「しゃーねえ、男子の使お。」
管制室08:00。『おはよーございます。』「おっ、来たな。」「はい、ビッグワンのお皿です。」「すまねえな。」
アバドンには食堂がないので、管制室でみんな食べているのだ。メインディスプレイではCNNニュース。
「ビッグワンはイスでよく寝れますね。」「野宿に比べりゃ文句ねえ。俺は睡眠時間あまりいらねえし。」
「ヨガの睡眠法で1日1時間でしたね・・」「教えてやろうか?夜更かししても平気だぞ。」『けっこうです。』
「ときに今日はみんな非番だったな。どこへ行く?」「ネオGアイランドへ行こうかと。あそこならうちと同じ
グリニッジ標準時ですし。」「まあ楽しんでこい。昨日の今日だ、オメガも賢人も休みだろうしな。」
食器洗い・洗濯(一層式大型洗濯乾燥機あり)・お化粧など済ませて09:30。「そろそろ行ってきます。」
「何かあったら携帯に入れてくださいね。」「お昼はレンジにありますから。」「待った。ほれ。」ひょい、ばさっ。
「これは?」「こづかいだ、持っていきな。」「?・・うわっ!一万円札の束!」「50万もあればじゅうぶんだろ。
ついでにキャビアを1ダース、フォアグラを5kgのカタマリで買ってきてくれ。キャビアはもちろんベルーガ。」
「わかりました、必ず。」「ほんじゃ、楽しみにしてるよ。」「では。」すっ、ズズズズ・・ぴらぴら、シュン・・
ネオGシティ、無国籍料理「サイレンス」。「さて、今日の仕込みはこんなもんやな。」『コマンダー。』
「ん?・・お、素子はんか。」『出させてもらっていいですか?』「ええで。」ズボズボズボッ、すたすたっ。
「おっ、三人さんとは珍しな。」『おはようございまーす。』「今日はお休みなんです。」「ええとこに来たな。
一番出しのコーヒーおごったる。」「いいんですか?」「今まだ九時半やから、店はどこも開いとらんで。
一杯やって行けばちょうどええやろ。」コポコポ・・『いただきまーす。』ズズズ・・「どや?」「・・これは!」
「・・おいしい!」「こんなおいしいブレンドはじめてです。」「そやろ。わて自慢のスペシャルブレンドや。」
「あとで売ってもらえません?」「ええで。帰りまでに缶に詰めとったるわ。こっちはゼニもらうけどな。」
「たしか素子さんはマスターと古い知り合いでしたね?」「ええ。傭兵時代に何度かやりあったわ。」
「なつかしな~。素子はんの腕は傑出しとったで。はじめて会うたころは敵対勢力やったが、そのうちこっちで
率先して雇うようになったわ。」「シャッセールの仕事は面白かったわ。リオンもあのころは駆け出しでさ、
トラブル起こしては尻ぬぐいさせられたわね。」「・・それって今でも変わらないと思いますけど。(^^;;」
「今はだいぶ人間が丸くなったわよね、コマンダー。」「そやな。あれはお蝶のおかげや。絶妙のツッコミで
リオンをみごとにサポートしとる。」「なんのかんのいっても、あの二人は最高のコンビね。」『たしかに・・』
同時刻・パリ。「ぶえっくしょーん!・・カゼひいたかな?」「・・り~お~ん~!(ツバかかった)」
「あ・・お蝶、いたの?」すぱああーん!(スリッパ)「顔の前でクシャミするんじゃないわよ!」ふきふき。
「はー、お二人とも朝から元気ですねー。」カタカタ。「ロンドン市場も開場から元気に上がってますー。」
Gシティ繁華街。「さて、まずはどこへ行こうか?」「ファッションセンターは荷物が増えるので後回しですね。」
「『Gの湯』に行きましょうよ。」「なにそれ?銭湯?」「新しくできた温泉リゾートセンターです。いろんな
温泉やサウナ、それにエステ施設があるんですよ。」「温泉か・・いいかもしれませんね。」「そこにしましょ。」
「Gの湯」。カコーン・・ザザァァ・・『うわ~。』「おっきい・・平日だから空いてるし。」「種類もすごいですね。
薬効成分の異なる七色の湯に電気風呂に砂風呂。ドロ湯までありますよ。」「いちおう全部ためしてみましょう。」
「・・あれ?素子たちじゃん。」「えっ?・・綾香!」「妙なところで出くわしたわね。」「なぜここに?」
「たまに入りに来てるの。ギアナじゃ水浴びだけだからね。」「じゃあ葵ちゃんとセバスチャンさんも?」
「セバスは男湯、葵はどっかの湯を回ってるわ。」「じゃあまずここから入っていこうか。」ザバーッ・・
「ふう・・疲れが抜けてくよう。」「サイバーソウルはいちばん忙しい部隊だものね。クソオヤジの世話なんて
タイヘンじゃない?」「まあそうですね。けっこうストイックな面もあって、気をつかいます。」「管制室で
寝るのだけはカンベンしてほしいですね。本人は問題ないとはおっしゃられますが。」「オヤジは昔からああよ。
いえ・・あのときからかな。」『・・・・』「母さんが殺されてから、オヤジはベッドで寝なくなったわ。
わざと厳しい環境に自分を置いて自分を鍛え、かつ決して忘れないようにしてるの・・臥薪嘗胆てやつね。」
「そう・・綾香、気づいてる?あなたお父様にそっくりよ。」「どこがよ。」「小さいころから激しい修行をし、
今でもギアナ高地に身を置いて日々精進してる・・そう、芹香さまもそういう意味では。」「・・そうかもね。」
ぱちゃぱちゃ。「綾香さん、まだこちらでしたか?」「あ、葵ちゃん。」「サイバーソウルの皆さんですか?」
「また電気風呂に入ってきたの?」「はい。特別にお願いして電圧を一万ボルトに上げてもらいました。おかげで
筋肉のコリがすっかりとれました。」「・・その前に感電死すると思うけど。」「良い子はマネしないでね♪」
ファッションセンター「ラフォーレG」。「あ、これいいな~。」「試着できます?」「おっ、国防色のブラウス。」
「あれ?・・凱、あの三人どこかで見たわね?」「ん?・・そういえば。」「・・あら、凱さんと命さん?」
「ああ!第九の三人!」「ふだんのユニフォームじゃないんでわからなかったな。」「凱さんたちも非番ですか。」
「神種戦の次の日はね。」「俺は善光寺だがな。」「ふふっ、ひっぱられてきたんですね。」「素子さん、
善光寺って?」「日本のことわざよ。「牛に引かれて善光寺参り」ってね。」「そういえば日系でしたね。」
「来週はバレンタインデーでしょ。それでチョコの買出しに来たの。」『あ・・』「もう2月になってたんだ・・」
「すっかり忘れてました。」「アバドンじゃ月日感覚がマヒしがちだからね・・でもいいこと聞いたわ。
せっかくだから、私たちもチョコを買わなきゃ。」「なぜです?(西欧人)」「バレンタインとチョコと、どういう
関係がありましたっけ?(インド人)」『え?・・(日系人)』「・・ああ、日本だけの習慣なのか。」「宗旨を問わず
なんでもお祭りにしちゃうのは日本人の美点なんだか欠点なんだか・・」「クリスマスもそうだしね。」
「かくかくしかじかよ。」「へえ~、チョコを送って告白する行事なんですか。」「そういう習慣があったんですね。」
「そういえば「サイレンス」でカスタムチョコの注文を受けつけてるって聞いたけど。」『カスタムチョコ?』
「お客さんの注文どおりに成型するそうだ。」「マスターも多芸ですね。」「あとで聞いてみましょう。」
「素子さん、いま思いついたんですけど、私たちの能力を使えば・・」ひそひそ・・『・・なるほど!』
「キャナル、それはナイスよ。」「せっかくの力だから、使わないと損ですね。」「・・なんの話だ?」
「つまりね・・」『・・ああ!』「その手があったか~!」「じゃあさっそく手配しましょう。私はスイス、
キャナルとナミはベルギーに飛んで。」『ラジャー!』「やるな、あの三人。」「不幸を見事に力に変えてるわね。」
そして次の週。『ビッグワン。』「ん?」「どうぞ。」「なんだ?・・ああ、今日は。」「そう、バレンタインデー。」
「義理とはいえ嬉しいもんだな~。どれどれ。」がさがさ・・「・・おお!こりゃデュローヌのか!」
「さすがビッグワン、知ってましたね。」「基本さ。生半可だとゴディバどまりだが、これを知ってるのは
そうとうの通だぜ。」「キャナルさんが知ってたんです。」「となりの国ですから知ってて当然ですよ。」
「ときに本命は持ってったのか?」「もちろん。存分に活用させてもらいました。」「活用・・なんのこっちゃ?」
日本・伊賀の里。「・・おや?」「どうした刹羅。」「父上、チョコがあります。」「里のくノ一たちじゃないのか。
山のようにもらっておろうが。」「いえ、この部屋には誰も入れないはずです。」「・・そうか、罠があるのう。」
「この部屋に入れる技量があるのは志保くらいのものだが・・」「ついておるカードを見れば一目瞭然では?」
「そうですね・・ああ、なるほど。」ふっ。「どれ・・『サイバーソウル一同』か。」「テレビがありましたね。」
「でかい包みじゃの。チョコにしては大きすぎるか。」「開けてみましょう。」ガサガサ・・『・・おお~。』
「ガオガイガー型とは恐れ入りました。」「ゴルディオンハンマーまでよく出来ておるのう。食べるのが惜しい。」
「ん?書き付けがありますね・・『素材:ゴディバ 造型:「サイレンス」のマスター』」「コマンダーか!」
「あの方はいろんな技能を持ってるんですね・・」「スクラッチモデラーとまでは知らなんだが・・」