IS 一夏がいない   作:稲穂焼き

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裏十話

 予想外の来客……女装姿の織斑一夏を真っ正面から見てしてしまい、簪は思考が止まった。

 

「あなたが更識簪さん?」

 

「……はい」

 簪は恐る恐る頷く。

 

「私は織斑一夏。少々お邪魔してもよろしくて?」

 IS学園の女子用制服を着用して、ロングヘアーのウィッグをつけた織斑千冬風の織斑一夏。かわいい。

 

「……は、はい……」

 一夏の言葉に簪は何とか返事をして、部屋に上げる。

 

「あ゛ー……」

 部屋の中央でおっさん声を出しながら伸びをしている一夏。よくわからんけどもう少し我慢しろよ。

 

「……あ、あの……」

 簪は伸びをしている一夏を見ながら、おずおずと呼び掛ける。

 

「突然でごめん」

 背中姿を見せていた一夏は、こちらに振り返ってから謝罪。

 

「簪さんに聞きたい事があるんだ」

 目つきや言葉が真剣ではあるが、格好だけで全てが台無しだ。いや、似合ってはいるんだけどね。

 

「な、何……?」

 

「この学園に白雪夕って人がいるのを知ってるか?」

 俺の事じゃないか。

 

「先日、白雪夕という人物のISが、この学園のアリーナ辺りで反応があった。そこで、ISを同時に起動していた者がいて、その人が簪さんだったと特定」

 簪が何かを答える前に、一夏は説明を始める。

 

「で、人気が少ない平日のこの時間を狙って、前からやってみたかった千冬姉の姿を真似て、簪さんの元を尋ねて聞きたかったって訳だ」

 

「………………」

 一夏の言葉に簪は無言で俺を見つめて、判断を委ねてきた。

 俺は簪を見つめ返して頷く。一夏に俺の事を隠しても無理に聞き出さず、きっとすぐに帰るだろう。だが、存在を確認出来てしまったのなら、秘密にするメリットはあまり無い。あるとすれば、簪と俺の秘密が他人にバレて、特別な日々が終わりを告げる事ぐらいか。終わりと言っても、さよならする訳じゃないけど。

 

「い、いる……」

 

「やっぱり! 束さんは間違って無かったんだな!」

 一夏は大きくガッツポーズ。

 

「それでどこにいるんだっ!?」

 首を左右に振って、一夏が部屋を見回して俺を探す。

 

「……こ、ここに……」

 簪は俺に人差し指を向ける。

 

「あー……やっぱり見えないのか……。悪いな夕。気付かなくってさ」

 俺は一夏に会えただけで嬉しい。だって俺達……家族だもんげ!

 

(悪い簪。俺の言葉を伝えてくれ)

 

「……うん」

 

「ん?」

 簪が首を縦に振った事に、一夏は気付いた。

 

(初日の袋は悪かった)

 

「しょ……初日の、袋は悪かった」

 

「お……うおーっ! やっぱりあれは夕の仕業だったのかっ!」

 

(自分がどんな状態なのか試したんだ)

 

「自分が……どんな状態なのか、試したんだ」

 

「幽霊みたいな体だもんな! 気になるのもわかるぞ!」

 腕を組んでうんうんと、一夏は頷く。

 俺は一夏に近付いて肩に手を乗せる。

 

「うおっ!? こ、これが……数多のGN灰皿が飛び交った戦場……」

 

「あの……」

 

「あ、ごめん。嬉しくてテンション上がってた。何だった?」

 簪の声に一夏は正気に戻った。

 

「あなたが、織斑一夏……?」

 

「おう。女装してるけど、夕と同じ世界の織斑一夏だ」

 

「こ、ここの……織斑一夏と、全然違う……」

 

「へぇ……こっちの俺ってどんな感じだ?」

 話が長くなりそうなので、俺は一夏を床にあるクッションに正座で座らせ、簪はベッドに座らせた。

 

「サンキュー、夕」

「あ、ありがとう」

 

(どういたしまして)

 俺は簪の隣に座って、一夏と向かい合う。

 

「もう一度聞くけど、どんな感じだ?」

 

「何か……柳に風……?」

 俺も簪の言葉に同意する。あれは暖簾に腕押しタイプ。

 

「つまり受けか」

 違うから。

 一夏はウィッグを装着したまま、手で頭を強く撫でる。

 

「…………そうだ! ごめんっ! 簪さんっ!」

 何かを唐突に思い出した一夏が、簪に向かって土下座した。

 

「え……?」

 

「だってっ! 簪さんの打鉄弐式が倉持技研で開発されていた時に、突然俺が現れてっ!」

 土下座しながら勢いよく言葉を繋いでいく。

 

「打鉄弐式を開発していた人員が、白式が持っていったからっ!」

 なるほど……これ一夏は悪くない。が、タイミングが悪かったな。こりゃ簪が恨んでも仕方無い。

 

「だからっ! 世界が違おうとごめんなさいっ!」

 

「べ、別に……もう、いいから」

 

(許してくださいってかァ? 許してやるよォ!)

 

「誰かが……悪い、訳じゃない」

 そうだな、間が悪かったんだ。あ、向こうの簪は俺の親の会社に依頼すればよかったんじゃ? 束さんいなくても、何かしら出来たんじゃないかな? プライドが許さん?

 

「許して……くれるか……?」

 顔だけを上げた一夏は、簪に視線を向ける。

 

「ゆ、許す……」

 

「ありがとうっ!」

 一夏が簪に飛びかかって抱きしめそうなので、俺は一夏の肩を掴んで止めた。簪に触るんじゃねぇ! やるなら俺にしろォ! 羨ましいっ!

 

「あ、悪い。つい」

 

(正確に言えば、ここの一夏じゃないが、本気の謝罪だと理解出来ただろう?)

 俺は簪に首を向けて伝える。

 

(握手でもしておけ。それで終了だ)

 

「あ、握手……」

 

「……握手?」

 簪の発言に一夏は疑問に思ったらしい。

 

「あ、ああ……握手……はい」

 一夏は簪に手を差し出す。

 

「……これで、終わり」

 伸ばされた手を簪は握った。

 

(これで手打ちだ)

 簪と一夏は手を離した。ま、これで一夏の気持ちは一時的にだが、少しは楽になっただろう。向こうの簪にも頭を下げないとダメだけどな。

 

「さて、夕の事は確認したし……そろそろ……そういえば、夕って計画の事は知ってるのか?」

 

(存在は知っていたが、内容までは知らん)

 

「存在は知っていた、けど……内容までは、知らないって……」

 

「そっか。じゃあ、夕が見える簪さんにも中身を教えるよ」

 

「……うん」

 簪はベッドに座ったままで、一夏はクッションに座り直し、俺も簪の隣に腰掛けた。

 

「クラスリーグマッチ当日の、この世界の俺と鈴の試合中にある事が起きる」

 俺もそれは把握済み。

 

「それは無人機のISが乱入してくるらしい」

 

「む、無人機……?」

 

「そう、無人機。その無人機を俺が上空で足止めをする。一機だけなら俺でも相手に出来るが、何体か同時に送られてくるみたいだから、アリーナの遮断シールドは絶対に破られる。そこで夕と簪には観客席の皆を守ってほしい」

 なるほど。一夏はアリーナに突入する前に無人機を相手をするが、二体以上なら一体は確実に突破されてしまう。だから、俺達にと。

 

「アリーナにいる俺と鈴は勝手に動くだろう。セシリアもか? 後は織斑先生には既に伝えてあるし、可能なら楯無さんにも伝えた……あー……ごめん。簪さんは楯無さんの事苦手なんだっけ?」

 

「仲直り、したから……お姉ちゃんに、伝えておく」

 

「何度もごめん。そしてありがとう。頼む」

 一夏はもう一度頭を下げた。楯無さんの件は必要な事だから、一夏に非はない。俺も知らない内に、地雷を踏んづけたし。俺の場合は違うか。

 

「う、うん」

(はい)

 

「じゃあ、楯無さんには簪さんから伝えてもらう事にして。うーん……今の所はこんな感じか」

 俺は気付いた。

 

(現在の一夏って織斑先生に似てるよな?)

 

「え? う、うん」

 簪の頷き方からして一夏の格好が似合ってないのか、それとも織斑先生自体をあまり見掛けないのか、どちらなんだろうか?

 

(一夏の姿を目撃した人がいるか聞いてくれ)

 

「あ、あの……」

 

「一夏でいいぞ」

 

「じゃ、じゃあ……私も簪で……」

 前の簪なら自主的に名前を呼んでほしいとは、言わなかっただろうな。成長速度早すぎィ!

 

「そ、それで、一夏の格好は、誰かに……見られた?」

 

「目撃者がいても、バレないよう二重にガードしてきた」

 

「それって……?」

 

「この格好なら織斑一夏と絶対にバレない。そして織斑千冬が制服を着ている。これが二重の策だ」

 一夏は自信満々なのか胸を張っている。おい、パッド入れろよ。べったんこじゃないか。

 

「それ……織斑先生がコスプレ……してる風に、見える」

 

「織斑先生も、たまには制服を着てみたいんだろ。着させてやれよ」

 風評被害じゃないかっ!

 

「い、いいの?」

 

「小を切り捨て大を救う。いい言葉じゃないか」

 言葉の使い所が絶対に間違っている。

 

「さて、帰るか。何か聞きたい事は?」

 一夏は立ち上がってから、スカートを少し広げる。かなり楽しんでるなぁ。

 

(俺は無い)

 

「わ、私も……」

 

「そうか。じゃ、帰るな。またあ……おっと、また忘れる所だった」

 背中を向けて部屋の扉に向かう前に、一夏がこちらを振り返った。

 

「簪。このデータを使ってくれ」

 一夏はISの待機形態に触れて、何かのデータを表示させる。字が細かくて見えんぞ。近視かな?

 

「色々な機体の情報が詰まってるから、打鉄弐式の参考にしてくれると嬉しい」

 

「え……」

 

「クラスリーグマッチが近付いてるからな。俺が知らせちゃったんだが、当日に何も出来なかったら悔しいし、きっと後悔するだろ?」

 ただ黙って見ているのは辛い。力があっても、完全じゃなかったら足を引っ張る。二重に辛い。

 

「だから参考にしてほしいんだ。俺のお詫びも含めてだけど」

 束さんから貰ったんだろう。

 

(受け取っておけ。じゃないと、一夏が帰れない)

 

「わ、わかった」

 簪は返事をしてから、一夏のデータを受け取った。

 

「ありがとう! またな! 簪に夕!」

 手を振りながら一夏は部屋を出ていった。

 

「帰っちゃったな」

 

「うん」

 

「俺の親友はどうだった? いや、家族だな」

 家族か。何もかも懐かしい響き。俺は末っ子だな。

 

「夕みたいに、明るかった」

 

「いやぁ、照れますなぁ」

 褒められちゃったー! ん? 褒められた……のか?

 俺と簪が会話していると、扉が開いて一夏が戻ってきた。

 

「悪い。廊下に野次馬が多くて通れない。俺が何かした訳じゃないぞ?」

 

「何が、あったの?」

 

「どうやら子犬が迷い込んだらしい」

 俺達が小学生と中学生の頃、犬や猫がグラウンドに入ってくると、授業が少しの間だけ中断される事があった。珍しいし何故か凄く可愛いから、思わず皆が釘付けになってしまう。廊下に入ってくる事も確かあったな。

 

「落ち着くまで、部屋にいてもいい」

 

「ありがとう、助かる。お邪魔します」

 一夏は再びクッションの上に正座で座った。

 

「今住んでる、場所は?」

 簪が自主的に質問をした。実に素晴らしい。

 

「研究所」

 

「研究所?」

 

「とある小さな場所でな。一種の秘密基地みたいなもんだ」

 

「秘密基地……」

 

「興味でもあるのか? だったら、計画が終わったら連れてくよ」

 

「うん、お願い」

 大好きな二人が目の前で会話する光景に、俺は猛烈に感動している。ここがヘブンか。

 

「簪は他に聞きたい事あるか?」

 

「向こうの、お姉ちゃんは?」

 

「楯無さんか。空いてる時間は夕にべったりしてるぞ。簪の事も心配していたな。あ、簪はヒーローアニメが好きなんだっけ?」

 

「うん。好き」

 

「俺も好きだよ」

 話の流れを知らずに、言葉だけを聞くと告白になってんじゃん。許せる。あ、箒いるから許せん。

 

(この世界にガンダムはありませんでした)

 

「こ、この世界にガンダム……? は、ありません、でした」

 

「なん……だと……? ……え? それ本当か?」

 最初は冗談で反応していた一夏だが、段々と真面目になっていった。

 

(レンタルショップ、ゲーセン、ネットで見つからなかった)

 

「レンタルショップ、ゲーセン、ネットで、見つから……なかった」

 

「ウッソ……マジかー……この世界は住みにくいなぁ。簪さんに見てほしかったのに……」

 一夏が四肢を床につけてへこんでいる。俺も好きなジャンルが少なくて悲しい。

 

「面白い、の?」

 

「面白いぞ。戦争物だけど、ストーリーを見なくても、戦闘シーンで満足出来る」

 体勢を戻した一夏は、簪と向き合う。

 

「ちょっと、気になる」

 

「うーん……俺達二人のISでも見れば、ちょっとは掴めるかも?」

 そういえばそうでしたね。

 

「夕のISは黒かった。一夏のISは白式……じゃないの?」

 

「俺のは元白式」

 

「……元?」

 

「そう。色はそのままで白式の外装を変更して、夕の機体と同型の機体にしたんだ。今はユニコーンって呼ぶんだけどな? これがまたかっこいいんだ!」

 一夏のスイッチが入った。多分、俺より誰かと話す機会が無かったんだろう。束さんも忙しいだろうから毎回話せないし、容姿も相俟って迂闊に外も歩けない。俺より辛いじゃねぇかっ! ごめん、一夏……泣き言吐いちゃって。

 

「ユニコーン……」

 

「手足や肩に体辺りの装甲がスライドしてから、露出した部分が発光するんだ! ユニコーンは赤で、夕のバンシィは金色! この両機体が交差して飛ぶ姿は綺麗だぞ! 一緒に飛んだ事無いけど」

 一夏は身を乗り出して、簪に熱意を伝えようと息巻いている。超熱が入ってるな。確かに興奮してきちゃう。

 

「……だったら、登場シーンは変更した方がいいか……? アリーナ外での戦闘は、周囲に被害が及ぶかも知れないし……」

 上空で戦って周りの建造物や避難中の生徒を巻き込むぐらいなら、アリーナの方が被害は最小限に抑えられ、安全且つ注目を集められる。アリーナの外にも無人機が出現しなければ。

 

「……観客席から二人同時にビームマグナムを置き撃ち……遮断シールドをぶち破った場所からビームマグナムを打ち下ろして、アリーナで舞い降りる剣……そこから無人機に突っ込んで、ここから出ていけぇーっ!」

 こいつ体勢を戻しながらどこかを見つめだして、俺と簪がいる中でどんどん前に突っ走り始めた。おう、思う存分ぶちまけろや。

 

「どの登場も捨てがたい……」

 そもそもだけど、一夏が最初に話した部分は束さんの案じゃないのか? まさか全部一夏? なら、穴があるのも納得。遮断シールドに穴が空くだけに。ファー!

 

「臨機応変に……束さんに相談してみよう。うん」

 結局、束さんと話し合わないと意味が無いもんな。独断は危険。いや、俺達がやろうとしている事も危険なんだけどさ。遊びでやってんじゃないんだよっ! フラッシュエッジが返ってきた。

 

「あ、コードネームはバナージとリディで」

 一夏は俺がいる方に視線をくれた。そうまでしてガンダムになりたいか。

 隣にいる簪を一瞥すると、困惑した表情が浮かんでいた。これは一夏の全力疾走についていけてない。自慢じゃないけど、俺なら併走可能だ。

 

(わかった)

 

「夕が……わかったって」

 

「そうか! やっぱり理解してくれると思った! ありがとう、夕!」

 俺がその道に引きずり込んだんだ。寧ろ俺が礼を言う事だろうに。

 

(どういたしまして)

 

「どう、いたしまして」

 

「おう!」

 今までの会話で少しは時間を潰せたか?

 一夏が携帯で時計を確認。

 

「あれから時間が少し経ったな。ちょっと様子を伺ってみる」

 クッションから立ち上がった一夏が、扉に向かおうとする。

 

(止めて。俺が見てくる)

 

「夕が、代わりに行くって」

 

「あ、そうだな。簪の部屋から織斑先生が出てきたらおかしいもんな。出会っちまったら、ここの織斑一夏には犠牲になってもらうけど」

 お前とことん迷惑掛ける気だな。

 

(じゃ、行ってくる)

 簪にそう言い残して俺は廊下へ。

 最初に左右を確認するが、ここら辺に生徒は見当たらない。まぁ、時間的に遅めだから普通だ。

 俺は走って廊下の曲がり角を曲がった。すると、近くに人だかりを発見。廊下の壁際を通れないほど、生徒達が塞いでいる。なるほど、この道が最短ルートだから通行止めになるとキツいな。織斑一夏が二人いるとバレはしないが、何かしらの疑惑が発生する。それは可能な限り避けたいので、遠回りになる他のルートでの移動も厳しい。別の伝え方は無かったのだろうか? 女装姿をお披露目したいだけ?

 

 

 俺は部屋に戻り簪の隣に座ってからダメだと、一夏に言ってもらった。

 

「んー……どうするかな……これ以上遅くなると、補導される可能性が高くなる……」

 一夏は腕を組んで、ちらちらと簪の方を見やる。

 

「あー……これじゃ帰れないなぁ……バレたく無いなぁ……捕まりたく無いなぁ……」

 お前……泊まりたいなら、ダメ元で素直に言えよ。お願いし辛いのは理解出来るが。

 

(簪。一夏を泊めてやってほしい)

 

「えっ……?」

 

(簪だって、一夏の存在を当日まで知られてほしくないだろ? そして一生に一度のシチュだぞ?)

 こうなったら説得するしかない。

 

(皆が驚愕する所を見たいと思わない?)

 

「……ちょっとだけ」

 

(一夏は大丈夫だ。俺がいるし彼女持ち)

 に、なる予定。

 

(これも二度無いお泊まり会だと思ってさ)

 

「………………わかった。一夏を、泊める」

 

「本当かっ!?」

 こちらから切り出す事を期待してたくせに。

 

「今日一日、よろしく頼むっ!」

 一夏が簪に接近して握手を求めた。

 

「う、うん……」

 勢いよく差し出された手を、戸惑いながらも簪は握った。

 

「いやぁ、楽しみだなぁ! この世界に来て初めての外泊だっ!」

 簪から離れた一夏はコロンビアのポーズ。目の前にいる一夏は、俺と簪が初めて出会った時と同等の喜び方だ。かわいい。

 

「簪! まだ寝る時間じゃなければ、アニメを紹介してくれ!」

 

「……まだ大丈夫、だから……一緒に見よう」

 

(よかったな! これで簪のアニメ仲間が増えたぞ!)

 

「うん!」

 簪は微笑みながら一夏の言葉に深く頷いた。

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