IS 一夏がいない   作:稲穂焼き

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裏十五話

 ピットに戻ったバナージ達は、織斑先生の元で横一列に整列している。楯無さんと簪も一緒だ。何故ここにISスーツ姿の楯無さんが? いちゃダメとかじゃない。

 

「問おう。お前は何者だ?」

 織斑先生は目つきを鋭くして、制服姿のバナージに顔を向ける。

 

「IS学園在籍、一年一組所属、織斑一夏。ここではバナージ・リンクスと名乗ってます」

 力強く睨んでくる織斑先生に、バナージは堂々と見つめ返す。

 

「私の弟はそこに立っている」

 

「千冬姉は俺の目の前にいません。この場にいるのは、俺の知らない織斑先生、一夏、箒、鈴、セシリア、山田先生、そしてどこかにいる束さん。俺は皆を知りませんし、皆は俺を知りません」

 

「わかるように話せ」

 

「近くて遠い世界から来ました。つまり別世界、平行世界です」

 

「………………は?」

 先ほどまでバナージに対して鋭く睨んでいた織斑先生が、目を丸くする。

 

「別世界か平行世界です」

 意味深めいた発言で遊んでいる風に見えるバナージだが、情報は小出しでも間違った内容ではない。そして割りと真面目だ。

 

「クローンや双子じゃありません。この世界に、二人目の男性操縦者はいませんよね?」

 

「……そんな情報はどこからも入ってきてない」

 

「俺の世界には、IS学園で共に過ごす親友がいます。二組ですが。後は最近、三人目の男性操縦者が現れました。そしてラウラ・ボーデヴィッヒも転入してきました。ラウラの事、知ってますよね?」

 切り札を叩きつけて、混乱させていくスタイル。

 

「……ラウラ・ボーデヴィッヒだと?」

 

「はい。ドイツの代表候補生です。確か軍人とも言ってました。ISはシュヴァルツェア・レーゲン」

 

「これは……」

 織斑先生が腕を組み、目を閉じてながら眉間に皺を寄せている。一夏なら知らないであろう情報を、俺は知っているぞアピール。これで信憑性が増す……というより、信じるしか道はない。

 

「……わかった。お前の言葉を信じよう」

 目を見開いて溜め息を吐いた織斑先生は、バナージの言葉を信用すると結論を口にした。

 

「ありがとうございます。それで俺をどうします? 個人的には休みたいので、帰りたいんですが」

 今日はいつもより疲れたもんな。俺も心が疲れた。

 

「お前に帰る場所はあるのか? 皮肉ではなく、純粋な疑問だ」

 

「ありますよ。そこで寝泊まりしてます」

 何か、公園にテントを張っている絵が頭に浮かんだ。すまん。

 

「俺の知る束さんもいます」

 

「姉さんが!?」

 箒が一歩前に出てバナージを見る。案の定というか、何となく反応する気がしていた。

 

「篠ノ之さんのお姉さんはいないぞ?」

 

「一夏の姿で名字にさんを付けられると、凄く他人行儀に聞こえて複雑なんだが」

 

「じゃあ、箒さん」

 

「……いや、呼び捨てで構わない」

 

「箒ちゃん」

 

「おちょくってんのか貴様!?」

 バナージは箒で遊んでいる。向こうの箒なら、逆にバナージを弄る方なので、新鮮に感じてしまう。

 

「区別しないと紛らわしいだろ? ちなみに俺を呼ぶ時はバナージな」

 バナージ君楽しそう。

 

「……バナージ。せめて、名前でさん呼びだ」

 

「箒さん」

 

「ま、まぁ、許す」

 

「ありがたき幸せ」

 どこに幸福があったのか、俺にはわからないんだが。

 

「……お前が一緒にいる束は、どことなく素行が悪そうな服装をしている奴か?」

 箒とバナージの会話が終わり、織斑先生がバナージに尋ねた。

 

「その人です」

 織斑先生からも束さんの格好は不良少女に見えたらしい。似合いますよね?

 

「……頭痛がしてきた」

 こめかみを押さえ始めた織斑先生。

 

「……もしかして、さっきの黒いISに乗っていた奴がバナージの親友か?」

 今まで黙ってバナージの隣にいた一夏が、ここにきて発言した。

 

「おう、家族だ」

 

「……親友じゃなくてか?」

 

「親友でもあるが、もう皆の家族でもあるな。俺が兄貴。ハルトオオオオオオオオオオオ!!」

 バナージのシャウトに一夏とその他の人達が引いてる。

 

(突然叫びだす兄さんは嫌いだ)

 俺の隣を何となく見ると簪が頷いている。あぁ、前に楯無さんとの昼食の時、簪に吹き込んだあれの事か。

 

「今のアホみたいな叫びではっきり理解した。お前は私の弟じゃない」

 織斑先生はバナージをしっかりと別人認定。でも何気なくディスるのはやめよう。千冬さんがおこ……きっと笑うか。

 

「最初から言ってます」

 言ってるけど、やっぱり信じがたい事だからしょうがない。

 

「ちょっとだけ話を変えて、そのリディさんが乗る黒いISをバンシィって言うんだがな? 飛行する姿が綺麗でかっこよかったから、俺も真似してISの外装を白式からユニコーンに大幅リフォーム」

 不意打ちでリディさん呼びするんじゃない。ハルトかリディか皆が混乱するだろ。

 

「ユニコーン……?」

 

「そう。ユニコーン。赤や緑で綺麗だったろ?」

 

「お話中大変申し訳ないのですが、着替えと休憩を挟んで場所を移しませんか?」

 今まで黙って耳を傾けていた楯無さんが、会話を中断させる。確かに落ち着かないと思う。

 

「……そうだな。腰を据えてじっくり話を聞こうじゃないか。バナージの話には私も興味がある」

 織斑先生がまとめた。気になっちゃいます?

 

「では、三十分だけ時間をやる。一時解散だ」

 

『はい!』

 バナージと箒以外が返事をして、ぞろぞろとピットを出ていく。楽しくなって参りました。面倒事押し付けてごめんよ、バナージ。後、織斑先生達は授業どうしたの? 休みになったの?

 

 

 

 

 三十分の時間を皆に与え、ピットから応接間に場所を変えた織斑先生率いる生徒達。山田先生も引き続きいる。やっぱり気になるよね。

 ソファーは黒くて革張りで高級感溢れていて、壁は焦げ茶の木目調。小中高の校長室を想起させる部屋だ。しかも、今まで見てきた校長室より、部屋が結構大きくてソファーが沢山置いてある。各国のお偉いさんが来訪するもんな。部屋が小さかったら困るだろう。

 

「さて、色々と話を聞かせてくれ」

 バナージが上座のソファーに腰掛け、その他が下座のソファーに座っている。俺は簪から離れてバナージの隣。

 

「どの話ですか?」

 

「差異が知りたい」

 

「違い……育ち方とかですか?」

 

「そうだ。どのように育てばバナージになるのか」

 

「リディさんがいるかいないかの差だと思いますよ。この世界にリディさん存在してませんから」

 

「先ほども口にしていたな。リディなのかハルトなのか知らんが」

 

「リディでいいですよ」

 リディでいいですとか、何かおかしい。でも、今更本名教えるのも何故か違う気がする。

 

「まずは……リディさんはとある大企業に勤める社長の息子。つまり坊ちゃん」

 バナージの言葉に簪が驚愕した表情で俺を見た。そういえば言ってなかったっけ? 俺金持ちなの。

 

「今では大きい会社ですけど、俺とリディさんが出会った頃はまだ駆け出しだったみたいです」

 

「実は別世界の私は、そのお金持ちの子に惚れているの」

 楯無さんが唐突に爆弾を投げ込んできた。

 下座に座る楯無さんに、皆が顔を向ける。

 

「だから仕事関係なのね?」

 

「そうです」

 

「犬で金持ち。いいステータスしてるじゃない」

 ステータスとか言わないで下さい。楯無さんに全て嘘です発言されたら人間不信になっちゃう。今までの私は全部演技よ! それでも俺は、一緒に過ごした思い出は本物だと思っている! とか言い合うの?

 

「品定めしないで下さい」

 

「リディ少尉、相当優良物件よ? 流石私」

 何か自画自賛に聞こえてしまう。

 

「……更識は惚れてるのか?」

 織斑先生はバナージに問う。

 他の面々を見ると、楯無さん、簪、織斑先生、バナージ、一夏以外はちょっと顔を赤らめている。恋話は慣れていないのかな。もしかして、何かを想像してる? やだ、不衛生。

 

「俺達の世界の楯無さんが、ですね」

 

「……他に惚れてる奴は?」

 恋愛関連の話は織斑先生も興味あるのか。目の前の織斑先生は百合とかではなく、男は眼中に無い感じがするのに。

 

「一人いますけど、彼女の名を言えません」

 

「気にはなるが、詮索しないでおこう。デリケートな問題になるからな」

 

「助かります」

 きっと名を告げてはいけない。本人が目の前にいるんだから、絶対言っちゃダメだ。楯無さんの場合は別に構わないだろう。ダメージが少ないというより、既に教えちゃったんだから。

 

「バナージの世界の私はどんな感じだ?」

 

「俺には厳しいですけど、他の生徒達に対しては柔らかい表情をしています」

 

「……………………」

 織斑先生は目を閉じて黙った。

 

「…………ダメだ。鏡に映る私が、常に頬を緩める絵は想像しがたい」

 同じ顔でも全くの別人だからね。

 

「他の人達の事を先に教えておくけど、この世界の箒さんと鈴さんと、多分性格が違う。セシリアさんの昔もあまり知らないから、その部分は何も言えない」

 

「……私はどう違うのだ?」

 会話を黙って耳にしていた箒が尋ねた。

 

「例えば……クラス代表を決める時に、セシリアが啖呵切ったんだけど、その時に箒は笑ってた。俺とセシリアが試合を行って、俺が負けた時も大笑いしてた」

 セシリアさんが少し体を震わせた。もしかして、セシリアさんも同じような発言を?

 

「……そ、そうか……」

 箒は複雑そうな表情をしている。人の敗北を嘲笑うとか武士にあるまじき行為だから?

 

「じゃ、じゃあ、あたしは?」

 今度は鈴の番だ。

 

「リディさんは二組なんだけど、リディさんの面倒をよく見てたり、小中時代の時も俺達の事をぐいぐい引っ張ってくれていた。つまり、おかん」

 

「へぇ、あたしが……」

 バナージが話す内容に鈴はこくこくと頷く。

 

「……では、わたくしは?」

 次はセシリアさん。自分とは違う別の一面に興味があるんだろうな。

 

「さっき言った通りで過去の事までわかんないけど、所作が正にお嬢様って感じ。目の前のセシリアさんと変わらぬ振る舞いだと思う」

 

「少々、残念ですわね」

 セシリアさんが頬に手を当て苦笑する。

 

「ごめん。聞いとけばよかった。こんな事態を想定してなかったから」

 まぁ、確かに夢にも思わなかっただろう。

 

「俺は……聞かなくても目の前にいるか」

 

「言動で把握してくれ」

 もうはっきり別人だと理解してそうだ。

 

「あ、あの……私は、どうなんでしょうか?」

 

「山田先生ですか? すみません。あまり情報が無いです」

 

「リディさん……は、全て関わってる訳じゃないんですね?」

 

「はい。俺の身内だけです」

 話の流れはあっても、わざわざ人の昔話を聞かないだろう。だから山田先生やセシリアさんの部分は仕方無し。

 

「次はISの話を聞かせてもらおう。白式を変えた理由を、な」

 わー、織斑先生が何か怖い。どこかしらに思い入れがあるからだろうか。

 

「わかりました」

 バナージは織斑先生の表情を気にせずに物怖じしてない。

 

「白式は寄って切る。非常にシンプルな機体ですが、そのシンプルさが難しい。まぁ、そこら辺は機体を変更した理由になりませんけど」

 

「それで?」

 

「リディさんの機体がかっこよくて、好きなアニメの機体だったので、真似しただけです」

 

「アニメ、だと?」

 ふざけた理由だからか、何か織斑先生が切れそう。お宅の弟さんはそちらにいます。人違いです。

 

「はい。俺の声も主人公に似てると言われたので、その部分も含めてです」

 こうして理由を聞いていると、随分アホらしく感じてしまう。悪い。本気で大好きなのはわかってるから、バカにしないぞ。

 

「一番大きな理由は、束さんの目的です」

 

「束か」

 

「はい。ISが登場してからというもの、どこもかしこもISだらけですよね? だから古き良き、新たなロボットアニメが隅に追いやられました。そこで俺とリディさんがロボアニメ復興のため、俺の機体をアニメの機体にほぼ似せて、後に広告塔として働くんです。これ、夢が広がりますよね?」

 

「意外と真面目な内容だな」

 

「はい。アニメの機体が現実に!? というのが狙いで、ユニコーンや武装などを再現したんです。後々は全身装甲になると思います」

 だよな! やっぱり全身装甲が一番だよね!

 

「後はISを本来の使い方に戻して導きたいと」

 

「……宇宙って事か?」

 

「はい。重力に引かれ続けて根を張った人類は、誰もが蒼穹を見上げてもその先を見つめない。だから俺達が一歩を踏み出せば、人々は新たな可能性を見出す」

 重力、根、人類、可能性。単語や言い回しがガンダムを意識してる。俺も似たような事を過去に言っていた気がするなぁ。懐かしや。

 

「……確かに私達は大空の先を見つめず、人間の生活範囲外を想像すらしていない」

 今まで黙っていた楯無さんが乗ってきた。いいぞー!

 

「でも、それっていけない事?」

 

「いえ、当たり前の事です。明日の予定、明後日の予定、誰もが持っています。ですが、それだけでは息が詰まってしまう人もいる。だから、未知の世界を覗く意味があるんです」

 

「閉鎖した世界に、新たなる風を?」

 

「はい。きっと最初は珍しく思うだけで、時間が経てば当然になるでしょう。ISの技術が軍事利用されたように」

 微妙にわかりそうでわからない、会話の内容が好き。

 

「それは凄く寂しい事です」

 悲しいじゃなく、寂しいという単語がポイント。

 

「そうね。寂しい事」

 

「まぁ、そんな訳で機体を改装」

 ここで唐突に話題を戻す。この適当さが楽しい。

 

「元が白式なら、拡張領域はどうしたんだ? 全部、零落白夜で埋まってるんだろ?」

 これって一夏に必要な情報だろうか?

 

「もちろん。だから増やした」

 

「増やした……?」

 

「後付けで拡張領域を増やした」

 

「本当かっ!?」

 バナージの衝撃的な言葉に、一夏は立ち上がった。

 

「この世界の束さんは知らないけど、俺達側の束さんなら可能にした。第三世代と第四世代の間の白式だからこそかも。詳しくは知らないけど、箒が乗る紅椿だったらかなり難しいんじゃないか?」

 

「待て、バナージ。別の私が乗る紅椿とは何だ?」

 紅椿に反応した箒が、一夏とバナージの会話に横入り。

 

「あぁ、箒のISが紅椿と言って、白式と対になる機体なんだ。単純に説明するなら、白式の燃費の悪さを補うのが紅椿。赤くて二刀流でかっこいいぞ。写真見るか?」

 バナージは携帯を取り出して画像を表示。紅椿を装着した箒の姿が写り、カメラ目線でかっこよくポーズを決めている。表情もしっかり引き締めているが、その表情はどこか無理している風に見えて、長く続きそうにない。一瞬の風景を永久に、バナージに持っていてほしいって感じ?

 

「これだ」

 バナージが箒の目の前に携帯を差し出すと、全員が小さな画面を覗き込んだ。

 

「知らない私が写っている……」

 見るべき場所はそこじゃない。ISだよ。

 

「これが紅椿……」

 そう、その反応。

 

「他に写真は無いのか?」

 織斑先生は他を知りたいらしい。近くて遠い世界だからね。

 

「ありますよ」

 皆に向けていた携帯を自分の元に戻して、別の画像を表示した。今度は制服姿のラウラが写って、眼帯を外して金色の瞳を強調するポーズを皆に見せる。ルルーシュかな?

 

「これはラウラ……」

 

「眼帯は飾りって言ってたので、外せるならこのポーズをやってくれと頼んだら、快く引き受けてくれました」

 お前が元凶か。ラウラに何させてんだ。でもかっこいい!

 

「ラウラが……」

 織斑先生が額を押さえ始めた。

 

「強化人間とも言ってました。何て悲劇……」

 

「……目の事を気にしていないのか?」

 

「千冬姉が瞳に関するアニメを見せ続けていたら、ハマってどうでもよくなったと」

 そういう点でアニメって凄いよな。特に外人さんだと影響を強く受けやすいもん。

 

「……そうか」

 複雑な表情で虚空を見つめ始める織斑先生。何か大変そう。

 バナージが他の画像に変えた。今度は笑顔の箒が、後ろからラウラを抱きしめている画像だ。相当気に入ってるな。

 

「私が満面の笑みを……」

 

「あたしの写真は無いの?」

 鈴がわくわくしながらバナージに尋ねる。自分の別の一面が見たいらしい。

 

「悪い。鈴との写真はあまり無いんだ。大体はリディさんと一緒にいるし」

 

「じゃあ、そのリディって奴と写ってるのでいいから」

 

「しばし待たれよ」

 バナージが俺と鈴が写っている画像を見つめ、どれを出していいか迷っている。

 

「あった。リディさん写ってないけど」

 見つけた写真は、鈴と楯無さんが食事を食べさせあっている所。何か、選択した写真を見せていいものか迷ってしまうな。この世界の人間関係的に。

 

「これは、あたしと……会長?」

 

「二組にいる鈴とリディさん。リディさんと同部屋の楯無さん。リディさん繋がりで、二人は仲良くなったんだ」

 

「へぇ……あたしと会長が……」

 目の前にいる鈴と楯無さんが顔を見合わせた。

 

「ついでにリディの写真を見せなさい。戦闘中は余裕無くてあまり顔を見れなかったから」

 

「わかった」

 バナージは別の写真を探し始める。

 

「これ」

 俺が制服姿で自販機に挟まっている所だった。他にいい写真がありそうなもんだが。

 

「……こいつ何やってんの?」

 

「精神統一」

 正解だけど不正解。マッカン飲んでんのよ。

 

「……社長の息子と先に聞いたら、何か嫌みったらしい感じかと思ったけど、どことなく人懐っこそうな奴ね」

 

「この姿を見て金持ちに見えるか?」

 

「全く見えない。選んだ写真が悪いんじゃ?」

 

「そうか。次はこれ」

 お次は、正面から俺と鈴とクラスメイト達と廊下を歩いて、会話している場面。

 

「凄く馴染んでる……」

 

「リディさんは中学時代、恋愛相談受けまくってたから、化粧品とか服装の話題に入っていけるんだ」

 女性関連の話題には困らん。

 

「……恋愛相談?」

 一瞬だけど、とある三人が反応を見せた。

 

「成功率も割りと高かったらしい」

 恋愛か。最近そんな話をした事ないな。簪は恋愛に興味無さそうだし。

 

「リディって今どこにいるの?」

 

「いや、俺も知らない。さっきは何故かいただけだ」

 

「そっか……」

 ある三人は若干肩を落とす。セシリアさんは問題無いと思うけど、まず箒と鈴は照れ隠しをやめよう。じゃないと、この一夏は落とせん。好意に鈍感な人は真っ直ぐ気持ちを伝えるのが一番。付き合っての一言だと、買い物かいいぞ、になるのがオチ。私、お前に、ラブとか片言でもいいと思う。

 

「すげーな。俺は全く興味無いから、その話に入ってけないのに」

 

「俺も一夏と同じで、あまり知らないからなぁ」

 バナージは皆に見せていた携帯を仕舞い、ソファーの背凭れに深く背中を預ける。疲れてそう。

 そして、この後もバナージは皆から色々な事を尋ねられ、色々な話にしっかり対応していった。大変そうだ。俺のせいでごめん。でも頑張れ!

 そして、クラスリーグマッチでお披露目出来たからか、何だかやりきった感というか達成感が、今の俺にはある。目的を果たせたからだろう。

 さて、次は何をしようか?

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