IS 一夏がいない   作:稲穂焼き

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十二話

 今思い返すと、あれから色々な事があった。

 

 まずは一夏と箒の件。二人は何の苦難も無く結ばれた。知ってた。ただ、告白したのは一夏ではなく箒の方からだ。

 流れ自体は俺が一夏に話した通りだったが、部屋で一緒にアルバムを眺めていると、箒が話の主導権を握ってさり気なく好きだと告白。その後、一夏も驚きながらも好きだと告白。

 そして二人は幸せなキスをして終了。実際にキスをしたのか、二人に聞かないとわからない。聞く気は無いよ。

 

 月曜から一夏と箒は常に寄り添うようになった。その二人の姿は正しく夫婦。学園中の女子生徒達が二人を嫉妬と羨望の眼差しを送り、その週の休日は外出申請がいつもより凄く多かったみたいだ。大量のハンターが解き放たれた。賞金は出ないけど、頑張って逃げて下さい。

 あの二人の落ち着きようが熟年の夫婦っぽくて、私も男を捕らえようと生徒達は出掛けていったのだろう。動機が不純なのとギラギラした目つきだったから、あまりいい結果は望めんぞ?

 俺は二人を見ているだけで心が温かくなり、凄く幸せな気分になれる。が、同時に怒りも湧いてきた。法律が憎い! 凄く憎い! 早く結婚させてやりたいっ! これほどの激情に駆られるのは初めてだよっ!

 千冬さんは一夏と箒の二人を見て、甥か姪が生まれてくるのを楽しみにしていると、呼び出した俺にそう言ってきた。千冬さん自身はもう諦めているとの事。

 やはり、ブリュンヒルデという名がいけない。これでは男が寄って来んやないか! ただでさえ、女子高の教師という出会いに恵まれない職業なのに!

 あ、俺はそういう対象ではないので、酔ってるからって変な目で見るのはやめて頂きたい。妥協じゃ幸せになれないよ! と、千冬さんに説教すると、泣いてしまったので、慰めた。大丈夫! 千冬さんの未来は明るいよ!

 

 

 次はシャルロットの件。シャルロットは女子用の制服を着て、性別を偽っていた事をクラス中の人に謝るが、一夏と箒の方に注目がいって特に騒がれなかった。火曜日だったから、タイミングがよかったんだろう。ナイス一夏。

 

 

 女子生徒達が獲物を探しに行った休日に、俺と一夏は束さんに呼ばれたので、いつもの場所で束さんにハグされた。箒もついてきたので箒もハグされた。そして二人に祝福を。

 千冬さんとは違い、束さんは二人の前でオープンに子供が楽しみと喋り、いつ頃の予定? と、聞く。一夏と箒は顔を赤くして、しばらく視線を合わせる事が出来なかった。これは恥ずかしくても仕方が無いね。

 束さんの目的は俺と一夏のISに、装甲を追加するという事だった。少々装甲を追加すれば、あら不思議、ユニコーンとバンシィが正真正銘のガンダムへと変身。

 俺が、俺達が、ガンダムだ! と、街中で叫んでも問題が無いレベルで、大手を振って歩ける。お前はガンダムなどではない! と、否定される可能性もあるので、その時は対話が必要になるかも知れんな。市街地でのISの展開はご遠慮下さい。

 

 特に待望はしてなかったけど、俺のバンシィに装備が追加された。ビームマグナムの銃身下部にリボルビング・ランチャー、背中にはアームド・アーマーXCが搭載される。アームド・アーマーXCって、正直見た目だけで糞の役にも立たんと思うんですが。

 でも外見は重要だから本来の役割とか関係無いよね! これでラスボス感が更に増したぞ! と、自分の中で考えていたら、各武装のエネルギー消費率が下がるのと、操縦者と機体の親和性が向上すると束さんは言ったので、俺はテノヒラ・クルーテオ。アームド・アーマーXCを使える日が楽しみだ。

 後はアームド・アーマーVNとアームド・アーマーBSもおまけに付いてきた。そういえば、他に二つの装備があったなぁ……と、思い出す。バンシィと名を聞けば、ノルンしか頭に浮かんでこないからしょうがない。

 最後に俺と一夏で、既存の武器や新たに開発された武器を使用して、訓練所でデータを収集していく。何故俺は、今まで普通の火器を使わなかったのかというと、専用武器以外は装備させたくないからだ。バンシィがアサルトライフル構えるとか凄く嫌。使用武器をビームマグナムで消し飛ばしたいぐらい嫌。バンシィじゃなかったらよかったんだけどなぁ。

 

 ちなみに、シールドファンネルを交換する事にした。さようなら、俺の白いシールドファンネル。ようこそ、黒いシールドファンネル。

 

 

 休日を経た週明けに学年別個人トーナメントが開催された。

 学年別個人トーナメントとは、そのままの意味で学年別に行われるトーナメント戦だ。

 トーナメントの期間は一週間と長く、専用機の有無に関わらず全校生徒強制参加。一対一の戦闘で勝敗を決めていく。

 この大掛かりなイベントには、前に開催されたクラスリーグマッチと同様に、お偉いさん達がいる。それもクラスリーグマッチの時よりも更に大勢だ。俺の両親がいるレベル。これは頑張ってる姿を見せなきゃいけませんなと、ちょっと張り切る。

 

 日をいくつも跨ぎながら試合が順番に行われて、俺と一夏は別々のブロックで順調に勝ち進み、決勝へと上り詰めた。

 途中、鈴とセシリアさんにぶつかったが、俺は何とか勝利を掴んだ。

 鈴に対しては徹底的に射撃戦を仕掛け、セシリアさんに対して格闘戦を仕掛けたのが勝利の鍵だろう。

 

「夕」

 

「何だ?」

 ピットで待機中の俺に、先ほどから無言だった鈴が声を掛けてきた。

 

「先輩の私に勝ったんだから、絶対一夏に勝ってよね」

 

「……絶対という約束は無理だけど、今回ぐらいは勝つつもりだよ」

 

「おぉ……いつもよりちょっとだけ前向きじゃない。何かあった?」

 鈴は驚きながら理由を尋ねてくる。

 

「親が見ているからな。元気でやってるって事を証明するんよ」

 俺がIS学園に転入してから、一回も顔を合わせていなかったからだ。家にいたとしてもあまり会えないのに、IS学園の寮で暮らしていたら、不可能と言っていいほど会う機会が無い。会社に行っても、セキュリティーレベルが足りなくて、上の階に行けないから無駄。そもそもIDカードが無いよ。

 

「なるほどね」

 理由に納得した鈴は頷く。

 

『さぁ! もう間もなく、学年別トーナメント、一番の見所であろう一年の部、その決勝戦が開始されようとしています! えぇ、皆さん楽しみにしていた事でしょう! 私もその一人です!』

 鈴と話していたら、アナウンスが聞こえ始めた。この声は今まで聞いてきた中で、今が一番力が入ってる。そんなアナウンスで大丈夫か?

 

『まずは紹介から始めますよ! 全世界に一つの可能性を見せた、一年一組所属の織斑一夏!』

 一夏の名を呼び上げた瞬間、アリーナ全体に歓声が響き渡る。

 

『続いて、織斑一夏とは異なる、新たな可能性を生み出した、一年二組所属の白雪夕!』

 俺の名を呼んだ瞬間、歓声がまた一つ大きさを増して、アリーナに木霊する。

 アナウンスの人が興奮しすぎて、聞いてるだけなのにかなり恥ずかしい。

 

『今回は決勝戦という事で、両選手のISが特別仕様となります! これはなかなかお目に掛かれませんよ!』

 

「出撃だー! うー、わっほい!」

 俺のISは今まで通常形態で試合をこなしていたが、決勝で一夏と戦う事が決まったから、NT-Dに全身装甲と各種武装の封印を解く。舐めプじゃなくて、自分の実力をちょっとでも上げたかったからだ。

 

「特別仕様って?」

 

「ま、見てなさいって」

 鈴にそう言って、アリーナに続くカタパルトに立つ。

 

「行こう、バンシィ。頼りにしているぞ」

 俺は一声掛けて、バンシィを起動させる。

 体が光に包まれると、いつもと変わらない水の中を漂う感覚があるが、いつもより心地いいと感じる。ずっと浸かっていたいと思うけど、一瞬で終わりが来てしまった。

 目を開くと、ハイパーセンサーを通して世界が見える。

 

「へー、それが本当のバンシィなんだ」

 

「おうよ。今までは無理だったけど、これなら頭部のバルカンが使えるぞ」

 全身装甲だから、どの角度から見ても全部バンシィ。これがモデル体型か。写真集を発売しなくちゃ。浜辺で横に寝るバンシィ……それ、エクシアの方がいいんじゃない? エクシア擬人化しちゃってるし。

 

「じゃ、行ってくる」

 口を動かしながら、機体や武装に異常が無いかチェックしていき、僅か数秒でオールグリーンと表示された。

 

「頑張ってきなさい」

 鈴に見送られて、俺はアリーナへと飛び立った。

 今回の装備は左手にリボルビング・ランチャー付きのビームマグナムとシールド一枚、右手にアームド・アーマーBS、背中にアームド・アーマーXCとアームド・アーマーDE。サーベルが四本に、頭部のバルカンが二門。

 

 俺の視線は相対する白き一角獣、ユニコーンに向けている。ユニコーンは全身が綺麗な純白で、額に白い一本角があるのが特徴だ。

 ユニコーンの装備は、無人機戦の時とは変わっていない。

 

『ガンダムファイト! レディ、ゴー!』

 後で怒られるぞと、アナウンスの人を少し気にしながら、アリーナにブザー音が鳴り、試合の開始を告げた。

 

 開幕は俺と一夏は同じ高度で向かい合い、NT-Dだけを発動。

 ユニコーンは甲高い音を鳴らしながら、閉じている装甲の隙間から赤い輝きを放つ。

 脚部から頭部へ、下から上と順番に各部の装甲が展開していく。

 頭部のフェイスガードが開いてツインアイが出現し、それと同時に一本角が二つに分かれてV字の形を作った。

 

 NT-Dを発動した姿が目の前で拝めるなんて、普通じゃ考えられないので感動してしまう。この試合だけは特別で、ネットでも中継されているから、喜ぶ人が大勢いるだろう。

 

『手加減は無しだ! 来い、夕!』

 お互いにビームマグナムを構え、同じタイミングでトリガーを引く。

 

『わかってる! 行くぞ、一夏!』

 銃口の先に、エネルギーの塊が一瞬にして作られ、発射音と共にエネルギーが放たれる。

 自分のビームはユニコーンに向かい、ユニコーンのビームが俺に向かってきた。

 俺は機体を下降させて回避を行い、ユニコーンは両腕に装備されている二枚のシールドを、その場で構えてビームを防ぐ。

 Iフィールドの再現として、ナノマシンがシールドの前面に展開されて、ビームを受け流した。

 

 俺とユニコーンは高速機動の射撃戦に突入。

 ビームマグナムで相手と撃ち合い、上昇と下降に左右を交えた回避行動を繰り返す。

 自分とユニコーンの射線はほぼ同じで、ビームはすれ違って相手に向かって飛ぶ。

 

 バンシィの右手に装備しているアームド・アーマーBSを構えて、ユニコーンに向ける。

 アームド・アーマーBSを使用すると、二枚のフィンの間にビームが発生して、うねりながらユニコーンに向かう。

 ユニコーンはビームから逃げるように横へと避け、ビームマグナムと両腕のシールド裏面のビームガトリング四門をバラまく。

 

 俺はビームマグナムとビームガトリングを避けつつ、実体弾が装填されている、リボルビング・ランチャーの瞬光式徹甲樽弾を三発射出。

 ユニコーンはビームマグナムとガトリングの射撃と回避行動を中止、防御に移行して片腕のシールドを構えた。

 青白い瞬光徹甲樽弾はシールドに突き刺さり、三発の弾丸が閃光と共に爆発。

 

『シールドが!?』

 シールドを破壊されたユニコーンは、爆発の衝撃に怯まず、左手に持つリゼルライフルを三連射した後、高出力モードでビームを照射。

 リゼルライフルのビームに追われながら、俺はリボルビング・ランチャーのポップミサイルを撃った。

 

 ユニコーンは照射を続けたまま、ポップミサイルを難なく回避していく。

 

 こちらも照射から逃げながら、アームド・アーマーBSで応戦する。

 俺とユニコーンは互いの進行ルートを塞ぐように、射撃を行う。

 

 ユニコーンはエネルギーの残量を気にしたのか、片腕と背中のシールドをパージ。ビームマグナムとリゼルライフルを仕舞い、背負っていたバズーカ二門を構えた。

 両腕で担ぐ二門のバズーカは、二発の弾を撃ち出す。

 

 俺は追尾性は皆無と判断して避けようとしたら、二発の弾は炸裂。ベアリング弾が広範囲に撒かれた。

 

『ファンネル!』

 急制動を行い、二枚のシールドを呼び出しながら左腕のシールドを切り離し、三枚のシールドで機体を隠すようにガード。

 ベアリング弾の防御に成功したが、弾が次々と送られてくる。

 至近距離で炸裂していく散弾のせいで、俺は身動きがとれなくなってしまった。

 

 ユニコーンは頭部のバルカンとバズーカ、それに加えて脚部のハンドクレネードを撃ちながら飛行をしているが、俺はユニコーンの射線に合わせて、その場で角度を変えるだけのガードで精一杯だ。

 

 この状況を打開するため、ビットをワンセット取り出して真下に投下。

 纏まっている十七のビットを分離させ、それぞれの銃口をユニコーンに向け、ビームを斉射。

 ビットの攻撃により、ユニコーンは攻撃を中止する。

 

 この隙に俺は移動を再開しながら、シールドの状態をチェックしていく。三枚共損傷していたが、特に一枚のシールドだけ損傷が酷かった。きっと、一つ一つのシールドを確実に破壊していくつもりだったのだろう。

 シールドの状態を考えて、射撃から白兵戦に移行するために、アームド・アーマーBSを仕舞う。

 俺はユニコーンに近付くために、アームド・アーマーDEを背中に戻してブースターを展開。

 シールドファンネルを前面に、ビットを後ろに引き連れながら、ユニコーンに間合いを詰める。

 

 ユニコーンは後退しながら、バズーカとバルカン、ガトリングとグレネードで迎撃。

 バズーカは散弾と知っているため、こちらもバルカンで弾を破壊していくが、シールドの損傷具合も考えて、大きく迂回する。

 

 俺が防御と回避を繰り返していくうちに、ユニコーンはバズーカとバルカンとクレネードの弾が切れたのか、バズーカを投げ捨て脚部の射出機をパージ。

 シールド一枚を左腕に装着して他のシールドを仕舞い、背中のサーベルを右手で抜く。

 握ったサーベルを勢いよく振ってビームを出力。

 真っ直ぐ俺へと向かってきた。

 

 ユニコーンの装備を見た俺は、アームド・アーマーDEとビームマグナムだけを残す。

 アームド・アーマーDEを左腕に装着した次に、左手に持っていたビームマグナムを右手に持ち替え、ビームマグナムのリボルビング・ランチャーからビームジュッテを出力。向かってくるユニコーンを迎え撃つ。

 

 シールドとシールドが激しく音を発ててぶつかり、次にビームサーベルとビームジュッテで鍔迫り合い。

 鍔迫り合いで押し合う最中、バンシィとユニコーンの色が変化して、ユニコーンは全身赤色に染まり、バンシィは全身金色に染まった。

 

「ユニコーンが動く姿は、凄く感動的だぞ!」

 

「バンシィを見ていると、足が竦んでくる!」

 鍔迫り合いをしながら、俺達は笑いながら感想を言い合う。

 

 俺はまだ残っているバルカンを、ユニコーンに向けて撃つ。

 

 ユニコーンは至近距離のバルカンに対し、咄嗟の反応を俺に見せた。

 機体を上下に反転させながら、ユニコーンは下降を始めて、俺が撃ち続けているバルカンを回避していく。

 

 逃げていくユニコーンを、俺はスラスターを吹かして追いながら、バルカンで狙っていくが、途中で発射されなくなって残弾が尽きた。

 リボルビング・ランチャーのビームジュッテを消し、弾倉を回転させてポップミサイル、瞬光式徹甲樽弾と順番に撃っていく。

 

 ユニコーンは、サーベルをブーメランのように次々と投げていき、ポップミサイルや徹甲樽弾を破壊していった。これでユニコーンの装備は、シールドと雪片弐型だけだ。

 背中を見せていたユニコーンがこちらへと振り返り、後退しながらも雪片弐型でリボルビング・ランチャーが撃ち出す弾を切り払う。

 

 ここで俺のリボルビング・ランチャーの弾が切れ、次はビームマグナムを撃った。

 

 ユニコーンがシールドでビームを防いでいく。

 

 俺はビームマグナムを格納して、背中のサーベルを見せつけるようにゆっくりと抜刀。

 サーベルの抜いた瞬間を見たユニコーンは、雪片弐型を両手で握りながら突撃してきた。

 

『釣れた!』

 アームド・アーマーDEのメガ・キャノンを、照射ではなく単発で撃っていく。

 

 ユニコーンは螺旋を描いてメガ・キャノンを回避していき、シールドを前に押し出しながら、雪片弐型を両手で振りかぶる。

 

 俺はアームド・アーマーDEを反転させて打突。

 ユニコーンが雪片弐型を振るおうとしたシールドに命中し、攻撃をキャンセルさせた。

 アームド・アーマーDEをユニコーンの腕に当てたまま、機体を水平にしてユニコーンの胸部に蹴りを入れる。

 

『てぇっ!?』

 蹴りが当たったユニコーンは少しだけ下がる。

 ユニコーンが後ろに下がった拍子に、俺の左腕から外れていたアームド・アーマーDEは落下していく。

 持っていた右手のサーベルを、ブーメランのようにしてユニコーンに投げつけて、前腕部のサーベルも同じように投げる。

 

 投げたサーベルの一つ目は、ユニコーンが雪片弐型で切り払い、二つ目のサーベルはシールドで弾いた。

 ユニコーンが足止めを食らっている最中に、俺はアームド・アーマーDEの回収に成功して、左腕に装着。

 左手で背中のサーベルを抜き、右手へ移す。

 シールドとサーベルを構えてから、ユニコーンに向かってスラスターを全力で吹かした。

 

 同時にユニコーンも雪片弐型とシールドを構え直して、スラスターを全力稼働させた。

 互いに武器を振りかぶってから、俺は居合いの抜刀に似た形でサーベルを横に振り、ユニコーンは下段から切り上げるように雪片弐型を縦に振るう。

 サーベルと零落白夜を発動した雪片弐型は一瞬だけ衝突するが、赤く染まっている零落白夜はビームを掻き消した。

 ビームを消された瞬間に、俺は急上昇しながらアームド・アーマーDEで、零落白夜を受け流す。

 アームド・アーマーDEは傷付きながらも何とか耐えてくれた。零落白夜の傷跡が火色に染まっており、痛々しく見える。

 急上昇して逃げた俺は、サーベルの発振器に異常があるかチェックすると、ビームが消されただけで、何の異常も無し。壊れてない。

 

『一夏』

 俺は一夏に話し掛ける。

 

『何だ?』

 

『このままだと両者共にエネルギーが切れて、引き分けになりそうだから、白黒はっきり真っ向から勝負しないか?』

 

『勝負? どうやってだ?』

 

『本当に真っ正面からだ。俺がビットでライザーソードを作るから、一夏は零落白夜で、ライザーソードの中を突っ切る』

 

『……おし、その勝負受けて立つ』

 俺と一夏は互いの高度を調節しながら、アリーナの両端まで距離を離す。

 

 未だ使用していない、左腕のサーベルを右腕に移す。右手で握っているサーベルと、前腕のサーベルの二つをユニコーンに向ける。

 六十六のビット全てを呼び、右腕の周りに綺麗に配置していく。

 そして準備は完了した。

 

『来い、一夏!』

 

『行くぞ、夕!』

 一夏は俺に返事をすると、雪片弐型を両手で強く握って突きの構え。

 

「やるぞ、バンシィ! 力を貸してくれ!」

 バンシィに強く呼び掛けて、全力でビームを出力した。

 

 最大出力のビームは、世界を闇に変えるほどの閃光を伴いながら巨大な剣を生み、アリーナ全体を覆えるほどの形を成して、ユニコーンに向かって流れていく。

 

『全力を出すぞ! 白式、ユニコーン!』

 決意を強く表した一夏は、零落白夜を発動した雪片弐型を突き出し、たった一振りの剣でビームの中を突き進んでいく。

 

「バンシィッ!!」

 バンシィの名を強く叫び、腕に力を込めると、機体は音を鳴らして、装甲の色が金色から緑色へと変化した。

 

『いっけぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!』

『届けえぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!』

 視界が白に染まっていき、全ての音が消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一夏の剣は――――――――――俺に届いた。

 

「届いた……のか?」

 一夏は状況を確認するように、ゆっくりと呟く。

 

「ああ、届いたさ」

 俺は簡単に答える。

 一夏の剣、雪片弐型は、俺の掌に触れていた。

 

 そして試合終了のブザーがアリーナに響き渡る。

 

『学年別トーナメント、一年の部、優勝は――――――――一年二組の白雪夕!』

 アナウンスの人が勝者の名を叫んだ瞬間、アリーナは地を揺るがすほどの歓声に包まれた。

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