プロローグ『起源にして…』
大学生2年生の俺。
名前は木武 慎時郎(ギム シンジロウ)
珍しい苗字だから被ったことは一度も無い。
ちなみにジロウだが次男では無い。
そんな馬鹿馬鹿しいことを考えながらも、今日も俺はコンビニの袋片手に家へと帰るのでしたとさ。
初冬の風に、身震いしながら家に帰った。
マンションの六階。エレベーターで昇ると『木武』と書かれた表札のついた部屋の前で止まる。
家の扉を開けて、まず炬燵に入った。
そして、炬燵においてあるノートパソコンを起動。
「ふぅ、やはりコレにかぎるなぁ」
<東方>
シリーズ物のゲームだ。
シューティングゲームと言うのは少し浅はかな考えだろう。
鮮やかな弾幕が画面一杯を多い尽くす。
そして、ハイ、
そんなこと言った俺だが、このゲーム自体をやったのは3週間前だ。
東方の動画を見続けて1年と3ヶ月。
だが、俺がゲームを始めたのは3週間前。
想像していた以上に、難しい。
この手のゲームは苦手なのだな、うんそうだ。
「美鈴強ぇや」
三面で詰んでいるのは―――所詮この程度だからだ。
難易度も、関係ない。
「だめだっ…勝てるはずが無い!」
そう言って崩れ落ちる。
ストーリーが気になるから全部見ておきたい。
だが、無理だ。
「もう一回やってみるか」
諦めが悪いのが俺だ。
もう一度ステージ1から始める。
自機は博麗霊夢。
コンビニの袋からサンドウィッチを取り出すと、口にくわえて、始める。
相変わらずの良いBGMが耳から離れない―――なんてしていると、今回はルーミアにやられた。
本格的にセンスが無いんじゃないか?
立ち上がって、台所に向かおうとした時。
玄関が開かれた。
あっ、やべ……鍵掛け忘れた。
全身黒尽くめの男が立っていた。
その男は俺に、拳銃を向けた。
「だらけた生活した結果がこれだよ」
某動画サイトで良く流れてくるコメントを言った。
最後に、せめて東方シリーズをクリアしてから死にたかったもんだ。
あぁ、馬鹿野郎。
鍵さえ閉めてればこうはならねぇっての。
右腕が打ち抜かれた。
相手の焦ったような息遣いが鮮明に聞こえる。
―――ぁぁぁぁあああぁぁっ!!?
想像以上に痛い。
経験した事の無い痛みだ。
次は腹を撃たれた。
唸る。
叫ぶ気力も無い。
だが、俺をこんなにした男をここで終わらせるのは悔しい。
「俺と一緒に地獄に落ちようぜぇっ!!」
どっかで聞いた。
そんなセリフを叫びながら相手にショルダータックルをかます。
マンションである俺の部屋は六階。
相手は柵を抜けて落ちる。
叫びながら落ちていく相手。
「っあああはははははははははぁっ!!」
俺は今、最高に楽しそうにしてるだろう。
だって楽しい。最高だ。
痛いけど―――こんな風にした相手を殺してやった。
なんの目標もなく過ごしてるヲタクもどきには十分、壮絶な死に方だ。
出血性ショック死にならなくて良かったと心の底から思った。
しかし、現実と時は非情で、血が流れ出て止まらない。
視界が薄暗くなってきた。
開いたドアから自分の部屋が見える。
「ん?」
自分の部屋から誰かが出てきた。
わからないけど、誰かだ。
お前は誰だ、なんで俺の部屋から出てきた。
そいつは女だった。
女は、満面の笑みで聞いてきた。
「最後に望みとかある?」
言ってやろう。
この女は幸運だ、なんたってこの俺の最後を聞けるんだからな。
やけになってわけのわからないテンションで俺は言う。
「もっと……生きたいっ……たく、さんっ……」
もっと楽しいことがあったはずだ。東方だってやりたい。
まだ終わってない。
数少ない俺の楽しみなんだっ。
女が頷く。
何が楽しいのか、嬉しそうだ。
それを不快に思いながらも徐々に意識が呑み込まれていく。
「うん、でも普通に生きるのじゃつまらないから……行ってらっしゃい?」
その女の言葉が―――最後。
とうとう意識がブラックアウトした。
~~~~~
ふと、目が覚めた。
疑問が浮かぶ―――なぜだろう?
俺、死んだよな?
「ここは、どこだ?」
最新機材ばかりのこの、病室?
一体、どこだろう。
最後に女が現れて、俺は純粋にもっと生きたいって言った。
人間の“生存本能”だ。
女は救急車でも呼んでくれたのか?
そんな時、白衣を着た男が数十人入って来た。
なんらかを話している。
俺を見ても何も言わない辺りは気にしていないのだろうか?
そして、白衣の男は俺を見た。違う。俺の右腕に視界を向ける。
「ん?」
俺は自分の右腕を見てみた。
動悸が激しくなるのを感じる―――なんだ、これは?
「な、無えじゃねぇか」
俺の右腕は無くなっていた。
白衣の男たちが話している。
「あれを使おう、新型ナノマシンと妖怪を融合させた…腕だ」
あ?今、なんて言った。
逃げなきゃ不味いんじゃないか?
主に男共の頭がだ。
俺の“生存本能”が叫ぶ―――逃げろ。と……
動こうとした。動けない。
俺の脚を見たら、拘束されていた。
腰も、胸も、首も、残った左腕も。
そして、男たちは麻酔もせず、俺の腕の断面でドーム状に再生しかけていた肉を切った。
「がああああぁあぁぁぁぁっ!!」
あまりの痛みに暴れるが、びくともしない寝かされている台。
そして拘束具。
そして、一人の男が腕を持ってきた。
ただの人間の腕のようにも見える。
それを、俺の血が噴出す断面に無理矢理当てる。
さらなる激痛が俺を襲う。
いっその事楽にしてくれれば良かったんだが、そうはいかない。
「あれだ、奴から奪った蓬莱の薬の試作品を使え!!」
そう言って、奴らは叫ぶ俺の口を無理矢理開いた。
口の中にカプセル状の薬を水を叩き込まれた。
そして鼻をつままれれば、体は正直だ。
“生存本能”故に、条件反射でつい飲んでしまった。
その直後、体中が熱くなった。
別の意味で叫ぶことになる。
今度は熱で、熱くてだ。
ビクビクと体が痙攣してする。
しばらく続く痙攣だが―――ふと、落ち着いた。
腕の痛みが無くなる。
「はぁっ、はぁっ、はっ……」
落ち着いてきた俺を見てだろうか?
白衣の服を着た男達が驚いていた。
もちろん、俺もだ。
「治ってる」
つい呟いてしまった。だが、右腕が完璧に治っている。
それでも、違和感はあった。
「なにか違和感は?」
男たちが聞いてくる。
しかし、俺の口がこう答えた。
「無い」
質問してきた男に対して短直に返す。
不満そうな顔をして、男は一人の白衣に話しかける。
「失敗か?」
なんやら話しているようだ。
不穏な空気が漂う。
そうだな、コイツらをどうにかしなければ、俺に———。
「廃棄処分だ、上手く処理しろよ」
———未来は無い。
右手で、拘束具の黒い部分を握った。
硬いゴムのような素材だ。
思いっきり引っ張るとそれが千切れる。
―――なんだ、脆いじゃないか。
其の場の空気に緊張が走る。
「調子は良好!」
笑って立ち上がる。
全裸であることに気付く。
傍のかごに入っているジーンズと上着を見る。
俺の服だった。
男達が目を点にして俺を見ているが、無視した。
撃たれた時の血で汚れていて着れないシャツ。
ならば、下着とジーパンだけ穿く。
ずいぶんワイルドな格好だが、問題ない。
「止まれ!」
男の一人が、至近距離で銃を向けた。
この俺にだ―――愚かだな、俺のほうが、圧倒的に速い。
「ひっ!」
右手で男の頭を持つと、壁に投げつけてやった。
なにかがひしゃげるような音がする。
そして、笑う。
誰がって?俺だよ。
「我が世の春がきたあぁぁっ!!」
叫び、走るのは俺。
他の男たちは銃を持っていないようだ。
「おっと、失礼失礼」
今の俺は昂ぶっている。
この感情の高揚感―――押さえがきかない。
だが、押さえる気も無い。
楽しいのだ!
「ハハハッ、楽しいなぁ!」
逃げる男の襟首を掴んで、振り回して他の男にぶつける。
負ける気がしない。
そして、また一人。
次は殴ってみた。
体が吹き飛んでいく。
爽快。
「俺の体をこんな風にしてくれた礼だ、神の世界への引導を渡してやる!」
笑いながら、敵を投げる。
気付けば部屋には誰も居なかった。
開いた扉から、外に出る。
廊下が続いていた。
窓が無いから地下。そう決め付けて俺は歩く。
階段を見つけては上に登り続けた。
扉を見つけては破壊し続けて、階段を昇った。
「ハハハッ! ようやく外に出られそうじゃないかぁ!」
豪快に笑いながら歩く。
そう言えば、ここには誰も居ない。
さきほどのところで全滅とは思えない。
もっと楽しませてくれるのかと期待していたのだが。
すると、多くの人間が入って来た。
重装備で、防弾シールドなんかを持っている。
指揮官的な男が現れた。
「ここに、試作品の蓬莱の薬を盗んだ者がいると聞いた。お前ならすぐ投降しろ!」
それで、一瞬で冷静になれた。
どうやら“生存本能”には勝てないらしい。
ありがとう名も知らぬ男。
心の中でその男に感謝。
「違います! オレは違います! むしろ被害者!」
胡散臭そうな男。という風に俺を見る男たち。
「ぬっ! 脱ごうか!?」
いつの間にか変なことを言っていた。
全員の目が冷たい。
俺、こういう空気苦手。
「被害者なのはわかった。とりあえず脱いだら別の意味の刑に処すことになるから、両手を頭の後ろで組んでゆっくりと歩いて来い」
そう言われて、ゆっくりと歩いていく。
そういえば、頭の裏に拳銃貼り付けてこの状況から勝てるって映画があったな。
あぁ、ダイハードだ。
そんなことを考えていると、指揮官的な名無しの男の前についた。
もちろん両腕は頭の後ろで組んでいる。
男が俺の体中をまさぐる。追記するならばイヤらしい意味じゃない。
「何にも持ってないな。後々聞くから、
男が声を出した。
どっかで聞いたことある苗字。
「はい、突撃隊員にケガが会った時以外動かないってはずでしたが」
そこに現れたのは、銀髪の女性。
おいおい、嘘だろ。
俺は心の中でつぶやいた。
「こいつの体に異常が無いかみてやってもらえますか?」
ありがとう、名無しの男。
「大丈夫な人ですか?」
「コイツが悪さしようとしても……アンタなら簡単に殺せんだろ」
名無しの男め、前言撤回だ。
もしこの人があの人で、俺が勝てると思ったか?
でも、お前を相手にしてる場合じゃないんだ。
俺の目の前には、一人の女性。
「始めまして、八意
あぁ、そうだ。
ここがどこかは置いておこう。
とりあえず、俺の目の前には、あの永琳が居る。
そんな感じで、俺の物語は始まる。
闘争本能の具現化。狂戦士。戦闘神。
そう呼ばれた俺と―――俺を支えた皆の物語だ。
あとがき
さてプロローグ!
はなっから全力全開で頑張って行きますのでよろしくお願いしま~す!
では、感想などお願いします。
次回をお楽しみに♪