東方真戦譚~戦闘神、立つ~   作:超淑女

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第一話『家族』

 俺の遥前方には、何千もの妖怪が居た。

 異形の姿をしたもの、はたまた人型。

 さまざまな種類の妖怪だ。

 

 こんな数の妖怪を見るのは始めてで、手足が震える。

 

 だが一人で戦っているヒトが見えた。

 俺はもう下がらない。

 

 俺の、俺たちの帰る場所を守る為俺は決意する。

 

 あの日俺が得た、帰る場所を守る為に俺は走り出した。

 

 

 

〜〜〜〜〜70年前

 

 

 

 

 先ほど会った彼女。

 八意永琳。

 東方のキャラクターだ。

 俺は動画でしか見たことが無いのだが、たしかに永琳だ。

 

 とりあえずは、俺は永琳と一緒に近くの車に入った。

 見かけは近代的だが、救急車と呼ばれるらしい。

 

 中は小さな医療室のようになっている。

 椅子に腰掛けて、永琳が半裸の俺に問う。

 

「ケガはある?」

 

「い、いえ…べつに、その…ありません」

 

 柄にもなく緊張してんだ!

 それでも、無いって言ったら永琳は優しく微笑んだ。

 あぁ、癒される。

 

「そう」

 

「ちょっち失礼する」

 

 先ほどの指揮官のような名無し男だ。

 名無しは俺のほうを見て、頷いた。

 

「ここで尋問するか」

 

 男は端にある椅子に腰掛けた。

 その後一人、端末を持った男も現れた。

 

「お前の名前は、なんであんなところにいた?」

 

 肌寒いから上着が欲しいな、なんて思いながらも答える。

 

「名前は木武慎時郎」

 

 ここが東方の世界だとしたら、相当立場が危うい。

 だから、ここは嘘を吐いておいたほうが良い。

 

 なんて選択肢を頭に浮かべて。

 

「名前以外は自分のことがわかりません、気付いたらあそこで寝ていたんです…恐ろしいことに」

 

 こう答えた直後、名無しは凄く怪しむ。

 だろうね!俺もそんなこと言われても絶対信用しない!!

 

「で、お前が言ってることは本当か?」

 

「はい!嘘だと思うなら体中好き放題調べちゃってくれ!!」

 

 俺はなんの考えもなしに断言した。

 名無しに向かって、ではなく永琳に向かってだ。

 もう、理性とかいらなくね?なんて思いながらも。

 

 まずいか?と冷や汗を流す。

 

「あら本当?」

 

 そんなことを言われると、恐い。

 彼女のモノ=実験台。

 みたいな定義が心で成り立っているだけ恐ろしい。

 

「ごめんなさい」

 

 大人しく座る。

 名無しが苦笑した。

 

「まぁ、信じてやるよ。少しばかり署で身柄を預かる」

 

「悪く言えば軟禁?」

 

「そんな言葉は知ってんだな」

 

 しまった。余計なことは言わない方が良いか?

 と思いながらも頷いた。

 

「ところで、貴女…蓬莱の薬と言う言葉を聞いたことはないかしら?」

 

 それだ。

 どこかで聞いたことあると思った。

 たしか、輝夜と妹紅が飲んだ薬。

 

 あれ?

 

 俺が飲んだ薬ってたしか。

 

「ぐあああああぁぁぁっ!」

 

 いきなり叫びだした俺に驚くのは、其の場にいる三人。

 吐き出そうとするが、無理だろう。

 なんたって自分の眼で見たから、腕がくっついたのを……

 

「どっ、どうしたの?」

 

「いえね、多分俺が飲まされました」

 

 苦笑しながら言う俺。

 顔がこわばる永琳。

 名無しと、その部下?はおかしな顔をしている。

 

「少し、出てもらえますか?」

 

「え、はい」

 

 名無したちが出て行き、其の場に残るのは俺と永琳。

 まさかの告白だったらいいのだが、マンガやアニメや小説じゃあるまいしそんな展開は無い!!

 むしろ俺には絶対ねぇっ!ねぇったらねぇ!!

 

「貴方には説明しなくちゃならないわ…あの薬は、不老不死になるかもしれない薬の…試作品」

 

 あぁ、そんな設定だった。

 忘れてたよ!

 笑えよ?ほら…

 

「はははは…マジで?」

 

「薬を盗んだ事による窃盗と違法実験をくりかえした。その二つの容疑で貴方がいた会社に強行突破したのだけれど、貴方大丈夫?異常は?」

 

 腕がくっついたが、それは言わなくても平気だろう。

 俺に異常は無い。

 

「はい大丈夫です」

 

「そう、良かったけど」

 

 少し考えるような仕草を見せる。

 そして、気付いたように嬉しそうな顔をした。

 なんか、嫌。

 

「少し出てくるわね」

 

 出て行った。

 

 暇だな。

 

 しかし、俺の力は素晴らしかったな!

 この力を持ったまま永遠の命があるなら…

 

「ハハハハッ!戦いは楽しいなぁ!ローラァッ!!」

 

 大爆笑しながら謎の名前を叫ぶ。

 オット、自重。俺自重せよ。

 嬉しい限りだ、しかもここは!ここは!東方の世界!!

 

「あら、随分元気みたいね」

 

 永琳が来た。

 少し恥ずかしくなって座る。

 良く考えれば半裸だし。

 

「貴方、帰る所が無いのよね?」

 

「はい!」

 

 元気良く返事する。

 永琳は楽しそうだ。

 

 うん、美女には笑顔が似合う。

 

「一緒に家に来ない?」

 

 ……?

 

「もう一度」

 

「家で暮らさない?」

 

 永琳と?俺が?同じ家で?

 

 イイィィィィィッヤッホォォォォォ!!

 最高にハイってやつだ!

 

「あ、ありがとうございます!」

 

 頭を下げると、永琳が上げさしてくれる。

 

「いいえ…100年ほど見て貴方が歳をとらないか見て見たいの」

 

 なるほど、実験台。

 さすがに苦笑してしまう俺。

 何を期待してたんだが、自惚れたな。

 

「100年経って生きてたら?」

 

「さすがにお金を稼いでるでしょうから…自立なさい」

 

 なるほど、納得だ。

 良かろう、100年以内に永琳の心を奪っていけば良いわけだな。

 フハハハハ、100年後が待ち遠しいわぁ!!

 

「さて、行きましょうか…向こう100年は保障するわ」

 

 そう言って車を出る永琳。

 俺もその背後を着いていく。

 

 さて、俺の新たなる生活が始まった。

 

 

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 

 

 永琳の家に住み着いて3週間。

 さすが名門八意家。

 警察に俺の監視を許可を取るのに3時間程度。

 

 俺は快適な生活に満足しながらも、常に永琳を落とそうと粘る。

 まぁ、全部普通に笑顔で返されるけどさ!

 下心の塊ですがなにか?

 

 俺はワイシャツとジーパンで常に過ごしている。

 無難な服装なので、この未来のファッションセンスについていけない俺にはぴったりだ。

 ちなみにこのセットが5セットある。

 この時代で服を選ぶのが恐い。

 

 かといって永琳に任せると、赤と青の意味不明な服を着せられかねない。

 

「ふぅ…どうするか」

 

 ちなみに俺の容姿は前の世界にいたころとだいぶ変わってしまった。

 黒い髪の平凡な男だったのに、俺の髪は真っ青になっていた。

 ちなみに結構長い。

 一回長髪って奴を試してみたかったんだ。

 しかも顔もイケメンになってた。

 

 あはははっ!ご都合主義だなぁ!

 イケメンにやりすぎなど無いのだよ!!

 

「ただいま」

 

 玄関が開く音と共に永琳の声が聞こえる。

 急いで玄関へと向かった。

 

「おかえりなさい!」

 

「ええ」

 

 医者の彼女は定時で帰れないのかと思ったが、案外普通に帰ってくる。

 今の医療技術は進歩しすぎであまり永琳の手がかからないのだという。

 やったね、最新技術!

 

 永琳と共に居間に向かう。

 和風が好きらしい永琳はリビングでは無く居間だ。

 

「ふぅ…体に異常は無い?」

 

「はい」

 

 そんな敬語に、笑う永琳。

 

「それなら良かった…敬語じゃなくても良いわよ?」

 

「はい、じゃなくて、そうだった」

 

 二人で笑い会う。

 なんだか、3週間しか経っていないのに俺たちは案外簡単に打ち解けられた。

 これも全部、永琳がわざわざいつも話しかけてくれるからだろうか?

 

「あっ、そういえば貴方の体の話しがあったんだったわ」

 

 永琳が忘れることなどあるはずも無い。

 場の雰囲気を柔らかくしてから伝えたかったのだろう。

 でも、あまり恐いことなんて無い。

 

「で、なんだ?」

 

「ええ…貴方の体は人間そのものだった…老いがあるのかはこれから先検証していきましょう」

 

 そういうが顔があまり明るくないのを見る。

 何かがあるのかは考えがつく。

 苦笑して、俺は口を開いた。

 

「右腕か」

 

「知っていたの?」

 

「俺が目を覚ました日、腕無かったんだ」

 

 そのことは誰にも話していない。

 確実にろくなことにならないからだ。

 だが、永琳には話してみる。

 これで何かあっても良しとしよう、永琳だし!

 

「そんなこと」

 

「言ってないさ、永琳は信用するから言う。腕が無いところに無理矢理くっつけてプロトタイプ蓬莱の薬を飲まされて強制再生された」

 

 少し永琳が暗い顔をする。

 責任を感じているのだろうかと、焦る。

 

「いや!永琳は悪くない、むしろ俺の出血死を防いでくれたしさ!」

 

 暗い顔のまま頷く永琳。

 あぁ、せっかくの笑顔が台無しになってしまった。

 俺を全力でなぐりたくなってきたぞ。

 

「それと、この片腕のおかげであそこから逃げ出せたんだ」

 

 そう言うと、少しは笑う永琳。

 

「感謝してんだよ、これでもさ?」

 

「えぇ…ありがとう」

 

 逆に礼を言われてしまった。

 不思議なものだ。三週間でここまで仲良くなれるとは…

 

「なんでお礼なんて言うんだよ、永琳はえばれば良いんだよ…エヘンッ、てさ?」

 

 そう言うと、永琳が笑い出した。

 静かに笑う永琳。

 良かった、と一息つく。

 

「貴方、不思議よね」

 

「そうか?」

 

「ええ…」

 

 そういわれると、俺も自然と笑ってしまった。

 二人で笑いあっていた。

 これが、二人の三週間後。

 

 

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 

 

 そして、跳んで30年。

 さすがの俺も仕事をしていた。

 妖怪退治という仕事だ。

 街の傍まできた妖怪を倒すという大事な仕事。

 

 ちなみに公務員。

 

 見かけもあの日から変わらぬ俺。

 完全に老いが止まったと考えても良いだろう。

 30年鍛え続けても、決して歳で弱体化することは無かった俺は強化され続けている。

 

 今日も鬼のような容姿をした妖怪相手に森を駆け巡っている。

 

「GUAAAAA!!」

 

 叫ぶ鬼。

 木々をなぎ倒して近づいてくる。

 俺は軽やかに攻撃を避けていく。

 

「ハハハハッ!!命乞いして巣へ帰ると言うなら見逃してやらん事もないぞ!」

 

「GYAAAAAA!!」

 

 笑う俺。

 戦うと性格が変わるというのは感じていたが、戦っている間はどうしようもなく楽しい。

 少しおかしいのかもしれないが、永琳は俺の本能を知らないようだから良しとしよう。

 

「お前には言葉は通じんらしい…ならば、神の世界へと引導をわたしてやる!!」

 

 鬼が拳を突き出してくるが、避けて右手を鬼の腹に添える。

 そのまま指で腹をガッシリと掴んで上空へと体を上げる。

 

「シャイニングフィンガーとはこういうものかぁ!!」

 

 直後、俺の右手に光が集まり爆発を起こした。

 鬼の体が上空へと撃ちあがって、今度は鬼自体が爆発した。

 

「ははははっ!戦うと元気になるなぁ!」

 

 そう叫んで周りの気へと目を移す。

 敵を求めてだ。

 鬼が数十対出てきた。

 この程度、一瞬でコロシテヤル。

 

「ゲームより戦闘の方が楽しいなぁ…フハハハハハッ!!」

 

 そう叫び、俺は駆けた。

 

 

 

 なんやかんやで戦いは終わった。

 俺が家へと帰ると、玄関に永琳の靴があった。

 ダルすぎて会社へと報告もせずに帰って来た。

 

「ただいま」

 

「おかえっ…シンあなた!」

 

 だいぶケガが目立つだろう。

 さすがに数十対の鬼を相手にするのは無理があったようだ。

 体中が悲鳴をあげている。

 

 笑えることに右腕にはケガ一つ無い。

 

「シン…あなたいつもケガして帰ってくるんだから」

 

「ああ、ごめんえーりん」

 

 少し息をついて、横になる。

 血が床を汚す。

 

 ちなみにシンとは俺のことだ。

 慎時郎は長いので、短くしてシン。

 そのぐらい仲良くなれたということだろう。

 まぁ30年も一緒にいるのだから当然か……

 

「早く横にならないと死んでしまいそうでさ」

 

「わかったわ。会社に連絡と掃除はしとくから」

 

「悪い」

 

 そのまま寝てしまった。

 

 数時間で起きる俺。

 起きたら目の前には山が二つ。

 なるほど、まったくわけがわからないというのがわかった。

 

「どこだ?」

 

「あら、起きたの」

 

 永琳だった。

 なるほど。目の前のは乳か、けしからん。

 揉みしだいてやりたいが、今まで我慢してきたから我慢。

 

「ケガは治ったな」

 

 俺はプロトタイプ蓬莱の薬を飲んだ。

 半不老不死だ。

 並大抵のことじゃ死なないのだが、あまりに酷い怪我をすれば、頭を落とされれば、心臓を貫かれれば死ぬ。

 プロトタイプ蓬莱の薬の実験でわかったことだ。

 

 ただ、寝ると瞬時に傷が治るという特典がある。

 そして不老。

 だから、半不老不死。

 

 この仕事を始めてから永琳に迷惑をずいぶんかけてる。

 

「悪い」

 

「いいのよ、馴れたわ」

 

「それでもさ、忙しいのに俺がもっと忙しくさせてる…感謝してるさ」

 

「あら、嬉しい」

 

 そう言って、膝枕された俺と、している永琳の静かな笑い声が部屋に満ちる。

 そしてまた、沈黙。

 永琳が言いずらいことでもあるのだろう。

 

「動物飼ったけど、良いかしら?」

 

「良いけど、なんだ?」

 

「兎」

 

 頷く。

 別に断る理由もないしな。

 あまり俺は永琳相手に遠慮しなくなったし、永琳も俺相手には遠慮してない。

 

 お互い家族と思ってると―――思いたい。

 

「良いよ。でも、しっかり世話しないと、すぐ死ぬんだろ?」

 

「大丈夫よ、随分長生きするし寿命以外じゃ中々死なない兎なの」

 

 研究の実験生物かなにかだろう。

 体をゆっくり起こして、笑った。

 

「もう居るのか?」

 

「ええ」

 

 少し廊下に出ると、帰って来た。

 抱いているのは兎。

“元の世界でも見たことのある”普通の兎だ。

 

「名前は?」

 

「まだ決めてないわ…貴方に決めてもらおうと思って」

 

「そうだな…ウドンゲ」

 

 そう言うと、永琳が早いと言わんばかりの顔で俺を見る。

 しかし、この顔を見るとそう言いたくもなる。

 もう一度声に出して言う。

 

「優曇華の花から取って…こいつの名前ウドンゲ…ってのはどう?」

 

 口で答える替わりに、優しい笑顔で永琳が頷いた。

 お互い、家族が増えることを喜んだ。

 

 

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 

 

 その30年後くらいから、あまり永琳が帰ってこなくなった。

 悲しいけどこれ、お仕事なのよね。

 とか思いながら、俺は帰ると毎日ウドンゲの世話をし続けて、そして一日が過ぎる。

 

 街、否。もはや都市か…

 

 そこに近づく妖怪は少なくなって行き、やがて仕事は二週間に一度程度になってしまった。

 暇だが、ウドンゲの世話をしながら生活している。

 

 給料は毎月払われるので文句は無い。

 

「ただいま」

 

 そんなことを考えていると永琳が帰って来た。

 忙しいのはわかるが、ちゃんと食事はとっているのだろうか?

 ウドンゲとじゃれていると、永琳が居間に入った。

 

「おかえり」

 

 そう言って苦笑した。

 

「ごめんなさい、帰ってこられなくて」

 

 忙しそうだがそう言う。

 心配になって、少し訊ねてみた。

 

「…いつぶり?」

 

「5ヶ月16日と12時間39分…今40分」

 

 毎回この会話をしている。

 少し寂しい気もする。

 彼女は息をついて座った。

 

「晩御飯いるか?」

 

「いえ、すぐ行くわ」

 

 そう言って、すぐ立ち上がり棚から何かを探す。

 どうやらなにかの紙のようだ。

 

「じゃあ、行って来るわ」

 

 そのまま急いで出て行ってしまった。

 近所じゃ最近『八意さんとこの旦那、捨てられたらしいわよ』なんて声が聞こえる。

 井戸端会議を本人の近くでするんじゃねぇ。

 そして旦那じゃねぇ!当て付けか!

 

 なんて思いながらも反論はできない。

 

 

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 

 

 そんなまま日常は続き、20年後のある日、俺は轟音と共に目を覚ました。

 寝室のカーテンを開いて外を見ると、あちらこちらに煙が出ていた。

 

「っくそ!」

 

 ウドンゲを生身のまま片手で持って外に出る。

 案の定、人が居ない。

 自分の熟睡に恨みを持つ。

 

 生憎この家が大通りにあるもので、見えた。

 向こうから、来るのだ。

 幾多の妖怪が攻めて来ている。

 

「に、逃げるしか!」

 

 ここで俺が戦って勝てるはずが無い。

 ブランクだってあるし、それに無理だ。

 あの数は勝てない。

 

 猛ダッシュで向かってくる妖怪達。

 標的をみつけたってか、くそったれ!

 

 背を向けて逃げるが、ウドンゲ片手に抱えてるので全力じゃ走れない。

 背後から近づいてくる殺気。脚がもつれてこけた。

 

 こけてもウドンゲに体重をかけないように仰向けになる。

 目の前に鬼が居た。

 

「っくそ!」

 

 だが、鬼はいくつもの弾によって弾き飛ばされる。

 その通称―――弾幕。

 

「大丈夫!?」

 

 そこには永琳が立っていた。

 安心して、息をつく。

 

「ごめんなさい。本当に…守れなかった」

 

 永琳の視線を追うと、すでに破壊されている我が家。

 帰るべき場所を失った。

 

「貴方達だけでも守るから、ウドンゲと逃げなさい!」

 

 そう言って永琳が走って行ってしまった。

 弾幕が張られ、何百もの妖怪が倒れていくが、すぐ立ち上がり永琳に向かって走って行く。

 

「馬鹿か」

 

 立ち上がる。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜現在。

 

 

 そして、今に至った。

 すでにウドンゲ片手に走った。

 永琳へと接近していた妖怪を蹴り跳ばす。

 

 これで敵が離れていく。

 

「永琳、ウドンゲを頼む」

 

 永琳にウドンゲを渡した。

 驚きながらも、俺を見る。

 そして、何か言いたそうにしていたが、俺が言わせない。

 

「俺が帰る場所は、少なからず今は…家じゃなくてお前だ。守ってやるよ」

 

 俺が永琳の前に立つ。

 馬鹿な虚言を吐いたものだ。

 守れるか、この俺が、誰を守れる。

 

「お願い…」

 

 永琳のその言葉を背に、俺は走り出した。

 

 妖怪の一体を殴り飛ばす。

 それだけで、将棋倒しのように倒れる妖怪たち。

 群がりすぎだ。俺でもわかる。

 

「フハハハハハハッ!」

 

 あぁ、闘争本能が出てきた。

 この俺を知らない永琳には―――嫌われるかもしれんが、この際仕方ないなぁ!!

 

「闘争本能の赴くままに!フハハハハハハ!!」

 

 体が、少しばかり軽く感じた。

 そして、右手が輝く。

 

「シャイニングフィンガアァーッ!!」

 

 右手の輝く光が、敵を飲み込み消滅させる。

 戦いは楽しいなぁ!!

 

「やめろぉ!」

 

 一人の妖怪が叫んだ。

 そいつを睨み付けて俺は叫ぶ。

 

「俺の場所を破壊する愚か者は、地に這い蹲って消えてもらう!!」

 

 右手だけでなく、体が輝く。

 理解した!これがナノマシンと妖怪の右手とやらの力かぁ!!

 

 攻撃された。

 敵が弾幕を張る。

 

 なるほど、そういう芸当もできるのか!

 

 弾を受けるごとに血が吹き出て、口からも吐血する。

 しかし、笑った。

 

「死を意識するからこそ生を実感できるのだ!!」

 

 左手でも、妖怪を殴り飛ばす。

 そしてシャイニングフィンガーで辺りを一層。

 

「はははっ!凄いよこの体ぁ!攻撃を受ければ受けるほどパワーアップしている!さぁぁぁ!もっとこぉぉぉい!!」

 

 敵の大半が戦意を喪失し始めている。

 だが、俺は左手から弾を出す。

 5方向に飛ぶ特大の弾だ。

 

 それは敵に当たると大爆発を起こした。

 

「やりすぎだぁ!!」

 

 騒ぎ、叫ぶ妖怪。

 しかし、知った事ではない。

 

「戦いにやりすぎなどないのだよ!!」

 

 妖怪たちの悲鳴が飛び交う中、そう言って再び弾を撃つ。

 

 

 

 

 

 しばらくして、去っていく妖怪。

 俺の視界から消えると、気分が落ち着いてきた。

 そして、背後を見る。

 

 永琳が、歩いてきた。

 

「…戦うとあんな風になるのね」

 

「悪い、黙ってた」

 

 バツが悪くなって苦笑する。

 

「70年も、困ったヒト」

 

 後頭部を掻いて、永琳に笑いかける。

 そして、永琳も笑う。

 上空にヘリが跳んでいる。

 

 俺と永琳を撮影しているようだ。

 

「貴方、今後引っ張りダコよ。妖怪を撤退させた英雄ですもの」

 

「そうかな…でも、俺は必要以上は出ないよ。ウドンゲが心配だ」

 

 頷く永琳は少し寂しそうで、俺は永琳の頬を撫でながら一言。

 

「もちろん永琳も…家族だからな…いや、俺は少なくともそう思ってる」

 

 そう言うと、その両目から綺麗な雫が流れた。

 嗚咽を漏らして、泣き出す永琳。

 こんな姿、動画でも見たことなかった。

 

 いや、もう俺はその思考を放棄する。

 ここはゲームの世界ではない。

 現実だ。

 

「永琳…」

 

 ウドンゲに気を使いながらも、永琳を抱きしめた。

 永琳の腕の中にいるウドンゲが地に飛び降りた。

 大人しくしている。気を使ったのか?

 

 遠慮無しに力いっぱい永琳を抱きしめる。

 

 今度は俺の胸に頭をつけて、服を握り締めて泣き出した。

 

「わたっ…しっ、も…かぞ、くだと…おもぅっ、て…」

 

 それだけ聞けば十分だった。

 ウドンゲがこちらを見ている。

 

「俺たち三人はちゃんと家族だったんだな…家族って思い会えてたんだな」

 

 そして、救助隊が来るまで俺と永琳は抱きしめあってた。

 

 その後も、しっかりと俺と永琳は手を繋いで、ウドンゲは俺たちの腕の中に順番に抱えられて。

 

 しっかりと家族だった。

 俺たちは―――

 

 

 




あとがき
なぜか、永琳がメインヒロインみたいですが違います!
全体で見れば違います!
いや、一応ここらへんのメインヒロインは永琳になりますけれどww

今回は特別長くなりましたね、これからシリアスが多くなりますがギャグも入れていきます。

では、次話でお会いしましょう!
今回の話しの感想などお待ちしております♪
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