流星のロックマン Record Of Pleiades    作:中佐

1 / 11
設定はかなり想像が入っています。
少しずつ補足しますが、今回は

・ミソラがコダマタウンに引っ越してきて、スバルと同じ学校に通っている
・ジャックやクインティア、ハートレスが社会復帰している
・スバル達は中学一年生である
・今後残酷な描写が入っていく予定である

ということを前提に読んでもらえると助かります。


last request

暗く紅い空、黒く赤い土、濁り血に染まる水。

僕の周りに存在するそれらは、まるで生命というものを感じさせない。

異形の化け物は息絶える。

もう世界を脅かすものなんて存在しない。

そして、守るべきものも存在しない。

なら何故僕は戦わないといけない?

 

『それは君がロックマンだからさ。』

 

呪いはまだ解けない。

けど、もし何か変えることができるなら。

 

「もう一度、青い空が見たい。」

 

願いは聞き届けられた。

けれどそれを叶えるものはいない。

 

「もう、行かなくちゃ。」

 

後ろへ歩き出した足は何かに縫い止められる。

 

「置いてかないで。」

 

わかってるよ。

足を掴む異形の、顔らしき部位へと手を添える。

そしてそのまま、触れるだけのキスをした。

 

「また明日。」

 

振り返るとそこはもう、世界の終わり。

全てが僕等を飲み込んだ。

ほんの一欠片の奇跡を遺して。

 

心が砕ける音がした。

 

 

22XX年 7月某日

 

世の学生は夏休みという長い休日に入る時期だ。

休みだからと寝るばかりでいる者や、遊びばかりに興じ、学業を疎かにした者が最後の最後に痛い目にあう事は、もはや一つの恒例行事である。

 

幾つかに渡る戦いを乗り越え、絆と勇気を得た少年、星河スバルは、無事にコダマ中学校への進学を果たした。

とは言っても、コダマ小学校のほとんどの生徒はコダマ中へそのまま進学するので、クラスの顔ぶれに大きな変化は見られない。

ただ、前々からブラザーとして仲良くしていた少女、響ミソラが、わざわざコダマタウンに引っ越してまで自分のもとへやってきた時には、さすがのスバルもひっくり返る程驚いたが。

そんな彼等も当然夏休みで、まだ始まったばかりのそれを謳歌するために、遊びの予定を組んでいた。

 

 

夏休みの朝、今日は皆と映画を見に行く予定だった。

・・・うん、予定のはずだったんだけどなあ。

 

「スーバールーくーん。開けなさーい。集合場所に来なかった理由くらい説明できるでしょー?ま、さ、か、寝坊じゃないでしょうねぇー?」

 

集合時間9:00

ただいまの時刻9:45

 

起きたのはたった今。

着がえてすらいない。

うん、これは完全に寝坊による遅刻です。

 

「おーい、スバル。あいつどうするんだ?」

 

「悪いのは僕だし、なんとか許してもらうしかないよね・・・。」

 

僕は腕を組み、目を閉じる。

凄く不思議な夢を見た気がする。

懐かしいような、見たこともないような、見たくないような、そんな景色の中に僕はいた。

でも、それ以外は思い出せない。

とても、とても大切な事だったような。

 

「で、何か良い案思いついたのか。」

 

「あ、え、うん、何?」

 

夢について考えてたせいで何も考えついていない。

どうしよう。

 

「お前どうした?別のこと考えてる暇あんのかよ。」

 

「ないね、まずいね。」

 

とりあえず皆を部屋の中に招こう。

まずはそこからだ。

鍵を外すと、すぐに扉がバンッという音を立てて開いた。

僕はすかさずジャンプからの土下座。

さあ、戦いはこれからだ。

 

 

長い長い説教からようやく解放され、疲労からため息をつく。

朝からなんて日なんだろう。

悪いのは全面的に僕だけど。

 

「寝坊なんて誰にでもあるよ!今日は目一杯楽しもうね。」

 

まだ委員長は怒っているようだが、少しは落ち着いたようで、多少遅れはしたが予定通りに映画を見に行くことになった。

 

「うん、ありがとう。」

 

僕はミソラちゃんに笑いかける。

こうやってフォローを入れてもらえると気が楽になる。

うーん、青春してるって感じ。

 

「それにしても、珍しいなー。スバルが遅刻なんて。」

 

「確かにゴンタ君とは違ってスバル君はあまり寝坊しませんのに。」

 

キザマロがクイッと眼鏡を上げる。

するとゴンタが右手を握りこぶしにし、上に振り上げる。

 

「なんだとー、俺だって減ったぜ!」

 

「昔よりは、だろ?今だって三回に二回は遅刻するくせに。」

 

ジャックが笑って返す。

 

「なんだとー!!!」

 

ゴンタは怒りに任せてジャックにその手を振り下ろす。

だが、ジャックは持ち前の身軽さでひょいっと避けた。

 

「相変わらず単調でとろいなー。」

 

「避けるなー!男なら黙ってくらってろ!」

 

その攻防はひたすら続く。

 

「ゴンタ!事実なんだから認めなさい.。ジャック君は煽らないの!喧嘩されたらさらに堪ったもんじゃないわよ!」

 

先程から続く言い争いに痺れを切らしたのか、委員長が怒鳴る。

すると二人の動きがピタッと止まった。

まさに鶴の一声である。

 

(ほらまた機嫌損ねちゃったじゃん。)

 

僕はジャックの耳元で声をかける。

怒った委員長は本当に怖い。

というか女性は怖い。

 

(あいつの機嫌ばっか伺いすぎだろ。)

 

(でもジャックだって、声潜めてる。)

 

人のこと言えないってば。

 

(うるせー。)

 

すると委員長はこちらに顔を向けた。

ああ、般若がいますお母さん・・・。

 

「スバル君?ジャック君?貴方達何話してるの?」

 

「あ、いえ、ナンデモナイデス。」

 

僕等は完全にシンクロしたような動きで慌てて首を横に振る。

それを見た委員長は満足そうな表情を浮かべてからまた歩き出した。

 

「ならよろしい。」

 

そんな一連の会話ももうじゃれあいのようなもので、この日常に僕は確かな幸せを感じた。

それは何故か、胸が痛むほどに。

 




せっかくなので流ロク3をやり返そうと思ったらまさかの行方不明。
1と2はすぐにあったのに。
恨むぞ!過去の自分!!
あ、これからよろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。