流星のロックマン Record Of Pleiades 作:中佐
・新しい変身でます。
・他ロックマン要素がある程度増えてきています。
雲を突き抜け、空から光の矢が降り注ぐ。
町も、人も、ウェーブロードですら、その光によって壊されて。
炎に包まれた町の中、意識を閉ざした少年も、空を見上げた少女も、戸惑う男も、叫ぶ女も、全てが光の中に消えていく。
それは、刹那の内に、大切な場所が奪われていく光景。
眩しい光がまた、僕等を砕いた。
「っは、はあっ!はあっ!げほっげほっ!」
「スバル!お前平気か!」
深いところから強制的にひっぱられたような感覚と共に、僕は現実へ呼び戻された。
ここは建物の中?
目の前にはウォーロックがいて、僕の様子を伺っているが、よく見ると胸に深い打撃跡がある。
「そうだ!ガーディアンズは!?」
「まずは落ち着けスバル。ここはさっきのところから殆ど離れてねえビルだ。どうやらあいつらはお前を狙ってるらしい。理由はわかんねえが、あんまり遠くに運べなかった。すまん。」
「大丈夫・・・だけど。」
胸の奥がざわめく。
何かが僕に働きかける。
ウォーロックの言葉を聞いている暇なんてない、と。
軋む身体を無理矢理動かすと、肩に鋭い痛みが走る。
「っっ!」
「無理すんな!」
ごめん。
でも何故か、このままでは駄目だと、声がするような気がして、それでも僕は窓辺に歩き、外を見た。
ビジライザーを掛けると、本当にあまり離れていないのか、遠くにぶつかり合う光が見えた。
それと、燃える町も。
「なんで。」
その問いに答えようとするウォーロックの声を、僕はまた遠ざける。
そんな暇はない。
そう言い聞かせるような声がする。
それと同時に一瞬、頭の奥を焦がすように、一つの記憶が押し入れられた。
見たことがある。
僕はこの光景を見たことがある!
「駄目、駄目だ!」
手を伸ばしても何も掴めやしない。
町が燃えている。
ジャックが倒れている。
ハープ・ノートが追い詰められている。
ピースがはまったような気がした。
「光の矢が、このままじゃ!」
「おいスバル!」
「また僕に失えって言うのか!」
無情な神様!
僕とは違う何かが、僕の代わりに身体を使っているような感覚に襲われる。
その瞬間、時計が針を止めた。
『救いたい?』
「え。」
「誰だ!」
『僕は君の味方だ。ねえ、彼らを救いたいかい。』
「僕は・・・。」
「駄目だ!今スバルに無理をさせるわけにはいかねえ!」
声しか聞こえないそれの問いに、僕はどう考えても、一つの解答しかできなかった。
「僕は、救いたい。」
「おい!得体の知れない奴だぞ。平気なのかよ。」
知らないのに、とても懐かしい声。
それは、信じたいと僕に強く思わせた。
「・・・わかった。お前がいいならいいぜ。おい!どこのどいつだか知らねえが、さっさとしやがれ!」
『君は、それが最善策ではないことを知っている。それでもやるのかい?』
質問の意味は理解できない。
今は、衝動が僕を突き動かしていた。
「うん、やるよ。」
『 真実はいつも、過去にしかない。未来なんて、誰かのわがままですぐに変わってしまう。 ・・・忘れないで、憎しみで世界は動かせない。』
「・・・・。」
「意味わかるか?」
「わからないけど、どうにかしなきゃ。」
「まあやられてるのを黙って見てるのも後味悪いしな。付き合ってやるよ。」
「ウォーロックって地味に優しいよね。」
「地味にってなんだよ地味にって。」
日常を思い起こさせる軽口に、強張った心が少し、和らいだ気がした。
空気が振動する音がする。
『・・・燃える炎の如く、荒ぶる闘将の力を君の手に。』
突然、身体に熱がこもるような感覚を覚え、それと共に頭の奥を焦がす衝動が強くなった。
懐かしい気配が遠ざかっていく。
『僕の名はエックス。また合おう、シューティングスター・ロックマン。』
時は、急速に加速する。
「おい!ジャック!」
コーヴァスの声が聞こえる。
僕もジャックが心配ではあるが、それよりも優先すべきことがある。
僕はその様子を尻目に見ながら、一筋の光になって、戦場へと降り立った。
「お前は、ロックマン・・・か?」
「スバル君その姿は!?」
再び電波変換した僕の姿は、いつもの青ではなく、オレンジ色をベースにしたアーマーに、両腕に備わった巨大な銃、朱色のラインがひかれた身体には炎を纏い、エンブレムにはFの文字が傷痕のように刻まれている、というものだった。
「あなたがロックマンですね!」
男の声に反応した緑の少女が、戦闘態勢に移り、僕にその鋭い爪を向けてくる。
彼女の能力は、自然と理解できた。
その理由はこの力にあるのだろうか。
僕は天に向けて両腕を挙げる。
二つの腕は音を立てながら一つの武器になり、辺りに散る炎を吸収し始めた。
「な、何!?」
なにも驚く事はない。
アイスバーストやグリーンバーストと同じだ。
同属性のエネルギーを吸収して、放つ。
だがこれは、それらよりも圧倒的にパワーを底上げする。
「下がれ!カタリナ!」
「させるか!」
隻眼の男が、凶器になるだろうその巨体で突っ込んでくる。
すると、ウォーロックが僕を守るように現れ、球体となった体を受け止めた。
「へっ!さっきの借りを返させてもらうぜ!」
それと同時にウォーロックの身体を炎が包む。
爪も、牙も、なにもかもが前より強固なものに変わっていく。
炎は装甲を溶かし、ついにその爪は男のアーマーに深い爪痕を刻んだ。
「あっ、ぐっ。」
「おじさん!?エレクトリックスパーク!」
「そんなもん食ってやらあ!」
少女の怒りが雷を落とすが、それをウォーロックが受け止めるように上を向き、飲み込んだ。
「っへ、ナンスカのタベルンスカ様をナメんな。」
まだそのネタ使うんだ・・・。
「うそっ!」
ハープ・ノートが驚いたような声をあげると、彼女はそこでようやく自分自身の存在を思い出したようだ。
はっとしたようにこちらに向きなおった。
「スバル君!私も援護を!」
頼もしいけど、その申し出は受けられない。
「ミソラちゃんはジャックを助けてあげて!このままじゃ危ない!」
一緒に戦うという意思表示は彼女らしいが、それよりもジャックだ。
炎はほぼ全て僕の腕に吸収されたが、瓦礫がいつ崩れるかもわからない。
コーヴァスもダメージが酷く、意識があっても動くことは難しいだろう。
ウィザードになったことで別々になることはできても、幾らかのダメージが共有される事に変わりはない。
むしろ、そうしなければ人間はもたないのだ。
「わかった!ジャック君は任せて!」
僕が静かに頷くと、ハープ・ノートはジャックを抱えて遠くへと駆けていった。
視線を男と少女に移す。
彼らの顔は青ざめているが、瞳に宿る光は消えていない。
下を見ると、町からは灯が消え、強大な力が収縮していくのがわかる。
僕は深呼吸をして、空へ銃口を定めた。
「待て!そんなものを放ったら、ここら一帯が吹き飛ぶぞ!いいのか!」
わかってる。
僕が撃つのは君達じゃない。
「ファイヤーストーム!!」
「!!」
炎の柱が雲を貫き、蒼い空を蘇らせる。
存在しないはずの雲を破ると、そこには強い熱で主砲をねじ曲げられた戦艦が、空に鎮座していた。
「グランニュアージュの主砲が!」
「あれがてめえらの本拠地か!まさか雲と一緒に移動しているとはな!」
「一度も見つかった事はないのに、何故気づいたんですか?」
正直に言うとわからない。
「もし僕が気付かなかったら、もうすぐあの主砲からの光が町を襲った。」
わかることはそれだけ。
「それはない。俺達も巻き込まれる事は予測できるはずだ。」
「町が燃えるのを見て、不足の事態が起こったと考えたなら?」
実際そうだろう。
言いきれる理由はやっぱりわからない。
正直に言うと、この状況に一番混乱しているのは僕かもしれない。
わからないことがわかるという違和感ばかりが頭を占める。
「・・・・。」
「提案があるんだ。ねえ、今回は休戦しよう。このまま戦い続けても、双方が傷つくだけだよ。」
「戦争とは、そういうものだ。」
「こんなもの戦争とは言わないし、ただの喧嘩と変わらない。」
「だがここで退く訳には!」
「おじさん、私・・・。」
少女が男の手を引く。
僅かながら震える手を見る限り、怯んでしまったのだろう。
「結局、何が正しいんでしょうか。」
緊急時の対応だとしても、見捨てられそうになった事は、強いショックを彼女に与えたに違いない。
それでも、男を見上げるその目はどこまでも清らかで、本当は誰かを傷つけるような人間だとは思えなかった。
「・・・わかった。提案をのもう。」
心身共に疲労が溜まっている。
それはどちらも同じ。
ああ、疲れたなあ。
彼らが空へ去っていくのを確認した僕は、そのまま地面へゆっくりと倒れた。
戦艦は雲を纏い、再び空の彼方へ飛び去って行く。
「長くは、もたねえな。」
「うん、そうだね。」
ウォーロックも一緒に、僕等は仲良く地面に身を任せ、笑いあう。
変身は、それだけで傷ついた身体に鞭打った。
サテラポリスからの救援が来るのを待つ事にする。
何とも言えない不思議な感情に捕われながら、僕は空を見上げる。
僕自身の事なのに、最近理解できない事がある。
それでも、空は綺麗だった。
「どうだった?ロックマンの様子は。」
「新しい力を手にしたようだ。」
「・・・思っていたよりも早いね。これも運命というものなのかな?」
「わからないわ。でも、このままではいずれ・・・。」
「いざという時は俺達が行こう。お前は来るべき時を待っていればいい。」
「そうだね。・・・彼はどう選択するのだろう。」
「考えていても、私達では何も変えられないわ。さあ、もう話は終わりにしましょう?」
「うん。・・・おやすみなさい。」
「・・・・。」
「おやすみなさい、トリル。良い夢を。」
はい、色々ぶっこみました。
でも急展開はまだまだ先。
今は前座で下準備。
終わるかなあ。
あ、もう一度言いますが、アニメやゲーム、漫画の設定は色々混ぜています。