機動武闘烈伝ダブルGガンダム   作:風雲再起

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「みなさん、永のご無沙汰でした。ついに待望の第十四回ガンダムファイトが始まります。あの壮絶な
第十三回大会から二年・・え?ガンダムファイトは四年ごとのはずだと?いかにもそのとおりです。

ちょっとここであれからの経緯を簡単に説明しましょう。デビルコロニー事件の責任をとり、ネオジャパン
政府は世界の覇権を放棄。世界はコロニー連合の暫定管理のもとにあります。しかしいかにも今の状態は
不安定で、あちこちで小さな紛争やテロリストの暗躍がみられます。やはりどこか一国に集権すべきだとの
意見の一致を受けて、予定を二年くり上げて第十四回ガンダムファイトが開催されるはこびになりました。」

「ここで前回大会で活躍したファイターたちの動向を紹介しましょう。まずは優勝者ドモン・カッシュ。
あれからレイン・ミカムラ嬢とめでたく結婚。今はギアナ高地に住まい、あくなき修行の日々です。

次にチボデー・クロケット。なんとチボデー・ギャルズの四人と結婚するという荒業を成功させました!
とはいっても重婚ではありません。戸籍上はシャーリーを配偶者とし、あとの三人は養子縁組という形。
もちろん実際の扱いは四人とも平等です。今でもプロボクシングチャンピオンの座は不動のものです。

そしてジョルジュ・ド・サンド。先日マリアルイゼ姫との婚約が決まり、ネオフランス王室付の騎士として
政務や外交に多忙な日々をすごしています。ときたまギアナ高地を訪れての修行が格好の息抜きとか。

サイサイシーですが、あの後ナオチャイナ総師に活躍を認められ、少林寺の再興を許されました。
今は崇山少林寺にて恵雲・瑞仙とともに再建にがんばっています。そしてなにより嬉しいことに、
セシル嬢がおしかけ女房で手伝いに来ているのです。いかにも行動力のある彼女らしいですね。

アルゴ・ガルスキーはネオロシアの英雄として政府と和解が成立。もっともこれは国民の圧倒的な支持に
政府が折れた形ですが。ともあれめでたく自由の身となり、ナスターシャと結婚。今は四児のパパです。
海賊稼業はあいかわらずで、もっぱら指揮はナスターシャ婦人がとり、アルゴは子供たちと遊んでます。

アレンビーについても触れておきましょう。あの後、彼女は二階級特進。自分の部隊を持つまでに。
しかしあのアレンビーがひとつ所にじっとしていられるわけがありません。半年もたたないうちに出奔。
世界じゅうを修行と称して暴れまわり、一年ほど行方不明にもなったそうです。そして半年前に部隊に
戻ってきましたが、どこで何をしてたのか、すさまじいレベルアップを遂げたそうです。」

「ここで本大会の特記事項を。ネオジャパンはファイトの場は提供するが、出場は辞退することを表明。
しかし前回チャンピオンが欠場という異常事態に他国のファイターが猛反発。本来なら一番の強敵が
いなくなったので喜ぶところですが、ファイターの考えは違うようです。主要国のファイターもこれに
賛同し、大会ボイコット運動にまで発展しそうになり、コロニー連合はドモンにプライベート参加を要請。
ファイトの費用はネオジャパン政府が負担することになりました。これで全員が納得したようです。

プライベート参加の扱いですが、もし優勝しても世界の覇権の権利はありません。その場合は国代表の
上位の国に移動することとなります。まあファイターにとってはあまり関係ないことかもしれませんね。
ちなみにアルゴ・ガルスキーもネオロシア政府の要請を蹴って、プライベート参加を表明しました。

最新情報によるとネオフランス代表のジョルジュのサポートクルーとして、マリアルイゼ姫がメカニック
として登録されてます。またネオチャイナ代表のサイサイシーにもセシルがメカニックサポートと。
どうやらレイン嬢の影響で、女性メカニックというのがブームになっているようですね。」

「おっと、大事なことを忘れてました。あのガンダムファイト国際条約七か条が改定されました。
サバイバル・イレブンにおける不特定時間と場所でのファイトは禁止。ファイトが発生した国指定の
バトルフィールドで行われることになります。そしてファイトが公正に行われるようにレフェリー制が
導入されました。これでフランチャイズの優位性はなくなります。問題は誰がレフェリーかですが・・
すでにレフェリーは決まっています。それはいったい誰なのでしょう?第一試合でお確かめください。」

「それでは!第十四回ガンダムファイト!レディィィーッ、ゴオオーッ!」

第一話「第14回ガンダムファイト開催!復活の東方不敗」

アマゾン河。「レイン、レフェリーはまだ来ないのか?」「ええ。予定より少し遅れるみたい。」「まいったな、
せっかくの初戦だというのに。」「ネオブラジルからさっさと始めようって申し入れが来てるけど・・」
「もう待てん。レフェリーなんかいなくてもファイトはできる。申し入れを受けるぞ。」「わかったわ。」
「それに誰がレフェリーだか知らんが、わけのわからんヤツに裁定なぞしてほしくないものだ。」
「ドモン、グレートゴッドの調子はどう?」「快調だ。前のゴッドとそう変わらないな。」「そりゃあほとんど
前のものを使ってるからね。ゴッドは完成度が高かったので、ごくマイナーな改造しかしてないものね。」

ザッ!「アマゾンガンダムか・・ギアナ以来だな、ギギ。」「その節は世話になった。だが今日は国の代表として
全力で闘う。ドモン殿に勝つことでご恩返しをさせていただく。」「よかろう。それこそファイターの礼儀!」
『ガンダムファイト!レディー、ゴー!』「はっ!」ザパーン!「水陸両用仕様だったな。だが水上に飛び出る
瞬間にスキができるはず・・なに!」ビシュ!ギリギリッ!「アンカーか!しまった!」グン!ズズーッ!
「足元が・・すべる!うおっ!」ザパーン!「ドモン!まずい、水中戦では不利だわ!経験もないはず!」

「これで火器は使えぬ。この勝負、もらった!アマゾンクロー!」ゴオッ!「なんの!」ガキイッ!ギギギ・・
「無駄だ!水中ではふんばりが効くまい!」ググッ!・・「くっ!・・うおおおっ!」グン!バキイイイーン!
「ぬおっ!エルボーでブレイクとは!」「お返しだ!フィンガークロー!」ジャキン!ゴオッ!ザキィィーン!
「ぐぅっ!さすがはチャンピオン、よくぞ返した!ならば見せてやろう。アマゾンの恐怖を!」ゴオッ!
パカパカッ。「・・バックパックが開いた?なにっ!」キュラキュラキュラ!「これは・・ピラニア型ビット!」
「いけ我が子らよ、ゴッドを食いつくせ!」キュラキュラキュラ!ガジガジッ!「ぐわああああーっ!」
「これぞアマゾンの恐怖、ピラーニャビット!超合金の歯はガンダリウム合金だろうが噛み砕くぞ!・・ん?」
キィィィ・・「・・はあああーっ!」ジャキン!バシイイイーン!キュラキュラキュラ!「なんと!ピラーニャが
吹き飛ばされた!・・ハイパーモードか!」「なかなかいい攻撃だった。だがこのキング・オブ・ハートを倒す
までには至らない!いくぞおっ!」ジャキーン!「俺のこの手が真っ赤に燃える!勝利をつかめと轟き叫ぶ!
ぶぁぁーくねつ!」ギン!「ゴッドォ、フィンガアアアーッ!」ドン!「負けん!アマゾンクロー!」シャアッ!
『うおおおおーっ!』グワアッ!ガリガリガリッ!「間一髪!」ガキイイイーン!「おわあああーっ!」
「ヒートォ、エンドッ!」カッ!ズガガガガーン!・・「・・どうなったの?!」・・ザバアッ!「ドモン!」

ザザザーッ。「ドモン、まずは白星一つね。」「ああ。幸先いい。・・むっ?」「そこまでだ。ドモン・カッシュ。」
ガキョン!「ネオブラジル軍モビルスーツ隊か・・何のマネだ?」「このまま貴様を去らせるわけにはいかん。
ゴッドを置いていってもらおう。」「いいのか?重大な条約違反だぞ。」「お前らを始末すれば、死人に口なし。」
「待てい!」ザバーッ!・・ドドーン!「アマゾンガンダム?」「大佐、きさま国の名誉を汚すつもりか!」
「負け犬は引っ込んでおれ!キサマはもう用済みだ!撃てい!」ドガガガガッ!「させん!」ビスビスビスッ!
「ギギ!」「ガンダムファイト国際条約第六条。国家の代表であるガンダムファイターはその国の威信と名誉を
汚してはならない!」カアッ!ドカアアアアーン!「ギギイイイーッ!・・きっさまああああーっ!」ギン!

『まてえええーいっ!』シュバババッ!ドスッ!「なんだ?!」「なにっ?!これは・・ビームクロスだと!」
「・・ドモン、あ、あれ!」・・ゴオオオオーッ!「漆黒のガンダム・・ま、まさか!」ドドーン!・・
「ネオブラジル軍に告ぐ。貴国は重大な国際条約違反を犯そうとしている。すぐに軍をひけば不問に付そう。
さもなくばガンダムファイト実行委員会の名のもとに、このレフェリーが実力をもって排除する!」ドーン!
「レフェリー?」「うるさい!一緒に片づけろ!」ドガガガッ!「バカ者が!防御布!」ババッ!キキキーン!
「成敗!うりゃあああっ!」ブン!バシイイイーン!ドカドカアアアーン!「ひと振りで数体まとめて?!」
「この技は!・・」「ドモン!何をボケっとしとる!自分とクルーの身を守るくらいせんか、このバカ弟子が!」
はっ。「や・・やはり!」「アレで一気に決めるぞ!構えぃ!」「は、はいっ!」「一斉にかかれ!」ドスドス!
「超級!」「覇王!」『電影弾!』バリバリバリッ!ギュオオオッ!「撃てぃ!」「はいーっ、とおっ!」ズドーン!
ドドドドッ!「おりゃぁぁぁーっ!」ズガガガガーッ!ギュルルル・・ビシッ!「爆発っ!」ズドドドドーン!
「バカな・・ガンダムファイターはバケモノか!」「そういうことだ。」「え?」ガシッ!グイッ!「ぐほおっ!・・
ギギ?!」「俺もそのバケモノの一人だ。ネオブラジルの名において、大佐、きさまを逮捕する!」ボグオッ!

♪ピーポーピーポー。「大佐は国家反逆罪で処分されるそうよ。委員会からきつい抗議声明が出て、国際世論の
非難を浴びてるから厳格な措置がとられたみたいよ。」「ギギ、無事でよかった。」「俺はあの程度では死なん。
だがもはやガンダムはなくなった。だから俺は部落に戻る。以前の平穏な生活にな・・これでいいんだ。」ザッ。
「ギギ。」ひょい。「?」ぱしっ。「アマゾンガンダムのスタートキーだ。」「・・ありがとう。大事にしよう。」

『うむ、それでこそファイター。ギギも見事な闘士であった。』ガキョン。はっ。パシュ。タン・・ストッ。
「久しぶりだな、ドモン。」「やっぱり・・」「これは夢か・・夢なら覚めないでくれ・・」「何をゴチャゴチャ
言っとる。ワシはここだ、ここにおる。」「師匠・・本当に師匠なのですね・・」「そうだ。幽霊でも妖怪でも
ないぞ。ほれ、足もちゃんとついておる。」「ししょぉぉぉ~っ!」ガバッ!「男子たるもの、めったなことで
涙など見せるものではないぞ。」「マスター、これは仕方ないと思います・・」「・・うむ、そうじゃの。」
「でも・・どうして?あのとき師匠はたしかに・・」「ランタオ島でお前はワシの骸をマスターガンダムと共に
荼毘に伏してくれたな。あの時、奇跡が起こったのだ。マスターに残留していたDG細胞が熱で突然変異を起こし、
ワシの肉体を再生してくれたのだ。本来DG細胞は自然の触媒として開発されたもの。その本来の機能が初めて
発揮されたことになる。もちろん副作用はない。しかし、再生したてのワシからは以前の力は失われていた。
普通の人間程度の能力しかなかったのだ。こんなブザマな姿をお前に見せたくなかったし、お前はキング・オブ・
ハートとして独り立ちしなければならない大事な時であった。そこで今大会開催まで再修行に励んでおったのだ。」
「先ほどレフェリーと?」「そうだ。今回ワシは無所属ファイター兼公式レフェリーとして登録されておる。そう、
生まれ変わったこの身体、ガンダムファイトを戦士たちの拳の交流の場として確立するために捧げよう。」
「師匠以上のレフェリーなど自分には考えられません。でも、ファイターとしても?」「うむ。いずれお前とも
拳を交わす機会があるだろう。その時こそ、」「全力で胸をお借りいたします!」「はっはっは。その意気だ!
どうだ、ひさびさにアレをやるか!」「はい!」「ならば!」ガキイイーン!バリバリバリッ!

『流派!』「東方不敗は!」「王者の風よ!」「全新!」「系裂!」『天破侠乱!』『見よ!東方は赤く燃えている!』

「さて、風雲再起は返してもらうぞ。なにせレフェリーはワシ一人だからな。世界中を飛び回るにはコイツが
いないとチトこたえての。」「もちろんです。ほら、風雲再起。」ヒヒヒーン。「おお、一段とたくましくなったの。
よく世話をしてくれたようですまんの。」「自分よりレインに言ってやって下さい。コイツの世話はほとんど
レインがしてくれてましたから。」「おお、レイン殿。あいさつが遅れてすまぬ。」「いいんですよ。マスターが
いなくなってから、この人はもう大変だったんですよ。突然夜中に飛び起きて、「ししょぉぉ!」って。」
「おいおいレイン!」「ふははは!ドモンらしいわい。ではワシは他のファイトのレフリングに行く。次回の
ファイトでまた会おうぞ!ハイヨ、風雲再起!」ヒヒヒーン!パカッパカッパカッ・・「・・ドモン、よかったね。」
「ああ。・・さて、キャリアーに帰ってメシにするか。」「風雲再起の晩ご飯、余っちゃったわね。」「俺が食うさ。」

みなさんお待ちかね!サイサイシーの相手はなんと彼の妹!
すさまじい八極拳を使うもう一匹の美少女ドラゴン!
宿命の闘いに天安門広場は真っ赤に燃えます!
ネオチャイナとネオ台湾がいまここに激突!
次回、機動武闘烈伝ダブルGガンダム第二話
「愛と憎しみを越えて!宿命の兄妹対決」に、レディー、ゴーッ!

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「みなさん、今回はサイサイシーが新生ドラゴンガンダムで登場です。見ためは以前と変わりませんが、
中身はかなり向上してますのでお楽しみに。さて問題は対戦相手です。なんと相手はネオ台湾代表、
アルトロンガンダム。ネオチャイナとネオ台湾は過去の経緯はともかく今は兄弟国です。しかし長年の軋轢は
なかなかぬぐいきれるものではありません。現在でもことあるごとに競争をしているのは事実です。
ガンダムファイトなどその最もたるものでしょう。そしてもう一つ、このカードが注目される理由があります。
これは一般には知られていないのですが、ネオ台湾代表の女性ガンダムファイター、孫鈴麗はサイサイシーの
妹弟子にあたるのです。そう、これは兄と妹が国家を背負い合いまみえるファイトなのです。ならばこそ二人とも
互いの手の内は知りぬいています。そしてこれは通常のファイト以上にエキサイトなものとなるでしょう。」

「それでは!ガンダムファイト!レディィィーッ、ゴオオーッ!」

第二話「愛と憎しみを越えて!宿命の兄妹対決」

「・・時間よ、サイサイシー。」「・・ああ。」すっ。「やっぱり気になってるのね、鈴ちゃんのこと・・」ぴたっ。
「・・気にしないといえば嘘になる。こういう形での再会とは思わなかったけど・・これもファイターの宿命。」
「リングの上では親兄弟も関係なし。ただ一個の闘士・・前にサイシーはそう言ったわ。」「でも・・正直なところ
オイラはまだ迷ってる。互いの国の威信をかけたファイトだが、だからといって!」ぺち♪「・・セシル?」
「全力で闘うことこそ相手に対する最高の尊敬と礼儀。ファイターは拳でしか語り合えない不器用な人間。
国家も政治もリングの上では無意味、あるのは己と相手だけ!そして最高のファイトは観客にも感動を与える。
鈴ちゃんもそう思ってるはずよ。」「・・そうだな。リングの上での迷いは相手への侮辱。無心で闘うことこそ
最高の礼儀!」「そうよ。そんなサイシーだからこそ、私はあなたが好きなのよ。ファイト!」ぱちーん!
「あいた!」「あら、ちょっと力はいりすぎたかしら?フフッ。」「お~痛て。・・でも気合入ったぜ。」
『サイサイシー、時間じゃぞ。』「おう!じゃ、行ってくる。」「あ、ちょっと。」「ん?」「おまじない・・」
「サイサイシー、なにを・・っ?!」「こりゃ失礼。」さっ。(恵雲、ヤボはいかんぞ。)(いかにも瑞山。)

天安門広場特設リング。『か・え・れ!か・え・れ!』「・・」『やめろ!国の恥をさらすな!』ガキョン!
シーン・・「お兄ちゃ・・いえ、サイサイシー。」「鈴、すまない。恥ずかしい所を見せてしまった。」すっ。
「承知の上よ。気にしないで。」「国がどうあれ、闘うのはオイラたちだ。鈴、手加減しねえぜ!」「こっちこそ!」
ヒヒヒーン!パカッパカッパカッ!「ふん!」ターン!・・ズシャアッ!「では始める。両者、中央へ!」
ザッ。「鈴・・全力でいくぞ!」「おう!ぶち倒してあげるわ、お兄ちゃん!」「構えぃ!」グッ。「・・始め!」
『ガンダムファイト!レディー、ゴーッ!』ダッ!「猛虎連撃!」ドドドドッ!「くっ!予想以上に速い!」
パパパパッ!「間合いが近すぎる・・距離をとる!」タタタタッ。「逃がさないよ!」ダン!ゴオッ!「なにっ!」
ブオオオッ!「うおっと!」スカッ!ゴロゴロッ・・バン!「そこ!」ダダダダン!「な・・何て踏み込みだ!」
「むう、あれが八極拳が奥義、猛虎の歩法か!」「一足千里とまで称される踏み込み。容易には逃れられぬぞ・・」
「ちぃーっ!」「破っ!」ゴオッ!『いかん!ガード不能技じゃ!』「はいっ!」シュルッ!「うまい!攻撃の
勢いを利用して」「内懐に入りこんだ!」「そりゃっ!」ガシッ、ブォン!「投げ技?!」ドドーン!「くぅっ!・・
さすがクラブエース!」「フェイロンフラッグ・三節棍!」シャキン。バチン!「いくぞ!」ビュンビュン!
ギュオッ!「甘いよ!崩拳!」ドオンッ!バギイイーン!「なにっ?!」「やりおる!」「棍を一撃で砕くとは!」
「だがスキあり!舞燕脚!」ダーン!ズガガガガッ!「きゃっ!」ダダーン!「追い討ち!カカト落とし!」
「なんの!破っ!」ドンッ!ガキイイイーン!「なんと!」「突きで止めたぞ?!」「・・やるな、鈴!」
「そうそう簡単にはやられないよ!」「ならば受けてみろ!宝華経典・呂家七連旗!」バサアッ!ギュルルルッ、
シュバババッ!「フェイロンフラッグ?」ズドドドドッ!・・「・・結界ね!」ザッ。「走れ、龍炎!」カアッ!
ゴオオオオーッ!「こちらも龍炎!」ドゴオオオーッ!バシイイイーン!「ドラゴンと同じ技だって?!」
「このアルトロンはドラゴンの性能を徹底的に研究し、さらに凌駕してるわ。そのひとつが!破あっ!」
ドンッ!グン!「なにいっ!」バキイイイーン!「ぐはあっ!」ドガガガガーッ!「バカな?!」「あの間合いで
正拳が届くはずが!」カタカタ・・「スロー再生・・わかったわ!アルトロンのリーチの正体が!」『なんと?!』
ババッ!・・スタッ。『セシルどの、まことか?・・おおっ、これは!』「ドラゴンと同じ伸縮アーム。しかも
ドラゴンと違い、畳まれた腕が瞬時に伸縮してる!」「これでは間合いがとれぬ!」「恐るべしアルトロン!」

ググ・・「いって~。・・ドラゴンのお株をとられるとはね。」「このドラゴンアームは私の八極拳を最大限に発揮
させてくれるわ。こんなふうに!」ドンッ!グン!ドガアアーン!「ぬおおおーっ!」ザザザザーッ!・・
「すげえ・・まるで大砲だぜ。だが!」ダーン!「本家としちゃあ負けるわけにはいかねえな!ライドラゴン!」
ダギュルルルッ!「おっと。」パパパパッ。「スピードはともかくリーチは上さ。」ギュルルルッ、ギシイッ!
「ぐうっ!」「とどめだ!レフドラゴン!」シュバッ!クワッ!「・・はああああーっ!」バシイイイイーン!
「うわあっ!・・なにっ?!」ゴオオオオ・・「黄金の・・ガンダム?!」「あれはもしや!」「明鏡止水の!」
『ハイパーモード!』「鈴は・・使えたのか!」「シャッフル同盟だけが使えるなんて、誰も決めてないよ!」
ボオッ。「?!・・なんだ、今の紋章の感触は?」「破あっ!」ドオンッ!「おっと回避!」ばばっ、スカッ!
「あっぶな~・・え?」ググッ、ドバアアアーン!「ぐはあっ!」ズダダダーン!・・「か、かすめただけで!」
「ドラゴンガンダムが吹き飛ばされただと!」「サイサイシー!」「・・これはおもしれえ!」グッ、ダーン!
「跳躍?」「いくぞ、少林寺最終奥義!」ビーン!「ハイパーモード!」「天に竹林、地に少林!目にもの見せよう、
最終秘弾!」「あれは!・・ならば我が八極拳奥義で勝負!」ババッ!「この一撃は無敵なり。立ちはだかる
いかなるものも打ち砕き、勝利を呼ぶ雄叫びなり!」ボオオッ!「真・流星胡蝶剣!」ドンッ!ゴオオオーッ!
「奥義・猛虎龍撃弾!・・はぁぁああっ!」ドオオンッ!バキイイーン!『うおおおおーっ!』ガガガガッ!
ズガガガーン!ゴォォォ・・「どうなったんじゃ?!」「爆煙で何も見えん!」「・・あれ!」『・・おおっ!』
ゴォォ・・「いい勝負だったね・・ぐうっ!」「楽しかったぜ・・どおっ!」ズズズーン・・「両者相討ち。」

『サイサイシー!』ギイッ。「あてて・・よいしょっと。」「無事だったのね!」「ああ。・・でもドラゴンは
かなりの重症だな。」プシュ。「あいたた・・やっぱこーなったか。・・ま、いいか。」「鈴、無事だったか。」
「アルちゃんはかなり頑丈にできてるからね。お兄ちゃんも無事で何より。」「大したもんだよお前は。オイラが
勝てなかったんだから。」「えへ、私は勝つつもりだったんだけどぉ。さすがはシャッフルの一人だわ。」
「いいファイトだった・・またいつか、やろうぜ。」「うん。その時こそ・・」『負けないから!』ガキイッ!
ワアアアアーッ!『リ・ン・レイ!リ・ン・レイ!』「なんと、ネオチャイナ観客から鈴麗コールが。」
「拳の前には国は関係ないということじゃな。」「ほら鈴、声援にこたえてやんな。」「うん!」ワアアアーッ!

「おっ、そちらがお兄ちゃんのフィアンセ?」「え?いえ、その・・」「べ、べべ別にまだ、ここ婚約したわけじゃ。」
「いまさらなーに言ってんだか。売約済みなの認めてないの二人だけよ~。」『あう~・・(-o-;;』
「とゆーわけでセシルさん、お兄ちゃんを頼みますね。見ての通りのお調子者だけど。」「そうね・・たしかに
ファイトと料理以外はからきしダメなのよね~。」「でしょ。昔っからそーなんだから。」「おいおい鈴~。」
『おお鈴、息災でなにより。』「恵雲と瑞仙のじっちゃんたち、ひっさしぶり~。そーだ!ね、お兄ちゃんの料理、
久々にご馳走してよ。」『おおそれは良い考えじゃ。わしらにとっても鈴は可愛い孫も同然。ひさしぶりに旧交を
暖めようぞ。』「そうね、みんなで打ち上げパーティしましょうよ。私も料理手伝うから。」「きまり!さ、いこいこ。」
「おっとっと!・・鈴のやつ、アレンビーに性格が似てきたかあ?昔はもっとおとなしかったはずだったよな・・」

みなさんお待ちかね!あのキラルが再びドモンと激突します!
空間を斬る恐るべき次元刀に勝てるのか?キング・オブ・ハートに試練のとき!
次回、機動武闘烈伝ダブルGガンダム第三話
「燃えよ剣!次元刀の輝き」に、レディー、ゴーッ!

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「さてみなさん、今日のカードは待望の再戦です。ゴッドガンダムグレート 対 金剛マンダラガンダム。
あの第十三回大会屈指の名勝負がふたたび見られるのです。この日のためにキラルはヒマラヤですさまじい
修行を積み、ついに新たな必殺剣を会得したとのことです。それは空間そのものを切り裂く「次元刀」。
はたしてゴッドは強くなったライバルを相手に、いま一度勝利をつかむことができるのでしょうか?」

「それでは!ガンダムファイト!レディィィーッ、ゴオオーッ!」

第三話「燃えよ剣!次元刀の輝き」

「ドモン、聞いた?キラルの新技のこと。」「ああ。空間を斬る剣技・・さすがの俺も初めて聞く。」
「防御不可能。剣筋を読んで回避するしか手はないみたい。」「とは簡単にはいかんぞ。袈裟懸けでこられたら、
いくら俺でもかわしきれん。」「ゴッドシャドーでも?」「いくら分身しても、この空間に留まる限り同じだ。
やはり、先手をとって次元刀を使われる瞬間のスキをつぶすしかない。」「・・きわどい勝負ね。」

ヒュゥゥゥ・・ぴくっ。「ぬん!」シュピイイイーン!・・パチン。・・ズルッ、ガラガラガラッ!「いい調子だ。」
「ほう、それが次元刀か。」ヒヒヒーン。「いかにもマスターアジア。流派東方不敗、この剣技を打ち破ることが
できるかな?」「さて、な。それはドモン次第じゃろう。」「弟子が心配で私の練習を見に来たとは思えんが。」
「さよう、武闘家として空間を斬るという剣筋に興味を持ったまで。どうじゃ、茶でも一献。」「いただこう。」

ネオ浅草、茶房「五月雨亭」。「ごめん。」「いらっしゃいませ、マスター。いつもの席ですね。」「うむ。」「常連か。」
「ここは良い骨董を飾ってあって、茶も四川からの直輸入じゃ。スフィーどの、いつもの。」「かしこまりました。」
すっ、ぴた。「ほう、この花生けは古伊万里か。」「手触りだけでわかるか、さすがじゃの。」「私もけっこう好きな
ものでな。」「おまたせしました、鉄観音です。今日の茶受けはひぎ梅です。」「どうもリアンどの。」「ごゆっくり。」
コポコポ・・「ほう・・この香りは。」「いわゆる高級茶葉ではなく、無名のものから選りぬいたと聞く。」
「ここの主人はなかなかの目利きであるな。」そっ、ぴた。「湯の温度も熱すぎず、ぬるすぎず。茶の香気を
最大限に引き出す最適の温度だ・・この湯飲みも伊賀焼きの逸品。」「よい店じゃろ。」「贔屓にさせてもらおう。
さて・・本題に入ってもらおうか。」「うむ。さるお方からの要請があっての・・」「・・ほう、これは驚いた。
そのような大物が私などに会いたいと?」「ぬしの腕を見込んでのことじゃ。三日後に来るゆえ、会っては
くれまいか。」「実に興味深い話ではある。ぜひ会いたいの、「暗黒街の女帝」とは・・」「決まりだの。」

次の日、上野公園特設リング。「ドモンどの、お久しゅう。」「キラル、ついにきたか・・待ってたぞ、この時を。」
「うむ、拙者もこの日を待ちこがれておった。そなたとの闘い、この魂を燃やしつくす覚悟で臨みましょうぞ!」
「おお!俺も持てる力の全てをもってお相手しよう!」「両者、中央へ!」ザザッ!「構えい!・・始め!」
『ガンダムファイト!レディー、ゴー!』「ゴッドスラッシュ!」シュバッ!「むっ、前よりも疾い!」キィン!
「腕を上げたようですな。それでこそわが最良の相手!微塵斬!」ズバババッ!「ゴッドシャドー!」ボボオッ!
「分身回避か。さすが!」「バールカンッ!」ドルルルッ!「ふん!」キン!シュバババッ!・・パラパラ。
「やる!弾丸を斬るか。」「この程度の飛び道具、拙者には止まってるも同然!」「さすがだ。だが!」ダッ!
シュバッ!「なんの。」キィン!「そこだ!」ゴッ!バキーン!「ぐほっ!・・蹴りとは!」ザザザーッ!
「俺は格闘家なんでね、こっちが本業さ。」「忘れておったわ。ならば、呪縛封珠!」ジャラッ!ガシャーン!
「数珠?・・なにっ?!動きが・・鈍い!」ググググッ!『ドモン、その数珠は強力な磁石になってるわ!』
「それでか!・・」「もらうぞ!」シュバッ!「・・はああああーっ!」ギン!「とりゃあっ!」バチイイーン!
「ハイパーモード?!」シュバッ!「見えた!はいっ!」パシィィーンッ!「な、なんと!真剣白刃取り!」
「ちぇすとおっ!」ギュイン!ふわっ、ズダダダーン!「むぉっ!・・さすがはキング・オブ・ハート!」

「ふう、何とかきりぬけられたか・・だが、」「そう。勝負はこれから!」チャキッ。「・・いままでにない構え。
くるか、遂に!」「不敗の次元刀、どう受ける!」「・・ゴッドスラッシュ!」シャキーン!ぴたっ・・
ジリッ、ジリッ・・(ぬう・・間合いが定まらぬ。これがキング・オブ・ハートのプレッシャーか・・)にやっ。
すっ。「?・・なぜ構えを解いた?」「この構えでは打ち込めぬ。そう・・構えなど無用。」すぅっ・・
「これは・・まったくの無防備。」「さあ、どこからでも打ち込むがよい。」「・・その誘い、のってやろう!」
ドンッ!「ゴッドフィールド、ダーッシュ!」ゴオオオーッ!「・・これだ!」チキッ、「次元刀!」ピカッ!
シュパアアアーン!・・ザザザーッ!・・シーン・・「ど・・どうなったの?」「・・ぐおっ!」ズル・・ドドーン!
「ゴッドの右腕が!」ガクッ!「・・最後の瞬間に加速をかけ、肉を斬らせて骨を断つ。致命傷だけは避けて、
右肩に一刀もらう覚悟で踏み込むとは・・まさに捨て身。これだからゴッドとのファイトは楽しい・・」グラッ、
ズルッ!ドドーン!・・「金剛マンダラが胴体まっぷたつに!」「勝負あり!ゴッドガンダムグレート!」

「ふう。・・ありゃりゃ、こりゃひどいな・・ん?この切断面は・・」キラッ。「・・鏡のようだ・・キラル、
これは・・」「うむ。次元刀は文字通り空間そのものを斬る。その刃は限りなくゼロに近い薄さ。ゆえに無粋な
凹凸はできるわけはない。」「まったくあんたは大した人だ。こんなすさまじい技を使えるなんて・・」
「ドモン殿、お願いがござる。このゴッドの使えなくなったパーツ、記念に少々いただけまいか。」
「俺はかまわんが・・レイン、どうだ?」「どうせ丸ごと換えるから、かまいませんよ。ただし、無事な部品は
傷つけないようにね。」「感謝する。では・・」シュバッ!ピキィィーン!・・パシッ。「お見事ね。」

「では、またいつか再び闘いましょうぞ。」「できれば二度とごめんだね。次もゴッドがこんなになっちまったら、
レインに殺されちまうぜ。」『あら、次まで待つ必要はないわよ。』ズーン。「えっ?・・ライジングガンダム!」
「今回は政府からの給付金が少なくて、整備費のやりくりが大変なのよ。このダメージじゃあ、赤字決定よ。」
しゅぴん。ぎりぎり・・「だから!レイン!ライジングアローをこっちに向けるな!」「ここまでやられると、
ブッダキャリアーの設備だけじゃおっつかないから、外注いれなきゃなんないしー。・・こら!逃げるな!」
タタタタッ!「逃がさないわよ。ライジング・アロー!」シュバッ!「おおおっと!」ズドン!「こんなもの
直撃くらったらたまらん!三十六計だ!」「動きは読めてるわ。それっ!」シュバッ!「うわっ!」ズドン!
「・・あっぶな~。鼻先かすめた。」「何年つきあってると思ってるの?行動パターンくらいわかってるわよ。」
「う~む、さしものキングオブハートもカミさんにはかなわんか・・拙者も巻き込まれないうちに退散しよう・・」
「こら待てドモーン!」「し、ししょ~!助けてください!」「修行が足りぬわ。ワシは次のファイトに行く。
また会おうぞ(つるかめつるかめ・・)。」「し、ししょ~!そんな~!」「さあ、もう逃がさないわよドモン・・」
ズーン!ぎりぎり・・「必殺必中!ライジングアロー!」ズドーン!「ギョエ~ッ!」「ちっ!よけたか。もう一発!」

「会場はライジングの暴走で大混乱です。やはり噂どおり、真の最強ファイターはレインさんなのでしょうか。
あ、ドモン選手が放送席の方へ逃げてきました!こっちへこないで~!ライジングアローがこちらを向きます!
みなさん、命があったらまた次のファイトでお会いしましょう。さようなら~!」プツン!
「・・う~む、やはりカラト首相に掛け合って、もう少し予算を増やしてもらうか。ファイトのたびにこの
騒ぎでは、いくら表向きは不参加とはいえ、ネオジャパンの恥だからな・・」頭の痛いカッシュ博士であった・・

「あ~、スッキリした。さて、ネオ浅草にでも行って晩御飯にしましょ。ゴッドの修理は明日やっとくから、
ドモンはゆっくり休んでてね。」「ふぁ~い、わかひまひた・・」ズルズル・・
ボロボロになったドモンを引きずって、家路につくレインであった・・

二日後、茶房「五月雨亭」。「そろそろ時間か。」「もう来てますよ。」はっ。くるっ。「まさか後ろの席とは・・」
「キラルさんが来る前から座ってました。」「すぐに声をかけないのはさすがだ・・そなたが。」「そうです。」
「して私に用件とは?」「専属契約を結びたいのですが。」「・・条件を聞こう。」「年棒を払いますので、これから
他の仕事は引き受けないでください。そして任務前に準備金、達成時に成功報酬を。」「任務の頻度は?」
「不定期ですが、最低月イチ。」「こちらからも条件がある。任務の内容は背景まですべて説明されること。
納得のいかない任務は引き受けない。」「プロの基本ですね。こちらは了承します。契約書を作りましょうか?」
「不要だな。かりにも情報局長とあろうものが信用を違えることは有り得ぬゆえ。」「情報の世界で一番大事なのは
信用です。もし信用を裏切った場合、それは処刑宣告とみなされる・・ですね。」「釈迦に説法だったかな。」

「さて、キラルを雇うというこの女性はいったい誰なのでしょう?情報局長とは何のことでしょう?
すべてはいずれわかります。そう、この大会にも前回のように闇でうごめく勢力の存在を感じられるのです。
だがそれが「あれ」なのか、はたまた他の何かなのかまでは今はまだわかりません。ただひとつ言えることは、
どうやらマスターは全てを知って動いているということです。それは彼の再生にも関係あることなのか・・?」

みなさんお待ちかね!鈴麗はネオドイツの死神ガンダム、デス13と対戦。
死の霧が、そして死神の巨大な鎌が襲いかかります!そして試合後にはもうひとつの大事な闘いが!
次回、機動武闘烈伝ダブルGガンダム第四話
「ガラスの鎌?闘えシンデレラ」に、レディー、ゴーッ!

***************

「さてみなさん、今回のカードはあのアルトロンガンダムとネオドイツ代表・ガンダムデス13のファイトです。
今大会のダークホース的存在であるデス13。彼の放つ死の霧に動きを封じられ、なす術もなく首を刈りとられた
ガンダムは数多いです。もっとも、それら全てはマシンに頼りきったゆえの結果であり、真に実力あるものは、
様々な方法で切り抜けていますが・・ゆえに対戦相手にとっては、デス13との試合は自分の実力を計る試金石
ともいえます。ファイターのヴァーミリオン・シュトラウスもその点を狙ったがゆえの戦闘スタイルなのです。
そして今日、孫鈴麗もその実力のほどを試されます。はたしてどうなるか、注目しようではありませんか。」

「それでは!ガンダムファイト!レディィィーッ、ゴオオーッ!」

第四話「ガラスの鎌?闘えシンデレラ」

ドイツ・ベルリン。「ファイトは明日ね。ホテルにチェックインもすませたし、ベルリン観光でもしましょうか。」
ガヤガヤ・・「あれ?・・道に迷っちゃった。」きょろきょろ。「どうしましたか、フロイライン。」「え?」くるっ。
(うわ・・美形~。)「あの、このホテルに戻りたいんですけど。」「ああ、それならすぐそこです。案内しましょう。」

カツカツ・・(・・すぐって言ったのに、ずいぶんつれまわすわね。)ぴたっ。「みんな、上玉だ。」ザザッ。
「あ、やっぱりそういうこと。」「ここまでのこのこついてきたおまえがバカなのさ。」「どっちがバカだか。」
ヒュッ、ドゴオオオーン!「ぶはあっ!」ドガシャアアアーン!『なにっ?!』「相手をまちがえたわね。」
「このジャポネが!」ばっ!「破あっ!」ドカアアアーン!ギュルルルッ、ブシャアッ!「間違えないでね、
私は台湾よ。」「やっちまえ!」シャキン!「女の子相手にナイフ?ドイツ人もたいしたことないわね。」
『それは誤解ですよ。』「なに?」カツカツ・・ぴたっ。「こんな連中は国の恥です。ここは同国人である私が
責任をとりましょう。」「あんただれ?」「プロイセンの騎士道を奉ずる者です。・・きさま達は国の名誉を
汚している。恥を知れ!」「うるせえ!」ビュッ!ズバアアアーン!・・ボトッ!「・・腕がああああーっ!」
「・・鎌?!」「そのような汚い腕など無くてもよいだろう。」ビュン!「残りの連中も覚悟することだ。」
『・・ひええええーっ!』ダダッ!「逃がさないよ!」すっ。「ここは私が。」グン!ビュルルルルッ!
ズババババーッ!ヒュルルル・・パシッ。「鎌をブーメランのように?」「逃げるんだ!・・あれ?」ガクッ、
ぺたっ。『・・なんだ?』ひょい。・・!「俺の足首が・・なくなってる!」「あうあう、足が、足が!」
「これでもう悪さはできないでしょう。」「まあね。」「お詫びに一杯おごりましょう。」「未成年なんだけど・・」

ホテルのカフェ。「あなた強いわね・・名前は?」「いずれわかります。それより・・わざとついていきましたね。」
「まあね、ヒマだったから。」「つまらぬ連中を相手にしてはいけません。ファイターと常人では問題外です。
しかるべき強い相手にこそ使うべきですよ・・フロイライン孫鈴麗。」ふっ。「そうね・・ヴァーミリオンさん。」
「明日のファイトであなたの真の実力を試させていただきます。」「試金石のデス13・・おもしろそうね。」
「ではまた明日。勘定はあずかります。」すっ。「いいわ、自分で払うから。」「ここは男が払うのが基本です。
女性に金を使わせるなど男の恥です。」「・・いまどき珍しいわ。天然記念物モノね。」「せめて無形文化財と。」
「あはははっ、ちがいない!」ふっ。「それでは。」カツカツ・・「ほんと・・いまどきなかなかいないタイプね。」
ボウッ・・「?!・・なに?この反応は・・まさか!」ばっ!「・・いるの?私の「仲間」がどこかに・・」

ボウッ・・「これは・・そうか、そうだったのですか。」くるっ。「あの子も・・宿星を背負う者なのですね。」

旧議事堂前特設リング。ワーワー!・・「盛況ね。」「体調は万全ですか?」「もちろん。昨日のことはさておき、
試金石、ぶち割ってみせるわ。」「それでこそ。・・レフェリーが到着したようです。」ヒヒヒーン!パカッパカッ!
「むん!」ババッ!・・ザシャアッ!「ではこれよりネオドイツ代表・ガンダムデス13とネオ台湾代表・
アルトロンガンダムのファイトをとりおこなう。両者、中央へ!」ザッ!「礼!」さっ。「構え!」ババッ!
「・・始め!」『ガンダムファイト!レディー、ゴー!』「デスフォッグ!」ブシュウウウーッ!シュゥゥゥ・・
「これが死神の霧ね。センサーは・・使用不能。ならば。」スゥ・・「気配は・・」ビュッ!「まぼろし・・」
スカッ。「霧のスクリーンを利用してのフェイントね・・本体は・・そこ!」ビュオッ!くるっ、ピシィ!
「何と!・・鎌を指二本で止めるとは!」「破あっ!」ドンッ!スカッ!「外した?・・一瞬遅れたか!」
シュゥゥゥ・・「霧が晴れる?」・・ザッ。「この霧はもはや無用、本番はこれからです。アクティブクローク展開!」
ジャキーン!「ほう・・死神というより、悪魔のようなフォルムね。」「これこそガンダムデス13の真の姿です。
まいります!」ブァッ!「速い!・・迎撃!」ダダダンッ!「猛虎連撃!」ババババッ!「はっ!」シャシャッ!
「かわした?!」「それっ!」ブン!「おっと!」「地獄輪舞曲!」ビュオオオーッ!「何てスピード!あの巨大な
鎌を麻幹のごとく!」「フィナーレの時間です!」ゴォッ!「ならば!」ダン!ガギイッ!「なに?!」「昇龍撃!」
ズドーン!「うわっ!」ダダーン!「はあっ!・・うまくいった。」「・・逃げるところを逆に踏み込み、鎌の刃を
かいくぐってその肩で柄を受けるとは・・すばらしい。」「それでもちょっと肩甲骨にヒビが入ったけどね・・」
ズキッ・・「だが、私はまだ闘える。ギブアップしますか?」「ジョーダンでしょ。この程度でへこたれるガンダム
ファイターはいないわよ。」「そうですね。失言をお許しください。」「それはこの拳で語るべきことよ。」
「ではいきます!」ズオオオッ!「鎌の刃が巨大化した?!」「いくぞ、私の最高技!ダークシンフォニー13!」
ビュオオッ!「回避できない・・これだ!」バッ!ザキイッ!「ぐうっ!」「なんと!・・手で刺して止めた!」
「つかまえた!」ガキイッ!ギギギギ・・「しまった、これでは鎌が使えない!」「勝機!はああああーっ!」
ギーン!「この輝きは?!・・そうか,ハイパーモード!」「我が八極の拳は無敵なり!風火水月山地雷天!」
ボオッ!「右の拳に光が・・いかん!」「最高奥義!猛虎龍撃だーん!」カアッ!ドオオオーン!「くっ!」
バガアアアーン!「うわあああーっ!」ズザザザザーッ!・・「・・やるわね。とっさに鎌の柄で技のパワーを
削ったなんて・・」「・・鎌が砕けた。」「さあ、まだ終わってないよ!」くるっ。「レフリー、私は負けを宣言する。」
「なっ?!とっとっと!」ずでーん!「その宣言認めよう。この勝負、アルトロンガンダムの勝ちとする!」

「納得いかーん!説明しなさいよ!」「私のデス13の本質はこの鎌にある。この鎌しか攻撃武器はついていない。
これ無くして、バルカンと私の格闘術程度で君の八極拳に勝てる道理はあるまい。」「う・・そりゃあ・・ね。」
「私は誇り高き騎士。その剣ともいうべき鎌を砕かれては潔く剣を収める。」「う~・・なんかスッキリしないな。」
「それよりも、私はあなたが気にいった。私の鎌を砕いたのは、あなたが初めてだ。その強さ、そして美しさが
気にいった。ぜひ今夜のディナーに招待させてください。」「ディナー?・・そ、それってデートのお誘い?」
「そう解釈していただいて結構です。」「う・・(よく見りゃ好みのタイプ。礼儀正しいみたいだし・・受けて
みようかな?)それでその・・ディナーって?」「私のいきつけのマキシムで。」「ま、まきしむぅ!・・あ、私
ドレス持ってない・・」「カジュアルな服でいいですよ。私の貸し切りですから。なんなら、シャネルのドレスと
コーディネーターをよこしましょう。私のリムジンがお迎えにいきます。」「か、かしきり、しゃねる、りむじん・・
くらくら。(こ、これって・・玉の輿の大ちゃーんす!) は、はい!何でもおまかせしちゃいます~!」

「侯爵様、お連れ様がいらっしゃいました。」「うむ。・・おお、美しい・・」(ほっ。八極拳で摺り足に慣れてて
よかった・・)「それではアペリティフを。」「はい?」「食前酒ですよ。」「未成年って前に言ったはずだけど。」
「ディナーくらいはいいでしょう。」「それもそうね。じゃ、チンタオビール。」どんがらがっしゃーん!
「あはは・・残念ながら置いてないようです。じゃ、僕が選びましょう。」「は、はい・・(まずったかな?)」

「それでは、お互いの健闘を祈って・・」「乾杯。」チーン♪「ファイティングスーツ姿も美しかったですが、
ドレスアップしたら、さらに輝くようですね。」「黙ってれば美少女って師匠によくからかわれたものです。」
「いえ、現代を生きる女性は強くなければいけません。その強さが美しさをさらに引き立たせると思います。」
「うーん・・たしかにネオスウェーデンのアレンビー先輩なんか、国際的アイドルだものね。CDまで出したし。」
「やはり彼女に触発されてファイターに?」「あれで女性でもやればできるという認識が広まったのは事実ね。
それ以前は国の代表に女性など論外というのが大方の世論だったから。」「明らかなセクハラですね。しかし
たしか第七回大会ではネオロシア代表が女性でしたね。」「トリス・スルゲイレフ。アレンビー先輩までは唯一の
女性ファイターです。」「そしてシャッフル同盟の先代ブラック・ジョーカー・・ですね。」「シャッフル同盟・・」
「あの紋章についてですが・・」ぴくっ。「・・いえ、なんでもありません。」「お待たせいたしました。前菜の
キャビアでございます。」「さ、いただきましょう。」「これがキャビアか~。」ぱく。「・・うえ、塩からい~。
こんなもんが珍味なの?西洋人の味覚はわからんわ。」「そこまではっきり言う方も珍しいですね・・同感です。」
「決勝大会はネオジャパンよね。ならもしそこで会えたら、これよりうまいカラシ明太子ごちそうするわ。」
「ほう、赤いキャビアと呼ばれる。しかしあなたはネオ台湾では?」「九州すぐそこだもの。輸入されてるのよ。」

食後酒時・・「非常に失礼とは思いますが、あなたに是非お願いがあります。」「はい?」「・・大会終了のあと、
私の妻になってくれませんか?」「・・あの、いま何て?」「結婚してください。」「え・・ええっ?!でもわたし
まだ15だし、法律では結婚は17からじゃないと。」あせあせ。「それまで待ちます、婚約者として。」「あ~・・
なぜわたしを?」「強さと美しさ、なによりまっすぐな気性です。まずいものをまずいと言える方は貴重です。
普通なら体面を気にして取り繕うところですが、あなたは実に素直です。そういう伴侶を私は求めていました。」
「誉められてる気がしないのはなぜ?・・ところでヴァーミリオンのお年は?」「ヴァームでいいですよ。24です。」
「・・許容範囲ね。」「は?」「いえ、なんでも。」「お返事は今すぐでなくていいです。いつまでもお待ちしてます。」
「オーケー。」「・・いまなんと?」「だから、おっけい。とりあえず予約だけはかけときましょう。」「即断ですね。」
「ぐだぐだ考えるのキライだし、客観的にヴァーム以上にランク高い男が出てくる確率はありえないし。」
「しかしまだ私のことも話してませんよ。」「必要ないわ。今までの言動で、いいとこの出で爵位も持ってて、
さらに富豪だってわかった。これ以上何を望むというの?」「これは・・頭もかなり回りますね。私の目に狂いは
なかったようです。」「バカではガンダムファイターはできないわ。格闘バカは例外としてね。」「たしかに。」

みなさんお待ちかね!大自然の巫女と伊賀忍者。異色のファイター同士が闘います!
恐るべき忍法を操る服部半蔵に、勝てるかナコルル!
そして謎の女性、ナディアとは何者なのか?
次回、機動武闘烈伝ダブルGガンダム第五話
「風と影!恐怖のモズ落とし」に、レディー、ゴーッ!


第一部 第1話~第11話

「さてみなさん。ガンダムファイトに出場する国家は、世界の覇権を賭けて闘っているのはご存知のとおり。

しかし、史上初めて覇権に関心のない組織が今大会にエントリーしてきました。それは少数民族連合。

この国際組織は、滅びゆく世界の少数民族たちが団結し、民族と文化の保護・救済を目的にしたものです。

某大企業の後援もあり、今回のガンダムファイトには世界の仲間たちへの激励と、地球自然の保護を骨子とした

今大会の方針に賛同しての連合の広報活動のために出場しています。

 

なるほど、人類最大のイベントであるガンダムファイト以上の宣伝の場はないでしょう。

もし勝ちぬけばそれだけアピールすることができます。」

 

「その代表となったのは意外や意外、アイヌの少女です。連合内での選抜武闘大会でネイティヴアメリカンや

エスキモーといった強豪を実力で退け、出場権を得たのです。その戦闘スタイルは剣術に鷹との連携という

今までにないもので、超絶の機動力で相手を翻弄し、疾風のごとき高速連撃でしとめるものといわれています。

ファイターは鷹匠の少女ナコルル。アイヌの伝説にあるアペフチカムイの化身ともいわれる巫女です。普段は

大自然と語りあう清楚で可憐な少女ですが、いざ闘いとなると修羅の剣士となり、相棒の鷹「ママハハ」と共に

巨大な熊さえ倒します。その小柄な身体に秘めた瞬発力と爆発力はパワーファイターでも苦戦は必至でしょう。

その乗機、カムイガンダムが今大会の台風の目となるだろうと専門家の意見も一致しております。」

 

「対戦相手はこれも異色の忍者ファイター、ネオサンマリノ代表の服部半蔵あやつるコーガガンダム。

え?忍者とサンマリノとどういう関係だと?ここでちょっとガンダムファイトの裏事情を説明しましょう。

ご存知のとおり各国代表はただ一人のファイターとガンダムです。しかし代表選考会では代表と同等かそれ以上の

得る実力を有する者でも運に見放されることはよくあります。そして逆に、参加はしたいが有力な武闘家がいない

国というのも確かに存在します。そういった国は各国の選考会で惜しくも落ちたが有力な選手をスカウトし、

代表選手として登録するケースが多いのです。いわば大リーグでがんばる日本人選手と同じですね。

そして服部半蔵といえば誰でも知ってる伊賀忍群の棟梁。歴史ある日本忍術を披露してくれることでしょう。」

 

「それでは!ガンダムファイト!レディィィーッ、ゴオオーッ!」

 

第五話 「風と影!恐怖のモズ落とし」

 

サンマリノ国際空港。「ここがサンマリノか・・えっと、たしか連合ローマ支部の方が迎えに来てくれてるはず。」

キョロキョロ。「お待たせしちゃった?」ぎくっ!バッ!「・・あなたは?」「少数民族連合ローマ支部の者よ。

ガンダムファイターのナコルルさんね。お待ちしてましたわ。」「よ、よろしくお願いします。」ぺこっ。

(・・まったく気配を感じさせないなんて。いったい何者なの?)「車はこちらよ。荷物を持ちましょう。」

「いえ、これだけなのでだいじょうぶです。」「ではこちらへ。」「あの・・お名前は?」「ナディアでいいわ。」

 

ブロロロ・・「・・失礼とは思うけど、あなたがなみいる強豪をことごとく倒した連合最強の戦士とはとても

信じられないわ。」「そう思われるのももっともです。私自身、無我夢中で気がついたら頂点に立ってましたし。」

「ひとつ聞きたいんだけど、なぜあなたのような優しそうな子が出場したの?」「・・自分で出来る何かをしたい。

もし私が闘うことで世界の仲間に誇りと勇気を与えられるなら・・それが動機かもしれません。」「なるほどね。

けど勝負の世界は非情よ。どんな背景や理由があろうとも、強いほうが勝つ。それがファイターの鉄の掟。」

「そして勝者は敗者の魂を背負って次の戦いに臨みます。相手の敗北をムダにしないために。」「・・いい答えね。

あなたが勝ちぬいてこれた理由がわかったわ。」にこっ。「もうすぐ宿泊先のホテルよ。長旅の疲れを癒してね。」

 

その夜、街の小さな料理店。「このお店ならあなたの口にも合うでしょう。なんにする?」「うーん・・メニューが

よくわからないので、おまかせします。」「いいわよ。嫌いなものある?」「いえ、出されるものは何でも食べます。」

「それならここのカンバン料理がいいわね。無地のピザとバジリコパスタ、それに鱒のハーブ焼きを。」「はい。」

「ところで・・ナディアさん、ひとつお聞きしたいのですが。」「なに?」「あなたは何者ですか?」「言ったでしょ。

ローマ支部の者だって。」「とぼけないでください。・・足の運び、目の配り、手の置く位置にいたるまで普通の人

には決してできない洗練さで、なおかつ一片の隙もありません・・しかもそれはうわべではなく、ごく自然な

動作として身についてます。そのような方は、ある種のプロフェッショナルだけです。」「・・さすがね。ダテに

ガンダムファイターとは名乗ってないわね。いかにも私はナコルルの想像する職にある人間よ。」すっ、ぱさ。

「名刺?・・これは!」「それが本物。」「・・あながちウソでもなかったんですね。」「ローマ支部に事情は話して

あるわ。今回の目的は・・査察よ。」「査察?」「明日のファイト如何で、話すべき内容が変わってくるわ。」

「・・いわば資格試験ですね。」「そんなに堅苦しいものじゃないわ。どこまで話すべきかの見極めよ。」

 

「さて、ホテルに戻りましょうか。」「どうもごちそうになりました。」「いえいえ。ところでガンダムは?」

「ママハハが空輸してますから、明日にはリングに着いてるはずです。」「ママハハ?」「私のパートナーの鷹です。」

「ああ・・そういえば鷹匠だったわね。」「勝ちぬいてこれたのは私だけの力ではありません。ママハハが共に

闘ってくれたおかげです。」「ご謙遜ね。主人の力量があったればこそよ・・そこ!」チャッ、シュピーン!

『おっと。』ぴた。「気づいてた?」「こちらから仕掛けようとは思いませんでしたが。」『ボールペンを手裏剣として

投げるとは・・ただのサポートクルーではござらぬな。』・・バサッ!「迷彩布で壁に隠れてたのバレバレよ。」

「もしやあなたが?」「ご無礼つかまつった。拙者こそネオサンマリノ代表、服部半蔵でござる。よしなに。」

「こんな夜更けにわざわざご挨拶に?律儀な方ね。」「一度顔を見ておきたくてな。そなたが明日の対戦相手か。」

「ナコルルと申します。明日はよろしくお願いします。」ぺこっ。「うむ。・・しかし意外でござった。強豪とは

聞いておったが、まさか貴殿のような少女だとは。」「見かけで判断すると痛い目みるわよ。」「いかにも。ときに

貴殿は?」「少数民族連合ローマ支部員。名前はどうでもいいわ。」「・・いつかどこかで会った気がするのだが。」

「他人のそら似でしょ。」「・・まあよい。これが用件だ。」ぱさっ。「書状?」カサカサ・・「・・!」はっ!

「なに?・・!」『ネオナチスのテロリストがファイターを暗殺し混乱を呼ぼうとしておる。注意せよ。』

「ゆえにホテルまで護衛つかまつる。この国内で勝手なマネはさせぬ。」「ご忠告は感謝しますが・・」くるっ。

「少し遅かったようね。」「六人でござるか・・」ザザッ。チャキチャキッ。「機関銃ですね。」「ムダなことを。

我らに銃など通用せぬ。」「二人とも明日にそなえてムダな戦いは避けるべきよ。ここは私にまかせて。」パチン!

シャシャシャッ!ズバズバッ!『ぐわっ!』「えっ?」「なんと!」バタバタッ。・・シャシャッ。「片付けて。」

こく。シャシャシャ・・「・・消えた。」「今のは・・おぬし、忍びを?」「私があずかった人物は守りとおす、

それだけのことよ。」「・・いったい何者なのだ。」「やはり・・」「さ、眠いから帰って寝ましょうか。半蔵さんも

用件は解決しましたから、また明日に。」「・・うむ。ではさらば!」ボン!・・「さ、戻りましょう。」「は、はい。・・

ナディアさん、今のは?」「私専用のシークレットサービスみたいなものね。仕事がら、いつどこで襲撃を受けるか

わからないから、護衛はごく当然でしょ。」「・・たしかに。あの肩書きなら。」「あちこちに敵多いからね。」

 

次の日、サンマリノサーキット特設リング。「いい天気でよかったわ。」「ガンダムは届いてますね・・あっ。」

バサバサッ!ピキイッ!「ごくろうさま、ママハハ。」「その鷹がそうなの。」くるっ、キラッ。バサバサッ!

「ママハハ?・・いけません!」「あら。」バサササッ!ピキイッ!「ふ・・」・・ギン!ビクウッ!バサバサッ!

「ナディアさんへの攻撃を中止した?」バサバサ・・すとっ。「どうやら敵ではないとわかってくれたみたいね。」

「・・いえ、今の反応は・・恐怖でした。もし攻撃を止めなかったら殺されていたのは・・ママハハです。」

「まあウオームアップにはなったでしょ。私はピットで観戦してるから、がんばってね。」くるっ。「・・はい。」

ピキイッ。「・・だいじょうぶよ。あの人は底知れない恐ろしさがあるけど、けっして邪悪ではないから。」

 

ボン!モクモク・・「お待たせもうした。」「コーガガンダム・・では始めましょう!」ターン!・・パスッ。

「モビルトレースシステム作動!」ギュルルル・・ビチビチビチッ!「くううううっ!」ビチビチ・・ピシッ。

「はあっ・・はっ!」ギュン!「はいっ!」ギシイッ!「はああああーっ!カムイガンダム!」ビシイッ!

 

「さてさて、始まりね。どうみる?シャドウ。」『うむ。この試合、なかなか興味深いものになる。』スゥ・・

「はたしてあの子にアルカナの戦士たる資質があるかどうかね。」「そうだな。ファイブカード「戦車」としての。」

 

「これよりカムイガンダム対コーガガンダム。両者、前へ!」ザッ。「礼!」すっ。「構え!・・始め!」

『ガンダムファイト!レディー、ゴー!』「爆炎龍!」ゴォッ!「ママハハ!」パッ。「カムイムッペ!」ビュッ!

ズバーン!「?・・違う!」ころん。「木切れのダミー。本体は?!」はっ!「うつせみ天斬!」「上ね!くっ!」

カキーン!「着地のスキを!アンヌムッペ!」ドン!ゴオオオーッ!「影!」スカッ。「かわされた?!」

「烈風!」シャァァッ!「手裏剣ね!カムイリュッセ!」バサァッ!「ビームクロスで手裏剣をからめとった?」

「返すわ!」ビュッ!「むっ!」ひょい、スカカカッ!「そこ!レラムッペ!」「しまった!」ズバババーン!

「うおっ!」ズドドーン!「や・・やりおる。」「とどめ!アンヌムッペ!」ゴォッ!「させん!影分身!」バーッ。

「分身?・・どれ?」「ここだ。」ガシッ。「後ろ?しまった!」「もらうぞ!モズ落とし!」ダアアアーン!

「な、何て跳躍力!カムイをかかえたまま!」くるっ、ゴオオオオーッ!「滅せよ!」ズドドドーン!「きゃあっ!」

 

「あらら、終わっちゃったかしら?」「いや、この程度で終わるとは思えん・・む?」「へえ・・やはり、ね。」

 

ズズズ・・ボオッ!シュタッ。「レフェリー、勝負はつき申した。ご裁定を・・」「いや、まだだ。」「なんと?・・

はっ?!」グググ・・「・・噂に聞いたモズ落とし・・恐ろしい技ね・・」「ばかな?何故立てる?!」「激突の一瞬、

咄嗟にビームクロスを頭部にあてがいクッションとしたの。でも、それでも脳震盪をくらったわ・・」

「・・ナコルル殿。そなたと闘えたこと、半蔵一生の名誉としようぞ。では!」「続けましょう!」「影分身!」

バァァッ!「また分身・・ママハハ!」ピキイッ!バサバサッ!「たあっ!」ターン!はしっ。バサバサバサッ!

『モビルホークにつかまり空中へ逃げるか。だがその体勢ではビームマキリも使えまい。この勝負、もらった!』

ダダーン!『分け身連斬!』「・・一直線に並んだ!いま!カムイムッペ!」ドンッ!『なにっ!あの体勢から!』

スカカッ!「1、2・・」ザギッ!「3つめ!」ズバアアアーン!「うぉぉぉっ!不覚!」ダダーン!ザザーッ!

「とどめます!アペフチカムイリュッセ!」ゴオッ!ババババッ!バシバシバシッ!「たあっ!」ズバアアアーン!

「ぬおおおーっ!」ズガガガガーッ!・・ゴォォォ・・「勝負あり!カムイガンダム!」「ふぅ・・よかった。」

 

「よし。まさに「戦車」にふさわしいわ。」「まだ未熟だが、まずは合格点だな。」「そうね。まあこれからよ・・」

「どうしたナディア?」「・・いえ、ちょっと妙な気がしただけ。気のせいでしょう。」「・・実は自分もだ。」

「シャドウも?」「うむ・・いまひとつの反応を感じたような気がした。」「・・近くにもう一人いるとでもいうの。」

 

「ごくろうさま。みごとな勝利よ。」「なんとか勝てました。」「では約束どおり・・ん?半蔵さん?」「今回は拙者の

負けでござるが、楽しい闘いでござった。」「ありがとうございました。またいつか闘っていただけますか。」

「うむ、その時こそお返しさせていただこう。さらばだ!」ボン!「あの人、次はさらに強くなってくるわよ。」

「私がそれ以上に強くなればいいことです。」「!・・いい気迫だわ。それでこそ「資格者」にふさわしいわ。」

 

「さて、ホテルに戻って説明するわ。」「はい。」ボン!『半蔵さん?』「一つ大事なことを忘れておった。ナコ殿。

ぜひうちの息子の嫁になってくれんか?」「はあ?」「え・・ええっ!」「わしはそなたのような強くて優しい女性を

捜しておったのだ。」「ち、ちょっとそんなやぶからぼうに!」「こりゃまたいきなりね~。」「うちの息子は父親の

ワシが言うのも何だが、いい男だぞ。」「私はまだその気はありません!まだ17だし、ファイトをつづけなきゃ

いけないし、使命もあるし、」「ほれ、これが真蔵のビデオフォトだ。いい男だろ?」「あら♪」「あら、けっこう・・

って、人の話を聞いてませんね!」「ほら、予備があるから持っていってくれ。その気になったら裏のナンバーに

連絡してくれ。」「強引なんだから・・まあ、一応はもらっときますが。」「あ~・・悪い気はしないってことね。」

「それでこれが式次第だ。」『勝手に縁談を進めるな~!』「新婚旅行は海外がいいかな?」「ナコちゃん、こっち。」

ぐい。タタタタ!「あ、おい、どこへゆく!」「たく、親バカちゃんりんにつきあってられないわ。」「そうですね。」

 

その夜、ホテル。「・・ということ。」「・・姉さまは承知の上ということなのですね。」「半年前くらいに話したわ。

それからは協力してくれてるわ、彼女なりにね。」「そして・・妹も。」「ええ・・でもまだ若すぎる。戦士としては

まだ経験が必要ね・・あなたも。」「はい。・・他の方は?」「・・それは極秘よ。自分で識別して。」「・・はい。」

 

みなさんお待ちかね!アレンビーの相手はあのハンス・ホルガー!

海神ポセイドンガンダムの怒りがノーベルガンダムVをバルト海の藻屑とするのか!

アレンビーの新必殺技、爆殺ノーベルダイナマイトが炸裂します!

次回、機動武闘烈伝ダブルGガンダム第六話

「バルト海波高し!海神の怒り」に、レディー、ゴーッ!

 

************************************************

 

「さてみなさん。今回のカードはみなさんよくご存知のアレンビーとハンス・ホルガーの対戦です。

ノーベルガンダムは改良され、名称に「V」がつきました。これは「VICTORY」の略ということですが、

賢明なみなさんはもうおわかりですね?今回はさらにアレンビーの部下たちも出ますのでお楽しみに。」

「さてマーメイドガンダムですが、さすがにあの格好は自国民の評判も良くなかったようで、デザインを一新。

まさに海神のような精悍なフォルムに生まれ変わりました。名前も変わり、ポセイドンガンダムです。

海中では敵なしの高性能は従来のままですが、陸戦能力もかなり向上したとのことです。これは要注目!」

 

「それでは!ガンダムファイト!レディィィーッ、ゴオオーッ!」

 

第六話「バルト海波高し!海神の怒り」

 

コペンハーゲン港。ボオオオーッ!「う~ん、やっと着いた。」「リーダー、キャリアーをフェリーから

降ろしますからそこどいてくださーい!」ゴオオオオ!「おっとっと。ごめんごめん。」ブロロロロ!

キキイッ。「それじゃみんな整列。」『はい!』タタタッ、ザッ。「点呼!アリシア・シルバームーン空軍少尉!」

「はい!」「レイ・サラマンドラ陸軍少尉!」「はい!」「アニー・オンディーヌ海軍少尉!」「はい。」

「マコ・トライデント特殊部隊少尉!」「はい!」『特殊戦技研究隊、総員四名集結しました!』ザッ!

「よろしい!ノーベルVは明日の試合までこの倉庫に保管するわ。レイ。」「セキュリティチェック問題ありません。」

「アニー。」「電子系点検済みです。明日試合前にもう一度チェックします。」「マコ。」「駆動系および武装系、

点検完了です。」「アリシア。」「動力系異常なし。エネルギー充填率0.5%でサスペンド中。」「よろしい!明日は

0830にここに集合。起動点検を1000までに終わらせ、本番は1100。質問は?」『ありません、アレンビー少佐!』

「よし!・・さて、遊びにいきましょ。」『はーい!』「アニー、ホテルは?」「ダム広場のすぐ近くです。」

 

ダム広場。カンカンカン・・「リングまだ建設中なのね。」「あとちょっとみたいですね。」「広場に面した海を

うまく使ってますね。地の利はポセイドンに有利です。」「フランチャイズは準備タイヘンだから、それくらいは

大目にみなくちゃ。」「でも明日の試合めあてにかなりの観光客が来てるみたいですよ。」「ガンダムファイトの

フランチャイズは観光収入が見込めるから開催費用のモトはじゅうぶんにとれてるみたいですよ。」くりくり。

「アニー、モバイルで見たの?」「ガンダムファイト国際委員会のコンテンツにそう書いてますね。」

 

『・・あの~。』「え?」くるっ。「もしかしてアレンビーさんですか?」「そうだけど?」『きゃああああーっ!』

「ホンモノのアレンビーさんだあ!」「カンゲキ~!」「ああ・・ファンの子たちね。」「サインください!」

「握手してください!」キャアキャア!「はいはい。ファンは大事にしなくちゃね。色紙とサインペンは?」

「うわ~、リーダー人気者。」「少佐は全ヨーロッパの女の子の憧れのマトだものね。」「そういうあたしたちも

数年前までああいうカンジだったよね。」「あこがれの少佐と同じ職場に配属されて有頂天だったわね~。」

「今じゃすっかり慣れちゃったね・・少佐の実体を見るにつけ。」「あんなにズボラだとは思わなかったよね~。」

「そうそう。寝坊だしろくにお化粧もしないし大食いだし。」「メイク教えたのあたしが初めてだってんだから。」

「しょせん虚像と実像はまったく違うということね。ばかっ強いのはそのままだけど。」すこここーん!

『あいた!(☆o;)』「本人のそばで悪口とはいい度胸よ。さ、メシにしよ。」『は~い。あいたたた・・』

 

広場近くのレストラン。ガヤガヤ・・「・・ガラスにいっぱい貼りついてるよ~。」「落ち着かないんですけど。」

「慣れよ慣れ。有名株だと思えば腹もたたないわ。」「ではもっと落ち着けるところにご案内しましょう。」

『えっ?』「こんにちは。」「・・だれ?」「あれ?どっかで見たよーな・・」「ギアナ合同自主トレ以来ですね。」

「よ、おひさね、ハンス。」『ええっ?!ハンス・ホルガー!』ガタガタッ!「おぼえててくれましたか。」

「髪型変えたのね。男前あがってるわ。」「これはどうも。明日のファイトは楽しみにしてましたよ。」「こっちもよ。

決勝大会ではかち合う機会がなかったし。セシルちゃんはお元気?」「今はサイサイシーのところに花嫁修業に

行かせています。」「あらま、思い切ったものね。」「他の男ならともかく、サイシーなら信用できますし。」

「たしかにね。あいつはそーゆーとこすっごくオクテなのは確実だしね。」「そこもお見通しのうえです。さて、

河岸を変えましょうか。」「いいとこある?」「海に面したところが。そこならファンも近寄れません。」

「いいね。うちの若いのも同行させていい?」「かまいませんよ。こちらです。」『すいませーん。』ゾロゾロ。

 

ザザーン・・「・・たしかに海が見えるいいとこだけど。」「ここって・・(-_-;;」「前よりさらに緊張するよ~。」

「ようこそアレンビー殿。ネオデンマーク王として歓迎いたしますぞ。ささ、めしあがれ。」「は、はい。」

「まさか王宮だなんて・・」「すみません。王室がアレンビーさんの大ファンでして、どうしても会いたいと。」

「国王陛下、ご招待くださりありがとうございます。このアレンビー・ビアズリー、光栄のかぎりに存じます。」

すっ。「丁寧な挨拶いたみいる。明日のファイトでは全力を尽くしてポセイドンガンダムを倒してくだされ。」

「僕からもよろしく頼む。もちろん僕もノーベルVを破る所存だ。」「誰もが満足のゆくすばらしいファイトを

お見せいたしましょう。」「うむ!本国での滞在費はすべて王室が面倒をみよう。侍従長、そのように。」

「ははっ。滞在先のホテルに国賓級のサービスをするよう申しつけます。」「あ、あの、お願いがあるのですが。」

「なにか、王女さま?」「サインをいただけません?」「お安い御用です。」サラサラ。「どうぞ。」すっ、ぽふっ。

「え?」「ああ・・夢にまでみたこの瞬間。」きゅっ。「え、えと・・」「すまぬの~、ちと熱の入れ方が高くての。

どうしても会いたかったと。」「は、はあ・・(-_-;;」ひそひそ。(それでわざわざ招待したのね。)(国王さまも

けっこう親バカなのね~。)「アレンビーさま、強く抱いてくださいませ。」(げげっ!あたしそっちのケはないん

だけど~。・・まあお礼と思って。)ぎゅっ。「ああっ!幸せですわ~!」(やれやれ・・まあこれも公務かな。)

 

帰り道。「まったくさ~、とんだ目にあったわ。」「すみませんでした。国王陛下の願いはさすがに拒否できなくて・・」

「ハンスは悪くないわよ。まああのくらいで滞在費タダにしてもらうんなら。」「リーダー・・ちょっとあたしにも

やってもらえません?」「アリシア?・・あんたもそっちのケ?」「少々。」「・・いいわ。おいで♪」すっ。

「リーダー!」ぽふっ!『うわ~・・』「なんかアブない図ね。」「ああ・・やっぱりリーダーの身体は気持ちいい。」

「・・もっと気持よくしてあげよっか?」「え?」がしっ!メキメキメキ!「ぎょええええーっ!いてててて!」

「ざけんじゃないの。あたしゃオトコと抱き合うほうが好きなんだから。」ミリミリミリ!「いたたた!でもなんか

キモチいい~!でもいたーい!」「あんたどっちやねん!」「ああ、痛いのとキモチいいのがないまぜになって

相乗してるのね。」「拷問が快感になるのと同じ感覚だね。いわばM。」「リーダー、それは逆効果ですよ。」

「あらそう?」ぱっ。「はあはあ・・なんか目覚めちゃいそう♪」『おいおい・・』「あ~、気持ちわりかった。

あたしの感性には合わん。・・ちょっとハンス。」こいこい。「僕ですか?」「口直しに抱かせて。」「ええっ?!」

「ちょっと抱きしめるだけよ。ベアーハッグしないから。」「ま、まあいいですけど・・」すっ、ぎゅっ。

どきどき。(・・女の子にこうされるのは初めてだ。)「うん、やっぱこれが自然だわ。(無頓着)・・ん?」

「どうしました?」「ハンス・・けっこういい筋肉つけてるじゃない。」「そりゃガンダムファイターですから。」

「鍛え方は?」「主に水泳です。海峡往復が日課ですね。」『ええっ?!』「ここの海峡の潮流で!」「普通なら

流されて土左衛門ですよ!」「普通なら、ね。」「なるほど、潮流に負けない筋力と運動能力、それに持久力・・

それでネオデンマーク代表なのね。おし、気に入ったわ。」「なにがです?」「明日のファイトであたしに勝ったら、

彼女になったげる。」『なっ?!』「・・いいんですか?」「ただいま彼氏募集中なの♪よく見たらハンスけっこう

美男子で上品で強そうだしね。隣国にこんないい男がいたとは灯台もと暗しだったわ。」「積極的ですね~。・・

いいでしょう。そのカケのりましょう。」「ハンスが負けたらどうするの?」「僕を好きにしていいですよ。」

「おっし!これでやりがい出てきたぞ~。」「それではまた明日、リングで。」「ええ。リングで、ね♪」

 

「リーダー、あんなカケしちゃっていいんですか?」「たしかにハンスさんはちょっと美形だしファイターだしで

文句ないですけど・・」「負けちゃったら彼女になるしかないんですよ!それでいいんですか?」「いーの。

どっちにコロんでも得するのはあたしだから。」「・・どういう意味です?」「負けたら彼女、勝ったらハンスを

彼氏にするの。」『・・ああっ!』「なんだ、それじゃカケにもなんにもなってないじゃないですか・・」

「いいや、大事なことよ。どっちがイニシアティブをとるのかは将来にかかる大問題。勝てばカカア天下、

負けたら亭主関白。」『そこまで話をすすめるな~!』「・・あっ!じゃあハンスさんはすべて承知で!」

「そゆこと♪まあファイター同士の告白ってのはああいうもんよ。」『・・なるほど。』「さっきのはハンスさんへの

挑発もしくは誘惑でもあったんですね・・」「いくらあたしが無頓着でも、抱き合う男くらいちゃんと選ぶわよ。」

 

次の日、ダム広場特設リング。「へえ、あれがポセイドンガンダムね。前回の半魚人と違ってカッコ良くなったね。」

「水陸両用を重点においてるようですね。さすがにあのマーメイドは国民からも嫌われたそうですから。」

「デザイナーは国家反逆罪ものよね、たしかに。」「ノーベル乗ってるリーダーにだけは言われたくないですね。」

「アニー、なんかいった?」「各部点検終了。ハッチ閉めます。ご武運を。」ぴしっ。「まかせて。」ぴしっ。

 

「ではこれよりポセイドンガンダム対ノーベルガンダムV。両者、かまえ!」ザッ!「・・はじめ!」

『ガンダムファイト!レディー、ゴー!』「トライデント!」ドビュビュビュッ!「見える!」ダッ!「それっ!」

ブン!「回し蹴りなど!」すっ、スカッ!「ダッキング?!しまった、体勢が!」「おりゃっ!」ブン!バーン!

「うぐっ!」「トライデントの柄で突き上げ!」「海に落ちるわ!」「・・なんの!ビームリボン!」シュパッ!

キリキリッ。「なにっ?巻きついた!」「ありがと!」グン!ザシャッ!「うまい!リボンでリングに戻ったわ!」

「こんなリボン!ウォーターメス!」シュバッ!スパパパッ!「スキあり!スパイラルレインボー!」ダン!

ゴオオオッ!「しまった!」ズバアアアーン!「うわっ!」「海へ落ちるよ!」「再上陸にスキができるわね。」

「・・こっちだ!ビームネット!」シュバッ!バサッ。「しまった?!うわっ!」グググッ!ザバアアーン!

「いけない!海中に引きこまれたわ!」「まずい、水中ではポセイドンガンダムの本領が発揮されるわ!」

「舞台は海中に移ったか。むん!」ダン!・・ザパアアアーン!ゴボボボボ・・「さてどこに・・あそこか。」

 

「シャークモード!」シャキシャキーン!「水中ジェット!」ゴオオオーッ!「速い!うわっと!」ゴオオッ!

「くっ、なんとかしないと!」「いくぞ!」ゴオッ!「見切った!はぃっ!」シュルッ。「リボンをからめた?」

「ほらよっと!」「背中に?振り落としてやる!」ゴゴゴゴッ!「こいつはちょっとしたロデオ気分だね。

はいよっと!」バキッ!ガクガクッ。「右推進部が・・くそっ、しょうがない!ゴッドモード!」ジャキジャキン!

 

ザバーッ!「上がってきたよ!」「これで決まりそうね。」ゴゴゴゴ・・「ポセイドンのバウスラスターが?」

ドドドドド・・「海が・・盛り上がる!」「ポセイドンウェーブ!」ドバーン!『うわあっ!』「大津波?!」

ドゴゴゴゴ!「あんな水圧をうけたらノーベルとてスクラップよ!」『リーダー!』「・・はぁぁぁーっ!」

ビーン!『ハイパーモード!』「私のこの手が炎に染まる!勝利をつかめと爆炎上げる!ぶあああーくさつっ!」

カアッ!「バーニングゥ、フィンガァァァーッ!」ゴオッ!ドパアアアアーン!『きゃああああーっ!』

ズバアアアアーン!「なんと?!津波を真っ二つに割っただと!」「もらったぁっ!」ゴオオオーッ!

「させるか!トライデント!」ドンッ!フッ・・スカッ!「消えた?・・はっ?!」「ノーベル・ダイナマイトォッ!」

ゴオッ!「頭上か!はあっ!」ビュン!「反応が速い?!」ザキイッ!「くうっ!しかし狙いがあまーい!」

ガキイイイーン!「しまった!」「ヒート・エンドッ!」ドガガガガーン!「うわあああーっ!」ダダーン!

「勝負あり!ノーベルガンダムV!」ザシャアッ!「勝った!・・ぐうっ!」ガクッ。「ギリギリだったね・・」

 

「やるわねハンス。本当なら頭部直撃のはずだったのに。」「反射的に頭上に突き上げたおかげで腕一本で

なんとか失格にならずにすんだよ。」「やっぱベテラン、いい勝負カンよ。でもカケはあたしの勝ち~。」

「約束ですから。で、どうされます?」「まずはデートね。ハンスのイチオシのお店でいいわ。」「でも今夜は

国王主催の晩餐会ですよ。」「あ、忘れてた!えーと、誰かドレス余分に持ってない?」「んなもん誰も持って

きてませんよ。」「う~、このカッコウじゃちょっとな~。」「ネオスウェーデン軍の一級礼装ならありますけど。」

「アニーのじゃサイズ合わないでしょ。・・でもなんでそんなかさばるもの持ってきてるの?」「少佐、まさか

持ってきてないんですか?」「うん。」「ダメじゃないですか!ガンダムファイターは国の代表、いつどこで

公式行事があってもだいじょうぶなように礼装は必需品ですよ!」「そうなの?ぜんぜん知らなかったわ。」

「あう~、これだもんな~。」「たく、ズボラなんだから・・」「あの、ドレスなら僕にあてがありますが。」

 

その夜、王宮。『ではすばらしいファイトを見せてくださったネオスウェーデン代表、ミス・アレンビー。

エスコートは我らの英雄、ハンス・ホルガー。』ぱちぱちぱち!すっ・・『おお!・・』「なんとお美しい・・」

「あのような美麗な方がファイターとは・・」「ドレスもステキですわ~。」「絵になるお二人ですね。」ザワザワ・・

「うふふっ、馬子にも衣装とはよくいったものね。」「少佐は黙ってればけっこう美人で通りますからね。」

「まさか王女さまのドレスを借りるハメになるとはね。」「まああの王女さまだから、喜んで貸してくれたけど。」

「てゆーか、もはやリカちゃん人形状態だったよね。王女さま、山のようなドレスをあれこれ着せたがって。」

「しっかし・・衣装とメイクだけであんなに垢抜けるのね。」「少佐はもともと生地がいいの。だけどおしゃれに

ほとんど関心ないので損してるのよ。」「たしかにね。ショッピングでも服とか関心ゼロでゲーセンにソフト屋、

くわえて食べ歩きオンリーだもんね。」「アパートの部屋この前入ったけど、ひどかったよね~。」「うんうん。

たまりかねてあたしたちが非番に交代でお掃除してあげてるくらいだし。」「自分じゃ絶対やんないもんね。」

 

宴もたけなわなころ、バルコニー。「しかし、みちがえたよ。」「こーゆーのはまず着ないから窮屈なんだけどね。

ハンスは正装だと男前上がるね。」「これはどうも。・・今回のファイト、どう思われます?」「どういうこと?」

「友好国同士がサバイバルイレブンで当たるというのは前例がありません。ガンダムファイトは国家間の戦争の

代替行為のはずです。ならば友好国同士が闘うのは理屈に合いません。」「・・ハンス、今日のファイトの内容に

不満があるの?」「いえ、すばらしいファイトでした。敗れて悔いはありません。」「そこよ。」「・・えっ?」

「ガンダムファイトは明らかに変質したわ。前大会から。」「・・」「ファイターにとって世界の覇権なんか

どうでもいいことよ。ただ戦う、目の前の相手と。それだけあれば何もいらないでしょ。」「そのとおりですが、

僕が心配なのはガンダムファイトが単なる見世物に堕しはしないかということです。」「見世物でいいじゃない。」

「えっ?」「戦争で多くの命を無意味に失うくらいなら、あたしは喜んでグラディエーターの役をやるわ。」

「アレンビー・・」「でも内容は別よ。あたしたちファイターは人々のヒーローでなくてはならない。それには

己の技と力の限りを尽くした堂々としたファイトをすること。それこそがファイターの存在理由だから。」

「・・そうだな。」「そして質問の答えよ。多くの国がそこにガンダムファイトの意味があることがようやく

わかってきたの。戦争や世界の覇権なんかよりもっと大事なこと・・それは人々の夢だって。」「夢・・か。」

「それにもうひとつ、こっちはかなり現実的だけどね。」「現実的?」「ファイトをすると観光客が来るでしょ。」

「?・・あはははっ!なるほど!」「客寄せパンダおおいにけっこう。せいぜい利用されたげましょうね。

ファイトの経費分くらいはお返ししないとね。」「プロだな~。」「プロだからこそ腕も磨かなきゃ。決勝大会には

必ず来なさいよ。そうでないと彼女のあたしが恥ずかしいんだから。」「必ずネオ東京シティには行くよ。・・え?

彼女だって?」「ほら、約束の。好きにしていいっていったでしょ?・・彼氏になって。」ぽっ。「・・わかった。」

 

その夜、ホテル。「レイ、まだなの?」「もーちょっと・・ここだ。」ぴた。「増幅・・ノイズ除去・・おっけ。」

「どれどれ?・・うわっ、すご~。」「ま・・あんなこと・・はずかし~。」「これは・・かなりのもんね。」

「もう、みんな好きなんだから。」「アニーは聞かないの?」「遠慮するわ。」(・・明日ビデオ回収しなきゃ。)

 

みなさんお待ちかね!なんということでしょう、早くもビッグマッチです!

あの師弟が再び激突!富士山麓は赤く燃えています!

そしてゴッドの新必殺技は発動するのか?

次回、機動武闘烈伝ダブルGガンダム第七話

「富士山決戦!激突キング・オブ・ハート」に、レディー、ゴーッ!

 

*******************************

 

「さてみなさん、今日のカードはなんといきなりの頂上決戦です。すなわちドモン・カッシュ対マスターアジア!

なぜ予選であるサバイバルイレブンでこのようなマッチメイクがされたのか?実はマスターアジアがガンダム

ファイト国際実行委員会に要請したからです。委員会もこれには困惑しましたが、ある人物のツルの一声で

承認が下りたとのことです。その人物とはいったい誰なのでしょう?実はここにさるルートを介して入手した

実行委員会会議の記録があります。本当は極秘なのですが、会議の様子を覗いてみることにしましょう。」

 

「・・以上がマスターアジアの要請です。」「諸君、どう思う?」「反対です。優勝候補の二人が予選で当たるなど

もっての外。これは決勝戦ともいうべき重要なカードです。」「いや、強豪がつぶしあってくれれば喜ぶ国も

多いのではないのか?」「以前のガンダムファイトならばそうでしょう。だが現在はファイターたちの意識も

高まっています。もしここでキング・オブ・ハートの一角が消えたとしたら、ガンダムファイトは大混乱に

なります。せめて決勝リーグまでは避けるべきです。」「なに甘いこと言ってるの?ガンダムファイトは野球じゃ

ないのよ。」はっ。『クレオパトラ委員?』「挑戦されたドモン・カッシュのほうの返事はどうなの?」「はっ、

望むところだ、と。すでに対戦に向けて強化自主トレに入りました。」ふっ。「お聞きのとおりよ。双方ともやる気

じゅうぶん。ここで水を差したらそれこそ非公式ファイトでもやり合うでしょう・・あのお二方なら。」『・・』

「もはやこのマッチは委員会が止めて止まるものじゃないわ。むしろ積極的に支援するほうが結果として丸く

おさまるわ。」「しかし・・」「どちらかが失格になったら、でしょ?では聞きましょう。失格の定義は?」

「ガンダムファイト国際条約第一条。頭部を破壊されたものは失格となる・・」「そのとおり。では第三条は?」

「破壊されたのが頭部以外であれば、何度でも修復し、決勝リーグを目指すことができる・・あっ!」

「頭部破壊による失格事例はさほど多くないわ。よほど弱いか、卑怯な闘い方をして怒りを買ったかくらい。

むしろ維持・修復費が尽きてリタイアするのがほとんどよ。ならばこのカードでどちらかが失格になる可能性は

きわめて低い・・というべきでしょうね。」『なるほど・・』「私にはマスターの真意がよくわかるわ。弟子の腕が

鈍ってないかの確認、そして・・再生した自分ははたしてどれだけ闘えるか、それを知りたいんでしょうね。」

 

「では委員長のネオチャイナ総師、ご裁定を。」「ゴッドガンダムグレートとガンダムハイマスターのカードを

承認する。対戦会場は両者の技量に鑑み、特設リングを準備する。クレオパトラ殿、会場選定と建設をたのむ。」

「すでに候補地は決定してます。あとはゴーサインさえ出せば三日で建設は完了します。」「さすがに手早い。

で、いずこに?」「用意した資料を。」「ははっ。」ぱっ。『おおっ!・・ここは!』「富士山麓、旧演習場です。」

 

「・・以上が議事録です。さる女性と思われる委員の発言が目立ちましたね。彼女は財界代表との情報があります。

それにしてはガンダムファイトの本質、そしてファイターの心理に洞察が深いようです。名はクレオパトラ・・

いったいこの女性は何者なのでしょう?古代エジプト女王と同じ名を持つこの女性、おぼえておいてください。」

 

「それでは!ガンダムファイト!レディィィーッ、ゴオオーッ!」

 

第七話「富士山決戦!激突キング・オブ・ハート」

 

ネオアメリカ。「なにぃーっ!ドモンとマスターの対戦だぁ?ジーザス、いきなりのビッグマッチかよ!」

「チボデー、どうする?」「決まってる。観戦に行くぞ!会場はどこだ?」「ネオジャパン、マウントフジの

裾野だって。」「よっしゃ、移動するぞ。シャーリー、キャス、ジャネット、バニー!」『オッケイ、チボデー!』

 

衛星軌道上、海賊戦艦ゴルビーⅢ。「ドモン・・いきなりマスターとか。」「あんた、どうする?・・って聞くまでも

ないわね。おもかーじ!針路、ネオジャパン!」「よーそろ!」「ドモン・・いきなり負けるなよ。」グッ。

 

ネオチャイナ。「アニキが東方不敗と?!こりゃ大変だ!」「なんという対戦カードじゃ。d(-_-;」「これは

すさまじいファイトになるぞ。d(-_-;」「サイサイシー、行くの?」「もちろん!これを見逃しちゃ一生の不覚!

セシル、じっちゃんたち、行くぞ!」「うん!」『もとより!ジャンクキャリアー、発進準備じゃ!d(-o-)』

 

ネオフランス「何というカードを・・早すぎる。」「ジョルジュ様、飛行船ダモクレスの準備は出来ております。」

「うむ、レイモンド。マリアルイゼ様、行きましょう。」「はい、しっかりと見とどけましょう。」

 

富士山麓、旧自衛隊演習場。ガガガガ!カンカンカン!『こらー!そこのダンプとっとと行かんか!後続が

つかえてるでしょーが!』「こりゃすごい突貫工事ね、ヨーコ。」『クレオ、来たの?』キ~ン!「きゃああっ!

ボリューム最大メガホンで話すな~!」『工事のジャマだから事務所に行きましょ。』キ~ン!「だから~!」

ザッザッ。「ヨーコ・・土方服とヘルメット姿させたら日本一ね。ぷっ。」コーン!(メガホン)「あいた~!」

 

建設事務所。「工期はだいじょうぶ?」「ほぼスケジュールどおりね。観客席は裾野を利用して50万人収容可能な

仮設スタジアムを作ってる。それに戦闘余波による周辺被害を考慮して、ビームシールドは三重にしたわ。」

「ランタオ島と同じじゃない。ぶち抜けたら大問題よ。」「あのときはもう壊れてたから。ちゃんと動けば中で

核爆発させてもだいじょうぶよ・・」「・・なにか問題が?」「地上じゃないの、地下。」ドン。「富士火山帯が

真下にあるの。専門家は絶対あり得ないって言ってるけど、どうも頭の中でひっかかってるのよね・・」

「まさか・・富士山が?」「万が一の用心に、スタジアムもビームシールドでカバーしてるけど・・やっぱ不安。」

「ランタオ島の惨状があれだしね・・わからないでもないわ。」「ツープラトン石破天驚拳を真下に射ちこんでも

ビクともしないってシミュレーション結果だけど・・自然は完全に計算できないからな~。」「そうね・・」

 

ガラッ。「すみません、ネオジャパンTVのものですけど。」「ああ、放送態勢の打ち合わせだったね。」

「はい。・・ああっ!クレオパトラ会長!」「え?・・あ、そういえばネオジャパンTVはうちの傘下か。」

「うわ~、雲の上の方と会えるなんて。」「やーね、神様じゃないわよ。」「女帝だけどね。」すこーん!(メット)

「ヨーコ、ひとこと多い!」「えっ?・・まさかヨーコ先輩?!」「え?・・だれだっけ?」「神宮寺さくらです!」

「・・ああっ!さくらださくら!」「ひさしぶりですね~!」「ヨーコの後輩?」「そう。あたしが高三のときの

一年坊。まさかここで会うとは・・四年ぶりかな?」「そんなとこですね。短大出てからネオジャパンTVで

アナウンサーやってるんですよ。」「へえ、あのさくらがねえ・・よく履歴で落とされなかったもんだ。」

「それはないしょですよ。」「わーってる。あたしも叩けばホコリいっぱい出るし。」「ヨーコ、ホコリって?」

「昔の話よ。で、仕事の話だけど。」「あ、はい。通常より広大なリングですので放送用ガンダムは予備を入れて

二台態勢、カメラビットは予備含めて200セット準備しました。戦闘余波で四割は壊れる予想です。」

「まあそんなもんかな。管制ガンダムはこのポジションに置いて。フィールド外だから大丈夫とは思うけど、

もしヤバくなったら即座に退避できるようにね。」「スタジアム分割部の中央なら、メイン視野として最適です。」

 

♪プルルル。『あれ?』「あ、私のケータイだ。」さっ、ピッ♪「もしもし。・・あ、シルビア?・・ええっ?!」

「なにごとよ。」「外部投影。」ピッ♪ぱっ。【クレオ、一大事よ。観戦チケット予約があっという間に完売よ。】

「20万枚が?受付開始したのいつから?」【五分前よ。】『なにいっ!』【マチルダのおかげでデータ回線パンクの

事態だけは避けられたけど・・マチルダ。】【実行委員会に各国ファイターでチケットを買い損ねた方々から

陳情が殺到してますー。どうしても観戦したいって。】「気持ちはわかるけどね・・立ち見は禁止なのよね。」

「・・シルビア、マリアを呼んで。」【どうするのクレオ?】「ちょっと考えがあるの。」『はい、マリアです。』

「マリア、ネオフランスに顔効いたよね。」『少しは。』「飛行船ダモクレスは二百人ほど収容可能じゃない?」

『・・あ、なるほど。さっそく政府にかけあってみます。』「よろしく。・・でもこれでもちょっと不足ね。」

『クレオ、もうひとつアテがあるわよ。』「マリア、どこに?」『ゴルビーⅢよ。』「宇宙海賊戦艦の?!」

『アルゴさんとナスターシャさんとのルートがあるの。交渉してみるわ。』「ああ・・通商がらみルートね。」

『まず大丈夫だと思うわ。実行委員会事務局を通じて各ファイターに連絡するよう手配しておきます。』

「よろしく。・・あ、ここに報道関係者がいるじゃない。」「私ですか?」「特ダネよ。全世界に向けて放送して。」

♪ピピッ。「また電話?もしもし。・・ナディア?」ぱっ。『ドモン・カッシュの自主トレ地を突き止めました。

ネオジャパン、九重連山です。』「九州の?」「そこになにがあるの?」『活発な火山です。』「九重連山ですって!」

ガタッ!『さくら?』「まずい・・あそこは数日前から気象庁の大噴火警報が出てます!」『ええっ!』

 

そのころ。「はぁぁっ!とりゃーっ!」ゴオオオオ!「ふうっ!・・まだ見えんか。」ドドドドド!「もう少し

てごわい火山弾があるといいが・・」「ドモン!そろそろ出発しないと、マスターとのファイトに遅れるわよ!」

「・・しかたないか。もう少しで新必殺技が完成するところだったが・・」ゴゴゴ・・「ん?・・この振動は!」

「えっ?・・噴火?!」ズドーン!「まずい!レイン、逃げろ!」ズボオオーン!「おおっ!巨大な火山弾が!」

ヒュルルル・・「・・いかん!ランダーに当たる!レインあぶない!」ダッ!ゴオオオーッ!「きゃぁぁぁっ!」

「うぉぉぉーっ!」ゴオッ!ザザアーッ!「ドモン?!」くるっ、「・・しとめる!」カアッ!ゴオオオオ!

「どりゃぁぁぁーっ!」ブオッ!バガアアアーン!「きゃっ!」ガラガラガラ!・・「・・火山弾が消えた?

ドモンの腕のひと振りで!」「できた・・完成だ!」「ドモン、その技は?」「新必殺技、爆熱ゴッドエクリプス!」

「ゴッド・・エクリプス!」「師匠と闘う用意はできた。富士山へ!」「ええ!」「ガンダアアアームッ!」パチン!

 

富士山麓特設スタジアム。「全世界120億の視聴者の皆様、まもなく第十四回ガンダムファイト予選シリーズ、

サバイバルイレブン最大のファイトが始まろうとしています。ではここでメインレフェリーのマスターアジアに

指名されましたサブレフェリー、ヴァーミリオン・シュトラウス卿にインタビューしたいと思います。

今回マスター直々にご指名を受けましたが、どういう理由ででしょう?」「おそらくは私の闘いぶりを見て、

レフェリーを任せるに足るものと判断されたのでしょう。実に光栄なことです。」「さて今日の試合ですが、

戦況をどう予測されますか?」「実力伯仲。どうなるかはやってみなければわかりません。ただひとついえるのは、

これは全てのガンダムファイターに手本となるであろうということです。」「それで今回はファイターの観戦希望が

多かったわけですね。なおネオフランスとナスターシャさんのご好意により、飛行船ダモクレスとゴルビーⅢが

ファイター専用の特別移動観戦席として設けられています。・・えっ?」ひそひそ。「ただいま入った最新情報です。

ドモン・カッシュさんがまだ会場に到着していないとのことです。試合開始予定時刻まであと15分、はたして

間に合うのでしょうか?」「来る。ドモンは必ず来るぞ!」ぬっ。「うわあっ!・・マスター?びっくりした~。」

「きゃつに限って臆するなどということはあり得ぬ。だいたいそんな繊細な神経など持ち合わせておらんわい。」

「はあ、なしくずしにマスターにインタビューしますけど、武蔵の兵法というセンでは?」「うわはははは!

そのようなアタマがあのアホにあろうはずもない。猪突猛進・正攻法。それがドモンの戦闘スタイルじゃ!」

「弟子だと思ってムチャクチャいいますね~。」「ふふふ・・その純粋なまでのアホがあやつの強さなのじゃ。」

 

飛行船ダモクレス。ガヤガヤ・・「よっ、ガキンチョ。ひさしぶりだぜ。」「チボデーのあんちゃん!ギアナの

合同自主トレ以来だね。」「お二人ともワインなどいかがです?」「ジョルジュ、バーボンはねえのか?」

「オイラが・・いてててて!」ぎゅぅぅぅ!「こらサイサイシー!あなたまだ未成年でしょ。お酒はダメよ!」

「ちょっとぐらいならいいじゃないかよ、セシル~。」「だめです!私はサイシーの主治医でもあるんですから。」

「おほっ、もう尻に敷かれてやがら。」「なにか昔のドモンとレインさんを見てるようですね。」「そだな。」

「マリアルイゼ、おひさ!」「あら、アレンビーさん。」「ちょっと見ないうちにまた成長したんじゃない?」

「アレンビーさんだって背が伸びてますよ。プロポーションも。」「そうそう!ケツでかくなったよね?」

ぱーん!「ひゃっ!・・バニー?」「おっす。元気そうね。」「出たな~、必殺四段重ね。」すぱああーん!

「なんじゃそら!」「・・まっ。チボデーさん、お盛んですわ。」ぽっ。「こらそこの耳年増!想像するな~!」

 

一方、ゴルビーⅢ。「あんた、あっちへ行ったほうがいいんじゃない?」「いや・・ここでいい。騒々しいのは

性に合わん。」「あんたらしいけどね・・こっちはお客も落ち着いた人だし。」「ここは最高の特等席ですね。

乗せてくださってありがとうございます、ナスターシャさん。」「いいのよ。少数民族連合は縁が深いから。」

「祖父方がツングースカと聞いた。」「ああ・・それで。」「むかし連合にはいろいろ世話になったからね。」

『姐さん、新しいお客が着きましたぜ。』「よし、通せ。」シュッ。「お世話になります。」「ん?・・あなたは。」

「ほう・・アレクサンドラグループ会長の。」「えっ?!」「はい、クレオパトラ・アレクサンドラです。」

「同じくハードウェア事業部長のヨーコ・クサナギ。」「えっ?・・ヨーコ先輩じゃないですか!」『えっ?』

「よっ、ナコ。」「うわ~、お久しぶりですね~。」「またまた知り合い?」「やっぱ後輩よ。卒業後に入ったから

つきあいは少ないけど面識はあるわ。」「ヨーコ先輩は伝説の人ですから。」「伝説?」「昔の話だって。」

「談笑中失礼だが、お二人はファイターではないようだが?」「ああ、忘れてました。紹介状です。」ぱさっ。

「・・ああ、マリア・フォーセットの。」「うむ。ナスターシャは知らなかったな。あのマリアの上司が

このクレオだ。」「納得したわ。しかしそれほどの人物ならば、ロイヤルボックスとかに入るべきでは?」

「突貫で作る余裕がなかったもんで。」「おまけに観戦キップも一般に回したのでとり置きなくなっちゃった。」

ふっ。「利己主義者がほとんどの企業人としては珍しいタイプね。気に入ったわ、乗艦を許可しよう。」

「あ、これ手土産。」ドン。「一升ビン?・・ほう、濁酒だな。」「いわゆるドブロク。器はこの茶碗が基本ね。」

「いただいてみよう。」カキッ、ポン。トクトク・・「これは酒精が強くていい香りだ。どれ・・」くいっ。

「・・ふう。これはいい。」「うむ・・通好みの味だ。」「ヨーコはこれが好きでさ、配下のドカチン連中と

しょっちゅう酒盛りしてるのよ。」「肉体労働の疲労回復にはこれが一番だからね。」「単にノンベだと思うけど。」

 

ふたたびダモクレス。「そろそろ時間か。ドモンのヤロー、なにをやって・・おっ?」・・ゴオオオオーッ!

「あれはゴッドガンダムグレートです!」「来た!アニキが来た!」「いよいよ始まるのね・・ビッグファイトが!」

 

ドドーン!「どうやら間に合ったようだ。レイン、サポート席へ行ってくれ。」「オッケ。がんばってね。」

「ああ。・・む?師匠・・」ヒヒヒーン。「ドモン・・待ちこがれておったぞこの時を。さあワシにお前の成長、

見せてもらおう。」「・・まいります、師匠!」「両者、中央へ!」ザッ。「礼!・・かまえ!・・始め!」

『ガンダムファイト!レディー、ゴー!』ゴオオッ!「とおりゃぁぁぁっ!」「どりゃぁぁぁっ!」ズドドドッ!

「十二王方牌・大車併!」ゴオオオーッ!「ゴッドシャドー!」ババババッ!スカカカッ!「分身回避か!」

「バールカンッ!」ブィィーン!「なんの、防御布!」バッ!ズボズボッ!「お返しじゃ。それいっ!」

ビュバババッ!「大回転ゴッドスラッシュ!」ゴオオオッ!ズバババーンッ!ヒラヒラ・・「見事じゃ!それでこそ

我が弟子!」「おおりゃぁぁっ!」「うりゃぁぁぁっ!」ズバーン!『たたたたあああーっ!』ズドドドドドッ!

 

ゴルビーⅢ。『おおっ!』「こ、これがキング・オブ・ハートの闘い!」「す・・すごい!まさに頂点のファイト!」

「二人のすさまじいエネルギーの激突で、大気が沸騰してます。なんて光景でしょうか・・」ブルブル・・

「あんた、どう見る?」「・・闘いもここまでくると芸術だ。二人はまったく無心で打ちあっている。というより、

つまらぬ事を考える余裕さえ許さぬ領域・・こうなったら身についた技を本能的に出すのみ。まさに野生だ。」

 

ダモクレス。「ジーザス!なんてファイトだ!」「通常技でも必殺技なみの気迫がこもってるぜ、ありゃ・・」

「以前のような迷いが無いぶん、技の質が格段に高いです。」「すごい・・あれがドモンの真の姿なのね・・」

ガクガク・・「一度で・・一度でいいからあんなファイトをしてみたい。」「アレンビー・・俺も同じ気持ちだ。」

「おいらも・・いつかまたアニキと。」「そうです、それが我ら共通の悲願です。」『これぞガンダムファイト!』

 

『はあっ!』バシーン!・・ザシャアッ!「ドモン、そろそろいくぞ!」「はい師匠!」ババッ!『はぁぁぁ・・』

「ホワット?二人が動きを止めた!」「あれは・・まさか!」「ランタオ島の再現!」「な、なにが起きるの?!」

「ナスターシャ、高度を上げろ!」「あんた?!・・上昇せよ!」「すさまじい気が・・二人に集中します!」

『はあっ!』ギーン!「同時にハイパーモードに入った!」ドドドドド!「打つ前からこの「気圧」なんて・・」

 

『流派!』「東方不敗が!」「最終!」「奥義!」・・ドドドドドッ!「石!」「破!」『天驚拳!』カアッ!・・

 

ドオオオオーン!バゴオオオオーン!『うわああああっ!』グラグラグラッ!「ま・・まるで核爆発!」

ドドドドドッ!『ダモクレス操縦不能です!』「気球なので墜ちはしません!姿勢を安定させてください!」

「姐さん!カジがききやせん!」「空間機動バーニアで安定させろ!」グラグラッ!「余波だけでこれほどの

衝撃なの?!」はっ!「まずい!」「ヨーコ?」「これほどのエネルギーだとは想定もしてなかったわ!」

「どういうこと?・・ああっ!富士火山帯!」「シミュレーションが甘すぎた・・」さっ、♪ピピピッ。

「マチルダ、うちの第四に大至急つないで!気象部を!」『気象部長の奈々です。富士火山帯重力分布に異常発生!

負の重力場が猛スピードで北上してます!』「てことは・・まさか!」『まもなく地殻弾性限界を突破します!』

 

ゴゴゴゴゴ・・ドドオオオオーン!「・・なにっ?!」「なにごとだ!」ドドドドド!「師匠、噴火です!」

「我らの気に刺激されて霊峰が目覚めおったかあっ!・・いかん!」ブオオオオーッ!「噴煙が・・走る?!」

「大火砕流じゃ!あれに呑まれたらひとたまりもない!」「観客席のほうへ行きます!」グオオオーッ!

キャアアアアーッ!「ドモン、一時お預けじゃ!火砕流を止めるぞ!」「はい、師匠!」ダン!ゴオオオーッ!

 

「ジーザス!あの二人は何を?!」「ムチャだ!火砕流を止める気だよ!」「・・レイモンド、あとをたのむ!」

ダダッ!「ジョルジュ?・・まさかお前まで!」「非常ハッチ開放!」ガキッ、バン!「ジャストモーメント!」

「人々を救うのは騎士の使命。止めてもムダです。」「誰が止めるっつった?つきあうぜ。」「チボデー?」

「オイラもいくぜ。アニキが鉄砲水をシャイニングフィンガーで割れても、火砕流はけっこうしんどいだろうし。」

「あたしも行くわ。一人でも多いほうが成功率は高くなるはず。」「・・ではみなさん、いきますよ!」『おおっ!』

バババッ!ビュオオオオーッ!『こい!ガンダアアアームッ!』パチン!・・ゴオオオオーッ!スパッ!

 

「ナスターシャ、出るぞ。」ダダッ、バッ!「あいよ。ボルトガンダムマキシマ射出!」「シャッフル同盟が?!」

「私もいきます!」「ちょい待ち、ナコ。」わしっ。「ヨーコ先輩?」「未熟なあんたじゃまだダメよ。もっと修行

してからじゃないと。」「でも!」「そう・・アルカナの紋章に恥じない強さに、ね。」はっ。「まさか・・先輩も?」

 

「ヘイ、ドモン!」「ムッシュ・ドモン。」「アニキ~!」「おお!みんな!」「・・俺もいる。」「あたしもよ!」

「ほう、シャッフル全員とオマケが来おったか。」「オマケってだれよ!」「まあいい。相手は自然の巨大な怪物、

人手は多いほうがよい。観客席前に陣取れ!」『おお!』ザシャアッ!「合体技でいくぞ!総員、かまえい!」

ババッ!「呼吸はドモンに合わせよ。ドモン、やれ!」「はい!いくぞみんな!」『おおっ!』キィィィィ・・

『・・はあっ!』ギーン!「全員ハイパーモードに!」「石破天驚!ゴッドフィンガアアアアーッ!」

ドオオオオーン!「豪熱!マシンガンパーンチ!」グワッ!ズドドドドッ!「真・流星胡蝶剣!」シュバババッ!

「ローゼス・ハリケーン!」ブオオオーッ!「炸裂!ガイアクラッシャーッ!」ドオンッ!ズドドドドーッ!

「爆殺!バーニングフィンガー!」カアッ!ズドオオオオーン!「ダークネス・フィンガアアアーッ!」

ドオオオオーン!『いっけえええーっ!』ドガアアアアーン!「やったか?!」ゴォォォ・・ゴバアアアーッ!

「止まらんか!」「ガッデム!まだ不足か!」「総エネルギーの半分しか相殺できませんでした!」「くそっ!

これが大自然のパワーかよ!」「人間ではかなわないというの?」「みんなあきらめるな!もう一度打つんだ!」

 

「いや、もう間に合わん。」「師匠?」「だがここまで削ってくれればなんとかなる。」オォォォ・・「なんだ?」

「ハイマスターの手が・・黒く染まる?!」「まさか、流派東方不敗暗殺奥義?!」「ドモンは初見じゃな。

見よ、わが新必殺技!その名も!」ボオッ!「暗殺!マスターブリンガー!」ブオオオオオーッ!『ああっ!』

「黒い波動ですって!」「ジーザス!あれはダークネスフィンガーとはまったくちがうぜ!」ビュオオオオーッ!

「そんな・・バカな!火砕流のエネルギーが手に吸収されていきます!」「ど、どどどうなってるんだ?!」

「・・そうか、ブラックホール。」『アルゴ?』「俺たちの技はほとんどがエネルギーを放つものだ。しかしあの

マスターの技はまったく逆、すなわちエネルギーを吸い取る!」「そうだ・・流派東方不敗の禁じ手とされた

恐るべき技だ。悪用すれば傷ひとつ付けずに命さえ奪うことができる暗殺奥義だ。」「見て!背部バインダーを!」

バッ!「開いた?」オォォォ・・ブオオオオオーッ!『うわっ!』カアアアアーッ!「レインボーの輝き?!

ありゃあ、まさか!」「そうか、吸収した余剰エネルギーを光エネルギーに転換して放出してるのです!」

「マントだけじゃなかったんだ!」「ぬおおおおおおーっ!」ゴオオオオーッ!・・パラパラ・・「ふおっ!」

ガクッ。「師匠!」ガシッ!「だいじょうぶじゃ・・反則ガンダム鎮圧用にもと準備しておったが、このような

使い方もできる。さすがにちと疲れたがの。」「流派東方不敗暗殺奥義、しかと拝見しました。」「うむ。」

 

ゴルビーⅢ。「すごい・・火砕流を鎮圧しちゃったよ!」「さすがは先代キング・オブ・ハートね。さて、そろそろ

おじゃましましょうか。」「試合は終わってませんよ?」「この状態では続行不能でしょ、ナコ。」「・・たしかに。」

「それではナスターシャさん、おじゃましました。」「少し待て。・・いくつか聞きたいことがある。」ビュン。

「答えられる質問なら。」「アルカナとはなんだ?」「あら、ご存知のはずですよ・・「静かなる隠者」。」ぎょっ!

「まさか?!」「なぜそれを?!」「うちの情報局の実力を知らないわけがないはずですが。」「・・ナディアか。」

「ヨーコ、例のもの。」「はいよ。」ひょい、ぱしっ。「・・CD-R/W?」「それに答えは全て入ってます。」

「注意だけど、開けるのは一回だけ。セーブもコピーも不可能。いずれも自殺ウイルスで自動消去されるわ。」

「ナコルルはもう聞いてるからいいよね。」「・・はい。」「・・それほどまでして守られるアルカナの秘密とは?」

「本日の用件はこれもあったわけです・・それでは。」「また・・会いましょう。」シュッ。『・・また、か・・』

 

その夜、飛行船ダモクレス。『カンパーイ!』カチカチン!「うわはははは!若いシャッフルの連中と酒を交わす

機会があろうとは思わんかったわい!」「無効試合にはなりましたが、いいファイトでした、師匠。」「うむ。

ワシも己の状態が確認できて安心した。ドモンも強くなったのう。」「ヘイ、ドモン。サバイバルイレブン期間中に

いっぺんやってみてえな。」シュッ、ぱしっ。「そのときは首をとってやるさ。」「ほほっ、いうじゃねえか。」

「その前に私との勝負をお忘れなく。」「ちょっと待った!倒すのはオイラが先だって!」「いや・・俺が倒す。」

「あらあら、ドモンもてるのね。」「やめろってレイン。野郎に惚れられても嬉しくない。」「じゃ、あたしなら

オッケイってことね!」がばっ!「こらアレンビー!所帯持ちに手を出すんじゃないの!」「あれれ?セシルの

話じゃアレンビー新しい彼氏が・・むぐっ!」わしっ!「よけーなこというんじゃない、このチビザル!」

「・・なんですよ。」「ほう、ハンスとか。」「お兄さんならいいかもね、セシルちゃん。」どんがらがっしゃーん!

「とゆーわけで、フタマタかけないよーに。」「うぐ~・・でも最近不倫は流行だし・・」「なんですって・・」

ユラ・・「いえいえなんでもないです!(^^;;・・あーこわ。」「ねえねえアレンビー。」ちょいちょい。

「バニー?」「ぜったいバレない不倫の仕方、教えてあげよっか?」「・・まさか経験者?」すぱあああーん!

『あいた~!・・シャーリー?』「バニー・・戸籍登録抹消されたいの?」「や、やーね、冗談だってば。」

「わかってるわよ、バニーにそんな甲斐性無いことは。もしホントなら追放するまでだし・・」ぞくうっ!

「なかなか内部性力争いというのも熾烈なようですわね。」「マリアルイゼ様、変換まちがってます・・(^^;;」

「ジョルジュにはありえないでしょうが、いちおう確認します。・・浮気は断頭台ですよ♪」「は・・ははっ!」

 

みなさんお待ちかね!アステカ数千年の呪いがガンダムファイトを血に染めます!

恐るべき力を持つミキストリガンダム!神聖文字が青き炎をあげます!

次回、機動武闘烈伝ダブルGガンダム第八話

「アステカの呪い!血塗られたガンダムファイト」に、レディー、ゴーッ!

 

******************************************

「クククク・・ついに、ついに復讐の時はきた!祖先を滅ぼしたキリシタンども、いまこそ我が太陽神

ケツァルコアトルの怒りを受けよ!そして、アステカの光を再び現世に甦らせるのだ!うはははは!」

 

「さてみなさん、今回はサバイバルイレブンで起きた恐るべきファイトについて紹介しましょう。

ネオエルサルバドル代表、呪術師ンドゥール。白人のキリシタンのファイターに固執して挑戦しています。

なぜなら彼こそ、はるか昔にキリスト教徒によって絶滅させられたアステカ文明の末裔だからなのです。

数千年の時を経て甦るアステカの怨念・・そして今日の対戦相手、ネオバチカンのファイター・パウロ8世こそ

現役の法王です。そう・・みなさんの予想どおり、このファイトはまれにみる凄惨な試合となりました。

ゆえに今回に限っては、私もいつもとは少し違うやり方をさせていただきます・・」

 

「それでは・・ガンダムファイト、レディー・・ゴー・・」

 

第八話「アステカの呪い!血塗られたガンダムファイト」

 

バチカン市国。ガヤガヤ・・カッポカッポ。「ふむ、ちと早く着きすぎたわい。まあバチカン見物もよかろう。」

ガヤガヤ・・『マスターだ。』『あれがガンダムファイトのメインレフェリーの・・』『キング・オブ・ハート・・』

「・・これだけ有名だと仕方ないのう、風雲再起。」ヒヒーン!ぴたっ・・「む?なぜ止まって・・!」

スゥゥ・・すっ。「待たれよ、そこな御仁。」ぴた。「・・私のことか?」くるっ。「おぬし・・その身にまといし

凶気はいったい何か?尋常なものではない。」「・・ククク。さすがはマスターアジア、おわかりか。」

「わからいでか。・・そうか、呪術師ンドゥールとはキサマのことか。」「いかにも。明日は世話になる。」

「ふむ・・ちと話がしたい。ヒマか?」「よろしかろう。マスターアジアに茶に誘われるとは光栄の至り。」

 

街頭カフェ。「聞いた話では有色人種とはファイトをしないそうじゃな。」「それは正確ではない。挑戦されても

受ける気がないまで・・決勝リーグまでは。それに白人とはいえキリシタンでないものには興味はない。」

「宗教で選ぶか。珍しいファイターじゃの。・・なぜキリシタンを目の敵にする?」「復讐だからだ・・祖先の。」

「・・アステカ文明か。」「さよう。なにが新大陸だ。はるか過去から住んでいた民族を侵略し、虐殺と略奪の

かぎりをつくして絶滅させた・・あまつさえ同じ教徒間でも、主義主張の些細な差異だけで殺しあう。

これが慈愛と救済の教えなのか?笑わせる。」「いちおう本流は尊重しておるようじゃの。」「異教徒おおいに

けっこう。人の数だけ宗派がある。ただそれを絶対のものとして他人に強要するのがよくないのだ。」

「いかにも。宗教は政治の道具、すなわち人々を御する最高の手段だ。人は弱い。だから教えという明確な

マニュアルに頼るのだ。・・案外、宗教というものはそういう発想から生まれたものなのかもしれぬのう。」

「ほう・・マスターはわかっておられるか。」「この世に神も仏もあるものか。それらは全て自らの内にあり。

光も闇も・・な。そこまでわかっておって、ぬしはまだやるつもりか。」「これが私の選んだ道だからだ。」

「・・よかろう。だが反則は厳重に取り締まるぞ。」「もとより。反則などせぬよ・・」ニヤッ・・

 

ワアワア!「なんじゃ?サン・マルコ広場のほうじゃの。」「法王パウロ八世のお目見えだな。」ガキン!

「あれか・・ドミニオンガンダム。たいそうなデザインじゃのう。」「大天使の姿をかたどったと聞く。」

『皆さん、今年こそ世界の覇権をネオバチカンのものとし、世界を救済しましょう!』ワアワア!

「意気込みだけは立派じゃが、毎回予選落ちではの。」「それで腕におぼえのある若造を法王にまつり上げ、

ああやって宣伝しておる・・これが今の法王庁の実態よ。」「たしかにカリスマ性はありそうな男じゃな。」

『明日の相手は未開の邪教徒だ。そのようなものに、神の加護を受けた私が負けるわけがない!』ワアワア!

「ふん、ああいう奴にかぎって一回戦敗退するものだ。」「明日のファイトは法王庁の圧力で全世界だそうだ。

ククク・・世界に恥をさらさせてやろう。」「ワシは立場上いちおう中立じゃが、それについて異論はないな。」

「話せてよかった。・・ここの茶代は払っておこう。」すっ。「ンドゥール。・・気をつけよ。」「・・承知のうえ。」

 

その夜。ヒタヒタ・・ぴたっ。「そこの十人、出てこい。」・・ザザッ。『・・ガンダムファイターのンドゥールだな。』

「ならばどうする?」『明日の試合、辞退してもらう。さもなくば・・』チャキチャキッ。「カソリック総本山で

暴漢とはな。しょせん実体はこういうもの。」『返答は!』「答える必要はなかろう。」ドキュドキュドキューン!

ゴォォォ・・「・・それがどうした。」『・・なにっ?!』「ガンダムファイターに銃など意味をなさぬ。ほれ。」

パラパラ・・『銃弾を?!』シュッ。「次はナイフか。よかろう。」すっ・・ボオッ。『・・手に光が?』ビュッ!

「むん!」シャッ!『?・・はぁっ!』どさっ。「ふふふ・・」ドクンドクン・・『あれは・・心臓?!』

「私の能力も知らずに襲うとは愚か者め。ぬん!」グシャッ!『この!』ダダッ!「まだ懲りぬか・・では!」

 

数時間後。「襲撃団はどうなった?」「法王さま、それが・・全員返り討ちに。」「なんだと?!マフィアに頼んで

集めてもらった腕利きばかりのはずだぞ!いったいどうやって?」「実は・・死体に外傷がありませんでした。」

「・・どういうことだ?」「そしてもうひとつ。周りに落ちていた肉塊ですが・・心臓でした。ちょうど十個ぶんの・・」

「なっ!・・心臓?!」「法王さま、相手は恐ろしいヤツです。やはり明日のファイトは中止にすべきかと。」

「だまれ!・・不戦勝ならば楽だったが、やはり横着はできないか。よかろう、私がきっちり倒してやろう!

神の加護のある私とドミニオンガンダムならば敗れることなどありはしない!」(刺客送ったのは誰だか・・)

 

次の朝。「全世界の信徒のみなさん、おはようございます。法王のお言葉の時間ですが、今日は内容を変更し、

サンマルコ広場特設リングより我らの救世主・ドミニオンガンダムの聖戦を中継いたします。広場にはすでに

数万人の信徒が集まり、必勝祈願の聖歌を唱えております。・・あっ、ドミニオンガンダムの入場です。」ズシン!

ワアアアアーッ!『地上に神の国を!』『世界に救済を!』「兄弟たちよ、今日の勝利で明日の未来を開こう!」

『おーっ!』「今回こそネオバチカンが世界の覇権を得ることを祈りましょう。さて、対するミキストリガンダムは

対照的に静かに入場してきました。」ズシン。「なんという異形のガンダムでしょう。解読不能な象形文字が全身に

ビッシリ彫り込まれております。」ブーブー!「激しいブーイングにも微動だにしません・・おっ、レフェリーの

ハイマスターガンダムが到着したようです。」ヒヒヒーン!パカッパカッパカッ!「ふん!」ターン!クルクルッ、

ザシャアッ!「これよりドミニオンガンダム対ミキストリガンダム。両者、中央へ!」ザザッ!ヒュゥゥ・・

「世界救済の尊い犠牲となるがよい。」「ククク・・神の生贄になるのはどちらかな。」「構えい!・・始め!」

『ガンダムファイト!レディー、ゴー!』「翔べ、ドミニオン!」バサーッ!「神の矢を受けるがよい、異教徒!

ゴッド・ゴーガン!」バシュッ!「ビームアローか。ふん・・」すっ、スカッ!「外れた?・・おのれ!」

シュババッ!「無駄だ。」スススッ、スカカカッ。「バカな?・・なぜ当たらん!」「そのようなトロい矢など

当たるわけがあるまい。では・・」スッ・・「ふん!」バキッ!「なにっ?!ビーム・ボウが砕けた!」「見たか。

これぞ私の神の力。飛び道具はなくなったな。」「なんの!受けよ主の鉄槌、ゴッドメイス!」ゴオッ!「ふ・・」

カアッ!『おおっ!』「ぬうっ!ミキストリの全身の神聖文字が輝く?!」ボオッ!「なんと!右手に蒼い炎が!」

シュバッ!・・ザザッ。「・・なんだ?」ガクン!「なにっ?!・・ウイングが動かん!」「これが無いからだ。」

くるっ、キラッ・・「・・ウイングの駆動中枢?!どうやって!」「むう、外装に傷ひとつ付けず内部機構のみを

抜くとは・・恐ろしいヤツじゃ。」「これで空へは逃げられんし、逆に負担となるな。」「なんの、貴様を倒すのに

こんなものはいらぬ!ウイング強制排除!」バン!ガシャーン!「羽根をもがれた堕天使とはお前のことか。」

「うるさい!くらえ、神の鉄槌!」ゴォン!「おっと。」シュバッ!・・ガラン!「・・右腕が・・動かぬ?!」

「次は左!」ゴガッ!「そして両足!」ドギュ!「最後にバルカンユニットも抜いてやろう。」ズボッ!「勝負あり!」

「むっ?・・レフェリー。」「ドミニオンのこれ以上の抵抗は不可能。よってミキストリガンダムの勝利と」

「待たれよ。」ズボズボッ!「なに?・・両足と右腕が動く?」「なにを?!」「これで抵抗は可能になりましたぞ。」

「・・試合再開。」「さあ、このチャンスを生かすがよい。」すっ。「・・バカめ!」ダーン!「主よ!この邪神の

徒に打ち勝つ力を!」ゴォォォーッ!「遊びは終わりだ。いまこそ受けよアステカの怨念を!」ギーン!「むうっ!

神聖文字が激しく発光?!」『どりゃあああーっ!』バシイイイーン!ザシャアッ!・・「・・ぐわあああっ!」

ダダーン!ゴロゴロッ!「?!・・な、なにごとでしょう?!ドミニオンガンダムがもがき苦しんでいます!」

「おがあああああーっ!・・」ピクピク・・ぱたっ。オオッ!ザワザワ・・「・・これで終わった。」すっ。

ブラブラ・・「そ・・それはMTSの伝達コード?!・・ドミニオンは全身の神経系統を引き抜かれたのか!」

「レフェリー、国際条約第一条・補足第一項の適用を申請したい。」「試合中の過失によるファイター殺傷免除・・

認めざるを・・得ないようだ。」「感謝する・・では。」くるっ、ガシャンガシャン・・「う~む・・恐るべきやつ・・」

「法王さま、だいじょうぶでありますか?!」「むっ?ネオバチカンのクルー、しばし待て!」カチャ、パシュ。

『・・うわっ!』「オエエエエーッ!」「だから!・・」「・・コクピット内が!」「血で真っ赤に・・」ガクガク・・

「あ・・あの表情・・」「まるで・・地獄を見たような・・」「救護班に任せろ!・・顔は見ぬようにせいよ。」

 

アッピア街道・・「復讐は果たした・・だが、なんだこの心にポッカリと穴が開いた感じは・・なぜ寂しい?・・

なぜ喜べぬ?・・」「教えてやろう。」シュッ、すたっ。「・・マスター?」「目的はそれを達した途端に失われる。

ぬしはこれからどうするのか?」「・・何も、無い・・私はいったい何をしていた?何をやったというのか?

復讐とは・・このようなものだったのか?」「・・のう、今こそ生き方を変える好機かもしれん。」「・・好機?」

「ぬしは強い。ワシの見るところ決勝リーグ進出は確実じゃ。そして決勝リーグには同等、いやそれ以上に強い

ファイターがやってくる。そう、ぬしでも簡単には勝たせてくれぬだけのな。」「私より強いファイター・・」

「まあゆっくり考えるがよい。・・ネオ東京シティーで待っておるぞ。」シャッ・・「闘いに・・生きろ、か・・」

 

みなさんお待ちかね!まさにドリームマッチ、アルゴ対チボデー!

デスバレーに鋼鉄の響きが轟き、オイルの血が流れます!新必殺技の激突の結果は?

次回、機動武闘烈伝ダブルGガンダム第九話

「大地よ轟け!デスバレーの決闘」に、レディー、ゴーッ!

 




「さてみなさん、今日のカードはガンダムスーパーマックスター対ボルトガンダムマキシマ。そう、ファンなら
誰もが一度は夢見たシャッフル同士の激突です。本来ならば決勝リーグで行われるべきビッグマッチですが、
なぜサバイバルイレブンでと思われるでしょう。実はこれにはネオアメリカの裏の事情があるのです。
ここにその証拠の記録テープがあります。ネオアメリカコロニーのホワイトハウスでのやりとりです。」

「プレジデント、ご用とは?」「よく来てくださった、クレオパトラ会長。・・知ってのとおり、世界では
地球への帰還がブームになっており、わがネオアメリカコロニーの住民もかなりの数が降りつつある。」
「母なる大地に戻ることは良いことだと思いますが。わがグループも地上に根ざしてから、業績が伸びました。」
「その気持ちはよくわかる。だがな、コロニーで生まれ育った者に生の自然はいささかつらいものがある。」
「それは退化といいます。生き物も人も環境で鍛えられて強くなるのです。それを忘れた種には、もはや退化と
絶滅しか道は残されてはいません。」「手厳しいな。ゆえに私も奨励はしておるが・・ここからが本題だ。
現実問題として、降りた人々は指摘のとおり苦労をしている。」「大開拓時代をやり直すようなものですからね。」
「資金・技術的援助はしているが・・情操面でも何らかの援助をしたいのだ。」「・・アメリカンドリームですね。」
「そうだ。何か人々に勇気を与えたい。いい案はないだろうか?」「・・ガンダムファイト、しかもかなりの
ビッグマッチを企画すればよいかと。」「ビッグマッチ?」「そう・・シャッフル同盟同士のカードとか。」ぎょっ!
「まさか・・チボデーを!」「はい。相手はかつてのライバル国のファイターがいいでしょう。」「なっ!・・
しかし今回はプライベートで・・」「関係ありませんわ。そう・・ブラック・ジョーカー、アルゴ・ガルスキー。」

「なにい?!アルゴとのファイトだと!」「そう、プレジデントから要請があったの!やるかどうかはチボデー
次第だっていう話だけど・・」「聞くまでもねえ!俺ぁやるぜ!」『チボデー?!』「で、でも相手はシャッフルの
仲間なのよ?」「関係ねえ!それ以前にガンダムファイターだ!」『・・』「いっぺんやってみたかったのさ・・」

ゴルビーⅢ。言い忘れたが、アルゴとナスターシャの間には二男二女、四人の子供がいる。上が二歳、下は
まだ四ヶ月。長女サーシャ・長男ボルシニコフ・次男ウラジミール・末女ユーリー。夫妻はもちろん手下たちも
総出で子育てをしており、海賊船はすっかり保育園状態である。キャッキャッ。「チボデーとか・・」「あんた、
どうする?」「やろう。この子たちにも見せてやりたい・・俺のファイトを。」「父ちゃん、がんだむふぁいとするの?」
「そうだ、サーシャ。」「父ちゃんが勝つよね!」「父ちゃんは世界一強いもんね!」「いや、父さんより強いやつは
いくらでもいるぞ、ボルシニコフにウラジミール。」だあだあ。「ん?・・あら、ユーリーも心配そうよ。」
「負けるかもしれん。だが心では負けない。」『・・よくわかんな~い。』だあ。「今にわかるようになる・・
ナスターシャ、かねてのうち合わせどおり。」「わかってるわ。進路、ロッキー山脈!」「アイアイサー!」

「それでは!ガンダムファイト!レディィィーッ、ゴオオーッ!」

第九話「大地よ轟け!デスバレーの決闘」

マンハッタン未整備区。いまだ再建の手が及ばない廃ビル群が乱立している。ドカアアアーン!ガラガラガラ!
「ひゅっ!」ザシャアッ!「まだだ!まだ足りねえ!」ダッ!「うりゃああああーっ!」ドカアアアーン!
「チボデー・・前大会よりさらに腕を上げたわね。」「生身で廃ビルを打ち砕く・・まるでマスターアジアね。」
「クィーン・ザ・スペードの紋章に恥じない実力が身についたということかしら。」「そのうちマスターみたく
「うわはははは!」とか高笑いするようになったりして♪」『あはははは!』「うふふ。・・でも次の相手はあの
アルゴ・ガルスキーよ。」はっ。きりっ。「アルゴはすさまじく強いわ。ハンパな技量と気力じゃぜったいに
勝てない。それを誰よりよく知ってるのはチボデー自身・・だからあんなにトレーニングにも気合が入ってる。」
「そうね・・前回大会の記録でも、ボルトの強さは突出してるわ。」「とにかくパワーと耐久力に関しては
間違いなくキング・オブ・ハートを上回ってるわ。あのドモンさえ、ボルト戦ではズタボロになりながら
勝利を拾ってる・・仲間としてはこの上もなく頼もしいけど、敵にするとこれほど恐ろしい相手はいないわ。」
ドカアアアーン!スタッ。「アルゴ・・嬉しいぜ!ユーとのファイト、フルパワーでぶつかってやるぜ!
このニューブローでな!撃滅!」カアッ!「アトミック・パアアアーンチッ!」ドオオオオーン!『きゃあっ!』
ズドドドドド!「ビルが・・十個まとめて崩壊?!」「あれがチボデーのニューブロー?!」「すごい威力・・
まさに核兵器!」「勝てるかもしれない・・このパンチなら!」「あったりまえよ、チボデーはナンバー1よ!」

ロッキー山脈。「ナスターシャ、やってくれ。」『あいよ。主砲撃てい!』シュバッ!ガガーン!ガラガラガラッ!
「うむ、じゅうぶんだ。」ゴゴゴゴッ!「むん!」ドゴン!バゴオオーン!「どりゃあっ!」ズドン!バカッ!
『うわあああ~!』「父ちゃん、すごい!」「おっきい岩をどんどん砕いてるよ!」「よく見ておくんだよ子供たち。
父ちゃんはああやって強くなっていくんだ・・そして今度のファイトでも父ちゃんはぜったい負けないから。」
「母ちゃん・・ボクも父ちゃんみたいに強くなれる?」「なれるさ。父ちゃんよりも強くも。」「あたしも?」
「オレもなる~!」だあ!「ユーリイもだって。」ふふっ。「そうだね。女の子だって強くならないとね。」

ガラガラ・・「ナスターシャ、もう一度。」『了解・・?!あんた、十時の方向!』「なにっ?!」ゴオオオーッ!
「くまだ~!」「おっきいくまだよ!」「あれは・・グリズリー!しかも3m級の大物!あんたあぶない!」
ドドッ、ドドッ!「・・願ってもない相手だ。」ザッ。すっ。『あんた?・・まさか闘う気?!危険よ!』
ゴオオオーッ!「ぬん!」バゴオッ!ゴフアッ!・・ドドーン!ゴォォォ・・「この程度では効かんか。」
ジリッ・・ダッ!ゴオオオーッ!「ぬうっ!」ガシッ!ザザザーッ!「うまい!内懐に入ったわ!」
ゴオオオ!ブンブン!「爪は届かん。むおおおおーっ!」ググッ・・「す・・すごい!1トンはある巨体を!」
『父ちゃ~ん!がんばれ~!』だあだあ!「どりゃああああーっ!」グワッ!・・ドドオオオオーン!ゴワアッ!
『やった~!』「フロントスープレックス!」ゴオオオ!「とどめだ!」グッ、「激動!大陸撃沈弾!」ゴオッ!
ズドオオオーン!「ガイアクラッシャー?!いや、ちがう!」ゴゴゴゴッ!ドドドオオーン!グオオオオーッ!
『うわああーっ!』・・ドシャアッ!ぴくぴく・・「・・今夜はみんなでクマ鍋だな。」『父ちゃん、つよーい!』
「いつの間にあんな技を・・けど、これならクィーン・ザ・スペードにも後れはとらないわ!」だあだあ!

数日後、デスバレー特設リング。ワアワア!「ネオアメリカのみなさん、いよいよ世紀のビッグカード、
ガンダムスーパーマックスターとボルトガンダムマキシマのファイトが始まります!実況はわたくし、
ネオアメリカTV、リノン・ティロスが、解説は前回のネオカナダ代表、アンドリュー・グラハムさんです。
グラハムさん、よろしくお願いします。」「うむ。」「さてグラハムさんは前回大会ではアルゴさんとライバル関係
でしたが、今回大会はどうして参加しなかったのですか?」「もう私はガンダムファイトを続ける理由が
なくなったからだ・・そう、全ては決着がついた。」「では新生ボルトマキシマについてはどうでしょうか?」
「基本は旧ボルトだが、問題だった関節系の脆弱さは改良されたようだ。さらに機動性もムダな装甲を廃する
ことで向上している。しかしなによりすごいのは、ニュービクトールエンジンを四肢に複数配置し、独立連動
させていることだ。」「えーと・・どういうものでしょう?」「たとえば片腕が破壊されても全体の運動には
影響せず、通常の性能を維持できるということだ。・・ましてやアルゴは底知れぬスタミナを持っている。
たとえ有利でも、まったく油断できない相手ということだ。」「なるほど。あっ、マックスターの入場です!」
・・ゴオオオオーッ!『チ・ボ・デー!チ・ボ・デー!』「数万のチボデーコールに迎えられ、スカイボードで
マックスターがやってきました!」タッ、ザザザーッ!「さて一方のボルトは・・あっ!」・・ゴゴゴゴゴ!
ゴバアアアーッ!「なんと大地を割って入場です!さあいよいよ待ちに待ったビッグマッチの開始です!」

「これよりガンダムスーパーマックスター対ボルトガンダムマキシマ。両者、中央へ!」ザッ!「ヘイ、アルゴ!
ナイスなファイトをしようぜ!」ズシン!「望むところ。いくぞチボデー!」グッ。「構え!・・始め!」
『ガンダムファイト!レディー、ゴー!』「うおおおっ!」ゴオッ!「きやがれ!」グッ。「むおおっ!」
ズドーン!「どおおおーっ!」ガガガガーッ!「おっと!ボルトの強烈な張り手で防御ごと吹っ飛ばされた!」
「や・・やるじゃねえか。さすがはアルゴ!」「グラビトン・ハンマー!」ギュルルルッ、ズドン!「おっと!」
スカッ!「ビームチェーン!」シュバッ!ジャラーン!「おりゃーっ!」ブン!「おっと当たるもんかい!」
「甘い!」ボッ!グン!「ホワット?軌道が変わった!」バキイイーン!「ぐわああっ!」ズダダダーン!
「グラビトンハンマーがマックスターに直撃?!」「いや、浅い。」グググ・・「・・ちいっ!ハンマーに
機動バーニアが付いてたとはな・・油断したぜ!」「改良くらいはしている。」ヒュンヒュンヒュン!ゴオッ!
「二度もくらうかよ!」ダッ!ゴオオッ!「パピヨン・フットワーク!」タタタッ、ヒュヒュヒュッ!
「なにっ?!ハンマーが透過した・・いや、神速のスウェイか!」「もらったぜ!ハリケーンアッパー!」ズドン!
ガキイッ!ピタッ!「?!・・ジーザス!俺のパンチを食らって微動だにしねえだと?!」「いいパンチだが、
俺には通じん!」ガシイッ!「シット!サブミッションか!」メキメキ!「これはいけません!腕ひしぎが
完全に決ってます!」「アルゴの関節技はガンダムの腕などたやすく砕くぞ!」「この腕、もらうぞ!」
「うぉぉ・・させねえ!うおおおおーっ!」バガアアアーン!「ぐうっ!」ぱっ、グラッ!「うまいぞ!
魂心のテンプルフックでブレイクした!」「チャーンス!バーニング・・なにっ?!」「むおおおーっ!」
ドカアアアーン!「ぐほおっ!」ズガガガガーッ!『おおっ!』「ボルトのショルダーアタック!マックスターが
ふっとびました!」「あの不利な状況でとっさにブレイク技を出せるとは・・アルゴ、いまだ恐るべし!」

「ぐうう・・テンプルは効いたぞ。」ブンブン。「うおお・・さすがアルゴ、簡単には倒れてくれねえぜ・・」
グググッ!・・「ならば新必殺技で勝負!おおおおーっ!」ギーン!「なっ?!マックスターが黄金に!」
「あれは・・ハイパーモードか!」「来るか・・よかろうチボデー!はああああーっ!」ギーン!「ボルトも!」
「いくぜアルゴ。撃滅!」カアッ!「激動!」カアッ!「アトミック・パーンチッ!」ドゴオオオーン!
「大陸撃沈弾!」ズドォンッ!「両者同時に技を放ったあっ!」「空中と・・地下か!」ドゴゴゴゴッ!ヒュン!
「すれちがった!」ドガガガガッ!「ぬおおおおおーっ!」ズドドドーン!「ノオオオオーッ!」『ああっ!』
「同時にヒット!」「ボルトの装甲が砕け散った!」「マックスター、足元の大噴火に吹き上げられたあっ!」
ドシャアアアーン!ゴォォォ・・シーン・・「両者相討ち!この勝負引き分けとする。救急班、急げ!」

「あんたーっ!」『チボデーッ!』「・・無事よ!生きてるわ!担架早く!」「こっちも生きてる!担架お願い!」
「・・お、おい。」「チボデー?気がついたのね!」「頼む・・アルゴの所へ・・」「え・・ええ。」
「あんた、だいじょうぶ?」「ああ・・むっ?」「チボデー?」「アルゴ、ナイスファイトだったぜ。」すっ。
「ああ。・・楽しかった。」ガシッ!『チ・ボ・デー!チ・ボ・デー!』『ア・ル・ゴ!ア・ル・ゴ!』
「ネオアメリカ国民がアルゴコールを?」「観客にもわかったのよ。どっちもすばらしいファイターだって。」
「そうだな。国などリング内では無意味、あるのはただファイターの拳の美学のみだ。」ワアアアアーッ!・・

ネバダ州病院。「父ちゃん、だいじょうぶ?」「このくらい父ちゃんは平気だ。」「すごかったよ父ちゃん!とっても
カッコよかった!」「やっぱ父ちゃんは一番すごいんだね!」だあだあ!「ん?ユーリーもちゃんと見てくれたか。」
ぺちぺち。「わかったわかった、父ちゃんの負けだ。」「さすがのあんたもユーリーにはかなわないね。」にこっ。
「ヘイ、アルゴ。かわいい子供たちじゃねえか。」シャッ。『チボデー?!』「同じ病室だ。」「そういうこと。」
「チボデーもはやく作ることだ。子供はいい。」「子供たち、チボデーお兄さんにあいさつは?」「でも父ちゃんの
敵なんでしょ?」「いいや、リングを降りたら大切な友達だ。」「・・よくわかんないけど、わかった。みんな、
せーの。」『こんにちはー!』ぺこっ。「オー、ナイスな子たちだ!今度トイでも買ってやるかな。」
バタン。『チボデー。』「おっ、お前たちか。」『あれ?・・きゃーっ!カワイイ~!』ドカドカッ!「ホワット?」
「うわ~、アルゴさんのお子さんなんだ。」「とってもカワイイ~!」「ほらバニーおねえさんですよ~。」
「母ちゃん、このおねーさんたちは?」「あたしたちの友達だよ。」「じゃああいさつしなきゃ。」『こんにちはー!』
だあだあ!『こんにちはー!』「うん、やっぱ子供はいいわね~。」「あたしたちもがんばって作らないとね。」
「まさか・・四人ともか?」「オフコース!みんなまとめて俺のワイフだ。いっぱい生んでくれよ!」『はーい!』
「母ちゃん、チボデーって奥さんいっぱいいるのね。」「そ、それは・・やれやれ。」「ふふっ・・甲斐性だな。」

みなさんお待ちかね!誰がこんなすばらしい対戦が実現すると夢みたでしょう!
少林寺とムエタイが今ルンピニースタジアムで激しく拳を交わします!
ムエタイの帝王、ガルーダの鋭い蹴りがサイサイシーに迫ります!
次回、機動武闘烈伝ダブルGガンダム第十話
「勝利をつかめ!少林寺対ムエタイ」に、レディー、ゴーッ!

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「さてみなさん。今日のカードは格闘ファン必見、少林寺とムエタイです。
ネオチャイナ代表はサイサイシーのドラゴンガンダム改Vsネオタイランド代表、ガルーダのルンピニーガンダム。
サイサイシーはみなさんよくご存知なので説明は必要ないでしょう。ガルーダはムエタイにその人ありという
無敵のチャンピオンです。連戦連勝、いまやネオタイランドの英雄として「帝王」とまで呼ばれております。
だがの人柄はリングの外では紳士的で、とても奥ゆかしい方です。彼には多くの選手が師事してますが、
しかし彼は「まだ自分は人を教えるには未熟」と師弟関係ではなく修行仲間として接しております。
もっとも、彼の技術を学ぶにはスパーリング相手になって直にその技を受けるのが一番ですから同じことですが。」

「ここで大事なことがあります。今回のファイトはムエタイの本家であるバンコクはルンピニースタジアムで
おこなわれるということです。すなわち、ムエタイに絶対の誇りを持つネオタイランド国民の渦中で
サイサイシーは闘わなければならないのです。はたしてこの巨大なプレッシャーをはねのけ、サイサイシーは
無敵のチャンピオンに勝つことができるのでしょうか?そのあたりの心理戦も注目しようではありませんか。」

「それでは!ガンダムファイト!レディィィーッ、ゴオオーッ!」

第十話「勝利をつかめ!少林寺対ムエタイ」

ネオチャイナ/ネオラオス国境。ガキョンガキョン。「ねえじっちゃんたち、なんでジャンクキャリアーで
いかずにドラゴンガンダムで徒歩なんだよ。」「実はの、ネオタイランドの一部過激派がひそかに我らを妨害
せんものと待ちうけているという情報を得たのじゃ。」「知ってのとおりムエタイは国の誇りじゃ。万が一
ガルーダ殿が敗れるようなことがあれば、国威が失墜すると信じる者もおるじゃろう。」「万が一って、まるで
サイシーが勝てない口ぶりですね?」「そーだそーだ!やる前からなんでオイラが負けると思ってんだよ!」
『勝てると思うのか?』くるっ。「わざわざ負けるつもりで行くファイターはいねえよ!」『・・たしかに。』
「・・これだけは話すまいと思うたが、恵雲。」「やはり話しておくべきじゃろうな、瑞山。」「なんだ?」
「実はの、ガルーダ殿はかつて龍白どのと試合うたことがあるのじゃ。」「なにいっ?!父さんと!」
「もう20年も前になるか・・武者修行をしておった龍白どのはネオタイランドに立ち寄り、時のムエタイ
チャンピオンに一手所望したのじゃ。」「そのとき腕試しで当たったのが、若手ながら実力ナンバー1の
ガルーダ殿だったということじゃ。」「で、結果はどうだったんですか?」『相討ちじゃ。』「相討ち?・・」
「攻撃が同時にヒットしての。それゆえチャンピオンへの挑戦はかなわんかったが・・」「・・なんですか?」
「それからまもなくのことじゃ・・ガルーダ殿がチャンピオンを1ラウンドでマットに沈めたのは。」
「そうだったのか・・父さんと同等の腕、そしてそれは現チャンピオンか・・」「言うまでもないが、あれから
20年の月日が経っておる。ガルーダ殿の技量もさらに洗練され、高度なものになっておるは必定。」
『サイサイシー、この最強の男の壁、すなわち父の壁を乗り越える自信ありや!』「・・・・」「サイシー?」
「・・ふふふっ、うはははははっ!こりゃあおもしれえや!それでこそ闘いがいがあるってもんだ!」
『むう!』「敵は強いほどいい!父さんと互角に渡りあったその腕、ぜひこの身で味わってやろうじゃねえか!」
「サイシー!」『うむ、よう言うた!それでこそ少林寺を背負うにふさわしい答えじゃ!』「ガルーダか・・」

バンコク。「サイサイシー・・龍白の息子か・・」「ガルーダ様。」「なんだ。」「地方の弟子からの最新情報に
よりますと、ドラゴンガンダム一行はネオタイランド国境に近づいております。」「・・なぜそのようなことを
探っておる。」「は?しかし・・」「まさか私の対戦相手に何か仕掛けようとでもいうのか。」「い、いえ、けして
そのようなことは!ガルーダ様の勝利にゆらぎありませぬ!」「ならばつまらぬ考えを起こすな。さがれ!」
「ははっ!」シャッ・・「・・とはいえ、あのバカどもがやめるとは思えん。・・これも試練かもしれん。」

ネオラオス/ネオタイランド国境。「今夜はここで野宿し、明日国境を越えていっきにバンコクを目指す。」
「ほんじゃ晩メシでも作りましょうかね。セシル、ランダーから材料を。」「はーい。・・なんでランダーが
物置き兼冷蔵庫になってるわけ?」「だってランダーなんて使わねえもん。遊ばせとくくらいなら、有意義に
使ってやらなくちゃね。」「はい中華ナベと食材。」ぽいぽい。「よっとっと。」パシパシッ。『サイサイシー、
焚き木はこれくらいでよいかの?』「ありがとじっちゃんたち。よーし、作るぞ!」ジャンジャンジャン!

パチパチ・・「いやー食ったくった。」「サバイバルイレブンの遠征はきついけど、サイシーの料理があるから
疲れなんか吹っ飛んじゃうよね。」『ハラが減ってはいくさはできぬ。これもまた真理なり。』「さて寝よか。
明日は夜明けとともに出発だ。セシルはコクピット、オイラたちは焚き火の周りで寝るから。」「ええ。」

深夜・・ガサッ。ササササ・・キラッ、ドスドスドスッ!「やったか?」「やったぞ。これで我が国の権威は
守られた。」【そんなことで守るようじゃ、たいしたことねえなあ!】『なにっ?!』【ここはまだネオカンボジア
国内じゃぞ。もし露見すればネオカンボジア政府から公式に非難声明が出るじゃろう。】【我らはちゃんと政府に
通過許可をもらっておる。国を愛するがゆえの行動と察するので、コトが公になる前に立ち去さられよ。】
「モビルスーツ隊、いけっ!」ガサッ!ザン!【ありゃりゃ、モビルスーツまで持ち出すとはね。じっちゃんたち、
こいつは話すだけムダのようだぜ。】【そのようだの。ならば実力で排除するまでだの、恵雲!】【ひさびさに血が
騒ぐぞ。いくぞ瑞山!】ザザッ!「あちゃあああーっ!」ズガアアアーン!「なんと?!素手でモビルスーツを!」
「少林寺をなめるでないぞ。北派少林拳奥義、烈空脚!ヒョオオオーッ!」スパパパパッ!ピキッ、ガラガラン!
「まいる!南派少林拳奥義、怒砲打!せいやあっ!」ドカアアアーン!ボコオオオーン!・・ザシャアッ!
『爆発!』ズガガガガーン!「・・少林寺はバケモノか!」「さて、まだやるかい?」「・・退却!」ザザザザ・・
「夜のトレーニングとしてはじゅうぶんだな。さ、夜明けまでもうひと眠りしようか・・ん?」パシュ。
「む~・・なにかあったの~?(寝ボケている)」『虎が出ただけでござる。追い返したゆえ安心じゃぞセシル殿。』
「まだ夜明けまで時間あっから。」「そうですか~・・それじゃ、またおやすみなさ~い・・」パシュ。

早朝、バンコク市街地。朝のロードがガルーダの日課である。これはムエタイの頂点に立っても変わらない。
タタタタ・・『ガルーダさま!』『帝王!』『我らの英雄!』街頭の出店から応援の声がかかる。それにちゃんと
手をふって応えても、ランニングのスピードは落ちない。『ガルーダさま~!』ブロロロ!「む・・どうした?」
「すぐにお戻りください!チャングーたちが・・」「・・なに?そうか・・規定の距離を走ってから戻る。」

ガルーダのジム。「チャングー・・まことか。」「申し訳ございません。」「・・全員仕度をしてリングへ上がれ。」
キュキュッ。「3分間立っておられれば許そう。かまわず攻めてこい、そうでなければもたん。」『ははっ!』
カーン♪シャシャッ!ボゴオオオーン!『ぐはあっ!』バキイイーン!『ごはあっ!』「せいっ!」キュキュッ。
スカッ、ドンッ!「ぐっ!・・」「おりゃあああーっ!」ズガアアアーン!「があっ!」ゴオッ!ギャリリッ!
ユラユラ・・「一分ももたぬのか、未熟者ども!そんな腕で龍白の息子を討とうなど、無理のひとこと!」
ババッ!すたっ。「救急車を呼んでやれ。」「ははっ。」「そして二度とこのジムの敷居をまたぐことを禁ずる。」

ガキョンガキョン。『急げサイサイシー!試合開始時間まで間がないぞ!』「だいじょうぶだって。ちゃんと
間に合うように計算してっから。」カタカタ・・ピッ。「サイサイシー、ここからはかねて予定のルートよ。」
「おっしセシル。じっちゃんたち、コクピットに入って!」『なんじゃと?!なにゆえに?』「こっからさ。」

ルンピニースタジアム。『ガルーダ!ガルーダ!』「ガルーダ様、サイサイシーはいまだバンコク市内に
入っておりません。やはり・・」「来る、龍白の息子は必ず来る・・」ぴくっ。「・・来た。」「えっ?」
ゴゴゴゴ・・「メナム川が?」ズザザザザーッ!『おおっ!』「竜巻?!」ドパアアアーン!『お待たせ!』
オオッ!『ドラゴンガンダム、見参!』ドドーン!「うむ!よくぞ来たサイサイシー!」パシュ。
『ガルーダ!ガルーダ!』「すごい声援ね・・」「こないだの鈴の気持ちが少しわかったような気がするぜ。」
『サイサイシー、鈴はこのような四面楚歌の中でも己が力を出し切った。それに負けるではないぞ。』
「わかってら。この程度で怯むオイラじゃないさ。じっちゃんたちとセシルはサポートクレーンへ。」
「ええ!」『武運を祈るぞ!』シャシャッ!「さって!・・ガルーダ。」きりっ。「サイサイシー、まずは君に
不始末を謝りたい。」すっ。「あんたの差し金なんてハナから思ってないさ。これからのファイトのためにも
忘れてくれや。」「うむ、それとファイトは別物。全力で闘うことが最高の詫びになる。」「そのとおり!」
「では、闘いの前の儀式といくか。」「おう!」「闘いの調べを!」♪ピーヒャララピーラ!「あれがムエタイ
伝統の闘いの舞なのね。」「いわば相撲の仕切りと同じじゃ。」「神聖たる儀式じゃ、尊重するのが礼儀。」
「しかしさすがはガルーダ殿、見事な闘舞じゃ。」「微塵のスキもない。これは激戦になるぞ・・」
「オイラも準備体操しとくか。はいっ!」バッ!バババッ!『おおっ!』「ん?・・ほう、あの動きは。」
「サイシーも闘いの舞を?」「恵雲これは?!」「いかにも瑞山!いままで見たこともない体式じゃ!」
「あれは・・少林寺秘技、昇龍体式!」ぎょっ!『セシル殿、知っておられるか?!』「少林寺でもあまりの
高度さゆえに体得者が絶えて久しい体式です。」「昇龍体式・・名前だけは聞いたことがある。」「なぜそれを?」
「少林寺で発掘された古文書にありました。ボロボロなので写本してたら見つけました。それを清書して
サイシーに見せたんです。」「写本・・なるほど、書くことはおぼえる最良の手段。」「しかし古代中国語をも
網羅しておるとは、さすが才女セシル殿。」「私、興味持ったらトコトン極める性分ですから。」

ヒヒヒーン!パカッパカッパカッ!「これよりドラゴンガンダム対ルンピニーガンダム。両者、中央に!」
ザザッ「では始めるか。」すっ。「いくぜ!」さっ。「・・始め!」『ガンダムファイト!レディー、ゴー!』
「はっ!」ダッ!ババババッ!「いきなりの連続蹴りか!おととっ!」「むん!」バキーン!「うわっ!浴びせ蹴り!」
ダダーン!「くっ!」ゴオッ!「やべ!ひざ落とし!」バッ!ズドン!「なんて威力じゃ、地面が陥没しおった!」
「まともに食らったら、それでおしまいじゃった!」『サイサイシー、気合だ!』「ちっ!起き上がるスキがない!」
ゴロロロ・・「逃がさぬ!」ダダッ!「もらう!」ゴオッ!「ま・・またヒザじゃ!」「今度は避けきれぬ!」
「・・これだ!」バン!グン!「穿空腿!」ズガーン!「むおっ!」ダダーン!『うまい!倒立起きと昇り蹴りを
複合してのカウンターじゃ!』「追いうち・・おっと、やべ。」ぱぱぱぱっ、スタッ。「・・見切ったか。」
「ムエタイ必殺の起き上がりアッパーを狙ってたな。」「その通り。」ムクッ。「あぶね~。今度はこっちが
お返しをくらうとこだったぜ・・」「さすがは少林寺の星。気にいったぞ。」「あんたも帝王とよばれるだけはある。」
「では・・いくぞ!」ゴォッ!「宝華経典、十絶陣!」バババッ!ドドドッ!「結界?」「伸びろ、龍撃拳!」
ギュオオッ!「回し蹴り!」バーン!ヒュッ!・・スパパパッ!『なんと!飛び回し蹴りで結界を切り裂いた!』
「なにっ!」トン。タタタ・・「腕の上を・・来る!」ダン!「必殺・ガルーダデストロイヤー!」ドガガガッ!
「うわぁぁぁっ!」バキイイーン!「どわぁぁっ!」ダダーン!「終った・・」ザシャアッ!「な・・なんという
連撃!電光のような蹴りの嵐と・・」「最後に浴びせ蹴りでフィニッシュ!これでは・・」「サイサイシー!」

スッ・・「どこへ行く。」「試合は終わりだ。」「ワシはまだ裁定しておらんぞ・・よく見ろ!」「・・むっ?!」
「あいたたぁ。いや~、超きいたぜ。」ムックリ。「な!・・なぜ立てる!」「お前ほどの男が見抜けなんだか。
サイサイシーはあの瞬間に気功をかけおったのだ。」「・・瞬時に肉体を鉄壁と化す硬気功・・なるほど。」
「でもね、それでもアバラの2~3本は砕けたけどね・・へへ。」「それでもなお闘志はあるか。サイサイシー、
君と闘ったこと、私の生涯の誇りとしよう。」「そういうセリフは終ってから!はぁぁぁーっ!」ビーン!
「ハイパーモードか・・受けよう!はっ!」ビーン!「ガルーダもか?!・・いや、当然だな。」「いくぞ、
最終秘弾!」ダーン!「少林寺最終奥義・・よかろう!」「真!流星胡蝶剣!」シュバアッ!「でやあああーっ!」
ゴォォォーッ!「ガルーダ・クラッシャー!」ダーン!「凄まじいヒザ蹴りじゃ!」『サイサイシー、気合じゃ!』
『うおおおおーっ!』ドガアアアーン!・・『ぶつかった!』ピキッ、バキバキバキッ!「うぉぉぉーっ!」
「ルンピニーのヒザが砕けた!」「・・ぐはっ!」「あれを!」「同時にエルボーがドラゴンの水月に?!」
ユラ・・ドドーン!「倒れたのはルンピニーよ!」『サイサイシー、見事じゃ!』「それまで。両者相討ち!」
『な、なんじゃと?!』フラ・・ズズーン!「互角だったか。」「まあ、よかろう。ここまでやれれば。」

パシュ。「あいててて・・まだいてえや。」「サイシー、だいじょうぶ?」「しばらくは湿布が必要かな。」
パシュ。「むう・・さすがは少林寺、受けきれなかったか。」「ガルーダ様、お怪我は?!」「大事ない。」
ワアアアーッ!『再試合!再試合!』「国民が?」「いかんな・・」「ありゃりゃ、あれで納得いかねえのか?」
『サイサイシー、ここはひとまず。』「なにいってんだじっちゃんたち!なんならもう一回やったっていいぜ。」
「ムチャよ!サイシーもガンダムもダメージが!」「それはガルーダだって同じことさ。・・さて、どうする。」
「静まれえええーい!」シーン・・「あの試合内容で納得いかんというのか。ならば皆の目は曇っておる!」
ザワザワ・・「勝敗は時の運、大事なのはその中身だ。それがわからぬような国民ならば、私はグローブを脱ぐ!」
シーン・・「ガンダムファイト国際条約第6条、国の代表であるガンダムファイターは、その威信と名誉を
汚してはならない。そしてそれは国民一人ひとりにも言えることだ!我が国を愛するのはよい、誇りもよい!
だがそれを守ろうとしてかえって汚すことになっていないか、もう一度よく考えてみてほしい、それだけだ!」
・・パチパチパチパチ!ワアアアアーッ!ガルーダ!ガルーダ!「わかってもらえたか・・ひとまずは。」

バンコク郊外。「見送りが私だけですまぬ。」「いや、あんただけでも嬉しいよ。」「他の国では見送りなぞ
やってもらったことがござらぬ。」「ガルーダ殿の高潔なお人柄、感服つかまつる。」「お恥ずかしいかぎり。」
「やっぱり父さんはえらかったと思うよ。」「龍白どのが?」「だって、こんなすばらしいファイターと拳を
交わせたんだから。」「・・その言葉、なによりの誉れだ。」「じゃ、ネオ東京で会おう!」「さよならー!」
ガキョンガキョン・・「必ず行くぞ、決勝リーグへ。そしてまた龍白の息子・・いや、サイサイシーと再び。」

みなさんお待ちかね!リングに咲く二輪の美しい花!
華麗なる対決がいま始まります!だが、二人には共通の秘密があったのです!
その謎とは?巨大な運命の波は乙女たちをも見逃がしはしません!
次回、機動武闘烈伝ダブルGガンダム第11話
「女は競ってこそ華!激突女性ファイター」に、レディー、ゴーッ!

********************************************
「さて皆さん、今回のファイトは華やかなる女性ファイター同士のカードです。ご存知アレンビーと、
新人のナコルルの対決。共に男性ファンに人気の二人。おっと、アレンビーには女性ファンも多いですね。
もちろんこの対戦カードは大きな話題となりました。では実行委員会事務局の様子をみてみましょう。」

「チケットが受付け開始から20秒で売り切れました!」「早くもプレミア相場が!十倍からです!」
「TV局がネオスウェーデン政府と少数民族連合にオンボードカメラの搭載を要請してます。認可料として
一千万ドル出してもいいそうです!」「スーツ装着時は撮影禁止、また音声は入れないことで認可する模様です。」
「スタジアムは仕切るべきです!最悪の場合、暴動が想定されます!」「各企業からスポンサー申請が殺到!」
「ガンダムにステッカーは貼れません。・・スーツにもダメです。スポンサー規約をよく読んでください。」
「懸賞金?相撲じゃありませんって!」「ナコルル選手応援HPをオフィシャルで開きたい?公認はやってません。」
「あらあら、まさに修羅場ね。」「マリア頭取?いま忙しいからかまえませんが。」「様子見だけよ。総利益は?」
「チケット代、放送権料、テキ屋認可料の総額です。」バサッ。「なるほど。会場設備費を引いて・・まあまあね。
両国への規定レート補助金を引いて・・うん、純利益もいいとこいくわ。札幌への直行便を各国空港に手配して。」

「そしてもうひとつ、今日は物語の核心に触れる出来事もあります。注意してよーく読んでください。
今までちらほらと出てきた「紋章」「選ばれし戦士」の話がここでも・・そして暗躍する謎の女性、ナディア。
どうやら前述のクレオパトラとかいう女性と関係のある方のようですが、その目的はいったい・・?」

「それでは!ガンダムファイト!レディィィーッ、ゴオオーッ!」

第十一話「女は競ってこそ華!激突女性ファイター」

ネオジャパン・北海道。「はぁ~るばるぅきたぜ、はぁこだてぇぇ~っ!」すぱあああーん!「アホ!ここは
札幌よ、アリシア!」「あいた~。でもホッカイドーといえば、やっぱこの歌ですよ、アレンビー少佐。」
「そんなのどこでおぼえたんだか。」「アニーのCDで。」『えっ?』「壱岐の実家が持っていけって渡してくれた
ものなの。」「どうりで宿舎のどっかから聞きなれない曲が流れてたわけね。」「ああ・・あれか~。そういや
アニー唄ってなかった?」「石Oさゆりならしょっちゅう。」「アニーはうまいよー。「アマギごえ」なんか
聞いてて涙出そうなくらいだもん。」「へえ・・それはぜひ今夜カラオケボックスで歌ってもらわなきゃ。」

大倉山山麓。「ここが試合会場ね。」「大昔にオリンピックがあったところです。」「あのジャンプ台か。」
「冬季じゃなくてよかったですね。ヘタすると雪上戦でしたよ。」「寒冷地装備は整備タイヘンだものね。」
「うん。・・あれ?」「なんですか?」「あそこにいるの、ひょっとして?」「・・ナコルルさんだ!下見に
来てたんですね。」「ほう・・おし。」タタタタ・・「リーダー、どこへ?」「ちょっとあいさつだけよ。」

「・・地元でのファイト。ぜったい負けられない・・?!」ぴくっ!ばっ!『よけた?!』スカッ!
「はあっ!」ビュッ!「おおっと!」パシィィーン!くるくるっ、ザシャッ。「あいたた・・すげえ蹴り。」
「くせ者!名を名乗りなさい。」「アレンビーよ。さすがにいい動きね。」「・・アレンビーさん?明日の
対戦相手の。」「ごめんね、どれほどのものかちょっと試してみたの。もちろん寸止めするつもりだったけど。」
「・・ウソはいけませんよ。今の蹴りには必殺の気合いがこもってました。」「あら、わかっちゃってた?・・
正直、もし受けられなかったら本気で蹴り倒してたかもね・・」キラッ。「ファイトするに価値なし、と
いうことですね。」きゅっ。「そういうことね・・合格よ。」「おほめにあずかり、光栄です・・」ゴゴゴゴ・・
「・・いい目ね。幾多の死闘をくぐりぬけてきた者だけが持てる目よ。」「そういうアレンビーさんこそ。」
「こりゃゾクゾクするほど強そうだ・・前哨戦やらない?」「明日にひびかない程度、なら。」「よかった。」
ザザッ!『リーダー?!』「止めるんじゃないよ。」「ほんの座興です。」『・・』「もう止められないわね・・」
『いいえ。その勝負、私があずかります。』『・・えっ?』ばっ!「・・あなたは!」「な、なんでここに?!」
「お二人ともひさしぶりね。」「あれは・・ナディアさんだ!」「なぜフォアカードの一人がここに?!」
「フォアカード?」「あ!・・」「かまいませんアレンビーさん、彼女には知られても。」「・・まさか?!」
「用件はそのこと・・場所を変えましょう。ついてきて。」くるっ。『・・・・』・・こく。ザッ。

市内最高級料亭。「おまたせしました。」『おおおお~っ!』「タラバガニが山盛り~!」「イクラとウニが
ドンブリいっぱい~!」「でっかいホタテ!」わいわい!「私のおごりだからご遠慮なく。足りなければ
どんどん追加注文していいわよ。」『ゴチになりまーす!』「カニ食いだしたら話にならないから、先に本題を
お願いできます?」「いいでしょう。・・まずナコルルさんに。」「はい?」すっ、ボオッ。「これは!・・
ナディアさんも!」「前は見せなかったけど、そうなの。そして・・アレンビー。」「これ?」ボオッ。
「なっ?!・・それは「魔術師」!アレンビーさんも所有者だったんですか!」「あたしだけじゃないよ。
みんな!」『はーい!』ボボボボオッ!「・・全員が!」「ナコルルさん、最後はあなたのよ。」「・・はい。」ボオッ。
「「戦車」か・・事前に聞いちゃいたけど。」「いちど面通しさせときたくてね・・これが今回の用件よ。」
「なるほど・・かといって手を抜くつもりは微塵もないわ・・全力でぶち倒す。」「こちらも仲間よりも明日の
対戦相手として認識してます。紋章は関係ありません。」「ガンガンやっていいわよ。」『ナディアさん?』
「闘えば闘うほど強くなる。それがファイブカード、いえ、アルカナの戦士よ。」『・・もとより!』
「さって、お仕事も終わったことだし、サッポロビールと北海の幸を楽しみましょ・・あれ?!」からっ。
「ナディアさん遅いですよ~。」「お話してる間に終わっちゃいました。」「ぐぞ~・・追加注文!」

「ナコは飲まないの?」「まだ19歳ですから。」「あたしゃハタチ。だから飲む~!」ぐぐーっ!
「アレンビーさん、前から聞いてみたいと思ってたんですが、闘う目的はなんですか?」「目的?んなもん
考えたこともないわ。」「えっ?」「あたしゃ純粋にガンダムファイトが好きなの。リングの上には全てがある。
友も人生も・・愛も。」「愛も・・」「ファイトに言葉はいらない。繰り出す技の一つひとつは幾千もの言葉にも
勝るわ。そういう意味では生きるのがヘタで不器用なのかもね。」「いいえ、すばらしいことだと思います。
私の肩には世界の少数民族の仲間たちの期待がかかってる・・その重さに耐えきれなく、身体が萎縮することも
たびたびあるんです・・アレンビーさんがうらやましいです。」「・・ナコ、あんたとんでもない勘違いしてるわ。」
「えっ?」「仲間たちの応援こそ最高の力よ。見てくれている人がいる、がんばれと言ってくれる人がいる。
その応援こそ、どんなに強い相手にでも決してくじけない勇気を与えてくれるの。それは重荷でもなんでもない、
まさにあなたに無限の力を与えてくれるものなの!」ガーン!「・・わかるような気が、いえ、わかります!」
「後ろで見守ってくれる人がいるかぎり、倒されても何度でも立ち上がれる。闘いに理由なんかいらないけど、
理由を持った者はさらに強くなれる。明確な目標があればこそ、そこへ向かってただつき進めばいいの!」
「・・ありがとうございました。おかげで心の重圧がとれました。明日の試合、ただひたすら挑みます!」
「よろしい!」「ではお先に失礼します。急に鍛錬をしたくなりましたので。」「明日、会いましょ。」「はい!」

「・・いいのアレンビー?あんな相手を励ますようなこと言って。」「ちょっと暗い目をしてたからね・・
あたしゃ全力の相手と闘いたいの。あのままだったら、力を出しきれず惨敗してただろうね・・」ぱくっ。
「バカね~、楽勝できたの棒に振って。」「ファイターはすべからくバカなの。ほら、歌にもあるでしょ。
醜い利口になるよりは、綺麗なバカで生きてやる・・あたしの座右の銘みたいなもんかな。」「なるほど・・
でもね、世の中には前者じゃないと生き残れない世界もあるの・・」「そうでしょうね・・特にナディアさんの
いる世界は、ね。」「・・だから、たまにバカに会うとホッとするの。一種の憧れみたいなもんかな・・」
「あたしみたいなバカでよければ、いつでもどうぞ。」「フォアカードにも若干二人ほどいるからなんとかね。」
「・・クレオとヨーコさんね。」「そうそう。あの大バカコンビにはいつも振り回されてるわ・・」ふっ。
「楽しそうね?」「・・まあ、そうかも。その時は自分もバカになれるから・・ほんの少しだけね・・」
「なれるときにしっかりならなくちゃ。マコ、マイク!」「はいさ!」ヒュッ、ぱしっ!「レイ、曲リスト!」
「よいしょ!」ブン!ばさっ!「え~と・・あ、これにしよ。アニー、133403!」「はい。」ピッピッピッ。
「ほれナディアさん、歌ったり。」「え?何の曲?」「すぐわかるって。」♪チャラリラリ~。『これは?!』
『歌は世につれ 世は歌につれ。時は幕末 京の街。あまたの血刃くぐりぬけ 都を守る少女たち。』
「あ、これ知ってるわ!」ぱっ。「前にヨーコがやらせてくれたヤツよ!」『あら、知ってんなら話が早いわ。
士魂ひとつを胸に秘め 泣いたりしません勝つまでは。では、はりきって歌っていただきましょう。
みOめて新O組です。どーぞ!』ぱちぱちぱち!「いよっ!待ってました!」「だいーとーりょー!」
「♪あなたをみつけた京の街 あなたは私に気づかない 高鳴る胸をおさえつつ そっとあなたに近づくの~。」
「ほい、わりばし!」ひゅっ、ぱしっ!ビュン!ズバアッ!「ぐはあっ!」(斬られ役:アリシア)どさっ!
『おおおおーっ!』ぱちぱちぱち!「この歌にはやっぱこれがなきゃね。」「一種のシャウトだしね~。」
「♪都の治安を守るため キンノー浪士をたたき斬れ ひとかどの武士になるために 情けは無用の新O組~!」
『ひとーつ!』「人の世 生き血をすすり!」『ふたーつ!』「不埒な悪行三昧!」『みーっつ!』「醜い浮世の鬼を!
退治てくれよう」『いよーっ!』パーン!(箸置きでテーブルを叩く)「あ、ももたろおぉぉぉ~っつ!」
『わはははははっ!』「わははははーっ!なんで途中で桃O郎侍になるんだか!」「あ、ウケたうけた。」ぺろっ。
こうして狂乱の宴は続く・・あのー、明日は試合なのすっかり忘れてるみたいですけど・・(^^;;

次の日、大倉山特設スタジアム。『あう~・・』「結局、朝まで騒いじゃった・・」「寝不足と二日酔いが~。」
「眠いわ、気分悪いわで・・」「少佐、始業点検よし。」「ありがとアニー。さって、バトってくっか!」
「なんでアニーと少佐はそんなに元気なのよ~。」「鍛え方のちがいね。」「うちの実家は水軍の血統でしょ。
身体に染み込んだ潮を薄めるため、遺伝的に酒豪なの。一升でほろ酔い程度ね。」『あう~・・バケモンだわ・・』

「あいたたた・・ひさびさの深酒だったわ。」『いかにナディアがうわばみとはいえ、ガンダムファイターや
水軍の姫と飲み比べるのは無謀というもの。』スゥ。「おもいっきり後悔してるわよ、ビッグシャドウ・・
あたたた。」「ふはははは!いいザマだぞ。」「はうぅぅ~!その高笑いはやめて~!頭にガンガンくる~!」
「ほれ、これを食え。」ぽい、ぱしっ。「・・ウメボシ?」「二日酔いの特効薬だ。」「もらっとくわ・・」

ワーッ!「おーおーいるいる。いっちょあいさつでもすっか。ハーイみんな、しっかり応援してね~!」
オーッ!「さてと・・来たわね。」バササ・・ストン。「ナコ、あんたも自分の応援団にあいさつすれば?」
「そうですね。みなさん、私の応援にたくさんの方に来ていただき、嬉しいです。私も一生懸命闘いますので、
見守ってください。」オーッ!「それではこれより、ノーベルガンダムV対カムイガンダム。両者、中央へ!」
ザッ。「あたしは今日はとっても気分がいい!ゆえにいつもより動けそうよ。あたしに感謝しなさーい!」
(まだ残ってる)「?・・アレンビーさん、なんかテンション高いですね・・?」「構え!・・始め!」
『ガンダムファイト!レディー、ゴー!』「はいやっ!」ブン!「おっと!それっ!」ビュッ!「よいしょ!」
「レラ・オ・チキリ!」ガガガッ!「くっ!登り蹴りとは!そーれぃ!」バン!「きゃっ!」「スパイラル・
レインボー!」ゴーッ!「まだ!アンベヤトロ!」ピーッ!ゴオッ!「うわっ!鷹が?!」ズドオオーン!
「あいたぁっ!」「そこ!」ダッ!「アンヌムッペ!」グン!シャアアアーッ!「くるか!」グッ、ザザーッ!
「・・えっ?フェイントか!」「もらい!」ガシッ!「とおーっ!」ブワッ、ダダーン!「おわっ!投げ技とは!」
「追いうち!」シャッ!「やばっ!・・これだ!」ババッ、ビュッ!パシイイーン!「きゃっ!」ドドーン!
「あいたた・・ダウン体勢から、あんな延髄蹴りを・・」「全然あさいけど、ブレイクには充分よ。」「さすがですね。
それでこそ!」「まだまだ、これから!ビームリボン!」シュルルッ!「はいっ!」「ガードは無駄よ!」ビュッ、
バシーン!「ああっ!」「リボンはガードの上から回りこめるのよ!サーペント!」ギュオッ!「よける!」
「だめよ!」ギュルルルッ!「・・リボンに包囲された!」「その結界は脱出不可能。それっ!」グイッ、ビシーン!
「きゃああーっ!」ダダーン!「これでがんじがらめ。あとは絞め落とすのみ!」ギリッ、ギリギリ・・
「くぅっ・・ママハハ!」ピィッ!バサバサッ!バシッ,パチーン!「おっと!・・鷹にリボンを切らせたか!」
「はぁっ、はぁっ・・」「でも、今のでフラフラね。とどめ!はぁぁぁーっ!」ビーン!「ハイパーモード・・!」
ギン!「バーニングゥ、フィンガァァァーッ!」ゴオオオーッ「ま・・負けない!」「終わりよ!」フッ・・
「・・!アンヌムッペ!」ドン!「ノーベル・ダイナマイ・・いない?!」タン、くるっ!「いま!いきます!」
ダッ!「エレルシカムイリュッセ!」シュバッ!「させるか!バーニングフィンガー!」バン!シュバアッ!・・
ドドドドーン!『うわあああーっ!』ダダーン!ゴォォォ・・さっ。「両者相討ち!引き分けとする。」

「はぁっ、はぁっ・・こんなファイトは久しぶりだった・・」「な・・なんとか負けずにすんだ・・」
「ノーベルダイナマイトをダッシュ技で回避か・・やるぅ。」「消えた瞬間に無意識に技が出たんです・・
もう一回やれといわれても出来ません。」「微妙なタイミングだからね・・まあ、そーいうのも実力のうちよ。」
「ふぅ・・いい試合でしたね。」「ほんと。さすがはファイブ」「しーっ!・・うかつに出さないでください!」
「・・あ、そーだった。やばかった・・ね、あとでラーメンつきあわない?」「そこは私にまかせて。」カツッ。
『ナディアさん?』「二人ともいい試合だったわ。サポートクルーもいっしょにおごるわよ。」『やったー!』

ラーメン横丁。ずるるる~っ!『おいしー!』「ファイトの後は最高ね!」「二日酔いにもね。」「え?二日酔い?」
「かくかくしかじか。」「朝まで飲んでた・・アレンビーさん、そんな体調でファイトに臨んだんですか?」
「うんにゃ、あたしゃゼッコーチョーだったわよ。」「これだからガンダムファイターはバケモンなのよね~。」
「誉め言葉ね。」「あきれてるの。・・でも「魔術師」と「戦車」のファイト、たしかに見ごたえあったわね。」
「さすがに「世界」の妹よね・・」ぴくっ。「・・姉をご存知なんですか?」「一年くらい前に会ったわ。
見た目はともかく、中身はとても姉妹とは思えないわね~。」「・・なにかご迷惑を?」「なんでそう思うの?」
「姉は人様に迷惑かけるのがシュミみたいなものですから・・」「あははははっ!そりゃいえてる!・・だから
いつかどこかで再会したら、リベンジしなくちゃね・・」ゴゴゴゴ・・べきっ!「あ、ワリバシ折っちゃった。」

みなさんお待ちかね!マリアルイゼは元気です!
ドレスをツナギに、香水をオイルに変えて、今夜も姫は徹夜です。
でもこの時こそ彼女が一番輝くときなのです!
それを優しく見守るジョルジュとレイモンド。
次回、機動武闘烈伝ダブルGガンダム第12話
「私のローズ!奮闘プリンセス」に、レディー、ゴーッ!
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