機動武闘烈伝ダブルGガンダム   作:風雲再起

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第七話「熱闘!さっちん主役だよ♪」

温泉旅館「夢十夜」。「いよいよ、ですわね。」「流派東方不敗の新たなる血、ですか。」「布のシュウジ様、
剣のドモン様、そして投のさつき様。無形が流派東方不敗にふさわしい、バラエティに富んだ継承者たちです。」
「とはいえ現役シャッフル相手はまだきびしいので、準シャッフル級のアレンビーさんをご指名ですねー。」
「アルカナ同盟最強の『ファイブカード』が一人『華麗なる魔術師』ですか。程よく強力で初陣には最適ですね。」
「そういえば真祖と共にいずこへ?」「ファイト直前集中講義ということで、ある場所へ特訓に行きましたわ。」

新宿魔天楼。ゴォォォ・・「師匠、ここは?」「現界と異世界の壁の破れ目。この霧の先は想像もつかない世界よ。
そう・・『地獄』とでもいうべきかしら。」「地獄・・」ゴクッ・・「いまから伝授する奥義を会得するには、
その地獄の怪物との対決が必要なの。もし気を抜いたら、生きて戻れないことを忘れないで。」「は、はい!」
ザッザッ・・「霧が・・晴れます。」「そろそろよ・・しっ。」すっ。ぴたっ。(・・近いわ。)(・・えっ?)
ズシーン・・ズシーン・・(あの音は・・)(動かないで。)ズシーン!「あ!・・」ぱしっ!(しーっ!)
グォォォ・・(か・・怪獣!)「な~んだ、『おとろし』か。これでも小物よ。ま、ちょうどいいかも。」ザッ。
ピクッ、グオオオオ!ズシンズシン!「襲ってきます!」「さっちん、まずは当て身技であしらってみて。」
「わかりました。」すっ。グオオオオーッ!「踏み込んで。」すっ、さっ。「攻撃点より前で受け、」ぱしっ!
「ベクトルをずらす。」くいっ、ブオオオッ!ズダダダーン!「よしよし、今日はその応用編よ。はいタッチ。」
ぱん。「当て身の真髄は敵の攻撃点をずらし、そのエネルギーを転用して投げることにあるわ。でもそれだけでは
ただの合気道、流派東方不敗にはさらにその一段上の技があるの。すなわち」グオオオオ!すっ、ぴっ。「指?」
「奥義・魔鏡骨指弾撃。」ズドオオオーン!ドブシャアアアッ!「うわっ!」バシャバシャッ!シュゥゥゥ・・
「わかった?」「・・相手の攻撃エネルギーを指先から骨へ通し、全身の骨を共鳴させて増幅し、再び指先から
強大な気弾として放出する。」「そゆこと。大事なのは骨の配置よ。はいまずは手を伸ばしてみて。」すっ。
「指もっとまっすぐ。そう・・ヒジも。そうそう。・・それで一直線よ。」「こう・・ですね。」すいっ。
「うん、とってもキレイ♪完璧な姿勢はホントに美しいの。じゃあ実際にやってみましょ。・・あれで。」ぴっ。
「え?」メリメリッ、ズシーン!ギュアアアアーッ!「でかっ!」「魔獣ジャイガー。特徴としては~・・」
ピカッ!シュバババーッ!ズガガガガーン!「うわっ!」「角から発するマグネチューム光線。ま、ありふれた
能力だから気にしないで♪」「直撃食らったら死にますってば!」「くらうの?」「いいえ。」くるっ、ダッ!
ギュアアアアーッ!ズシンズシン!「速度・・角度・・」グワアッ!「攻撃点、見切った!」ダン!ひゅっ、
ぴっ。ぴたっ!ギュゥゥーン!「エネルギー吸収・・練気呼法。」ヒュォォォ・・「・・はあっ!」ズゥンッ!
ビクッ!くたっ・・「へえ・・気絶にとどめたんだ。」「正当防衛とはいえ、野生動物をむやみに殺すのは
どうかと思いまして。」「いいんじゃない?でもこのままだとコイツが餌になっちゃうよ。」「気つけ。」
ぴっ、ぴくっ。・・むくっ。「行きなさい。」ぽんぽん。ズシンズシン・・「お見事、さすがの才能ね。ついでに
技の名称も改訂したら?」「そうですね・・『魔鏡黄昏撃』では?」「あ、それいいね~。それにしよ。さてと、
今夜はひさびさに二人で飲もうか。」「アキハ師匠たちは?」「今回はパス。ちょっと賑やかな店なんで。」

梁山泊。そういえば言ってなかったが、決勝リーグ中断からアレンビーはホテルからこちらへ引越し済み。
上級士官なのでちょっと広い4LDKの部屋が使えるが、本人のたっての希望でクルー標準の3LDKに入っている。
本人曰く、「大きいとめんどくさい」だそうで。ま、100%外食だった環境から、栄養バランスを考慮した食堂に
なったのはよいことだが。「でもね~、本質的には・・」ばくばく!「この大食いはバランス以前の問題よね。」
「モメンちゃん、おかわり!」「はーい!いっぱい食べてくれるのは嬉しいですー。」「うわ・・ひつまぶし五杯め。」
「普通は三杯めのぶぶ漬けで仕上げるんですけど~。」「まだまだ。明日はファイトだもの、しっかり食べてスタミナ
ばっちりつけとかなきゃ。」ばくばく!「そーいやアニー、相手のデータは?」「由美塚さつき。ネオジャパン出身。
コロニー大学で古代植物学博士号を取得。半年前にギアナ高地へ踏み込み、行方不明・・記録はそこまでです。」
「そして今、彼女はガンダムファイターとなって戻ってきた、か・・」「この半年間で何がどうなったのか、だね。」
「はん、別に不思議なこっちゃないわよ。半年もあれば変質にはじゅうぶん。要は本人の気の持ちようだけだって。
そんなことより、格闘スタイルの情報とか無いの?」「あ、はい。BGF申請書類によると、投げ技が得意だそうです。」
『投げ技?』「へえ・・」キラッ。ぱしっ。「メシはこれまで。ちょいと消化活動に入るよ。」がたっ。『はい?』

近くの廃墟。「さってと、強化自主トレといきますか。」『あのー・・少佐、ホントにいいんですか?』ズシン!
「ゆったでしょ、マコ。かまわないからおもいっきりやっちゃって。」「でもガンダムでぶん投げたら即死じゃ
済みませんってば!」「よくてバラバラ、悪ければ原型すら残りませんよ!」「トレーニングの範疇越えてます!」
「だいじょぶだいじょぶ、たぶん。さ、やったって。」『もう~・・じゃあいきますよ。』にぎっ、グィーン。
『ターゲットはあそこの廃ビルで・・せーの!』グン!ドビュゥゥッ!「うおりゃあああーっ!」ドカドカドカーン!
『あああああーっ!』ガラガラガラ!「び・・ビル三つをぶち抜いた?!」ゴォォォ・・「少佐は?」「あれじゃ
ミンチになっててもおかしくな・・?!」・・ザッザッ、ザン!「いよっしゃあっ!」『少佐!』タタタタッ。
「お怪我は?!」「ちょっと擦りむいただけ。ほっときゃ治る程度よ。」「信じられない・・あれだけの激突で。」
「おかげで開眼できたわ、新たなる必殺技が。」『新必殺技?』「ええ。・・攻防一体・ノーベルクレイモア。」
「クレイモア・・指向性地雷?」「どういう技だろ?」「さて、討ち入り会といこうか。どこの店にしよっか?」
「それなら『ガンダム酒場』が味もいいしお酒も豊富ですよ。」「あー、あそこね。ほんじゃ行こうか。」

ガンダム酒場。ガヤガヤ。「へ~、すごい・・」「ガンダムファイト関係者限定店。今はBGF関係者がほとんどね。」
「でも一般参加者は私たちだけみたいですけど。」「ミーハーしなきゃ問題なし。店長には仁義きってあるし。」
「お待たせしました。」コトコトン。「おっ、来たきた。じゃ、まずはカンパイしよう。」「はい師匠。」すっ。
「さっちんの本格的ガンダムファイト初陣と、」「あわよくば勝利を願って。」『カンパイ。』チーン♪
バタン。ガヤガヤ。「おっ、団体さんね。」「どこのチームだろ?・・あっ。」ガタガタ。「さてと、まずは・・」
トントン。「・・なに?アニー。」「ほら、あそこ。」「ん~?」ちらっ。「・・あ、なるほど。」ぷいっ。
「話とかしなくていいんですか?」「別に~。言葉よか拳で語るほうがよっぽど有意義よ。」「・・向こうは
そうは思ってないみたいですよ。来ます。」カツカツ・・ぴたっ。くるっ、タッ。「由美塚さつき。明日の試合、
よろしくご教授ねがいます・・」「アレンビー・ビアズリー。こちらこそ・・」シーン・・シャッ!『あっ!』
ぴたあっ!・・「・・同時。」「そして同時に寸止め・・アマにしては上出来よ。」「伊達に流派東方不敗は
学んでませんから。」ぴくっ。「そう・・楽しみが増えたわ。・・ん?」つかつか。「あなた、ちょっといい?」
ぽんぽん。「え?」「ふむふむ、理想的な筋肉の付き方ね。ね、流派東方不敗を学んでみない?あなたなら
キング・オブ・ハートも夢じゃないわ。」「あんたは自衛隊ですか。」「そりゃないですよ、師匠~。(T_T)」
「で、返答やいかに。」「ん~・・紋章とかそういうんじゃないんだな。あたしはただ、楽しいファイトができれば
それ以上なんにもいらないの。」「うーん、とってもナイスね♪ますますウチに欲しくなったわ。」「師匠~。」

帰り道。ワイワイ。「アルクエイドさんって、予想外に楽しい人ね。」「あー、予想外はひどいな~。わたしは
基本的に楽天家なんだよ。」「それは一目でわかったけど。」「・・ししょ~。(TT)」「まあまあ、さつきさん。」
「少佐は誰とでも仲良くなる達人なの。でもそれ以上は踏み込まない人でもあるから。」「・・ホント?」
「現にいまだ弟子入りをうまくかわしてるでしょ。」「自分の信念をしっかり持ってるのよね。だから簡単には
心は動かさないわ。」「へえ・・」「ねーねー、弟子入りしてってばー。」「だからその気ないって・・?!」
ぴたっ。「ん?・・!」きっ。『え?』「少佐、なにか?」「師匠、どうしました?」「・・来た。」「来たわ。」
カツカツ・・「しばし待て、皆の衆。」ぴたっ。シーン・・「・・麗しい女性ばかりだが、中身はそれ以上に
とんでもない連中だな。」「人のこた言えないね、この世にあってはいけないもの。」「ほう、わかるか?」
「わからいでか。・・特にあんた。過去に似たような匂いをおぼえてる。そう、あれは・・古戦場の匂い。」
「フハハハハ!だそうだ、バケモノ。」ニヤッ。「誉め言葉と受け取っておこう。そこで提案だが、スパーリングを
してもらいたい。Dr.、よろしいか?」「向こうが受けてくれるのならな。」「受けた。」「いいんじゃない?」
「師匠?!」『少佐?!』「アレンビーとさっちんは明日があるからダメよ。わたしとワルキューレのみんなで。
どのみちBGFで当たることになるから、今のうちに手の内を知っとくのは悪くないと思うけど。」「BGFで?」
「いかにも、我らチーム『HELL-THING』はBGFに参加する。」「初試合の日程まで、まだまだ間があるけどね。」
「チーム『ワルキューレ』ならば相手にとって不足なしです。」「主はおっしゃられた、研鑽を怠るなかれと。」

ザッ。「この空き地ならいいんじゃない?」「まずは私から。」ザッ。「マコ。」「了解、いきます。」ざっ。
「由美子・マリガン。」「マコ・トライデント。」「レフェリーは私がやるわ。両者、礼!・・はじめ!」
ザザザザッ。「・・」(・・なに?動きがまるでシロウトだわ。これなら・・)「由美江。」はっ?ぞくうっ!
タン!ドゴオッ!『なに?!』「飛びのいた地面が・・陥没!」ザザーッ!「はあっ・・あぶなかった。」
「なるほど・・マーブル・ファンタズムを使えるヤツがいたとはね。」ぎくっ!「師匠、それってまさか?」
「そう、彼女は精神エネルギーを具象化できるの。いわゆるスタンド使いの一種ね。」「スタンド・・あれが。」
「いいカンですね。でも次はどうですか?」・・はっ!「真上!」グワアッ!「逃げきれない・・ならば!」
がしいっ!ズドオンッ!「くうっ!」「な、なに?!」「何かを受け止めたマコの足元が!」「まるで重量物を
支えたみたいにめりこんだ?」ひゅー。「まさか受けきるとは、予想以上の筋力です。でもこれで手詰まりですよ。」
ググググッ!「・・パワーには、技!」バリッ!「なに?・・電撃!」「イナズマ・コレダー!」ズババババッ!
「きゃああああーっ!」ビリビリビリッ!スゥッ・・「ふう・・あぶなかった。」「勝負あり、マコ。」さっ。
「婦警、由美子の介抱を。」「あ、はい。・・感電による失神ですね。命に別状ありません。」「水でもかけとけ。」

ザッ。「アリシア・シルバームーン。」キュパッ。「アンデルセン。」「両者、はじめ!」「紅月!」シャリーン!
「ほう、三日月刀とは珍しいものを使う。実は私も変型剣が好みでな。」ジャキジャキッ!「・・バヨネットか。」
「シイッ!」シュババババッ!「満月!」シュルルッ、キキキキィン!ドカカカカッ!「よく受ける。ならばこれは
どうかな?」ターン!「跳躍?」「なんて高さに・・!」「シェアッ!」シュババババッ!「頭上からの投剣よ!」
「あれじゃよけきれない!」ふっ。「よける必要なんて無いの。」ドカカカカッ!『やられた!・・えっ?』
ゴォォォ・・「な・・に?消えた!」「こっちよ。」はっ。ばっ!・・ボオッ!「・・おおっ、月の中から!」
「投剣はこちらも得意でね。十六夜!」ヒュバババッ!「いかん!」さっ、ドスドスドスッ!「直撃か。・・いや。」
ザシャッ。「お見事。すべて致命傷を避けるとは。」「・・むん!」ババッ!カラカラカラーン。「楽しかったぞ。」

すっ。「レイ・サラマンドラ。」たっ。「セラス・ヴィットーリオ。」「はじめ!」ザザザザッ!「先手必勝。」
ボオッ!「火輪曼荼羅!」ズドドドドッ!「おっとっと!」タタタン!ドカドカドカーン!ザザザーッ!ちゃっ。
「アトレイデス、Fire!」ズドオオオーン!「はっ!」タン!ビュゴオッ!「次弾装填のスキを突く!」カッ!
「爆炎弾!」ズドオオオーン!「回避できない・・ならば!やあっ!」ブン!ズバシャアアーン!「なっ?!
バスター砲を投げるなんて!はっ!」ばっ、ガシャーン!「・・はっ?!」「そこ!」ゴオッ!「しまった!」
「そこまで!」ぴたあっ!「・・はあっ。」「技あり。勝者、セラス・ヴィットーリオ。」「やったね♪」

ザン。「最後は私だ。」「アニー・オンディーヌ、いきます。」ぽん。「?・・アルクエイドさん?」「悪いけど、
この兄ちゃんはわたしがもらうわ。」ザッ。「願ってもない。では・・」ユラリ・・「ノーガード・・ふっ、
わかりやすい誘いね。」「だがあえて誘いに乗る、な?」「もちろん。」すいっ、すっ。ズドオンッ!「ぐっ!」
ズザザザザーッ!『おおっ!』「手を軽く突き出しただけで?!」「あそこまで・・触れてすらいないのに!」
「気拳の一種だね。不可視性エネルギーを掌から放ったようね。」「あれが・・真祖・東方不敗の実力!」
「ふう・・予想外に効く。」「軽いジャブ程度よ。そうとわかってあえて受けたんでしょ?」「お見通しか。」
「さ、あなたの技を見せてほしいわ。」「もう始めている。」ニイッ。「?・・はっ!」タン!シュドドドッ!
『なっ?!』「足元から巨大な牙が!」「あ、あれはなに?!」ザザーッ!「なるほどね・・いくつ飼ってるの?」
「自分が食べたパスタの本数をおぼえているのか?」「だよねぇ・・こりゃけっこう面白いかも。せいっ!」
ドンッ!ザバアアアッ!バゴバゴバゴッ!「黒い壁が!」「同じ手は二度は通じん。だが私の『牙』は無数。」
ゴボアッ!「壁から巨大な牙が!」「どっこいしょ!」がしいいーん!ギギギギ・・「あっぶねー。いまのは
けっこうヤバかったっす。」「だろうな。そう思わせるためのものだから。」「え?・・まっずい!」ギャガッ!
ズドドドドッ!『ああっ!』「地面から無数の牙が!」「そうか、これを当てるためのフェイントで!」「師匠!」

「『百牙林』、決まったな。」「真祖・東方不敗、この程度か。」「うへ~、相手悪すぎ・・」「・・いえ!」
『由美子?』「真祖の気は、いささかも衰えてはいません・・かえって強く!」はっ!「そんな・・まさか!」
「・・むっ?」ぴくっ、グググッ・・「・・せーのぉ!」ブン!バキバキバキイッ!『まさか!』「貫いた牙を
いともあっさりへし折った!」「はあっ!」ブン!ズボボボッ!ドカカカカッ!「遠心力だけで牙を抜くとは・・」
シュゥゥゥ・・ぱんぱん。「再生よしっと。・・あーあ、服はさすがに大穴だらけか。」ぴこぴこ。「師匠!」
「・・そうか、貴様も。」「本質的には異なるけど、表相的には似てるかな。」「よくわかった。・・これまでだ。」
くるっ、ザッザッ・・「次にリングで会うときは、新手を考えときなさいよ。」「何か考えておこう・・では。」

「師匠!てっきり殺られたかと。」「このくらいのことじゃくたばらないって。500年前にバラバラにされたとき、
再生に丸一日かかったのが一番きつかったかな?」「あう~・・師匠やっぱバケモンです。」「否定はしないけど。」
「これが・・真祖・東方不敗。」「人の形をした、人にあらざるもの・・」「まさに超人・・いえ、魔人。」
ぱちぱちぱち!「すっごーい!まるでスーパーマンね。」『少佐?』「あら、そう言ってくれる人は珍しいかも♪」
「基本的にヒーロー好きなの。さらにムチャに強けりゃもう最高!最近のは弱かったり性格ユガんでたりするのが
多くてさ、問答無用に強い!ってのはご無沙汰だったのよ。」「それは同感ね。コハクがよく見せてくれたけど、
ピンチから大逆転!ってのはどうも性に合わないのよね~。そんな技あるなら最初から使わんかい!ってね。」
「そうそう。現実にも瀕死から逆転なんてシチュありえないし。やっぱ最初からダメージ与えて敵が弱ったとこへ
とどめの一撃!ってのが戦いの基本よ。」「そのとおり!戦う前にすでに勝利は決まっている、でなきゃねー。」
「ふむふむ、勝利は戦う前に決めろ・・か。さすが師匠。」「てなわけで、さつきさん。」「・・はい?」
「明日の勝ちはいただくわ。リングの上ではみんな対等、ただ力だけの世界よ。」・・ふっ。「それはちょっと
違いますね。力を正しく使いこなす技術も大事。ダビデがゴリアテに勝ったことをお忘れなく。」「なるほど。」
バチバチバチ!「おっ、ようやく火花が散ってきたね。こうでなくっちゃ♪ さ、今日はもう帰って休もうか。」
「はい師匠。・・では、明日。」「ええ・・明日。」ザッザッ・・「・・明日はマジでやんないと負けるかも。」

ザッザッ・・「・・主の定めし法より外れし悪魔がまた一匹か。」「あんなバケモノがまだいたなんて・・」
「DG細胞?・・いえ、そういう気配はなかったわ。」「・・もしや?」ぴたっ。『?・・Dr.ハインケル?』
「彼女の組織サンプルは『牙』に残っているか?」「あるだろう。」ボオッ、シャキン!「ここに血痕がある。」
「それで何らかの正体がつかめるかもしれん。」「実に興味深い解析になるな。」「途中で逃げだしたりして。」
「物体Xですか。」「それはコヤツだ。」「献血でもしてみるかな。」「輸血された相手が食われてまうわ!」

ワーワー!「今日の第二試合はアレンビー対チーム・アーネンエルベ、由美塚さつきのガンダムツインテールの
戦いをお送りします。」「実況と解説はいつものコンビや。」「まずはさつきさんのプロフィールから。」
「なんとコロニー大学出の植物博士や。何をどう間違えてガンダムファイターになったんやろ?」「どうやら
稀有植物種を求めてギアナ高地へ踏み込んだときに、今のチームに入ったらしいわ。それともう一つ、やはり
あの技は流派東方不敗で間違いなしとの確定情報が入りました。」「となると、マスターもあそこで修行して
流派東方不敗を身に付けたわけやな。」「では今回のゲスト解説者を紹介します。チーム・アーネンエルベ代表、
アルクエイドさん。」バタン。「やほ。いっぺんここ入ってみたかったんだー。」「こちらのゲスト席へどぞ。」
「うわ~、スタジアム全体がよく見えるね。此処こそ一等席!」きゃいきゃい。「・・アルクエイドさんって、
こういう性格だったの?」「強さと性格はあんま関係ないからな。むしろ純粋無垢なればこそ強いかもしれへん。」
「ではまずお聞きしますが、さつきさんはアルクエイドさんの直弟子ですよね。」「そーだよ。これがけっこう
センスよくてさ、シュウより覚えが早かったわ。」『・・だれ?』「あ、そーか。普通はマスターアジアじゃないと
通じないか。」『え・・?』「・・今の話を整理すると・・マスターの先生?」「そーだよ。」『ええっ!』
「ちょう待ち!年齢が合わんで!」「マスターが流派東方不敗を会得したのは、およそ30年前と記録にありますが。」
「うん、30年前に教えたよ。」「やけどアルクエイドはんて、二十歳そこそこやろ?」「あら、若く見てもらえるのは
うれしいな♪」「・・失礼ですが、おいくつです?」「う~ん・・とうの昔に数えるのあきらめたから正確なとこは
よくわかんないけど、サバ読んでだいたい一万くらいかな。」『・・一万?!』「そ、それって・・まさか?!」
「まあ、トシの話はどーでもいいって。議論したとこで時間のムダだし。で、他に質問は?」「・・あ、はい。では
ツインテールについて。」「頭部のツインお下げはなんでっか?放熱器にしてもバインダーにしても小さすぎやけど。」
「いわば高性能バランサーね。あれのおかげで高速機動時にも体勢を崩すことなくフルパワーを出すことができるの。」
「なるほど。・・あれ?武装がどこにも無い。」「あ・・たしかに。標準装備のビームサーベルすら付いとらんな。」
「さっちんの戦闘スタイルに武器は必要なし。あえていえば、相手自身が最大の武器かな。」『・・相手自身?』

ザッ。「へえ・・この大観衆を前にして、なかなかの度胸ね。たいていのアマチュアはここで身体がすくむけど。」
「それは自信の無さから来るもの・・今の私には該当しません。」「・・自信まんまんか。いいでしょう、これで
全力でぶち倒す気になったわ。」「手抜きなんか考えてたら、倒れるのはそちらですよ。」すっ。「カモン♪」
ぶちっ!「その態度L、気に入った!そんじゃ!」すいっ、パチン!『ガンダアアアアームッ!』ギン!ドドドド・・
『バーニング・ガンダムファイト!レディー、ゴー!』「先手いくよ!」ドンッ!ゴオオオーッ!「ふっ・・」
すっ。「ツインテール、ノーガード?」「無茶や!直撃くださいゆーてるも同然やで!」「さてさて、どうかな?」
「シロウトが、スキだらけよ!」ドン!「強烈な回し蹴りが側頭部へ!」「風車。」すっ、シュルッ!「なっ?!」
「はっ!」グン!ギュルルルッ、ズダーン!「うあっ!」「な、なんて投げ!」「回し蹴りの勢いを殺させずに
背を丸めて逸らし、さらに頂点で持ち上げることで支点を上げさせれば、あとは慣性の法則どおりやが・・」
「古典力学の実践にすぎないけど、じっさいやるとなると天性と鍛錬が必要ね。」「それが流派・東方不敗?」
「そうでもあるし、そうでもない。東方の拳は無形、それぞれの能力と特性によってまったく異なる拳になるの。」

ググッ。「妙な技を使うじゃない。ならこれならどう!はいはいはいっ!」ドドドドドッ!「ノーベル怒涛の連打!」
「眠猫。」すっ、ヒュイッ。「足元に?!」ドン。グン!「なあっ!」ギュイン!バシイイーン!「今度は顔面から!」
「下半身に当たってバランスを崩させたんや・・やが、なんちゅう異様な投げ方や。」「人のやらないことをやる、
それもまたオリジナリティなんだな。」「いえ、あんなの考えつくのは変態というんですけど、普通は・・」
「あいたたた・・まったく、楽しませてくれるわね。」ムクッ。「へえ・・今のはダウン確実のはずでしたが。」
「あいにくと、頑丈さがチャームポイントなもんで♪」「もっと強いダメージが必要ってことですね。ならば!」
グッ、ダッ!「ツインテール、はじめて仕掛けた!」「いらっしゃいませ!」グッ。「幻影脚!」ボボボボッ!
「?・・はっ?!」さっ、ドガガガガッ!『おおっ!』「時間差蹴り?」「しかも異常な角度から襲っとる!」
「でも見事なガードね。関節を柔らかく保って、衝撃をほぼ緩衝してるわ。」「・・そこ!」ダン!「なっ?」
ズガアアアーン!「かはあっ!」「うまい!」「ノーベルの乾坤一擲の上段蹴り上げがアゴをとらえたあっ!」
「しかもピンヒールや、あら効くで~。」「・・はっ!」くるっ、ザザザーッ!・・「ツインテール、驚異的な
バランス取りで立て直した!」「へえ、こりゃなかなかね・・」「ゲホゲホッ!・・さすがベテラン、強い・・」

「さて、予想外の好試合になってきました。」「もうアマもプロもどうでもええ、どっちも見事な高手や!」
「・・このままじゃ力負けしそう。やはりあの技を。」すっ・・ぴたっ。「・・なに?」「ツインテール、右手を
水平に上げた?」「なんやあの構えは?二つ指までピンと伸ばしとる・・はっ?!」ぎくっ。「・・まさか!」
「どんな手か知らないけど、スキだらけよ!はあっ!」ダッ!「・・かかった。」「でりゃあああーっ!」ゴオッ!
「奥義・魔鏡黄昏撃!」シュピィィィーン!「?!」ぴたあっ!『・・なに?』「ノーベルが寸止め?なぜ?」
「・・やっぱそうやったか。ノーベルはもはや戦闘不能や。」「どういうこと?」「あら骨法の一種や。相手の
攻撃エネルギーの全てを指先で、いや、全身の骨で吸い取り、自らを増幅器として再び指先から反射する・・
そう、その攻撃が強ければ強いほど、返ってくるエネルギー・・すなわち『気』は大ダメージを与えるんや。」
「大正解。あれで全身が麻痺してる状態。『気』をどうにかして逃がさないかぎり、自力復活は不可能よ。」

「・・」「勝った・・レフェリー、裁定を。」「いいや、まだだ。」「・・えっ?」「よく見よ、未熟者が!」
はっ!バッ!「・・いない?!」『ここだあああーっ!』「・・上?!」くいっ。「もらったあっ!」ゴオッ!
ガシイイイーン!「きゃあっ!」『おおっ!』「バーニングフィンガーが頭上から直撃!」「あ、なるほどー!
あの攻撃はほとんどエネルギーを出さないフェイクだったのかー。」「そのとおり。ぜったい何かやると思って
全力攻撃に見せかけたフェイントを仕掛けたわけ。もっとも、それでもほんの一瞬だけ身体が痺れたので、
あなたが油断する絶好の機会をうかがってたの!」「そして頭上からのつかみ技は当て身が難しいわ。さすが♪」
「アルクエイドさん、お弟子さんの応援してあげないと~。」「いいのいいの、弟子は厳しく育てなきゃ。」
ガギギギ!「なんの・・これしき!」グッ、ビュッ!ゴキイッ!「くっ!肘関節を!」ズルッ。「外れた!」
「なんとブレイク!」「あないな手があったか!形勢逆転や!」ガシッ!「決める!槌落とし!」ゴオッ!
「・・そこ!」ガキイッ!「なっ?!」「ノーベル、脚を首にからめた!」「あの体勢は・・あの技や!」
「たあっ!」ギュイン!バシイイイーン!「きゃあっ!」「フランケンシュタイナーが決まったあっ!」
「ノーベルはマウントポジションもとったで!」「くっ・・」「お願いだからギブアップなんかしないでよ。
お楽しみはまだこれからだから。」「ですよね・・ひとつだけ教えておきます。これはガンダムファイト、
この体勢でも有利とはいえない・・なぜなら!」ドンッ!「なっ?!」ゴオオオーッ!「ツインテール、なんと
スラスターで脱出!」「そや・・これはK-1でもPRIDEでもないんや。やからガンダムならではの戦法がある。」
「そう、格闘技が強いだけじゃガンダムファイトには通じない。こういった応用のセンスもとっても大事なの。」

「はあっ、はあっ・・」「はあっ・・思ったより楽しんどいファイトになったね。」「どちらも相当の疲労が
たまってるようです。」「ましてやノーベルの右腕は死んどる。この戦況では圧倒的に不利や・・さてどうする。」
「・・やるか。」すっ、キィィィ・・「はぁぁぁ・・」「あの技は・・もしや!」「そや・・あの技や!」「・・」
「なるほど・・おもしろい!」「流派!東方不敗が最終奥義!」キイイイ!「石破!天驚拳!」ドオオオーン!
「・・負けたわ、いえ、自滅か。」『えっ?』「アルクエイドはん、どーゆー意味や?」「まだまだ未熟ね~。」
ブオオオオッ!「・・ふっ。」ドカアアアアーン!「まともに決まった!」「んなアホな?あのアレンビーが!」
ゴォォォ・・「終わった・・いえ、ちゃんと確認するまでは油断禁物と。」サァァァ・・「・・いない?!」ザッ!
「上?・・いない。どこ?」きょろきょろ。『・・ここよ!』はっ!ボコオッ!「なんとノーベル、地下にいた!」
がしいいいーん!「きゃあっ!」「爆砕!ノーベルクレイモア!」カアッ!・・ボゴオオオーン!「決まったあっ!
ツインテール頭部粉砕!」「ゴッドデリンジャーをもう会得しよったか!」「・・お見事。」ユラ・・ドドーン!
「勝負あり!ノーベルガンダムV!」「・・はあっ!」ガクッ!「はあっ、はあっ・・けっこうきつかったね。」

パシュッ。「さっちん、生きてるー?」「あう・・死んでます。」「やっぱ最後の詰めがあまいあまい。あの技で
相手に逆転の余裕を与えちゃったね。」「大技を放つには、それ以前にじゅうぶんに相手を削っておけ、ですね。」
「そう。大技はスキが多いから、そこに付け込まれないよう相手をピヨらせて余裕を無くしておくのが鉄則。
これで決める!という段階までもっていっとかないとねー。」「う~・・免許皆伝への道はまだまだ遠いな~。」
「ま、負けたのはそれはそれでよかったかも。」「え?」「だって負けたことで、自分に何がまだ足りないかが
わかったでしょ。それってよかったじゃん♪」はっ。「・・そっか、敗北は勝利よりも価値がある・・大悟せり!」
ぺん!「あいたー!」「調子にのんじゃないよ、未熟者。最後には勝つ、それが目的でしょ。」「は~い・・」

『お~い。』『ん?』ひょい。「あ、アレンビーさん。」「やほ♪いいファイトだったよ。こんなにアツくなったの
ひっさしぶり。」「こちらこそ、ありがとうございました。」「さすがはファイブカード『華麗なる魔術師』。
伝承どおりの実力ね。」ぴく。「アルカナ同盟を知ってる・・しかもかなり。」「もちろん。古い付き合いだもん。」
「ひとつ教えてほしいんだけど・・『星』のこと。」きりっ。「挑む気ならやめといたほうがいいよ。『星』の強さは
『世界』ですら問題にならない。そう、ヘタするとわたしでもあぶないかもしれない。」ぎょっ!「師匠が?!」
「一般にシャッフルのほうがアルカナより上位という認識があるけど、大きな間違い。ファイブカードで同等、
こと『星』にかぎっては、まさにキング・オブ・ハート級・・いえ、それ以上。」「『星』が・・最強。」ぐっ。
「・・?へえ、いい顔ね。」「え?」「ふ~む・・前言撤回。それならまだなんとかなるかも。どう?そのためにも
流派東方不敗を学んでみない?」「ししょ~。」「あいにくと習うよか盗むほうが得意なもんで。」「いいね~。」

その夜、温泉旅館『夢十夜』。がさごそ。「撤収準備、完了いたしました。」(でっかい風呂敷包み背負ってる)
「ではチェックアウトしましょうか。琥珀、フロントで清算を。」「あっはー♪もう済んでますよー。はい領収書。」
ぴらっ。「拝見。・・明細に不備はありません。」「・・(あっはー♪実はナディアさんの計らいでみんなタダですが、
あえて空領収書を切ってもらって、これは琥珀基金に積み立てましょー♪)」「・・(なんとなくわかった翡翠)」
「ではいったん戻りましょう、懐かしのギアナ高地へ。」「レンちゃんは長屋で待ってるの?」こくこく。
「長くても一週間くらいだしね。さっちんも里帰りでもしたら?」「・・家族は二年前に亡くしました。」はっ。
「デビルガンダム・・ですね。」こく。「だから決めた、強くなるって。デビルガンダムを倒せるくらいに。」
「それであんなに修行熱心でしたのね。」「なんにせよ、明確な目標があるのはいいことだよ。そこんとこシエルは
どうなのかな?」「教義を守る、ではいけませんか?」「弱いな~。もっと目に見える具体的なモノじゃないと。」
「そうですね・・例えば、あなた達の殲滅。」「まあまあかな。でもそりゃ近すぎじゃん。もっとでっかい目標なら
やりがいも出るんじゃ?」「師匠はじゅうぶんでかいと思いますけど・・」「まだまだ。そうね・・幽音とか。」
ぴく。「デビル軍団の長・・名前は裏世界ではよく聞きますが、実体は見たことありません。」「あれ?だって
バチカンならいっつも見てるじゃん。」「?・・どういうことです?」ぽん。「姉さま、それ以上はダメですわ。」
「あ、そっか。答えは自分で見つけさせないとね。」「教えてもにわかに信じろというのが無理と思われます。」
「??・・何を言いたいのかよくわかりませんが。」「まあそのうちわかるって。・・ま、シエルなら大丈夫か。」
「理解できませんね・・」「世の中には知らないほうがよいこともございます。」「そうそう♪知ったらまさに
地獄を見ることになることって、よくありますよー。」「??・・ま、おいおい調べていきましょうか。」

「ときにシエルはこの後どうするの?」「法皇庁と提携してるホテルに移ります。ここほどの設備ではないですが、
寝泊りするだけならじゅうぶんですよ。」「キッチン付き、ですか。」「もちろん。カレーを作るのに必要です。」
「おかげでこのフロアもすっかりカレーの香りが染み込んでしまいましたわ。」「そういえば次の対戦は代行者ですが、
相手を聞いていませんでしたね。」「あらそうでした?・・呪術師ンドゥール、ミキストリガンダム。」ぎょっ!
「そ、それって!・・」「・・肉親相食む、ですね。」「あっはー♪これはお城で衛星中継で必見ですねー。」
「ま、がんばってねー。じゃ、行こうか。」どかどか。・・「またお会いしましょう。そう・・すぐにまた。」

君たちに最新情報を公開しよう!
宗教裏世界にその名も高き「法皇の懐剣」「カソリックの牙」第七のシエル。
対するは「アステカの死神」呪術師ンドゥール。決別した父娘がリング上で対峙する!
教義の前に、いや、ファイターの掟は非情。情に流されたほうが負ける、それが鉄則。
それぞれの教義と誇りを賭けて、「聖剣」と「神の手」が火花を散らす!
次回、バーニングガンダムファイト激闘編 第八話
「聖戦!響け第七のラッパ」へ、バーニング・ガンダムファイト!レディー、ゴー!
これが勝利のカギだ!(アステカ秘法・太陽の鳥)


第二部 第7話~第11話

第八話「聖戦!響け第七のラッパ」

 

新橋・聖ガブリエル女学園・礼拝堂。「天にまします我らの父よ・・」「シスター・シエル、勅命が下りました。」

「ははっ。」ボオッ・・『いよいよ明日か。』「はい、枢機卿。」『呪術師ンドゥールは先代法王殺害の張本人。

おかげで法皇庁の腐敗は一掃できたが、ケジメはつけねばなるまい。』「心得ております。教義の為に教祖も殺すが

我ら神罰代行機関の本義。ましてや邪教の神官に何をかいわんや。」『だがンドゥールは君の実の父親でもある。

本当にそれを誅せるか?』「教義の前には無意味。それ以前に、リング上で対峙したなら、親兄弟・恋人といえども

全力でこれを討つ・・ファイターの鉄の掟です。」『それを聞いて安心した。存分にネオヴァチカンの権威を全世界に

示すがよい。アッラー狂徒どもが我らへ弓引く愚かさを悟るようにな。』「そんな面倒なことはいたしません。」

『なに?』「あの連中は死ななきゃわからないから死にたがるんです。ならばこの場でアッラーの御許へ送るが

慈悲というもの・・」ジャキッ!「黒衣聖母!」ヒュババババッ!ドカドカドカッ!『うがあっ!』『ぎゃあっ!』

ドサドサッ!「ちいっ!」ババッ!「見覚えあります、『原理主義革命戦線』のメンバーですね。」ユラリ・・

「ネオヴァチカンの牝犬、第七のシエル!無残に倒された多くの戦士たちの恨みを思い知れ!」ドガガガガガッ!

ビスビスビスッ!「やった!」「アッラーは偉大なり!」「・・いいえ、あなたたちは信者ですらないですね。」

はっ?!「・・バカな?!」「ハチの巣になったはず!」「私はイスラムのラビたちと語らったこともあります。

そう、アッラーはこんなテロなど認めていない。コーランの記述を勝手に解釈して、自分たちの都合のいいように

捻じ曲げる、それを何と呼ぶかご存知ですか?・・背教者です。」ジャキン!「よってあなたたちの逝く先は

神の御許などでなく、地獄へ直行です!」ヒュバババッ!ドカドカドカッ!『ぐわっ!』「ほざけ異教徒が!

アッラーを侮辱することは許さん!」「わからない方たちですね。私はそのラビからも頼まれているのですよ、

バカは殺して神に詫びさせてくれと。」「くっ!・・」「さて、無意味な議論もこれまでです・・神意執行。」

 

ギィィィ・・「終わりましたか。」「お騒がせしました。少し破損しましたが、修繕費は法皇庁が負担いたします。」

「いえいえ、こちらも楽しませてもらいましたので。」「え?・・あらあら。」ドロドロ・・「さすが校長先生です。」

「年寄りの冷や水ですよ・・で、後輩に会っていきますか?」「そうですね。まだ器は残ってますか?」「もちろん。」

 

大戦艦ヴァルハラ。「あれが『第七のシエル』か。」「その実力は真祖に匹敵するとまでいわれる、おそらく宗教界

最強の戦士です。」『華奢なようだが、見る者が見れば一切ムダの無い強靭な肉体・・いや、それだけではないか。』

「ネオヴァチカン4000年の歴史が産み出した、さまざまな超技術をも投入されとんな。」「いかなる攻撃も受け付けず

傷を負っても瞬時に治癒・・まさに怪物だ。」ぱしっ。「加えてアステカ秘法を応用した必殺武器『七つの大罪』。

鬼に金棒っていうけど、それ以上だね。」「う~ん、こんなバケモノがいるなら、ヘルファイターも改良の余地が

まだまだ必要かもね。」「真祖すら認めた最強の闘士だね。・・あれ?」『幽音?』「ふーん・・そうだったんだ。」

「何のことですか?」「・・いえ、ちょっと個人的なこと。ときにエリーちゃん、あっちのほうも手を打った?」

「同様に刺客を送ったわ。民族主義のバカ共はタレコミ聞いたら喜んで出かけてったわ。」「さて、こちらも必見。」

 

カツカツ・・ぴたっ。「はあ・・昔のままのポンコツ建屋。なつかしい・・」カチャッ、ギィィィ・・ヒュババババッ!

「・・ふっ。」バサササッ!キキキキィン!『詩篇防御?・・もしや!』「ここに入るときはこうでありませんとね。」

カツッ。「お姉さま!」「『ゴルゴダの棘』蓉子、おひさしぶり。」「なーんだ、シエル先輩か。」ひょい。

「私はなんだですか、『バベルの雷』聖。」「さすがにプロの技ですね。」すいっ。「『復活の光』江利子も貫禄が

ついてきましたね。」『ごきげんよう、シエルさま。』「はい。ごきげんよう、現『黒薔薇会』の皆さん。」

 

皇立聖ガブリエル女学園はシエルの母校である。ネオヴァチカン法皇庁が経営しており、全国から選びぬかれた

生徒のみで、入学公募はしていない。表向きは超お嬢様高校で通っているが、実際は神罰代行機関の養成所。

それぞれ「異能」を持つ生徒はここで四年に及ぶ訓練を経て、教義を護る聖戦士として巣立っていく。

「黒薔薇会」はいわば生徒会。その権威は高く、校内の統治を一手に引き受ける超エリート集団である。

校内にある「黒薔薇の館」は伝統の生徒会室。とはいえ、年期が入りすぎて、そろそろ倒壊しそうな古屋。

 

コポコポ・・コトン。「ハーブティーです。」「ありがとうございます。」カタン。スゥ~・・「懐かしい香り・・」

「ぅぁ~・・」キラキラ♪「あら、なにか?」「あ、あの、私、シエルさまのこと、憧れでした!ぜひ一度お会い

したいと思ってたんです!」「光栄ですね。あなた、お名前は?」「二号生『獣の数字』祐巳ですわ。」はっ!

「祐巳、大先輩たるシエルさまに無礼でしょう。ひかえなさい!」「は、はい!すみませんでした!」ぺこぺこ。

「まあまあ。私は楽しんでますから。」「そうよ祥子。ご先祖さまが子孫に話しかけるのに何の無礼があるの?」

「ご先祖?」「なるほど、蓉子の妹の妹ですか。どうりで同じ匂いがすると思いました。」「匂い・・ですか?」

くんかくんか。「本気で嗅ぐんだから・・」ぷっ!『あはははは!』「あははは、たしかに得がたい逸材ですね。」

「でしょう。この祥子がこういう祐巳を妹に選んだのは、まさに聖バレンティヌスの悪戯としか思えませんでした。」

「おかげでこの黒薔薇の館も歴代一の明るさを誇ってまっせ。」「でしょうね。あの聖がこんなに変わったんだから。」

「そうかい?」『うん、変わった。』「この世の不幸を一身に背負い込んでたような聖はどこいったんだろうね。」

「さて、辺獄の彼方かな。」「いばらの檻の奥じゃないの?」ぴくっ。「・・まあ、そういうことにしとこうか。」

 

「では三大お局さまはさておき、若い方をご紹介くださいな。」「あ、申し遅れました。まずこちらが私の妹。」

「『黒きマグダラ』祥子です。」「見てのとおり、頑固でワガママ。そこが可愛いんですけど♪」「お、お姉さま。」

「で、こちらの男前が私の妹。」「『オルレアンの剣』令です。」「う~ん、江利子さんらしい人選ですね。」

「そしてコイツがわたしの妹だ。」「『アカシヤの花』志摩子です・・」「ちなみに二号生だ。」「あら、また

しくじったんですね。」「というより、ついに理想の妹にめぐりあったってことで。」「そうでしょうか・・」

「志摩子は正しい意味で、黒薔薇会に必要な逸材です。その腕はおそらく・・」「私たちより上。」「なるほど。」

 

「こちらは私の妹ですが、先ほどご紹介したので省略します。」「あう~・・」「・・ちょっとあなた。」ガタッ。

「は、はい?」じーっ。「・・蓉子、この子もしや。」「さすがに一目でわかりましたか・・いいでしょう?」

「ええ。すぐにでも第一線に上げたいですね。」「ええっ?!」「皆様方、あまり祐巳を持ち上げないでください。

そうでなくても舞い上がりやすい性格なんですから。現に・・」『え?・・あら。』くらくら。「あう~・・(@o@)」

「ほら、もうピヨってます。」「あはははは!これだから祐巳ちゃんは楽しいねえ。」「まったく。」『あはははは!』

 

「こちらが私の妹。」「『ゴモラの怒り』由乃です。」・・ギラッ!シャッ!「あっ!」「あら。」ピィン♪キィン!

「?!・・」「針、ですか。暗殺ならこれだけでもいいですけど、こうしてしくじった場合のことを考えましょうね。」

ドン!「ぐふっ!」ばしいいいーん!「がはっ!・・くっ!」ユラ・・「根性、度胸、殺意、いずれも極上。でも

小手先の技だけで勝てるほど世間は甘くありません。」「・・ありがとうございました。」「またやりましょうね。」

「申し訳ありません。由乃は強い相手を見ると見境なしで・・」「そのくらいでいいのですよ。死をも恐れず敵に

向かっていくことは、代行者の基本条件です。けど自爆テロは命の無駄遣いですので、自爆は全力を出し切って倒れる

その瞬間まで、とっておくのですよ。」ぽん。「はい。」「今年の二号生は豊作ですね。元気があっていいです。」

「おかげで三号生どころか、私たち四号生も戦々恐々としてますわ。」「まあ黒薔薇会の将来は安泰ってとこだね。」

 

「こちらが私の妹・・」「『色即是空』乃梨子です。」ジャラッ。「数珠・・ですか?」「摩倶荼羅教の呪殺師

ですので・・」「ああ・・密教と隠れ切支丹の融合から生まれた、あの有名な。じゃあその数珠がウワサの。」

「はい、『摩利亜の数珠』です。ちなみに志摩子お姉さまも同門の先輩です。」「私は乃梨子ほどの腕では・・」

「いえ、そうではありませんね。・・あなたからは強大な霊力を感じます。そう、誰よりも強い・・聖、こちらの

方向での修行はさせないの?」「志摩子がその気になればすぐにもね。でも。」「だから使いたくないんです・・」

「まあ、これならいざというときにでも役に立つでしょう。・・そこまで読んでたかしら?」「さて、ね。」

 

この学校独特の制度「スール」はいわば師弟制度。それぞれ異なる能力・特性を持つ生徒たちに応じた教育を施すのは

実質上不可能。ゆえにマンツーマンで上級生が下級生に適したカリキュラムを組み、訓練させる。この手法はきわめて

効果的で、上級生も異なる技に触れることで得るものも多く、人間関係も鍛えられ、伝統として受け継がれている。

 

「そして最後はわたし、一号生『ソロモンの目』瞳子でーす。」「ああ・・情報畑ですね。」「そのとおり。戦いを

制するものは情報。敵の陣容・装備・武器種・技能。敵を知り、己を知れば百戦危うからず。」「追記しますと、

彼女は権謀術数にも長け、実に役に立つ軍師、いえ、策士です。」「いかにも陰謀キャラだしね~。」『うんうん。』

「それは否定するつもりはないですね。」「一号生も頼りになる子ばかりですね。OGとして安心しました。」

 

「シエルお姉さまはいつまでネオジャパンに滞在なさるんですか?」「しばらくいますよ。BGFに出ますから。」

『ええっ!』ガタッ!「そんな・・まさか!」「で、でも、代行者って公の場に出ちゃいけないんですよね?」

「そっか、みなさん知らないのですね。・・機関の方針変更です。これまでの陰働きはそれはそれで、もう一方で

公に戦力を知らしめ、無益な攻撃を思いとどまらせる。」「抑止力の考え方ですね。」「そのとおり。ヴァチカンに

あれだけの戦力があるということは、そのスジならすぐにわかること。そうなればさすがにバカな考えをする輩は

少しは減るでしょうね。」「ならシエル先輩は核兵器ってことだ。」「爆発するとコワいぞ~。」『あはははは!』

 

「祥子、たしかBGFのタダ券にコネあるって言ってたよね?」「はい、ロイヤルボックスを通年で押さえてますが。」

「明日の第二試合、どう?」「予定は入ってませんが・・」「なら決まりだね。みんなで応援にいこー。」オオッ!

「お姉さま方、明日は定例委員会が!」「そこでやりゃいーじゃん。ね、蓉子?」「それは名案ね、江利子。」

「聖職とお遊びを一緒にしないでください!」「あら、あなたシエル様のファイトがお遊びだと?」「・・いえ。」

「なら決まりね。誰かお弁当用意できる?」「はい、私が。」「令なら腕前は確かね。祐巳ちゃんと由乃ちゃん、

令のお手伝いを。」『はい。』「あれ、祥子は?」「聖、忘れたの?去年のピクニック。」「・・ああ、そっか。」

(志摩子お姉さま、何があったんですか?)(祥子さま手作りの料理で、ほとんど全員が食中毒になったの。)

(ほとんどって?)(なぜか祐巳さんだけ無事だったのよ。同じもの食べたのに、不思議なこともあるものね。)

(・・それって、祐巳さまの胃袋が常人離れしてるってことのよーな・・)(作った当人もやられたのにね・・)

「・・まあ、しょうがないですね。令たちにお任せします。」「お姉さま、ご安心ください。今回こそ安心して

食べれるものですから。」ガン!「ひとこと多いですわよ・・」「ふえ~ん!」「傷口に塩もみこんじゃって・・」

 

ガンダム長屋。「・・」ひょい。「・・あら?ドモン、なんでンドゥールさん空地の真ん中で座ってるの?」

「レインか。なんでも明日に備えて新技の開発中らしい。」「新技って・・座ったままでできるのかしら。」

「技術というよりも精神的なものらしい。あれはいわば座禅だな。」「なるほど・・悟りを得ようということね。」

「・・(太陽神よ、恐るべき力を身につけし我が娘、いや、異教の戦士に打ち勝つ力を我に・・今の『神の手』では

対抗できませぬ・・そもそも『七つの大罪』は我らの奥義『生贄の杭』。それにヴァチカン神聖科学を融合させ、

比類なき必殺武器に・・太陽神よ、なにとぞ汝が忠実な僕にご加護を・・)」タラタラ・・「難渋してるな・・ん?」

ドンッ!バターン!「裏門が?!」ドカドカッ!『いたぞ、邪教の神官!』『殺せ!』「いかん!」グラタタタタ!

ゴォォォ・・『・・なにっ?』ヒュゥゥゥ・・「お前ら、何者だ。」ぱっ、パラパラ。『・・銃弾をつかんだ?』

「問答無用で銃撃とはおだやかじゃないわね。」コツッ、コロコロ・・『・・蹴り落とした?』「何者か知らぬが、

聖なる行を乱した罪は重いぞ。」ぐっ、サラサラ・・『・・砂に?!』「ドモン殿、レイン殿。これは私の問題、

手出しは無用。」「いや、長屋に攻め込んだ時点で、もう俺たちの問題だ。」「はいそうですかって引き下がっても、

こいつらには同じことでしょ。ならばきっちりカタつけなきゃ後顧の憂いを残すわ。」『かまわん、皆殺しだ!』

グラタタタタ!シャシャッ・・ボオッ!『なっ!』「おそい!」ズガアアアーン!『ぶはあっ!』ズダダダーン!

「はいっ!」ターン!『なんと?!』ギュルルルッ!「せいやあっ!」ビュッ!バキイイイーン!『ぐはあっ!』

「むん!」シャッ!ズボボボボボッ!『なっ?』『えっ?』ザッ。・・ドクンドクン。「汚い心臓だな。」グシャッ!

『ぱぐっ!』ばたばたっ。『おのれ・・手榴弾だ!』さっ、『くらえ!』ヒュッ!「黒衣聖母!」ヒュバッ!カシュッ、

ドカアアアーン!『うわっ!』「なに!」「あれは?」「まさか?」カツッ。「あらあら、挨拶にとでも来てみたら、

お取り込み中のようですね。」「・・シエル。」「見た顔ですね・・KKKの流れを汲む民族主義グループですか。」

『クリスチャンならば我らの同志。共に邪教の徒を討とうぞ!』「ふざけるのもたいがいにしてくださいね。私は

カソリック、あなた達はプロテスタント。主の教えを歪めしWASPは異教徒よりタチが悪いです。とっとと地獄へ堕ちて

マルボルジェで苦しんでください。」ヒュッ、ザクッ!『はがっ!』「ちなみに中米文明を根絶したのはこいつら

新教徒です。おかげで慈悲深きカソリックまで同類とみなされるのは、はなはだ迷惑です。」きっ。「むう・・」

「私はヴァチカンに入って、その深奥までも見てきました。そして理解した、なぜにカソリックが数千年も隆盛を

きわめてきたか、その理由を。・・それは柔軟性です。」「柔軟性・・」「それぞれの国や民により、さまざまな

慣習や思想があります。カソリックはそれと対立するのでなく、うまく融和することで定着することができたのです。

まさに郷に入らば郷に従え。初期には禁制や弾圧も受けましたが、ゆっくりと浸透し融和した・・なぜだと思います?」

「・・愛、か。」にこっ。「そのとおり。愛を説くからこそです。」「ならば問う。なぜに神罰代行機関などという

組織が存在するのだ。」「残念ながら純粋な理想だけではわからない連中がいます。そこの新教徒やイスラムの一部、

怪しげな新興宗教やコミュニストたち。あ、独裁国家もありますね。そういったのに対抗するには明確な『牙』が

必要なのです。・・むろん我々も天国の門を通れぬ身、ならば喜んで地獄へ進軍し、サタンの軍団と一戦交えるのみ。」

「・・よくわかった。ならば私も太陽神の『代行者』としての誇りがある。異教の牙と牙、存分に交えようぞ。」

「さすがは名高き呪術師ファイター、ンドゥールです。明日は望みどおり、太陽神とやらの御許へお送りしましょう。」

 

「ちょ、ちょっと!これが実の父娘の会話?間違ってる、ぜったい間違ってるわ!」「レイン、お前も知ってるはずだ、

ファイターの鉄の掟を。」はっ。「合いまみえるならば、それが肉親だろうが恋人だろうが、倒すべき対戦相手だ。

そこには一片の感傷も許されない。ただあるのは彼我のみ。」「わかるけど・・でもここはリングの上じゃないわ!」

「いや、戦いはもう始まっている。」「そのとおり。」「ンドゥールさん?」「ふふふ・・この感覚、ひさしぶりだ。

闘気の昂り、熱き血潮の脈動。シエル、いやさ第七のシエル。感謝するぞ、これほど燃えさせてくれるとは!」

「私も同じです。もはや教義がどうのという些細な問題はどうでもいい、ただ一個のファイターとしての闘志のみ。」

「うわはははは!それでこそ代行者、そしてワシの娘よ!」「だって、あなたの娘ですからね。」くすくす。

「ホッ。・・やっとそれらしくなったわ。」「まあこんなもんだろ。」「あっそーだ!たしかアレがあったわね。」

タタタタ・・「よっとっと。」ドン。ぱかっ、ぷ~ん。「・・この香りは!」びくうっ!「そう。ガンダム長屋名物、

『ギアナカレー』よん♪」じゃーっ!「そういやそろそろ昼メシだ。どうだ、いっしょに?」「いただきます!」

 

ばくばくばく!『うわ~・・』「おかわり♪」「あ、はいはい。」「・・ンドゥールさん、このカレー好きは?」

「いやさ、ネオエルサルバドルにいたときはこうではなかったのだがな。」「学生時代にネオジャパンではじめて

食べて、ハマりました。」「ネオジャパンにいたのか?」「はい、新橋の聖ガブリエル女学園です。」「ああ・・

あの超お嬢様学校。」「有名なのか?」「すごく。ちょっとやそっとじゃ入れない、文字どおりの狭き門よ。」

「ほう・・優秀だったんだな。」「いえいえ、単なるコネですよ。」「はて、たしか某神父の紹介と聞いたか。」

「アンデルセン神父・・私の恩師でした。」「でした、ということは・・」「・・一年前に天に召されました。」

 

からっ。「あらら~・・もうなくなっちゃった。」「ごちそうさまでした♪こちらに来てから、あちこちのカレーを

食べ歩きましたが、やはりレインさんのカレーが一番ですね。」「それはどうも。」「で、その秘密は?」

「ふふっ、それこそ最高機密よ♪知りたければ自分で見つけなさい。」「そうだ、明日の試合が終わったら、あんたも

長屋に住めばいい。そうすればカレーの謎も解けるだろう。」『え?』「あら、それは名案ね。なんなら手づから

造り方を伝授してあげてもいいわよ。」「う~・・悩みどこですね。」「それに親子とはいえ、宗派違いが同居

するのはどうかと・・」「そんなことは簡単だ、ルールを決めればいい。」『ルール?』「ひとつ、宗教はあくまで

それぞれが信ずるものであり、それを否定することは禁止。」「ひとつ、慣習は良くも悪くも互いに尊重すること。」

「ひとつ、互いの神を尊重すること。」『う~ん・・』「なかなか難しそうですね・・」「どうしても対照比較を

してしまいそうだ・・」「ならこう考えれば?それぞれの良い点は認め合う。ちょっとした差はあれ、どちらも

愛と平和を唱えることには変わりないんでしょ?」はっ。「そうか・・たしかに。」「これは本質を突かれましたね。」

「というわけで、どうだこの提案は?」・・こく。「一考に値する案ではある。私は同意しよう。」「法皇庁でも

支出削減が最優先事項ですから、これも奉仕でしょう。」「決まりだな。」「屋外テーブル大きくしなくちゃ。」

ピィィィーッ。『ん?』バサバサバサ・・「ママハハか。」「ナコちゃんたちのお帰りね。」バサバサバサ・・キラッ。

「むっ、陽光が・・?!」ピン♪(・・そうか、この手がある!)ガタッ。「用事を思い出した、出かけてくる。」

「ん?ああ・・」「・・(?・・太陽・・鳥・・もしや、あの?)」ガタッ。「では私もそろそろ失礼します。」

 

「Atelier de Marie」。♪カラーン。「いらっしゃいませ、ンドゥールさん。本日の御用は?」「かくかくしかじかで、

こういうものがあると聞いたが。」「はい、ありますよ。用途によって値段は異なりますが。」「最低限のでは?」

ピッピッ♪「施工費コミで、このくらいですね。」「うむ、これでよい。ミキストリはすぐに持ってこよう。」

魔空間ドック。カタカタカタ・・タン。「アプリ立ち上げ済み。使い方は電子マニュアルを参照してください。」

「わかった。では世話になった。」ガキョンガキョン。「まいどありー。・・でもあんなものどう使うんだろ?

そういや最高級品はあそこが買ってくれたか・・いっけね、重力活断デバイスの納入期限あさってだった!」

 

古書「京極堂」。ガラガラ。「ごめんください。」「いらっしゃいませー。宗教関係の書籍ですか、シスター?」

「はい、アステカ神聖術に関する本はありますか?」「あ、それならこちらに何冊かございます。」「どうも。

えっと・・」ぱらぱら・・「・・やっぱ無いか、『太陽の鳥』は。」「販売用にその記述があるものはない。」

はっ。「・・ご主人?」「非売品の蔵書に『ファードラウト』がある。」ぎょっ!「・・伝説のアステカ奥義書!

閲覧できますか?」「読み人しだいだ。」ぱたん。じーっ・・「・・許可しよう。読子。」「こちらへどうぞ。」

「あ、はい。失礼します。」カツカツ・・「・・『カソリックの牙』か。ウワサより人柄は悪くなさそうだ。」

 

カツカツ・・「ここからはこのマスクをしてください。」「?・・はい。」ぱふっ。「開けます。」ギギィィ・・

ブワッ!『わっ!・・この瘴気は?!』「膨大な古紙の匂いです。マスク無いと神経まで損傷しますので。」

『ガス室ですか・・あなたは?』「この中で育ったも同然ですから。ではどうぞ、『ボルヘスの書庫』へ。」

ゴォォォ・・『・・そんな?こんなに広大な部屋がなぜ!』「なぜもなにも、ここにこうしてありますけど。」

『ボルヘス・・そうか、バベルの図書館!』「こちらです。」カツカツ・・『・・。』ぴくっ、シュパッ!

『はっ?!』カシュッ!ばっ!『・・しおり?』「本を傷付けますので、書庫内で刃物はご遠慮ください。」

『・・もし破ったら?』「こうなります。」すいっ。『・・「神曲・地獄篇」?』ぱらり。『・・これは?!』

ギャァァァ・・ウァァァ・・「本を大事にしなかった者たちは、このように書に取り込まれ、永劫に地獄の責め苦を

味わいます。」『・・あなたはいったい何者です?』「おそらくご存知ないでしょうからあえて言いません。」

『・・マルローネといい、ネオ浅草はバケモノ屋敷ですか。』「ダテに魔界都市・東京とは呼ばれてませんから。」

カツカツ・・ぴたっ。すいっ。「これです、稀購本『ファードラウト』。」『これが・・実在さえ疑われた幻の書。』

すっ・・「おっと、これ毒入り本ですから素手ではダメです。」『毒?』「ほら、ページのカドが変色してますよね。

ここに猛毒が塗ってあるので、指なめてページめくろうものなら・・このゴム手袋をしてください。」『あ、はい。』

キュッ。パラリ・・『・・ありました、太陽の鳥「ソル・バルウ」。』「超古代に悪魔の大軍と戦った神の鳥。

もっとも、これは異星人の軍団と迎撃戦闘機というのが通説ですが。」『なるほど、こんなSFな記述じゃ禁書にも

なりますね。・・「太陽の鳥は魔王アンドア・ジェネシスを倒すため、自ら太陽と成りて魔王もろとも焼き尽くした。

この勇敢なる犠牲により、大地に平和が戻った」・・これが奥義「太陽の鳥」ですか。』「動力炉を暴走させて特攻。

まあ昔からのお約束戦法ではありますけど。」『特攻技・・ならば「七つの大罪」で阻止するのは難しくありません。

これで明日の勝算が見えました。ありがとうございました。』「本がお役に立つのは喜ばしいことですから。」

 

ふたたび店頭。「ありがとうございました。で、閲覧料は?」「得るものがあったこと自体が料金だ。どうしてもと

いうなら本を書うことだ。」「ではこの『カレーは辛れぇ』を。」「これは古今東西のカレーの集大成です。今では

失われた秘伝のスパイス混合比も記述されてます。」「10万円だ。」「安いです!現金で。」ばさっ。「まいどあり。」

「ありがとうございましたー。」ガラガラ・・パタン。「しかし早とちりしたものですね。」「あとの記述をよく読めば

『太陽の鳥』は健在だということがわかる。特攻なぞしておらん。」「『太陽に成る』という表現ではそう誤解しても

無理からぬことです。正しくは・・」ぱらり。「・・『自ら光と成りて魔王を惑わせ、魔の核を射抜いた』です。」

 

有楽町、カーン財閥支社ペントハウス。「・・いよいよ明日か。」「そうか、神父の愛弟子の試合だったな。」

「しかも相手は前法王をファイトで殺した呪術師ンドゥール。因縁ありありだよね~。」「ネオヴァチカンの

名にかけても負けられない試合ですね。」「だがミキストリの『死の手』は防ぎようがない恐ろしい能力だ。」

「それについては心配はしてない。イスカリオテの対神霊防御は強固だ。だが・・」「まだ何か問題でも?」

「シエルはアステカとカソリックの法術をミックスして使っている。・・異教の神を混ぜてよいものだろうか。」

「不敬でよいなら解釈のしようはあるぞ。」『ほう?』「・・言ってみろ。」「エホバだかアッラーだかマツダだか

ケツァルコアトルだか知らぬが、根はどれも同一ではないのか?」「統一起源神説か。」「たしかにどの宗教も

共通点が多いですが。」「ならなんでこんなにややこしくなっちゃったの?」「人間のエゴだ。自分の信ずる神こそ

正しく、それ以外は誤りだと。・・まさに悪い冗談だな。」「その冗談で数億もの命が失われている・・いや、

主の教えを歪め、己が欲望の道具とする悪魔の使者どもがいるからだ。」「ほう、それがわかっているか。ならば。」

「シエルたちはそのためにいる。教義と敬虔な教徒を守るため。そのためならば手段は選ばん。使えるものならば

仏教だろうがアステカだろうがデモリッシュだろうが。」「なるほど、カソリックが最強の世界宗教なわけだ。」

「黒魔術まで導入しているのなら、心配するだけムダなのでは?」「術が強力だからだ。それに今回の撃つ相手は

一方のアステカの神官。」『・・ああ。』「そうか、矛盾か。」「矛と楯、いずれか砕け散るか、あるいは・・」

 

ギアナ高地・千年城アーネンエルベ。『お帰りなさいませ。(量産型翡翠たち)』「ただいまー。」「城内はさすがに

きれいに維持してますわね。」「あいかわらず塵ひとつ残さぬほど徹底した清掃状態です。」「当然ですよー。

ダテに数そろえてませんから。」「・・いえ、ぱっと見はそうですが、私の目には不備だらけです。やはり私が

監督しなければ行き届かないところが。」「師匠、そういえばそろそろシエルさんの試合の時間じゃないですか?」

「おっとそうだった。居間へ急ぐよ。」ツカツカ・・バタン。「コハク。」「超大型ハイビジョン、スイッチオン。」

ぱっ。「お飲み物はいかがいたしましょう?」「赤を。」「ブラディー・マリーで。」「アイスティーを。」「お茶。」

「かしこまりました。姉さん。」「カクテルはおまかせあれー♪翡翠ちゃんはワイン庫ね。 」「心得ております。」

 

ロイヤルボックス。ガヤガヤ。「うわ~!ここすごくよく見えますねー!」「一番いい位置の席だからね。しかし・・」

どんちゃん!「なんですかこの騒ぎはー!委員会はどうするんですの!」「あ?瞳子ちゃん、資料は?」「あらら、

館に忘れてきちゃった♪」「てなわけで、どうしようもないわね~♪」ぴくぴく・・「確信犯・・」「まあまあ。

祥子もこっち来て飲みなさいって。ノンアルコールビアだけど。」「けっこうです!」「お姉さま、こうなったら

開き直るしか道はないかと。」「・・たしかに祐巳のいうとおりね。バーからワイン出しなさい。」「了解!」

「おっ、ワインだワイン♪」「アルコールはいちおう未成年なんでまずいんじゃないですか?」「ヨーロッパでは

ワインは酒とは認識されてませんわ。まったく問題なし!」きゅぽん、ぐびぐび。「あ、祥子がついにキレた・・」

 

ワーワー!「さて、第二試合は注目の因縁カード、ミキストリガンダム対イスカリオテガンダムの激突です。」

「アステカとカソリック、まさに因縁試合、いや、宗教戦争というべきや。」「さらにサバイバルイレブンでの

『サン・ピエトロの惨劇』の件もあるわね。」「そや、あれで復仇せんはずがなかろ。・・にしても、なんで今まで

そういった動きが無かったんやろ?そこが不可解やな。」「・・これはウワサだけど、あの件は法皇庁もある程度

黙認してたそうよ。」「・・そか、権力抗争か。」「そんなとこ。でもどうやら一段落したので、BGFという舞台で

決着をつける気になった・・あくまで推測だけど。」「いいセンいっとるんちゃうか。で、その手先はどんなんや?」

「シスター・シエル。経歴は非公開、詳細は不明・・以上よ。」「ふん、いかにもうさんくさいな。やけど、まさか

尼さんとは意外やな。」「ここでCMです。・・神罰代行機関は公式には存在しないことになってるからしょうがないわ。」

「愛と慈悲のカソリック総本山やもんな~。ま、それだけじゃ生きていけんのが悲しいかなこの世の中やけど。」

「暗黒街では『第七のシエル』で通る実力者よ。前任者のアンデルセン神父をも凌ぐってもっぱらのウワサ。」

「『天使の塵』か・・幸いにして敵対せずに済んだな。」「CM終わるよ・・さて、いよいよ選手入場です!」

 

ザッ。「いよいよ、ですね。」「うむ。・・神だの信仰だのは、もはやこのリングの上ではどうでもよいこと。ただ

ぬしと我、二人だけの世界だ。」「けだし同感です。鉄の掟はただひとつ、強いほうが勝つ。単純にして至高。」

「では拳の神に捧げよう、我らの汚れ無き闘争を。召喚、ミキストリ!」「聖霊と子の御名において、来たれ

イスカリオテ!AMEN!」すっ、パチン!ギン!ドドドド・・『バーニング・ガンダムファイト!レディー、ゴー!』

「地のコアトル!」ゴッ!ズドォン!「地面に?・・はっ?!」バッ!シャババババッ!「無数の紐が?」

「いや、あら蛇や、土の蛇が!」シャアアッ!「はあっ!」ビュン!ズバシャアッ!「小手先の技もいいとこですね。

ならばお見せましょう、主の御業を!黒衣聖母!」ヒュバババッ!「無数のビームランサー!」「異常な軌道を

描いて襲うで!」「・・はっ!」パパパパッ!ピタリ・・「す・・すごい!あの数をすべて受けきった!」

「あらあら、完全セーブされるとはさすがに思いませんでした。」「我が『神の手』の前には止まってるも同然。」

ぽい、カラカラカラーン。「いくぞ、疾風のイツクイントリ!」ドン!ガルルルル!「エネルギー拳?いえ、あれは!」

「あの形・・犬か!」「聖書シールド!」バサササッ!バシイイイイーン!「受けきると思ったぞ。だがな。」

「?・・はっ?!」クッ。・・シャババババッ!「頭上からも・・あれは、鳥!」「イツクイントリはフェイント、

本命は急襲のクアウトリだ!」ピィィィーッ!・・にやっ。「いい手ですね。でも!」カアッ!『なっ?!』

ズドオオオーン!シャバアッ!「クアウトリが・・やはり出したか。」ゴォォォ・・ジャキン!「七つの大罪。」

「そのとおりです。」キラリ。「な、なんやあの武器は!」「いつの間に、どこから?」「形態も変わっとるで。」

 

『おおっ!』「出たー!機関最強聖典『七つの大罪』!」「あれがウワサの・・」「これで決まった、かな?」

「いえ・・むしろ早すぎたかもしれない。」「イスカリオテの切り札ですからね・・そしてミキストリはいまだ

切り札を出してません・・」『志摩子?』「わたしも感じます・・ンドゥールの余裕の気を。」「ということは、

ミキストリにはまだ手があると?」「・・もしや?!」『瞳子ちゃん?』「・・情報にあったアレじゃ。」

 

「四柱神とは懐かしいものをありがとうございます。子供のころを思い出しました。」「そうだったな、うちでは

ペット代わりだった。」「でも今はもう別のがいますから。」「なに?」「セッテ!」ゴオッ!「なっ!」

ドカアアアーン!「ぬおおおっ!」ズダダダーン!「今の・・なに?」「・・馬、かや?」「・・まさか今のは。」

「はい、この『七つの大罪』に宿る精霊です。」「・・そうか、元はユニコーンの角だったな。なるほど名馬だ。」

「いえいえ、ほんの駄馬ですよ。」「面白い芸を見せてもらった。ではこちらも真打といこうか!」「どうぞ。」

ボオッ!「出た!ミキストリ必殺の『死の手』!」ゴオッ!「・・フフッ。」「?・・(避けようともせぬ?)」

カアッ!「決まった!・・えっ?!」「・・そないなアホな!」ぴたあっ。「・・透過してない!」ピシッ・・

ビキビキビキ!ブシャアアアアーッ!「ぐおおおおおーっ!」「右手が・・崩壊!」「霊力の逆流、いや暴発や!」

「いかがですか?神霊装備局『マタイ』謹製『写本装甲』は。」「ぐぐう・・ここまで強固な対霊障壁とは。」

「これで決め手は無くなりましたね。ギブアップをお勧めしますが?」ユラ・・「悪い冗談だな。こんな楽しいこと

やめるファイターはおらぬわ。」「でしょうね。ならば完膚なきまでに打ち倒しての決着しかないですか。」

「それはそちらもご同様だ。勝負はこれから!はあっ!」ギーン!「ミキストリ、ハイパーモード!」「いいでしょう。

では私も・・AMEN!」ギーン!「イスカリオテもや・・これで決まるで!」「はあっ!」ドーン!「・・やはり。」

にやっ。(太陽を背にしての突撃技なのは読めてます。つまり攻撃軌道はおのずと定まります!)ジャキッ!

ゴオオオーッ!「・・通り越した?まさか!」ばっ!「受けよ神の輝き!ミラーコーティング展開!」パキキキッ!

ピカアッ!「くっ!・・自らを反射鏡とするなんて!」「これぞ秘技『太陽の鳥影』!もらうぞ!」ゴオッ!

「・・代行者をなめないでください!AMEN!」ばっ、ズドオンッ!「めくら打ち?!」「乾坤一擲の一撃や!」

ガキイイイーン!『うわっ!』ゴォォォ・・「・・どうなったの?」「・・ああっ!」「な・・なんちゅう!」

「ミキストリの頭部が粉砕され・・同時にイスカリオテの顔面に貫手が!」「・・ふふふふ。楽しかったぞ、娘よ。」

「とどめきれなかったのは残念ですが・・ま、いいでしょう・・」ユラ・・ドドーン!「この勝負、相討ち!」

 

『おおーっ!』パチパチパチ!「すばらしい勝負だったわ。」「いいねえ~!ああいう熱い闘いをしてみたいもんだ。」

「見ててゾクゾクしたよね。」「相討ちではね・・(実は感動してる)」「こちらまで熱くなるようなファイトでしたね。」

「あっ、シエルさまが出てこられました!」「ンドゥールと・・握手を!」「お互い全力を出しきって闘ったこと、

それは教義などを越えて共鳴を呼ぶものなのですね・・」「これがガンダムファイト・・これが美しき闘いなんですね。」

「そのとーり!戦争や紛争は仁義もクソもない単なる殺し合い、ガンダムファイトこそ最も進化した戦いなのです。」

『なら、みんなも楽しんでみない?』『・・えっ?』♪チリーン。ボオッ。「・・あなた様は!」「迷子ですかー?」

ずるどしゃーん!「あれ?」「あいたたた・・なんなのこの面白いのは。」「あー、そういや知ってるのはあたしら

四号生だけか。」「三年前だったからね。」「蓉子お姉さま、こちらの方はいったい?」「黒薔薇会の、いえ学園の

真の創設者、幽音さま。」『・・ええーっ!』「うーん・・いちおうゆっとく?」「ケジメはつけとこうか。」

「よっしゃ。・・一同、気をつけー!」ザッ!「休め!」ザッ!「うんうん、さすがによく教育されてるね。」

 

「幽音さま、それで今回のご用の向きは?」「だから、みんなにその気があるなら、BGFに出させてあげるってこと。」

ガヤガヤ。「どうかな?」「即答はできかねます。みんなの同意を得ませんと。それに法皇庁が許さないかと。」

「法皇庁は心配しなくていいよ、こちらで手をまわすから。ま、コンセンサスをとるのは必要だね。返答はいつ?」

「明後日には。」「じゃあこのメルアドに返答して、同時に法皇庁に嘆願書を出してね。いちおうスジは通すから。」

「かしこまりました。」「いい返事を楽しみにしてるから。」スゥ・・♪チリーン。『消えた?』ザワザワ・・

「みんな、静かに。・・これから詳しく説明するから。」「三号生までは初めての話だから、よく聞きなよ。」

「そして・・聞いても驚かないように。かなり突拍子もない内容だから。」「じゃあ、まず始めは・・」「ふむふむ。」

 

スタジアム。「矛と盾、どちらも砕けるが正解か。」「あの状況で一矢報いたか・・やるようになった。」ニイッ。

「嬉しそうですね。」「てゆーか、すっごく殺る気まんまんな笑いなんですけど~。」「もちろん。強ければ

強いほど倒しがいがあるというものだ。今から待ち遠しいぞ。」「気持ちはわかるが、まずは最初のカードから

こなしていってくれ。」「と、いうことは決まったか。」「先ほどメールが来た。・・婦警。」「は、はい?」

「明後日の第三試合だ。」「・・ええーっ!そ、そんないきなり!」「何いっとる、待ち望んだ試合だぞ。」

「いえあの、待ち望んでるのはもっぱらこちらのお二方で・・」「まあがんばれ。」「で、対戦相手は?」

「こちらもアマチュアチームだ。名前は『影の軍隊』。」「名前だけはなかなか強そうですね。」「願わくば、

名前負けしない実力を望みたい。」「そのとおり。弱い相手では面白くない。」「いえ、できれば弱いほうが・・」

 

ガンダム長屋。ガタガタ。「よっと。これで引越し完了です。」ぱんぱん。「そちらの四畳半を使うといい。ワシは

この居間ひとつで間に合っておるでな。」「はい、お父様。さて、夕食を作りましょうか。」「・・もしや、また?」

「いえいえ、今日はハンバーグカレーですよ。」「だから三食カレーはやめろというに!」「ネオエルサルバドルの

実家では、三食トウモロコシ粥というのも珍しくありませんでしたけど?」「むう・・好きにせい。」「はい。」

 

ぷ~ん。「・・いつもカレーの匂いがするようになったな。」「あはは・・とんでもない住民が増えちゃったかも。」

 

君たちに最新情報を公開しよう。

地獄から来たファイター、チーム「HELL-THING」ついに登場。

相手はチーム「影の軍隊」。バラエティに富んだファイターたち。

第一カードは怪力婦警・セラスと華麗なるカンフーレディ、ティファ。

謎の拳法、銀河彗星拳が光を曳いて走る!

だが婦警もまた「HELL-THING」が一人、ただものではない。

異常なパワーに圧倒されるティファ。勝てるか、魔のハルコンネンガンダムに!

次回、「彗星乱舞!美しき必殺拳」へ、バーニング・ガンダムファイト!レディー、ゴー!!

これが勝利のカギだ!(最終奥義ファイナル・ヘヴン)

 

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第九話「彗星乱舞!美しき必殺拳」

 

名出屋城「タウン」本部。「チーム『HELL-THING』・・ですか?」「初耳ですが。」『知らないのも無理はない。

まったくの新人チームだからな。だが所属は「斧」だぞ。』ぎょっ!「木星大領主の?!」「これは大物ですね。」

『ゆえに油断はならん。また未確認情報だが、DG細胞も一枚噛んでいる可能性がある。」「となると、デビル軍団?」

「可能性は高いな。」「はっ、DGファイターってバカ力だけが取り得でしょ。そんなのあたしたちの敵じゃないって。」

「断定するのは早計ですよ。あのカーン財閥のこと、単なるDGファイターを送りこんでくるとも思えません。」

「で、私の相手は・・セラス・ヴィットーリオ、女性か。」「得物は巨大バスター砲か。」「大砲屋なら楽勝じゃん。

よければそれまでだし。」「さて、それで済めばいいのですが。」「いずれにせよ、こちらは全力で闘うまでです。

相手を舐めず、驕らず、油断しないように。」『それでいい。・・チーム「HELL-THING」、楽しみだな。』

 

カーン財閥日本支社。「対戦相手の情報が入りました。」「ご苦労、由美子。・・ティファ・アイアンハートか。」

「流派は銀河彗星拳・・聞かぬ名だな。」「ほう、あの伝説の。」「知ってますか神父?」「うむ。法皇庁・禁書庫

所蔵の外典『最終幻想の書』記述にある幻の拳法・・まさか実在したとは。」「そ、それって強いんですか?」

「すまぬが、詳しくはわからぬ。」「はあ・・」「なに、婦警のバカ力なら何とかなるはずだ。」「私の開発した

『HELL-THING』細胞を信じろ。DG細胞より自由に動かせるはずだ。」「まあ、それで生き返ったんですから・・」

「それよりも、ハルコンネンガンダムの慣熟はだいじょうぶですか?」ぎょっ!「げっ!・・すっかり忘れてた。」

『おいおい・・』「まだ乗ってなかったのか?」「試合は明日だというに。」「まあ、婦警らしいというか。」

「す、すぐに乗ってきまーす!」バタバタ!「しょうがないな~。私もサポートに行きます。」「頼む、由美子。」

 

黒薔薇の館。「反対ですわ。」「理由を聞こうかしら、祥子。」「わたくしたちはいずれ代行者として働く身、

ここで公に正体を晒すのは致命的ともいえますわ。」「だから学生の格闘同好会という形で申請するんじゃない。」

「くわえて、我が校が養成機関だということは敵対組織にも知られてない。こないだの原理主義グループもただの

ミッションスクールとしか思わず、ターゲットはシエルさまに絞ってたじゃん。」「でも単なる学生とは思えない

異能を見せることは危険です。」「・・うぬぼれが過ぎるんじゃないの?」「え?」「BGFちゃんと観てるの?

アマチュアでもプロがタジタジになるほどのファイターがゴロゴロいるのよ。」「それに比べれば、私たちなど

目立つ以前の問題ね。・・BGFなめてるんじゃない?」「い、いえ・・」「そうそう。ヘタすっとアマチュアに

ボロ負けすっぞ~。」「・・。」「沈黙は同意と受け取っていいわね?由乃ちゃん、法皇庁へ発信よろしく。」

「かしこまりました。」カタカタカタ・・「最終確認します。・・送ります。」こく。「発信。」タン!

「賽は投げられたね。」「吉と出るか、蛇と出るか・・」「だいじょうぶよ、幽音さまが後ろ盾だもの。」

「幽音さまか・・あんな小さい子がヴァチカンの真の支配者とは。」「人は見かけによらないってことかしら。」

 

「そういや、幽音さまってどっか祐巳ちゃんに似てない?」「どこがですか~・・」「こんなカワイイとこ♪」

がばっ!「はわわわっ!・・聖さま、だからやめてくださいってば!」「祐巳もいやがってるじゃありませんか。

スキンシップならご自分の妹にしてください。」ぴくぴく。「志摩子?・・してほしい?」くすっ。「いいえ・・」

「だって♪それに祐巳ちゃんって抱き心地がプクプクしてて気持ちいいもーん。祥子もしてみる?」「しません!」

「てか、祥子の性格的に死んでもできないわね。」「だったら冷たいお姉さまの分、私たちがスキンシップして

あげないとね~。どれ、私もちょっと。」だきっ♪「江利子さままで~。」「あっ、ずる~い。こういうのは

おばあちゃんである私が優先でしょ。」ぎゅっ!「蓉子さまもですかぁ~!」きゃいきゃい♪「・・令ちゃん、

どうして祐巳さんはあんなに人気あるんだろ?」「私たちに無い、何かを持ってるんだろうね。それと、あれ。」

「え?」ぴくぴく。「祥子の反応。嫉妬に震える彼女って、私たちには貴重なんだよね。」「そんなもんなの?」

「志摩子お姉さま、聖さまあれでいいんですか?」「いいのよ乃梨ちゃん。私たちの関係は違うものだから・・」

「う~ん・・よくわかんないな。」「そう?けっこう似てるのよ、私と乃梨ちゃんの関係と・・」にこっ。どきん♪

 

「・・(祐巳さまはどう考えても黒薔薇会では異質だわ。なのになぜこんなに受け入れられるのか?・・これは

調べてみると面白いかもしれないわね。)」きらーん♪ぴくっ。「あ、どり子、またなんか悪だくみ考えたね?」

どきいっ!「せ、聖さま、なにを?!」「だって、どり子って悪いこと考えると目が吊り上がるんだもの。」きゅっ。

「う"・・(聖さま、鋭い・・) そ、それに『どり子』ってのやめてください!わたしは『とうこ』です!」

「だってさ、ほれ。」びょいんびょいん。『・・あはははは!』「なるほど、見事なドリルね!あはははは!」

「祥子さままで~!」「あはははは!」「お姉さま、涙出てますよ。はいハンカチ。」「あ、ありがと、祐巳。

あはははは。」ふきふき。『ほ~・・』「・・いいバランスね。」「なんのかんのいっても、あの二人だもの。」

 

半蔵門。がきょんがきょん。「このあたりならいいんじゃない?」「じゃ、始めよっか。」「えーと、まずは

アトレイデスの実射テストです。目標は・・4km先のあのビル。」「おっけい。よっと。」ジャキッ。ピピピピ・・

「Ya!」ズドオオオオーン!「着弾まで3,2・・」ぱっ。・・「的中。・・補正値R0.02、D-0.003。」カタカタ。

「補正よし。次は近接戦闘テスト。」「・・これホントにだいじょうぶ?」「棍棒代わりに使えるよう、必要以上に

頑丈に造ってありますから。」「ほんじゃ。」ブンブンブン!ぴたっ!「目標はそこらの手近な廃ビルで。」

「おおりゃあああーっ!」ブン!ドカアアアアーン!「うりゃりゃりゃりゃーっ!」ドガバキドドーン!ガラガラ!

「むん!」「トレース係数良好。誤差は許容範囲内です。アトレイデス荷重応力、計算内。」カタカタカタ。

「う~ん・・大筒と棍棒だけじゃ芸がないな~。」「その怪力がじゅうぶんに芸になってますよ。」「そうかな~。」

 

すぐ近く。「うわ~!お姉さま、BGF出場ガンダムが練習してますよ!」「ガンダムって、近くで見ると大きいのね。」

「あっ、バスター砲を撃ちますよ。お姉さま、耳ふさがないと鼓膜やられますよ!」さっ。「そうなの?」さっ。

ズドオオオオーン!ブオオッ!『ぷはっ!』「ふう・・すごい余波ね。」「やっぱりナマはちがいますねー。」

「ええ・・あら?!」「なんですか?」「あははははっ!祐巳の顔、真っ黒!」「え?手鏡・・ありゃあ~!」

「あはははは!ほら拭いてあげるわ。」「いえいえ、自分でやります。」「拭かさせて♪」「・・はい♪」ふきふき。

 

「ん?・・なにあれ?」「なに?・・学生?」パシュッ。「おーい、そこにいると危ないよー。」『すみません、

すぐに退去しますから。祐巳、行きましょう。』「学生・・か。ねえちょっと!よければいっしょにお茶しない?」

『え?』「ちょうど練習も終わったとこだし、話し相手も欲しいな~なんて。」『わたくしたちはよろしいですけど。』

「セラスさん、なに考えてるんです?」「いやちょっと、いまどきの若い子の話とか聞いてみたいな~なんて。それに

こんな所まで見に来るとは、ガンダム好きみたいだし。」「・・まあいいでしょう。一般の話も聞いてみたいし。」

 

ネオ浅草『五月雨亭』。チョロチョロ・・コーン♪「まあ・・こんないいお店があったのね。」「由乃さんに教えて

もらったんです。令さまとよく来られるそうで。」「なるほど、あの二人にピッタリね。・・ファイターの方に

お誘いいただいて光栄ですわ。」「いえ、ファイターといっても明日が初めてだったり。」「セラスさんは元は

婦警さんだったんです。木星大領主に実力を認められて、ファイターになったんですよ。」「すごいですねー。」

「インテグラ・カーン卿の方とは・・おみそれいたしました。」「いえいえ、まだ初心者でオタオタしてるけどね。」

「試合は明日なんですね。お近づきになったのも何かの縁、応援させていただきます!」「そうですわ。ファイターと

お知り合いになれるなんて、めったにないことですもの。わたくしも応援させていただきます。」「あ、ありがとう。」

「よかったじゃない、ファン第一号ができて。」「うん。・・うれしいもんだな、こういうのって。」「そうそう。」

カラカラ。『いらっしゃませ。』「あれ?祥子と祐巳ちゃん?」「令さまと由乃さん?」「珍しいこともあるものね。」

「かくかくしかじかで、こちらのセラスさん、由美子さんとお話してたのよ。」「へえー!現役ファイターなんだ。

すっごーい!」「あ、はは・・」「ぜひガンダムに乗る感じなどお聞かせください。」「ハルコンネンガンダムって

いうんですか。武装は?仕様は?」わいわい。(・・なんか、ガンダムファイト、がんばんなくちゃって気になった。)

 

ガンダム長屋。「えーと、一号室・・ここね。ごめんください。」『はーい。』ガラガラ。「どなたでしょう?」

「ティファ・アイアンハートと申します。キング・オブ・ハートに一手ご教授願いたく。」「かしこまりました。

ドモン、スパーリング希望の方よ。」「おう。・・初顔だな。」「アマチュアチーム『影の軍隊』のメンバーです。

明日の第三試合が初戦の。」ピッピッ♪「えーと・・あ、これね。間違いないわ。」「なるほど。流派は?」

「銀河彗星拳です。」ぴくっ。「ほう・・それは興味深い。よし、受けよう。」「ありがとうございます。」

裏の空き地。ザッ。「まずはかかってこい。」「いきます!」ダン!ビュオッ!バシイイイーン!「むうっ!」

「はあっ!」ドン!パシイイイーン!「ふうっ!・・いい攻撃だ。こちらからもいくぞ!はあっ!」ダッ!

「とりゃああああーっ!」ドドドドドッ!「はいはいはい!」パパパパパン!「下段まる空き!」ビュッ!

「はっ!」ターン!くるっ。「サマーソルト!」ブオッ!「十字受け!」ズドオンッ!ボゴオオオーン!

くるっ、ザザーッ。「・・ネリチャギのパワーを避雷針のように地面に逃がした。さすがキング・オブ・ハート。」

「いいな。体さばき、腰の入り方、残心まで文句のつけようもない完璧さだ。俺が教えることは何もないが。」

「いえ、私の技は相手を殺すための技、闘って勝つための技ではありません。」「・・なるほど、そういうことか。

それならば一つだけ。・・防御だ。」「ディフェンス・・」「闘いでは当然だが相手も攻撃してくる。実戦慣れした

ものは、そこが弱い。なぜなら先制攻撃で相手を仕留めることが多く、反撃されるケースがきわめて少ないからだ。」

こく。「それを受けて流して耐えきり、反撃の糸口をつかむ。または攻撃のスキを見切り、カウンターをきめる。

地味だがこれらも立派な技だ。いや、派手な技よりよほどこちらの方が高等技術ともいえる。」「わかります。」

「では俺の連撃を30秒の間、受けきってみせろ。俺は途中でわざとスキを作る。そのスキを逃さず反撃するんだ。」

「やってみます。」「レイン、計ってくれ。」「いいわよ。よーい・・スタート!」「とりゃああああーっ!」

ドバババババッ!「はいはいはい!」パパパパン!ジィン!・・(くっ!・・受けた腕が痺れるなんて。これが

キング・オブ・ハートの全力攻撃・・)「足を使え!まともに受けるだけでは手がもたんぞ!」「は、はい!」

タタタッ。シャシャシャッ!「・・そこ!」ドン!バキイイイーン!「ぶっ!」「・・0.0001秒、遅かったな。」

グラッ、「おっと。・・レイン、手当てを。」「顔に付いたアザも、アルテナの傷薬ならすぐに治るわよ。」

 

「あいたたた・・歯茎までグラグラきました。」「ドモンが手加減したから、そのくらいで済んだのよ。普通なら

総入れ歯になってるわ。」「あれで・・私もまだまだか。」「はい、あーん。」「あーん?」シューッ!「いだっ!」

「治療おしまい。」「いった~・・あれ?痛くなくなった?」「新作のアルテナ・スプレータイプは使えるわね。」

「スキを正しく見切ったのは見事だ。惜しむらくは、一瞬の迷いだな。」「はい・・あの瞬間、たしかにほんの少し

迷いが入りました。」「無理もない、初めてのことだからな。・・こうと決めたら、結果を恐れず反応しろ。

躊躇は敗北もしくは死につながる。それはそちらの本業と同じ、何も変わりはしない。」「はい。」「もうひとつ。

殺人拳だろうがなんだろうが、闘うなら全力で。」「・・でもそれでは相手を殺してしまいます。」「その程度で

死ぬようなファイターなら、それまでということだ。忘れるな、国際条約第二条補足第一項はBGFでも有効だ。」

「不可抗力殺傷免除規定・・」「かくいう俺も、かつて一人殺してる。」はっ。「ランタオ島・・」「安心しろ。

BGFに出場できるレベルのファイターなら、少々のことでは死にはしない。」「プロアマ問わず、バケモノみたいなの

ばっかですものね~。特にドモンなんか、そのバケモノの王様よね。」「そのバケモノを尻に敷くレインはなんだ?」

ぷっ!「あはははは!・・あたたたた。」「傷はふさがっても、神経はしばらく痛いわよ。」「は~い・・(T_T)」

 

翌日、黒薔薇の館。「・・というわけですわ。」「へえ~、ファイターの知り合いができるってすごいじゃない。」

「あの付き合い悪い祥子がよくもここまで成長したものね。お局さまとしては欣快に堪えないわ。」「いえ、みんな

祐巳のおかげですの。祐巳が見学に引っぱっていてくれたからこそです。」「うんうん、さすが祐巳ちゃんだね~。」

「で、放課後に応援に行きますので。」「会議すっぽかす形になるのをお詫びします。」「いいのいいの、そういう

理由なら大歓迎よ。ついでに私たちも行っちゃおうか。」「それいいね。つきあいましょ♪」「もっちろん!」

「乃梨ちゃん、行こうか・・」「はい、お姉さま。」「もっちろん、そーゆーお祭りごとは見逃しませんて!」

「ふむ・・♪」にやっ。「ねえ、これだけのキレイどこが応援に行くんなら、それなりの趣向こらさなきゃさ。」

『え?』「たしか一階の物置きに・・ね?」「・・ああ。」「あれね・・」ニヤリ。x2 ぞくうっ!(やばい!)

(お姉さま方のあの笑いは、なにか悪いこと思いついた笑い・・)(ぁぅ~、猛烈に悪い予感が・・)(まずい、

まずいよ。ぜったい変なこと考えてる!)(まずいわ・・(-;;)『・・??(まだ空気を読めない一号生たち)』

 

「さて、今日の第三試合は初登場チーム同士のファイトです。チーム『HELL-THING』はハルコンネンガンダム対、

チーム『影の軍隊』メテオガンダム!」「アマチュア同士のカードやから、チャンネル代えてもええで~。」

「紅蘭!そゆことゆっちゃダメでしょ!こういうところで視聴率取るのが報道屋の腕の見せどころよ!」

「けどな~、リアルタイム視聴率ゲージ見たれや。」「え?・・3.5%?」「ウラのワイドショーに食われとるわ。」

「くう~っ!・・おのれ『三時のあたた』め!」「ネタ古すぎや。いまどきの読者はわからんて!それにな、

他に流れた視聴者引き戻すんは、至難の業やで。」「なんか、ネタ、ネタ・・あった!」「なんや?」「あれ!」

「スタジアム?・・おおっ!」『フレー!フレー!ハルコンネン!』「ち、チアガールや!はじめて見たで!」

「カメラビットひとつ張りつけて!」「よっしゃ!・・ほ~、なかなか粒ぞろいやな。」「学ランも女性よ、あれ。」

 

ちょっと前、ロイヤルボックス。ガヤガヤ。「お~、さすが一号生と二号生はよく似合っててカワイイね。」

「私たちは学ランで正解ね。」「そうそう、あんな格好したら、ヘンなフーゾクに見られちゃうもんね。」

「でもなんで私まで・・」「令、あの格好のほうがよかったの?」「い、いえ、こっちのほうがまだマシです。」

「うわ~、チアガールって一度やってみたかったんだ♪」「制服や体育ジャージとちがって、これもいいものね。」

「あれ?祥子さまと志摩子お姉さまは?」「まだ着替えてたみたいだけど・・あ、来たきた。」ガチャ。すっ・・

「やだわ、こんな短いの・・」「似合って、ます?・・」・・どばぶーっ!(祐巳&乃梨子)『おおおお~っ!』

「うひょ~!グラドルも顔負けだ!」「さすが黒薔薇会の二美神、そそるわね。」「カメラ持ってくるんだった~。」

「お姉さま、ごっつぁんです!d(^Ⅱ^)」「祐巳、まず鼻血拭きなさい・・」「ありがたやありがたや~!<(-o-)>」

じゃらじゃら!「拝まなくていいから・・」「う~ん、少女と女の端境期ゆえの魅力よね・・」ちらっ。「由乃?」

「はぁ・・男前の姉も考えものか。」「・・どうせ私は男っぽいさ。」ど~ん。「ああっ!令ちゃんヘコまないで!」

「では、スタジアムの最前列おさえてあるから、いくわよ。」「不人気値崩れチケットだからタダ同然でしたの♪」

 

「すごいすごい、視聴率ガンガン上がってる!」「あのストレートとウェーブを中心に置くで。てか、すでに

センターやな。」「その他の子も元気でいいわね~。・・え?あ、はいはい。紅蘭、ビットあと二つ追加だって。」

「おっ、お許しが出たな。なら回りこみで撮ったるわ。」「それと、ファイトのほうもちゃんと実況しろって。」

「おっとっと、そやった。メテオはオーソドックスな格闘戦仕様やな。」「対してハルコンネンは砲撃戦仕様ね。

ガンダムファイトじゃかえって珍しいんじゃ?」「そやな。戦争用ならともかく、大型バスター砲なんかファイトでは

無用の長物やで。」「こりゃすぐ終わっちゃうかな?」「かもな。最短有効射程内に入ればメテオの勝利や。」

 

リングサイド。フレー!フレー!「・・なんだあれは?」「応援団がいたのか。・・意外と顔が広いのだな。」

「あ、ははは。」「くすくす。」「いよいよだな。がんばってこい。」「うっす!いってきまーす!」タタタ・・

「・・なんか前向きになったな。」「昨日までとえらい違いだ。・・由美子、なにがあった?」「うふふっ、

友達ができたからですよ。」「友達?・・ああ、あれが。」「応援してくれる人がいると、ああも違うんですね。」

 

ザッ。「お初に。」「よろしく。」ちらっ。「応援団がいるとは、いいですね。」「うん。おかげで気合い100%、

フルバーストでいきまっせ。」「そうでなくてはね・・では!」すっ、パチン!『ガンダアアアームッ!』

ギン!ドドドド・・『バーニング・ガンダムファイト!レディー、ゴーッ!』ダッ!「まずは間合いをとる!」

「?・・あの巨砲をかかえて、あんなに速く!」ザザーッ。「おっけい・・いきなりアトレイデス、FIRE!」

ズドオオオーン!「当たるか!」ザン!ゴオッ!ダッ!「間合いを詰めればウドの大木!」「それはどうかな?」

ゴオッ!「もらった、掌打ラッシュ!」「あまい。」ブン!「・・なっ?!」さっ、バキイイイーン!「ぐっ!」

ザザーッ!「・・へえ、今ので吹っ飛ばないんだ。やるね。」「くっ・・なんて力なの。」ズキズキ・・

「単なるテッポウ屋だと侮ってたら、痛い目あうよ~。」「いま痛かったわよ。・・手加減無用!」ダーン!

「おっ?」「サマーソルト!」ゴオッ!「おいしょ。」すっ、ぱしっ!「なっ?!・・バカな!」「せーの!」

ブオッ!「投げ上げた?・・はっ!」ぐっ。「ひっさーつ!川上の赤バット!」カキイイイーン!「きゃあああっ!」

ゴオオオオオーッ!・・バシイイイーン!「がはっ!」ズル・・ドシャアッ!「うーん、三塁打ってとこかな?」

 

『おおっ!』「す、すごい、セラスさん!」「あんなに強いなんて・・」「・・あれは人間のパワーじゃないわね。」

「そうね、しいていうなら・・DG細胞。」『ええっ!』「でもDG感染者なら医療検査で引っかかるはずです。」

「いや・・引っかからないDG細胞ってのもあるんじゃないかな。バイオテク全盛のご時世、そんなのがあっても

不思議じゃないよ。」「それって・・もし本当ならおおごとだよ。」「木星大領主・・ありえるかもしれません・・」

「識別してみます。南無・・」じゃらっ。「なにしてんの、乃梨子さん?」「静かに・・霊視してるの・・」

「・・これは?!」ぴくっ。「何か見えたの?」ガクガク・・「なんて恐ろしい・・まさに地獄から来た者・・」

 

『・・・・』はっ!「えーと、あまりにもすさまじい展開に実況がおいつきませんでした。」「な・・なんちゅう

パワーや、あのハルコンネンは!」「あの巨大なバスター砲を麻幹のように・・それに」「ガンダムをボールのように

弾き飛ばす・・ホンマのバケモンや。」「圧倒的なパワーの前に、小手先の技など通じない・・そういうことね。」

「くっ・・」ググッ・・ザン。「おや、あれでまだ立てるとは。・・いいね。」「強い・・これがBGF。ならば!」

ヒュィィ・・ドン!「メテオ、猛ダッシュ!」「いらっしゃい!」グッ。「ハルコンネンも迎撃の構えや。」

「・・せーの!」ブオッ!「はっ!」ザザーッ!すかっ!「スライディング?!」ダン!「ドルフィンブロウ!」

ヒュッ、ズガアアアーン!「くうっ!」「すさまじい昇り蹴り!」グラッ。「水面蹴り!」ギュン!パーン!

「うわっ!」ズダダーン!がしっ。ブワッ!「リフトや!」「滞空時間が長いわ!」「メテオドライブ!」ダン!

ゴオッ!ドガアアアーン!「あいた!」「ブレーンバスター!」「まだまだ。パワーなら負けないわ!」グッ、

グオッ!「・・片手リフティング?すごい!」「な・・?」「メテオストライク!」ヒュィィ・・ドオオーン!

「フルバーニアで大ジャンプやて?」ゴオオオオーッ!・・ボッ。ヒュゴオオッ!「あれは!」『モズ落とし!』

「くうううーっ!」「おおおおおおーっ!」ドン!ゴオオオオーッ!「パワーダイブ?!」「共倒れになるで!」

ズゴオオオーッ!ドガアアアアーン!『うわっ!』ゴォォォ・・「・・どうなったの?」「・・メテオや!」

 

「はあっ、はあっ!・・」「やった・・大逆転よ!」「・・いや!」ズズズズ・・ボゴオッ!「・・そんな?!」

「いって~。いまのはけっこうキツかったっす。」「あ・・あの激突で!」「・・ホンマのバケモンや。」

コキコキ。「さて、と。そろそろフィニッシュにしよか。」ジャキッ!「くっ!」ザッ!(・・残る手はひとつ、

奥義を発動させるしかない。でもあれは必殺の拳、相手を一撃で殺すための拳・・はっ?!)【殺す気で打て。

さもないと倒れるのはお前だ。】(・・そう、全力の一撃こそ相手への最大の礼儀。ならば!)すぅ・・

『ん?』「メテオ、ノーガード?」「この状況で・・まさか!」「はぁぁぁ・・」キィィィ・・「・・これは?!」

ズズズズ・・「練気・・しかもこれは!」「ものすごい気圧や・・大技やな。」「な、なに?」たじっ。

「・・はあっ!」ゴオオオオ!「・・メテオの右拳に気が集中!」「・・アトレイデス、FIRE!」ズドオオオーン!

「バスター砲が!」「直撃コースや!」ゴオオオオオーッ!「・・ファイナル・ヘヴン!」カアッ!・・

ドオオオオーン!ズバシャアアアアーン!『バカな!』「バスターの火線を拳でまっぷたつに!」「なあっ!」

「おおおおおーっ!」ゴオオオオーッ!「・・まっずい!」さっ。「そんなもの!はあっ!」ドギュウンッ!

「止めた!・・え?」ズズズズ・・ズドオンッ!「なぶうっ!」・・ボオッ。「・・そんな?!」「突き抜けた!」

「はぁぁぁ・・」スゥゥゥ・・「・・あ、はは・・すっごい技だね。負けちった・・」ズズーン!「勝負あり!」

 

「す・・すごい!」「あまりの攻撃の速さに、防御してからダメージが遅れてくる・・なんてすさまじい技なの。」

「セラスさん、だいじょうぶでしょうか?」「・・あっ、あれあれ!」パシュッ。ぬうっ。「ふぃ~、きつかった。」

「生きてた!」『おーい!』「ん?・・応援さんきゅー!負けたけど、楽しかったよー!」『おつかれさまー!』

「・・いいんでしょうか?あの方は」「いいのよ乃梨ちゃん・・それを言うなら私たちだって・・」「あ・・」

「志摩子のいうとおり、あたしたちだって同じ穴のムジナさ。代行者だのなんだのいっても、とどのつまりは

殺し屋稼業。彼女と同じ、バケモノみたいなもんだ。」「・・そうですね。ならばバケモノなりの誇りを胸に。」

「そうそう。今を楽しめばそれでいいって。な、祐巳ちゃん♪」がばっ!「あひゃあっ!・・聖さま、またー!」

「チアガール姿の祐巳ちゃんはそそるねー。」「こーゆーのは志摩子さんか乃梨ちゃんにしてあげてください!」

「志摩子はガラじゃないしな~。・・乃梨子ちゃん?」「・・呪殺しますよ。」じゃらっ。「だめだこりゃ。」

 

「タウン」本部。「はぁ~・・かなり疲れた。」『大激戦だったしな。まあしばらくゆっくり休むがよい。』

「メテオもボロボロだから、しばらくは直らないわよ。ま、デートでもしてたら?」むっ。「誰とよ、エアリス。」

「あれ?・・これだから未通女(おぼこ)は困るわ。」「タウンの徒花に言われたくないんですけど。」バチバチ。

「なら私がデートしちゃおっかな。ね、クラウド♪」ひしっ。「なっ?!」「むろん、楽しいオマケ付きよん。」

ぶちいっ!「エアリス、あんた!」ドドドドッ!「あはははは!怒ったおこった!」タタタタ。「元気ですね。」

「痴話ゲンカは犬も食わないって。」『まあ、あれだけ元気があればだいじょうぶだろう。ふははははは!』

 

翌日。「へえ~、女学校ってこんなんだ。」「想像もつきませんでしたね。」「セラスさん、由美子さん。

ようこそ黒薔薇の館へ。会員一同、歓迎いたしますわ。」『ごきげんよう!』たじっ。『ご、ごきげんよう。』

「あ、はは。・・こんだけいると圧巻だね~。」「さすがに気後れしそうです・・」「ハーブティーをどうぞ。」

コトッ。「あ、ども。」「ありがとうございます。」「昨日のファイト、感動いたしましたわ。まさに名勝負。」

「相手をホームランしたときはゾクゾクしましたー!」「いえ、バリアにつかまってエンタイトルツーベース

だったんだけどね。」『あはははは!』「由美子さんもガンダムファイターなんですか?」「ええまあ、いちおう。」

『おおーっ!』「どんなガンダムです?」「流派はなんですか?」「対戦相手は?」「彼氏いますか?」ワイワイ!

「大人気だね~。」「よかったでしょ、ご招待して。」「実際のファイターに会わせてみんなの士気を高める作戦、

まずまずね。」「そう。・・あとは法皇庁から返答があれば、全てが動きだす。」「待つまでもないんじゃない?

結果は見えてるしさ。」「社交辞令ってやつよ。いちおうスジは通さないと、天上界は小うるさいからね。」

 

 

君たちに最新情報を公開しよう。

第二のカードは魔剣士クラウド対アンデルセン神父。

妖刀ムラサメと銃剣(バヨネット)が火花を散らす。

だが魔に堕ちし神父のパワーは恐るべきものだった。

そしてシエルは変わり果てた師父の姿に慟哭する。師よ、クォ・ヴァディス!(何処へ)

次回、バーニングガンダムファイト激闘編 第十話

「凶乱!地獄の剣舞祭」へ、バーニング・ガンダムファイト!レディー、ゴー!!

これが勝利のカギだ!(神羅一刀流奥義・超究武神覇斬)

 

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第十話「凶乱!地獄の剣舞祭」

 

「タウン」本部。「アンデルセン?」『うむ、間違いない。明日のクラウドの対戦相手だ。』「そ、それって・・」

「まさかあの・・アンデルセン?」「『殺戮の神父』『銃剣の狂信者』『天使の塵』・・まだまだありますね。」

『法皇庁・神罰代行機関のトップエース・・だった。』「だった?」『公にはされていないが、殉職したらしい。

もう一年も前に。』「て、ことは・・どういうこと?」「死んだフリをしたか、あるいは・・」「甦ったか。」

はっ!『DG細胞!』「前回のハルコンネンといい、可能性はありますね。」「でも出場選手に義務づけられている

定期血液検査はクリアしてるんでしょ?あれは検査官が訪問して採取するからごまかしようがないし。」

「でもあのバカ力は尋常じゃないよ。この分だとアンデルセン神父も同等の力を持ってるとみなくちゃね。」

「ユフィの見解が正しいですね。チーム『HELL-THING』・・恐ろしくもあり、また面白くもあります。」

「だが俺にはこのムラサメ・ブレードがあります。」チャリッ。「魔の神父とて、やおか後れはとりません。」

『武器はいくら強かろうが武器以上の何物でもない。大事なのは、使い手自身だということを忘れるな。』

「委細承知。ゆえに稽古に出かけてきます。」「あ、私も行くわ。」「おや?それデートじゃないのかな~?」

「なっ!・・ユフィ!(真っ赤)」「あー、図星だった♪」「さ、さあ行きましょ、クラウド!」「あ?ああ。」

ずるずる。『・・ティファも苦労してるな。』「クラウドの鈍感ぶりに、ですか。」「男はあのくらいでいーの。

ね、ヴィンセント。」「?・・よくわかりませんが、なんとなく。」『・・こっちもご同様か、やれやれ。』

 

黒薔薇の館。ガヤガヤ・・「みんな、静かに。・・法皇庁からの返答が来たわ。由乃ちゃん、読んで。」

「はい。『法王睨下の勅命により、本申請を認証する。参戦費用は法皇庁が負担する。主のご加護を、AMEN。』」

「勅命とはね・・」「幽音さまだね、睨下を動かしたのは。」「まさかとは思ったけど、これほどとは・・」

「睨下の勅命が出た以上、もはやわたくしは何も申しません。・・BGF参戦の手続きに全力を傾注しますわ。」

「まずは?」「選手の選定だね。」「黒薔薇会のメンバーは非戦闘員の瞳子ちゃん以外は全員参戦でいいわね?」

さっ。「ひとつ意見を。」「はい、祥子。」「出場選手は三号生以上とすることを提案いたします。」ザワザワ。

「言いたいことはなんとなくわかるけど、とりあえず理由を言ってみて。」「技量の問題です。一号生・二号生の

今の実力では、BGFでは通用しないと思いますわ。実際に観戦してその確信を再認識いたしました。」「なるほど、

正しい意見ね。」「断っとくけど、祥子のは下級生を思いやっての発言だから、そこんとこわかってあげてね。」

こく。「でも、その提案は却下よ。」「なぜです、お姉さま。」「一般生徒ならそれでもいいでしょう。けど、

黒薔薇会に所属する者はいずれこの生徒会を背負って立たなければならない。ゆえに技量を証明するためにも、

BGF出場は格好の機会よ。」「もうひとつ。下級生だからといって、一概に未熟ときめつけるのはどうかな。

祥子だって祐巳ちゃんに何かを感じたからスールにしたんでしょ。」「そ、それとこれとは話がちがいますわ。」

「その何か、を開花させるのに、BGFという舞台は最高じゃないかなー。」「・・たしかにそれはそうですが。」

「下級生の意見も聞いてみたいですね。結果はともかく、やりたいという気持ちが一番大事だと思います。」

「さすが令。じゃあ、由乃ちゃんから。」「やりたいです!勝敗なんかどうでもいい、ただあの舞台で闘いたい!」

「う~ん、斬り込み隊長らしい、いい意見だね。志摩子。」「問われるまでもありません・・」ゴォォォ・・

「志摩子さんが・・燃えてる!」「さすが『静かなる猛将』、語らずとも明快な回答ですわ。」「祐巳、あなたは?」

「ぁぅ~・・やってみたい気持ちと、怖いのが半々かな。」「はっきりしなさい!」「は、はい!出たいです!」

「よろしいわ。」「乃梨ちゃんは、どう?・・」「七難八苦は徳度なり。わが心、阿羅漢の如く。」じゃらっ。

「もっとストレートに出ますって言えばいーじゃん。」「全員一致ね。他に意見は?」「はい・・」「志摩子。」

「一般生徒からも選出すべきだと思います・・私たちだけより、校内の士気も上がるかと・・」「いい意見ね。」

「けど、スジのあるのはほとんど黒薔薇会だと思うけど。」「いいや、一人、これはというヤツがいるね。」

「誰なの、聖?」「忘れてるなあ、『闇の聖歌』を。」ザワッ!『静さん!』「静なら、わたくしも推薦しますわ。」

「同学年から見ても、静は文句なしです。」「いいでしょう。志摩子ちゃん、呼んできて。」「はい・・」にこっ。

 

「お連れしました・・」「黒薔薇会の呼び出しとは、穏やかじゃないですね。」すっ。「かくかくしかじかで、

BGF出場選手に推挙されましたので。」「なるほど。・・聖さまはどう思われます?」「静がその気なら、ね。」

(祐巳さま、静さまって聖さまに?)(うん、でもスールにはなりたくないって。)(少し離れて、か・・)

むっ。(志摩子お姉さま、あれでいいんですか?)(いいのよ・・短剣の授受こそしてないけど、お姉さまも

私も、静さまは特別な方なの・・)(はあ・・どうもよくわかんないな、この関係って。)(オトナの関係かな?)

「わかりました。この件、了承いたします。」「決まりね。どり子ちゃん、新聞部『ヨハネ』に公表。号外よ。」

「はい!・・って、蓉子さま、私は瞳子です!」「あ、ごめんごめん。こっちのほうが反射的に出ちゃうのよ。」

「うんうん、だいぶ定着してきたね。」「定着させないでください!」「もう手遅れじゃ?」『あはははは!』

「では今日の会議はここまで。静さん、明日からは会議に同席して。さらに細かい話を進めるから。」「はい。」

ガヤガヤ・・「静。」「聖さま。」「てっきり断られるかと思った。」「黒薔薇会を固辞した身ですしね。」

「BGFに興味あった?」「少しは。私も代行者を目指す身、自分の腕を確かめてみたい。」「いい気迫だ。」

「む~・・」「乃梨ちゃん、いいから・・」ずるずる。「・・やっぱり納得いかないな~。だいたいお姉さまも

聖さまに甘えなさすぎです。」「私はそういうのうまくないから・・その分、乃梨ちゃんに甘えてるかも・・」

「そっか、そういう考え方もあるか。私でよければどんどん甘えてください。」「そうさせてもらうわ・・」にこっ。

 

ガンダム長屋。「たあーっ!」ビュッ!「それっ!」キーン!「さらに太刀筋が鋭くなったな、ヨーコ。」

「ドモンに稽古つけてもらってるおかげよ。」「ふふっ・・ん、あれは。」「えっ?」くるっ。ザッザッ・・

「ああ、あんたか。」すっ。「先日はお世話になりました。今日はチームの仲間を連れてきました。」ザッ。

「クラウド・リュニオン。一手所望いたしたく。」「よかろう。・・ん?」ゴォォォ・・「その刀、すごいな。」

「ムラサメ・ブレードです。」シャッ、ゴゴゴゴ・・カタカタカタ。「ん?へえ・・闘いたいの?」カタカタ。

「いいでしょ。・・ドモン、あたしに譲って。」「ヨーコ?」「風林火山が哭いてるのよ、刃を交えたいって。」

「豪刀『風林火山』・・こちらも否やはなし。」「ありがと。そいでは!」ビュン!「むっ!」シャリン!

ゴゴゴゴ・・ビリビリビリ。「いいねえ~。この霊力、ビンビンくるわ。」ビリビリ・・「・・ウワサ以上か。」

「・・せいっ!」ダン!ドオンッ!「むん!」ガキイイイーン!ゴッ、ドオオオオーンッ!ブワアアアッ!

「これは!・・ヨーコの打撃を地面に流した余波でこれか。」「風林火山、いや、『審判の剣』、これほどとは。」

ガギギギ!「そちらも見せてほしかったり。」「・・はあっ!」ギィン!「おっと。」「はっ!」シュピイッ!

「よいしょ!」キィンッ!チキッ。「?!・・たあっ!」ダン!「蹴り?!」バン!ザザーッ!「危なかった。」

「・・風林火山に、キズが!」「・・すごいね。今までどんな名刀でもスジひとつ付けられなかったのに。」

「まさに妖刀、そして使い手の技量か。」「こりゃあ、タダのスパーリングだけじゃ終われなくなったね・・」

 

ガラッ!「今の気は?!・・あら。」「ほう、剣士の激突か。」「それにしても、この剣気はただごとでは・・!」

ぞくうっ!『これは!』「・・来ます、なにか恐ろしいものが!」「むう・・なんという猛悪な闘気なのだ。」

ズズズズ・・ザッザッザッ。「・・神父?」「・・そんな?!」はっ。「シエル?」ガクガク・・「・・神よ!」

ザッザッザッ!ちらっ、ニイッ。ぷいっ。ザッザッザッ・・「あ、ああ・・」ガクッ。「シエル、どうした?!」

「こんな・・こんなことが!」「誰だあれは!・・いったい何が!」「・・師父よ、クオ・ヴァディス!」

 

『むっ!』ばっ!ザッザッ・・「あれは?」「・・アンデルセン!」ザッ!ゴゴゴゴ・・「ほう、キング・オブ・

ハートと手合わせしようと思えば、対戦相手が先客だったとはな。」ニイッ。「・・なんという凶暴な気だ。」

「これが・・アンデルセン神父!」「手間が省けた。ここでうぬの実力、見せてもらおう。」ジャキィッ!

「シイッ!」ビュババババッ!『はあっ!』キキキキィン!ドカドカドカッ!「いきなり真剣を投げるとは!」

グッ。「見境なしも限度があるよ!」ビュン!「待った。・・これは俺の相手だ。」「さあ、打ってこい。」

「・・!」ユラッ・・ドン!「ククッ。・・!」シャッ!「たあっ!」「シイッ!」ガキイイイイーン!

バジジジ!「・・この力は?!」「新たなる主より授かりしものよ。シャアッ!」ドンッ!「くうっ!」グラッ。

「もらった!」ビュオッ!「・・まだだ!」クルッ、ズドオンッ!「ぐっ!」ザザザザーッ!・・「やるな。

咄嗟に刀を反転させ、柄で突くとは。」「こちらも戦場の剣だ。」「この太刀筋・・そうか、神羅一刀流か。」

「なんだって!」「ヨーコ、知ってるのか。」「ええ。・・失われし殺人剣。戦場で敵を確実に倒すための、

まさに原初の剣法。魂だの武士だのいう遥か以前の・・まさか現存するなんて。」「太古の剣・・か。」

「これは面白い。先の銀河彗星拳といい、どうやら望むべき強敵ぞろいということか。」すっ、シュン。くるっ。

「明日のファイト、楽しみにしてるぞ・・」ザッザッ・・「・・アンデルセン、まさに『HELL-THING』・・」

 

ザッザッ・・「・・師父!」ぴたっ。「・・シエル。」「これは・・どういうことです!」「お前の知っている俺は

もうおらぬ。ここにあるは、冥府より甦りし幽鬼。そう、ただただ戦いを求める血に飢えた戦鬼だ。」「師父・・」

「その呼び方はもうやめろ。いずれお前とも刃を交えることがあろう・・そのときは俺の教えを忘れるな。」

「教義のためなら・・師をも殺せ。」こく。「ましてや魔道に堕ちた相手ならなおさら。・・俺も手加減はせぬ、

いや、機関最強の『第七のシエル』にそれはできぬ。全力で殲すまで。また会おう・・リングで。」ザッザッ・・

「師父・・クォ・ヴァディス!」『冥府魔道へ・・』ザッザッ・・ガクッ!「主よ・・なぜにこのような悪戯を!」

「シエル・・」「お父様・・うわあああああーっ!」ガバッ!「事情は察した。・・今は泣け、嘆け、悲しめ。

そして涙が枯れたなら、再び立ち上がれ。己が教義の誇りとともに。」「師父!師父!わあああああーっ!」

 

ザッザッ・・「・・・・」(師父ー!)(シエル、今日の練習を始めましょう。)(はい!)(投剣の基本は、

必ず当たるという気持ちです。技術とかではなく、心で放つのです。)(う~ん、うまく刺さりません。)

(手で投げるのではなく、剣が飛ぶのを手助けしてあげる、その気持ちで投げてみなさい。)(あ、刺さりました。)

(よろしい。今の感触を忘れないよう、どんどん投げて体に覚えさせるのですよ。)(はい!)(いい子です。)

(師父、夕食の支度ができました。)(またカレーですか。)(安くておいしくて栄養満点。はいどうぞ。)

(では食膳の祈りを。・・主よ、本日の糧に感謝します。)(AMEN。)(むう・・たしかにうまいはうまいですが、

さすがに三食ともこれというのは。)(では明日はトーストとカレーにしますね。)(どちみちカレーですか。)

じわっ。「む?・・」さっ。「・・ふふっ、俺にもまだ流す涙が残っていたのか。・・柄でもない。」ごしごし。

 

聖ガブリエル女学園・学園長室。「アンデルセンが?」「はい、間違いなく。データベースをお貸しください。」

「いいでしょう。」♪ピッピッ。「セキュリティコード・・よし。アンデルセン神父埋葬記録・・拒否?」

「セキュリティレベルですね。」「最高ランクへのパスコードさえあれば・・」「・・神の御名。」ぴくっ。

「EHOBA・・いえ、こちらでしょう。IEHOA。」カタカタ・・タン。ぱっ。「・・これは?!」「まあ・・墓が

暴かれていましたの。」「なぜこんな重大事件が最高秘匿扱いに・・?」「角度を変えてみてはどうですか?」

「やってみましょう。BGF出場者リスト・・チーム『HELL-THING』データ・・サポートクルー:ハインケル?」

「ただ一人のクルーとは、妙ですね。」「・・検索、ハインケル・・もとライゾウ・カッシュ博士の助手?!」

「なるほど・・これでDG細胞と繋がります。」「・・DG細胞を改良、自律従属性を持たせ、いかなる検査にも

引っかからないものに。」「自然な帰結ですね。」「もうひとつの疑問。遺体盗難という大事件を、なぜに

私たち機関にも報せず、秘匿扱いに・・」「ひとつ考えうる状況があります。その権限を持つ者が意図的に。」

はっ!「法皇庁に、カーン財閥の協力者が?」「一時期ネオナチスが浸透していたほどです、可能性は高いかと。」

「たしかに・・新型DG細胞の実験体として、師父以上のものは無いでしょう。・・カーン財閥、許せません!」

 

「ありがとうございました。」カツカツ・・「・・あれ?令ちゃん、あれシエル様じゃ?」「学園長室から?・・

ごきげんよう、シエル様。」「ごきげんよう。」「・・。」どん!「あいた!」「え?・・あら、失礼しました。」

「あいたた・・」「だいじょうぶですか?・・あら、あなたたちは黒薔薇会の。」「令です。」「由乃です。」

「上の空のようでしたが。」「ええ・・ちょっとそうなる状況がありましたので。」「とりあえず館でお茶でも。」

黒薔薇の館。「ハーブティです。」「ありがとうございます。」「今はみんな出払っていますので、ごゆっくり。」

スゥゥ~・・「・・ふう、おかげで少しは落ち着きました。」「で、何があったのですか?」「もちろんお話できる

範囲だけでいいですから。」「・・そうですね、一人でため込んでは判断に迷いが出ますしね。実は・・」・・

「魔道に堕ちた恩師・・か。」「浄化とかの手はないんですか?」「一度天に召されし者を引き戻しているのです、

もはや再び天国の門は開かないでしょう・・いえ、師自身がそれを望まないかと。」「・・ならばこう考えられては。

師とは弟子が自分を越えることが最高の喜びといいます。逆に言えば、師を倒すことは最高の恩返しになるかと。」

「他の誰でもない、自らが育てた子に倒されるならば本望じゃないでしょうか。」「・・なるほど、たしかに。」

「で、由乃はいつ私を打ち負かしてくれるのかな?」「もうすぐよ。あとちょっとで令ちゃんに勝てるよ。」

「あら?・・姉をちゃん付けってのは珍しいですね。」「いえ実は、生まれも育ちもほとんど同じでして。」

「姉妹というより、幼なじみですね。」「いいですねー。そういう関係は憧れます。」「シエル様には、屈託なく

話せる相手はおられますか?」「んー・・あ。」(やーい、デカ尻エル。)「ケンカ相手ならいますが・・(*メ」

「本音でぶつかれる相手ですね。」うっ。「ま、まあ・・そうですね。」ふっ。(なんか・・会いたくなったな。)

 

「さて今日の第一試合、チーム『影の軍隊』アルティマガンダムと、チーム『HELL-THING』パラディンガンダムの

対戦です。」「・・。」「・・あれ?紅蘭、マイク入ってるよ。」「わかっとる。ほな、アルティマからいこか。」

「剣撃型というのかな、得物は日本刀タイプのムラマサ・ソード。」「妖刀村正かや。梵字がびっちり刻まれとる

耳なし芳一みたいな刀やな。」「さて対するパラディンは」「はいここでCMや。」「ちょっと!まだコメント

途中じゃない!」「あのな、相手はあのアンデルセンや。こんなん放送できっか?たちまち暗黒街大パニックや。」

「そりゃあ・・超有名人だしね。」「やろ。・・しかもアヤツは一年前に死んだとされとるからなおさらや。」

「宗教界も大騒ぎになるか。」「やきん、アンデルセンの名は放送せん方針や。カメラも接近で撮らんきにな。」

「無用な混乱は避けたほうがいいわね、実況も気をつけるわ。CM終わり・・さて、いよいよ試合開始です!」

 

スタジアム・関係者専用観戦席。「・・あれ?ドモン、あれ。」「ん?・・シエルさんか。」「・・。」

「おー・・?!」ぴたっ。「・・どうしたの?」「やめておこう。とても声をかけられる状態ではなさそうだ。」

「え?・・あ。」ゴォォォ・・「たしかに・・殺気だってるわね。」「誰も近寄れんほどな・・そっとしておこう。」

「・・(師父よ、魔道の力、しっかり見せていただきます。そして・・)」ググッ。(できうれば・・私の手で。)

 

ザッ。「いよいよだな。」「手加減はしない、いや、できない。」「もとより死合は望むところ。我が主に捧げる

尊きイケニエだしな。」ニイッ。「聞こう。その主とは?」「常世で直接尋ねるがよい。」「ふっ。・・では!」

すっ、「降臨せよ、パラディン!」「アルティマ、起動!」『ガンダアアアームッ!』パチン!ギン!ドドドド・・

『バーニング・ガンダムファイト!レディー、ゴー!』「シッ!」ジャジャッ!「シイイッ!」シュババババッ!

「パラディン、無数のビームバヨ・・っと、ビームショートソードを投げた!」「な、なんちゅう数を!」

「・・はあっ!」ダッ!ギギギギィン!ドカカカカッ!「全部はじいた!」「・・いかん!」・・ボオッ!「なっ!」

「パラディン、一気に間合いを詰めていた!」「シャアッ!」ビュオッ!「むっ!・・?!」ダン!ビュボオッ!

「くっ!・・」ザザーッ!「右の薙ぎ払いに隠して左の突き!」「アルティマ、よう避けたで・・右を受けとったら

串刺しにされとった。」「ククク・・見破るとはな。」「・・昨日の手合わせが無ければ、やられていた。」

「では新手をご披露しようか。」さっ、ジャララララーッ!「なにっ?!」「ショートソードが・・連結?」

「ビームワイヤーで数十本を繋げとるか・・どう使う?」「ドラクル!」ダギュルルルッ!「むっ!」ダン!

ドガガガガーッ!『おおっ!』「地面が・・巨刀の一撃のように!」「あんなん当たったら、一撃でしまいや!」

「まだまだ!」ギュン!ズガシャアアアーッ!「剣の・・大蛇!」「まさに大蛇のうねり、今度は避けられん!」

「・・。」ぴたり。「アルティマ、迎撃の構え!」「どう受けるんや、あんなの・・」ギュオオオオッ!

「・・破洸撃!」ドオンッ!ドバシャアアアーンッ!「気斬撃よ!」「あないな技が!」ガラガラガラーン!

「勝機!」ゴオッ!「ブレイバー!」ビュオッ、ギィン!「ぬうっ!」グラッ。「凶斬り!」ビュビュッ、

ザキザキイッ!「ぐっ!」「クライムハザード!」ダン!「むっ!」さっ。「とりゃあっ!」ズドオオオーン!

パキイイーン!「バヨネットが!」「メテオレイン!」ドギュギュギュッ!ズドドドドーン!「ぬおおおおーっ!」

ゴォォォ・・「すさまじい必殺技の連打でパラディン、ダウン!」「普通ならこれでおしまいやが・・?!」

 

「・・フッ、フハハハハ!」グググッ・・ザン!「・・やはりこの程度ではダメか。」「いいぞ、こうでなくては!

これでこそガンダムファイト、これでこそBGF!」「ならば!画龍点晴!」ブン!ズゴゴオッ!「真空波か。シイッ!」

ビュン、バシィィーン!「相殺された?!」「・・いかんな、あら遊ばれとる。」「まだ全力を出してないの?!」

こく。「アンデ・・もとい、パラディン、恐るべきやっちゃ・・」「・・あんなの、どうやったら勝てるというの?」

「さて、次はどうする?」「・・はあああっ!」ビーン!「ほう・・ようやくハイパーモードか。よかろう、来い。」

ヒュィィ・・ドン!「とりゃあああーっ!」「・・シェアッ!」ばっ、ジャキジャキィーン!「は、ハルバード!」

「まだあないな大物を!しかも両手に!」「ずおりゃあああーっ!」ビュゴオオッ!ズドオオオーン!『やられた!』

ゴォォォ・・「・・なにっ?!」フゥッ・・はっ!「・・上か!」「もらったあああーっ!」「まだまだ!シャアッ!」

ブオオッ!「ポール・ウェポンは振り上げが弱い!」カツッ、タン!「なっ!・・ハルバードを蹴っただと!」

ザン!「しまった、背後を!」「超究武神覇斬!」ズバババババババッ!「ぬおおおおーっ!」「覇あっ!」ドン!

ズバシャアアアアーン!・・ザッ。「終わった・・」「・・ふ、ふふふふ。」ぎょっ!「そんな・・バカな!」ばっ!

「フハハハハハ!とても楽しかったぞ。満足だ、きわめて満足だ。」ズル・・ドサドサッ!「パラディンの両腕が!」

「・・あの状態で致命打を避けたとは。」「こうなっては戦闘不能だな。レフェリー、ギブアップだ。」「認めよう。

勝負あり、アルティマガンダム!」「・・勝った気がしないな。」チン。「勝負は勝負だ、ひとまずは、な。」ニッ。

 

『・・・・。』「いまの・・勝負になったの?」「両腕落とされて戦闘続行不能。まあスジは通っとるけどな・・」

「・・なんかスッキリしない終わり方ね。」「あのアンデルセンなら両腕無くしたごときで怯むタマやないし。」

「まあ、これはガンダムファイトであって、殺し合いの場じゃないのは確かだけど~・・」「・・消化不良やね。」

 

タウン本部。『浮かない顔だな、クラウド。まあ無理もないが。』「・・アンデルセン、まだ余裕がありました。

俺は全力に値しない相手だというのか・・」ギリッ・・「ルールはルールよ。客観的にもあの状態ではギブアップを

宣言するしかないでしょ。」「割り切るしかないんじゃない?いいじゃん、あそこまで追い込めば上等だよ。」

「しかし!」「・・クラウド、アンデルセンに勝てていないと思うなら、次に戦う時に備えることが大事ですよ。」

「ヴィンセント・・」「BGFで闘いぬき、腕を磨く。今なすべきことはそれでしょう。」「・・たしかにどうだな。」

『アンデルセンに限らず、未知の強豪はまだまだいるぞ。次のユフィも、相手も楽しむことだ。』「もっちろん。」

 

有楽町・カーン財閥ビル。「どうだった、神父?」「期待以上に楽しかったぞ。ああいう闘いをまたしたいものだ。」

「ひと勝負終えた直後だってのに、元気っすね~。」「これが楽しみだからでしょ。」「ふふふ・・ん?」ぴくっ。

「あれは?」『むっ?』「・・隣のビルの屋上に?」「・・なるほど。」カツカツ・・カツッ。「・・シエル。」

 

ビュオオオ!「・・師父、いえ、背教者アンデルセン。もう私は師と呼びません。教義のためなら師父をも殺す・・

代行者としての御命を遂行するだけです。」ジャキッ!「対戦希望は既に申請済み。・・リングでお会いしましょう。」

 

君たちに最新情報を公開しよう。

第三のカードはくノ一・ユフィ対「幻影の双生児」由美子。

不可視の「由美江」に翻弄されるウータイ。

見えぬ敵とどう戦う?恐怖のタナトスガンダム攻略のカギは?

放て、風魔坂崎流最終奥義!闘魂を力に変えて叩き込め!

次回、バーニングガンダムファイト激闘編 第十一話

「感知せよ!見えない双子」へ、バーニング・ガンダムファイト!レディー、ゴー!!

これが勝利のカギだ!(森羅万象)

 




第十一話「感知せよ!見えない双子」

名出屋城、タウン本部。「由美子・マリガン?」『外惑星大領主の秘書。とはいえ、あの「HELL-THING」の一員、
ただの秘書ではなかろう。』「先の二人に匹敵する実力を持つということか。」「それに関して、有力な情報が
データベースにあったわ。」ぱっ。「これは第二次タイタン潜入作戦の記録ですね。」『世界と愚者が共闘して
殴り込みをかけたが、殲滅には至らなかった戦いだ。』「デビル軍団の本拠に二人だけで乗り込むとは・・」
「いえ、魔導空軍ルフトバッフェのバックアップがあったわ。そして・・これ。」ぱっ。『ん?・・あっ!』
「こっちがセラス、そしてこっちが・・」「・・由美子・マリガン。」「なんで?なんであの二人がここに?」
「詳細はわからないけど、魔砲艦『グラーフ・ツェッペリン』はタイタンへ向かう途中で『斧』に寄港してるわ。
そこで合流したんでしょうね。」「で、その戦闘記録は?」「あるわ。・・どうやら彼女、スタンド使いね。」
「・・スタンド?」「サイキックの一種といわれる、精神エネルギー具現化現象です。同じ能力を持つ者には
さまざまなイメージとして見えます。」『一説には霊体の多くがそれに含まれるともいう。となると、霊視も
潜在能力ゆえかもしれん。』「げ~、幽霊持ち?やだな、お札でも貼っとこうかな。」「あいにくとその攻撃は
物理的なものよ。いわば幽霊にぶん殴られる形になるわね。」「え"~。そんなんどうやってよけるのよ。」
「そこが問題ですね。スタンドを見ることができれ・・ん?」『ヴィンセント?』「ひょっとしたら、なんとか
なるかもしれません。」「見れるの?どうやって?!」「そういうアイテムがあるだろう店を知ってます。」

旧虎ノ門。ズシーン!「ではいくよ、由美子。」「いつでもどうぞ。」ジャキッ!「アトレイデス、ファイア!」
ズドオオオーン!「由美江!」バシイイイーン!「おっ、止めた!」「反撃いきます。」ゴッ!「え?え?」
ドカアアアアーン!「はにゃっ!」ドガガガーッ!「あ、まとも・・ごめん。」「あいたたた・・じょぶじょぶ。」
むくっ。「こりゃー、避けようがないね。明日のファイト、らくしょーじゃない?」「さて、どうですかね。
相手のユフィさんとかいう方が『見える』かもしれませんし。」「登録データにはそこまで書いてないわな。
タナトスガンダムも問題なさそうだし、こんなもんでいんじゃない?」「そうですね。では上がりましょう。」

「Atelier de Marie」。「いらっしゃいま・・少佐?!」「え?」「おひさしぶりです、マルローネ。でも今は
ヴィンセントと呼んでください。」「あ、はい、失礼しました。で、御用の向きは?」「かくかくしかじかで、
スタンドを見れるアイテムがないかと。」「スタンドですか。いくつかありますよ。まずは魔眼殺しの眼鏡。」
「う~ん、メガネはキャラに合わないよな~。」じぇい。「ね。」・・ぷっ!「似合わねえ~!あははははっ!」
「・・た、たしかに。」くっくっくっ・・「笑いすぎ!・・?」「へえ・・」「マルローネさん、なに?」
「いやね、少佐・・いえ、ヴィンセントさんのこんなとこはじめて見たなって。」「・・古い知り合いなの?」
「うん。もう五年も前からかな~。あ、ゆっとくけど、一発ヤッたとか、そういう関係じゃないからね♪」
「んなこと聞いてない!それより次!」「はいはい。次は霊視フィルター。ガンダムの視覚系に組み込めば、
いろいろ見えるわよ。」「いろいろって?」「そのメガネで見えるのとほぼ同じ。」「見えるって・・うわっ!」
ドロドロ・・「うわわわわっ!」ぱっ。「あ~、びっくりした。この店いっぱいになんやかんやいるんだもん。」
「浮遊霊なんか、そこらじゅうにいるって。実害ないだけで。」「スタンド対象限定に調整できないものか?」
「戦闘に使えるスタンドともなると霊圧は相当なものですから、リミッターかければ可能ですね。」「ではそれで。」
♪カラーン。『ありがとございましたー。』「・・ちょっと聞いていい?」「ダメです。過去の詮索はご法度ですよ。」
「そ、そりゃそうだけど・・」「・・かつて軍にいました。最終階級は少佐です。」「そっか、それで少佐って・・」
「ある事件で彼女と一度だけ顔を合わせたことがあります。」「一度・・だけ?」「はい。」「・・わかった。」

聖ガブリエル女学園の時間割りは他と異なり、午前中が普通の授業、午後からはまるまる修行時限となる。
この時限でそれぞれの技や能力を磨き上げる。スールで組むのが普通だが、他のスールと刃を交えることもある。
なお修行場は特に指定されておらず、校内のどこでも可。これは環境に適応した戦い方に慣れる意味もある。
校舎内。カツカツ・・「・・!」・・ヒュゴオオオッ!「百人一首!」ぴっ、シュパパパッ!「!」タタタン!
トカカカカッ!「天井と壁を蹴っての三角跳び回避?やるわね祐巳。」ヒュッ、タン!「やあっ!」ゴオッ!
「はいっ!」シュピィッ!キィィン!・・タタン!「・・髪三本ね。」パラパラ・・「・・つッ。」ピッ、タラ・・
「腕が上がったわね、祐巳。」「いえ、まだまだです。あと一歩の踏み込みがまだ甘いです。」「それができたら、
わたくしの首は飛んでたでしょうね。さ、頬の傷をお見せなさい。」「いえ、このくらい自然癒着しますから。」
「あ、触っちゃダメ。雑菌が入るでしょ。さあ・・」つーっ・・「ん・・はふぅ。」ピチャッ・・「祐巳の血、
けっこう美味ね・・」「お姉さま・・エロすぎます。」「うふふふっ。・・あら、あそこに。」「え?・・
志摩子さんと乃梨子ちゃん?」「いつもの桜の木の下へ行くのね。・・祐巳?」「はい、仕掛けてみましょう。」

講堂裏。サァァァ・・「今日も、来たわ・・」「年中散らない『呪い桜』・・いつもながらすごい霊気ですね。」
「私はこの桜と精神連結してるの・・こうして霊気を浴びることで、気が高まるわ・・」ボォォォ・・
「・・光ってる。お姉さまは今まさに桜と一体化してるのね・・?!」・・ヒュババババッ!「曲!」ジャラッ!
ギュギュン、ドカカカカッ!『空間を歪めて軌道を逸らす・・空門の結界ね。」すっ。「祥子さま、きますか。」
「一対二で戦うおつもりですか?・・いえ、いますね・・」きっ。・・ヒュゴッ!「志摩子さん、いくよ!」
すっ、シャシャッ。「鉄扇子・・」ばばっ。パシイイイーン!「はっ!」ターン!「銀杏扇・・」シュパパッ!
「おっと、双牙刀!」キキキィン!「螺旋撃!」ギュルルルッ!「!」パン、ズボッ!「?・・しまった、空蝉!」
「天晴扇・・」シュッ、バサッ!「旋風烈斬・・」ドバサアッ!ドブオオオオッ!「はわわわわ~っ!・・」
『あらら~・・』「さすが志摩子の扇子ね。祐巳がお星様になっちゃったわ。」「じき戻ってきます・・本番なら
真空波でミンチです・・」シャン、シュッ・・「乃梨子、祥子さまのお相手を・・」「かしこまりました。」
「あらうれしい、一号生で挑んでくるとはいい度胸よ。」「下克上ってご存知ですか?」「ふふっ・・その意気。」
ザッ。ジリッ・・「はいっ!」シュパパパッ!「空門!」ジャラッ!ギュギュン!「・・はっ?!」・・ドバババッ!
「くっ!」グン、シュタタタッ!「ふう・・足元から襲ってくるとは。」「お姉さま譲りの地竜波、よくよけたわ。」
「こちらもいきます。喚!」ボオッ。「・・なに?!」「不動明王剣!」ブオオッ!「はっ!」タン!ドバアアーン!
「!・・大地がまっぷたつに!」「仏像攻撃とは、さすが乃梨子ちゃんだね。(戻ってきた)」「あれは強い霊力が
視覚化する現象・・俗に『幽波紋』と呼ばれるものなの・・」シャン!「千手観音速撃!」ドババババッ!
「楯札!」シャバッ!バシバシバシッ!「さすが黒薔薇が一人、一号生でもやるものね。ならば。」ぴっ、
「♪いにしへの 奈良の都の八重桜 けふ九重に匂ひぬるかな・・」ザザザザーッ!「桜吹雪?!・・視界が!」
グッ。「・・勘の勝負か。」スゥ・・「・・・・!」ばっ!ヒュゴオッ!「南無!」シャッ!パシイイイーン!
「?!・・白刃取り、お見事よ。これまでにしましょう。」ぱっ、ザッ。「ご教授、ありがとうございました。」
ぱちぱちぱち!「乃梨子ちゃん、すっごーい!」「祥子さまの攻撃を受けきるなんて、腕を上げたわ・・」
「その札は健闘の証にさしあげるわ。」ぴっ。「『秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ わが衣手は 露にぬれつつ』
第一首・天智天皇。刈穂のように刈られるところでした。」「う~ん・・これ勉強しないと手が読めないな~。」
「丸暗記だけでなく、内容もちゃんと理解しておかないとダメよ。」「百首も読み解くの、けっこう大変ね・・」

ネオ浅草・「PIAキャロット」。「いらっしゃいませー。」「二人ね。」「こちらのお席へどうぞ。」ガタガタ。
「・・あ、後ろの席。」「え?・・ああ、黒薔薇会の四号生の皆さん。」「まさかこんなところで会うとはね。
あいさつしとこうか。」「いえ、なにやら真剣な表情で話し込んでるようですから、ここはそっとしておくのが。」
「・・そだね。けど何の話してるんだろ?三人ともえらく深刻な顔してるけど。」「・・ちょっと聞き耳。」

「・・『殺戮の天使』か。」「まさか実在したとはね・・」「ウワサに過ぎなかったあの計画、本当だったのね。」
「幽音さまの存在を考えれば、むしろ現実味を帯びるわ。法皇庁も焦ったのね。」「メシア復活はいまだ成らず、
世界は暗黒に閉ざされたまま。しかもデビルガンダムとか出てきたんだもの、焦ってもけだし当然かもね。」
「それにしてもわからないのが幽音さま。なぜそんな無謀なプランに乗ったのか・・」「興味を持った・・たぶん
そういう単純な理由でしょう。もし私でも、見てみたいかもしれない・・はたしてどんなものができるのか。」
「その好奇心の結果が・・ね。」「むしろいい方向に転んだという考え方もできるね・・自己制御はできるよ。」
「保証はどこにもないけど、そう前向きに考えるしかないわね・・」「時限爆弾かかえてる気よりはいいわ。」

『・・?』「何の話だろ?」「殺戮の天使・・計画・・メシア復活・・そして幽音さま。ひっかかりますね。」
「あとでDr.ハインケルに聞いてみようか。何か知ってるかも。」「そうですね・・(何か悪い予感が・・)」

千年城アーネンエルベ。サァァァ・・チュンチュン。「はぁ~、やっぱギアナの空気はキレイでおいしーな。」
「東京シティはゴミゴミしてましたものね。」「故郷は、遠くに在りて思うもの・・ひさびさに実感しました。」
「どこまでも広がる緑の樹海、遥か彼方におぼろげに浮かぶテーブルマウンテン・・世界遺産独り占めだね。」
「このテラスでのティータイムが、とても贅沢だということがわかってきました。」「あっはー♪、しばらくは
ここで鋭気を養いましょうねー。」「次の対戦スケジュールまでしばらくありますしね。」「ゆっくりと・・?」
ザザザザーッ!「妹。」「心得てますわ。檻髪。」ゴオッ・・パキキキーン!カラカラーン。「・・黒衣聖母?!」
「まあ、あんたもよっぽどヒマなのね、シエル!」カツッ。「ルパンを追う銭形警部と同じようなものですよ。」
「こんな所まで追いかけてくるとは妙ですね。あちらで待っていられない事態が生じたとしか思えませんが。」
「ええ、一刻も早くお会いしたかったのです。・・真祖・東方不敗アルクエイド、一手所望します。」ジャキッ!
「追っかけがいるのは喜ばしいことよ・・そろそろ退屈の虫もうずいてきたとこだったから、渡りに船だったし。」
「退屈などさせませんよ。」「じゃ、あっちでやろうか。いくよ、シエル。」「はい。」すっ、ヒュンヒュン・・
「・・本気でやりあう気ですわ、お互いに。」「この城を巻き込まないために離れましたか。」・・ドオオーン!
「うわ、すご・・生身なのにガンダム戦みたいな火柱が!」ドカアアアーン!ドオオオーン!「手加減なしですか。」
「あっはー♪、シエルさんなればこそですよ。他の人だったら一瞬ですら保ちません。」「それほどの強敵・・でも
師匠にかなうわけありません。」「そうともいえませんわよ。・・しばらくあの方を見てきましたが、お姉さまが
長年待ち望んだ最強のライバルといってもいいでしょう。」「アキハに同感です。あの方はいままで戦ってきた
代行者のうちでも別格にして最強と認識できます。」「とはいえ、前任者のアンデルセン神父とは幸か不幸か
やり合う機会がございませんでしたが。」「これからはあるかもしれませんよー。BGFに出てるんですから。」
「あ・・ひょっとして次の相手って。」『・・ああ。』「そういうことですの。」「気合いも入るはずです。」

カーン財閥日本支社。「アドベント・チルドレン・・か。」「・・降臨せし子ら?」「Dr.ハインケル、それって?」
「メシア復活でピンときた。神人混血は知ってるな。」「ヘラクレスとか?」「でもあれは単なる神話ですよ。」
「そうともいえん。」『神父?』「幽音さまの存在を知る今は、な。」「神は実在する、いや、正しくは高位存在か。」
「幽音さまのような存在が古代からどのくらいいるのかはわからんが、人間との混交が皆無だったとは思えない。
そして種が異なるほど、その混血児は両者の優位性を互いに助長することは、ダーウィンを引くまでもなかろう。」
「新たなる種・・進化の一過程ですね。」「歴史に名を残した偉人のいくらかも、そういう種だったのかもしれん。
例えば、世界で一番有名な宗教家とか。」「で、殺戮の天使って?」「天と魔の戦いで最前線に立つ戦闘型天使だ。
別名アラストルともいわれるが、これは堕天使だ。」「戦闘型天使・・なんかひっかかるね。」「ええ。・・」
「以前に妙な話を小耳にはさんだことがある。一部の過激なメシア復活派が、自分たちの手でメシアを産み出そう
という暴挙を計画していたとか。」「遺伝子操作か・・だがいくら遺伝子をいじろうと、所詮は人の範疇でしかない。」
「・・いや、別の手もある。人間以外のジーンを導入するとか。」「DG細胞か。」「いや、もっと簡単な手があるぞ。
幽音の遺伝子をもらえばいい。」はっ。「それは無理だろう。そもそも遺伝子自体があるかどうかすら不明だ。」
「・・いえ、その可能性はあります。先ほどの会話でそのような表現がありました。」「そういえば法皇庁も一枚
噛んでるようなことも言ってたね。」「となると、そういう存在が彼女たちの近くにいる・・ごくごく近くに。」
「聖ガブリエル女学園のオーナーは法皇庁だ、可能性はある。それに・・」『神父?』「・・いや、なんでもない。」
(・・実体は教えないほうがいいな。婦警と由美子にせっかくできた友人たちだ、ショックも大きかろう・・)

「さて今日の第二試合はチーム『影の軍隊』ウータイガンダム対、チーム『HELL-THING』タナトスガンダムの戦い。
いずれもアマチュアチームながら名勝負を繰り広げている実力派です。」「いや、もはやプロアマは関係ないで。
リングの上では実力が全て、BGFの真骨頂ここにありや。」「まずはウータイから。機動性重視の軽量型みたいね。」
「この仕様は・・忍者か?」「そうね、装甲を極限まで削り軽量化・・たしかにコーガとかによく似てるわ。」
「武器は烈風手裏剣かや。けどこら投げたら無手やで。」「もちろん副武器くらいあるでしょうけど。タナトスは?」
「・・なんやこら?まるっきり無武装やないか!」「えっ?・・サーベルも頭部バルカンすらも付いてないの?!」
「待ちい、内蔵武装かもしれへん。」「・・いいえ、登録データにはまさに何も無いわ。」「流派はどうや?」
「えっと・・『無手勝流』?」「バカにしとんのか!ファイターはどないなヤツや。」「由美子・マリガン。職業は
秘書だって。」「秘書?・・どこの秘書や。」「カーン財閥。」ぎょっ!「外惑星大領主・・なら前言撤回や。」
「あのカーン卿の秘書なら、どんなとんでもない能力持ってても不思議じゃないわ。」「そやな・・試合開始や。」

ザッ。「お初にお目にかかるわ。」「よろしくお願いします。」「あんたのスタンド攻撃はもう見切ってるよ。」
「見える・・んですね。よかった。」「ん?」「見えるなら気兼ね無く攻撃できますから。」キラリ。ぴくっ。
「ハッ、できるものならね!」すっ、パチン!『ガンダアアアームッ!』ギン!ドドドド・・「両者、始め!」
『バーニング・ガンダムファイト!レディー、ゴー!』「いけっ、折り鶴ファンネル!」シュパパパッ!シャキーン!
「へえ~、小型のファンネルが展開して折り鶴型に。雅ですね。」「切り裂け、血風鶴!」シャアアアーッ!
「ふふっ・・由美江。」パキパキパキィーン!カランカラン!・・「な、なに?!」「ファンネルが目前で砕けた?」
「出したわね、スタンド・・霊視フィルター。」シャッ。「・・なあっ!」ガクガク・・「こ・・これが・・」
「見えてるようですね・・いかがですか、私の『妹』は?」にやり。「な・・なんて恐ろしい・・」「スキあり。」
ゴオッ!ドカアアアアーン!「ぶはっ!」ズダダダーン!「今はファイト中、感情に捉われるとこうなりますよ。」
「・・いま、何があったの?」「タナトスは指一本動かしとらんのに、ウータイが吹き飛んだ・・まるで巨拳で
ぶん殴られたみたいに。」「・・いったいどうやって?」「・・可能性はないでもないがな、とんでもないのが。」

「くっ・・おかげで目が覚めたよ。」ググッ、ザン!「いくよ、不倶戴天!」ヒュババババッ!「烈風手裏剣だ!」
「そんなもの先ほどのファンネルの二の舞ですよ。」すっ、ヒュババババッ!「?・・止められない?!」ばっ!
ヒュゴオオオーッ!・・ぱしっ。「・・な、なぜ?!」「こっちもバカじゃない、ちゃんと対策済みだって。
この不倶戴天は一切の霊的防御を無効にする。すなわちスタンドによる障壁は無意味よ!」ドン!「速い!」
「疾風迅雷!」ゴオッ!「くっ、由美江!」グン!スカッ!「鎧袖一触!」ズドォンッ!「気弾?よっと!」
グン、ゴオッ!「タナトスの回避、おかしいわね。」「ベクトルまる無視の機動やな・・まるで巨大な手で
振り回されとるみたいや。」「なるほど、そういう手もあるのね。」「由美江はこういう応用も利きます。」
「ならこれはどう?はっ!」ダッ!「由美江!」グン!「そのパターンは読んでる!」ダン!「地面を蹴って角度を?」
「血祭!そりゃそりゃそりゃーっ!」ズバババババッ!「わああああっ!」「そりゃあっ!」ズバシャアアアーン!
「きゃああっ!」「ウータイ、すさまじい乱舞技!」ズダダーン!ゴォォォ・・「・・ちょっと浅かったか。」
「く・・」ググッ・・「起こしてあげようか?抜山蓋世!」ゴオッ、ズドォンッ!ズズズズ・・「・・まずい!」
ドカアアアーン!『あれは!』「が・・ガイアクラッシャー!」ゴォォォ・・「ふっ・・決まったね。」『なにが?』
ぎょっ!「・・上!」クッ。「由美江!」ゴオッ!ドグシャアアッ!「があっ!」ミシミシミシ!「大逆転です。」
「ウータイが地面にめりこんだ!」「巨大な足に踏みつけられとるように・・やはり、な。」「どういうこと?」
「あれはスタンド攻撃や。」「スタンド?・・」「具象化したパワー。もっと簡単にいうと透明な分身や。」
「そんなものが?」「事例は昔からあっけど、実体が見えんきに超能力として認識されたもんがほとんどなんや。
昨今になって、ようやっと本質がわかってきた能力や。」「どうにかして見えないものかな?」「無いでもないわ。
キルリアンフィルターかましてみよか。」♪ピピピッ。「どや?」「・・あっ、なんか見える!」「どれ!・・
な、なんやあれは!」「・・か、怪獣?」「あ、あれがタナトスのスタンドかや・・まさに巨大怪獣や!」

ギギギギギ!「ぐあああああーっ!」「これで終わりですね。ギブアップしないとつぶれますよ。」「だ、だれが!」
「いい根性です。・・由美江。」ドン!バゴオッ!「がはあっ!」「がんばりますね。」「・・回れ、不倶戴天!」
ギュルルルル!「なに?」「背中の巨大手裏剣が?」「疾風土煙花の術!」ズゴゴゴゴゴッ!・・「なっ?!・・
地中に消えた!」「土遁の術や。」「となると・・どこから?」「・・?!」ばっ!バゴオッ!「生者必滅!」
「させません!」ダッ!がしっ!「なっ?!・・自ら動いた!」「由美江!」ドゴオオオーン!「ぐはあっ!」
ズガガガガーッ!「スタンドは自分の身体を透過させても攻撃できるんですよ。」「く・・ガハッ!」ボタボタッ。
「鮮やかな吐血・・今ので内臓をやられたみたいね。」「そう長くはもたんな・・次で決めな、しまいや。」
「く・・こうなったら!はあああーっ!」ビーン!「ウータイ、ハイパーモード!」「決着ね・・いいでしょう。」
すーっ・・ふうっ。「はぁぁぁ・・」ズズズズ・・「・・なに?」バゴバゴバゴッ!「なっ!」キュババババッ!
「・・ツタ?!」ギャリリリッ!「?!・・由美江を!」「空中の何かに巻きついたわ!」「スタンドを捕縛?!」
ギギギギッ!「くっ!・・引きちぎれない!」「タナトスも動きを止めたわ。」「スタンドとマスターは連携しとる、
スタンドが動けなくなるとマスターもそうなるんや。」「MTSみたいなものか。」「・・命の根源たる大地よ、我に
いくばくかの助力を与えたまえ!」バゴバゴッ、キュバババッ!「ウータイ自身にも巻きついた?・・なんで?」
ズズズズ・・ギュオオオオーッ!「なんや?!・・ツタから何かがウータイに!」「供給・・されてる?!」
キィィィ・・カッ!「風魔坂崎流奥義・森羅万象!おおりゃああああーっ!」ズドゥオオオオーンッ!『あれは!』
「せ・・石破天驚拳!」「いけない!・・由美江、消えて!」ビキビキビキ!「?!・・ツタが邪魔してる!」
ドグオオオオーンッ!「スタンドに直撃!」「きゃあっ!」ウオオオオオーッ!・・「・・断末魔の声や。」
ゴォォォ・・「由美・・江・・がはっ!」ユラッ・・ズズーン!「勝負あり、ウータイガンダム!」「はぁぁぁ・・」

パシュッ。「由美子、大丈夫か。」「・・なんとか。」ムクッ。「思ったよりもやるものだ、対戦相手は。」
「はい。・・まさか由美江を吹き飛ばすほどのエネルギーを放つとは。」「あのツタを介して、大地のマナを
吸い上げていたようだ。」「マナ?・・そんな能力が。」「風魔忍法にそのような術があると聞くが、まさか本当に
使い手がいたとはな。」「・・チーム『影の軍隊』、なかなか楽しいですね。」「ああ、初戦にピッタリの相手だ。」

「お見事でした、ユフィ。」「ちょーっと苦戦したけど、ま、こんなもんだっ・・あれ?」グラッ・・「おっと。」
がしっ。「どしたんだろ?・・急に・・!」ズキッ!「いたたたた!」「今ごろになって全身のダメージの痛みが
反転してきましたね。肋骨数本骨折、内臓も傷ついてます。」「こ、このくらいの傷どうって・・あいたたたた!」
「医療班を呼びましょう。」「ま、待って・・内気功!」キィィィ・・「ほう・・」「・・ふう。少しはラクに
なったわ。」「自己治癒能力を加速させましたか。さすが風魔忍者です。」「任務にケガは付き物だけど、普通の
医者に診せるわけにもいかないからね。」「出血は止まったようですが、肋骨はちゃんと手当てしないと。」
「帰るまではもつって。・・あ、ちょっと!」ひょい。「運んであげます。」「い、いいってヴィンセント!」
「歩くより、このほうが速いですし。」ターン!・・シャシャシャッ!「・・(うわ~、お姫さまだっこだ・・)」

黒薔薇の館。「いい勝負だったわね。」「飛び込みの用事で応援に行けなかったのは残念ね。」「ま、しゃーない。
あたしたちがあそこに立つ日も近いし。」「スタンド能力者って、意外といますのね。」「スタンドもいろいろです。
その人の持つ思念パターンによって、まったく異なる形で具現化するんです。私の場合は仏像ですが、由美子様のは
まさに・・」「なに?私たちには見えないけど。」「・・いえ、言葉ではとても表現しきれない容貌なので。」
「じゃあこれなんか参考にならない?」どん!「・・ケイブンシャ『全怪獣怪人大図鑑』!祐巳さん、どこから?」
「行きつけの古本屋で見つけました。」「ああ、ネオ浅草の『京極堂』ね・・」「あのマニアックな古書店ですか。」
ぱらぱら。「・・あ、これが近いです。」『ん~?』ずずずいっ。「・・クルマニクラス?!」「また濃いのを・・」

ギアナ高地。「ただいまー。」「おかえりなさいませ、アルクエイド様。」「また遅くまで遊んだものですわね。」
「はい、おみやげ。」どさっ。「・・代行者?」「ズタボロですねー。処分します?」「寝かしとけば数時間で
復活するだろうね。・・人間でこれだけ闘えたのは賞賛に値するわ。」「えらく気に入ったようですね、師匠。」
「シュウもドモンも、ここまでやれないわ。・・望みうる最高のライバルと認証しよっかな?」ふっ。「す~。」

君たちに最新情報を公開しよう。
「破壊者」ヴィンセントに対するは謎の男。
「HELL-THING(地獄から来たもの)」を体現したその男、きわめて危険。
だがヴィンセントはまったく動じない。なぜなら彼もまた・・
リングを魔界と化し、恐怖と戦慄のバトルが始まる。
次回、バーニングガンダムファイト激闘編 第十二話
「魑魅魍魎!暗黒の鎮魂歌(レキエム)」へ、バーニング・ガンダムファイト!レディー、ゴー!!
これが勝利のカギだ!(デスペラード)
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