名出屋城「タウン」射撃場。「ターゲット、速度60キロで0.01秒。」シャッ!ドギューン!ビシッ!『ヒット。』
「さらに120キロ。」ピッ。シュッ!ドギュン!ビシッ!『ヒット。』「さすが電光石火の抜き撃ちね。」すっ。
「ユフィ。」「でも的当てじゃ実戦の役には立たないよ。」「わかってます。だからこそ明日はこれを使います。」
チャキッ。「・・デスペナルティ!」「マルローネ製。ハカイダーガンダムにも同仕様の銃を装備してます。」
「・・ヴィンセント、あんた本気ね。」「明日の対戦相手、チーム『HELL-THING』のクロムウェルガンダムは
今までのメンバーから考えてもけっして油断ならぬ相手です。」「けどなんでファイター名が不明なんだろ?」
「名など無意味・・それがわかってるのかもしれません。そう、大事なのは中身です。」チャッ、ドギューン!
バシッ!『ブルズアイ。』「こんなものでしょう。ユフィ、お茶にしましょう。」「近くにいい茶店知ってるよ。」
新宿魔天楼。ザッザッ・・「明日に備えて大物を食っておくか。・・む?」ザッザッ・・「こんな所に?・・」
「・・あ。ごきげんよう。」「その制服・・見覚えがある。」「聖ガブリエル女学園・一号生、『スカイ-ハイ』
可南子と申します。」「チーム『HELL-THING』の者だ。・・ここで何を?」「BGF参戦に向けての自主トレです。」
「ほう・・ここは踏み入って戻った者がおらぬ禁断の地と知って。」「あなたは戻るのでしょう?私もです。」
フッ。「気に入った。ではさっそくお手並み拝見といこうか。」「はい。」くるっ。キュオオオーン!ズシーン!
「たしかこいつはパゴス。ちょっと手に余るか?」「いいえ、ちょうどいいです。」すっ、ジャキジャキーン!
「・・バヨネット?」「シイッ!」シュババババッ!ドガガガガッ!ギュアアアーッ!「ほう、まず両目か。」
「新戦法を試してみます。」くいっ、ドン!「?!・・どこから巨大な杭を四つも。」「結界!」ビュビュッ!
ドカカカカッ!「パゴスを囲んだ?」「デスクロスフォーメーション!」ジャキジャキッ!「杭が十字架に?」
「AMEN!」バシャッ!キュドドドドッ!ドガガガガッ!グギャアアアッ!カッ!バゴバゴバゴオオーン!
ギャアアアアーッ!・・「・・十字架から打ち出された無数の炸裂刃でズタズタか。まさに死の十字砲火。」
「これでファイトで使える確認ができました。」「それはいい。ときに、アンデルセン神父を知ってるか。」
「名前くらいは。」「似たような技を使う。何か関係でも?」「単なる偶然でしょう。」「・・まあいい。
ときにこの死体、もらっていいか?」「?・・どうぞ。」「いただきます。」ドブオッ!ビュルルルルッ!
「なっ?!」グチャグチャ・・「ちょっと刺激が強すぎるか?」「・・いえ、リビングデッド退治に比べれば。」
ビュルルルル。シュゥ・・「ごちそうさま。食べやすく加工されてたので消化も早かろう。しかしいい度胸だ、
今のを見てほとんど動じないとは。どうだ、食後の茶でも?私のおごりだ。」「・・ご相伴にあずかります。」
大戦艦ヴァルハラ。「聖ガブリエル学園、ただの女学校ではなかったか。」「代行者養成所とは・・一般には
お嬢様学校としてしか認識されてませんでした。・・いえ、そういえばインターハイで武術系がやたら強いのが
不思議に思ってましたが。」『真剣で練習しておれば竹刀など麻幹のようなものだ。』「幽音も好っきゃな~。
そもそも神罰代行機関の設立も、あんさんの差し金やないんか?」「さすがレディ、慧眼だね。アッラーに
やられっぱなしじゃ面白くないからね。所詮は寄せ集めの烏合の衆だった十字軍の反省も少しはあったけど。」
「精鋭部隊、いや、聖騎士か。」「目には目を、テロにはテロよ。とはいえ自爆テロは厳重に禁じてるよ。」
「自殺を禁じたカソリックの教えにも合わないよね。」「ところであの子の素性わかる?」「調べてみます。」
カタカタ・・「検索・・ええっ?!」「どうした、ハニー。」「こ・・これは!」『ん?・・おおっ!』
「そうだったのか・・」「こら・・予想外や。」『それで銃剣を・・』「これはなかなか面白くなったね。」
骨董茶房「五月雨亭」。サラサラ・・コーン♪「落ち着く良い店ですね。」「でしょ。仕事の合間にこうやって
リラックスすると、身体もよく動くわ。」「けだし同感です。・・信楽の逸品か。いい仕事をしてます。」
カラカラ。「いらっしゃいませ。」「二人です。」「こちらへどうぞ。」「・・あれ?あの制服ガブ女じゃん。」
「なんですか?」「新橋の超お嬢様高校。男同伴とは穏やかじゃないわね・・」「詮索好きは嫌われますよ。」
「相手はスタイリッシュなあんちゃんか。よくいるナンパ男とは雰囲気がだいぶ違うね?」「やめなさいって。」
「ほう、いい店だ。」「落ち着いた和風で、うちの学校でも人気のある店です。」「もし知り合いとか出くわして、
こういう場面を見られるとまずいのでは?」「関係ありません。」ふっ。「本人がそう思ってるならば何も言わん。」
カラカラ。「いらっしゃいませ。」「三人で・・可南子ちゃん?」「祐巳さま、二号生のお姉さま方、ごきげんよう。」
『ごきげんよう。』「・・って、可南子ちゃんが男同伴?!」「由乃さん、肉親の方かもしれないので早計よ・・」
「ほう、どこかで観た顔だ。・・そうか、婦警の。」「セラスさん?」「チーム『HELL-THING』の者だ。」『ああ・・』
「そういえばリングサイドにいた・・」「可南子さんのお知り合い・・?」「自主トレで偶然に出会った縁です。」
「なるほど、ファイターならありえることだね。」「な~んだ、彼氏じゃなかったの。」「だから早計だって・・」
「婦警と由美子が世話になってるそうだな。礼といってなんだか、ここはおごらせてもらう。」「いえ、世話とか
そういう意識はありませんので」「祐巳さん、ここは素直に。」「由乃さん~。」「うふふっ・・」にこっ。
「ありゃ、ガブ女が増えちったよ。」「だから言ったでしょう。下衆な勘繰りは美しくありません。」「へ~い。
でもあいつ、チーム『HELL-THING」ってゆってたよね。」「はい。明日の対戦相手の方です。」「・・ええっ?!
気づいてたの?」「最初から。資料を見てましたから。」「だったら挨拶くらいしとけば。」「きっかけが無いので。」
ガヤガヤ。「ときに由乃とかいったか。」「はい?」「なかなか面白いな・・その身体はどうしてだ?」はっ!
「・・一目で見破った方は初めてです。」「?・・祐巳さま、何が?」「そっか、一号生はまだ知らないんだっけ。」
「あえて話すこともないので、乃梨子にすら言ってないわ・・」「・・一年前に自爆テロに巻き込まれてからです。」
「よくできてる。法皇庁か?」「いえ、マルローネさんです。」ぴくっ。「なるほど・・さすがの技術力だな。」
「??・・なんのことです?」「可南子ちゃん、こういうことよ。」すっ、ピッ♪チカチカッ。「?!・・目の中に
データが!」「そして。」すっ、シャキン!「・・手の中から針が!」「見ての通り、私は全身サイボーグなの。
生身は脳と身体のごく一部だけ。」「・・とてもそうは見えません。」「だから誰にも気づかれなかったわけだ。
動きにも微塵のぎこちなさも無い。」「でも生身と機械部の相性問題で、たまに具合が悪くなるの・・令ちゃんは
そういうときいつも看てくれた。」「それで令さまと他のどのスールより緊密な関係を築いてらっしゃるんですね。」
「そういうこと。でも・・最近少し過保護ぎみかなと思うようになってきた。正直、うざかったりすることも。」
「スールってのはそういうもんだよ。私でもお姉さまとケンカすることよくあるし。」「言いたいことを言い合える、
それがスールの理想の姿よ・・」「志摩子さんみたく、聖さまとの絶妙な関係もけっこう憧れちゃうけどね。」
「微妙とは?」「与えないし、求めない。つかず離れずでいて、根っこはしっかりつながってる・・そういう形。」
「けど乃梨子ちゃんとは普通のスール関係だよね?」「さあ?どうかしら・・」にこっ。「なかなか興味深いな。」
「そろそろ出ましょうか。」「うん。」ガタガタ。カツカツ・・すっ。「明日を楽しみにしているぞ。」はっ!
「こちらこそ。」・・カツカツ。『ありがとうございましたー。』ガラガラ・・パタン。「娯しめそうだ、な。」
『え?』「今の方、お知り合いで?」「いまはじめて会った。だが、会話はじゅうぶんにした。」『はあ?』
「・・あいつ、気づいてた。」「当然でしょう。無視せず声をかけてきた・・かなり使える相手ですね。」
「どういうこと?」「それだけ余裕があるということです。そして・・一瞥だけで力量を見抜く眼力も。」
「言葉はいらない、一目でじゅうぶん・・か。」「明日の試合、楽しくなりそうです。・・そう、私もまた。」
ギアナ高地。「はあっ、はあっ・・」「シエル、このくらいにしたら?さしものアンタも息上がってるじゃん。」
「い、いえ、これからが本当の修行ですよ・・はあっ!」シャッ!ドン!「・・?!」さっ、バシイイイーン!
「・・うへ~、回避できなくて、腕で防御しちった。今のはいい攻撃よ。」「はあっ!」ブン!「うおっとお!」
バシイッ!グン!「え?・・」「でりゃあああーっ!」ドバアアアアーン!「うっきゃあああ~っ!」ブォン!
ドガドガドガアアアーン!ゴォォォ・・むくっ。「いった~!まさかここまで吹っ飛ばされるとは。シエル、
今のはナイス・・あれ?」「・・・・」「?・・を~い、シエル?」ひらひら。「・・また立ったまま気絶かよ。
城まで運ぶモンの身にもなってみやがれ。よっこいしょ。」ひょい。「・・やっぱケツでかいぶん、重いね。」
アーネンエルベ城。「狂信者はまた立ち往生ですの?」「人間にしては、えらく根性のある代行者ですね。」
「それだけ次の対戦に思い入れが深いのでしょう。」「師弟対決ですからねー。そりゃ気合も入ります。」
ぶつぶつ・・「直弟子をさしおいて師匠を・・師匠も師匠よ、なんであんな狂信者にああまで肩入れするのよ。」
「さつき、それに対する解答はしごく単純です。・・彼女は強く、また純粋だからです。」「シオン師匠・・」
「コハク、例のやつ。」「はいー、これなら地獄に堕ちてても走って戻ってくるでしょうね、シエルさんなら。」
ぱかっ。ぷ~ん。「・・カレー!」ばっ!『まあ、期待を裏切らないこと・・』「はいー。わざわざネオジャパンの
スーパーで買い出してきた、ジャOと印Oをブレンドした、作者ご自慢のカレーですよー。隠し味はカツオフレーク。」
じゃーっ、コトン。「いただきます!」アグアグアグ!「・・カソリックの教えにカレー禁止って無いのかしら?」
「仏教なら『薫酒山門に入るを許さず』とかありますが。」「ナザレの大工の息子は、肉だろうが魚だろうがちゃんと
食べてたけどね。酒だってよく飲んでたし。」「そうそう、お姉さまと私、そしてシオンで取り上げたのでしたわ。」
「・・東方の三博士?」「ゴルゴダの丘で身代わりになったイスキリには感謝しなくては。おかげで本物はマグダラの
マリアと共に日本まで逃がせたのですから。」「・・戸来村?」「そして彼の子孫は法律の制定や政治機構の構築など、
大和の国の礎を築かれました。」「・・厩戸皇子?」「思えばあれが、幽音の壮大な計画の始まりだったのかもね。」
「・・この話題はシエル様の前ではまずいのでは。」「だいじょーぶ、翡翠ちゃん。今は何も聞こえてないって。」
アグアグ!・・「おかわり♪」「はいはーい。」「・・本当に聞いてませんでしたね。心配するだけ損でした。」
カーン財閥日本支社。フッ・・「ん?・・思い出し笑いなんて珍しい。なんかあったんですか?」「例のガブ女の
生徒と偶然にお近づきになって、楽しい時間を過ごせた。」「黒薔薇会の方ですか?」「それもいたが、最初は
それではなかった・・」ちらっ、ニヤッ。「たしか可南子とかいう名前だ。」びくうっ!「おや?・・神父、いま
びっくりしなかったか?」「い、いや・・」ぷいっ。「・・(なるほど、やはりな。これは面白くなりそうだ。)」
「試合はいよいよ明日だ、準備はいいか?」「問題ない。で、マスターは?最終戦までには来ると言ってたが。」
『いま着いたところだ。』はっ。カツカツ・・「インテグラ様?!でも何の連絡も」「私が動くのに、いちいち
報せる義務はなかろう。」すっ、ドン。「送迎の手間も省きたいとのご意向でございましたので。」すっ。
「ウォルター。」「由美子。」「ははっ、熱いティーでございます。」コポコポ。「・・ほう、いい香りだ。」
「最高級茶葉をマスターのお好みに合わせてブレンドしております。」カタン、スゥ~・・「パーフェクトだ。」
「感謝の極み。」「試合は観ていた。・・3敗1分け、まずまずだ。」「申し訳ございません。」「謝る必要は無い。
むしろ一人も欠けずにここまで来たことの方が大きいと解釈すべきだ。」「勝敗はさほど問題ではございません、
大事なのはその内容です。そしてそれは期待以上でございましたな。」「うむ、欣快に堪えん。だが問題は明日だ。
魅せてくれるのだろう?」「むろんのこと。血が滾り、赤黒い炎が灯るような死闘をお見せしよう。」ニイッ。
「さて今日の第三試合、影の軍隊最後の一人、ヴィンセントの登場です。」「ガンファイターちゅーのは珍しいな。
前回大会ではチャップマンくらいやったし。」「時代遅れもはなはだしいという意見もあるけど、飛び道具は決して
あなどれないわ。特にエキスパートが持つとね。」「あのハカイダーガンダム、マントで全身を覆っとるけど
熱がたまらへんか?」「データによると、あのマント自体に放熱機能があるらしいわ。」「さよか。しっかし
ヴィンセントはんて美形やな~。試合やる以前から女性ファンが急増してるそうや。」「あのクールな外見とは
裏腹に、上品な紳士らしいわよ。ファンの子にも優しく対応するって評判よ。」「そーゆーのに限ってファイトでは
凶暴になるんや。ジョルジュはんがいい例や。」「かつては「狂乱の貴公子」ってアダ名があったわね~。」
「ジョルジュはん、ファイトになると性格が一変するからな~。ふだんからワイルドなチボデーはんやドモンはんなんか
よっぽど素直やで。」「所詮、闘いで本質は隠せないってことね。」「そこがファイトのええとこや。素っ裸の人間が
見られるきに。」「一切の虚飾や虚構を剥ぎ取るガンダムファイト・・これこそ真の人の姿。」「今日は詩的やな。」
「さていっぽうのクロムウェルだけど・・あいかわらずデータ不明ね。」「てか、機体はいったいどこにあるんや?
ピットでも見かけんかったが。」「演出かな?飛んでくるとか、地中から現れるとか。」「にしてもや、それでも
ファイト前にはピットに入れとくはずやで。」「あ、そっか。」「やが・・『HELL-THING』の大将格や。あの連中の
実力を考えると、けっして侮れんで。このファイト・・壮絶なものになりそうや。」「まもなく選手入場です。」
ザッ。ヒュオオオ・・「ガンダムがいないようですが。」「見えないのか?ちゃんとここにいる。」「・・なるほど、
納得しました。」「ほう・・また驚かないか。ここは面白いところだ。」「何のことかわかりませんが、誉め言葉と
受け取っておきます。」「では、やろうか。」「はい。」すっ、パチン!「ハカイダー起動。」ギン!ドドドド・・
「クロムウェル、第一式および第二式、解放。」ズズズズ・・ブオオオオオーッ!「なに?」「いきなり砂塵が!」
ゴオオオオ!・・ズシーン!「砂塵の中からガンダムが!」「クロムウェルガンダム・・なんちゅう禍々しさや。」
『バーニング・ガンダムファイト!レディー、ゴー!』「デスペナルティ。」ジャッ!「シャカール。」ジャキッ!
ドンドン!バゴオッ!キィン!「両者、同時に大口径銃を撃った!」「ハカイダーはマントで弾いたけんど、
クロムウェルは胴体に直撃や!」チャッ。「・・なるほど、防弾マントとは想定に入れておくべきだったな。」
「・・そちらもたいして効いてないようですね。」ミリ・・ポロッ、コトン。「・・弾丸が押し戻された?!」
「このくらいではどうということはない。」ぱんぱん。「お互い銃は無駄のようだな。」「ではもはや用無し。」
ぽい、ガシャン!「両者、銃を捨てた?」「・・こちらから行っていいか?」「・・どうぞ。」「どうも。」
ユラッ・・ボオッ!「!」「な、なんて速さ!」「一瞬に間合いを詰めたで!」ドンッ!「くっ!」さっ、
ゴオッ!ボゴオオオーン!「突きの余波だけで後方の地面が爆発した!」「・・今の、ごく普通の突きやったが。」
「よくぞこの間合いで避けきった。」「いえ、マントのせいで遅れるところでした。除装。」ピッ、バサアッ!
「マントを外した?・・あっ!」「これは・・バリバリの格闘戦仕様のガンダムや!これが本性か。」スッ。
「・・あの構えは?まさか!」「紅蘭、知ってる?」「・・載拳道。」ぎょっ!「なんですって!・・あの!」
「ほう、珍しい流派を。これは面白い。」「・・」トントン・・ヒュッ、「むっ?」スパアアアーン!「な・・」
「はあっ!」シャッ、ドコオオオーン!「ぐっ!」ザザザーッ!「は、疾い!側頭部への上段蹴りと胴部への
中段横蹴り、どちらも見えなかった!」「あれや、あれが載拳道の蹴りや・・最初の回し蹴りは極端に小さい半径で
回し、到達時間が短い。同様に二段めの横蹴りもステップ・インしながら出すことで時間短縮しとる。あれやと
初動作からでは対応が遅れ、直撃をくらうしかないんや。」「まるで居合い斬りね。」「そや、まさしく居合いや。
普通の蹴りに比べ、相手が対応できんうちに打ち込まれ、さらに腰を入れることで威力は数倍になるんや。」
「・・ふう、なるほど。見てからではどうしても対応が遅れる。ならば。」ユラ・・ドン!「クロムウェル突撃!」
「間合いをこちらで支配し攻撃あるのみ。」ボッ!「むっ。」シャッ、ガキィンッ!「ニーガードが弾かれた!」
ズドオッ!「直撃!・・いえ!」「・・やるな。」シュゥゥゥ・・「・・パンチが腋の下に?かわしたんや!」
がしっ。「はっ!」ドン!「腕をつかんでのヒザ蹴り、回避不能よ!」「・・そうかな?」グン!「なっ?」
「ほれ。」ブオオッ!ズダダダーン!「くっ!」『バカな!』「片腕だけで軽く放り投げた・・なんてパワー!」
「さあ立ってくれ。こんな程度で終わるわけでもあるまい?」「・・そうですね。」ググッ・・ザン!「ならば私も
本気を入れるとしましょう。・・!」フッ・・「む?」ドゴオオオーン!「・・ぐふっ!」「ティーゲル・エルボー。」
「ヒジ打ち?!」「・・間合いを詰める動きが見えんかった!」「・・疾い。」がしっ!グン!「ヘル・ハンマー。」
ズドオオオーン!「首投げ!しかも脳天逆落とし!」「載拳道の殺人技・・やが。」ムクッ。「いいぞいいぞ。さあ、
もっと娯しませてくれ。」「やっぱな、まるで効いとらん。」「まさにHELL-THING。どうやったら倒せるの?・・」
「あなたのような存在は初めてではありません、いえ、よくいます。」「ほう、それは面白いな。・・どこだ?」
「ご存知のはず・・昨日行ったばかりです。」「ああ、あそこか。」「あそこはほとんど安全地帯です。もっと奥の
人跡未踏の地・・そこに棲むものども。」「いいことを聞いた。今度はさらに奥まで行ってみよう。」「そして
そういう不死身のものどもを制するには。」すっ、ヴン!「?・・なんだ?」ググッ・・「身体が・・動かぬ。」
「クロムウェルの動きが変よ。」「・・あやつ、もしやあの手を。」「何を・・した。」「これが対処法です。」
ヒュィィ・・ドン!「魔奥義・デスペラード。」「むうっ!」ビュオッ!シュパアアアアーン!・・ゴロゴロッ。
「首が!・・」「手刀で首狩り・・あやつはゴッドハンドか。」「終わりました。」『・・ふははははは!』
コロコロ・・『手刀に霊気をまとわせ妖刀と化すとはな。』「そんな・・バカな?!」「落とされた頭が!」
「別に驚くことではありません。首が落ちたのはガンダム、ファイターは実質上無傷です。」『あ・・そうか。』
『まあ、そういうことにしておこうか。レフェリー、裁定を。』「うむ。勝負あり、ハカイダーガンダム!」さっ。
ガキンガキン。ひょい。『楽しかったぞ。』「こちらこそ。・・切断面が死角でよかったですね。」『ふふふ・・
知れたらどうなるかも興味あったが。』「よしてください、せっかくのファイトが台無しになってしまいます。」
『そうだな。では、またいずれ。』「はい。」くるっ、ガキンガキン・・「人前でくっつけないほうがいいですよ。」
ロイヤルボックス。パチパチパチ。「見事な試合だったぞ。」「・・ハカイダーガンダムがあれほどの強さとは。」
「世界は広い、ということでございますな。」「そのとおりだ。むしろここまで使えるのは大成功に等しい。
『HELL-THING』細胞は完全に制御できる。その点においてDG細胞を凌駕したことは重要だ。」「感謝の極み。」
「だが疑念は残る。あやつは暴走せぬのか?」「定義問題だな、神父。貴殿もある程度の暴走は受容してるのだろう?」
「む・・」「あたしはしたくないし、しないつもりですけど~。」「いいえ、いちばん危ないのはセラスです。」
「由美子?」「常時発散させてるお二方とちがい、セラスは溜めるタイプです。そのぶん爆発したときのギャップは
想像もつきません。」「信用ないな~。」「ある意味、見てみたいかもしれませんな。」「けっこう面白そうだな。
ではBGFでの暴走を期待しよう、ふはははは!」「マスタ~。」「楽しそうだな。」ぬうっ。『おつかれ~。』
「首は繋がったか。」「瞬接より早かったぞ。」ぺしぺし。「まあ飲め。健闘を祝そう。」「グラスでございます。」
「ウォルターも持て。では諸君。」ザッ。「初戦の健闘と、これからの善戦を祈って。」「乾杯。」♪チーン。
タウン本部。『で、どうだ?』「気づかれた方もいるかもしれませんが、あれはただのガンダムではありません。」
「どういうこと?」「気づきませんでした?ファイト終了後もコクピットから出なかったことを。」『・・ああ。』
「たしかに変だ、終了後のサルートはファイターの基本マナーのはず。」「それをしなかった・・なぜ?」
『答えは単純だ。ファイターがコクピットにいなかったからだろ。』「そのとおりです。」「ちょっと待って。
クロムウェルは無人機ってこと?」「いいえ、れっきとした有人機ですよ。いえ・・人力機というべきでしょう。」
『人力機?』「・・まさか!」はっ!「そんなことが!」『いや、ありえる話だ。』「??・・わかんなーい!」
ピッピッ♪ぱっ。「これを見れば一目瞭然ですよ。」「なに?・・クロムウェルガンダムの首?・・なあっ!」
ぎょっ!「な・・なにこれ!」「見てのとおり、切断面はさながら生首。そう、クロムウェルガンダムそのものが
生き物なのです。」『おそらくはあのファイターが変異したものだろう。』「これが・・新型DG細胞の力か。」
「なんて恐ろしいものを・・」「バケモノだよ、あの連中・・」「すばらしい対戦相手だったと感謝すべきでしょう。」
『そうだ。我らの敵の実力の一端を垣間見れたのは何よりの収穫だ。』「そういえば隊長の対戦カードは今回では
組めませんでしたね。」『なに、BGFにまだまだファイターはいる。そしてもうカードは決定している。』「だれ?」
ピッピッ♪ぱっ。『これは!』「・・東方不敗・マスターアジア!」『ふふふふ・・とても楽しみだ、この戦い。』
君たちに最新情報を公開しよう。
影の軍隊、総帥ビッグシャドウ登場。対戦相手はなんとマスターアジア!
ゲルマン忍法を使う謎の覆面ファイターの正体は?
最高の相手を前に、東方不敗の血がふたたび沸き立つ!
一方、BGF運営委員会に新たな動きが。ナディアの画策する『デスティニー計画』とは?
新たな参戦者たちを迎え、ますます盛り上がるBGF。
次回、バーニングガンダムファイト激闘編 第十三話
「因縁の対決!よみがえる黒き兄弟」へ、バーニング・ガンダムファイト!レディー、ゴー!!
これが勝利のカギだ!(ダークネス・ブリンガー)
第十三話「因縁の対決!よみがえる黒き兄弟」
名出屋城・重役共同オフィス。「・・というわけで、BGF始まって以来の最低視聴率を記録したわ。」『ふむ~。』
「開幕当初の物珍しさがなくなって、さすがにマンネリ化してきたかもね。」「そろそろテコ入れが必要じゃない。」
「考えられるのは、よりエンターテイメント性を高めることだけど・・」「具体的にどうすりゃいいのかね。」
「あるわ。」『ナディア?』「こんなこともあろうかと、こういうものを考えてきたの。」ばさっ。「・・企画書?」
「名づけてBGF強化プラン『デスティニー計画』。」『どれどれ。』ぱらり。「・・へえ、イメージソングか。」
「歌手を起用してテーマソングならびにイメージソングを歌わせるか。」「よくある手段ではあるけど、これだけじゃ
企画としては弱いわ。」「けだし同感ね。続きを読んで。」『ん~?・・ええっ?!』「これ・・可能なの?」
「もう目星はつけてるわ。」「もし適した人材がいれば・・面白そうね。」「けどなまなかな腕じゃ、かえって
逆効果になるよ。そのへんは?」「これが候補者よ。」ばさっ。『・・ほう。』「こんな人材が芸能界にいたのね。」
「うん、これなら安心だね。」「どうかしら?」「反論は?・・いいでしょう、『デスティニー計画』承認します。
さっそく候補者への折衝にかかって。」「了解しました。(・・なんてね♪実はもうプロジェクト始めてるんだな。)」
浜松町、芸能プロ「エターナル(有)」事務所。とはいえ、雑居ビルのひと部屋である。トントントン・・コトコト・・
「しゃちょー、お昼は昨日の持ち帰りロケ弁を再調理したものです。」コトコトン。「おっ、いつもすまんの~。」
「それは言わない約束ですよ。」『いただきます。』もぐもぐ・・「来週のスケ帳、いまだに真っ白ですね。」
「先週のクイズ番組で勝ちすぎたんが悪かったかいな。賞金せしめたが、すっかりブラックリストに入ってもた。」
「アイドルはボケろという演出シカトして、マジで取りにいったものね。」「あの賞金無いと、不渡りやったしな。
ま、しゃーない。クイズ系はしばらく自粛しよ。」「歌番少ないんですから、バラのレギュの一つでも欲しいですね。」
「そやな、格付けモンでも打診してみよか。」「あ、あれはレギュラー陣の防壁カタいから難しいそうですが。」
♪ピロロロ。「おっと、・・まいどおおきに『エターナル』でやんす。・・ミス・ナディア?!」「えっ?!」
「へえ!へえ!・・わかりやした、さっそく!」♪ピッ。「・・いよっしゃあっ!」「しゃちょー・・もしや!」
「ゴーサインや!例の計画、上層部で承認されたて!」「ほな、あの計画ついにやるんやね!」「おっとっと、
地元の訛りが戻っとるで。」「あ、すんまへん。・・っと、興奮するとついつい出ちゃうんだな。」「バラドルなら
それでもええが、本業のアイドルでは押さえといてや。」「はーい。」「これからネオジャパンTVで会議や。」
ネオジャパンTV。『アイドル歌手が参戦?』「そうよ。歌って踊れて闘える、アイドルファイターを立ち上げるわ。」
「あやめプロデューサー、意図するとこはわからんでもないでっけど、そないな三拍子そろった都合のええアイドル
なんかおったっけ?」「えーと・・聞いたことないわね。芸能関係に詳しいアイリス、知ってる?」「いいえ。
だいたい格闘経験のあるアイドルなんているわけないじゃん。」「いえ、そうとも限らないわ。」「マリアさん?」
「たとえば在日中国三世のメイリンは、太極拳の師範認定を持ってる。」「あー、いま売り出してるあの。だったら
それじゃないのかい?」「いいえ。・・実はもう一人、隠れた逸材がいたのよ。名はミーア。」『・・だれ?』
「ミーア・・あっ、先週のミOオネアで一千万円とったタレントがたしか。」『ああ~。』「ボケろという演出を
無視してバンバン正解して、その局で出入禁止くらったとか。」「へえ、アイドルにしちゃ骨のあるヤツだね。」
「まあ所属があの『エターナル』だから、そのくらい屁とも思ってないでしょうね。なにせあの『芸能の虎』の
事務所だもの。」ぎょっ!『バルドフェルドさん?!』「あっちゃ~!あのおっさん、やっぱ元気やったんか。」
「大手を依願退職してから、しばらく見なかったよね。」「ウワサでは理想のアイドルを育てるためだとも言われて
たけど、ここで出てきたか・・となると、そのミーアが虎の子ね。」「それにもうひとつ。この計画の真の黒幕は
ナディア会長よ。」はっ。「なるほど・・いかにバルドの旦那のコネでも、そうそう資金は調達できないだろうと
思ってはいたが、そんな大物がスポンサーならば。」「てなわけで、うちは彼女を全面バックアップせよとの
最高指令よ。」『了解しました。』「30分後に社長と当人が来るわ。そこでキャンペーン計画の打ち合わせよ。」
大手プロ。「ミーア、F局から干されたそうね。」「演出をシカトしたんだから当然の措置だな。それにしても
仕込み無しで全問正解とは。」「えっ?!ガチンコだったの、あれ!」「頭は本当にいいらしい。ベテラン司会者も
その実力と度胸に感服してた。」「けど干されちゃ結局ダメじゃん。」「局はひとつじゃないさ。」むっ。
「アスラン、妙にミーアの肩もつね。」「僕もプロだ、人の目利きは基本さ。バルドフェルド社長が惚れ込むだけの
ことはある。歌唱力・ダンス技術・トークも一級品だ。メイリンも人気にあぐらをかいてると追い抜かれるぞ。」
「わ、わかってるわよそんなこと。」『それでは次のニュースです。新人アイドル歌手のミーアさんが、BGFへの
参戦を発表しました。』ぎょっ!「なっ?!」「そんな?!」『またミーアさんはBGFキー局の協賛により、BGF
イメージソング専属歌手となります。』「なに・・これ!」「・・その手があったか。さすがは『芸能の虎』、
目のつけどころがいい。」「どういうこと?」「BGFは全世界放送だ。ミーアの名はこれで世界中に広まる。」
「・・あっ!」「さらにネオジャパンTVをも巻き込むとは恐るべき手腕だ。」「くっ!・・わたしも参戦する!」
「バカをいうな。スケジュールは来月までびっしり詰まってる。それにメイリンの太極拳の腕では一次審査で
門前払いを食らうのがオチだ。」「・・スケジュールの合間にジム入れて。」「いいが・・どうするつもりだ?」
「鍛え直す。ここ数年のブランクを埋め、なおかつBGFでじゅうぶん闘えるように。」「・・わかった、二ヶ月だ。
二ヶ月で一次審査を通らなければ、あきらめてくれ。」「その必要ないわ。・・必ず通って、ミーアに追いつく。」
ふたたび名出屋城。「ふふっ、アイドルファイターとは考えたのう。」「東方先生は不本意かとお察ししますが、
これもBGFのさらなる隆盛の為と。」「実力があればそれ以上は何も言わん。してそのミーアとやらの流派は?」
「出雲流・舞闘術。」ぴく。「ほう・・あの古代闘技を。それは面白い。よかろう、ワシは認可しよう。」
「ありがとうございます。東方先生のお墨付きがいただければ安心。」「ときに、明日の対戦相手じゃが。」
「チーム『影の軍隊』総帥・ビッグシャドウですか?」「ふはははは!・・おぬしのことじゃろ、のう?」ちらっ。
【やはりバレましたな。』ボオッ。「聞こう。なにゆえワシとの対戦を望む?」『あなたと同じ理由ですよ。・・
私も確かめたい、自分自身を。それには最強の相手が必要。』「ドモンではいかぬしのう。まあ、よかろう。
正直なところ、ワシもおぬしと、まともに立ち合ってみたかった。」『前回はアレでしたからな。今回こそは。』
「何も迷うことはない。ぬしの忍法、たっぷり味あわせてもらおう。」『ふふふ・・もとより倒すつもりで。』
「で、このファイトである実験をしてみたいと思うのですが。」「実験とな?」「お二人だからこそ頼めるのです。
名づけて『デスティニー計画』。」『ということは、アレか。』「説明してもらおう。内容によってはいかに
ナディア殿の頼みといえども聞けぬこともあるでな。」「当然です。・・まずはこれをご覧ください。」ぱっ。
【♪バーニング! バーニング! ガンダムファイト! 燃えよ魂 バーニング・ガンダムファイト!】
「ほう、これが。」「はい、先ほどお話したBGF専属歌手、ミーアです。」『なるほど、なかなかのルックスだ。』
「・・いや、それだけではない。この娘、かなりやるな。」「さすが東方先生、すぐに見抜かれましたか。」
「体の切れ、歩法の確かさ、節々の決めの緩急、いずれも達人の域。若くしてかなりの功夫を積んだと見る。」
『たしかにプロファイターでもこれほど動けるものは少ないだろう。』「ナディア殿、よくぞこのような逸材を。」
「いいえ、私の意を汲んで捜し出してくれたその道のプロのおかげです。」「ほう、それは?」「どうぞ。」
シャッ。「わいですねん。」ぎょっ!「お、おぬしは!」「おひさしゅう、東方のダンナ。」「あら、お知り合い?」
「キサマ足を洗ったと思えば、こんなことをしとったか。」「あれからもう10年や、わいももうロートル」シャッ!
バシイイイーン!『おおっ!』「ロートルが聞いて呆れるわ。反応速度は昔のままではないか。」「へへっ。」
『そういえば思い出した。かつてネオジャパンに二人の雄あり。東の「キング・オブ・ハート」シュウジ・クロス。
西の「浪花の猛虎」バルドフェルド。いずれもほぼ同等の腕で、事あるごとに拳を交わし、ときには共闘して
巨悪を打ち砕いた・・傾いでいた通天閣を二人して引っこ抜き、ぶん回したとも。』「あとでちゃんとまっすぐに
戻しておいたわい。」「商工会にお礼とかで、たこ焼き食べ放題させてもろたな~。」「実話なのね・・(^^;」
「なるほど、ぬしの目利きなら納得じゃ。さすがは浪花の虎。」「んで、こっちが実物や。ミーア、出番やで~。」
『はーい。』ひょい。「はじめまして東方先生。芸名ミーア、本名はないしょ♪、と申します。」「うわはははは!
うむうむ、さすがバルドの仕込み、漫才スキルもちゃんと持っておるのう。」「バラエティには必須ですから。」
『ふむ、新人らしからぬ神経と心臓だな。』「こやつも関西の血やきん。どっちかゆーと芸人向きかもしれひん。」
「というわけで、明日の試合で隅っこをお借りします。どうぞシカトしてファイトに集中してくださいね。」
「うむ、よかろう!お手並み拝見といこう。」『マスターに同意だ。思う存分やってみよ。』「どうも~♪」
黒薔薇の館。「♪一万人と二千人相手に闘える~。」フンフン♪「祐巳、何を聞いてるの?」「あ、お姉さま。
いまヒット中のBGFイメージソング『拳聖のバーニング・ガンダム』です。」「ああ、あの新人アイドルの歌う。」
「聞いた話では、MPEG発売と同時に数万件のアクセスがあったそうね。」「配信PVもカッコいいんですよー。」
「あ、それ買ってケータイに入れてるわ。」「由乃ちゃん、見せて。」「いいですよ。プロジェクター・アイ。」
ぴかっ。ぱっ。【♪強き闘士と競う喜び 勝敗の果てに手に入れたかけがえない絆 握り締めた掌の中に・・】
『おお~。』「すごいダンスね。キレがいいわ。」「まるで格闘技だね。」「実際、かなり鍛えてるようですね。
ちゃんと歌いながらあれだけの動きをするのは、相当な基礎能力と訓練がいるわ。」「さすが静、専門家だね。」
「あ、そういえばこのミーアってアイドル、BGFに参戦するそうですよ。」『ええっ!』「ということは・・私たちも
リングで出会える可能性があるんだ!」「そしたらサインもらって、握手して・・」「由乃もミーハーだね。」
「それはともかく、今日はガンダムが納品される日よ。予定ではそろそろ運んでくる時間だけど・・」「まいどー。」
バタン。『マルローネさん?』「ガンダム11体、出前にきました。」「ご苦労さまです・・って、キャリアーとか
来てる気配ありませんけど?」「んなもん使いませんて。はいこれ。」コトコトン。『・・MIA?』「じゃなくて。
みなさん自分の機体を持って、外へ出てください。」『??』ガヤガヤ。「みんな持ったわね?じゃ、外へ。」
館の前。「では説明します。それぞれのガンダムを10m間隔で地面に置いてください。」「瞳子ちゃん、巻尺を。」
カラカラ。「10m・・っと。」コトン。「置きましたね?まだ持ってるとえらいことになりますよ。」『オッケー!』
「いきますよ・・」ぱん!「練成!」バン!キュピィン!「地面に魔方陣が?!」シュババババッ!「模型に光が?」
キィン!ギュイイイイーン!『うわわわわっ!』「はいおしまい。」すっ。「・・ガンダムがでっかくなっちゃった!」
「じゃなくて、本来の大きさに戻しただけです。まあアーカイブを解凍したと思ってもらえれば。」ぱんぱん。
「・・さすが『地獄の錬金術士』。」「わ~、本物のガンダムって、でか・・」「では領収書にサインを。」サラサラ。
「まいどあり。緊急修理や追加改造の際は、またご贔屓に。・・ん?」『あ~!』タタタタ・・「もう納品されてる!」
「校門で待ってて出遅れましたね。」「ガンダムがにょきって生えたからビックリして戻ってみれば。」「あれ?・・
あの方はもしや、マルローネさま!」「もしやも何も、そうだけど?」『うわ~!』タタタタ!「ああ・・本物だわ!」
「技術界の生ける伝説、いえ、神さま!」「・・すごい指。どんな精密機器よりも美しい、これが神の指ね!」
「ありがたや、ありがたや~!」「えーと・・あんたたち、だれ?」「あ、申し遅れました。わたくしたちは技術科選抜
ガンダム整備チームです。」「この11体の修理・整備を担当いたします。」「ふ~ん・・みんな指見せて。」『はい!』
じーっ・・「・・なにしてるの?」「同級の蔦子さんに聞いたことがあります。技術屋は指を見れば、その腕前から
性格まで一目でわかるそうです。」「へえ~、そうなんだ。」「ウワサどおり、技術科は特異な世界なのね。」
「まあまあね・・ん?!」ばっ!「え?」「この指・・あなたは?」「技術科長『神の手』三奈子と申します。」
「いい指だわ。こんな美しい指はめったにない。・・でも、繊細すぎてシュミに走る悪いクセもあるわね。」「う。」
「三奈子のハマり癖までわかるの?」「けどこちらの子の指は、きわめて堅実。・・あなたたち、スールね。」
『は、はい!』「だろうと思った。あなたたちの指は、二つ合わせることで最大限の能力を発揮できる。となれば
スールになるのは必然、いえ、運命よ。」「・・まさに神さま!」「やはりすごいお方です!」「うん、あなた達なら
ガンダムを任せられるわ。あたしが保証する。」『感謝の極み!』「もしわからないことや知りたいことがあったら、
遠慮なくお店を訪ねて。できるかぎり教えてあげるわ。」『ありがとうございます!』「ほんじゃ、まったねー。」
ブロロロ・・(スクーター)「・・うまく整備チームの出番を残したね。」「ダブルG真の主役というのはホントね。」
「では皆さん、これより初期補正を始めます。各自ガンダムに搭乗して、MTSを起動してください。」『はーい。』
「注意事項ですが、MTSはかなりの圧力がかかるので、初回はきつく感じるのを覚悟してください。では起動!」
ギュイイイーン。『くううーっ!』『いやああああーっ!』『ああああーっ!』「おーおー、吠えとるほえとる。」
「声だけ聞くと18禁ですね・・全システム順調。」カタカタ。「蔦子さん、桂さん。パラメータ補正を始めて。」
「おっけー!」「よっと。失礼します、蓉子さま。」「これ・・きついわ。」「最初はみんなそうだそうです。
経験積めば自然に体力がついて、気にならなくなるそうです。」「強制ダイエットにもなるわね・・始めましょう。」
カタカタ・・「由乃さんはさすがに負担に感じないのね。」「そりゃあ、この身体だもの。なんともないない。」
「失礼し・・?!」「よろしく、三奈子。」「え、ええ・・(静さん・・なんて美しいプロポーションなの・・)」
「ああ・・」ぎょっ!「祥子さま、だいじょうぶですか?!」「・・いい、この緊縛感・・」「・・はい?(^^;」
「いっとーにーとーさんとー。」「・・祐巳さん、なにしてんの?」「スーツをなじませる律動体操。」ぶんぶん。
「・・。」ひょい、ぎょっ!「乃梨子ちゃん・・座禅?」「チャクラを展開してガンダムと一体化の最中です・・」
「志摩子さん、失礼し・・まっ?!」「真美さん、何か・・?」キラキラ・・「この輝きは?」「ああ・・霊力が
MTSで励起されて、コクピット内全体が光ってるの・・」「すごい・・これが志摩子さんの潜在霊力なのね。」
カアカア・・「はい、これで全て調整おしまいです。皆様ご苦労さまでした。」『おつかれさま~・・』ぐで~。
「疲れた・・」「全身と精神にストレスかかりっぱなし。ガンダムってこんなに疲れるのね・・」「かえって力を
抜いたほうがいいみたいですよ。」「さすが令はほとんど負担かからなかったようですね。」「静こそ。」
「れ、令ちゃん、そこでいちゃいちゃしな・・あいたたた。」「ほらほら、生身の脳が熱出してるんだから。」
「ふう・・」「お姉さま、はい、濡れタオルです。」「ありがと・・祐巳はどうしてそんなに元気なの?」
「身体だけは頑丈にできてますから。頭もあんまり使ってないし。」「頭痛起こすほど繊細な頭持ってないよね?」
がばっ!「ぎゃうっ!・・聖さま、またー!」「う~ん、このつるぺたボディーラインがなんともそそるね♪」
「聖さま・・だからおやめになってくださいと!」ビキビキ・・ばりいっ!「わっ、タオルをひきちぎった!」
「まずい!お姉さまが怒りのハイパーモードに!」「百人一首!」シュパパパッ!「おっとっと。」ドカカカッ!
「ひ、ひえ~。なんでわたしまで・・(ギリギリかわした)」「今日こそ引導を渡してくれますわ!」「逃げる。」
しゅたたた。「逃がしませんわよ!」どたばた!「聖も元気ね・・」「やっぱ大柄な分、負担少ないのかな?」
「可南子もあんまり疲れてないみたいね。」「丈夫に生まれたのと、日ごろの鍛錬のおかげ・・」「うんうん、
それはひとめでわかりますわ。」むっ。「瞳子・・!」「誉めたつもりですけど?」「そうは聞こえないの。」
バチバチ!「あったくも~、この二人はいつもこうなんだから。」「間に立つ乃梨子もタイヘンね・・」くすっ。
ガンダム長屋近く。「さて、明日に備えてドモンといっちょう・・む?」ツカツカ・・すっ。「待たれよ。」
ぴたっ。「・・何か?」ユラ・・ちらっ。「身に纏うその気・・尋常なものではないな。ぬしはたしか
シスター・シエル。何があった?」「・・マスターがお気になさるようなことではありません。」「いいや。
ワシの目が曇っておらずば、今の貴殿は怒りと哀しみに囚われておる。そう・・かつてのワシやドモンのように。」
はっ。「・・かもしれません。」「それゆえに見逃すわけにはいかぬ。・・一手所望いたす。」「・・そこまで
見抜かれているならば、断るわけにもいきませんね。いいでしょう。」「感謝する。ではその辺で。」ザッ。
近くの廃墟。ザッ。「得物は使ってもよいぞ。」「いえ、思うところがありますので無手で。」「左様か。では。」
ザッ。ヒュゥゥゥ・・「・・(むう・・打ち込めぬ。)」「・・(さすがマスター。・・でも。)」じりっ。
シャッ!「はあっ!」「はいっ!」バシイイイーン!『くっ!』ばばっ!「・・やるのう。」ジィーン・・
「これがキング・オブ・ハートの蹴り・・」ズキズキ・・「たたたたーっ!」ババババッ!「はいはいはいっ!」
ドドドドドッ!バシバシバシーン!『はあっ!』ガシイイイーン!バリバリバリ!「やるのう!だが踏み込みが
いま四半歩あれば、よりよくなろう。こんなふうに!」ドンッ!グン!「くっ!・・」「さあ、打ってみせい!」
「はあっ!」ドンッ!バゴオッ!「あ!・・」「・・そうじゃ、その踏み込みじゃ。それを忘れるでないぞ。」
「す、すみません、まともに!」ばっ!「気功をもってすればさしたるダメージは無い。どうじゃ、今の感触は。」
「なんというか・・何も考えてませんでした。」「じゃろう。・・それが明鏡止水の境地ぞ。」「明鏡止水・・」
「昨今はハイパーモードを使いこなすファイターはままあるが、ワシに言わせればほとんどは紛い物じゃ。
真のハイパーモードはあの程度のものではない。生死すら眼中に無い・・そう、天地自然と一体化し、己すら
自覚せぬほどのな。」「難しいですね。」「いいや、何も難しいことではない。大事なのはバカになることじゃ。」
「バカ・・ですか?」「いい例がドモンじゃ。あやつはファイト以外何も考えられぬバカじゃ。」「たしかに・・」
「かつてデビルガンダムに遭遇し完敗したとき、ほとんどのシャッフルが恐怖におびえておったが、あやつは
己が未熟を悟って修行に入りおった。」「闘うことしか頭になかったわけですか。」「それでも明鏡止水に到達する
までは、いろいろあったがのう。まあ手のかかるバカ弟子じゃった。」「バカほど可愛いともいいますね。」
「うはははは!たしかにの。・・じゃが貴殿はそれほど手はかかるまい。」「さあ・・どうでしょうか。」ふっ。
「最後にひとつだけアドバイスさせてくれ。・・ファイトを楽しめ。」「・・楽しむ?」「以上じゃ、手をとらせた。
じゃ。」シュン・・「あ・・師父とのファイトを楽しめと。・・?!」はっ。「そうか・・同じ感情にとらわれるなら、
喜怒哀楽のうち、喜と楽を取れ・・怒と哀は技を曇らせる。そういえばアルクエイドは闘いが激しいほど、楽しそう
でした・・あれが明鏡止水の境地ですか。」ザッ。「少しわかってきたような気がします。・・感謝いたします。」
ガンダム長屋。・・ぴくっ。「戻ったか。」ガラガラ。「ただいま、お父様。」「お帰り。」ドサドサッ。
「お風呂をいただきます。」「うむ。」トントン・・カラカラ。バタン。ザーッ・・「・・やれやれ。」すっ。
トントン・・ぴたっ。「シエル。」『は、ははははい!』バシャアッ!「湯船で寝ると土座衛門になるぞ。」
カラカラ。「ふう・・。」トントン。「メシは?」「表で食べてきました。今日はもう寝ます。」「そうか。」
スーッ、パタン。バサバサ・・『す~・・』・・聞かずとも、話さずとも、全てわかっている父娘であった。
次の日、黒薔薇の館。バタン。「ごきげんよ・・あれ?」「ごきげんよう、祐巳ちゃん。」『ごきげんよう。』
「えっと・・聖さま、静さまと一号生だけ?」「他は筋肉痛と知恵熱でダウン。令は由乃の看病だって。」
「はあ・・お見舞いに行ったほうがいいのかな?」「かえって気をつかわせるだけだから、いいんじゃない?」
「可南子によると、MTS初体験時によくある症状だそうです。一日で治るとも。」「個人差はありますけど。」
「でもなんでここにいる皆さんは平気だったのでしょう?聖さまと可南子さんはなんとなく納得できますけど、
乃梨子さんと祐巳さまは、失礼ですが、意外でしたわ。」「乃梨子ちゃんのガンダムはほとんど無可動で、精神は
普段の修行で鍛えてるようだから、わからなくもないけど・・」「たしかに祐巳さまだけはわからないです。
ティーをどうぞ。」コトン。「あ、ありがとう。ん~・・自分でもよくわからなかったり。」カタン、すぅ~。
「祐巳ちゃんはあのくらいであちこち痛くなるような、繊細な心身なんか持ってないってことだよ。」ブーッ!
「ゲホゲホ!・・せ、聖さま、それじゃ私ってバカで鈍感だってことじゃないですか。」「あれ、違ったっけ?」
「・・それけっこう当たってるかもね。」「静さままで~。」「まあ聞いて。西洋のコトワザにこういうのがあるの。
『愚者と幼児だけが真実を語る』。」「その二つの共通点は、一切の邪心を持たないということですね。」
「というよりエゴだね。物事を有り様のまま受け入れ、私心をはさまない・・中世ヨーロッパでも名王は側近に
愚者を置き、その偽らざる発言を尊重したものだよ。」「ということは祐巳さまは・・道化?」「え~!」
「あ、いいねー、その困り顔。そういうナマの感情表現ができる人材って、ホントに貴重なんだよ。」
「うんうん、よくわかります。ならばこそ祐巳さまは上級生にも下級生にも人気あるんですよ。」「そうなの?」
「ご自覚なさってないのがまた祐巳さまらしいです。」「まあ、こういうのは意識しだしたらおしまいですけど、
コンプレックスの強い祐巳さまなら、その点は心配ありませんわ。」「う~ん・・なんか実感わかないな~。」
「そういう祐巳ちゃんだからこそ、こうやって遊べるわけ♪」がばっ!「ぎゃうっ!だからやめてくださいって!」
「今日は口うるさい蓉子も祥子もお休みだから、思うぞんぶん遊べ」ヒュッ、カツーン!ビリビリ・・『・・え?』
「聖さま・・お戯れが過ぎます。」『可南子?』「へえ・・四号生に横槍入れる一号生はとても貴重ね。」
「こういう場合、学年は関係ありません。」「うーん。その度胸、気に入った!ちょっと遊んでくんない?」
「よろしいですとも・・」はっ!「可南子、まさか!」「いくらなんでも無謀ですわ!」「ほんじゃ、外へ。」
ザッ。「ひさびさに骨のある一号生がいて嬉しいねえ。」ぽきぽき。「よろしくご教授ねがいます。」すっ、ジャキッ!
「バヨネット?!可南子、あんた本気で!」「四号生は手加減できる相手じゃないわ。・・全力で征くが礼儀。」
「そのとおり。もちろんこっちも手加減なし。」パリッ、パリパリ・・「ゲッ!・・聖さまの手に放電が!」
「本気だ・・静さま、二人を止めてください。」「・・いえ、やらせてみましょう。」『え?』「だいじょうぶ。
聖さまあれでも加減は心得てるから、可南子ちゃんが変に手を抜かないかぎり、万が一の事態にはならないわ。」
「シャアッ!」ヒュバババッ!「雷破!」ピシャアアアーン!パリパリパリーン!「す・・すごい!」「バヨネットを
雷撃で粉砕した!」「・・やはり簡単にはいかないか。」「伊達に『バベルの雷』の二つ名は持ってないって。」
「四号生のうちでも黒薔薇会三幹部はいずれも恐るべき特殊能力を持つわ。聖さまは生体電流を自在に制御できる
人間発電所、いえ、原発ね。通称『ロサ・ギガンティア』。」「本来の意味よりも、言葉の響き優先ですのね・・」
「こっちの攻撃ターンだね。雷雨!」ピシャアアアーン!「はっ!」タタタン!ズガガガガーッ!「しゅ、集中落雷!」
「まるでキングギドラですわ。」「どり子ちゃん、ザブトン一枚。」「あ、ども。・・って!瞳子ですってば!」
「ほらほら、この雷撃をどうにか抜けないと手も出せないよ!」「・・これだ!」ヒュバババッ!ドカドカドカッ!
「バヨネットをあさってのほうへ?」「どういうつもり?」「やるわね、可南子ちゃん。」『え?・・ああっ!』
ピシャアアアーン!バリバリバリ!「雷撃がバヨネットに!」「そうか、避雷針!」「おほっ、よく気づいたね♪」
「スキあり!」ダッ!「そうかな?」ぴっ、ブゥゥン・・「はっ?!・・可南子、いけない!」「シェアッ!」
ゴッ!「雷神剣!」カッ!ガキイイイーン!「・・なっ?!」「惜しかったね。」バヂバヂバヂ!「・・手刀が!」
「電気をまとって・・いえ、電気の剣!」「実体刃じゃないのに受けれるのは、電磁場による反発力のせいよ。」
「これが・・バベルの雷。」「あ、ひとつ忘れてるなあ。もういっぽうの手がまだあるわけで。」ぽん。「・・え?」
「雷掌。」バリバリバリッ!「きゃあああああーっ!」『可南子!』「はい、おしまい。」すっ。・・ドサッ!
バヂバヂバヂ・・「く・・」「麻痺は数分で取れる。予想外に楽しかったよ。みんな、手当てを。」『はい!』
「さすがですわ、聖さま。」「一号生じゃ自慢にならないって。・・いつか、ね♪」ちらっ。「・・ええ。」
「ほら可南子ちゃん、だいじょうぶ?」ぱたぱた。「ん・・祐巳さま?」「あ、気がついた。」「・・ヒザ枕?!」
ばっ!「あーだめだめ。もうちょっとこのままで。」「・・はい。」ぽっ。「・・熱あるの?」「い、いいえ!」
「む~・・」「あれ?・・瞳子、ご機嫌ななめ?」「べ、べつにうらやましくなんか」「そこまで聞いてないけど~。」
「さて、今日の第二試合は東方不敗マスターアジア対チーム「影の軍隊」総帥・ビッグシャドウの対戦です。」
「東方センセは以下略として、ビッグシャドウたぁ悪の大幹部みたいな名やね。」「プロフィールによると、
ゲルマン忍法の使い手らしいわ。」「ん?そらたしか前回大会の・・」「そう、ネオドイツ代表シュバルツ・
ブルーダーと同じ。ゲルマン忍者ってけっこういるのかしら?」「それはないやろ。たしかに暗黒街には自称某は
掃いて捨てるほどおっけど、ほとんど全部バッタモンや。シュバルツはんほどの腕前のはそうそうおらんわ。」
「となると、ビッグシャドウも本物かどうかは怪しいと。シャドウガンダムはどうかしら?」「んーと・・おい、
あらシュピーゲルに似とらんか?」「あ・・たしかに。両腕のブレードとかそっくりね。でも似てるといえば
そのくらいだけど。」「う~ん・・ガンダムは基本デザインが共通やから、かえって共通項見出すのは難しな~。」
ザッ。「む?・・おらぬのか?」『ふはははは!』ボーン!ゴォォォ・・『ビッグシャドウ、ここに参上。』
「フン、そのクセは治っておらぬのう。」『「三つ子の魂百まで」というしな。』「使い方まちがっとるぞ。」
『ではお楽しみを始めますかな。』「そうじゃの。・・アレをやるか?」『これが楽しみでもある。』すっ、
『ガンダアアアームッ!』パチン!ギン!ドドドド・・「いくぞハイマスター!しゃっ!」ターン!ギュルルルッ!
「いよいよファイト開始や!」「とその前に。今回は両者同意のうえ、ある趣向を加えます。」「おっと、そやった。
エブリバディ、空を見い!」ばっ!・・ゴオオオオーッ!ズズーン!オオッ!ザワザワ・・パシュッ。カツッ。
「BGFの熱き闘志を駆り立てるファイトBGM『crossG's』、歌うはミーア、キャンベルガンダム・ファイアーモード!」
ぱぱっ。オオッ!「ほう。」『炎のようなデザインか。』【バーニング・ガンダムファイト!】『レディー、ゴー!』
♪閃光宿す右手を振りかざし 狂気振り撒く絶望の悪を討つ 天を狙う矢の如く翔け昇る 日輪負うその姿は神のよう
シャッ!『メッサーグランツ!』シュババババッ!「手裏剣ごとき。龍布!」ぱん!ギュイイーッ!キキキキーン!
「しゃあっ!」キュババババッ!『おっと。』タタタタン!ズガガガガーッ!「さすがに身が軽いのう。」
♪豪熱の拳撃が風を穿ち 真空に烈光の薔薇が舞う
『シャドウブレード。』ギュン、ジャキッ!『はあっ!』「なんの!」ビン!バシイイイーン!『まだだ!ゆくぞ
シュトゥルム・ウント・ドラッケン!』ギュルルルルッ!「なんと?!」ビチビチビチッ!「・・いかん!」
バチイイイーン!「ぬおっ!」ババッ!ザザーッ!『マスタークロス、破れたり!』「やるのう。こうでなくては。」
♪巨神かたどる鋼鉄(くろがね)の 鼓動が地に響く 猛き闘者の誇り賭け 刹那を駆け抜けて
♪宇宙(そら)の 塵と消える
ワアアアアーッ!「ふふふ・・予想外に燃えるのう!」『バトルソングとして申し分なし。アドレナリンを沸かせる
歌詞とハードロックな曲調が心地よい。』「うわはははは!これはいい。気に入った、楽しいぞ!」『同意。』
『おお~っ!』「こらええなー!戦闘シーンに主題歌、このお約束をなんで今までやらんかったんやろ!」
「前回大会では決勝開幕戦でどこからか広東語の歌が混線して、視聴者の反響がすごかったって事件があったわね。」
「そやそや、局に問い合わせが殺到して、どうにかモトうた見つけて発表したら、大ヒットしたらしな。」
「あっ、キャンベルガンダムの色が変わるわ。」「曲調に合わせてカラーリングが変わる特殊外皮やそうや。」
「さっきより落ち着いた配色ね・・資料によると、キャンベルガンダム・レインボーモードだそうよ。」
♪熱くなれ目指した境地へ 必ずいつか辿り着く 走り出せ挫けることなく 闘う瞬間(とき)を駆け抜けろ
「ほう、これもよい。」『じっくりやる中盤戦によく合う。ファイトの呼吸まで心得ているか・・面白い。』
♪闘志が胸で叫んでるから 眼差し上げて歩き出す 打撃の雨に強く打たれて 痛みが意志を呼び覚ます
ボオッ。「む?分身か。」『ゲルマン忍法・ブロッケン。さて見切れますかな?』「やってみようか。はあっ!」
ギュルルルッ!「ハイマスター、大回転!」「超級覇王電影弾とちゃうな。」『む?・・もしやこの技は?』
「そのとおり。大回転・マスタークロス!でやああああーっ!」キュババババッ!『なんとおっ!』キュルルッ。
「そこか!」グン!「一本釣りじゃ!」ブオッ!バシイイイーン!『ぬおおっ!』「分身、見切ったり!」
♪そうさ離れられない 挑み続ける生き方 血潮が燃えるから 闘いの熱 忘れられない
ググッ・・『さすがはマスターアジア、小手先の目くらましなぞ無意味か。』「ふふふ・・余計なものをとっぱらって
本当の姿に戻らぬと、ワシには勝てぬぞ。のう、ビッグシャドウ・・いやさ、シュバルツ・ブルーダー!」びっ!
『なあっ!』『・・そうですな。パージ!』ババババン!ガラガラン!オオッ!「・・ガンダムシュピーゲル!」
「そうだ、それでよい。」『電磁ネット!』シュボッ!シュパアアアアーン!「そのようなものがワシに効くか!
しゃあっ!」ビュオオッ!スパパパパッ。『むろん思わぬさ。』ボオッ!「!・・間合いを!」ジャキン!
ズバシャアッ!「ぬおっ!」ザザザーッ!『浅いか。』「・・千分の一秒遅ければ内殻まで抜かれておったわ。
さすがに疾いのう。」ピピッ・・「ハイマスターの外装に斬腺が!」「速さも技の切れも数段上がっとるな・・」
♪熱くなれ極限の努力 染み込むほどに繰り返せ 駆け上がれ視線を外さず 力の意味を確かめろ
『では決めといこうか。』ジャキン!「あの構えは!」「・・アレや!」「じゃがその技はもう見切られておるぞ。」
『もとより承知。これは新たな工夫を加えた新技。』「なに?」『シュトゥルム・ウント・ドラッケン!』
ギュオオオオオ!「は・・速い!」「回転速度が以前よか格段に上がっとる!しかも」「公転運動までもか。
これでは石破天驚拳での直撃はとれぬ。」『いくぞ!』ガクン、キュゴオオオオーッ!「ど・・ドリル突撃!」
「あかんで!横回転のドランクはロスが多いが、螺旋突撃は運動エネルギーすべてが攻撃力になるんや!」
『石破天驚拳すら切り抜いてくれる!』ゴオオオオーッ!「ふふふ・・よかろう。受けってやるとも!」ばっ!
「バカな?!ハイマスター正面から仁王立ち!」「自殺行為や!」ズドオオオオーン!『うわっ!・・はっ?』
キュガガガガ!「・・止めてる?」「しかも・・指一本で!」ぴたっ。「流派東方不敗が奥義・針点制指。
いかなる武器も少なくとも一点の死点を有する。そこを突けば、指一本で戦車すら止めてしまえるのじゃ!」
♪闘士の道が開かれた 握る拳(こぶし)が敵を撃つ 闘気の力たくわえて 開く掌(てのひら)天掴む
「ちょうど曲も変わったとこじゃ、反撃いくぞ!」ぱっ、わしいっ!『むうっ?!』「ダアアークネスッ!」ボオッ!
「ブリンガアアアアーッ!」ズゴオオオオーッ!『ぐおおおおーっ!』「マスターブリンガー・・じゃない!」
「ダークネスフィンガーとの合体技や・・エネルギー吸収と同時に黒の破壊波動を叩き込む!」「と、いうことは?」
♪臆するな 燃える心 退(しりぞ)くな 熱い闘気 滾る血潮が 雄々しくあれと プラズマ撥ねて 機体が疾る
♪秘めた誓いを 貫いたとき モビルファイター! ガンダム モビルアクション! ガンダム
♪アタック! アタック! アタック! 俺は闘士
ピシッ。メキメキ・・「シュピーゲルの頭部に・・ヒビが!」「過剰なエネルギーの出入で分子レベルの崩壊が
始まったんや・・」「クラッシュ・エンド!」ボグシャアッ!『ぐぼおっ!』「タマゴのように握り砕いた!」
「圧壊じゃ。」ぱっ。『さすがは東方不敗・・ぐはっ!』ユラ・・ドドオン!「勝負あり、ガンダムハイマスター!」
ぴしっ!「・・曲もぴったり終了。では撤収します。」「まあ待て。ひとこと礼を言いたい。」『うむ、おかげで
良い試合ができたぞ。』「む?・・おぬしもう復活したか。」『レスポンスはさすがにきつかったが、なに、
再生時の苦しみに比べれば。』「・・そうじゃの、ワシも経験がある。」『それはともかく、この実験、予想外に
面白かったな。』「うむ。とはいえ、全ての試合でライブともいくまい。またこういうのが苦手な者もおるし。」
「ダイジェスト番組のBGMという形が一番いいかもしれませんね。」『それなら問題あるまい。』「同意じゃ。」
「ミーアとやら、今日の礼もこめて、今夜のメシはおごらせてもらうぞ。」「・・献立は?」「ホルモン焼きで
どうかの?」「あ、そらええな~!」ひょい。「バルド?」「しゃちょー?」「当然ジャーマネのワテもやね。」
「まあよかろう。積もる話もあることだ。」『いやったー!』「一食ぶん浮きましたね!」「おいおい・・」
ガンダム長屋。「シュバルツ・・兄さん。」「マスターの件で、再生の可能性は想定すべきだったわね・・
ドモン、会いに行く?」「・・いや、その気なら兄さんのほうから顔を見せるだろう。それをしないのは、もはや
俺には不要との判断かもしれない。俺もひとり立ちした身、兄さんの気持ちはわからんでもない。」「そうね・・
まあ、同じ街だし、会うときはイヤでも会うでしょ。」「そうだな。・・兄さんも部下を持つ身になってたか。」
「試合を見るかぎり、いい部下ばかりみたいね。」「人を使うのは俺は苦手だな。自分ひとりすら、ろくに面倒
みれてないしな。」「それを自覚してるだけえらいわ。しょうがないから、私がみてるってこともお忘れなく♪」
「感謝してるさ。ときに今回のファイト、なかなか面白い演出だったな。」「試合に歌をかぶせるのはいい手ね。
まあ今回みたくスタジアムで流さなくても、TV放送でバックに流すようになるんじゃない。」「ふむ・・ガンダムに
BGM機能付けられないか?」「曲データさえ持ち込めば可能よ。もう実際にやってるファイターもいるようね。」
「ほう、先んじられたか。」「で、どんな曲かける気?ピンクフロイドとかクィーンとか?」「いや、尺八だ。」
ずってーん!「あいたたた・・なによそれ!」「俺の呼吸には邦楽が合ってるからだが。なんなら雅楽でもいいぞ。」
「そんな曲、探すほうがタイヘンだって・・」「津軽三味線ならけっこうあるだろ。」「そこから離れて。」
ネオ浅草のホルモン屋。ジュージュー!「芸能人はこういうとこは珍しくなかったかの?」「うんにゃ。いわゆる
焼肉屋はしょっちゅうやけど、こないな本格ホルモン屋はあらへんで。」「へえ~、これが本当のホルモンか~。」
「高いばかりのカルビなんぞより、はるかにうまいぞ。ほれ、よう焼けたとこじゃ。」ひょい。「あ、すみません。」
ハフハフ・・『む~!あっちゅい油がおいひー!」「そうじゃろそうじゃろ。これにハマったら、ロースやらヒレなぞ
バカらしゅうて食う気が起きんぞ。ほれミノとハツ。」もぐもぐ。「うん!これも味が深くていいっすね~!」
「うわははは!若いのにこの味がわかるとはやるのう。」「なにせワテの仕込みやきんな。」「この悪党めが。
ミーアをちゃんと育てろよ。」「言われずとも。わが社唯一の財産や、手塩にかけて育てとるわい。」ぐーっ!
「ぷはああああーっ。生ビールもおいしいっす。」『なに?』「ちなみに年齢は?」「公称プラス2でハタチ。」
「詐称しとるのか!」「誤差誤差。芸能界じゃプラマイ五歳は誤差のうち~♪」「ゆるいスペックじゃのう。
しかし・・この私服もすさまじい。ジャージに牛乳瓶メガネとは。」「これが私のディアクティブモードっす。」
「てか、そっちが本体やろ。」「なるほど、仕事のときは変身するわけか。まさにスーパーヒロインじゃな。」
君たちに最新情報を公開しよう。
アイドルファイター、ミーアついに登場。対戦相手は「猛き法皇」孫鈴麗。
その幽玄な動きに八極拳は空をきり、宙に舞うアルトロン。
はじめて見る奇怪な技に翻弄される鈴麗、思わぬ苦戦。
意外な強敵の出現に戸惑い、そして喜ぶがファイターの性。
打ち砕け、変幻のキャンベルガンダム!
次回、バーニングガンダムファイト激闘編 第14話
「スタア誕生!リングが舞台だ」へ、バーニング・ガンダムファイト!レディー、ゴー!!
これが勝利のカギだ!(八極拳秘奥義・月影比翼弾)
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第14話「スタア誕生!リングが舞台だ」
築地・蓮華寺。孫鈴麗は決勝リーグ中断後、予算節約のため宿舎にしていたホテルを引き払い、老師ともども
ここに住み込んでいる。ネオチャイナと同宿なので呉越同舟というところだが、関係はいたって良好である。
『対戦相手はアイドル歌手?』「だって。あーあ、貧乏クジ引いちゃったなー。」「まあシロウト相手じゃな。」
「そうじゃないの。勝って当然、負ければ大恥ってのがね。」「そんなに強いんですか?」「リングの上では
何が起きるかわからない。今までのプロ対アマでも大番狂わせがいくつもあったし。」『相手を侮っておらぬのは
見事じゃと思うが。』「いかにも。リングの上ではプロもアマも関係なし、ただ彼我の腕があるのみじゃよ。」
「で、対戦相手のことを知っておきたいんですけど。」「いいわよ。ミーアで検索と。」ぱかっ、カタカタ・・
「あった。・・ええっ?!」『何事かセシルどの!・・むっ?』「流派は出雲流闘舞術だって?」「知らない。
師匠、ご存知ですか?」「いや。じゃがセシル殿は何か知っておるようじゃな。」「・・まさか実在したなんて。
武術データベース。」カタカタ・・「・・あった!」『どれどれ?・・』【出雲流闘舞術:神代に起源を発する
日本最古の武術。のみならず能・狂言・歌舞伎の源流ともいわれる。始祖は天鈿女命と伝えられるが、その詳細は
記録が現存せず、口伝として出雲地方の一門に伝承されるといわれるが、実態は不明のままである・・】
「なんだ、何もわからないんじゃないか。」「公式記録はね。でも。」ごそごそ、ばさっ。「・・その書は?」
「民明書房刊『葬られた神拳』。この本によると、古事記と日本書紀からこの武術に関する記述は時の天皇の命で
すべて削除されたらしいんです。」「なぜ?」「国家の存亡に関わるゆえに・・これは朝廷の暗殺拳なんです。」
『暗殺拳とな?!』「熊襲武尊暗殺も大化の改新も、舞姫に扮したこの暗殺者が小碓命と中大兄皇子の代わりに
実行し、なおかつ日本武尊の愛人・弟橘媛こそ、その舞手だとも。」「ホント~?」「むろん荒唐無稽な話ですが、
同じ名の武術が実在したとなると・・」「して、拳スジなどの記述はどうじゃ?」「あります。【その技華麗にして、
舞により気を流し練り上げ放つことで、巌すら灰燼と帰す】と・・」『それはもしや!』「・・気功術ですね。」
「たしかに舞と武の源流は同一じゃ。特殊な動作により心身の潜在力を引き出し神域に至るという点ではの。」
「はい・・まさに武術の源流。」「鈴よ、明日の試合、もしやすると最大の死闘となるやもしれぬ。」ぶるぶる・・
「鈴?」『怯えておる?・・否、これは!』「そう・・嬉しいんです。強い相手こそ武闘家には最高の喜び。」
「うむ!よういうた。ならばどうする。」「もちろん、悔いの無いよう、全力で打ち砕くのみ!」「よろしい!」
「ほんじゃ、明日に備えてガンダム長屋へ出稽古に行こか。」「うん。あそこなら誰かしら強い人がいるしね。」
浜松町、芸能プロ「エターナル(有)」事務所。雑居ビルの三階にあるが、四階も借りており、そこはワンフロア
ぶち抜きで、歌やダンスの練習場として使っている。「ほな来いや。」「一の舞、いきます。」ヒュォォォ・・
「・・気圧が膨れ上がる。さすがやな。」ヒュィィィ・・ドン!「よいさ!」パン!くるっ。「虎爪打や!」
ゴッ!「秋穂。」すいっ、スカッ!「前屈でかわしたやて?!」「藪絡み。」くるっ、ガキッ!「おととっ!」
ドターン!「逆さ海老。」ガキイッ!「あいたたた!ギブやギブ!」ぱんぱん!「しゃちょー、なまってますよ。」
「やっぱトシかいな~。昔は三脚戦車くらいなら、まとめて三匹いてこましたもんやが。」「どこの戦車ですか。」
「ま、それだけミーアの腕も上がったっちゅーことやな。」「社長の『デスティニー計画』は面白そうでしたから。」
「そや。この未来世紀にふさわしいアイドル・・それは容姿端麗・質実剛健。アイドルの必須条件を持ちながら、
超一流ファイターに匹敵する実力を持つ闘うアイドル。まさに革命のアイドル、運命の乙女や!」ゴオオオオ!
ぱたぱた。「暑苦しいから~。まあそれはともかく、本人的にも楽しんでるのでノープロブレムっす。して明日の
対戦相手の孫鈴麗って強いんでしょ?」「そらもうシャッフル同盟級や。」「ならオッケイ。楽しみだなー。」
「ほな昼メシはちいと奮発してファミレにしよか。」「やったー!二ヶ月ぶりの日替わりお徳ランチ~♪」
ガンダム長屋。ゾロゾロ。『うわ~・・』「ここがガンダム長屋?」「シエルお姉さまに教わった道順どおりよ。」
「すごいね・・まさに都会の隠れ里。」「こんな所にあったなんて、まったく知りませんでしたわ。」「ネオ浅草の
すぐ裏手とは予想外だったね。」「人目を避けるにはもってこいね。」くんくん。「間違いないみたいです。
ガンダム用純正オイルの匂いがします。」「両側の壁がガンダムドックなのね。」「周囲の目隠しでもあるのね・・」
「で、シエル様のお部屋は?」「四号室・・あ、ここです。」「ではご挨拶はやはり・・」『ごきげんよう。』
ガラガラ。「あらあら、皆さんごきげんよう。ついに来たんですね。」「はい、ようやく一段落つきましたので。」
ガラガラ。「おっ、これがシエルさんの後輩たちか。」「うわ~、ホントにガブ女だわ。」「ほう、華やかなり。」
「昔を思い出しますわ。」「学生時代が懐かしいな~。」「現役でーす。休学中だけど。」「ようこそ長屋へ。」
『うわ~!』「ドモンさんとレインさんだ!」「半蔵さんと楓さま。」「ナコルルさんにリムルルちゃん!」
「エリスさんもいるー!」「あれ?真蔵は?」「レンちゃんとお散歩に出かけてます。」「ホントのところは
真蔵兄さまがいると話が進まなくなるので一時退去してもらってるの♪」「お父様は手術依頼で出張中です。」
「そういや紫姉さんもいないな。」「姉はいつもの放浪癖で、シクルゥとどこかに出かけてしまいました。」
そのころ「PIA・キャロット」。♪カラーン。「いらっしゃいま・・?!」ぽ~っ。「二人です。」「は・・はい。
こちらへどうぞ・・」ぎくしゃく。「・・?」「慣れないとこうなることが多いんだ。」「・・。」こくこく。
「な、なんにいたしましょう・・」「この子にいちごショート、僕にはチーズケーキのティーセットを。」
「かしこまりました・・」ふらふら・・「だいじょうぶかな?」・・タタタタ、ザザーッ。「あ、やっぱり。」
「やあ、ルナ。」「たく~、真ちゃん顔出すたんびにウチの店員がしばらく業務不能になるんだから。」
「僕のせいかい?」「文句言う気ないけどね。ま、慣れてる私がやるから。ご注文も一回どぞ。」「じゃあ・・」
サラサラ・・「おっけい。ほいっと。」ヒュッ・・カラーン。「レンちゃんもいっしょなのね。」こくこく。
「そういや長屋にいるんだっけね。」「ホームステイみたいなものだけどね。」「いいんじゃない。長屋なら
かまってくれる人や動物がいつも誰かしらいるし。寂しがりやだもんね。ところでこのツーショットはけっこう
珍しいけど、よくナコが許したね。」「なんでも今日は長屋に女子高生ご一行様が来るからとのことでね。」
「へえ~、修学旅行のコースに入ったとは聞かないけど。」「地元だよ、聖ガブリエル女学園。」ぴくっ。
「そっか・・あのガブ女か。BGF参戦準備のための見学ね。」「そういうこと。・・知ってるようですね。」
「お得意さんだし、会話とかイヤでも耳に入るしね。」「その実は神罰代行機関直轄の代行者養成機関・・
暗黒街では三面記事ですよ。」「代行者だか来訪者だかは商売に関係なし。お客さんはお客さん、それだけよ。」
♪カラーン。「いらっしゃいませー。お二人ですね、こちらへどうぞ。」カツカツ・・「ん?・・その足音は。」
くるっ。『あ。』「やはりバルドフェルドさん!」「真のすけかや!なっつかしいな~。」「はえ?」「・・?」
「・・そうですか、独立プロを。」「んで、こっちがウチの全資産のミーアや。」「すっぴんで失礼しまーす。」
「??」きょときょと。「?・・ああ、そうか。」「どないなオナゴも一目でオチる真のすけを前にして、平気で
おるんが不思議なんやな。」こくこく。「可能性はひとつですね。視力は?」「メガネありでも0.4ですねー。」
「裸眼やとほとんど座頭市や。それでも普段は何でもよく見えとるとしか思えんのや。」「メインは心眼で
見てますから。この方がけっこう役に立つんです。」「なるほど。その心眼で僕はどう見えるのかな?」
「そうですねー・・裏の顔のほうが好みです。」キラリ。「そこまで見えますか・・これは顔負けですね。」
「ご注文をどうぞ♪(営業スマイル)」「えーと、今日の日替わりお徳ランチは?」「ハンバーグになります。」
「ひさびさですので、今日は僕がおごりますよ。」「サーロイン定食!」「特上うな重定食!」「え"・・」
「かしこまりましたー。・・ご愁傷さま。」ぱちっ♪ツカツカ・・「あ~あ・・すっかり忘れてましたよ、
まったく遠慮しない性格を。」「それで生きてきたきに。」「ゴチになりまーす♪」「ま、たまにはいいか。」
「では紹介いたします。わたくしの後輩、聖ガブリエル女学園生徒会、通称『黒薔薇会』のメンバーです。」
『ごきげんよう。』『ご、ごきげんよう・・』たじっ。「さすがにこの物量攻撃は、圧倒的だのう・・」
「模範組手を見学したいとのことだったな。ナコルル、やるか。」「はいドモンさん。」「あーちょっと待って。
ドモン、譲ってくれない?」「レイン?」「ここらで私の腕も見せておきたいし。」「そうか・・いいだろう。」
裏の空き地。ザワザワ・・「レインさん、全力でいきますよ。」ザッザッ。「もちろん。観客もいるから手抜きは
できないわね。」コキコキ。ザン!『・・はっ!』ダン!ビュン、バシイイイーン!『おおっ!』ザシャアッ!
「はいはいはいっ!」ドババババッ!「フットガード。」ヒュルルッ、バシバシバシッ!「?!・・脚で受ける?」
トントントン・・「レインのあのステップ・・まさか!」タン!ギュルルルッ!ゴッ!「なっ?!」さっ。
ドバギイイイーン!「うわっ!」ゴロゴロゴロッ、ザザザーッ!「くうっ・・なんて威力!」ジィィーン・・
「やはり・・レイン、いつの間に。」「ドモン殿、ご存知か?」「ああ・・あれはカポエラだ。」『カポエラ?』
「ジプシーネットワークで知ってます。南米の必殺拳・・鎖に繋がれた奴隷たちが支配者と戦うために生み出した、
怒りと哀しみの拳。」「そのとおりよ。今でこそ民族舞踊に解毒されたけど、私は原初の形のままを会得し、さらに
最新格闘技術による改良と工夫を加え、独自の格闘術にリファインしたわ。名づけて『黄道十二星拳』!」
「丁寧な解説ありがとうございます。でも!」・・はっ。ゴオッ!「今はファイト中ですよ!」「そうよね。」
ストッ、スカッ!「ダッキング?!」ばん!ギュイン!「タウラス・ダブルホーン!」ボボオッ!「くっ!」
さっ、ヒュゴオッ!がしっ!「なっ?!」「キャンサー・シザース!」ギュイン!ズダーン!「きゃあっ!」
ゴォォォ・・「す・・すさまじい!倒立双脚から胴を挟み、全身をバネにしての投げとは!」「本来なら脳天から
叩きつけるとこだけど、組手なので背中からにしといたわ。」「・・ケホッ。でも一瞬息が止まりましたよ。」
『・・・・』「こ・・これが本物のファイターの闘い・・」「ちがう・・私たちなんかとまるでレベルが。」
「いえいえ、誰でも最初は初心者ですよ。そこから場数を踏んで強くなっていくのはみんな同じです。」
「そのとおりだ。いい機会だ、誰か俺と手合わせしてみないか?」ドヨッ!『キング・オブ・ハートと?!』
ザワザワ!「無理むり、ぜったい無理!」「令はどう?」「・・自分の実力はよくわかってますから。」
「やってみようかな。」さっ。『祐巳ちゃん?!』「ほう、骨のあるのがいたな。」「勝敗よりも、世界最強の
キング・オブ・ハートに稽古をつけてもらえる機会なんて、おそらくもう一生ありませんから。」「祐巳・・」
ザッ。「まずは打ってこい。」「はい。」すっ、ググッ。「?!・・あの構えは。」さっ。「ドモンが無意識に
構えた?」「いきます!」シャッ!「はいはいはいっ!」ドババババッ!「くっ!・・疾い!」「はあっ!」
ドン!「ぬおっ!」バシイイイーン!『おおっ!』「くっ・・なんて重い蹴りだ。」ズキズキ。「腰が充分に
入った、まさに全体重を乗せた蹴りでござるな。」「ええ。ドモンじゃなければ、受け手をはじき飛ばされて
直撃くらうとこだったわ。」「やはりすばらしいセンスを持ってますね。私の眼に狂いはなかったです。」
「ふう・・これだからBGFは面白い。次々と手ごわいのが現れる。はあっ!」ドババババッ!「!・・」ザザッ。
ボボボボッ!「これを回避しきったか!」「!」ヒュイッ、「入られた?!」「はっ!」ドン!ボゴオオオーン!
『ああっ!』「まさか・・勝ったの?」「・・いいえ、逆転です。」ズル・・「おっと。・・まさかこの秘奥義を
使うハメになるとはな。レイン、手当てを。」「あ、はい。・・何がどうなったの?」「流派東方不敗秘奥義・
反鏡天唾。体気の流れを制御し、相手の攻撃をそのまま撥ね返す。・・もっとも、実際に使ったのは初めてだ。」
「あう~。@o@」「だいじょうぶ、気を失っただけよ。」「ほれ、伊賀の気付け薬でござる。」「ありがと半蔵さん。」
キュッ、ささっ。「はっ?!・・え?え?」きょとん。「もうだいじょうぶよ。」「・・やっぱりこうなりますね。」
「いや、俺はズルをした。だからお前の勝ちも同然だ。」「え・・」「ほうびにこれをやろう。」キュルッ、シャッ。
ぱしっ。「バンダナ?」「だいぶくたびれてるがな。」「と、ととととんでもないです!こんな貴重なもの!」
「いいのよ、それ四代目だから。」「サイサイシー・ナコルル・ヨーコにやった。」「はい。大切な思い出の品
ですので、大事にしてます。」「だから遠慮なくもらって。ちょっと汗臭いのはカンベンね♪」「はははは。」
パチパチ!「祐巳ちゃん、ナイスファイト!」「よくがんばったわ。」「は、はあ・・なんとか。」「すごいわ!
キング・オブ・ハートから一本取るなんて!」「いえあの、まったくマグレとゆーかビギナーズラックとゆーか。」
「運も実力のうちよ。」「うわ~、これがキング・オブ・ハートのハチマキか。」「そのスジに出せばけっこーな
プレミア付きそうですわね。ハウマッチ!」『売るな~!』「祐巳、これ付けてみて。」「ええっ?!そんな
恐れ多いことできません!」「別にかまわんぞ。俺も見てみたい。」「あ、デジカメ持ってこなくちゃ♪」
「そういえばお姉ちゃんもアレ締めて撮ったよね。」「そうね、長屋のみなさんと記念写真を。一生の記念ね。」
キュッ。『おー!似合うにあう!』ぱちぱちぱち!「そ、そうかな?」「はーい、みんなかたまって。もっともっと。
祐巳ちゃん真ん中、横にドモンね。そこリムルルちゃんピースしない!はい、もうちょっとこっち・・はいそこ!」
ジーッ・・カシャッ。「はーいそのままそのまま。次はちょっと崩していくわよ。・・はい!」ジーッ・・カシャッ。
「ここがガンダム長屋です。」『ほ~。』「こないなとこにあったんか。」「なにやら賑やかな気配ですねー。」
「む?・・おお、バルドではないか!」「あらおひさしぶり。」「半蔵はん、楓はん。おひさしゅう。」
「街で偶然に出会ったのでお連れしました・・が。」「真蔵さん、ちょっと早すぎ・・」「あー、ダメだ・・」
『ん?』ぽお~っ・・(黒薔薇会ほぼ全員)「あ、なるほど・・」「女学高生にはちょーっと刺激が強すぎかもね。」
「気付けをしましょう。レンちゃん。」「?」ひょい。チュッ♪『あああああーっ!』「し、真蔵さん?!」
「うわー!うわー!」「猫にキスしただけですよ?」「・・レンちゃんはノックダウンだけどね。」ふにゃ~♪
「へ~、この質素さが超一流ファイターの条件なんだ。」「?・・あの、あなたひょっとして・・」「はい?」
じーっ。「まさか・・ミーアさん?」「・・ふふふのふ、バレたからにはしょーがない。」「じぶん悪役かい。」
「アクティブモード!」ぐっ、ばさあっ!『・・ああああーっ!』「ぴんぽーん♪大正解のミーアでーす。」
「さ、サインください!」「シングルみんな買いました!」ワアワア!「はいはい、サインは順番やでー。」
「・・誰だ、あれ?」「ほら、こないだマスターの試合で歌った。」「ああ・・そんなに人気あるのか?」
「今週のオリコンでは8位までみんな彼女の曲ですよ。」「うむ、拙者もあの歌は好きでござる。愛だの恋だの
歯の浮くような歌詞はひとつも無く、熱き魂を高らかに歌い上げるのは若いながら見事。」「往年のヒーロー
ソングやアニソンを踏襲しながら、最新音楽シーンをも巧みに取り入れてるところは好感が持てますね。」
「あの歌をBGMにして営業すると、お客さんの受けがいいんですよね。」「ほう・・そんなにすごいのか。」
サラサラ。「由乃さん江・・と。来週発売のニューシングルもよろしく♪」「も、もちろん買います!」
ワアワア!「あれ?珍しく長屋が騒々しいな。」「なんか黄色い声がいっぱい聞こえるけど・・?」ひょい。
「なんだぁ?!」「女子高生がいっぱい?・・あっ!」「ん?・・おお、サイサイシーと鈴麗か。」『え?』
「あなたは!」「はい、ミーアです。孫鈴麗さんですね。明日はよろしくお願いします。」「こ、こちらこそ。」
「ミーア、ええ機会やから腕のほうを少し見せたげんと。」「そうですね。どなたかお相手お願いできます?」
「おっしゃ、オイラが引き受けた。」ぱんぱん。「サイサイシーか・・ひとつ言っておく、油断するなよ。」
「だいじょぶだいじょぶ。仮にもクラブ・エースのオイラがアマチュアごときに遅れをとるはずないって。」
「ならいいが・・ミーアとやら、そういうことで全力で仕掛けてもかまわんそうだ。」「では遠慮なく。」
スゥゥゥ・・「なんだ?」ザワッ。「あの動きは?!」「なんて・・恐るべき手練れ。」『静?』タラ・・
ヒュォォォ・・「??・・読めねえ、次の動作が。」「出雲流闘舞術・一の舞・推門。」ヒュルルル・・ドン!
「なっ?!」ばっ!・・バゴオッ!『おおっ!』「壁に・・手形が!」「ドモン、もしやあれは?!」
「いや、石破天驚拳じゃない。・・だが、基本気功だけであれだけの気を練るとは。」「こいつぁ・・!」
「敲門。」ボボボボッ!「なんの!」タン!バゴバゴバゴッ!「防御はどうかな!たあああーっ!」ゴオッ!
「二の舞・秋柳。」ヒュォォ・・スカッ!「かわされた?!」パシッ。「鎌振。」ギュン!「当て身投げだ!」
「なんの!」バンッ!「うまい!両手で受け身をとった。」「反撃の竜尾脚!」ドン!「おっとっと。」ぱっ、
ザザーッ!「あぶないあぶない。」『おお~。』「ちっ、読まれてたか。」「やる・・これは手ごわいぞ。」
「いきますよ。三の舞・羽衣。」トーン。ヒュォォ・・『飛んだ?!』「・・軽気功か!」「と、飛んでる?」
「神槌!」ヒュゴオッ!「なっ!」さっ、ドスウウウウーン!「くっ!」バゴオッ!『地面が爆発した!』
「ネリチャギの気を地上にアースした余波でござるか。」「ふぅ・・っ?!」ぴたり。「まだ終わってませんよ。
鳳尾!」くるっ、ボッ!「うわっ!」グン!スカアッ!シュタタタッ、ザザーッ!・・「・・あっぶねえ。」
「これをよけきれたのは、さすがシャッフルですね。」ふわっ・・すとっ。「受け手を軸にしての反転後蹴りとは。」
「なんて運動神経なの・・超一流ファイターでも難しいです、あれは。」「そうだ、これだからBGFは面白い。
サイサイシー、そこまでだ。」「・・そだな。アニキの言うとおり、BGFは恐ろしくも面白い。鈴、はっきり言うぞ。
明日のファイト、シャッフル戦以上の気合で臨め。でないと・・一分保たねえ。」「・・よくわかった。」ゴク・・
ザワザワ・・「シャッフル同盟さえ恐れさせるなんて・・」「BGF、思った以上にレベルが高いわね・・」
「あらあら、皆さん空気が重いですよ。」「けどシエル様、わたくしたちのレベルではたしてまともに闘えるか・・」
「だいじょうぶですよ。下級生を見なさい。」『え?』「うわ~、すごいすごい!」「ミーアさん、ぜひリングで
手合わせさせてくださいね!」「いつでもカモーン!ですよ♪」「・・どうやら、魂を燃やし尽くせそうね。」
「摩倶荼羅様の与えし七難八苦、ありがたやありがたやー。」じゃらじゃら。「関係ない・・狙うはただ一人。」
「ふむふむ、これはまた情報を仕入れておきませんと。あとで『京極堂』で文献を照会しておきますわ。」
『あ~・・』「というわけで、ロートルの皆さんも懼れより期待を抱いてください。さもないと負けますよ。」
「おっと、そろそろ仕事やで。」「はーい。ではこれから6時の『ミュージックBOX』出演がありますのでこれで。」
「ヒマができたらまた来るがいい。ここなら練習相手には事欠かん。」「お昼とオヤツくらいは出すわよ♪」
ぴくうっ!「来ます!ぜったい毎日来ます!」「いや、毎日は無理じゃ・・」「万難を排してでも来ます!」
たじっ。「ま、まあその意欲は買うが・・」「いくでー!」「あ、はーい。それでは!」ぺこっ。タタタタ・・
「・・なんだあの気迫は?」「なんでも費用がかさんで生活が苦しいとか。」「ハングリーなアイドルね~。」
「なるほど、あのハングリー精神が強さのひとつの要因か。」「誰にも負けないために、己を極限まで磨く・・
アイドルも武闘家と同じなのね。」「比べモンにならないさ。芸能界は、そりゃあきつい業界らしいから・・」
大手プロ「ミネルバ」。『ミュージックBOX、今日のゲストはいま話題のアイドルファイター、ミーアさんです。
明日はいよいよ初戦とのことですが。』『はい。コンディションばっちり、ハイマットフルバーストで臨めます。』
『?・・よくわかりませんが、意気込みはわかります。でも相手はネオ台湾の美虎と呼ばれる孫鈴麗選手です。
勝算とまで言いませんが、作戦は?』『勝敗はあまり気にしてません。どのみち相手はプロの決勝ファイター、
負けて当然、失うものは何もありません。ただひとつだけ言えるのは・・』『なんでしょうか?』『楽しむこと。
強い相手に全力でぶつかる、これ以上楽しいことはありません。』『見事です!では歌っていただきましょう。』
プツッ。「・・アスラン!なんでミーアがゴールデンまるまる取るのよ!」「TVネオジャパンが強力にプッシュ
しているんだ、むしろ当然だろう。」「でも一人で30分も・・私だってまだやったことないのに!」「そりゃそうだ、
ゴールデン枠でピン立ちするのは、よほどの人気と実力が無ければほぼ不可能だ。たとえコネがあってもね。」
「ミーアめ・・今に見てなさい、BGFのリングの上でコテンパンにしてやるから!」「それ以前に一次審査を
パスしなきゃね。格闘戦績が無いメイリンはそこからスタートだ。」「わかってる。カンは戻ってきたわ。」
「そういえば部長がミーア妨害工作を考えてるらしいが。」きっ!「ダメよ!正々堂々と闘って勝たなきゃ
私と事務所の名に傷が付く。それだけはしちゃダメ!」ふっ。「そう言うだろうと思った。部長は押さえておく。」
千年城アーネンエルベ。『♪Soul Goes On 燃え上がる 闘志がある限り 傷ついて倒れても 立ち上がる思いは』
「いいねー!この歌気に入った。」「萌えならぬ燃え系アイドルとは、たしかに斬新ですわ。」「・・・・。」
「?・・シオン様、いかがいたしましたか?」「・・このアイドル、どこかで見たような気が。」「データに
よりますとー、出身は鳥取県。出雲の阿国に連なる家系みたいですねー。」「ああ、戦国時代に活躍したあの。」
「阿国・・傾き踊り・・白拍子・・まさか?!」「シオン、なに?」「・・静御前。」『ええっ!』ガタッ!
「そ、そんなまさか?!」「思い出しました。彼女はあの静御前にそっくりです。」「・・言われてみれば。」
「・・似てますわ。」「懐かしいですね・・九郎判官を陰ながら守護するため、わたくしたちが付けた舞姫。」
「運動オンチな牛若ちゃんの影武者として、五条大橋での大立ち回りや数々の合戦もやったんですよねー。」
「あのボンボンは頭も性格もよかったけど、武術素養はまるでダメダメだったからね。」「・・鬼一法眼?」
「白川でわざと捕まっての鎌倉の情勢確認と、日本脱出の手はずを整え、衣川からうまく逃がせましたわ。」
「まあ大陸でもうまくやってたみたいだし。子孫がリベンジかけたのはちょっと慌てたけど、船団を全滅させて
どうにかあきらめさせたね。」「・・例によってすごいとこまで話がきてるな~。もうツッコむ気力もないや。」
「となると、転生?」「ほぼ間違いなく。・・どうやら世界が大きく動き始めたようです。」「だね。・・よし、
休養おしまい、ネオジャパンへ戻るわよ。アーネンアルベ城、発進準備。」「かしこまりました。」「らじゃー!」
♪ビーッ!ビーッ!『アーネンエルベ城、発進します。目標ネオジャパン。運行要員は配置を付いてください。』
「こちら管制塔、各部状況報せ。」『機関部よろし。』『運航部、配置完了。』『戦闘情報センター、準備よし。』
「全部署、配置完了です。」「では浮上!」ズズズズズ!「高度2000、水平航行へ移行。」「よーそろー。」
ゴゴゴゴ・・「ふふっ・・面白くなりそうね。」「どんなツワモノやバケモノが出てくるか、楽しみですわ。」
「おそらく全太陽系を巻き込む、サタンの乱以来の大武闘戦争になるでしょう。」「は、話デカ過ぎ・・」
ワーワー!「さて今日の第一試合は、話題のアイドルファイター・ミーアのキャンベルガンダム対、孫鈴麗の
アルトロンガンダムの戦いです。」「ついに出てきよったな。さてさて芸能人でどんだけ健闘できっか、
お手並み拝見といきまひょ。」「資料によると、流派は出雲流闘舞術だそうよ。」「神代の拳法か・・いや、
日本史をめくれば、それらしいキャラはけっこーおるで。」「そうね。弟橘媛に静御前、出雲の阿国も一説には
ある種のくノ一だったとか。」「いずれも川原衆やな。身分制度の枠外にして、自在に全国を巡った流浪の民。
同時に流通と情報の全国ネットワークとして、陰から日本史を支えてきた・・ほとんどは存在すら知らんけどな。」
「いわゆる『学校で教えない歴史』ね。そういうのは書物とかで自主的に補完するしかないわ。」「たいがいは
忍者物や時代物マンガやね。そっから専門書に飛ぶのが基本ルートや。」「さてキャンベルだけど、典型的な
軽量級モビルファイターね。変わってるのはカラーリングが自在に変化することかしら。」「PS塗装とかいう
技術らしいで。スーツなんかに使われとるナノマシン技術のスピンオフやね。」「光学迷彩と似てるけど?」
「いや、単に色を変えるカメレオン効果だけや。光学迷彩は光そのものを回折することで透明化するんで、
原理からして違うわ。とはいえ全身がCRTみたいなもんやから、使いようではそれなりに応用は利くはずや。」
ザッ。「う~ん・・はぁ。ステージとはまた違う空気ね。」「そっちの方は知らないけど、どう感じるの?」
「ステージはお客さんとのタイマンバトルだけど、ここは対戦相手がいるから、はるかに気が楽ですね。」
「・・芸能界もいろいろ大変ね。じゃあ楽しんでね!」「もちろん!」すっ、パチン!『ガンダアアアームッ!』
ギン!ドドドド・・『バーニング・ガンダムファイト!レディー、ゴー!』「転身・ムーンキャンベル!」
サァァァ・・「キャンベル、黄色のカラーリングに変貌!」「単に機体色変えただけで、何がどう変わるというの?
猛襲拳!」ドン!「アルトロン得意の伸縮突き!」「円月!」ヒュゴォォッ!スカッ!「なっ?!」キュゴゴゴッ!
「な・・なんて速いタンブリング!」「体操選手でもああはいかんで!」「・・捉えきれない。」ダン!「三日月!」
ゴオッ!「オーバーヘッドキック?!」さっ、ドスウウウーン!「くっ!・・このコンボは!」「弦月!」がしっ、
グン!「なっ?!」ブオオッ!ドゴオオオーン!「うわっ!」『おおっ!』「変形フランケンシュタイナーで
アルトロン、脳天から叩きつけられた!」「す・・すさまじい運動性能や!あらアマチュアの動きやないで!」
「くっ・・とっさに受身はとったけど、それでも脳がぐらついたわ。」ググッ・・「あれで受身をとれるのが、
超一流の証ですよ。」「こっちからいくよ!怒涛連撃!」ダン!ドン!「転身・ファイアーキャンベル!」
サァァ・・「また色が変わる?!」「今度は・・炎のような赤や!」「紅蓮!」ドドドドッ!バキバキバキーン!
『ああああっ!』「連撃の応酬!」「なんちゅう奴や・・アルトロンに一歩もヒケをとっとらん!」「こいつ?」
「爆炎!」ダン!ドンッ!ガキイイイーン!「・・くっ!」ピキッ・・グシャアッ!「うあああああーっ!」
「・・アルトロンの右拳が!」「砕けた・・信じられん!」「ぐうっ!・・これほどとは!」ググッ・・ザン!
「やはり右手が砕けたくらいでは問題になりませんか。」「はあっ、はあっ・・当たり前よ。たかが手ひとつ!」
「では遠慮なく。転身・オーシャンキャンベル!」スゥゥ・・「今度は・・青く?」「龍撃打!」ドン!ギュン!
「アルトロン得意の伸縮パンチ!」「細浪。」ユラッ、ボボボボッ!「?!・・当たらない?」「フットワークや。
ごくごく僅かなステップだけでパンチを見切っとる・・あかんで。」ぱしっ。「巻波。」グイッ!「なっ?!」
バターン!「くっ!」「落とし技?!」「はじめて見たで。しかも同時に腕ひしぎに移行しとる・・恐ろしい技量や。」
ギギギギ・・「く・・この手がある!」ギュイン!バゴッ!「あだっ!」ぱっ。「地龍昇天!」ドン!ズガアアアーン!
「きゃあああーっ!」ズガガガーッ!「うまい!伸縮機能を活かして反撃したわ!」「はあっ、はあっ!・・」
「あ、いたたた・・簡単にはいかないか。」むくっ。「いえ、強いわ・・今まで出会ったどんな相手よりも。」
「ではこれはどうでしょう。転身・フォレストキャンベル!」サァァ・・「緑色に?」「落葉・・」スゥゥ・・
「キャンベルが・・消える!」「出たな、カメレオン迷彩。」「どこ?・・いえ、落ち着け。迷いは思うツボ。」
スッ・・「・・。」スッ、バゴオッ!『くっ!・・」ボオッ。「な、なに?いまの攻撃・・ゆっくりだったのに
よけれなかった?」「感謝するわ・・おかげで八極拳奥義を開眼できた。」「奥義?・・まさか今のが。」
「いきます。」すっ・・すいっ。「・・えっ?!」すっ、ドゴオッ!「なぶっ!」すいすいっ、バゴバゴッ!
「なに?すごくゆっくりな動きなのに回避も防御もできないなんて。」「・・もしや。」「なに?」「中国拳法には
流派を問わず共通の奥義があるんや。」「そりゃまあ、同じ格闘技だからそういうものもあるでしょうね。」
「その中のひとつにこういうのがある。人の心理は均一やなく、まったく何も感じられない盲点が常に存在するんや。
その領域を称して『月影』。もしそこに入り込まれたなら、何の反応もできない、まさに無防備状態なんや。」
「・・あ、ひょっとして交通事故とかのアレ?」「そのとおり。傍目に明らかやのに、なぜか全く危険を感知でけん。
運転中とかはその領域が大きくなるらしいわ。」「となると、あの攻撃は相手の『月影』に滑りこむことで成立
してるのね。」「動作がしごくゆるやかなのは、相手を集中させないためや。そしてヒットの瞬間に溜め込んだ
パワーを一気に爆発させることで、絶大な破壊力を生む・・拳法の最深奥義がひとつ、ついに開眼しよったか。」
ザザーッ!・・「ふぅ・・なるほど。それなら私も得意分野ですね。転身・レインボーキャンベル!」サァァ・・
「あのカラーリングは?」「デフォルトカラー・・ケリをつける気や。」「来ますか・・いいでしょう。覇っ!」
ギーン!「アルトロン、ハイパーモード!」「・・出雲流闘舞術奥義・静。」『え?』すっ、スゥゥゥ・・
『あ~・・』「・・なんて優美な動きなの。」「同時に、一分のスキもない・・さしものアルトロンが打ち込む
余地を失くすくらいにな。」「く・・ヘタに打ち込めない。」スゥゥ・・ぴた。「・・え?」すっ、ドゥン!
「ながっ!」ボゴオオオオーン!『ああっ!』「掌破が・・突き抜けた!」「『月影』のお返しや・・やっぱ
キャンベルも会得しとったか!」「・・終わりましたね。」「が・・」グラッ・・ぴたっ。「・・え?」
「・・覇あっ!」ダン!ドゴオオオーン!「しまっ!・・」ガハッ!『あれは!』「・・零距離からの双拳!」
「・・八極拳奥義、月影比翼弾・・」「おみ・・ごと・・」グラッ・・ズズーン!「相討ち!救急班急げ!」
ネオジャパン病院。「二人ともアバラ数本骨折。内臓もだいぶ傷んでたけど、そちらも治療薬でなんとかなったわ。」
「ここまでやられたのはひさしぶりです。」「ギプスじゃしばらく歌えないな~。」「二日間のガマンよ、じゃ。」
「・・あのさ、ひとつだけ言っておきたいんだけど。」「はい?」「正直なとこ、最初はちょっとナメてた。」
「当然ですよ。たかがアイドル、歴戦のプロファイターに比べりゃトウシロ以下だってのはむしろ自然です。」
「けどこのザマよ。・・BGFって、本当に怖い。ある意味、決勝リーグの方が相手がわかってるだけ楽だった。」
「でも楽しかったです。」はっ。「・・そうね、たしかに楽しかった。そっか、これが闘いを楽しむってことか。」
「評価結果をお聞きしたいですね。」「合格以上よ。ようこそBGFへ。」すっ。「光栄です。」すっ、がしっ。
バタン。「ミーア、仕事やでー。」「しゃちょー?けどこれじゃロクに歌えませんよ。」「かまへんかまへん。
鈴麗はん、ちいと騒々しゅうなるが、少しの間やきカンベンしてもらえまへん?」「?・・ええ、いいですけど。」
「やて。ほな入りや。」ドヤドヤ。「毎朝新聞でーす。」「東スポです。」「大スポですねん。」「取材?」
「ミーアさん、初陣の感想を。」「鈴麗さん、いかがでしたか?」「えっえっ?!あのその・・」ワイワイ!
「なんですかこの騒ぎはー!」バタン!『あ。』「レインはん、まま、ここはひとつ穏便に。」「できるかー!
とっとと病室から退去しなさーい!」ドカドカドカーン!『はれえええーっ!・・』「たく、病院の基本マナーすら
知らんマスコミどもが!」ぱんぱん!「・・しゃちょーもまとめてお星様に。」「レインさん怒らすから・・」
君たちに最新情報を公開しよう。
ついに運命の師弟決戦、アンデルセン対シエル。
教義と愛と哀しみの死闘の幕が開く。
互いの思いを込めて、バヨネットと黒衣聖母が火花を散らす。
だが、その合間に割って入る者が?
次回、バーニングガンダムファイト激闘編 第15話
「聖と魔!恩讐の黙示録」へ、バーニング・ガンダムファイト!レディー、ゴー!!
これが勝利のカギだ!(クルザーデ・レコンキスタ)
第15話「聖と魔!恩讐の黙示録」
ガンダム長屋。「シエル、いよいよ明日か。」「はい、お父さま。」「ほう・・迷いは消えたようだな。」
「たしかに当初は困惑し混乱してました。・・が、強き友のおかげで全て吹き飛びました。今はもう、明日の
闘いを楽しみにしている自分がここにいます。」「友か・・強きライバルは同時に最良の友でもある。そういった
相手を持てることは、何よりの宝だ。」「そうかもしれませんね。・・ん?」ズズズズ・・「この震動は?」
フウッ・・「日陰?・・もしや!」ダダッ!ガラガラ。「・・な、なんじゃあれは?城が空を!」ドドドド!
「・・たく、しょうがない連中ですね。」「知り合いか?」「さっき話したバカの集団ですよ。」ふっ。
名出屋城。『うわ~・・』「この城よかでかいじゃん。」「千年城アーネンエルベ。ウラル攻略戦以来ですね。」
「にしても、いきなり東京上空に乗り付ける?フツー。」「あの方たちに常識求めるほうが間違ってるけどね。」
「あ、降りるみたいよ。」「日比谷公園か。また遠慮なく近場に置いたね~。」「あ~、頭痛のタネがまた・・」
新橋・ガブ女。『お~・・』ズズズゥン・・「降りたわ、ね。」「情報によると、あれこそ真祖の一族の居城、
千年城アーネンエルベですわ。」「真祖の一族・・機関のブラックリストにあったわね。」「何世紀にも渡り、
機関ともたびたび衝突してたそうだね。もっともこちらの全敗だけど。」「だから基本的に手は出さないという
方針になってるのか。」「シエルさまは懲りずにケンカ売ってるそうですが。」「戦い甲斐ありすぎの相手ね。」
「は~、世の中にはまだまだすごい人たちがいるんだね。」「もっとすごい幽音さまみたいなのもいるし。」
「・・私たち程度は、まさに話にもならないレベルね・・」「いえ、裏を返せば、まだいくらでも可能性があるとも
いえます。」「・・乃梨子さんの言うとおり。限界と思った時点でそこが限界、ならば限界など無いと思えばいい。」
「今回ばかりは可南子さんに同意ですわ。『できない』でなく『やらない』のが限界というものの本質ですわ。」
「へえ、いいこと言うわ。」「今年の一号生も骨があるのが揃ってるわ。」「黒薔薇会、当分は安泰かな。」
♪ポンポンポーン。【黒薔薇会三幹部は、至急学園長室まで来てください。】『え?』「・・何事かしら。」
学園長室。「来ましたねアルクエイド。もう二十年にもなりますか・・」コンコン。『黒薔薇会、参りました。』
「どうぞ。」ガチャ。「学園長、御用の向きは?」「ヘルメスの任をお願いいたします。」『・・はあ?』
アーネンエルベ城。「ん?・・あそこなに?いっぱいいるけど。」「どうやら女子高ですわね。」「皇立聖ガブリエル
女学園。その実体は代行者養成機関です。」「へえ~。じゃ、あれがシエルの母校なんだ。・・ん?!」ぴくっ。
「アルクエイド様、何か?」「あそこの窓。拡大できる?」「えーと、あそこですね・・ズーム・イン!」ぱっ。
『んん?』「・・初老のシスター?」「どこかで見た気が・・あっ!」「もしや・・『空ろなる境界』!」
「あ、あのシスター・式ですの?!」「・・間違いないようです。」「しつもーん。誰なんですか?」
「はいー、数十年前にケンカして、さんざんな目に会ってどうにか逃げきった、スゴ腕の代行者さんですよー。」
「ええっ?!・・それって、シエルより強いの?」「シエルは反則キャラなので別格。彼女はほとんど生身だけど、
めちゃめちゃ強かった・・戮すのが惜しいくらいに。」「総がかりなら何とかなるでしょうけど、そこまでして
倒しても無意味、ゆえに三十六計となったわけよ。」「へえ~、師匠たちにそうまで思わせるとは・・あれ?」
つかつか・・「誰か正門前へ来るよ。・・あの学校の生徒が三人。」『ほう。』「ウワサをすれば・・かな?」
城門前。ゴォォォ・・「大きい・・」「まるでルル=イエね。」「さて、どうやって入るかだが・・ん?」ギギギギ。
「門が・・開く。」ズズゥゥン・・「誰か、いる・・」スゥゥ・・「いらっしゃいませ。」『ご、ごきげんよう。』
「ご用件を承ります。わたくしは当城のメイド、翡翠と申します。」「聖ガブリエル女学園の者です。学園長より、
この手紙を言付かって参りました。」すっ。「承りました。我があるじたちに必ずお渡ししま」『その手間は無用よ。』
ゴオッ!ザシャアッ!「アルクエイド様。」「その学園長の名はシスター・式。でしょ?」「そ、そうです。」
「やはりね・・ヒスイ。」「どうぞ。」すっ。ばさっ。「・・用件了解。みんな、出かけるよ。」『はい。』
ヒュヒュッ、スタスタッ。ゴゴゴゴ・・(これが・・真祖の一族!)(気が・・人のものなんかじゃない。)
(うへ~、ウワサ以上のバケモン集団だ・・)「ちょうどいいわ、案内して。」「は、はい。こちらです。」
学園長室。「ごきげんよう、真祖・東方不敗。」「二十年ぶりね、『ヴォイド』。そんな年齢になっちゃったか。」
「これでも普通の人間ですから。」「普通がいちばん怖い・・身を持って実感してますわ。」「単に旧交を温める
だけで呼んだとは思えませんが。」「実は、あなたたちにアルバイトをしていただきたいのです。」『アルバイト?』
「わが校の非常勤講師として、生徒たちを教えてもらえませんか。」ぱちくり。「これは・・予想もしない
申し出だね。」「正直びっくりしましたわ。」「機関にとって私たちは仇敵のはずでは?」「それは昔のこと、
時代が変われば思想も変化します。客観的に、人類の歴史を生で見てきた、あなた達以上の教師はおりません。」
「シオン、どう読む?」「たしかに我々の知識と技術をもってすれば、機関には強力な助力となるでしょう。」
「排除より利用、ですか。」「建設的な考え方は評価しますけど、私たちにあまりメリットなさそうですねー。」
「退屈しのぎ・・で、いけませんか?」「あははっ、そうあからさまに言われちゃね。・・引き受けましょう。」
『えっ?!』「ただし条件があるわ。」「指導方針に口出しはいたしません。ただ、死なない程度でよろしく。」
「あら、お見通しか。」「長い付き合いですもの、肉親より詳しいですわよ。」「昔と同じ、かなわないわ。」
黒薔薇の館。「ハーブティをどうぞ。」コトン。「あ、どうも。」「さつき様は、よくあれほどの方々といっしょに
おられるのですね。」「ん~、正直、一般常識が通じない方たちばかりなので、ウルトラの星にいる気分かな。」
『あ~。』「なんとなくわかる・・ん?」ガヤガヤ。「戻られたようですね。」ガチャ。『学園長?!』ざっ!
「黒薔薇会の皆さん、これから新しい特別講師の先生方を紹介します。」「世界史担当のアルクエイドよ。」
「セレブレティ担当のアキハーシュですわ。」「戦闘解析数学担当、シオンです。」「家庭科の礼儀作法と清掃実習を
担当いたします翡翠と申します。」「料理実習および実用薬学はおまかせの琥珀さんでーす。」「で、さっちんは
お得意の実用植物学ね。」「は、はいー?!」「というわけで、皆さんよろしく。」『は、はあ・・』
(祐巳ちゃん、シエル様にご注進。)(かしこまりました、蓉子さま。)(頼むわ、祐巳。)(はい。)フッ・・
ガンダム長屋。「ぬわんですってえ!」「いえだから真祖の皆さんが先生に・・」「な・・なに考えてるんですか
学園長は!よりにもよってあの未確認怪奇生物どもに教鞭を取らせるなど!」『あーら、そんなにイヤなの?』
「当然です!誇り高き代行者の・・え?」くるっ。「シエルがそうなら、なおさらやりたくなったかも♪」にぱっ。
「出ましたねバケモノ。ギアナでの件はいちおうスジを通してお礼を申し上げますが、それはそれ、これはこれ。」
「そうでなくっちゃ。シエルはあたしとやり合うときが一番輝くんだから。」「う・・祐巳さん、下がってなさい。」
「は、はい。」「あれからどれだけ強くなったか、いっちょ揉んでやっか。」ぺきぺき。「昔の私はもういません。
ここにあるは、主の最強の代理人です。」ジャキッ!「ふふ・・いい目よ。あたしもシエルは殺したくなるほど
愛しいわ・・」ゴゴゴゴ・・「うわ~、お二人とも本気だ・・?!」ぴくうっ!「シエル様、あぶない!」『え?』
・・ザザアアアーッ!「なっ?!」「バヨネット?なんて数!シエル!」「・・回避しきれない!」シャシャッ!
『えっ?!』ターン!「祐巳ちゃん?」「お守りします。ビーストセイバー!」ジャキッ!キキキキィン!
カラカラーン!くるくるっ、ザシャアッ!「やるう。」「・・もういませんか。・・ん?!」すっ、チャリッ。
じーっ・・「・・これは、師父のバヨネットではありません。」「アンデルセンじゃ・・ない?」・・はっ!
「・・もしや?!」「祐巳ちゃん、なにか?」「い、いえ・・(もしそうなら、いったいなぜシエル様を・・?)」
黒薔薇の館。『シエル様を狙う者?』「はい、理由はわかりませんが、間違いなくターゲットはシエル様です。」
「お姉さま、何か心当たりは?」「いっぱいありすぎて困ります♪」するどしゃあっ!「たしかにね。原理主義者や
邪教宗団なんか、いくら怨み買ってるかわかんないくらいでしょ。」「あなた自分の殺した人数おぼえてます?」
「うん。通算で237万6152人。」「・・適当な数ゆってません?」「あははっ、やっぱわかる?」「もう・・でも、
私がよけきれないほどの攻撃をしてくるとなると、おのずと対象は絞れてきます。」「それほどの腕を持つとしたら、
相当に名の通ってるヤツかもね。あるいは・・」「なんですか?」「・・明日の試合に出したくないのが目的かも。
あえてバヨネットを使ったことがどうも引っ掛かるんだな。」「たしかに・・でも、私が欠場することで、いったい
何のメリットがあるのでしょうか?」「そこなんだよね~。そこがわかれば犯人もね。」「・・(・・もしわたしの
推理が当たってるなら・・)はい、提案。」「祐巳ちゃん、どうぞ。」「明日の試合までシエル様に警護員を
付けるのがよろしいかと。」「あ、それやりたーい。」さっ。「お断りします。」「えー、なんでよー!」
「あなた警護より相手ぶちのめすのが主目的になりそうですから。」「そのつもりだけど、何かいけなかった?」
「これですから・・ではお言葉に甘えて、祐巳ちゃんとあと一人ほどを。」「可南子ちゃん、いい?」どきっ!
「は、はい?!」「敵はバヨネットを使う。だからその武器の特性を知悉している可南子ちゃんが最適なの。」
「・・わ、わかります。」「ではそういうことで。よろしくね、祐巳ちゃん、可南子ちゃん。」『おまかせを。』
ガヤガヤ・・そっ。(祐巳、なに考えてるの?)(おそらくお姉さまと同じことです。)(・・なるほど、だから。)
(こういう形をとれば、却ってやりにくくなります。同時に監視もやりやすい。)(祐巳もけっこう悪党ね。)
学園長室。(祐巳と可南子はドアの外)「学園長、なぜにこのバケモノどもを神聖な教壇に?」「バケモノにゃん♪」
「知識と実力です。あの六人を凌駕する人材がいるなら、喜んで入れ替えますけど?」「ぐ・・まあいいでしょう。
ならば一つお願いがあります。」「カレー造りは学科にありませんけど。」くすくす。「んなことわかってます!」
「では宗教史担当ということで。」「え?シエル教師になんの?」「主目的はあなた達の監視ですが。」
「ならやめといたら?片手間で教えられる生徒がかわいそうだもの。」「う・・ちゃんと教えます、ちゃんと。」
ドアの外。「・・祐巳さま。」「なに?可南子ちゃん。」「い、いえ・・」「だいじょうぶだよ。シエル様だけでなく
学園長がいっしょだもの。」「はい・・『ヴォイド』。」「知ってる?」「むろんです。二十年前にあの真祖の一族と
南極で互角以上に戦い退けた、伝説の代行者です。」「そう。・・好敵手は同時に最も自分をわかっててくれる
友でもあるんだよ。」「・・わかります。」「それは親子や師弟間でも同様、何もちがわない。」ぎくっ?!「だから
その絆に横槍を入れることは許されないの。勝敗も生死も、あくまでその二人の間だけの問題。」「祐巳さま・・」
「私たちはそれを見届ける、それだけでいいの・・?!」びくうっ!『これは!』「・・来る。」「まだ遠い・・」
「ここじゃ被害が大きくなるね・・可南子ちゃん。」こく。「こちらから討って出ましょう。」シャシャッ!
黒薔薇の館。ズズズズ!ガタガタ!「地震?!」「いえ、これは・・すさまじい悪気の波動!」・・はっ!
『もしや!』「来たのね・・あの魔人が!」「狙いは・・シエル先輩か!」「祐巳と可南子ちゃんだけでは
対処しきれないわ。」「そうね・・総員第一級戦闘態勢。すぐに二人の応援に行きます。」『AMEN!』ザッ!
ゴゴゴゴ!「・・なんて気圧。」「正門から・・来ます。」ヌウッ。カツカツ・・ぴたっ。ドドドドド!
「のけい。学生を傷つける気はない。」「そうはいきません、黒薔薇の名にかけて。」ぴくっ。「黒薔薇会か。
ならば前言撤回しよう。」「・・まずは、お名を。」「かつてアンデルセンと呼ばれていた者だ。」ニイッ。
「アンデルセン神父・・いえ、言い直しましょう。魔人アンデルセン。」「・・・・。」「それでいい。では
そちらも墓碑銘を教えてほしい。」「二号生『獣の数字』祐巳。」「・・一号生『スカイ・ハイ』可南子。」
ぎょっ!「・・そうか、そうだったのか。だがそれはそれ、これはこれだ。」すっ、ジャキジャキッ!
「プロの技を教えてやろう。」「可南子ちゃん、いくよ!ビーストセイバー!」ぐっ、シャキン!「バヨネット!」
ジャキジャキッ!「シェアッ!」ヒュバババッ!「はっ!」ダッ!キキキキィン!「ほう、突っ込んでくるか。」
「可南子ちゃん!」「シャアッ!」シュババババッ!「なんと、投剣の嵐と共に・・よかろう。」すっ。
「?・・防御しない?!」ドカドカドカッ!「シエアッ!」「はあっ!」ガキイイイーン!ギリギリ・・
「あれだけの剣を受けながらまったくダメージが無いなんて・・」「学生の身でこれほどできる者がいるとはな。
面白い、おもしろいぞ!」「・・!」くるっ、「なっ?!」「影牙!」ズドオッ!「ぐっ!・・」「・・はっ?!」
ババッ!ビュオッ!ザザーッ!・・「いいカンだ。」「・・やっぱり効いてない。」シュゥゥゥ・・「見たか我が
新たなる主の力を。その程度の攻撃では無意味に等しい!」ジャキジャキッ!「!・・ダブルハルバード!」
「シャアッ!」ブオオッ!『はっ!』ズドオオオーン!「うわっ!」「くっ!」ザザザーッ!「・・なんて剣圧!」
「避けてもこれほどの衝撃波が・・」「まだまだいくぞ!」ブンブン!ブオオオオッ!「これでとどめだ!」
キュバババッ!ギリギリッ!ガクン!「なっ!・・茨蔦だと?・・む!」ばっ!キュィン!「レーザーメス?!」
バリバリバリ!「ぐおおおおおーっ!」「電撃?・・もしやこの技は!」ザザッ!『黒薔薇会、ここに集結!』
シュゥゥゥ・・「ぐうう・・学生と油断したつもりはなかったが。」「アンデルセン神父、あなたが何者だろうと
この校内はわたくしたちの聖域ですわ。」「そこに殴り込んできた以上、生徒会として傍観はできませんね。」
「そして代行者にタイマンルールなし。敵の殲滅、その目的のためには数の暴力だろうが総力でかかるが兵法。」
「ましてや魔道に堕ちし背教者にルールなど無用ですわ。」「問答無用・見敵必殺。生前の貴方もそうだったはず。」
「釈迦に説法ですが、教義のために教祖をも殺すが代行者の本分。それは偉大な先達でも例外ではありません。」
「学生だからって、なめたらあかんぜよ!」「・・外道滅すべし。」「天魔覆滅、南無阿弥陀仏!」ジャラッ!
ニイッ。「フハハハハ!その意気、見事だ。それでこそ代行者にふさわしい。ならばまとめてかかってこい!」
『むっ!』ザザッ!「お待ちなさい。」はっ!カツカツ・・「双方、剣をお引きなさい。」『学園長!』ザザーッ。
「出たか、『ヴォイド』。」「アンデルセン、何を血迷ってそのようなお姿に。」「戦いよ。聖戦士として無数の
悪魔を屠っていくうち、手段は目的となった。そう、強い相手との殺し合いこそ真理。命のやりとりをしてこそ、
人は神を感じられるのだ。」「もっと素直に言えばよろしいのに。・・ただ強き相手と闘いたい、それだけと。」
「そうかもしれん、いや、その通りだ。その為なら例え肉親だろうが子弟だろうが関係ない。ただ彼我あるのみ。」
『子弟だろうが、ですか。」ザッ。「そうだシエル。明日の試合、楽しみにしてるぞ。」「・・こちらこそ。」
「おや、もうひとつ言わなきゃならないことがあるでしょ?」すっ。「アルクエイド、どういうことです?」
「あんたさっき言ったよね、肉親だろうが関係ないと。それって!」びっ!「実の娘でもってこと?」『ええっ!』
ばばっ!「・・可南子が?!」「・・アンデルセンは私の父、でした。」「アルクエイド、なぜわかったのです?」
「血の匂いよ。あたしは体内を流れる血の匂いがわかる。・・二人の血はまったく同じ匂いがするの。」
「よろしい、俺は父ではないと認識してるならば。」「あなたは父の姿をした悪鬼に過ぎません。・・だから
倒すのは私の使命です。」「それで明日の対戦相手であるシエルさんを狙ったのですね。」はっ!「なるほど、
私に倒してもらっては困るということですか。」つかつか・・ぱあーん!『あっ!』「私への過大評価、このビンタ
一発で許してあげます。」「親に代わってのしつけ、感謝しておこう。」「いえいえ、教師として当然のことですよ。」
「では当初の目的を達せさせてもらおう。・・『ヴォイド』、一手所望。」こく。「よろしいでしょう。」
『えっ!』「学園長?!」「皆さん、下がってなさい。」「あんたもういいトシでしょ。錆びてるんじゃないの?」
「さて、どうでしょうか。」チャリッ。「!・・妖刀『七つ夜』。」ザザッ。「?・・アルクエイド、あなたが
退くとはどういうことです?」「・・あの短剣の恐ろしさはよく知ってる。全治三日も食らったんだから。」
ぎょっ!「あなたが三日も!・・さすが伝説の代行者『空ろなる境界-ヴォイド-』。」「楽しみましょうか。」
ザザッ。「むう・・」「どうしました?そちらからどうぞ。」「・・(スキだらけのようでいて、その実打ち込めば
致命的反撃が来る・・さすが『ヴォイド』。)」「・・では、こちらから行くぞ。」はっ!フッ・・ボオッ!
「なにっ?!」ヒュン!ガキイイイイーン!「ほう、さすがアンデルセン。堕ちたるとはいえ良い反応速度だ。」
「学園長の・・口調が変わった。」「『ヴォイド』は二重人格。ふだんは慈愛に満ちたシスターだけど、戦闘時には
第二の人格・・すなわち冷酷非情・残虐無比の殺人鬼『死喜』が出てくるの。」「死喜・・噂には聞いてましたが。」
ギギギギ!「老いてなお壮健か、『死喜』。」「代行者に年齢はあまり関係ないさ。それに『ヴォイド』の意味を
まだ知らないだろ?」「・・なに?」フッ・・がくっ!「なっ?!・・!」ぴたり。「あんたの死点はここ。」
「お姉さま、死点って?」「生物・非生物に限らず万物の気の流れの中枢というべきかしら。そこを破壊すれば
どんなバケモノも即死・・というより、破壊されるといわれるわ。」「経絡秘孔みたいなもんですか。」
「・・突け。」「いや、お楽しみは『第七』にとっておくさ。」すっ。「ふう・・さすが『ヴォイド』、己が身を
空虚と為し、あらゆる物質を透過する・・モレ=インター能力。」「加えて霊的ダメージを与える妖刀『七つ夜』と
それを操る超絶の剣技・・マジでケンカしたくない人間のうちの一人よ。」「さすがは学園長ですね・・」
チン。「・・では、これでお引取り願えます?」「・・そうだな。」くるっ。カツカツ・・ぴたっ。「シエル。」
「・・はい。」「また明日、な。」ニイッ。「はい。また明日にお会いしましょう・・」カツカツ・・フッ・・
大戦艦ヴァルハラ。「おやおや、面白いことになってきたね。」「師弟と親子の相克か。複雑な人間関係だな。」
「そうじゃないよ。あの手の人種に昼メロを期待するほうが無理だって。戦うとならば一片の躊躇も無いだろうね。」
「では何が面白いのでしょうか。」「真祖たちだよ。まさか代行者機関の先生になるとはまさに想定外の事態だね。」
「あの学園長、かなりの人物やな。仇敵にあないな突拍子もない提案をするとはな。」「情報によると、かつては
機関でも指折りの実力者だったそうです。あのアンデルセン神父が認めるほどの。」『なぜ引退して教育者に?』
「教育システムの充実による機関の強化、そこだろうな。」ぱしっ。「でも機関は弱体化してるのが現実だよ、
なにより人材不足で。」「それは無能な上層部が代行者を使い捨てにしてるからだよ。これじゃいくら優秀な
人材を送り込んでも、使う側がアホならたまったもんじゃないね・・そっか、そういう手もあるか。」「幽音?」
「うふふっ、ちょっと面白いこと思いついたよ。エリーちゃん。」「はいはい悪だくみですな、お代官さま♪」
「耳を貸せ、越後屋。」ひそひそ。「・・なるほど、お任せを。」「よきにはからえ。」『ノリいいね。(-_-;』
黒薔薇の館。「・・シエル様はお許しになったけど、私たちはまだ断を下してないわ。」「私情により代行者を
狙うとは、我が校生にあるまじき重罪ね。」「市中牽き回しの上、打ち首獄門だね、時代が時代だったら。」
「・・いかようにもお裁きに従います。」「その前に・・誰か弁護したい人、どうぞ。」「はい。」さっ。
「祐巳?」「いいでしょう。話しなさい、『獣の数字』。」「可南子ちゃんは自らの手で変わり果てた父親を
葬りたい一心で志願したことは明白です。全ての言動はそこに集約します。むろんこれは我が校を代表する
立場としては、許されないものであります。」「ここまでは弁護になってないわね。・・まあいいわ、続けて。」
「しかしその執念が大事です。目的を持った者は強い・・成就するため、死に物狂いで勝ちぬくでしょう。」
『ほう・・』「・・いいわね。」「いい視点ね。」「ならそのセンでいくかい?」「『スカイ=ハイ』に聞きます。
戦わずして罰を受ける、死んだ気で戦い抜く、いずれを選ぶ?」「戦場に散るが代行者の本懐。前のめりに死すこと、
私は望みます。」「よろしい。ならばその証を示しなさい。・・『獣の数字』。」「はい。」「あなたがグラン=
スールとなり、彼女の行動の責任を負ってください。」「えっ?!」「かしこまりました。」「スールの儀式を。」
ザッ。ちゃっ。「我、『獣の数字』祐巳は『スカイ=ハイ』可南子をプティ=スールと成す。」「我、『スカイ=ハイ』
可南子は『獣の数字』祐巳をグラン=スールと成す。」「この絆の短剣で我が血を示す。」すっ、ぴっ。トロリ・・
「この絆の短剣で我が血を示す。」すっ、ぴっ。トロリ・・「我は誓う、血族より深き慈愛を妹に。」「我は誓う、
血族より高き尊敬を姉に。」「姉は妹を導き、」「妹は姉を支える。」がしっ。『血と血を交え、スールの契りとす。』
チャッ。「この短剣は我が分身。」「絆の短剣、お預かりします。」ぱしっ。「よろしい。新たなスールの誕生よ。」
ザワザワ・・「やったね可南子!」「形はどうあれ、収まるべき所に収まりましたわ。」「・・瞳子、ごめん。」
「別に謝られるおぼえはありませんわ。わたくし、どういう顔してます?」「おや、意外とスッキリしてるね。」
「でも・・」「中途半端が歯がゆかったのですわ。」『可南子ちゃーん。』「ほら、祐巳さまが呼んでますわよ。」
「うん・・じゃ。」タタタタ・・「・・瞳子、胸貸そうか?」「・・乃梨子さんの洗濯板ではケガしますわ。」
「言えた胸か。」ぺたぺた。「なっ!・・な、ななななんて破廉恥な!」「?・・ほとんど死語だぞ、そりゃ。」
学園長室。「・・あなたが来るとは、また何か企みましたか。」♪チリーン。「ご挨拶だね、『ヴォイド』。」
「事実でしょ。この学校を、いえ、代行機関を創ったときも。」「そして組織は新陳代謝しないと壊死するよ。」
「なるほど・・ここに移すつもりですね。」「幸いにいま本部は空っぽ。大掃除はこちらでやるから。」
「確認するまでもないとは思いますが。」「睨下は承知のうえ。でも何も知らない・・そういうことで。」
「それも一興。あなたのオモチャですからお好きなように。」「で、新装開店の打ち合わせなんだけど・・」
その頃ネオヴァチカン。「ここが神罰代行機関本部ね。」カツカツ・・「むっ?ここは関係者以外立ち入り」
「どいて。」すっ、ぽん。「?・・なっ!」ピキピキ・・カチン。ユラ・・ガッシャアアアーン!「何だ?!」
「衛士が!」「曲者だ!」ドカドカドカ!「スイス傭兵団か。無益な殺生はしたくないけど、火の粉は払わなきゃ。」
ジャキジャキッ!「何者だ!」「狂気の錬金術士・エルフィール。目的は神罰代行機関首脳部の皆殺しよ。」
『?!』「よってあなたたちは関係ない。死にたくなければどきなさい。」「女一人で何を」ぽん。ピキピキ・・
「なにっ!・・腕が!」「全身石にしてほしいの?あの人のように。」「ば・・バケモノ!」「ボキャブラリィが
貧困ね。せめて魔女とか言ってくれなきゃ。」「・・殲滅!」ドドドド!「あーあ、しょうがない・・っ!」
ヒュッ!・・ボオッ。『?!』「邪魔するあなた達が悪いのよ。罰として、そこに立ってなさい・・永劫に。」
ピキピキ・・カチン。「生体珪素変質グローブ『メドッサ』、使えるね。血も出ないし静かだし。」カツカツ・・
ボゴオオーン!「なんだ?!」ザッ。「神意が下ったわ。教義を守るため、愚昧な背信者を排除せよと。」
「キサマ、ここをどこと」「うるさい。」ぽん。ピキピキ・・カチン。「なっ!・・どこの者だ!イスラムか、
邪教の徒か!」「背教者に名乗る必要もないけど、冥土のみやげに教えましょう。・・大天使ガブリエル。」
ぎょっ!「・・十二使徒!」「神命。代行機関、徹底的に掃除せよ・・神意執行。」すっ・・「うわあああっ!」
「・・ヴァチカン美術館にまた所蔵品が増えるわね。ま、鑑賞に耐えなくてお蔵入りだろうけど・・」ニイッ。
「・・ええはい、勅命によりこちらに引き継がれました。これより本部はここ聖ガブリエル女学園に置かれます。
指令および連絡はこちらで・・そうですか、それはなにより・・では、聖霊と子の御名において。AMEN。」ピッ♪
「予想より混乱は少なかったですね。」「そりゃそうでしょ。現場叩き上げのあなたの方がいいにきまってるし。」
「きつい現場ですしね。・・まあ、いいほうに転んでよかったとしましょう。」「だよね。よかったよかった♪」
次の日、講堂。ザワザワ・・「いきなり全校集会とは何があったのかしら。」「黒薔薇会にも事前に知らされない
なんて、初めてね。」「なんか・・イヤな予感がするね。」「壇上に先生方か・・おや、シエル様もいるよ。」
「真祖の一族もいるわね。」「あ、学園長です。」『皆さん、大事なお知らせがあります。昨日、ネオヴァチカンの
本部は解体されました。』ドヨッ!『でもご心配なく。機関自体は存続します。新たな本部は・・我が校です。
そして勅命により、わたくしが司令職を任されることになりました。』ザワザワ!『この異動により、本日をもって
わたくしは大司教(アルキエビスコプス)に昇進しました。』オオッ!「大司教って・・睨下のすぐ下じゃない!」
「ネオヴァチカン全戦力を動員できる、事実上の最高司令・・」「よくわかんないけど、すごいことになったね・・」
「・・瞳子、何かつかんでない?」「ありますわ・・昨夜、機関本部に賊が乱入。警護のスイス傭兵団はもとより、
機関上層部を皆殺しにしたそうですわ。」「賊って?」「有会打とか?」「いえ。・・若い女性ただ一人。」
「それで全員を?!」「はい・・犠牲者は石化してたそうですわ。」『石化?』「・・ゴルゴンとでもいうの。」
『よってこれより校内がいささか賑やかになりますが、新たな先生たちも来られたし、前途は明るいです。
ではここからは生徒会にお渡しします。』ざっ。「お受けします。・・学園長の昇進を祝し、校歌斉唱。」
『♪光る短剣 誓いの証 異教徒裁く 不惑の刃♪』『♪神意執行 主の名のもとに 必殺 聖なる鉄槌を♪』
「迷える子羊に安らぎを、狼の牙に休息を。」 『そして悪魔に膺懲の一撃を。』
『♪戦え倒せ 邪教の使徒を ここは聖女戦士の園 聖ガブリエル女学園 Kyrie Eleison AMEN!♪』
「へえ、勇ましい校歌だね。」「甲子園では歌えませんわね。」「女子高なのでそもそも出場しませんが。」
「こういう雰囲気は初めてです。」「あっはー♪学生もやってみたいですねー。」「外見的には可能ですけどー。」
「ん?・・シエル、どしたの?」わなわな・・「これほどの激動が・・いったい裏で何が起きてるのです。」
「いろいろ起きてるのは確実だろうね。でもいい方向に転んでよかったじゃん。」「そういう問題ではありません。」
「なら聞くけど、前のままの方がよかった?」「う・・いいえ。」「じゃあ一件落着ということで。つまらんこと
悩んでると、午後の試合にさしつかえるよー。」「・・いかんいかん、そうでした。平常心へーじょーしん。」
『では今日は特別記念日として、通常授業はお休みとします。』オオーッ!『その代わり、午後一時からの
シエル先生のファイトの応援にみんなで行きましょう。』「ええっ!」『こんなこともあろうかと、チケットを
全員分用意しておきました。あとで学級委員から受け取ってください。』「ちょ、ちょちょっ!学園長!」
『それではシエル先生にお言葉をいただきましょう。さ、どうぞ。』「ほれ行け!」げしっ!「とととっ!」
ワーッ!ぱちぱちぱち!『・・えっと、あの、その・・』『あーあ、柄にもなくキンチョーしちゃってまあ。
あの「第七」のシエルもこーゆー場ではシロウトさんってか?』『あ、あなたに言われる筋合いはありません!』
『まあ3cm負けてて4cm勝ってる身じゃこんなもんかもね。』『ど、どこが4cmですか!たった3.5cmです!』
『あれ?前に3cmって言わなかった?』『ぐっ!・・』『あーわかった。ガンダム長屋に住みついてから太ったな。』
『・・てめえ今日こそ地獄に蹴落としてさしあげますわ!』ジャキッ!『おっ、やっぱそうこなくっちゃ♪』
どたばた!「あの二人もよく飽きませんわね。」「犬猿の仲の典型ですね。」「あの程度はじゃれ合ってるレベルです。」
「あっはー♪園長先生は大喜びですねー。」「うんうん、それでこそのお二人です。」「・・さすが最高司令。」
ワーワー!「さて、今日の第二試合はイスカリオテガンダム対パラディンガンダムです。」「実況と解説はいつもの
二人や。」「この試合、シスター・シエルの挑戦により決まったそうね。」「情報によると、対戦相手はシエルはんの
かつての恩師らしいで。」「あれ?どっかで見たようなシチュ・・あ、あの師弟か。」「あのバカ師弟はいがみあい
ながらも互いを気づかっとったけど、こっちはどんなんやろな。」「ここでCMです。・・紅蘭、コメントが硬い。」
「しょーがないやろ!アンデルセンの名前出せんもん。もー、ストレスたまりまくっとるわ!」「わかるけど~。
プロならちゃんと仕事しなさいよ・・ん?」「なんや?」「観客席。なんかいつもと違わない?」「どれどれ・・
あ、あれかー。でっかい黒いカタマリ。カメラビットで見てみよか。」「・・女学生の大集団?修学旅行かな。」
「うんにゃ、あの制服は新橋のガブ女や。いわゆる校外実習とかいうんちゃうか。」「・・あ、そういえば。」
がさがさ。「あった。・・BGF参戦登録してるわ、あそこ。」「なんやて?!」「来週の予定カードに載ってるわ。」
「どれ!・・11体も出るんか?なんとまあ、よう参戦許可されたもんや。」「それがけっこーウラあったり。」
「どういうこっちゃ?」「未確認情報だけど、ローマ法王の推薦状が出たそうよ。」「なっ?!・・それほどの
お方からなら、委員会も無碍にはできんわな。」「もちろん適正検査もやったけど、全員合格。ファイトできる
基礎能力および格闘技術は及第点。」「やが所詮は学生や、一線級のプロファイターや現役軍人やらゴロゴロおる
BGFで、どこまで健闘できるかいな。」「紅蘭らしくもない。そういうアマチュアの大金星、何回見てきたの?」
「あ・・そやな、たしかに。」「たとえプロでも一瞬の差でシロウトに敗れることもある・・それがBGFよ。」
観客席。ワーワー!『うわああ・・』「こーゆー場に慣れてないんだね、みんな。」「一部を除いて、ファイトとは
無縁のお嬢様がほとんどですから。」「代行者のタマゴがそれでは問題ですわよ。」「世間の風にも当たらないと、
いざ実戦では使い物にならないものです。」「はい、黒薔薇会も同様の懸念を持っております。卒業生の殉教率が
他に比べて高めなのは、それも一因かと。」「純粋培養は言い換えれば井の中の蛙です。外へ出たとたんに環境に
適応できなくなるのは必然かと。」「やっぱり、幅広く見聞を積んでおくことが、人生で一番大事ですよー。」
「そっか、それでBGFに。」「大きな理由の一つではあります。」「にしても、葬式来てるわけじゃないんだから、
もーちょっと明るく楽しくできないの?」「ご心配なく。ほらあれ。」『ん?』「シエルさま、ファイトー!」
「恩師への恩返しと思って、ぶち倒せー!」「・・乃梨ちゃん、よろしく。」「可南子!」「準備いいわ。」
「いち、にの、さん!」『いっせーの!』バン!バサササッ!「シエル様、大校旗が見守っています!」ググッ!
『おー。』「でっけー!」「やっと応援団らしくなってきましたわ。」「祥子、令。」『ははっ。』ザザッ。
♪キャーッ!『祥子さまー!』『令さまー!』「シエル先輩の勝利を願ってー!」『フレー、フレー!シ・エ・ル!』
「静、応援音楽を。」「音楽室からシンセサイザーを持ってきたわ。瞳子ちゃんサポートよろしく。」「うわー、これ
モーグの初期型の骨董品ですわ。」カチャカチャ。「プラグとつまみだらけで、電話交換手の気分・・っと!
パイプオルガン音、プログラムいいですわ。」「トッカータとフーガ。」♪ティロリーン!タリロリロッリーン!
ザッ。「待ちこがれたぞ、この時を。」「・・ついに来ました、この時が。」「さあかかってこいシエル。俺に
強くなったお前を見せてくれ。」「ご恩返しをさせていただきます。降臨、イスカリオテ!」「来たれパラディン!」
『ガンダアアームッ!』♪パチン!ギン!ドドドド・・『バーニング・ガンダムファイト!レディー、ゴー!』
「バヨネット!」ジャッ!「黒衣聖母!」シュッ!「シェアッ!」「はあっ!」ヒュドドドッ!ガキキキーン!
『おおっ!』「双方の投剣が中央で激突!」「二人ともなんちゅう精確さや!」「セイ、セッテ、オッタ!」
「ナノ、デッカ!」パキキキーン!「・・まだ続く?!」「どんだけ持っとんや、どっちも!」カラカラーン!
ゴォォォ・・「弾切れ、ですか?」「そっちもな。」「・・回収しませんとね。」ふっ。「そうだな。」ニイッ。
ジリ・・ダッ!「両者、同時にダッシュ!」「・・どう動く?」ゴオオオーッ!『・・!』ガキイイイーン!
『いった!』ガギギギ!「予備がありましたか。」「考えることは同じだな。」・・ギィン!「シイッ!」ゴッ!
「なんの!」スッ、ビュオン!「ダッキング?!」「もらいました!」ズバアアアアーン!ボトッ「ぐっ!」
「パラディンの右腕が落ちた!」「勝負ありました。ギブアップを推奨しますが。」「・・そうかな?」ひょい、
グッ、シュゥゥ・・『なっ!・・』「・・自己修復?!」わきわき。「元通りだ。」「ここで使うなんて・・」
「お楽しみの前には取るに足らぬこと。さあ続けようか!ダブルハルバード!」ジャキジャキッ!「シエアッ!」
ブオッ!「速い!」さっ、パキイイイーン!「黒衣聖母が?!」ザキイッ!「うわああーっ!」ズガガガーッ!
『ああっ!』「直撃だ!」「レフェリーのカウントが入るわ!」『ワン、ツー・・』「・・応援だ!全員起立!」
『はい!』ザザッ!「四部編成で、校歌斉唱!」「交響楽プログラム、スタートしますわ!」♪ジャジャジャーン!
♪光る短剣 誓いの証 異教徒裁く 不惑の刃・・「校歌やて?」「まるで高校野球ね。」「・・なるほど、資料に
よると、シエルはんはガブ女卒業生や。」「それで在校生が応援に来てるのね。しかしよく響く合唱ね~。」
「完璧な四部コーラス編成やから、ユニゾンよかよう響くんや。伴奏のシンセオケもプッシュしとんな。」
バヂバヂ!「くっ・・これほどの威力とは・・ん?」♪戦え倒せ 仇(あだ)なす敵を・・「・・校歌?」くいっ。
♪ここは黒き薔薇の園 聖ガブリエル女学園 Sanctus Dominus AMEN!♪「・・やれやれ、これじゃおめおめ負ける
わけにいかないじゃないです・・かっ!」「エイト・・ナイン・・おっ!」ググッ・・ザン!ぐっ。「セーフ!」
ワアアアーッ!「立った!シエル様が立った!」「よーし!ここから大反撃だ!」「お姉さま、ファイトー!」
「フハハハ!よく立ちあがった、わが愛弟子よ!」「後輩たちの声援が私に力をくれました。これがあるかぎり、
私は何度でも立ち上がれます!はあああーっ!」ギーン!「ハイパーモードか。よかろう!」「セット!」バチン!
パタパタン、がしっ。「七つの大罪!」ジャキーン!「おおっと!イスカリオテ、切り札のパイルバンカーだ!」
「わかっていると思うが、それはもう見切っておるぞ。」「そうでしょうね。」にっ。「・・なに?」ぴくっ。
「私はギアナ高地で修行し、新たな技の数々を会得しました。それが!」ゴッ!ズドオッ!「バンカーを地面に?」
「ゲート・オブ・インフェルノ!」カッ!ズガガガガガーッ!「なんと!」「地割れが走る!」「いかん!」
ダーン!・・ボオッ!「なっ?!」「イスカリオテ、パラディンの回避を読んでた!」「はああああーっ!」
ドババババッ!バゴバゴバゴ!「どおおおおっ!」「せいやあっ!」バキイイイーン!「うおおおおーっ!」
ズガガガガーッ!・・ザシャアッ!「聖拳技・ダモクレス。」「ぐっ・・なかなかだ。だがまだ浅いな。」
「誰がこれでおしまいと言いました?とっておきがまだあります。」ジャキッ!「七つの大罪?この間合いでは
とどかぬぞ。」「・・光あれ!」キィィィ・・「な・・なんだ?!」「バンカーに光が?」「・・まさか!」
「滅せよ!クルザーデ・レコンキスタ!」ズドオオオオーン!「なあにいいいいーっ!」『・・バスター砲!』
ズバシャアアアアーッ!「うおおおおおーっ!・・」ズガガガガーン!ゴォォォ・・「・・神意達成。」ガシャッ!
「師父・・ん?」ゴォォォ・・ざっざっ。「・・師父?!」「なんとか脱出できたぞ・・見事だった、シエル。」
「ご恩返し、させていただきました。」「満足だ。」「勝負あり、イスカリオテの勝利!」さっ。ワアアアーッ!
『勝ったーっ!』ワアアアーッ!「勝利を祝ってー、ハレルヤ斉唱!」♪ハーレルヤ!ハーレルヤ!・・
「見事な戦いだったね。」「これで生徒たちの初陣にも勢いがつきます。一般生徒さえも熱狂してましたし。」
「ははあ、そこの狙いもあったわけね。」「もちろんです。で、言う必要もないとは思いますが。」「なに?」
「もしリング上で生徒たちと当たっても、遠慮なくぶちのめしてくださいね。手加減は教育に悪いですから。」
「むろんのこと。いったんリングに上がれば、今の試合みたく、師弟だろうが関係なし、倒すべき対戦相手よ。」
「よかった。下手に手を抜かれたりすると、いかにあなたでも不覚をとるかもしれませんし。」「え"?・・
やっぱあんた性格悪いよ、『ヴォイド』。」「あらそうですか?」くすくす。「ま、機関司令にはもってこいか。」
高輪・カレーの「シエール」。(実在します)「えっと、次は五倍と十倍を三皿づつ、それと揚げたてカレーパンを
十個くださいな。」「か、かしこまりました・・」「・・負けた罰がカレー屋一日貸しきりとは面白いな。」
「ご相伴にあずかってまーす。」「ここのカレーおいしいですね。」「神父は食がすすまんようだが?」「お前らは
シエルを知らんからそのように気楽でいられるのだ。」「どーゆーこと?」「見ておれ・・すぐにわかる。」
六時間後。「次は激辛カレーパン2ダースで。」「は、はい・・」『うげ~・・』「もう付き合えない~・・うげ。」
「信じられない・・まったく休まず食べつづけてるなんて・・うぷ。」「ぐ・・人間じゃない。」「クククク。
世の中にはまだまだ面白い人間がいるものだ。」「人でなしだからか、人に興味があるのは。」「かもしれんな。」
「あの・・次でラストオーダーですが。」「もうですか?ではお持ち帰りカレーパンを二十個。」『だあああーっ!』
君たちに最新情報を公開しよう。
主の名のもとに集う戦乙女たち、黒薔薇会いよいよBGFに登場。
第一の花は「ゴモラの怒り」由乃、対するは「審判の剣」ヨーコ・クサナギ。
巨大斬機刀「鬼平」を振るうサイボーグの圧倒的なパワー。
だがヨーコも名うての豪剣士。強敵を前に神刀「風林火山」が吼える!
次回、バーニングガンダムファイト激闘編 第16話
「ゴモラの怒り!火花散る大剣撃」へ、バーニング・ガンダムファイト!レディー、ゴー!!
これが勝利のカギだ!(薩摩示現流奥義・陣馬斬り)