ガンダム長屋。ガヤガヤ。「レイン、どうした?」「あ、ドモン。BGF実行委員会から緊急通達が来たので、掲示板に
貼り出したとこなの。」「なになに・・『新橋・ガブリエル女学園で進行中の状況に関し、BGF委員会は法皇庁の要請に
より、関係者以外のファイターの関与を禁止することを通達する』・・どういう意味だ?」「すなわち、戦闘状態に
なっても、一切関与まかりならん・・というお達しでござる。」「?・・まだよくわからん。」「ほら、ここんとこ
あの学校でいろんな騒ぎが起きてるでしょ。」「そうらしいな。なぜかニュースにはならないが。」「報道管制ですよ。
どうやら一連の騒動には、デビルガンダムを擁する組織が関与しているために。」「デビルガンダムだと?!」
「はい。デスアーミィやDG細胞によるミュータントなどが確認されているそうです。」「・・ちょっと行ってくる!」
「ダメよドモン!委員会通達は絶対よ。もし違反すれば出場停止処分は確実よ。」「知ったことか!」ダッ!
「ドモン!」「レイン殿、放っておくでござる。どのみち女子高には立ち入れはせぬ。」「あ・・そうね。」
全校集会。『では皆さん、これより我が校史上最大の作戦「リザレクション」を発動します。学級担任は書類を。』
バサバサ。ザワザワ!『細かい計画は書類に書いてありますので、ここでくどくど申しません。ただちに解散し、
計画の実行にかかってください。黒薔薇会は計画推進管制をお願いします。では解散。』『AMEN!』ドカドカドカ!
「私・聖・祥子・令・祐巳・由乃・乃梨子で管制、江利子はあとのメンバーを指揮して館の移転作業にとりかかって。」
「えっと、志摩子ちゃんと瞳子ちゃんは書類の圧縮、私・静さん・可南子ちゃん・名無ちゃんで備品の移動を。」
新橋・ガブ女前。タタタタ・・「ここか。」ダッ!バシイイイーン!「なにっ?!」ザザザーッ!「・・バリアだと?」
『あら、ドモンじゃん。なにやってんの?」はっ。「・・アルクエイド。」「ここは女子高よ。正門どころか周辺は
性別識別バリアで保護されてて、特別な許可が無いかぎり男性は入れないの。」「そんな・・アルクエイド、どうにか
入る手はないか?」「入ってなにするの?」「それは・・」「やっぱ何も考えてなかったね。たく、これだから。」
「情報が欲しい。いったいここで何が起きてるんだ?」「・・いいでしょ、詳しく話したげるから、まず城へ。」
アーネンエルベ城。「・・破壊神・幽音か。そんなヤツがデビルガンダムの黒幕とは・・」「いまどき知らないのも
かえって珍しいかもね。てなわけで、前のウルベみたいな小悪党どころじゃないわ。」「ならばこそ倒さなければ!」
「頭を冷やしなさい。相手は神に等しい存在、配下は超強力・・ドモン一人でどうこうできるような敵じゃないわ。」
「く・・ならばどうする!」「まずは見てなさい、今起きている状況を・・わたし達も学園長から手出しを厳重に
禁じられてるの。何があろうと生徒たちを信じろと。」「・・勝算は。」「さてね・・でもさ、からめ手はあるよ。」
「なに?」「学校敷地内は手出しできない。・・けど、そうでなければ?」はっ。「・・そうか、その手がある!」
大戦艦ヴァルハラ。「・・トパーズ、できた?」「できたかしら。でも私の美学には合わないかしら。」パチッ。
ゴォォォ・・「重爆撃仕様デスバーディ、通称『デスボンバー』一個中隊50機かしら。」「爆弾積載量は?」
「誘導爆弾8トンかしら。全部で400トンになるかしら。」「B-52だと16機分・・じゅうぶんね。」「学校ひとつに
戦略爆撃とは恐れ入ったかしら。」「前回ので思い知ったはずよ・・小手先の策では落とせない。大規模攻撃こそ
解答の一つよ。」「戦略としては正しいかしら、けどやっぱり気に入らないかしら。」「入る入らないの問題じゃない。
要はいかに効果的に攻撃するかよ。」「まあいいかしら。ついでに爆撃機母艦MA『ギガント』も造っておいたかしら。」
パッ。「へえ・・こっちはいかにもトパーズね。」「自動換装システム搭載かしら。爆撃仕様から対空・対地・対MSと
十数秒で一個編隊を換装できるから、ミッドウェーにはならないかしら。」「反撃のヒマなんか無いと思うけどね・・」
ガブ女。バタバタ!【全生徒は計画に基づき、備品の移送を進めてください。】「忘れ物は無いように!おそらく
取りに戻るのは不可能ですので!」「誰よ教科書机に入れっぱなしなのは!」「あ、こんなとこにあった。」
「机も椅子も放置してかまいません。速やかに新校舎へ移動してください!」【残り一時間です、急いでください。】
「新校舎への入り口はこちらでーす!」「重力スライダーになってるので、そのまま飛び込んで。」『え~・・』
「だーっ!後ろつっかえてるから、とっとと飛び込め!」げしっ!『うわわっ!』シャアアアーッ!「はい次!」
黒薔薇の館。ドタバタ!「物置きの中身どうします?」「必要なものだけ移して、あとは放置でいいわ。クーラーは
もったいないから、誰か持って帰りなさい。」「あ、祐巳さま予約済みです。」「・・おっと、卒業写真を。」
ウィーン。「はい次!残りは?」「・・あと120枚よ。」「こーゆーのをドロナワというんですわ!事前にデジタル化
しとけっての!」ウィーン。「・・ざっとキャプっとけば、校正はあとで落ち着いてからゆっくりやればいいわ・・」
「瞳子ちゃん。」「あ、はい、江利子さま。」「非戦闘員のあなたに、このアタッシュケースを預けるわ。」ゴトン。
「これは?」「全員のティーカップ。」はっ。「再び全員でお茶を飲めるように。」「・・命に代えて守りますわ。」
梁山泊。「艦長、ブリッジクルー総員召集とは何事ですの?」「・・理由はすぐわかります。ラーシャさん、どうです?」
「いえまだ・・?!」はっ!「感あり。方位171・距離10万。」「シルクさん、敵識別・・」「偵察霊出しましたぁ・・
なにこれ?!」「サティンさん・・」「イメージ転送しますー。」「・・なんですの、これ?」「モビルアーマーにしては
大きすぎますね・・ん?」ぴくっ。「ビロードさん、何か気づきました?・・」「サティン、下部ズーム。できる?」
「カンタンですよー。・・あれ?」『・・あれは?』「デスバーディがいっぱいぶら下がってる?」「いえ、あれは
普通のじゃないですぅ!爆撃仕様ですぅ!」はっ!「そうか、爆撃機母艦か、あれは!」「まさか・・東京大空襲?」
「いえ・・戦術爆撃です。」『え?』ぴっ。「サティンさん、この周波数へ空襲情報を・・」「りょ、了解ですぅ。」
「艦長、ただちに迎撃態勢を!」「ダメです・・このまま第三級戦闘態勢を維持します。・・これは上位命令です。」
爆撃母艦『ギガント』。ゴォォォ・・「まもなくネオ東京シティーかしら。」「・・デスボンバー三個小隊発進。
残りは空戦仕様で待機を。」「アメジスト慎重すぎかしら。全力投入すればすぐに決着つくかしら。」「いえ・・
どっか引っ掛かってるの。まずは様子見を。」「まあいいかしら。デスボンバー発進かしら。」ガコガコン。
ゴオオオーッ!「ギガントは東京湾上で待機。作戦状況をみて増援を出すわ。」「第一陣、目標まであと1分かしら。」
♪ゥウウウウウ~ッ!はっ!「・・空襲警報!」【全校生は作業を中止し、ただちに所定場所へ退避してください。
これは演習ではありません。】ドカドカドカ!「急いで、いそいでー!」「かまわないから、どんどん飛び込めー!」
シャアアアアーッ!「江利子たちは、まだ?」「見てきます!」シャッ!「あっ、祐巳!」「だいじょうぶよ、祥子。」
タタタタ・・「まだ館か・・」ガチャ。トントントン・・バッ。「みんな急いで!」「祐巳ちゃん?書類がまだキャプ
しきれてないの。」「・・あとどれだけですか?」「これだけなの・・」ドン。「とても間に合わない・・よし。
これは持っていきましょう。」「では手分けして」「量があるし時間がありません。名無ちゃん、ガンダムに。」
「あ、なるほど。」ターン。「クロムウェル発動。」ズズズズッ、ズシーン。「受け取って!」バサバサ、ドサドサ。
『シューターに運びます。』「では急いで退避しましょう。忘れ物はない?行くわよ!」シャシャッ!タタタタ・・
ゴォォォ・・はっ!「来た!」「振り向くヒマがあったら全速で逃げなさい!今はそれが目的よ!」『はい!』
ゴオオオオ!「デスバーディ改造型ね。爆装してる。」「まさかまた東京大空襲だなんて想像だにしませんでしたわ!」
ヒュルルル・・ドカアアアーン!「・・館が吹き飛びましたね。」「振り向かないで・・すぐに百億倍にして返す!」
「爆撃こちらにきます!」ヒュルルル・・「・・右へ!」バッ!・・ドカドカーン!「戻るまで時間が稼げるわ。」
シューター前。「・・来ました!」・・ドカドカドカーン!「みんな急いで!」『かまわないから先に飛び込んでー!』
「わかった!・・みんな、行くわよ!」シャシャーッ!・・「続いて飛び込め~!」『よいしょお!』ドカドカッ!
シャアアアアーッ!「はわわわ~っ!回るまわるううう~っ!」「飛び込んだ姿勢がちょっと悪かったみたいね~!」
どんがらがっしゃーん!『あいたたた・・』「ダンコ状態・・なにやってんの?」「あいたたた!足どけて足!」
爆撃母艦『ギガント』。「あら?まったく無抵抗かしら。」「・・おかしい。対空迎撃すら出てこないなんて。」
「なんにせよ作戦が順調に進むかしら。破壊率40%かしら。」「・・そうね、とりあえず爆撃続行しましょう。」
梁山泊。ドドーン・・ドカーン・・「爆撃?」「新橋方面ね。」「双眼鏡。・・あっ、あれデスバーディだ!」
「デビル軍団?」「急いで出撃しましょう!」♪ポンポンポーン。「おっと、神の声よ。」「出撃指令でしょう。」
【通達します。ワルキューレ全機発進禁止。これは最高命令です。】『ええっ?!』「なんでよ!」「大佐に!」
バン!「なんでですか大佐!」「デビル軍団の戦略爆撃を黙って見てろとは!」「だから戦略じゃなく戦術だってば。
ある場所以外には落とさんよ、たぶん。」「そういう問題ではありません!」「まあ落ち着け。・・これはバベルの
女帝の通達だ。」『バベルの女帝?』「すなわち、これは予定のうち・・ということだ。」「・・何の予定が?」
アーネンエルベ城。ドドーン!「・・うまいものです、学校敷地内にピタリ落としてます。」「こっちに落としたら
手痛いしっぺ返しあるので慎重ですねー。」「いっそ落としてくれれば、こちらも喜んで反撃しますのに。」
「幽音がしっかり釘を刺しているとようですね。爆撃コースは全てこちらへ誤爆しないよう設定されてます。」
ドガアアアアーン!「校舎に直撃が!」バラバラバラ・・「ガブ女200年の伝統もあっという間に灰燼に・・無常だね。」
「いえ、これは始まりですわ。新たな歴史の。」「不死鳥は灰の中からよみがえるのです・・より強くなって。」
ガンダム長屋。ドドーン・・ゴォォォ・・「く・・母校が燃える・・」ギリッ。「シエルさん、行かなくていいのか。」
「・・いえ、今回は耐えよとの指令です。」「・・レイン、出るぞ。」「えっ?・・どこへ?」「校内はダメなんだろ。
ならば校外へ出たものなら、おとがめなしだ。」「それは詭弁よ。・・って、言ってもムダね。」「そういうことだ。」
「待ってください。」『シエルさん?』「今回は見守ってください。我が校の反撃がじきに始まります。」「反撃?」
「でも校舎まで吹っ飛んだみたいだけど。」「反撃するなら、もうかかってるはずだ。」「・・これからです。」
ゴォォォ・・「破壊率100%かしら。作戦終了かしら。」「・・おかしい。こんなに簡単にいくはずがないわ。いったい
何を考えて・・?」サァァァ・・「・・あの光は?」「瓦礫の中で何か光ってるかしら?」【・・フィアトルクス!】
ドオオオオオーン!『うわっ!』ドカドカドカーン!「な・・なに?!」「デスボンバー二個編隊・・爆散?!」
ガンダム長屋。ドオオオオーン!『うわっ!』ビリビリビリ!「な、なんだこの轟音は!」「一瞬の閃光・・そうか、
高出力レーザー、しかもとてつもない出力のものが空中を走ると、ちょうどカミナリのような轟音が起きるわ!」
「レーザーだと?・・だがこれほどの轟音とは。」「ええ・・おそらくギガワット出力、しかもスィープしてるわ。」
「これが・・新たなる力。」カッ!ドオオオオオーン!ビリビリビリ!『うわっ!』「な・・なんて攻撃だ!」
名出屋城。バリバリバリ!「あれが・・」「新生ガブ女の主砲『フィアトルクス』。最大射程2000km、その気になれば
衛星軌道上の目標すら当てられる超高出力レーザー砲です。」「なんてものを・・ん?」ズズズズ・・「なに?」
「いよいよ出るわ。新たなる聖ガブリエル女学園が。」「出るって・・ん?」♪Gloria in excelsis・・「歌?」
「ギガント」。ズズズズ・・「地底に・・何かいる!」「ま、まさか?!」・・ゴバアアアアアーッ!
♪Et in terra pax hominibus bonae voluntatis (地には平和を 人に叡智を)
ガンダム長屋。ドドドドド!『おおっ!』「あ・・あれはなんだ!」「あれが・・想像以上です。」タラ・・
♪Lauda mus te Benedictis te Adramus te Glorificamus te (我ら汝を讃え 祝福し 崇拝し 称賛す)
梁山泊。『おおっ!』「・・十字架?」「巨大な十字架が!」「横木が四方に?」「・・大聖塔ローゼンクロイツ。」
『艦長?』「ご存知でしたの?」「いえ、名前だけです。・・まさかこれほどのものとは、想像だにしませんでした。」
♪in gloria Dei Patris Amen (父なる主に栄光を AMEN)
「ギガント」。ゴォォォ・・「薔薇の上の・・巨大な十字架かしら?」「・・しまった!読まれてたとは・・」
「どういうことかしら?」「爆撃による破壊は想定済みだった・・かえって、新たな設備を浮上させる手助けに。」
「・・高さ300m、横木部は高度200m、長さ100mはあるかしら。」「十字架巨塔要塞・・さっきの光もこれから。」
大戦艦ヴァルハラ。『おお・・』「こんなものが学校の地下に!」「幽音さま、これは?」「・・うふふふっ。」
『え?』「あはははははっ!やるね学園長。みごとにだまされたよ!」「どういうこっちゃ?」「つまりね、私たちの
攻撃は望むところだったの。古い校舎を壊させ、地底にひそかに建造した新校舎、いえ、要塞を浮上させるためにね。」
「なんと・・」「まさかこんなものが埋められてたなんて、誰も想像しないよ。」「うふふふふっ。面白くなったね。」
メインブリッジ。「大司教睨下、大聖塔ローゼンクロイツ、浮上完了。」「よろしい。黒薔薇ガンダム発進です。」
張出部先端。ズズズズ・・『こちら一号生棟ドック、ハッチ開放よし。ガンダム射出準備よし!』「発艦指示を担当する
整備科一号生『寒山拾得』笙子です。最終確認ねがいます。」『シャカプロヴィデンス、準備よし!』『デスクロス・
ドレッドノート、いいわ。』『クロムウェル、いつでも。』「一番二番三番カタパルト、全て準備よし。ゴー!」さっ。
『いきまーす!』ドオオオオーン!「くっ!」バサバサバサ!・・「ふう・・発艦指示って、カ・イ・カ・ン♪」
「二号生・三号生・四号生発艦完了。」「第一級戦闘態勢。対空迎撃。」「バトルステーション!」♪ヒュイヒュイ!
ドカドカドカ!【全校生は持ち場の対空火器に配置してください。】「二号生棟・第31対空CIWS、配置完了!」
「四号生棟・第18対空ミサイル、オンマイポジション!」「三号生棟・第8番パルスレーザー、いつでもどうぞ!」
「こちら統合対空指揮所、全配置完了。」「では反撃です。主砲手の瞳子さん、援護砲撃を始めてください。」
塔頂部・主砲管制室。「了解ですわ。」♪ピピピピ・・「味方機配置・・敵配置・・射線軸、掃射範囲設定よし。
フィアトルクス(光あれ)!」カッ!・・ドオオオオオーンッ!ジュン!・・ドカドカーン!「四機撃墜ですわ。」
「デスボンバー、50%が壊滅かしら!」「残存機を下げて。待機中のデスアタッカー発進。敵機および要塞への
直接攻撃を。」ヒュンヒュンヒュン!「お姉さま方、敵機接近!」「空戦能力の無いガンダムは要撃に当たって。
カオス・レイダー・イージス・フォビドゥン・ドレッドノート・クロムウェルで敵機を落とすわ。」『AMEN!』
「ロサ・キネンシス!」ヒュバババッ!ギリギリッ!「チェイン・ソーン!」バリバリバリッ!バラバラ・・
「ヒュッケバイン!」ゴオオオオーッ!「ダークウイング!」ビィン!ゴオッ!ズバシャアッ!「一刀両断!」
「変型、ロサ・カニーナ。」ジャキン!ゴオオオオーッ!「ヘル・レクイエム。」バカッ!♪キィィィーン!
ボロボロ!・・「DG細胞共鳴破壊音波、よく効くわ。・・ん?」ゴオオオオーッ!グラタタタ!「当たらないわ。」
ジャキン。ゴオオオーッ!「ビームタクト。」ビィン!バカッ!ズバシャアッ!・・ドドーン!「ダ・カーポ。」
グラタタタ!「サブ・ローザ。」ガシャン。チュィーン。「この磁場は物理攻撃さえ捻じ曲げるよ。」すっ。
「雷雨!」ズババババッ!ピシャピシャアアアーン!パラパラパラ・・「落雷はジャンボ機だって落とすさ。」
「デスクロス!」ゴバアアッ!ヒュルルル・・「敵編隊包囲よし。クロスファイア!」ジャキン!「AMEN!」
ドオオオーン!チュンチュンチュン、バゴバゴオオオーン!「戻れ!」ギャルルルルッ、ガシガシーン!
「ウイング。」ズズッ、バサアッ!ゴオオオオーッ!「対空にはこれですね。」メコメコッ、テケレリリリ!
「引力光線。」シャババババッ!ズガガガガーン!「三つ首の黄金竜・・苦労して喰った甲斐がありました。」
「各棟先端を足場に対空迎撃よ。敵を対空象限に追い込んで。」『了解。』スタスタッ。「3時半、来ます!」
「まかせて。ミラー開放。」バカン。「ロサ・フェティダ!」ズドオオオーン!パパパパッ。「フィアトルクスには
負けるけど、デスアーミィ相手ならじゅうぶんよ。パルスレーザー!」シュパパパッ!ビスビスッ、ガガーン
「・・相対距離・高度よし。」チキッ。ダーン!「はあっ!」シュピィィーン!・・「三機。」シュン、パチン。
ピリッ、バラバラ・・ザシャッ。「・・フッ。またつまらないものを切ってしまった。」すぱあああーん!「あいた!」
「令ちゃん、なーにカッコつけてんの!いま取り込み中!」グッ、ダーン!「飛剣・護法童子!」ギュララララッ!
「うおおおりゃあああーっ!」ズバズバズバッ!・・ザシャッ!「・・つまらないものを切ったわ。」「由乃~。」
「ビーストモード!」ジャキン!ダーン!「そこの!」バキイイーン!「第二象限、いったよ!」『十字砲火!』
ブィィィーン!シュドドドッ!ズガガガーン!「はい次、第三象限お待ち!」バキイイーン!『まいどあり!』
「・・銀杏扇。」バババババッ。「晩秋の舞・・」ヒュババババッ!ザキザキザキィッ!「・・はっ?」ゴオッ!
「・・死魔子!」ギン!シャッ、バキイイイーン!グシャアッ!「そっちも!」ワシイッ!メキメキ・・グシャッ!
「愛染明王天弓覇!」シュパパパパッ!ドスドスッ!「天輪鈷杵!」ブン!ゴオオオーッ!ズババババーン!
「損失80%かしら!」「・・失敗ね。撤退。」「激しく同意かしら。緊急離脱かし・・?」「・・なに?」ばっ。
ゴォォォ・・「太陽の中に・・ガンダム?」『おい、そこの。聞きたいことがある。』「なにかしら?」
「デビルガンダムは・・どこだ!」ギン!「あれは!・・ゴッドガンダム!」「キング・オブ・ハートかしら!」
「答えろ。さもなくば腕づくで聞きだす!」「・・トパーズ、予備のデスアタッカーを。」ガチャガチャン。
「素直に答える気なしか。まあいいだろう・・打つまで!」ゴオオオーッ!「はああああーっ!」ズガガガガッ!
バキバキバキイッ!「・・準備体操にもならん。」・・ドカドカドカーン!「なっ!・・一撃で!」「さすが・・
ギガントの武装は?」「ミサイルとメガ粒子砲くらいかしら。」「ミサイル全弾発射。」シュゴオオオオーッ!
「フン・・ゴッドシャドー!」ボオッ。ヒュルルル・・「ば・・バカな!」「来るかしら!」「おおおおーっ!」
ズガアアアーン!『うわあっ!』グラグラッ!「ダブルゴッドスラッシュ!」ビィン!「でやあっ!」ズバアアーン!
「動力部重欠損かしら!」「これまでね。脱出よ。」シュパアアアーン!・・「逃がさん!」ゴオオオオーッ!
「追いかけてくるかしら!」「しつこい・・しょうがないか。」ぐっ。「?!・・アメジスト、まさか右目を!」
「やるしかないわ。」【待ちなさい。】はっ。「・・その声は、幽音さま!」【それを使うまでもないよ。】
ゴオオオオ!「あと少しだ!」・・スゥッ。「日陰?・・なにっ?!」ドドドドド!「・・超巨大戦艦だと!」
『はじめまして、キング・オブ・ハート。』はっ。「・・艦首に・・少女?」「私はデビル軍団総帥・幽音。」
「・・幽音!」「そう、デビルガンダムの創造主だよ。」「バカな・・デビルガンダムは父さんと兄さんが!」
「いいえ。アルティメットガンダムはもともとデビルガンダム化するよう遺伝子レベルでプログラムしてたの。
カッシュ博士もキョウジさんもまったく悪くない。ウルベが介入するまでもなくデビル化は時間の問題だったの。」
「・・俺たちは利用されたわけか!」「いいえ。ゼット・・オロチ細胞を平和利用しようとしたことは立派よ。
でも開発チームの思惑以上に、それは手に負えないものだった・・核と同じようなものね。」「そんな!・・」
「憎むなら私を憎みなさい。私は少々のことではやられないから、ウルベなんかより手ごたえは保証するよ。」
「・・うおおおおーっ!」ゴオオオオーッ!「猪突猛進・・それでこそキング・オブ・ハートよ。でもね。」
「・・はっ?!」ゴオッ!バシイイイーン!「くっ!」「・・激昂してても不意はつかれんか。さすがだ。」
ギギギギ!「・・何者だ!」「拳士狼と見知りおけ。そして。」ボオッ。「なにっ!・・キング・オブ・ハート!」
「そう、闇キング・オブ・ハート。」「・・師匠に聞いたことがある。闇シャッフル同盟!」『そのとおり!』
ザザッ!「・・六人!」『我ら、幽音さまに仕える闇シャッフル同盟。』「闇クィーン・ザ・スペード、ハニー。
アポクリファガンダム。」ヒュン!『闇ジャック・イン・ダイヤ、百鬼隊長ゲッツ。ベルゼルクガンダム。』ブォン!
「闇ブラック・ジョーカー、レディー・楊や。ヒューペリオンガンダム。」シュシュッ。「闇クラブ・エース、李酔龍、
サンタナガンダム。」パチン!「同じく李燕雲だよ。シロッコガンダム。」ボッ。「そして拳士狼、カイザーガンダム。」
「・・よかろう、まとめてかかってこい!」ビシイッ!『む!』「あははははは!」はっ。『・・幽音さま?』
「いいねいいね、その彼我の戦力差をまる無視した言動!それでこそ真のキング・オブ・ハートだよ!そう、戦いは
迷わないバカが勝つ。それこそ戦いの真理だよ。」「・・褒められてるのか?」「いや、むしろ逆だろう。」ぷっ!
『あはははは!』「あははは、ダメだこりゃ。面白すぎるわ。みんな、撤収。」さっ。ドドドド!・・「待て!」
『今回は顔見せだけだ。』『またお会いしましょう。』『いずれ再び。』『ほな、またなー。』『そのときを
楽しみにしている。』『次こそ殺り合おうね♪』『まったね~。』ゴォォォ・・「あれが真の敵・・デビル軍団。」
ローゼンクロイツ交差部直上階。ガラガラ。・・そっ。「・・うわ~!前よりずっと広い!」「へえ、ワンフロア
まるごと黒薔薇の館なのね。」「旧館より余裕がありますわ。」「おっ、流しみっけ。瞳子、ティーカップ。」
「割れてないかしら?」ぱかっ。「えっと・・だいじょうぶですわ。」コトコトン。「すげー、IHコンロだ。
これなら自炊もできますよ。」「おおっ!宿泊室まであるじゃん!」「専用バストイレもあるのね・・便利だわ。」
「う~ん・・新築の香り。」「ティーが入りました。」『はーい。』カチャカチャ・・「・・こうして新しい館で
お茶を飲めるなんて。」「悪夢は逆夢・・ね。」「・・あれ?ここって回転してるんですね。」「塔全体が台座を軸に
10分で一回転してるそうよ。」「これで展望台とかあれば、立派なランドマークタワーね。」『アハハハハ!』
「あるわよ?」『え?』「最上階じゃないけど、機関と学校の総合大食堂が。」「いってみましょう!」ザッ。
ターボリフト口。「・・これ、エレベーター?」「でも現在階表示が無いよ?」「とにかく呼びましょう。」♪ピッ。
♪チーン。パシューッ。「あら、もう来てたのね。」ドカドカ。【目的階を言ってください。】「え?・・音声認識?」
「展望大食堂。」パシューッ。ウィン・・【到着しました。】『速っ!』「閉まって一秒も経ってないのに?!」
パシューッ。ドカドカ。『おお~。』ガヤガヤ・・「たしかに大食堂っぽいですわ。」「・・慣性制御ですね。」
「そうらしいわね。Gををまったく感じさせない急激な加減速。たしかに戦闘施設で悠長にエレベーター乗ってるヒマ
ありゃしないわ。」「えっと・・食堂とミルクホールに分かれてますね。」「うわ、なにこのメニューの多さは。」
「・・24時間営業?ここで三食できるわね。」「お値段は・・市価の半分以下です。」「そりゃ学食だし。」
「とりあえず食事でもしましょう。戦闘からこっち、お茶しか飲んでないんだから。」「まず食券買わなきゃ。」
♪ピッ。(お財布ケータイ)【黒薔薇会の方は特別食堂でお求めください】「なんだ?」『なになに?』ガヤガヤ。
「・・特別食堂?」「・・あ、あっちにあります。」「なんでこーゆーめんどくさいことするのかね。」ゾロゾロ。
【ケータイを認識させてください。】♪ピッ。パシューッ。『・・おおっ!』「すごい・・なんて調度だ。」
『いらっしゃいませ。』「・・ウエイトレス?」「どうぞ、お席へ。」ガタガタ・・「メニューをどうぞ。」
「うわ~・・本格レストランみたい。」「・・なんじゃこのメニューは。値段書いてないよ。」「黒薔薇会は
無料となっております。」『ええっ?』「蓉子、知ってた?」「いいえ。・・学園長、これはやりすぎですよ。」
「いいじゃない。特権は使うにこしたことないわ。同時に責任もあるけどね。」「・・たしかに。責任に見合った
ものかはさておき、ここは特権を甘受しましょう。Aランチを。」「かしこまりました。」「Bランチ。」「うどん。」
カチャカチャ。「そういや蓉子、明日が対戦カードだっけ。」「そうよ。相手はジョルジュ・ド・サンド。」
「シャッフル同盟とですか。」「・・それ以前におかしいことがあるわ。本来ならお姉さまは最終カードのはず、
なぜ静と祐巳を残してこんなに早く。」「さあね、実行委員会が決めたことだから。私としても別に不満はないわ。」
「えっとね、対戦スケジュールによると、トリは祐巳ちゃんね。」「ええーっ!」「・・なんで祐巳がビックリするの。」
「いえその、なんで私がトリなのかなって。」「さっきも言ったように、苦情と文句はBGF実行委員会へどうぞ。」
(・・なんてね。最初からこうなるよう申請しておいたのよ。)(静さんは客員、そして祐巳ちゃんこそ真の・・)
「食事後にネオフランス宿舎へ挨拶に行くわ。」「あ、最新情報では、ジュルジュさん長屋にいるそうですわ。」
「そう?由乃ちゃん、ちょっと見てみて。」「はい蓉子さま。」タタッ。「・・ズーム。」キュィィ・・「いますね。」
ガンダム長屋。ゴォォォ・・「とんでもないものができましたね。」「ゆっくり回ってるんで、見てて飽きないが。」
「聖ガブリエル女学園・・もはや学生と思わないほうがいいですね。」「そのとおりですマリアルイゼ。ましてや次は
黒薔薇会筆頭、おそらく全校一の実力者でしょう。レイモンド、何か情報は?」「ははっ、ございます。どうやら
マドモアゼル蓉子は薔薇のキマイラのようです。」『キマイラ?』「生誕時、超未熟児で数ヶ月の命だったのですが、
神話植物学者の母親が娘の命を救わんものと、ゴルゴダの丘で発見した変種の薔薇のジーンエキスを投薬したのです。」
「なっ!・・なんてバカなことを!」「レイン?」「・・知ってるの。そのエキスこそ『ゴルゴダ-13』。論文では
たしかに新陳代謝に劇的な効果があるとされたけど、臨床試験は失敗。公にはなってないけど、ウワサでは患者は
薔薇の蔦まみれになって死んだって・・」「なんと・・そのようなものを。」「最後の賭けだったんだな・・そして。」
「成功しました。蓉子さまは壮健な肉体を得て、健やかに成長いたしました・・ある一点を除けば。」『・・それは?』
『そこからは私自身が説明いたしましょう。」はっ。・・シュバババッ!ドスッ!・・ギュイイイーン!スタッ。
「ごきげんよう。私が『ゴルゴダの棘』蓉子です。」すっ。「ジョルジュ・ド・サンドです、マドモワゼル。」すっ。
「明日はよろしくお願いいたします。」「こちらこそ。」ゴゴゴゴ・・「・・ちがう。これまでの生徒とは。」
「超一流ファイターと同等の気を感じるわ・・」「この方・・手強い。」「・・これは強敵でございますな。」
「話を戻しますが、それがあなたの能力ということですね。」「そのとおりですわ。・・私は独りではない。」
ザワザワザワ!『おおっ!』「全身からイバラ蔦が!」「うごめいてる・・生き物みたいに!」「あれは・・薔薇?」
「この『ゴルゴダの薔薇』は私の永遠のパートナー。いずれが欠けても生きていけない、まさに一蓮托生・・いえ、
一輪托生というべきかしら。」キュルルル・・「引きこまれた・・服の上からじゃ、まったくわからないわ・・」
「なるほど・・美しき薔薇の姫よ。騎士の誇りに賭けて、全力のファイトをお約束いたしましょう。」「よろしく。
では私の手の内をある程度お見せいたしましょう。どなたかお相手を。」「よし、俺が受けよう。」「ドモン?」
ザッ。「先手で来い。」「では遠慮なく・・」キュババババッ!「はっ!」ボボボッ、ドカカカカッ!『おおっ!』
「無数のイバラが槍のように!」「・・なるほど、制服のあちこちに隙間があり、そこから出していますね。」
ドバババッ!「直線攻撃なら回避は難しくはない!」ダッ!「接近戦に持ち込む気ですわ!」「そうでしょうね。」
ゴバアッ!シュルルルッ。「なにっ?打ち出したイバラが!」「巻き込まれるわ!」「そうはいくか!」ダーン!
ギシイッ!「ジャンプして抜けましたぞ!」「でも空中では回避できないわ。」ギャルルルッ!「・・はあっ!」
タン!「イバラを蹴って方向を!」「でやあああーっ!」ゴオッ!「ウォール。」ゴバアアッ!「イバラの壁が!」
バシイイイーン!・・スタッ。「やるな。」「一度も捉えさせないのは、さすがキング・オブ・ハートです。」
「これまでだな。・・ジョルジュ、見たな。」「はい。・・決勝リーグでも充分に通じる恐るべき実力ですね。」
「そういうことだ。しかも、まだ本当の実力を100%出し切っていない。」「それは明日にとっておきます。」
タタタタ・・「お姉さま!」『蓉子さま!』「ようやく追いついたようね。・・ではこれで。ごきげんよう。」
「オルボワール、ロサ・キネンシス。」「祥子、祐巳ちゃん、可南子ちゃん、行くわよ。」『ごきげんよう。』
「・・ジョルジュ、今のはもしや。」「はい、紅薔薇・・伝説の薔薇の女王です。」「ローゼンメイデンのこと?」
「それは英語読みですな。」「あー、でも最近はそれ別の意味のほうで有名だな。」「なんでドモンが知ってるの。」
大戦艦ヴァルハラ。『♪プリペンダー プリペンダー ふたりはプリペンダー!』「・・なにやってんの?今回みんな
ハナなら出てこないと思えば。」「いま取り込み中なのだわ。」ズズ~。「よしっ!いくですぅ、プリペブラック!」
「髑髏男なんかぶっとばせ、プリペホワイト!」「あー、ガンダムに乗ったのよ。いよいよ恒例のメカ戦なの~。」
「・・・・。」ちゅー。(ヤクルト)「・・トパーズ、なにこれ?」「いま人気の『ふたりはプリペンダー』かしら。
アイドル歌手のミーアとメイリンが主役で、スタント・CG・ワイヤー無しのガチンコバトルが売りなのかしら。」
「・・採石場?お約束ね。」「ガンダムは本物使ってるので、迫力満点かしら。」「詳しい・・トパーズも観てるの?」
「ちゃんとハイビジョンで留守録掛けてるかしら。あとでCM切ってライブラリに入れるかしら。」「はあ・・どれ。」
『ほい、ごくろーはんやったな。みたらし団子でも食いや。』『いただきまーす。』ぴくうっ!「・・この人は?」
「二人がバイトしてる甘味処『珍々快界』のオヤジで、司令なのだわ。」「・・カッコいい。」ぽっ。『え?』
大聖塔ローゼンクロイツ内・スパ。カコーン・・ザァァ・・「まさか要塞内に、お風呂屋さんまであるなんて・・」
「生活ブロックには学生寮からミニデパートまであるのよ。長期任務も想定されてるから。」「まるで戦艦ですね。」
「にしても・・祐巳さま、頭の手ぬぐい、似合いすぎです。」「スパも祐巳ちゃんにかかれば銭湯ね。」アハハハ!
「・・あら?祐巳、背中のこの痣みたいなの、なに?」「どこですか?」「ほらここ。左右対称に。」つーっ。
「ああ、小さい頃にヤケドした痕跡かも。見えないとこだし、ほとんど覚えてませんけど。」「そうなの・・」じーっ。
「けど不思議だな~。蓉子さまのあのイバラ蔦って、どこにも見えませんけど。」「普段は内蔵してるのよ。
必要なときだけ、こうやって出すの。」すっ、キュバババッ!「・・皮膚にまったく開孔しないんですね。まるで
体毛のよう・・」「近いわね。私自身も痛みとか無いわ。」キュルルルッ。「・・どこにしまったかわからないや。」
「・・・・」(祐巳の背中の痣・・なにかひっかかるわ。そう、まるで羽根があったような・・?!)くらっ。
(なに?・・何か大事なことを忘れているような。思い出せない・・いえ、これは?・・思い出したくない?)
「?・・お姉さま、顔が真っ青です!」「湯当たりじゃない?お湯から出なさい。」「は、はい・・」ザァァ・・
「祐巳ちゃん、冷水に漬けたタオルを。」「はい。」ザプザプ、ジャーッ。「どうぞ。」ぺたっ。「はぁ・・」
「祥子は低血圧なんだから気を付けなきゃね。」「はい・・(・・なに?このもどかしい感触は。まるで私自身が
思い出すことを拒んでいるような・・)」シャーッ!「ぷわっ!・・お姉さま?」「ちょっとぬるめのシャワーよ。
いきなり冷水じゃ身体によくないから。」「・・外のエステに、ヘアケアマシンがあります。そちらで乾かせば。」
エステ。ガァァ・・「はぁ・・」「お姉さま、マッサージしましょうか?ちょっと自信ありますよ。」「いえ、いいわ。」
「祐巳ちゃん、こっちお願い。」「はい蓉子さま。では。」バキボキ!ぐいぐい。「あ~、うまいわ。ツボをよく
知ってるわね。」「琥珀先生の特別講座『経絡秘孔』をとってますから。いいツボも悪いツボも教わりました。」
「・・頼むから『たわば』は押さないでね。」「おまかせください。」「・・可南子ちゃん。」「はい、祥子さま。」
ひそひそ・・(・・ええっ?!そ、そんなことできません!)(いいからやってみて。)(・・では。)ぴっ、プチッ。
(髪針。)ピン!シュピィッ!(はたして・・)トスッ。「あいたー!な、なに?」きょろきょろ。(もう抜けてる)
「どうしたの祐巳ちゃん?」「いえ、なんかいまチクッって・・気のせいかな?」(あら・・期待はずれ。)
「・・・・」(今のは手加減なしの延髄狙いの一投・・それをヒット寸前に致命点を外し、なおかつヒットの瞬間に
ベクトルを皮膚上で散らせてほとんど貫かせなかった・・)タラ・・「・・可南子ちゃん?」「・・いえ、なんでも。」
次の日、一号生教室。「たのもー。」「どーれ。・・祐巳さま、ごきげんよう。なにか?」「可南子ちゃん、いる?」
「はい。可南子!」「・・お姉さま。」「ちょっと、いい?」ぎくっ!「・・?」「・・は、はい。」カツカツ・・
「・・・・。」じーっ。「乃梨子さん、怖い顔してどうしましたの?」「・・瞳子、行くよ。」グイッ。「え?」
一号生棟ガンダムデッキ。ゴォォォ・・「・・・・。」「・・見た、ね。」「・・はい。」「あの一撃ばかりは全力で
防がないと命にかかわるからね。まあ、しょうがないわ・・聞きたいのは、祥子さまの命があったとはいえ、なぜ
致命撃を放ったかということ。」「・・私も疑念を持っていたからです。私の知らないお姉さまがいる・・それゆえに。」
「いまひとつ。なぜこの事実をお姉さまに告げなかったか。」「・・言えませんでした。だって祐巳さまは私の大切な
お姉さまだから。」「・・わかった。いい機会だから見せてあげる。そこの乃梨子ちゃんと瞳子ちゃんも。」はっ。
「・・やはりお見通しでしたか。」すっ。「可南子さんが心配なので来てみて正解でしたわ。」すっ。「あまり動揺が
無いということは、知ってた?」「たいがいは。」「見たわけではないですけど。」「いま見せるよ・・」シュルッ・・
数分後、一号生教室前。「というわけで。」こく。「祥子さまには決して。」「その時が来るまで。」「・・では。」
カツカツ・・「・・可南子、どう思った?」「・・スールになれたことに感謝するわ。」「瞳子は?」「祐巳さまなら、
地獄の底までお供できますわ。」ニッ。「うん。私は志摩子さんいるから、あとよろしく。」ばん!『いたっ!』
カツカツ・・「皆さん、何が?」「名無さん?」「祐巳さま・・そうか、見たか。」こく。「名無さんはすでに?」
「私も人でなし、同じ匂いを持つ者はわかる。・・いや、この学園では珍しくもないか。人外などゴロゴロいる。」
「そういうことですわ。」「・・かくいう瞳子も電脳妖怪だしね。」むかっ!「うっさいですわ、妖怪見越し女!」
ぐさっ!「・・人が一番気にしてることを!」「やめんか二人とも。」『うるさい、岸田劉生!』・・ぶちいっ!
「てめええええーら!ぶっとばす!」どてぽきぐしゃ!「・・親友ゲンカは犬も私も喰わん。しばらくやってろ。」
お昼休み、新黒薔薇の館。「ではお姉さまのサポートに行くわよ・・って?」「ありゃ~、どしたの?」ボロッ。
「・・ちょっとホンネの語らいを。」「まあ歳時記みたいなものですわ。」「?・・まあいいわ、行くわよ。」
同じころ、地上・呪い桜の下(爆撃でも無傷だった)。ぬりぬり。「あいたたた!」「うふふふっ。乃梨子がこんなに
ボコボコになったの初めて見たわ。」「あんの二人、こっちが手加減してるのいいことに全力でボコりやがって。」
「乃梨子が全力出したら二人とも即死よ。逆に全力じゃないと、こうまでやられないでしょ。」「まあそうですが・・
おかげでこっちも本気で殴ってやりました。」「それでいいのよ・・全力でケンカできる相手こそ親友なのよ。」
ワーワー!「さて!第三試合はチーム・黒薔薇会筆頭『ゴルゴダの棘』蓉子のソーンカオスガンダム対、ジョルジュ・
ド・サンドのガンダムロイヤルローズ!」「今回は短めやが、やっぱカオスでいくで。・・黒薔薇の頭、ご登場やな。」
「三幹部の筆頭でもあり、前の二人も認める実力者よ。ジョルジュ様でも油断すると・・」「そうなるとおもろいな。
ガンダムはどや?」「素体は空間機動戦タイプか・・あんまり変わってないみたいだけど?」「・・いや、よう見い。
全身にイバラ蔦が巻きついとる。」「ああ・・背部ユニットなんか、ほとんど樹木ね。」「・・変やな。背部ユニットは
空間機動形態用のカバーのはずや。地上戦やとジャマなだけやのに、なんで残しとるんや?」「・・何か他の用途が?」
ザッ。「よろしくお願いしますわ。」「こちらこそ。・・リングの上のあなたも、また凛々しく美しいです。」すっ。
「この紅薔薇をあなたに。」ヒュッ。「どうも。・・でも自前がありますので。」ぴっ、ヒュッ。パアアアーン!
「いくぞローズ!」「カオスいくわよ!」ギン!ドドドド・・『バーニング・ガンダムファイト!レディー、ゴー!』
「ローゼスビット!」バカン!キュパパパパッ!「伝家の宝刀・ローゼスビットいきなり投入!」「・・本気や。
短期決戦で決める気や。」ピタピタッ。「カオス、完全に包囲された!」「・・フッ。」「ローゼス・スクリー・・」
ドガガガガガーン!「なにっ!」「ビットが爆発?!」「ちゃう、迎撃されたんや。見い!」ゴォォォ・・キュラキュラ。
「・・無数のイバラ蔦が!」「・・わかったで。あの背部ユニットはイバラ蔦を全方位に即座に放てる砲座なんや。」
「ロサ・キネンシス!」ビュルルルルッ!「シュバリエサーベル!」ビュン!「はあっ!」シュパパパッ!パラパラ・・
「さすが・・でも。」・・ゴバアッ!「地下から?!しまった!」ギリギリギリッ!「うわああああっ!」ギリギリ!
「ローズ、イバラ蔦にからみつかれた!」「カオスの足元から地下に潜った蔦による奇襲や!」「ぐうううっ!」
「チェイン・ソーン。」ギャガガガガッ!バリバリバリ!「うおおおおっ!」「イバラが・・装甲を引き裂いてる!」
「まるでチェンソーや!」「・・まだです!」シュバババッ!ビチビチーン!・・ドサドサッ!「どうにか切り払った!」
「はぁっ、はぁっ・・あやうく内部まで抜かれるところでした。」「まだ始まったばかりですよ。・・ジャベリン!」
シュババババッ!「今度は直線に槍のように!」「こんなもの!」シュパッ!スパスパッ。「やはり切るわね。でも。」
ドスドスドスッ!「なにいっ!」「切り払った先端部がそのまま貫いた!」「切られてもそうなるように放ったの。」
「ぐうう・・」「ウェイト!・・ギブ?」「・・ノン!」ブン!ズボズボッ!「よかろう。・・ファイト!」さっ。
「ローズ、かろうじて復帰しました。」「やが、いまだ形勢不利やな。どうにかして近づかんと勝機は無いで。」
「・・行きます!」ダッ!「迎撃!」ヒュババババッ!「ケープシールド!」バシバシバシッ!「シールドで
攻撃を受けつつ間合いを詰める作戦ね。」「まず順当なセンではあるが・・」「一つだけ思い違いをしてますわよ。」
「なに?」ボコボコッ!キュババババッ!「全方向から!」「ちいっ!」ばっ!ガシャアアン!「ダックして避けた!」
「いまです!」ゴオオオオーッ!「いいえ。」ボコボコッ!ヒュバババッ!「!・・正面の地面から!ジャンプ!」
ザッ!ガキィッ!「なにっ?!・・イバラの天井!」「トラップや!」「あれじゃどこにも回避できないわ!」
「シールド!」さっ。バシバシッ!「それも予測済み。ソーンドリル!」キュィィィーン!ギャガガガガッ!
「シールドに当たったイバラ蔦が高速回転?」「・・あかん!」バリバリバリ!「・・シールドが!」ズボオッ!
ズドドドドッ!「ぐわああああーっ!」「シールドを貫通して直撃!」「・・くっ!」シャン!スパスパッ!
グッ。ギギギギ・・「・・うおおおおーっ!」ズボオッ!「はぁっ、はぁっ!・・これほどのものとは!」
「あかん・・まったく近づけん。」「難攻不落の薔薇の要塞・・いったいどうやったら破れるというの?!」
「く・・。」「打つ手が尽きたなら、そろそろとどめにいきますよ。カルバリ山の黄昏。」すっ、ビュルルルル!
『うわあっ!』「カオスの全身から・・無数の蔦が!」「ま・・まさにイバラの城塞や!」「AMEN。」さっ。
キュババババッ!「無数の蔦がローズに!」「あの数では切り払いも回避もできんで!」「・・見えました!」
ズババババーン!『なっ?!』「・・イバラが吹きとんだ!」「これは?・・はっ?!」・・ビュゴオオオーッ!
「なに?・・ローズの周囲に!」「あれは・・赤い竜巻?」ゴオオオオーッ!「・・そうか、ローゼスビット!」
『これぞ薔薇の鎧「ローゼス・ダブレット」!』「わかったで!周囲でローゼスビットを高速回転させ、その遠心力で
蔦をはじきとばしたんや!」「そうか!ローゼス・ハリケーンの逆用技!」「・・こんな手があったなんて。」
「参ります!」ダッ!「来させはしないわ!」ギュララララッ!バチバチーン!「そんなものでこの薔薇の鎧は
抜けません!」ゴオッ!「しまった!」シュピィィィーン!・・ザシャッ!すっ。「決着です。」カチン。・・
「・・お見事・・でしたわ・・」ズルッ。・・ガシャン。ガクン、ズズーン・・「勝負あり!ロイヤルローズ!」
タタタタ・・「お姉さま!」『ご無事ですか蓉子さま!』パシュッ。「・・あ~、ホントに首取れた気分。」
「お怪我は?」「特に無いわ。」「・・ご無事でなによりです。」「はい、お姉さま。」すっ。「?・・タオル?」
「お姉さまから蓉子さまへ。」「・・そうね。お姉さま、どうぞ。」「ありがと祥子。」ふきふき。「・・来ました。」
ザッザッ。「マドモアゼル蓉子、とても楽しい闘いでした。」「こちらこそ、いい勉強をさせていただきました。」
「あと少しで本当に負けるところでした。貴女の強さ、この身にて感服いたしました。さすがは黒薔薇の長。」
「いえいえ、私などまだまだ卒業生のお姉さま方の足元にも及びません。もっともっと強くならなければ。」
「お見事な心意気です。その向上心、私も見習いたいと思います。・・あ、のちほど戦勝祝いを送りましょう。」
「いえ、そのようなものは。」「よきファイトのできた相手への敬意と感謝です。どうかお受けください。」
新・黒薔薇の館。「・・というわけで、ジョルジュさまからいただいたのがこれ。」ぱかっ。『ケーキだ!』
「王室付きパティシエによる、本場のショコラだそうよ。」「うわ~、ホールが三つも!」「令、切り分けて。」
「・・はっ!」シュン・・パチン。ピリッ・・バラバラ。「ティーもちょうど入りました。」『いただきます。』
ぱく。『・・まいうー!』「さすが本場、甘味を抑えて素材を生かしてますわ。」「そこらのケーキ屋とはまったく
格がちがうわ。」「貴族って、こんなおいしいの食べてるんだ。」「・・生地や素材も、いいもの使ってるわ・・」
バタン。「やほー、遊びに来たよー。」『アルクエイド先生?』「おや?・・ケーキじゃん。いっこもらい。」
ひょい、ぱく。「・・。」むすっ。「先生、なにか?」「ダメだねこりゃ。出来が中途半端で、素材のいいとこ
みんな壊してる。これなら腕はそこそこでも商売で一生懸命造ってる市井のケーキ屋のほうがまだマシよ。」
「そんなものなんですか?」「そんなものなの。これ王室付きパティシエ?なるほど、宮仕えなんかのはやっぱ
ダメだね~。素材に頼りきって独自性というものがまったく無い。客の厳しい目にも鍛えられず向上心も無くしてる。
こんなもん食べてちゃ教育に悪いわ。コハク!」「はいはーい。呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん!」ぬうっ。
『うわっ!』「こ、琥珀先生、いったいどこから?」「あるじが呼んだらすぐに現れるのが家政婦の基本ですよー。」
「みんなに本当のケーキというものを教育してあげて。」「おまかせあれ。翡翠ちゃーん。」「かしこまりました。」
『わわわっ!』「翡翠先生まで?」「給仕は私の役目です。」コトコトン。「琥珀さん特製ケーキを召し上がれ♪」
『いただきます。』ぱく。「どうよ?」『・・うまいぞおおおおーっ!』「これぞケーキよ!」「さっき食べたのは
いったいなんだったの?」「変に気取らず、甘いものは甘くしてるのがいいねえ。」「うんうん、わかってますねー。」
「これがホンモノよ。うわべだけでモノを見ないで。あらゆる虚飾を剥ぎ取った本質を見るように。」『はい!』
ばくばく!「・・祐巳、もっとおしとやかに。」「はい?」くるっ。・・ぷっ!「うふふふっ!サンタクロース!」
「え?・・あ、クリームが。」「ほら、拭いてあげるわ。」「あ、すみません。」ふきふき。ぷっ!「あはははは!
今度はカーネルサンダース!」「・・お姉さま、遊んでません?」「ごめんごめん、ついつい面白くて。」ふきふき。
(そう、祐巳さまは祐巳さま。)(例え人外であっても。)(・・本質は素敵なお姉さま、それに偽りは無いわ。)
君たちに最新情報を公開しよう。
第十の花は「闇の聖歌」静、対するはアルゴ・ガルスキー。
ボルトの重装甲すら砕くオラトリオイージスの音撃。
リングに響く破滅のアリアに、アルゴの咆哮が呼応する。
一方、ジュエルズの攻撃も続く。ローゼンクロイツに迫る地底MA。
だが大聖塔には隠された力がまだあった。ガイア、眼下の敵を討て!
次回、バーニングガンダムファイト激闘編 第25話
「闇の聖歌!地に堕ちし天使」へ、バーニング・ガンダムファイト!レディー、ゴー!!
これが勝利のカギだ!(ツングースカ大爆発弾)
第25話「闇の聖歌!地に堕ちし天使」
ネオ埼玉・採石場。「プリペブラック!」「プリペホワイト!」『ふたりはプリペンダー!』ぽんぽん!(こんな音)
「はいカット!」ザワザワ。「火の粉かからんかったか?」「だいじょぶですよ。」「アスランどうだった?」
「よかったよ。爆炎の形もバッチリ。」「さすが業界に名高き『ファイアワークス』、職人芸の爆炎や。」
「当然である!」ぬうっ!『おっとお!』「わが社の技術は世界いちぃぃいーっ!できぬ爆発はなあああーいっ!」
「ならば!・・こーゆーのできます?」こしょこしょ。「ふむふむ・・すっかりわかった。消防法ギリギリであるが、
なに、監督が監督なので何とかなるだろう。監督!」「なんじゃ、ショウ殿。」「かくかくしかじか。」「わかった。
事故さえ起こさぬなら専門家の思うようにやるがよい。」「感謝する。叡智、仕掛を変えるぞ!」「はーい!」
『次は悪役の爆発じゃ。風車男のバーホーベン、よいか!』「・・オッケー!」『シーン42・カット8!』カチン!
「これで勝ったと思うなよ~!」グラッ・・ぽん。『はいカット!オッケーじゃ!』「マスター早撮りやな~。」
「BGFレフェリーのとき以外は、ほとんどこれに熱中してますね。知り合いのファイターまで呼び寄せてくれますし。」
「おかげでアクションも迫力あるわ。」「シュバルツ、ここのセリフじゃが、ちと不自然では?」『いやいや、
ここでこのセリフを入れることで、次の展開への流れを造るのだ。こうでなければ。』「左様か・・まあいい。」
「でもシュバルツさんが脚本書いてくれると言ったときはビックリしましたねー。」「どんなのになるかむっちゃ
不安だったけど、けっこー熱いホンで安心したわ。」「ちょーっと大仰な言い回し多いけどな。ま、それもメリハリが
あってえーんちゃうか。」「全体的にギャグ仕立てなのが、殺伐としてなくていいですね。会話もまるで漫才だし。」
「お、忘れとった。視聴率ええんで第二シーズンの製作が決まったで。」『おっしゃー!』「強化策として、もう一人
主役級を補強するて。」『・・だれ?』「なんやサプライズとかゆーて、プロデューサーが教えてくれんのや。」
「なんか不安だな~。」「お約束なら、幼女キャラかなー?」「そりゃバトルはさすがに無理じゃないかな・・」
新黒薔薇の館。「実は学校公認のバイト斡旋があったの。」『バイト?』「特撮番組への出演だって。」ドヨッ!
「・・もしかして『ふたりはプリペンダー』ですか?」「あー、それそれ。」『ええっ!』「すごいじゃないですか!
あれ全世界放送ですよ!」「?・・祐巳、なにそれ?」「日曜朝八時半からやってる、お子様向けヒロインものです。
主演はあのミーアさんとメイリンさん。」「へえ・・アイドル歌手だけじゃなかったのね。」「これが配役よ。」
ぱっ。「・・近所の女子高生?」「ドリアン女学院?またベタな名前だね。」「なるほど、甘味処の常連さんか。」
「店名は・・『珍々快界』?」ブーッ!『アハハハハハ!』「あはははは!なんちゅー屋号よ!」「声に出して読むと
すっごく恥ずかしいじゃないですか!」「?・・乃梨子、どこがおかしいの?」「・・わかりません?」「さっぱり。」
「これは交替でいいらしいけど、あと一つ、重要な役柄のオファーが来てるの。・・なんと主役級だって。」ドヨッ!
「午後いちにオーディションに、プロデューサーが来校するそうよ。」「もし受かれば、スターへの道も開けるかも。」
「お姉さま方、BGFに加えて、これ以上知名度が上がるのは代行者として問題ですわ。」「祥子の言い分もわかるけど、
知名度はメリットも多いのよ。ね、静さん。」「はい。どこへ行っても怪しまれず、むしろ歓迎してくれます。
例えば某武装機関の戦闘隊長など、アカデミー賞まで取ったことある有名女優ですし。」「そんな方がいたの?」
「ほら、あの・・」ひそひそ・・「・・ええっ!ま、まさかあの方が!」「驚くでしょ。恋愛ものの第一人者なのに、
ウラでは世界を相手に正々堂々戦う・・すごいお方よ。」「・・信じられないわ。」「というわけで、有名株は
使いようでは強力な武器になるのよ。」「・・納得しましたわ。」「では全員参加ということで。」「いま一つ。」
さっ。「祐巳ちゃん、なに?」「日給は?」『!・・あはははは!』「・・はい?」「もう・・祐巳ったら。」
ガヤガヤ。「静、明日だったね。」「はい。相手はアルゴ・ガルスキーさま。」「・・ブラック・ジョーカー。」
「委員会もきついカード組みますね。」「それだけ静の腕を評価してるってことさ。で、挨拶に行くんだろ?」
「午後に。オーディションには興味ありませんので。」「静は客員だからいいんじゃない?」「それに私には
表の仕事もありますので。」「・・演奏活動ですね。」「学生でもう世界レベルの声楽家・・すごいな~。」
「来週末のシドニーでの演奏会に向けて練習もしませんと。」「芸術科はタイヘンだね。じゃ、蓉子にゆっとくわ。」
「よろしく。では・・」カツカツ・・「・・静さま、ずっとお一人ですね。」「黒薔薇会にも心底打ち解けようと
しませんね。」「不器用なんだよ。」『え?』「・・あんなに聡明でらっしゃるのに。」「じゃなくて。自分から
積極的にアプローチするのが下手なんだ。だから、誰かがアクティブにかまってあげなきゃ。」「なるほど・・」
名出屋城。「というわけで、午後からオーディションに行ってくるわ。」「よりにもよって話題のガブ女ってのが、
ベタに視聴率取りなのミエミエね。」「当然よ。話題は旬のうちに使わなきゃ。」「・・変だね。表向き超お嬢様学校で
その実、代行者養成機関が、こんな話に乗るわけないけど・・ナディア、いったいどういうコネ使ったんだ?」
「いろんな人脈があるからね。それに文部省に『指定教育番組』認定させたし。」「・・やったわね。」くりくり。
「議員と文部官僚の二・三人にでも握らせれば簡単よ。」「あいっかわらずエゲツない根性だね。」「誉め言葉ね。
情報業界も芸能界も似たようなもの、巨悪こそ正義。」「贈収賄で引っぱられないようにね。」「そんなマヌケなこと
しないわ。法律で認められた政治献金だもの。ちなみに司法関係にも鼻薬のぬかりはないわ。」『極悪ぅ~。』
「じゃ、途中で寄るところもあるので、さっそく出かけるわ。」『いってらっさーい。』パタン・・「・・なんか最近、
ナディアますます極悪度が増してない?」「芸能関係で相当儲けてるようです。例の番組のマーチャンダイズ権は
プロデューサーのナディアですし。」「でも決算には上がってこないんだろ?」「本業のエンターテイメント事業の
決算はきちんとしてるけど、芸能関係は情報局扱いにしてるからね。おかげでどれだけ闇資金貯めてることやら。」
「本業で結果出してるなら、私たちの干渉することじゃないけどね・・マチルダ、調べられる?」「無理です。
情報部データベースは私でも破れないセキュレベルですから。」「あれほどの収入、いったい何に使ってんだろ?」
ネオ浅草。カツカツ・・「・・あら?」「ん?・・あなたは。」「こんなところで出会うとはね・・『無限の輪廻』。」
「ナイトメア・・いえ、フォアカード『夢幻の悪魔』でしたね、今は。」「いいのよ、昔の名前で・・あなたなら。」
「どうりで手強いわけです、アルカナだったとは。」「自覚したのはその後、だけどね・・いっちょやる?」「ええ。」
廃墟。ザッ。「お互い身上持つ身だから。」ブンブン。「タマ取り以外ならオッケーということね。」ポキポキ。
「先手いいかしら?」「どうぞ。」ボオッ・・「!」ばっ!ぱしいっ!「これで済むとは思わなかったけどね。」
「あんまり甘くみると、遠慮なくへし折りますよ。」ギュッ!「おっと。」くいっ、ズルッ!「?!・・どうやって?」
「一瞬で手先の全関節を外すくらい、暗殺者の基本よ。」くい、コキン。「さすが・・ならこちらの番ね。」すっ。
スゥゥ・・♪ポロポロロン。「琴の音・・流派東方不敗・輪廻妖琴掌。」「そう、大気を弦とし奏でる妖しの琴・・」
♪ポロン。「おっと。」ひょい、ヒュン!・・バコオオオオーン!「気弾か。」「正しくは圧縮空気爆弾。気を込めた
指の動きで、手榴弾並みの気弾を打ち出します。崙弩。」♪ポロポロン。「なんの!」シャシャッ!バコバコバコーン!
「風牙!」♪シャラララン!ボボボボッ!「!・・回避しきれない。ならば!」バゴオオオオーン!パラパラ・・
「終わったかしら・・?!」ガシャン。「・・鎧?」『パージ。』バシャバシャッ。「ふう・・あぶなかった。」
「・・まさかそんな鎧まで持ってましたか。」「以前よりちょっとは強くなってるって。」「ならば・・魔圧地!」
♪バーン!ズドオオオオーン!「ソウルエッジ!」【イエス、マスター!】ガガガガッ!「?!・・いきなり巨剣が!」
「むん!」ヒュバアッ!ズバシャアアアーン!ヒュン!・・ズドドドドーン!「一刀両断・・ただの剣じゃないですね。」
「言ったでしょ、もうナイトメアじゃなく『夢幻の悪魔』だと。」「なるほど・・『霊喰餌無』はやめておきましょう。」
「よかった。それだとこちらも全力で殺るしかないもの。」「それはまたいずれ、しかるべき場所と時に。」「ええ。」
「ところでマルローネの超技術、多少はモノにできた?」ぴく。「・・さすが情報部、みんなお見通しですか。」
「わからいでか。企業が動く理由はただ一つ、プロフィットがあるとき。なら狙いはおのずと絞れてくるわ。」
「わかってて提携しましたか・・ということは、盗まれない自信があると。」「うちの技術部の総力を上げても
ほとんど解明できてないのよ。どうやったらモノにできるか、こちらが教えてほしいわ。」「たしかに、うちも解析は
まったく進んでません。・・けど、ものは考えよう。メタ情報はご存知ですね?」「『ある』『できる』という現状認識。
それがあれば、完全理解できずともゴールへのルートは見える・・そのセンできましたか。」「おかげさまで、独自に
いろいろ開発できました。」「そう・・BGFでのお披露目を楽しみにしてるわ。」はっ。「・・なぜ?」「そういった
新技術の成果を確認するのに、これ以上の実験場があるの?・・登録申請したら、最優先で上げとくわ。じゃ。」
シュン・・「・・ナイトメア、相変わらず恐ろしいほどの切れ者。フォアカードに彼女がいるとなると厄介ね・・」
海賊船『エイゼンシュテイン』。『ゴルビーⅣ』をBGFのファイトマネーで大改装したものである。<命名はナスターシャ
カツカツ・・「ん?」「ごきげんよう。」『お?』「・・どちらさんで?」「黒薔薇会客員『闇の聖歌』静です。」
はっ!「大将の明日の対戦相手の!」「ミハイル、大将と姐さんを。」「がってんだ!」「てめえら!大事なお客さんだ、
きっちり仁義切れや!」『おいでなさいまし!』ザザッ!「丁寧なご挨拶、痛み入ります。」「・・お、おいでです。」
カツカツ・・「ようこそ『エイゼンシュテイン』へ・・お前は?!」「むう・・あんたか。」「おひさしぶりです。
半年前、フォボスシティ以来ですね。」「・・代行者『ローレライ』。」「あのときは助かった、改めて礼を言おう。」
「いえ、ターゲットがたまたま同じマーシャンギャングのボスだっただけですから。」「まさか明日の対戦相手とはな。
世界は狭いわ。」「戦闘スタイルはやはりアレか。」「はい、音撃です。」「・・固有振動数共鳴破壊声楽。あのボスの
軍事用重MSを崩壊させたアレね・・」「私は敵戦力を削いだけ、とどめたのはボルトです。」「いや、あれが無ければ
ああまで簡単ではなく、もっと苦戦してただろう。」「いずれにせよ、ガンダムとてああなると考えるべきね。」
「明日の試合で、どう対応するか楽しみにしてます。」「うむ。・・では、明日。」「ごきげんよう。」カツカツ・・
「・・学生の身で、なんという気を。」「ああ、プロファイターに匹敵する実力者だ。ナスターシャ、始めるぞ。」
「共鳴破壊音波対策ね。さて、どうすべきか・・」「こういうときに、役立つ専門家がいる。」「・・そうか!」
「Atelier de Marie」。「わかりました。いくつか手はあります。」「あるのか!」「一つめ、外装のシームレス化。
継ぎ目を無くせば耐久力は上がりますが、これは時間がかかります。ざっと三日。」「試合は明日。間に合わんな。」
「二つめ、防音ジャケット。全身を覆うことで音波を干渉できます。これなら半日で仕上がります。デメリットは
運動性の著しい低下。射撃戦ならともかく、格闘戦はまずムリです。」「論外だな。」「他にはないのか?」
「その三、発想の転換。個人的にはこの手がオススメです。」・・・・『・・ほう。』「うむ、それで頼もう。」
ガブ女・学園長室。ゴォォォ・・「最高の眺めですね、学園長。」「いいでしょう。ずっと見てて飽きません。」
「今回はオーディションに賛同くださり、ありがとうございました。」「いえいえ、あなたと私の仲ですから。
それに、現役アイドルの一人でも在籍してもらえば、校名にハクが付きます。」「日本の芸能界に『仕事人』は
まだいないんですね。」「はい、その意義もあります。もし成功すれば、機関の手はさらに長くなります。」
「なるほど・・でも事務所はあの『浪花の虎』ですよ。」「だからですよ。全てをわかって受け入れてくれます。」
「ふふっ・・暗黒街にその名も高き三人が、よもやアイドル育成とはね。」「だから世の中は面白いのですよ。」
新黒薔薇の館。ガヤガヤ・・シュッ。『学園長。』「お待たせしました。こちらがプロデューサーのナディアさん。」
「ごきげんよう。」『ごきげんよう。』「ではオーディションを始めます。まずこちらが求める要件を明確にします。
新レギュラーは第三のプリペンダー。先の二人と共に主役級の扱いとなります。第一に、対象視聴層である小学校
低学年にウケるキャラであること。すなわち、外見は子供っぽく見えることです。」ザワザワ・・「第二に、外見に
見合わぬ戦闘能力です。ご存知のとおり番組はスタント・CG・ワイヤー等を使わないリアルな戦闘シーンがウリです。
ゆえにスタントを必要とせず、本人自身に相当の戦闘技術が要求されます・・ここまで言えば、なぜ当校なのかが
おわかりだと思います。」こく。「説明は以上です。まず全員を見させてもらい、これという方を指名します。」
カツカツ・・じーっ・・ぴたっ。「まず、あなた。」「は、はい?」「次はあなた。」「はい。」「そしてあなた。」
「ほう。」「祐巳ちゃん・瞳子と名無ちゃんか。」「まず順当なセンね。」「この三人から最終候補に絞ります。
二次審査は戦闘能力を見ます。」「あ、私は非戦闘員なのでダメですわ。」「では残りの二人で。まずは名無さん。」
「いいだろう。」キュパッ。「・・ふむ、幼い外見にオヤジ声は、今風で好印象ね。私自らお相手します。」すっ。
「では遠慮なく。」すっ、ゴボアッ!シャギャアアアーッ!「ほう・・内なる獣、いえ、怪獣か。ソウルエッジ!」
【イエス、マスター。】キュィン!オオッ!「あれが・・大魔剣ソウルエッジ!」ゴォォォ・・「なんて魔気だ・・」
「ほう、それほどの魔剣を。さすがはフォアカード。」「怪獣退治にはこれくらい必要よ。」「ではいくぞ。」
ゴバアアアアッ!グワアッ!「はっ!」ビュッ!ズドオッ!「その程度の突きでは・・むっ?」ズズズズ・・
アギャアアアアーッ!・・シュゥゥゥ・・「なんと・・よもや消滅とは。」「ソウルエッジは切ったものの生命力を
吸収する『ソウルイーター』でもあるの。」ザワザワ・・「さすが・・」「怪獣使いは実に面白いけど、むしろ
悪役サイドね。では次、祐巳さん。」「はい。」ザッ。「ビーストセイバー!」シャキン!「ほう・・いいわね。
ソウルエッジ、ツインソード。」【ラーサ。】ぐっ、バチン!「?・・巨剣が二本の刀に。」「いくわよ!」ダッ!
ビュンビュン!「よっはっとっ!」ひょいひょい。「いい回避ね。ならこれは?二天一流・蟹挟み!」ビュオン!
「上段と下段に同時攻撃!」「どちらか凌いでも、もう一方が直撃よ!」「・・はっ!」トン。くるっ。ビュオッ!
『バカな?!』「側転でかわした!」「やる!」「スキあり!」ダン!「踏み込み?疾い!」ビュン!さっ、スカッ!
「ブレイク!」ドン!「まだ!」ギュン!「なっ?!・・体当たりの勢いを利用して体上でスピン!」ばっ!ぴたあっ!
「・・お見事。」チリッ。「皮一枚はご容赦を。」すっ。「真剣の上のことだしね・・合格以上よ。あなたにするわ。」
ワーッ!パチパチパチ!「見事よ、祐巳!」「これで世界的スターへの道が開けたわ!」「いえいえ、ほんの大根です。」
「撮影スケジュールは、できるだけ授業に響かないよう調整します。」「かといって、他の役者さんにご迷惑をかけても
いけませんので、ある程度はやむをえませんね。」「感謝します。ときに音楽室は?」「三号棟第三層Bエリアです。」
大戦艦ヴァルハラ。「トパーズ、できた?」「できたかしら。ライトオン。」ぱぱっ。「地底用MA『ウォーム』かしら。
先端の高周波ドリルで地底を時速200kmで掘り進むかしら。またこの高周波ドリルはどんな重装甲もぶち抜くかしら。」
「へえ・・MAというより鉄ミミズね。」「地中を高速で移動する最高の形状かしら。どんな武器でも地底には届かず、
ほぼ無敵モードかしら。」「たしかにね。・・作戦目標は大聖塔ローゼンクロイツの土台。あれほどの巨塔、足元を
すくいさえすれば、あとは重力がカタをつけてくれるわ。」「作戦了解かしら。では出撃かしら。」ギン!ゴゴゴゴ・・
「アメジスト、仕事熱心なのだわ。」ぴく。「・・ルビー。あなたも働きなさいよ。」「ターゲットは?」「そうね・・
黒薔薇会の誰か。とりあえず戦力を削いでくれればいいわ。」「ならばこちらで選ばせてもらうわ。」ズズ~。
音楽室。♪The bird of the Helmes is my name. Eating my・・「♪Wings to make me tame.」はっ。「好きな歌よ。」
「・・本職でもできますね。」ぱちぱち。「カラオケで演歌唄うほうが好きだけどね。・・ローレライ。」ぴく。
「あなたは・・ナイトメア。」「ひさしぶりね。あなたに会うのを楽しみにしてたわ。運良くラクスにも会えたし。」
「お姉さまに?・・やりましたね。」「ほんの挨拶程度。お互い傷すら付かなかったわ。」「そうですか・・本題を。」
「作曲依頼よ。第二シーズンのOPとEDを。報酬はシングル売り上げの20%。」「ミリオンで、ほぼ一億くらいですね。」
「これが歌詞。」ばさっ。「拝見。・・放送は見てますので、基本はわかります。」「へえ・・あなたが見てるとは
予想外だったわ。」「意外と好きなんですよ。・・ほぼ概要は掴みました。契約書を。」ばさっ。サラサラ・・
「基本イメージは第一シーズンと同じでいいんですね?」「全面的に任せるわ。気に入らなければダメ出しするだけ。」
「ならば、あさってには仕上がります。」「え?・・でも明日は」「ひらめけば楽譜に起こすのはあっという間です。」
「さすが・・では楽しみにしてます。」「イッパツで通してみせますよ。」「そう期待するわ・・じゃ、よろしく。」
ボオッ・・「・・さすがの引き際。ちょうど明日は試合。熱くなればなるほど、いい曲ができそうね・・」ニッ。
浜松町・エターナル。「というわけで、祐巳さんに決定よ。」「ガブ女からでしたかー。」「彼女たちなら、ある程度
気心がしれてるから安心ね。」「ナディアはん、決めた理由を教えてくんなまし。」「要件を満たしたからだけど?」
「いんや、それだけやないはずや。・・同じニオイを嗅いだ、やないか?」「・・さすがね。たしかに私はあの子に
他にはないモノを見た・・それは闇。」はっ。「見た目は明るいけど、心の奥に途方もない闇を持つ・・私と同等か、
それ以上の深い闇を。」「やな。・・ワテも見とった。やが、その闇ゆえに、紛いモンでない光もまたあるんや。」
こく。「そのとおり。うまく使えば、二人以上の人気キャラになるでしょうね。」「てなわけで、二人ともうかうか
しとると新人に食われるで。」「競争相手は強いほど、こちらも磨きがかかりますから。」「まずはお手並み拝見ね。」
「17時にここに挨拶に来させるわ。ま、仲良くやってね・・いろんな意味で。」「たっぷり可愛がってあげますよ。」
ローゼンクロイツ・管制室。「大司教、地底に異常震動を感知しました。」「地下ですか。『メガニック』蔦子さんを。」
パシュッ。「お呼びですか、学園長。」「地底に不審な挙動を感知しました。識別をお願いします。」「AMEN。」
チャッ・・ギン!「・・高速移動物体。座標116より時速30kmで接近中。到達予測時間は30分後。地底MAと識別。」
「メガニック」蔦子の異能「千里眼」。通常はメガネでセーフティをかけているが、フル稼働時には数百km先の物体でも
ビルや地面を透過して「見る」ことができる。欠点は、ある程度の基本情報が無いと対象物を特定できないこと。
「第二次戦闘態勢。黒薔薇の地底戦力は?」「不明です。」「とりあえず迎撃を命令しましょう。同時に、例の機能も
準備しておいてください。」はっ。「・・あれですか?」「まだテストもしてませんけど。」「なんとかしましょう。」
新黒薔薇の館。「地底からか・・ジュエルズだね。」「瞳子ちゃん。」「敵解析。地底高速移動に特化した局地戦
重MAと推測できますわ。武装は先端部の超振動ドリル。その他に地底戦用の超音波武装が予測されますわ。」
「地底戦のできるガンダムって、いるの?」「私のイバラも、ごく浅いところまでしか届かないわ。」「レーザーも
電気もダメ、通常の武器では問題外・・どうする?」「私なら地底怪獣も喰っているのである程度は何とかなる。
だが地の利は敵にあるので、タイマンはさすがにきびしい。」「あと一人くらい欲しいね。」「・・あの。」
「なに、祐巳ちゃん。」「私のガイアに装備しているホーンサーベルは、前方に倒すことで進行方向の障害物を
排除できます。どうにかうまく使えば、地底進行も可能です。」「決まりね。瞳子ちゃん、状況の説明を。」
「はい。3Dホログラム。」ピッ♪ぱぱっ。「目標は深度150mを時速30kmで接近中。10分後に足元に到達しますわ。
推定目的・ローゼンクロイツ基部破壊による倒壊。」「基部には深さ300mの大縦孔があるわ。そこで迎撃よ。」
♪ヒュイヒュイ!『ビーストガイア発進指令。発艦士官は位置についてください。』ザッ。「こちら二号棟ドック、
技術科『クラフトマスター』真美、オンマイポジション。祐巳さん、レディ?」ガキョン!『レディ!』ぐっ。
「ラジャー。ビーストガイア・・」ぐぐっ・・「ゴー!」ばっ!『いきまーすっ!』ゴオオオッ!ドバアアアアーン!
「くっ!」ビリビリビリ!・・「・・ふう。ビーストガイア、発進よろし。AMEN。」『サンキュー、AMEN。』
ローゼンクロイツ基部・大縦孔。オォォン・・「これが校舎の入っていた空洞か。」『でかっ。・・名無ちゃんはまだ
変身しないの?』「ギリギリまで温存しておきます。いくら広いとはいえ、ガンダム二機ではさすがに混みますので。」
『そうだね。じゃ、降りるよ。』「征きましょう。」ばばっ!ビュオオオオーッ!「底まで200・150・・逆噴射。」
ドン!ゴオオオオーッ!・・ズズーン。「名無ちゃん?」ババババッ、すたっ。『ガイアの肩をお借りします。』
【祐巳さま、敵ステータス・方位121、あと20秒。】「了解。・・こっちか。」『・・聞こえます。』「ん?・・」
ゴゴゴゴ・・「・・来る。名無ちゃん、まず私が足止めするから、とどめよろしく。」『いえ、逆がいいでしょう。
私がディフェンス、祐巳さまがランニングバックで。』「わかった、それでいこう。」『来ます。』「配置へ。」
ゴゴゴゴ!ゴバアッ!「おっとっと!・・あやうく大空洞に落ちるとこだったかしら。さて、この真上かしら。」
『ようこそ、タルタロスの孔に。』「ん?」ズォォォ・・「黒薔薇会一号生『たゆたう混沌』の名無、歓迎しよう。」
「?・・美少女なのにオヤジ声かしら。でも生身でMAに挑むなんてナマイキかしら。殺るかしら!」グワアアアーッ!
ニヤッ。グシャアッ!「あはははは!原形もとどめないかしら!・・え?」ズズズズ・・ゴボワッ!「なっ?!」
【第二・第一開放。】ズズズズ・・ギン!「ば・・バカな?ガンダムかしら!」『敵の情報収集が足りんぞ。』
「この高周波ドリルは無敵かしら!」ブィィィーン!『そうかな?』ドボオオオッ!「え?・・今の感触は?」
『ドリルなら後ろに突き抜けてるぞ。』「なっ!」キュンキュン!『こちらの攻撃ターンだな。』すっ、ゴボワッ!
シャギャアアアーッ!「手から怪獣が・・バケモノかしら!」グワッ!グシャアッ!「くっ!・・Bブロック分離!」
ガコン。ギャガガガッ!『なに?切り離して壁の中に!・・祐巳さま!』「まかせて!」・・タンタンタン!
「ホーンドリル!」ジャキン!ズガガガガガーッ!・・『すごい・・ホントに地中へ。追う!』グニュ、シュルルッ。
「・・ん?地中レーダー感。追撃かしら?!」ガガガガガーッ!「敵機反転?・・ガチンコ上等!」ギラアッ!
「超音波砲かしら!」ケァン!ぴくっ!「回避!」グン!バコオオオーン!「よけた?!・・バカな、地上なら
ともかく地中で聞こえるはずないかしら。ただの偶然かしら。もう一回!」ケァン!「・・バカ。どこにいるか
自分で教えてるよ。」ひょい、ゴオッ!・・バコオオーン!「相対距離300m。反撃いくよ!」ガガガガーッ!
「えっえっ?なんでこっちだとわかるのかしら?」ゴゴゴゴ・・ゴバアッ!「ゲゲッ!」「みーつけた!」
「高周波ドリルでぶち抜いてやるかしら!」ブィィィーン!「・・!」キラリ。「そこだ!ビーストセイバー!」
ジャキン!ズバシャアッ!ヒュィィィーン・・「なに?・・ドリルの配線が!どうやって配線の場所を精確に?」
「あとは超音波砲だけだね。・・ん?」ゴゴゴゴ・・ゴバアッ!シュルルルッ、ギシイッ!「お待たせしました。」
「さらにニ対一。どうする?」「・・あはははは!まんまとひっかかったかしら?」「?・・どういうこと?」
「さっき切り離した胴体には気化爆弾が入ってたかしら。いまごろシャフト内に拡散し、あとは点火さえすれば
ローゼンクロイツはどっかーん!かしら。」「あらそう・・学園長、お聞きのとおりです。」【状況了解です。】
ローゼンクロイツ管制室。「全艦、第二級戦闘態勢。」「全動力炉、出力上昇。」「アテンション、アテンション。
これより当校は戦闘機動モードに入ります。非固定物、特に割れ物は注意してください。カウントダウン・20秒前。」
「全外部ハッチ閉鎖。」「ガントリー解除。」「重力機関、パワーコネクト。ヒッグス値・反転開始。」ズズズズ!
「ローゼンクロイツ、浮上。」「浮上!」ゴバアッ!ドドドドド!「毎秒30mに加速、方位45に移動。」「AMEN。」
新黒薔薇の館。ゴォォォ・・「飛んだ?!・・これ飛ぶんですか!」「あら、知らなかったっけ?ローゼンクロイツは
こう見えても立派な機動要塞、すなわち戦艦なのよ。」「戦艦らしくない外見だから、まさか飛ぶとはね・・」
「重力制御機関により大気圏内でも時速200km、宇宙空間なら光速の10%まで出せるそうよ。」「宇宙航行まで?」
「・・別に不思議じゃないわ。各国コロニーの多様さに比べれば。」「そういえばあれも重力制御の賜物ですわね。」
「それで校内、いえ、艦内施設が充実していましたのね。」「機動要塞なら納得ですね。」「瞳子ちゃん、状況は?」
「メインシャフト内、発火性ガス充満。あとは火入れすればどっかーんですわ。」「ちょっとした花火見物だね。」
「ガイアとクロムウェルはだいじょうぶ?」「かなりシャフトから離れてますので安全ですわ。」「なら安心。」
「さあ、花火の時間かしら!」ピッ♪・・ズズウウウーン!「たーまやー。」『かーぎやー。』「??・・なんで
そんなに余裕ぶっこいてるかしら?」「しつもん。『見えない学校』って知ってる?」「え?・・えーっと、たしか
TV版『悪魔くん』の十二使徒・家獣のことかしら?」『おや、予想外によく知ってる。』「さらに質問。その特徴は?」
「えと、えと・・飛ぶ?」「はい正解。」「・・・・ああっ!まさか!」『そのまさかだ。あの構造で気づけ。』
「で、でも、あれ横倒しにできないかしら?」「ふっ、いまどき船型してるものだけが空飛ぶとは思わないことね。」
『立ったまま飛ぶのさ、あのまんま。』「な・・なんて美しくないのかしら。」『あんただけには言われたくない。』
ドドドド!・・「爆炎、まもなく消えます。」「エントツじゃないから長くはないですね。こんなこともあろうかと
造っておいた、第二台座に着底しなさい。」「シャフト、崩落します。」ガラガラ・・「埋め戻す手間が省けました。」
「で、でも、シャフトが埋まれば、あなたたちも生き埋めかしら!」「こっちの心配までしてくれるんだ、ありがとう。」
『二人で力を合わせれば、このくらいどうってことない。』「・・ならばこうするかしら。」ピッ♪ドカアアアーン!
「自爆?!」『祐巳さま!』バアッ!ビスビスビスッ!ゴォォォ・・『・・終わりました。』シュン、ギシイッ。
「まさか自決とはね。」『いえ、爆発直前に脱出ポッドが。』「微塵隠れか・・食えない連中だね。」『御意。』
「管制室、現在位置は?」【距離450,深度400。帰還ルートを送ります。】ぱぱっ。『思ったより遠いですね。』
「・・名無ちゃん、変身解いてガイアのコクピットに。」『え?・・了解。』シュゥゥ・・ターン、ぴたっ。パシュ。
スタッ。「失礼します。で、いかに?」「もうホーンドリルのエネルギーがもたない。ちょっと荒業するよ。」
シュルッ、ばさっ。・・バサアッ!「ほう。」「ウイングスラスター・オーバードライブ!」ヴン・・ゴオオオオッ!
「!・・巨大なエネルギーウイング!」「目ぇ回さないでね。はあああーっ!」ギュルルルッ!「おわわわっ!」
「へヴンズドリル!」ギャガガガガーッ!【深度300・・200・・な、なんでこんなに速いの?!】「あと少し!」
ゴゴゴゴ・・ボコッ!「ふぃ~、やっと出た。名無ちゃん?」「・・さ、さすが祐巳さま。」ぺったり。「あらら。」
ニ号生棟・露天甲板。『ビーストガイア、帰還します。』「了解。ガイア視認、着艦まで4秒。」ゴォォォ・・ズズーン。
「エレベーターへ!」さっ。こく。ズシンズシン。「OK。ダウンダウン。」ズズズズ・・ガコン。「ハンガーへ。」
さっ。ズシンズシン、ズン、ズン。「フットロック。」ガキガキン。「デフォ姿勢へ。」ぐっ。「ショルダーロック。」
ガシャン。「パワー・サスペンド。」ばっ。ヒュィィーン・・「オーケー。」『ありがとうございました。』パシュ。
「お疲れさまでした、お姉さま。タオルです。」「ありがと可南子ちゃん。」「名無さんも。」「どうも、瞳子さん。」
「いま何時?」「四時です。」「五時からエターナル事務所に挨拶に行く予定だからね。」「ご同行いたします。」
「おつきあいしますわ。」「ヒマだし、いいか。」『ちょーっと待った!』ザザッ。『え?』「由乃さま、志摩子さま?」
「たまには同級生を付き合わせてよ。」「・・ここのところ、スールにべったりだもの。」『え~。』「三人にはちゃんと
代償あるわよ。乃梨子ちゃん。」「はいこれ。」ぴらっ。「・・カラオケ券?」「二時間無料・ドリンクフリーだって。」
「どうぞ、お姉さま方。」「たまにはよろしいですわ。」「まあ、よろしいのでは。」「・・悪いわね。」「じゃあ
祐巳さん、行きましょ♪」「え?えっと、あの・・」ずるずる。「ほんじゃ一号生で盛り上がるぞー!」『おー!』
夕刻。カツカツ・・「挨拶だけだから、一人でいいのに。」「いーえ、芸能プロみたいなアブナイとこ、祐巳さんだけ
行かせるわけにはいかないわ。」「・・由乃さん、ホンネはミーハーだからじゃ?」ぎくっ!「や、やだな~。単に
同級生が心配なだけだってば、志摩子さん。」「・・ウソが下手よ。」「そういう志摩子さんまで、なんで?」
「・・単なるヤジウマよ。」「げ。・・言い切られた。」「でも、うまくするといい役もらえるかもねー。」
「そうそう、ピン立ちできるエピソードもらったりして。」「・・ピンはプレッシャーでかいわよ。」くすっ。
すっ・・(・・黒薔薇会二号生が三人なのだわ。スキをみて攻撃するのだわ。)チャリッ。「それにさ、プリペンダーの
サインももらいましょ。」「ダメだよ由乃さん、特権濫用はー。」ぴぴくうっ!(・・プリペンダーのサイン?!)
シャッ!「はっ?由乃さん、よけて!」『え?』ドン!「なっ?!」ビュン!すかっ!「えっ?!」「ちっ!」
「あなたは・・ジュエルズの。」「ルビーなのだわ。勝負を申し込むのだわ。」ビュン。「そして私が勝ったら、
プリペンダーのサインをいただくのだわ。」『・・はい?』「あなた、もしかして・・なるほどね。だったら、今から
エターナル事務所に行くから、同行すれば?」『祐巳さん?!』「・・罠の可能性なのだわ。」「こんなみえすいた
罠なんか、そもそもかけないわ。勝負はその後、ということでどう?」「・・提案に同意するのだわ。」すっ。
「決まりね。アポ待ちさせちゃまずいから急ぐよ。」すたすた。「あ、ちょっと祐巳さん!」「えと、あの・・」
つかつか。「祐巳さん、あんなの三人がかりなら」「ルビーは正々堂々と挑んできたのよ。その意気に応えなきゃ、
黒薔薇会の沽券に関わる。」「う・・」「それに今言ったように、芸能界は時間が全て。しょっぱなから遅れたら、
それこそ第一印象を悪くするわ。」「・・それはそうだけど。」ちらっ。とことこ。「さらに。どうやらルビーは
プリペンダーオタク。同じオタクとして激しく共感できるの。」「はあ・・そういや祐巳さんもそーとーのオタクね。」
「同類は即座に嗅ぎ分けられると聞いたことがあるわ・・」「そのとおり。そしてそれはルビーも同じこと、よね?」
「勘違いしないでほしいのだわ。プリペンダーと勝負は別の話なのだわ。」「わかってる。」『・・なんだかな~。』
浜松町「エターナル」。「よろしくお願いします。」「ご丁寧な挨拶、いたみいります。で・・これ、なんや?」
ずず~。「出がらしもいいとこなのだわ。ほとんど白湯なのだわ。」「かくかくしかじか、とゆー関係でして。」
「はあ・・これからチャンバラでっか。難儀な女子高生やな~。」「ところでプリペンダーはどこなのかしら。」
「二人とも上でレッスンしとる。そろそろ降りてくるやろ・・」キラリ。ボオッ!はっ?!『はあっ!』ビュン!
「フッ。」ばっ!スカッ!「ダッキング?」「ソファの陰!・・いない?」ぴくっ!『そこ!』ビュッ!「おっと。」
ババッ!・・ストッ。「・・軽い。」「身軽さなら、ちょっと自信ありますよ。」「ならば拳で語りましょうね。」
「いいですね。では・・」ボボオッ。「分身?」「高速移動による残像現象です。けど、これほどの数とは・・」
「本体は・・!」ばっ!ビュオッ!「くっ!」さっ、シュバアッ!ビチッ!「つっ!・・」ザザザーッ!・・
「メイリン、傷が!」「だいじょうぶよアスラン。・・音速の貫手の真空余波か。やるわ。」ついっ、ぺろっ。
「さすが黒薔薇会、やりますね。」「祐巳さん・・すごい。」「・・いつの間にあんなに。」「・・・・」ずず~。
「はいはい、そこまでや。じゅうぶんに語ったやろ。」『はい。』「祐巳はんも、そのくらいで。」「・・・・」
「・・祐巳さん?」ちらっ。「?!」オォォォ・・「・・この凶悪なオーラは?」ズズズズ・・ギン!『なっ?!』
すぱこおおおーん!「あいたー!・・あれ?」きょろきょろ。「やれやれ、あぶなかったのだわ。」「・・ルビー。」
「今の闘争で、秘められし暗黒面が顕現したのだわ。ほっとけば狂戦士となり、事務所は血の海になってたのだわ。」
「・・ありがとう。」「礼には及ばないのだわ。全員死亡でプリペンダーが放送中止になると困るだけなのだわ。」
「あのー・・この子、だれ?」「ん~・・まあ妹みたいなもの。」「とゆーわけで、サインが欲しいのだわ。」
帰り道。どっちゃり。「サインどころか、グッズまでいっぱいもらっちゃったね。」「いいミヤゲになるのだわ。」
「でと・・殺る?」「闘争の空気ではないのだわ。今日はこれでじゅうぶんなのだわ。」「だね。じゃ、またいずれ。」
「次こそ殺るのだわ・・」フッ・・「ばいばーい。・・ふっ、ジュエルズに面白いヤツもいるのね。・・ん?」
じーっ。「由乃さん、志摩子さん・・なに?」「あなた・・だれ?」「・・私たちの知ってる祐巳さんじゃない。」
「・・いいえ、知ってるはずよ。少しづつ変えてきてたし。」はっ。「そういえば・・」「ここのところ、祐巳さんの
言動に違和感があったわ・・いえ、だんだん深みを増してた。」「いきなり変えると、みんな戸惑うからね。」
「見せて、祐巳さんの全てを。今ここで。」「・・たとえ何であれ、私たちは盟友。それに変わりは無いわ。」
「・・見せたあとでも、その言葉を違えないのはわかってる。・・だから、見せるよ。」ぐっ、シュルッ・・
大戦艦ヴァルハラ。「ただいま。」『ルビー?』「遅かったわね。で、結果は?」「引き分け再試合なのだわ。
それよりも、おみやげ。」ばさあっ!『おおおおーっ!』「プリペンダーグッズですぅ!」「直筆サインなの~!」
「ルビー・・どうやって?」「妙な縁で、芸能事務所エターナルでもらったのだわ。」ぎょっ!『エターナル!』
「そ、それって、ミーアとメイリンの!」「これが証拠の記念写真なのだわ。」ぱさっ。「うわ・・本当だわぁ。」
「サンプルで送られたものが不良在庫になってるそうなのだわ。」「それでこんなに・・いちおう人数分あるのね。」
「超可動プリペンダードールかしら!某特殊用途人形の内骨格技術を使ってるスグレモノかしら!」『こらこら。』
「アメジストのだけは単品なのだわ。」さっ。「え?・・バルド様のサイン!」「好きなの覚えてたのだわ。ちゃんと
『アメジスト讃江』と書いてもらったのだわ。」「ありがとう、わが姉妹よ~!」ひしいっ!「・・暑苦しいのだわ。」
翌日、新黒薔薇の館。パシュ。「ごきげんよう。」『ごきげんよう、静さま。』ぴく。「・・どうしたの二人とも?」
「え?」「・・なにが?」「今の挨拶、明らかに葛藤があったわ。普段はそんなことないのに・・何があったの?」
「・・堕天使。」ぼそっ。ぴくっ。「・・見た、のね。」「静さまは、やはりご存知でしたか・・」「ええ。・・
で、これからどうするの?」「・・わからない。」「・・何をしてあげればいいのか、何を望んでいるのか・・」
「なるほどね。・・答え。今までどおりでいいのよ。」『え?』「サイボーグとパラノイアが天使の心配なんて、
ギャグにもならないわ。あなたたち、今までどうしてきた?」『・・あ。』「それが答え。普通がいちばんでしょ。」
こく。「考えすぎたね。」「・・今までどおり。祐巳さんもそれを望んでるはずね。」「はいよくできました・・?」
ぴく。「・・祐巳さんと一号生よ。」パシュ。『ごきげんよう!』『ごきげんよう。』「・・たしかに四人ね。」
「そういえば今日が静さまの試合だったよね。」「サポート、キボンです。」さっ。「いいわ、サポートは無くても。」
「そうはいきません。客員とはいえ静さまも黒薔薇会の一員、全力サポートするのはなんら変わりありません。」
パシュ。「静ー、サポートいらんかね。」『聖さま、ごきげんよう。』「いえ、間に合って」「みんな、ここは公正に
くじ引きしようよ。」『おー!』「・・当人の意見はシカト?」「そんだけモテてるってことさ♪」ぽん。「はあ・・」
さっ。「まずは聖さまからどうぞ。」「ど・れ・に・し・よ・う・か・な・か・み・さ・ま・の・い・う・と・お・り。」
シュッ。「いよっしゃあっ!」「クジ運が強い!」「じゃあ、あとは一斉に。」『いっせーの!』ばっ!「よしっ!」
「くそ~!」「・・スカ?」「・・やったわ。」「く、クジなんかで余計な運使わずともよかったですわ。」ぷい。
「あらら・・ダメだったか。」「摩倶荼羅の真利亜さま、感謝します!」「・・乃梨子、譲って。」「こればかりは
志摩子さんでもダメです。」「あらそう・・お姉さまに抗命するとは、いいスールだわ・・」ゴゴゴゴ・・「ちょっ?
なにもそれで死魔子さん出さなくても・・」ぽん。「聖さま?」「まかせな。」ぐい、ズキュゥン!「?!」『おおっ!』
じたばた!だらん・・ぎゅっ。「あ、おとなしくなった。」「効果てきめんね。・・?」『・・・・』「・・あのー、
どんどん深みにハマってってません?」「志摩子さんのツバは美味しいですからね。」『・・え"?』ちゅるっ・・
「ふう・・仕掛けたこっちがミイラになりそうだよ。」「・・お姉さま♪」ぎゅっ。(みんな、授業いこ。)こく。
そそくさ。(・・乃梨子さんも。)ずるずる。(待て~!武士の情け!)(未練ですわ。)(由乃さまを味見してみるか。)
ワーワー!「さて今日の第二試合は、ボルトガンダム・レニングラード対、黒薔薇会『闇の聖歌』静のオラトリオ・
イージスの戦いです。」「例によって略称イージスでいくで。・・静はん、客員なんやな。」「黒薔薇会には属して
いないけど、それに匹敵する実力者だということで招聘されたそうね。」「選手層が厚いんやな。して流派は?」
「えっと・・音撃?」「なんやそら?」「う~ん・・音を武器にする、のかしら?」「超音波かや?・・いや、
共鳴破壊ちゅーのもあんな。」「ガンダムで見てみましょうか。・・ごく普通のガンダムね?」「たしかイージスは
高速形態に変型することで、強力なビーム砲を撃てるタイプや。これ参考映像。」「・・へえ~、変わった変型ね。」
「可変ガンダムはほとんど金縛り変型やが、こら異色やで。」「・・この重砲撃形態って、なんかバッカルコーンを
開いたクリオネに見えない?」「トリビアな例えやな。むしろ甲殻類やないか。」「いずれにせよ、キモい変型ね。」
「デザイナーの努力は買うけんど、こらウチなら買わんわ。」「じっさい売れなかったそうね。」「やっぱな。」
ザッ。「よろしくお願いいたします。」「うむ、代行者『ローレライ』の力、見せてもらおう。」「始めましょう。」
すっ、「謳え、オラトリオイージス!」「いくぞ、ボルトガンダム・レニングラード!」パチン!ギン!ドドドド・・
『バーニング・ガンダムファイト!レディー、ゴー!』「むん!」ギュラララッ、ドドォンッ!「はっ!」ギュラララッ!
バシバシーン!「グラビトン・デュアルハンマー!」ビュンビュンビュン!「ボルト、二つのハンマーを構えた!」
「どりゃあああーっ!」ブオオオオッ!「・・カンタータ。」♪アアア~ッ!ピキッ、パキィィーン!『砕けた?!』
「ハンマーが・・粉々に!」「これが・・共鳴破壊?信じられない!」「・・予想以上の破壊力や。」タラ・・
パラパラ・・「やはり、やるな。」「悪いけど、速攻で決めさせていただきます。レシタティーヴォ!」「むっ!」
♪アアアアア~ッ!「あかん!ガンダムとて同じ運命や!」「そうかな?」さっ、ドン!「?!・・銅鑼?」
「リアスカートが?」「むん!」♪ボワアアアア~ン!キュイン!「破壊音波がかき消された?・・いけない!」さっ。
ドオンッ!「くうううーっ!」ザザザザーッ!・・「イージスが・・なに?」「・・衝撃波や。あのドラを叩くことで、
強烈な衝撃波を起こしたんや。」「音には音、これが新武装『クレムリン・ゴング』だ。」「・・いつの間に。」
「今のは干渉したぶん弱くなったが。」ぐっ、♪ボワアアアア~ン!・・ドバアアアアーン!「きゃあああっ!」
ズガガガガガーッ!・・「本来はこのくらいだ。」ゴォォォ・・「これが・・ブラック・ジョーカーの強さ・・」
「イージス、お株の音撃を取られました。」「もう共鳴破壊は使えんで。・・どないする。」「・・ならば!」ダン!
「接近戦か、そうこなくては!」「ビームタクト!」ビィン。ビュン!「むん!」ダン!ぱしいっ!「?!・・まさか
踏み込んで腕を止めるとは!」「うおおっ!」ガキイッ!「くっ!」「ボルト得意のベアーハッグ!」メキメキ!
「な・・なんて力!」「さあどう抜ける、ローレライ!」「・・ロサ・カニーナ!」ジャキン!「なにいっ?!」
「イージス、機動形態に変型!」「やが、あの体勢でどうする気や?」「?・・これは!」「オラトリオ!」
♪アアアア~ッ!ドオンッ!「なにっ!・・しまった!」ピキピキピキッ、パキィィーン!『ボルトの装甲が!』
「ぐおおおおおーっ!」ズダダダーン!「・・ゼロ距離からの最大出力音撃!」「あれなら干渉もされないわ!」
バラバラ!「ぬおおお・・」ジャキン!ズズーン。「さすがに厚い装甲ですね。内部まで抜けませんでしたか。
ですが、もはやこれ以上の戦闘は無理かと。」「チェック!・・ギブ?」「・・ニェト!」「よろしい。ファイト!」
「・・さすがブラック・ジョーカー。この状態でも闘志はいささかも衰えず・・手本にします。」「・・たしかにあと
一撃くらえば終わりだ。ならば、その前に倒すまで!」ギーン!「ボルト、ハイパーモード!」「その意気、お見事。
ならばこちらも全力で打ち倒しましょう!ロサ・カニーナ!」ジャキン!「またあの音撃形態に!」「とどめる気や!」
「オラトリオ!」♪アアアア~ッ!キィィィ・・ドオオオオオーン!「むん!」ガラン!さっ、♪グオオオオーン!
「ドラを?!」「装甲代わりに!」「やけど、あのパワーの前にはもたんで!」ピキピキピキッ!「・・勝機は、
一度あればいい!」グッ!「ハンマーを?」「ツングースカ大爆発弾!うおりゃああああーっ!」♪ジャアアアアーン!
ズドオオオオオーン!「なっ?!・・音波が押し戻される!」ギギギギッ、バキイイイーン!「きゃああああーっ!」
バキバキバキッ!ゴォォォォ・・「イージスがバラバラに?・・戦術核級の衝撃波!」「いや、戦略核なみや!」
「・・お・・見事・・でした・・」パタッ・・「・・すばらしい闘いだったぞ。」ピキ・・ガラガラガラ!
「ドラが・・バラバラに。」「まあ、あんだけ酷使すりゃな。」「勝負あり、ボルト・レニングラード!」
タタタタ・・「静!」『静さま!』パシュッ。「・・これは!」『うっ!』「ゴホッ!・・ちょっときつかったわ。」
「・・衝撃波で肋骨が折れ、内臓に突き刺さってます。」「すぐに救急斑を!」「ま・・待って・・」『静さま?』
「手術してたら・・来週の本番に間に合わない・・」「そんなこと言ってる場合じゃ!」「待った。・・祐巳ちゃん。」
「はい。」「ここにいるメンツは承知?」『・・はい。』「やってあげて。」「わかりました。」シュルッ、ばさっ。
バサアッ!「天つ光。」サァァァ・・「これは・・正の波動?」「乃梨子さん、知ってる?」「いわゆる癒しの光。
生体治癒力を加速させ、骨すら復元できる。」「う・・はぁ。」むくっ。「どう?」「・・すごいわね。まったく
痛みが無くなったわ。」さすりさすり。「お役に立ててよかったです。」シュイン。「・・お下げ、結わえます。」
きゅきゅっ。「左は私が。」きゅきゅっ。「助かったわ祐巳ちゃん。これでシドニーに行けるわ。」「よかった。」
「・・あの、私って、バケモノですよね。みなさんどう思います?」「ほい、電気人間。」「セイレーンね。」
「呪殺師。」「・・見越し入道。」「てなわけで、羽根くらいどうってことないよ。」ぽむぽむ。「さいですか。」
シュッ、すたっ。「?・・予想ほどダメージ無いようだな。」「いろいろありまして。・・ありがとうございました。」
「うむ、俺も楽しめた。さすがはローレライ、おかげで新たな技も得られた。礼を言いたいのはこちらのほうだ。」
「もったいないお言葉です。」「聞けば、来週にシドニーでコンサートらしいな。妻ともども鑑賞に行こう。」
「ならば最高の席をご用意しておきます。」「あんた、タキシード持ってないんじゃ?」「さっそく仕立てるか。」
「一週間じゃ間に合わないわ。」「あの、一日で造ってくれる仕立て屋さん知ってます。」「ほう。」「どこだ?」
次の日、名出屋城。「ふむ・・いいんじゃない。」「OPは伝統的戦隊ものをベースに、シャウトを多く入れてみました。
EDはマーチ風元気ソング。しっとりしたものよりも、日曜朝はこっちのほうがいいでしょう。」「文句なし。さっそく
ミーアとメイリンに楽譜を回すわ。来週には歌番組で発表できるでしょう。・・はい、まずは基本報酬よ。」ばさっ。
「二千万円ですか。張り込みましたね。」「いくらなんでもそのくらいは売れるでしょ。」「いただいておきます。」
二日後、ネオ浅草・コスプレショップ「綾」。ジャッ。「どうだ?」「・・すごい。着やせして見えるわ。」「そうか?」
「スマートに見えるようデザインを工夫してあります。」「これほどのものを一日で・・他店の三倍高いだけはある。」
「価格以上の仕事が当店の自慢でして。」「たいしたものだ。・・私の服もここで仕立てましょうか。」「感謝の極み。」
音楽室。♪Qui tolis peccata mundi・・ぴく。「祥子、なに?」パシュ。「お手伝いしようかなと。」「いいわ。」
「一人でピアノ弾いて歌うのって、大変でしょ。」「・・祐巳ちゃん、かな?」「そのとおり。自分じゃ弾けないから
私に頼んだというわけ。」「祐巳ちゃんの気遣いなら、受けないわけにはいかないわね。」「そのとおりよ。」
ガタッ。「どこからいく?」「Meno Allegroから。」♪タターン!♪Gratias agimus tibi propter magnam・・
「・・静、もっと私たちに頼っていいのよ。」はっ。「黒薔薇云々以前に、友達でしょ?」「・・そうね。祥子。」
「なに?」「いい妹を持ったわね。できれば私が妹にしたかったわ。」「いいえ・・祐巳には私が一番なの。そして
私も祐巳以外の妹は考えられないわ。」「なるほど・・ガブ女ベスト・スールも納得ね。」「当然ですわ。」
君たちに最新情報を公開しよう。
黒薔薇シリーズもいよいよ最終戦。
「獣の数字」祐巳が挑むは、ドモン・カッシュ。
キング・オブ・ハートも驚嘆するガイアの強さ。
だが実力差は明らかで、次第に押される祐巳。
しかしゴッドフィンガーの輝きが天使の封印を解き放ち、
リングは炎と光の聖なる戦場と化す。
次回、バーニングガンダムファイト激闘編 第26話
「獣の数字!聖刻かくあれかし」へ、バーニング・ガンダムファイト!レディー、ゴー!!
これが勝利のカギだ!(真シャイニングフィンガー)