メビウス重工。「これが会長のベアトリーチェガンダムだ。」ぱぱっ。『おお・・』「・・なに、このシンプルさは?」
「武装が見当たりませんね。」「会長の要望でな。武器はバルカンすら付けてねえ。」「それでどうやって・・ん?」
じーっ。「これ・・アダムシステム?」「そうだ。会長の技を完全にトレースさせるには、これしかなかった。」
「ブーストシステムはS.E.E.Dを採用してる。俺たちじゃあまず無理だが、会長ならば使いこなせるはずだ。」
「あの黒薔薇ガンダムの・・」「一流ファイターでも耐えきれる人は少ないはず・・会長、だいじょうぶかしら。」
「その心配は無用ですよ。」はっ!『会長!』「論より証拠。みんな各自のガンダムに乗って表へ出て。訓練です。」
ガシャン!「同時にかかってきなさい。」「・・いいのか?」「いくら会長でも。」「少なくとも僕とルナマリアは。」
「無理することないよ。」「・・。」すっ・・♪ポロン。ドンッ!『なっ?!』ドバアアアーン!『なにいいーっ!』
ズザザザーッ!ゴォォォ・・「他に質問は?」「・・これが会長の。」「これほどとはな・・」「・・わかりました。」
「みんな、いくわよ!」『おう!』ダッ!「アケロン!」チャッ、グラタタタタ!「打化安保。」♪ポロン。キキキン!
「ディアッガ!」「ギルティ・テール!」ヒュルルルッ!「暗断手。」♪ポロロン。すぱぱぱっ。「なにいっ?!」
ヒュッ・・ボオッ。(もらいます。)「だめよ。」ぎくうっ!「硬打。」♪ポロン。ドオンッ!「ぐはっ!」ズダダーン!
「ニコルはレベル高いぶん、手加減しませんよ。そして・・」くるっ。「・・これが流派東方不敗・妖琴掌。」タラ・・
「ルナマリア、いえ、斉派太極拳高手『月聖魔伝』。あなたにも。」「・・参ります。」スゥゥ・・「ほう・・」
(「気弾」は中遠距離で最大の効果を発揮する。ニコルもそう読んで背後から白兵を仕掛けたけど・・ならば「月影」。)
ヒュィッ・・ボッ!「なるほど。」ぱしっ!(!?・・これを受けた!)「蟷螂連撃!」ヒュヒュッ!「まだまだ。」
ボボボボッ!「すごい・・あの速さの攻撃を!」「ルナマリアも本気で打ってるぜ。」「蟷螂手は接近戦では恐るべき
威力を発揮します。死角から短いストロークで素早くえぐり込んでくるため、回避はきわめて困難なはず・・ですが。」
「くっ!・・」「かすりもしませんね。」ぱぱぱっ。「・・これなら!」ヒュン、ボッ!「フェイントの肘打ち!」
「あれはよけられない!」「その必要ありません。」ドゴオッ!「おぶっ!・・」「・・会長も肘を!」「ルナマリアの
横面肘打ちがヒットする寸前に横胴に!」ぴたり。「ストロークの差ですね。」ズル・・「おっと。・・医務室へ。
左肋骨4本です。」「ただちに。」「しっかりしろ。」ズルズル・・「・・腕はなまってませんね。」「嬉しいことに
ルナマリアが本気にさせてくれたからです。治療費は経費持ちで。」「ははっ。団体健康保険を適用しましょう。」
「さて・・ちょっと顔でも見てきますね。」「ついでに母校にも?」「校門前の焼きそばが恋しくなってきたので。」
浜松町「エターナル」。「すかぴー。」「オフの日はとことん寝るんですね・・」「寝る子は育つや。ジャマやから
フトンごと隅へ寄せとき。」『よいしょ。』ずるるる~っ。「これでごはんのときだけ起きるんだもん、スジガネ入りの
お寝坊さんね。」「とはいえ、仕事前にはレッスンをきちんとこなしている。ある意味、メリハリはきいてるとも。」
「今日は午後から長屋でスパる予定やきん、昼前には起きるやろう。さてレッスンや。新曲のダンスは考えといたけ?」
「はい。こんなのでどうでしょう?」がさがさ。「ふむ・・えーんちゃうか。ほなら実際にやってみ。アスラン、曲。」
♪ズンタタズンタタ・・「あかんあかん、そないなコンパクトな動きやと、後ろのお客はん見えへんで。もっと大きく、
見栄を切るとこはビシッと。・・そうそう、造り笑顔なんかいらん。客とのガチンコや、眼ヂカラでめきょっと!」
「なんか歌舞伎に似てますね。」「そや。ライトもモニターもマイクも無かった時代や、大向こうにアピールできるよう
あらゆるダイナミックな技法が編み出されとる。こないだ金毘羅はんの金丸座で営業したとき痛感したやろ。」
「ええ・・近代機材持ち込み厳禁、既存の舞台装置と自然光と己自身のみで表現しなきゃなりませんでしたね。」
「ミーアはそのへんの基礎が先天的にあり、マイク使わんでもオペラ歌手に負けんくらいの声量を出せるんや。また
吉本新喜劇を観て育ったきん、受けをとる術も心得とる。歌手にならんかったら、間違いのうお笑い芸人なっとったな。」
「関西では毎日のように放送されてるとか。」「ローカル局多いしな。週に3回、おんなじアタックチャンス見たわ。」
ネオ浅草「Atelier de Marie」。♪カラーン。「いらっしゃいま・・綾香センパイ!」「やほ。マリー、元気してた?」
「うわ~、ひさしぶりですね。アイアンサイドの後始末はついたんですか?」「・・さすが、よく知ってるわね。
整理もなにも、きれいさっぱり消えちゃったから、わりと簡単に収拾ついたわ。」「公式発表は事故による消失・・
コロニー連合も正直にゆったら世界大パニックになるから苦しい弁明ですね。」「まあお偉いさんはそれが仕事だしね。
それはともかく、ここガンダム改造もしてるの?」「値段に見合う仕事はしますよ。BGFレギュレーションに合わせた
チューニングくらいなら、お安くしときます。」「お見通しか。・・うちのフェンリルをお願いしたいんだけど。」
「えーと、たしかフェンリルはタイプBでしたね。ならばこのくらいで。」♪ピッピッ。「うん、これでいいわ。」
「先生やルナんとこは?」「これからよ。そういえば綾さんの洋服屋もこのへん?」「はす向かいです。スーツを
仕立てるなら、そちらを推薦します。」「そうしましょうか。・・ところで。」「はい?」「ウワサに聞いたんだけど、
ドクターもこちらへ?」「ええ。隣りで工事してるのが。」「なるほど・・あっちじゃ商売あがったりなのね。」
「政府が腐りきってますからね。ミューの話じゃ、おじさんも頭痛めてるって。」「総理か・・あの腐れ外道が議会を
掌握してるかぎり、無理っぽいわね。」「・・その機会、わりと早いかもしれませんよ。」「どういうこと?」
「ミューが校長先生と進めてるプランがあるんです、ガンダムファイトを利用して。」「へえ・・それは見ものね。」
新橋・ガブ女。「ここか。」ザッザッ。・・「む?【保安バリア注意】・・か。」ザッザッ。・・バリバリバリ!
ズボッ。・・タタタタ。「ほう、対応が早い。」ザザッ。「校門バリアを簡単に突破するとは、どちらさまですか。」
「まずお名乗りください。」「よかろう。・・樊瑞。」ぎょっ!「・・ネオナチス十傑集筆頭、混世魔王・樊瑞!」
「訂正を要求する。もと、だ。」「御用の向きは。」「学園長に用がある。」「瞳子ちゃん、知らせて。」「はい。」
「こちらでしばしお待ちを。」「自分で出向く。」ザザッ。「退けい。学生を傷つける気は無い。」「訂正を要求します。
私たちは黒薔薇騎士団、学園を守るが使命です。」「・・ほう、良い目をしておる。ならば待つ間、しばしの余興を。」
「・・お相手いたします。」はっ!『祐巳さん?』「由乃さん、志摩子さん、下がってて。」「で、でも相手はあの!」
「・・一人じゃ無理よ。」「これはあくまで余興、いくら十傑集とはいえ3対1は礼儀を欠くよ。」「別にかまわんぞ。」
「こちらがかまうんです。騎士団長、ロサ・カルディナルの名にかけて。」ぴく。「薔薇枢機卿とはな・・よかろう。」
学園長室。「ほう、樊瑞が。よろしいでしょう、ご案内・・」ぴく。「・・いえ、ちょっと間を空けましょうか。
ちょうど面白いところです。」「え?・・祐巳さま?!止めませんと!」ダダッ!ヒュン、カツーン!「ひっ?!」
ビリビリ・・「・・メス?」『無粋だよ、「ソロモンの眼」。」ユラリ・・「!・・教頭代行『闇薔薇』の桂さま!」
「せっかくの座興、それに祐巳さんもやる気のようだしね。」「で、でも・・」スゥゥゥ・・ヒトッ。「あ・・」すっ・・
「何も、問題は、ないわ。」オォォォ・・「あ・・何も・・問題・・ありませんわ・・」「いい子ね。」チュッ。
「これこれ、毒牙に引き込むんじゃありません。」「何もしてませんよ?」「ウソばっかり。何人もの生徒がその手で
『ゲッセマネの園』に引き込まれ、改造手術されてます。」「本人たちは喜んでますけどね。それに卒業後すぐに殉教
させないため、リジェネレイトやキマイラくらいは最低限のはなむけですよ。」「まったく、博士よりタチが悪いわ。」
「ふふっ・・さて、樊瑞が驚く顔を見てみたいわ。がんばってね祐巳さん、いえ、騎士団長どの。ウフフフ・・」
ザッ。「名を聞こう。」「黒薔薇騎士団長、二号生『薔薇枢機卿』祐巳。」ジリッ・・「どこからでもかかってこよ。」
「・・!」シュン。・・「ほう、疾い。」・・ボッ!シャキーン!ビュオッ!バチイイイーン!「?!・・えっ!」
バヂヂヂ!「・・古銭!」「惜しかったな。」ビュッ!ドガガガガッ!『祐巳さん!』「古銭が!」「・・なにっ?!」
バサァ・・「うつせみか!」・・ズンッ!バサッ!『ぬうっ?!』ビュン!ぴたり。「はぁっ、はぁっ!・・ここまで。」
「すごい・・祐巳さん!」「頭上から肩車の要領で乗り、スカートで視界を奪った隙にビーストセイバーを・・」
『・・見事だ。この間合では古銭は使えぬ。「薔薇枢機卿」の名は伊達ではないようだな。』グン!くるっ、ザッ・・
「ご無礼、お許しを。」「よい。破れた上衣はあとで弁償しよう。」「・・最後の一撃、わざともらいましたね。」
「そう見えたか?」こく。「あなたならば余裕でかわせたはず・・違いますか。」フッ。「最初に言ったはず、余興と。
それと。」「・・はい?」「ちょっとスケベ心が出てしまったので遅れた。オヤジはこれだからいかん、ふはははは!」
「お見事でした、祐巳さん。」ぱちぱち。はっ。『・・学園長!』ザザッ。「わざと遅らせたな、『空ろなる境界』。」
「未婚スケベ中年へのささやかなプレゼントですよ。」「ありがたく受け取ったぞ。」「で、用件に入りましょうか。」
「ガンダム整備士を募集しておる。聞けば当校には経験豊富な生徒が多いとか。」「よろしいでしょう。」『学園長?』
「公認アルバイトとして技術科生に募集をかけましょう。労働条件と日当は、労働基準法に準じてくださいね。」
「委細承知。細かいところは書面で事務局に送ろう。ではこれにて。」「腕のいいのを送りますから、ご安心を。」
「ならば私が参りましょう。」スッ・・『!・・桂さん。』「?・・なんだこの異様な気は。女子高生のものとは・・」
「十傑集のガンダム、とても興味があります。それに十傑集ほどの方々にモノを言えないと、整備など勤まりません。」
「・・たしかに。技術科は黒薔薇ガンダム整備にも追われてますしね。ここは桂さんに一任します。」「感謝の極み。」
「むう・・おっと、ロサ・カルディナル。」「は、はい。」「受け取ってくれ。」♪ピィン。・・ぱしっ。「・・古銭?」
「『Atelier de Marie』に持っていけば高値で買ってくれるはずだ。上衣代と思ってくれ・・】シュン・・「あ、あの!」
「あら。祐巳さん、樊瑞に気に入られましたね。」「そうですか?これも単なる古いお金にしかみえませんが・・」
「・・祐巳さん、ちょっと見せて。」「桂さん?どうぞ。」じーっ・・「・・ははん、なるほどね。そういうことか。」
「知ってるの?」「かつて大英博物館・封印所蔵庫に納められていたものよ。この世にあってはならない、存在自体が
世界を根底から揺るがすオーパーツ。・・樊瑞なら持っててもおかしくはないわね。」「オーパーツ・・これが?」
「Atelier de Marie」。「こ、これは!・・」「マルローネさん、これなんですか?」「・・言っても理解できないわ。」
「そんなのゆってみなきゃわからないでしょ。」「・・マルローネさんが驚愕するほどのものなのですね。」こく。
「これは指輪なんです。」『指輪?』「でも中身が・・」チャキッ、ぽろっ。『取れた?』「カモフラージュです。」
ついっ。「・・ホントに指輪だ。」「でも何の変哲もない無地の指輪だわ。」「・・いいえ。」『志摩子さん?』
「すごい・・偽装を外した途端に、ものすごい力を感じたわ。」「カモフラージュは封印の役目もあったわけ。」
「封印・・そこまでして封じられる理由は?」「・・これ一億円で引き取らせてもらうわ。」『いちおくえん!』
「どーしよどーしよ!そんな大金!」「・・よし。学園長に電話しましょう。」「それがいいわ・・」さっ、♪ピッ。
「もしもし。・・はい。・・はい、代わります。・・マルローネさん。」さっ。「ども。・・あ、まいどごひいきに。
ええ、はいはい。・・ではそのように。」♪ピッ。「話がついたわ。騎士団の口座に九千万円を振り込むから。」
「・・残りの一千万円は?」ごそごそ、どん。「キャッシュで祐巳ちゃんに。」『ええっ?!』「それと領収書ね♪」
♪カラーン。「またおいでましー。・・さてと。」チャッ。「樊瑞さんが所有してたのか・・灯台下暗しね。」きゅっ。
ヴゥン・・「お帰りなさい、『ニーベルンゲン』。二万年ぶりね。またいっぱい働いてもらうから。」オォォ・・
『やはりね。』ぞくうっ!ばっ!「かつて幾億もの天使を屠った超魔導器『ニーベルンゲン』。大英博物館のは
レプリカだったか。」カツカツ・・「・・この気。理性と狂気を混淆した、常識では考えられない『もの』・・だれ?」
「ガブ女二号生、教頭代行『闇薔薇』桂。・・が、こちらでの今の名前。ちょっと前までは『博士』とも呼ばれてた。」
「神罰代行機関最高顧問・・なるほど、古き魄を捨てたんですね。お噂はかねがね。」「こちらこそ。自由の身になったら
真っ先に会ってみたかった。」「・・味見、ですか?」「それはここでは無理だろう。そんな気を起こしただけで、
この『家』に食われてる。」「そのとおりです。」「・・『主なるあなたの神を拝し、ただ神にのみ仕えよ』。」はっ。
「・・そうか、あんただったのか。』スゥ・・「久しいな、宿敵。」『あちらでおとなしくしてると思ったのに、
まさか転生していたとはな。しかもまあ、とんだ形で・・前とは大違いだ、』「転生すれば多少のずれは生じるものだ。」
『多少とは笑える。あんたのせいで、人間はいまだにえらい目にあってる。』「私はただ伝えただけ、あとのことは
人間自身の問題だ、私の知ったことではない。はからずも君の望みどおりになったかもしれんが。」『・・まあな。』
「ま、それはともかく、やっと自由になれたので挨拶まで。」『・・とりあえず、いま戦る気はないようだな。』
「私も人生経験というものを積んだ。それに今の環境は気にいってるしな。」『まあいい。・・で、挨拶だけですか?」
「こういうものを造ってほしい。」ぴっ。ぱしっ。「メモカね。拝見。」カチャッ。カタカタ・・「ふむ・・脳神経系を
正しい手順とタイミングで押し、潜在能力を覚醒させる治具・・なるほど、面白いですね。」「高い精度が必要なので、
ヘタなところに頼めなくてな。」「引き受けましょう。あさってに納品できます。」「さすがだな。支払いはカードで。」
ぴっ。ぱしっ。「三千万円、全額前金で。」ジャッ。カタカタ・・ジィィ~、バリッ。「サインを。」「拇印でいいか?」
ぐっ、ビッ。トロッ・・ぺたり。「まいどあり。ティッシュは・・いりませんね。」チュー。「自分の血も悪くはない。」
新黒薔薇の館。どどん。『・・いっせんまんえん。』「樊瑞さんに事情を話して、お返ししたほうがいいでしょうか?」
「・・いえ、おそらく意地でも受け取らないでしょうね。それに十傑集にとって一億円くらい、はした金でしょうし。」
「新しい制服は注文してきましたけど、それでも二十万円もしません。残りどーしよっかなー・・」「・・これだ。」
「ロサ・ギガンティア、なにか名案でも?」「芸能人呼んで、学内ライブを開くってのは?」『・・それいい!』
「瞳子ちゃん、相場を。」「ただいま。」カタカタ・・「超一流どころでも、一日二回公演コミコミで五百万ですわ。」
「なら二人は呼べるわね。誰にする?」「はい、提案。」「由乃ちゃん。」「ミーアさんとメイリンさんでは?」
『おお~。』「えーと・・ざっくり見積もって800万円あたりですわね。」「それでいきましょう。四号生で学園の
了承を取り付けます。三号生はエターナルに発注と交渉、あとは各関連部署への連絡と連携を。」『AMEN!』
エターナル。♪プルルル。「まいど、エターナルでやんす。・・ああ、ガブ女の。へえ、へえ。・・ちょうお待ちを。」
ちらっ。「次の金曜日ならご都合つきまっせ。午前と午後の二部、へい。費用は会場設備などによっても若干は
違ごうてきますが、だいたい8Mで見立てといてもらえれば。・・へい、ほなそれで。手付けに5M、あと事後で願います。
細かいとこは事務レベルで。まいどありあたんしたー。」♪ピッ。「ガブ女で営業ですか?」「そや。」カツカツッ。
「いつか来るとは思ってたけどね。」「ガブ女なら気心知れてるからラクですねー。」ずるるる~っ。(うどん)
「午後に黒薔薇会がこまかい打ち合わせに来るそうや。ワテとアスランで話すきん、ミーアとメイリンは予定どおり
ガンダム長屋行ってき。どのみちプランニングはそれ以降やきに。」「・・そーだ。どうせなら第二部は共演者も交えて
プリペンダーショーにしません?」「あ、それいいですねー。同じの二回やってもアレですし。」じゅるるる~っ。
「ふむ、ええかもな。クライアントに打診してみるわ。」「バックバンドへの発注も、その方針でかけましょう。」
浜松町。カツカツ・・「ここね、『エターナル』。・・あら?」『・・ですからメイリンさん、指先ってのは意外と
大事なんですよ。能楽で、わずかな顔の向きだけで感情を表現するように、指は口ほどにものを言うんです。』
『ふむふむ、なるほど。』てくてく。「二人でお出かけかしら。・・せっかくだから、ついていきましょうか。」
都営浅草線。『例えばそれは月を指差すようなものです。』『考えず、感じるのね。』「?・・聞いたような。」
東銀座駅で日比谷線に乗り換え。「各歌で役柄をガラッと変えてメリハリを付け、観客を飽きさせないんです。」
「声質にも気を配ったほうがいいね。」「はい。さらに息継ぎ・イントネーション・アクセントなど、歌詞と曲の
意味と本質を深く理解するほど、磨き上げるべきことはいっぱいあります。」「うわ・・歌手ってけっこー深いわ。」
「何でもそうですよ。これを商売としてる以上は、たゆまぬ品質の向上と開発は必須です。」「そうだね、プロだもの。」
日比谷線。「そのためにも、いろんな知識を身に付けることが大事です。誰も想像しないような分野に意外と解決策が
あるもんです。」「勉強はね~・・」「知識とは記憶、と思ってません?」「ちがうの?」「ちがいます。記憶には
おのずと限界があります。知識の本質とは検索と連想です。」「え?」「どこを見れば何がわかるかを知っていること。
もしわからなければ、それから連想される項目で当たってみる。こういうことです。」「?・・よくわからないけど。」
「例えば何かについて知りたいとき、まずどうします?」「ネットで検索、書籍を開く、知ってる人に聞く・・かな。」
「それです、それが検索です。」「ああ・・」「連想はもっと単純です。ちょっとゲームをしましょう。名づけて
『無限連想ゲーム』。まずある単語を言いますから、そこから連想されるものをひとつ言ってください。次にそれから
連想されるものを私が言う、この繰り返しです。」「やってみる。」「もうひとつ。連想はできるだけ突飛なものを。
相手が戸惑うようなものほど効果的です。ではいきますよ。ガンダム。」「・・レインボーマン。」「いいですねー。
ならばXYZ。」「おっ?・・ああ。リップヴァーン・ウィンクル。」「そうきましたか。タンホイザーゲート。」
「おおっ?・・えっと、スター・ボウ。」「離れますよ。マンハッタン計画。」「・・あ、なるほど。ニコラ・テスラ。」
「うーん、やりますね。パナウェーブ研究所。」「おいおい・・國民の創生。」「あはは、そっちもヤバいですよー。」
「これ面白っ。どう珍答してやろうかとアタマ使うね。」「メイリンさんもかなり博識ですねー。見直しました。」
「一時期ネットサーフィンにハマってたから。」「あー、なるほど。釈迦に説法しちゃいましたかね?」ぺろっ。
(??・・単語も関連も、半分もわからないわ。あの二人どういう知識構造持ってるのかしら?)【次は八丁堀~。】
八丁堀商店街。ガヤガヤ。(こんな所に何の用が?)「・・気づいてます?」こく。「浜松町からずっと尾けてきてるね。
こないだの営業で面割れてるのに、ご苦労なこと。で、どうする?」「このまま長屋まで引っぱっていきましょう。
流派東方不敗なら、ドモンさんやマスターと鉢合わせさせると面白いかもしれません。」「あ、それナイスかも。」
カツカツ・・くるっ。(路地へ?・・)ささっ、ちらっ。ギィィ・・パタン。(・・ここにいったい何が?)さっ。
『ごきげんよー。』『はーい。』ガラガラ。「あら、いらっしゃい。・・ドモン、アイドルのお二人よ。」『なに?』
ひょい。「おお、いつぞやの。」「あー、東方先生もおられたんですね。」「風雲再起の様子を見に来ておったのじゃ。」
「それは好都合です。」「なんのことじゃ?」「そういえば明日はミーアの対戦だったな。相手は誰だったか?」
「えーと、たしかメビウス重工会長のラクス・メビウスね。」『なにっ?!』ぎょっ!「レイン、いま何と言った!」
「え?・・メビウス重工?」「その次じゃ!」「ラクス・メビウス。」「・・師匠。」「・・そうか、あやつがのう。」
「あー、そういえば流派東方不敗とか聞きましたね。」「ええっ?!・・ということは。」「レインは知らんだろうが、
俺は何度か会ったことがある・・師匠の娘だ。」「ええっ!・・娘さん、おられるんですか?」「内縁なので公には
しとらんかったがの・・」「・・なにやら複雑な事情がありそうですね。」ちらっ。「それは面白そうですね。」ちら。
ぴく。「・・師匠、ここは一度すっきりさせとくべきかもしれません。」「まあ、怨み言のひとつも聞いてやるのが
親の責任じゃろうな・・はっ!」シュバババッ!カツーン!「もうよかろう。出てこい、ラクス。」『ただいま。』
ザッ。「あれが・・」「みんな下がってろ。・・最悪の事態もありうる。」「みんな、こっち。」こく。そそくさ。
ザッザッ・・「・・ふむ、社会の風に当たって、少しは人間ができたようじゃな。ウワサはよう聞いておる。」
「あなたの血と、それに対する憎悪が発端であることに変わりはありません。・・おかげで私は強くなりました。」
「憎悪も立派な生きる力じゃ。ワシを憎み、打ち倒すために、ガブ女で研鑽を積んできたのじゃろう・・だが。」
こく。「ガブ女と社会での生活が私を変えました。けど、あなたを憎む気持ちはいまだ健在です。」「ならばよし。
もはや言葉は無価値、拳にて語ろうぞ。」くい。「望むところです。」ザッザッ・・「・・ラクス。」ぴたっ。
「ドモン・カッシュ。あなたへの憎悪も。」「いいだろう、いつでも俺は受けて立つ。俺も口下手だからな。」
ザッザッ・・「・・ドモン、いったい何が?」「十年前、俺が師匠に連れられギアナ高地に入ったとき、彼女はいた・・
物心つかぬときから母親から引き離され、ギアナで過酷な修行を課せられ、その目は父親に対する憎悪に満ちていた。」
「それで・・」「・・いえ、それだけじゃないですよね。」「そうだ。・・俺という後継者を得たことで、師匠は娘を
文明社会へ戻した。だが・・それは彼女の望むところではなかった。母親は数年前に亡くなっており、家も無い。
ゆえに全寮制のミッションスクールの中等科へと強制的にほうり込まれた。」「そりゃ恨むわね。」「もうひとつ。
ドモンさんも憎む理由が説明されてませんよ。」「自分から父親を奪った・・そうとられても仕方がない。憎悪しつつも
愛していたんだろう。」「重度のオディプス・コンプレックスか。」「ぶっちゃけ、甘えですね。」「きつい見方ね・・」
裏の空き地。ザッ。「お主の成長、見せてみよ。」「・・」スッ・・♪ポロン。シュババババッ!「ほう。」ボオッ・・
スカカカッ。「妖琴掌、さらに鋭くなったな。」「な、なにあれ?!」「流派東方不敗は固定の流派じゃない、各人の
特性に合わせて技も変わる。あれは妖琴掌、特殊な指の動きで大気を爪弾き衝撃波を生み出す、ラクス独自の魔拳だ。」
「大気の琴・・それで音が。」「じゃが忘れるな。ぬしが出来ることがワシにできぬと思うか?」スッ・・♪ジャラン!
ズドオオオーン!「くっ!」ピピピッ!タラタラ・・「・・妖琴掌?!」「原理は同じじゃ。ワシのは横琴じゃがの。」
♪ジャラララン!「負けません!硬打!」♪ポロロロン!ドカドカドカーン!『うわっ!』「二人の間で気が激突!」
「ぶはっ!・・まるで連鎖爆発!」「なんて戦いなの?!」「・・(注視するミーア)」ドカドカーン!ゴォォォ・・
「ふふっ・・やるのう。」「だってあなたの娘、ですから。」「うわはははは!よかろう。明日のファイト、楽しみに
見させてもらうぞ。のう、ミーア。」「はい。・・おかげで技を見切れました。」ニィッ。「・・どういうこと?」
「気にするな。少々手の内を明かしたくらいで困るぬしでもなかろう。己が技に自信を持てい。」「・・では、明日。」
「リングでお会いしましょう・・」ツカツカ・・『・・・・』すっ。ツカツカ・・「・・あんにゃろ。」ピピッ、ツツ・・
「なっ?ミーアの頬に・・傷が!」「すれ違いざまにやりおったか。」「アルテナの傷薬を持ってくるわ。」ぱたぱた。
「こっちもお返ししときましたけどね。」『なに?』・・グラッ、ヨロッ。「肘でアバラ一本にヒビを。商売モノの顔に
傷をつけたんですから。」「・・わからなかった。」ぞおっ・・「くっ・・ミーア、ある意味あの人よりも恐ろしい・・」
「ときに東方先生、私にも稽古を。」「・・よかろう。」ささっ。「・・師匠が本格的に構えた?!ラクスのときすら
しなかったのに・・」「さっきのは準備体操にもならぬ。じゃが、コヤツ相手では微塵も手を抜けん。」「どうも。」
ヒュゥゥ・・「ぬう・・手ごわい。」「あの真祖すらも驚愕したミーアの技量・・はたして師匠はどう対処するか。」
ぴく。「推手!」くるっ、ドン!『なにっ?!』ドカアアアーン!ゴォォォ・・「隠れてないで出てきてください。
殺る気ビンビンですよ。」『ふふふふ・・よもや小娘に気取られようとはな。」カツカツ・・「・・おぬしは!」
「十傑集、衝撃のアルベルト!」『ええっ!』「「ほほう、存外に有名だな。」「そのスジでない私でも知ってる・・
世界最大の武装結社・ネオナチスに君臨する超人集団。」「過去形だ。今はもう縁が切れた。」「して、何用か。」
「聞くまでもあるまい。東方不敗、一手所望。」「ならばまずうちの師範代に稽古をつけてやってくれぬか。」ぽん。
「はえ?」「なんだと?・・」じーっ・・「・・よかろう。殺してよいなら。」「できれば、じゃな。」ニイッ。
ザッ。「手加減という言葉は知らぬぞ。」「あら、よもや十傑集の口から聞けるとは思いませんでした。」クワッ!
「でやあっ!」キュゴオッ!「春の舞。」ユラッ・・スカッ!・・ズドオオオーン!「なんと?・・これを避けた!」
「こちらからいきますよ。」ヒュルルル・・とん。ズドオオオーン!「ぬおおおおおーっ!」ズザザザザーッ!・・
「軽く触れただけなのにあんなに!」「発勁の一種だ。だが・・」「あのアルベルトがあっさりともらうとはのう・・
ミーア、やはり恐ろしいまでの技量じゃ。」「・・ふふっ、うわはははは!面白い、実におもしろいぞ!なるほど
東方不敗が推すだけのことはある。・・ならば!」キュバババッ!「い、いかん!」「全力攻撃を打つつもりだ!
この一帯が吹っ飛ぶぞ!」「うおりゃああああーっ!」キュドオオオーン!「・・。」シュゥゥ・・「えっ?!」
「ミーアは・・よけない?!」「ま・・まさか!」ギュオオオオッ!「静寂。」くい、ギュルルルル!・・シュゥ・・
「なんだと?!」『・・消えた?!』「あれほどの強大な衝撃波が・・師匠?!」「むう・・これほどとは。」タラ・・
「いったい何がどうなって?!」「簡単なことですよ。気を体内炉に吸い取っただけです。」「・・体内炉?」
「ワシが説明しよう。人の各部には気を出し入れする箇所がいくつかある。」「仏教でいうところのチャクラですね。」
「うむ。ミーアは掌のチャクラから衝撃波を吸い込み、気の源、すなわち無限の体内炉に取り込んだのじゃ。」
「・・あっ!師匠のマスターブリンガー!」「原理は似ておるが、ワシの場合は取り込みきれず放出しておる。にしても
あれほどのエネルギーを完全に昇華しうるとは・・衝撃の、ここまでにせい。」「むう・・やむをえんか。」シュボッ。
「ミーアとかいったな。その名、おぼえておこう。」「光栄です、衝撃のアルベルト。」すっ。「楽しかったぞ。では。」
ヒュン!・・「・・十傑集をして驚嘆せしめるか。ドモン、あの娘、次代キング・オブ・ハートに推挙してもよいな。」
「はい、それほどの逸材です。」「ミーアが・・キング・オブ・ハートに?!」「しつもーん。その紋章持ったら、
なんかいいことあります?」『え?』「ふむ・・名誉くらいかの?」「あまり実感はないですけど。むしろ紋章の重さや
責任のほうが大きいかと。」「じゃあいいです。私には使いこなせないでしょうし、あっても無くても、私は私です。」
「うわはははは!その意気やよし。紋章を欲しがる武闘家数あれど、それを無価値と看破するとは、見事な領偈じゃ!」
「『有ろじより 無ろじへ帰る 一休み 雨ふらば降れ 風ふかば吹け』・・ですね。」「このバカモノめが。ドモン、
こやつお主以上の阿呆じゃの、うわはははは!」「は、はあ・・」「風狂こそわが人生・・ですよ。おやつまだですか?」
で、おやつの時間。「今日はマスターお手製の点心よ。」ほかほか。「蒸し餃子、小龍包、シューマイに肉まんじゃ。」
『いただきまーす。』ぽい。はふはふ!「あちゅくておいひー!」「どうじゃ、アツアツの小龍包は。うわはははは!」
「ふふっ、師匠、すっかり気に入ったようだ。」「超絶の腕前なのに天真爛漫。なかなかいないキャラには違いないわ。」
「そういえば例のガブ女生にも、よいのがおったのう。」「祐巳ちゃんですね。たしかにあの娘はいいわ・・ん?」
ザッザッ・・ぴく。「あら、ウワサをすれば・・」『ごきげんよう。』「こっちよこっちー。」『あ。』・・ぱたぱた。
『ごきげんよう。』「いらっしゃい。今日は祥子さん、祐巳ちゃん、可南子ちゃんね。」「あ、あの・・真蔵さまは?」
「いるはずよ。真蔵くーん!」・・しゅたっ。「お呼びで?」「弟子が来てるわよ。」「祥子くん、いらっしゃい。」
「ご、ごきげんよう・・あの、今日も・・」ぽっ。「いいですよ。今日は新しい糸組みを教えましょう。こちらへ。」
「・・お姉さま、ゾッコンだな~。」「・・でも真蔵さまにはもうナコルルさんが。」「カンケーないない。ああやって
手づから教えてもらう時間が大事なんだよ。」「・・そういうものですか。」「そういうものです。でと、私たちも
スパーリングをお願いしに来ました。」「今日はマスターもミーアちゃんもいるから、相手には事欠かないわよ。」
「ほーい。」「ほほう、ぬしがウワサの騎士団長か。」「もう聞こえてました?」「こういう業界の情報は特にな。
よし、ワシが稽古をつけてやろう。」「ねがったりかなったりです。」「・・あいかわらず物怖じしない子ね。」
ザッ。「得物は使ってよいぞ、ワシも布を使う。」「ではお言葉にあまえて。ビーストセイバー!」シャキン!ターン!
「むっ?いきなり空中か。じゃがそれでは機動がきくまい。対空!」ビュルルッ!「はっ!」トン。スパッ!「なんと?
布を蹴って軌道を!」「もらいます!」ビュッ!「まだじゃ、盾布!」さっ、キィン!「はいはいはいっ!」くるくるっ。
「なんとおっ!」キキキキィン!『おおっ!』「な・・なんて滞空時間なの!」「すごい・・師匠の受けの反動に加え、
四肢を巧みに使って上へのベクトルを生み出している。物理的には適ってるが、まさか本当にやってのけるとは・・」
「ならばこれならどうじゃ。離脱!」フッ・・「離れた!」「あれでは落ちるしかない。そして反撃のいい的だ!」
ガクン!「そこじゃ!」ビュッ!「・・反動剣!」ザクッ!ギュイン、ポーン!『なんと!』「刃の弾力を利用して!」
くるくるっ、「遠心斬り!」ドンッ!「ぬおっ!」ガキイイイーン!・・バチイイーン!「なんじゃとおっ?布が!」
「師匠の布を斬った!」パキイイーン!くるくるっ・・ザスッ!「・・ビーストセイバーも!」「・・折れちゃった。」
「ぬう・・ぬしの攻撃に刃が耐えきれなんだか。」「・・これまで、ですね。片肺飛行はまだ対応していません。」
「じゃな。無いとわかっていても、どうしても反射的に使ってしまう。そうなれば致命的なスキとなる。」こく。
「お姉さま、予備は?」「こんなこともあろうかと以前に発注かけてるよ。・・改良型をね。」「・・改良型?」
「というわけで、さっそく『Atelier de Marie』で受け取ってきますのでこれで。」「うむ、楽しかったぞ。」
『ごきげんよう。』「・・なるほど、下級生なれど騎士団長に推挙されるわけじゃ。」「師匠、どう見ました?」
「恐るべき運動能力と格闘センスじゃ。軽気功を併用しとるようだが、それでもあの軽さは人のレベル以上じゃな。」
こく。「ミーアといい、流派東方不敗、このままでは世界最強の看板も・・」「いいや、そうではない。時代とともに
どんどん新しく強い者が現れるは世の習い、ならばその上をゆく技を常に磨き育てるが、流派東方不敗の真髄ぞ。」
「強者は最高の教師である・・ですね。」「そのとおりじゃ。強さに頂点など存在せぬ、日々是鍛錬あるのみじゃ。」
「・・ガブ女もすごい。それに比べて私は・・」ぴく。「・・メイリンだったか。」「は、はい?」「どうだ、俺と
一本やってみないか。」「え?・・」「見てのとおりミーアにもう俺の教えることはない。だがお前はこれからまだまだ
強くなれる・・ちがうか?」「・・私もミーアほどになれるんでしょうか?」「ちがう、もっと上を目指せ。そんな
低いところが目標ではダメだ。」「・・もっと、上?」ぴっ。「あの残月に届くくらいに。そう考えればいい。」はっ。
「・・そう、そうですね。目先のものに捉われず、ただただ上を向いて進めばそれでいい。・・お願いします!」
「む?・・ほほう、ドモンも教え方がうまくなったのう。それに気配りも。」「毎日のようにやってますからね。
中には迷いがある人もいっぱいいます。・・拳のカウンセリングとでもいうんでしょうか。」「なるほど、うまいな。」
ローゼンクロイツ66階「ゲッセマネの園」。かつては「博士の檻」と呼ばれたが、「闇薔薇」桂教頭代行になってから
代行者およびガブ女生の強化改造の拠点となり、強力な黒薔薇たちを次々と生み出す奇蹟の医務室となっている。
ゆえに機関員や生徒は賞賛と畏怖を込めて、誰言うとなく、いつしかこの階を「ゲッセマネの園」と呼んでいる・・
「まさか博士がこうなってましたとは・・」「精確には私はかつての私ではない、第三のペルソナと思ってくれ。さて、
肋骨は数分で癒着するが・・どうかな?」「具体的には?」「リジェネレイトおよび体内炉から指先への気道の拡張。
いずれもさほど難しい手術ではない、ものの数十分で終わるよ。」「代償は生肉一片、ですか。」「そのとおりだ。
どのみち数秒で復元する。」「・・お願いします。」「クラリス、オペの準備を。」「かしこまりました、御主人様。」
ぱぱぱっ。「クランケ、ラクス・メビウス。まずリジェネレイト処置をおこなう。神経針。」ぱし。「海馬の特定点を
刺激し、自己治癒力を劇的に高める。」「あの・・麻酔とかは?」「ちょっとかゆいだけだ、必要はない。」「はあ・・」
すすっ・・ぴたり。ツツツ・・「・・もう入ってます?」「30cmはな。あと10cmだが、ちょとでもずれるとお陀仏だぞ。」
「・・・・」「・・ここだ。」ツン。シュイッ。ぽい、チリィーン。「第一次オペ終了。」「?・・もうですか?」
「引き続き第二オペに入る。短針三本。」「どうぞ。」ぱし。「まず脊髄のここに一本。」ついっ。「肘に一本。」
トン。「そして手頸に一本。」すいっ。「三本を同時に震動させる。クラリス、手を。」「はい。」すっ。「いちにの」
♪ピィィン。ビリッ!「?!・・」「ちょっとビリッとしたら成功だ。これでオペは終了だ。」「・・では肉片を。」
「もうもらってるよ。」「え?」さっ。「先ほど切り取っておいた。神経を避けたので気づかなかっただけだ。」
「・・どこの肉を?」「もう治癒してる、見てもわからんよ。」「・・さすがはもと博士。ありがとうございました。」
パシュッ。「さて、ディナーにしようか。」「いかように調理いたしましょうか。」「素材を生かして軽くソテーに。
付け合わせは取り置きの前頭葉のパテにしよう。」「かしこまりました。」「君も相伴したまえ。」「感謝の極み。」
夜、「エターナル」。「あれ、ミーアは?」「屋上へ行ったようだけど。」「・・もう太陽は出てないはずだけど。」
カンカン・・「・・いた。」ヒュォォォ・・「ミー・・?!」ぎょっ!(・・巫女?!)「あ、メイリンさん。」くるっ。
「??・・」ごしごし。「どうしました?」「いえ、いま一瞬、ミーアが巫女さんに・・」「ああ・・それはたぶん
前世の私です。月光の下でたまにある現象ですよ。」「前世・・知ってるの?」「ダテに実家が神社じゃありません。
そして他の人の前世もある程度は。」「・・ラクス会長ね。」こく。「・・アイツは前世に私の子を殺してます。」
「えっ?!」「追われる身の良人の時間を稼ぐため、私はわざと捕まり、情報を混乱させました。また敵首領の前で
堂々と舞い、謡で面と向かって批判しました。」はっ。「・・まさか?!」「激怒した首魁を押さえて、あの人は
絶賛してくれましたが、結果として、あの場で成敗されてたほうが・・」「・・我が子を奪われるくらいならね。」
「あのときの哀しみ・恨みは忘れられません。」「それで会長に向ける目が違ってたのね。」「わかりました?」
「だいたいは。注意しないと気づかないくらいだけど、微妙にいつものミーアじゃない殺気が感じられたわ。」
「もう何百年も前の話です。さすがにあちらは前世までおぼえてないようですけど、それでも私には特別な何かを
感じていたようです。」「うん、それもわかった。・・私が言うのもなんだけど、感情に捉われると負けるよ。」
「・・そうですね。」「前世の誰かさんじゃなく、今のミーアで戦えばだいじょうぶ。ドモンさんに教えられたんだ、
ファイトを娯しめって。」「そのつもりですけど、今回はちょっと・・」「・・よし、これでいこう。」タタッ。
「アスラン、カモン!」・・カンカン。「なんだい、メイリン?」「ちょっとお願いがあるんだけど・・」ひそひそ。
「え?・・まあ、それは簡単だけど。」ちらっ。「はえ?」「ミーアにはOKとってあるから、ほら急いでやったり。」
「あ、ああ・・」カンカン・・「メイリンさん、なんですか?」「ちょいと小細工。明日のファイトでわかるから。」
「さて!今日の第二試合は究極の階級闘争、メビウス重工会長ラクス・メビウスのベアトリーチェガンダム対、
銭金アイドル・ミーアのキャンベルガンダム!」「こらこら、銭金はないやろ。今はかなり稼いどるはずやで。」
「だって今でもロケ弁お持ち帰りしてるわよ。楽屋のお菓子も。」「身についた貧乏性はなかなか抜けんかもな~。」
「そこがミーアの親しみやすさでもあるわ。ヘタに飾らず素のまま・等身大のままで、いったんステージに立てば
別人のように光り輝く。」「緩急のメリハリがきちっとしとるんが、ホンマモンのプロやね。いっぽう会長はんは?」
「経済界では乗っ取り屋とか言われてるけど、企業はちゃんと立て直してるからいいがかりね。社員の人望も高いって。」
「まあ、若い企業家は当初はそんなもんや。製造業なんも、会計がわかりやすうてええな。」「モノ作って売ってナンボの
世界だものね。金融なんかより株主もわかりやすいでしょうね。」「・・おっ?メビウス重工、まだ上場しとらんわ。
どうやら市場とは関わらずにいくようやな。」「さすが当事者、株式市場の脆弱性をよくわかってるわ。・・っと、
ここで経済の話してどーすんの。」「おお、そやった。ラクス会長の流派は?」「えーと・・ええっ?!」「なんや?」
「・・流派・東方不敗!」「なんやて!・・データ当たり直しや!」カタカタ・・ぴたっ。「・・そうだったんかや。」
「・・マスターアジアの内縁の娘?」「困ったときの親族ネタやが、これは予想外やった・・」「こらこら。」
ザッ。「・・ん?」オォォ・・「あら、気づかれましたね。」「・・ちょっとはパワーアップしたみたいですね。」
「打てる手は尽くして目的を達する、企業人として当然のことです。」「よかった。」「え?」「・・これで私も
フルパワーでいけますから。」さっさっ。「・・なに?」【観客の皆さんにお伝えします。スタジアムバリアーを
最大出力に切り替えます。余波が危ないですから白線の内側へ・・】「・・ブロックサインでしたか。たしかに説明会で
話がありました。」「では幕を開けましょうか。」「はい。」すっ、『ガンダアアームッ!』♪パチン!・・ギン!
ドドドド・・『バーニング・ガンダムファイト!レディー、ゴー!』「いきますよ、妖琴掌。」すっ。「突火多。」
♪ポロポロポロン。ヒュドドドドッ!「なに?いきなり無数の気弾が!」「あないな数を同時に打てるんか!」
「おっとっと。」ヒュヒュッ、ドカドカドカーン!「くっ?!・・強くなってる。」「当社比で三倍の気圧ですよ。
さらに燗怨。」♪ポロポロン。キュバババッ!「ランダム軌道?!」タタッ。ギュイイッ!「追尾してるわ!」
「ホーミングまでするんかや。」「どこまでも追いかけますよ。」「・・なら、こうしよっと!」ダダッ!
「キャンベル、ベアトリーチェのほうに!」「本人を盾にする気やな。」「やはりそうきますね。」ニヤリ。すっ。
「笛留待断。」♪ポーン。・・バゴオッ!「ぶっ!」ドバアアアーン!「吹き飛ばされた?!」「・・気の障壁や!」
ドガガガガーッ!「まだ終わりじゃないですよ。」ヒュヒュン、ドガガガガーン!「誘導気弾が連続直撃!」
「なんちゅうヤツや・・あれならビットやドラグーンなんか必要あらへん。ある意味、究極のガンダムや・・」
『ワン、ツー・・』バヂバヂ。「く・・」『くぉらミーア!』ぱっ。「・・メイリンさん?」『なによその体たらくは。
いつものアンタなら余裕で勝てる相手でしょーが!』「・・ムチャいいますね。マジ強いっすよ。」『だからどうした。
アンタは私以外のヤツに負けちゃいけないの、いえ、負けないの!なぜならアンタの後ろにはいつも私がいるんだから。』
はっ。『アンタがくじけそうになったら、いつだってケツ蹴飛ばしてやるよ。だから安心して・・やっておしまい!』
ギン!「アラホラサッサー!」バン!「セーフ!」ワアアアーッ!「キャンベル、カウント9で余裕で復帰!」
「立ってくると信じてました。」「きついのでやっとこさ身体が目覚めました。」ぐいぐい。ぱんっ!「いきますか。」
「アスラン、いま!」「始めるよ。」♪ピッ。【♪プリペンダー プリペンダー!】「ほえ?・・この歌は。」
『私たちのバトルソングよ。そしてキャンベルの新機能がこれ。』ぱぱぱっ。・・ぷっ!「あはははは!これいいです!」
『でしょ?・・さあ征け、プリペンダー・バトルステージ!』びしいっ!「らじゃー!」グッ。「・・なに?」
「オープン!」バシャッ!「なあっ?!・・キャンベルの腰パネルが開いた?」「あそこは脚部冷却ダクトのはずやで。」
「うん、冷却ファンが見えるね。」ヒュィィィーン・・ビュゴオオオオーッ!「・・強制冷却?」「しかもあら・・
電飾入りやで?」「光って回って・・あ、まさか。」びしいっ!「へーん・・」ススゥ・・「・・しんっ!」びしっ!
「とおっ!」ダーン!「えっ?!」ピカアアアーッ!・・ザシャアッ!『おおっ!』「あ・・あれは!」「アレや!」
「キャンベルガンダム・プリペンダーモード!」「?!・・り、理解できません。硬打!」♪ポロポロン。ヒュドドッ!
「また誘導弾よ!」「・・キャンベルは回避せん?!」ヒュヒュン・・ドカドカーン!「な、なに?・・透過した!」
「いいえ、私はほとんど動く必要はありません。要は当たらなければいいんですから。」「・・いったいどうやって?」
「紅蘭、超スロー!」「わかっとる!・・これや!」ジィィィ・・「ギリギリまで・・動いてない。」「・・ここや!」
ユラッ・・「ぶれた?」「そやない。・・眼にも止まらぬステップで避けたんや。」「・・ガンダムの動きじゃない。」
「ふっふっふ。PS塗装で純白に変更、さらに強制冷却器を兼ねた多数のバインダーを展開し、普通ならオーバーヒート
確実な動作でも楽々こなせる超高機動モードのこれが実力よ!」からから!「ちなみに改造したの、僕なんですけど・・」
♪ポロポロン!ボボボボッ!「・・当たらない!」・・ボオッ!がしいっ!「・・指が!」「組んでしまえば弾けない。
でも私はこの体勢からも!」グン!「裏返した?」ダン!くるっ、ダダーン!「くうっ!」「マウントポジションや!」
「しまった・・でも組み手を外さなければ!」ギリギリ・・「こっちもその気。なぜならー!」バッ!・・ドオンッ!
「かはっ!・・」「うわ、ニードロップ。」「えげつない技使いよんな~。やけどあの体勢からは実に効果的な技や。」
「腹筋鍛えてます?ほいっと。」ドオンッ!「・・S.E.E.D発動!」カッ!「あの光は?」「・・まさか!」「むん!」
バーン!「あひゃあっ!」くるくるっ、ザザーッ。「なんとブリッジで弾き飛ばした!」「やってくれましたね・・」
ユラリ・・ザン!「全力をもって叩きつぶしてあげます!」「いままで手ぇ抜いてたんですか?」「霊喰餌夢!」
♪ジャジャジャン!ドバアアアアーン!「最大攻撃!」「あら戦略核級のエネルギーやで!」「忘れてますねー。
プリペホワイト最終奥義!」スゥゥゥ・・カッ!「アルビオン・ランサアアアアーッ!」キュドオオオーン!
「あらCGやなかったんか!」「ぶつかるわ!」ズバアアアーン!「霊喰餌夢のエネルギーに勝てるわけがありません!」
「孫子読んでます?どれほどの物量差でも、要は断面積の問題です。すなわち!」ダン!ググッ!「・・まさか?」
「一点に集中させれば、単位面積あたりのエネルギー密度の高いほうが勝つ!」・・キュドオッ!「・・貫かれた!」
ズドオオオーンッ!「頭部直撃や!」シュゥゥゥ・・「・・お・・見事・・でしたわ・・っ!」ドドーン!・・
「総合力はあなたが上、けど一つだけ私が勝っていたのは・・トリビアです。」「勝負あり、キャンベルガンダム!」
『会長!』・・パシュッ。「あいたたた・・完敗ね。」「ご無事で?」「おケガは?」「ちょっとしたけど、すぐに
治ったからだいじょうぶよ。」『??』「それはともかく・・ミーア、ますます欲しくなりました。」「とはいえ
勝負は全敗、移籍話はお流れですけど。」「いくらでも手はあるわ。たとえば・・おっと。」タタタタ・・
「会長さん、ご無事ですかー。」「なんとかね。バルド社長、ちょっとお話が。」「もうかりまっか?」ひそひそ。
「・・ははん、その手がありやしたね。よござんす、その仕事受けやしょう。」「ギャラははずみますから。」
「社長、何の話ですか?」「仕事や。あのな・・」ひそひそ。『・・あ~。』「それはナイスなアイデアですねー。」
「やろ。それとな、さっきオーナーから連絡あって、約束のメシおごるて。」『いやったー!』「・・もしかして、
これ目当てでがんばったの?」「あたりまえじゃないですか。三つ星フレンチなんて、干支に一回食えるかどうか!」
「・・まあ、ミーアらしいっちゃらしいけどね~。」ぽりぽり。「食欲はいかなる欲求より強いっていうしね。」
その夜、都内最高級レストラン。「バルドさん、ミーアは?」「ちょいと着替えに手間取ってますねん・・来たわ。」
「お待たせしましたー。」『・・おおっ!』キラキラ。「・・なんてドレスなの。まるで発光してるみたい。」
「ステージ衣装でいちばん地味なの選んできましたー。」「これで・・地味?」ひきいっ。「行きつけの仕立て屋さんで
特注したドレスです。なんでも特殊な発光シルクを使ってるそうで。」「ちなみに、おいくら?」「これだけですねん。」
ばっ。「五十万?」「五千万。」「ばっ!・・衣装にそんなに!」「商売道具への投資に金の糸目はつけまへん。
それ以外はきっちり絞りますけんど。」「なるほど。・・いまだに万年銭金なわけだわ。いいわ、ここは好きなだけ
食べなさい。どのみちオーナーは私だからご遠慮なく。」「ではメニューぜんぶで。」どんがらがっしゃーん!
「オーナー?」「・・あいたたた。そうくるとは想定外だったわ。」「わては想定内でしたけど?」『社長に同感。』
カチャカチャ・・「ところでミーア、聞いた話だけど前世を知ってるの?」「はい。名前までは知りませんけど。」
「・・『♪吉野山 峰の白雪 ふみわけて 入りにし人の 跡ぞ恋しき・・♪』」はっ!「・・その歌は!」「返して。」
「・・『♪しづやしづ しづのをだまき くり返し 昔を今に なるよしもがな・・♪』・・」・・ぽろぽろ。
「ミーア・・泣いてる。」「やはりね・・(となると・・遮那王も案外近くにいるかも・・もしや?)」キラリ。
「ほれ、ティッシュや。」「ども・・」ちーん。「・・(ミーアを見出し、育て守っている・・なら面白いわ。)」
数週間後、ガンダム長屋。『♪いくぞメビウス重工 ガンダムハンマー ダダッダー!』「このCM、大人気らしいな。」
「重工業とアイドルってミスマッチが逆にウケてるそうよ。知名度も上がって、売り上げも急上昇って聞いたわ。」
「ほう。・・俺もCMくらい出てみるか。」「ドモンは大根だから無理よ。ミーアちゃんくらい表現力ないと。」
「そういえばファイターでCMに出てるのは、あとナコルルくらいか。」「地元の北海道キャンペーン限定だって。
あとガブ女も最近よくTVで見るわね。BGFとプリペンダーのおかげね。」「いちおー俺とレインも出てたがな。」
「ちょい役だもの。あれほど濃いキャラばっかじゃ目立ちもしないわ。」「特に敵役はすごい顔ぶれだったしな。」
「マスターを筆頭にガラさん・ラセツさん・コンタさん・ガルシアさんと、悪役商会もかくやのコワモテよね。」
「それでいてギャグもそつなくこなす演技力は見事だったな。」「あれでブレイクして、今はあちこちで悪役で
引く手あまただそうよ。」「それはよかった。・・明日はわが身だしな。」「縁起でもないこといわないで。」
君たちに最新情報を公開しよう。
十傑集いよいよBGFに参戦!相手は選びぬかれた一騎当千の強者ばかり。
まず先鋒は「命の鐘の」十常寺、対するは黒薔薇騎士団「色即是空」乃梨子。
摩倶荼羅教総本山・勝宮寺に迫る「腐敗の軍団」。
乃梨子の呪法は霊幻道士の道術に対抗しうるか?魔を切り裂く六方輪鈷杵!
その激闘の陰でほくそえむ「闇薔薇」の真意は?
次回、バーニングガンダムファイト激闘編・第32話
「天魔覆滅!地獄から響く鐘」に、バーニング・ガンダムファイト!レディー、ゴー!!
これが勝利のカギだ!(十二神将相克断)
********************************
第32話「天魔覆滅!地獄から響く鐘」
ガンダム長屋。ガヤガヤ・・「レイン、なにごとだ?」「あ、ドモン。たったいま実行委員会から新規参戦チームの
連絡が来たの。」「それが?よくある話じゃないか。」「十傑集でも?」「なんだと!」ばばっ!「・・まさか!」
「むう・・これは恐るべき連中が参戦してきたのう。」「その実力はシャッフル同盟をも上回るとも言われてます。」
「あの、私はよく知らないんですけど。」「お姉ちゃんに同じ。」「私も知らないな。」「ナコルルさんやエリスさんは
暗黒街の方面はご存じないのは当然です。・・世界最大の武装結社ネオナチス。その頂点に君臨していた十人です。」
「・・過去形ですね?」「数ヶ月前にネオナチスは完全に壊滅したのだ。地球上戦力をワルキューレ隊により、
またタイタン大本営をデビル軍団によって。」「それで・・」「しつもーん。となると十傑集ってデビル軍団?」
「いいえ、むしろ組織を奪った宿敵というべきね。」「?・・それでは話が合いません。もしそうなら、なぜわざわざ
BGF出場なんてまわりくどいことを?」「そこまではわからぬが・・」「俺はわかるような気がする。デビル軍団は
あまりにも強大だ、対抗するには十傑集だけではまず無理だろう。アテになるとすれば、まさにいまBGFに参戦している
チームたちくらいだ。」ぎょっ!(・・ドモンさんはアルカナのことを?)(いや、知らぬはずだが・・なんとなくそれに
近い空気を感じ取っているのだろう。)「とはいえただ単に懇願するなど十傑集の誇りが許さないはずだ。それゆえに
直接拳を交わすことで訴えようとしている・・と思える。」「よーするに、不器用なのがまた増えたわけね・・」
「で、第一試合は誰とだ?」「えっと・・ええっ!」『なんだなんだ。』ガヤガヤ・・『・・女子高生だって?!』
ガブ女、一号棟。カタカタ・・「瞳子、なにやってんだ?」「BGF試合記録の整理ですわ。毎試合を映像アーカイブして
そこから各ガンダムの戦力を解析、データ化してライブラリに収めてますの。」「へ~、すごい。全試合を網羅してるか。
まるでようつべだね。」「あんな画質粗いのと一緒にしないでほしいですわ。ウチはちゃんとHV仕様の最高画質で」
ひょい、ぽん。『え?』グルルル・・「運慶?」「パトラッシュ?・・あーっ!せっかく解析したデータが消えてる!」
「セーブし忘れたな。だめじゃん、こまめにセーブせんと。」「てめこのバカ虎が!」ダダダッ!「逃がしませんわよ!」
どたばた!「・・朝から元気ね。」「元気じゃない瞳子は病気だよ。」「それもそうだ。ときに次のカードの情報は?
そろそろバトらないと、身体がなまるぞ。」「えーと、ローテからいってもうちょっとかかるかな・・対戦スケと。」
カタカタ・・「黒薔薇で検索・・あった。」ぱっ。『・・なにいっ!』「チーム十傑集『命の鐘の』十条寺?!」
「相手は・・乃梨子さん?!」「・・なんじゃこりゃあああーっ!」♪ポーン。【一号生「色即是空」乃梨子さん、
最優先で学園長室へ出頭してください。】『え?』【さらに黒薔薇会有志も同行を許可します。】「・・なんだ?」
学園長室。「たしかに有志と言いましたが・・」ガヤガヤ。「全員来るとは思いませんでした。」「ご用件は?」
「次の対戦カードについてです。・・その顔では知っているようですね。」こく。「・・乃梨子、なんなの?」
「三日後の第二試合。私の対戦相手は・・「命の鐘の」十条寺です。」ドヨッ!『・・十傑集!』「学園長、これは
いったいどういうことです?」「これは明らかに無茶なカードです。十傑集のレーティングは私たちより遥か上位。
これは横綱と序二段に匹敵する実力差です。」『そうでもないわ。」はっ。カツカツ・・「だって祐巳さんはあの
キング・オブ・ハートに引き分けたじゃない。」「・・『闇薔薇』桂教頭代行。」「他の試合でもそうだけど、
レーティングはリングの上ではさほど問題にならないわ。もしそうなら、事前に実行委員会でハネられてるはずよ。」
「でも、なぜ乃梨子が・・?」・・はっ。「桂さん、もしや!」こく。「私が申請したの。黒薔薇会の誰かとぜひ
闘わせてくれって。人選は委員会に一任したわ。」「な・・なんてことを!」「・・いいじゃないですか。」はっ。
『・・祐巳さん?』「相手は強いほどいい。弱かったり同等より得るものも多いよ。それに・・乃梨子ちゃんなら
『命の鐘の』十常寺相手に最適だね。」「祐巳さんのいうとおり。みんな十傑集メンバーの情報は知ってるわね。」
こく。「現代暗黒街史の授業で。」「十常寺は道教の道士。死人を使役し無機物に生命を与え、逆に生者から生命を
簒奪することもできる・・だったね。」「さらに物理的攻撃ではまったくダメージを与えられないそうね。なんでも
肉体と魂を分離し、この世の法則から外れているとか。」「・・尸解仙ね。」「煩悩を断ちきれず俗心を持ったまま
死仙となった邪仙。」「そう。物理的攻撃を主とする通常のファイターでは傷もつけられないわ。けど。」ニヤッ。
「たしかに私向きの相手ですね。・・この勝負、摩倶荼羅教呪法師の名にかけて受けましょう!」ジャラッ!
「よろしく。・・あ、もうひとつ。家庭訪問の可能性を考えておいて。」ぴく。「・・歓迎会の準備をしておきます。」
旧六本木ヒルズ『マイダスの楼閣』。かつては金融なる錬金術で財を成した者が集う地であったが、今は廃墟となり
過去の栄光にすがりつく怨霊が徘徊する名うての危険物件だった・・数日前まで。「彼の地に縛されし怨霊は全て
地獄へ送り込んだ由。」「ふむ・・調度もよし。吾等にふさわしい物件だな。」「窓は特殊加工で外へ灯は漏れぬ。
巨大なガンダムドックまで内部に造るとは、恐るべし『地獄の錬金術師』・・いや、『あの方』なら朝飯前か。」
「樊瑞、整備士は調達できたのか。」「うむ、知人の紹介で骨のあるのが来てくれることになった。そろそろこちらへ
着く頃合いか。」「もう来てますけど?」はっ?!ばっ!コポコポ・・「一杯やらせてもらってます。」『なんと!』
「いつの間に?」「五分前から。方々が気づかなかっただけです。」くい。「さすが十傑集、いい酒置いてますね。
バンテスさんあたりのコーディネイトかしら?」「女子高生?・・いや。」「この凶気・・小娘のものではない。」
「ガブ女技術科二号生『闇薔薇(ロサ・ノワール)』桂。よろしく。」「樊瑞、こやつが・・」「うむ、件の整備士だ。」
「くわえて実行委員会とのパイプ役も。これ対戦スケジュール表よ。」ぴっ。ぱしっ。「むう・・そこまで手回しを。」
「第一戦は十常寺さん。対戦相手のデータも揃えてきたわ、地元だしね。」ぱかっ。(ノートパソ)カタカタ・・ぱっ。
「黒薔薇騎士団『色即是空』乃梨子。摩倶荼羅教呪法師。その腕は裏高野退魔師に匹敵する凄腕です。」『ほう・・』
「摩倶荼羅教か・・まさに十常寺にふさわしい相手。どうだ?」「良。異教が術士、娯しき死合にならんことを。」
「ひとつ疑問がある。あえて仲間をぶつける心理がわからん。」「相手は強いほどいい。勝っても負けても得るものは
大きい・・そういうことです。」「たとえ仲間がそれで死んでもか。」「『我ら主に全てを委ねたり。いずくんぞ
この命なにするものぞ』・・代行者に死はさほど問題ではありません。」「ほほう・・ならば試してやろう。」はっ。
「アルベルト!」「でやあっ!」シュドッ!「因果応報。」ギュンッ!「なにいっ?反転した!」バシイイイーン!
「くっ!・・?」ジャラララッ!「迂闊だぞアルベルト。」「樊瑞・・よもやベクトル反転能力とはな。」
「十常寺さん、これを。」ぴっ。ぱしっ。「何ぞや?」「東京観光ガイドよ・・知られざる名刹の。」ニイッ。
大手町地底・勝宮寺。「むう・・命の鐘の十常寺か。強敵だな。」「住職はご存知ですか?」「うむ。かつて上海で
目撃したことがある。何より恐ろしいのが『腐敗の軍団』だ。」「・・アンデッド。」「ただの死人ではない。
統率され、武装しておる。」「死人軍団・・死者の同時制御は多いほど困難・・さすが十傑」ぴくっ!『ん?』
「・・来るわ、すさまじい霊気が。」「教頭代行のおっしゃるとおりでしたね。」「ここまで来るとは、さすが・・」
「門前で阻止しましょう。」「神域たる境内には入れたくないわ・・」「私も迎撃の準備をしておく。」シャシャッ。
門前。ザザッ。「・・エレベーターじゃないわ。」こく。「もうわかります・・地下です。」・・ボコオッ!
♪ちりーん。「成る程、此処が摩倶荼羅教が総本山なり。・・む?」ザッ。「ようこそ勝宮寺へ。」「・・できうれば、
まともにいらしてくだされば。」「會や失礼仕った。貴女が吾が対手なりか。」「いかにも。摩倶荼羅教呪法師、乃梨子。
十傑集・命の鐘の十常寺殿とお見受け仕る。明日は良しなに。」「丁寧なる挨拶痛み入る。してそこな妙麗なる乙女は?」
「・・摩倶荼羅教頭主、志摩子。」「おお・・活き摩利支天菩薩と呼ばれる。御尊顔を拝し恐悦至極。」ふかぶか。
「・・ご本題に。」キラリ。「吾と対すに相応しきか、少々毒見をば。」「けだし当然の儀。・・いざ。」ジャラッ。
「いでよ『腐敗の軍団』!」♪ちりーん。・・ボコボコッ!オオオオ!「なるほど・・槍や銃で武装してますね。
志摩子さん、ここはお任せを。」「承知してるわ・・」すっ・・「襲!」♪ちりーん。ドドドド!ドキュドキュン!
「地蔵菩薩護壁呪!」ゴバアアアッ!「地より石壁とな?」チュンチュン!「斬!」♪ちりーん。シュバババッ!
バゴオオオーン!「ふむ。・・不在なり?!」『上です!』はっ。「・・飛翔?」「孔雀明王舞天呪!」バサササッ!
「大日如来成仏光!」ピカアッ!オオオオオ!ボロボロ・・「・・あまり効いてない?」「無宗派若しくは異教徒には
些か霊験も届かぬ由。対空!」♪ちりーん。ズガガガガッ!「なんの!」バササッ。チュンチュン!「ならば愛染明王
天弓撃!」シュパパパッ!ズドドドドッ!「無駄無駄。この圧倒的な数の前には蟷螂の斧!」「・・数が多すぎる!」
『ならば見せてあげよう、現代に即した退魔行を。』「え?」ばばばっ!・・ザシャッ!「何奴?!・・否?」
「住・・職?」「お父・・様?」「・・ポウッ!」♪ジャンカジャンカ・・「この曲は・・ま、まさかあの!」
オオッ?ウオッ?「否?・・死人供が動揺?」「そうだろう、そうであろうとも。死人ならばこそ。ではいくぞ!」
ザッザッザザザッ!「何故?・・何故に踊る!」「・・なるほど、この手がありましたね。さすがお父様。」
♪Cause this is Thriller! Thriller night! And no one's gonna save you from the beast about to striken♪
「うへえ・・完璧に揃ってるよ。」「・・お父様は、かつてかなりやってたとか。」「ストロングマシン一号ですか。」
♪You know it's Thriller, Thriller night you're fighting for your life inside a killer..♪ オオオオ!・・
「・・成仏していく。」「・・踊ったことで呪が振りほどかれたのね。」「死人にとってこれ以上の満足なし!」
「うむう・・摩倶荼羅教、恐るべし。よもや踊りで退魔行とは。」「あの、誤解してるようですけど、これは住職の
オリジナルであって」「十常寺、貴殿も踊りの一つでも会得すべきですな。死霊使いならば盆踊りを推奨するが。」
「また濃いネタを・・そういえばDVD持ってましたね。」「・・面白いの?」「見てるこっちが死にたくなります。」
「いかにも験悪し。これにて退散!・・明日闘技場にて。」ズズズズ・・「帰りくらいエレベーター使えば?」
「はっはっは、穏便にお引取り願えたようだな。」「住職、なんですその格好は!まるでハードゲイじゃないですか。」
「忘れたかね?私はチョン切ってるので立派なハードゲイだよ。」「・・あの踊り、おぼえたいわ。」「志摩子さん?!」
「オッケー!乃梨子くんもどうかね?」「結構です!・・志摩子さんの好奇心の強さはあいかわらずだな~。」
亜空間要塞パラノイア。「道教の霊幻道士と退魔師か。面白そうだね。」「幽音、十傑集を放置しておいてよいのか。」
「彼らは知りすぎています。このままではこちらの情報も。」「いまさら知られて困る情報なんか無いよ。アガルタは
完全に崩壊、調べようにもコロニー連合および各国の調査船はヘルファイターとデスボーグ迎撃部隊に撃滅され断念、
今じゃタイタン宙域はコロニー宇宙軍ですら足を踏み入れない最高危険ゾーンだし。」「一般には隠蔽しとるけどな。」
「おかげで主の成長は順調だがな。」「放っておくほど事態は悪くなるとわかってても、どうしようもないもんね。」
「それよりも気になるのが、あのガブ女生だね。」「なぜ今頃になって頭角を表してきたのか・・あれほどの人物ならば
黒薔薇会がらみでとうの昔に出ててもおかしくないはずだ。」「何の前兆も情報も無く、いきなり現れた・・なぜ?」
「探りを入れてみよか。」「ローゼンクロイツ内ならともかく、校外へ出たときならば仕掛ける余地もあるだろう。」
「問題は、誰が猫の首に鈴を付けるかだけどね。」「それは私がやりましょう。」はっ。カツカツ・・「エルフィール。」
「あいつ、私と同じ匂いがする・・気に入らないわ。」「・・狂気、だね。」「見極めてくるわ、この目で。」ザッ。
「マイダスの楼閣」ガンダムドック。♪ピッピッ・・「ガンダムネクロマンサーはこれでよし。・・見学かね?」くるっ。
『・・気配は完全に消したのに、よく気づいたわね。」カツカツ・・「そのつもりなら香水の匂いも消すことだ。」
「はじめまして。私は」「エルフィール・クロウリー。デビル軍団顧問錬金術師。マルローネ・パラケルススの直弟子。」
♪ひゅー。「よくご存知で。」「ウチも特務機関、このくらいの情報は基本だよ。そちらは?」「ただいま収集中よ。
できればいま教えてほしいけど。」「よかろう。二号生『闇薔薇』桂、とお見知りおきを。」「?・・なんか変。」
じーっ・・「・・一人じゃないわね。」「ほう、よく気づいた。『狂気の錬金術師』は伊達ではないようだな。」
「どれほどのものか、見せてもらうわ。」さっ。ビィィィ・・「蚊のマイクロマシンか。」「象をも殺す毒針付きよ。
いけっ!」ビィィィーッ!「日本には蚊帳という伝統があってな。」バチバチッ!「・・え?」ポトポトッ。
「私も下ろしている。」「・・電磁障壁。」「想定内だろ?では私のターンだ。スポンティアヌス・コンパッション。」
♪パチン。ボオオオーン!「手品ほどでもない、ちょっとした科楽だ。・・おとぼけは無しで。」『・・それもそうね。』
ボシュッ!・・ぱんぱん。「なかなか面白い隠し芸だったわ。ならこれはどう?」さっ、キュポン。ぽい、コロコロ・・
グワアアアッ!ガブウッ!「あらま、あっさりと。・・拍子抜けね。戻りなさい。」・・ボオオオオーン!「なっ!」
バシャバシャッ!「ラズウィック公の手投げ弾か。残念ながら私は口に合わなかったらしい。」ぴっ、ふきふき。
「・・どうやって?」「経絡秘孔は知ってるな。私はどんな生物でも外観からそれを識別することができる。彼の場合は
食道の中のある一点が死穴だ。」「なるほど。・・今日はこのくらいにしておくべきかしら。」「それは困るな。まだ
私の用事が済んでいない。」「え?」・・ガグン!「な、なにこれ?・・身体が・・動かない?」「さきほど秘孔に
この針を打ち込んでおいた。」ぴっ、キラリ。「・・何をしようと?」「これだ。」ガチャン!「・・な、なにこれ?!」
「私手製の開頭器。針には麻酔効果もあるから痛くはないよ。」キュイッ!「な・・」かぱっ。「・・やはりな。」
ブン!グシャッ!「が!・・」ガクッ。「こんなバッタモノで私がごまかされると思うかね?」くるっ。『・・お見事。」
カツカツ・・「どのくらいから?」「最初から。デビル軍団最高顧問にしては正気すぎるな。」グリッ、ビチャア・・
「それに脳だ。私の推測ではもっともっと美しいはず、このような澱んだ食欲も出ぬ色ではない。」ビュッ、バシャッ。
「さすがは『博士』。大脳生理学の世界的権威ね。」「もと、だ。さて、まだ殺るかね?」「見破られた時点で勝負あり。
ここはもと『人食い博士』に敬意を表して引き下がりましょう。」「それは残念だ。君との命の奪い合い、さぞや楽しい
ものになるだろうに。」「お互い、一人身じゃありませんから。では・・』スゥ・・「せめて掃除をしていかんかね。」
【魔導生物は死ねばじきに塵に戻ります。そのダミーもね・・】サラサラ・・「なるほど。これなら掃除機で済むか。」
ネオ浅草・京極堂。ぱらぱら・・「・・【ガンダムファイトに際しての注意事項:ファイターはファイトが終われば
勝敗如何に関わらず対戦相手に礼を尽くさねばならない。なぜなら対戦相手は己の力量がいかほどのものか教えてくれた
恩人だからである】・・か。」「綾香さん、BGFに出るんですか?」「もう手続き完了。対戦スケジュール待ちね。」
「綾香くんなら良いところまでいくだろう。そういえば十傑集が参戦したとか。」ぴく。「十傑集?・・へえ。」キラリ。
「十傑集に関する文献ある?」「これだ。」ドン。「拝見。なになに・・【十傑集の発祥は第二次世界大戦に遡る。
フューラー直属の精鋭部隊として十人の異能者(猶太人含む)を集め、大戦初期の電撃戦勝利の陰の立役者となった。
だがバルバロッサ作戦に反対し、さらにロンメル自決で亀裂は決定的となった。反逆罪とされ、ゲシュタポの襲撃を
受けるも、全員を返り討ちにし消息を絶った・・】これだけ見てると反ナチスじゃ?」「まだ続きがある。」
「・・【彼らは報復としてフューラーとエヴァ・ブラウンを惨殺し、来たるべき第四帝国の旗印とするため遺骸を
冷凍保存。ひそかに南極要塞へと運び、永久保存処置を施した】・・か。」「ちょびひげの伍長どのの霊験がどれほどか
知らんが神輿としては使えるだろう。」「当時はまだ冷凍保存遺体を蘇生させる技術が無かったので、現在まで保管
されてたようです。しかし・・」「・・死者をも甦らせるDG細胞。」「悲願成就の好機としても無理はない。ただ唯一、
そして最大の誤算を犯した。」「・・制御できない技術だった。」こく。「幽音の口車に乗せられ、気づいたときには
全ては遅かった。」「しつもん。十傑集は当然ながら代替わりしてるよね。どうやって新たなメンバーを集めてるの?」
「異能者はいつの世も世間からは異分子として受け入れられないものです。となると異能を封印するか、あるいは・・」
「犯罪組織で世間への復讐に使う・・か。」「異能者が生きていける世界を作るとか大義名分はいくらでも造れる。
いずれにせよ本質はテロ組織そのものだった。」「いっそ悪の組織でございますと開き直ればラクだったんだけどね。」
「そこまで思いきれなかったんですね。」「悪を騙って正義を行う某組織のようにはいかん。」「あー、あそこね・・」
「・・だいたい何考えてるかわかります。」「対戦希望届を出してみるといい。綾香くんの実績ならば承認されるはず。」
「・・やってみましょうか。端末借りれる?」「読子のノートがある。準備してやれ。」「はい、兄さん。」ゴトン。
カタカタ・・「・・なにこれ?ブックマーク、ネット小説リンクだらけ。」「基本的にそれしか使いませんから。あとは
外出用にアイゲッティだけです。」「また古いPDAを・・いまどきのLinuxにしないの?」「乾電池電源なのがいいんです。
上がってもすぐに復帰できますし、画面大きいし、モノクロで電力消費量が少ないので、充電式より長く使えます。」
「携帯文庫とかもあるけど。」「画面が小さすぎます。それに飛行機内だと使えません。」「あ、なるほど・・」
亜空間要塞パラノイア。「幽音、次の作戦は?」「こないだ大きいのやったばかりだからちょっとお休み。もちろん
計画は考えてるし、準備も始めてるけどね。」「概要くらい事前に教えてください。いつも二枚も三枚もウラあるし。」
「じゃあまずはタイトルだけ。『GGG抹殺計画』。」「おや、ま・・幽音にしては珍しく執着しとんな~。なんでや?」
『ガブ女、もとい黒薔薇騎士団のときとはえらい違いだ。』「・・見過ごせない存在、いや、誰かがいるというとこか。」
ぱしっ。「へえ、あの薔薇枢機卿より危険視してるのがいるんだ。」「ん~・・そんなとこ。具体的作戦としては、
敵戦力を分断し孤立させ、各個に撃滅する。」「まあ戦術の基本か。して、いかにしてその状況を作るのか?」
「ん~、具体的方策がまだ決まってないんだなこれが。」「・・幽音さま、口調がちょっとこなたってきてますよー。」
「いずれにせよ、どうにかGGGを地上にひきずり降ろすことから考えないと。」「BGFに出場させるんが早道やけど、
さすがにそら難しいやろ。」『・・決闘を申し込んではどうか。むろんガンダムファイトで。』はっ。「それは妙案。」
「正々堂々挑戦状を叩きつけ、タイマンの状況に持ち込むんだね。それならGGG得意のチームワークは使えなくなる。」
「あとは場所ですね。地球はさすがにコロニー連合の目もあるので難しいでしょう。」「同じ理由で月もあかんな。」
『その他の惑星・衛星も、距離があると相手も乗ってこないな。』「・・ゴーストコロニーではどうだろう。」『え?』
「・・いいかもしれん。そこなら多少ハデにやっても騒ぎにはならん。」「どっかいいとこあるかな?」カタカタ・・
「廃棄コロニー・・あります。島三号型の旧式で、各国コロニー建造で流用されそびれたたものが。」ぱぱっ。
「・・ちょう待ちぃ、こら・・」こく。「幽霊コロニー『マリー・セレスト』。」オオッ。「150年前にバイオハザードで
滅んだコロニー・・ウワサでは病原体どころではない、もっと恐ろしい災厄だったとか。」「何度か送られた調査隊も
全員未帰還。しかも機動バーニアの暴走で安定軌道を外れ、100年後に太陽に突っ込む予定・・その内部はいまだに
当時の市街地がほとんど無傷で残ってるとも。」「もっとヤなウワサもあるよ。・・バケモノがうじゃうじゃいるとも。」
「下見がてらちょっと探検してみる?みんなでさ。」・・こく。「いいだろう。」「ガンダムも持っていきましょう。」
「お化けコロニー探索かや。ちょっとおもろそやな。」『ひさびさに暴れてみるか。』「なまるとこだったしな。」
「ジュエルズも連れてく?」「経験値積ませるには手ごろかもね。ところでみんなは?」「休暇で地上に降りてる。」
ネオ浅草。わいわい。「はじめての休暇なのだわ。」「おこづかいもいっぱいもらったですぅ。」「どこに行こうかな?」
「まずはごはんなの~。」「そうねぇ。トパーズ、どっかいい店あるぅ?」ぱらぱら。「ガイドブックでイチオシなのは
『PIA・キャロット』かしら。」「じゃ、そこに・・?」ぴたっ。『アメジスト?・・!』のしのし・・「・・まさか。」
ぴた。「あれ?ランチ、どしたの?・・おや。」ひょい。『げっ!』「・・祐巳お姉さま。」「ごきげんよう。この辺で
まとめて会うのは珍しいね。」「そ、それよりも、そのトラは?」「私のペットのランチ。乗れるから便利だよ♪」
「あんたは中国の仙人ですか。」「てか、よく誰にも見咎められないものですぅ。」「巨大なコブラがのし歩いてても
問題ないもの、トラくらいでしのごの言うヒトいないって。都会だし。」「・・ネオ香港と似たようなもんですか。」
「ふむ、今日はオフとみた。よし!お姉ちゃんがプリペンダーグッズ販売店を案内してあげよう。」『決めつけるな!』
「とはいえ、プリペンダーグッズは興味あるかしら。」「・・まあいいわ、特にアテもないし、つきあいましょうか。」
アOOイト・ネオ浅草店。ガーッ。「いらっしゃ・・おおっ!」「やほ、店長。」「ようこそいらっしゃいませ!
全従業員・緊急集合!」ドカドカドカ!ザザッ!『いらっしゃいませ、超お得意様!』「また見させてもらうね。」
『お~・・』「あの・・どういうこと?」「あの方はDVDや中古LDをいつも大量に買ってくださる超お得意さまです。」
「さいですか・・」「ときに店長、頼んでおいた例のものは?」「お待たせしました!『マイティジャック』LD-BOX、
ご希望どおり入荷いたしました!」どんっ!「これこれ。DVD版は持ってるけど、フルカラー大判ライナーノートに
成田亨先生描き下ろしジャケはLDだけなんだよね。いくら?」「未開封新品で4万3千円(税抜)になります!」「買った。」
「あと掘り出しもので『キラートマト』LD-BOXが見つかりました!」「おおっ、店長わかってるね~。それももらうね。」
『あ~・・』「会話の内容がまったく理解できないの~。」「お客さま、プリペンダーグッズはこちらになります♪」
ずらあっ!『おおおお~っ!』「コスプレ衣装に新型光る回る変身ベルト、限定版リOルOックもあるですぅ!」
「このOボOテッOは当店が海OOに特注して作っていただいたもので、当店系列のみで販売しているものです。」
ぴぴくうっ!ダダダダッ!『え?』「ちょっと見せて。」んじ~。「・・よし、これならまだ許す。」コトン。
「なに?」「プリペ・ゴールドの顔の造型。バOOイのガシャがひどかったんで。わたしゃ邪神モッコスじゃねえズラ。」
「あ~・・たしかに。」「アレはすごかったわねぇ・・もともとメカ系メインで、フィギュアのスキル無かったしねぇ。」
♪ピッピッ。「全部でいくら?」『・・え?』「12万5千円になります。」「このカードでまとめて。」ヒュッ、ビシッ。
『おおっ!』「・・どういう風の吹き回し?」「給料取りの長女が妹たちに買ってあげるのに、何の問題があるの?」
「アメジスト、ここは黙って受けておくのだわ。」「ルビーまで。・・ま、いいでしょ。おこづかいたすかるし。」
『またのお越しを~!』(全従業員最敬礼)『すご・・』「かなりの金額買ってるのだわ。」「そうだね~、あそこでは
ざっと200万くらい使ったかな。」『にひゃくまん?!』「超レアものLDやDVD-BOXとかよく買ってるしね。あっと、
ゲーム関係もたいがいあそこだね。」「・・月給いくらもらってるんですぅ。」「えっとね、機関の幹部クラスで
騎士団長手当もあるけど、税金やら保険やら年金やらいろいろ引かれて、手取りでせいぜい100万くらいだよ。」
『ひゃくまん・・』タラ・・「ランチ、これ私の部屋まで持って帰っててね。」どさっ。こく。タタタタ・・
「さてと、これからガンダムファイトを観戦に行くけど、つきあう?私といっしょならロイヤルボックスに入れるよ。」
『おお・・』「・・って、さっきから圧倒されまくりかしら。」「・・しゃーない、こうなりゃ毒食らわば皿までね。」
ワーワー!「さて!今日の第二試合は黒薔薇騎士団『色即是空』乃梨子さんのシャカプロヴィデンス対、チーム十傑集・
『命の鐘の十常寺』のガンダムネクロマンサー!」「ついに来よったな、十傑集。時間の問題とは思とったが。」
「けど十傑集ってプロ中のプロよね。こんなプロアマ混合のBGFに出る意義は?」「意義があるから出るんやろ。とはいえ
闇の世界の住人が陽のあたる場所に出るんは、ある意味自殺行為や。」「そこまでして出場する理由あり・・てわけね。」
「詳しい話はおいおい週刊誌でやるやろ。ま、あんまりツッコむと命いくつあっても足りんけどな~。」「たしかに。」
「ネクロマンサーの説明いこか。」「・・うわ、ブキミなデザイン。」「全身にわけわからん漢字のマーキングかや。
いかにも死霊とか使いそやな。」「中国のゾンビってキョンシーくらいしか思いつかないけど。」「しかも西洋のゾンビと
ちがってカンフー使こたりするきん、けっこう厄介やで。」「それ以前にゾンビいくら呼び出しても、ガンダム相手は
さすがに無理じゃない?」「十常寺はんのことやから、なんか手はあると思うけどな。」「まもなく試合開始です。」
ザッ。「・・ほほう。」どん。ジャラッ。「?奇利奇利?奇利奇利・・」「闘争を前に座禅し気を静謐に保つはあな見事。
娯しき死合にならんことを。」・・カッ!「邪なる尸解仙、封滅させていただきます。?阿菩迦悉汰吽!」ジャラッ!
♪パチン!『ガンダアアアームッ!』ギン!ドドドド・・『バーニング・ガンダムファイト!レディー、ゴー!』
「出でよ腐敗の軍団!」♪ちりーん。・・ズズズズ!「・・地鳴り?」ゴバアアアッ!「まさか?・・巨人ゾンビ!」
ムウウウウーッ!「な、なんと巨人が何体も!」「・・まさか。メインカメラ・ズームや!」ググッ。『・・これは!』
グチャグチャ・・「・・無数の死体が!」「なんちゅう・・何百体ものアンデッドを固めて造った、地獄の巨人や!」
「・・なんてことを。」 「襲撃!」♪ちりーん。ズシンズシン! 「死霊巨人軍団が一斉に進撃開始!」「不動明王火炎陣!」
ボオオオーン!オオオオ!「その程度の攻撃、焼け石に水!」ズシンズシン!「あかん、数が多すぎるわ!」「なにか広域攻撃で
いっきにカタをつけないと、次の攻撃でおしまいよ!」「勝負見えたり!」「・・そうですかね?いけっ、後光ドラグーン!」
ジャキッ、シュパパパパッ!「プロヴィデンス、各所からドラグーン放出!」「なんちゅう数や!」ヒュヒュッ、ドガガガガッ!
「包囲陣とな?」シャババババッ 「なんや?光の陣が!」「あれは・・曼荼羅?」「金剛曼荼羅涅槃陣!」カアアアアーッ!
オオオオーッ!ボロボロ・・『おおっ!』「死霊巨人が・・塵になっていく!」「一斉衆生成仏。南無阿弥陀仏・・」
「否!・・よもや一撃で全滅とは想定外!」「まだ終わってませんよ。」「何?」「曼荼羅は未だ加護あり!」ギン!「ぬおっ?!」
「いでよ十二神将!」ジャコジャコッ!「なんと12基のドラグーンが開いて仏像が出現!」「あら・・薬師十二神将や。」
「左様な眩惑。斬!」♪ちりーん。・・「・・斬気が・・出ぬ?!」・・はっ!「よもや!」「そのとおり、神将結界内では
いかなる術も無効。これぞ十二神将相克陣!」「・・だが、ぬしも法力が使えぬ由。」「問題ありません。」ぐっ、チャッ。
「プロヴィデンス、何かを抜き放った?」「ビームサーベル?・・いや、独鈷杵のようやな。」「六方輪鈷杵!」きゅっ、
シャキーン!「なんと?!」グン!Γでやあああーっ!」ビュゴオオオッ!「ぬおおおおっ!なんのこれしき!」さっ、
♪ちりーん。「十傑集、侮るべからず。この程度の封印など笑止千万!」くるくるっ、♪ちりーん。ヴン。「障壁や!」
バシイイイーン!バリバリバリ!「止めた!・・封印を自力で破るとは・・さすが十傑集。」「破ると思ってました。」
「・・何?」「おかげで輪鈷杵も本来の法力を発揮できます。・・霊刃!」ジャラッ。ヴン・・バリバリバリ!
「おっとお、まだ輪鈷杵は死んでいません!」「障壁を・・切り裂いとる!」「否!・・否否否!」ズバシャアアーン!
「ネクロマンサー、まっぷたつ!」「決まったで。・・ん?」ばっ。「レフェリーが・・動かん?」「なんで?」
じーっ・・「・・十常寺、そろそろやめい。対戦相手がお待ちかねだ。」『・・さすが東方大兄、見極めしか。」
ググ・・ビチャッ。シュゥゥ・・「な・・なんとネクロマンサー、癒着!」「ほ・・ホンマもんのバケモノや!」
「ぬふふふふ。十傑集が英雄本色、さほどのことでやられるとでも?」「思いません。だからお待ちしてました。」
「その腕に免じ、吾が最大攻撃で決着!」♪ちりーん。・・ボオオオオッ!『うわっ!』「な・・なんやあの影は!」
「解析。・・膨大な負の霊気・・あれはすさまじい怨霊の群れよ!」「死霊に魂までも喰われるがよい。呪怨瀟!」
♪ちりーん。グオオオオ~ッ!「・・。」ばばっ。「・・あの印は?」「・・阿耨多羅三藐三菩提!」ギーン!
「プロヴィデンス、ハイパーモード!」「如何に強化しようが精神攻撃に無意味なり!」「来たれ金剛力士!」
ドドーン!『なっ?!』ドドドド!「二体の・・巨人?」「いや!・・あらお寺の仁王さんや!」「なんとおっ!」
「穢れしもの仏門に入るを許さず。阿!」カッ!「吽!」ヴン!「合力覇!」バジジジ!ドオオオオーンッ!
『うわっ!』「・・ツープラトンの霊気弾・・いや、砲や!」ズバシャアアアアーン!ウオオオオオ~ッ!・・
「否・・あれほどの怨霊圧が一撃で!」「だからまだ終わってませんって。」「何?・・ぬおっ!」ゴオオオーッ!
「阿吽双破撃!」ドグシャアッ!「がばっ!・・」「な・・なんと金剛力士二体による同時体当たり!」
「挟む位置からのショルダーアタックや、威力は数十倍!」「切ってだめなら潰すだけです。・・蓬莱帰天。」ぴっ。
フウッ・・「仁王が・・消える?」「具現化したパワー・・スタンドやったんや。」ズボボボッ!・・ぱしぱしーん!
「見事・・なり!」ユラ・・ドドーン!「勝負あり、シャカプロヴィデンス!」「破邪顕正。南無阿弥陀仏!」ジャラッ!
「十常寺!」・・パシュ。「桑原桑原。若き力に負けた由。」「うむ。・・しかし。」こく。「極めて満足なりや。」
ツカツカ・・「ご教授ありがとうございました。さすが名にしおう十傑集、ゾクゾクするほど手ごわかったです。」
「吾もとく娯しめたり。紅蓮高達武闘会、もっと早くに加わるべきであった。」「今からでも遅くありませんよ。」
「良。・・む?」「・・おっ?」「・・まさか。」ツカツカ・・ザッ。「さすがは一号生筆頭、期待以上の大金星ね。」
「・・教頭代行。」「けど黒薔薇会への挑戦はまたある。そのときまでに腕を磨いておくよう、みんなに伝えておいて。」
「言われるまでもありません。皆さん自分のお座敷を心待ちにしております。」「その意気やよし。・・行きましょう。」
『うむ。』♪ちりーん。ボオッ・・フッ。「ガンダムと共に消える・・か。『闇薔薇』桂さまが策士・・死闘になるね。」
「・・乃梨子。」スッ・・「志摩子さん。・・勝利は一瞬、すぐに十傑集の恐ろしさを改めて認識しました・・しかも。」
こく。「策士『闇薔薇』桂さん・・十傑集さえ対等に遇するほどの信頼を。」「次の対戦はよりハードになりますね。」
ロイヤルボックス。「いい試合だったのだわ。」ずず~。「パノラマ実視野とマルチディスプレイで多面的に見られるとは
さすがは高い席ですぅ。」「おまけにドリンクもスナックも取りほうだい。」ぽりぽり。「ルビーにとっちゃぁ、お茶さえ
あればいいのよねぇ。」「お茶受けにもうるさいのだわ。」ぽりぽり。(京の老舗の落雁)「ここは通年押さえてるから、
いつでも使えるよ。」「ガブ女用かしら?」「いや、わたし専用。」『・・えええーっ!』「い、いったいどうやって?」
「もちろん通年で買ったから。」(・・高校生に買えるのか?)「・・ちなみに、おいくら?」「五百万円ぽっきり。」
『ごひゃくまん~?!』「けっこう便利だよ。ローマの偉いさんの接待とか。こないだ法王睨下がお忍びで来日したときは
すぐに席を都合できたしね。」「法王・・お知り合い?」「ネトゲ仲間。ジョブはモンク。」(・・まんまじゃないですか。
てか、ネトゲしてるのかー!)「強いよー。ベアナでエンドラくらいクリるし。」「??・・日本語でしゃべって。」
翌日、新黒薔薇の館。「・・で、ジュエルズを接待したのね。」「懐柔まではいきませんでしたけどね。」「でしょうね。
そうそう簡単にオチるタマでもないでしょう。」「・・お姉さま、最近言葉が荒れがちですよ。」「そうかしら?たぶん
アクション映画の影響でしょう。」「へえ・・お姉さまのイメージに合わないな。」「多様性を教えてくれた張本人の
セリフじゃないわね。」「!・・切り返しもお見事です。」「それはともかく、ネトゲにハマってるんですって?」
「あ、いえ、ハマってるとかそれほどじゃなく」「・・立派なネトゲ廃人です。」ぬうっ。ぎくうっ!『可南子ちゃん?』
「・・昨晩も私とポープと組んで朝まで・・」どよ~ん。「それで眠そうなのね。祐巳もお昼寝が多いのはそのせいね。」
「あ、ははは。」「ところでポープってだれ?」「・・ハンドルネームです。本名は知りませんが、カキコを見るに、
教養の高い年配の方と推測されます。知識が豊富で、パーティーの相談役です。」「へえ・・ネトゲーマーのイメージじゃ
ないわね。」「そりゃいろんな人がいますよ。でもカキコ見ればどういう人かは、だいたいイメージできるんです。」
「そういうものなの?」こく。「・・文章の言い回し・内容の質・応答など、いくら装っても本性が出るものです。」
「ふ~ん・・おもしろそうね。」『ダメです!』「お姉さまはやっちゃダメです!確実に人生を棒に振ります!」
「・・現実世界に戻ることを拒否して棲みついてる人なんか大勢います。私も一時期あぶなかったことがあります。」
たじっ。「・・まるで阿片窟ね。」「その表現とても近いです。ネトゲは麻薬と同じ、相当に強い意志で臨まないと
たちまち深みに沈んで抜け出せなくなります。」「・・祥子さまのようにピュアな方ほど、奈落に堕ちやすいです。」
パシュ。「ごきげんよう。」「ロサ・キネンシス。」『ごきげんよう。』「祐巳ちゃん、今夜どう?」「いいですね。
前から狙ってた古城を覗いてみますか。」「剣士二人とモンクか。前衛は安心、サポートが有効に使えるわね。」
「・・お姉さまも?」「祐巳ちゃんほど長くしないけどね。すぐ寝オチしちゃうし。」「ほどほど、が一番です・・」
亜空間要塞パラノイア。「じゃ、行こうか。」「うむ。」「ひさびさに腕が鳴ります。」「ゴーストコロニー探検たぁ、
まるでRPGやね。」『パーティーメンバーも揃ってるしな。』「さてさて、いかなるものが待ち受けてるか。」ぱしっ。
「ジュエルズはそれぞれのマスターと組んで動いてね。」「シオマネキっぽいけど、そこはそれ腕しだいね。」
「足手まといにはならないのだわ。」「むしろダンジョン探索のコツはよく知ってるですぅ。」「RPGのお約束だしね。」
「ガンダムは切り札にとっておくぅ?」「それは相手によるの~。」「まあ必要になるケースは考えにくいかしら。」
「そうね。・・よっぽどとんでもないバケモノとか出ないかぎり。」・・その言葉が、現実以上の真実であった・・
君たちに最新情報を公開しよう。
十傑集二番手はマスク・ザ・レッド。対するは伊賀の服部楓。
服部一族と飛騨忍群の激しい影の前哨戦。
楓のプロレス技が吼え、真蔵の糸が煌き、半蔵のモズが啼く。
そして伊賀から駆けつける、若きくノ一部隊「四連星」とは?
いっぽう、幽音主従は幽霊コロニーへ。そこで目撃した驚くべき光景。
朽ち果てた街にサイレンが鳴り響く・・地獄の幕開けを。
次回、バーニングガンダムファイト激闘編・第33話
「闇に滅せよ!影の伝説」に、バーニング・ガンダムファイト!レディー、ゴー!!
これが勝利のカギだ!(伊賀秘伝・八岐大蛇)
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第33話「闇に滅せよ!影の伝説」
ガンダム長屋。「むう・・楓の相手は十傑集『マスク・ザ・レッド』か。」「飛騨忍軍の上忍。飛騨忍者は戦国中期に
竹中半兵衛・織田信長・豊臣秀吉に仕え、甲賀や根来と激しく争ってたんでしたね。」「いわゆる忍術というより
南蛮渡来の最新技術を駆使して戦うスタイルだったそうね。」「そして倒した敵忍軍の技術も導入し、より実力を
増していったらしい。現在も最新技術と忍法を融合させた超絶の術を駆使するとか。」「十傑集にふさわしい人材ね。」
「特に恐ろしいのが岩石巨人・ビッグゴールドを自在に使役する術です。ガンダムとて一撃で粉砕されるでしょう。」
「それは知ってるわ。でも・・」『ん?』「かえってそこにつけいるスキがあるわ。」「ほう・・さすがは楓。」
「母上の『不知火』としての腕に期待します。・・」ぴくっ。『いだだだだ!』「この長屋は全域に僕の『糸』を
張りめぐらしてあります。いくら気配を消そうとも、ひっかかれば感知できます。・・どなたです?」「あだだだ!」
ずてーん!『あれ?』「・・伊賀の忍装束ですね。忍。」「隠や、かくれ!いだだだ!」ばさっ。「おお、おぬしは。」
「あら、ななこじゃない。」「ななこ姉さん?」ヒュイッ。「いった~・・しんのすけの糸は容赦ないな~。」
「驚かそうと黙って近づくからですよ。」「あなた伊賀の『葉隠学館』で教鞭をとってたはずじゃなかったの?」
「いや~、それがガブ女にヘッドハントされたんですわ。」「ほう、あそこか。」「そういや提携してたわね。」
「ついでに新しい血もいくつか欲しいっちゅーことで、見どころのある生徒も四人ほど連れてきましたわ。」
「なるほど・・純粋培養の傾向が強いガブ女生は、卒業後の殉教率が高いと聞きます。あえて外の風を入れることで
生徒の強化を図るわけですね。」「さっすがしんのすけ、烱眼や。ちとアクの強いの選んできたさかい、お嬢どもには
ええ刺激になるで。おーい!」・・シャシャッ!『おおっ!』「四人?」『四連星、ここに参上。』ばさばさっ。
「猿飛こなた。」「百地淤加美。」「百地宰でーす。」「藤林魅夕姫です。」「おお、あの二大名家の姫御たちか。」
「楓姉さん、真にい、おひさー。」「元気そうね、こなちゃん。」「関西に名を轟かせた『伝説の少女A』、ついに念願の
関東進出だね。」「なんや、知り合いか?」「うん。家が近所で、よく遊んでもらってたんだー。」「親戚付き合いでな、
よく家に泊り込んで遊んでたものでござる。」「真蔵の妹みたいなものね。」『へー。』「そういえばお風呂もいっしょに
入ってたね。」『ええっ!』「あ、あんた、そこまで?!」「期待を裏切るけど、わたしが小坊低学年のころの話だよ。」
「百地んとこの姉妹と藤林のは初見やろ。」「ウワサに聞く『魔鏡』と『朝霧』でござるな。」「はい。私が『魔鏡』、
妹が『朝霧』です。」「よろしく~。」「そして藤林の『陽炎』ね。お噂はかねがね。」「お恥ずかしいかぎりです。」
「なるほど、たしかに伊賀きっての達者ばかりですね。」「そやで。ガブ女の代行者どもに一歩もヒケをとらんで。」
「タイミングがよいのか悪いのか、今はかくかくしかじかの状況でござる。」「『マスク・ザ・レッド』かや・・
飛騨忍軍はケッタイなからくり兵器を使うきに、要注意やな。」「だったら、鹵獲して伊賀のものにしよーよ。」
「そんな簡単に手に入れられるわけないでしょ。」「どんなのか、見てみたいかもね。」「聞くところによると、
コマ戦車とか万能要塞とかあるそうですけど。」・・ぴく。「そうだ、みんなでちょっと出かけません?」はっ。
「うむ、それはよい。」「みんなで会食でもしましょうか。」「そやな。ぱーっとやろや・・な?」『さんせー。』
大手町コンクリートジャングル。・・ザッ。「うむ、ここならよかろう。」「ご近所に迷惑もかからないわ。」
「お待たせしました。出てきてください。」『・・ははははは!』「廃ビルの上や!」バン!『マスク・ザ・レッド!』
「さすが服部一族、我らの監視を気取り、ここへ引き寄せたか。」「あれくらい気づかないようでは忍び失格です。」
「まあいい、こちらも都合がいい。いでよ、旋風独楽!」ゴゴゴゴ・・ゴバアッ!ギュイイイーン!「でっかいコマー。」
「これがウワサのコマ戦車ね。」「うわー、すごいすごい。」「移動制御方法が、けっこう難しそうですね。」
わいわい。「?・・なんだこやつら、恐れるどころか緊張感すら無い。」「なかなか面白い見世物でござるな。」
「ならばその身で味わってみよ。たたきつぶせ!」ギュイイイーン!「つかさ。」「うん。霧隠れ。」モワァァ・・
「なんだ?いきなり霧が・・見えぬ!」【ただの霧じゃないよー。】ピシピシ・・「・・バカな?錆びてゆく!」
【忍法・寂霧。たとえガンダリウム合金でも数秒でボロボロになるよ♪】「そこでウチの出番やな。」ジャラッ。
「出た、せんせーの鎖斧。」ヒュンヒュンヒュン!「食らえや、アイスラッガー!」ビュオオン!ズバアアアーン!
「錆びてるのもあるから、あっさりまっぷたつね。」「・・これが伊賀忍法か。ならば忍空隊!」ゴォォォ・・
「忍び凧の大軍か。」「空中までは手が出まい。」「そら甘いで、シャアもどき。」「もどきは向こうだ!」
「こなちゃん、出番だよ。」「ほーい。やるっつぇぶらっきん!」ぐっ、ターン!ヒュオオオーッ!「ば、バカな?
飛んだ!」「伊賀忍法・舞天法。使える術者は一人のみでござる。」ぬっ。『なんだと?!』「♪そらをじゆうに
とびたいな ばい、だげごぷだー。」ズバアッ!『ぐはっ!似てねえ!』「はい次。」トン。ゴオッ!『上から?』
「おら、いくぞぉ~。」ザクッ!『がはっ!うまい!』「さすがは『浮浪雲』こなた、身軽さと跳躍力は伊賀一ね。」
「わー、あんな高いとこまで登っちゃったよ。」「高度200mくらいですね。」『落ちろ落ちろ!』しゅぱぱぱっ!
「無駄無駄無駄無駄ぁっ!」ボボボボッ。『空中であれだけの機動回避を?!』「団長命令よ。墜ちなさい!」
バシャアッ!『中の人同じじゃん!』「以上、オールスター空中ものまね連斬。」「そんな伊賀忍法ねえよ。」
「さすがこなちゃん、オタク魂炸裂だね。」「真蔵さまも、ご存知だったのですか?」「だって僕が指南したから。」
『なにいっ!』「父秘蔵のギャルゲーとかもいっしょにね。」「あー、そうそう。所帯持ってもやめなかったわね~。」
「お、オホン。生活に潤いをだな。それに子供の教育に。」「インOックス大阪に二人を連れていくんじゃないわよ!
コスプレまでさせて。」「楓も楽しんでたではないか。」「あ、あれはやむをえず・・」(・・服部家、おそるべし。)
「ん?にしてはしんのすけ、ようも健全に育ったな~。」「知りすぎると却って見切りがつくものです。」『なるほど。』
「やるな、伊賀忍軍。こうなれば火力だ。砲忍隊!」ザザッ!「みゆきさん、出番だね。」「もう仕込みはできてます。」
『忍び火筒、狙え!』ジャキジャキッ!・・フウッ。『・・影?』くい、ぎょっ!どぐしゃあっ!「なんだと?!・・
どこからあんな鉄球が!」『それだけではないですよ。』「なに?」ぴっ。「はじき床。」バーン!『うわっ!』ゴオッ!
「電壁。」さっ。バリバリバリ!『しびびびび!』「とどめです。血振子。」すっ。・・ゴオッ!ザクウッ!『が!・・』
ユラユラ・・「・・いつの間にこれだけの仕掛け罠を?!」「『陽炎』は仕掛けの達人、誰にも気づかれることなく
周辺をトラップゾーンと化します。」「いつどうやってかは同じ伊賀の仲間ですら知らないわ。」「禁則事項です。」
「なんと、ことごとくわが手の者が・・忍軍、全突撃だ!」ばっ!「ちょーっとまった!」ぎょっ!「かがみん。」
「やれやれ、やっと出番ね。」ざっ。『手裏剣だ!』しゅぱぱぱっ!ぱりいいいーん!「なにっ?・・鏡!」キラキラ。
チリチリーン。【あはははは!】『ど、どこだ?』きょろきょろ。【どこ見てんのよ。ここよここ。】・・はっ。
『・・鏡の破片の中?!』【見たわね。ミラーナイフ。】ザクザクッ!『ぐはっ!』バシュウウウーッ!どさどさっ。
「どういうことだ?一度に大勢が!」【鏡像すなわち影。影を切れば本体も切れるわ。】はっ。「・・忍法・鏡殺し!」
【そのとおり。】ザザザザーッ!ピシピシッ。・・ボオッ。「私こそ『魔鏡』の二つ名を持つ淤加美よ。」ニッ。
「ちなみに、みゆきさんは魔乳だね。」どどんっ。「まにゅー?」「お前はオヤジか!」「艦長さんですか?」
「ふむ、さすがに出る幕がなかったか。」「おいしいとこもってかれたけど、まあ顔見せだからしょうがないわね。」
「では今回はクローザーに徹しましょうか。」「散!」シャシャッ!「来るか、服部一族。襲!」シャシャッ!
ボッ、がしっ!『なにっ?』「モズ落とし。」ヒュゥゥ・・ズドシャッ!ゴキイッ!『ぐはっ!』「闇に滅せよ。」
「よっと。」わしっ。『んがっ?』「紅葉おろし!」ばんっ!ゴシャアアアーッ!『げががががっ!』ボギュボギュッ!
「行殺ですか。ま、いいですけど。朱雲。」ヒュイン・・キュピッ。『??』キュイッ!ぽとぽとっ。「五人です。」
『お~。』「さすが服部家やな~。」「動きにムダが無いわね。」「さすがだね。」「作者も書くのラクですね。」
「楓ねえさん、三十路で子持ちにしては動きが若いね。いわゆるかげろうお銀?」「そこまで歳食ってないって。」
「ぬう・・伊賀忍者、これほどとは。」「飛騨の忍び、武装に頼りすぎでござるな。」「体術および戦闘術の基礎が
なっちゃいないわ。」「ビリーズ・ブートキャンプのDVDでもお貸ししましょうか?忍びにはラジオ体操ですけど。」
「くっ・・リングで会おう。」ボオッ・・「引き際むっちゃハズしとるわ。」「まるでどっかの総理大臣だね。」
「さてと、本件のディナーといきますか。」「真蔵、どこかあるか?」「ホルモンでどうでしょう?」『いいね。』
ホルモン屋。ジュージュー!んぐんぐ・・「ぷはあああ~っ!仕事のあとの生ビールはサイコーや!」「いかにも。」
「ほらほら、ハツが火がとおりすぎ!かがみん、パス。」「あんたは焼肉奉行か。」「あふあふ、ホルモンあふい~。」
「こんなお肉があったんですね。」「みゆきさんは上カルビまでだろうしね。これがいわゆる庶民の味なのだよ。」
「そういや、こなたはカルビとか頼まないね。」「ミノのほうが好きだな。安いし味があるじゃん。」「通ね・・」
「でもホルモンを極めるなら、これだよ。」どん。ぶつぶつ。『な、なにこれ?!』「生センマイ。これ柔突起。」
「キショッ。」「どんだけ~。」「まあ、いわゆる腸壁というものですね。」「コリコリしてておいしいんだこれが。」
「で、みんなもガブ女生になるんだね。」「はい。制服はまだできてきてないので、葉隠学館のままですけど。」
「着慣れた服のままでもいいんだけどねー。」「新しい制服もまた楽しみですね。」「またコスプレ用に転用だね。」
「そういや、みんなキリスト教は知っとるんか?」「聖書は旧新とも、いちおう読んだ程度です。」「書いてあること、
ほとんど頭に入ってないやー。」「ひとくちにキリスト教といっても、本流のカソリック、最大野党のプロテスタントの
他に、ロシア正教・モルモン教・フランシスコ修道会・グノーシス派・カタリ派など多岐にわたりますからね。」
「おお、さすがみWikiさん。」「こなたは勉強したの?」「けっこう知ってるよ、いろんなののモトネタだし。
使徒の名前って天使の名前なんだよね。」「へ~・・って、そりゃ使徒ちがいだ!」「汎用人型決戦兵器ですか?」
「天使の名称が確定したのは聖書でなく、『天上位階論』と偽典『エノク書』の詳細な分類が起源なんですよ。」
そのころ、大戦艦ヴァルハラ。ゴゴゴゴ・・「見えてきたわ、『マリー・セレスト』。」「あれが伝説のコロニーか。」
「前世紀の宇宙開拓時代初期に建造された島3号型ですね。」『この距離からですら鬼気を感じる・・何かあるな。』
「エルフィール、生命反応はどないや。」「ほとんど植物ね。ただ・・」「ただ、なんだ?」「動態反応があるわ。」
「生き物がいるってこと?」「かつてのバイオハザードで住民を含む全生命体が死滅したはずだ、公式にはな。」
「ジュエルズ、なにかわかった?」ガヤガヤ。「その公式発表はガセなのだわ。」「やっと真相を記した機密ファイルを
コロニー連合サーバーから発掘したですぅ。」「どうやら、某大国の生物兵器秘密研究所から洩れた試作BC兵器で
汚染されたようです。」「住民30万人死亡。ただし、これも推定ねぇ。」「調査団が戻ってこなかったらしいの~。」
「消毒および隠蔽のため熱核爆弾を外壁に設置しようとした工作隊も謎の全滅かしら。」「そしてコロニーは自力で
ラグランジュ点を離れた・・推進器なんかあるわけないのに。」「追撃はしなかったのか。」「もちろんしたのだわ。
一個艦隊を追わせたけど、それも謎の全滅。・・ここに至って、当局は続行を断念したのだわ。」「コロニーは地球圏を
離脱する軌道にあったので、触らぬ神にタタリなしを決め込んだようねぇ。これ以上はさすがに隠蔽しきれないしねぇ。」
「なるほどね。・・で、今は内惑星軌道を放浪中と。」「各国コロニーのあるラグランジュ点に近寄る危険性も無いので
放置状態か。」「軌道は安定してるの?」「サブモニターに軌道を図示するわ。」ぱっ。『・・かなり不安定だな。』
「おかしい・・このぶれ方は不自然だ。」「なんか、うにょうにょうねってるね。」「一定周期での軌道変更・・ああ、
わかった。ミラーよ。」『ミラー?』「『マリー・セレスト』はアイランド3型。三つのミラーで陽光を取り込み夜時間は
閉じる。その開閉モーメントが軌道に影響してるの。」「あ・・なるほど。」「ちょっと待て。・・ということは、
ミラーは今も稼動している・・ということか。」『100年もの間、か・・』「・・おかしいのだわ。」「ルビー、なに?」
「この軌道のうねり、一日周期で正しくサイクルするはずなのだわ。」「季節によるけど、ざっくりそうでしょうね。」
「ならなぜこんな不定形な軌道になるの?」『・・あ。』「たしかに・・ちょっと待って。」カタカタ・・「やっぱり。
軌道から逆算したミラーの周期はメチャクチャよ。」「制御されていない、と解釈するべきかな?」「いんや、それ以前に
100年もの間稼動していることの方がおかしいわ。」「謎を解くには。」ぱしっ。「入ってみるしかないってことだね。」
「ヴァルハラは安全距離に固定。みんなは私がテレポートで運ぶよ。」「了解。相対速度、コロニーに合わせるわ。」
「マイダスの楼閣」。「さすがは伊賀忍群棟梁の一族、なかなかの腕前ね。」「集団戦では遅れをとったが、一騎打ちなら
私の敵ではない。」「そう期待するわ。クロスハーケンガンダムの整備は万全、あとはあなた次第。ご希望どおりに
ビッグゴールドとのインターフェイスも付けておいたわ。」「これでいい。ビッグゴールドがあれば負けはせん。」
「そうかしら。・・相手は伊賀トップエースのくノ一『不知火』、その実力は夫以上とのもっぱらのウワサよ。」
「知っているのか、『闇薔薇』。」「うちの機関と提携関係にあるしね。けっこう情報はもらってるわ。」ぱぱっ。
「得意技は忍術というより体術。特に握力がすごく、クルミを一発で砕くわ、こんなふうに。」カラン。くい、パキッ!
「ほう・・貴女もやるな。」パラパラ・・「これは食用に柔らかく品種改良されたもの、タイミングと力学のコツで
簡単に割れるわ。・・彼女は堅い野生のクルミを同じように砕く。これで掴まれたら万力の比じゃないわ。ヘタすると
それだけで骨折よ。」ぽい、もぐもぐ。「なるほど・・技を容易にかけられるということか。」「そのとおり。けれど、
間合いをとれば、いかな体術も無価値。中距離戦に徹して倒すのが理想的ね。」「あいわかった。助言を感謝する。」
幽霊コロニー「マリー・セレスト」ドッキングベイ。カンカン・・『やはり無人か。』『いたらいたで怖いのだわ。』
『それなりに荒廃してますね。』『お化けコロニーの入り口にふさわしいわぁ。』「ようこそ」『やっぱ妙やな。
空気は正常や・・空気清浄機が100年も動いとるわけないのに。』『植物がじゅうぶんにあれば可能性はあるですぅ。』
『なるほど、光合成か。』「ようこそ」『植物だけならいいですけ・・ん?』『どうした?』『・・いえ、何も。』
『にしても厭な気配だ。』『ここに比べりゃ九龍城なんて公園だね。』『・・。』きょろきょろ。『マーガレット?』
『・・おかしいの~。さっきから変なの~。』『何が?』『・・さっきから、私たち以外の声が交じってるわ。』はっ!
シーン・・「・・ようこそ」びくうっ!『これか。』『さっそくのお出迎えね。トパーズ、用意の例のものを。』
『こんなこともあろうかと。霊視スコープかしら。』じぇい。『どうなの?』『・・ひええええ~っ!』ばばっ!
『はーっ!はーっ!』『まったく、何が見えたですぅ!』ガクガク・・『む・・無数の人たちに囲まれてるかしら!』
こく。『地縛霊、しかも古いわ・・100年前にここで死んだ人たち。』『アメジストは霊力強化タイプ。私でも見えない
ごく弱い霊でも見れるんだよね。』『ちょっと交信してみます・・』『イタコもできるのか。』『・・・・なるほど。
いきなり怪物に食い殺されたみたいです。』『怪物とな?』『どんなの?』『証言はバラバラ、巨大な管形生物とか
四足獣みたいなの、はては不定形生物まで。』『遺伝子の暴走か・・いや、もっともっと根は深いかもしれんな。』
『もうひとつ。・・死体がいまだ動いているとも。』『・・ゾンビなのだわ。』『あるいはパペットマスターか。』
『アメジスト、浄霊できる?』『やってみます・・』キィィィ・・キラキラ・・『この光は?』『浄化された霊だね。
エネルギー準位が上がったので発光してるんだよ。あとは光子になって消えていく・・これが成仏。』キラキラ・・
『あそこが内部への入り口なのだわ。』ゴォォォ・・『・・地獄門。』『あるいは地獄以上かもね・・行きましょう。』
コロニー内部。『おお・・』ゴォォォ・・「全体がジャングル化してますね。」「かつての建物も緑に覆われとるな。」
『なるほど、これなら恐竜とかいても驚くまい。』「西新宿『魔天楼』で慣れてるので大抵のものなら驚きはせぬが。」
「さっきの証言だと、かなりヤバそうだね。」「まずは分散して調べてみようか。集合場所は反対側のドッキングベイ、
エリーちゃんとトパーズはヴァルハラで管制を。」「わかった、艦を回しておくわ。」「通信センターにもなるかしら。」
「この規模なら、ほぼ半日もあれば踏破できるやろ。」『六隊に分かれて進もう。」「では12時間後に。」こく。
キングとルビー。ザッザッ・・「荒れ放題だな。」「周囲の警戒はまかせるのだわ。」ちょこん。「頭の上に立つな、
せめて肩にしろ。」「ここが一番見晴らしがいいのだわ・・10時半、動くものだわ。」「むっ。」ぴたっ。・・
(・・イヤな気なのだわ。)チャッ。(殺気、いや、もっと悪い・・凶気。)カチャッ。ぴくっ!「銃なのだわ!」
グラタタタ!「ふんふんふん!」ぱぱぱぱっ。ゴォォォ・・「銃弾など無価値。」パラパラ・・「ルビー。」・・ボッ。
グオッ?「はっ!」ボグシャアッ!・・ザシャッ。ユラ・・どさっ。「う~、脳みそ腐ってるのだわ。臭いのだわ。」
「ご苦労。・・武装ゾンビか。」「脳をつぶせば動かなくなるはずなのだわ。」「そうとは限らん。」・・ぴくっ。
「むん。」ドゴオッ!グシャッ!・・ぱたっ。「あら。」「心臓までやらねばな。」「もっと映画観ておくのだわ。」
ハニー(with華燐)とオニキス。ザッザッ・・「華燐、どう?」【いまのところ進路クリアです。】「おかしい・・
この森、静かすぎるわぁ。」シーン・・「きわめて同感ね。小動物すらいない沈黙の森・・」【それどころか、必ず
いるはずの昆虫の気配すらありません。・・なぜ?】「・・待って。」『?』ぴた。シーン・・「・・聞こえる。」
シュルシュル・・「・・這う音?」【で、でも動物の気配は・・もしや?】「・・来るわ!」ビュルルルッ!
「黄金刀!」「黒翼剣!」シュパアッ!ボトボトッ。「やはり・・植物。」「ブツ切りにしてもまだ動いてるわぁ。」
ビチビチ!・・ビュルルルッ!【な、なに?・・切断面から新たな蔦が!】「・・自己再生!」「ま、まさか!」
ビュバッ!「焼夷羽根手裏剣!」しゅぱぱっ!トカカカッ、ボオオオオーン!バタバタ!【・・なんて植物です。】
「オニキス、・・今のはもしや。」こく。「DG細胞・・かも。」「・・通信よ。エルフィールの意見を聞きましょう。」
大戦艦ヴァルハラ・ブリッジ。『・・というわけで、DG細胞が関連してる可能性があるわ。』『それはおかしいよ。
DG細胞が生み出されたのはほんの数年前だもの。』「・・いえ、そうとも限らないわ。」『エリー、どういうこっちゃ?』
「100年前にここで研究されていたものが、DG細胞と同様のコンセプトのものだとしたら。」『・・なるほど、ありえる。
不滅の生命・不老不死は古今を問わず追及されてきたテーマだ。』「そういえば、前世紀にもブームがあったわ。
もともとアルティメット細胞も、その研究が発端だったとも・・あっ!」『どうした?』「・・もしかしたら。ハニー、
その生物の断片でもいいから持ってきてくれない?」『華燐、頼める?』『ただちに。』「・・まさか、あの・・」
「マスター、何かしら?」「いえ、ちょっとある可能性を思いついたの・・もしやあの『G』かも。」「・・『G』?」
レディーとエメラルド。「植物怪獣・・いや、それ以上かもな。」「植物ならおともだちですぅ。出会ったらどうにか
説得して事情を聞いてみますぅ。」「できれば、な。・・」ぴたっ。「・・さっそく来たで。」ザザザザ・・シュバッ!
「液体?回避!」「はわっ!」ばっ!バジュジュジュ~ッ!「な・・木が溶けたですぅ!」「強力消化液のようやな。
会話はどないや?」「・・・・ダメですぅ、まったく通じないですぅ!」「やろな。ハナから期待しとらんかったし。」
ザザザザ!「実力行使や!」「緑の縛鎖ですぅ!」キュバババッ!ギリギリッ!「ゲットですぅ。・・なっ!」グン!
「くっ!・・ものすごい力ですぅ!」ズズズズ・・「ちょい辛抱や。ハンマーラッシュ!」ボボボボッ!グシャッ!
「よいしょ!」グン!バサアッ!じたばた!「これかや。・・ツタゆーより大蛇やな。」「あのトゲで体液を吸い取る
みたいですぅ。」「ほっとくと再生するんやったな。・・イレイザーナックル。」ゴッ!バゴシャアアアーッ!
サラサラ・・「・・消滅したですぅ?」「振動波を叩き込み、分子崩壊させたんや。」「・・さすがマイマスター。」
ゲッツとサファイア。ズシンズシン。『・・むっ?』「どうされました、マスター?」『他はハデにやってるようだな。』
「・・何も聞こえませんけど。」『地獄耳でな。・・あれは?』ザッ。「廃墟・・ですね。何か看板があります。・・
『軍研究所』。」『ここが元凶か。入ってみよう。』ギギィ・・『足音は殺そう。』ヒタヒタ・・「・・この瘴気は。」
『すさまじい邪気だな・・何が出てきても驚くな。』「はい。」ヒタヒタ・・ドーン。びくっ!「・・足音?」
『俺ではない。・・さっきの話にあった四足獣か。』ドーン・・ドーン!「近づいてきます。」『中庭に出よう。』
タタタ・・「・・来ます!」ドガアアアーン!ヴオオオオーッ!「これは!・・」『・・象、なのか?』チャキッ。
ビュルルッ!「二丁鎌!」シャキン!ダッ!「はあっ!」ビュッ!ズパパパパッ・・ボトボトッ。ヴアアアアーッ!
『お見事、鼻を輪切りにしたか。』「とどめを頼みます。」『了解だ。デモン・スレイヤー。』ビュン!『むん!』
ダーン!・・ズバシャアアアーッ!ぱかっ。・・ビュルルルッ!「なっ?!・・切断面から大量のツタが!マスター!」
ギリギリッ!『だいじょうぶだ。鎧はこの程度で抜けん。それに。』ぐっ、ジャキン!すぱすぱっ。『灼熱!』カッ!
『ソーラーストライク!』ダン!ギュルルルッ!ズゴシャアアアーッ!「・・鎧の高熱で焼き尽くされていく!」
ヴオオオオオーッ!・・『これでもう再生できまい。・・おっと、まだ熱いから近寄るな。』「それはわかります・・
ん?あそこに研究施設らしきものが。」『書類もあるな。・・探ってみる価値はありそうだ。』「調べてみます。」
大戦艦ヴァルハラ。『・・というわけで、手がかりがあったぞ。』「電送されてきた書類の内容は確認したわ。・・
やはり予想どおりね。」「さきほどのサンプルを解析したところ、ある特殊なジーンが見つかったかしら。」
『遺伝子のことか。』「そう。そしてそれこそ・・『G遺伝子』。」『ええっ?!・・あの遺伝子が存在してたの?』
『幽音、知ってるのか。』「私から説明するわ。・・前世紀、世界を崩壊寸前にまで追いつめた巨大生物がいたわ。
その名を『G』。」『聞いたことがあります。・・歴史から消された忌まわしい超生命体。』「核エネルギーを餌とし、
次々と原子炉を襲う、原子力に依存しきっていた前世紀文明にとっては、まさに天敵。人類は多大な犠牲を払って
その生物を倒し、残された肉片は回収された・・いかなる攻撃も通じず、放射能を吐くその驚異の能力を調べるため。」
『・・思い出してきたぞ。』『まあ軍事利用しようかなと思うのはわかるけど。』「そう、そして見事に失敗した・・
こともあろうに植物とかけ合わせたみたいね。」『それで、これか。』「植物なら100年も生き延びた理由もわかるかしら。
樹木で数千年も生きるのも珍しくないかしら。」『あのゾンビ兵は?』「冬虫夏草みたいなもの。種子が潜り込み、
神経系を操ってると思われるわ。」『人間だけではない、さっきのはどう見ても素体は象だ。』「動物園の動物も、か。」
『捕食できるサイズのものは食べつくし、あとは種子で仲間に・・やね。』「残る謎は災厄の中心ね。このコロニーの
どこかに本体があるはず・・」『引き続き調査しようか。』「何か新しいことがわかったら、また連絡するわ。」
李兄妹とマーガレット。「というわけで、敵は食肉植物もしくは各種ゾンビだ。」「植物に毒死掌が効くかな?」
「ゾンビは噛みたくないの~。くさいの~。」「やめておいたほうがよさそうだな・・む?」「なに?」「うにゅ?」
♪・・ゥゥゥゥウウウウウ~ッ!「サイレン?」「な、なんで?だれが?」「どういうことなの~?・・あっ!」
ゴゴゴゴゴ・・「採光ミラーが・・閉じる?!」「・・まずい!閉じたら真っ暗に!」「身動きとれなくなるの~!」
大戦艦ヴァルハラ。ゴゴゴゴ・・「なんで?誰がどうやって?!」「ミラー駆動部エネルギー反応ないかしら!」
「・・!」はっ!「トパーズ、ミラー基部拡大!」ぱぱっ。「・・やっぱり!」「・・無数のツタがケーブルのように!」
「全員に通達!闇が来るわ、備えて!」『明かりを用意しろ。』『懐中電灯は?』『装備が・・』『・・!』
「通信状態、急激に悪くなるかしら!モニター不調!」「採光部を通してたのが遮断される・・幽音、あとはそちらに
任せるわ。」【わかったよ。念話は通じそうなので、みんなと連絡はつくよ。】「よろしく。」ゴゴゴゴ・・ゴゥン。
「トパーズ、逆ドックへ急いで。もうここで出来ることはないわ。」「まもなくコロニーの影を抜けるかし・・?!」
「なっ!・・そうか、そうだったの!」ズズーン!『うわっ!』「やられた?」「第八ブロック大破かしら!」
「これが追撃艦隊を・・緊急離脱!」「全バーニア起動かしら!」ドドドド!・・「・・この距離なら安全ね。」
「あーびっくりしたかしら。まさかあんなことに。」「デスアーミィやヘルファイター程度じゃ荷が重過ぎるわね。」
「艦砲射撃でも、ちょっとでもずれるとコロニー自体を傷つけるかしら。」「うん。・・幽音に緊急連絡を。」
幽音とアメジスト。【・・というわけで、逆ドックに近寄れないわ。】「なるほどね。・・救援が欲しいところだね。」
【魔女空軍では?】「ダメダメ、仮にもコロニー連合軍だもの。ここまで来る理由づけとか、そう無理は言えないよ。」
【あとはどこも間に合わないっぽいとこばかりね。】「・・そうだ、たしか『車輪』の軍団に特殊部隊があったよね。」
【あー・・ヨーロッパの「ペンタグラム(五芒星)カンプグルッペ」ね。】「あそこの隊長はトモダチだから。」
【でも「女帝のフォアカード」の軍団じゃ。だいたい間に合うの?】「あそこならどっちもだいじょうぶだよ。
とりあえず連絡してみて。私からのお願いといえばいいから。」【ダメモトでやってみましょか。呼び出しコードは?】
「じゃあよろしく。・・と。」「マスター、なんですかその五芒星って?」「んー、端的に言うなら魔法使いチーム。」
「・・魔女空軍とはまた別の?」「あっちは空軍、こっちは海軍かな。とはいっても、戦力たったの五人だけだけど。」
「五人だけ・・戦闘団というより小隊ですね。」「でも戦闘力は宇宙艦隊に匹敵するよ。あの鉄鋼龍師団とほぼ同等。」
ぎょっ!「・・どういうバケモノ軍団ですか。」「というより、人間艦隊かな。まあ実際見てみれば納得するって。」
名出屋城。「シルビア、ハルツ山の『ペンタグラム』から通信です。」「つないで。」ぱっ。『おひさです、オーナー。』
「元気そうね、はやてちゃん。ご用件は?」『ちょっち訓練航海に出よかな思うんで、いちおー承認もらおかなと。』
「そんなのいちいち取らなくてもいいのに。どこまで?」『金星軌道あたりまでですねん。』「承認します。新造母艦の
肩慣らしにも手ごろね。そこで訓練も?」『無重力戦闘やるつもりですねん。』「どんな環境でも全力を発揮できないと、
せっかくのフットワークの軽さも台無しだしね。がんばってきて。」『おおきに。ほな行ってきます。』ぷつっ。
「若いのに律儀な方ですね。」「だから隊長なの。ああ見えても、あの鉄鋼龍師団二大幹部とタメはれるほどの
スゴ腕なのよ。」「ゲッ!あのバケモノコンビとですか。」「性格もね。・・あの個性あふれる魔女どもを束ねるには、
それくらいでなくっちゃ。」「たしかに。・・一騎当千の武闘魔導士部隊。でもハルツ山って、50年前に大噴火して
今はバリバリの活火山ですよね?よくそんなとこに。」「あら、いいじゃない。噴火のときって血が騒がない?」
「火砕流の直撃でも受けたらどーすんですか。」「そのくらいでおっ死ぬタマなら、ハナからそんなとこ住まないわよ。」
ネオドイツ・ハルツ山麓。ドドドド・・「ん~、今日もお山は元気やね。」「いつもより溶岩噴出がお盛んなの。」
「・・お山も感じてるのかもね、戦いの予感を。」「我らも血が騒ぎます、主よ。」「ひっさびさに歯ごたえのありそうな
ターゲットだぜ。」「シャマルはん、よろしゅう。」「了解です、はやてちゃん。『バラド・ドゥア』発進!」
ズズズズ・・「出番よ、クラールヴィント。」ちゅっ♪シュピィィィーッ!・・「『旅の扉』、開門。」ギュオオオオ。
「現出空間座標確認。ドンピシャ計算どおりですー。」「そいじゃ『バラド・ドゥア』、魔空間突入するにょろ!」
ドドドド!・・「魔女ども、サバト(魔宴)のお時間や。」『ヤヴォール、アインファルティーゲル・モナーク。』
そのころ「Atelier de Marie」。・・ぴくっ。「魔力震?・・ははあ、翔んだわね『闇の王』。」ばっ、カタカタ・・
「追尾・・金星軌道あたりか。あそこには・・なるほど、『マリー・セレスト』か。」にやっ。「ちょうどいいかもね。
いつかは後始末しなくちゃとも思ってたし。ボランティアでお掃除してくれるんなら、なんも言うことなしかな。」
ぱたん。「次の『デバイス』定期メンテ代金を値引きでいいな。みんな高校時代のケンカともだちだし。」ぽりぽり。
新黒薔薇の館。「祐巳、二号生に四人も転校生が来たんですって?」「はいお姉さま。姉妹校の『葉隠学館』からの
短期留学生だそうです。」「ああ、伊賀の忍者学校か。インターハイでよくやり合ってるよ。」「生徒だけじゃなく
先生まで転校してきたんだもの、ビックリしたわよ。」「・・明るくて元気でいい方です、ななこ先生は。」
「腕のほうはどうなの?かなりデキるってウワサに聞いたけど。」「いやこれがすごいすごい。重力まる無視やら
鏡の中を出入りできるやら。」「教室を霧で包んだのもいたわね。」「・・何もなかったところからペンデュラムが
振り出てきたのは驚いたわ。」『へえ~。』「忍術というより、もはやイリュージョンね。」「戦闘力どうよ?」
「そっちもかなりのものです。由乃さんが試しに切りつけてみてもまったく当たらないどころか」「お下げ半分
解かれちゃったわ、どうやら仕込みクボタンで。」「クボタンとはまた通な武器ですね。」「・・棺桶の錠?」
「鏡女はクラス全員に同時にデコピン。」『え?』「・・鏡像を攻撃すると、本体も。」「まるで妖怪ですわね・・」
「霧使いはもっとアブない。あやうく全員窒息するとこだったわ。」「罠使いは言うまでもなくヤバいです。」
「なるほど、さすが葉隠学館が送り込んだだけの理由はあるのね。」「で、お友達になれそうな相手ですか?」
「まあ性格は悪くないみたいで、すぐになじんだけど。」「そういや祐巳さん、あのちっこいのと話が弾んでたわね。」
「へえ・・祐巳が。」「いえその~、実は初見じゃなかったり。」「どういうこと?」「どうも知ってる誰かさんに
雰囲気がよく似てるな~と思えば・・ネトゲ仲間でした。」『ネトゲ?』「HN『コナコナ』。剣士で斬り込み屋。」
「ああ・・あの。」「キャラはともかく、カキコの雰囲気がミョーに重なったんで、確認してみればドンピシャ。」
「確認って、どうやって?」「私のHNを出したんです。」「ちなみに祐巳ちゃんのHNは?」「権兵衛。」『はあ?』
「・・ジョブはサムライ、時代がかった口調が特徴です。」「えーと・・あ、これですわ。」カタカタ・・ぱっ。
『・・??』「これ・・日本語?」「さっぱりわからん。」「あ、たしかロサ・キネンシスもおやりでしたね。」
「あれがそうよ。ほら『まこぴー』てやつ。」『・・??』「やっぱりわからん。」「読めたら負けかな、と。」
「まあ、一度ここにも連れてきてみたら?お茶くらい出すから。」「葉隠学館の話もちょっと聞きたいかな。」
「わかりました、一両日中には。」「今日は午後から半蔵先生の応援に行くそうです、同じ地元出身なので。」
日本橋コロセウム。ワーワー!『お~。』「ここがガンダムファイトの会場か~。TVで見た以上に大きいのね。」
「旧人形町駅を中心に半径600mの超巨大円形闘技場ですね。東京ドームが四つも入るそうですよ。」「でっかーい。」
「ん?・・こなたはどこいったんや?」「売店。」ワイワイ!「これこれ、これだけください!」「まいどありー。」
「何買うたんや。・・BGF公式バトルカード?」「ここでしか買えないのだよ。関西じゃプレミア付くほどの人気。」
「あれ?新京極のアOOOトにあったよね?」「あれはノーマル。レアカードはここだけの限定販売なんだー。」
「にしても、それだけ買ったら同じものが混ざってそうですね。」「んふ、ちゃんと超レアだけ抜いてきたよ。」
『どうやって?!』「わかるヒトにはわかるのだよ、ね、ななこ先生。」「そやな、ガンパイは基本やな。」
「いや、じっさいスゴいとは思うけど、なんか才能の使い方間違ってないか。」「そういうものなのだよ、かがみん。」
「どれどれ成果はと・・おおっ?いきなり超レアのテOドンガンダムや!」「そのネタまじヤバいって!」
ワーワー!「さて、今日の第二試合は服部楓さんのシラヌイガンダム対、チーム十傑集はマスク・ザ・レッドさんの
クロスハーケンガンダム!」「実況はいつものコンビや。さて、楓姐さん初陣やな。」「でもいきなり初戦の相手が
十傑集ってのはどうよ。」「ちとレベル高いが、ま、なんとかなるんやないか?」「根拠を聞きたいところね。」
「データを見るかぎり、楓はんは伊賀きってのスゴ腕やそうや。その特徴は忍術に頼らず肉弾戦主体なとこ。」
「あれ?・・半蔵さんもどっちかゆーとそうね。」「モズひとすじ300年やしなー。」「どこぞの牛丼屋ですか。」
「いっぽうのレッドはんは飛騨忍者やね。」「えーと、こっちも忍法というより近代兵器がメインみたいね。」
「そら忍者いわんちゃうか?」「テクノロジーと忍法を融合させてるらしいから、いいんじゃない?昔の人いわく、
『十分に発達した忍法は最新科学と見分けがつかない』・・だっけ?」「なんかどっか違ごとるよーな気がするで。」
ヒュン、すたっ。「・・ん?」『ふはははは!』ゴオオオーッ!ザシャアッ!「あいかわらずハデなご登場ですこと。」
「リングに上がったからには手加減なし、全力で倒させていただく!」「ふ・・レッド、敗れたり!」びしいっ!
「なに?」「いついかなるときも全力を尽くすが忍道、敵を侮り驕り昂る者、忍にあらず!」「ちょこざいな。ならば
見事討ってみせよ!」すっ、「臨兵闘者皆陣列在前、シラヌイ召喚!」「来たれクロスハーケン!」パチン!ギン!
『バーニング・ガンダムファイト!レディー、ゴー!』シャッ!「シラヌイ、いきなり急接近!」「だろうな。だが!」
わしっ!「つかまえ?・・ちがう!」ばっ!ドカアアアーン!『なっ?!』「ほう、よくぞ見抜いた、微塵うつせみ。」
「自爆代わり身かや、おっとろしな~。」「接近戦主体のシラヌイには不利ね。」「・・近づかせないつもりね。」
「そのとおり、距離をとって闘えば恐るるに足らん。爆裂手裏剣!」ヒュヒュッ!「・・はいっ!」ぱしぱしっ!
「なんと?!」「手裏剣をダイレクトキャッチ?!」「お返しするわ。」シャシャッ!ドカドカーン!「なんの!
ならば飛騨忍法・雷神!」ちゃきっ、ズババババッ!「仮面から電撃が?」ぴっ、「そんなもの!」シュパッ、ドスッ!
パシイイイーン!「棒手裏剣の避雷針で地面へ!」「スキあり!」ザザザーッ!「スライディング?」「二柱砕き!」
バキバキイッ!「ぐおっ!」ターン・・ザザザーッ!ガクッ。「く・・両足首を!」「滑り込んでの強烈な二段蹴りで、
クロスハーケンの両足首は砕かれたで。」「足を殺されちゃ、さしもの忍者もおしまいかな?」「さて、な・・」
ヨロヨロ・・「ウエイト。・・ギブ?」「否。」「よろしい、再開!」ザッ。「その足でまだ闘おうというの?」
「十傑集の誇りに賭け、白旗など揚げぬ。」「その意気やよし。ならば・・」ダーン!・・「これで終わりよ!」
ビュオッ!「すさまじい貫手!」「・・どうかな?」ニヤッ。・・ゴバアアアアーッ!『なっ?!』ばしいいーん!
「な、なに?地面からいきなり岩壁が!」「・・あれは、ただの岩やない!」グワアッ!「・・巨大な、手?!」
がしいっ!「ぐうっ!」「ふはははは!形勢逆転だな。」ギリギリ!「な・・なんて力!」「立て、ビッグゴールド!」
ゴバアアアアーッ!『ああああっ!』「き・・巨大石像!」「50mはあるで!それに・・あれを見い!」びしっ!
「・・胸部にクロスハーケンが同化?」「これぞ飛騨忍法奥義・金目!」ギン!「くっ・・この手があったか!」
「岩石巨人ビッグゴールドよ、叩きつけろ!」ゴオオッ!ばごぉぉーん!「がはっ!」「踏み潰せ!」グワッ!
「・・ちいっ!」ドスウウウウーン!『やられた!』「ふはははは!たわいもない。・・ん?」・・ググッ。
「・・なに?」「足が・・上がる?」・・ググググッ!「・・まさか?!」「・・おおおおおーっ!」ギギギギ!
「なんとシラヌイ、必殺の一撃を止めていた!」「あの体勢から・・どないな馬鹿力やねん。」「こ、この!」
ググッ!「それを待ってた!はあああーっ!」グン!ふわっ。「ば、バカな?このビッグゴールドの巨体を足一本で
持ち上げているだと!」「・・ずおりゃああああーっ!」ブン!『投げた!』「なんという・・だが!」くるっ、
ドドオオオーン!「金目像、なんとか軟着陸。」「やが、すさまじい土煙でなんも見えんで。」ゴォォォォ・・
「ど、どこへ?」『こっちよ。』はっ。「・・真上!」「・・でやああああーっ!」ビュゴオッ!「対空だ!」
グワッ、ドンッ!「そのくらいが!」ズバシャアアアーッ!「なあにいいいいーっ!」『おおおーっ!』ザシャッ!
パラパラ・・ガラガラガラ!「し、信じられない・・手刀で腕をまっぷたつに!」「ま、まさかこんなことが!」
「これぞ伊賀忍法『妖刀・不知火』。手に気の刃を生み出し、いかなるものも切り裂く。」「お、おのれ・・だが、
まだ片腕と両足があればどうということはない!」「そう思うなら・・いらっしゃい。」ちょい。「叩きつぶせ!」
ゴオッ!「伊賀忍法・祇園祭!」ビュルルルルッ!『帯?!』「無数のカラフルな帯が!」ギリギリギリッ!
「ふん、帯ごときで止められるものか。」「止めないわ。やっつけるのよ!」グン!ギリィッ!「・・なにっ?」
「伊賀秘伝・八岐大蛇!」ガギギギ!「全身に巻きついた帯が、すさまじい力で締め上げています!」・・ピシッ、
ビキビキビキッ!「こ・・こんな?!」「ビッグゴールドの前進に亀裂が走る!」「これぞ山をも砕くオロチの力よ!」
ググググッ、バゴオオオオーン!『うわっ!』ガラガラガラ!「・・圧搾力に耐えきれず、爆発的に崩壊しました!」
「クロスハーケンはどないなった?」ゴォォォ・・「ま・・まさかビッグゴールドが敗れようとは・・」ザッ。
「これ以上の戦いは無理・・潔く刀を収めてください。」「むう・・」「負けを認める勇気こそ、より真の誇りかと。」
「・・ふっ、そうだな。レフェリー、ギブアップだ。」「うむ。この勝負、シラヌイガンダムのTKO勝ちとする!」
パシュッ、すたっ。「やれやれ。・・む?」シュタッ。「よき闘い、ありがとうございました。」「うむ。さすがは
伝統ある伊賀忍法、楽しい戦いだったぞ。」ボオッ。「拙者からも礼を申す。」「あなた?」「半蔵どの。伊賀と飛騨は
長年の宿敵同士ではあるが、同時に無くてはならない存在・・それにようやく気づいた。」「うむ。互いに切磋琢磨し
絶えず研鑽を積むことで、移り行く時代に追随できるのである。いかにテクノロジーが進もうが、最後に決め手になるは
忍による確たる情報のみ!」「うむ!スパイ衛星や偵察機など単なる道具、決定的な情報を得られるは我等のみ!」
「ともに生き抜こうぞ、この激動の世を!」「好敵手(とも)よ!」がしっ!「あのー、もしもし。キショいんですけど。」
スタジアム外。ガヤガヤ。「おもろかったな。」「TVで見るのと、ぜんぜん迫力が違いましたね。」「すごかったねー。」
「惜しむらくは、ビッグゴールドが57m・550トンじゃなかったことかな。」「どこからそんなスペック出てくるのよ。」
ブブッ。『ん?』「ケータイ?」ごそごそ、さっ。チャッ。『・・葉隠!』「召集や。行くで!」こく。シャシャッ!
海浜公園。ザザーン。「・・来ましたね。」・・タタッ。『葉隠部隊、ただいま集結。』「しんのすけ、いよいよやな。」
「はい。ではこちらへ。」ガーッ。「カラオケBOX?」「エレベーターへ。」ドカドカ。「地階ですか?」「いいえ。」
♪ピッ。ばかっ!『うわっ!』シャアアアアーッ!「シューターとはお約束だね。」「事前に言っといてよ~!」
「はわわわ~っ!」シャアアアアーッ・・すたすたっ。「着きました。」ゴゴゴゴ・・『お~。』「これが・・」
「そう、葉隠部隊本部・忍艦『名張』です。」「うひょ~、まっさらのフネや!」「ステルス仕様なので滑らかですね。」
「どんだけ~。」「なーんだ、艦首ドリル無いんだ・・」「あるか、んなもん!」「さあ、艦内へ入りましょう。」
君たちに最新情報を公開しよう。
鉄鋼龍師団・強行偵察隊「葉隠部隊」ついに結成。闘わずして勝つ、異色の部隊の初陣は?
いっぽう、闇に沈んだ「マリー・セレスト」内で闇シャッフルたちが見たものは?
コロニー外では謎の戦隊「ペンタグラム」が戦闘開始。宇宙を切り裂く巨大な光芒。
また、十傑集「直系の怒鬼」に対するは「海の節制」アニー。
暗殺集団・血風連、梁山泊を襲撃!迎え撃つは皇帝のフルハウスと、
艦長以下のクルーたち。我らの家は我々で守る!
怒鬼の七節棍が、幻の海の波濤を砕く!
次回、バーニングガンダムファイト激闘編、第34話
「血闘!本日晴朗なれど波高し」に、レディー、ゴー!
これが勝利のカギだ!(壱岐水軍秘儀・海神召喚)
第34話「血闘!本日晴朗なれど波高し」
忍艦「名張」。「では説明します。『葉隠部隊』は強行偵察部隊、敵地に突入し迎撃をあえて受けることで敵の情報を
入手するのが任務です。」「陽動とは違うんですか?」「陽動は敵を動かすことで隙を作ること、この場合は敵の
手の内をさらけ出させるのが目的です。みゆきくん、補足を。」「はい。似たような定義に『威力偵察』というものが
ありますが、これは積極的に攻撃することで敵の防衛力や戦力情報を得ます。ただしこれは本格的な戦闘に移行する
可能性が高く、使いどころを間違えれば情報とともに全滅・・という最悪の事態を招きます。」「それはイヤだな~。」
「ゆえに強行偵察は『戦わないこと』が原則です。ドンパチするヒマがあったら、とっとと逃げろ・・ということです。」
「そこんとこは矛盾があるで。血路を開くため戦わざるをえないケースも多いやろうし。」「ゆえに君たちなのです。
例えば、こなちゃんには誰にも負けない身軽さとスピードがある。」「そだね。」「かがみくんの鏡術またしかり。
鏡の中では誰も手を出せない。」「はい。」「つかさくんの霧術は言うまでもないだろう。」「煙に巻くだけじゃなく
皆殺しもできるよー。」「そしてみゆきくんの罠。追撃してくる相手には実に効果的です。」「コンボにハメますよ。」
「なるほどな。そしてウチの役割も追撃の断ち切りやな。」「そのとおりです。戦うことよりよほど難しいですが、
君たちならばこそ可能な任務なのです。」「任務りょーかい。で、さっそく仕事なんだよね?」「ほんの訓練ですが、
あえて難易度の高いターゲットを設定しました。」♪ピッ。ぱっ。オオッ!「土星の衛星タイタン。知ってのとおり
現在は誰も立ち入れない最高危険星です。コロニー連合は何度か武装調査団を降下させましたが・・」「薩摩飛脚やな。」
「今回の任務はタイタンの現状確認。むろん敵の迎撃があるでしょうが。」「それで『名張』は無慣性航行に・・」
「およそ30分後に到達、上陸カプセルで降下、各目標座標を偵察し、時間までに予定回収地点へ戻ってきてください。」
「しつもん。遅れたら?」「言うまでもないでしょう。」『了解。』「では出動準備にかかってください。」ガタガタ。
築地・「梁山泊」。「十傑集『直系の怒鬼』・・か。」「アニー、こりゃいくらなんでも難易度高すぎじゃん?」
「十傑集といえばシャッフル同盟と同等、いえそれ以上の実力があるわ。普通に考えればとても勝ち目ないね。」
「実戦ならマコの言うとおりかもね。けど、これはファイト。ルールのある戦いなら、いくらでも勝算はあるわ。」
「それ以前に、ここに攻めてくる公算が高いかもね。なにせ相手はあの暗殺集団『血風連』棟梁、ちょいと腕試しに
仕掛けてきてもおかしくないよ。」「アレンビー少佐、ご存知ですか?」「世界修行時代に一度だけかち合った・・
雑兵でもかなりの技量があり、さらにそれが集団で攻めてくる。どうにか一点突破で逃げきったよ。」『逃げた?』
「・・少佐を退かせるなんて。」「あたしもバカじゃない、勝てないケンカは三十六計さ。・・とにかく、戦うとなれば
個人でどうこうできる相手じゃない。こちらも連携プレーでいかないと、たちまち各個撃破されるよ。」・・こく。
外では・・ザッ。「・・」・・ザザザッ。「怒鬼さま、ここは我らにお任せに。」こく。「棟梁と対峙するに値しない
敵なれば、あえてリングに上げる必要を認めず。この場で討ち取れ。」『おお!』シャシャシャッ!「・・・・」
「梁山泊」ブリッジ。「・・?!」ぴくん。「・・来ましたか。」こく。「およそ20人、明確な殺気をもって接近。」
「・・フルハウスだけでは荷が重いですね。」スッ。「ひさびさに身体を動かすのもよろしいですわ。」ぽきぽき。
「ククク・・ひさびさに撃てるよ、『正則』。」チャッ。「なぜこの艦が『梁山泊』と呼ばれてるか、その真の理由を
教育してあげませんとねー。」すたっ。「戦力はワルキューレ隊だけではありません。」とん。「自分の船は自分で守る、
これスペースノーツの基本です。」コキコキ。「モメンさんとアーサ整備長にも声を。・・防衛戦、状況開始します。」
♪ヒュイヒュイ!『敵襲、敵襲。非戦闘員はただちに退避ですわ。これは訓練ではありませんことよ。』「来たね。」
「ブリッジ、敵の動向を。」【敵は分散して艦内へ潜入、約20。】「大佐はお出かけ中。留守はちゃんと守らないとね。」
シャシャシャ・・ふわさっ。『?!・・姫御?』「・・『梁山泊』艦長、綸子・クロード。艦長の許可なくして艦内に
踏み入る無礼者・・許しません。」『殺。』シャシャッ、ビュン!カカカカン!「七節棍ですか・・!」カッ!ぴたっ。
『なんだ?・・棍が止まった!』「お返しします・・」スゥ・・ヒュイッ。ドオオオオーン!『なにいっ?!』
ドゴオオオオーッ!『ぬおおおっ!』ドグシャアッ!『がはっ!』「神武皇拳・志那戸辨・・大気を操る風の神。
超高気圧は壁にも巨拳にもなります・・?」・・ポタポタ。「・・もう聞こえてませんでしたね。では・・」すっ・・
シャシャシャ・・『止。』ぴたり。『角の向こうに殺気あり。鏡にて確認。』チャッ。じり・・チラッ。『異常なし。』
『進。』シャシャッ。・・ザシャッ!『!・・天井から!』「砲術長、シルク・フィッシャー。『正則』!」ドオンッ!
『種子島なぞ当たるものか。避!』ババッ!「それはどうかな?」にいっ。ギュイン!『なにっ?弾道が直角に!』
バゴバゴオッ!『がはっ!』『バカな、弾丸がまるで生き物のように!』「わたしの銃弾からは逃げられないよぉ。」
『術者を倒せば!』シャシャッ、ダーン!『お命頂戴!』「あ、それ私のセリフ。」ヒュイン!ボゴオッ!『がはっ!』
「・・ね♪」ニイッ。『悪魔の・・弾丸・・』ぱたっ。「さって、戻って銃の手入れでもしましょうか。」チャッ。
『・・ぬ?』ぴたり。「♪お掃除おそうじ楽しいな♪」シャッシャッ。『掃除婦か・・邪魔だ、殺。』シャシャッ!
カカカカカン!「よっと。」ひょい、パキパキイイーン!『モップで弾いた?!』「生活班長、モメン・サナーダ。
艦内を汚すヒトは承知しませんよ。」『霞のつぶてだ!』ピピピッ。「モップシールド。」ヒュルルルッ、キキキィン!
『ぬう・・やる。ならば直接攻撃だ!』シャシャッ。「缶ビールはいかが?」スッ・・グシャッ!バシュウウウーッ!
『ぬわっ!』ヒュヒュッ、ザキザキザキイッ!「ラスト。」グボオッ!『がはっ!』『・・アルミ缶を握りつぶし、
鋭利な刃物とするとは・・』・・バシュウウウーッ!どさどさっ!「ビールの飲みすぎは健康によくないですよ。」
カツッ。「血風連の皆さん、わたくしの引き立て役にようこそ。」『??・・なんだ?』「梁山泊副長兼航海長、
サラサ・マクラーレン。とっととかかってらっしゃい。」ぴこぴこ。『一斉にかかれ!』シャシャッ!「ふふっ・・」
カカカカン!「よっと。」すっ、キュルルッ。バシバシッ!『三角定規?』ヒュン、ザキイッ!『ぐはっ!』どさっ!
キュルルル・・「海図用三角定規は丈夫で精巧に造られてますわよ。デルタ・ブウウーメランッ!」しゅぱぱっ!
『回避!』ばっ!ヒュゴオッ!『今なら無手だ!』ダッ!「それはどうかしら?」『?・・!』ばっ!ヒュゴオッ!
「あら残念。」ぱしっ。『・・この狭い通路内で一直線に戻ってくるとは。だがもはや手の内見切った!』ダッ!
「航海術、これだけだと思ってますの?」ぐっ、ヒュルルルッ!『縄?!』キリキリッ、「ノットハンギング!」
グン!ゴキゴキイッ!『ぐえっ!』「一定間隔の結節(ノット)が頚骨や頚動脈を破壊しますわ・・地獄へ船出なさい。」
「むん!」わしいっ!「腕ひしぎ!」ゴキイッ!『ぎゃっ!』「つぎ!」ボッ!がしいっ!「アキレス腱固め!」ゴキッ!
「さすがビロードさん、叔父さん仕込みのコマンドサンボがすごいですねー。」「・・サティン、右前一歩。」「ほい。」
スカッ!『なにいっ!・・はっ?』「そして私がここにいる。」がきいっ!「S.T.F!」ボギッ!『がはあっ!』
「ラーシャの敵行動予測、さすがね。」「・・おっと、団体さんです。」シャシャッ!「サティンちゃんにおっまかせ!」
「え?サティン、なんか有効な技あるの?」「もちろん。せーの・・」キィィィ・・『?・・うぐわっ!』ガクッ。
「な、なに?」「テレパシーを悪用した毒電波攻撃だよ。」キイイイ!『ぐぎゃああああーっ!』ボンボンボーン!
『うわっ!』「・・頭部が爆散!」「テレパシー波動で脳をチンしたからね。」「・・凶悪すぎ。」ぞおっ・・
MSデッキ。・・タタッ。『誰もおらぬ?』「責任者はここさね。」はっ。カツカツ・・「整備班長、アーサ・ケイト。」
『一人で三人を相手する気か。』「三人だけでいいのかい?」ぴく。『・・散。』ザザザッ。「正三角形に包囲か。
同士討ちを避ける布陣はさすが血風連。けどね・・」すっ。ガガガガガ!キュイイイーン!『うわっ!』キィィ~ン!
「これが整備デッキの普通の環境音さ。・・ま、聞こえないだろうけど。(業務用耳栓あり)」『!・・』『?!・・』
「ほれっ!」ヒュヒュッ、ドスドスッ!『ぐはっ!・・ドライバー?!』どさどさっ。「これで二人、残るはひとり。」
『くっ・・七節棍!』カカカン!「ほい。」さっ、ガキイッ!「つかまえた。」『モンキーレンチだと?!』ギギギギ・・
「反撃いくよ。大型ベルトレンチ!」シュイッ、ばさっ。ギュイッ!『ぐがっ!』「ガンダムの巨大なボルトを締めて
回すパワーだ。つまりな・・」メキメキッ、ボギャアッ!『が!・・』「頭蓋骨なんざ、茶碗のように砕けるのさ。」
タタッ。『・・あれ?』し~ん・・「・・敵さんどこ?」「ブリッジ、状況を。」【えとですねー、敵さん全滅ですー。】
?『ええっ!』【・・艦を守るはクルーの役目です。】【こちら第六生活ブロック。ただいま掃除中なのでご利用は
しばらくお待ちくださいね。】【艦内スキャン完了。残存敵おりませんわ。】「??・・いったいどうやって?」
艦外。「・・・・?」「残念ながら。」はっ?ばっ!「うちのクルーは優秀でね、かつて実戦経験のあるヤツを
大量雇用してるんだ。」「・・・・」「そういうわけで怒鬼さんや、ここは素直に退いてくれないっかな?」
「・・」チャッ。「やっぱりな。できればアニーのお株を取りたくなかったんだが・・かかる火の粉は払わんと。」
すっ。「今回はカイザーナックルは封印。やっぱオーバーキルだしな。・・いらっしゃい。」・・ピピピピッ。
「ほい。」シュシュッ、ぱらぱら。「霞のつぶてか。だが打ち落とせばいい話だ。ではいくよ。」フッ・・ボッ!
「!」さっ、ガキイイーン!「さすが十傑集、この至近距離からのストレートを受けきるとはね・・けど。」
ピキピキッ、ぱきいいーん「?!」カラカラーン・・「七節棍はもたなかったようだね。」「・・」すっ。
「まだやる気かい?受けて立つけどね・・」ジリ・・『そこまで。』はっ。「・・!」「怒鬼さん、明日は試合よ。
ここでムダな闘いしてる場合じゃないでしょ?血風連の損害も小さくないしね。」「・・」「どちらさんで?」
「十傑集技術顧問『ロサ・ノワール』桂。お初にお目にかかります、『皇帝の鉄槌』。」すっ。「どうもご丁寧に。
あんたがウワサの『闇薔薇』か。」「この勝負、明日の試合まで私預りということで。」「こっちはいいけど。」
・・こく。「双方合意とみなします。・・アサシンガンダム、準備できてます。戻って最終補正をお願いします。」
こく。ヒュン・・「では。」「ちょい待った。・・外見は変わっても、雰囲気まではなかなか変わらないものさ・・
なあ、博士。」「・・さすがだな、クワトロ。」「萌え変換ブームとはいえ、博士までそれに便乗とは驚いたよ。」
「今はヤンデレがブームらしいが。」「あんたの場合、前半分だけでしょーが。」「ふふふっ、ちがいない。」
「で・・十傑集を機関に?」ぴく。「・・よく気づいたな。だが正解ではない。」「・・なるほど、そういうこと。」
「そういうことだ。客観的にもこれ以上ない人材だろ?」「あんたなら可能だろうな・・ま、てきとーにかんばって。」
「嗜好の違いから、フラグを立てる気は無いな。」「かといって、うちの娘たちは毒牙にかけんでくれよ。お前さん
昔から雑食だったからな。」「いやいや、やはり若い娘のが新鮮さで一番だ。」「あんま変なもの詰まってないしね。」
そのころ、『マリー・セレスト』内部・李兄妹/マーガレット組。ザッザッ・・「暗いな・・」「ミラー隙間のわずかな
光だけだもんね。」「こういうときお役に立つの~。夜目には自信あるの~。」きょろきょろ。「頼りにしてるぞ・・」
さっ、ドキュン!「えっ?」「そっちもだね。」ユラッ・・ドン!「なに、なに?」・・ドサササッ!「二体だ。」
「そんな・・何も見えてなかったの~。」「音にも注意することだ。」「草を踏む音とかね。この森は雑音が少ないから
よけいにわかりやすいのもあるけどね。」「う~・・?!」はっ。「なに?」「・・なんかでかいものが見えたの~。」
「でかいもの?」「ゲッツが遭遇した象のゾンビか?」「ううん、そんなものじゃない。もっともっと大きいもの・・」
ズーン・・ぴくっ。「足音・・しかも。」「かなりの大物だね。」ズーン・・「・・こっちに近づいてくるの~。」
さっ。(隠れろ。)(さんせー。マーガレットも静かに。)こくこく。ズシーン・・ズシーン。(いったい何が・・?!)
ズシーン!シュルルルル。(な・・なにあれ~?)(歩く大木?しかも無数の蔦が。)(こいつの触手だったのね。)
シュルルル・・(こっちを捜してるようだな・・)(たぶん音もしくは振動で感知してたんだろうね。)(・・は、は・・)
(?・・まさか!)「へっくしょん!」ぴくっ!「ここでクシャミとはお約束な。」ザッ。「まあだいたい読めてたけど。」
シュルルル!「十指弾。」キュドドドッ!ブチブチッ!「燕雲!」「わかってる!」ターン・・ばんっ!「毒死掌!」
ズキュウンッ!グズグズ・・「樹が・・腐ってくの~。」「死の波動で細胞が壊死しているのだが・・」グオオオッ!
「やっぱり、あんまり効いてないね。」すたっ。「でかすぎて毒の回りが悪いか。さて、いかにすべき・・?」ターン。
「マーガレット?」ぺたっ。「失態は自分で挽回するの~。」ガアッ!ガブッ!「そんな噛んだくらいでどうなる・・?」
ガガガガガッ!バリバリバリッ!「・・なんという速度だ。」「まるでチェンソーだね・・」バリバリバリ!・・グラッ、
「倒れるの~!」ギギギギ・・バギバギバギッ!ドサアアアアーッ!『うわっぷ!』ゴォォォ・・「伐採完了なの~。」
「・・なんて顎の力なんだか。」「ジュエルズの実力、少し見直したぞ。」「ぺっぺっ、木屑がまだ口の中にあるの~。」
幽音/アメジスト組。ドドーン・・「どっかでハデにやってるみたいだね。」「幸いにこちらは何も遭遇してませんが・・」
ぴた。「・・」きょろきょろ。「なんでしょうか?・・ここに入ったときから妙な気配が。まるで・・」「巨大な生き物の
体内に入った、ような?」こく。「ミラーの動きといい、コロニー自体が何らかの意思を持っているとしか・・!」はっ。
「まさか・・このコロニーが!」「これ自身が一つの生物・・いえ、植物だね。」「けどこれだけの規模ともなると、
中枢もそれなりの大きさになるはずですが、コロニー内にはそのようなものは・・」『この中には無い・・花は外だ。』
ぎょっ!「今の声は?!」『ここだ・・』ばっ!「・・樹の幹に・・顔?!」「自己紹介と、事情を聞かせてくれない?」
『・・百年前、私は軍事研究所で働いていた。』「テーマは『G細胞』の軍事的利用だね。」「そして・・失敗した。」
『ちがう・・人為的に暴走させられた。』「・・誰が?」『知らない女・・異常に髪が長く、国籍不明の服の・・』
「?・・誰かな。」『本体は・・太陽側・・』「アメジスト。」「紫晶杭。」ヒュン、ドブオッ!「成仏しなさい。」
「どうやら布石が役に立ちそうだね。」「我らはいかに?」「ここにいる理由も無くなったね・・みんなと合流して
脱出しよう。エリーちゃん、状況。」【魔力震感知。何者かがデス・アウトしてくるわ。】「タイミングばっちり。
これから脱出するから、いうとおりに。」【ふむふむ・・なるほど、その手があったか。トパーズ、進路変更!】
「みんな、こっちに集合して。もう脱出するよ。」【とはいっても、こう暗くては。】「アメジスト。」「了解です。
シャイニング・クリスタル!」さっ、ピキピキピキッ!キラキラ・・【あっ。】【見えたぞ。】【あっちやな。】
魔艦「バラド・ドゥア」。・・ヒュゴッ。「デス・アウト成功。空間座標誤差は許容範囲内。」「あれですねー。」
「太陽系の伝説『呪われたコロニー』やな。」♪ピピッ。ぱっ。『こちら大戦艦ヴァルハラ。応援感謝します。』
「世の中付き合いやしな。状況聞こか。」『主要幹部はいまだコロニー内ですが、あと10分後に救出します。』
「10分・・それだけ稼げばええんやな。」『その後の処置はお任せします。』「了解や。次は敵の情報やな。」
『解析の結果、コロニー全体が生命体そのものとなっているようです。そしてその本体は・・』ぱっ。オオッ!
「花ですー!」「むっちゃでかい花やな~。」「仮称『G-ジュラン』。あのG因子と植物をかけ合わせたようです。』
じーっ・・「?・・シャマル、どうした。」「・・ちがう、G因子だけじゃないわ。」『えっ?』「G因子だけでは
コロニー住民を皆殺しにしたり、連合艦隊を全滅させたほどの残虐性は出ないはずよ。もう一つ、何かの因子が・・」
はっ。「もしや・・Z因子!」ぎょっ!『なんですって!』「それはおかしい。ヤツは四年前に復活し、我らが滅ぼした。
それが100年前に存在したなどということは。」「どう考えても矛盾があるね・・」「何かの勘違いじゃないのか?」
「自信もって言ったわけじゃないから、たしかに思い過ごしですね。」わいわい。「・・・・」「?・・なのは?」
「・・シャマルさんの推理、どうもひっかかるの。存在するはずがないものがあった・・いえ、持ち込まれたかもなの。」
「誰が、どうやって?」「誰が、は心当たりあるの・・でも方法と動機がわからないの。」「わざわざ100年前に戻って
Z因子で暴走させた動機・・か。で、誰?」「幽音以外でZ因子を制御できる知識と技術を持っているのは一人だけ・・」
「ほな全力出撃や。ええか、10分間だけの陽動や。まちごうてもコロニーに直撃かまさんよーに。」「しつもん。その
10分過ぎたら?」「粗大ゴミはきっちり処理せんと近所迷惑や。ちょうど目の前にええ廃棄場もあることやし、こまかく
砕いて硫酸で溶かそかいな。」「なるほど、金星に。」「それはいい案なの。」「では全ガンダム発進準備ですー。」
発進デッキ。♪ヒュイヒュイ!【ガンダム射出態勢。発艦指示員は配置に付いてくださいー。】「第一カタパルト担当
ザフィーラ、配置よろし。」「第二カタパルト担当アレフ、オンマイポジション。オーライ、オーライ!」ガシャン!
「先鋒ハーケン、次鋒テスタロッサ、シャトルロック確認。」「スチーム圧設定よし。出力レベル2へ!」びっ!
『ヴィータ、ハーケンガンダム、いつでもいいぜ!』『フェイト、ガンダムテスタロッサ、オールクリア。レディ。』
「まずは第一からだ。ヴィータ、いけっ!」ばっ!ギュオオオーッ!バアアアアーン!・・「次はシグナムだ。」
「フェイト、いっちゃえ!」ばっ!キュゴオオオッ!ドバアアアアアーン!・・「蒸気あっち~。・・なのは、前進。」
『中堅・シグナム、ヴォルケンガンダム、準備よし。』『副将・なのは、ストライカーガンダム、いつでもいいの。』
「いけっ!」ばっ!ドオオオオーンッ!「たのんだよ!」ばっ!シュパアアアアーンッ!「最後は主のフレスベルグだ。」
ガシャン!『大将・はやて、フレスベルグガンダム、ええでー。』「ははーっ、いってらっしゃいませ!」ばっ!
ドバアアアアーン!「ザフィーラはあいかわらず忠犬だね~。」「犬ではない、オオカミだ。」「あー、それでか。
木の周りをぐるぐる回ってバターになるから。」「また古いネタを・・防爆ハッチを閉めるぞ。」「戸締り用心と。」
ふたたびコロニー内。【ペンタグラムが陽動に出たよ。】「こっちも集合完了。とっとと迎えに来て。」【合流座標を
送るよ。なお、危ないので白線の外でお待ちください♪】「・・この座標は、もしや。」「そういうこと。普段じゃ
ヤバすぎて使えない手だけど、まあここなら苦情は出ないしね。」「それはそうだが、よくもこういう手を考えつく。」
「さすがのマイマザーってとこなの。」ズズ~。「ルビー、どっから熱いお茶なんか出したですぅ。」「魔法瓶水筒。」
「そういえばここ二十時間ほど、何も食べてませんでしたね。」「たしかにお弁当まで想定してなかったわねぇ。」
『その点は心配ない。サファイア、俺の打飼袋を開けろ。』「あ、はい。(ごそごそ・・)・・うわ、重い。」ずしり。
どさっ。ばさばさ。『おおっ!』「おにぎりなの~!」「しかも一個で二合はあるビッグサイズが人数分かしら!」
『こんなこともあろうかと、出掛けに握っておいた。』「ゲッツ、妙なとこで器用だね。」「武人の嗜みだな。」
「このサイズは合戦用ですね。」「一食二合やな。まあ、こんくらい食わんと重い具足や武器持っていくさできんわ。」
「では遠慮なく」『いただきまーす。』ばくばく。「マーガレット、多すぎない?」「おなかすいてるから、このくらい
いっちゃうの~。」「塩がよく効いてるのだわ。」「おっ、中に梅干とおかか見っけですぅ。」「こっちは焼味噌です。」
「シャケもあるのねぇ。」「ルビー、お茶。」「いいのだわ。」こぽこぽ。「・・って!特大魔法瓶?」「でかいと
冷めにくいのだわ。」「ここまで茶にこだわるとはスジガネ入りだな。」「・・番茶ヲタクって、いるのかな?」
そのころ土星・タイタン。ヒュォォォ・・ザッ。「うへ~、アガルタ・シティが消えちゃってるわ。」「どんだけ~。」
「ぱっと見は一面の荒野だね。」「では四方に分かれて探索しましょう。何か見つかれば連絡を。」こく。シャッ!
ターン・・シャシャッ、ターン・・「・・んむっ!」ザザーッ!・・『まさかまだ探索しようとする者がいるとはな。』
ザッ。「ヘルファイターだね。名前を聞いとこうか。」「『七刀流』でいい。」ぴく。「・・あの原理主義過激派の。」
「知っているなら話が早い。この星から生かしては帰さない。」ジャキッ!「それはどうかな?カムカム。」ぴこぴこ。
グッ、シャッ!ズバシャアッ!「?!・・うつせみ!」『仕様仕様。』きっ。「上か。」チャチャッ、シュパパッ!
「おっとっとー。」ひょいひょい。「空中をあんなに自在に動くとは・・」「わたしのターンだね。ヘルダイブ!」
ビュオオオーッ!「対空迎撃。」ビュン!「クボタン!」チャッ、キィン!「はじいたな、計算どおり。」ぐっ、
ズバシャアアアーン!・・ザッ。「双剣連斬。少しは骨があると思ったが・・」『鱧は小骨多いからね。』ぎょっ!
「・・またうつせみ?!」ばっ!「・・いない。どこに?」『ここだよここ。』・・はっ!ぐっ!「やふ~。」
「バカな・・俺の肩に?!」「重さ感じさせずに立つくらい、忍びの基本技能だよ。で、頭頂部にクボタンの刃が
ちょっぴりだけ刺さってるけど・・どうする?」つんつん。「・・!」チャッ、ビュオッ!「やっぱそうだよね。」
ふわっ、スカッ。「ほいっと。」トン、グン!ドブオッ!「が!・・」「上に乗ったら根元までいっちゃうよね~。
伊賀秘技・赤蜻蛉。」「・・」ユラ・・くるっ、すたっ。ドサアッ!「きれいな兄ちゃん殺すのはもったいないね。」
シャシャシャ・・「・・っ!」ビシイッ!「・・眉間一撃。このロックマン様にかかれば一撃でクリアー、だぜ。」
『でもエアーマンが倒せないんだよねー。』「そうそう、E缶は最後までとっておかなきゃ・・って!」ぎょっ!
つかつか。「バ・・バカな?」にやっ。「あなたの次のセリフはこう。」『なんで眉間射ち抜かれて生きてるんだ?』
「・・はっ!」「入射孔をよーく見なさい、不自然にひび割れてない?」「・・ヒビ?」「そしてもうひとつ。いくら
徹甲弾とはいえ、穴から向こうが見えるってのはおかしいよね?」・・はっ!「鏡か!」「♪ぴんぽーん。」ビキッ、
バシャアアアアーン!「ぬおおおおーっ!」ズドドドドッ!「伊賀忍法『鏡嵐』。数千の鋭い破片のショットガンよ。」
「・・がっ!」ブシャアアアーッ!どさっ!「ぱっと見いい男でも、こうスダレ切りだと二目と見られないわね~。」
とてとて。「ばるさみこす~。」フウッ・・「日陰?・・えっ?!」ばっ。ヒュオオオオ・・「・・凧?」ヒュルルル・・
ドカドカドカーン!「あじゃぱ~!」「あれだね、爆撃はやっぱり卑怯だよね。でも敵を倒すに手段は選ばないさ。」
『どなたとお話してるんですかぁ?』はっ。ヒュゥゥゥ・・「お一人なのに会話は、けっこうアブないですよー。」
「・・あの爆撃で無傷?!バケモノか・・」「なにー!言うに事欠いてバケモノかよ、ヘンタイさんのくせにー。」
すっ、「霧よ!」モワァァァ・・「な、なんだ?いきなり濃霧が。」オォォォ・・「・・まずい、見えない!これでは
着地もできん。晴れるまで様子をみるしか・・」ヒュゥゥゥ・・ブゥゥゥーン。スゥ・・「・・戦闘機編隊?!」
ブゥゥゥーン・・「いまどきレシプロ機か。かなり古い機種だな・・!」はっ。「な・・なぜ前世紀の飛行機が
タイタンの上空を?」ヒュゥゥゥ・・『・・伊賀忍法「霧の扉」。いったいどこに行っちゃったんだろうね~?」
タタタタ・・「そこまでだ。」ザッ。ぴたっ。「ヘルファイターの方ですか。」じりっ・・「動くな。遠慮なく撃つぞ。」
ジャキッ。「大型ブラスター・・どうあがいても有効範囲からは逃げられませんね。」「そのとおりだ。どこの者だ?」
「ちょっと観光に。」「笑えん冗談だ・・死ね。」グッ・・「滑り床。」さっ。ギュイン!グラッ。「なにっ?!」
ズドオオオーン!・・「大はずれですね。そしてその容積ではリチャージに時間がかかります。」「・・今のは?」
「撥ね上げ床。」さっ、バアアアーンッ!「なにいいぃぃーっ?!・・」「このまま放っておいても墜落死ですが、
それでは罠氏としての沽券にかかわりますので、あと数手置きますね。雷岩。」さっ、ドオンッ!パリパリ・・
「・・あと5,4・・」・・ヒュゥゥウウウーッ!「おおおおおーっ!」「はじき床。」さっ、ばいいいーん!
「なにいいいーっ!」ゴオッ!・・ばしいいいーん!「ぶごおっ!」バリバリバリ!「鉄槌振子。」さっ、・・ゴオッ!
ドカアアアーン!『あわびゅっ!』ドグシャアッ!「・・あら、四連まででしたか?思ったよりもろいですね。」
忍艦「名張」管制室。「四人ともなんとか障害はクリアしたらしな。」「戦うより逃げるほうが難しいので、まあこれは
これでいいでしょう。」「それにや、これで敵も本気になるで。全戦力を投入してくるかもしれんな。」「そうなれば
本当に逃げてもらわないと。」「心配あらへん。戦力比算定はちゃんと教えてまっせ。・・赤点もおったけどな。」
話戻って、幽霊コロニー宙域。ゴォォォ・・「でっかい花なの。」「およそ直径3kmあるね。」「コロニーへの直撃は
なるたけ避けてや、いまんとこは。」「なら側面方向からいってみっか。」「・・待て、向こうが先に動くようだ。」
ドヒュヒュヒュッ!「種子?!」「防御!」Protection.ヴン。バシバシバシーン!「くうっ!・・なんて威力!」
「こりゃあ、宇宙艦の装甲なんか軽くぶち抜くぜ。」「かつての追撃艦隊は、これで蜂の巣にされたのだな。」
ガンガンガン!「にしても、なんて数なの。」「あの花やったら、数万オーダーで持ってても不思議やないけどな。」
「でもこれじゃ埒が開かないよ。」「・・みんな、しばらく防御に徹してくれない?反撃するの。」『なのは?』
「ええやろ。全員、なのはちゃんを守るように布陣や。」「わかった。」「認識した、主よ。」「わかったぜ。」さっ。
「レイジングハート。長距離精密砲撃、いける?」Yes sir, master.ジャキッ。「カートリッジ、ロード。」ジャコン!
ヴン。「ターゲット、種子嚢。」Lock-on. キィィィ・・「カウントダウン開始。」Three..Two..「みんな、いま!」
「総員退避や!」ばばっ!「ディバイン・バスタアアアアーッ!」カッ!・・ズドオオオオーン!「いったか!」
「着弾まで3・・2・・」パッ・・Direct Hit.「さすがや。種子嚢だけ吹き飛ばしたで。」「まるでゴルゴ13だな。」
「?・・ヴィータ、よく知ってるね?」「はやてん家に全巻あるぜ。」「あれは良い。ついつい読んでしまう。」
そのころコロニー内。「・・時間だね。」・・ズズズズ。ゴバアアアーッ!・・パシュ。「お待たせ。急いで乗って。」
どかどか。「比較的薄いミラー部とはいえ、ヴァルハラの艦首を突っ込ませるとはな。」「普通のコロニーだったら
大惨事ですね。」「バックオーライかしら。逆噴射スラスター最大出力!」ギギギギ・・ゴバアッ!「離脱成功。」
♪ピッ。「こちら幽音、はやてちゃんどうぞ。」ぱっ。『おー、生きとったか幽音ちゃん。』「こちらはもう大丈夫、
後の始末はまかせるよ。」『了解や。ほな演習デコイ代わりに使わせてもらいま。みんな、思うぞんぶんやったり。』
「コロニー撃破はひさしぶりなの。」「全力攻撃できる相手はそうそういないしね。」「わが愛刀レヴァンテインも
喜びに打ち震えている。」「ぶっつぶすぜ!」『おう!』ゴオオオオーッ!「グラーフアイゼン!」Gigant Form!
ピキピキッ、ブォンッ!「押し花にしてやるぜ。ギガンティック・ハンマアアアアーッ!」ブオッ・・ズドオオオーン!
「ナッハラーデン!」ジャコン!Phenix Form!ガキン!キュイッ。「鳳凰一箭!」シュパアアアアーン!ボコオオオーン!
「いくで、トリプル砲撃。」ばっ。「おっけいなの。」ジャキッ。「了解。」ガキン!「『ナハト・コデックス』、
冥界の業火を呼び、全てを灼き尽くせ。」Plutonium Flair. ボボボボッ!「集え星の光よ!」Starlight Breaker.
キィィィ・・「轟雷召喚!」God Thunder. バリバリバリ!『・・スター・デストロイヤー!』ズドオオオオーン!
ギュララララーッ!「すげえ!」「闇と星と雷、三つの力がひとつに。」カッ!・・ズゴオオオオーン!ドドドド・・
大戦艦ヴァルハラ。「あ・・あれがたったガンダム五体の攻撃力なのか!」「大型コロニーが・・一撃で消滅・・」
「あ・・悪夢や。」『連合所有のコロニー砲群「ナバロン」でも、ああはいかん・・』「なんという連中だ・・」
「バケモノだよ、あの五体・・」「高校時代より砲撃力上がってるね。」「デバイスも改良されたそうだしね。
ところでエリーちゃん、あのコロニーをああした犯人って心当たりある?」「Z因子を知っており、時間を遡れ、
コロニーひとつ滅ぼす非情さ・・知ってるかぎりでは三人だけ。」「だね。一人はわたし、一人はあなた、そして・・」
「Atelier de Marie」。「『マリー・セレスト』、旅の終わりか。放っておいても太陽に突っ込む予定だったけどね。
ま、ゴミ処理は早いほうがいいか。」『事情を聞かせてくれない?」♪ちりーん。「あら幽音、ご無事でなにより。」
「やっぱりあなただったのね。目的は?」「G細胞研究の事前抹殺。核と同じく、人に過ぎた存在よ。制御は不可能。
可能性の未来ではしっかり暴走し、人類は絶滅した・・だから発端の時点で芽をつぶしたってわけ。」「なるほどね。
でも研究施設の破壊だけでよかったんじゃ?」「感染が異常に早くて、コロニー全体が汚染されたの。そこでZ因子を
加えて、統合意思を持たせたわけ。」「コロニーを動かし、接触したものを消毒し、近づくものを排除・・か。」
「太陽衝突軌道だったのは、ちょっとビックリしたけどね。」「・・そう仕組んだんじゃないの?」「なにも。あれは
おそらく『彼ら』の意識・・でしょうね。許されざる命を自ら葬るために。」「なるほど、そういうこと・・でも、
それだけじゃないでしょ。」「・・やっぱわかった?」「マリーがそんな動機だけで動くはずないもの。もっともっと
実利的な理由・・そう、この時代にはもはや存在しないはずのG細胞。その奪取が本音だね。」「はい、大正解。」
「G細胞とZ因子・・あんまし考えたくない未来が想像できるね。」「もうひとつ、『新宿魔天楼』を忘れてるわよ。」
「・・まさか、あれも?」「タルタロスと繋がってると、いろいろ便利だからね。酋長とも緊密に連絡とれるし。」
「それでか・・昨今こちらで魔獣出現の報をよく聞くのは。」「まだ小物でのお試し期間中よ。だからあまり大きくは
取り上げられないでしょ?」「・・やっぱり『魔王』ね。エデンを地獄にする気?」「いいえ。ターゲットはこれ。」
さっ、ぱぱぱっ。「・・コロニー国家。」「計画名『失楽園』。あまつさえ自らエデンを捨てたアダムとイブよ。
神どころか悪魔すら見限った連中・・敷居を跨がせるもんですか。」「ああ、そのシミュレーションでもあったわけ。」
「具体的な作戦がわかったみたいね。」「面白そう~。お楽しみが増えたよ・・あれれ?」ぴくっ。「なに?」
「通信。・・へえ、タイタンに侵入者だって。」「ほほう、いまどき骨のあるのがいたものね。で、どちらさん?」
「まだ不明。数は四人、けど隠れた母艦とかいるはずだね。」「つまり、ほとんど不明に等しいってことね。」
「直接聞いてみましょ。」「お忙しそうで何より。」「退屈より千倍ましだね。さ、お仕事おしごと。」♪ちりーん・・
ワーワー!「さて!本日の第二試合はチーム『ワルキューレ』のガンダムマーキュリーと、チーム『十傑集』の
アサシンガンダムの対戦です。」「ワルキューレきっての才女、アニーはんご登場や。」「緻密で知的なファイトには
定評があるわね。情報によると戦略予報士A級ライセンスを持ってるそうです。」「A級やて?!そこいらの軍参謀でも
B級が狭き門やっちゅーのに。」「ちなみに紅蘭は?」「B級や、文句あっか。」「そんなに難しいの、A級って。」
「なにせ国際情勢から何処でいつ争乱が起きるかを予報し、なおかつ作戦参謀として敵の陣形や攻撃パターンまで
読みきるだけの能力を必要とされるしな~。」「・・予知能力ですか。」「そんななまやさしい問題やない。A級やと
あたかも自分が動かしとるように敵が動くと言われるしな。」「・・諸葛孔明はどのくらいのレベルだったのかな?」
さて一方のアサシンガンダムや。」「『直系の』怒鬼。十傑集には珍しい私設部隊持ちよね。」「暗殺部隊『血風連』。
一人ひとりの技量も高いが、恐るべきは集団戦や。個々の乱れはまったく無く、まるで写し絵のようにシンクロして
攻撃するきに、まったく付け入るスキがあらへん。」「戦闘集団を束ねる棟梁か・・主武器は七節棍ね。あれって
使いこなすには相当な鍛錬が必要ね。」「シロウトはんやと、瞬時に棍に戻せんそうやしな。」「では試合開始です。」
ザッ。「はじめまして、『直系の』怒鬼さん。・・といっても、ある意味ご挨拶は終わってましたね。」「・・・・」
「闇の武道を密かに継承する『血風連』が棟梁。だが、私も『ワダツミの潮忍』壱岐水軍の継承者、やおか後れをとる
つもりはありません。」ぴく。チャリッ。「では、始めましょう。」こく。すっ、パチン!「ガンダアアームッ!」
ギン!ドドドド・・「・・・・」「バーニング・ガンダムファイト!レディー、ゴー!」ヒュン!「・・えっ?!」
チリッ!カカカカン!「!」ばっ!ヒュゴオッ!「おっとお!マーキュリー、死角からの攻撃をかろうじて見切った!」
「あらほとんど条件反射やな。よう鍛えられとるで。」「・・なんて速さ。」「・・・・」ビュン!カカカカン!
ギュラララッ!「七節棍が渦を巻いて襲う!」「あら回避も防御もできんで!」「・・。」バシイイイーン!
『なに?!』「?!」「今の・・なに?」「ようわからんかった・・スロー再生や。」ジィィィ・・「・・なんや?
直撃寸前にはじき飛ばされとる。」「何かのバリアー?・・あの光ってるのは?」「・・水滴?」「なんで?」
「壱岐水軍術・水竜膜。厚さ数mmの水膜ですが、深度十万mに相当する水圧で、いかなる攻撃も通しません。」
「・・・・」チャッ、ダッ!「アサシン、突撃?」「水圧に吹き飛ばされるで!」「・・まさか?」グッ、ビュオンッ!
ズバシャアアアーン!「!・・破られた?!」ピピピピッ、ドカドカドカッ!「ぐうっ!・・」バッ・・ザザーッ。
「マーキュリーにいくつか直撃!」「霞のつぶてかや。なんでバルカン砲とかやないんやろ?」「シュミの問題?」
「くっ・・けどダメージは浅い。これならまだ・・?!」ガクン!「な、なに?・・機体が動かない?」ギギギッ!
「マーキュリーの様子がおかしいわ?」「・・まさか?!」カタカタカタ・・タン!ぱぱっ。「・・これは!」
「制御系配線に損傷・・霞のつぶてや!」「あんなに精確に・・さすがは十傑集。」「・・しまった、こんな手が!」
ザッ。「・・・・」チャキッ、ダッ!「アサシン、とどめに入った!」「もうあかん!」「・・来たれ、海よ!」
ザザザザーッ!「?!」「なに?・・リングに水が!」「アホな、ここは銀座やで。隅田川でも氾濫したんか!」
「そういうニュースは入ってないけど。」ザザザザ・・「こないな・・アホな。」「リングが・・海原に!」
ザパーン・・『壱岐水軍奥義・幻海潮鳴。私はいかなる場所も海にできるの。』「・・水中から聞こえるで。」
「・・・・」チャポッ。「アサシンは水面に立ってます。」「足裏に表面張力増加装置があるんやな。いわば水グモや。」
『海こそ私の故郷、おかげで修理もできたわ・・海竜刀。』・・ザザザーッ!「サメ?」「いや、あら刃や!」
ドビュッ!カカカカン!ザパパーン!「水圧で棍の威力が殺がれてるわ。」「マーキュリー、優位に立ったで。」
『もらった!』ザザザザーッ!「・・・・」ぐっ、ターン!「アサシン、ジャンプ?」ビュン!カカカカン!ドボッ!
『くっ!』「そうか、飛び上がることで水面の乱反射を減らし、水中のマーキュリーを捉えやすくしたんだわ!」
「それだけやない。攻撃角度を上げることで、最小接触面積で水圧を破ったんや。・・やが、あれでもまだ浅いで。」
ゴオッ!・・ドンッ!『ぐあっ!』ドブオッ!「な、なんと刺さった棍の上に!」「その手があったか!・・重量と
落下エネルギーのダブルや、あれなら貫けんものはない!」・・ザザーッ!「・・マーキュリーの右肩を貫通!」
「・・さすが十傑集。」がしっ。ググググ・・「・・うあっ!」ズボオッ!「はあっ、はあっ・・」「・・」くいくい。
「アサシン、七節棍を返せとのジェスチャーです。」「アホ、返すヤツが」「・・はい。」ぽい、ぱしっ。『返した?!』
「私に七節棍は使えない。いえ、むしろ邪魔になり、余計な隙を生むだけです・・」・・くるっ。「うむ。・・ギブ?」
「否、まだ闘えます。」「だそうだ。」こく。チャッ。「アサシン、とどめるつもりです。」「・・どうするんや?
あの深手では、どないな技も使えん。」「・・・・」ぶつぶつ・・「・・?」ぴくっ。「・・深淵におわす荒ぶる神よ、
しばし浮上し、我が要求に応えよ・・」・・ゴポッ。「?」「なんや?」「水面に・・泡?」コポコポ・・ォォーン・・
「?!」「今の・・何や?」「・・声?何かの・・鳴き声?」・・ズズズズ。「なに?海面が・・盛り上がる!」
ゴオオオオ!「つ、津波です!巨大津波が!」「・・!」ダーン!「アサシン・・津波をぶった切る気や!」ビュオッ!
「・・?!」ぎょっ!「動きが止まった?」「あ・・あれは何や!」キラキラッ。「津波の中に・・青黒い蛇体が?」
「・・竜や!とてつもなく巨大な青竜や!」オオオオオーン!ゴゴゴゴ!「!・・」ドパアアアアーン!『おおっ!』
ザザザザ・・「水が・・引いていく。」ザァァァ・・「・・はあっ、はあっ・・」「マーキュリーは無事です。」
「アサシンは・・バラバラか。あの津波や、ガンダムとてひとたまりもないわな。さて、この裁定どうつけるんや?」
「あの津波が他動的なものなら、明らかなルール違反ね・・レフェリーの判断を待ちましょう。」「そやな。」
「むう・・」「レフェリー、私を反則負けにしてください。」「ぬ?」「守護神の力を借りたは実質的に他力本願。
一対一のルールに反しています。」「・・いや、それは違うな。」「え?」「守護神を召喚することは立派な技じゃ。
呼びもせんのに現れたわけではない。よってルール内と認め、この勝負、ガンダムマーキュリーの勝ちとする!」
パシュッ、タッ。「・・・・」きょろきょろ。「海どころか、水溜りひとつすら残ってないわよ。」ぴくっ。カツカツ・・
「恐るべきはワダツミの巫女。よもや竜神まで召喚できるとはね。」こく。「壱岐水軍の祖先はムウ大陸の海棲人類とか
巷で言われてるけど、あながちホラ話ともいえないわね・・来た。」カツカツ。「ご無事そうでよかったです。」こく。
「アニー・オンディーヌ・水野。ひとつ聞きたいことがあるけど?」「?・・どうぞ。」「ワダツミ・ポセイドン・
そしてエーギル。いずれも同一のものでは?」「諸説紛々ありますが、私たち一族は、そう認識しています。」
「そして壱岐水軍とバイキングも、祖先はひとつだった・・そう、失われた大陸の民、その名をノンマルト。」はっ。
「海を生活の場所とすることで、彼らは一般人との接触を避けられ、独自の文化を守ってきた。しかも侵攻を受けやすい
本島でなく、海図にも載っていない小島を拠点とすることで、元寇をも乗り切ったのね。」「・・よくご存知ですね。」
「対戦相手のデータくらい基本よ。できれば精密検査もさせてほしいけど。」「水軍の医務科にご照会くだされば。」
「まあ教えてくれないでしょうね。血中酸素濃度とか耐圧循環系とか、通常より面白いデータが取れそうなんだけど・・」
すいっ・・ぞくっ。「ふふっ・・いい匂いね。爽やかな潮の香り・・シーフードも悪くないわ。」ちろっ。「あ・・」
コン!(七節棍)「あいたー!・・怒鬼さん?」ふるふる。「あ、悪いわるい。ついいつものクセで。」ぱっ、よろっ。
「悪かったわね。だいじょうぶ?」「え、ええ・・」(・・なんて人。恐ろしいまでの闇の誘惑・・あぶなかった。)
次の日、梁山泊。「・・彼女こそ『闇薔薇』桂。十傑集技術顧問さ。」「『闇薔薇』・・個人的感想ですが、十傑集より
危険な匂いを感じました。」「あながち外れてはないな。おそらく樊瑞とて彼女にはかなわないだろう・・ここはな。」
とんとん。「彼女は十傑集にとっても危険な存在では?」「うん。けど逆に彼らを御せるのも・・」「・・なるほど。
毒をもって毒を制す、ですね。」「とてつももない猛毒だけどね。ま、連中が逆に毒されないよう祈るだけだな。」
カツカツ・・「ん?」ザァァァ・・「隅田川に見えるあれは?」「ワダツミ様です。普通は実体は見えませんが、
さすがに大佐には見えますか。」「うん、シロウトじゃないしね。・・ハゼ食ってるのか。」「お気に入りだそうで。」
君たちに最新情報を公開しよう。
十傑集「素晴らしきヒッツカラルド」に対するはキラル・メキレル!
死の指鳴りと死神の刃、切られるのはどっちか。
いっぽうタイタンでは、葉隠部隊とヘルファイター大軍団の追撃戦。
闇シャッフルも加わり絶体絶命かと思われたそのとき、駆けつけるは魔導空軍!
大戦艦ヴァルハラと魔砲艦グラーフ・ツェッペリンの砲撃戦!勝つのはどっちだ?
それを見守り、状況を娯しむ二つの影・・その真意は?
次回、バーニングガンダムファイト激闘編 第35話
「無明!ぬばたまの光」に、バーニング・ガンダムファイト!レディー、ゴー!!
これが勝利のカギだ!(キラル殺法・弥勒瞑想陣)