機動武闘烈伝ダブルGガンダム   作:風雲再起

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黒薔薇会日誌-涼風さつさつ(注:十八禁!)-

真バベルの塔。「ロサ・ノワール。例の話は?」「よき人材が見つかりました。アリス。」
『御前に。」ボオッ。『むうっ?!』「初めまして。アリスと申します。」すいっ。「我らが気配も
感じられなかったとは。」「ほう・・これは美しい。だが・・」「・・男か?」「どちらでもあり、
どちらでもない。アリスに性別はありません、男女いずれにもなれます。」「アンドロギュノス?」
「いいえ、必要に応じてどちらにも。たとえば・・」スゥ・・『むうっ!』「こ、これは・・」
「紛れも無き傾城の美女!」「そう、女性のときは男を惑わす魔性の女、そして男性のときは
女を惹きつける美男子・・むろんどちらも名器です。」「だが・・それだけではいささか。」
「ならば、お試しを。」「ならば拙者が。」スッ。「レッドか、よかろう。」「参る。」チャッ。
「いつでもどうぞ。」「・・(な、なんだこれは?・・打ち込めぬ・・)」「ぬう・・レッドが
躊躇しておる。」「ありえん!敵ならば魔も仏も容赦せぬレッドが・・」「切れます?・・私が。」
「むうううう・・参った!」ガクッ。『なんと・・』「だ・・ダメだ。殺意が出ぬ・・まるで春靄に
巻かれているように。」「無理もありません。アリスの魅了は餓えた獣でも静まります。」
「戦わずして屈服させる・・まさに魔人だな。」「お誉めにあずかり恐悦至極です。」すいっ。
「第一の任務ですが、ガブ女に浸透させようと思ってます。」「なんと?だがガブ女は・・」
「いかにも私の学校です。ならばこそ面白い。黒薔薇会がアリスの魅力に堕するか、あるいは・・」
『それは面白そうだ。』はっ?!カツカツ・・『ボス!ははーっ!』ザッ!「ロサ・ノワール、
その方針で進めよ。清浄なる学舎に垂らされる一滴の毒、失楽園となるか、はたまた浄化か。」
「御意。第一のターゲットは・・」さっ、ぱっ。「騎士団長、『ロサ・カルディナル』祐巳。」

数日後、ガブ女二号生教室。「皆さん、転校生を紹介します。」ガラッ。すいっ・・オオッ!
「ごきげんよう皆さん、アリスと申します。」ザワザワ・・『すっごい綺麗な子・・』『見ようでは
美少年にも・・』『お近づきになりたいわ・・』「アリスさん、あなたの異能をお見せください。
これは我が校の慣習です。」「はい。私の異能は『魅了』です・・」スゥ・・『・・うくっ?!』
『な、なにこの感じ・・』『やだ・・なんか疼く。』『やばっ・・濡れちゃった・・』ザワザワ。
「はいはいそこまで。けっこうヤバい異能ですね。皆さん、お手洗いへ行ってきていいですよ。」
『は、はい!』ドカドカ!・・「・・あら、無事だった方もいるのね。黒薔薇会の三人と、留学生の
四人ですか。」「けっこう強烈でしたけどね。」「シュミの問題ね。あたしの口には合わん。」
「・・このくらいならじゅうぶん抑制できます。」「ふっふっふ、まだまだリビドーが足りぬわ。」
「こなたにもっとすごいの見せてもらったことあるな。」「はにゃ~?(空気が読めてない)」
「フェロモンは本来はメスがオスを誘引するものですが、その逆に男性フェロモンというものも
また存在します。現実には誘引物質だけでなく、姿形や仕種などの要因もありますけど。」
「アリスさんの席は、祐巳さんの隣で。」「はい。よろしくお願いいたします。」「こちらこそ。」

昼休み、新黒薔薇の館。「祐巳、転校生でとんでもないのが来たんですって?」「もうお耳に?」
「転校生、しかも注目に値する異能を持ってるとなれば、光より速く伝わってくるものさ。」
「アリスと言ったわね。瞳子ちゃん。」「もちろんデータは押さえてますわ。」カタカタ。ぱっ。
「おお~、うまそう。」「聖は本当に食べかねないからね。たしかに、女性受けする容姿ね。」
「実物はもっとすごいですよ。よくわからないフェロモンむんむんで。」「・・女性というよりも
どことなく中性的な印象を受けました。」「といっても令ちゃんとはまた違う。もっとこう妖艶な
いかがわしい雰囲気が・・」「へえ~、そんな人がいるんだ。」「・・なんとなく、感じ悪い。」
♪ぴんぽーん。「来客?どなた?」【二号生のアリスと申します。祐巳さんはこちらでしょうか?】
はっ!「ウワサをすれば何とやら。ちょうどいいわ、実物を拝観させてもらいましょう。どうぞ。」
パシュ。『・・おおっ!』「ごきげんよう、黒薔薇会の皆様方。」すいっ。「お入りなさい。」
「失礼いたします。」すいっ・・「・・(これはたしかに危険ね・・)」「・・(う~ん・・実物は
ちょっと手を出しかねるかな。)」「・・(ふふっ、これはいい刺激になるわ。)」「・・(なるほど、
これなら女性も放っておかないな。)」「・・(祐巳とはまったく別の生き物、いえ、魔物・・)」
「・・(妖淫な気を感じる。夜叉・羅刹の類か。)」「・・(この人・・吐き気がするほど嫌。)」
「・・(うわ~・・なんて綺麗な人かしら。)」「こちらへどうぞ。」「ありがとうございます。」
「あ、ただいまティーを入れますわ。」いそいそ。「いえ、おかまいなく。」「まあまあ。」

カタン・・「アリスさん、どう?黒薔薇会へ入らない?」ドヨッ!『ロサ・キネンシス?!』
「そのユニークな異能、とても気に入ったわ。誰も並ぶ者のない能力こそふさわしい。」
「光栄ですが、私は戦闘力は皆無ですから。諜報活動にしか役立ちません。」「だいじょうぶよ。
情報科の瞳子ちゃんでも、立派に黒薔薇会の一員なんだから。」「その美貌なら、芸術科専攻で
ファッションモデルかアイドルとしても通用するわね。」「おお、そういえば芸能プロにコネが
あったな。」ぽん。「バルド社長に紹介状を書いてあげてもいいよ。」「お心遣い、感謝します。
あ、そうそう。祐巳さん、お部屋を教えてほしかったの。いろいろお聞きしたいこともあるし。」
「いいよ。じゃ、案内してあげる。」「ではこれで失礼いたします。」すいっ。シュッ・・
『・・・・』「蓉子・・まさか本気?」「社交辞令よ。あんなの入れたら空中分解しちゃうわ。」
「いずれにせよ、向こうにその気は無かったけどね。むしろ・・」「狙いは・・祐巳ちゃん。」
はっ!「なにげない仕草でわかるわ。祐巳を籠絡する気ね。」「籠絡って?」「あれは男性です。
見た目はどうあれ、オスの匂いがします。」「両性具有、いえ、性を持たない夜鬼ですね。」
「・・祐巳さんがあぶない!」ガタッ!「落ち着きなさい由乃。祐巳ちゃんは全てお見通しよ。」
「?・・そうなんですか?」「・・表面は優しく接してるけど、眼は笑ってなかったわ。」
「お姉さまは伊達に『薔薇枢機卿』ではありません。あの程度の罠、逆に噛み破ります。」

その夜。♪ポーン。「はーい。」『アリスです。』「どうぞ。」パシュ。「失礼します。」
「まあ座って。コーヒーでも入れるよ。」「ありがとうございます。」・・キラリ。スゥゥ・・
「・・あれ?なんかいい匂いが・・」ススッ・・ひしっ。「アリスさん?」「祐巳さん・・」
クチュ・・「うふぅ・・」「はぁ・・」クチュクチュ・・ついーっ。「ベッドへ・・」ポスッ。
「見て・・祐巳さん。」ごそごそ、ぬうっ。「・・男?」「これを祐巳さんの中へ・・」
「その前に・・」ぱくっ。「あふっ・・」チュクチュク・・れろれろ。「そこ、は!・・」
「まだまだ。」ズグッ!「あっ!・・舌が!・・そこは!」ドクッ!ドクドク・・コクコク。
「はぁっ、はぁっ・・」「ふふ・・おいしい。いっぱい出たね。」チュルッ・・「じゃあ・・」
「まだまだ。こういうのは?」のしっ。「あぶ・・』「舐めていいよ。こっちも・・」ズグッ!
『っ!・・』ズッズッ。くりくり。『らめぇっ!・・睾丸は・・っ!』ドプウッ!ドクドク!
「ふふっ、またいっぱい出たね。この調子で精嚢が空っぽになるまで吸い取ってあげる♪」
『あぶぅ・・もう許してぇ・・』「だめ、許さない。私にしようとしたように、あなたを私の
肉奴隷にしてあげる。まだ夜は始まったばかり。明日の日の目が見られるといいね・・」

新黒薔薇の館。「・・というわけで、次の日の洗濯が大変でした。」「お疲れさま。結局は?」
「通算十発、量にして500mlくらい。」「それ全部飲んだの?うえ・・」「おいしかったですよ。」
「ミイラ取りがミイラになったか。南無阿弥陀。」ジャラッ。「さすがお姉さま、一度も挿入させず
倒したとはお見事です。」「ココは大事な人にしか開放しませんって。」ぺしぺし。「まあ・・」
「で、アリスは?」「ああ、独房に放りこんでます、看守当番付きで。」『看守当番?』

独房。『はぁっ、はぁっ・・』「ねえ、もう交代の時間よ。」「ちょ、ちょっと待って。すぐ・・
はああんっ!」ビクビクッ!「はぁぁ・・よかった。お待たせ。」「もう!一人あたり15分の
割り当てでしょ。」「悪いわるい。ついつい美味だったんで。」「どれどれ。・・うん、元気。」
「常時勃起したままだそうよ。前戯抜きで、いきなり本番入れるから助かるわ。」ふきふき。
「はぁっ・・お姉さま方、アリスを可愛がってください・・柔らかい肉で包んでください・・」
「ふふっ・・いいわよ、いくらでも可愛がってあげる♪」くい、ズブウッ!「はぁぁっ!・・」

【共同便所ロストバージンしたい方・ちょっとしたい方はご自由に。並んでお待ちください】

「やれやれ大盛況ね。まあ、生徒の福利厚生に役立ってるから、これはこれでめでたし・・かな?」

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黒薔薇会日誌-合同合宿-

新宿魔天楼入口。ザワザワ。「全員注目!これより合宿地である魔天楼奥地のキャンプ場へ
出発します。その前にガイドの無名さんから注意事項があります。」「まず第一に、移動中は
大声を出さず、足音もできるだけ殺してください。辺りにいる魔獣がすぐに襲ってきますので。
第二に、もし攻撃された場合は、できれば1分以内に対象を沈黙させること。それ以上手間どれば、
別のに嗅ぎつけられます。第三に、対象を無力化したら、ただちにその場を離れてください。
理由は言うまでもないでしょう。」ザワザワ。「しつもん。キャンプ場は安全なんですか?」
「そこは入り口の狭い洞窟になっており、通常の魔獣では入ることはできません。かつては
魔獣の巣でしたが、住人は私が食ったので空き家になってますので安全です。」「洞窟の奥から
何か来る可能性は?」「ごく浅い洞窟ですのでご安心を。天井の高さは5mはありますから、
全員がテントを張っても、まだ余裕があります。」「なお、倒した魔獣の肉を食料とします。
そのつもりで各自に準備をお願いしてるわね。」『はーい。』「まるでモンハンだね~。」
「ワイルドな料理もたまにはいいですわ。」「塩コショウと味ポンを持ってきたから大丈夫。」
「キャンプ場まで徒歩でおよそ一時間です。むろん途中でいろいろ無ければ、の話ですが。」
「もうひとつ。今回は別のグループとの合同合宿としました。」ドヨッ。「そのグループとは?」
「それは会ってからのお楽しみ。現地で合流する予定よ。」「?・・どんな方たちなんでしょう。」

ザッザッ・・(ここから先は初めてだね。)(なーんか、どんどんイヤな予感が強くなるけど。)
(・・いるわ。今まで知らないような強大な怪獣たちが。)(可南子はこの辺まで入った?)
(ここくらいなら。・・でもこの先はさすがに。)(目的の洞窟まであと30分くらいです。)
ドーン・・ぴくっ。(近い・・瞳子ちゃん。)(行って、ピーコ。)ぽい、ぱたぱたぱた・・
(どうよ?)(・・いますわ。前方200m。)(これは見たことないわね。無名ちゃん、わかる?)
(ああ、これはレッドキングです。獰猛なので注意してください。)(やりすごします?)
(進む方向によるな。)(・・あら?近くに誰かいますわ。)(えっ?・・あれは、誰?)
(近くへ行ってみましょう。場合によれば助けないと。)(でもあえて身をさらしたとしか・・)

ギャアアアーッ!「・・おいで、でかくて強そうなの。」すっ、ちょいちょい。ドスドスドス!
「あれか。」「生身でレッドキングに?いくら何でも。」「本人は殺る気まんまんみたいだよ。」
グワアッ!「・・!」ギン!びくうっ!「・・怪獣が止まった?」「あれは・・まさか恐怖?」
グゥゥ・・「さあどうする?危険回避と食欲、どちらでもいいよ。」・・ギャアアアーッ!
「あ、食欲が勝った。」グワアッ!「・・それでいいよ。」ボッ・・ドドーン!『消えた!』
「いえ、上よ!」「あんなに高く?!」ババババッ!ぴたっ。「頭頂に手を?」「波動。」
ズキュゥゥーンッ!「え?・・今のは?」「何かが走ったね。」ターン・・ザシャッ。
「・・止まった?」・・メコッ、メコボコッ、ボオオオオーン!『なっ?!』「怪獣の頭が!」
「・・粉々に爆散した!」ユラッ・・グワアアッ、ドドーン!「崇山魔嶺拳奥義・嶺上開花。」
「崇山魔嶺拳ですって?!」「瞳子、知ってる?」「ええ。・・中国拳法百林の中でも、
あまりにも強力かつ残虐なため、時の皇帝により絶滅させられたはずの伝説の魔拳ですわ・・」
「それほど恐れられたのね。」「殲滅戦では、数万の兵を犠牲にしたとも伝承されてますわ。」
「大勢力だったんだね。」「いえ・・それは、たった一人の継承者のみと。」『ひとり?!』
「一人で万軍に匹敵する拳・・か。」「生身であの大怪獣を一撃で戮するんだもの、当然かも。」

「おー、さすが咲ね。」「やるのう。それでこそ『清澄』のエースじゃ。」「お見事です・・」
「あのくらいなら、あたしだけでも充分だったじぇ。」「あれは。・・行くわよ。」ガサッ。
「おっ、やっと会えたね蓉子。」「久も元気そうね。」「部長、知り合い?」「悪友でね。」
「ちょっと前までタマの取り合いしとったのう。」「ああ・・部長が言ってた合同合宿の。」
「そう。皇立聖ガブリエル女学園、通称ガブ女に名高き『黒薔薇騎士団』の皆さんよ。」
『ごきげんよう。』「うわ~、そんな挨拶する人間が、ホントに実在するんだじぇ。」
「私たちはオリュンポス十二神将。『清澄』部隊長、『黒耀将』上埜久。」「副長の『緑獄将』
染谷まこじゃ。」「『墨西将』片岡優希だじぇー。」「『飛天将』孕村和です。」「そして
『魔嶺将』宮永咲です。」『清澄!』「・・聞いたことがある。十二神将の四軍団随一の実力と
凶猛さを有する部隊。」「勝利のためならいかなる手段も選ばない極悪部隊・・とも。」
「ウチらにはむしろ誉め言葉じゃな。」「勝つためにあらゆる手を尽してるだけだじぇ。」

「挨拶はこれくらいにして、合宿場へ向かいましょう。」「そうね、他のが来そうだし。」
「無名ちゃん、これおいしい?」「ビーフに近いですね。」「じゃあ食材確保しとこうか。
アイアンベルト!」シュピィィーッ!スパパパッ・・ビチャッ!「10kgもあればいいね。」
『へえ・・』「ベルト状の刃とは、また難しそうな武器ね。」「扱いもうまいのう。」
「さすがにやるじぇー。」「・・できる、この人。」「あなたは・・もしや。」「騎士団長
『ロサ・カルディナル』祐巳です。」ぴく。「あなたが、あの・・」ゴォォォ・・ぴくり。
(尋常じゃない殺気・・ふっ。)キラッ。ズォォォ・・(?!・・なに、この異質な気は。)
ズズズズ・・『うわ・・』「ふっ、双方ともやる気まんまんのようだね。」「ライバル意識は
悪いことではないわ。」「・・。」ザッ。わしっ!「はっ?・・孕村さん?」「ここではまだ
ダメですよ。時と場所を。」「・・そうだね。」スゥ・・「さて、出発しましょうか。」

洞窟。ガヤガヤ。「テントは立てた?無名ちゃんによると、奥に天然温泉があるそうなので、
そこで汗を流してらっしゃい。」「温泉あったんだ?」「それも合宿所選定の理由です。」
「お先に上級生が。一号生は夕食の支度しますので。」「うちからも人手を出すわ。誰か?」
「やります。」「同じく。」「タコス造るじぇー!」「三人あればいいね。まこ、行こか。」

グツグツ。「おし、飯盒返しっと。」「あちちち。」ボスッ。ジャンジャン!「・・ホントに
ビーフみたい。」「一人あたり500gは多すぎます?」トトトトン。「サラダできましたわ。」
ショリショリ。「アボガドおろしは必須だじぇ。あとトルティーヤはいっぱい持ってきたじぇ。」
「あとはよく蒸らして・・と。」「・・あの。」「はい?」「祐巳さんって、どんな方?」
「強さと優しさ、それに恐ろしさも併せ持つ、騎士団長にふさわしいお方です。」「恐ろしさ?」
「例えば敵に対する凶暴さや残虐さとは違う、それ以上の・・むしろ生き物とすら認識してない
冷徹さ。蟻を踏み潰した象のような・・この言い方でわかります?」「・・なんとなく。」

夕食後。「では基礎訓練から始めるわ。」「まずは得物や能力を使わない乱取りよ。適当に
ペアを組んで。」「あ、なるべく混ぜてね。」「黒薔薇は数が多いので、同級生以外で。」
ガヤガヤ。「祐巳さん、お願いできます?」「咲さんだっけ。いいよ。」「では、始め!」
ビシバシッ!「はいはいはいっ!」「よっとっと!」「へえ・・さすが黒薔薇、徒手空拳でも
動きにキレがあるわね。」「組み打ちは必修科目だしね。基礎があってこそ異能が活きるのよ。」
「ほとんど受け動作が無いのがすごいわね。」「フットワークと体捌きがメインね。受けは次の
反撃への初動であるべき。」「受けは動きを止めるからね・・優希、もっとコンパクトに!」
「ほらほら由乃、足が止まってる!」カタカタ。「ふむ、可南子さんは左に隙が多い・・と。」

「次は夜戦訓練よ。瞳子ちゃん、照明消して。」フッ・・「ここにある物を置くので、見えた人は
クリアよ。」コトン。「では、開始。」『・・・・』「はい。」「祐巳ちゃん?」『はやっ!』
「こっそり答えを。」ひそひそ。「・・うん、正解よ。」オオッ。「さすがお姉さま・・」
「ん~・・なんか白いのはわかるけど。」「四角?・・いや、長方形か。」「あれは・・字?」
「そろそろ見えてきたようなので言うけど、置いてあるのは本よ。問題はどういう本か、ね。」
「読めっちゅーんかい。」「さっぱり読めないじぇー。」「いえ・・だんだん見えてきました。」
「・・あ、わかった。」「咲さん。」ひそひそ・・「はい正解。」「・・いま読めました。」
「わかった!」「やっとわかったぜよ。」「暗視モード使えばすぐ読めたんだけどなー。」
「みんなクリアね。じゃ、外へ出てみて。」ゾロゾロ。『・・うわ~!』「満天の星空!」
「夜ってこんなに明るかったんだ。」「市街地じゃ街灯で見えないからね。昔の人の目はどう?」
「ん~・・なんか星座がだいぶ違うような?」「そりゃそうよ。ここは異世界、星の配置だって
同じじゃないわ。例えばあれ。」ぴっ。『・・おお~!』「あんな大きな銀河が見えるなんて!」
「こっちには巨大な暗黒星雲が!」「・・ハッブルの写真みたい。」「今日はここまでよ。」

翌朝。「今日から本格的な演習よ。混成チームを組んでの魔獣狩り。」「一番の大物を狩った
チームを勝者とします。ジャッジは魔獣に詳しい無名ちゃん。」「これがチーム割りよ。」
ガヤガヤ。「あ、祐巳さんと同じだ。」「見事に分散させられたのう。」「知らないのとチーム
組むのは不安だじぇ。」「そうでなければ合同合宿の意味がありません。」こうなりました。

A班:江利子・咲・祐巳
B班:聖・和・由乃
C班:蓉子・優希・志摩子
D班:久・祥子・乃梨子
E班:まこ・令・可南子

「瞳子ちゃんは各班の管制と通信、無名ちゃんは審判ね。」「皆様の状況は、ディスクアニマルで
しっかりモニターしますわ。」「それを見て私がジャッジするんですね。」「では出発!」

A班。「各学年と薔薇で均等に分散させたのね。」「これはこれで新鮮な組み合わせですね。
ロサ・フェティダがご一緒なら、何も怖いものはありません。」「ロサ・・なに?」「ガブ女では
下級生は上級生を称号で呼ぶのがルールなの。江利子さまは『ロサ・フェティダ(黄薔薇)』。」
「ちなみに祐巳ちゃんは『ロサ・カルディナル(薔薇枢機卿)』と下級生に呼ばせてるの。」
「へえ・・カッコいいね。」「いや~、私は普通に呼ばれたほうがいいんだけど。」ぽりぽり。
「そうはいかないの。称号で呼ばれることで己が立場を再認識し、襟を正すのも目的のひとつよ。」
「あ、はい。ロサ・フェティダ。」しゃきん。「・・とはいえ、祐巳ちゃんは、あんまり定着しない
ほうがいいかもね、フフッ。」「そんなもんですか~?」「うふふっ、仲がいいんですね。」
「咲さんの組織はどんな感じ?」「そちらと似てますね。他部隊とも良きライバル関係です。」
「四つの戦闘団に分けたのは、そういう目的もあるって聞いたことがあるわね。」「咲さん達が
『清澄』、あと『風越』『鶴賀』『龍門渕』でしたね。」「そうです。そして・・」『そして?』
「四軍団および十二神将を束ねる『元帥』がいます。」「元帥・・どんな方なんだろう?」

B班。「うへ~・・すげ。」「ロサ・ギガンティア、ゲストの方に不謹慎です!」「いいんです、
慣れてますから。」「和さんだっけ。そのぬいぐるみは?」「これがあると落ち着くんです。」
ぷにゅ♪「これエトペンね。有名な絵本の。」「ご存知ですか。」「まるっこいペンギンだな~。
でもそれ持ってちゃ戦えないんじゃ?」「いいえ。ほら。」ひょい、ふわっ。『浮いた?!』
「これは私のオプション兵器でもあり、索敵・防衛・支援攻撃と何でもこなしてくれる相棒です。」
「この外見は、いわばカモフラージュなのね。」「てっきり乳置き用だけかと思ってた。」

C班。もぐもぐ。「優希さん、さっきから何食べてるの?」「・・もしかして、ドネルケバブ?」
「違うじぇー!それはトルコ料理だじぇ。これは純正メキシコのタコスだじぇ!」「・・失礼。」
「そういえばアメリカではギリシャのギロスで有名ね。まあ南部ではケイジャンも盛んだけど。」
「おっ、よく知ってるじぇ。」「・・でもタコスって、皮の硬いヤツじゃなかったですか?」
「それはアメリカ生まれのハードタコね。ヤンキーは何でもパリパリするのが好きだから、
フライドチキンもクリスピーばっかでイヤになるわ。日本人はしっとり唐揚げに限るのよ。」
「・・さすがロサ・キネンシス、詳しいですね。」「硬いタコスなんで邪道だじぇー!
しっとりしたトルティーヤに肉野菜を包んで、アボカドとサルサをかけたのが一番だじぇ!」
たじっ。「・・お好きなんですね。」「私はタコスに呪われし一族。絶えずタコスを補給して
いないと、私は人の姿を保てなくなるのだ。」『はあ?』ばくばく!「タコスウマー。」
「呪い・・ねえ。」「たしかにこれは・・一種の憑き物といってもおかしくはないかと。」

D班。「黒耀将、お噂はかねがねお姉さまから。」「蓉子なら、あんまりいい話はしてないかな。」
「そうですね。さすがに本人の前では申せませんが。」「あはははは。どうせ『技も暗いが腹は
もっと真っ黒』とか、『むしろ「腹黒将」』とかゆってそうね。」「え~・・そんな感じです。」
「ところで乃梨子ちゃんだっけ?」「あ、はい!」「魔倶荼羅教一級呪法師だそうだけど、
『護龍護陀教』は持ってる?」ぎょっ!「な・・なぜそれを?!」「?・・なんなの、それ?」
「幕末に焼失したといわれる伝説の秘教典です。・・檀家でもほとんど知られていないのに。」
「帰ったら『京極堂書店』で聞いてみなさい。在庫があるはずよ。」「あ、あるんですか?!」
「だって立ち読みしたことあるもの。『魔倶荼羅とは信徒の盾にして矛なり祈る手に刃を持ち
布施を受ける手で血を受け念仏を唱える口で呪を奏でる浄土を求めず地獄に堕つるを是とし
至らば番卒どもと一手所望するなり』・・」「伝承どおりの前文です・・灯台もと暗しですね。」
「京極堂へはよく?」「ネオジャパンに来たときはいつも。うちの御用達でもあるしね。」

E班。「『緑獄将』とは、どのような技を?」「これじゃ。」さっ。「・・緑色の布、ですか?」
「ある植物の繊維を編んだもので、私の意のままに動き、変型もするんじゃ。こないにな。」
ヒュッ!キュィィィーッ・・「・・道?」「不整地もこれなら舗装道じゃ。ささ、遠慮せんと。」
ツカツカ・・「すごい・・まるでアスファルトのような堅さ。」「布とはとても思えません・・」
「茂みを抜けるで。」カツッ。「ほいっ。」キュイッ!ヒュルルル・・ぱしっ。「ごくろーさん。」
「手ぬぐいの大きさに戻った?」「どう見ても100m以上あったはず・・」「やきん『緑獄将』や。」

洞窟。「瞳子、様子は?」「C班エンカウント。まん丸ですわ。」「ああ、タッコングか。あれは
比較的組みし易くて手頃ね。」「おっとB班もですわ。変な怪獣?」「うわ、パンドンか~。
ちょっと厄介なのが。」「D班は・・いまエンカウント。」「えっと・・なんだツインテールか。
食べるとおいしいわ。」「E班もエンカウント。」「パラジュードンね。まあまあ強いわ。」
「A班も来ましたわ。クラゲみたいなの。」「えっ?・・いけない、シルバーブルーメ!」
「なんですの?」「超A級の大魔獣。もしガンダムを使っても、勝てるかどうか・・」

C班。ギュアアアアーッ!「なんかおかしな形の怪獣だじぇ。」「・・むしろ、可愛いかも。」
「本部によるとタッコングというらしいわ。」ぴぴくうっ!「タコ?!」「優希ちゃん、なに?」
「タコと名のつくかいじゅーなら、わたしの獲物だじぇー!」ダダッ!「あっ、ちょっと!」
ドスドス!「『墨西将』片岡優希、いくじぇー!」ダーン!ギュルルルッ!「サンタナキック!」
ズドオオオーン!グギャアッ!「鼻っ柱の一撃でひるんだわ。」「ロサ・キネンシス、援護を。」
ダッ!「ソーン・バインド。」ビュルルルッ!ギリギリッ!ギュアアアーッ!「大漁だじぇ。」
「・・とどめましょう。」「おう!」ダッ!「突破口を開けます。銀杏扇!」シュパッ!
ズバアッ!「もらったじぇー!トッペ・スイシーダ!」ギュルルルッ、ドブオッ!「入った?」
ゴゴゴゴ・・ずぼおおおーん!「体内を貫いて反対側から?!」「・・すごい。」ユラッ・・
どどおおおーん!・・ザシャッ!「仕留めたじぇ!」「あの、全身血まみれなんですけど・・」
「汚れついでだし、こいつ解体してから洗うじぇ。」「それはまかせて。チェイン・ソーン。」
ギュイイイイーッ!バリバリバリ!・・「はい、運びやすい大きさになったわ。」「うへ~、
おっとろしいお姉さんだじぇ~。」「紅薔薇騎士隊長『ロサ・キネンシス』ですから・・」

B班。カカーッ!「なんじゃこれ、エビフライみたいな。」「クチバシが二つありますね。」
「エビフライなら切って食うまでよ。『鬼平』!」ズラアッ!ダン!「でえええーいっ!」
カキィィーン!「えっ?!・・刃が通らない!」カッ、ボンボンボン!「火球?しまった!」
「由乃!」『iシールド。』バシイイイーン!「え?・・あっ!」「あれは・・えっ?!」くるっ。
「いる?・・ということは!」「私のスタンド『ノ・ドーチ』です。」「・・天使のスタンド。」
「いまのうちに攻撃を。」「わかった。電網!」ズババババッ!バリバリバリ!カカーッ!
「動きを止めた。由乃!」「弱点は・・」ターン・・「口の中!」ズドシャアッ!ギャアアッ!
「とどめます。ノ・ドーチ!」ドン!『宝剣「サン・トリニティ」天地一陣!そああああーっ!』
ズバアアアーン!『おおっ!』「怪獣がまっぷたつに?なんて切れ味の巨剣なの!」ドドーン!
「ごくろうさま。戻って。」スゥゥ・・「やるねえ。」「あんなに強力なスタンドがいるのね・・」

D班。グワアッ!「なんつーか、キモ可愛いヤツね。」「形は異様ですけど、強そうに見えないのが
不思議ですわ。」「えーと、無名ちゃんによると、エビの味がして、けっこうおいしいそうです。」
「たしかにエビに見えんこともないか。」「伊勢海老のでっかいヤツなら、みんな喜びますわね。」
「じゃあ狩りますか。闇よ来たれ。」ゴォォォ・・「黒耀将の手に・・闇の波動?」「ぬばたま。」
ゴオッ!ゴォォォ・・「闇が怪獣に?」「これで何も見えないわ。攻撃を。」「百人一首。」ぴっ。
「♪有馬山ゐなの笹原風吹けばいでそよ人を忘れやはする・・伊奈風!」ヒュゴォッ!
ズバズバッ!「触手切断。乃梨子ちゃん!」「曩莫三曼荼縛曰羅赧憾!」ジャラッ!「不動明王
火炎呪!」ボオオオオーン!グワアアアーッ!「焼きエビいっちょうあがり・・かな?」

E班。キュィィーッ!「昆虫怪獣か~。さすがに食えんかい。」「いや、イナゴと考えれば。」
「バラして出せばわからないかも。」シュバッ!『おっと!』ボオオオーン!「燃えた?!」
「発火性の液を吐くんかい。さすが魔獣じゃ。」「攻撃します。バヨネット!」シュバババッ!
ドカドカッ!「うまい、複眼を狙ったか。」「急所を確実に攻める、巨獣狩りの基本じゃの。
こちらもやるで。緑一色!」キュバババッ!「そりゃあっ!」ズバーン!「羽根を切り裂いたか。」
「とどめよろしく!」「まかされよう!」グッ、シャッ!「支倉流神聖抜刀術奥義・黎明!」
シュピィィーン!・・ザシャッ!「・・はあっ。」チン。ズルッ・・ドシャアアアーン!
「う~ん・・やっぱ食欲わかんのう。」「判断は本部でしてもらおう。もしもし。」『こちら本部。
食材にはなりませんがポイントはOKです。』「・・よかった。」「見るからにまずそうじゃしの。」

A班。キュルルル!「うわ、でっかい飛行クラゲ。」「攻撃通るのかしら?」「やってみます。」
ターン・・ぴたっ。「波動。」ズキュゥゥーン!・・「?・・効かない!」ビュルルルッ!
「触手?!」「アイアンベルト!」「レーザーブレード!」ズパパパッ!「いまのうち!」くるっ、
ザシャアッ!「ダメです、波動が拡散されます。」「こっちのレーザーもご同様よ。切れても
すぐに融合しちゃう。」「物理攻撃はダメみたいですね。どうします?」キュルルル!「上に?
呑み込む気だ!」「・・あ。祐巳ちゃん、バリア張れる?」「え?はい、アクティブモードなら。」
「虎穴に入らずんば虎児を得ずよ。」『・・ああ!』「来ます!」グワッ!「今よ!」シュイッ。
バサアッ!「?!・・祐巳さんの背中から巨大な羽根が!」「ATフィールド!」ヴン。ドシャアッ!
「うわ~・・クラゲの中だ。」「では突破しましょうか。拡散レーザー。」ボボッ、シュバッ!
「え?でもレーザーで切れないんじゃ?」「今回は切るんじゃないの、沸かすのよ。」「沸かす?」
ボコボコ・・「なるほど、相手が水なら沸騰させれば。」「そう。しかも急激に加熱すれば!」
メコメコッ、ボオオオオーン!「水蒸気爆発・・こっぱみじんか。」「サウナになるのが難点ね。」

洞窟。「と、ゆーわけで大物ポイントはA班ですが、食材ボーナス追加でE班が逆転優勝です。」
『おっしゃー!』「今夜はタッコング焼きとツインテールのグリルですよ。」『いただきまーす。』
「タッコングウマー。」「味は意外とタコね?」「うまっ!ツインテールってホントにエビみたい。」
「でも食材おもいっきり余りそうですね・・」「そこはそれ、ムダにはしないわ。」『え?』

数日後、ローゼンクロイツ大食堂。ワイワイ。『今日はシーフードドリアが特別価格ですって?』
『うわ、ホントに安い。100円でおかわり自由だって。』『タコとエビがいっぱい入ってる!』
『でもなんでエビまで細切れなんだろ?』『冷凍品だからじゃないかな。おいしけりゃオッケ。』
「なるほど、生徒に還元セールか。」「さすがに原型では出せないから、ドリアにしたけどね。」

同じくオリュンポス。ガヤガヤ。「タコとエビがいっぱい入った釜飯だよ、おかわり自由!」
「あふあふ・・これはおいしいわ。」「タコからいいダシ出てるし、エビも豊富だし!」
「食べ放題とは、清澄も味なことをやる。」「けど、普通のタコやエビと微妙に違うような?」
「醍醐味ならん。」「どうせならカキとか鯛がよろしかったですわ。おかわり。」「はいはい。」
「・・というわけで、おみやげに。」「ワッハッハ、しばらくタコとエビには困らないねー。」



外伝:黒薔薇会日誌(3)

黒薔薇会日誌-幻の大地-

 

黒薔薇騎士団所属・輸送連絡機『ケルビム』。ブォォォ・・「これ中古ハーキュリーズですねー。」

「自衛隊で車検切れしたの安く譲ってもらったやつですもの。」「ちゃんとリフォームしてるから

空中分解したりしないわよ。」「にしても・・乗り心地はサイテー。」ガタガタ!「軍用機は

快適性なんか考慮してないからね。」「おかげで大半が乗り物酔いです・・」『ぶええ~。』

「ゲロ袋いくらあっても足りやしない。」「・・あれ?祥子は?」「す~。」「飛行機嫌いなので

乗る寸前にトランキライザーをパシュっと一発。」「まるで特攻野郎Aチームのコングね。」

「にしても、オリュンポスから招待状が来るなんて。」「ここんとこ交流多いから、前々から

打診はしてたのよ。他の組織を見るのも勉強になるし。」【オリュンポス、まもなく視界内。】

「あ、見えた。」どやどや。『どれどれ?・・うわ~!』「あれが・・天空城オリュンポス!」

ゴオオオオ!「空中に浮かぶ巨城・・いえ、空中都市!」「まるでラピュタね・・どうやって

浮かんでるのかしら?」「コロニーと同様の重力制御技術を使ってるのは間違いないけど、

重力圏であれだけ安定させるのは難しいはずよ。」「何か未知の技術を使ってるようね・・

しかし、すごい大きさ。」「ざっと見て、山手線内くらいの面積か。」「中央にバベルの塔・・

あれ?円形闘技場があるね。」「あそこで四軍団が毎日対戦し、腕を磨いてるそうよ。」

「オリュンポスは四つの部隊で構成されており、その中でも傑出して優秀な12人が十二神将と

呼ばれてる。」「むろん他にも団員はおり、神将の補佐とかしてるけど、それでもかなりの

実力者だと言われてる・・いかに十二神将が次元違いの強さかが伺えるわ。」【着陸します。】

 

オリュンポス空港。「ようこそオリュンポスへ。」「あら、久だけ?ずいぶんと寂しいお迎えね。」

「ウチは形式的なものは極力避けてるの。そちらにしても、四軍団総出で歓迎ってのは、ちょっと

御免願いたいんじゃ?」「そりゃそうだけどね・・」「まずは。ゴミ箱はそこ。」どさどさ。

「まあ用意のいいこと・・」「機種を見れば、想像つくさね。」「祐巳ちゃん、祥子の気付け。」

とん。「はふっ!・・着いたの?」「もう地べたですよ。(高度1500mなのは黙っとこ・・)」

「では案内しましょう。あのバスへどうぞ。」どん。「うへー!ワーゲンバスだ!」「骨董品・・」

「これだけの人数乗せる車がこれしか無くてね。」「そーゆーこと、ワッハッハ。」ひょい。

「蒲原相談役?」「これマイカーだから。さあ乗ったのった。」どかどか。「では出発!」

ブロロロロ!キキキィィーッ!『うわわわわっ!』「あははは。あいかわらずの運転ね。」

「ちょ、ちょっと!だいじょうぶなの?」「これでも事故ったこと無いから。」ブロロロ!・・

 

キキィィーッ!「とーちゃく。」・・どさどさどさっ!「さすがに初見はきつかったかな?」

「今日はお客さん向けにおとなしめだったけどな、ワッハッハ。」『ど・・どこが~。』

「輸送機よりひどかった・・」「ドリフト・片輪走行・はてはスピン・・カーチェイスか?」

「ここがコロッセオ広場。オリュンポスの中心街よ。」『うわ~・・』ザワザワ・・

「ものすごい人の数・・」「こんなにいるんだ。」「ほとんどは非戦闘支援維持要員だけどね。

前線で活動する戦闘員は数えるほど。」「十二神将を中心とする戦闘グループは、組織の一部に

すぎない。黒薔薇騎士団より所帯が大きいだけの違いさ。」「まあこの規模ならそうかもね。」

「その四軍団の各本部は、この広場に面してるの。まずは『清澄』にご案内。」ぞろぞろ。

 

『清澄』本部。『おお~。』「豪華~。」「ゴシック調ですね・・」「ここが詰所よ。」パシュ。

「おっ、来おったな。」「おひさしぶりです。」「こんにちは。」「ようこそ清澄へ、だじぇ。」

「紹介はもういいわね。『清澄』は強襲打撃部隊。正攻法でぶち当たり、打ち砕くのが仕事。

それゆえ他の部隊と異なり、五人もの神将が集中してるの。」「それだけ重戦闘力が必要と

されてるわけね。」「一極集中とまで言わんが、正面部隊としての務めは果たさんとな。」

「あのー、さっきから気になってるんですけど・・」『え?』「・・なんでベッドが?」

「部長専用だじぇ。」「部長はヒマあらばお昼寝するのがシュミなんです。」「それで・・」

「あら、それだけじゃないでしょ。」『ロサ・キネンシス?』「あー、そういや蓉子もか。」

「あなたの人脈作りの必須アイテムよね♪」『・・あ~。』「・・部長は、そういう人です。」

 

『龍門渕』本部。『これはまた・・』「まんまベルサイユ宮殿?」「まあ趣味の問題だけど・・」

「オーホッホッホ!わたくしの館へようこそ。」「正しくは『龍門渕』詰所ですけど・・」

「うわ~・・絢爛たる淑女達か。」「こちらは初見よね。『龍門渕』に属する三神将よ。」

「ガブ女はウワサによく聞いてますわ。」「『龍門渕』は隠密部隊です。秘密捜査と破壊工作を

任務としてます。」「諸悪根源を喝破撃滅するが務め。それゆえ我らのみにあらず。刮目せよ!」

ガーッ。オオッ!「・・情報センター!」「智紀、説明してあげなさい。」『はい・・私は

情報室長の沢村智紀です。ここで全世界の情報を収集・解析し、活動の目標とします・・』

『そしてオレが諜報員、井上純だ。主に女性から情報を聞き出すのを得意としてる。』

「智紀の総合情報と純の生情報を総合することで、より確度と即応性の高い情報を得ます。」

『おお~。』「さしもの騎士団にも、これほどの諜報システムはありませんわ。」「もっぱら

カソリック教団ネットワークを頼りにしてるしね。」「それはそれで強力なシステムですわ。」

「お茶をお持ちしました。」『おっ?』「執事さんにメイドさんまで?」「それを言うなら、

透華と衣以外はみんなそうなんだけどね・・」「セバスチャン、残念ながら皆さんお立ちの

ようですわ。」「そんなこともあろうかと、アイスティーにしました。駆けつけ一杯で。」

「さ、どうぞ。」カチャカチャ。『んぐんぐ・・ぷはー。ごちそーさま。』「さ、次行くわよ。」

 

『風越』本部。『あれ?』「こちらは素朴ですね?」「それぞれ部隊のポリシーがあってね。」

「ようこそ『風越』へ。」「まあつまらんとこだがゆっくりしていくし。」『よろしくー。』

「『風越』は支援部隊。他の主力部隊のバックアップを任務とします。」「いわばワキ役だけど、

ならばこその大事な役目もあるし。特に主力がピンチのときは、逆転の切り札となるんだし。」

ヒソヒソ・・(キャプテンの視線、部長に釘付けね・・)(あれは完全にやられてますね~。)

(もう一人は気づいてないのかな?)(たぶん。鈍いのか、キャプテンに心酔しきってるのか・・)

「また支援部隊ゆえに、最大の兵力を有します。」「出てくるし、風越軍団!」ガーッ。ザザッ!

『おおっ!』『我ら風越軍団!キャプテンに絶対忠誠を誓うものなり!』「一番隊長・深堀純代!」

「二番隊長・文堂星夏!」「三番隊長・吉留未春。」「この軍団こそ、私の最高の財産です。」

「その言葉、華菜ちゃんだけに言ってほしいし!」(ウゼえ~・・)「さ、次行こうか。」

 

『鶴賀』本部。「ここは古風ね・・」「私のシュミだ、ワッハッハ。」『蒲原相談役?』

「え?でも相談役は」「組織上は『鶴賀』に属してるのさ。もっとも実権はゆみちんだけどね。」

「ようこそ『鶴賀』に。」「うむ。」「神将は二人だけだが、それ以外にも優秀なメンバーが

ワキを固めてるよ。」「例えばこの妹尾香織は、我らに負けない特殊能力を持っている。」

「うむ。准神将といってもいいくらいです。」「いえ、それほどでも~。」「もう一人。モモ!」

【ここっす。】ボオッ。『うわっ!』「い、いきなり空中から湧いて出た!」「煙羅桃子っす。」

「『鶴賀』は四軍団の中では最小の部隊だが、遊撃を任務としてる。」「主力支援・奇襲・強襲等

任務はそのときによって異なります。それに迅速的確に対応するため、小数精鋭に徹しています。」

 

「これで四軍団はひととおり紹介したわけだ。」「何か質問は?」「はい。相談役の本部は?」

「そうさな、このオリュンポス全体が本部といえる。私はどこにでもいるのさ。」『??』

「わかりやすく言うと、相談役は必要なときはもちろん、そうでないときもいつも側にいるの。」

「ますますわからん。」「まあ、いずれわかるでしょう。さ、次はコロシアムへご案内。」

 

ワーワー!『うわー!』「上空から見たときも大きいと思ったけど・・」「こりゃすごい。」

「五万人を収容できる。ここで毎日軍団対抗試合があり、互いの腕を磨いてるのよ。」

【次のカード。『清澄』墨西将・片岡優希に対するは『風越』一番隊。】タッ。ザザッ!

「一人に対して数十人で?」「神将にはハンディが課せられる。これで負けるようなら神将の

価値は無いってこと。」ゴオオオ!「ちっと揉んでやるじぇ。」「包囲せよ!」ザザザザッ!

「ショットランサー隊、撃て!」シュドドドッ!「無数の槍が!」「・・はっ!」タン!

ギュルルルッ!「サンタナ・トルメンタだじぇ!」パキキキキーン!ドスドスッ!カララ・・

「すごい・・高速回転で全て弾いた!」「かかれ!」ワアアアアーッ!「あれを使うじぇ。」

グッ、バサアッ!「マント?」バサササッ!「シロッコ・エスコンデルセだじぇ!」ブオオオオッ!

「砂嵐?!」『ゲホゲホ!』「どこに?」「何も見えない!」『ここだじぇ!』はっ!

バサササッ!「トッペ・スイシーダだじぇ!」どかああーん!『うわあああっ!』ズダダダーッ!

「十数人をロケット頭突きで吹き飛ばした!」「みんな下がれ!・・私がやる。」ズン!

「純代どんだじぇ。ちっとダイエットできたか?」「いきます!」スゥゥ・・「消えた?」

「一番隊長の特技『カメレオン迷彩』。そして。」「どこだじぇ・・?!」ばっ!ブオオッ!

「おおっと!・・あぶなかったじぇ。」ヒュィィーン!・・「あの音は?」「一番隊長・深堀の

ジェットストリームアタック。靴にはローラーダッシュが内蔵されてるの。」「それであの

スピードか・・でも~。」「フッ・・」ヒュィィーン!「アホウが!」さっ、バゴオッ!

「ぶほおっ!」ズガガガーッ!「モーター音でまるわかりだじぇ。」むくっ「こうなったら、

ガチで勝負!」キュィィーン!「その根性、認めるじぇ!」グッ、ダッ!【おおっと!正面から

激突だあああーっ!】「うおおおおおーっ!」ゴオッ!「うりゃあっ!」ターン!ふみっ!

「私を踏み台にした?!」くるくるっ、ギュルルル!「トッペ・ボンバルディアだじぇ!」

ズガアアアーン!「かはっ!・・」【決まったあああーっ!頭上からの垂直落下トッペ!】

ユラッ・・ドドオンッ!すたっ。「次は静かなモーターに換えて、かかってくるじぇ。」

 

【次は神将同士の試合です。美槍将・龍門渕透華様と、飛天将・孕村和様!】オオーッ!

ザッ。「孕村和!今日こそ勝たせていただきますわよ!」「・・よろしくお願いします。」

【レフェリーは『鶴賀』幻銛将・加治木ゆみ様。】キャアアーッ!「女性に人気?」

「両者、礼!・・始め!」「魔槍ゲイボルグ!」ビュン!「旋風裂波!」ブオッ!ズガガーッ!

「・・はっ!」ドン!【E.Pフィールド!】ブン。バシイイイーン!「出ましたわね、スタンド

『ノ・ドーチ』。」ぞくぞく。【サン・トリニティ!】シュピィン!「勝負ですわ!」ダッ!

ガキイイーン!ギギギギ!『・・はあっ!』ガキガキガキィィーン!ウワアアアアーッ!

【さすがは神将同士、いずれも一歩も引かない名勝負です!】「これですわ、こうでなくては!」

【はあっ!】ガキイイーン!「くっ!」ザザザーッ!・・「はぁっ、はぁっ・・強いですわね。」

スゥ・・ヒュッ、ボオッ!【?!】ビュッ!ズドオッ!「つっ!・・」ピシュッ!「傷が!」

「強力なフィールドを貫いた!」「技あり!」ワアアアアーッ!「透華が裏モードに入ったね。」

「煮詰まると却って冷静になり、真の力を発揮するんだ。名づけて『冷やし透華』。ワッハッハ。」

ズドドドッ!【くっ!・・】キキキィン!「・・エトペン!」ガパッ。ボボッ!「?!」

ぱしぱしっ!【ダブル・リーチロッド!】ビュンビュン!「ツインロッドで戦い方を変えたか。」

「!」ガキイッ!ヒュン、「?!」スパアアアーン!「受けさせて死角からの第二打が直撃!」

「一本!飛天将!」ワアアアアーッ!ズザザザーッ!「・・はっ?フッ、私としたことが我を

忘れるなど。にしても・・」ヒュンヒュン、ぴたっ。「・・ステキですわ、ノ・ドーチ。」

 

「残るはバベルの塔だけど、女帝は留守だし、もし居ても謁見は十二神将でも難しいのよね。」

「え?でも直衛部隊じゃ?」「そこんとこは私が連絡してるのさ、ワッハッハ。」「そうなの。

相談役だけが謁見を許されてるの。」「・・そういえば十二神将を束ねる存在って、もしや。」

「あ~、組織上は合議制だけどね。」「意見をまとめるのは、もっぱら私になるかな。」

「そういえば『元帥』って呼ばれてましたね・・」「そんなの組織図に無いって。ワッハッハ。」

 

「じゃあ、そろそろお邪魔しましょうか。」「空港、いやさガブ女まで送っていくよ。」『え?』

「まあとりあえずバスに乗って。すぐに着くから。」「着くからって・・どこに?」どやどや。

「ほんじゃ、出発しんこー!」ブロロロ!『うわあああーっ!』「またおいで~。」ひらひら。

キキィッ。「とーちゃく。」『はあっ、はあっ・・あれ?!』♪リンゴーン。「・・校門前?!」

「なんで?いつどうやって?!」「出発してから・・10秒?!」「着いたから降りたおりた。」

どやどや。「ほんじゃ、またどこかで。ワッハッハ。」ブロロローッ!・・『・・なんで?』

「輸送機で何時間もかけて行ったのに・・」「それより、どこをどう通ったんだろ?」

「瞳子、ケータイの所在地履歴を。」「・・ええっ?!10:50太平洋上空・・今11時ですわ!」

『えっ?!・・あっ!』「オリュンポス上空から今まで・・たった10分?」「・・いったい

私たちはどこへ行ってたんでしょう・・?」「オリュンポスって・・本当にあったの?」

 

(以下、石坂浩二風に読んでください)

この広い空には、誰も知らない大地があると言い伝えられます。古には神仏の住まうところとされ、

宗教により呼び方は様々です。天界、ヴァルハラ、浄土、須弥山、蓬莱・・そしてオリュンポス。

今日、彼女たちが訪れたのは、そのような場所だったのかもしれません・・ではまた次回。

 

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黒薔薇会日誌-薔薇の十字架-

 

「祐巳でーす。」「桂でーす。」『二人そろって!』「ちょっと待て、そのコピペはおかしい!」

「あ、そーか。桂さんキャラ変わっちゃったもんね。」「ああ、別にいいんじゃない?だって

オリジナルは完全保存されてるし。」「もしかして任意に切り替えられるの?」「だいたいはね。

まあ同級生といっしょのときくらいはこれでいいでしょ。」「ならそれでいいんだけど・・?!」

すっ、グワッ!「祐巳さん!」「わかってる。」くい、ビタアッ!「うっ!・・指一本で。」

「なにげに後ろをとったから、もしやとは思ったけどね。私の肉を食べたいなら、その代償に

脳ふっとばすよ。」ぽんぽん。「その片手で肘を叩けば、骨を伝わる波動でそうなるわけか。

さすがロサ・カルディナル。ここは退散だな。」すいっ・・「油断もスキもありゃしないね。」

 

「本題ですが、今日は私たちの新校舎・大聖塔ローゼンクロイツをご案内しようと思います。」

「登場からだいぶ経ってるけど、ついつい紹介しそこねてたしね。ネタ切れなのもあるけど。」

「おもいっきり賞味期限過ぎてる気もするけど、まあいいんじゃない。」『おーい。』「ん?」

とてとて。「んむ、間に合った。」「あら、交換留学生の。」「校内案内があると聞いたので。」

「ついでに私たちも同行させていただけないでしょうか?」「よく迷子になるもんねー。」

「いいよ。じゃあ一緒に行こうか。」「これだけいれば、私はいらないわね。整備部に戻るわ。」

 

「まずは正面玄関。塔の最下層にあり、このエスカレーターでエントランスまで登ります。」

「塔が動くときは収納されて、入り口も隔壁が降ろされるのよ。」「このエスカレーターは

普通のより三倍ほど速いんですよね。」「油断してるとカタパルト射出されそうだよね。」

「初めのうちはよく転んだね~。」「・・つかさ、あんたもいちおう忍者でしょ。」「ほえ?」

「エントランスはただのエレベーターホールにみえますがー。」「セキュリティは万全よ。」

♪パチン。ピーッ。「おお、レーザー。」「不審者を精確に狙撃するんですね。もし外しても

ちょっと振れば真っ二つです。」「けど自爆テロはどうするの?」「床をよく見て。」『ん?』

「格子状のタイルですけどなにか?」「B-18。」バタン!『おおっ!』「放り出すわけか。」

「床には感圧センサがあって、対象物の位置を正しく把握し床を撥ね上げることができるの。」

「以上はコンピュータによる全自動制御。個人識別・武器感知・挙動不審までぜんぶわかるよ。」

 

「次は動力部。1階から12階までのぶち抜き。」ゴゴゴゴ。『うわ~・・』「でっかいエンジン。」

「この重力制御エンジンで塔の全エネルギーを賄ってるの。」「しつもん。ロケットノズルとか

見当たりませんけど。」「重力制御エンジンは惑星引力とのバランスを制御することで動くの。

簡単にいえば、磁力で浮く鉄球のようなものね。」「となると、各惑星や衛星の現在位置まで

精確に把握する必要がありますね。」「あと地球の引力も均一じゃないのでそのモニターもね。

それら各種引力を利用して飛ぶわけ。」「地球の引力ってちがうの?」「例えば高緯度地域では

赤道付近よりも自転遠心力が少なくなるので重力加速度は異なるの。それ以外にも高度や地殻、

地球中心からの距離によっても違ってくるわ。」「通常の生活では無視できる程度の差ですけど、

それを使って飛ぶとなれば、その影響は大きいですよね。」「よくわかんないけど、すごいね。」

 

「13階から交差部までは生活スペース。学生寮や機関員の宿舎、商業施設とかも充実してるよ。」

「ここはさすがに知ってるね。」「大型デパートまるごと入ってるのにはビックリしたわね。」

「24時間営業のコンビニやファミレスなどもあるので、便利ですね。」「唯一不満なのが、

その筋のショップが無いことかな。ラヂオ会館くらい入れてほしいよ。」「えらく懐かしいな。」

「来月には新設されますよ。要望多かったんで。」『ええっ?!』「おっし!これでラクになる!」

「もしかして桂さんも?」「どっちかゆーと電気パーツだけど。近くにあると便利だし。」

 

「66階は丸ごと私の居住区よ。」『お~。』「ゴージャスなインテリアだね~。」「それよりも

手術室がとっても気になるんですけど。」「ここは医務室兼改造手術室なの。ご希望ならば

リジェネレーションやキマイラでもやってあげるけど。」『いえいえ、いーです!』ぶんぶん。

「お茶をお持ちいたしました。」「あ、メイドさんだ。」「私の助手でもあるクラリスよ。

ご挨拶を。」「お見知りおきを。」すいっ。『・・ゲッ!』「の・・脳が!」「まあ、きれいな

脳髄ですね♪」「お誉めにあずかり恐縮です。」「そうでしょ。これがわかる方がいるなんて。」

「ちょっと触ってもいいですか?」「どうぞ。」ぷにぷに。「ああ、とてもいい弾力ですね。」

「そう、張りがあってなおかつツヤがいいのよね。」「特に運動野から体性感覚野にかけての

カーブが絶妙です。」「頭頂連合野から視覚連合野のスロープにも注目してほしいわね。」

わいわい。『う~・・』「みゆきさんのあの嗜好には、ちょっとついてけないかもな~。」

「あれ?ここなんだろ。」ガチャ。ぶらぶら・・「ほええええ~っ!」「し・・死体が!」

「ああ、そこは食料庫よ。」「お店に売ってないのでストックを充実させております。」

「い、いったいどこからこんなに?」「こーゆー商売してると、自然に手に入るものよ。

よければ今夜のディナーにご招待するけど。」「新鮮な心臓が入荷しましたのでお造りで。」

「それはおいしそうですね♪ぜひご相伴にあずかりたいです。」『み、みゆきさん・・』

 

「校舎棟と黒薔薇の館はしょっちゅう出てるんで省略して、次は上層部です。」「知ってのとおり

校舎棟の天井は露天甲板になってるけど、そこを見下ろせる場所に管制センターがあります。」

「前から疑問だったんだけど、露天甲板って100mくらいなのよね。しかも行き止まりなのに、

よく着艦事故起こらないわね?」「ああ、それはちゃんと理由があるわ。」「あ、飛行機だ。」

【こちらC130、アプローチ。】「方位とグライドスロープ良好。そのまま、そのまま。」

「あれ?着艦フックが降りてない・・」「いらないの。」『え?』「3、2、1・・タッチダウン。」

ドンッ!ブオオオオッ!キキィッ。「うそ?!たった30mくらいで止まった!」「なんで?」

「手品の仕掛けはこれよ。」ぱっ。「甲板の突き当たりに・・穴?」「高圧空気砲。着艦すると

同時に高圧空気の塊をぶつけて止めるの。」「あー、くうき砲のでっかいのかー。」ぽん!

「なるほど、これならボルター(再離陸)の心配は無いですね。」「あ、あれすごい。」『なに?』

ゴゴゴゴ・・「サイドエレベーター?」「え、でも校舎棟にそんなでっぱり無かったよね?」

「いいえ、あれは校舎の側壁だったようですね。」「そのとおり。普段はジャマなので上げておき、

使うときだけ倒せば、そこに整備デッキへの出入り口もできるわけ。」「なるほど、合理的だ。」

「ガンダムが戻るときも、あれを使って格納庫へ降りるよ。」「それでやたら間口が広いわけね。」

 

「補足だけど、校舎棟は大きく三層構造で、最上層が航空機整備甲板、中層に教室、最下層に

体育館やプール等の設備があるの。さらに先端から1/3が、ぶち抜きのガンダムデッキ。」

「緊急時でも教室から廊下直通だから便利だよ。」「学年ごとにデッキがある理由はそれか。」

「えーと、一号生棟に二機、二~四号生が三機づつか。」「無名ちゃんは携帯式だったね。」

「単純計算でもガンダム12機という保有数は、一個機械化中隊に匹敵する戦力ですね。」

「加えて2テラワットの高出力レーザー砲、無数の対空ミサイルと機銃群。まさに戦艦よね。」

 

「ここから上は職員室および代行機関本部オフィス。といっても機関員のほとんどは世界各地に

出払ってるけど。」「あちこちで神罰代行業務に励んでるんだね。」「中東はいうにおよばず、

南米や極東でも宗教弾圧はありますからね。」「学校から勤め先までエスカレータ式とはね。」

「給料ぶん殉教率も高いけどね。おかげで最近は在校生まで駆り出されてる始末だもの。」

「もちろん正規機関員よりは難度の低い任務を回してますけど。まあ現場実習みたいなもの。」

「それでも月に1人か2人は席に花が添えられるけどね・・」「きびしい稼業なんだね~。」

 

「展望デッキ大食堂は省略して、いよいよ最上層です。」「ここにはメインブリッジと園長室、

そして最上部にフィアトルクス砲塔があります。」「あれ?この層は内壁が丸いのね。」

「ブリッジと園長室は回転式で、全方向に向けるようになってます。航行原理上、正面という

概念がありませんから。」「ブリッジ内部は典型的なヤマト配置で、特に言うこともないわ。」

「主砲塔へは、このハシゴで上がるんだよ。」カンカン・・カツッ。「ここが照準室。この射撃盤で

頂部および各校舎棟先端にあるターゲットセンサーの情報から射撃緒元を算出し、方位と仰角および

発振時間・絞り率や掃射角を決定して撃つのよ。」「いまどきの射撃盤はコンパクトなのね。」

「だいたいの演算はコンピュータ任せだけど、最終補正と微調整は砲手自身がやる必要があるの。」

「いくら優秀な演算機でも、人間の精度まで出ないしね。」「その補助機器として、センサーの

光学データ等を統合して三次元表示するターゲットスコープがあるわ。見てみる?」『どれどれ。』

「おお~、富士山頂の登山者の顔がわかる!」「使ってるケータイの機種までわかるわ・・」

「大気の歪みが大きい低高度で、こんなによく見えるのは驚きです。」「すごいな~。」

「それは実像じゃなく、画像データを高速補正処理してるからね。それに。」♪ピッ。ぱぱっ。

「おおっ!距離とか仰角とかのデータが!」「むろん主砲座標基準に補正された値よ。」

「宇宙空間でも、わずかな光を増幅して鮮明な画像が得られるんだよ。ターゲットレティクルも

目的に応じて十数種類用意されてるし。」パッパッ。「あら、T型とは懐かしいものを。」

「ゴルゴ13仕様ですね。」「この真ん中に穴の開いたのも便利だね。」「ほよ?このレバーは?」

「あ、それ触っちゃ」カキッ。『ああっ!』「・・登山者が蒸発した?!」「ひょええ~っ!」

「それはサイティングレーザーのトリガー。照準用といっても、この距離で人間ひとり蒸発させる

くらいの出力はあるわよ・・」「だから変なとこいじるなってゆってるでしょ!」「あわわわ・・」

 

*************-

 

黒薔薇会日誌 -ぶかつ!-

 

二号生教室。ザワザワ・・『部活動?』「そう、生徒の7割は何らかの部に入ってるの。」

「例えば私は剣道部だし志摩子さんは日舞部、祐巳さんは音楽部というように。」「本業である

代行者修業と同等に、部活動も奨励されてるの・・」「人間の幅を広げるのに有効ですからね。」

「それで、私たちにも何かの部に入れと。」「だる~。現状のまま、帰宅部でいいや。」

「やりたいもの思いつかないな~。」「あんたたち・・π」「まあ、とりあえずどんな部があるか

見てから決めればいいんじゃない?」「それはいいですね。判断材料は必要ですから。」

 

「まずは剣道部。私と令ちゃんが所属してるわ。」ガキガキーン!「し、真剣?!」「いいえ、

刃引きの擬刀よ。とはいえ、まともに当たれば骨くらい折れるけどね。」「あぶないな~。」

「知ってのとおりガブ女で求められるのは実戦剣術。ゆえに鍛錬から真剣に近い装備でやれば、

おろそかな動きはできなくなるわ。」「防具も付けないんだ・・」「太刀だけでなく、小太刀や

槍もありますね。」「・・ふっふっふ。たのもー!」『こなた?!』「どーれ。・・ご用件を。」

「葉隠の門人なり。一手所望。」「かしこまりました。では私がお相手を。」「ちさとが?!」

「そんなに強いの?」「二号生にして副将を務める実力者よ。水鴎流の免許皆伝。」「拝一刀?」

タッ。「得物は?」「これ。」チャリリッ。「・・クボタン?」「ちなみに刃止め処理済み。」

「・・そんな短い得物で戦えますか?」「うん。」ムカッ。チキッ。「では遠慮なく。」ダッ!

「飛燕!」ヒュゴオッ!「ほい。」トン。スカッ!「ば、バカな?!側転でかわした!」

スタッ。「当たらない。」「・・荒波!」シュバババッ!「よっっとっと。」ヒョイヒョイ。

「す・・すごい!」「高速連斬を捌きだけで!」「・・驚くべき動体視力と反射神経ね。」

「ほい。」ビュッ!「くっ!」ばっ!「水月!」ビュッ!「下段からの切り上げ!いけない!」

「水面に映る月を分断する水鴎流の真髄。回避不能よ。」「よっと。」グン!スカッ!

「スウェイ?!・・っ!」ヒュン!・・「当てると危ないので、ちょっとだけずらしたよ。」

「後方移動と同時にクボタンを放ってた!」「・・参りました。」「忍者はきたないから

気にしなくていいよ。もしまともにやってたら、ぜったいそちらの圧勝だったろうね。」

 

「次は文学部よ。」「あれ、おとなしそうな部ね。」「ところがギッチョン。」ガラガラ。

カリカリ・・「執筆活動?」「書いてるのは『サブリミナル本』。文章に暗示を盛り込み、

読むと幻覚や自殺衝動を誘発するの。」「そんなこと可能なの?」「試しに幻覚を起こすのを。」

「かがみん、読んでみ。」「どれどれ・・」・・「・・どうかな?」「・・ふわぁ~。」

「あら、かがみさんにはありえない表情ですわ。」「こにゃたとOOした~い。」ピキイッ!

「ポッポッポッ・・」「う~む・・」「まあ・・」「・・予想外の展開に。」「気つけ。」

トン。はっ。「な、何があったの?!」「ううん、何にも。」「・・知らないほうがいい。」

 

「次は書道部。」シャシャッ。「・・って、呪符書いてるじゃない!」「古神道や陰陽道、

西洋の呪符魔術も網羅してます・・」「あー、呪符ならよく知ってるよ。ドロー!二体を生贄に

エンシェントシルバードラゴン召喚!」「それ呪符ちゃう。実際に喚び出せるわけじゃないし。」

「ここのはホントに呼べるよ?」『マジっすか!』「式神や使い魔ですね。上位種となれば

それなりのアイテムや魔法陣が必要ですよ。」「なるほど、カプセル怪獣みたいなもんか。」

 

カンカン!「ここは独特よ。暗器部。」「さまざまな暗器を創意製作する部。古来からある

手の内や仕込みはもちろん、現代ならではの暗器も考案してるの。例えばこのケータイ。」

ぐっ、シャキン!「刃が?」「このプリペイドカードも。」シャキッ。しゅぱっ!カツーン!

「手裏剣になるのか~。」「大物はこの学生カバン。」♪ピッ。ジャキン!「マシンガン?」

「MAGPUL FMG-9を大口径化したものですね。」「おまけにグレネードランチャーも付いてる。」

 

「ここはゲーム部。」「おおっ!」「もちろんただのゲームじゃなく、プレイすることで

代行者に必要な技能、例えば状況判断力や決断速度、動体視力や反射神経も鍛えられる

特別なゲームを製作してるの。」「難易度は高くて、数発の被弾で死亡。また当たりどころで

行動に制限がかけられるなど、現実に近い設定になってるの。」「おし、やってみるか。」

「おっと、敵がいるわ。」「攻撃する前に・・通路にクレイモア仕掛けて・・あそこの建物の

縁の下がいいな。」ささっ。「・・まずはリーダー格を狙撃。」ドキューン!ビシッ!ザワッ!

「さあ、こっち来い。・・かかった。」ズガーン!「あとは生き残りを殲滅。」ドキュドキュン!

「なるほど・・まず足を撃って倒れたところに致命傷の第二弾。縁の下は死角なので発射炎が

見えず、敵はこちらの所在がわからないのね・・」「一対多数でまともにドンパチしないよ。」

「やるねー。今までこういう戦法をとった人いないよ。」「最近のFPSは進歩してるのだよ。」

 

「そして音楽部。」「あら、いらっしゃい。」「部長は静さま。部員はけっこう多いよ。」

♪ララ~。「発声練習ね。」「あれ?・・なんでみんなガラスのコップを持ってるんだろ?」

「あれを共鳴させる周波数を出す練習よ。上達すれば・・」すっ。♪アアア~。パリーン!

『割れた!』「共鳴破壊ですね。」「ガラスは基本。慣れれば陶器や電子機器、果ては生物も

破壊できるようになるわ。」「さすがにそこまでは難しいけど、使いこなせば暗闇でも音波反射で

周囲をサーチできたり、仲間同士で連絡ができるわ・・」「コウモリやイルカみたいなもんか。」

「同時に聴覚と音感の訓練もね。例えばこのシンセサイザーで・・」すっ。『・・なに?』

「可聴外周波。一般には聞こえないけど、訓練すれば聞こえるようになるわ。」「・・聞こえん。」

「低周波は武器にもなるの。いい?・・」♪~・・ズズズズズ!「じ、地震?」「教室自体が

共鳴してるのですね。」「その気になれば、建物ひとつ崩壊させることも可能よ。」『へ~。』

 

「ここはネット部。」「ようこそですわ。」「部長は瞳子ちゃん。PCやネットの知識はもちろん、

ハッキングやウイルス製作・撃退も実習できるの。」「試しにやってみせましょうか。

葉隠学館サーバー侵入・・生徒データベースアクセス。」カタカタ・・「きましたわ。」ぱっ。

「おっ、あたしのデータだ。」「学館のセキュリティもザル同然ね。」「あれ?こなちゃんの

成績だー。」「なぬうっ!」「あんた勉強しないわりにいい点取ってるわね。もしかして?」

「そりゃ無理だって。だって隣の席はつかさだよ。」「ああ、そりゃないわ。」「ふもっ!」

 

「次は外国語部。」「ガブ女には世界各国から生徒が集まってきてるから、それぞれの言語を

教えあうの。」「How are you?」「もうかりまっか?」「いや、関西弁はないない。」

「そういえば、わかんない単語がいくつかあったな~。ここで聞いてみようか?」「いいよ。」

「えっとね・・「cum」「saliva」「vaginal」「fondling」「cunnilingus」なんだけど。」

「オマイガー!」「ジーザス!」「あれれ?なんで真っ赤になったんだろ?」「辞書・・ブッ!」

「つかさー!どこでこんな単語聞いてくるのよ!」「だってこなちゃんがよく打ってるもの。」

「あんた・・」「いやいや、海外じゃないといいの手に入らないし。uncensoredとか。」

 

「最後にガブ女にしかない部を。」カツカツ・・ぴたっ。「ここは・・調理室?」ガラガラ。

「ようこそ調理部へ。」「部長は桂さん。」「でも調理部って女子高ならどこにでも?」

「いかが?」すいっ。「おおっ!ビーフシチューだ!」「お肉が大きいねー。いただきまー」

「待った!・・桂さん、たしかカニバリストだったよね?」「あら、気づかれましたか。」

「と、いうことは・・もしや。」タラ・・「いただきます。」『みゆきさん?!』ぱく。

「まあ、おいしいですわ。これは大腿二頭筋、しかも女性のですね。」「わかります?」

「男性のはもっと歯ごたえがありますから。」「食ったことあるのか。」「この味のわかる方は

そうそういません。こちらのムースはいかが?」ぱく。「うん、十代の前頭葉ですね。年取ると

このクリーミィ感が減るので、フライにしますね。」「お見事。かなり経験深いようですね。」

「実家の慣わしで、どんな素材でもおいしく調理する方法を学んでましたので。その他には

ヘビや昆虫とかも。」「カブトムシの幼虫はおいしいわね。」「あれは照り焼きが一番です。」

『うへぇ~。』「みゆきさんの味覚はついてけないな~。」「だからみゆきん家は行かないのよ。

おばさんが変なもんばっか出してくるもの。」「でもイナゴせんべいはおいしかったよー。」

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