機動武闘烈伝ダブルGガンダム   作:風雲再起

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Day.1 春閣下の憂鬱

765艦隊。女帝のフォアカード「嵐の女教皇(ストーム・ハイプリエステス)」マリア・フォーセット
営業取締役が、太陽系航路の安全を保持するため設立した「嵐の艦隊」四艦隊で最大規模を誇る
基幹艦隊である。外惑星系通商航路を担当し、宇宙海賊や惑星シンジケートとの大規模な艦隊戦や
拠点攻略戦・船団護衛などの任務を請け負う「表」の顔として、輸送業界では知名度がある。

「う~ん・・やっぱり戦力不足ね。」「そりゃそうでしょ。これだけ広大な外惑星宙域だもの、
どうがんばったって抜けは出るわよ。」「『クリプトン』・『虎破』・『刑怨』・・それぞれ
優秀なんだけど、もう一個、大駒が欲しいわ。」「新たに艦隊を編成する予算なんかありません。
人材だってそうそう簡単に集まらないし。」「一から創る必要は無いわ。既存の戦力を編入なら
そんなにかからないでしょ?」「そんな都合のいい戦力がどこに?」「・・あるわ。一つだけ。」

タイタン近傍宙域。「ふん・・デビルタイタンは健やかに育ってるようね。」「キャプテン、ここは
コロニー連合から侵入禁止の通達が出てますが。」「知ったこっちゃないわ。だいたい宇宙海賊が
そんなもん守る義務ないっしょ。」「それはそうですけど・・間違ってもデビルタイタンと一戦
交えようなんて気起こさないでください。」「寝てる子起こすほど退屈しちゃいないわ。それに・・
遊ぶならそれにふさわしい相手に育ってくれなきゃ。」「でしょうね・・そう言うと思いました。」
『キャプテン。海王星シンジケートの密輸船をキャッチしました。』「おーし、仕事だ。まなみ、
戦闘体制。」「アイサー。エンジン全開、ターゲット航路を封鎖し捕獲する。」『アイサー!』
「海賊戦艦ALIVE号、発進!」ドドドドド!「ガンダム乗りはただちにブリッジに集合せよ。」

「ママー!お仕事だって?」「・・護衛艦もいるなら楽しめそう?」「愛、絵里、涼、これに。」
「さって、楽しいお仕事だよ。まなみ、概要。」「構成は輸送船3、護衛艦2。貨物内容は
海王星で闇採掘された貴金属と推定されます。およそ一億クレジット相当。」「ここのところ
身入りが少なかったので、ひさびさの獲物ですね。」「やったね、今夜はごちそうだね!」
「・・ちょっと気になるのは、ウワサの私設艦隊ですけど?」「ああ、あれね。同業者がだいぶ
やられちゃったみたいだけど、こっちはヤバいの専門だからお目こぼしされてるんじゃない?」
「カタギの船舶から略奪しないキャプテンの方針は支持します。」「それはそうと涼チン、愛とは
もうヤッたの?」「キャプテンの娘に手を出すなんて、そこまで命知らずじゃないです!」
「あら?それじゃ別の子と?」「してません!」「・・女だらけの海賊戦艦の黒一点。これ
なんてエロゲ?」「ママ、涼さんはお姉・・じゃなかった、お兄ちゃんみたいなものだから!」
「母親が許してんだから、何の問題もないわよ。」「当人たちの意志はまる無視ですか?!」
「コホン。・・そろそろ出動準備を。」「おっとそうだった。いくわよ!」『アイサー!』

「・・あれがかの有名な宇宙海賊・キャプテン舞ですか。」「どう見る?真。」「強いですね。
どのガンダムも動きのキレがいい。特にあのガンダム王牙、さすがは東方不敗を恐れさせた
唯一の女と言われただけあります。」「でもプライドの高いことで知られるキャプテン舞よ。
ホントに説得に応じると思ってるの?」「説得なんてムダなことしないわよ。要はこちらの
意に沿って動いてくれればいいんだから。」「それも無理なような気がするけどね・・」

「お宝、とったどー!」『イェーイ!』「さっそく移送よ。チューブ出し・・?!」ぴくっ。
「ママ、どうしたの?」「・・まなみ、戦闘体制そのまま。」【え?・・了解しました。】
じーっ・・「あっちに・・何が?」「・・まさか、敵?」『今回はその気はないわ。』ぎょっ!
ゴゴゴゴ・・「あれは・・?」ドドドドド!【艦籍照合・・765艦隊旗艦・ハルカディア号?!】
「あれがウワサの!」『はじめまして、キャプテン舞。』ぱっ。『私は765艦隊総司令・天海春香。
以後お見知りおきを。』「春閣下!・・」「・・なんてどす黒いオーラ?」「こわっ・・」
「あら、太陽系暗黒街で最も恐れられる『春閣下』にお会いできて光栄ね。ご用件は?」
『うちもその声に応えて日夜がんばってるんだけど、いささか戦力不足で手が回らないことが
多くなってね。もう義賊なんか野放しにしとくしかなくて。』「こっちはいつでも受けて立つわ。
あの春閣下の首を取れば、知名度はさらに上がるでしょうし・・」ギラッ!『そうでなくちゃ。
話はそれからでも遅くないわ・・フフッ。』「話が早くて助かるわ。いらっしゃい。」くいくい。

ゴォォォーッ!「あのガンダムは?」「・・漆黒のガンダム?」「あれが数多くのMSを打ち砕き、
単機で戦艦を沈めたといわれるノノワガンダム!」シュパッ。「さて、語りましょうか。拳で。」
「よくぞ出てきたわ私の前に。その度胸は認めてあげる。」グッ。「私を満足させてくれたら話を
聞いてあげる。そうでなければ・・潰す!」ゴッ!「やってみれば?」シャッ!ガキイイーン!

「す・・すごい!」「ママと対等に闘ってる!」「・・王牙があんなに手数を費やしたのは
見たことない?」「さすがはウワサに聞く王牙ね。春香と互角以上なんて。」「しかも春香は
ノノワの切り札を封印してる。もっとも、アレは反則技だけどね。」「だからこそ春香ちゃんは
使わないんですぅ。でもあんなに強い相手なら、使っても気にしないと思うけどなぁ・・」
「春香なりの礼儀ね。殺し合いなら躊躇なく使うでしょうが、これは腕試しだから。」

ババッ。「・・ふっふっふ。あーっはっはっは!気に入った!その強さ、その胆力、その気迫!
ひさびさに胸が熱くなる相手にめぐり会えたわ!」「ご満足いただけたようで。」ニッ。
「いいわ、話を聞いてあげる。私の船で一杯やりながらでどう?」「ご相伴しましょう。」

艦長室。「まずは、お近づきに。」コトン。「おっ、極上のラムじゃない。よく手に入ったわね。」
「うちにもお酒にうるさいメンバーがいますので。」コッコッコッ・・ぐいっ。「ぷはぁぁ~。
いい酒はストレートに限る。」「まったく同感ね。」グィィ・・コトン。「で、用件とは?」
「遊び場の紹介。こちらから戦場になる宙域を連絡しますので、存分に暴れてください。」
「あら、意外。てっきり編入する気かと。」「オーガを御しきれる人間なんか存在しないわ。
そのくらいの常識は持ってる。」「ふふ・・そちらの作戦とか丸無視で台無しにするかもよ。」
「ぜひそうしてください。それこそいくさ場の華というもの。欲しいのはその嵐なんです。」
「『嵐の艦隊』だけあって、嵐を求めるか。」「波風立たない海なんて、退屈なだけですもの。
荒れれば荒れるほど心が躍る。」「言うねえ~。おし、その話は聞いた。けど動くかどうかは
わたしが決める。これでいい?」「たいへんけっこう。補給艦のコールサインを教えますので
必要ならいつでもお使いください。」「じゃあさっそく、生鮮食材とお酒をいただこうかしら。
まなみ、聞いてのとおりだ。あちらさんの事務方と話をつけてくれ。」【アイサー。】
「ふーん、オープン回線でみんなに聞かせてたのね。」「いちいち説明する手間が省けるからね。
ではもう一杯。」コッコッ・・「閣下ちゃんに。」すっ。「オーガに。」すっ。グイッ。

ハルカディア号。「ずいぶんと甘い条件ね。」「あれでも予想以上にうまくいったほうよ。
ヘタすればオーガと一戦交えてたかもしれないんだから。」「それはカンベンしてほしいわ。
よしんば倒せたとしても、こっちも半分は獲られるだろうし。」「割に合わない勘定よ。まあ、
あの性格なら呼ばずとも乱入してきそうだけど。」「補給くらいで済むなら安いものよ。でも
ちょっと発注書におかしな点が。」「なに?」「生理用品はわかるとして、スキンが大量に。」
「スキン・・ああ、コンドーさんのこと。けどあの船で男性って見なかったわね・・なんで?」

ALIVE号。ワイワイ!「お刺身なんてひさしぶりー!」「・・マグロにカツオ。これだけ新鮮な
魚が外宇宙で食べられるなんて?」「補給艦の中に巨大水槽があるらしいよ。」「これだけでも
手を組んだ価値はあったね。あ~、酒がうまい。」「新鮮な肴に清酒。たまりませんね。」
「ほれ、おざりんももっといけ。」「整備長はウワバミのはずデス。」「黙れ、鈴木。」
「ノーカン!鈴木じゃなくてサイネリア!」「だから偽名を使う必要がどこにあるの。」
「パイレ-ツだからカコいいニックネームは常識ネ!」「技術士官にそんなものいらん。」
「尾崎整備長とサイネリア技術長はあいかわらず仲いいな~。」「・・涼さん、今夜?」
「ええっ?い、いきなり何言いだすの絵里ちゃん。」「安全帽も入荷したし・・ね?」
「あー、そうそう。みんなー!例のもの補充できたから!」オオッ!『やった!』『これでもう
安全日まで待たなくて済むわ。』『涼チンとまた遊べるね!』「ちょっとおおお~っ!」
「うんうん、クルーの福利厚生もキャプテンの大事な仕事ね♪」「僕の福利厚生は~?!」
「だめです!涼さんはあたしと添い寝してくれる約束です!」「してない、したこともない!」
「みんな、大放出させすぎて壊さない程度に遊びな。」『はーい!』「ぎゃおおおおん!」

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Day.2 パンドラの騎士

数ヶ月前。「キャプテン、前方に戦闘痕跡をハケーン。」「戦闘痕跡?もちっと詳しく。」
「数機のMSがやり合ったようデスネ。残骸とホトケさんが浮かんでマス。」「MSの機種で照合。」
ぱぱっ。「軍用の横流しですね。海賊でしょうか?」「おざりん、ちょっと見てみてくれ。」
『ジャンクにしてはいい部品使ってるわね。いちおうちゃんとした組織のものみたいよ。』
「・・あっ、原型をとどめてるMSハケーン。生体反応アリ。」「なに?愛、絵里。ちょっと出て
調べてみて。」『はーい。』『アイサー。』「ただし、変な動きしたらつぶしていいから。」

ゴォォ・・「あった。見たことないMSだね?」「・・既存機種に適合せず。しいていうなら
ガンダムタイプだけど、ヘッドがまったく違う?」「コクピットを調べてみようか。」パシュ。
『ハッチ開ける前に気密カバーを。生身だと死ぬから。』ぺたぺた。『これでよしと。あとは』
チャッ。【開けたとたん襲ってきたら、かまわず撃ちなさい。】『じゃ、ハッチ開けるよ。』
パシュ。『・・いた。』『気密チェック・・破れなし。生体チェック・・特にケガとかは無い。
気を失ってるだけ。』【どんなヤツだ?バイザー開けてみ。】シャッ。『・・ええっ?!』
『・・美少女?』【いや、男のようにも見える。そこじゃわからんから、収容しなさい。】

医務室。「ドクター夢子、どう?」「男性ね。でも胸とアソコを除けば美少女と間違えるのも
無理ないわ。」「これだけの美貌はなかなかいないわね。」「体調に異常なし。まもなく」
「う・・」「覚醒したわね。」「・・ここは?」「海賊戦艦ALIVE号。あのままだったらあなた
宇宙で野垂れ死にだったわ。」「・・そうか、僕は・・」「とりあえず基本質問。名前は?」
「秋月涼です。」「あそこで何があったの?」「話せば長くなりますが・・」・・・

「・・なるほど。某国の機密軍事研究所で開発されていた新型ガンダム。けどその実体は操縦者を
システムの一部として取り込み廃人とする非人道的なものだったと。」「何人もの被験者が死に、
彼の友人もその中にいた。彼はその機体を使って脱走、追撃隊は交戦の末に返り討ちにしたけど、
その途中で彼は気を失った・・おざりん、あのMSをどう見た?」「たしかにガンダムタイプの
レギュレーションは持ってるけど、どうもおかしな点が多いわね。まず外装が不必要なまでに
細分化されてること。」「メンテナンス性を良くするためでは?」「ところがメンテハッチは
標準とほぼ同じ、それ以外で動きそうなところは開かない。これが第二のおかしな点。」
「無理やり剥がしてみたら?」「さすがにそれは最終手段なので、隙間にファイバースコープを
入れて見てみたわ。・・そしたら、こんなものが。」ぱさっ。「・・なんだこれ?ノズル?」
「どうやら何かの推進システムらしいんだけど、なぜ外部露出してないのかがわからないの。」
「聞いた話では、本人も初めて乗ったので機体についてはわからないと言ってたわね・・」
「キャプテン、彼の処遇はいかがします?」「まあ、どっかで降りたいというならそうさせるわ。
あの機体はこちらで部品取りにいただきましょう。あんなもの持っててもロクなことないわ。」
「そうですね。早く降りてもらわないといろいろ問題ありますしね。」「ん?なんかあった?」
「医務室にお見舞いが殺到してるんです。なにせあの美貌で人当たりもいいので大人気。まるで
ピラニアです。」「あははっ、そのうち喰い尽くされそうね。」「幸いにも彼は純朴・・いえ、
鈍感なので、大事には至ってないようですけど。」「・・あれ?まなみんよく知ってるね。」
「そりゃー、毎日様子を見にいってりゃね。」「そ、それは副長としていろいろ事情聴取を。」
「ウチの整備員も隙あらば顔を見に行ってるわ。まあ、生活に刺激が入るのはいいけどね。」

数日後。「もうそろそろ動けそうね。」「はい、おかげでもうすっかり元気になりました。」
「ドクター夢子の手厚い看病あればこそ、かな?」「い、いえ、それは船医としての務めを。」
「わっかりやすーい。で、シビンに入った?」「な、なんとか・・って、何言わせるのよ!」
「それはともかく、どこかで降りたいんなら便宜をはかるわよ。」「・・それなんですが、
できればもうしばらく置いていただけませんか?」「追撃者があきらめるまで、ね。オッケイ。」
「はい。僕ができることなら何でもします。料理とか得意なので。」「へえ~、それいいわね。」

食堂。ガヤガヤ!「このシチューおいしい!」「・・サラダのドレッシングまで手造り?」
「こんだけ女がいて、涼チンに負けててどーすんだか。」「いえ、これむしろプロ級ですよ。」
「うまくできてよかったです。」「おし、料理長に採用。うまいメシは最高の戦力だわ。」
オオッ!「涼さん降りないの?」「・・てっきり降りるものかと。」「あともう少しの間だけ
ここにいさせてください。」『やったー!』「ただーし!ひとつ条件をつけるわ。まなみん。」
「こちらに準備してます。」「涼チン、ちょっとこっちへ。」「え?なんですか?」つかつか。
『・・なっ!なんですかこれは?!』『いーからほれ!』どたばた!「・・何やってるんだろ?」
「はい、お待たせー。」ぐいっ。『・・おおーっ!』「女装?!」「この船には男性用トイレも
男湯も無い。ゆえに女性として振舞ってもらうわ。そのほうが追っ手にも気づかれないしね。」
「せめて下着くらい男もの履かせてくださーい!」「トランクス履いてる女がどこにいるの?」
「・・ということは?」ダダッ!ばさっ。「あっ?!」「・・プッスススー!ショーツ!しかも
モッコリ入り!」「見ちゃダメー!」オオ~・・「あの恥じらいの動作、妙に色っぽいわね。」
「意外とハマってるわ。むしろこっちが自然なくらい。」「ち、ちょっと目覚めそうかも・・」
「それともうひとつ。遊ぶのはいいけど、安全日以外での中出しはご法度よ。」「ぶーっ!」
「みんなもカレンダーには気をつけなさい。スキンは医務室でもらえるから。」「待ってまって!
それダメでしょ?僕はピラニアの川に放り込まれた牛?」「例えが無粋ね。せめてウツボカズラに
落ち込んだ虫とか。」「よけい悪いよ!むしろ生殺しだよ!」「いい機会だからお姉さんたちに
たっぷり教えてもらいなさい。あ、愛と絵里は年下か。」「なんかよくわからないけど、涼さんと
遊ぶのは大歓迎だよー!」「・・まあ、遊びにもいろいろあるけど?」「ぎゃおおおおん!」

数日後。『全艦、戦闘態勢。これより密輸船を襲撃する。』「おっ、仕事か。みんなお腹空かせて
戻ってくるだろうから、さっそく仕込みしておこうかな。」トントン。『護衛艦は沈黙。愛、船の
搬入口を開けて。』『はい、ママ。』『・・なんか、抵抗なさすぎ?』『・・なに、あれ?』
ガガガガッ!『きゃあああーっ!』「えっ?!」『モビルアーマーだと?!』『・・罠!』
『愛がクローに捕まった!』『・・私たちの推力じゃ追いつけない!』「・・愛ちゃん!」ダダッ!

ガンダムドック。「尾崎さん、僕のMSは使える?!」「涼くん?・・ええ、使えるわ。けど。」
「愛ちゃんを助けに行きます!」「・・わかった!みんな、緊急発進よ!さっさとどいて!」
パシュッ。パチパチッ。「チェックよし。秋月涼、ガンダムニルヴァーシュ、出ます!」シュバッ!

「ん?・・あのMSは。」『キャプテン、僕がヤツの足を止めます。』「涼チン?・・わかったわ!」
「・・(このシステムは感情によって発動する。でも恐怖や憎悪など負の感情は暴走を起こす。
それでほとんどのパイロットが死んだ。ならば・・)・・愛ちゃんを助けたい、この気持ちなら!」
ギーン!「なっ?!・・MSが光った!」「ハイパーモード?・・いえ、違う!」ピキピキッ、
バカバカッ!「各部が開いた?」バシャアッ!「顔が開いてガンダム顔が!」「いくぞ!」
ドオオオーンッ!「な・・なんて加速!」「・・内蔵されてた推進ユニットが発動した?」
ゴオオオオーッ!「相対速度・・つかまえた!」ガシッ!「愛ちゃんを放せ!ヒートステーク!」
カッ!ズドォッ!「アーム破壊。ついでにメインスラスターも!」ズドォン!ボンボンボン!
ヒュゥゥゥ・・「よし、離脱。」バッ。「受け止めてと・・」ガシッ。「・・えっ?」はっ。
「だいじょうぶ?愛ちゃん。」「・・涼さん?」「救出成功。ただちに船に戻ります。」
「ごくろーさん。さて・・うちの娘を傷モノにしようたぁ、楽に死ねると思うなよ。」ぽきぽき。
ぞくぅっ!「キャプテンが・・本気で怒った?」ゴォォォ・・「・・凶暴なまでの気が。」
グワッ!「ふん。」ヒュッ、バキイイーン!「・・軽い一撃でジャイアントアームを粉砕!」
「シオマネキがカブトガニになったね。次は?」シュドドドッ!「ミサイルか。そんなものは・・」
ヒュヒュッ、「えっ?・・速い!」さっ。ヒュルル・・ドカドカーン!「あんたを楯にすりゃ
一石二鳥だ。」クルッ、シュバッ!「固定メガ粒子砲か。けどね!」すっ、バシィィーン!
「この程度の出力じゃよけるまでもないね。」「・・あんな至近距離で受け止めるなんて。」
「もう打ち止めかい?じゃあ・・終わりよ。」スッ、メキッ!「むん!」ズドォンッ!
「・・キャプテンに『必殺技』は無い。なぜなら、全ての攻撃が必殺技だから。」メキメキ!
「コクピットは・・これか。いたいた。」ワシッ。ズボッ!「捕まえた。・・あれ?首がない。
そっか、抜いたときに引っかかったのね。なーんだ、つまんない。」ぽい。「・・オーガ。」
「まなみ、輸送船に砲撃。どうせ空船だ、景気よくぶっとばせ。」【アイサー。主砲斉射。】

医務室。「だいじょうぶ、急なGでブラックアウトしただけよ。しばらく寝とけば治るわ。」
「ケガしてなくて本当によかった。」「涼さん・・助けに来てくれたんだ。」「あのMSにあんな
カラクリがあったなんて驚いたわ。」「いつも使えるわけじゃないです。発動条件が難しいのと
あまりにも高出力なので、本当に必要なときだけ発動させないと、機体も僕も壊れます。」
「乾坤一擲のシステムというわけね。・・よく娘を助けるのに使ってくれたわ。ありがとう。」
「いいえ、愛ちゃんを助けたいという気持ちが発動させてくれたんです。」「涼さん・・」
「・・決めた。涼チン、あなた愛の婿になって。」『ええっ?!』「い、いきなり何を?」
「ママ、いくらなんでもそれは?!」「愛は涼チンじゃイヤ?」「そういう問題じゃなくて!」
「親のわたしが許す。それに涼チンほどのいい男、今のうちにブッキングしとかないとすぐに
他の誰かにかっさらわれるわよ。」「う・・そう言われると不安な・・」「愛ちゃんダメ!
口車に乗らないで!」はっ。「だ、だいじょうぶ!涼さん唐変木だから!」「あなたもサラっと
ひどい事言うわね。ま、事実だけど。」「・・そうじゃないと、すぐにNice Boat?」くすっ。
「絵里さん?」「私もいるわよ。・・あのガンダム、改めて調べ直してみたわ。」「で?」
「すごく危険。不安定な条件で発動すると、乗り手が逆に取り込まれて怪物化するわ。」
「バーサーカーか。」「・・むろんその時点でパイロットは死んだも同然。まさに開けば災厄。
あのシステムのコードネームまで想像がつく・・パンドラ、だよね?」「そのとおりです。」
「整備長として言わせてもらえば、あのシステムは取り外すべきよ。ガンダムにならなくても、
通常MSとしての能力でじゅうぶん。」「意見は聞いたわ。でも決めるのは涼ちん自身、よね?」
「残しておこうと思います。今回のような緊急事態の切り札として。たしかにパンドラの箱は
災厄を撒き散らしました。けど、最後に残ったものがあります。・・それは希望です。」

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Day.3 レッツ・パーレイ!

海賊戦艦ALIVE号。「パーレイ、だって?」『そうよ。明日に全宙域に分散してた765全艦隊が
集結するの。いい機会だから、うちの主だったメンバーと面通しさせておこうかなって。』
「めんどくさ~。それに海賊がノコノコ出ていくような場じゃないでしょ?」『ところがどっこい、
みんな楽しみにしてるのよ。伝説のパイレーツ・クィーン、「オーガ」とまで畏怖と尊敬を集める
キャプテン舞の実物にお目にかかることにね。』「へえ・・」『それにこの行事を『パーレイ』と
名づけたのも、古の伝統に則ってのこと。うちは艦隊間の切磋琢磨を奨励してるから、本職の
海賊までとは言わないけど、どのメンツも宇宙の海の鉄火場で生きるだけの気概と実力があるわ。』
「うまいもん出るなら行ってもいいわ。」『ご心配なく。お酒もたっぷり用意しておきましょう。』
「キャプテン、本気で行く気ですか?」「閣下ちゃん御自らのお誘いよ。プライドに賭けても
おかしな事はしないでしょ。それに万が一そうであっても、私がおとなしく討たれるとでも?」
「・・いえ、その心配は絶対にありません。」「送信された座標へ移動開始よ。」『アイサー!』

翌日、準惑星ケレス宙域。「ケレスとはまたいいポイントを選ぶものですね。」「ああ。内惑星と
外惑星を分ける位置にあり、まだ開発の手が及んでいない数少ない『惑星』。しかも近い。」
「他のは冥王星より向こうですからね。集結目標としても最適です。」「まもなくケレスが
目視範囲に入りマース。・・な、なんだってーっ?!」「ん?どうしたのサイネリア?」
「メインに映像出しマス!」ぱっ。オオッ!「な・・なんだこりゃ?!」ドドドドド!
「なんて数の戦艦が・・」「ざっと数えて百隻以上。こんな大艦隊、見たことないデス!」
ドカドカッ!「ママ、あれはなに?」「・・これが765艦隊?」「コロニー連合軍の観艦式でも
これほどの規模じゃないですよ・・」『ALIVE号へ。航路ガイダンスに沿って進んでください。』
ドドドド!「けどこれだけの大艦隊を運用するには、相当の設備が必要よね。」「一般港では
セキュリティ上で問題ありますし、軍港でも民間ではいろいろ面倒です。となると・・ん?」
ゴゴゴゴ・・「ケレスの影から・・月?」「ケレスに衛星なんか無いはずだけど・・あれは!」
グオオオオ!「で・・デス・スター?!」「サイネリア。」「直径200km、無数の大型艦ドック。
どうやら小惑星をベースに建造したようデス。・・通信キター!」ぱっ。『ようこそキャプテン舞。
私たちの拠点、宇宙要塞「プロデューサー」へ。』「なかなかいいおウチじゃないの♪」
「ガイディングシグナル捕捉。ドックが指定されマシタ。」「ほんじゃ、お宅拝見しましょうか。
同行は愛・絵里・涼ちん。まなみは留守番と補給物資の受け入れよろしくね。」『アイサー!』

カンカン・・『お待ちしてました。』「あら、閣下ちゃん自らお出向かえ?」「主賓を迎えるのに
当然です。こちらへ。」ウィィィ・・「それにしても驚いたわ。いつの間にこれだけの施設を。」
「ここはアステロイドベルト。資源には事欠かないし、輸送もさほど手間はかからない。さらに
正規航路から外れてるので近づく船もほとんどいない。」「それだけじゃないでしょ。ケレスが
なぜ開発されずに放置されてたか、やっとわかったわ。通商業界は意外と知られてないけど
強力な圧力団体でもある。連合に開発をやめさせるくらい朝飯前。」「ご想像にまかせるわ。
艦隊で消費される物資は、全てここで生産されてるの。食料すらもね。」「魚とかもですか?」
「広大な無重力海洋牧場があるわ。自給率はほぼ100%。」「まるでスペースコロニーですね!」
「・・本来は十数の各種用途コロニーバンチで構成されてるのを、集約したので大きくなった?」
「そんなところね。さらに全艦隊を完全整備できる数十ものドックベイと大型艦用浮き桟橋。
無尽蔵の資源あればこそね・・?」すんすん。「な、なにか?」「・・あなた、男ね。」ぎょっ!
「お見事。初見で見破るとはさすが閣下ちゃん。」「匂いよ。・・そうとう可愛がられてるのね?」
「ぎくうっ!」「洗っても落としきれないほどの十数種の香水と栗の花の入り混じった匂い。
宇宙空間に長くいると、なぜか五感が鋭くなるのよね~。」「男に餓えてるだけじゃないの?」
「涼さんはみんなの癒しなんですよー。」「・・心も穴も埋めてくれる?」「ぎゃおおおん!」

大広間。ザワザワ・・「みんな、お待たせ。本日の主賓、キャプテン舞よ。」パチパチパチ!
「ではみんなご挨拶を。」「『日輪』艦隊司令および主席参謀の律子です。はじめま・・涼?!」
「律ねえちゃん?!」『え?』「知り合いなの?」「私の甥です・・って、何で女装してるのよ。」
「いやこれは深い理由と浅い訳が!」「なんかややこしい話になりそうだから後でね。次は」
「『日輪』戦闘隊長の真です。涼くんだっけ。」「は、はい?」「この前見たけどいい腕してるね。
いつか手合わせしたいもんだ。」「ちなみに、真は女だから。」「ええっ?!僕より男らしい・・」
「あ、あのぅ、副長の雪歩ですぅ。・・あの、あまり近寄らないでくださいぃ。」ささっ。
「雪歩は男性がちょっと苦手なんだ。悪気はないから。」「は、はぁ。」「だいじょーぶ!
涼さんは男だけど一番女らしいから!」「そ、そうですかぁ?・・」おそるおそる・・
「・・あ、なんとか大丈夫みたいですぅ。」「それはよかったです。」ニコッ。(あ・・)ポッ。
(なんか・・男の方にこんな気持ちになったのは初めてですぅ・・)どきどき。「・・?」

「『月影』艦隊司令・防衛参謀の千早です。お噂はかねがね。」「こっちも知ってるわよ。
護衛任務の第一人者。通称『鉄壁』といわれる名将とね。」「・・物理的な意味でも鉄壁?」
「くっ!」「まーまー、それもまたステータスであり希少価値だから。需要はあるって。」
「で、こちらが・・あれ?」「すぴー。」「壁椅子で寝てる・・美希、起きなさい。」ゆさゆさ。
「む~、美希は疲れてるの~。」「・・あ、新しいおにぎりが。」「おにぎり?!」ガバッ!
「これでもうちの戦闘隊長です。」「なかなか難儀な隊長さんね。こーゆーのもアリかな。」
「あふぅ。紹介終わったからまた寝るの。」ぱたり。「剛毅な方ですね!」「いや、それは・・」
「美希はこれでも強いんだぞー。いつも寝ててもなんくるないさー。」「副長の響です。」
「ところで千早、うちのへび香がいなくなったぞ。」「また?!ハブ逃がしちゃダメでしょ!」
「血清はあるから心配ないぞ?」「そういう問題じゃ!」「あ、いました。」ヒュッ、ぱしっ。
「おおっ?そんなに簡単につかむヤツ見たことないぞ。」「いささか訓練を受けましたので。」
「あらあら、美少年ね~。」どたぷーん。「同じく副長のあずささん。遅かったですね。」
「最初はいたんだけど、気が付いたら農産ブロックにいたの~。」「10kmも向こうじゃないですか。
その超時空的方向オンチは相変わらずですね。」「いえいえ、それほどでも~。ところで涼さん、
ちょっとあちらで遊びません~?」「他の惑星まで迷うのでダメです。」「あらら~。」

「『極星』艦隊司令にて謀略参謀の貴音と申します。よしなに。」ズゾゾゾ!『うわ~・・』
「その高貴な外見とラーメンがすんごくミスマッチなんだけど。」「これは失礼いたしました。
麺類に目がないものですから。」「いいわ、カッコつけてるより親しみやすいじゃない。」
「さすがは名高き『外宇宙の海賊女王』。御慧眼に感服いたします・・む?」ひくひく。
「な、なにか?」「・・このコクのあるスープの匂い。涼さま、こちらのラーメンにご見解を。」
ツゥ・・「う~ん、何か足りないですね。えっと・・レモンで。」チュー。「これでどうです?」
スゥ・・ぴくっ!「こ、これですわ!わたくしの求めていた味は!涼さま、わたくしの専属
調理士になってくださいまし!」「ダメです!涼さんはうちの大事なコックなんですから!」
「そういうわけですので。レシピを書いておきますのでご容赦を。」「欲しいですわ・・」
「まったく、貴音は食べ物のことになると品格が崩壊するんだから。」「戦闘隊長の伊織ですわ。」
「あんた、よく女装なんかできるわね。この変態!ド変態!der変態!変態大人!EL変態!
The Hentai!de変態!IL変態!」「わぁい、七ヶ国語で罵られたよ。」「・・我々の業界では
ご褒美です?」「涼チン、こーゆーのは親愛の言葉なので『ありがとうございます!』って言うのが
礼儀なのよ♪」「そうだったんですか。どうもありがとうございます。」にこっ。ズキューン!
「ふ、フン。まあ人それぞれ事情があるだろうから、これ以上はよしとくわ。」「・・デレた?」
「うっうー!とってもキレイだと思いますよ。」「副長のやよいですわ。」「やっと涼さんの
良さをわかってくれる方がいましたー!」「愛ちゃんだっけ。なんか気が合いそうですねー。
はいたーっち!」「たーっち!」「あら、さっそく友だちができたようね。よきかなよきかな。」
ススッ・・「とりゃあっ!」バサッ!「きゃうん!」「おお~、そこいらのオンナより断然
リアクションが色っぽいですぜ、真美さん。」「これはおかちくなってもちかたないね、亜美。」
「突撃隊長の亜美・真美ですわ。」「・・双子。見分けがつかない?」「むう、失礼な。」
「きれいなほうが真美だよん♪」「ちょう待てゴルァ。色っぽいほうが亜美に決まってるじゃん。」
「なんならマOコの色で勝負つけるで。」「上等だ。パイパン見せんかい。」『こらこら!』
「レディーがそんなことしちゃダメだよ。僕にはどっちもきれいなので選べないけど。」キュンッ!
「涼にーちゃん、カッコええ~。」「こーゆーのを天然ジゴロってゆーんだね。」「??」

「さて、いろんな意味で仲良くなったようね。ここでひとつ、重要な連絡事項があるわ。」はっ。
「春香、この話は・・」「いいの、舞さんにも聞いておいてもらいたいことだから。」♪パチン。
バシャシャシャッ!「この部屋は完全に遮蔽されたわ。盗聴はもちろん、妨害電波で通信も不能。」
「よっぽど他には聞かせたくない話なのね。」「ええ。・・まもなく『奴ら』が還ってくる。」
「・・なるほど、それで。」「私たちがこれほどの戦力を持っている真の目的。言うなれば、
あのデビル軍団もBF団も、最終目的は同じ。・・私たちは恐竜と同じ末路にはならない。」
「ママ、どういうこと?」「今はまだ話せないわ。その時が来たら、イヤでも理解できる。」
「その時に備え、切磋琢磨することが今の私たちの務めよ。より大きな戦いを、より強い相手を。
それこそアーマゲドンに勝ち残る唯一の手段。人類を好戦的と言わば言え。逃げてどうするの?
逃げ場所なんか宇宙のどこにもない。ならば戦い、勝ち残れ!それこそ宇宙の原理法則よ!」
『ヴィーヴァ、春閣下!ヴィーヴァ、765艦隊!』「すぴ~。(美希だけ寝てる)」「やるね~。
閣下という異名も納得いくわ。」「す、すごい迫力・・」「へえ・・」「・・カリスマ?」

ALIVE号・艦長室。「どうでした?」「なかなか楽しかったわ。さすがにいい駒揃えてる。」
「補給物資もたっぷりいただきました。意外にもビーコン等は隠してませんでしたけど。」
「そんなセコいマネする連中じゃないわ。そう、私たちなんか眼中にないと言ってもいい。」
「どういうことですか?」「・・まなみんは知っておいたほうがいいわね。唐突だけど、恐竜が
絶滅した原因は?」「え?・・巨大隕石の直撃による全地球規模の気象激変と言われてます。」
「表向きはね。真相はそんなもんじゃない・・根こそぎ収穫されたの。」「・・収穫?誰が?」
「地球史にはたびたび生態系の大量絶滅があったのは知ってるわね。」「それは気候が・・」
「奴らは定期的に来ては、成長した生命を『収穫』した。おそらくは他の星も巡回してるので
天文学的な周期になるんだろうね。時には刈り過ぎて、種そのものを滅ぼしたこともある。
ま、人間も似たようなことやってるので一概に悪いともいえないけどね。」「・・まさか?」
「けど、今の地球に来たら・・太陽系規模の大惨事になる。人類は滅び、新たな種が台頭する。
昔と同じように。」「そんな・・」「けど、いいこともある。私たちは牙を持った。そしてそれを
磨き上げることも知った。・・ハンターを返り討ちにするのは、猛獣の特権よ。」ギラッ。


外伝:765艦隊航海日誌

Day.4 木星大海戦 - オーガ、星を動かす -

 

765艦隊「日輪」打撃艦隊。765艦隊最大の集団であり、大規模戦闘時にその威力を発揮する。

艦隊旗艦「ハルカディア号」。『閣下、「プロデューサー」の音無情報参謀から連絡です。』

「小鳥さん?出して。」ぱっ。【木星マフィアに関する最新情報が入りました。ガニメデ・

エウロパ・カリストマフィアが連携し大艦隊を編成中です。】「やっと手を結んだというわけね。

けどまあ犬猿の仲だったのが、よくぞその気になったわね。」【我が艦隊による損害がそれほど

深刻だったゆえですね。遺恨はひとまず置いておいて、と。】「・・そううまくいくかしら?」

【いいえ。組織内には不満の声も多いようです。なんであの連中を手打ちせにゃならんのだと。】

「でしょうね。ギャングなんて己の利益だけで動く。ましてや大義も無いこの抗争で連携なんか

砂上の楼閣、ちょっと押せばたちまち崩れる・・」【ひそかに不確定情報を撒いてます。それに

いくつかの船に細工を。】「あとはこっちの仕事よ。おっと、木星大領主に話はついてる?」

【了承済みです。大掃除よろしくと。】「あとは・・キャプテン舞に報せておきましょうか。」

【あ、その役目、ぜひ私に。】「?・・別にいいけど。」【ありがとうございます!】プツッ。

「・・何?今の反応。」「おそらく裏心あってのことでしょ。」「あー、そういや前のパーリイの

とき、小鳥さん出張で不在だったわね。」「あの後に話をしたら、すごく口惜しがってたわ。」

「・・あっちの意味で?」「そう。『男の娘?!なんでそういう美味しいネタを!』ってね。」

「あのビョーキのせいで嫁き遅れてるの自覚してないし。」「仕事はちゃんとしてますけど、

要塞内で即売会主催するのはどうかと。」「好評って聞いたけど?(何冊か持ってるし・・)」

「カップリングの問題です。次回から増えますよ、りょうOOとか。」「・・(買わなくちゃ)」

 

海賊戦艦ALIVE号。【・・というわけで、このポイントで戦闘になります。】「状況は了解よ。

行くかどうかは確約しないけど。」【そういう約束ですから。・・それで、あの。】「なに?」

【私、こないだのパーレイを欠席してたので、主だったメンバーと面通ししてませんので、

ぜひこの機会に。】「このブリッジにいるメンツでだいたいそうだけど。」【いえ、その・・】

「・・(ティン♪)まなみ、あの三人呼んで。」「あ、はい。」【ご配慮、感謝します。】

「そうよね~。あんな美味しいネタ、めったにないからね。」【ぎくうっ!(見抜かれてる)】

「ママー!呼んだ?」「・・あの人は?」「初めて見る方ですね。」【はじめまして。765艦隊

情報担当の小鳥です。これからよく顔を合わせることになりますのでよろしく。】「愛です。」

「・・絵里です?」「涼です。どうぞよろしく。」【?!・・あなたが涼くん?】「?・・はい。」

【・・(話で聞いたよりずっといいピヨ!)】「・・お~い、よだれよだれ。」【え?あ、はい。

失礼しました。(じゅるじゅる)これで失礼いたします。】「はい、ごくろうさま。」プツッ。

「なんか変なお姉さんだったね。」「・・気持ちはわかる?」「まあ、いろんな人がいるからね。」

 

宇宙要塞プロデューサー・情報参謀オフィス。「うふふふふ、美味しい!これはおいしいピヨ。

こんな極上なネタがあるなんて!女だらけの海賊戦艦にただ一人の男、しかも女装!ああ、なんて

話の幅が広がる設定ピヨ。いくらでもネタが浮かんでくる!次回は涼ちんオンリでイケるピヨ!」

参謀室前。ピヨピヨ!「音無参謀、またいつものビョーキが始まったわね。」「あれさえ無けりゃ

いい上司なんだけどな~。」「ピヨピヨモードが治まるまで、しばらく放っておきましょ。」

「けど話に聞いたあの男の娘、参謀の格好のエサだよね?」「次回の即売会が楽しみだわ・・」

 

「日輪」艦隊。「では戦術会議を始めるわ。まずは出席を。」「突撃艦隊『鬼神』真、いるよ。」

「亜空潜艦隊『コスモス』雪歩、いますぅ。」「律子、状況を。」「こちらが意図的に流した

位置情報により、イオ近傍宙域が戦場になる予定よ。」「イオ?またすごい場所を選んだね。」

「イオの噴火と木星の潮汐力で重力場がメチャクチャになってる、太陽系屈指の難所ですぅ。」

「ならばこそ敵も組みし易しと踏んだんでしょうね。あちらさんにとっても前庭に等しいし。」

「地の利を活かせる場所。私でも選ぶでしょうね。けど、一つだけ致命的な見落としがあるの。」

「・・イオかな?」「さすが真。イオの火山は誰が制御してるわけでもないわ。けど・・雪歩。」

「あ、なるほど。そういう手がありますねぇ。」「できる?」「私のガンダムなら可能ですぅ。」

「じゃあ布陣と作戦よ。まずこう配置して・・こう誘導する。」「そして・・罠を閉じる。」

「あとは私の仕事ですぅ。ひさびさの大規模工事になりそうですねぇ。」「状況開始は16時間後。

突撃艦隊および亜空潜艦隊は、作戦どおり艦隊の編成と配置を始めて。」『イェッサー!』

 

海賊戦艦ALIVE号。「作戦の概要が送られてきまシタ。」「ふむ・・これはえげつない作戦ね。」

「敵が哀れに思えますね。」「まなみ、この布陣で私たちがやるとすれば?」「追い込みですね。

ケツカッチンにしてやるのが最良かと。」「うんにゃ、もっと面白い手があるわ。」「え?」

「文字どおり嵐を起こしてあげようじゃないの。閣下ちゃんも驚くようなでっかいヤツをね♪」

 

木星-イオ間宙域。「ボス、765艦隊が来やした。」「情報どおりだな。この狭いところで集中攻撃

かければ、必ず討ちとれるはず。野郎ども、戦闘準備だ!」オオーッ!「・・えっ?後方に!」

「どうした。」「艦隊後方に未確認艦隊が出現!」「なにいっ?!識別急げ!」「これは・・

765『鬼神』突撃艦隊!」「なにいっ?!バカな、いつの間に!」「突っ込んできます!」

ゴオオオーッ!キュドドドッ!ドカドカーン!「足を止めるな!戦果よりスピードが大事だ、

撃ち洩らしは気にせず駆け抜けろ!」ゴオオオーッ!『真さま、敵集団突破いたしました。』

「よし、艦尾にシールド集中、全速離脱!」『敵艦隊、追撃してきます。』「だろうね。」

「ちぃっ!ふざけやがって・・追え!逃がすんじゃねえ!」ドドドド!「前方に主力艦隊!」

「かまうこたねえ!数はこっちが多いんだ、当初の予定どおりぶち破れ!」シュドドドッ!

 

「カッカきてるわね。」「確かに数の上ではあちらさんが優位だけど。」「ゆっくり下がるのよ。

気づかれないように。」『敵艦隊、木星-イオ間宙域に侵入。』「・・かかった。」キラリ。

 

イオ地表上。キラキラ・・『お嬢、時間ですぜ。』「了解ですぅ。ガンダムユリシーズ!」ギン!

「ビームショベル・ドリルモード!」ビィン!ギュラララッ!ドブオオオッ!ガガガガッ!

「地表が柔らかいので掘りやすいですぅ。ここを掘れば・・きた!」カッ!「全速離脱ですぅ!」

ズボオオーン!「地圧急上昇・・」・・ゴゴゴゴ!ズドオオオーン!「噴火成功ですぅ。」

「なんだ?!」「イオで巨大噴火を確認!か・・火山弾が!」・・ヒュヒュヒュッ!ドガドガッ!

「24番艦轟沈!64番艦動力部大破!」「こ、後退だ!後退しろ!」「・・後方より雷撃!」

ドカドカーン!「ふふふふ、逃がさないですぅ。『コスモス』亜空潜艦隊、一斉雷撃ですぅ。」

 

『敵艦隊、大混乱です。』「そろそろ逃げ出すヤツも出てきそうね。」「上と下はわざと空けて

あるからね。でもそこまで頭が回るかしら。」「噴火が収まったら掃討戦に入るわよ、真。」

【いま突っ込んだら巻き添え食うからね。】「敵さんの損害状況は?」『およそ20%は減少。』

「思ったより削れなかったわね。」「ま、こんなもんでしょう。もうちょっと手間かかるかな?」

『・・閣下、緊急事態!』「なに?」『イオが・・動いています!』「なんですって?!」

 

ゴオオオオ!「イオが・・動いてますぅ!なんで?」「お嬢、見つけやした!・・イオの裏です!」

ぱっ。「あれは・・海賊戦艦ALIVE号?そしてイオの地表に・・ガンダム王牙!ま、まさか!」

「でりゃああーっ!」ドゴオオオーン!ズズズズ・・ドカアアアーン!「これで四つめ。どう?」

【イオが軌道を外れます。】『でも噴火を起こして減速させるなんて発想がすごすぎるよー!』

『・・衛星とはいえイオは直径3600km。いくらなんでも人間技じゃない?』『天体法則にまで

干渉するなんて、軽く人間超えてますよ!』「だいじょーぶ、自然の復元力があるから、噴火が

収まれば元の軌道に戻るでしょ。」『いつかきっと神様のバチ当たるからね、ママー!』

「神なんかいない。いるとすればそれは私よ!」ドーン!【そろそろ戻ってきてくださいね。】

 

グオオオオ!ドグシャアッ!『軌道が動いたことで巨大な重力嵐が起こってます。敵艦隊壊乱中。』

「木星と衛星の重力バランスが崩れたからね。まあ木星に落ちはしないでしょうけど・・」

『大赤斑発生。ものすごい大きさです。』「大領主はカンカンでしょうね。あとで小鳥さんに

釈明してもらっときましょ。」「オーガの仕業だから、自然災害とあきらめてくれるんじゃ?」

『敵損害70%。』「さて、仕上げね。真、雪歩。」すっく。【掃討戦だね。】【皆殺しですぅ。】

「律子、艦隊指揮権を委任するわ。」「おまかせあれ。一隻たりとも逃がしはしないわ。」

 

海賊戦艦ALIVE号。『ガンダムが出まシタ。識別・・ノノワガンダム、ガンダムエージェント、

ガンダムユリシーズ。』「出たね。私たちも行くわよ!キャプテン舞、ガンダム王牙、出る!」

「愛、アザルトガンダム、いきまーす!」「・・絵里、キルステンガンダム、いくよ?」

「涼、ガンダムニルヴァーシュ、行きます!」シュゴオオオーッ!「ひと狩りしようぜ!」

 

「春香、前方に敵MS部隊。約200。」「まだこんなに残ってたのね。」「さすがシンジケートが

連合すると、多いですねぇ。」「まあいいわ、これくらいハンデつけないと面白くないし。」

ズガガガガ!「狙いがあまいわ。」ヒュヒュッ。「この手は全てを統べる手・・。」スッ・・

「一閃。」ヒュッ、ズバシャアアアーッ!「砕巌。」ドン!バゴバゴッ!「徹甲。」ピッ、

ドガガガッ!「いつもながらすごいな、春香の『覇王手』は。」「手刀の一振りで数十の敵を

切断し、一発の突きで敵集団を破砕。そして指差すだけで装甲を貫く・・百歩神拳をさらに

進化させたような恐ろしい技ですぅ。」「雪歩、ボクたちも負けてられないね!」「はいですぅ!」

ゴオオオーッ!「大砲拳!」ドン!メシャアッ!ギュン!「螺旋連鎖弾!」ズドオオオーン!

ギュラララッ!バゴバゴバゴッ!「殴った敵を砲弾と化し撃ち放つ。これぞ菊地家秘伝・大砲拳!」

「ビームスコップですぅ!」ヴン。「横薙ぎ!」ブオオッ!ズバシャアッ!「振り上げ!」ブン!

ザキイッ!「唐竹割り!」ビュオン!ズガシャアッ!「スコップは現代のトマホークですぅ。」

 

「おー、やってるやってる。」「三機ともすごく強いです!」「・・さすが名だたる765艦隊?」

「でもやっと三割くらいですね。」「おこぼれは充分にありそうね。じゃあ、いただきまーす。」

ゴオオオッ!・・ドガドガドガーン!「王牙?」「すれ違っただけで十数機を撃破した?!」

「攻撃がまったく見えなかったですぅ!」『楽しそうだからまぜてね♪』「それは大歓迎だけど、

今のはどうやって?」『単に殴って蹴っただけよ?』「え?でも動作が・・」『見える程度の

動きでは無理ね。』「が、ガンダムの性能限界を超えてますぅ!」『そのためにこの王牙は

私用にチューンナップされてるの。標準のアクチュエータじゃ遅すぎるし、すぐ壊れるから。』

「ママには負けないよー!アザルトフィールド展開!」ヴン。ギュラララッ!「チャージ!」

ドガガガガガッ!「全身をエネルギーフィールドで覆っての体当たり!」『愛も腕を上げたわ。』

「・・ECM作動。敵データ通信介入、敵味方識別コード書き換え・・いい?」くるっ、ズガガガッ!

「同士討ち誘発成功・・電子戦訓練も受けてないギャングは、バカで御しやすい?」クスッ。

「このくらいの相手ならガンダムにならなくても!」ガシッ!「ヒートステーク!」ドンッ!

ズボオッ!ズガガガッ!「当たるか、ビームディスク!」ブォン。バシバシッ!「ブーメラン!」

シュバッ!ヒュルルルッ、ズババババーッ!ヒュルルル・・カシーン!「これで六機。つぎ!」

『絵里ちゃんは電子戦専門、涼ちんは熱くてぶっといのをぶち込むのが得意なの。さすが男ね♪』

「え?」「あうあぅ・・」「・・実際、でかいの?」『らしいわよ、目撃証言によると。』

「はいっ!わたし興味あったので風呂場に乱入して見ました!人体の神秘に感激しました!」

「・・見てるうちに膨張硬化。おまけにカウパー氏腺液も分泌?」「なにやってるんですかー!」

「こらー!戦闘時で聞いてないと思ってムチャクチャ言わないでー!」「・・けど、事実?」

「見せっこしたからお互いさまです!」「こっちは頼んでないし、見れるわけないでしょ!」

「・・でも、薄目だった?」『あら、もうそんな段階までいってたの。初孫は近いようね♪』

 

ハルカディア号。「シモネタ会話は戦闘中の潤滑剤とはいえ、口も手もよく動いてるわね。」

『敵MS、ほぼ壊滅状態です。』「残るは残存艦艇だけか。」『え?・・超巨大MA発見!』

「えっ?!・・機種識別!」『照合・・パトゥーリア!』「な、なんですって?コロニー戦争で

三つものバンチを滅ぼしたあの怪物MA!まさかシンジケートが復元していたなんて・・」

 

「へえ、あのパトゥーリアね。」【春香、相手が悪すぎるわ。ここは一旦体勢の建て直しを。】

『あ、ならこちらでもらっちゃってもいいのね♪』「えっ?」「まさか・・挑む気なの?!」

「敵がでかすぎますぅ!いくらオーガでも」『よく見てなさい、その異名の真の理由を。』

ドーン!「ママ、手伝うよ!」「三人ともそこで見学してなさい。いいもの見せてあげるから。』

「・・むしろ、足手まとい?」「でも、いつでも助けられるように準備だけはしておきます。」

『心遣いには感謝するけど、その必要はないかもね。』キュラララッ!「無数の有線ビーム砲が!」

シュバババッ!『ふん・・』ボボボボッ。「な、なに今の動き?」「集中豪雨のようなビームが

まったく当たらない?」「不可能ですぅ!」『Impossibleは、読み替えればI'm possibleよ。』

ガシイッ!『つかまえた。ふんっ!』グン!ブオオッ!「あ・・あの巨体を振り回してるよ!」

「・・物理的に、ありえない?」「どんだけオーバーマンなんですかキャプテンは?!」

「えーっと・・こっちか。ほい。」ぽい。ギュンギュン!・・ドグワシャアッ!「敵艦隊に!」

ドガガガガーンッ!『これでおしまい。まあまあ楽しかったわ。』ぱんぱん。『・・・・』

「あれが・・オーガ。」「信じられないよ・・」「まさに・・鬼ですぅ・・」ガクガク・・

『ほんじゃ、帰ってメシにしましょう。』「やっぱママはすごいね!」「・・では、これで。」

「あの皆さん、見てのとおりなので、次回からキャプテン呼ぶときは、よく考えてくださいね。」

「え、ええ、そうね。」「王牙一機で一個艦隊に相当するよ・・」「穴掘って埋まりたいですぅ。」

 

ハルカディア号。『ALIVE号、離脱します。』「律子、見解。」「たしかに増援としては最高の

部隊ね。けど、それ以上に危険でもある。」「何をするのか予測がつかない。今はともかく、

いずれ敵に回れば最大の脅威・・ね。」「即刻抹殺すべきが私の意見。春香はどう思うの?」

「確かに彼女は安全装置の無い核弾頭のようなもの。でも、それだからこそ面白い。ゆえに私は

次も呼ぼうと思うの。」ニッ。「ワイルドカード・・いえ、鬼札(ジョーカー)ね。」フッ。

 

ALIVE号。「う~ん、ちょっともったいなかったかな。」「何がですか?」「あのデカブツ。

持ってくとこ持ってきゃ、けっこういい値段で売れたかも。」「どうやって運ぶんですか・・」

「骨董MSやMAは、マニアが高く買ってくれマスヨ。」「そういえば以前にレアMSをたまたま

手に入れましたね。」「ガッシャか。あれは機体より付属武器の方が高値がついたわ。」

「そういえばネットで『アッグ捜してます』てのがありマシタ。」「そりゃまたレアだね。」

「あと『ミンチドリル』も捜してる、ドリラースレで有名なコテハン『@ゆきぽ』さんデス。」

「いずれ手に入れたら声かけてみましょうか。」「どっちにしても博物館にも無いですよ。」

「おっと、そうそう。例の小細工できてる?」「ご指示どおりに。・・でもいいんですか?」

「こうでもしなきゃ、あの朴念仁は攻略できないわ。」「それはそうですけど・・あそこまで

天然スルー能力が高いと、攻める気も失せますね。」「ならば包囲作戦しかないわね。」

 

涼の船室。コンコン。「はーい。もう就寝時間なのに、だれ?」『愛です。』『・・絵里です。』

「え?」パシュ。「どうしたのこんな時間に。」「今日の戦闘で私と絵里さんの部屋が被弾して、

しばらく使えなくなっちゃったんです。」「・・その間、涼さんの部屋で寝かせてもらう?」

「それならベッド使っていいよ。僕はソファで寝るから。」「ダメです。三人いっしょに。」

「ええっ?でもそれは問題が・・」「・・マンツーならやや問題。でも三人なら問題ない?」

「ささ、中へ中へ。」「じゃ、じゃあ、僕は端っこで」「涼さんは真ん中です。異論は認めん。」

「・・それが一番バランスがいい?」「そ、そうなの・・」バサバサ。ぴったり。「あ・・」

「抱き枕派なんです。」「・・同じく。」ぎゅ~。どきどき・・(・・なにこの生殺し?!)

 

その頃、宇宙要塞プロデューサー。「ティンときたピヨ!同僚の女の子達に弄られる涼ちん。

これもいいネタになるピヨ。」『何のネタですか?』「もちろん次回の涼ちんオンリの・・え?」

ギギッ・・「・・律子さん?!」「パトゥーリアの情報が抜けてた理由をお聞きしたいんだけど?」

「いえ、あの、戦艦モードだと識別が難しいわけで・・」「そう思って基礎情報を見返してみたら、

一隻だけ明らかに他とは仕様が違いますね~。」バサッ。「・・ゲッ!」「見落としもしくは

サマリーだけ目を通したのかな?」「どきっ!」「後者か・・今回は対応できたからいいけど、

諜報員の努力をムダにしないように情報解析してくださいね。」「反省します~。(TT)」

「それと!」「は、はい?!」「本ができたら、まずこちらにちょうだいね。身内なんだし♪」

「最優先で送らせていただきます!」「涼がどんなに弄られてるか、楽しみだわ・・(鬼畜眼鏡)」

 

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Day.5 鉄壁の艦隊

 

765艦隊「月影」護衛部隊。その名のとおり、船団護衛任務を得意とする艦隊集団である。

広大な外惑星宙域はコロニー連合軍の手が及ばず、宇宙海賊や惑星シンジケートが跳梁する

無法の海となっている。ゆえにそこを航行する船舶は自衛能力が必須であり、自前で武装や

護衛艦、または武装艦を雇うなど、運送業界にとっては非常に重い負担となっている。

そこでアレクサンドラグループの呼びかけにより、業者が共同出資して護衛艦隊を設立したのが

765艦隊の始まりである。当初は純粋な護衛任務だけだったが、さすがに数が足りず、徐々に規模を

増大させていき、さらに「攻撃は最大の防御」ということで殲滅任務も受け持つようになった。

「月影」は、その本来の護衛任務を行う765艦隊のオリジンであり、それを指揮する千早提督は

春閣下が「私も破れない鉄壁(アイアンウォール)」と賞賛する、護衛任務のエキスパートである。

 

旗艦「ブルーバード」。『提督、火星発・天王星行き船団を確認。』「今回の護衛対象船団ね。」

『第72輸送船の船団総督より通信です。』ぱっ。【ひさしぶりだね、千早くん。】ぴっ。

「ガリバルディ総督もお元気そうでなによりです。」ぴっ。【君が直接担当してくれるなら安心だ。

まさに大船に乗った気分で行ける。】「船団には指ひとつ触れさせもしません。では護衛陣形へ。」

『各船は隊列を整えろ。ナビを一括制御モードに。』「紡錘形配置へ移行。全周監視に入る。」

『ところであずささんはいるかな?』「おひさしぶりですガリバルディさん~。」どたぷーん。

『おお・・またお会いできて光栄でございます。』「?・・(なんであずささんのときだけ中佐は

敬語なんだろ?)」「いえいえ、こちらこそ~。」『ありがたやありがたや。その偉大さには毎回

涙が止まりません。』はらはら。「なんで泣かれるのか、よくわかりませんけど~。」『いいえ、

あずささんのせいではありません。これは人生に感謝する涙なのであります。』「そうですか~。」

「・・(あずささんの人柄かしら?でも泣くほどという感性は理解できない・・)」『千早くん。』

「あ、はい。」『君には君の良さがある。あずささんとは方向性が異なるだけで、どちらも同等に

尊敬すべきものだ。世の中は広い、それぞれのパラダイムを尊重することこそ大事なのだよ。』

「よくわかりませんが、含蓄あるお言葉として受け取っておきます。」『うむ。ではまた。』

「響、美希が起きたらすぐに報せて。」『わーった。ちゃんと見てるさー。』『すぴ~・・』

 

宇宙海賊「魔王天使」。名前は威勢がいいが、海賊としては最低ランクに属するチンピラである。

「姉御、獲物がいやしたぜ。」「お~、なかなかの船団だな。」「けど護衛艦がついてるよ?」

「護衛が怖くて海賊やれっか!MS部隊で踏みつぶしゃいいのさ。一個中隊を出せ!」『アイサー!』

 

ぴく、ばっ!「美希?・・艦長、美希が起きたぞー!」『美希、どっち?』「左舷前方なの。」

「出動か?」「まだ間があるの。だからおにぎり食べるの。」「ほれ、スパムおにぎりだぞ。」

もぐもぐ。「スパムの塩加減がよく合うの~。」『不審な挙動を感知したわ。動力を絞って

アンブッシュかけるつもりだったようね。』「それは考えが甘いぞ。アイドリング状態でも

エネルギー放射はゼロじゃない、その気になれば探知は可能だぞ。」『漫然と航行していたら

意外と有効でしょうけど、うちには危険を予知できる美希がいる。それが相手の誤算ね。』

ずず~。(お茶)「これでいいの。響、出撃準備なの。」「はいさい!やる気モードの美希は

テキパキしてるぞ。」『まずは手を出させて現行犯にするわ。いつでも出られるよう待機を。』

「ところであずさはどこ行った?」「どっかにジャンプしたんじゃないの?」『いますよ~。』

ぱっ。「ガンダムドック?」『部屋を出たら、なぜかここだったんです~。不思議ですね~。』

「いや、それは不思議でもなんでもないぞ。」「パイロットの私室はドックのすぐ横なの。」

『そういえばそうですね~。あ、ちょっと乗る前にお手洗いに~。』『甲板員、あずささんから

目を離さないで!常に視界に捉えてないと、あっという間にいなくなるわ。』『お手洗いは?』

『ドアの下から足が見える位置に。』『了解しました。』「それでも消えるときは消えるの。」

 

「まだだぞ、まだ・・」「もっと引きつけろよ。」「・・おし、行け!」ゴオオオーッ!

『提督、左舷よりMS十数機。』「防御態勢。シールドビット『バキュラ』放出。」キュパパパッ。

ズガガガガッ!キキキキィン!「な、なんだぁ?銃弾が弾かれた!」「なんだあの黒い板は?」

『第一波攻撃足止め成功。』「敵機を少し削りましょう。バキュラの一部を攻撃モードに。」

グルングルン。「回り出した?」グワッ・・「・・寄ってくる?!」「回避だ、よけろ!」

「無地なのでサイズと距離感がわからねえ・・えっ?」グワアッ!グワシャアアアーン!

「MSが潰された!」「な、なんて運動エネルギーだ!」「なんとか避けて獲物に肉迫しろ!」

グルングルン!「数が多すぎ・・ぐわっ!」ゴシャアッ!「まるで巨大粉砕機だ・・うわっ!」

 

「くそお・・抜けたのは?」「10機だけです。」「だいぶ獲られたか・・なんなんだアレは!」

「姉御、とにかくモノリスの嵐は抜けきった。この数ならまだやれます。」「わかってる。

こうなりゃメンツにかけても、あの船団は逃がさねえ!」『そうはいかないさー!』「えっ?」

『ドタバタやってる間に防御は固めちゃいました~。』・・ゴオオオーッ!「ガンダムが三機?」

「お前ら、手際が悪すぎるぞー。MS操縦の腕も、一部を除いてなっちゃいないさー。」

「このまま戻れば、見逃してあげてもいいの。」「バカいえ、こっちは倍の戦力があるんだ。

そっちこそ降伏しな。」「あらあら~、やっぱりそう思いますよね~。」「あんたら程度の

海賊なら、むしろいてもらったほうが、ウチも商売繁盛でいいのさー。」「あたしらお客かい。」

「需要あっての供給なの。でも多すぎても困るので、泡沫勢力は潰しておくほうがいいの。」

「じゃかあしい!野郎ども、かかれ!」『おおっ!』ズガガガッ!「おそいの。」ヒュン。

「な、なんじゃあの金色のガンダムの機動性は?」「照準が定まらねえ!」「ミキのスピードに

ついてこれる?黄金拳・閃光連撃。」キラキラ・・ボゴボゴッ!「ぐはっ!・・」「なにいっ!

光のパンチだと・・見えねえ!」ズガガーン!「あふぅ、弱い相手はつまんないの~。」

「マブヤーガンダム、いくぞー!」ゴオオーッ!「メーゴーサー!」ズガアアアーン!

「ティーダ・ヤーチュー!」ブオオオオーッ!ビシビシビシッ!「頭部バルカン砲だと!」

「パイカジ!」ブオッ!バキイイーン!「向かってくるのは琉球唐手でたっぴらかすぞー!」

「私は格闘は得意ではないので、銃撃戦でお相手しますね~。」ジャキジャキッ。シュバッ!

バシッ!「なんだ?痛くもかゆくもねえぜ!」「それはそうですね~。中間子ビームですから。」

「?・・な、なんだ?MSが動かねえ!」「電子回路がオシャカになりましたから~。これけっこう

便利なんですよ~。」「ちぃっ!突っ込めばなんとかなる!」ゴオオーッ!「あ、ちなみに~、

このD.T.P.N砲はモード切替えできまして~。」ヴヴヴ・・ズドオオオーン!「なにいっ!」

ズバシャアアアアーッ!ゴォォォ・・「高出力ツインバスター砲にもなるんですよ~。」

 

旗艦「ブルーバード」。『ゴルディオンガンダム、マブヤーガンダム、ガンダムF91-DTPN、

七機撃墜。』「残るは三機か。他のと違って、少しは腕があるようね。」【敵を引きつけてる

今のうちに、安全圏まで突破するぞ。】「敵艦はこちらで牽制します。直衛艦と共に離脱を。」

【うむ。「鉄壁」の伝説は今回も守られたようだな。】「・・その異名は好きではないです。」

 

ガキーン!「へえ、けっこうやるの。」「チンピラ海賊にしては、いい腕してるぞー。」

「これなら小規模でも海賊やろうという気概もわかりますね~。」「くっ・・船団は逃がしたか。

りん、ともみ、これまでだ。ズラかるぞ!」『アイサー!』「名前くらい覚えておいてあげるの。」

「キャプテン麗華だ。次はこうはいかねえぞ!」「捨てゼリフにあんまり芸が無いぞー。」

「こちらは765『月影』護衛艦隊です~。またごひいきに~。」「え?・・『月影』って、まさか

外惑星最強の護衛艦隊!」「あれ?知らずにケンカ売ってたの?」「姉御、ヤバいよ!こんな

バケモノみたいな連中と知ってれば!」「もう少し戦いようもあった?」「関係ねえ!名声を

負けた言い訳なんかにすんな、みっともない。」「おっ、なかなか骨があっていいぞ今のは。」

「こちらはいつでも受けて立ちますよ~。」「・・帰るぞ。」『アイサー!』ゴォォォ・・

【美希、見逃したの?】「逃げられたの。こっちもけっこうダメージくらってるし。」

【・・まあいいわ。状況終了、帰艦してください。】「おにぎり用意しておいてほしいの!」

「美希、どこが壊れたって?ほとんど無傷に見えるぞー。」「まあ、区切りは必要ですから~。」

 

宇宙海賊「魔王天使」。「被害甚大だな。」「残るは私たちの三機だけです。」「765艦隊と

ぶち当たるのは考えたほうがいいですね。」「ん~・・密輸船に狙いを切り替えるか。」

「でもそっちはオーガとかち合いますよ。」「獲物の奪い合いになればな。けどその可能性は

高くない。まだまだ市場は広いさ・・それに、こっちの腕も上げなきゃ話にならねえ。」

「戦力も補充したいですね。」「・・そういえば、知り合いにスゴ腕の傭兵がいます。」

「ほう、それは興味深いな。いっぺん会ってみてもいいぞ。」「ただ・・一つだけ問題が。」

「こっちも問題だらけだもん、少々は大目にみるよ。」「・・すっごくアブない性格なの。」

 

「ブルーバード」。「す~。」「おにぎり食べたらまた寝たのね。」「妖怪くっちゃねーだぞ。」

「まあ、美希が寝てる間は安心だけど。」「だな。ところであずささんは?」「見てないの?」

「戻ってきた後は見てないぞ。」「ブリッジ、あずささんの所在を。」【・・艦内にいません。】

「やっぱり・・今度はどこへ?」「必要なときはなぜか戻ってるから、なんくるないさー。」

 

その頃。「あら~、ここはどこでしょう~?」「・・む?どなたかな。」「あ、すみませ~ん。

ここはどこですか~?」「バベルの塔だが・・あなたは?」「ただの迷い人です~。」

「それはお困りでしょう。こちらで食事でも。」「あ、わざわざすみません~。」つかつか。

「ブルトン、客人に食事を。」「え?あ、はい。・・ビッグファイア様、その方は?」

「どうやら『迷い人』らしい。」「ああ・・無自覚テレポート。きわめてレアな能力ですね。」

 

*******************

 

Day.6 誘蛾灯

 

765「極星」遊撃艦隊。その任務は航路を遊弋し海賊等を捕捉撃滅することである。もちろんただ

漫然と巡洋航海していて見つかるものでもない。ゆえに非武装の民間船に偽装し、わざと航海情報を

流すことで海賊を引き寄せる。旗艦も「二十郎」と、まるでどこぞのラーメン屋のようである。

「・・昏き宇宙の大海は、今日も心まで引き込まれそうな静謐に満ちておりますわ。」ずぞぞ~。

「貴音、そういう詩的なことをラーメン啜りながら言うもんじゃないでしょ。」「伊織、これは

某有名店のレシピを再現したもの、不味かろうはずがありませぬ。」「そりゃおいしいけどさ。」

「うっうー!この船のご飯はおいしいのでうれしいですー。」「ラーメンだけじゃなくて他のも

いい味してるよね→。」「なんでもお姫ちんが自らスカウトしてきた料理人使ってるらしいよ。」

「旨い食事こそ、どんな新兵器より強力な武器ですわ。」「そこんとこは全面賛成ね、にひひっ。」

「というわけで、次は麺固カラメ野菜ダブルニンニク油マシマシでお願いしますわ。」『まいど。』

どおんっ!「な・・なにこれ?!」「もやし山盛り祭りですー!」「・・もはやそれはラーメンと

言うにはあまりにも大きすぎた。」「大きく、ぶ厚く、重く・・そして、大雑把すぎた。」

『それはまさに塊だった!』「ああ・・これぞ至高の食ですわ。」ぐわしぐわし!ずぞぞぞ!

「音、おと!」「信じられない・・山がどんどん消えていくよ。」「え~ん、お姫ちんがなんだか

怖いよ~。」「うっうー!私も同じものおかわりですー!」どおんっ!「いただきまーすっ!」

ずぞぞぞ!「やよいも負けてないわ・・さすが万年欠食児童。」「やよい、ゆるりと食すのですよ。

誰も取りなどいたしませぬゆえ。」「はいですー!」「十数秒で完食したアンタが言うな!」

 

その頃、偽装船団の航路前方。「お頭、獲物が来やしたぜ。」「情報どおりだな。なんでもお宝を

たんまり積んでるそうじゃねえか。」「護衛艦もいないなんて、不用心にも程がありますな。」

「野郎ども、ひさびさの大物だ。がっつり稼がせてもらおうぜ!」『おおっ!』「かかれ!」

 

旗艦「二十郎」。『貴音司令、海賊出現。』「来ましたわね。規模は?」『戦艦一隻。搭載MSは

十二機と推定。』「一個中隊規模ね。」「とんだ小物だね→。」「健康体操にちょうどいいかな?」

「零細でも海賊です。放っておくと他の皆さんに迷惑ですー。」「やよいの言うとおりです。

地道に潰して回るのがわたくし達の仕事ですわ。」「賽の河原のような気もするけど、まったく

やらないより千倍マシね。」「というわけで、ガンダム出撃準備を願いますわ。」『Si!』

『敵まもなく射程内。』「第一級戦闘態勢。偽装外壁転開、戦闘モード変型開始ですわ。」

 

ズズズ・・『な、なんだありゃ?』『輸送船が・・開く?』ゴゴゴゴ・・ズズン。『・・砲塔!』

『覆面艦隊だ!』ズドオンッ!・・バゴバゴバゴッ!『ぐはあっ!』『MSがハチの巣に?!』

『ま、まさかいまどき質量弾?』バゴバゴッ!『ぎゃあっ!・・ビームシールドが効かねえ!』

 

「対空三式砲弾、MSにきわめて有効ですわね。」『昨今のMSは対熱光学防御が強化されてて、

ビーム兵器が効きにくいわ。ならばこそ、弾速は遅くても広範囲に散布する榴散弾が有効なの。

遅いといっても初速はマッハ4、近距離で使うぶんには何の問題もないわ、にひひっ。』

『技術が進むと一回りするって皮肉だよね→。』『まあガンダムもやってることは、水兵同士の

チャンバラなんだけどね。』『うっうー!それなら今夜のおかずは海賊焼きにしましょー!』

『伊織、ドナテルロガンダム、いくわ!』『亜美、トカチガンダムR、いっちゃうよ→!』

『真美、トカチガンダムL、いっくよ!』『やよい、ガルウイングガンダム、いってきまーす!』

 

『迎撃MS出現!・・ガンダムだ!』『数はこっちが多い、ひるむな!』『海賊の意地、見せたれ!』

「そんなもん見たくもないわ!チャージ・・」ミョンミョン・・「頭部イオンビーム砲、放射!」

ズドシャアアアーッ!『な、なんだぁ?!』『一掃射で三機も!』「あら、意地はどうしたの?」

「ほらほら、こっちこっち!」「おっそいな~。そんなんじゃ当たらないよ。」ヒュヒュッ。

『な、なんだ?二機が交錯して照準が定まらねえ!』『照準システムも混乱してロックオンが

できねえ!』「スキあり。」「ビームデリンジャー!」ジャキジャキッ!ヒュン、ぴたり。

バドドンッ!バゴバゴッ!『なっ!・・いつの間に?!』『超小型銃で・・ゼロ距離射撃!』

「この距離じゃ外れっこなし。」「パルスビームで集中連射。どんな装甲でも抜いちゃうよ。」

「うっうー!ガルウイング全開ですー!」バサアッ!『光の翼?』「いきますよー!」ゴオオッ!

ズバシャアアアーッ!『ビーム・・ウイング?!』『すれちがいざまに・・数機を!』ズルルッ、

ドカドカドカーン!「さすがは、やよいのガルウイングね。」「いわゆるMAP兵器だね→」

 

『敵MS部隊、壊滅。』「よろしいですわ。敵艦に指向、ラム戦を!」『全艦、ラム戦態勢。』

♪ヒュイヒュイ!【各部隔壁閉鎖確認。】『艦首衝角、転開。』ゴゥン!「突撃速度!」

「お頭、敵が突っ込んできやす!」「なんだとぉ?!う、撃て、撃ち落とせ!」ズドドドドッ!

「前面シールド最大出力!」「始まったわ、貴音の大好きな戦法が。」「ラム戦て、本当は海賊の

お家芸じゃなかったっけ?」「キャプテンヘルロックとか使ってたよね→」「誰よそれ?」

「けど体当たりはマロンあふれる戦法ですよー。」「モンブランじゃないって。・・あと10秒。」

「だ、ダメです!止まりやせん!」「バカな!いまどきこんな戦法が!」「いまどきだからこそ

有効なのですわ。この攻撃を受けきれるシールドも装甲も存在しませぬ!」グワシャアアアーッ!

『むおおおおーっ!』メキメキッ、ズドシャアアアアーッ!「にひひっ、真っ二つよ!」

 

しばらくのち。「後始末はコロニー連合宇宙軍にお願いしましたわ。」「税金払ってるんだから、

そのくらいしてもらわないとね。」「どこにいるかわからない海賊捜すより楽な仕事っしょ。」

「どうせ感謝状くらいしか出さないんでしょ。賞金くらい出せっての。」「そんなことより、

今夜のご飯のほうが大事ですー。」「やよいの言うとおりですわ。食えもしない海賊なぞに

もはや一片の未練なし、良き仕事をした後のご飯は、たいそう美味しゅうございましょう。」

「・・食い意地は、やよい以上かもしれないわね。」「お姫ちんらしくていーじゃん。」

「さ、晩メシだー!」「うっうー!このために生きてますー!」「そりゃそうだけど。」

 

そのころ、土星の衛星カリプソ。ここは別名「海賊島」と呼ばれ、宇宙海賊ギルドの本部がある。

「というわけで、765艦隊による被害は甚大なものになっている。このままではギルドの存続も

危うい状態だ。」「そろそろ反転攻勢に出るべきでは?」「それをやった木星シンジケートは

壊滅した。奴らの実力、けっして侮れぬ。」「対抗できるとすれば・・キャプテン舞くらいか。」

「ギルドへの帰順を拒絶した者は当てにできん。」「それだけの自信と実力があるということだ。

どうにかして噛み合わせれば、どう転んでも我らの利ではあるが。」「・・もう一つの手がある。」

【なんなら、戦力を貸し出してもいいよ。」♪チリーン。オオッ!「・・破壊神・幽音!」

「なかなか面白い連中が外にいると聞いてね。」「では協力していただけるか。」「いいよ。

デスボーグでもデビルビーストでも融通しましょう。まずは手みやげに。」♪パチン。ぱっ。

『これは!』「戦艦型デスボーグ。これなら艦隊相手にも使えるよね?」「感謝します。」

 

宇宙要塞プロデューサー。「・・というわけで、海賊ギルドが幽音と接触したそうです。」

「想定された事態ね。ギルドもついにパンドラの箱を開けたか・・小鳥さん、全艦隊に通達。

765艦隊はこれよりデビル軍団との交戦もありえる、相応に準備せよと。」「了解しました。」

「春香、幽音まで敵に回すの?」「幽音は直接やり合う気は無いでしょう。ギルドを介しての

代理戦争という形なら、こちらも打つ手はいくらでもあるわ。」「なるほど・・ギルドはもはや

デビル軍団の軍門に下ったも同然ね。」「そう。何の利もなしに幽音が動くものですか。

そんなことも気づかないほどギルドは追い詰められてる・・この提携は崩壊を早めるでしょう。」

 

海賊戦艦ALIVE号。「そう・・ギルドも末期症状ね。」「かつての気概はどこへやら、すっかり

堕落してしまったものですね。」「徒党を組むこと自体が間違いよ。海賊は己の腕のみを頼りに

生きてゆくもの。ギルドは『掟』を守るための集会所に過ぎない・・その基本を忘れた以上、

存在意義は無くなったわ。」「で、いかがします?」「デビル軍団か・・面白そうじゃない。

噂のデスボーグとやら、機会があったら試してみたいわ。」「ご満足いただけるといいですね。」

「その前に、ちょっと地球へ寄りましょうか。」「もしかして旦那さんのとこですか?」

「たまには愛娘にも会わせてあげないとね。」「・・むろん、それだけではありませんね。」

「当たり。たまには強いヤツとやらないと、腕がなまるからね。」「たしかに今の東京なら、

よりどりみどりですね。針路変更、地球へ。ネオジャパン・東京シティー。」【アイアイサー!】

 

***********************

 

Day.7 オーガ東京に現る

 

宇宙要塞「プロデューサー」。「有給ですって?」「うん。地球へ降りてこようと思うの。」

「業務に支障が出なければ取得は自由よ。承認。」♪ピッ。「ありがと。じゃ、行ってくるね。」

そそくさ。「・・珍しいわね、雪歩が有給申請なんて。」「毎年いっぱい余らせる常連だものね。

まあ、それなりの理由があるんでしょう。」「律子、もしかして知ってる?」「だいたいは。

でも個人情報保護権で、春香にもないしょ♪」「・・小鳥さん、雪歩が前回に有給取ったのは?」

『二年前ですね。そのときも飛び込みに近かったので、よく覚えてます。』「今回と似てるわね。」

「まあ、今ならほぼ全ての艦隊が集結してるから、よほどの緊急事態でも呼び出すことはないわ。」

『そういえば気になる情報が。ALIVE号が地球に向かったようです。』「オーガが地球に?」

「珍しいわね。内惑星系にはほとんど立ち入った記録が無いのに。」『・・あ、記録によると、

二年前にも地球に寄ってます。』「ん?・・このタイミング、ただの偶然かしら?」「さあ?」

 

ワーワー!「ただいまこの銀座スタジアムでは、衝撃のアルベルトのシュトゥルムガンダムと、

アンデルセン神父のパラディンガンダムの闘いがくりひろげられています。」「注目の好カードや、

チャンネルはそのままやで!」「フン、堕落した聖職者風情に、ワシが倒せるものか。」

「フハハハハ!十傑集となれば、我が神の贄にふさわしい!エイメン!」ギャリリリッ!

『バーニング・ガンダムファイト!レディー・・』「ゴーッ!」『なにっ?!』・・ゴオオオッ!

ドドーン!「な、なんだ?!」「これは?!」ゴォォォ・・ムクッ。「その勝負、いただくわ。」

「な、なんと謎のガンダムが乱入!」「こら珍しい事態や。レフェリーが止めるやろうが・・」

「・・ま、まさか貴様は!」「はぁい♪ 元気だった、シュウちゃん?」「・・キャプテン舞!」

「レフェリー、何をしておる。闖入者を出さぬか!」「む?・・東方不敗が・・恐怖している?」

「お主らも聞いたことがあるはず・・『オーガ』の伝説を。」「・・なにっ?まさか、これが!」

「外惑星宙域で『鬼』と呼ばれた海賊女王・・キャプテン舞か!」「そのとおり。ちょっとだけ

遊んでくれない?二人まとめてでいいから。」くいくい。「・・なんだと!」ギリイッ!ドン!

「十傑集をなめるな!」シュバババッ!「いきなり大衝撃波!」「一撃で粉微塵になるで!」

「ほい。」すっ、ばしいいいーん!ゴォォォ・・「・・届かない?バカな、そんなことが!」

「シェアッ!」ジャキジャキッ!ヒュババババッ!「ビームバヨネットの嵐!」「この密度なら

外れるこたあらへん!」「よっと。」ひょい、ぴたぴたぴたっ。「なにいっ!・・指で挟んだ!」

「シュウちゃん、もっと強いのいないの?」「・・よそ見をする余裕など!」「シェアッ!」

ゴオッ!「同時攻撃だ!」「しかも迎撃体勢は整ってないで。間に合わん!」「いいえ。」

ばごばごおおーん!「なんだとおおおーっ!」「ぬうおおおおーっ!」ドガシャアアアーッ!

「な・・なんと一撃で二機をあそこまで!」「しかも攻撃が見えなんだ!・・スローや!」

ジジジジ・・「・・なに、これ?!」「スローでも攻撃が・・見えんやて?ありえん!」

「あ、情報が入ってきました。・・なんですって?!」『宇宙海賊・キャプテン舞。ネオジャパン

特殊戦略軍に属し、コロニー戦争時に単機で敵機動艦隊を撃滅。退役後に宇宙海賊として旗揚げし、

いかなる国家や組織にも属さず、外惑星系で惑星マフィア・シンジケート限定で襲撃している』

「ば・・バケモンや。」「武術家でなく、組織にも属してないから知られていなかったのね。」

「また一般船舶を襲ってないから、よけい知られてなかったんやな・・世界は広いで。」

 

「この試合、非常事態と双方のガンダムの損傷により、ノーコンテストとする。保安MS隊。」

ドカドカッ、ジャキジャキッ。「あら?」「ルールはルールだ。」「まあそうでしょうね。

ひとつだけ。さっきの質問の答えは?」「・・ガンダム長屋へ行け。」「さんきゅ♪」くるっ。

ズンズン・・『動くな!』『撃つぞ!』ズンズン・・『う・・』すっ・・ズンズン・・

『・・はぁっ!』ガクッ!『う・・動けなかった・・』『撃てば確実に殺られていた・・』

「無理もない。ワシとて動けなんだのだ・・」ガクガク・・「マスターアジアすら恐怖する・・

いったいどんな存在なの。」「もしBGFに参加してたら・・大会自体が吹っ飛んだかもしれん。」

 

ガンダム長屋。「あれが・・噂のオーガか。」「こっちに来るみたいよ。」「・・よかろう。」

すっく。ガラガラ。ザッ。「レイン、来たら奥へ通してくれ。」くるっ。「わかったわ。」

ガラガラ!「あのとんでもない人がここに来るんですか?!」「まるで人間台風の来襲だよ!」

ボン!『生きている神話とも呼ばれるオーガの実物でござるか。』「話はよく聞くけど、見るのは

さすがに初めてね。」「地球圏には、めったに近寄らないせいでもありますけどね。」

「なんということでしょう。あのような存在が他にいようとは。」「なのはさん呼んどけば

面白いことになったかもねー。」「たわけ、東京を壊滅させる気か。」ワイワイガヤガヤ。

「みんな出てきちゃったのね。ま、しょうがないか。」ザワザワ・・ぴたっ。ばばっ!

『・・来た。』ザッザッ・・ザン!「たのもー!」「お待ちしてました。こちらへどうぞ。」

 

裏の空き地。ザッザッ・・ザッ。「ようこそ、キャプテン舞・・いや、オーガ。」「あなたが

現キング・オブ・ハートね。一手所望。」「こちらこそ。」ゴォォォ・・ボボボッ!『ああっ!』

「双方の・・動きが見えない!」『シロウトならともかく、ある程度の熟練者であるはずの

拙者らでも見えぬほどとは!』ぴたり。ユラ・・「ダブルノックダウン?!」カッ!ザンッ!

「どちらも踏みとどまった!」「・・あら?」ツツ・・「前に血を流したのはいつだったかしら?」

「さすが、というべきか・・」ツツ・・「ドモンも出血?」『むん。』ビシイッ!「傷口を筋肉で

一瞬にして癒着させた!」「・・超上級者同士の闘いとは、これほどのものですか・・」タラ・・

「なるほど。突き・蹴りを極限まで磨き上げ、それ自体が必殺技になったか。武技とは結局のとこ

基本の延長、悪く言えば修飾に過ぎない。」「ならば一切の無駄を排せば、おのずと最速になる。

あなたもそれに近いようね。」「流派東方不敗も求めるところは同じだ。そこへのアプローチの

仕方が異なるにすぎん。」「なるほど、シュウくんより上手かもね。」「シュウくん?」

「とにかく、満足したわ。じゃ、これで。」ヒュン・・『また機会があったらやりましょう・・』

「ドモン、だいじょうぶ?」「・・堪能したぞ、オーガの腕。あれを受けきれる者は多くない。」

「まるで攻撃が見えませんでした。」「常人なら間違いなく骨が折れ筋肉が破断するスピードだ。

極限まで柔軟な肉体と、強靭かつしなやかな骨があってこそ。いずれも天性の資質が大きく、

鍛錬では届かない境地だ。」『だがドモン殿はそれに追いついたでござる。』「至らないところは

全身の動きで補った、いわば足し算だ。」「それができるのがすごいです。」「そうでもないぞ、

簡単なコツを教えよう。まずファイティングポーズをとれ。」「こう?」すっ。「パンチを打つ

瞬間、重心をわずかに打つ方向へ。まだ腕は出すな。」「よっと。」ぐっ。「重心移動でバランスを

崩さないよう慣れたら、腕を出す。」ボッ。「お、ちょっと速くなったような気がするぞ。」

「よく言う『ヘソで打つ』感覚だ。腕はその結果として出るだけだ。」「こう、こう。」ボボッ。

「蹴りも同じだ。回し蹴りも半径を小さくヘソ・ヒザ・前足の順に出す。」「こうだ!」ボッ!

「いいぞ、それが基本だ。」「あらあら、いつの間にかワンポイントレッスンになったわね。」

 

浜松町。「キャプテンはここいらで合流しようって言ったけど。」「BGFに乱入したり、ガンダム

長屋へ道場破りとか、メチャクチャだよー!」「・・でも、おかげで涼さんとショッピングできる

時間が作れた?」「買い物袋が重いんですけど。」どっちゃり。「何年かぶりの地球だもの、

買えるときに買っとかなきゃ。」「でもなんでドクター夢子さんもいっしょなんですか?」

「た、たまたまよ。回るとこがほぼ同じだったから。」「・・(わかりやすい?)」ふっ。

「そういえばサイネリアさんも『友人に会いマス!』って出かけたよ。」「うちはなぜか 

日系人多いから、親戚とか友人とかいても不思議じゃないけどね。」「・・でも、わざわざ

会う時間を作るなんて、よっぽど親しい?」「ネット仲間のオフ会ならよくある話じゃない。」

「おーい、お待たせ。」「ママ!・・えっ?血が!」「ほんのかすり傷よ。」「キャプテンに

わずかでも傷をつけるなんて・・」「・・信じられない。」「ふむ、もう癒着してるわね。」

「それより、二年ぶりにパパに会うわよ。」「でもいきなりアポなしでだいじょうぶかな?」

「そのためにBGFに乱入したんじゃない。あれならイヤでも気づくでしょ。」「留守電ですか。」

 

カンカン・・バタン。「やっぱりいた。」『え?』「・・どなたですか?」「ここは芸能事務所

『エターナル』ですけど。」「あら、ゆってなかったの?」「言えるかい。・・紹介するで。

わてのオカンと娘や。」『・・ええーっ!』「しゃちょー、既婚者だったんですか?!」

「てっきり独身だとばかり!」「ずっと事務所住まいなので、まったくわかりませんでした。」

「パパー!ひさしぶり!」「わ~、アイドルファイターのミーアさんとメイリンさんだ。」

「・・バルドフェルド社長が旦那さん?」「ぶっちゃけ、することだけして別居状態だけどね。」

「こらこら、誤解される表現すな。単身赴任くらいゆわんかい。愛も大きくなったな~。」

「ガンダムだって乗れるようになったよ!」「で、こっちの女装イケメンが彼氏かや?」ぎくっ!

『ええーっ!』「この子・・男?!」「まったく気づかなかった!」「・・なぜ一発でばれた?」

「芸能生活ウン十年、人を見る目は商売道具や。」「気づかなかった僕は、まだまだですね・・」

「にしても・・ええな~。どや、ウチの事務所で四人ともデビューしてみんか?」「アイドル?」

「パパ!涼さんは男だからアイドルなんかできないよ!」「いえ、昨今は男の娘アイドルも

認められる時代です。ましてやこの美貌なら、男女どちらのファンも多く獲得できるでしょう。」

「・・ちょ、ちょっといいかも♪」「・・だいじょうぶ、余裕で抜ける?」「ぎゃおおおん!」

「ダメよ。四人ともウチの大事な戦力なんだから。」「そうだよ!特に涼さんなんて、変身する

ガンダムに乗ってるし。」「変身って、USBメモリですか?」「いや、メダルじゃないかな。」

「僕は音叉が好きだな。」「・・どちらかというと、怒る?」「なるほど、超人機ですね。」

 

「それより・・その娘、できそうね。」「ほえ?」「また始まった、ママの悪いクセが・・」

「あかん!ウチのドル箱つぶさんといて!」「そもさん!」「せっぱ!」「アイドルの魂とは?」

「ただ進み、打ち破り、踏み越える。後なんか振り返らない。そんなヒマがあったらひたすら

上を目指す!」「領解!さすがはトップアイドルだけのことはあるわ。心はよし、次は体ね。」

くい・・シュパッ!グン!ぴたり。『おお~っ!』「すごい!ママの波紋紅茶カッターを

華麗なイナバウワーでかわした!」「なんて柔軟な身体なんだ!」「おいしょっと。」グン!

「ただ柔らかいだけじゃないわ。あの体勢からでも復帰できる筋力とバネ、バランス感覚。

どれをとっても超一流ね。最後は技よ。えっと・・これ。」ぴっ。「・・ポストイット?」

「それと・・エンピツね。」カラン。「ほい。」トトトトン。パラパラ・・「エンピツが

キュウリみたいにコマ切れに!」「ほい。」ピッ。ヒラヒラ・・ぴっ。「じゃあこっちはこうで。

しゃちょー、ちょっと失礼。」シャホシャホ。チリリリ・・「髭剃り?」「よう剃れるな~。」

ショリショリ。「ほい、おしまい。」テッカー!「う~ん、ガンダム。」『おいおい。』

「うん、間違いないわ。あなたは私に一番近いところにいる。いずれ二代目オーガを襲名させたく

なったら、声をかけさせてもらうわ。」「オカンは百年経ってもこのままな気ぃするけどなあ。」

 

そのころ、浜離宮・恩賜公園。「・・ちょっと早かったかな。」『時に拙速は無いわ・・ただ

あなたの感じるもののみが時を司る。」はっ。「・・ティンカーベル先輩!二年ぶりです!」

「無限の電子の海にての逢瀬は、やはり『声』の伝える心が薄い・・それでも細い糸とはいえ

交流と切磋琢磨が出来るは、エレクトラに感謝すべき・・」「はい。『声』を紡ぐは弛まぬ

日々の研鑽あるのみ。おかげで私も良き『声』を紡ぐ術がわかってきたような気がします。」

「白雪、そこにディアボロの陥穽が・・『声』は『術』ではなく、心の叫びそのもの・・

『術』に走るは賢しき誤謬に過ぎないのですよ・・」はっ。「私は・・溺れていたのですね?!」

「いいえ、暗黒の奈落の寸前で踏みとどまったのです・・やはり、生きた『声』の道標ならばこそ、

あなたは正しき光明に気づいた・・喜ぶべき哉。」「キュン♪・・ああ、これが生きた『声』の

祈りなのですね。電網の黄昏の世界を知ったからこそ、実存の世界の精気を実感できます。」

「そのとおり、光を悟るには先ず闇の昏さを知れ・・清濁合わせ呑むことで、ツァラトゥストラ

言うところのルサンチマンを解脱し、超人への道が始まるのです。」「真理の中で戯れる人・・

先輩は既にその階梯に達しています。」「私などまだ煩悩に迷う俗物そのもの・・現実から

逃避するコモドゥス。せめてアウレリウスほどになれればと願うだけ・・」「いいえ、いいえ!

己が弱さを知る者こそ最強なり。天の階(きざはし)への第一歩なのです!」「白雪よ・・ならば

私は再び宇宙(そら)に赴き、その深淵(アビス)までも垣間見てきましょう。そこにあるは無限の

暗黒か・・あるいはタンホイザーゲートの光芒か。」「私も行きます、静寂なれど喧騒に満ち、

命の華咲き乱れるあの聖なるコスモへ・・」「逢瀬の時は短い・・けど、私たち次第でそれは

無限に等しい刹那となる・・」「では、残されし時を先輩と永遠に共有しましょう・・」

 

その夜、ネオ浅草料亭「月歌十夜」。ザワザワ。「はいはい、それじゃALIVE組の慰労会を

始めるよ。」オーッ!「普段がんばってくれてるみんなへの、ささやかなお礼よ。」パンパン!

ズララララーッ!『おおおお~っ!』「船盛りだー!」「山盛りのカツオのタタキまである!」

「・・ふぐ刺しが、あんなにいっぱい?」「宇宙じゃなかなか食べれない鮮魚ばかり。どんどん

おかわりしていいよ!」オオーッ!「ではまずは乾杯から。未成年はウーロン茶ね。」トクトク・・

「音頭は・・よし、サイネリア!」「私ですかぁ?!・・オホン。ではエブリバディ。」さっ。

「これからは海賊だけじゃなくデビル軍団もエネミーとなるとのこと、バトルはいよいよ過酷に。

けど我らがオーガ、いやさキャプテンがいるかぎり、私たちが負けることは形而上学に不可能デス。

大船に乗った気分でいきまショー!カンペー!」『カンペー!』♪カチンカチンぱりーん!

 

ワイワイ!「そういえばサイネリアさん、お友だちとはどうでした?」「ひさびさにいろんな事を

語り合えたデス。SNSよりも充実した時間デシタ。」「いいなー、そんなお友だちがいて。」

「・・愛ちゃんには、いつでも腹を割って話せる私たちがいる?」「えへへ、そうでした。」

「でもサイネリアさん、形而上学なんて難しい言葉よく知ってますね。」「・・ググるとなぜか

弾かれる。ネオチャイナがらみ?」「語感がカッコいいから使っただけデス。意味は知りまセン。」

「あー、あるある。意味も知らずに使ってるのってあるよね。『ニート』とか。」「それデス。

英語の意味とまったく違いマス。」「・・アメリカで『テイクアウト』は通じない。『To Go』って

言わないと?」「あ、ひとつ知ってます。コックさんに『コック』って言ったら怒られるって。」

「それは『シェフ』って言わないと。」「じゃあ『コック』ってホントはどういう意味?」

「あー・・えーと・・」「・・知ってるけど説明できない?」「ヒント。涼さん持ってマスネ。」

「持ってるの?」「えー・・あー・・うん。いちおう。」「見せて♪」「ぎゃおおおん!」

 

765艦隊「コスモス」亜空潜艦隊。『重力圏を離れます。』「お嬢、もっとゆっくりしても

よかったんじゃないですか?」「ううん、いいの。じゅうぶん満足したから。急いで部隊に

復帰しないと、みんなに迷惑かかるし。」「責任感の強さがお嬢の良いところでもあり、同時に

悪いところでもありますな。」「私より、みんなに負担かけたんじゃないかと心配で。」

「いえいえ、あっしらはあっしらでちゃんと楽しんできましたぜ。」「行きつけだった新橋

ガード下の店のおばちゃんも元気でした。」「それに酒も肴もたっぷり補給できましたし。」

「それはよかった。でも、艦内での刃傷沙汰はなるべく控えてね。ダメとは言わないけど。」

「くわばらくわばら、お嬢のスコップで首刈られたくはないんで。」『わはははは!』

 

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Day.8 恐怖の魔戦艦 - 閣下・魔王・王牙 三大怪獣大決戦 -

 

宇宙要塞「プロデューサー」。「幽霊戦艦?」「はい。唐突に出現し輸送船を攻撃。その被害は

十数件に及びます。」「貨物の略奪は?」「しません。攻撃後は即座に撤収し、その出現時間は

ほんの数分だそうです。」「ふーん・・参謀部の見解は?」「デビル軍団による示威挑発行動。

航路に危険があると、私たちが出るのを見越しての誘いかと。」「きわめて同感ね。さてと。」

「春香自ら動くの?」「こういうのは『日輪』の業務範囲よ。」「敵の思うツボになると思うけど、

この場合は仕方ないでしょうね。」「となると、不確定要素を呼んでおいたほうがいいわね。」

「またオーガ?」「いえ、もう1枚とっておきの切り札をね。」ぎょっ!「まさか、あれを?!

リスクが大きすぎるわ!」「ハイリスクを恐れずして何のハイリターンよ。それだけの価値は

じゅうぶんにあるわ。」「・・むしろ心配なのは、二大怪獣大決戦のほうなんだけどね。」

「あら、いいじゃない。思うぞんぶんしてもらいましょう。こちらの巻き添え無しならね・・」

ニヤッ。「あいかわらず、あくどいことで。」「暴れ駒をも御せずして、何ぞ将たらんや。」

 

 

大魔城アイゼンガルト。「というわけで、765艦隊から依頼があったで~。」「今回は狂戦艦の

捜索と殲滅が任務ですー。」「後者はともかく、まず見つけるのは大変なの。」「その心配は

無用です。偽装船団を囮として、おびき出す作戦らしいですから。」「・・けど、必ずしも

出現するわけもない。その辺は?」「わざと海賊ギルドに掴ませるよう情報を流すらしいわ。

どうやらギルドと狂戦艦は関連ありと睨んでるようね。」「なら確実に出るようだな。」

「けど今回は敵に関する情報が少ないぜ。」「最新情報では、ギルドは幽音と接触したらしいわ。

十中八九、デスボーグが出てくるわね。」『デビル軍団!』「歯ごたえは充分なの。」

「デスボーグって巨大ガンダムに変型するやつだっけ?」「あれは変型というより変身よね。」

「巨大ガンダムなら、槍は効きにくいな。」「それなら大型デッキを準備しとかなくちゃ。」

「ほな今回はオールスターでいくでー。」『ヤヴォール!』「『バラド・ドゥア』発進します!」

 

 

海賊戦艦Alive号。「ふん、バーサーカーねぇ。」【状況は話したわ。あとはそちら次第。】

「今回はパス。情報があまりにも少ないもの。仮にデスボーグだとしても、あなた達なら

じゅうぶんに対処できるはず。」【過大評価どうも。それでも保険のために「ペンタグラム」に

頼みましょうか。】ぴく。「・・あの『ヴァイス・エルケーニッヒ』に?」【何のこと?】

「気が変わった。あの連中が来るなら話は別よ。喜んでまぜてもらうわ。」【たいへん結構。

では作戦指定日時と宙域で。】プツッ。「・・あんにゃろ、私の嗜好を知り尽くしてるわね。」

「そこまで読めてて、あえて踊るんですか?」「踊るにしても、閣下ちゃんの思惑どおりの

斜め上で踊ってやるわ。」「・・そこまでも、春閣下の掌中なのは気のせいでしょうか?」

ゾロゾロ。「ママー!話は聞いたよ!」「今度は実入りが少なそうですね。」「・・むしろ、

艦隊に貸しを作るほうが目的?」「それだけじゃないわ。あの『ペンタグラム』が参戦するって。」

『ええっ?!』「あ、あの魔王軍団?!」「単機で一個機動艦隊に匹敵するというバケモノ部隊!」

「・・たしか通った跡にはペンペン草ひとつ残らない?」「いい遊び相手になりそうね・・」ニッ。

 

「極星」遊撃艦隊旗艦「二十郎」。「閣下、共同作戦は久しぶりですわね。」【そうね。

危なくなったら出るから安心して。】「MSならともかく、戦艦が相手ですもの。私たちでは

火力不足ね。」「ねえねえ、この作戦にはオーガも参戦してるって?」【ええ、そうよ。】

「やった!涼兄(C)にまた会えるね!」「うっうー!愛ちゃんにまた会えるですー!」

「ふっ・・パーリィで出会って、義兄弟の杯を交わしたカピタン・舞に早々に再会できるとは。」

【そうなの?】「そーだよ。お姫ちん自慢の大ブタ野菜ニンニク増し増しをペロリと完食!」

「艦隊では、やよいしかクリアしてないアレだもの、ビックリしたわよ。」「愛ちゃんもですー。」

【母娘そろって・・恐ろしいわね。】「訪艦の際に大ブタ辛目野菜ニンドバ脂地獄を完食した

閣下には言われたくないですわ。」【はて、何のことやら?のヮの ところで義兄弟の杯って?】

「歓談したところ、信条・思想共にシンパレート率がマッチしたことに気がつきまして、たちまち

意気投合しましたのです。曰く『フン系の友』というべき。」【民族大移動しそうな友人ね。】

 

『「バラド・ドゥア」接近。通信です。」ぱっ。【まいどおおきに。「ペンタグラム」どす。】

「夜神はやて司令、この度はわざわざご出馬願い感謝いたしますわ。」【どぞよろしゅうに。】

【あら、先越されちゃったか。】はっ。『わ、割り込み多元通信です。』ぱっ。「カピタン・舞。」

【ほな、あのウワサの。】【早かったわね。】【事前にいろいろすることがあるんでね。で。】

【で?】【「ヴァイス・エルケーニッヒ」はどこ?】【なのはちゃんかや?なのはちゃん。】

【・・なんなの?】【あなたが魔王ちゃんね。私はキャプテン・舞。一手所望。】【わかったの。】

「ふっ、さすがの以心伝心。強者は強者を知る。まるで打てば響くような見事な即応でしたわ。」

【もし断っても、結局受けざるをえないハメになるの。】【見届けが私がするわ。手加減無用で。】

 

戦艦「バラド・ドゥア」装備室。「えっと、予備弾倉は四つ。スバル、ベンチローダーを。」

「はい、なのはさん。」ジャララッ、ジャコン!「ティアナ、対戦相手の戦闘データ解析は?」

「結論からいうと、とんでもない強敵ですね。近接戦闘は敵無し、中長距離戦でも、回避しつつ

接近する技術に長けてます。」カタカタ。「でもなのはさんのD.Bは有効範囲広いよ。ちょっと

避けてもダメージは相当なものじゃ?」トントン。(ジャム防止にカートリッジの尻を揃えてる)

「射線軸に対して半径50m、SLBでは100mが有効範囲ですね。」「ブラスタービットを併用すれば、

もっと範囲は広くなるの。」「もう一つ気になるデータが。コロニー戦争時の戦闘記録です。」

「MAでも狩ったの?」「いえ・・ストーンヘンジです。」『なあっ?!』「収束大口径レールガン

要塞。最大で数十kmの範囲が吹き飛ぶ悪魔の超兵器!」「自動迎撃システムで誰一人近寄れない

・・いったいどうやって?」「・・面白いの。」カシャッ。「レイジングハート。」Loading.

ジャコッ!チャッ。「一発追加。」シャキッ、カシャッ。「なんで一発追加するんだろ?」

「もし大事なときに弾切れ起こしたら、目も当てられない事態を回避するため。保険よ。」

 

『これより模範試合、ストライカーガンダム対ガンダム王牙。』ゴオオオーッ、ぴたり。

「お願いしますなの。」「よろしくね♪『白い魔王』は、意外におしとやかなレディーね。」

「十数秒後には、前言撤回することになるのは保証するの。」「ぜひ、そうしてもらいたいわ。」

『ガンダムファイト!レディー、ゴー!』「まずは様子を・・?!」ボッ!ゴガアッ!「ぐっ!」

「戦いの基本その1・始まったら即攻すべし。余裕ぶっこいてるヒマがあったら・・」ゴッ!

「先手をとる!」バゴオオオーン!「がばあっ!」ズガガガガーッ!『おおっ!』ゴォォォ・・

「なのはさんが・・早々にダウン!」「信じられない・・あの無敵のなのはさんが!」ググ・・

「くっ・・」「ふむ、致命打はしっかりシールドで防ぎ、初手の攻撃も対物理緩衝フィールドで

削られたか。」「・・それでも完全には止めきれなかったの・・」ザッ・・プッ!ビシャッ!

「なのはさんが流血?!」「はじめて見た・・」「あかんな。・・なのはちゃん、マジやで。」

 

さっ。「ディバイン・バスター!」キュドオオオーン!「ほいっと。」ユラッ、ボボッ。

「やはり直射砲撃は通じないの。ならば!」ボボボボッ。「ブラスタービット!」ヒュヒュン!

キュガガガッ!「よっとっと。」ひょいひょい。「オールレンジ砲撃を軽くかわしてる!」

「流れるようなステップが大事なの。」ボボボッ!「回避しながら近づいてくる?!」

「こっちのターンよ。」ヒュン。「え?・・」グン!どばしいいいーん!「ぶはあっ!」

「な・・投げ技!」「なるほど、これなら防御障壁に関係なく直接にダメージが通るわ。」

「・・やるわね。」『え?』ググッ・・「・・引き手?!」「あれだとダメージは最小限ですぅ!」

ボボボッ。「こっちの番なの。クロスファイヤー!」「キュドドドッ!「うおっとお!」ひょい。

ザザザーッ。「はぁっ、はぁっ・・あぶなかったの。」「なのはがブレイク技を使うなんて・・」

「オーガは手を抜ける余裕なしってことだな。」「逆に全力を傾注しても勝てるかどうかという、

そんなレベルだ。」「ええ、おそらく人類最強レベルの相手のようね。」「がんばるですー!」

 

ゴォォ・・じりっ。「いいね。あなたは最高の相手よ、魔王ちゃん。」「オーガの名にふさわしい

強さなの。」「・・いけません、お互いに本気モードになりそうですわ。」『・・はあっ!』

カアッ!「同時にハイパーモードに入ったわ!」「はわわっ、本格的にやばそうですー!」

「お~、これはちかたないね。」♪ピピッ。「んあ?・・変動重力源が急速接近だって?!」

『・・っ?!』・・ゴオオオオオ!「狂戦艦?このタイミングで!」「サイネリア、識別!」

『全長500mの大型艦、艦籍不明デス。しかも・・』ドクンドクン・・「戦艦が・・生きてるの。」

「生体戦艦か。」『DG細胞によるバイオメカノイド艦デスネ。ギドドンガス級と暫定呼称シマス。』

ガパァッ!ヒュゴオオオオーッ!「艦載機!」『小型怪獣放出!約二千!』「数が多いの!」

「ひれ伏しなさい。」スッ、バゴバゴバゴッ!「今のうちに体勢を整えて。」「さんきゅ。」

「レイジングハート、殺傷許可。」Lethal mode.「ブラスタービット、魔力刃展開!」All right.

Razor Blade extended. ヴヴン。「いくの!」ヒュバババッ!ザキザキザキイッ!♪ヒュ~。

「一撃で数十機切断か。なぜ使わなかったの?」「なぜ全力攻撃しなかったの?」「あっちゃー、

バレてたか。その理由は・・!」ヒュッ!・・ヒュン。「強すぎるんだもん。」バゴバゴオッ!

(私でも見えないスピード、そして十数機を破砕する拳・・まともに当たったら・・)ゾクッ。

 

「春香だけには任せておけない!大砲拳!」どかあああーん!「総司令を守れねば、私たちの存在

意義はないですぅ!ビームスコップ・ドリルモード!」ヒュイイイーン!「ドリルチャージ!」

ギュラララッ!「一掃するわよ。頭部イオンビーム砲発射!」キュドオオオーン!「うっうー!

光の翼ですー!」シャイーン!ゴオオオーッ!キュドドドーン!「こっちだよ、こっち!」

「スキあり。往生せいや!」ドンドン!「なのはさん、援護します!ブロウクン・トーネード!」

ドンッ!ギュラララッ!「それにしてもすごい数ね。SMGじゃないとおっつかないわ。」

グラタタタッ!「倒してもあとから沸いてくるみたいですね。」ズバアアアーン!「群虫ミ=ゴの

数でもおっつかないよ!」ワアアアーン!バリバリバリ!「・・ファランクスシフトでも大変。」

キュドドドッ!「あかんな、デアボリック・エミッションでも数百機がやっとや。」ギュオオッ!

「ちまちまぶん殴ってたんじゃ、いずれ呑み込まれるぜ!」Gigant Form.グイン!ずどおおおーん!

「たしかに、長期戦となるときついな・・レヴァンテイン!」Schlange Form.ヒュバババッ!

ズガガガーン!「一掃する!」ばんっ!Hell Twister. ズゴオオオオーッ!「きりがないわね。」

「とにかくバキバキ叩くっきゃないです!攻性フィールド!」ヴン。「マキシマムバースト!」

ギュララララッ!ズガガガーン!「・・IFF攪乱、敵味方識別不能?」ボンボンボン!「だめ・・

あまりにも空域が広すぎる。」「この戦力差では、変身するっきゃない!転身・龍々モード!」

ギン!バシャバシャッ!「ガンダムニルヴァーシュ・TypeⅡ!」「涼さんが変身したよー!」

ドンッ!「そしてヒートステークの強化版。輝け!」カアッ!「ダズリング・ワールド!」

キュドオオーン!ズガガガガーン!「す、すっごい!」「・・数百機まとめてケシズミに?」

 

ハルカディア号。『戦況、思わしくありません。』「予想を上回る敵機がいたからね。」

『あっ、防衛ライン突破。数十機が抜けました!』「まずい、対空弾幕を張って!・・?!」

ボスボスッ!『て、敵機、無力化?』「ふう・・遅刻よ、千早。」ぱっ。【護衛任務が予定より

長引いたわ。】「いいタイミングではあるわね。」【あぶなかったですね~。】「あずささん、

ありがとうございます。」【さっそく援護に行くの。】【敵が多すぎて宇宙が黒く見えないぞ。】

【絶対防壁バキュラ、フル展開。中枢艦隊の直衛を。】「これで戦力を攻撃に振り向けることが

できるわ。ノノワ、ストライカー、王牙に通達。生体戦艦を徹底殲滅せよと。」『了解。』

 

「いくわよ。」「中枢を叩けば子機も戦意喪失するかも。」「むしろ母体ならば無力化するの。」

ゴゴゴゴ!キュキュン!「シールド!」Protection.パキパキーン!「いまのうちに近づくの!」

「援護攻撃は任せて。貫け!」ぴっ。バゴバゴッ!がしっ!「よっしゃ、とりついた!せーの!」

ミスミス。ギュオオオオオッ!「信じられないの・・あの巨体をジャイアントスイング?」

「本気で幽音が気の毒になるわ。」「えっと・・あの小惑星ね。どっせーい!」ブオン!・・

ドグシャアアッ!「あとはおまかせを。」ドドドド!「突撃艦「二十郎」、ラム戦モードです!」

ゴォンッ!「星ごと真っ二つにしてさしあげますわ!」ズガシャアアアーッ!・・バゴオオーン!

 

「魔王ちゃん。」「わかったの。ブラスタービット、フォーメーション!」ぴたぴたっ。

「フルチャージ!」ジャコジャコジャコン!カシャッ、ガシャッ!ギュオオオオ!「星よ砕けろ。

プラネット・ブレイカー!」カッ!・・キュドオオオオーン!・・ズガアアアアアーン!

『おおっ!』「小惑星まるごと・・消えたの!」「あいえなー。でーじなっとーん!」

「あれが名高き『白いまおー』の実力なんですね!」「・・ひうっ!」「ぎゃおおおん!今のは

確実やにオーバーキルだよー!」「ペンタグラムが太陽系で恐れられている理由がわかったわ。」

バシュゥゥゥーッ!「ふーん、なかなかやるじゃない。」「キャプテン舞さんこそなの。」

「で、打ち上げおよび祝勝会は艦隊でもつわ。」「ほなケータリングはウチのもんにやらすわ。」

「酒が足りなきゃ、こちらは地球に降りてきたばかりだから大きな酒屋なみにあるわよ。」

 

衛星カリプソ・宇宙海賊ギルド本部。『生体戦艦、撃滅。』「な、なんということだ・・」

「765艦隊に加えて、オーガと魔王軍団まで敵に回すとは!」『やれやれ、最悪の結果だね。」

♪チリーン。『幽音!』「せっかく供与した戦力を使えないわ、余計なものまで敵を増やすわ、

予想以上に役立たずだったよ。」「う・・」「そこで名案があるよ。一発逆転の秘策がね。」

「そ、それはどのような?」ぴっ。ぱしっ。「ん?」ビチビチビチッ!「うぎゃあああっ!」

「このDG細胞は感染力を強化してるの。あっという間に・・そうだね、数日後はこの本部ごと

侵食されるよ。」ウゴオオオッ!「誇りを忘れた海賊は、ただの世間の迷惑だよ・・』♪チリーン。

 

ハルカディア号、大ホール。『それでは、生体戦艦撃滅を祝って。』カンパーイ!カチンカチン!

「んぐんぐ・・ぷはぁぁぁーっ。いい仕事した後の酒はうまいね~。」「同感なの。」ぐーっ。

「あれ?モトネタじゃ未成年じゃ?」「永遠の20歳やね~。」「あたしも同様だぜ。」ぐい。

「閣下ちゃんもモトネタじゃ」「同じく20歳教徒よ。」ごきゅごきゅ。「どこぞの17歳教徒だと

さすがにキツいけど。」「こらー!愛ちゃんも絵里ちゃんも、未成年でしょ?!」「ちがいます、

これはノンアルコールビアです!」「・・よく間違われる?」「あ、そうだったんだ・・」

「アタシはハタチ過ぎてるからノープロブレム。ほりゃロンゲ、ぐっといけ!」どぽどぽ!

「うるさい鈴木。言われなくたって飲むわよ。」「はぁ~、地球の清酒はおいしいですね~。」

 

「ところで閣下ちゃん、いい腕してるじゃない。いつか手合わせ願いたいものだわ。」「ふふっ、

その気があれば問答無用で襲うのがオーガたる所以よね。ということは。」「その気じゃないわ、

今は、まだ。」「私はいつでもウェルカムよ。」ゴゴゴ・・「ふふ・・その気迫、大好きよ♪」

♪ビーッ!【緊急連絡!カリプソに異常発生!】「小鳥さん?」【DG反応、増大!】『なっ!』

「あそこはギルド本部が・・しまった、これが幽音の本当の狙いね!」「ギルド戦力をまるごと

DG化する・・生体戦艦の大艦隊!」「よければ手伝うで。」「いえ、これはあくまで我が艦隊で

仕上げなきゃならないことです。律子、他の三艦隊に出動要請を。」「わかったわ、ただちに。」

「他の三艦隊って?」「・・打撃艦隊『虎破』、遊撃艦隊『クリプトン』、それに・・」ゾクッ。

「なんですか?」「私が説明するわ。・・暗殺艦隊 『刑怨』。またの名を・・宇宙始末人。」

「・・殺し屋?!」「うふふふ・・楽しいことになりそうね。」「ひうっ!・・鬼が笑う?」

 

戦艦「フライングV」。♪ビーッ!『司令、緊急招集です。』「了解したと伝えて。針路変更、

両舷全速で急行せよ。」『了解。』♪ピッ。「『刑怨』メンバーはただちに作戦室に集合。」

パシュ。「さわちゃん、お仕事?」「しばらくお仕事無かったから、そろそろなまってきたわ。」

「でも、もうちょっと休んでいたかったな~。」「あ~、すぐにお茶とお菓子にしますね~。」

「どのような任務も、全力を尽くすだけです。」「あずにゃんはえらいね~。なでなで。」

「具体的な任務は合流したら伝えるって。とにかく、のっぴきならない事態が起きたようね。」

「事前情報が無いのは、きついね。」「えっと、役立つ情報はと・・艦隊三面記事から察するに、

デビル軍団・海賊ギルド・幽音の三題噺のようだね。」「ん~・・わかんないや。」「とにかく、

行けばわかるさ!」「律さん、またそのようなことを」「お茶とケーキが用意できましたよ~。」

『はーい!』「あ、まだ話は」「さーさー、あずにゃんも行こ。」「・・しょうがないな~。」

わいわい!(・・普段はふざけてるけど、仕事になったらこれが別人のように変わるんだ。・・

このギャップが超一流のプロの証?)「あ、律ちゃんがケーキとったー!」「まだありますよ~。」

 

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Day.9 必殺!宇宙始末人

 

「刑怨」・・正式名称は「嵐の艦隊」特殊任務班K-1。けど誰もこの名称で呼ばず、「暗殺部隊」

「コロコロ重点」「バンド・フロム・ヘル」といったサツバツたる呼び名で知られており、その名を聞いただけで

宇宙海賊および惑星マフィアが恐怖と絶望のあまり失禁もしくは嘔吐するという。コワイ!

 

高速戦艦「フライングV」。ゴォォ・・『準光速0.998。10分後に目標地点。』「よし。「刑怨」隊員は、

ただちに作戦室へ集合。」・・「みんな揃ったわね。では点呼よ。」「『流れ瞽女』の唯、いまーす。」

「『鬼太鼓』の律、いるわよ。」「『耳無し』澪、これに。」「『春琴抄』の紬、いますよ~。」

「『常磐津』の梓、これに!」「そして『重怨』のさわこ。今回の目標は衛星カリプソの威力偵察。

何でもいいからありったけの情報を集めて。解析および解釈はプロに任せるから、思うぞんぶん

暴れてもいいわよ。ただし、作戦終了時間になったら全員生還することでミッション・コンプリート。」

「しつもーん。フォーメーションは?」「自由にまかせるわ。組むもよし、ソロ狩りもよし。けど生還することを

前提とすれば、最低でもツーマンセルが理想ね。」「なら、あずにゃんと組もうかな~。」「えっ?!」

「あたしは両手ふさがってるので、澪と紬に援護重点ね。」「うん、まかせろ。」「しっかり直衛しますね~。」

「唯せんぱい、私みたいな未熟者にはとても・・」「あずにゃんなら背中をまかせてもいいかな~って。」

「う・・」「信頼してるからね~。」「・・は、はい。」「さてと、任務伝達も終わったことだし、お茶にしましょ。」

「今日はトリュフ入りのフォアグラソテーサンドですよ~。」『おお~!』「さっすがムギ、お金持ち!」

「自動航行に入ったら、ブリッジ要員も呼びましょ。」♪ピッ。「のどか艦長、操縦士の純さん、通信士の憂さん、

お茶にしましょう。」『はい。』『おっ、紬さんのレシピが楽しみ♪』『オートパイロットの準備ができたら行きますね。』

 

ガヤガヤ・・「むぐむぐ。サンドがおいしいな~。」「フォアグラがとろける食感がいいね。」「でも・・これ高いんじゃ?」

「いえいえ、食材コミで五千円もしませんよ~。」『ぐっ!』「・・じっくり味わって食べましょう。」「お代わりありますよ?」

ぱくぱく。「食うの早っ!」「おいしいものは、よく通るんですよ~。」「お姉ちゃん、食べる?」「おお~、ありがと憂。」

もぐもぐ。「ふふっ♪」「・・憂、高いのにあげていいの?」「お姉ちゃんがおいしそうに食べてるのが嬉しいんだ。」「はぁ・・」

ずず~。「ごっそーさま。さて、お稽古でもやりますか。」「あ、付き合います。」「うん。まずは調弦だね。調子笛を。」

♪プ~。♪ベンベン。「二上りで・・」♪ベンベン・・「私は本調子で。」♪ベンベン・・「あれ?三味線が違う。」

「唯のは津軽三味線。棹が太く激しい曲調に耐えられる頑丈な構造だ。」「対して梓のは常磐津用の標準品。

あれでじょんがら節を叩けば壊れるわね。」♪ベン ベン ベンベンベベベベベン!「始まりましたね~。」『おお~。』

♪ベンベロベンベロベンベンベベン!「はぁ・・お姉ちゃん、カッコいい・・」「演奏中の唯さんはまるで別人ですね。」

「そうね、あたかも東北の冬の荒海が想像できるよう・・」「う~ん、燃えてきた!」さっ。♪ギュイーン!『えっ?』

♪テケレテレテケテレーン!「この私の早弾きリフで勝負!」「さわちゃんのメタル魂に火が点いた!」「はいっ!」

♪ベベベベンベンベロベン!「Yeah!」♪テケレテレテレテレテレ~ン!「よーし、あたしも!」チャッ。「やろうか。」さっ。

「楽しそうですね~。」きゅっ。(爪を嵌める)♪テンツクテンツク!♪ビビビビン!♪シャラララーン!「・・大演奏に。」

ぐっ・・すっ。(無理だ。私なんかのレベルじゃ・・)♪デケデケデケデケ・・デデン!「あ~、いい汗かいた。」「うん、ちょっと

疲れたな。」「そーだ。あずにゃん。」「は、はい?」「落ち着きたいので、おとなしいのを一つやって。」「あ・・はい。」

♪チントンシャン・・「う~ん・・これもいい。」「荒れた心が洗われるようね・・」「江戸の夜の風情ですよね~。」

「やっぱりあずにゃんはうまいな~。私にはこんな静かな曲できないよ。」「物事には適材適所というものがある。

別の役割りを果たせればそれでいいんだ。」「惑わされずにマイペースでいればいいの。あたしもそうするから。」

「・・はい。」♪チントンシャン・・「すぴ~。」「お姉ちゃん、寝ちゃった。」「あれだけ激しい演奏のあとだからね・・」

 

土星宙域。64個ある衛星のうち14番がカリプソである。いびつな楕円形めいた外見で、表面を覆う氷に無数の

穴が開いており、そこが海賊戦艦の出入り口になっている。「現在確認できた入り口はおよそ20個ね。」

「狙い目は?」「出入りの状況から、このゲート、仮称『ダンテ』が一番使用頻度が高いかと。」「そこから敵艦の

通過を待って潜入、破壊工作を開始するわ。」「威力偵察なれど、やむをえない状況なら殺傷可・・と解釈か。」

「そこは自己判断に委ねましょうね。」「では、スニーキング開始といきましょー!」『ガンバルゾー!ガンバルゾー!』

 

「フライングV、クローキング維持。」「ガンダムデッキ、全ガンダム発艦準備完了。」「うん、作戦タイムスタート。」

「全ガンダムへ、発進してください。」「唯、ギブソンガンダム、いっきまーす!」ゴオオオーッ!ドバアアアーン!

「律、ジルジャンガンダム、いくわ!」「澪、フェンダーガンダム、いく。」「紬、コーグガンダム、いってきまーす。」

「梓、ムスタングガンダム、いきます!」「さわ子、エクスペリエンスガンダム、いくわよ!」ドバアアアーン!

ゴォォォ・・「間もなく敵レーダー圏内。ミラージュコロイド起動。」ボボボッ・・【ドック入り口へ・・】ぴたぴたっ。

「・・機関音が接近。ゲート開きます。】ズズズズ・・【まだまだ・・胴体にまぎれて入りこむわ・・いまよ。】さっ。

スゥゥ・・ゴゴゴゴ。(おお~、DG細胞だらけ。)(バイオシップめいてるわね。)(壊し甲斐がありそうですね。)

ゴゴゴゴ・・(ものすごい数が出てるわね・・まさか?)(765艦隊襲撃だな。)(ブリッジ、緊急連絡よ。私たちは

鬼のいぬ間に空き巣強盗かけるわ。)(たしかに、手薄な今なら潜入もしくは攻略がラクですね。)(さんせー。)

 

ドッキングポート。【紬、周囲探査。】【バイオセンサー。・・待機中の戦艦が数隻いるだけですね。あとはデスペーシィ

一個中隊規模・・おそらく直衛部隊かと。・・ん?】ぴく。【・・なに?】【一人・・いえ、一つだけ生体反応が。】

【なんで言い換えたの?】【信号が重なってて、人間だかそうでないかがはっきりしないためです。】【・・誰かな?】

【唯と梓は内部偵察、他三人はドックで陽動かけるわ。】【ハデに暴れりゃ、唯たちまで気が回らないでしょ。】

【加えて退却路の確保もだな。】【お留守番してますので、ごゆっくりしてくださいね~。】【いってくるねー。】

 

ゴォォ・・「・・なんか、基地内というより体内というアトモスフィアですね。」「DG細胞の侵食が実際速いね。」

「感染しないか心配です。」「ダメだよあずにゃん、その弱気がDG細胞の好物。いつもしっかり自分を保ってれば

近寄ることすらできないよ。」「あ・・はい。」「だいじょーぶ、なんとかなるっしょ。」「うん。・・間もなく中枢部です。」

「ちょっと止まって。」ぴたり。「・・こちら唯、中枢部外縁に敵影なし、内部の状況は不明。陽動開始。」【了解。】

ズガガガーン!・・パシュ、ドカドカドカ!「一個中隊規模がこちらへ向かったよ。」「今のうちに潜入しましょう。」さっ。

「ちょい待ち。」グイ。「な、なんで?!・・え?」ドカドカドカ!「さらに一個小隊規模の増援。鉢合わせしてたよ。」

「どうして二手に?」「用心だろうね。先発で状況判断、必要なら増援。必要なければ直衛のまま。」「あ・・」

「こーゆーのは慣れてくしかないんだな。」「・・まだまだですね。」「後輩を抑えるのも先輩の大事な仕事だよ。」

 

ドッキングポート。「よっと!」♪ドンドンツクツクドドンガドン!メキメキッ、ドガガガーン!「ソリトン波でぶっ壊せ!」

「律、後ろ!」ズガガガッ!「スティックシールド。」キリキリッ、キキキィン!「そして!」ブン!「ダブルインパクト!」

♪どおおおーんっ!・・ピシッ、ズバシャアアアーッ!「敵自体を共鳴体とし、固有振動波で分子単位に粉砕する。」

・・ドカドカ!「デスアーミィ接近。こいつらの相手は私だ。」♪ジャラーン!ベベベベン!♪さるほどに源平両方

陣を合はせて鬨をどつと作る 上は梵天までも聞え下は堅牢地神も驚き給ふらんとぞ覚えたる♪・・ボボボオッ!

オオオオ~ッ!「源平の英霊たちよ、いま一度いくさせん。」♪ジャラン!ワアアアーッ!「死霊鎧武者軍団ね。」

「グンタイアリめいての人海戦術ですね~。援護しますね~。筝曲『阿蘇』。」♪シャララン!ズパズパズパッ!

「今日の真空刃は、いい切れ味ですよ~。あら?」ズガガガッ!「筝曲『筑波』。」♪シャラララン。キキキィン!

「しょうがないから、もうちょっと激しい曲調にしましょうね~。筝曲『月山』。」♪シャンシャンシャラララン!ザキザキザィッ!

「とどめよ。コード・チェンジ!」♪ギュオオ~ン!ボォォ・・「ヘルター・スケルター!」ピピッ。「ピック・スリケン!」

シュパパパッ!ドカカカッ!・・ドカドカ!「援軍?コード・ジューダスプリースト!」♪ギュィィ~ン!ボォォ・・

「ギターアックス!」ビン!「でりゃあああーっ!」ズバズバアアアーン!「直接戦闘スキルは実際役立つわ。」

 

中枢部。『・・これは?』ドクンドクン・・「なんてこと・・デビルガンダム化してる!」『あら、見ない顔ね。ニュービー?』

すっ。「照合・・デビル軍団大幹部、『狂気の錬金術士』エルフィール・クロウリー?!」「よくご存知で。そちらは?」

「ドーモ、エルフィール=サン、『嵐の艦隊』・特務艦隊『刑怨』の『離れ瞽女』唯です。」「同じく『常磐津』梓です。」

「ああ~、ウワサに聞いたことがあるわ。人呼んで『宇宙仕掛人』。となると・・」「デビル軍団死すべし。慈悲は無い。」

「だってさ。どうする?」・・ゴゴゴゴ。ウオオオオオーッ!「デビルガンダムが!」ズシーン!「せいぜいこの子とゆっくり遊んで

やってね。私は忙しいからまた今度ね・・】スゥゥ・・「・・逃がしたか。」「差し当たっての問題は、このデカブツだよ。」

 

「応援を呼びましょう。」「みんな本隊を引きつけてくれてるから、これだけで済んでるんだよ。これが二人の役割分担。」

「でもあんな巨大なもの!」「総身に知恵が回りかね。知恵と度胸でなんとかなるっしょ。あずにゃんは直衛を。」さっ。

「了解。ビームストリング!」ピッ、キュィィーッ。グワアッ!「はっ!」シュパパパッ!キリキリッ!「むん。」キュィッ。ズパァッ!

「いいよ~。では・・」♪ベンベンベベベン。ヒュオオオオーッ・・「気温が急激に下がった?」「冬の八甲田は地獄だよ。」

♪ベベベベン!ビュオオオーッ!「うわっ!いきなりブリザード!」「あずにゃん、どいて!」「はい!」さっ。ゴオオオーッ!

ウオオオオーッ!ピシピシピシ・・「すごい・・デビルガンダムを凍結した。これが唯センパイの奥義『陸奥』。」「今だよ。」

「とどめます。」すっ、シャッ!「仕込み刀『竹山』!」チキッ、シュパッ!ズパアアアアーン!「・・ハイクを読め。」チキン。

ピピッ、ズズ~ッ!ガシャアアアーン!ガラガラガラ!「できたでしょ。あずにゃんやっぱり腕いいよ。」「いえ、まだまだです。

腕はともかく、この臆病な性分は・・」「臆病じゃなくて慎重なんだね。私は適当だから、ちょうどいいんじゃないかな。

いいも悪いも、これからもどんどん意見していいよ。私もいくらか学ぶとこあるから。」「は、はぁ・・」「ともあれコンプだね。」

 

フライングV。「任務完了。全員帰艦を確認。」「よし、衛星軌道を回りつつ亜光速へ加速を。」ヒュィィーン・・ゴオッ!

「0.5・・0.8・・0.92。」「ターゲットロック完了。衛星カリプソ。」「亜光速ミサイル、発射。」シュドドドドッ!ヒュヒュン!

ドグオオオオーン!「カリプソ崩壊。減速しつつ軌道内へ落ち込んでいきます。」ズズズ・・「戦略核二万発に匹敵する

運動エネルギーぶつけられたんじゃ、たいがいそうなるよね。」『E=MC^2の簡単な式なのに速度がケタ違いのせいよ。」

ツカツカ。「任務ごくろうさま。これでDG艦隊は戻るところは無くなりましたね。」「結果的にそうなるけど、本音を言えば

ぶっちゃけ産廃品処理よ。あの連中はそんなこと想定してないから。」「使い捨て、ですね。親切にも我々がゴミ掃除を

してくれたと。」「そう、おそらくDGゾンビ化した海賊には、こんな指令がされてると思うわ・・死んでも戦えと。」ギリッ。

 

ブリーフィングルーム。「すか~。すぴ~。」「唯は仕事が終わるとすぐ寝ちゃうのよね。」「津軽三味線は思った以上に

体力と精神力を使う。まあ無理ないかな。」「梓ちゃん、膝枕して重くないですか?」「いえ、だいじょうぶです。」

「ん~・・あずにゃ~ん。」「はいはい、ここにいつもいますよ・・ふふっ。」「起きたらお茶とお菓子にしましょうね~。」

 

宇宙要塞プロデューサー。「カリプソは落ちたのね。」「さすが『刑怨』、想定以上の大戦果ですね。」「今度は私たちね。

現在位置は?」「木星軌道。到達予定は二日後。『クリプトン』が追尾中です。」「『クリプトン』に応援を送って。

少しでも戦力を減らすわ。」「春香、戦力の逐次投入は愚作中の愚作よ。」「わかってる。けど、その援軍がもし

圧倒的な戦力を有していたら?」「・・ジョーカーを引く気ね。」「ええ、獲物がでかければでかいほど鬼は喜ぶわ。」

 

高速巡洋艦「クリプトン」。「メイコ艦長、通信文です。」「なになに・・へぇ、あのオーガの船と協同戦線とはね。」

「オーガって、あの宇宙海賊キャプテン舞ですか!」「知ってるの?」「知らいでか。コロニー戦争の英雄だって学校の

教科書に書いてあるくらいだもの。」「今はネオジャパン宇宙軍を引退して、フリーの海賊をやってると聞きました。」

「これが情報部がつかんだオーガのデータです。」ぱっ。『おお~。』「イオを動かして艦隊を壊滅?!」「あの超巨大MA

パトゥーリアまで沈めたの!」「これは・・オーガの異名も納得ですね。」「最新情報によると、常軌を逸した巨人剣を

追加装備したとのことです。」「オーガだけじゃないわ。あまり目立たないけど、Alive号のガンダムはどれも優秀よ。」

「これは合流が楽しみね・・そのためにも、強襲作戦の準備はしっかりしておきましょう。」『了解、かかります。』

 

海賊戦艦Alive号。『・・というわけです。』「状況はわかったわ。要するに主役はクリプトン、私たちはバックアップ要員ね。」

『ぶっちゃけるとそのとおりですね。けど、舞さんが後ろについててくれれば、もう何も怖くない。』「それデスノボリよ。けど・・」

『・・けど?』「・・別に、全部つぶしてしまってもかまわんのだろう?ピヨちゃんや。」『・・それは現場の判断にまかせます。』

「暗に『どうぞどうぞ』と言ってると解釈していい?」『あくまで現場の判断です。状況は作戦室で起きてるんじゃないです。』

「わかった。会合時間までに行くわ。」『補給を回しましょう。何かご希望のものは?』「お酒ちょーだい。できれば樽で。」

『ビンじゃ追っつきませんか?』「私だけじゃないわ。キャプテンたるもの、船員の福利厚生にも気を配らないとね~。」

『わかりました。和洋織り交ぜて揃えましょう。シュワルツヘルガーも入れときます。』「黒芋焼酎か。ピヨちゃんも通ね♪」

『あれって喉ごしはパカパカ入るけど、後からガクッと足にくるんですね。つまり、涼くんに飲ませると・・グヘヘ。』じゅるり。

『人事不肖になった涼くん。人形めいて、しめやかに激しく前後して・・ピヨッ♪』「腐ってやがる、遅すぎたんだ・・」

 

 

 

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