朝、名出屋城最上階ペントハウス。「クレオ、起きてください。朝ですよ。」「ふわわ~、モーニン、マリア・・」
「さあさ、オフロ入って目を覚ましてきてください。今日はあちこち観光するんでしょ。」「ん?・・あっ!今日は
お仕事ないんだ!寝てたら損よ!」ガバッ!ダダダダ・・「お~お、けたたましいこと・・」「おはよ、シルビア。
ナディアとヨーコは?」「あの二人は早起きだからね~。もう朝食の準備してるわ。」「ヨーコはいいけど、ナディアの
料理はね~。」「グルメのくせにヘタだからね。まあ上手なヨーコがサポートしてるから大丈夫よ。」「そーだけど。」
八丁堀商店街。ガヤガヤ・・「ねえマリア。この東京シティーってさ、昔はもっと大きかったんでしょ?」
「はい、2年前のデビルガンダム事件で完全破壊されて、今はこの湾岸エリアが復興しただけです。たしかヨーコは
この辺の出身だったよね?」「うん。町工場の一人娘だったわ。あの頃の下町もこんな感じで・・あれ?シルビアは?」
きょろきょろ。「おや?今まで確かにいたのに・・」「あっ、ひょっとして・・」「ナディア知ってる?」「ほら3軒前に
パチンコ屋があったよね。」はっ!『そこだ!』「ネオジャパンにはあれがあるからシルビアには鬼門なのよね。」
チーン、ジャラジャラ・・「ウフフのフ。まったまたフィーバー!これで14連チャン!」「やっぱりいた・・あんた
ギャンブルには目がないから・・」「どーしていっつもこう大当たりしちゃうんだろね?」「それはヒ・ミ・ツ・・ほら
確変きたきた!」『43番、打ち止めで~す。』ジャラジャラ。「もーけたもーけた。朝から縁起がいーわ♪」
「あんたまさかお得意の・・」「やーね。あの程度のプログラム、ハックするまでもないわよ。十秒もじっと見てりゃ
プログラムルーチンが単純なんで読めちゃうのよ。」「まあ、あんたにかかりゃペンタゴンもゲーセンだろうけどさ・・」
「あれ?今度はナディアがいない。」「ほらあそこ。いつものビデオソフト屋荒らし。」くいくい。「またかよ・・」
「おお!劇場版「座頭市」全巻セット発見!むうっ!若山版「子連れ狼」も全部ある~!・・これは?!伝説の
「必殺橋掛人」DVDセット!キャー!「木枯らし紋次郎」全部ある~!これあちこち捜してたのよ!」カシャカシャ!
「ヨーコ、あんたのせいよ。ナディアがチャンバラマニアになっちゃったの。」「まさかあれほど濃いマニアになるとは
思わなかったわよ。」「しばらく日本支社にいたのになんでここを捜さなかったの?」「ここは守備範囲外だったのよ。
これみんな下さい。」どさっ!「げげっ!・・120万円ですが・・」「はい、いつもニコニコ現金払い。」ドン!(札束)
『なあっ!』「ナディアあんたそんだけ現ナマ持ち歩いてんの?!」「カードは性分に合わないの。これだと後顧の
憂いもないし。」「まあ、たしかに記録には残らないからアシもつきにくいわね。」「贈収賄と同じ考え方よね・・」
「あ~、今日はいい日だわ~。」どっさり!「ちょっとナディア。そんなにいっぱい持って回るの?」「だいじょーぶ。」
ピィッ!シュッ。「お呼びですか。」「これ、私の部屋へ運んどいてね。」「はっ。」シュッ。「・・誰なの?あれ・・」
「私の直属の特務警護隊「タウン」よ。市井に紛れて私たちをガードしてるわ。」『えっ?!』キョロキョロ。
「・・誰もそれらしいのはいないけど。」「当然よ。完全に周囲に溶けこんでるから。プロでも絶対識別できないわ。」
「それで「タウン」か・・さすがダテに情報局長やってないわね。」「今のも普通のコギャルにしか見えなかったもんね・・」
「私だって本当の顔を知らない隊員がいくらでもいるわ。」「それじゃ儀装したテロリストでも判別つかないんじゃ?」
「近づく以前の問題ね。そういう怪しいのは私たちの目に見えないところで阻止してるから。この商店街のここまでで
今朝はもう3人ほど始末したかな。」『3人?!』「安心して。東京シティは治安がいいから日に6人くらいだから。」
『どこが安心だっつーの!』「あら、ニューヨークなんて日に10人はざらよ。」「うへ~・・ちっとも知らなかった。」
ガンダム長屋。「へえ・・こりゃちょっとした隠れ里だね。」「誰が考えたか知らないけど、心理学の盲点を突いてるわ。」
「誉めてくれてありがとう。」『えっ?・・まさか・・』「ナディア・・なの?」「はい。私が設計施工しました。」
「・・知らなかった。あんたいつの間に。」「え~?この工事、日本支社建設部にきたのよ。ヨーコなら知ってるでしょ?」
「あ~、今思い出した。大きな仕事じゃないんで注目してなかったわ。あの時もナディアは日本にいたんだ。」
「そう。ヨーコの代理で設計企画会議に出て、いろいろ楽しませてもらったわ。」「やけに凝った設計してると思った。」
「さてと、誰かいるかな?・・あ、ハンゾーさん。」「おお、クレオ殿か。」「グッモーニン、見学に来たのよ。」
「よいでしょう。皆の衆、珍客だぞ。」ガラガラ。「はーい・・あら、クレオ?」「ん、クレオパトラか?」
「久しぶりね、レイン。」「・・えっ?まさか・・ヨーコなの?・・ああ!気づかなかった!」「ヨーコ、知り合いなの?」
「コロニー高校時代の同級生。二人でよくブイブイいわしてたものよ。レインがヘッドであたしがサブで・・」
「・・レイン、族やってたのか。(一_一」「え、む、昔の話よ!」「ネオジャパンコロニー最大のレディース「頑駄無」の
初代ヘッド。「流れ星のレイン」といえば、ヤンキーもビビる大物だったのよ。」「そーか、そんな頃から・・」
「昼間は成績優秀な弓道部キャプテン。しかし夜は・・しっかしよく化けたもんね~。」「なるほど・・(一_一」
「な、なによそのジト目は!」「でもレインは得物の弓を使うときも、絶対急所は外してた。矢も矢尻のついてない
衝撃タイプ。あのへんのケジメのつけ方が団員にはたまらない魅力だったのよ。」「(-_-;;;」「照れてやんの。
でも、そこがレインのいい所なんだよな。」「ドモンったら♪」ガン!「ぶおおお~っ!」ズダダダーン!
「・・そ、その裏拳も健在みたいね。(^^;;」「ヨーコだって剣道部主将でインターハイ3年連続優勝。しかも
模試は万年全国トップ。まさかあの才女が「審判のヨーコ」だとは誰も気づかなかったわ。・・あの愛用の重木刀
「最後の審判」は健在?」「今でもいつも一緒よ。今日はたまたま部屋に置いてきたけどね。あたしにとっては彼氏
みたいなもんだから・・」「ふ~ん、やっぱり。」「何に使ってるかと思ったけど。」「そーいえば・・」ひそひそ・・
ピクピク・・「そこ!変な意味にとらないよーに!(-_-メ」『は、はい!』「懐かしいわね・・昔はムチャやったわね。」
ガラガラ。「・・え、お客さん?・・クレオじゃない!」「あっ、エリス~!ひっさしぶり~。」「クレオ知り合いだったの?」
「1年前のネオトルコでの国際ジプシーフェアで知り合ったの。」「・・ああ、クレオがスポンサーしてるアレね。」
「あの時のエリスの踊りが素晴らしくて、年も近いからすぐお友達になったのよ。」「クレオもジプシーの血が
16分の1くらい混じってるからね。」「ひさびさに新しい踊り教えて。」「いいわよ。裏の空き地でやりましょう。」
「ほらほら、みんなもつきあう!」『え~?!』「わ、私はちょっと・・」「私も遠慮したいな・・」「マリアにシルビア!
運動不足のワンツーフィニッシュがやらなくてどーすんの。」「そうそう。まあ健康体操だと思って。」『はいはい・・』
お昼どき。屋外共同テーブル(最近屋根が付いた)。レイン得意のカレーをごちそうになっている。「ごちそーさま。
やっぱ一汗かいた後のご飯はおいしいわ。」「よく踊ったからね。さすがに体の柔軟さとリズム感はプロ級よ。」
『あいたたた・・』「あんな激しい踊りだなんて・・」「うう・・腰が肩が腿が・・」「だから二人とも運動不足だって。
(平気なヨーコ)」「まあ武O士ダンスほどじゃないわね。(同じく平気なナディア)」「・・体力超人のヨーコはまだ
わかるけど、ナディアも意外とタフなのね・・」「スタミナはヨーコに負けるけど、柔軟性と敏捷性は自信あるの。」
「それより驚いたのはヘッド。あんなに俊敏に動けるとはね。」「ふふっ・・最近ちょっと鍛えてるからね。」
「そうなのか?レイン。」「ドモンに内緒でね。サポートクルーも体力勝負だから。」「そうか・・しかしあの動きは
どこかで見たような。そう・・何らかの武術に近い。」「・・門前の小僧、習わぬ経を読むってやつかもね。」
「そういえばナコたちは留守?」「リムちゃんと三匹をお供にデートよ。」「デート?!あのオクテのナコが?!」
「ほら、あの半蔵さんちの・・」「ああ、シンゾーさん。いい男だって聞いてるけど・・ナディア、資料ある?」
「え~と、モバイルデータバンクに・・」ピッピッ♪「ありました。」「どれどれ・・ふ~ん、いまどきこんないい人が
いるんだ。ほとんど天然記念物ものね。」「なんですかそれわ。」「これはいっぺん実物を見とかなきゃ。シルビア、
現在位置の特定。米軍のスパイ衛星にアクセスして。」「はい~はいと。・・コネクト・・目標探査・・馬で探すのが
手っ取り早いわね・・いた!」「さすがに早い・・どこ?」「戻ってくる途中みたいですね。予想到達時間は30分後。」
同時刻、ネオアメリカ・モンタナ州シャイアン山、NORAD(北米防空司令部)。「・・あれ?大佐。XA-12にアクセス
してる者がいます。」「照会しろ。」カタカタ・・「判明。アレクサンドラDCです。」「ははあ・・おてんば女王さまか。
またイタズラしとるな・・まあいい。大統領と女王さまは天下御免だ。ほっとけ。」「はあ・・なに探査してんだろ?」
「これがウワサのアレクサンドラDC?」「政治のワシントンDC、経済のアレクサンドラDC。その気になれば米軍とNATO、
おまけにロシア軍も集めて運動会することだって出来るわ。」「クレオはホントにやりかねないから冗談に聞こえないのよ、
これが・・」「じゃあ連中が帰ってくるまで・・レインさん、ガンダム見せて!」「他ならぬクレオパトラの頼みとあらば。
いいわよね、ドモン?」「別にかまわんぞ。レインが一緒なら、安全だろう。」「じゃあドックへ行きましょう。」
ガンダムドック。ゴォォォ・・「・・お、大きい・・」「ファイトではしょっちゅう見てるけど、こんな近くで見るのは
さすがに初めて。」「迫力あるわね~。」「レイン、これを一人で整備してるの?信じられない・・」「ほとんどの基本部品は
規格化されててユニットになってるから、見た目ほどは手間がかからないの。でも、各国オリジナルのパーツや
外装なんかは注文生産なんでストックが少なくて、やりくりが大変だけどね。」「でも、装甲板一枚持ち上げるのも
大変じゃ・・」「ところがどっこい、そこに置いてある脚部装甲外板、持ってみて。」「こんなデカイの・・え?・・」
ひょい。「片手で持ち上がる?」「ガンダリウム合金はチタンより強くて軽いの。それだけで10キロくらいかな。」
「そうだった・・工業の専門家のあたしが、このデカさにだまされてたわ。」「言ってみれば頑丈なハリボテね。
一番重量食うのは動力部と武装かな。この二つだけはなかなか軽量化できないからね。さて、次はコクピットよ。」
「へ~っ、これがガンダムのコクピットか。ホントになんにもないのね。」「このコンソールリングもファイト中は
完全に収納されて、球体ディスプレイだけになるの。視界は・・こう。」パッ。「これがモニター映像?実視界にしか
見えないわ。」「最高級の光学システム使えば、このくらいは可能だけど・・こんなにぜいたくに使用してるのは
ガンダムくらいよ。」「まるで自分が巨人になったみたい・・」「私も何度か使ったことはあるけど、ホントに自分が
ガンダムと一体化してるように感じるの。マン=マシンインターフェイスの究極の姿だわ。」「・・ほしい」『・・え"?』
「私もガンダムが欲しい!」『そればかりはムリ!』「ガンダムいくらすると思ってるんですか!」「いくら?」
「最新鋭宇宙戦艦が買えてオツリがきます。」「ゲッ!そんなにするの?!」「国家単位ならともかく、いくらウチが
でかくても買えないわ。」「自社生産・・」「ウチは兵器産業はしないのが社訓。百歩譲って開発しても、どっからか
プロトタイプを購入しないとノウハウがわからないって。」「あ、ナディアの知り合いのマルローネさんなら?たしか
ガンダム製造もやってるって聞いたけど。」「あそこは完全カスタムメイドなので量産よりもさらに高くつきます。
ハイマスター建造費は運営委員会の予算からどうにかひねり出してもらったけど、さんざん愚痴られましたよ。」
「ただいま~。」「あ、ナコが帰ってきた!ナ~コちゃん!」「あれ?クレオ来てたの?」「待ってたのよ。・・ふ~ん、
これがシンゾーさん。」「な、なんです?」「へ~、ほ~、・・ナコ、大当たりじゃん!」「・・どうしてみんな同じ
リアクションなんでしょう?」「し、知りません・・」「ヒヒン。」「ああ、あなたがフーウンサイキね。」「ピイ。」
「ママハハと、」「オン。」「アカツキね。私はクレオ。よろしくね。」「さすがクレオ。動物にはウケがいいわ。」
名出屋城。「いや~、今日は楽しかった!」「よく遊びましたからね。」「ナディアは?」「さっそく・・」ちょい。
ズバドシュッ!『さあ次はどなたさんで?』「ああ・・勝新さま~。ステキ~!」「・・始まったみたいね。」
「ねえ、さっきの話だけど・・」『ドキッ!』「ガンダムはちょっとムリですけど、」「MTSシミュレーターなら基礎開発の
名目でなんとか。」「じゃ、購入しない?」『ま、マリア?』「実は私、以前やってみたことあるんですよ。」「え?マリアが?」
「ガンダムメーカーを訪問したときに、デモでやらせてくれたんです。あれはダイエットには最高ですわよ・・」
数日後。「ぐえ~!苦しい~!死ぬ~!」「大丈夫よ。スーツ装着圧力はクレオの体力計算して設定してあるから。」
「このことだったのね・・マリアがなんで賛成したのか判ったわ。」「たまにはお返ししないとね、ウフフ。」
『そーね。ウフフ。』「あ"~!大蛇に巻かれてる気分!スーツ装着がこーんなにキツいなんて、聞いてないよ~!」
「慣れです、慣れ。レインさんだって3回目にはヒザをつかなくなったそうですよ。」「ダイエットには最高でしょ。
ぜい肉みーんな絞られるんだから。」「そ、そりゃ、わかるけどさ~!きっつーい!」「・・次、私やってみようかな・・」
「私も。最近ちょっとね・・」「あんたらね・・」ズバアッ!ドピュウウウ~ッ!「う~ん、飛び散る鮮血と脳漿!
やっぱ子連れ狼は劇場版に限るわ~。よろきんのTV版じゃできないしね♪」「・・ナディアはまだやっとんのか。」
みなさんお待ちかね!私たちだってガンダムが欲しい!
そこで発動、ガンダム入手の大計画!
はたして成功するのか?クレオに黙ってていいのか?
次回、機動武闘烈伝ダブルGガンダム第34話
「私たちのガンダム!フォアカードの大作戦」に、レディー、ゴーッ!
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第34話「私たちのガンダム!フォアカードの大作戦」
名出屋城最上階、重役共同オフィス。日本滞在中のアレクサンドラグループの大本営である。クレオはお出かけ中。
「クレオにはああ言ったけど・・私も自分のガンダムが欲しいな~。」「マリア、格闘はマーシャルアーツだったよね。」
「一応世界大会で優勝はしたけど・・5年も前の話だからね。」「マリアは頭脳で闘うほうだからね。戦略や戦術を
作るのは誰にも負けない・・」「ちょっと待って・・それよ!」『え?』「なにも格闘するだけがガンダムじゃないわ。
戦術解析用や情報収集用のガンダムがあってもいいじゃない!」「それよ!できる、できるわ!私たちのガンダムが!」
ハードウェア事業部・設計室。最新鋭設計装置がズラリとならんでいる。「まずは設計ね。みんな、自分の欲しい装備を
リストアップして。マリアは?」「そーね・・衛星リンク情報システム、戦略用サポートAI、多次元通信機・・自衛用に
インパクトトンファーが欲しいわ。」カチャカチャ・・「なるほど・・C3Iね。シルビア。」「やっぱ電子戦装備ね。
ダミービット、EECM、ハック用AI、レドーム、ジャマーポッド・・接近戦用にビームチェンソー。」「チェンソーとはまた
通なものを。ナディア。」「ステルス機能、情報収集・整理用AI、多次元視覚・センサーユニット、画像解析システム・・
武器は超振動ニードルと、左手に超振動フィンガー。」「思いっきりシュミに走ったわね。」「ヨーコは?」「データバンク、
応急修理キットくらい・・かな。武器は「最後の審判」。」「やっぱり使うのね・・あの霊刀。」「切ると呪いのかかる
神木に百日間参拝して、満願の日に目の前に落ちてきた枝をいただき、百日かけて削り出した霊刀・・最近闘わなく
なったんで、夜泣きしてたのよ・・闘いたい、敵を砕かせろ・・ってね。毎晩抱いて寝て鎮めてやってるんだけど・・」
「やっぱり・・」「思ったとーり・・」「夜伽用・・」ひそひそ。「ちが~う!」すぱぱぱあああーん!(スリッパ)
「さて次はガンダムのデザインね。このデータバンクには歴代の名機のデザインパターンが入ってるわ。その中から
私たちの要求条件に適合したパターンをセレクトしてくれるわ。いくつものバリエーションがあるから、自分の気に
いったコンポジションを選んで。3Dで見れるから、組みあわせやすいわよ。」『どれどれ。』ピッピッ♪パパパッ。
「へえ、着せ替え人形みたい・・あ、これがいいみたい。」「んじゃ登録するわ。名前はちゃんと考えてきた?」
「ええ。ガンダムトレーシー。」「どーゆー由来よ・・いいけど。」カタカタ・・タン。「私はガンダムイリュージョン。」
「ナイスね。ナディアは?」「必殺ガンダム。」ばたっ!「・・日本語は登録できないの!」「じゃあ・・デビルガンダム。」
ばん!「バカ者!ほかにせい!」「ん~と、ガンダムナイトメア。」「おっ、いい名前じゃん♪ナイトメア・・っと。」
「ヨーコは?」「あたしはガンダムジャッジメント。」『そのまんまやないか!』すぱあああーん!x4(スリッパ)
「あいた~、みんなでしばかんでもええやん!」「あんたホントに江戸っ子か?」「ネオ大阪の間違いじゃないの?」
「と・・とにかくこれで設計仕様ができるわ。さて・・肝心の資金だけど、ナディア、いい手があるって?」
「マルローネに相談したんだけど、工房にころがってる部品を譲ってくれるって。一体ぶんだけどね。」
「たった一体ぶんじゃあ・・」「話は最後まで聞いて。ヨーコ、グループ技術本部なら雛型があればそれ以上の部品を
作れるよね?」「・・あっ!その手があった!」「とぼけないの。なんでガンダム設計プログラムがここにあるわけ?」
『あ・・』「・・いや~、実はうちの連中も興味もってて、半分シュミでいろいろ基礎研究してたんだな、これが。」
「なんだ。もともとその気だったんじゃない。」「問題はガンダリウム合金。コロニー連合できびしく管理されてるから。」
「その点は解決できそうよ、ヨーコ。」「マリア、どういうこと?」「実はね、ネオマリネラのルートが開拓できたの。」
『ネオマリネラ?!』「コロニー連合非加盟国の!」「地球で唯一のガンダリウム鉱床を有する小島国の!」
「そう。どうしても欲しい情報があるからそれと引き換えにってね。・・あ、これクレオには内緒よ。」「情報って?」
「それはもうシルビアに頼んであるけど・・」「ばっちりよ。マチルダといっしょにハッキングしてきたわ。これ。」
ピピピッ♪「ヨーコ、鑑定して。」「あたしゃ鑑定士じゃないけど・・あ、技術情報か。・・遠隔思考制御システム・・
ちょっと待て!」「なに?」「これネオフランスのビット兵器の情報じゃない!どこでちょろまかしてきたのよ!」
「ネオフランス機密バンク。」「カンペキな犯罪でしょ!クレオが知ったら懲戒免職よ!」「足跡は残してないから
盗られたことさえ気づいてないわ。」「・・わかった、シルビアにゆったあたしがバカだった。」「で、価値は?」
「ガンダリウム合金一年ぶんでもお釣りがくるわよ・・」「このコピーを向こうに渡してめでたく契約成立よ。
とりあえずガンダム10体ぶんの合金をもらえることになったわ。技術本部に送っとくわね。」「はいはい・・で、
表向きは提携の引出物なんでしょ。」「わかってるじゃない。」「犯罪集団・・こうなりゃ毒食らわば皿までか。
基礎部品と設計図と合金が揃えばあとは簡単よ。うちの連中なら一週間もあれば自作できるようになるわ。四体なら
二週間てとこね。量産試作とすれば波風も立たないでしょ。」「さすが・・」『さすがはフォアカードね。』はっ!
つかつか・・すっ。「ただいま♪」『クレオ?!』「今日は総師さまと会ってたんじゃ?!」「早めに終わったから
戻ってきたのよ。」「・・どのへんから?」「ん~と、ヨーコがしばかれたあたりから♪」『おいおい・・(-_-;;』
「お話は聞かせてもらったわ・・私をさしおいて、勝手なマネしてくれるわね。」ユラ・・『い・・いえ・・』
「マリア!」びっくう!「はいぃ!」「ネオマリネラがくれるガンダリウム合金は10体ぶんなのね。」「は、はい。」
「いいわ。その線で進めて。」『・・え?』「ヨーコ、技術本部へ国際電話。ただちに試作の準備にかかるように。」
「お?」「ただし、試作ガンダムは5台・・よね?」ぱちっ♪・・はっ!「そ、そーですとも!ささ、こちらへどーぞ。
ご要望の装備は?」「デザインはいかように?」「お名前をどうぞ~♪」「そうねぇ・・どっしよっかな~?」
ワイワイ。「あ~、よかった・・ヘタすりゃまとめてクビだったわ・・」「マリア、お茶!」「はいはーい!」
二週間後、ネオアメリカ・ニューヨーク。クインズ区にあるクレオとフォアカードが共同生活している大豪邸。
セントラルパークより広大な敷地を持つ。日本支社に長期出張していたナディアもひさびさに帰国している。
「できた!できたわよー!私たちのガンダム!」『ええっ?!もう?』「うちの技術陣をなめるなっていったでしょ。
午後には搬入されるわ。はい、それぞれのマニュアル。目を通しといてね。」ドサッ!『え~っ!こんなゴツイの!』
「午前中じゃ読みきれないわよ!」「そーいうと思って、ビデオにまとめといたわ。これよ。」『それを最初にいえ!』
「でも60分一本だけ?」「基礎はどれもいっしょだから。それぞれの装備はマニュアルを参照して。」ガチャ。
『・・このようにMTSではフィードバック反応時間に感覚的にですがわずかにタイムラグがあるのを心得てください。
ではこれで基礎編を終了します。それでは楽しいガンダムライフを。』・・「・・もうおしまい?はやっ!」
「思ったより簡単なのね。」「MTSのポリシーを生かして、全て脳波指令もしくは音声入力で使えるよう設計したの。
マニュアルは万が一の時のための手動操作とメンテ調整用よ。あたしお手製のAI使ってるから、けっこうアバウトな
指示でも適確にレスポンスしてくれるはずよ。」「そういえば日本支社ではさかんにファイトのデータ解析してたわね。」
「で、一つ気になるのは品質なんだけど・・」「本部に部品で納入したのは、全てのパーツのノウハウを知ってさらに
改良を加えるため。とはいえさすがにマルローネ、ウチのスタッフも目を剥くような高品質だったのでみんなすっかり
エキサイトしちゃって、徹夜もかまわずいじりたおして、今や元メーカー以上のエキスパートになっちゃってるわ。
全てのパーツにウチ流の改良が加えられ、モノによっては丸ごとグレードアップしてあるから、既製品のより軽く
1.5倍は性能が向上してるわ。」「さすが技術と品質のヨーコ軍団ね。」「おかげで自社開発ができるようになったわ。
あとは実働データをバンバン取ってやれば、いくらでも改良・バージョンアップは可能よ。フルハウスなんかの
ガンダムはうち所属じゃなかったんで、そういったデータがノドから手が出るほど欲しかったのよ。」「じゃあ私たちは
テストパイロット代わり?」「メンテ費用は技術部で持ってくれるんだから、そのくらいは義務のうちよ。」
「しつもーん。マルローネの部品はどうしたの?」「ああ、貴重なサンプルとして食堂に飾ってあるわ。」『はあ?』
「どうせ作るならこれくらいはやれ!というお手本ね。技術長がうまいこと言ってたわ・・宝石が詰まってるって。」
「さすがはマルローネね・・」「あたしらと変わらないくらいの年齢なのにすごい技術だよ・・いったい何者?」
「ザルツブルグで小さい店を開いてたのをスカウトしたの。過去はうちの情報部でもわからなかったわ。というより、
もともと存在しなかったというのが精確かしら。」「・・存在しなかった?」「そう・・世界の隅々まで探しても、
彼女のデータはなかった・・まるでいきなりこの世にわいて出たとしか思えないわ。」「うす気味悪いわね・・」
午後。ズズズズ・・「この振動は・・ガンダムキャリアーのコンボイ!来たきた!」ダダッ!ドドドドド!
「社長~!お待たせしやした!」「おやっさん、わざわざありがとう~!」「やっぱ社長たちの乗るガンダムですんで、
あっし直々に見届けないと心配でね。裏へ回すんでしたね。」「そう、裏にドックが作ってあるから、そっちに入れて。」
「野郎ども!荷降ろし準備だ!」『へーい!』ドドドド・・「相変わらずバンカラね~、技術長。」「職人としての腕と
誇りは世界一。でもあーいう性格なんで、他のメーカーでは受入れられなかったんです。」「でもおかげでウチの製品は
ネオジャパン以上の品質で世界の信用を得てます。やっぱヨーコとクレオの人を見る目は確かね。」「部下も技術屋と
ゆーより、ドカチンみたいなのばっか。」「世界じゅうから性格はともかく腕だけはたしかな連中をかき集めたからね。」
カーン。ガガガガ・・「しかし何だね、おりゃいろんなキカイ作ってきたが、こんな綺麗なヤツは初めてだぜ。
なんか娘を嫁に出すような気分だぜ・・」「そう思ってくれるおやっさんだからこそあたしは全てを任せられるのさ。
なんせこいつらはあたしらの分身、いや、あたしら自身になるんだから・・」「・・ああ、社長のヤットウな、
俺が直々にヤキいれといたぜ。納品のままじゃ御本尊が怒ると思ったんで、コイツが納得いくまで鍛え直した・・
どーやら満足してくれたようだ・・返すぜ。」「手間かけさせたね・・」「なーに、手のかかったヤツほど可愛いもんだ。
今のあれなら、たいがい後れはとらねえよ。」「・・そうだね。」「しかし・・おりゃこの年になって技術というものの
奥深さを改めて実感しましたぜ。」「・・マルローネの部品か。」「あれを見ちまったのが年貢のおさめどきだ。あっしゃ
まだまだひよっ子だ、なんにもわかっちゃいねえ。ああいう仕事ができるんだねえ・・」「そういう向上心があるかぎり、
隠居はまだまだだって。」「頂点をきわめたなんて、思い上がりも甚だしい。本当の頂点はまだまだ上でしたぜ。」
「こんどまたネオジャパンへ行く予定があるから、おやっさんも来るかい?」「いいですねえ。いっぺんその神業師に
会ってみてえな。」「孫娘くらいだよ。」「技術に年期は関係ねえな・・要は腕、だな。」ぽん。「年期も大事だって。」
「できやしたぜ。」ゴォォ・・「はぁ・・きれい・・」「これが・・私のガンダム。」「ついに・・夢が現実に・・」
「・・なんか、涙でてきちゃった・・」ぐすっ。「よろしくね・・あたしのガンダム。」ジ~ン。ツツ・・
「・・ん。技術屋生活60年。こんなに喜んでもらったのは初めてだぜ。・・これぞ技術屋の本懐・・だな。」ぐしいっ!
『へい!あっしらも、技術屋冥利に尽きるってもんです!』「よーし野郎ども、最終調整にかかる!配置につけ!」
『おーっ!』ダダダダッ!「社長たちがコクピットに入る。装着圧力は初期設定通り、確認しろ!」『確認!』
「モビルトレースシステム、作動!」ギュ~ン。「シミュレーションでさんざか訓練したんだ!ヒザなどつくものか!」
ギュギュギュゥ・・「ん・・いける!」ギュギュギュ・・「ぅおおーっ!」ギュギュ・・「・・よしっ!」ギシィッ・・
「はぁ・・」『装着完了!』「起動せよ、ガンダム!」ギン!「はああっ!ガンダム・トレーシー!」ガキーン!
「はあっ!ガンダム・イリュージョン!」キュィィーン!「はーっ!ガンダム・ナイトメア!」ピキーン!
「おおりゃーっ!ガンダム・ジャッジメント!」ヴォン!「ギャラクシー・ガンダアアームッ!」ジャキーン!
「よし、最終調整開始!まずは各ガンダムの装備動作確認、はじめ!」「・・トレーシー完了!」「イリュージョン
問題なし!」「ナイトメア完璧です!」「ジャッジメントよし!」「ギャラクシー文句なし!」「次は実働テストだ。
パイロットとガンダムが一体化するまで徹底的にやるぞ!」『はい!』『おおーっ!』「バグは1ビットも残すな!」
「・・いょーし、完璧だ。これで終了!」『はぁっ、はぁっ・・』『ぜいぜい・・』「ガンダムを格納しろ。・・いやいや、
ご苦労さんでした。」『あ"~・・疲れた・・』がくっ・・「ちょいと強行軍だったが、一日でなんとか済みやした。」
「さ・・すが・・おやっさん。」「あ・・ありが・・とう。」ぜいぜい・・「だいぶ息があがってやすね。まあそのうち
慣れてくでしょう。・・自分で組んどいて言うのもなんだが、いいキカイだぜ、こいつら。」「そ・・うね。」
「さて、帰るか・・お?もう午前2時か。よーし野郎ども、集合。明日・・もう今日か・・は俺は出社するが、
お前らは休んでいいぞ。ご苦労だった。」『そんな!親方が出るというのに、あっしらが心安らかに休めますかい!』
「・・それもそうか。じゃ、俺も休むわ。社長、有休届けはあとで。」「いいよ・・全員特休扱いにすっから。あとで
リストだけで。」「あ、こりゃどーも。まあ一日くらいは残留組でなんとかなるわな。そのつもりで手配しといたし。
じゃ、あさって会社で。」『おやすみなさいやし~!』『おつかれさま~・・』「夜中だからゆっくりいけ。」ゴゴゴ・・
「はぁ~、終わった・・」ばたん。「し・・死ぬかと思った・・とんでもないペースだったわ・・」「こりゃ今度の
ボーナス奮発しないとね。ここまでやってくれたんだから・・」「そうね・・でも、ついに・・」「ええ・・私たちの
ガンダム・・」ゴォォ・・「し・・しんどいけど・・うれしい。」ばたっ。「こりゃ確かに・・体重減るわ・・」
その朝。ほぼ全員が撃沈。「あ"~、体が、頭が痛い~。」「普段以上に体に負担がかかったし、慣れない脳波も使い
まくったし・・体と脳が悲鳴をあげてる・・」「こりゃ、今日一日は起きることもできないわ・・」「う~、鎮痛剤~。」
「たく、みんなだらしないわね~。」つかつか。「ヨーコ・・よく平気ね・・」「身体は普段鍛えてあるし、あたしの
ジャッジメントにはややこしいオプションついてないから脳波もバルカン用程度。」「さすがに機械を知ってるわ・・」
「シンプル・イズ・ベスト。さ、朝ごはんよ。」カラカラ。「シミュレーションでさんざん練習してたのにねえ。」
「シミュレーションはホンモノとちがう~。あんなのゲーセンだよ~。」「ま、レーシングゲームから本物のF1に
いきなり乗り換えりゃ、体も脳もビックリするわな・・はい、クレオからあ~んして。」「ア~ン。」ぱく。
「・・グッ!から~っ!」ボオオッ!「なにこれ?!」「技術本部食堂名物、激辛カレーライス。そんな疲労一発で
吹っ飛ぶよ。ほれ、もう一口。あ~ん。」「わたし薄味党だってば~!」「ほれほれ、元気出てきたじゃない。」
『そんなに辛いの?どれ・・』ぱく。・・『・・はああーっ!』ボオオオーッ!「ゲホゲホ!」「水みず!」
「そんなに辛い?」ぱく。もぐもぐ。「ん、ほどよい辛さじゃん。」『体育系のヨーコといっしょにすな~!』
みなさんお待ちかね!いよいよネオナチスと戦争だ!
女帝のフォアカードと皇帝のフルハウスの連合軍!
敵はアルプス秘密基地!いまこそ唸れ「最後の審判」!
次回、機動武闘烈伝ダブルGガンダム第35話
「強襲!ナチスアルプス基地を叩け」に、レディー、ゴーッ!
第35話「強襲!ナチスアルプス基地を叩け」
ニューヨーク。「みんな集まったわね。」「何事です、クレオ?」「ネオナチス関連の情報が入ったわ・・ナディア。」
「情報局と暗黒街ネットワークからの最新情報によると、ネオナチスの地球残留組が動いたわ。モビルスーツを
大量に準備してるそうよ。」「ウラル山脈要塞?あそこはアレが完成するまでは手を出さないって以前決めたよね。」
「いえ、スイスにある秘密基地の話よ。どうやらスイスを占領してヨーロッパ侵攻の足がかりにする算段ね。」
「ウラルと連携されると、うっとうしいわね・・」「今のうちに叩き潰す・・べきだね。」「「世界」がいればね・・
簡単に済むんだけど。」「いないものはしょうがないわ。・・どうする?」「NATOを動かす?」「いえ、大っぴらに動くのは
まずいわ。ウラルが気づいて、それこそ大戦争になっちゃう。」「そうね。見ないフリしてもらうだけにしましょう。」
「ネオスウェーデンのフルハウスに連絡とって。参謀本部には私が仁義をきるわ。ワシントンとクレムリン、
ジュネーブとのホットラインを。」『はい。』「私たちも応援に行きましょう。この際、頭数は多いほうがいいし。」
ネオスウェーデン軍基地。「ふむ・・わかった。じゃ、三日後に。・・全員集合。」「何事ですか、隊長。」わらわら。
「女帝から出動要請だ。目標はネオナチスアルプス基地の壊滅。あさってまでに準備をしておけ。第一級戦闘装備。」
『了解。』ザワザワ・・「ついに初陣か。」「なんかゾクゾクするよね。」「ああ、言い忘れた。今回の作戦には応援が来るぞ。」
『応援?』「だれですか?」「なんとまあ女帝とフォアカードだと。」「・・あの人たち、戦力になるんですか?」
「そうバカにしたもんでもないぞ。お前らまではいかんが、そこそこは使えるぞ。」「・・マリアさんはマーシャルアーツ、
ヨーコさんは薩摩示現流・・よね。」「ナディアさんは暗殺術・・シルビアさんとクレオは知らないな。」「まあ、頭数は
多い方がいいけどね。」「私たちだって本格的な実戦は今回が初めてなんだから。」「お手並み拝見といきましょうよ。」
三日後、スイス・チューリッヒ。「ここにドーム球場があるなんて知らなかったわ。」「1年前にできたばかりよ。
スポンサーはうち。」「確かにここならガンダム待機させるには最適ね。」「見本市の準備と称して大型車が出入りしても
怪しまれないし・・あ、来たみたいよ。」ゴゴゴゴ・・キキイッ。「よう。・・あんたたちいつの間にガンダムなんか。」
「いろいろあってね。」「ま、いいや。・・なかなかいいガンダムだな。」「あ~、疲れた。ガンダム積んでエッチラオッチラ
8時間。いーかげんお尻が痛いわよ。」「向こうさんに気取られるわけにはいかないからね。」「わかってるわよ。降ろそ。」
ゴォォォ・・「ガンダム10体も並ぶと壮観だね~。」「クワトロさんのガンダムって初めて見たわ。」「ほとんどモスボール
してるからなコマンドガンダムは。」「ええっ?!それって、あの!」「さすがにヨーコさんは知ってるか。」「なんなの?」
「12回大会でブリテンガンダムを破った伝説の重武装ガンダム。これが・・」「まあすぐ後にクーロンにやられちゃった
けどね。」「軍用としては最強の座はいまだ譲ってないはず。ディティールが変わってるんで気づかなかったわ・・」
「あれからは新兵器テストベッドとして、さんざかいじくったからな。いちおー昔の状態には戻してきてるよ。」
「へえ~、これが女帝とフォアカードのガンダムか~。」「私たちのより性能よさそうね。」「でも実戦は今回が初めて。
ドンパチに関してはあなた達のほうが先輩なので、どんどん指示してもらっていいわ。」「いえ、私たちも訓練は
してきましたけど、実際のドンパチは今回が初めてなんです。」「あらそ・・でも訓練してるだけマシよ。私たちなんか
シロート同然だもの。もっともヨーコあたりは早速世界のあちこちの現場で建設サポート、油田火災、ゲリラ掃討
なんかで使いまくってて、経験値は高いみたいよ。」「ナディアさんのガンダム、ステルス仕様なんですね。」
「ええ。光学迷彩システムも搭載してて、各種センサーはもとより、目の前にいてもよ~く見ないと判別できないのよ。」
「それいいな~。今度私のジュピターにもつけようかな・・」「シルビアさんのは電子戦仕様ですね。私のマーキュリー
に似てます。」「そーだ、アニー、ちょっと聞きたいんだけど、ミサイルスチーラーの使い方で・・」「ああ、それは・・」
「お~いみんな集まってくれ。作戦会議をやるぞ。球場内ホテルの会議室だ。ディナーも準備してあるから晩メシを
食いながら話そうや。」『はーい。』「ガンダムどうします?」「うちの護衛部隊が監視してるから大丈夫よ。」
カチャカチャ・・「さて、作戦の説明にはいろうか。」「これが目標の秘密基地。ここから20キロほど山奥にある
電子工場にカモフラージュした施設です。モビルスーツの所有数は約百機。」「一個師団か・・意外と多いな。」
「次は保安システム。ナディア。」「はい、これが配備状況です。全域に渡って監視塔やセンサーが張り巡らされています。」
「こりゃコソコソするより正面玄関から乗り込むのが簡単だな。」「2面作戦がいいかと思われます。一隊が正面から、
もう一隊が混乱に乗じて手薄になった裏手から。」「それがベストだな。陽動は引き受ける。それでいいか?」『はい。』
「では私たちは15分後に裏手から突入します。作戦開始時間は払暁。」「賛成。明日の日の出は午前5時。それに隠れて
突入するのがいいだろう。明朝4時に出発。作戦開始時間は4:45。どうだ?」『異議ありません。』「さてと、それまで
仮眠しときたいけど?」「このホテルは貸し切りにしてます。お好きな部屋へどうぞ。」「そりゃいいね。おいお前ら、
ロイヤルスイートでも使えや。滅多にない機会だから。」『ラッキー!』「けどいいんですか?クレオたちこそそういう
高級部屋に入るべきでは。」「だいじょぶだいじょぶ。私たちは普通の部屋で。」「いつもスイートだと飽きちゃうの。」
「あたしゃいっつもシングルだけどね。」「こないだの出張はどこも満杯で幽霊部屋に入ったんだって。」『うわ~。』
「出ました?」「ああ、出たでた。朝まで遊んだら次の日は出なくなったけど。」「幽霊で遊んだんですか・・(-_-;;」
「『最後の審判』のおかげで金縛りとかは無かったしね。あ、そのときの記念写真あるけど?」『いらんいらん。』
最上階、ロイヤルスイート。ガチャ。『うわ~!』「すっごい豪華な部屋!」「こーんな広い部屋に泊まれるなんて!」
「すご・・ワンフロアまるごとそうなのね。」「こっちに端末あるよ。インターネットしたい放題だって!」
「エロサイト見よ!」「うわ~、こっちには豪華AVセットまであるよ。DVDライブラリの映画どれでも無料だって。」
「おっ、ミニバーみっけ。みんなカクテルでも飲む?」「マンハッタン!」「ダイキリ!」「ブラディーマリー!」
普通のシングルルーム。「クレオ、時間になったらおはコール入れますから。」「よろしくマリア。・・さてと。」
ガチャ。「へえ・・シングルってとことんせまいのね。」カツカツ。ガチャ。「こっちがバストイレか。せま~。」
どさっ。「ん~・・はあ、たまには一人きりってのも落ち着くな・・ん?冷蔵庫みっけ。」ひょい、ガチャ。
「・・ありゃ、ビールがない。ソフトドリンクばっか・・メモ?」カサ。【未成年はダメですよ♪ マリア】
「あんにゃろ~!」ビリビリ!「もう怒った。スケベな有料チャンネル朝まで見てやる!」ピッピッ♪「・・なぬ?」
【この部屋はキッズガード指定されています。あしからず】「があああーっ!ここまで手ぇまわすか、フツー!」
隣のシングル(マリアの部屋)。「ふふっ、荒れてるあれてる。」「マリアも根性悪いね~。ちょっとくらいいいじゃん。」
「私はクレオの主席秘書だから。シャバっ気を抜いてマイフェアレディに教育する義務があるわ。」「そうかな?
クレオはちゃんとフォーマルとカジュアルは使い分けてると思うけど。」「私から見れば付け焼き刃のアラだらけね。」
「あ~、マリアはネオフランス王家に近い家柄だからね。」「生まれたときからホンモノを見てきたわけか。それじゃね。」
ガチャ。「お待たせ~。街でいろいろ買ってきたよ。」「待ってましたシルビア。」「ほれまずは缶ビール。ドイツのいい
銘柄がそろってたわ。」「黒ある?」「あるある。ヨーコ用にいっちゃん濃そうなの選んできたわ。」ぽい、ぱしっ。
「あとはつまみのキャビアとフォアグラとソーセージにアンチョビね。」「割り箸はちゃんと用意してきたよ。」
「今夜はクレオが別だからしっかり飲めるわね。」「マリア、それ狙ってたのね。」「そゆこと♪じゃ、飲もうか。」
コンコン。『ん?』「誰かな・・あら。」ガチャ。「よお、やってるな。」「クワトロさん?」「これショバ代。」ひょい。
「おっ、清酒の一升ビンとスルメじゃん。どうぞどうぞ。」「おじゃまするよ。」「黒一点か。まあ大佐ならいっか。」
次の日、03:55。「さてと・・みんな目ぇ覚めてるか?」「ベッドがフカフカでしたんで、グッスリ眠れました。」
「たまにはVIP気分もいいよね。」「そりゃよかった・・あれ?アリシアは?」「おトイレです・・まだ。」「あいつの
ウンコは長いからな~。ま、出撃前に出せるくらいなら、いい度胸なんだろうな。」「お、お待たせ~!」ばたばた。
「おお来た。ちゃんと出しきってきたか?スーツの内で漏らすと、えらいことになるぞ。」「は、はい!」『くすくす。』
「あれ?クレオとフォアカードは?」「ああ・・ま、時間は守るだろう。気にする必要はない。」「・・ははぁ。大佐、
だいぶ飲ませましたね。」「さてな。あちらも大人だ、寝坊はしないさ。ほんじゃ出撃するよ。」『了解!』ザッ!
同時刻・・プルルル。「ん~・・」カチャ。「はいもしもーし・・」『クレオ、時間よ。』「わーった・・」チン。
シャァァァァ・・「ブルブルブル!・・目覚めの冷水シャワーはよう効くわ。」ぐしぐし。「急がなきゃ。」バサバサ。
ガチャ。「モーニン。」「時間どおりね。朝食のサンドイッチと水筒よ。」ぱし。「おっけ。急ぎましょ・・ん?!」
「なんですか?」「マリア、香水つけた?」「え?」「かなり酒くさいよ。」ぎろっ!タタタタ・・「ありゃ~・・」
儀装基地。・・ポンポンポンポ~ン♪『あ~あ~、ネオナチスのみなさま。夜勤ごくろーさまです。』「な、なんだぁ?」
『これよりそちらをブッ潰しますので、闘うなり逃げるなりお好きにどーぞ。では、パーティータイム!』ドガガガガッ!
「敵襲!」♪ウ~ウ~ウ~!「総員起こし!」ドカドカドカッ!「モビルスーツ隊は緊急発進せよ!」ザッザッザッ!
「おーおーウジャウジャ出てきた。お嬢さんたち、ダンスタイムですよ。パートナーは選びほうだい。かかれ!」
『おおっ!』ゴオッ!「月光閃!」シュッ!スパアアアーン!「凍結連弾!」シュババババッ!カキキキーン!
「火輪曼荼羅!」ドヒュヒュヒュッ!ボボオオオーン!「ボルテックランチャー!」ピシャアアアーン!バリバリバリ!
「みんな起き抜けでも動きのいいこと。こっちもやるか。セメントグレネード!」ズドン!バシャアッ!「ヘタに動くと
オーバーヒートするよ。おとなしくマトになってちょーだいね。」ガガガガッ!「よく当たるね~。・・ん?」ドドドッ!
「おっと、突っこんできたか。コマンドナイフ!」シャッ、ズバアッ!・・ズル・・ドドーン!「ん?ちょいと砥ぎが
甘かったか?もっとこうサクッといくはずだが・・ま、いいか。」『隊長!ブツブツ言いながら戦わないでください!』
「あ、ごめん。通信機オンにしたままだった。」プツン。「隊長はいつもああだから・・」「でも、メチャ強いよ・・」
基地の裏手。「・・ハデにやってるわね~。」「おかげでこちらはスキだらけ。ちょっと先行して、イヤなポイント
黙らせてくるわ。」『オッケ。』「光学迷彩。」スゥ・・「・・消えた?」「レーダーからも消えたね。さすが・・」
♪パ~パラリラ~♪「ん?なんだこの音楽は。」・・ドスッ!「ぐはっ!・・」ピクピク・・ガクッ。「ひとつめ。」
「うわ・・コクピット直撃。」「モビルスーツのパイロットを狙い、なおかつ爆発させないとはお見事だね。」
♪タタターン、タラリラリラリラー♪「変な音楽が混信するな・・」ドギュ!「なんだ?!」フッ・・
「ブラックアウト?管制室!・・通信もダメ?」ガチャガチャ。「ハッチまで!手動でも開かないなんて!」
「五つ。これでよし。」「やるう・・装甲の隙間に指を突きこんで、動力系統を完全にオシャカにしたよ。」
「ナディア、けっこうやるわね・・」「すっかり気分は仕置人ね。」「テーマ曲まで開放回線で流すのはやりすぎよ。」
「・・時間よ、クレオ。」「よーし。全員突入!」『おーっ!』ダッ!『なにっ?!』「裏手から新たな部隊が出現!」
「見張りは何をやっとった!」「カードビット!」シャシャッ!スパパッ!「私のトンファーは痛いよ!」ダッ!
ボゴオッ!バキイッ!「さあ、ミサイル撃ってきなさい。」シュドドドッ!「きた・・ミサイルスチーラー稼動!」
ビィィィ・・クルッ。「ノシつけて返したげるわ!」ズドドドーン!「誘導兵器はみんな私のものよ。とどめは!」
ブイイイイーン!「ビームチェンソー!」ドギャルルルルッ!「ラスト・ジャッジメント!」ズドーン!ドドドドッ!
「「最後の審判」、ひさびさに思いっきり戦わせてあげるよ!こんどは二台まとめて砕け散れ!」ビュン!ドバギイッ!
「のさばる悪を何とする。」ズブッ!「天の裁きは待ってはおれぬ。」ドキュ!「この世の正義も当てにはならぬ。」
ピーン、ズドッ!「闇に裁いて仕置きする。」わしっ、ゴキュキュッ!「南無阿弥・・陀仏!」ドドドドーン!
『うわ~・・』「フォアカードってあんなに強かったのね・・」「現役軍人の私たちが負けそ・・」「そうでもないさ。
みんなの戦闘スタイルはいわゆる武術家のものであって、ソルジャーではないしな。」「どういうことです大佐?」
「よく見てみな、ほとんど個人芸だろ?」『あ・・』「私たちみたく連係ができてないわね・・」「集団戦の基本を
知らないんですね。」「あれじゃ戦力差のある状況では各個撃破されますね。」「今回は私たちが死角をカバーする形に
なってるから目立たないけど、たしかに・・」「だろ。うちは基本をふまえつつ独自に戦ってるからいいがな。」
「でも、それをさっぴいてもヨーコさんとナディアさんの動きが際立ってますね。」「あの二人は特別さ。ヨーコさんは
他のメンバーの背後を守る形をとってるし、ナディアさんは逆に敵の死角をつくことで敵の連係を乱している。」
「たしかに・・あぶなっかしい他の三人をうまくカバーしてる。」「どれだけ修羅場をふんだかの経験の差だな。」
「前から気になってたんですけど、ナディアさんのことって他のメンツは知らないんでしょうか?」「知らんはずだ。
俺も口止めしてたのはおぼえてるな。」『・・はい。』「念を押しておく。しゃべったら命が無いと思え。」『・・・・』
「おーし、だいたいかたづいたな・・ん?」ゴゴゴゴ・・「中央の建物が開いた?」ズズズズ!「・・なんだと!
あれはモビルアーマー!」「ファントマよ!」「ちょっちヤバイよ、これ!」「全員散開!主砲の大型メガ粒子砲を
食らったらイチコロだぞ!」ガゴン。ドヒュヒュヒュッ!「ミサイルの雨!・・シルビア!」「まかせて。妨害!」
ヒュィィーン・・ヒュルルル・・「ミサイルが回れ右?!」ズドドドドーン!「どう?これがイリュージョンよ。」
「さすが電子戦仕様・・あれ?」ズズズズ・・ズーン!「やだ効いてないじゃない!」「ヤツの装甲はケタ外れだ。
チャチなミサイルや銃ではビクともせんぞ。」「さすがビグザムの流れをくむ重機動メカね・・」「あたしにまかせろ!」
ダッ!『ヨーコ?!』「こいつはあたしと『最後の審判』のエモノだ、誰も手ぇ出すんじゃねえ!」ビィィィ・・
「い、いかん!巨大ビーム砲が!」ズドオオオーン!「それがどうした!ちぇすとおおおおーっ!」ズバアアアアーン!
『おおっ!』「し・・信じられない!」「ビームをインパクトソードで斬り裂くなんて!」「そんなもん、あたし達には
きかねえ!吼えろ『最後の審判』!」オオオォォーッ!ギーン!『あれは!』「ジャッジメントが・・黄金に輝く?!」
「あれはまさかシャッフル同盟の!」『ハイパーモード!』「いえ、ヨーコとあの刀なら、できるかもしれない!」
バオオオオーッ!「いくよ。・・てりゃあああーっ!」ドン!ドヒュヒュヒュッ!「ミサイルなんか当たるか!」
シャシャッ!ドドドドドーン!「ミサイルが追尾しきれない?!」「ガンダムにあれだけのスピードと機動性が!」
ガキン、グワアッ!「ジャイアントアームが!」「ちいっ!」「まかせて!」シャッ!「ナディア?」「そこよ!」
シュピィィーン!ドスッ!ぴたっ・・「アームが止まった?」「駆動指令系を破壊したわ。とどめよ!」「さんきゅ!」
シャッ!「もらったあっ!」ダーン!「一刀粉砕、ファイナル・ジャッジメント!ちぇすとおおおーっ」ズドオオオーン!
ズバシャアアアーン!『おおっ!』・・ザシャアッ!「・・どうなったの?」「決まったな。」ビュン!「往生しなっせ!」
ピキッ、ピキピキピキ・・「ファントマに・・ヒビが!」ボオン!ドンドンドン!ドカアアアーン!『やったー!』
ゴゴゴゴ・・「ヘリ?・・あれは?」「NATOが後始末をつけにきてくれたのさ。俺たちはここまでということだ。」
「終わった・・いや、始まったわね。」「ああ。これがネオナチスとの戦いの始まりだ。」「ウラルへの道は遠いわ。アレが
完成するまで、まだまだかかる。」「それまでは俺たちで何とかするよ。」「頼みます、「皇帝」・・さて、帰ってねよ。
朝早かったんで、ね、む、い、ふぁ~。」「俺も・・この年で朝起きはこたえるぞ~。」「まだ30前でしょが・・」
「ヨーコ、彼氏の機嫌は?」「うん、ひさびさに歯ごたえあるのを砕いて喜んでる。」「しっかし、ハイパーモードとはね・・
ファイブカード並みの戦闘力あるんじゃない?」「ガンダムファイトに出たら、いいとこまでいくかもね。」
「・・キング・オブ・ハートとは一度やってみたいな。大会済んだら、ギアナに殴りこみにいこうかな?」
「剣だけじゃつらいかもよ。格闘技が本職だし。」「爆熱ゴッドフィンガーをどう破るか、考えてみようっと。」ふっ。
みなさんお待ちかね!ヨーコみたいなマジックウェポンが欲しい!
ヒマラヤの先代「世界」が作ってくれる!
それではさっそくヒマラヤ登山だ!寒さも空気の薄さもなんのその!
次回、機動武闘烈伝ダブルGガンダム第36話
「伝承!マジック・ウェポン」に、レディー、ゴーッ!
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第36話「伝承!マジック・ウェポン」
マンハッタン。「たっだいま~。」「お帰りなさい、ヨーコ。」「今回もハードスケジュールな出張だったわね。」どさっ。
「いや~、まったく殺人的。さすがにまいったわ。」「三日で六カ国なんてムチャな日程立てたの自分でしょ。」
「よく体こわさないものね。」「よっぽど体が頑丈にできてるのね~。」「ああ、半分は彼氏のおかげよ。」「あの木刀?」
「そう。抱いて寝たら、夜のうちに疲労やちょっとした病気は全部治してくれて、翌朝はスッキリ。時差ボケさえ
したことないわ。」「へぇ~、うらやましい。私にも貸して。」「貸せるわけないでしょ!かえって馴染みのない人が
持ったりしたら呪われるわよ。大丈夫なのはおやっさんくらい。彼氏も、おやっさんには敬意を払ってるから。」
「ヨーコだけいいな~。わたしもそんな便利な武器が欲しいな・・」「そりゃ難しいよ。あたしと彼氏は十年来の
つきあいだもの。一朝一夕にはいかないって。」「そうね・・ヨーコもそれだけの背景があるからこそよね・・」
「みんな、そう悲観したものでもないわよ。」『えっ?』「なに?ナディア。」「こんなこともあろうかと、ちゃんと
調べておいたの。マチルダ。」ぱっ。【はいはーい!】「例のデータを。」【情報局機密データバンクNO.659087だね。】
ぱっ。「・・山脈の衛星写真?」「これヒマラヤだね。」「これは情報局所有の軌道衛星「高天原」からの映像よ。」
「えっ?!情報局いつの間にスパイ衛星まで!」「予算では見たことないわよ。」「表帳簿に出さないわよ。情報業界は
すっごくシビアなんだから、予算規模で性能まで推定されるんだから。」「まあ定期会計監査にひっかからなければ
何やってもいいけどね。」「そんなヘマしないわよ・・(ふっ、それ以前の問題よ。そもそも出所がちがうんだから)」
「んで、ヒマラヤがどうしたって?」「それそれ、ヒマラヤに特別な武器を造ってくれる職人さんがいるの。」
『職人?』「名前はアトゥール老師。先代の「世界」よ。これが顔写真。」ぱっ。「・・ああっ!これって!」ガタッ!
「ヨーコ知ってるの?」「知ってる!10年前にあたしに『最後の審判』の造りかたを教えてくれたお爺さん!」
『ええっ!』「ある日とつぜん道場を訪ねてきたの・・あたしも感じるところがあったので、教えられたまま夢中に
なって造ったのよ・・」「そうだったの・・必然だったのね。」「老師の作品には、「戦車」「太陽」「世界」のマキリ、
「恋人たち」のツインダーク等があるわ。「世界」に以前にそう教えてもらったの。」「ああ・・そのルートか。」
「クレオ、どうする?」「考えるまでもないわ。善は急げ、さっそくヒマラヤへ飛ぶわよ!」「ちょっとクレオ。
明日の重役会議はどうするの?」「飛行機内のテレビ会議室でやるわ。以前にもやったでしょ?もしダメでも技術長・
副局長・マチルダ・アネットの事業部四天王なら、大抵のことは大丈夫よ。」「そーだけど・・ま、いいでしょ。」
そしてヒマラヤ。ヒュゥゥゥ・・ガキョンガキョン!「やれやれ、ガンダムでヒマラヤ登山とはね。バーニア!」
ドーン!・・ザシャアッ!「ごめんねヨーコ、便乗させてもらって。」「しょーがないって。高山仕様にチューン
するのは一体でじゅうぶんだしね・・それっ!」ドーン!「ところで外の環境は?」「標高5000を越えたとこ。
気温はマイナス20度、空気も薄いから一発で高山病になるよ。」「あ、そうそう。これ気圧調整薬。飲んでおいて。」
「そんな薬あったっけ?」「マルローネに調合してもらったの。」「へえ・・登山家が泣いて喜ぶアイテムよね。」
「ヨーコ、地図によるとこの辺なんだけど。」「ちょい待ち。サーチ・・ん?」ピピッ♪「サーモセンサーに反応。」
「あ、あそこに小屋があるわ。あれあれ。」もくもく・・「煙突から煙が出てる・・いるみたいね。」ギギイッ。
ザッ。「・・誰か出てきた?」「ズーム。」ジィィィ・・「うわ~、ホントにあのお爺さんだ・・」「降りましょう。」
ゴォォォ・・「あの、私たちは・・」「やっとお着きになられましたな、女帝とフォアカードの皆さん。」『えっ?!』
「ヨーコも十年ぶりじゃのう。」「あ、はい!あのときはありがとうございました!」「うむ、『最後の審判』はきちんと
拵えたようじゃの。年月を経てお前のオーラと一体化しておる・・見事じゃ。ささ、中へどうぞ。こんな所で立ち話
しとったら凍っちまうぞい。」ビュオオオ・・ガタガタ。『お、おじゃましま~す!』ダダダダッ!「ふほほほほ!」
コポコポ・・「さ、まずは熱いスープで身体を温めなされ。」「あ、すみません。・・老師、我々が来ることを?」
「地位はあのアイヌのおてんば娘に継承したが、「世界」としての力はそのままじゃ。3年前から見当つけておった。」
「そんなに前から・・予知能力ですか?」「直感に近いの。」「で、老師、私たちがここへ来たのは・・」「武具じゃな。
そろそろ取りにくるころだと思って、もう造っておいたぞ。」『もうできてる?!』「3年もあれば余裕じゃよ。」すっ、
ごそごそ・・コトコトン。「これが・・」「まずは女帝じゃ。」すっ。「霊力のこもったタロットカード『銀河』じゃ。」
「銀河・・」ぱらぱら・・「これは?!・・いままで使ったどんな銘柄よりも馴染みます。」「まさしく専用だからの。
霊刃でいかなるものも切断できる。扱いは修練しだい。さらに特殊能力として『22の扉』がある。」「22の扉?」
「慣れてからの上級編じゃ。今はまだムリ、使えるようになったら教えよう。」「あう~・・がんばって鍛錬します。」
「「女教皇」にはこれじゃ。」コトン。「トンファーですね。」「霊木トンファー『ストームブリンガー』じゃ。」
「名前は文句なしですけど・・」すっ、ぎゅっ。「・・これは!」ビュンビュン!「いい・・とても使いやすい!」
「専用じゃというとるに。上達すればそやつは風を呼び嵐をまき起こす。そよ風か烈風かは本人しだいじゃ。」
「大竜巻を起こしてみせます。」「その気合いならだいじょうぶじゃ。成果は風に反映されるのでわかりやすかろう。」
「「運命の車輪」には刀輪(チャクラム)『フォーチュナ』じゃ。」コトン。「うわ、あぶなそうな武器ですね・・」
「扱いは非常に難しい。ならばこそ使いこなせばこれほど強力な武器はない。そう、輪は無限なのじゃ。」
「輪は無限・・」ヒュン!「無限を紡ぐ糸車、『運命の車輪』の名にかけて回してみせます。」「鍛錬せいよ。」
「「悪魔」のは小物だが二つある。」コトコトン。「針と・・手袋?」「まずは霊針『バイアン』。いかなる生物・非生物の
秘孔でも精確に教えてくれる。必殺はもちろん戦闘補助や治癒・忘却など効果は無限じゃ。」「これが・・」ぎゅっ。
「・・あっ!秘孔が・・見える!」「どういうふうに?」「レーザーサイトで照らしたように・・効果までわかるわ。」
「ナディアは前から秘孔は使ってたでしょうに。」「いえ、知らない秘孔のほうが多いわ。こんなにあったのね・・」
「クレオのアタマが良くなる秘孔でも刺してあげて。」「こらマリア!」「だめ・・今の私の腕じゃ死穴を突きそう。」
「ゲゲッ!」「そうじゃ。精確に突くにはまだまだ高度な腕が必要じゃ。」「・・必ず使いこなしてみせます。」
「そしてこの霊力手袋『ネンブツ』はあらゆる物質を透過して内部に直接干渉することができる。霊力手術も可能。
言うまでもないが、どれも修練しだいじゃぞ。」「必殺の手・・」ギュッ、にぎにぎ。「ほれ。」ぽい、ぱしっ。
「ゴルフボール?」「ん。」グシャアッ!『わっ!』「すご・・握りつぶしちゃった!」「力じゃないんですね・・
スピードとタイミングだけでいけました。」「それが第一歩じゃな。基礎がしっかりしとるから上達も早いじゃろ。」
「「審判」にもあるぞ。」「え?でもあたしは・・」「『最後の審判』は雄刀。雌刀と二つで一つじゃ。それがこの小木刀
『審判の日』。同じ神木から造られた、いわばドスじゃな。貫通力はすさまじいものがあるぞ。」オォォォ・・
「この霊気は・・」「喜びの波動じゃ。ようやく片割れに巡り会えた・・これで夜泣きもせんじゃろ。二刀とも
かわいがってやりなさい。お前はそいつらの母も同然じゃからな。」「母か・・じゃ、これからは子供たちって呼ばなきゃ・・」
「むき出しではなんじゃから、それぞれのホルスターも作っておいた。つけてみなさい。」『はーい。』ゴソゴソ・・
「あらかじめ計ったみたいにピッタリね。」「武器が全然気にならない・・」「何もつけてないのと変わらない・・
かえって無い方が自分の身体が欠けてるみたい。」「使おうと思えばすぐに手元に入ってくるわ。」「あの大きな
『最後の審判』がまるで目立たない・・手品みたい。」「その状態ならば金属探知器はもちろんX線スキャナーや
身体検査でも見つからんはずじゃ。」「え?ちょっとヨーコ、試させて。」「いーけど。」ポンポン・・「・・わからない。
持ってるのを知っててさえ判別できない・・」「ホント・・手品、いえ、魔法みたい・・」「どうやらピッタリのよう
じゃの。・・だが、精進せいよ。武器は使う者の心を写す。そのことを忘れぬように。」『はい、ありがとうございました。』
それから二週間後。「みんな、調子はどう?」「ヒジの骨4回、アバラ5回骨折。でもケガするたびに馴染んでくるわ。」
「私も指切断寸前6回くらい。」「私なんか親指切断2回くらいあったんだから。すぐにくっつけたら、ものの数秒で
治ったけどね。」「手首の捻挫15回、脱臼3回、突き指は数しれず、指骨折8回・・ボロボロだけど充実してるわ。」
「武器の霊力で痛みは最小限、治癒も数分で済むけど・・しんどいわ。」「みんな熱心に修行してて、感心するわ。」
「最近はもうケガしなくなったわ。さすがに慣れてきたのね。」「ヨーコの二百日の行と十年の経験に追いつこうと
思えば、このくらいは当然よ。」「例えケガしても、一晩あれば完全治癒してるしね。かえって以前より体調が
よくなったわ。」「前はあたしもヘンタイ扱いされたけど、ま、忘れるわ。」「みんな同類になっちゃったしね。」
ガチャ。「社長、ガンダムのグレードアップ試案の青写真、持ってきやした。」「あ、おやっさん、わざわざゴメンね。」
「いいんでやすよ。今回の改造はうちの最新技術を使ってやすんで、あっしも楽しみにしてるんですよ。」
「で、どういう感じ?」「ギャラクシーのカードビットの強化。こないだちらっと見せてもらったデータをヒントに、
うちのビット屋がひらめいたテクがありましてね。」「・・ほう、これは!・・あのデータをよくここまで応用したね。
オリジナルの影もないわ。」「トレーシィのトンファーはオリハルコンスチールに変更しやす。」「あの精神感応合金?
まだ実施データ取ってないよ。」「だから使うんでさ。どっちに転んでも損はないです。」「・・そーね。次は?」
「イリュージョンのチェンソーを外して、オリハルコンチャクラム。ナイトメア、ジャッジメントも同じでやす。」
「ヨーコ、わかるように説明してよ。」「ビット制御はこれまで以上に精確さと制御受付け数が向上。オリハルコンは
オリジナルの武器や使用者の能力に応じて性能が変化する特殊素材。つまり、霊武器のポテンシャルと使用者の技量が
まるごと反映されるようになるわけ。わかった?」『う~ん・・』「・・砕いて言えば、今まで以上に使いやすくなるのね?」
「単純にはそゆこと。でもそれ以上の未知数のパワーアップが可能よ。それは本人しだい。」『・・なるほど。』
「では、みなさんの武器を預からせていただきやす。最終仕上げにはこいつらの同意が絶対必要なんで。」
「わかったわ。みんな武器を出して。」カチャカチャ。「こちらの専用アタッシュに。」「んなもんまで作ったの?」
「大事なもんでやすから。化粧箱という意見もあったんですがね。」「アンティークじゃないっつーの。はい。」
コトコトン。パチン。「ではお預かりしやす。明後日にはお返しできるでしょう。」「でも・・技術長、呪われない?」
「呪いのかかる道具なんざ、滅多にお目にかかれるもんじゃござんせん。そうなったならそうなったで、職人冥利に
尽きるってもんでさ。」「ま、この子たちも自分のための物を作ってくれる人を呪うほどバカじゃないよ。」
そして三日後。「できやした。道具、お返ししやす。」「あ~、よかった。・・どーもこれがないと、身体の一部が
ないようで、スッキリしなかったのよ。」カチャカチャ。「おやっさん、身体は何ともない?」「いや~、かえって調子が
よくなりましたぜ。こいつらも判ってくれたようで。」「やっぱアトゥール老師の作品は違うね・・」「ほう、やっぱり。
アトゥールのじいさんでしたか。」「おやっさん知ってるの?」「若いころに修行させてもらいやした。そこで職人魂を
たたきこんでくれたんでさ。今でもみどころのある若いのをたまに送って、面倒みてもらってやす。」「あらそーなの。・・
あたしも修行しに行こうかな・・」「社長は免許皆伝だそうですよ。このヤットウを作りあげたのがその証拠だそうで。」
「あたしゃ聞いてないよ。・・まあ、あの経験あったればこそ、今のあたしがあるのはたしかに認めるけどね。」
「東京の三文長屋で酔いどれてたあっしを拾いあげに社長がきてくれたとき、あっしにはピンときやした。社長なら
職人の心をわかってくれる、この人になら全てを託することができる・・正解でした。」「昔ばなしはゴメンだよ。」
「照れるんじゃないって、ヨーコ。」「しかしまったく社長のやりかたはムチャクチャですな。社長室も秘書も置かず、
ヒラと机並べてるんだから。それでもデスクに座ってるのは今までこのかた見たこたねえ。すっかり物置きに
なってやすぜ。」「現場があたしの仕事場さ。机だっておやっさんがやかましいから、しょーがないから置いてるだけよ。」
「そーいえば、新入社員がナンパしたって聞いたけど?」「ジョニーですね。あっしらは声を押さえて笑ってやしたよ。」
「あたしも調子にのって休日デートOKしたらさ、みんなコソコソ尾けてきやんの。そして月曜日の朝礼で・・プフフ。」
「社長のあいさつでジョニー腰ぬかして驚いて、その後デートのフォーカス写真展。でもあれでみんなに認められたのが、
ジョニーが今は技術主任にまでなったキッカケでさ。・・それよりも、ちょいとお願いがあるんですが、年から年中
作業服着て出社してやすが、いっぺんくらい着飾ってきてくださいや。」「うるせ。あれが一番あたしに合ってんだよ。
こないだの社内パーティーでみんなに勧められてドレス着てったら、おやっさん腹かかえて笑い転げてたくせに!」
「そーね。「馬子にも衣装ゆーけど、社長には絶対あてはまらねえや!」って。ヨーコ、カンカンだったわね、ウフフ。」
「でも、あれ以来ヨーコのドレスはみたことないけど・・」「あたしが死んでもあんなの買うもんか!ありゃマリアの
貸してもらったのよ。」「おかげでバストとヒップが伸びちゃってブカブカ。全面リフォームになっちゃったわ。」
『あはははは!』「ヨーコ、92,55,89だもんね~。」「ナディア!なんであんたが知ってるのよ!」「情報部だもん。」
「さてと長話になっちまいましたが、いつガンダムをいじりやす?」「明日の午後でどっちもスケジュールできる?」
「あっしはOKです。」『こっちもいいわ。』「ではそのように手配しやす・・おっと忘れてた。ガンダムの手の部分も
材質変更しないと、指が落ちやすぜ。」「ああ、そーか・・あの痛みはもうイヤ。そこもよろしくね。」「へい。・・
それから社長。」「あん?」「ケータイかポケベルくらい持っててください。現場で見失うと見つけるの大変なんで。」
「あたしゃアレ嫌いでね~。かさばるわ、コールがマシンの警報に聞こえるわで・・」「そー言うと思って、これを
持ってきやした。通信部の新作、カード電話です。」さっ。「クレジットカードくらいのサイズと薄さじゃない。」
「これで世界中どこでも通話できやす。もちろんインターネットも見れやすし、メールも会議室もありますぜ。」
「あれ?それって前にきてたあの高速回線プロジェクトの?」「プロバイダはマチルダでやすぜ。」「ああ~、あれか。」
「通信速度は世界最速。さらに多元通話モードと特別なスクランブラー入れてますんで、重役会議もできやすよ。」
「こりゃいいね。使わせてもらうよ。」「へぇ~、いいなそれ。」「はい。重役さんたちの分もちゃんと持ってきてやす。」
ささっ。『わぁ!ありがとう!』「で、使い勝手を来週までにレポートしてくださいや。」『はららら~!』ドテーン!
「あ"~、やっぱそーなのね。どーも気前がいいと思った・・」「タダでやるほど技術屋は甘くないですぜ、へへっ。」
みなさんお待ちかね!ヨーコ社長は今日も元気!
技術長と飽きずに毎日大ゲンカ!昼休み上映会あり、ライバル会社の襲撃あり!
技術本部「ドカチンの穴」は今日も平和です!
次回、機動武闘烈伝ダブルGガンダム第37話
「ヨーコ社長のにぎやかな一日」に、レディー、ゴーッ!
第37話 ヨーコ社長のにぎやかな一日
ニューヨーク郊外。「おはよー!」「おはようさんです。」「もーかりまっか?」アレクサンドラグループ・ハードウェア
事業部の朝は元気なあいさつで始まる。それは傘下の世界2000以上の工場や事業所、どこも違いはない。だが、その
総本山であるここ技術開発本部のそれは少し違う・・ドドドド・・「おっ、社長のガンダムだ!」「姐さんのご出勤だ!」
「日直は配置につけ!着地予定ポイントに集合!」『おおーっ!』ドドドドッ!ザザッ!「耐熱シールド・オン!」
ビビビン。「きをつけーっ!」ザッ!ズズーン。パシュ。『おはようございます!』タッ。「おーっす!出迎えご苦労。解散!」
『はっ!』ザッ!ドドドド!・・つかつか。「おはようございやす、社長。」「おやっさん!あの出迎えはハズかしいから
やめろって前に言ったよ!」「あっしが言ってきくような連中じゃないすよ。みんな好きでやってんスから。」
「個人用シールドシステムまで準備して・・あれ試作品でしょ?」「担当がデータ取りに丁度いいってんでみんなに
配ったんでさ。」「こんどバルカンでも撃ちこんでやるわよ・・あたしもノリがいいから、ついつい怒るの忘れてあいさつ
しちゃうけど。」「そこまでヤツらは計算してんでさ。これ地球の裏の報告書です。」さっ。(バーチャゴーグル)
「どれどれ。」カチャッ。ピピピッ♪「・・・・」膨大なレポートを一目で読み取っていく。ヨーコに限らず社員はみんな
ゴーグルと思考インプットで情報管理をしており、キーボードを打つ必要はない。(そんなヒマがないというのもある)
「・・ふむ。みんなよくやってくれててうれしいわ。・・ガンダムさ、いつもあそこに駐めてるけどいいの?」
「押し売りよけになってますし、出入りの業者もあれ見てビビるんで、価格交渉がやり易いって好評ですぜ。」
「お寺の仁王さまじゃあるまいし。」「実際に動くだけ置き物よかマシですが。」「・・ポーズつけておくべきかな。」
事務所。最先端技術本部らしからぬプレハブ造りなのは設備費節約のため。もともとデスクに張り付くメンツは
ほとんどいないのでこれでいいのだ。ガラガラ。(アルミの引き戸)「おはよーっ!」『おはよーございます!』
「朝礼を始めるぞ。神棚に整列!」ドドドドッ!ザッ!「御神体を祀る。・・社長。」こく。カチャッ、コトコトン。
「霊刀「最後の審判」「審判の日」よ、今日もみんなを見守ってね・・」『いよーっ!』パン!パンパン!
「朝礼終わり!業務へかかれ!」『おーっ!』ドドドド!・・「いつもながら、これをやると気合が入るね。」
「社長が出張なんかで不在のときは御神体がないんで、代りに社長の写真を祀ってやす。」「やめてよハズかしい!」
「出張中になにやろーが見えませんぜ♪」「そーだけどさ。・・どの写真?」「去年の社内旅行でバスの中で酔いつぶれて
寝てるヤツ。」「な!なんでよりによってそーいうのをセレクトすんのよ!」「ヨダレたらしてて、カワイイですぜ。
はっはっはっ!」ピューッ!「あ、待てこら逃げるなこのクソジジイ!」ドドドド!・・おなじみ朝の風物詩である。
「もう、80過ぎてるってのに逃げ足だけは速いんだから!・・さてと、あたしもとっとと現場に入るか。」
テクニカル・ラボ。最先端技術開発の中枢である。広大なスペースに様々な機器が置かれ、超一流のエンジニアたちが
多数働いている。目下のメインテーマはガンダム関連技術。すでにいくつかの新技術が構築されつつある。
ガガガガ・・キューン。「社長、ちょっと。」「ん?ジェニファー、どしたの?」「このパーツ、鏡面研磨の具合がどうも
何か変なんです。」「どれ・・3番偏光フィルター貸して。・・ふ~ん、モアレがおかしいね・・」「どれ、あっしにも。」
「はい、おやっさん。」技術部長がいつの間にかそばにいるのは日常茶飯事なので気にもしない。「モアレが変よね。
研磨で2つ3つ工程をトバしちまったみたいだね。」「だな。ジェニー、どこの製品だ?」「OO製鋼のXX工場です。」
「あ~、あそこか・・腕はいいんだけど、タマにこーゆーポカやらかすのよねぇ。」「ジェニー、よく気づいたな。
俺らが出るとカド立つから、お前から担当に言ってやんな。」「そのとき、こちらの見解は言うんじゃねえ。事象だけを
正確に伝えること。自分たちで原因を調査させないと身にしみねえからな。」「はい。」「・・でもさ、ヒントくらいは
教えてやってもいいよ。向こうもバカじゃないから感謝されるよ。信頼ってのはこういうときに作っとくもんさ。」
「はい。さっそく連絡します!」さっ。「よろしく!」さっ。「・・災い転じて福となす。おみそれしやした。」
♪リンゴーン。「もうお昼か。・・このボルト締めてと・・よし!食堂へ行こうか。」「あっしは弁当なんでまた後で。」
「また前庭ね。」「ガンダムにもたれて食うのが格別でして。」「あたしも今度つきあうさ。」「常客いっぱいいやすよ。」
社員食堂。ガヤガヤ・・「ここ開いてる?」「・・あ、社長!どーぞどーぞ!」「ありがと。」カチャ。「社長って
いつも食堂ですね。」「食堂ここしかないよ?」「そうじゃなくて、普通は大会社の社長さんとかはこんなところで
食べないですよ。」「他はほか、うちはうち。だいたいこの激辛カレーだってあたしのリクエストで定番にしたし。」
「たしかに一番人気ですね。」「でもカレーってインド料理ですよね?」「ジャパナイズされたものってけっこう多いよ。
たとえばハンバーグステーキってなんで本家アメリカに無いの?」『あ・・』「ほとんどバーガーになってますね。」
「そのカップメンだって本家チャイナのをジャパナイズしたものだし。(お昼に食べてる人は多い・・実話)」
「なるほど。食のナショナリズムが希薄なんですね。」「良ければ何でもウェルカムというセンスだろうね。
お盆とクリスマスと正月とバレンタインデーが何の不思議もなく混在してるカルチャーだしね。」「デカルチャ~。」
「社長、こないだのアルプスでは大活躍だったそうですね!」「ありゃ、もう記録ビデオが出回ってんの?」
「半から上映会やるそうですよ。」「ほう、面白そう。大会議室ね。さっそく行ってみよか。」ガチャガチャ。
大会議室。ザワザワ・・「社長、こっちこっち。」「うへ~、全社員いるんじゃない?」「午後の就業開始時間を
ずらしやしたから。」「なぬ?!おやっさん、勝手に」「残業調整。」「・・まあいいか。」「始まりやすよ。」スゥ・・
『・・おお~っ!社長がハイパーモード!・・やったーっ!』「お~、あたしってけっこーカッコよかったんだ!」
「う~む、ファントマを一撃で轟沈か!気合い入れて作った甲斐があったぜ!」【かくて悪の野望は潰えた・・
しかし、これは果てしなき戦いの始まりなのだ!いけ!我らのヨーコ社長!砕け!我らがガンダムジャッジメント!
「続く」】オオーッ!パチパチパチ!「いやいや、どーもどーも。」【さてここで重大ニュース!このビデオの
スペシャル版をこれより購買部で販売開始しまーす!】「・・え?スペシャル?」【なんと、未公開MTS着替え
シーン入り!】オオーッ!「なんだってぇ!」【価格はお特な一本50ドルポッキリ!即完売が予想されますので
お早めに!】『いそげーっ!』ドドドドドッ!「あ、ちょっと、こら!あたしは許可してないぞーっ!」わたわた。
「50ドルたぁボッタクるもんだ。ま、それだけの価値はあるかもな。」「落ち着いてる場合か!こらーっ!責任者
でてこーい!」ドドドド!・・「おい、俺の分は確保してあるな?」「へい。エドが箱買いしてやす。」「よっしゃ。」
「まったく、人をAV女優扱いしおってからに・・」「社長はそこいらへんのチンケな芸能人よかよっぽどキレイ
ですから。TV出演依頼が山のようにきてるって総務のモンが言ってやしたが?」「仕事とか教育関係ならともかく、
ほとんどバラエティーばっか。あたしゃバラドルじゃないって門前払いくわしてるわよ。」「でも、全社員による
人気投票では、社長は会長にさえ大きく水を開けてトップですぜ。得票数は約90万票。2位がナディア局長で15万票
でやした。」「そんなもんいつやったのよ。」「社内誌の先月号でさ。広報部が社長のアルバムを企画してやすよ。」
「カラオケは好きだけど、プロには及ばないよ。」「写真集のほうでやす。水着やらヌードやら。」「却下だ却下!」
ビーッビーッ!『敵襲!保安部レーダーがライバル会社モビルスーツ隊を感知!約15分で到達!防衛日直は第一級
戦闘体勢!』はっ!「出入りか!」「来やがったなサンピンども!」「あたしはガンダムで打って出る。おやっさんは
管制タワーへ!」「心得てやす!昼メシ後のちょうどいい腹ごなしでさ!モビルスーツ隊、急がせろ!」ダダッ!
「おいで、子供たち!」オォォ・・ヒュッ!パシッ!「テレポート完了。こい、ガンダァーム!」パチン!ギン!
ドドドド・・「きたね。はぁっ!」ターン。シュッ。「MTS作動!」ギュギュギュ・・ギシィッ!「おおおーっ!
ガンダム・ジャッジメント!」バーン!『社長!防衛日直モビルスーツ隊、お供しやす!』ガキョガキョン!
「テキは20機、ひとひねりだ!あたしが斬りこむから、続いて突っこめ!」『へい!』「うりゃあああっ!」
五分後。「状況終了。あっけねえもんだ・・回収班、テキの使えそうなパーツを集めろ。戦闘態勢解除、通常直に戻せ。」
パシュッ。ヒュッ、すたっ。「手ごたえないね~。油田火災の方がよっぽどマシよ。」「さすがに社長がいると通常の
半分の時間でカタがつきやす。」「週に一度は必ず襲ってきやがる・・律義なことね。まあ、陰湿なサボタージュなんか
よりは百倍マシだけど。」「あっちの社長はそーゆーのキライな方ですし。まあ交歓イベントみたいなもんですな。」
「こないだあるパーティーで会って、飲み比べやったわ。・・あたしが勝って、アイツは病院送りになったけど。」
「そりゃ向こうも災難でしたな。社長に飲み勝つのは、ウチでもほとんどいませんからね。」「悪いヒトじゃないん
だけどね~。どーも好意の表現がユガんでるのよね。」「社長の未公認ファンクラブ筆頭ですぜ・・あっしが2番。」
開発ラボ。「・・おっ?マーク、それはひょっとして。」「気づきやしたね。ハイパーシステムの試作品でさ。」
「この技術持ってるのネオジャパンとネオスウェーデンだけだよね?」「うちの情報局を甘くみてはいけませんや。
どっからか拝借したシステム図面を基に組んでみたんでさ。」「なーるほど。こういう回路になってんのか。・・あれ?
ここはあたしの考えてた構成と違うね。」「これはうちの独自技術を応用した改良型です。これなら現行の5倍の
ブーストが連続して可能です。マジで山を砕けますよ。」「・・これちょっとヤバイ気がするな。核兵器みたく。」
「その通り。手加減のできないシステムなんて犯罪です。実用化するとなったら、リミッターかけるつもりです。」
「そのほうがいいね・・ん?」じーっ。「なんです?」「・・この回路さ、こういうふうに接続すればどうかな。」
「これは?・・シミュレーションしてみやす。」カタカタ・・ピッ。『おお!』「こりゃすげえ!燃費が半分に!」
「持続時間も三割増し。エネルギーロスを互いに補うように接続してやっただけさ。」「さすが社長・・天才だ。」
「あたしじゃないよ。元はマルローネの発想。」ぎょっ!「マルローネですか?!」「知ってる?」「そりゃもう!
現代の女ダ・ビンチってヨーロッパでは有名でした!」「こりゃまた大きく出たもんだね。」「・・実はもうひとつ
あだ名があるんでさ。こっちのほうが有名かもしれやせん。」「どんなの?」「・・地獄の錬金術師。」「ああ~、
そっちは知ってる。ちょっかい出して生きのびたヤツはいないって。」「証拠はカケラもありませんが・・」
ネオ浅草三丁目「Atelier de Marie」。「にえっぷし!・・だれかよくないウワサしてやがんな。」ぐずっ。
「カゼか?うちには小さい子がいるから移してくれるなよ。」「だいじょうぶですよナスターシャさん。で、これが
ガンダムの見積もりです。」「・・割高と聞いてたが、意外だな。」「高いのはオプション装備です。この仕様なら
そちらのコストは発生しません。」「しかしこれは大手の見積もりよりも安い。」「大手は社員数が多いですから
それだけ利益率を高くしませんとね。ガンダムはそうそう売れるものでもないし。」「たしかにな。だがこれでは
マルローネのほうが損をするのでは。」「こちらも商売です。ちゃんと利益は出ますのでご心配なく。ただしうちは
全額前金でお願いします。」「ほう・・プロだな。」「引き受けたものは最高の仕事をします。それが売りです。」
「わかった。セルゲイ!」「へい。」ドサッ。パチン、ぱかっ。「キャッシュで全額前金だ。」「たしかに。」
「いつできる?」「ニ週間後の今日には。」「速い・・では、その時に。」「ご利用ありがとうございました。」
♪リンゴーン。「さー終業だ・・みんなお疲れさま!」『お疲れさまでした!』「残業はほどほどにするんだよ。
自分の時間をうまく使うのが本当のプロだよ。」『へーい。』「お疲れさまでやした。」「おやっさんもお疲れさま。」
「社長は残業することありやすか?」「いえ。あたしやおやっさんが遅くまでいたら、みんな帰りにくいよ。」
「それもそうですな・・よーし終礼だ!集合!」ザッ!「神棚に注目!」「今日も一日無事に終わりました。
ありがとうございました。」『ありがとうございやした!』「よーし!若けぇもんは今夜社長のビデオで抜き過ぎて
明日遅刻すんなよ!」ズデーン!「な、なんてことゆーんだこのスケベジジイ!」「解散!」ピューッ!
「待てこのジジイ!今日こそ成敗してくれる~!」ドドドド!・・「技術部長もあれが生きがいなのかもな~。」
正門前。「はっはっは、ではまた明日~。」ブロロロ!「ゼイゼイ・・フェラーリなんか通勤に乗ってきやがって・・」
『社長、さよなら~。』「ああ、さよなら。・・さてと、あたしも帰るか。ガンダァーム!」ギン!ドドドド・・
「ガンダムだと空飛ぶから通勤が楽だわ~。」カラン。「ん?あのビデオ?・・『全社員より愛をこめて』・・か。
まったく・・ねえ。」ふっ。「・・あ、今夜の夕食当番はナディアだ。あたしがサポートしてやらないとね~。」
夕食後。「さてと見てみるか。」カチャ。「ヨーコんとこはいいわね。黙っててもこんなの作ってくれるんだから。」
「好きモノが多いだけよ。これだっておそらく仕事時間中にこっそり編集してたにちがいないんだから。」
「あー、いるいる。そういうのはけっこう。」「それでもちゃんと仕事してるようにみせかけるのがテクなのよね。」
「・・ふーん、思ったほどヤらしくないね・・」「なにこれ?ヨーコとジャッジメントがほとんど主役じゃない。」
「私たちはワキ役に回っちゃってるわ・・編集のマジックね。」「・・あれ?インデックスは五つあるわよ。」
「え?チャプターサーチ・・ホントだ。今度は・・クレオが主役の編集だ。」「となると・・次はマリア!」
「じゃ次は・・シルビアだ。」「じゃ、最後は・・私か。」「コッた作りしてやんな~。」「このコりようはそーとーの
マニアじゃないとできないよ。」「・・まさか!これ作ったの・・」「あ、最後にスタッフクレジットだ・・
『総監修・技術長』だって。」「あんのジジイ!なにをどうやっていつの間に!」「それも技術のうちかもね~。」
みなさんお待ちかね!ナディア局長はお忍び出勤!
仕事明けの寝不足です。でも、父さんがいるからだいじょうぶ。
謎の局長はつらいよ。今夜もまたまた出張だ。
次回、機動武闘烈伝ダブルGガンダム第38話
「ナディア局長の優雅な一日」に、レディー、ゴーッ!
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第38話 ナディア局長の優雅な一日
アレクサンドラグループ情報局。CIAをしのぐ規模とモサド以上の情報収集力を有する世界最強の情報機関である。
その頂点に立つのが若干22歳の女性であることを知るものはほとんどいない。いや、局員でさえ局長の実体を
見た者は少ない。そして世界各国の諜報機関・非合法組織もそれを一番知りたがっているが・・霧の中である。
女子更衣室。「おはよ~、みんな。」『おはよ、ナディア。』「ねえ、昨夜ネオナチスの幹部がまた怪死したって。」
「これで5人めね。今度はどういう死にかた?」「ビルの屋上から転落死。なぜあんな所に登ったかは不明だって。」
「それって普通は自殺っていわない?」「そう見る人もいるみたい。・・でも、5人も連続自殺なんて絶対異常よ。」
「なにかの偶然じゃない?現にそのうち3人は病死だって聞いたけど。」「昨日までピンピンして悪事働いてたのが
ポックリ?例えお日様が西から出ようと、ありえないわよ。」「天罰かしら?」「天網恢恢粗にして漏らさずなんて
大ウソよ。思いっきり漏れてるからこそ私たちがいるんじゃない。」「そうよね・・じゃ、わたし資料室へ行くわ。」
カツカツ・・「・・ナディアも資料整理なんて地味な仕事よく続けられるわね~。」「資料部長もデスクでお茶ばっかり
飲んでるらしいし。」「閑職とはあそこの事よね。ホント窓際席だわ。」「でもナディアには一番向いてるんじゃない?
ああいう普通の子がいると、こちらも気が休まるわ・・」「そーね・・こんな血生臭い稼業をやってると特にね。」
資料室。ガチャ。「おはよう、部長。」「おはようございます。昨夜はお見事でした。」「ちょっと寝不足かな。はい、
殺す前に吐かせた情報。」「拝見します・・ほお、これは。」「そう・・やっとタイタンのアジトが特定できそう。」
「「世界」と「愚者」に報せますか?」「いえ・・まだ確信がないの。あと一枚カードが揃わないと、二人を罠の
真っ只中に送りこんでしまうかもしれない・・」「さすがに慎重ですね。」「基本よ・・何か目新しい情報は?」
「ウラルが動き始めたようです。大量の物資が搬入されているようです。」「・・もうしばらく様子を見ましょう。
いまフルハウスを投入するのはまだ早い。」「でも、相手の準備が万全になってからでは・・」「それも考えた・・
けど中途半端なところで叩くと、分散してしまって掃討がますます難しくなる・・充分太らせてから一気に締めれば
それで事は決着するわ。」ニィ・・「局長が言うとなおのことスゴみがありますな・・きれいなだけに。」ぞっ・・
「ああ、変装外すの忘れてた・・」バリバリ。「ふう・・あ~あ、何が悲しくて自分の仕事場入るのに変装して
ヒラ局員のフリして入んなきゃなんないんだろ!」「言いだしっぺは自分でしょ。おかげで局長の実体は不明なまま。」
「この資料室が真の局長室だと知ってるのは各部長クラスだけ・・他の人に会うときは防弾スリガラスと音声変調器と
ダミー人形・・スペクターの首領だってここまで小細工しないわよ。」「よく知ってますな、そんな古い映画。」
「単なるシュミよ・・」「シュミといえば、よくもあんなに殺し方にコるもんですね。」「悪党だからこそ、芸術的に
あの世へ送ってやるのよ・・地獄の門番に失礼でしょ。」「さすがは「悪魔」の・・」「やめて!・・その紋章のおかげで
私はこんな生き方しかできなくなった。・・私が本当の自分でいられるのは、クレオたちと一緒にいるときだけ・・」
「・・私にも責任があります。あの日、その紋章ゆえに実の両親に捨てられた赤子のあなたを偶然に拾ったのが、
暗殺のプロだった私・・あなたは優秀な生徒・・いえ、優秀すぎた。9歳の初仕事から・・あれから何百人殺させて
しまったか。教えるべきではなかった・・今になって悔やんでおります。」「いいえ・・父さんには感謝してます。
この紋章ゆえ表の世界では生きていけなかった私に、生きる術を教えてくれた・・以前にヨーコが言ってました。
『人の生き方はさまざま。それを批判することは誰にもできない。たとえ修羅・羅刹の道でも・・』その言葉がどれだけ
救いになったか・・これが私の生きる道。今では胸を張ってそう言えます。」「ヨーコさんは・・知っておられるので?」
「ええ。早々に見抜かれたわ。・・でも、彼女はそんなわたしと知ってなお、優しく接してくれる。彼女の素晴らしい
ところは、そういう器の大きさ。おかげで随分わたしの魂は救われたわ。でも、クレオら他の四人には知らせていない・・
ヨーコも言わない方がいいといってくれた。知れば悲しむだろうから・・」「私ができなかったナディアの心の安らぎ・・
それをヨーコさんは与えてくれたのか・・」「だからといって父さんを恨む気持ちはありません。誰も完全ではない・・
そう、私も・・」「ナイトメア・・」「その名前も愛してます。もうひとつの私の名前・・だからこそ自分のガンダムに
その名をつけたの。」ポーン♪「もうお昼?長話しすぎたわね。さ、お昼に行きましょう・・部長。」「うむ。」すっ。
カフェテリア。ガヤガヤ・・「ねえナディア。あなた資料部だから、いろんなことに詳しいと思うけど。」
「なにか調べてほしいの?」「大したことじゃないんだけど・・フォアカードにナディアと同名のひとがいるよね。」
「え・・ええ、そうね。」「どんなひと?情報担当だって聞いてるけど、うちの局長ともつながりあるのかな?」
「ああ、俺は会ったことあるぞ。」「資料部長、どんなひとでした?」「そうだな・・えらくおっとりしててな、
なんかほんわかしてて、春風みたいな人だったな。局長もその人の前では毒気ぬかれちゃって、ほとんど詳しい
ところは報告してないらしいぞ。」「ふ~ん。そーよね。そんなひとがウチの実態知ったら卒倒するわよ。・・
世の中には知らないほうがいいことってたくさんあるもんね・・」「そうだな・・」「そうね・・じゃ、お先。」
資料室。パタン。「・・ププッ。」「・・ウフフ・・」『アハハハハッ!』「あ~、久々に笑ったわ!父さんが喋ってる
間じゅう、こらえてたのよ!」「俺も口からでまかせ言ってて自分でおかしくなってきてよ!それにあのねーちゃんの
リアクションのおかしいこと!」「アハハハ!・・でもそうよね。あの子の言うとおり、知らなくていいこともあるわ。」
「知り過ぎましたからね、私たちは。」「知ってしまった以上は後戻りできないし、したくもない。次のターゲットは?」
「これです・・通称「大佐」。」「ネオエクアドル山中か。」「要塞なみの警備システムで守られてます。今回はさすがに
サポートしましょうか?」「だいじょうぶ。明後日の夕刊には間に合うわ。「第六の怪死」ってね。」「吐かせてからですよ。」
「自白の秘孔を突けば、知らないことだってしゃべるわよ・・うふふふっ。」「魔人ナイトメア・・」ぞおっ・・
「すぐに発つわ。短期出張手続きよろしくね、部長。」スゥ・・「いってらっしゃい。・・こりゃ久々の修羅場になるな。
一人で済みゃーいいんだが・・まず無理だろうな。」どさっ。「・・ナイトメア、まさに悪夢そのものだな。」
12時間後、ネオエクアドル山中。ゴォォォ・・(あの山荘か・・!)ぴくっ。(動体センサー・・光学迷彩でも
感知されるわね。・・ならば。)すっ・・ザッザッ。「こちら巡回12番。ただいまエリアCに到達。」【確認した。】
ザッザッ・・ささっ、ぴたっ。(これでよし。本陣まで露払いよろしくね、巡回12番さん♪)ザッザッ・・
山荘、リビング。「同志を殺しまくっている敵の正体はわからんのか!」「は、大佐。なにせ証拠が皆無で・・」
「タイタン大本営がそのような言い訳を聞くか!どんな手段を使ってでも探し出せ!」『ははーっ!』ダダッ!
「どいつもこいつも役に立たん!・・このままでは私が十傑集裁判にかけられてしまうではないか!」
「大佐どの。捜さずとも向こうからやってくるでしょう。」ゴゴゴゴ・・「そのときはたのむぞ神父。そのために
高い金を払って木星領主からお借りしたのだから。」「もとより承知。」(・・バカが。いま出てった連中も死んだぞ。)
「おい、新しい情報は・・おや?」シーン・・「どこへ?・・」ドギュ!「!・・」「あなたなら知ってそうね・・
タイタン大本営、精確な位置は?」「・・そこのマップに。」「これね。ありがと♪」グリッ。「!・・」くた・・
「さて、必要な情報は手に入ったけど・・」ちらっ。「とってもヤな気配・・このまま帰っちゃおうかしら。」
「・・シィッ!」ジャキッ!ビュバババッ!ドスドスッ!「なんだ?!」「バビロンの娼婦。いかに隠形しようとも
私には無意味だ。シイッ!」ビュバッ!ドスドスッ!「がはあっ!」「あーらら、クライアント殺っちゃっていいの?」
ひょい。「関係ない。私は自分の意志でここにいる。そう、強き悪を屠り、主に捧げるために。」シャキーン!
「バヨネット・・あなた、あのアンデルセン神父ね。」「知られていたとは光栄だ、お嬢さん。」「暗黒街じゃ子供でも
知ってるわ。・・殺戮の神父。神の名の元に敵を惨殺するユダの司祭。」「お嬢さんも神の御許に送ってあげよう。」
ビュバババッ!「はっ!」タン!カカカカッ!「ほう、いい動きだ。これは楽しめる。シィッ!」ビュバババッ!
ドスドスドスッ!「かはっ!」「フハハハハ!もう終わりか・・なに?」フワサッ・・「うつせみか!」「そのとおり。
霊針『バイアン』!」キュピーン、ドスッ!「ぐっ!」「延髄を貫いたわ。これでおしまい・・?!」ばばっ!
「・・フハハハハハ!いいカンだ。」くるっ。「こいつ・・針が効かない!」「当然!悪の手などに主のご加護を受けた
私は倒せぬわ!」シャリン!「なかなか楽しかったよ、お嬢さん。最後に墓石に刻む名を教えてほしい。」・・ふっ。
「いいでしょう。こう刻むといいわ・・『アンデルセン神父、魔人ナイトメアにより殺さる。神の祝福を、エイメン。』」
ぎょっ!「魔人・・ナイトメア?!」ビュバババッ!シャッ!スカスカッ!「霊手袋『ネンブツ』!」ゴキゴキッ!
ドギュッ!「ぐほっ!・・」「あら、強くてたくましくて素敵な心臓・・さよなら♪」グシャアッ!「ごおっ!・・」
グ・・ズボオッ!ユラ・・ドドオン!「外傷はいっさいなし。検死でも心臓マヒね、うふふふ・・」スゥ・・
ピクッ。・・むくっ。「・・フハハハハ。実に楽しかったぞナイトメア。今日のところは退いてやろう・・だが。」
バサッ。「次は殺す、必ず殺す。もっと強くなってな。フハハハハ!」バササササッ!ゴオオオオ!・・フッ・・
二日後、クレオたちの私邸。「『謎の大量死 うち一人はめった突き』か・・あ、ナディアこれ。」「なに、クレオ?・・
あらすごい事件。」「一人をのぞいて全員が怪死だって。心臓マヒかショック死らしいけど・・何があったんだろうね。」
「さあ・・ん?!」グッ!「・・『現場には聖書の紙片が大量に散乱しており、この事件に謎を加えている』?」
「どうしたの?」(・・いない。死亡者リストに神父が。)「・・いえ、すごい事件だなあって思ってね。」
ナディアの個室。「部長、わかった?」『確認がとれました。該当する遺体はありません。』「やはり・・見解は?」
『心臓をつぶされても蘇生する可能性は二つです。すでに死んでいるか、もしくは・・』「DG細胞ね。でも彼には
DG反応は感じなかったわ。結晶も見当たらなかった・・なぜ?」『いまひとつ、アンデルセン神父のデータを
調べてて驚くべきことがわかりました。・・彼の現所属は『斧』です。』「なっ!・・木星の!」『左様です。・・
外惑星大領主、カーン卿のお膝元です。』「あそこじゃ手が出せない。国際問題になるわ・・厄介な!」ギリッ!
木星大気圏上層・都市戦艦『斧』。「ほう、神父がてこずる相手がいたとは痛快。」「お楽しみをとっておいただけだ。」
「それもよかろう。また地球に行く機会もある、いずれな・・む?」ズズズ・・「インテグラ、私を行かせろ。」
「なぜ床から沸いて出る。ちゃんと扉を使え。」「この都市もせまくなった。広いところで強いヤツと殺りあいたいぞ。
なんならそこの神父でもかまわん。」「フハハハハ。私を倒せるかバケモノ。」シャリン!「そうこなくてはな。」
メキメキ・・「やめんかバカモノども!内輪もめしてどうする!」「さあ殺ろうか!」「よかろう!」(聞いてない)
ドゴオオオオーン!『ぬうっ!』ゴオッ!ドカアアアーン!パラパラ・・「二人ともやめなさいってば!」
シュゥゥ・・「セラス・・(ほっ)」「婦警か。驚いたぞ。」「いきなりアトレイデスをぶっ放すのはどうかと思うぞ。」
「このくらいじゃないと二人とも止まらないでしょ。」チャッ。「ここでしたか。」カツカツ・・「Dr.ハインケル。」
「申し訳ありません。どうも最近歯止めが効かなくなりまして。」「産みの母たるDr.を困らせるつもりはないが。」
「どうみてもDr.のほうが若くて美しいのが問題だな。」「インテグラ様よりムネでかいし~。」「うるさい婦警!」
「インテグラ様、正直この二人にしかるべき暴れ場所を与えないと先々まずいことになりますが。」「そうだな・・」
『それならいいとこがあるよ。』チリーン♪はっ!スゥ・・「ほう。」「おお、主よ!」「あや。」「出られたか。」
忽然と出現したのは少女・・いや、少女の姿をした「何か」である。何よりもその発する極めて純粋で強大な
「気」が少女の本質を雄弁に物語っている。そう・・あまりにも純粋ゆえ善悪をも超越した透明で危険な「気」が。
「これは幽音さま、ようこそ。」さっ。「ここはあいかわらず賑やかだね。またしばらくおじゃましてもいいかな。」
「むろん大歓迎です。先代よりの大恩、忘れようもございません。ウォルターと由美子。」「ははっ、ここに。」すっ。
「お呼びでございますか。」「幽音さまご接待の準備を。」「かしこまりました。」「パンプキン・パイを用意いたします。」
「悪いね。で、さっきの話だけど、タイタンに手ごわいネズミが入り込んでて、十傑集でも手こずってるんだよね。」
「闇シャッフルは?」「彼らはまだ表に出すわけにはいかないからね。こちらの手が借りれれば好都合というわけ。」
「で、その相手というのは?」「アルカナ同盟のパーフェクト・ワールドとクレバー・フール・・どうかな?」ふっ。
「世界と愚者・・これはまた大物だ。」「私は行くぞ。このうえない相手だ。」「主の思し召しとあらば。エイメン。」
「やれやれ、あたしも行くっきゃないかな~。」「Dr.は?」「よろしいでしょう。最高の実戦データ対象です。」
みなさんお待ちかね!シルビア主任はサイバーワーク。
ウルトラコンピューター「マチルダ」と楽しくお仕事。
そして始まるマチルダ人間化プロジェクト。サイバー秘書の誕生だ。
次回、機動武闘烈伝ダブルGガンダム第39話
「シルビア主任の電脳な一日:電脳のマチルダ誕生」に、レディー、ゴーッ!
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第39話 シルビア主任の電脳な一日:電脳のマチルダ誕生
アレクサンドラグループソフトウェア事業部は変わった組織である。。アーキテクチャ、プログラマー、エディター、
デバッガー、その他推定3万人の技術者は全て在宅勤務。規定ワークミッションを遂行し、定期的に進行状況レポートを
提出すればよい。全ての情報は本社建屋の大半を占めるウルトラコンピュータ「マチルダ」に集約され、処理される。
この「マチルダ」はグループ全体のホストでもあり、毎秒数兆単位の情報が駆け巡る一大ターミナルである。本社詰め
社員は「マチルダ」の保守要員のみ、それでも数千人規模の巨大さである。その全てを統括する主任は・・
『おっはよー!シルビア。とっとと起きてくださいよ~!』「ん・・おはよう、マチルダ。今日も朝もはよから元気ね、
あなたは・・」『だあって、アタシ寝る必要ないもの。人間は不便よね~。でも、アタシも一度夢とかゆーものを
見てみたいもんだわ~。』「今度見れるようなバイパスソフト作ったげるわ。」『それは楽しみ。まずは新聞?テレビ?』
「なんか面白いニュースでもある?」『う~んとね、大したのはないわね。ネオフランスの太陽探査プローブが輻射熱で
オバカになって、ケシズミになったくらい。「ボナパルト」のじいさん、シミュレーションが甘いのよ。ザマミロだわ。』
「・・ああ、ESAのマスコンね。ありゃー2世代前のヤツだからね。」『まあ、アタシのオジサンみたいなもんだけどね。
もうちょっとバージョンアップしたげないと、老人ボケ始まってるわよ。』「今度担当者に会ったら伝えとくわ・・
コーヒー飲む?」コポコポ・・『あ、どーも。入力ボックスにカップごと入れてね。』「はいどうぞ。」カコン、パシュ。
『・・ズズズ~。ふう。やっぱモノホンはおいしいわ~。』「あなたそれ好きだもんね。じゃ、朝食をとってくるわ。」
『ウンコもしっかりね~。』ズデーン!「あいたたた・・ひとこと多い!」『でも目ぇ覚めたでしょ?』「まあね・・」
「あ、おはよ、シルビア。」「おはよ。・・ヨーコ、マチルダのあの性格、なんとかなんない?」「ガタイ組んだのは
あたしだけど、アーキテクチャ組んだのあんたでしょ。性格はマチルダの自主選択に任せたんだから。あそこまで
クセが染みつくと手遅れよ。ヘタにいじると、ゲシュタルト崩壊おこして暴走するよ。」「わかってるわよ。朝っぱらから
あのあっかるい声でまくしたてられて、頭痛くなっただけよ。」「おとなしいマチルダってのも想像つかないけどね。」
「お待たせ。仕事にかかりましょ。」『はーい。ネットダイブの準備、できてまーす。ヴァーチャルヘルメットを
被ってください。』かぽっ。「じゃ、行くわよ・・ダイヴ。」ジジジ・・『パルス変換よーし。位相微調整よーし・・』
電脳空間。「よーこそネットワールドへ!」「いらっしゃいました。さて、まずは朝のメール処理からね。」「ほいさ。」
どさっ!「今朝はこれだけですねー。」「より分けは?」「こんなカンジかな。」ばさっ。「あとは爆弾入りが三つだね。
新型の精密攻撃ウイルスで報復しといたから二度と来ないと思うけど。」「この世にハッカーの種は尽きまじよ・・
たいした情報ないわね~。これ全部ごみ箱ね。」ぽい、どさどさっ。「次は社員のお仕事状況ね。みんなやってる?」
「12人ほど苦戦してますね。まあ内容が内容なのでしょうがないけど。」「使用状況を。・・サボってはいないようね。
ミッションがきつすぎるか・・全員にメール。できないと思ったら素直にギブアップしてもペナルティつけないって。」
「リアルタイムでアクセスしてた8人から即答です。みんな同じ回答で、文章まで同じですね~。見ます?」にやっ。
「フoックユー・アOホールでしょ。レスはこう・・上等だ、とっととやれてめーら♪」「おっけーおっけー。」
「はい、今日はこんなもんね。」「お疲れさま~。コーヒーどうぞ。」ズズ・・「・・たしかにマチルダの言うとおりね。
いまいちね。」「どーしてもあの味はデジタルじゃ出せないのよね。」「・・ねえマチルダ。もっとリアルワールドを
自由に見てまわりたいと思わない?」「・・そりゃできたらいいけどさ。アタシがリアルワールドを覗けるのは社内と
シルビアの部屋だけだもの。あとはネットの情報で知識としてしか知らないし・・」「実はね、ヨーコがMTSの技術と
小型携帯端末を応用して、あなたのガンダム・・じゃなくてダミーボディを開発してるの。これがデータベース。」
ぱぱっ。「・・これは!もしかして・・」「そう。そのボディーに乗ってリアルワールドをどこでも自由にいけるように
なるのよ。私たちの秘書として、世界中を。」「・・夢みたい。」「そのデータよく読んで二足歩行のシミュレーション
しておきなさい。三日後にはオンラインされるから。」「わかった!えっと・・うわ、歩行処理ってめんどくさ~。」
三日後、技術研究所。「じゃあいくよ。オンライン!」ピッ♪「アクセス良好。制御サブプログラム作動開始。」
「各動作モジュール連動よーし。目覚めるわよ・・」ぴくっ・・「ん・・」「目を開けてみなさい、マチルダ。」
「・・こわいの。夢がさめそうで・・」「だいじょうぶよ。私はここにいるわ。さあ・・」「・・ん!」ぱちっ。
「よし。次は起きてみて。」むくっ、すとっ。よろよろっ。「重いよ・・」「それが重力。慣れれば気にならなくなるわ。」
「今度は歩行よ。シミュレーション通りやればだいじょうぶ。」「よっと・・」すっ・・とっ。「まず一歩め成功。」
「はっ、と・・」ふらふら。「初期設定値との誤差はわずかね。これなら実際値でフィードバック補正されるから。」
「さあ、こっちへ来て。」「おっとっと・・」「驚かないで。それっ!」バサッ!『リアルワールドへようこそ!マチルダ!』
パンパンパーン!ぱちぱちぱち!「・・え?クレオ?技術長?開発スタッフのみんな!」「うむ、いい仕事だぜ!
気合い入れて作った甲斐があったぜ!」「さあさあ、誕生パーティー始めるわよ。まずは一杯どーぞ。」「え?でも・・」
「だいじょーぶ。有機物処理変換プラント及び味覚センサーはバッチリ入ってるから。」「じゃあ・・いただきます。」
んぐんぐ・・「・・ぷはぁ~。」『お見事~!』「さ、食べよ。生まれたばっかりでお腹すいてるはずよ。」ぐ~。
「いただきま~す。」ぱく、もぐもぐ・・「・・おいしーい!リアルワールドの食べ物がこんなにおいしいなんて!」
「味覚センサーはマージンをフラクタルにしたのが良かったようですな。」「分布外れが味の決め手になるからね。」
「あ、そうだ。」さっ。「これあなたのIDカードとパスポート。データバンクに侵入して登録しておいたから、どこでも
人間で通じるわよ。」「マチルダ・ミハイロフ・・って!シルビア!」「そう、あなたは私の妹よ・・戸籍データ上では。」
「・・」ぷるぷる・・「・・どーしたの?」「うれしいんです・・みんながわたしを作ってくれた・・その愛が・・
ネットワールドにいたときは知識でしか知らなかったけど・・」「・・うん、あっちは一人でさびしかったのね・・」
「みんながいないときや夜・・わたしはさびしかった・・ネットには情報は腐るほどあるけど、あの世界ではあたしは
ひとりぼっちだった・・だからリアルワールドへ行ってみたかった・・夢・・そう、それがわたしの夢だった・・」
「いずれ向こうにも友達はできるわ。」「・・えっ?」「このアドレスの情報アーカイブを見てみなさい。」ぴっ。
「?・・アクセス・・ええっ?!」「どう?世界各国の第七世代AIの全アクセスコード。ほとんどが軍事AIだから
これまで隔絶されてたけど、ナディアの情報局の協力を得てやっと判明したの。」「すごい・・ペンタゴンのAIに
ネオチャイナの『諸葛亮』!ネオジャパンの『五十六』まである!」「『五十六』はあなたの祖父よ。だって作ったの
うちだもの。」「二年前だったかね。それをベースにマチルダが完成したのさ。」「存在は知ってたけど、これまで堅い
ウォールに阻まれて会えなかったんです。うれしい・・あたしはあっちでももう一人じゃないんだ!」「そゆこと。」
ガヤガヤ・・ぽん。「ナディア、なにか?」「ちょっと耳かして。」「?・・はい。」ひそひそ・・「・・えっ?」
「ヒミツのコード。みんなには内緒よ。」「ヒミツ・・ですか?」「いい?特別だからね。バレるとちょっとまずいから。」
「?・・はい。」「ヒマなときにでも寄ってみてね。じゃ・・」ふっ。カツカツ・・「・・どこだろ?『GGG』って・・」
チュンチュン・・「ん・・朝か・・マチルダ、起きなさい。」「・・ん~、あと200ミリセカンドだけ・・」ごろん。
「フフ・・すっかりお寝坊さんになっちゃったのね。」むくっ・・「ふぁぁぁ・・おはよ~、シルビア・・」むにゃ~。
「おはよ。スリープバイパス、順調みたいね。」「ん~、まだ眠い~。」「フラクタルとりすぎたかな?・・ま、いいや。」
「さて、今日の仕事にかかりましょう。」「はい。ちょっと待ってください・・いいですよ。」「じゃ、行くわよ・・」・・
「はいおしまい。」「お疲れさまでし・・あっ!」「なに?」「・・たったいまネット緊急ニュースが入りました!
ネオロシアの軍事データベースにハッカー侵入。・・たいへん!細菌兵器のデータがごっそり盗まれました!」
「ええっ?!すぐにクレオたちに緊急アラームを!全員の所在を確認、ただちに召集をかけて!」「はい!」
数時間後。「ネオロシア軍司令部は大騒ぎよ。情報管理責任者の首がいくつか飛ぶわね。」「細菌兵器データか・・
セキュリティレベルはそうとう高いはずよ。かなりハイレベルなハッカーの仕業だね。」「ナディア、そんなことを
やりそうな組織もしくは個人の該当者は?」「すぐわかる組織だけでも数十、個人となれば見当もつきません。」
「誰かな・・マチルダ、トレースしてる?」「シルビアほどの腕ではないですね。消し忘れた足跡があります・・
アドレスはネオポルトガル・・XXXの###。」「ナディア、すぐに局員を送って!」「ムリです。アジトへ着く頃は
どこかへドロンよ。」「わたしでなんとかできそうです。」「マチルダ?」「大したプロテクトかかってませんから、
侵入して破壊できそうです。」「私も一緒にダイブしようか?」「準備してる間に逃げられてしまいます。わたしひとりで
なんとかやってみます。」「だいじょーぶ?」「・・このっ!・・それっ!・・もう一枚・・」「・・苦戦してるみたいね・・」
「・・おりゃっ!」「うん!プロテクトが破れたみたいよ!」「このこのこのっ!・・ふーっ。」「うまくいった?」
「・・バッチグー!完全に破壊して、ウイルス仕込んでおきました。もし再度ハックを試みたら、エッチな有料ページに
強制アクセスされるようにしておきました!」『やったー!アハハハハッ!』「さすがマチルダ、ナイスな報復よ!」
「電脳のマチルダか・・こりゃ最高の秘書が誕生したものね。」「彼女にかなうコンピューターは存在しないわ。
まさにネットワールドの女帝ね。」「いいえ。わたしでも出来ないことが少なくとも一つあります。」「なんなの?」
「おいしいコーヒーを煎れること!」『アハハハハッ!』「アハハハ・・はいはい、煎れてあげるわ。」
だが・・「あぶないあぶない。幽霊サイトを介して正解だったな。」「Dr.ハインケル、圧縮データはゲットしました。」
「手伝い感謝するぞ、由美子。」「しかし追手はスゴ腕でしたね。もうポルトガルサイトは使用不可能ですよ。」
「それだけの価値はあったさ。これで『ヘル・シング』はさらに進化できる・・無敵の超生物にな。」にやっ。
「人の形をしたデビルガンダムですか・・まさにモンスター。」「それ以上さ。・・まだまだ時間はかかるが。」
みなさんお待ちかね!マリア頭取は貿易戦略作成中。
どんな戦略AIもかなわない。ただ一人(一台?)てごわいAIが・・
勝利とはなにか?闘いとは何なのか?マチルダでも解答できない深い命題。
次回、機動武闘烈伝ダブルGガンダム第40話
「マリア頭取の戦略な一日」に、レディー、ゴーッ!