正義の味方と幼き勇者 作:Y2
が、なのは編を読んでなくても大丈夫なように書いておきました。なのは編のネタバレは全くないのでご安心ください
先代勇者の運命
光が収まり二人の守護者が召喚される
召喚された場所は四国、瀬戸大橋の付近だ
「二回目だが慣れないなこれは、さてここはどこだ…?」
「これって…瀬戸大橋?
………まさか!」
疑問に思う士郎を他所に友奈は端末を操作する
ちなみにこの端末、抑止の力が注ぎ込まれているせいかこの二人以外の誰にも知られる事なくあらゆる機密情報が手に入る。
もし機械に強い者が手にしたら世界を裏から操作する事もできるだろう。
それはさておき友奈は一通りの検索を終える、自分の予想が外れて欲しいと思っていたが悲しい事にこの世界は彼女が予想した通りの世界だった
「士郎さん……」
「ふむ、ここがどこかわかったみたいだな。場所を移そう。」
友奈の表情から何かを察した士郎が移動する。
……ちなみにこの世界での拠点も武家屋敷で二人が驚いたのは語るまでもない
士郎さんと向かい合う形で座る、物音一つ立たない静寂の中私は話を切り出した
「ここは私たち、勇者部が勇者として活動する2年前の世界です」
士郎さんの目が開かれる、私もまさか過去の世界に行けるとは思っていなかった
「…なにやら訳ありのようだな、詳しく話してくれるか?」
「はい、と言っても東郷さんとそのちゃんから聞いた話なんですけど……」
私は知っている全てを話した、私達の前の世代の三人の勇者である東郷美森…過去の名前だと鷲尾須美、乃木園子、そしてバーテックスとの戦いで命を落とした三ノ輪銀の事、この時代の勇者システムはまだ不完全でバーテックスを倒す事は出来ないという事を
「なるほどな、状況は理解した。しかし友奈、これはかなり厄介な状況だぞ」
「そうなんですか?」
「結論から言おう、俺達はこの世界であまり行動を起こす事はできない」
「えっ?」
衝撃の事実を士郎さんは口にした。
「ど、どうしてですか︎士郎さんはあの三人を……」
見捨てるというのか、と言うことは出来なかった
士郎さんの手は固く握り締められており、その無念さが滲み出ている。
それに彼は言っていた、正義の味方になる事が夢だと。
そんな彼が目の前の不幸を受け入れるはずがない
「何か、あるんですか…?」
震える声で聞く
「タイムパラドックス…は知らないだろうな、簡単に説明すると過去で起こった出来事を改変すると未来で起こる出来事と矛盾をきたすことがあるということだ」
衛宮士郎が抑止の輪から外れるさいに取った方法がこのタイムパラドックスを利用した物だ
過去の衛宮士郎を未来のエミヤシロウが殺す事で衛宮士郎がエミヤシロウになるという未来を否定、そこでタイムパラドックスを発生させ、守護者となったエミヤシロウを消すというわけだ
「それじゃああの三人を守ったら…」
「ああ、君たち勇者部が勇者とならない未来になるかもしれない、そうなった場合タイムパラドックスが発生し何が起こるかわからなくなる」
世界と言うのは矛盾を嫌う
タイムパラドックスが発生した時世界がどのような修正を行うかわからない、よって迂闊に行動できないのだ
「…………」
「…………」
気まずい空気が流れる、士郎さんは難しい顔で何かを考えているようだ
「………ん?これはもしかすると…」
士郎さんが顔を上げる
何かあの三人を救う方法はあったのだろうか
「……友奈、守護者というのは効率主義だ。この世界を守るためにあの3人を切り捨てるのが守護者のやり方だ。」
だが、と区切って士郎さんは続ける
「俺は仮にも正義の味方を目指した者だし後悔はしているがそれを目指すのは間違ってない物だと思っている、勿論全員を救いたいが世界に楯突くとこの世界での俺達の存在が消えかねない。だから切り捨てる必要がある人間が出てくる……」
そう無念そうに士郎さんは呟く
その手は握りしめるあまり怪我をしそうな勢いだ
「それならその切り捨てられる数を減らすのが俺に出来る最善の事、切り捨てるのを3人から2人にする事はできる」
一筋の希望が見えてきた
衛宮士郎がこの世界で成せる事はただ一つ、三ノ輪銀の死の運命を変える事だ
鷲尾須美と乃木園子の運命を変える事はできない。この世界で運命を変え世界に消されるのが怖いわけではない。ただ自分がやった事を否定され、無かったことにされたくないだけだ
結城友奈をはじめとする勇者部設立のためには鷲尾須美が記憶を失い、讃州中学に編入せねばならず、乃木園子という勇者の切り札が存在しなければ大赦が犬吠埼風と東郷美森の反乱に構えることはできない。
だが三ノ輪銀は別だ、彼女が死亡し彼女の端末が三好夏凛に渡ったという事実が残ればいい
そして衛宮士郎は悲しい事に'人の死'というのを飽きるほど見てきたし、組織が人間の死亡を確定する条件というのも把握していた
要するに三ノ輪銀を表世界から消し去る…つまり守護者として同行させるのが目的だ
だがこれには2つの条件がある
1つ目は三ノ輪銀が生きる事を諦めない事
2つ目は2度と会えないであろう親友達と別れてでも生きる気があるかの意志だ
「まあこれはその時にならないとわからないからな……」
「………」
沈黙が場を支配する
友奈は俯いており表情は見えない
(まあ当然か……)
助ける力があるのにわざと見逃せと言っているのだ、これほど残酷な事をまだ中学2年の友奈に強要するのは胸が痛む
「………わかりました」
友奈が顔を上げる
何かを決意したような目だ
「……すまない」
「士郎さんは悪くないですよ、それに私にも目標が出来ました。」
ああ、この少女は本当に強い
なのは編はもうしばしお待ちを・・・ほんとすいません、これも全部文才がないのが悪い(責任転嫁)