-艦これ- 超々々々弩級戦艦白石です! All the world's a stage 作:うかた
予約投稿です。
イースタン島上空
マリオン・カール大尉は驚愕していた。
敵の艦隊によって飛行場が砲撃され、その前にかろうじて飛び立つことが出来た彼と数人の仲間たちは、空母を狙おうと探しながらイースタン島の上空まで移動していた。
そこで炎に照らされながら行ったり来たりしている敵の空母を見つけた瞬間、真上から敵機が迫ってきていた。
カールはそれなりに実力があるし、今乗っているF4Fは相当なものだ。
日本の零戦(ジーク)とも戦ったこともあるし、その時は二機を撃墜した殊勲を上げている。
しかも、夜に紛れての攻撃である。そう簡単に発見されるはずがない。
だというのに、どうやら三機のジークが、自分たちの後ろにぴったりと張り付いている。
流石に、B17の巨大な機体を最後まで隠すのは不可能だったかと苦笑する。
そもそも飛行場から飛び立つことが出来たのがF4F三機、重爆撃機であるB17が一機である。
B17やF4Fは上陸してきた日本軍を狙うために置いてあった機体であり、特にB17で空母のような高速で移動する物体を攻撃することの難しさはよく知っていた。
というより、全く当たらないであろうことも知っていた。
さらに言えば、時間が間に合わなかったのかB17に積まれている爆弾は普段の半分程度でしかない。
他にも雷撃機等も置いてあったが、残念なことに地上で撃破されてしまったようだ。
そのため、接近して真上のできるだけ低い高度から攻撃するつもりだったのだ。
「くそっ、もう少しだったのに!」
毒づきながら、機体を左へと傾ける。
それと同時にB17の後方からから火箭が走る。
重爆撃機には機銃が装備してあり、ジークなら二、三発命中させる程度で撃墜できる。
本来ならかなりの数の爆撃機群で同時に打つものだが、今は一機しかいない。
かなり期待を掛けた攻撃だったが、ジークは左へ右へと急旋回し、或いはそのまま突っ込んでくる。
爆撃機を落とせばカールたちが空母を攻撃できないことなど分かっているのだろう、護衛機を無視してB17ばかり狙ってくる。
次の瞬間、ジークが一機火を噴いた。
何事かと思って目を凝らすと、墜落したジークの真後ろにF4Fの姿があった。
最初に攻撃を受けた時点で、ジークの後ろにつけるように回り込んでいたのだろう。
しかし次の瞬間、そのF4Fが火を噴いた。
真横から突っ込んできたジークによって落とされたのだ。
さらに横でも、もう一機のジークがF4Fを追いかけていた。
ぐるぐると円を描くように飛びながら、ドッグファイトをしている。
この時点でB17の護衛ができているのはカールのF4F一機だが、他のジークが出てくる様子はない。
味方が落としたジークを除いて、二機が攻撃してきているにすぎない。
しかも、そのうちの一機は味方とドックファイトの最中である。
それならば、自分でも一機くらいなら引き受けることはできる。
僅かに機体を旋回させ、B17の後ろに着く。
それと同時にバンク(機体を左右に揺らすこと)しながら、空母を指さした。
機銃を握っている仲間が悟ったのだろう。
親指を立てて答えてくれた。
さて、と呟き、カールは後ろから迫ってきたジークの攻撃を、左にわずかに移動してかわし、さらに体当たりするような格好で迫っていく。
機体を急上昇させてかわそうとするジークを追い、ほんの一瞬のみ射線に押さえた。
その瞬間放った攻撃で、ジークの機体から煙が吹き上がる。
落下していくジークを尻目に、カールは機体を旋回させ、周りを警戒しながらB17の攻撃とその結果を見届けようとした。
対空攻撃の中を潜り抜け、かなりの低空から次々と爆弾が投下させる。
B17の巨体が飛び去った後、水柱が空母に向かって順に吹き上がる。
カールは機体を旋回させながら、水柱が収まるのを待った。
そしてその中から姿を現した空母は……無傷だった。
「クソッ、畜生!!」
叫びながら、B17を護衛するために機体を動かそうとするが……。
なぜかB17が、離脱する軌道を取らない。
どころか、また空母に向かって移動しようとしている。
爆弾も投下し尽しただろうし、いったい何ができるのか……。
そこまで考えたカールは、嫌な予感がした。
直感に従い、機体を急降下させる。
しかし、間に合わなかった。
F4Fの機体を火箭が貫き、コントロールが利かなくなる。
ふらふらと落下し始めたカールの視界には、
火を噴き上げたB17が敵の空母に向かって機体をぶつけようといているところが見えた。
空母の艦橋が爆発した瞬間、カールの意識は闇にのまれた。
実は、もう片方の世界においておいてカール大尉は、海兵隊のエースとして16,5機を撃墜した経歴の持ち主である。
この戦いが本来は初陣となるはずであったが、こちらの世界ではハワイ島にて邀撃に上がることに成功していた。
笹井諄一という、台湾航空部隊のエースを撃墜したとも言われており、ここで生き残っていれば、間違いなくエースの座を手にしていたのだろう。
歴史は小さな出来事で、変わっていくのである。
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