-艦これ- 超々々々弩級戦艦白石です! All the world's a stage 作:うかた
実際のところ、アメリカの機動部隊が『加賀』を沈めるには、『加賀』そのものに近づいてきてもらう必要があり、しかし、ミッドウェー諸島の飛行場からは、前夜の爆発から逃れた『赤城』の艦載機が発艦可能な状態にあった。
そして、日本の艦載機は全て、アメリカの艦載機よりも長距離を飛ぶ。
つまり、『加賀』はミッドウェーの零戦機が護衛可能な海域から動くはずもなく、アメリカの空母が迎撃を終えた直後に反撃しても、相当な被害が出ただろう。
その間に北方に追いやった空母部隊が戻ってきてしまうかもしれない。
それなりにリスクのある作戦であり、北の空母部隊からやればいいじゃないか、と言う意見も出たが、そちらには対処がもう始まっている。
ともかく、ハルゼーの立てた作戦によって、アメリカ艦隊も動き始めたのである。
北方、日本の機動部隊
「大変です!偵察機から『敵の戦艦と思わしき艦隊を確認』と入電がありました!!」
「な、なんだと!?」
彼らの艦載機は敵の追撃部隊を攻撃に向かっている最中であり、手持ちの艦載機はほとんど出し尽くしてしまっている。
いかに早く敵の空母に辿り着けるかが重要であるため、全力攻撃に打って出たことが裏目に出てしまったのだ。
「くそっ、敵戦艦艦隊の到着までどれくらいだ?」
「一時間もないかと!」
「っ、しまった!!」
偵察機を南中心に出していたことまでもが裏目に出てしまったらしい、
ここまで近寄られては、攻撃隊を撤退させ収容し、戦艦部隊に引き返させるほどの打撃を与えるのは不可能だ。
「……攻撃隊を撤退させ、収容。その後西方に反転し、敵追撃部隊を大きくかわしながら戦場へ戻る」
「了解しました!」
これで、この機動部隊がミッドウェーの戦いに関わることは、事実上不可能になった。
「後は任せましたよ、南雲さん」
『大和』艦橋
「北方の味方機動部隊より入電!『我敵戦艦艦隊ヲ発見セリ』です!」
「な……なんだと!!」
『大和』に搭乗している山本五十六は、北方の味方の機動部隊が、戦場に復帰するのが間に合わないことを、瞬間的に見抜いた。
つまり、ミッドウェー付近で戦っている機動部隊が、『加賀』一隻VS『エンタープライズ』『ヨークタウン』『ホーネット』三隻での決戦となってしまっているように見えることになる。
その上で。
余りにも不利なこの状況で。
彼はこう呟いた。
「まさか、ここまでうまく作戦が嵌るとはな」
『ヨークタウン』艦橋
「何だこの数は!?空母一隻からこれほどの数の艦載機が出るものなのか!?」
ハルゼーは、先ほどから何度も目を擦っていた。
F4Fがあまりにも多すぎる零戦に圧倒されているこの光景が、信じられなかった。
「い、いえ。もしかすると、アカギの艦載機も加わっているのかもしれません」
「馬鹿な、幾らジャップどもの艦載機が長距離を飛べるからと言って、これ程までに差がある物なのか!?」
「ミッドウェー島からは、三千キロメートル以上は離れています。それはないのではないのでしょうか」
「それなら、このじょ――――」
「敵機、直上!!」
その瞬間、F4Fの隙間をかいくぐり、爆撃機が急降下してきた。
「おのれえぇぇぇぇ!!」
『飛龍』艦橋
「まったく、ここまで上手く嵌ってくれるとはな」
航弐少佐は、主戦場の東にて、安堵のため息を漏らしていた。
北方に居るのは、本来はアリューシャン列島を攻略するはずだった小澤艦隊である。
彼らを囮にし、上手くアメリカ艦隊の後ろを取ったのであった。
つまり、こういうことだ。
航弐大尉が示した作戦はこうである。
夜間に大和と合流した一航戦は、そのままミッドウェー島の飛行場を攻略する。しかし、敵の夜襲部隊がこちらに攻撃を仕掛けてきたとき、空母がその射線上に居ることは途方もないリスクとなる。
そこで、アリューシャン諸島攻略部隊であったはずの角田少尉の軽空母艦二隻を囮として使い、その部隊はわざと見つかる。
多少の電波を漏らせば、敵の潜水艦やほかの艦が上手く見つけてくれることだろう。
発見されてそれを報告されたことが確定した瞬間から、全力で逃げることで敵の夜襲を回避する。
敵はまず間違いなく、この空母二隻が『飛龍』『蒼龍』だと思い込むだろう。
とはいえ、囮部隊の軽空母のうちの一隻である『隼鷹』は商船改装空母であるために二十五ノット程度しか出ない。しかし、敵は夜間の間しか追ってこれない、つまり朝になる前に空母の傍で防空戦闘をする必要がある敵の夜襲部隊では深追いできない。
そもそも空母から離れすぎると、夜が明けた瞬間に「
万が一にでも追われた場合は、こちら側の潜水艦部隊が潜伏する海域へと引きずり出し、魚雷でその数を減らしたうえで戦えばいいのだ。
そして、山口艦隊は、敵の予想の倍の艦載機で、敵機動部隊を圧倒する。
この作戦を実行するにあたって、そもそも成功の可能性が薄いアリューシャン列島攻略を行わずに済むということで、山本連合艦隊司令長官自らが太鼓判を押したほどである。
この作戦を聞き終わった後、山本はこう呟いた。
「この作戦が半分成功すれば、決着はついたようなものだな」
解説用の挿絵を入れようとしたら……。
まさかの、対応していないやつでした。
いろいろやってみます。