-艦これ- 超々々々弩級戦艦白石です! All the world's a stage   作:うかた

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更新します。


大演習 第七幕

「空母機動部隊は前進、敵後方に戦艦群を移動させる。潜水艦は、周囲で威嚇し続けろ」

 

 

航弐は、夜間である間に攻撃隊を発艦させることにした。

夜栗の艦隊は現在攻撃隊を収容中であるため、艦隊の防空に隙が生まれているはずだからだ。

 

そして航弐はもう一つ、策を取った。

 

 

夜栗サイド

 

「敵艦隊の位置を見失いました!」

「な、どういうことだ!?」

 

夜栗の艦隊は、航弐の機動部隊を含むすべてがどこにいるかを把握していた。

その方法は潜水艦や偵察機によるものであるが、それらからの情報が全く届かなくなったのである。

これでは、攻撃隊を発艦させたとしても、確実に敵艦隊を攻撃できるとは限らない。

 

夜間の攻撃隊の発艦という荒業で、どうにか流れを引き寄せた瞬間にこれである。

 

「くそ、航弐中佐の引き出しは一体いくつあるんだ!?つくづく油断できない男だな!!」

「提督、敵の攻撃隊を確認しました!」

「そうか、迎撃機発艦の準備をしろ!」

「そ、それが!敵攻撃隊はすぐそこにいるのです!!」

 

彼が指さす方を見ると、翼の形すらも見えるほど近くに、敵の雷撃機と思わしきものが見えた。

 

攻撃隊が敵艦隊を発艦させるタイミングを計り、潜水艦や索敵機を潰されたという情報が夜栗に届き、混乱しているタイミングで敵空母の上空に攻撃隊が現れるようにする。

とはいえ、攻撃隊が低空飛行で夜栗の艦隊の対空電探をかいくぐったのは、単なる運であった。サイコロで出たのだから仕方ない。

 

一時間ほど前に防空用として上げておいた戦闘機十数機が戦闘を始めるが、数も時間も足りない。

 

何十機もの敵の戦闘機に絡めとられ、雷撃機、爆撃機はほとんど無傷で突破してきた――――

 

 

 

攻撃隊が敵の空母を撃破したと聞き顔を上げた航弐のもとに、電話がかかってきた。

 

 

 

「よ、夜栗艦隊の旗艦および二番艦、三番艦を撃破したため、航弐中佐の勝利です」

 

 

 

「……え、本当に?」

 

思わず聞き返してしまう航弐だったが、勝利は誤報ではないようだ。

 

しかし、勝った航弐の表情はすぐれなかった。

 

確かに勝ったには勝ったが、ルールのおかげであることは否めない。

夜間の攻撃隊によって大きすぎるダメージを受けた。あの一撃で勝ちの目が夜栗に流れていても、何の不思議もなかったのだ。

 

戦争において、ただ一撃の痛打が戦局を動かすことは全く珍しくない。

もう少しで勝てたのに、あの偶然がなければ、なんてことは一切通用しないのだから。

 

「戦いに負けて、試合に勝ったってことだな……」

 

 

一方その頃、大部屋にて、

 

「戦いに負けて、試合では勝ったか」

 

山本五十六は航弐と同じことを言っていた。

 

とはいえ、戦いにおいては始終航弐が夜栗を押していたのは確かだ。

決められた教科書的なやり方の上で戦うには最悪の敵であるため、指揮官としてはひよっこである夜栗には、まだ早かったのかもしれない。

しかし筋は悪くなかった。成長速度はかなり早い。

夜間の攻撃隊の発艦はどの教科書でも愚とするところを、熟練搭乗員を使うことで見事にやってのけた。

 

「これからが楽しみな逸材が二人、だな」

「いいえ、この島墨(しまずみ)少佐を含めれば、三人ですよ」

 

そこに口をはさんだのは、栗田中将だった。

隣には、何やら女性を従えている。

 

「まさか、この女性が最近君が気にかけているという、『砲撃戦の申し子』か?」」

「ええ。まさか女性だったとは思わなかったでしょう?」

「ああ、見事にしてやられたよ」

 

この時代、海軍に女性がいる、というよりは軍隊に女性がいることはあり得ないと言われていた。

特に海軍においてはそれが顕著で、その理由は『軍艦の魂が嫉妬する』という現実的だか非現実的でないかよくわからない理由によるものだが、ともかく、それが原因で女性を軍艦に乗せるのはタブーとされてきた。

 

「ああ、山本長官はもしや、艦の嫉妬によって事故が起きるというあの話を信じているのですか?」

「うーん、あながち嘘でもないような気もするがな……」

 

山本は、革新は積極的に取り入れる人物だ。

とはいえ、さすがに女性を軍艦に乗せるというのは、と考えていた。

(艦隊の司令部員の中に女性がいるとは聞いたこともないので、恐らく地上勤務をしているときに栗田によって拾い上げられたのだろう、と推測したが、それで正解だった)

 

しかし、『軍艦の魂』というのがあながち嘘でないのも、なんとなく山本は感じていた。

 

「それで正解なんですよ」

 

そこでこの返しである。山本五十六が食いつかない訳がなかった。

 

「ほう、それはどういうことだ?」

「実はですね、島墨少佐は『軍艦の魂』というものと、交流できるのです」

 

――――――――――――――――――――

 

量産駆逐艦 『松』『竹』『梅』その他十五隻

 

量産型駆逐艦の一種類目であり、一点豪華主義を通し続けてきた帝国海軍において、ある意味で試金石の役割を果たす。

特型駆逐艦にすら劣るスペックであるが、その建造の容易さはこれまでの帝国所属のどの艦をも凌ぐ。

ただし、航行性能はすぐれており、更にはいくつか実験的な要素を加えているため、これらの艦によって得られるであろうデータには多くの関係者が注目している。

当初は艦隊決戦にも従軍可能な艦として建造する予定であったが、護衛艦隊の駆逐艦不足の声を受けて護衛船団に投入されることになった。

 

兵装

 

12.7cm 40口径 連装1基

25mm機銃 3連装 4基

61cm3連装魚雷発射管 1基

 

爆雷投射機 2基

ソナー 1基

 

基準排水量 1050トン

速力 28.5ノット

航続距離 18ノットで4.200浬

 




もしかすると、現在建造中の艦のコーナーの情報は後になっていじるかもしれません。
読者の皆様、許して?
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